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1950-04-24 第7回国会 衆議院 労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十四日(月曜日)     午後二時十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 島田 末信君    理事 大橋 武夫君 理事 篠田 弘作君    理事 福永 健司君 理事 吉武 惠市君    理事 青野 武一君 理事 春日 正一君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    塚原 俊郎君       船越  弘君    松野 頼三君       柳澤 義男君    柄澤登志子君       岡田 春夫君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君  委員外出席者         労働事務官         (川崎公共職業         安定所長)   梅津好二郎君         労働事務官         (澁谷公共職業         安定所長)   坂田虎七郎君         労働事務官         (五反田公共職         業安定所長)  本庄 竹雄君         参  考  人         (川崎土建労働         組合執行委員         長)      田代 フデ君         参  考  人         (全国公共職業         安定所職員組合         連合会執行委員         長)      熊川 廣衞君         参  考  人         (東京土建産業         労働組合常任執         行委員)    沖田 正人君         参  考  人         (城北千住労働         組合執行委員         長)      菅野 四郎君         参  考  人         (東京土建一般         労働組合執行委         員長)     伊藤  清君         参  考  人         (東京一般労働         組合書記長)  白川推二郎君         参  考  人         (全国公共職業         安定所職員組合         連合会書記長) 野々山敏夫君         参  考  人         (五反田自由労         働組合執行委         員長)     酒井 愼作君         参  考  人         (東京土建一般         労働組合澁谷分         会書記長)   石崎 光夫君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 濱口金一郎君 四月二十二日  委員青野武一辞任につき、その補欠として山  口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  青野武一君が議長指名委員に選任された。 同日  青野武一君が理事補欠当選した。     ————————————— 四月二十一日  失業対策事業拡充強化に関する請願(橋本龍  伍君紹介)(第二八一三号)  同(神田博君外六名紹介)(第二八一二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  労働事情に関する件     —————————————
  2. 島田末信

    島田委員長代理 これより会議を開きます。  お諮りいたしますが、理事青野武一君が去る三十三日委員辞任せられましたので、理事が一名欠員になつております。それにより理事補欠選挙を行わねばなりませんが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島田末信

