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1950-05-01 第7回国会 衆議院 労働委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年五月一日(月曜日)     午前十一時五十三分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 篠田 弘作君 理事 島田 末信君    理事 福永 健司君 理事 三浦寅之助君    理事 吉武 惠市君 理事 稻葉  修君    理事 春日 正一君       天野 公義君    佐藤 新弘君       柳澤 義男君    前田 種男君       柄澤登志子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君         労 働 大 臣 鈴木 正文君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      寺本 広作君  委員外出席者         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 四月二十五日  委員青野武一辞任につき、その補欠として中  崎敏君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員船越弘着衣ひ中崎敏辞任につき、その補  欠として吉田吉太郎君及び青野武一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員吉田吉太郎辞任につき、その補欠として  船越弘君が議長の指命で委員に選任された。 同月二十九日  委員佐藤親弘君、船越弘君、吉武惠市君及び青  野武一辞任につき、その補欠として田中萬逸  君、吉田吉太郎君、林讓治君及び山口シヅエ君  が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員田中萬逸君、林讓治君及び吉田吉太郎君辞  任につき、その補欠として佐藤親弘君、吉武惠  市君及び船越弘君が議長指名委員に選任さ  れた。 五月一日  吉武惠市君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  閉会審査申出に関する件  委員派遣承認申請に関する件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出議決第三号)  労働事情に関する件   請 願  一 公共企業体職員災害補償法制定に関する請願赤松勇紹介)(第五一号)  二 電気産業労働者賃金引上げ等に関する請願田代文久君外一名紹介)(第二五三号)  三 賃金支給保障法制定請願赤松勇紹介)(第四二七号)  四 賃金遅拂、分割拂解消に関する請願田島ひで君外一名紹介)(第四七〇号)  五 同(早稻田柳右エ門紹介)(第四七一号)  六 日雇労務者待遇改善に関する請願外一作(春日正一君外一名紹介)(第四七三号)  七 同(柄澤登志子君外五名紹介)(第四七四号)  八 同(福田昌子紹介)(第四七五号)  九 同(石田一松紹介)(第四七六号) 一〇 同(並木芳雄紹介)(第四七七号) 一一 同(十橋一吉君外一名紹介)(第五二一号) 一二 同(野坂參三君外三名紹介)(第五二二号) 一三 鷹職業安定所管内失業者対策に関する請願土橋一吉君外一名紹介)(第五一〇号) 一四 最低貨金制即時実施請願岡田春夫紹介)(第六二七号) 一五 日本マグネシウム東京工場賃金遅拂救済に関する請願神山茂夫君外一名紹介)(第六四四号) 一六 婦人少年局愛知職員室職員復職等に関する請願田島ひで君外一名紹介)(第六五八号) 一七 公共企業体労働関係法撤廃筆請願春日正一君外一名紹介)(第七〇〇号) 一八 失業保険給付金額失業救済事業における支給賃金との不均衡是正に関する請願江崎真澄紹介)(第八四四号) 一九 失業応急対策費全額国庫負担請願江崎真澄紹介)(第八四五号) 二〇 名古屋造船株式会社における賃金拂解消対策に関する請願田島ひで紹介)(第八八一号) 二一 公共企業体労働関係法撤廃等に関する請願前田種男紹介)(第一〇六四号) 二二 失業保険金給付期間延長並びに同給付額増額請願春日正一君外一名紹介)(第一一四九号) 二三 昭和二十二年法律第百七十一号の廃止に伴い一般職種別貨金制法制化に関する請願門司亮紹介)(第一一九六号) 二四 失業対策予算増額及び労働行政地方移讓等に関する請願門司亮紹介)(第一一九七号) 二五 同(川崎秀二紹介)(第一一九八号) 二六 呉布における失業対策に関する請願春日正一君外一名紹介)(第一二四八号) 二七 組合専従者労働者災害補償保険法等適用に関する請願田島ひで紹介)(第一三二三号) 二八 失業保険金給付期間延長並ひに同給付額増額請願田島ひで紹介)(第一三二四号) 二九 失業対策予算増額及び労働行政地方移譲等に関する請願島田末信紹介)(第一三四二号) 三〇 日雇労働者に対する失業保険法政声等に関する請願米原昶紹介)(第一四二三号) 三一 最低賃金法制定請願岡田春夫君外一名紹介)(第一四八三号) 三二 米子市における失業対策に関する請願足鹿覺紹介)(第一六〇六号) 三三 日雇労務者待遇改善に関する請願田島ひで岩紹介)(第一六八一号) 三四 失業対策予算増額及び労働行政地方移譲等に関する請願立花敏男紹介)(第一七一六号) 三五 昭和二十二年法律第百七十一号の廃止に伴い一般般職種別賃金制法制化に関する請願春日正一紹介)(第一七九七号) 三六 失業保険金給付期間延長並びに同給付額増額請願外二件(岡田春夫紹介)(第一八六〇号) 三七 同(春日正一君外一名紹介)(第一八六一号) 三八 失業保険給付期間延長等に関する請願(田中織之進君外四名紹介)(第二〇五六号) 三九 同(春日正一君外四名紹介)(第二〇五七号) 四〇 同(小林進君外四名紹介)(第二〇五八号) 四一 同外二件(春日正一君外一名紹介)(第二一四九号) 四二 失業保険金給付期間延長並びに同給日額増額請願外一件(高倉定助紹介)(第二〇九八号) 四三 公共企業体労働関係法に反する予算総則並びに給與準則撤廃に関する請願勝間田清一紹介)(第二二一五号) 四四 失業者生活資金融資に関する請願加藤鐐造君紹介)(第二六九七号) 四五 失業救済事業及び公共事業拡大に関する請願加藤鐐造君紹介)(第二六九八号) 四六 失業対策事業拡充強化に関する請願橋本龍伍紹介)(第二八一二号) 四七 同(神田博君外六名紹介)(第二八二二号)   陳情書  一 失業対策確立に関する陳情書(第一三号)  二 労働安定対策確立に関する陳情書(第一四号)  三 労働基準法完全実施に関する陳情書(第一五号)  四 失業対策事業費全額国庫補助陳情書(第六五号)  五 失業対策に関する陳情書(第三三三号)  六 職業安定法施行規則第二十四條中に派出婦追加陳情書(第五六五号)  七 特定地方労働委員会委員定員増加に関する陳情書外四件(第六三二号)  八 失業対策事業拡充強化に関する陳情書(第六四一号)  九 特定地方労働委員会委員定員増加に関する陳情書(第六六五号) 一〇 職業安定法施行規則第二十四條中に派出婦追加陳情書外一件(第六七五号) 一一 夏時刻海中改正陳情書(第七一〇号) 一二 職業補導所設置陳情書(第八五九号)     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。去る四月二十九日、理事吉武惠市君が委員辞任せられまして、理事が一名欠員になつておりますので、理事補欠選挙を行わなければなりませんが、これは委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。吉武惠市君が再び委員に選任されましたので、吉武惠市君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に閉会審査の件についてお諮りいたします。本委員会は今会期初め国政調査承認を得て労働事情に関する調査実施して来たのでありますが、なお閉会中といえとも、引続き調査を進める必要があると思います。つきましては閉会中本作について審査申出をすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。それでは閉会審査すべき事項は、失業対策その他労働事情に関する件とし、閉会審査目的は、失業情勢その他労働事情に関する調査とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さよう決定いたしました。後刻委員長より文書をもつて議長にこの旨を申し出ることにいたします。     —————————————
  7. 倉石忠雄

