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熊川参考人 それでは職安の
組合の立場からお答えいたします。まず第一に、
失業者が出るであろうという点ですが、これはできるだけ出さないように、国策が考えられなければならないのではないかと思います。しかし、それにはどうすればいいかというようなことを、この際申し上げることは御遠慮いたしたいと思います。
安定所の立場からは、何としても民間の企業の復興ということがない限り、
失業者はふえて行くばかりじやないかと考えておるわけであります。
従つて民間において
仕事を、特に常用的な
仕事をつくる方向に行くことが望ましいと考えております。
その次は、公共
事業についてでございますが、飯場といいますか、いわゆる住宅の問題で、公共
事業をや
つておる場所に、
失業しておられる方々が行けないとい
つたようなことで、公共
事業に対する環境、設備が十分でないということが言えるのではないかと思います。
従つて、こういう点にも善処される必要があるのではないか、こういうふうに考えます。
それから生活保護法の問題でありますが、生活保護法の適用を受けておる者は、登録をさせないというふうにな
つておるのだということを、再三
参考人の方からの御発言の中で承
つたのでありますが、これは全部が全部ということは、確証をつかんでおりませんので、全国的には申し上げられませんか、私の知
つておる限りにおいては、生活保護法は、これは職のないということが前提とな
つて、生活保護法の適用を受けるのではないかということを考えるわけであります。
従つてまず求職に来た方々は、それを登録する、登録は受付ける。そしてなお
仕事がない場合に、しかもその人の生活が困窮しておるという場合に、初めて生活保護伝の適用という問題が考えられるのではないか。しかしながら現在の生活保護法の適用を受けましても、これは非常に金額が少いということが言えるのではないかと思います。
従つて、その点についてある程度生活保護法の適用を受けて、なおかつ最低の生活ができるところまで金額のわくを上げてやるということが、必要ではないかというふうにも考えられるのであります。
それから現在の賃金の問題でありますが、これは緊急
失業対策事業法によりまして、大体
一般民間の賃金よりも二〇%または一五%低い賃金を支抑えというふうに、法律の上でな
つておるわけであります。この点は諸先生方がおつくりにな
つた法律でありますので、私からこういうことを申し上げるま七もなく、おわかりのはずであります。
従つて、この点について最近
一般の民間におきまして、あるいはその他の
仕事におきまして、常用的な
仕事が似
つて来ておる、
川崎の例はいざ知らす、全国的に見れば、こういうことが、数字の上に現われて来ておるのではないかと思います。そういたしますと、この
失業対策事業費でありますけれ
ども、この
失業対策法第一條にうたわれ、おる通り、これは暫定的な
措置だということにな
つておりますが、現在の社会情勢の中では、これは常用的な、ま
つたく生活そのものと結びつけた中じ考えなければならないほど、
失業対束法が制定されたときの情勢よりは、もつともつと深刻な問題が、これは定職こいう問題とも結びつけて現われて来ておるという、この社会現象を考えるこきに、この
失業対策法によ
つて盛られてある、二〇%または一五%賃金を低くしろというような点につきましても、改正の要があるのではないか、こういうふうに私
たちは考えておるわけであります。そういうことによりましても、なおかつわくをふやすということは、これはどうしてもやらなければならない問題じやないかというふうに考えるわけであります。
それからさらに御婦人の方で、御主人が働いておるのだが、どうしてもそれだけでは子供の教育もできない。もつと極端な例を申しますと、御主人が病気をしておるために、籍はあるが俸給がもらえないということも、再三私
たち見受けるわけでありますが、そういう方々に対しても、これは相当考えなければいけない。すなわち御婦人の働き得るような
事業を、この
失業対策の中でも考えなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。と申しますのは、現在
失業対策事業につきましては、大体
事業の種目というものがきめられておりますが、その中には御婦人に向くような
事業というものは少いのであります。そこでわれわれは、それでは困るということで、御婦人に向くような
事業場を見つけてくれ、つく
つてくれということを市当局にお願いしておるわけであります。
事業はあくまで国庫補助の形におきまして市町村当局がやるわけでありまして、私
たちは單にあつせんをするということにな
