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1950-02-20 第7回国会 参議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十日(月曜日)    午後二時二十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○講和に関連する諸般の基本方策樹立  に関する調査の件   —————————————
  2. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 只今より外務委員会を開きます。  本日は講和に関連する基本方策樹立に関する調査の一部として海運問題を取上げたいと思います。海運問題は申すまでもなく我が国にとつてはその立地條件から見て現在及び将来に亘つて最も重要な問題の一つであります。日本経済自立の見地から自国船舶によつてその必要とする輸出入物資を運び、併せて世界経済にも貢献せねばなりません。十分な海運力を保有し、諸外国と円滑な交通、貿易に従事することは占領下の現在においても極めて要望されておるのでありまして、況んや、講和後においては十分な発展をなさねばなりません。参議院においては去る二月十七日外航配船促進に関する決議を満場一致を以て可決いたしましたが、これもひとえに海運問題が我が国にとつて最も重要で、我が国海運頼つて、今後は自立せねばならんことを認識した結果と存じます。本日はこの意味において我が国船舶界専門家である淺尾郵船社長、並びに一井三井船舶社長を煩わして、種々御意見を伺うことにいたしました次第であります。本日は運輸委員方々、外務省、運輸省の担当官も見えておりますので、お二人のお話の後に、時間の許す限り御意見の交換を願いたいと思います。先ず淺尾郵船社長にお願い申上げます。
  3. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) 只今御紹介頂きました日本郵船淺尾でございます。参議院におかれまして外航配船促進について御決議下すつたことは、我々海運従つておるものにとりましては、誠に有難いことでございます。ここに厚く御礼申上げます。日本海運重要性と申しますか、日本経済上における地位という点について聊か申上げまして、そうして今日本海運がどういう点において束縛を受けているかというようなことについて、卑見を申上げて見たいと存じます。少しく古いことに亘りますが、先ず戰前から日本海運が、日本産業において如何なる地位にあつたかというような点からお話して見たいと存じます。戰前におきましてはよく申されまするように、日本海運世界において第三位であつたのであります。この第三位になつたの昭和になつてからでございますが、今次大戰の勃発当時の数字を申上げますならば、一九三九年六月末の数字でございますが、その当時の世界船腹は一千総トン以上の船だけを拾つて見ますと、総計六千八百万総トンであつたわけでございます。この六千八百万総トンのうちに第一位を占めたのはイギリスでありまして、イギリス本国だけで約一千七百万総トン、それを自治領その他を入れますと二千万総トン以上に上つております。第二位がアメリカでありまして、一千万総トンであります。尤もこの中の約二百万総トンというものは、湖水の中を航行している船でありますから、これは貿易上に関係ない数字であります。これを引きますと、アメリカ保有トン数は八百数十万トンでありました。日本はと申しますと、一千総トン以上の船が当時五百六十万総トンつたわけであります。百トン以上の船で計算いたしますと、約六百万トン、こういう数字でございます。そういうふうな世界における第三位の地位を占めておりました。それで、その持つている船の船質から申しますと、アメリカよりむしろ日本の方が優秀であつたのであります。と申しますことは、当時日本におきましては、世界に稀な貨物船を沢山持つておりまして、この貨物船が七つの海で働いておつたのでありますから、貿易関係におきしては、むしろアメリカのよりも優位の地位にあつたということを申上げることができると思います。それで日本貿易を申しますと、戰前いつも日本貿易輸入超過でありました。ところがこの海運収入によりまして、貿易輸入超過を消して参つて来たというのが、日本貿易の実情であります。日本貿易輸出超過になつたのは、前大戰の直後の期間でありまして、それ以外は毎年輸入超過を続けて来たところを、主としてこの海運収入によりまして入超の赤字を消しておつたのであります。その海運の総収入は、昭和五年頃をとつて見ますと、約二億円に近く、そうして純収入——海 外での支拂を差引いたのが——一億数千万円という数字になつております。