    島田委員長代理 御異議なしと認め、青野武一君が再び委員となられましたので、同君を理事指名いたします。  それでは前会に引続きまして労働事情に関する件を議題とし、日雇い労務者求職運動実情について調査を進めます。  お諮りいたしますが、本日の参考人として前会同様林武一君、熊川廣衛君、後藤克己君、野々山敏夫君、酒井愼作君白川推二郎君、石崎光夫君、沖田正人君、菅野四郎君、田代フデ君、伊藤清君、以上十一名の諸君より御意見を聽取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 島田末信

    島田委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。  これより日雇い労務者求職運動について議事を進めることにいたしますが、関係各位には御多用のところ重ねて御出席をいただき、委員長として厚くお礼を申し上げます。本日も前会に引続き、委員諸君より本件に関し質疑が継続されることと存じますが、各位には腹蔵なくお答えを願いたいと思います。それでは質疑に入ります。天野公義君。
  5. 天野公義

    天野(公)委員 先日の質疑に続いて参考人及び説明員の方にお伺いいたしたいと思います。まず初めに川崎所長さんにお伺いしたいと思います。この間川崎土建労働組合田代フデさんのお話によりますと、川崎で騒動が起つた一番の原因は、職安当局の方からかえつて攻勢に出て、所長暴力団の養成をしているとまで極言されておるのでございます。このような事態が正しいとするならば、これはゆゆしき問題であると存ずるのでありますが、この点に関して所長さんの御見解、御説明をお願いいたしたいと思います。
  6. 梅津好二郎

    梅津説明員 前回田代フデ氏から、所長暴力団の親方であり、所長暴力団を養成して、何も抵抗を上ない労働者を踏む、打つ、けるというようなお話がありましたが、そのことについて最も端的に現われた事態につきまして御説明申し上げます。中原のことを田代氏が申しましたので、私も中原のことを申し上げてみたいと存じます。六日にそういう事態がありましたので、六日の点について説明いたします。六日に所長声明書を大きく書いて、出張事務を取扱つておる川崎中原工事事務所の建物の廊下に大きく書いたものを張つたのでありますが、その声明書参考のために申し上げます。   労働者諸君に告ぐ  現在中原における失業対策事業への労働者紹介は著しくゆがめられ、組合側の強要により、安定所職員はときとして枠を無視した紹介を余儀なくせられ、またはその身辺を取巻かれ、暴力的示威行動による圧力を加えられる状態であると言つても過言ではない。もともと中原地区に於て失業対策事業を実施するごととなつたのは、労働者諸君がわざわざ安定所まで出向いて紹介を受けるのでは、時間と交通費の負担少からぬものがあるから、これを軽減する意味において、諸君のためを思い始めたことなのである。いわば市や県の事業実施主体安定所の好意が結実したものである。しかるに中原派遣職員は、今や諸君の重圧にたえかね、次々と配置換えを訴えて来ている。所長としてもはや事態をこのまま放置するわけには行かない。諸君要求する完全就労安定所にすべきではなく、ましてや出張所に派遣している職員圧力を加えて獲得すべきものではない。安定所は業務の執行機関であり、いかに諸君要求せられても枠内の仕事しかできないのである。そこで私は諸君に訴える。安定所は枠内に於て紹介計画を樹て、班制に依る紹介を実施する。これは安定所の権限であつて紹介については諸君の干渉は許すわけにはゆかないから、安定所方針従つて欲しい。若し今日以降従来の如き行動を繰り返へし、職員に威圧を加へる如きことあらば、私は断乎次措置をとるものである。    一、緊急失業対策法施行規則五條発動を、労働大臣要請する。     第五條 労働大臣は、左の各号の一に該当するときは、当該失業対策事業停止又は中止を命ずることが出来る。       ◎三、事業の正常な運営を妨げる事態が発生した場合    二、中止解除後は、高津分高津に於て扱い、中原及び南加瀬分安定所より紹介する。    三、高津に於ても紛糾する場合は、事業停止要請する。       昭和二十五年四月六日        川崎公共職業安定所長    中原地区労働者各位  これは従来私どもの方から派遣しておる職員が、ことごとくいじめつけられている。弁当も食べられない、あるときは便所に行くことも妨げられて意のままにできなかつた、そういう事態を訴えて来ておりまして、所長としてはもはやこのまま放置することはできない、もうあすから行くのは何とかかんへんしてもらいたいということを、しばしば言われたのであります。