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1950-03-31 第7回国会 参議院 経済安定委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十一日(金曜日)    午前十一時三十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員田口政五郎君、池田七郎兵衞 君及び栗栖赳夫君辞任につき、その補 欠として左藤義詮君、川村松助君及び 安達良助君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○臨時物資需給調整法等の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○外国為替及び外国貿易管理法の一部  を改正する法律案内閣提出一衆議  院送付)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは委員会を開会いたします。今日の委員会は第三回の委員会になると思いますが、前回は二十三日に開きまして、臨時物資需給調整法等の一部改正法律案議題にして、提案理由説明を聽き、質疑行なつたことと、それから今国会中中提出の予定されておる法案の見込を政府側から伺つたということであります。陳情請願はやる予定になつておりましたけれども、時間がなくてこれはやれずになつております。従いまして今日の委員会議題は、第一には臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案と、それから外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案、両案とも期限切れの法案でありまして、審議を急がれている事情もありますので、先ずこれを御審議願いまして、若し時間がありましたならば、請願の十三件、陳情の二件がありますから、時間がありましたならばその審議に入つて頂きたい、こう思います。今のうな順序で議事を進めることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは最初臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案議題にいたしますが、先程申上げましたように、質疑の継続中でありましたから、若し質疑がありましたら早速お願いいたします。
  4. 帆足計

    帆足計君 すでに御質問も出たことと思いますので、極く簡單に御返答願つて結構なのですが、需給調整法物資の不足のときの需給バランスをとるためできた法律でありますから、物資需給が段々採れ、物によつては、総体的でありますけれども、物資が過剰になりました今日、この法律は一ヶ年延長しますけれども、今後の見通しとしては、この法案は段々私は撤回の方向に向うのではないかと察しております。今後物資の過剰に対する対策としては、需給調整政府当局としてはどういうふうにおとりになるおつもりでありますか、結論だけを伺いたい。
  5. 増岡尚士

    政府委員増岡尚士君) 全体的には、いわゆる有効需要の喚起という方面物資需給調整を図るということになりますが、只今のところでは、全体的に何らか法律作つて、過剰になるようなものについて調整をとるというようなことは考えておりませんが、或いは今後個々の重要なる物資について需給調整を図る必要のあるものについては個別的な問題として取扱つて行くということにいたすべきであろうというふうに考えます。
  6. 帆足計

    帆足計君 この法案事業団体関係のある法案でありますが、只今、例えば生糸が暴落しまして絹織物業者申合せをして一齊に休業しております。国に原料があり設備があり、そうしてこれを、……絹織物は我々は決して不必要でなくて、使いたいのでありますが、ただ金がないという経済政策の行過ぎのデフレから、ただそれだけの理由のために工場が閉鎖されるというようなことが行われておりますが、これが自由主義的な資本主義機構基本的な欠陷であつて、近来の社会問題はすべてここから発生しているわけであります。ところが最近絹織物業者がこれに対処する方法が、適切な方法がないために休業の申合せをして、そうして暫く滞貨が捌けるまで仕事を止めるというような申合せをしておることが新聞に載つております。こういうようなことは、一体法的に見まして私は独占禁止法にかからないものであるかどうか、需給調整法審議するに当りまして、需給バランスというものが必要であるならば、どうしても事業者団体と、それから独占禁止法と、それからこの需給調整法との三つの関連において本来ならば審議しなければ筋道が通らんと思うのでありますが、当局としてはこういう問題はどういうふうに解釈されておりますでしようか、ちよつとその点を伺いたい。
  7. 増岡尚士