それから逐次 総収入及び純収入は殖えて参りまして、多い年におきましては二億万円以上が純収入であつたのであります。こういう純収入を以て日本輸入超過赤字を消して参つて来たのであります。その当時日本の船が働いておつたのは、勿論日本を中心とした輸出輸入荷物を運んだのでありますが、それ以外に又第三国間に配船いたしまして、第三国間の荷物をも積取りまして、こういうふうな外貨収入によつて、いわゆる見えざる輸出貿易というものをやつてつたのであります。戰前状況は先ずそのくらいの概観にい止めまして、戰後に移るわけでありますが、戰争中日本海運の蒙つた打撃は諸産業の中で第一位でございます。それは戰前に約六百万トンばかり持つていたのでありますが、戰争中に三百数十万トンの船を建造いたしまして、戰前の船と戰争中建造船腹と合計いたしますと約一千万トンに近いものであります。そのうちから戰争によつて喪失した総トン数は八百万トン以上に達しているのであります。今度の大戰によりまして一番多く船を失つたのイギリスでありますが、イギリス失つた数字は一千百万総トン、これをイギリス戰前に持つておりました一千七百万総トンに比べれば、まだ六百万トンが余つているということが言えるのです。ところが日本では、戰前には六百万総トンつていたものが八百万総トン失つたので、戰前に持つていたものにプラス二百万総トン失つた、こういう状況であります。そのような非常な打撃を蒙りまして戰後に持越し得た総船腹は百三十万総トンそこそこという状態になつたのであります。而もこの百三十万総トンの内容を見ますると、その七割は戰争中に急に作りましたいわゆる戰時標準型繋船でありまして、これは性能の非常に低いものであります。残りの三割が老齡船でありまして、これは老齡なるが故に陸海軍の徴用を免れたという恰好になつております。免れた結果生残つたというわけでありまして、七割の戰標船と残り三割の老齡船、それ以外に残つたものは五本の指を屈するくらい極くみじめな姿であつたのであります。かような姿で終戰を迎えたのでありますが、終戰後に又ひどい打撃海運界は蒙つたのであります。それは戰時補償打切りという形で現われて参つたのであります。これは戰時中に船会社沈没船に対する保險金を収得しておつたか、或いは又保險金を請求する権利を持つていたか、こういうすでに収得したものは貯金の形になつておりますし、尚収得しないものは請求権という形になつてつたのであります。これを戰時補償打切りという形で全部御破算にされてしまいました。この金額が当時の金額といたしまして二十数億円に達しておるのであります。戰争によつて所有船は殆んど失い、その上に戰時補償打切りによつて二十数億円のものをなくしてしまつたのでありますから、日本のあらゆる船会社というものは文字通り壊滅的状態になつたのであります。然るに戰後どうしても日本には海運がなくては日本経済再建覚束ないというので、船会社といたしましても、又政府当局といたしましても、どうにかしてこの壊滅した海運を再建して行かなくてはならんという決心の下に新造船計画を立てて参つたのでありますが、戰争直後におきましては、日本海運を持たせることは再び日本潜在戰力を持たせるのであるというふうな声が連合国の間にもまだあつたのでありまして、従つて新造船計画と申しましても思うように参らなかつたのであります。で、最初許されたのは二千トン以下の船、こういうふうな微々たる姿でありました。ところが客観的情勢好転によりまして二千トン以上五千トンまでは造つてもいいというふうな状態にはなつてつたのであります。そういうふうな状態になりましたが、船会社の財政的の非力から申しまして、なかなか思うような建造計画も立ち得なかつたのであります。  そこで政府当局として、また船会社といたしましても、何とかしてこの困難な状況を打開しなくちやならんということで考えついたのが、船舶公団というものを作りまして、一部を船舶公団が保有し、一部を民間が保有するという共有の形式によつて新造船を進めて行つて参つたのであります。しかしこの船舶公団というものにつきましてはいろんな批判も起こりまして、今年に至りまして船舶公団廃止ということも確定をみましたので、今後は船会社といたしましては自力で新造船計画に乘り出さなくてはならんということに相成つたのであります。  併し一方客観的情勢好転に伴いまして、殊にアメリカ側の絶大なる理解援助の下に五千総トン以上の船も造つてもいいということが去年初めて了解が得られまして、昨年度におきまして初めて五千総トン以上の船も造る計画を立て得たのであります。殊に見返資金をこれに流し込みまして、半額は見返資金により、半額船会社資金によつて造るという計画を立てまして、昨年度の計画におきましては三十万総トン外航適格船を造る計画を立て得るに至つたのであります。  そこで問題になりまするのは、かような外航船造つて果して外航配船ができるであろうかという点であります。