しかし私は労働者諸君会つてよく事情を訴えろ、できるならば職員が何ら危惧の念なく行けるように皆に訴えて、協力をお願いしろ、そういうことで職員をなだめてやつていたのであります。この事態が起きたのは六日でありますが、もう四日になりますと、四日の晩には労働者尖鋭分子が、これはもつばら幹部でありますが、中原工事事務所に入つておりまして、おれがひつぱられたらお前がかわるのだ、お前がやられたら、かわりはだれということで、大人ばかり次々にひつぱられることを前もつて予想して、徹底的に闘うのだという情報が入つて来た。警察の方では非常に心配して、私どもが要講するまでもなく、中原工事所要請によつて川崎市警本部から、五日の朝武装警官がトラツク一台に乗りまして、何とか事態を穏便に治めるようにするということで出動したのであります。私は六日に労働者に会うことになつていたのですが、事態が非常に険悪だというので、間違いのないように、五日の朝中原警察署行つて打合せをしようと思つて工事所に入つたところ、私どものところの庶務課長労働課長が二人見えていた、どうしたのかと言つたら、そういう事情がわかつた。そこで警察の自動車に乗つて中原署まで行つて、どうも私ども要求することと、労働者要求することとは、まつた正面衝突のような形でありましたので、私どもが六日に会うについては、警察の方でも、どうぞ十分私どもを保護するようにお願いしたいということを要請して参つたのであります。でありますから、警察がかつてに来て、何もしない人々に暴力を加えたということは、まつたくないのであります。六日の朝になりますと、その当時は大体二百名——五日までは百五十名でありましたが、六日から二百名の紹介が出て来た。そのときに三百名以上の者があそこにおつた。私は組合幹部要請によつて、全部の労働者のところに参つて、少し小高いところから、安定所としては特に事を構えるものではない、諸君安定所方針に協力しさえすれば、何も今掲げたような措置をとろうとするものではない、出張所でも何でもない、ただ紹介のための出張事務を扱つておる所であり、責任者ではないから、要求を持ち出さないでくれ、要求することがあれば、安定所に来て、所長その他課長等要求してもらいたいということを訴えたのでありますが、しかしこれはもう全面的に拒否され、中原責任者を出せ、そうでなければ所長なり、課長なりが、週に二回ぐらい必ず来いという要求なのであります。この二つの要求は、安定所としてはとうていいれることのできない現在の実情であります。人員も少いのでありますし、大体よその事務所を借りて朝の紹介だけをやつておる、そういう実情なのでありまして、ここに責任者を置くということはとうてい許されないことなのであります。そういう点で、六日にも事を構えるというものではなくて、安定所職員が来て、紹介事務が支障なく済んだら、失業認定——これは待機期間中やるのでありますが、失業認定をして、その事務が済んだら、どうぞ安定所に帰り得るようにしてほしいというわけで、普通に行けば、遅くとも九時までには安定所に着くのでありますが、それがこ時余から、三時半、遅いときには四時過ぎに来て食事をしなければならぬ。しかもただでは帰さない、所長を連れて来るように努力しますとか、そういう一札を書かなければ放免されない、そういう実情に置かれまして、六日交渉を進めたのであります。私は全部の人に会つて、全部の人の声を聞きたい、もし全部の方が協力してくれるのならば、従来と同じように中原紹介をしましよう、これに協力してほしいと言つたのですが、全部の声は聞けなかつたのであります。労働者は申しません、一部幹部のみが発言をするのであります。こういうところでいくら押し問答を繰返してもだめなので、私は事務所引揚げました。そうして代表者を選んで、代表者交渉したのでありますが、初めから私の方で断つておる責任者を出せとか、所長なり、課長なりに一週間に二度ぐらい来い。それならば協力しようと言うのです。いろいろ條理を盡して申したのでありますが、とにかく自分の方の言い分を聞かなければ絶対に協力しないと、あいかわらず威圧的な行動を繰返すわけでありますから、私どもとしては、これ以上ここで交渉を進めることはできなかつたのであります、新聞紙上交渉が決裂したといつておるのは、つまりこのことでありまして、自分の方の安定所出張所であり、あるいは分室であるという場合には、私は待機要請するのでありますが、人の事務所を借りてやつておるのでありますから、交渉が決裂した以上、もはやとどまることはできない。