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門屋盛一君 まあ大体この問題がこんなに長引いた一番の原因は、国鉄裁定の折にも私から申上げてあるように、
政府の
提案樣式が余りに大雑把であ
つてはつきりしていないという、これだけがこの
議運としては了解できない点なんです。それで、どういう点が
はつきりしていないかといいますと、それは
法律を素直に読んで行けば分ることでありますけれども、
政府の方では今日までいろいろと曲解されておるようでございますが、三十五條で仲裁裁定が下されました場合には、これは一応双方はこれに従わなければならないことにな
つております。但し、その事柄が十六條の第一項に
関係あることは、これは十六條第二項によ
つて、
国会の
承認を得なければならないというので、仲裁裁定に全面的に従わなければならないが、その十六條
関係のことだけは、
政府に対して
一つの除外例が設けられておる。それが今日問題とな
つておる。そこで十六條に戻
つて来ますと、この十六條は、裁定の場合にできておる
條文ではなくして、これは公社と労働組合とが協定が成立した場合の
規定を準用されておる。公社と労働組合が協定が成立しました場合に、
本当を言いますと、予算的、資金的
処置のできない協定をしてはならないのでありますけれども、ときの情勢等によりまして、公社の
責任者は、予算的、資金的の
処置がとれなくてもその協定をする場合がある。こういう協定を公社がや
つた場合に、
政府はそれに拘束されるものでないということなんで、ここに
政府の
考え方の違いがある。今増田さんの御
意見を聞いてお
つても、仲裁裁定全部に対して拘束されないというようなことを言われる点が一点と、それから
国会は、この十六條の第一項の資金的、予算的の
処置についてのみ、
承認するか、不
承認にするか、或いは修正するかという権限があるのであ
つて、仲裁裁定の内容を全般に
亘つて審議することは、これはあり得ない。若しこれを
審議するということがありましたならば、仲裁裁定で決ま
つたことを、
国会が争議の最終
決定をやらなければならんことになる。争議の最終
決定は、仲裁裁定で決ま
つておる。決ま
つておるけれども、その資金的、予算的
処置についてのみ
国会の
承認を要する、こういうことを先ずよく御理解なさらなければならん。そこで
国会にはどういうことを
承認を求めなければならないかということになりますと、これはもとより、その予算的、資金的に許さない協定をや
つてはならないのであるけれども、止むを得ずしてその協定の方が先にできてしま
つた。であるから、この協定に
従つて、その資金的、予算的の
処置を
国会に
承認を求めなければならない、原則論から言いますならば、予算を付して
国会の
承認を求めなければならないのでありますけれども、財政法のいわゆる予算外支出の原則論から申しまして、先ず
国会の
承認があるかないかということが根本問題になりますのと、十日間という期限が付されておる
関係上、私は必ずしも補正予算を付して来なくてもよいと、一応その原則で以て
承認を得なければならないと、ここまでや
つて来ますと、先ず協定ができた場合のことを
考えますなら、労働組合と公社とが協定のできた折に、これは協定が成立しておるのです。先ず公社としては、何とかしてそれを予算的、資金的の
処置をと
つて、労働組合に対する義務を果すということが先決問題であります。これはどう
考えて見ましても、この十六條の一項に対して不
承認を求むるがごとき行為は、
政府としてはあ
つてはならない。但し、
国会は
政府とは違うのです。
政府が如何に
承認を求めて来ても、この
国会がその
審議の過程において、財政当局等にいろいろのことを質問して、そうして、今日の日本の財政では、例えば四十五億という裁定にな
つてお
つても、これは十五億しか認められない、或いは三十億しか認められないと思うた場合、
国会はその組合の持
つて来た予算に対しては修正することができるが、予算に対して修正した三十億のものが効力を発して、十五億のものはまだ効力を発しないということはあり得るのですけれども、裁定の内容全体に