この点につきましては現在非常な制約を加えられておるのであります。それは先ず外国配船する場合には、勿論日本の旗を立ててはいけないのであります。これは占領軍の旗の下に占領軍管理船として配船されておるのであります。まずこれが一つと、それから一船ごと外国での入港許可を取得しなくてはならないのであります。この一船ごと入港許可というのが商売の上から申しますと非常に制約になるのであります。と申しますことは、一つ荷物について引受なり何なりをいたしますときに、いつも入港許可條件としなくては商売の引受けができないということになつておりますから、商機を逸すること非常に大きいのであります。普通の状態におきましては、全面的の入港許可というものが通商航海條約の下においては得られるのであります。  次の制限と申しますのは、これは貿易上の一般制限と同様でございますが、外国店舖を持つて営業することができない、こういうことであります。仮に日本人が外国に駐在して店舖を持たなくても、外国商社代理店としてもいいわけでありますが、それも今はまだ許されない状況であるのであります。  それから更にいろいろな制約一つといたしましては、外国におきまして石炭なり石油なり船を動かす燃料を支給して貰うことができないという点であります。もう一つ附加えまするならば、船の食糧さえもまだ外国で支給を受けることができないというような状況であります。かような大きな制約がありますので、外航についての配船は目下の状態におきましては非常に困難な状況であるということが言えると思います。  そこで参議院でも御決議願つた外航配船促進ということは、これらの制約を解いて頂くということであろうと私共は察しております。かような制約連合軍司令部におきましても、又アメリカ政府としても、できるだけ解いてやりたいという心持は十分あると思いますが、何せ占領下にありましては思うようになりませず、殊に日本海運の復興につきましてはいろいろな疑惑を持つている国々もあるわけでありまして、疑惑或いは又今後の競争相手になるという点からする懸念からも来ておるのでありますが、さような国々におきましては講和条約締結を見るまではなかなかさような制約を解いて呉れないのではないかということが容易に想像されるのであります。そういうわけでありますから私共といたしましては、いわゆる單独講和でもよいからどうにかして敵国という状態から抜け出して、そうして自由な活動に移りたいということを念願しておるわけであります。若しいわゆる單独講和即ち或る特定国を除く以外の国が講和に参加して呉れるならば、当然講和後には通商航海條約も締結を見るでしようし、そうしますると先程申上げましたような制限は撤廃されるものと信じておるわけであります。  終戰後アメリカから著名な方々がたびたびお見えになりまして、その方々と私はいつもお目にかかる機会を得ております。で、その際にはいつも海運問題を提起いたしまして、日本自立させるというからには日本経済自立がなくてはならん、日本経済自立のためにはどうしても或る程度の商船隊を持たして貰わなくてはならん、この商船隊が海外で活動を許して呉れなければ日本自立を許すといつてもそれはただ口先ばかりのことであつて、本当に日本自立させるとう方策を採つておるものとは考えられないということを繰返し申上げますが、その方々日本海運問題には大いに同情する、併し今はまだいろいろな国際的なうるさい問題があるからなかなかそうはいかんのだということを言われるのであります。これはポーレー大使にはお目にかかれませんでしたが、ストライク・ミッション以来ずつと来られる方々には私繰返して申上げたところであります。さようなわけでありまして、アメリカの有識者としては日本海運に対して非常な同情と理解とは持つておられるわけであります。ただアメリカの船主の一部には日本海運が復興すると日本自分達競争が殖えるわけでありますからこれを好まん向きもあるわけでありますが、アメリカ海運界人々に対しても個人的に会いますと日本海運を持たせるということは当然であるということはよく言われるところであります。それからまたイギリスからも海運人がときどき訪れるのでございますが、さような人々にも私は個人的に接触いたしまして日本海運を、商船隊を持たせないということは正義に反するのではないかということを、議論をふつかけますと、それは誠にその通りだということを申しておるわけであります。さようなわけでありますから、どうぞ皆さんのご援助を得まして、一日も早く日本海運が自由に外国において活動できるような状態が立至らんことを一重に希望しておる次第であります。尚私の申上げましたことについて御質問等でもございましたならば知るかぎりにつきましてお答え申上げたいと存じます。誠に有難うございました。
  4. 野田俊作