そこで、警察に前にお願いしてありますから、どうぞ帰してください、もうこれ以上交渉を進める余地はありませんから、帰してくださいということを言つたのであります。しかしながら二重、三重のスクラムを組んで、私どもが帰ることを妨害して帰してくれない。従つて警察の方がそのスクラムを解いてくださつたのであります。私は自分の目で、いまだかつてなぐる、けるという実情は見ておりません。ですから安定所長暴力団の親玉であり、暴力団使つたということは、まつたく当らないと私は申し上げたいのであります。  なおこれは中原の一例でありますが、安定所長暴力使つたかどうかということは、三月二日の事例をもつてしてもよくわかるのでありますこの三月二日というのは1県の土木出張所入江崎の方に工事所を持つておるのでありますが、この入江崎現場では、その近くの部落におる特定の人にだけ占められてしまつて日本人は一名も仕事に行けなくなつた。そうして近くでありますから、十一時過ぎると自分の家に帰つてしまう。そうして十二時半になつても来ない、一時になつても来ない、一時半になつても来ない、従つて作業能率はがた落ちでありまして、一人前の人間からいうと三〇%以下になつておる。このままでは事業中止する以外にはないというので、現場の技師が二人、私どもの方に見えて訴えて来たのであります。まさにこういう事態が起きたら、先ほど言いましたように、施行規則五條発動要請して、この事業をとりやめる以外にないのであります。仕事能率が二〇%以下、ひどいときには一五%以下になつておる。そういう実情であります。私どもとしては、ほかに打つ手がある。今特定の人に占められておるのを、班ごとそつくり持つて行つて日本人も何も公平にその職場に行つて就労できるようにしよう、そのために幹部に協力してくれということをお願いしたのでありますが、遺憾ながら返事は一切得られなかつた安定所においては、おれを入れろ、どうして入れなかつたかと言つて職員に食つてかかる。現場行つては絶えずトラブルがあつて現場の人はあきあきしている。そういう事情でありまして、それでそういう要請になつたのであります。私としては二月の二十六日ですか、その日を期してやりたかつたのでありますが、ちようど機熟せず、大体私がからたをこわして寝込んじやつた。そういうような事情から、機熟さずして、三月になつてしまつたのであります。それで青はいろいろな情報がありましたので、いよいよれ三月を期して班ごとやるということを始めたのであります。この班ごと紹介するというのは、だれから見ても不合理と言う者は一人もないはずなのであります。安定所紹介するにも都合がいい、現場で使うにも都合がいい、これは作業能率向上の点からいつても、非常に都合がいいわけであります。また労働者諸君からいつて都合がいい。今のままでは閉鎖しなければならぬわけです。閉鎖すればわくが減ずる。従つてだれにも都合がいいわけでありますが、それがそうでない、非常な妨害を受けてしまつた。このときも警察官要請したのでありますが、ここにおられる、金曜日に参考人として立たれた田代フデさんなどは、両手を広げて女子紹介妨害しております。そういう事態でおる。必ずしも職員に暴行を加える以外に、そういう妨害事実が非常に多い。これは私ども率直に申し上げたいのであります。  なお三月二日に強行しまして、三日、四日といろいろトラブルもありましたが、その後においては、一切そういうトラブルがなく、かつては二〇以以下といわれた能率が、六〇%以上にも達しておるということを、現場責任者から私の方に言つて来ておるのであります。その他妨害ということをもう少しこの機会に申し上げたいのでありますが、これは闘争ニユースとして、川崎土建一般労働組合職安支部から、闘争委員会の名で配布されたビラがございます。「十日、支部闘委組合員八十名とともに今日働かせろと完全就労闘争を開始。安定所長不布につき」これはちようど私は県に会議がありまして、出ておりました。「安定所長不在につき、労働課長と強力な交渉を行い、午後十二時過ぎまで強い団結をくずさずがんばり続け、とうとう次の事項を獲得し、電車がなくなつてとまり込んだ十八名を残して引揚げた。一、今日交渉した百三十名をアブレ番の時(十四日まで)に働かせる。一、夜食費八百五十円を出す。」