    倉石委員長 次にただいまの閉会審査申出に関連いたしまして、労働事情に関する件について、議院の議決で特に付託されました場合において、調査のために委員派遣いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、委員派遣承認申請決定をいたしたいと存じます。派遣目的は、失業情勢その他労働事情調査とし、なお派遣委員の選定、派遣期間及び派遣地等決定は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。     —————————————
  10. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に請願及び陳情書審査に入りたいと存じますが、諸般の都合上、懇談会において本日の請願及び陳情書日程全部について、慎重に審査いたしたいと存じます。御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さように決定いたしまして、これより懇談会に入ります。      ————◇—————     〔午前十一時五十七分懇談会に入る〕     〔午後零時十分懇談会を終る〕      ————◇—————
  12. 倉石忠雄

    倉石委員長 これにて懇談会は終了いたしまして、次に公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件、議決第三号を議題といたします。柄澤登志子
  13. 柄澤登志子

    柄澤委員 実はこの前の人事委員会運輸委員会労働委員会連合審査のとき質問を申し込んでございましたのですが、あのとき運輸大臣は御都合があるというので、時間をお急ぎになつてお帰りになり、参考人各位に対する質疑も終ついないのてございます。きようは参考人各位国鉄の代表の方や仲裁委員の方かお見えになりませんので、この方々に対する質疑ができないことを遺憾に思いますが、運輸大臣国鉄関係の方がお見えになつておりますので、その範囲の質問をいたしたいと思います。  まず運輸大臣にお伺いいたしたいのであります。本年度予算におきまして、国鉄労働者給与ベース扶養手当勤務地手当を含めまして、七千二十二円ということになつておるようでございます。これは二十四年度政府の出しました国鉄労働者給与に比べまして、どういうふうになつておりましようか。私ともの考えでは、二十四年度よりも二十五年度の方が、所得が減つておるように思うのでございます、これは政府資料に基いての対比でございますが、その点について御答弁願いたいと思います。
  14. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいま柄澤さんからの御質問に対する適切な資料を持つておりませんが、今年度予算におきましては、鉄道全体の給与ベースは七千五十円でございます。七千二十二円というのは、損益勘定に属する人だけの給与平均でございます。二十四年度基本給、すなわち俸給と勤務地手当と、それから扶養手当を入れましてその総額が三百二十三億三千三百万円余でございますが、二十五年度におきましては、基本給は三百四十五億三千九百万円、こういうふうになつております。実は平均単価が出ておりませんので、御質問に対するはつきりした御返答にはちよつとなりませんが、大体そういうふうになつております。
  15. 柄澤登志子

    柄澤委員 政府のお出しになりました給与白書では、国鉄給与は昇級、昇格により超勤、時動を加えて七千四百七十六円になると、はつきり明示されておる。そういたしますと、今度の予算に計上されておりますものは、むしろ減収になるというふうに結論づけられると思うのでございますが、その事実をお認めになりますかどうか。
  16. 足羽則之

    足羽政府委員 減収にはなりませんが、今資料を調べておりますから、あとで御返答いたします。
  17. 柄澤登志子

    柄澤委員 物件費の方て、七月ごろから鋼材が五割近く上るということを承つております。電力の値上りて二十億ぐらい予算よりは赤字になるというふうにも承つておりますけれども国鉄当局では本年度予算の中にこういうものを計上されてあるかどうか。
  18. 足羽則之