    委員長野田俊作君) それでは続いて一井三井船舶社長
  5. 一井保造

    参考人一井保造君) 私三井船舶社長一井でございます。  只今淺尾さんから戰前戰後世界及び日本海運一般状況及び日本船外国航路配船する必要性等につきして詳細な御説明がございました。私がこれに対して蛇足を加える必要はございませんが、尚私の考えを少々申上げまして、又資料等につきましても今手許にございますものはここで御説明し、尚又必要なのものがございましたなら作成して差上げたい存じております。  日本船外航配船するという必要性につきましては、外貨を獲得して、いわゆる国際収支の改善を図ることと、それから日本近海における船腹を調整する必要があるということ、尚我が国貿易を振興するためには是非とも日本海運を振興し、日本船外国航路に持つて行く必要がある、このような理由がございまして、これはすでにしばしば多くの人によつて唱えられております。事実日本船外航配船することは我が国海運業者の齊しく希望するところでございまして、海運界に関しまする一切の問題は、邦船外航配船に問題が集中しておると言つても過言ではないと存じます。ところがこの問題の実現が非常に困難である、そのゆえんは一つ講和條約が未だ締結されていない、或いは通商航海に関する各国との協定が結ばれていない、これが原因でございまして、又この外に如何に我々が外航配船を希望いたしましても、事実外航配船し得る適船が少い点が指摘されまして、これらが外航配船に対する困難を形成いたしております。ところが第五次新造船計画並びに戰標A型船改造計画及び在来船大型優秀船につきまして大修理を施し船級を獲得する、これらの方法が併用されまして、次第にいわゆる外航配船も増加して参つたのであります。これを具体的に申上げますると、現在いわゆる外航敵船即ち船級を持つておりますものが総トン数九万二千三百七十三トンデッドウエイト十四万四千トンでございますが、昭和二十五年度中に外航就航の資格を取得いたします予想船腹を申上げますと、総トン数貨物船で約四十八万トンタンカーで約二十万トン重量トン数貨物船約七十五万トンタンカーで約三十一万トンございまして、昭和二十六年三月末現在では貨物船タンカーを含めまして合計総トン数約七十七万トン重量トン数約百二十万トンを予想されます。かように船腹は増加して参りますので、従つて外航配船に関して適船が少いという点につきましてはこの船腹の問題は解消いたされます。残る問題は邦船外国航路配船するために航行区域に関してまして包括的な承認が與えられていない。尚積荷の取決めにつきましてもこれが引合いとか、或いは運賃の取決め等につきまして未だ自由な裁量が與えられていない。少なくとも現在のように運賃につきましても一々承認を得る必要があり、この点は戰前のように自由に引合いをし、自由に運賃を取決め、これを事後報告するような方法に変えなければ自由な、円滑な外航配船がむずかしいと存じます。又先程淺尾さんからもお話がございましたが、外地に日本海運会社の支店、或いは代理店等がない。これらも外航配船に関して自由な活動を阻害する一つ原因でございます。又先刻お話がございましたが、外航配船の場合に、日本船に対して食糧、或いは燃料等の補給につきましても円滑に参るように措置をしなければならんのでありす。  次に外航配船につきまして問題になりますのは、目下世界運賃市況の惡い、香ばしくないということでございます。従つて高い船価の新造船配船して果して採算がとれるかということが一応問題になると存じます。併しながら無條件戰前のような外国配船が許される場合におきましては、各国海運の間に差別的な待遇がない限り日本海運業者としましても、市況が惡いといつて、みずからの外航配船に関する経営を否定する理由はないのであります。尤も自由な統制のない外国航路において活動するためにはできるだけ低いコストで、よいサービスを提供する必要がございます。これをしなければ到底世界海運界において活動ができない、生存ができないということは自明でございます。コストを引下げるためには、新造船価を下げる必要がございます。尚この外に新造船船価以外にも重要な問題としまして、船舶金融の金利の引下げ、その他船舶の定員の問題、或いは船体に対する船体保險料の問題、或いは燃料費問題等沢山ございます。これらにつきましては一々これを研究し、これを改善いたす必要がございます。尚又先刻申上げましたが、この外に有利に配船するためには、自由な引合いをし、自由に運賃を取決める必要がございます。又高い船価の新造船だけで経営することはそこに無理がありますので、低い船価在来船を使用してコストを平均的に引下げるということも考えられます。或いは又安い船価外国船の購入、あるいは傭船等の問題もございまするが、これにつきましては、日本海運政策の根本的問題としまして、十分に周囲の状況或いは環境、荷物出工合等を考えまして、その辺に価値判断に余程の考慮を加えなければ可なりむずかし問題が発生すると存じまするが、併しながら少なくとも世界海運界に出て行く以上におきましては、経済的には何らかこれらにつきましては総合的に考えなければならない時期が来るように存じます。日本船外航配船につきましては、幸いに現在積取荷物並びに航行区域等につきましても、漸次これが拡張を見まして、段々と改善されております。尚一歩を進めまして、日本配船についての積荷、或いは航路等につきましても、更にこの範囲を伸し、自由が與えられて、民間経営に移される日の一日も早からんことを希望しておる次第であります。尚必要な資料等につきまして御質問がございますれば申上げたいと存じます。
  6. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 有難うございました。何か、どうぞ御質疑を。
  7. 早川愼一