この夜食費については、うちの職員も非常におなかがすいておるのでありますが、職員だけ食べるわけには行かず、皆もとまつたのだから一緒に食べようということで、パンを買つた、その代金をあげたのだそうでありますが、とにかくこういうことをやつておる。百二十名をあぶれ番、出番以外で働かせろというので、これだけの要求をじてとまり込みまでやつている組合が、去る四月の三日、松竹からエキストラ官名要求を受けたのであります。四日にエキストラとして、競輪のところで使いたいという申込みがございましたので、條件が非常にいい、そういう点から、三日の朝に組合幹部に申し入れたのであります。毎日あぶれがある。何とかこの百名を——これは朝の八時か九時から、午後の二時半ごろまでで、二百円出すというのでありまして、條件がいいのであります。これに使いたいから、協力してもらいたいということを言つたのでありますが、その結果は、ばくちのお手伝いをするみたいで何だか気に入らぬ。しかし一旦皆に諮つてみようということで帰つて、そのまま私の方に連絡がない。従つて労働課長労働組合幹部の者に連絡したのでありますが、組合員が怒つておるということで、取上げてくれなかつた従つてその日のうちにマイクロフオンをもつて所内の一般求職者に呼びかけて、三日のうちに男子八十、女子二十の人員をそろえまして、四日、これは天気に恵まれて無事済んだのでありますが、四日に無事間に合つた。もつとも来ないのもありまして、一部日雇いのうちから加わつたのでありますが、このとまり込みまでしてあぶれをなくせという要求をしている組合幹部が、そのあぶれ番以外に、正常に就労できるのを拒否しているのであります。これははたして全部の声であつたかどうか。喜んで加わつた人から見れば、一部組合幹部のいわゆるピユーリタン的な考えで、全部の方が犠牲になつたのではないか、そういうふうにも考えられるのであります。  そういうふうに非常に妨害を受けておるということは明らかなのであります。十日にそうでありますが、十一日、これは土曜であります。十一日の午後二時半から士百日曜日の午前九時まで、とまり込みでまたやられたのでありますが、これもその闘争ニュースにありますから、ついでに申し上げます。「十二日、アプレ番を中心に二百名が安定所長ととまり込み交渉を行つた。一、完全就労をするために野放しをやれ。所長、ことわる、安定課長に禁じられておる。一、所長会議にこの問題を出せ。所長、イ、市町村五千、県二千のワクが四月から来るので、人員増加を見越してワク要求する。口、失業保険実情に合つたように行われるよう要求する。ハ、登録受付はもつと制限するかもしらない。二、最近ワクが、少しだがふえる。努力しておることを認めてくれ。一、今日アブレた者を使え。所長、失対の受入れ態勢がない、また班制度がこわれるから、ことわります。組合、それは大丈夫だと証拠をあげる。一失対事務所人員安定所人員が五十ないし百名も違うのはどういうわけだ。所長、失対所長から聞いてくれ。月曜日に失対と相談して班をふやして使う。以上を押問答の末、十二日午前九時ごろ市警本部から呼び出しをよいことに逃げ出したので、庶務課長に探して来いと要求返事を待つていますが、家に帰つてしまつたことがわかつたの引揚げ幹部は駅前で街頭宣伝に入つた。この間、東芝堀時分会拡声器を貸してくれた。以上。」こうなつております。こういうわけで、私どもがことごとく妨害されておるということは事実なのであります。獲得した出番外で出せ出せと言われて、結果的には、いつも私どもは求人があれば紹介するということでありますから、失業対策事務所で使いますと言うと、私ども紹介しております。その結果三月末に来まして、男女一班ずつ減らさなければならぬという事態になつております。もし出番外でぜひ紹介しろ、こういう徹夜でねばられることが再三なかつたとすれば、年度末になつてから男女一班ずつ減らすということはない。結局妨害されたために、最後に行つてこういう事態になつて、私ども非常に苦しいはめに置かれた。そういうような事態でありまして、最近の状況を以上申し上げた次第であります。
  7. 天野公義

    天野(公)委員 田代さんに簡潔にお願いしたいのです。所長さんの今のお話と、それから先日の田代さんのお話と、まるで正反対のような感じを受けるのです。特に今所長さんのお話によりますと、あなたが女子紹介をするのに、両手を広げて妨害しておられたというような話もされております。交渉経過等、具体的にお話されております。その点に対する食い違いに対して、簡單に要点だけをお話願いたいと思います。