    足羽政府委員 これもはつきりした資料を持つておりませんが、鋼材値上りなんかは、ある程度見て予算は組んであるはずでございます。  それから先ほどの御質問に対して、お答えいたします。二十四年度は、超過勤務手当を入れまして六千七百三十七円てございます。それに対して二十五年度は、人員の増減もございますが、一人当り、超過勤務手当も入れまして、七千四百八十一円、一応こういう計算になつております。先ほど申しました数字は、基本給だけでございます。超過勤務手当なんかが入つておりませんので、食い違いがありますが、大体の数字の見当は、今申し上げた超過勤務手当を含めた数字で御比較を願えば、給与の切下げにはなつていない、こういうふうに了解願えると思います。
  19. 柄澤登志子

    柄澤委員 そういたしますと、政府の出しました給与白書数字は、間違つておるわけてございますか。
  20. 足羽則之

    足羽政府委員 給与白書につきましては、私詳しくその根拠を存じませんが、いろいろこうした統計の資料については、とり方によつてあるいは異なつた数学が出るかと思いますので、何とも申し上げかねます。
  21. 柄澤登志子

    柄澤委員 私ともの望んでおる責任のある答弁が一つも得られないのでございます。その点責任のある答弁をいただきたいと思つておりますから、となたがしてくださるか、承つておきたいと思います。
  22. 倉石忠雄

    倉石委員長 柄澤君に委員長からお答えいたします。本作はまだ審議期間がございますから、そのときに適当に委員長において、責任者をして答弁させます。
  23. 柄澤登志子

    柄澤委員 二十五年度国鉄収入損益勘定の方になりますが、運輸収入見込みについて、当局では二十五年度予算に計上されておりますことに確実な自信がおありになるかどうか。これは昨年度の例をあけましても、九万何千人の首を切つて運賃を上げさえすれば独立採算制ができるのだというお見通しがありまして、大衆の犠牲によつて国鉄当局は断行されたようでございましたが、その後片つぱしからくずれてしまつて、結局独立保管官制というのは、首切ることと、運賃を上げることで、結果において貨物を減らすことになつてしまつたというようなことがあつたと思います。今年度はここに計上されております旅客貨物収入というものの見通しが、はたして確実てあるかどうか。そういう点について今当局てはいろいろ論議をかわされておるように漏れ承つておりますけれども、はたしてそれがどうであるかということにつきまして、打明けた御答弁をいただきたいと思います。
  24. 足羽則之

    足羽政府委員 運輸収入見込みにつきましては、これは見込みでございますから、はつきり確実なものたと申し上げることは、おそらく性質上できないかと思うのでありますが、しかし大体現在まての推移から見まして、特段事情の変化のない限り、大体その見込みて押して行けるのではないかと考えております。
  25. 柄澤登志子

    柄澤委員 昨年十二月から今年一月、二月、三月と、国鉄当局輸送計画というものは、はたして御計画通り実施されておりますかどうか。
  26. 足羽則之

    足羽政府委員 その正確な実績を今持ち合せておりませんのて、あとで御返答いたしたいと思います。
  27. 柄澤登志子

    柄澤委員 てはこちらにある資料で御質問したいと思いますが、実際の実績が、一億二千百万トンの予定がくずれておるというふうに私とも承つておりますが、それは事実でございますか。
  28. 足羽則之

    足羽政府委員 貨物輸送につきましては、最近少し予想よりは下まわつておるようでございますが、しかしまた今年度に入りまして、四月一箇月を経過しただけでございますので、今年度見通しが下まわるとかどうとか、結論を下すことはもちろん早計であろうと思います。やはりもう少しそういう点については、推移を見なければならぬのではないか。なお運賃改正後の状況は多少下まわつてはおりますが、特にこれによつて見込みが非常に違うんではないかというふうな結論が、ただちにそれから出るというような行き方ではない。こういうふうに考えております。
  29. 柄澤登志子

    柄澤委員 見込みが大体この前も大分食い違いまして、何千億というようなことになつたようでありますが、その原因は、結局はドツチ・ラインの実施により、中小企業が倒壊したことだというような、足羽局長の御説明がこの前あつたと思います。今度もまた承りますと、旅客も減つておるし、何でも四十六億くらい減収するのではないかというようなことも聞いております。そういうことになりますと、この見通しとしてまた数十億の減収が予想されるというようなことで、国鉄当局としては、何とかしてこの収入の増大をはからなければならないというような努力を払つておられるように承つておりますが、それがとういうものであるかということを——これは私どもは、この裁定の実施については重大な関係があると思う。ですから、この場限りの、当面のがれのお答えてなしに、その辺のことをはつきりと御答弁願いたい。
  30. 足羽則之

    足羽政府委員 運輸収入見込み、目標と申しますか、そういうものを立てて、あらゆる面から、あるいは支出の減少、あるいは収入増加になるような方法を講する、こういうことは常に国鉄としていたしておるのであります。しかし今私初めに申しましたことく、特に今年度収入が相当減るであろうという見込みて、特段対策を立ててやつておる、そういうふうな意味て、今年度減収が相当あるたろうという見込みては、私やつてないと考えております。従つて先ほど答弁申し上げましたごとく、見込み見込みてありまして、確度かとおつしやられると、それは絶対間違いありませんという今御答弁はできぬわけてありますが、運輸収入の見込を予算として出しましたものに対して、これが特段事情の変更のない限り、非常に狂うということは、管理者国有鉄道としても考えていない。またわれわれもそういうふうに現在のところその事情を承知いたしておりません。先ほどの御答弁と重複いたしまが、われわれはそう考えております。
  31. 柄澤登志子