    委員外議員早川愼一君) 今までアラビアの原油を積取りに行つたり、或いはタイ米積取りに行つたりする許可は、あれはその都度々々許可が下りているのですか。それからあれは日本輸出向けのものを積んで向うへ行くのでありますから、空つぽで行くのですか。
  8. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) バーレンへ行く油の積取りタンカーですから行けない荷物は何もないです。それからタイ米積取りとか何とかになりますと、日本からの荷物も取つて行つていいわけです。いわゆる雑貨ですね。セメントとか何とかまとまつた荷物以外は雑貨を積みますと外国船会社から非常な抗議が出まして、今後はそういう雑貨を積んじやならんということを言われたのです。雑貨と申しますと定期船荷物ですから……ただセメントとか、まとまつたものになりますと、定期船だけでは積取れませんから、それは積んでもいい、こういうことになつておるわけです。
  9. 早川愼一

    委員外議員早川愼一君) それから今までにどのくらい許可されているのですか。例えばタイ米輸入する全部を日本船で積取つてもよろしいということになつておるのですか。
  10. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) そうなつていないのです。その都度、例えばこういうことなんです。今度五万トンタイ米輸入する、その輸入が決まつたときに、これは全部日本船であるとか、或いは半分は日本船で積取つていいとか、そのときどきに決めて行くわけです。この間の例えば開らん炭が三十万トン入るということになりましたが、これは日本船は駄目で、一切英船で決まりましたが、その商売度ごとに決めて行くのです。
  11. 早川愼一

    委員外議員早川愼一君) 現在までにどのくらいの船が、その今の積取りに出たのですか。
  12. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) 延べにすると非常にむずかしいのですが……。
  13. 朝田靜夫

    説明員朝田靜夫君) 最近の外航配船状況を御説明いたします。朝鮮には大体石炭輸出が、日本からの輸出が多いのであります。これが最近の配船事情ではA型と申上げまして、戰時標準型の、約デッドウエイトにいたしまして一万トンばかりの船が一杯、それからE型と称しまする、やはり戰時標準型の船が二杯出ております。それからフイリピン方面におきましてはA型が四、D型としまして約四千五百トンぐらいの重量トンと持ちますところの船が一杯、戰後新造されましたB型という船が三杯、C型が同じように戰後新造されましたものが二杯配船されておるのであります。  近海三区につきましては、シヤム、ビルマの米の輸入配船に当てられておりますところのものが、A型及び戰後新造のB型、同じくC型及びD型を合せまして約又在来船デッドウエイト六千トン以上のものも合せまして十三杯配船されておるようなわけであります。合計致しますとバーレンの先程お話のありました石油積取りに参つておりますタンカーも合せますと約三十八隻、二十七万五千重量トン船舶外国方面配船されておるような状況でございます。
  14. 野田俊作

