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原虎一君 そこで前以てお願いして置きました
官房長官並びに労働
大臣に対する昨日の
質問の継続をいたしますために、少しの時間を拜借願いたいと存じます。
官房長官の私の
質問に対する御
答弁は、即ち同じ
政府の
政府委員であり、労働省のうちにおける労働
大臣と賀來労政局長との間に法の解釈の相違がある。而も本によ
つて表われておる。この問題に対して
官房長官は賀來君の著書を付度されて賀來君の解釈は
説明が少し不十分な
程度である。こういうことをいわれて間違いでないのだということをいわれておる。そこで私は
速記をよく昨晩から調べて見ましたのですが、それを見ますと賀來労政局長は公企労法十六條の解釈は、即ち予算上、資金上不可能な問題は当然
政府が
規定に基く
手続をして予算化して
国会の承認を経るべきものであるという決定的な意思を表示しております。これに対して
政府の解釈は全然予算的措置の必要はない、こういう解釈であります。
官房長官は昨日のこの私の
質問に対して
答弁なさ
つておりますが、それは要するに時間がありませんから
速記を全部読みませんが、要するに賀來君の解釈はいわゆる予算的措置が一部可能な場合、それから一部不可能な場合を想像していなか
つたからああいう解釈を與えておるということであります。
それからもう
一つは予算上可能な部分は
国会に出す、不可能な部分は不承認として
国会に出す、こういうことがあり得るのだという
説明に過ぎないのであります。そこで私は
官房長官は、当時の労働
大臣で議案の
説明をいたされております。併しそれは後にいたしまして、賀來君の書いておりますところのこの本、詳解の本の中にはそういうことは、あなたが言われるように可分、不可分の問題を、起きることを賀來君が想像しなくて書いたというようなことを言
つておりますけれども、賀來君は明らかにそういうことをいたしております。それによりますと、第一に公企労法十六條の「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、
政府を拘束するものではない。又
国会によ
つて所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」この「又は
国会によ
つて所定の行為がなされるまでは」という、
国会によ
つて所定の行為とは何ぞやという定義を與えておるのであります。「「所定の行為」とは、
国会における予算の可決又は予算に定められち借入金の限度の引上げの承認である。即ち協定履行に必要な
国会の行為をいう。」即ち協定履行に必要な
国会の行為であります。協定の履行を不履行にする
国会の行為は認めておりません。これは明らかにな
つております。
それから
国会の承認を受けるこの理由を明確にいたしております。前を除きまして、「この際單に協定の承認を求めるのみにては、協定履行は不可能であるから当然予算の改訂案が併せて承認されることになる。即ち本項は、協定を
国会の議に付するのは、協定そのものの成立を
国会の承認にかからしめているのでなく、」こういうふうに言
つております。そして先程私が申しました予算上可能、不可能の部分があるということを賀來君は想像しないで書いたという点におきましては、こういう点があります。「然じ既定予算又は既定資金の枠外の支出を求める協定にのみ関するのであり、枠内のものはこの限りではない。」あなたが付度されて枠内のもの、枠外のもの、こういうことを考えずに賀來君が書いたとい
つておりますけれども、枠内のものは即ち国鉄公社の予算内の、枠内の問題については、勿論かける必要はないのであります。枠外の不可能な部分はかけるのだということは明らかに書いております。
従つてあなたは夕べこれをお読みにな
つたと
思いますけれども、賀來君の解釈を以て、私は
政府を責めるのではありません。併しながらあなたが労働
大臣をされて、而の公企労法はあなたが
説明されております。その主要なる目的は、いわゆる罷業権を取上げる代りに仲裁というものを置いて、民主的な
労働組合の発達を希うものであるという意味の
説明をされています。而も罷業権を取上げてその代りに調停、調停というものは御承知のように三十五條によ
つて双方が続従しなければならなん最後の決定が、
国会で左右されるということは、あなたがあの当時の労働
大臣として考えておりましたか。この点は労働
大臣をなされたあなたが賀來君の解釈が間違
つておるなんて言えた義理ではなかろうと
思います。
そこで私の問題といたしておるのは、その賀來君の解釈の解惡は昨日問題にいたしたわけではありません。私が昨日問題にいたしましたのは、あなたも、今日
政府が解釈しておる
通り、法制定当時より、十六條並びに三十五條、この
関係の解釈は、
政府は初めから今日の解釈であ
つたということを、昨日も言明されておりますし、それからあなた以外の
運輸大臣も、それから鈴木労働
大臣も認められておるのです。そういたしますれば労政局長であり、労働行政に直接
責任を持
つて当
つておる賀來労政局長は、
政府の解釈に違う解釈を以て本を著わしておるのであります。鈴木労働
大臣の
責任、今日
官房長官をされておるあなたが、労働
大臣当時に制定いたしました公企労法の
運営にあなたが
責任がないとは言えない。
労働組合は労政局長の名において、解釈を與えておる、この本によ
つて、この解釈によ
つて、法を守
つて、合法的な運動を飽くまで展開して来た筈であります。
この解釈が、仲裁、裁定があ
つてから変
つたために、
政府は予算措置をしなく
つてもいいのだというこの解釈が出たために、我々の同志は法を守るためにハンストをやらざるを得なか
つたのであります。その
責任はどこにあるか、あなたは先日
労働組合の代表と会われた。ハンストをや
つているのは何か
労働組合の余計な仕事のごとくお考えにな
つているかのごとき言を吐かれております。若しこの法の解釈が、賀來君の
通りでありましたならば、最終決定であるべき仲裁の裁定を、黙
つてお
つても
政府がや
つたならば、予算を出したならば、
労働組合は何を好んでハンストをやりましよう。又教職員又一般公務員が、人事院の勧告を
政府が忠実に、誠実に、その全部にあらずとも、守るという
態度があ
つたならば何故ハンストが起りましよう。先日の
日本経済
新聞は、ハンストは精神的圧力を加えるところの一種の争議行為である、組合の心情は分るけれども、そういうことはなすべきものでないという意味の社説を書いております。こういう事態が法の不備から起きたとするならば、あなたは当時の労働
大臣であり我々は当時の法を成立せしめた、
審議したところの労働
委員であります。
政治的、道徳的
責任を持たなければならんのであります。然るにあなたは、あなたの下で忠実に働く賀來君のこの解釈が、
政府と相違するのであるという言明だけで済むと思
つておられることは、私は甚だ遺憾に堪えないものであります。賀來君の本について労働
大臣の先日私の
質問に対しての
答弁は、それは賀來個人の出版物であ
つて、労働
大臣並びに
政府の
責任を持つものじやないと言
つております。私は法的に
政府は
責任を持たなければならんものと言
つておりません。併しながら
政府は常に申しますように、道義の上に打建てられて行かなければならないのであります。で、私は賀來君の出しておる本が、賀來君が如何なる考で本を出しておるかということを申上げて、
政府の
責任を明らかにされたいと思うのであります。賀來君は昨日も申しました
通り、労働省労政局長賀來才二郎著として「
公共企業体労働関係法の詳解」十一組出版部刋行とな
つて、時間もあまりないようでありますから、できるだけ要を得て簡潔いしたいと
思いますが、即ち(「簡單々々」と呼ぶ者あり)賀來君のこの本の序の中に、こういうことを書いております。二十三年「十二月第四回
国会で議了成立したのでこの意味でこの法律は、我が国の
労働組合運動史上の
一つの画期的立法であり将来の組合運動にき大きい示さを與えるものとして注目を要するものと考える。即ち、この法律に於て
労働組合の民主性、自主性、
責任性が強調せられ、我が……」