    柄澤委員 輸送収入についての見通しについては、この辺で打切りたいと思いますが、最後にひとつ御答弁つておきたいととは、総額において旅客貨物もかりに全額がふえたといたしましても、実質的な輸送実績人員やトン数において、独立採算制になりまして以来の日本国有鉄道のあげましたものは、こういうふうになつて現われておるか。これを承つておきたいと思います。
  32. 足羽則之

    足羽政府委員 後刻資料をもつてお答えいたしたいと思います。
  33. 柄澤登志子

    柄澤委員 運輸大臣にお聞きしたいのでございますけれども運輸大臣は、私運輸委員の当時から、独立採算制になりさえすれば、国有鉄道経営は健全になるというような、非常に強力な確信を持つて臨まれておつたと思います。その後行われましたことは、今足羽局長からは資料を得ることができなかつたのでございますが、私ども資料によりまして調べましたところによると、輸送実績が滅つておる。金額においてはふえておうましても、輸送実績は、貨物も、人員も減つておる。運賃上つて労働者が首切られておる。こういう結果になつておるのでございます。そうすると、一体公共企業体としての独立採算制基本にしたところの国有鉄道の任務というものは、結局は大衆には高い運賃を与えるし、輸送は減るし、労働者は首を切るということになつて公共という問題と、独立採算制という問題とが、相反するのではないかと思うのであります。そういうことについて、はたしてこの公共企業体として、そこに働く従事員、これを利用する国民大衆、それからそれのあげて来ました実績というものが、今度の予算においてどういうふうに実現されておるか。独立採算制の大きな方向が、今度の予算においては確実に保障されておるかどうかという点、こういう大まかな点について運輸大臣の御意見を承りたいと思います。抽象的てなく、できれば数字をあげてお答えいただきたい。
  34. 大屋晋三

    大屋国務大臣 柄澤さんの考え方は、私前からよく存じ上げております。鉄道に対して公共性ということを、柄澤さんは常に重く考えられておることをよく記憶しております。輸送量減つたが、とうしたんだと言いますが、これは公共企業体というふうに形を改めたということ、あるいはまた独立採算制にしたという事柄から、第一義的には関係がないのでありまして、鉄道輸送の量というようなものは、一国の産業経済推移によりまして、ふえる場合もあれは、減る場合もあるという事柄であります。昨年の六月一日以前にやつておりました形と、現在の公共企業体に切りかえた以後とにおきましては、いわゆる制度は独立採算制になり、形は公共企業体なつたが、あまりに営利的に考えて、運べる荷物でも、採算上引合わなければ運ばないという欠点が出て来ていやしないか。公共という面に対して、それが十分でないという点をしばしばあなたは言われておるように思うのでありますが、やはりこれは公共企業体で、一国のいやしくも交通を担当いたしております関係で、もちろん営利に走るというようなことはございません。従来とひとしく、やはり公共性ということに十分留意をしてやつておりますので、その点は心配ないのであります。貨物輸送量減つたというのは、一国の経済推移によるというふうに考えております。たたここで私が遺憾に思うのは、日本国有鉄道法の内容たる規則が、とうもやはり十分でないという点であります。たとえば鉄道自分能率を上げて収益をあげた場合、現在のような規則では、損失があつたならば、ます損失をカバーして、損失がカバーできたならば、これを一旦国庫に収納するという形をとるのでありまして、国鉄総裁には、自分のあげた利益を、あたかも民間の株式会社において、いわゆる重役会が自由にこれを処置できるような、自由な権限は与えられていない。従いまして、給与の面や何かて融通しようと思つても、非常にきゆうくつである。というのは、現在の公共企業体会計面に、そういうきゆうくつ規則が載つておるからであります。せつかくここまて公共企業体を持つて来たのならば、さらに竿頭一歩を進めて、この規則改正して、能率を下げて、国鉄総裁運輸大臣にも、あるいは大蔵大臣にも関係なく、いわんや国会審議、つまり法律改正予算的措置というような事柄はオミツトして、総裁が自由自在にその辺をやり得るというふうに、私はぜひして行きたいと思う。またそうしなければうそである。そうすれば非常に自由闊達な経営ができて、非常によくなるというふうに考えておる次第であります。
  35. 柄澤登志子

    柄澤委員 抽象的な御希望だけを述べられたのでありまして、私の質問中心に触れられなかつたのを残念に思いますが、そういたしますと、独立採算制公共企業体と、輸送減つたこととは、関係がないということが中心だと思います。一国の産業によつて、ふえることも、減ることもあるというような御答弁でありますが、運賃が高くなつて総額においてはふえているけれども人員が減つているということや、距離が減つているということは、私も数字を持つておりますが、これは数字の上に明らかに現われておると思います。そうすると独立採算制公共企業体というものは、結局今の大臣のお話によりますと、今の政府産業方針経済方針のもとにおいては、旅客をふやす、旅客利用価御をふやすこともできないし、貨物輸送実績をふやすこともてきない。結局は吉田内閣の経済方針のもとでは、独立採算制というものはうまく行かない。輸送目的というものが完全に果されないという結論になると思います。輸送行政を担当しておられます運輸大臣として、輸送の面での御方針——ことに運輸大臣は、トラツク貨物の利用というようなことについては、たいへん豊富な御経験を持つておられるというふうに承つておりますが、そういう方面ての特別な御方針があるかどうか。トラツクの方面についてとのような対策を打つておられるか。またそういうことでこういう面を埋めておられるかどうかということであります。もしそれがないとすれば、実質的には去年の運輸行政というものは、結論においては大敗しておるということが言えると思うのでございますが、その点についての運輸大臣の御意見を承りたいと思います。
  36. 大屋晋三