    委員長野田俊作君) そうするとさつきのお話のように日本から何も積んで行かず、積んで行くものは向うから……、例えば朝鮮石炭を持つて行くと、朝鮮から日本に持つて来るものは勿論積んで帰るのですか。
  15. 朝田靜夫

    説明員朝田靜夫君) 原則といたしましては片荷でございまして、先程淺尾社長からお話がございましたように、定期船の、ライナー・カーゴーと称しますものは外国船会社の苦情も出ますので、往航にはライナー・カーゴーは積取ることを現在のところでは遠慮しなければならんという状況になつておるのでございます。先程の数字は三十八隻、二十七万五千重量トンというものは貨物船カーゴートン数だけであります。タンカーはその外に十六隻、二十一万七千重量トン、これが別にバーレンの油積取り配船をされておる状況でございます。
  16. 伊達源一郎

    ○伊達源一郎君 今大型の船の建造状態はどういうふうなことになつておりますか。
  17. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) 先程ちよつと申上げました二十四年度の造船計画が、いわゆる第五次造船計画と申しまして、これが四十二隻、三十万総トンだけ建造中です。これができ上るのが来年の一、二月頃に全部でき上つてしまう。早いのは今年の秋早々から就航できます。
  18. 伊達源一郎

    ○伊達源一郎君 大きなのは……。
  19. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) タンカーで一万二千トン貨物船は七千トンぐらいでしよう。
  20. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 新谷君何か……委員外でも結構ですから。
  21. 伊達源一郎

    ○伊達源一郎君 海運の立場からいつて講和会議に一番要求したい、希望したいことはどういう点が一番大きなことですか。
  22. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) 先ず第一に日本の保有船腹制限を加えないということ、船型、速力に制限を加えないこと、それから後は通商航海條約によつて各国と自由に交通ができる。こういう点を希望しております。
  23. 新谷寅三郎

    委員外議員(新谷寅三郎君) 今までの御説明を伺わなかつたのでありますが、私一番心配しておりますのは、本年の五月頃から相当大型船が沢山でき上つて来るという状況に相成つております。これは勿論総司令部の方の好意によつて許可されておるわけですが、これらの船ができ上りました場合に、一体それをどういうふうに配船するかということについて現状では今非常に不安なのです。今の日本船価が高いということも原因いたしますが、こういう船を仮に外航を許されましても多少外国航路に従事する、そうして外航貨物を運ぶというようになりましても、おそらくこういう新造船では採算割れになるのではないかということも考えなければならないと思うのでありますが、第一に配船計画についてどういうふうな計画をお持ちになつておりますか。  それからそれぞれに配船された場合に、現在の世界海運状況からいつて果して採算がとれるものであるか。又今のような例えばフイリピンの鉄鉱石とか、アンガウルの燐鉱石というものを持つて来ておるだけで採算になるか。やはりこういう新造船というものは或る程度雑貨というような、いわばライナーとして活用をしないと本当の経営ができないのではないか。こういうことを心配をするのであります。先般参議院外航配船促進決議を出しましたのも、こういう点から来ておると思うのでありますが、この辺について淺尾さんや一井さんか忌憚のない御意見を……。
  24. 淺尾新甫

    参考人淺尾新甫君) 新造船が採算とれないということは先程一井君も言われたのです。それで新造船だけを取つて見ますと、トランパーとしては無論採算はとれませんし、仮に定期航路に入つて見ても採算が相当むずかしいのではないか。その採算をよくする條件といたしましては現在背負つておる金利が非常に高い、この造船船価が高いということは、これは契約済ですから、これを安くするわけに行かない、金利の高い点をもつと金利を引下げると相当負担が軽くなります。現在の金利は五〇%が見返資金から借りておりまして、これの金利が7分五厘、それ以外は市中銀行から借りておりまして、これの平均は一割一分くらいになるらしいのであります。一割一分という金利は世界の金利に比べますと約三倍以上になつております。大体英米の金利としても二分から三分程度ではないかと思います。ですから三倍以上の金利を背負つており、競争力が弱い。この金利が三分金利の水準までと申さなくても、仮に五分近くの引下げになると相当な競争力ができて来る。それ以上に、先程一井君がちよつと説明して置きましたが、新造船だけでは採算は割れても、外に安い船で埋め合せて対抗して配船すればどうにかなつて行くのではないか。こういう考えであります。その安い船で埋め合せるという意味においては、今後外国の安い船、中古船の安いのを輸入するとか、或いは又外国産の安い船で裸傭船をするとかいうことも今後あり得るようになつて来ると思います。  それからトランパーに新造船を直ぐに持つて行くということが第一異例でありまして、新造船をどうしても消化するにはライナーでなくちや消化しにくいと思うのであります。ライナーにすると、同盟という厄介な問題があるのであります。この同盟に日本が入れるか入れないかということも一つの問題ではありますが、従来同盟のメンバーであつた会社が復帰するのは割合に容易ではないかと私は見ております。
  25. 新谷寅三郎