    政府委員増岡尚士君) 只今生糸或いは絹織物関係につきまして、業者申合せ等によつて休業するという問題につきましては、只今のところまだそれが公正取引に反するかどうかということについては実情を詳しくいたしませんので、これが本当に公正取引に反するかどうかということの判断はできないのでありますが、先程も申しましたように、過度の需要物資について一時的に非常に需給がアンバランスになつて、これを将来に向つて放置することが不適当であり、或いは調整することが必要であるという場合においては先程も申上げましたように、一つ一つ物資につきまして、所要の需給調整に関する法規等も考えてやるべきであろうと思いますが、この臨時物資需給調整法におきましては、先程御意見もありましたように、このような過剰物資処理というようなことについては、考えられておらなかつた法律でありまする関係もありまするので、直ちにこの法規の運用によつてそれを処理ずるということはむずかしいというふうに考えられます。従つて繰返すようでありますが、さような一時的な需給バランスしない、逆に供給の方が多くなつたというものについては、これを一つ一つ取上げまして処理して行きたい。尚公正取引に反するかどうかという問題については、十分に研究をいたしたいというふうに考えます。
  8. 帆足計

    帆足計君 そこで私はこう思うのです。過剰物資と、それから長い間の官僚統制から免がれたいために、一応自由経済に戻るというのには大きな自主性も必要と思うのですが、そのあとに来ておるものは直ちに過剰生産又は過小購買力というものが、これが全資本主義機構を震駭させる程の基本的矛盾、大東亜戰争も、日本等が誤まつた戰争に、世界戰争に捲き込まれたことも、すでに二十年前にそこに端を発しておるわけであります。自由経済に戻ると申しますけれども、それは同時に昭和五、六年に戻るということで、そのあとのことを考えなければ、失敗の経験から何ら学んだということにはなぢない。即ち敗戰から何もの日本経済政策は学んでないということにも私はなると思うのであります。従つて物資需給の問題を論ずる場合には、購買力生産力とのバランスを、今後どういうふうにして採るかというためのはつきりした経済政策理論的見通しというものを持つていなければ、もはや資本主義というものは大衆によつて私は是認されんことになると思うのです。従つて思想対策としましても、経済対策としましても、一切の対策の根幹は需給バランスをどうして採るということにかかつていると思うのです。この問題に対して現在の政府が全く無知であり、盲目であるために、統制解除すらまだ十分に行われていないのに、早くも前門の狼は去つたけれども、後門の虎に脅かされるという状況であつて、これから来るものは、全面的不景気以外の何ものでもない。従いまして、これを打開するだめの方針というものが当然政府当局としても研究されておらねばならん。又経済安定委員会としても、需給調整に関する法案審議して、過去の過剰物資対策としても需給調整法は臨時的に一年延ばし七、過剰物資についての調整法も、それについての方法論だけでも予めここで審議して考えられているということで、初めて将来安定への準備ができるわけであつて、その準備はつきりなされていないということは、私は極めて遺憾であると思つております。従つて、我々が需給調整法の一年延長を承認し、仮に今日通過させるとしましても、その場合に更に大きな問題が背景にあることを我々が十分知つており、政府に対してその調査と立案を要求したということだけは国民の耳に止めて頂いて、審議が進んでいるということでなければ、誠に私は相済まん次第であると考えております。ウエルシユ氏は、二、三年前にこのことを指摘しましたときに、政府当局並びに関係当局では、現在は過剰物資に対する対策というか、その観点から一つ考えて貰いたい、生産過剰となる恐慌の危機が来たときにどういう統制方式を採るかということは、そのときに考えたらよかろうというようなお話でした。まあ当時はそういう状況でありましたので、我々も口をつぐんでおつたわけであります。ところがもはや今日恐慌が全面的な現象になり、そうして政府委員は必要に応じて各業種別需給調整の新たな法案準備遣れると言いますけれども一私は全業種亘つてこの問題が起ると思います。それを一体どういう資本主義の修正の形態において打開するかということを政府委員にお聞きすることは実は無理であつて内閣大臣諸公自身が今から考えて置かねばならんに拘わらず、何らそれに対する対策がない。最近民主党におきましては自由のための経済計画ということを言つておられるそうですが、私はこれはなかなかいいスローガンだと思つております。それで結局、公正競争を確保し、企業の合理的存在を確保するためには、一面不正競争を防止すると共に公正な協同及び均衡、バランスを確保するというための、やはり政策法案準備されねばならん。ところがその準備が一向されていない。現に例えば雑誌にしましても、一月号の雑誌が十月の末に出る、これは明らかに不正競争である。不正競争に対して仕方がない……、必要に応じて、又司令部の示唆もあつて業界申合せをして、一月号の雑誌がせめて十二月過ぎでなければ出すまいという申合せをして、又下劣なエロ雑誌が氾濫しておるのに対して、そういうようなエロ記事自粛しようという申合せをした。この申合せは、即ち不羈奔放なホツテントツト達自由競争を明らかにチェツクしたものであつて、自由に対する侵害であるということが当然にホツテントツト諸君からは言い得るわけであるが、併し人類としてはそういう侵害人類共同生活のために必要であれば、ホツテントツトの自由はこれを抑えられる。人類の自由を守る、ためには、そういう公正、協同のルールが必要であるという主張からすれば恐らく黙認されないと思います。これはホツテントツト的な自由主義競争から言えば明らかに不埒な干渉である。エロ雑誌を出そうが、正月号を九月に出そうが俺の自由だ、嫌ならお客さんが買わなければいい、これをお客さんが買う以上はそれは自由であるという論理の方が、素朴な自由主義観点から言えば筋道が通つておるわけです。然るに世の常識あるコンモンセンスというものから見れば、それはそういう主張が間違つておるのであつて、或る程度統制というような、自粛というよう、な、協調というようなものが必要である。そうであるとしたならば、同じことが経済界に対しても言えるわけです。悪い品物を作つたり、やたらに販売競争を行うということに対しては、やはりエロ雑誌自粛と同じように業界自粛する、又は消費者勤労者の参加した委員会のようなものがあつて、そういうものが認めた場合に、需給バランスのための適切な処置をとり得るという社会の安全弁がなければ、恐慌を防止することはできない。こういう問題に対しては当然政府側としては需給調整法審議に当つて、あるべき姿に今後の経済の安定について方法政策が示さるべきであるにも拘わらず、論議されていない。私は政府当局に対して、あのときはウエルシユさんに対して独占禁止法というものが不正な財閥的私的独占禁止しようとしたその意向を了として、我々は賛成して今まで来たわけですけれども、その馬鹿の一つ覚えだけではどうにもならん状況であつて、現在では一方において不正な私的独占を鎮圧すると同時に一他方においても公共的な協同バランスを確保するための措置をどういう形で確保するかということが準備されておりまして、もはや今年、来年は私は合理的に乗り超えることは困難であろうと思います。従いまして只今のようなお尋ねをしたわけでありますが、差迫つた審議にこれ以上論議をしましても間に合いませんことですから、私共一議員としてこういろ極めて深刻な疑問を持つておるということを、政府委員を通じて政府政策一つ将来反映させて頂きたい、こういう趣旨意見を述べた次第であります。
  9. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 外に本法案に対する御質問ありませんか。
  10. 奥むめお