    大屋国務大臣 いわゆる経済活動量によつて輸送に増減のあろによは、ただいま申し上げた通りでありますが、やはり輸送の方便といたしましては、御承知のようにトラツクもあれば、汽船もあれは、鉄道もあるというようなことで、鉄道、トラツク、汽船の分担いたします速搬量というものも、ときの情勢によりまして、自然に、自動的に、それぞれ変化があるということは言うまでもないことでありまして、私といたしましては、との分は鉄道、との分は汽船、との分はトラツクというような、統制経済に類似したようなことはいたしません。これは自然の成行きにまかしてそれぞれの競争をやらせ、それぞれの任務に到達させるという考えを持つております。
  37. 倉石忠雄

    倉石委員長 柄澤君まだありますか。簡単に願います。
  38. 柄澤登志子

    柄澤委員 簡単に二、三点で終ります。  運輸大臣にお聞きしておきたいと思いますが、独立採算制という建前から申すなりは、一つの企業の建前から言いますと、確かに本年度予算は進歩しておるということはわれわれも認めるのでございます。しかしその進歩が、こういう人員貨物輸送量を減らし、運賃を上げ、従業員の給料を絶対に上げないで、首を切つておきながら、そこから生れて来た独立採算制の利潤というものが——今年度は約二百億以上になると思いますが、これは工事勘定に見かわつておると思うのであります。それは予算で御説明申し上げれは、ここに減価償却費、予備費というもの、それから特別補充取替費というようなもの、これらが工事勘定に見かわつておると思うのであらますが、この点について加賀山総裁から、この中から労働者給与にまわすことが可能たというような御意見があつたと思います。ところが先日大臣は、予算審議権というものは国会にあるのだ、だから国会がこれをおきめになるのだというふうに言われたと思います。しかしさらにこれを検討いたしますれば、この予算の編成権というものはどこにあるか。この編成権というものは政府にあると思います。しかし編成をなされる場合に、編成に対しての権限は当然国会にないのでございますから、独立採算制の建前から、こういう工事働定、つまり独立算制利潤というものを、それに振り向けることができるというこのような予算を編成なされる際に、なぜ政府として人作費の方に振り向けることがてきないか。その責任国会審議権というものに転嫁なされるのは、責任転嫁をして、案質的には給料を上げたくないということで、われわれに全部背負いかけてしまうという今の政府の意図だと思いますが、その点について大臣はとのようか意見を持たれ、とのような努力をされ、どのようになすつたか。独立採算制になれは、労働者給与はよくなるのだということを、前にたびたび言われたことを私は忘れないて記憶しておるのであります。ですから大臣は、今度の予算にもはたしてそういうことをなすつたかどうか。独立採算制ということは、利潤をあげて経営をうまくやつて行くということだけに中心を旨いて、企業化ということをお考えになつて、当時言明されたことを忘れておいてになつたのではないか、その点についてひとつ承つておきたいと思います。
  39. 大屋晋三

    大屋国務大臣 二十五年度予算を編成いたしまときには、それぞれの項目につきまして慎重にやりました。従いまして給与の面も、まずあの邊で大体よかろう、さような考えを持ちまして編成をいたし、国会承認を得た次第であります。しかるに裁定という事実が発生いたしまして、この裁定を履行するにあたつては、その裁定の面にうたわれましたいわゆる第一項に対して六十七億、第二項を、国鉄総裁は大体四十億見当いると日本政府に申達して参つたのでありますが、これは予算士、貸金士、そのままでは支出は不可能である。かるがゆえに国会にその御審議を願う、しこうして国会で何事かの意思表示がいたされました場合にはそれに従いまして政府予算を組み、予算の編成もお願いをいたす、こういう手順でございます。
  40. 吉武恵市

    吉武委員 私はここに動議を提出いたしたいと思います。ただいま御審議なつでおりまするこの「公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件」につきましては、われわれは今日まで慎重審議を続けて参つたのでありますが、木骨ははなはだ重要な案何てございまして、さらに深く審議を続けなければならないと考えるものでございます。しかるに会期もあと一日に追つておりますので、本件の重要性にかんがみ、会期終了後の閉会中といえども審議を継続されるよう、本件についての閉会審査申出をすることに御決定あらんことを願うものでございます。すみやかに御採決くださいますようお願いいたします。
  41. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまの吉武君の動議によりまして討論をいたしたいと存じます。申出がございますから、ごく簡単に願うことにいたしまして、順次これを許します。前田種男君。
  42. 前田種男