    委員外議員(新谷寅三郎君) 只今淺尾さんの御説明で、やりようによつてはこれは採算割れもしないし、外航にも出す途があるように了承しました。そこで一番後でお話になりましたように、仮に講和條約というものができ、或いは講和條約ができたと同じ状態ができたといたしましても、問題になるのはその後に来る通商航海條約であり、更に一番ビジネスとして問題になるのは、今の同盟の問題であろうと思うのであります。この点については各航路別にこれは相当違つた状況にありますし、戰後特にその状況が変つておると思うのであります。それについては、何か船会社相互間において、或いはこれは外務省とか、海運局あたりが中心になつて相当今から調査もし、それに対する対策も立てて置かないと、容易に実際の荷物積取りはできないという結果にいなるのではないかと思うのですが、この点について御意見があれば伺いたいし、又外務省や海運局の方で何かお考えになつておるところがありますれば、伺いたいと思います。尤もこれは非常に国際的に今むずかしい問題であろうと思います。併し一方で外交交渉を何らかの形においてして頂くことと並行いたしまして、これはやはり国内的にもこの態勢を整えて置かないと、如何に外交交渉が進んでも……又国内態勢が整いましても、それに応じた外交交渉を一面やつて頂かないと、実現できないような結果になるのではないかと思いますが、お考えがありましたら伺いたいと思います。
  26. 一井保造

    参考人一井保造君) 今新谷さんのお話の点は、先程お話の点は、一番むずかしく、而も一番大事な点であろうと思います。これに対しまして、淺尾さんからお話がありましたが、私も全然同感であります。これを逆に申しますると、段々と日本海運を再建するためにいい船が必要であるということで、新造船計画を立てて、而も着々実現しつつありますが、條件が未だ熟さないうちに、言い換えれば、日本外航配船が完全に認められないとうふうなうちに、それを船会社の自分の採算においてやれというふうな事態になつた場合には困るというような考え方が海運業者の中に非常に濃厚であるということを一つこの際申上げたいと思います。これは決して船会社が我利我利でそういうことを言つているのではない。事実そういう状態にあることを心配しているという向きがあるということを申上げて置きます。但し先刻も申し上げましたが、若しも條件が與えられて、そして、我々が自由にやり得るならば、これは採算上も惡いという点は、度外視しても、一つの企業者として、自分の力で以て倒れてもやるという気概とその精神は必要であるということは先程も申上げた通りでありますので、その点は一つ誤解のないようにして頂きたいと思います。
  27. 朝田靜夫

    説明員朝田靜夫君) 只今通商航海條約が若しできましても、ライナーとしてのコンフアレンスの同盟等の問題があつて、自由に貨物が積取れないというお説に対しましては至極尤もなんでありますが、現在の段階から申上げますというと、まだそこまで行く前に政府としてもいろいろ現実の外航配船に対しまするところの制約が余りに強く、又数の多いリストリクシヨンの下に置かれておりますから、これを先ず外務省その他関係の機関とも十分打合せをいたして今から準備をしなければならない問題であると考えております。
  28. 新谷寅三郎