    奥むめお君 この前この法律を延長するときにもそういう意見が出ていたのですが、これはとにかく非常に産業の上に、又消費生活の上に重大な影響を直ちに及ぼすものなんですから、いわば役所に対して、官庁に対して白紙委任状を出したようなもので、あるかち、あと法律の経過がどういうように行われておるかということを我々も知らなければならない。何か査察というような報告的なものがあるということを伺つたと思うのですが、まあ又今度これを延長するという時期になりまして、何か印刷物ができるとか、そのとき懇談会の席上だつたと思いましたが、まだそのままになつておりますが、それはこの際言わない、そのまま問わないといたしましても、今日のように統制撤廃と、それと統制との混乱の時期に、私共の消費生活というものはまるで役所方針一つで翻弄されておるという形も私はなくはないと思うのですよ。ですからこういう白紙委任状で委された法律に対する現実生活がどうであるかという差当り当面の問題としてどういう見通しを持つておられるかということを私は一つ聞きたいし、例えば又石鹸の問題でも、繊維の問題でも或いは食糧の問題でも、つまりこの間の座談会のときには繊維品切符制は続くとおつしやつたが、その後の新聞を見る、と四月、五月は外すと、とう書いである。こういう臨時措置決まつたらしいですけれども、実際の生活から見ますと、切符なんか何もなしでも何でも買える。却つて切符があると邪魔になつて来る。すると役所では机上で立案をしていらつしやるでしようけれども、現実生活の面でどうあるかということをお知りになることが今程必要なときはないと思うのですが、今の臨時措置としてでも、現実どういうふうな、今の統制がどうなつているかということや、見通しということも、民間とそれから役所立案なさる方との間に協議して見たり、或いは実情を話合つたり見通とを相談して見たりするような機関をお作りになる意思はないか。そういう計画はおありになるかどうかということを御説明頂きたいと思います。
  11. 増岡尚士