    前田(種)委員 私は社会党を代表いたしまして、結論的には吉武委員の動議に賛成いたします。明日一日を残しております本会期中この結論を出すということは、事実上不可能でございますから、継続審議をもつて十分審議することに賛意を表します。  この際特に政府当局に希望を申し述べておきたい点は、われわれは当初からいろいろ財政上困難な点がありましようとも、公労法の成立の精神を考えまして、あるいは法の内容、特に日本の労働組合運動の健全なる発達を育成するという見地から行きましても、ああした平和機関をあくまで尊重する。そうして万難を排してその最終的の決定に対しては、労資双方はもちろんのこと、政府当局も服従するという態度をとつて行くことが、日本の民主化の過程において、絶対必要であるという見地に立つて今日まで努力して来ましたが、残念ながら国鉄第一次裁定、第二次裁定もその結論を見ることなくして、反対の結果になつたことを、はなはだ遺憾に思つておるのです。しかし継続審議経過中といえども国会審議が移つておるから、一切をあけて国会にまかすという形式的なことは別といたしまして、国会審議過程におきまして、政府当局はできるだけ第二次裁定の内容が実現できるように積極的な努力を願つておきたいと考えます。そうでなければ、継続審議をやりましても、再び第二次裁定も全面的に不承認となりますならば、それが今後の国鉄の業務上に及ぼすところの影響、ひいては国家全体に及ぼすところの影響勢を勘案いたしましても、私は重要な問題であろうと思いますから、政府はこの裁定の示す内弁を十分掘り下げて検討されまして、いろいろな国難はありましようとも、この内省の実現のために最善の努力を払つてもらうことを、重ねて強く要望いたしまして、大たいまの動議に賛成の意を表瞬いたします。
  43. 倉石忠雄

  44. 島田末信

    島田委員 ただいま議題となりました吉武君の動議に対しまして、私は自由党を代表いたしまして賛成意見を述べるものであります。  国鉄裁定を実施するために、現在は国鉄の経理内容を持つてしては、予算上、資金上不可能として、国会議決を求めておる次第でありますが、本案件はまことに重要でありますから、われわれは裁定の精神を十分に尊重して、あらゆる角度からこれが実施に該当するよりか名案を見出すことに、最善の努力をいたしたいと考えますゆえに、なお御軍審議を必要なりと信ずるものであります。国鉄経理内容の再検討ももちろん必要でありますし、さらにかすに時をもつてすれば、国内経済諸情勢の変化であるとか、国鉄経営上の創意くふうに基く経理内実の改善であるとか、あるいは全従業員の努力等等と相まつて、今日不可能なりとされたことも、近き将来においての可能も期待し得られないとは限らないのであります。わが党は政府を鞭撻しつつ、太秦を継続審議し、裁定の精神を生かすために、最善を盡したいと考える次第であります。以上をもつて継続審議に対する賛成意見を述べることといたします。
  45. 倉石忠雄

  46. 柄澤登志子

    柄澤委員 共産党の意見を申し上げます。  生産党はこの裁定は即時に実施すべきたという建前から、継続審議という名目のもとに、参議院選挙のあとまで、この審議が延ばされるという傾向が十分認められる現在におきまして、継続審議で熱心にこれを検討するのだというような欺瞞的な与党の鮮度に対しては、反対せざるを得ないのであります。大体国有鉄道労働者に対しまして、われわれは罷業権をとるというような問題については、反対して来たのであります。ですから、政府与党、絶対多数を持つところの、この国会内の力をもつて——即時に常に裁定というものは実施されるのが当然てありますのに、予算の編成権を持つてないところの国会審議権があるのだからというので、いかにも決定権が国会にあるような形で、常に労働者の問題が、国会責任において要求を拒否されて来るというようなことは実に遺憾であります。このような現在の労働委員会の持ち方も、当然この影響を受けまして、そうして当然即時にも委員会が開かれなければならない問題が、遷延してみたり、あるいは労働者の要求をまつ先に取上げて、労働者の代表を呼ばなければならないものを、先に職安の代表を呼んでみたりするような、労働委員会が考考査委員会に化したような傾向すら、最近では見られておるのであります。私どもはこのようにストライキが続き、国鉄労働者が食えない、配給もとれないという状況にあります今日、労働委員会は熱心に毎日のように開いて、休会中にもやるというような熱意を示さなければならないと思うのでありますが、労働委員会の今日の態度に対しましては、私どもは断固としてこれを暴露して、鬪つて行かなければならないと思うのであります。私とも共産党は、継続審議という美名のもとに隠れて、今すでに食えなくなつておる労働者の利益というものが延ばされ、要求が遡らない。こういうような提案に対しましては、まつこうから反対せざるを得ないのであります。労働委員会は即時にこの問題を実施すべきだということで、この国会を終るべきだ、政府に対してその要望を国会はやるべきだ、こういう建前からただいまの動議に対しまして反対せざるを得ないのであります。
  47. 倉石忠雄

    倉石委員長 柄津料のただいまの御討論の中のお言葉について、委員長から一言申し上げます。専売の裁定が、公労法の規定によつて労働委員会に付託された。政府がそのときに、御承知のように十六條一項ないし二項によつて、資金子、予算上、不可能であるということで、国会に提出されたことの合法的な行動であるということは、おわかりの通りであります。これを収上げて審議いたしておる労働委員会の動き方が、不法であるかのごときお言葉は、はなはだ私は遺憾に存じます。それから先般行われました日雇い労務者調査のことにつきましても、皆さんと御相談の上で、理事会において決定した通りに運んで参つたのでありまして、当労働委員会としての名誉のために、一言委員長から申し添えておきます。  ただいまの吉武君の動議について採快いたします。吉武君の動議に御賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  48. 倉石忠雄