    委員外議員(新谷寅三郎君) 御尤もだと思うのです。それで今直ぐにどういう対策があるか、今どういう手を打つておるかということを申上げておるわけではないのです。これは海運局でも、外務省でも御承知だと思いますが、A型の改造船だけを見ましても、五月には一万トン、六月には七万六千トン、七月には十三万六千トン、八月には七万六千トン、九月にいは四万四千トンというふうに改造船ができ上つておる。一方又これは全然違つた船でありますが、各社で工夫をされた大型の新造船が七月から二月の間にデッドウエイト三十万トンくらいのものは出て来るのであります。先程一井さんから言われましたように、外航船の全然希望もなし、又これをどう国内で配船するかという計画も的確に立たないでこういう船ができ上つて来て、それは船主の採算でこれをやれと言われても、これは殆ど日本海運を破滅に導くだろうという気がするのであります。恐らく関係方面でもこういう大型船の新造乃至改造を許されたということは、やはり適船適航主義で、適当な航路にこれを配船させることについての考慮があるものと考えざるを得ないのでありますが、それについてこの船のでき上つて来るのを待たないで、今からでき上る期日は明瞭ですから、外務省とか運輸省においてこれを如何に外航に使つて行くかということについての真劍な折衝と御考慮を願いたいと思います。そうしないとでき上つてからやりましてもやはり数ケ月間は船ができ上つても繋船しなければならないということになつて船会社といたしましても非常に困るのみならず、日本海運のこれは破滅の原因になるというふうに考えられるのでありますから、特にこの点は、希望に過ぎないかも知れませんが、是非真劍に折衝を急いで頂きたいと思います。これは参議院決議の趣旨でもあると思いますから、是非お願いしたいと思います。  それから先程淺尾さんからのお話にもございましたが、やはり外航配船するという前提でものを考えて参りますと、船の性能もございましようし、私から申上げましたようなコンフアレンスへの加入の問題もございましようが、一面においてやはり日本の船費、或いは船価を安くする方法を考えて行かなければならない。私の間違つたニユースかも知れませんが、私の聞くところによりますと、只今日本各国から船の建造についての照会がある。入札まで行つておるかどうか知りませんが、イギリス等と比べますと、やはり二、三割は日本の方が高いというような事実もあるように聞いておるのであります。こういう状態でありますと、やはり造船船価につきましても合理化すべきものは合理化して、如何にして船価を安くするかということを考えなければならん。又国内において最近において船の修繕料を見ましても、造船所によつては或る造船所の数倍、乃至多いのになると十倍くらいの入札をしておるところがあるようであります。修繕費等についてもこういう開きが出るのですから、新造船について相当会社として自分の採算を土台にすると大きな開きができる。そこに世界海運とのいわゆる競争力という点についてはまだまだ考えなければならん点が沢山残されておるという気がするのでありますから、ですから船価の問題についてももつと真劍な考慮を拂つて行かないととても外航に乘り出すだけの準備はできないのじやないかという気がいたします。また船費の方におきましても船員のマンニングの問題や、給與の問題、いろいろありまして、これについても同じような意味においてやはり考えるべき点があろうかと考えます。  又先程特に淺尾さんが指摘されましたが、金利の問題でございます。只今見返資金等の使用を許されて、資金は相当潤沢に廻るような端緒ができたのでありますけれども、如何にも金利が高いためにこれではとても外国との競争にはならい。どこへ行つて日本船は高くて売れないという結果になるのじやないかという心配があります。又直接補助金を出して建造させるというような方法日本では今採れないということは分るのですけれども、従つて船舶に対する低利金融というものは、これは各国とも共通の政策だろうと思うのであります。これには成るべく近い機会に明確な政策を示して日本海運の行くべき方向についての目処を與えるということがこの際是非必要であるかと私は考えているのであります。これは御答弁がしにくかつたら御答弁は要りませんけれども、是非この点について真劍な政策の立案に当つて頂きたい。それを促進して頂きたいということを特に希望いたす次第であります。
  29. 野田俊作

    委員長野田俊作君) 別にご発言もなければ、本日はこの程度で散会いたします。    午後三時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     野田 俊作君    委員            金子 洋文君            淺井 一郎君            伊達源一郎君            佐藤 尚武君   委員外議員            新谷寅三郎君            早川 愼一君   政府委員    外務事務官    (政務局長)  島津 久大君   説明員    運輸事務官    (海運局輸送課    長)      朝田 靜夫君   参考人    三井船舶株式会    社々長     一井 保造君    日本郵船株式会    社々長     淺尾 新甫君