つておるわけであります。ところが、これはお調べを願
つてもさしつかえありませんが、ややもするとこれは例外中の例外と思います。また日にちを記憶しないので、
はつきり申し上げることができないのを残念に思いますけれ
ども、千葉県の例をとりますと、この
失業対策事業をどうするか、
失業者の方々をいかにして救済するかという問題で、
失業対策事業を中心として、千葉では現在千葉市、船橋市、市川市、銚子市の四つの都市が
失業対策事業をや
つておりますが、その四市の土木
課長さん方のお集りを願いまして、県の職業課が中心にな
つてや
つたことがあります。そのときに、これは船橋の土木
課長でありますが、あのやろう
どもがうるさくてかなわない、というような暴言を吐いた事実があります。私も非常に憤慨いたしまして、そういうようなことであるから、船橋の
失業対策事業は満足に
行つておらない。やろう
どもとは何だということで、非常に食い下
つて取消しを迫り、取消していただいたことがありますが、そういう方がまだあるんじやないかというようなことです。こういうことも何らかの形で反省していただかなければならないのじやないか、こういうように思うわけであります。なおかつ、ある場所においては
失業者があぶれているし、ある場所においては満配だとい
つたようなことも聞きますので、やはり賃金の点はこれは全部国庫補助とい
つたような形で、施設とかそうい
つた方面を市町村で持たせるとい
つたようなことにすれば、この点地域的に交流ができるのではないか、こう思うわけであります。たいがい聞いてみますと、われわれの方でも三分の一の賃金を拂
つているんだ、だから
自分の市の救済はやるが、よその
失業者はあまり好ましくない、これはひとつ御遠慮願いたい、とい
つたようなことを言う市当局があるわけであります。そういう点も賃金は全部国庫補助だとい
つたようなことになれば、この点もある程度地域的に操作ができるんじやないか、いわゆるあぶれの点についての交流かできるのではないか、こういうように思うわけであります。
それから御婦人の問題につきましては、授産所とい
つたようなものをもつともつと真剣に考えなければいけない。授産所の問題と託兒所の問題が非常に関連性があるのではないか、こう思うわけであります。現在のところは託兒所というものはほとんど少いのであります。ことに作業の場所柄、先般のニユースでも、東京都の某所でや
つておる作業場のニユースが出ております。子供さんが泣いておる。しかもお母ちやんがモツコをかついで、
自分の泣いている子供を見ながら、それにおつぱいも與えられない。あの
現場を私はニユースで見たときに、やはりその職場に携わ
つておる者の一人として、じつとしていられない気持があ
つたのであります。こういうような点もやはり考えてやらなければならないのではないか、こういうように思うわけでありす。
それからなお先ほど
安定所の問題については、いろいろお願いをいたしましたので、御了察お願いいたしたいと思いますが、実際
日雇い労働者を
紹介する場所を
安定所と切り離した場所にする。なおかつ
日雇い労働者の方々が現実に休憩する場所もありません、ほとんどのところが休憩する場所もないのじやないか、こう思います。そういうような点につきましては、やはりたまには雨も降る場合もありますから、ちよつとした雨宿りができるというような場所あるいはこれから暑くなりますと汗ばんで参ります、上着を脱いでおかなければならない、脱衣場とい
つたようなりつぱなものでなくとも、いわゆる盗難のおそれのない、そういうようなものを保管することのできる所も設備するとい
つたようなことも、これは考えなければならないのではないかと思います。こういうようなことが現存非常に
要求とな
つて現われているようであります。そういうような点につきまして、できるだけ早く
措置していただかれるならば、現在の
日雇い労働攻勢というものも、そういう面から少くも緩和されて行くんではないかということだけは、
はつきり申し上げることができるのではないか、こう思います。職安
組合の立場から、労働攻勢に対してどういうふうにすればいいのかとい
つたような点については、以上八点にわたりまして申し上げたのであります。
それから
警察力の問題でありますが、これは再三問題にな
つたことでありまして、私
たちは決して物事を荒立てて行くということは、絶対に好んでおりませんし、またそうすることが建前ではないと思います。
従つて私
たちは、気の毒な
失業者の方々の中に飛び込んで
行つて、とも
どもに相談し合うというような気持であるということ、その中から緩和される面が出て来るんじやないか、
従つて警察に対しまして、事前に連絡をとるとい
つたようなことはあり得ないということを、率直に申し上げたいと思います。大体以上であります。