    倉石委員長 起立多数。よつて本動議は可決せられました。     —————————————
  49. 倉石忠雄

    倉石委員長 篠田君が質問があるそうですから……。
  50. 篠田弘作

    ○篠田委員 これは労働省の当局大臣でも局長でもけつこうですが、お伺いいたします。先般労働白書なるものが発表されまして、新聞の伝えるところによりますと、潜在失業者が八百数十万ということになつております。われわれは労働委員といたしまして、しばしば労働委員会の席上において潜在失業者の数も聞いたのでありますが、大体政府の御説明によりますと、百二十万ないし百五十万程度の潜在失業者があるものと思うというお話でありました。新聞の伝えるところによりますと八百数十万——六、七倍の数字であります。これは白書でありますから、うその説明ではないと思いますが、突然こういう発表をしたということは、はなはだけしからぬと考えております。労働委員も寄り寄りそういうことを考えておつたのでありますが、けさになつて労働省のお話を聞いてみますと、そういう数字は白書の中に一つも出ていない、何か新聞記者の間違いであつたろうということがわかつたので、私たちが抱いておりましたそういう気持も非常に緩和されたのでありますけれども、最も大切なことは、天下の大新聞に潜在失業者八百数十万ということが出たことでありまして、実際の失業者が今幾らあるか、潜在失業者が一体幾らあるのかということを、明らかにしていただきたいと思います。そうして新聞に出たことがうそであるならば、適当な処置をもつて取消してもらわなければならないと考えます。その点について伺います。
  51. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 潜在失業者という言葉は、きわめて間達いを起しやすい、はつきりした観念のつかめない言葉でありまして、潜在失業者が幾らあるのかという課題に対しましては、日本の現在の資料の範囲においては、正確な数はつかめません。従いまして潜在失業者という言葉で質問がありました場合に、それに類似するような考え方の答弁はしたことがありますけれども、労働省といたしましては、明確な潜在失業者数字というようなものはつくれないのでありまして、発表したことはありません。内閣の方でつくつております労働力の調査、これは類推でございまして、完璧なものとは言えませんけれども、一応現在の日本て人手し得るところの有力な資料でありますが、それによると、三十五時間まて働いておるけれども、生活を充実したいためにもう少し仕事をしたい、こういう人たちの数は一応出ております。これを潜在失業者というべきか、あるいはまた部分就業者というべきか、それとも生活の向上を求めておる人たちというべきか、これは観点によつて違いますけれども、三十五時間近く働いておるという層は、私どもの常職をもつてすれば、生活を一層充実せしめるために、一応仕事は持つておるという層だと考えております。同じ部分的の就業者の中でも十九時間しか働いておらない、あるいは十五時間しか働いておらないという層になつて参りますと、性格がかわつて来るし、考え方によつてはこれは失業者の方に入れる方が妥当である、全体の情勢次第によつてはそういう場合もあり得ると思います。そういう数字か出ておるのでありまして、発表した数字の中には潜在失業者数字というふうな言葉ては、どこにも出ておらないと思いますし、今どれくらいそういう人たちがあるかという問題は、依然として明確にお答えてきないのでありまして、そういう全体の数字の中から判断していただく、これが私どもの考え方てあります。失業者数につきましては、その中に一応完全失業者というものが出ております。これは従来もしばしば申しましたように、きわめて厳重なわくがかけてある。たとえば調査の前一週間とこかに就職運動したことがある、しかも一時間も働かなかつた、こういうような厳重なわくがかけてありますから、その数字は出ておりますけれども、わくの厳重さから比べますと、その数字そのものは、全部の失業者を網羅していない場合もあるのではないかと考えております。発表のときには、いつもその注釈をつけて発表しております。
  52. 篠田弘作

    ○篠田委員 労働意欲がありながら、また就職の運動をしておりながら、完全に失業しておる者が、昭和二十四年十二月で三十四万という数字が出ておりますが、これは間違いありませんか。
  53. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 これは内閣の方でつくつ数字で、労働省がそれを引用したのでありますが、数字自体には間違いがないはずであります。
  54. 篠田弘作

    ○篠田委員 そこで潜在失業者八百万という数字ですが、私は労働白書を読んでみまして、それが一体どこからそういう数字が出たかと思つて調べてみました。新聞社も悪意を持つて書くとは考えられませんので、どこかに数字の根拠がなければならないと思つて読みましたところが、二十五ページの四に、潜在失業者として「戦後における約六百五十方人に上る海外引揚げと復員並びに年間百五十万人を越える人口の自然増加は、直接的に雇用に対する重圧となつている。」こう書いてあります。この二つを合せると八百万になります。しかも表題には潜在失業問題と書いてあるので、この数字を合せると八百万になるので、新聞も潜在失業者が八百万あるというふうに書いたのではないかと想像するのであります。こういう労働白書というような権威のある文書において——年間百五十万を越える人口の自然増加があつたとしても、これは赤ん坊であります。これが人口問題として、わが国の現在直面する困難な問題の一つであるということは確かに認めますが、これが直接的に雇用に対する重圧となつておるということは、当らないと思う。こういうことはもう少し頭を使つて書いてもらわなければ、世間に誤解を招くし、こういう白書というものは、すべて国民の手に渡るものでありませんから、そういう誤解を生じたのではないかと私は思うのであります。今申し上げましたように、そういう点は十分に注意をして私は書いてもらいたいと思います。これは希望であります。  それからもう一つは、労災保険の問題でありますが、基進局長にお伺いじたいのは、二十四年度における労災保険のいわゆる配水額が幾らであつて、その支払い額駅は幾らであつたか。これを一つお聞きします。
  55. 寺本廣作