亘つて国会が
審議して、それを修正
議決するということは、裁定の精神から
言つてあり得ない。でありますから、
政府はどういう形式で
提案して来ればよいかというと、それは私は一歩讓りまして、
議決であろうと、
承認であろうと、これを文字
通りに読んで来ましたら、
承認を求めるの件でなくてはならない。少くとも十六條の二項により
議決を求めるの件という、こういう出し方をして来ましたのでは、
国会議員は非常に困るのですよ。これはどういうふうに
議決してよいのか分らない。それで、十六條の二項により持
つて来たのでありますから、十六條の一項によるところの予算を付するか、予算は付さなくても、これに対する
政府の
意見というものはこれに付いて出て来なければならん。もう少し具体的に言いますならば、どういうことを
議決して貰いたいかという、この
議決の目標というものを定めて貰わなければならない。
国会はいろいろな案件を扱いまするけれども、凡そ
議決の目標のない
審議はしておらん筈なんです。議員提出の
法律を作るときだけです、それは
国会議員がみずから
考えてやることですけれども、
政府が
国会に
議決を求める以上、
政府の意思表示というものがなければならんが、これにどこにもないのです。こういう曖昧なものを国鉄裁定の折に受取
つてやりましたら、あの
結論においていろいろと間違いが生じて、労働組合の方も国鉄の方も困
つておるような情勢なのです。それでこれを
はつきりした上で専売裁定を扱おうというのが、この
議運の今日までの
考え方である。併しここまでや
つて来ましても、やはり
政府はどこまでもこの
法律を捏ねくられるだけ捏ねく
つて考えて、自分の拵えた
法律、而も増田さん自身が
提案理由を述べられました折、先程
中村委員との質疑応答で問題になりました点は、私労働
委員会であなたからじかに聞いたのです。これは代償とすべき三十五條であるということは
速記録を見れば分りますが、あなたは何回も言われておるのです。それをお
立場が変
つたからそういうことを言わなければならんことは、私も非常に御同情申しますけれども、やはり今日の混沌たる世相において、労働問題が円満に解決する上には、
政府も国民も一旦決めた約束は素直に守るという行き方でなくちやならない。そうすればこれは
承認を求めるの件でも、
議決を求めるの件でも、
政府の目的とするところを
はつきり出さなければならない。この点につきまして今慣習と言われましたが、国鉄裁定の際に
政府はどういう措置をおとりにな
つたか。最初このままで出されて十二日に
提案された、我々の
参議院のこの
議運でそのことをやりましたときに、
政府はそこに気付かれましたかどうか、十九日にその内容に亘るものを出して、
提案の訂正を求めて来ておる。今回は
提案の訂正はないのです。これはどういう
議決をしていいのか今日分らない。
議運としては内容に立ち入ることは、我々は大いに愼しまなければならんことであるが、これをどの
委員会に付託していいか分らないのです。予算上、資金上の措置に対する
承認を求むるということが
はつきりしておれば、それならばこの予算上、資金上支出ができるとかできないとかいう
政府の
意見でも付いておれば、これは大蔵
委員会に廻せばいい。併し今日まで一ケ月半も二ケ月もの間この
法律解釈論ばかり続けておるような状態では、私は明日労働
委員長にここに出て貰うのは、やはりこれは労働
委員会で立法
解釈から先にやらなければならん問題じやないか、こういうことが
一つ。併し一方
衆議院においては、これを受付けて
審議を進めておるというような状態にある。
結論的に言いますと、
政府が如何に御
解釈になろうとも、この
法律解釈が
政府の御見解の
通り万全のものではないというふうに私は思うのであります。で
結論的に伺いますが、
政府は
只今でも
政府の
関係大臣がお集まりにま
つて下されたところの
解釈をどこまでも堅持される気か、或いは当院における
当該委員会の
法律解釈が
はつきりした場合には、それに
従つて今後のこういう問題に対しての提出樣式をお改めになる御意思があるかないか、これを伺いたいのです。