    政府委員増岡尚士君) 大体今後のこの法規の適用の見通しにつきましては、前に或いは御説明したかと思うのでありますが、大体の傾向としては、先程帆足先生からのお話もありましたが、新らしい意味需給調節という問題は別といたしまして、この法律で考えておりまする過小物資統制という行き方につきましては、一応できるだけ枠を外して行くという考え方で始末をした方がよいだろうと思つておりますので、御承知のように、順次統制解除をやつて来ておるわけであります。尚今お話のありましたように、統制実情が実際と離れておるという御意見、我々もときどき耳にしますが、又我々個人の私生活から見でもそういう例をときどき見ますので、そういう点については十分反省をしながら法規の運用に心掛けておるわけであります。組織的に、関係消費者なり或いは業者なういうものと会同をいたしまして、統制の実態というものを検討し合うというような制度は、現在のところ法制的には認められておらないのでありまするけれども、実際は個々物資につきましては、まあ業界意見なり、或いは消費者意見というようなものを相当に聞ける範囲内で我々としては聞いておりますし、又現実物資統制をやつております各省においても、相当聞いてやつておるのでありまして、尚その聞き方の足らない点もあるかとも存じますので、その点についてはできるだけお話のような趣旨応今後つて行きたいというふうに考えております。
  12. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 外にこの法案に対しまして御質問ありませんか。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  13. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記開始。それでは、臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案に対する質疑は外にございませんか。    〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは本法に対する質疑は終了したものと見て御異議ありませんですね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは次に討論に入るわけでありますけれども、今まで出席されておつてちよつと座を外しておられる方もありますから、討論採決に入る前にこの審議は一応ちよつと停止いたしまして、次の外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案審議に入りたいと思いますがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは同法案議題にいたします。先ず政府提案理由説明を願います。
  17. 西村久之

    政府委員西村久之君) 只今議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明いたします。  昨年十二日二日付で公布されました外国為替及び外国貿易管理法中貨物の輸出入及び外国へ向けた支拂に関する規制、外国為替銀行及び両替商の認可、外国為替相場の公定、対外取引に使用する外国通貨指定等に関する命令を本日までに制定施行しましたが、その他の部分、即ち、外国為替集中渉外債権債務統制証券渉外取引統制不動産渉外取引統制渉外サービスに関する契約の統制及び通貨等輸出入統制に関する部分については、現在尚未施行であります。  これらは、法律附則によつて昭和二十五年三月三十一日までに施行しなければならないことになつています。  然るに、外国人本邦内事業活動外国為替銀行為替業務外資導入等に関する事項については、愼重考慮を要する点があり現在に至つて尚未確定部分がありますので、右未施行部分を三月三十一日までに施行することが不可能となりました。  これが法の一部を改正して施行期日を延期しようとする理由であります。  何とぞ右御審議の上、速かに賛成されんことを切望して止まない次第であります。
  18. 和田博雄

    和田博雄君 これは今の提案理由ですが、愼重考慮を要する点があつて、現在に至つて問確定部分があります。これは文字の上のことですが、実際はどういうことを一体愼重考慮しているのが、その点を、少し内容を示して貰いたい。
  19. 伊原隆

