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1950-04-26 第7回国会 参議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十六日(水曜日)    午前十時四十分開会   —————————————   委員の異動 四月五日委員淺井一郎辞任につき、 その補欠として林屋亀次郎議長にお いて指名した。 四月六日委員林屋亀次郎辞任につき のその補欠として淺井一郎君を議長に おいて指名した。 四月十五日委員伊達源一郎辞任につ き、その補欠として下條康麿君を議長 において指名した。 四月二十六日委員下條康麿君、徳川頼 貞君及び團伊能辞任につき、その補 欠として佐伯卯四郎君、柴田政次君及 び西山龜七君を議長において指名し た。   —————————————   本日の会議に付した事件小笠原島民の帰郷に関する請願(第  六四一号) ○阿波丸代船取得援助措置に関する請  願(第二〇九〇号) ○在外公館等借入金支拂促進に関する  請願(第一八一一号) ○在外公館等借入金返還に関する陳情  (第一七六号) ○公館借上金の円元同額換算に関する  陳情(第二五五号) ○在外公館借入金支拂促進に関する陳  情(第三九五号) ○講和に関連する諸般基本方策樹立  に関する調査の件 ○継続調査承認要求の件   —————————————
  2. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 只今から外務委員会開会いたします。  本日はこれまでに本委員会に付託になております請願十一件並びに陳情五件について審議を行います。  先ず審査方法についてお諮りいたします。請願陳情趣旨はすでにお手許に配付の文書表によつて承知のことでありますし、又会期も迫つておりますので、議事進行請願紹介説明は省略して、本日御出席紹介議員にのみその説明を承わることにいたし、尚、必要あるものについては政府側意見を伺うことといたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 御異議がなければ、さよう取計らうことにいたします。ちよつと速記を止めて下さい    午前十時四十二分速記中止    ——————————    午前十一時三十八分速記開始
  4. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 速記を始めて下さい。次に、請願第二〇九〇号、阿波丸代船取得援助措置に関する請願を議題といたします。紹介議員高田寛君。
  5. 高田寛

    委員外議員高田寛君) ではお許しを得まして、本請願紹介議員といたしまして、簡単に趣旨を御説明申上げたいと思います。  この阿波丸は、この船は大体昭和一七年に長崎の三菱造船所で建造いたしました総トン数は一万千余トンの高性能を有する優秀な船であつたのでありますが、戦時中も軍の徴用を受けずに、船舶運営会扱い国家使用船として運航されておつたものでございます。で阿波丸は御承知通り昭和二十年の初めに、香港並び昭南連合国俘虜及び抑留者に対して救恤品を輸送する目的を以て、連合軍から攻撃、臨検その他如何なる干渉をも受けないという航海安全保障を得て、昭和二十年の二月二七日に門司を出帆いたしましたが、その四月一月昭南から復航の途上、台湾海峡において米国潜水艦攻撃を受けて撃沈されまして、乗組員が百四十八名、これを含む総員二千余名の人命が失われるに至つたのでございます。事件発生後、日本政府といたしましては、いろいろアメリカに対して折衝を重ねておつたのでありますが、米国政府といたしましても、この撃沈の責任を認めたのでありますが、ただ損害賠償に関しましては、その複雑性に鑑みて、戦時中は円満な解決を期し難いから、戦後政治情勢の如何に拘わらず公正なる態度を以て商議に応じたいという回答を得ておつたように聞いております。これに対して日本政府といたしましては、戦争状態の存在に拘わりなく賠償を実行されたいという見解を示しまして、その具体的な損害賠償額として、その遭難者並びに積荷に対する慰藉料損害賠償を示し、並びにこの阿波丸の代船を要求しておつたと聞いておるのでありますが、そのまま終戦至つたのでございます。国会といたしましては、昨年の四月六日、両院におきまして、阿波丸事件に基く日本国請求権の放棄に関する決議が可決されたのでございます。これは申すまでもなく、戦後アメリカ政府から示されました種々の御好意に対する国民の感謝の意味を具体的に示すために、こういう決議が出たのでありますが、ただこの場合に阿波丸請求権の処理のために、日本国政府及び米国政府の間に協定が結ばれて、その中において日本国政府はこの事件特殊性に鑑みて、この災難で死亡した者の家族及び船の所有者に対しては、見舞金支給による適当な待遇を與えるために努力するということを決められておるように聞いておるのであります。このような事情でございますので、阿波丸の件は一般戦時中沈められた船と聊か趣きを異にしておるのでありまして、日本国政府といたしましても、この代船を要求するという意思がはつきりしておつたのが、そのまま終戦になつたという事情であるのであります。それで今年度の予算におきましては、政府の方におきましても、この点を御考慮になつて、この補償金として千数百万円というものを予算に計上されてあると承知しておるのでありますが、今日の船の値段というような点からいたしまして、この額も、又代船を要求するという趣旨から、余りに甚だしい懸隔があると思うのでございます。それで郵船会社といたしましても、今日この代船をどこまでも政府に向つて要求するということは、事実上非常に困難な問題であることはよく承知しておりますので、阿波丸に代る船を取得するために、何らか特別の措置を講じて頂きたいというのが、この請願趣旨でございます。今少し具体的に申しますと、阿波丸と同じ程度の船を今日建造するといたしますと、約二十億円以上の費用がかかるのでありますが、今日の事情から申しまして、少なくともこれと同じ程度の船をということは敢えて固執いたしませんので、ただ海外航路に使える程度の七千トンくらいの貨物船を一隻、阿波丸代わりとし是非取得いたしたい。併しこれについては、政府の方にそれを代船として出して貰う適当な船がなければ、新しくこの程度の船を新造することを何か特別に御考慮を願いたい。この新造に当たるような金額を政府から出して貰うということも一つ方法でありましようし、又見返資金によりまして船を新造する途が開かれておりますが、阿波丸についてはこの特殊な事情考慮せられまして、普通一般の割当などと別に、特に見返資金の貸付というようなことについても特段の御考慮を願いたい。具体的の方法はいろいろあることと思いますが、要するに阿波丸代わりといたしまして、遠洋航路に使えるような船を一隻建造できるように、何らか適当な措置を早急に講じて頂きたいということがこの請願趣旨でございます。何とぞよろしく御審議の上御配慮をお願い申したいと思います。
  6. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 何か政府の方でこれに対しての御意見一つ述べて頂きたいと思います。
  7. 川村松助