    ○寺本政府委員 ただいまここに正確な数字を持ち合せておりませんが、請求のありました有数は約六十三億、支払いました数字が五十三億、約十億前後が未支承いになつております。
  56. 篠田弘作

    ○篠田委員 この問題は非常に重要な問題でありまして、先般私は二井美唄のが鉱の労災保険の係の者から手紙を受取つたのでありますが、それによりますと、すでに二十四年度において三井美唄の鉱業所だけで一千万円の労災保険を立てかえておる。そして基準署に行つて請求しても、今予算がないから払えないということを言われている。これでは会社の立てかえがますますふえる一方であつて、しまいにはその要求にすら応ずることができなくなるだろう。せつかくいい制度をつくつても、それが実際に行われなければ、何もならないということを申して来たのであります。私はこの文書は鈴木労働大臣に咽人的に手渡しまして、基準局長に調査をお願いしておつたのでありますが、それがまだ御返事がありません。これはこの席で申し上げる必要はないのでありますけれども、そういうように現在全国的に調べてみますと、基準局長のお話の通り、十億に近いところの未払い金額、言いかえると、会社側からいえば立てかえ金額がある。今日の金詰まりの状態において、十億の立てかえをするのは、なかなか容易なことではありません。従つてせつかくのいい制度がてきでも、そういうような結果になりますと、いわゆる仏つくつて魂入れずということになるのであります。この十億の未払い金額はいつお払いになる考えてあるか、また払うためにとういう予算の組み方なり、あるいは補正予算なりをお組みになるお考えてあるかどうか、これをお伺いしたいのであります。
  57. 寺本廣作

    ○寺本政府委員 昨年度労災保険で多額の未払いを残したことは、私とも当局者として恐縮に存しておるところでございます。しかしこの原因は、石炭鉱業に非常な災害が起つたということが、最大の原因でございます。労災保険の保険料率は、過去における災害率を基礎にいたしまして計算いたしております。大体過去五年くらいの統計をとれば、一番正確な基礎が出るのでございますが、労災保険施行以来いまだ二年しかたつておりません。その間の災害率を基礎にして、保険料をとつておるのでありますが、昨年の前半期から炭鉱における災害は相当増加しております。この点は司令部の天然資源局から、世界第一の災害率になつておると発表せられておる通りでございます。従いまして炭鉱災害の関係で、労災保険の中でこの炭鉱だけの収支をとつてみますと、約十二億の赤字になつております。ことにただいま御指摘のありました三井美唄その他は、昨年の秋、特にここの会社を抽出して調べましたところによりますと、私とものところで保険料として徴収しておる金額の約三倍——二・八四倍だつた思つております——の保険金を支払つておるという状況でございます。そういうような状況で、災害が非常に急激に増加しつつある。そのために保険金の支払いが停滞したといろ遺憾な事態が起つたのでございます。これに対しましては私どもといたしましては、この保険料の改訂、支払いの厳重な査定、この二つでこの事態を収拾すべく努力しておつたのでありますが、保険料の改訂の方は、幸いに労資並びに中立の三者をもつて構成いたしております保険審議会においても、事態やむを得ずということで、本年度四月一日から保険料を従来三銭五厘であつたのを、五る五厘に上げるというような同意を得ておりまして、四月一日から保険料の値上げを実施いたしました。その間先ほどから申します通り、約十億の赤字があるのであります。これは石炭産業たけから申しますと、もつと赤字が大きいのでありますが、ほかの産業の異字になつておる部分をこちらにまわして、約十億程度に食いとめておるという現在の状況でございます。これが長引きますことは、保険の事務整理にも重要な支障がありますので、大蔵省と交渉いたしまして、国庫余裕金の繰りかえ使用を認めてもらうということで、第一回分五億は、すでに大蔵省と了解がつきまして現地に流してありまして、目下第二回分の繰りかえ使用を交渉中でありますので、遠からず今滞つている分はお支払いができるだろうと思います。そういたしまして災害がこれより以上増加し続けないならば、現在の保険料率で、この年度の保険経済は十分立て直し、支払いが遅延しないように処理することができるだろうと思つております。
  58. 篠田弘作

    ○篠田委員 大体今の御説明でわかりましたが、あとの五億もできるだけ早くお支払いされんことを希望いたしまして、これに対する質問を打切ります。  それから次に、先ほど運輸省の方からの御説明によりますと、超過勤務手当を入れまして、国鉄従業員の待遇は昭和二十四年度において六千七百三十七円、二十五年度七千四百六十一円、これを差引してみると七百二十四円の増になつていると御説明がありましたが、一般公務員の方はどういうふうになつているか。二十四年度、二十五年度の比較はどうなつているか。それから一方に物価下落があるのであります。物価下落に対比して、一方はわすかでも給料は上つておりますから、その対比したパーセンテージは一体幾らになつているか。今すぐでなくても、本日中てけつこうでありますから、お調べを願いまして私の手元まてよこしてください。
  59. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこれにて散会いたします。午後一時八分散会