    政府委員伊原隆君) この法律の、只今お手許に差上げました法律案法律案の一番後の頁に、附則施行期耳の但書がございまして、一番後のあれでございますが、「昭和二十五年三月三十一日後であつてはならない。」とございますのを、三ヶ月延ばしまして、六月三十日といたす法律でございますが、なぜそういうふうに延ばさなければならないかというお示しでございます。この法律のうち、実は昨年御協賛を経ましておりました法律ですが、輸出と輸入の部分施行したのでありますが、あと施行しておらない部分は、外国為替集中とか、それから第五章の制限及び禁止支拂債権証券不動産というふうになりております。そのうちで、今提案理由の中にございましたように、一つの問題は外国人本邦内の事業活動をどうするかという問題でございましてこれは外国人日本におきましては外国の預金を持ちましたり、外貨外国人間の流通には使われておるのであります。これらを基本方針としましては、日本の国内の取引は成るべく円貨でやりたいという方針で、基本方針はそういう方針で進んでおりまするが、その程度その時期とか方法につきまして、国際的に非常に愼重考慮しなければならん問題がございます。これは外国為替集中法律のところに関係がございます。  それからもう一つは、外国為替銀行為替業務の問題につきまして、実は集中規定は現在政令三百五十三号という政令がございまして、これによつて輸出ビル全面集中になつておりまして一本々々集中をしております。これに対しまして或る程度銀行外貨保有限度を認めるということが適当ではないかということで、これも集中やり方等について問研究をいたして、決定いたさなければならないと思います。それが第四章の外国為替集中の問題に非常に関係して参ります。  それから外資導入に関する問題、これは政府では外資導入に関する法律案を今用意をいたしておりますが、関係方面との打合中で決定に至つておりません。現在の外資導入の問題は、外国人不動産取得とか、証券取得とか、株式の取得というような点に重大な関係がございますので、これらの主な点がまだ決定いたしませんために、この政令を出しますことを三ヶ月間延ばして頂きたい。こういう趣旨でございます。
  20. 和田博雄

    和田博雄君 これはざつくばらんに言つて、この前の法律を出すときに大分準備が実は殆んどできていなかつた。非常に向うから急がれた事情心つて、我々としても非常に不満ではあつたが、急がれた事情も分るし、構想自体については私は反対だつたけれども、一応民間貿易に盡すということであつたのでやつたわけですね。その後政府としてはもうこういろ問題については交渉されておると思うのですね。そうでなければ折角これを通しながら実は法案全体としては完成するもので吟ないし、又貿易会計としエル非常に未完成なことになつて来る。そういうような意味で、恐らくあれ以後直ぐ本来なちば向うと交渉して期日を延ばさなてても、三月もあるのですから、当然私はできておることだと思つていた。今政府委員の御答弁によると、まだ向うと交渉中であるというお話でありますが、実際これらの個々の問題について政令で案でも作るなり、又政府としての方針も決めて具体的に一体この仕事を続けて来たのカどうか。そういつた点は、どんなんですか。そういう点をお話し願つた方がよいと思います。殊にローガン構想が非常に行詰つて来たときだけに、これは残つた部分、大きな部分残つたのだから、やはりその内訳をお話下さつたらよいと思います。
  21. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を止めて呉れというお話ですがよろしうございますか……では速記停止。    〔速記中止
  22. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて。
  23. 帆足計