    政府委員川村松助君) 阿波丸の問題につきましては、只今高田さんから詳細その経過並びに御趣旨の御説明がありましたが、昨年の四月六日、衆参両院におきましての決議に基いたこの処置、いわゆる同年四月十四日、日本国政府及び米国政府協定により、一切の請求権を放棄しまして、船舶所有者に対しては見舞金支給による適当な待遇を與えるために努力することに決定になつたのであります。昭和二十五年度予算見舞金を計上いたしたのも、そういう経過から参つた次第でありますが、政府といたしましては、只今請願の御趣旨に対しまして、日本郵船会社が将来新たにこれが代船を建造しよう、又は入手しよう、そういう場合になりましたならば、そのときの情勢に応じまして適当な便宜を與えるということを考えておる次第であります。尚この問題につきましては、大蔵並びに運輸両省とも協議いたしておりますから、お含み願つて置きたいと思います。
  8. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 只今請願の問題に関しましては、今外務政務次官からお話がございましたように、日本及び米国政府の昨年の四月十四日の協定によりまして、見舞金の支出による適当な待遇を與えるため努力するというのが第三條で決まつておりますが、この見舞金を然らばどれくらい出すかというような問題でいろいろ検討しました結果、本当なら代船が造れるたげの見舞金を出すに越したことはないが、これはこの種のいろいろな問題と関連することでございまして、今の価値で賠償するということはできない。結局当時の保険金に利子を加えた程度見舞金ということに落着きまして、従つてその額一千七百万円を今度の二十五年度の予算盛つたわけでありますが、これは非常に所有者に対して気の毒なことでございまして、いわば国家による一つの犠牲とも見られるのでございますが、これに対しましては、先程話がありましたように、将来日本郵船が新造船を作るとか、或いは代船を入手されるというような場合に、そのときの情勢に即しまして、例えば見返資金を貸すとかというようなことについては、十分これは政府として考えなければならん、こう考えております。
  9. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 運輸省といたしましても、外務省、大蔵省と十分連絡をいたしまして、請願趣旨の達成せられますように格段の努力をいたしたいと考えております。
  10. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 高田君何か御発言ありませんか。
  11. 高田寛

    委員外議員高田寛君) では一つこちらの委員会の方でよろしく御審議願います。
  12. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 他にどなたか御意見なり、御質疑はありませんか。
  13. 小泉秀吉

