○
栗山良夫君 私はこの議案に対しまして大体数点を挙げて反対をいたしたいと思います。
先ず第一に、
政府が
公労法の立法精神の履行について全然誠意がないことであります。
団体交渉或いは罷業権を大巾に制限した
政府の
態度としましては、当然公の機関で
決定された
裁定というものは無條件に絶対に尊重しなければならないものであると私共は確信しております。そういう
ような考え方からするならば、この
裁定の全額に対して
予算措置をとらなければならないのでありますが、
政府は均衡
予算の建前からと言いましてこの
裁定を呑むことができないという
態度をしばしばなされたのであります。このことは、こういう
ような妥当な
給與が支給できない
ような
予算が均衡
予算であるということは、その
予算そのものが不均衡であるということを証明しておるものと私は思います。
従つて当然今度の
裁定に対しまして補正
予算の措置をとりまして、そうして百%の直ちの支給をしなければならないのでありますが、そういう
ような立法精神の本旨も理解しないで徒らに末梢の財政論だけが繰返され、更には
公労法の法律の條文の曲解にも似た
ような
意見が
政府側から述べられたということについては、私共は賛成いたしかねるのであります。特に今度の
国会に出されました議案がその体裁を整えていないことはすでに去る十三日以来ここでしばしば指摘せられた
通りでありますけれども、特に十六條の第一項による
意見を述べられましたが、あの中で
資金上の措置の問題、
資金が都合がつかないという明文があるのでありますが、それが果してつくかつかないかということに対しての
国会に対する何ら資料的な
説明は議案として出されていないことであります。これは
予算の編成の義務をあの
裁定によりまして負いましたところの
政府の
態度としては全く私共の理解のできないところであります。特に編成の義務を持
つておる
政府が
国会に対しましてその義務を免がれ、
国会にすべての
裁定に対する措置の責任転嫁をして来たものと言わなければなりません。そうして先程官房長官がここで明言しました
通りに、仮に
国会において
承認をしましたならば
予算を組んで提出しなければならんということを言われたのでありますが、このことは極めて重要なことでありまするけれども、
政府としては第十六條の第二項によりまして一部不
承認を予定し、
国会で必ず不
承認の
議決がなされるものという前提の下に、
承認をされたならば
政府は
予算を組んで出さなければならないであろうということを非常に気易く述べられた点については、
政府の誠意を疑わざるを得ないのであります。特に一部不
承認ということをはつきりとその
議決がなされるということを前提とし、そうして不
承認に
なつたならばその部分については
国鉄の経営者は労働組合に対して一切の
債務は解放せられる、
債務がなくな
つてしはうという
ような独断的な
解釈を下されて、そういう
態度を以て臨んでおられる。私共は初めて
公労法の適用を受けました
仲裁委員会の
裁定の履行に当りましてこういう
ような
政府の
態度によ
つて国鉄の従業員諸君が非常に大きな不利益を受けるということについては、
議員として事情を明らかにして置かなければならんと思うのであります。特に今度の場合のことをよく考えで見まするならば、明らかに
政府が自分で作りましたところの法律を自分自身で破
つておるわけでありまして、
国鉄の労働組合の諸君こそこの法を確実に守りまして、そうして
只今もハンストを以て合法的な運動を展開しておるのであります。このときに
政府が法律を破る
ような
行為をし、そうして而もそのみずからの責任を
国会にすべて転嫁し、
国会の
決定によ
つてその義務を免がれ
ようとしておる
ような
態度に対しましては、私共は反対せざるを得ない。
政府がはつきりと百%の
裁定に対する
予算を議案に添付いたしまして
国会に出して来られるまでは私共はこの議案は
受理すべきものでない、こういう工合に思うのであります。
社会党としての反対討論を申上げます。