    帆足計君 政府委員にお尋ねしたいのですが、この法案施行規則の中に外国人方々が国に帰られますときの引越の荷物についての規定がございますが、その文面の中に一般外国人諸君には、通常職業用具を持帰ることが許されております。ところが別項目中国側又は朝鮮諸君に対しては、職業用具は四千ポンドに限るという項目がございます。ところがこの文面上若干不備のところがありませんでしようか。卒然としてこれを読みますと、一般外国人諸君には無制限である。然るに中国人又は朝鮮人諸君にはちやんと限度を決めて制約しておるというような印象を與える慮れがあります。又実際上としまして地方の税務当局実務職員の方がただ卒然とこの文面を見ますると、やはりそういうような解釈をしますような虞れもございますので、華僑総会方面からこれに対しまして解釈を明らかにして貰いたいという苦情並びに要望も出ております。そこで私は政府当面にこれは中国又は朝鮮方々は特に密接な関係がありまして、長く日本留つて日本経済計画に協力して来られた方々でありまするから、その方々日本を離れます場合にお困りにならぬために、職業用具常識的解釈においてお困りにならぬ程度職業用具を更に四千ポンドは認めようという積極的な意味である、こう解釈する次第でありまするが、政府当局解釈はつきり承わり、又文面上不備な点がありましたならば、適当な改正の機会に訂正をして頂きたいということを希望して置きますが、その点について御解釈を承わりたいと思います。
  24. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) お答え申上げます。只今の御意見を承わりましたように輸出貿易管理令の別表の第三に、日本から帰つて行きます外国人と、それから又日本から引揚げをする中国人台湾人朝鮮人及び琉球人につきましての携帯尚物或いは引越尚物或いは職業用具についで貿易管理令のいろいろな適用を受けなくても、自由に持帰つてよろしいというふうな規定があるわけであります。この規定は財産及び貨物の輸出品の取締に関する政令というのが前からございまして、その政令を実は輸出貿易管理令規定いたしますときに、そのまま踏襲をしてここに規定したのでありますが、ところがその輸出貿易管理令に取入れますときに、若干表現が不正確でありましたためにいろいろな誤解を生んでおることは、今帆足委員から御指摘の通りなんでありますが、この解釈といたしましては、日本から帰つて行きます外国人につきましては、ただ職業用具というふうな表現を使い、それから又引揚げて行きます中国人なり台湾人朝鮮人及び琉球人につきましては、重量四千ポンド以内の職業用具というふうな表現をいたしておるのでありますが、これはこの中国人なり台湾人朝鮮人及び琉球人につきましては、一般外国人が持帰れる職業用具の上に重量四千ポンドまでは職業用具は持つて帰れる、こういう意味でありまして、中国人台湾人等に対する差別待遇ではなしに、中国人台湾人等に対する従来の特殊な関係からいたしまして、一般外国人よりも優遇をしておる規定なんでございますが、若干表現の不備でありますために、柳が誤解を招いておるりでありますが、実際の運用といたしましては、今申上げましたように一般外国人の持帰る職業用具の外に、重量四千ポンド以内の職業用具中国人台湾人等も持帰つていいというふうに運用をいたしておるような次第であります。従いまして次回の輸出貿易管理令等を改正いたします場合におきましては、この点誤解のないようにはつきりと改正をいたしたいと思つておるのでありますが、それまでの期間におきましては、今申しますような解釈を我々もはつきりいたしまして、先程もお話のありました華僑総会に対しましても文書ではつきりお答えをいたしておりますことを、又税関等に対しましても、運用上誤解のないように今申しますような趣旨で運用されるように通牒することになつておりますので、その点一つ御了解を願いたいと思つております。
  25. 帆足計