    委員外議員小泉秀吉君) ちよつとお伺いしますが、先頃朝鮮郵船の船を朝鮮の方に持つて行かれたということのために、その代船に相当するものを日本政府が金銭で拂うわけに行かないが、政府自身が持つておるような船で、それに相当するようなものを代船にやれというようなことになつて、鉄道の方の船をその方に、朝鮮郵船に移管したというような事実があるのですけれども、そのような場合と今度の場合とを考えると、むしろこの郵船会社の場合の方が国家としてもつと重く責任を感じてよいと思うですが、只今政府側お話によると、適当の考慮をするというようなお話で、誠に請願者としては結構な御意見だと思いますが、あの朝鮮郵船に対したときと、今度の場合の取扱ということに対してのウエイトの置き方ですが、政府自身の考え方、そういう点の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 朝鮮郵船会社の船と国家の船の交換の問題でございますが、朝鮮郵船会社所有の船五隻を……朝鮮郵船会社と申しまするのは、朝鮮から引揚げて来て現在日本で営業しておる会社のことでございます。この会社が持つておりまする船五隻を韓国関係方面の指示によつて貸與したわけであります。併しその返還が非常に遅れますので、その貸與いたした船と現在日本政府又は政府機関が持つている船を交換いたしまして、朝鮮郵船会社の船を政府所有に移す。その代り只今申しましたような政府若しくは政府機関の持ついる船を朝鮮郵船会社に渡すというので、交換をいたそうとするのでございます。阿波丸賠償と言いますか、補償と申しますか、それとはやや性質が違うのじやないか、現実にお互いに持つている船を交換いたす、かようなケース朝鮮郵船の場合にあるのであります。
  15. 小泉秀吉

    委員外議員小泉秀吉君) 今のお話だと、ただ交換をしたというような御説明であつたけれども、あれは交換でなしに、向うに取られていて……政府から言えば国民の船が向うに取られて行つた、それで朝鮮郵船はそれで迷惑をするから、当然政府がそういうものを返して貰いたいということになつてつたので、朝鮮郵船は取換えを決めて呉れというようなことを願つてつたのじやないかと、私は思うのであります。結局阿波丸の場合とケースが違うけれども、趣旨は同じようなふうにとるべきだと思うのですが、その見解が少し違いはしませんか。
  16. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 朝鮮郵船会社の船の場合は、韓国に船を譲渡したということは絶対ないのでございまして、飽くまでも韓国に貸與しておるのであります。将来その船の返還を請求いたします場合に、政府所有に移して置く方がより便宜である、かたがた会社事情から考えても、この際会社再建整備計画上一定の船を戻す必要があるという両方の便宜のために交換をしたわけであります。韓国に船を取られて、その補償のために與えるという意味では決してない次第でございます。
  17. 野田俊作

    委員長野田俊作君) よろしうございますか。他に御意見又は御質疑ありませんか……以上を以て請願陳情の全部についての説明並びに政府意見の聽取を終ります。これからこの件の取扱方について、本委員会意見を決定いたしたいと思いますので、委員各位の御意見纒めるために暫く懇談いたしたいと思います。速記を止めてした下さい。    〔速記中止
  18. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 速記を始めて下さい。  お諮りいたします。請願第六四一号、第二〇九〇号及び第一八一一号、陳情第一七六号、第二五五号及び第三九五号の六件は、いずれもその趣旨を妥当なるものと認め、議員会議に付して内閣に送付すべきものと議決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  尚、只今の各請願報告書処置については委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 御異議ないと認めます。
  21. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 次に、第七国会において、本委員会議長承認を得て調査を続けて参りました講和に関連する諸般基本方策樹立に関する調査は、まだ全くその調査を終えたわけでありませんが、会期も切迫いたしておりますので、一応未了の報告書を提出いたしたいと存じます。その手続については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 御異議ないものと認めます。それでは報告書に多数意見者の御署名を御願いいたします。   多数意見者署名     柴田 政次  西山 龜七     淺井 一郎  佐伯卯四郎
  23. 野田俊作

    委員長野田俊作君) それから、この調査は未だ結了いたしておりませんので、引続いて開会中も調査をいたしたいと思いますが、継続調査要求議長宛に提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 御異議ないと認めます。それではさよう決定いたしました。本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会  出席者は左の通り。    委員長     野田 俊作君    委員            柴田 政次君            西山 龜七君            淺井 一郎君            佐伯卯四郎君   委員外議員            高田  寛君            小泉 秀吉君   政府委員    外務政務次官  川村 松助君    外務事務官    (政務局長)  島津 久大君    外務事務官    (條約局長)  西村 熊雄君    大蔵政務次官  水田三喜男君    運輸事務官    (海運局長)  岡田 修一