    帆足計君 只今政府委員の御答弁は極めて私は満足の意を表する次第であります。ただこの機会にお願いして置きたいと思いますことは、日本中国との関係は今後文化的にも経済的にも極めて密接な関係にありまして、両国間の親善を保つことが如何に大きな国民的課題であるかということは、皆様御承知の通りでございます。従いまして中国諸君達ができるだけ日本に留まりまして、そうして日本経済復興に対して大きな貢献をされることを希望し、聊かも中国諸君に対する差別待遇というようなことのないようによきそうして我々の尊敬する隣人として協力し合つて参らねばならぬと存じております。将来日本中国との関係が更に深くなる、それによつて中国の隣邦から得る大きな利益ということを考えまするならば、在留中国人方々にはできるだけ親切にそうしてお互いに協力し合うという方向へ行つて頂きたいと思いますが、不幸にして非常な不景気のために、隣邦の隣人達が終戰直後は経済生活は何かと若干の特権もあるせいもあつて恵まれておりましたが、今は非常な苦境に曝されておりまして、帰国を余儀なくされる方々も出ております。その場合に例えば歯科のお医者様として医療機械をお持帰らねばならぬ方であるとか、それぞれの職業に応じまして若干特殊性があろうと存じます。その場合には法の精神を察せられましてできるだけ実状に即した措置を運用上お願いいたしたい。若しその点において意見の食違い等がありまして困難な問題でもありました場合は、私は運用当局の方から本省の方にも御照会がありましようから、そういう場合には、華僑総会なり、又は中国貿易議員連盟の方に困難な問題がありましたときは御連絡下さいまして、我我も御協力いたしたい、親切に且つ理解あり、そして公正な運用に御協力したいと思つております。従いまして、今後も中国のみならず、隣邦諸国との関係を十分考慮いたしまして、政府当局におきましては、過去の日本の大きな誤ちを清算し、その贖罪をするという意味におきまして、一段と懇切に隣人諸兄に対して頂くように運用上お願いいたしたいと思います。これは中日貿易議員連盟としましても、深くそれを希望しておるわけでありますから、この機会を借りまして運用上の注文を申上げて置きます。
  26. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 外に御質疑ありませんか。御質疑が外にも大分ありそうでありますけれども、時間的の制約がありますので、御遠慮なすつておる向きもありますので、その辺を委員長の方で忖度いたしまして、この辺で質疑を打切りたいと思いますがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは本案に対する質疑はこれで終局したものと認めます。速記を止めて。    〔速記中止
  28. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて。  先程この本案に対しまして、質疑を終了したことに申上げましたが、帆足委員の方から特に公正取引委員会の方に対して簡單な質問をしたいという申出がありますので、これを特に許可したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) では帆足君どうぞ。
  30. 帆足計

    帆足計君 お許しを得まして公正取引委員会の方にお尋ねしたいのですが、先程物資需給調整法のときに申上げましたようん先般独占禁止法又は需給調整法事業者団体法等が制定されましたときには、過剰物資の時代でありまして、それを対象といたしまして論議がされました。今は経済情勢が一転いたしまして物資過剰の、而も私共肩身飢えており極めて貧しい状況であるに拘わらず、政府政策の失態であろうと思いますが、過度のデフレのために物資過剰の状況になつておる。この需給調整のアンバランスということが資本主義社会の基本欠陷である。この欠陥は本質的なものであり歴史的なものであつて、この欠陥の中から失業が生れ、社会不安が生まれ、一切の事象が発生しているわけであります。資本主義下において安定と、経済の復興を望もうとするならば、この欠陷を緩和し調整することが必要であります。この問題はすでにイギリスにおきましてもケインズ等の学説において取上げられた。アメリカにおいてはニニユーデイール思想並びにその政策体系によつて半ば解決せられたことによつて資本主義は又異なる意味において合理性を主張し得ることが許されておるわけですが、この問題につきまして二年ばかり前にウエルシユ氏、その他政府委員に御質問しましたときに、私が記憶しておる限りにおきましては、今は過少生産のときだからこれでよいのではないか、又過剰生産又ば恐慌が来たならばそのときに考えようというようなお言葉でありました。ところが今や正にそのときが来まして、これについての経済政策方法論なり、資本主義修正の理論体系なり、実際的政策準備をしておきませんと、もはや統制あとに来るものに対して手遅れになりまして、不当なる損害と不安と苦痛を国民に與えるというような段階に差迫つております。従いまして、私は本日政府委員にこの問題につきまして御答弁を承わろうとも思いませんし、又これは本来ならば、内閣それ自身が深く考えるべき問題であろうと思いますが、同時に我々は占領下にありまして、占領の政策の枠に協力しながら政治をせねばならんという不幸なる敗戰の時代にありますから、一つ公正取引委員の皆様におきましても、一方において独占を取締らなければならん、不当なる独占を取締らなければならん。他方において公正なる行動と、国民経済バランスを維持しなければならん。然るに現在恐慌に直面している。これに対する独占禁止法の今後の在り方について、司令部当局はどういうふうに考えられるかということについて、皆様は我々国民を代表して折衝の任に当つているわけでありますから、一つ十分に論議をして頂いて、そして司令部当局の考え、又公正取引委員会の考えを適当な機会に安定委員会においてお聽かせ願いたいということを、本日重要法案審議をいたすにつきまして、御注文いたしたいと思いまして申上げるわけであります。
  31. 内田藤雄

    政府委員(内田藤雄君) よく研究考慮いたしますということを申上げて置きます。
  32. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこれで本案に対する質疑を打切ります。打切りまして、本案に対する審議は先程申しましたように質疑終了の段階で一応ちよつと停止いたしまして、元に戻りまして、臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案討論採決に入りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案に対する討論に入りますから、御意見がありましたらお述べ願いたいと思いますが、特にございませんか。    〔「ありません」と呼ぶ者あり)
  34. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御発言なければ終了したものと見て差支ありませんですね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは討論は終了したものと見まして採決に入りたいと思います。臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。同法案を原案通り可決することに御賛成の方の御挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  36. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 全会一致でございます。よりまして本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚委員長の口頭報告は、例によりましてこの委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することで一つ御了承願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  37. 帆足計

    帆足計君 若し皆様のお許しがありますれば、私が本日注文を発した点だけを、ほんの一行でも結構ですから御指摘願いたいのです。その指摘なしにこの法案を通したとすれば一私は怠慢であるとこう考えておりますから……。
  38. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつとお待ち下さい。今の問題は物調法の方に特に関係がありますか。それとも為替管理法の方に特に関係がありますか。
  39. 帆足計

    帆足計君 公正委員並びに安本の長官にお尋ねしたのは物調法の方であります。先の中国人の問題は、管理法。
  40. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今の帆足さんの意見も含めまして委員長に御一任願えますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) よろしうございますね。そのように委員長の方において、取計ろうことにいたします。  それから次に、委員長から議院に提出する報告書に多数意見者の御署名をお願いすることになつておりますから、順次一つ御署名を願います。   多数意見者署名    西川 昌夫   川村 松助    左藤 義詮   奥 むめお    和田 博雄   帆足  計    島津 忠彦   小林米三郎   —————————————
  42. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは次に、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案議題にいたしますが、質疑終了で先程打切りましたが、討論に入りたいと思いますから、御意見がありましたら御開陳を願いたいと思います。特にございませんですね。それでは特に御意見もありませんから、討論は終局したものと見まして採決に入りたいと思います。外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について採決いたします。同法案を原案通り可決することに御賛成の方の御挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  43. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 満場一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚前法案の場合と同様に、本会議における委員長の口頭報告を委員長に御一任お願いできますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御異議ないものと認めます。それから同様に議院に提出する報告書につきまして、多数意見者の御署名を順次お願いいたします。  多数意見者署名    西川 昌夫  川村 松助    左藤 義詮  奥 むめお    和田 博雄  帆足  計    島津 忠彦  小林米三郎   —————————————
  45. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 特に御発言もなければ、後の第三の議題でありました請願十三件、陳情二件につきましては「「時間も大分経つておりますから、次回に讓つて閉会したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは本日の委員会をこれで閉会いたすことにいたします。    午後零時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            西川 昌夫君            帆足  計君    委員            和田 博雄君            川村 松助君            左藤 義詮君            島津 忠彦君            奥 むめお君            小林米三郎君   政府委員    経済安定政務次    官       西村 久之君    経済安定事務官    (貿易局長)  谷林 正敏君    経済安定事務官    (動力局長)  増岡 尚士君    経済安定事務官   (生産局次長)  前谷 重夫君    経済安定事務官    (経済安定本部   総裁官房次長)  河野 通一君    大蔵事務官    (理財局長)  伊原  隆君    公正取引委員会    事務局    (総務部長)  内田 藤雄君   説明員    通商産業事務官    (通産局次長) 松尾泰一郎