  8. 田代フデ

    田代参考人 ただいま私の方の所長さんから、いろいろなことが申されたわけです。しかし私は断固として申します。決してうそ言つていない。これは中原の場合にも、はつきり申し上げられるのですが、こちらの方は——所長さんはみんなの声が聞えなかつたはつきり言われておるのですが、みんなは口をそろえて言つておるのです。返事をして帰つてください、きよう働かせてください、飢えさせないでください、食わせてくださいということは、みなが口をそろえて言つておることでありまして、これが聞えなかつたとしたら、梅津所長はつんぼか、おしか、どつちかなのです。決して聞えなかつたはずはない。いつも聞えているはずなのです。自分の気に入つたときには返事をするのです。自分が気に入らなかつたら、聞えなかつたかもしれませんが、お早うございますと言つても、うんとも言わない人なのです。従つて働く人の声が聞えなかつたということは、そしてそこへ押しかけておる人たちに何も返事をしなかつたということは、これはのつけからうそつたということをはつきり申し上げておきます。それから桜本の場合です。桜本行きのことを、私が両手を広げて妨害したというようなことを言われますが、これは所長さんだけが証人じやないと思います。あすこで働く人はみんな見ております。しかも警察官要請されているときに、私がもし妨害したとしたら——みんなはつきりと拒否しているじやありませんか。あぶれ番がいつも出ているんです。あぶれ番が出ているのに桜本番に人が出ているというわけはない。だからあぶれ番から出してください。私たちは働かなくちやならない。一人でも紹介されるのが減ることはいやだ、だからあぶれ番から出してくださいということをお願いしたわけなんです。ところがその日になつて急にいけない、どうしてもここから出すんだということを言われるので、私たち百五十人の人たちをあぶれさせるのはいやだというので、それなら一班か二班ふやしてください。ふやすんだつたお話もできるけれども——その前に所長さんのお話を、幹部の一、二の人が聞いているのです。はつきり班を二班ふやす、男の班一つと女の班を一班ふやして、それを桜本へやろうと思うがどうか、というお話はあつたわけです。ところがそれに対しては、私たち組合の一つの決定として、働くところを固定化するということが組合の職場決定になつておるわけです。大会の決定なんです。ですからこれをやられるということは、もう一度大会を開いて、みんなの意見を聞かなけばだめだ、どうしてもそういうことけまだできませんから、大会を開くまで待つてくださいという返事をしていたわけです。ところが今も言われましたように、三月の三日になつて突然そうしたことをなされた。だから私たちは待つてください、百五十人がとにかく使われないということは、私たちにとつては大きな問題でするこれをほかから持つて来て、今まで使つていたのを使われないということならば、みんな反対しますよ。私だけが反対するはずはない、みんなが反対しておるわけです。それでみんなの反対の先頭に立つたのが私というわけなんです。そうして條理を志して、反対する言葉を、代表して私が言つただけなんです。従つてそこに警察官もいたわけなんです。から、もし私が大手を広げて紹介しようとするのを拒否したら、私はあげられている、ひつばられているはずです。ところが現在ひつばられていない。従つてそうしたことは、まるつきり初めからうそだというわけです。  それからもう一つ、中原では初めから所長さんが市警本部に連絡をつけられていたということは、中原所長さんがはつきり証明しております。従つてこれは、初めから所長さんの方から要請があつたということになるわけです。そうしてスクラムを組んで守つたから、しかたがないから解いたということを、はつきり所長さんも認められているわけです。そのとき私はスクラムは組んでいません。ただ返事をしてくださいということを叫んでいたわけです。お願いします、お願いしますというので、そこで待つていたわけです。ですから、みんなが返事をしてください、返事をされるまで待つてみようという態勢をとつていたわけです。そこを警察官の人がこ、三十人、振りわけてスクラムを解いたと言いますけれどもスクラムを解いたのではなくて、飛び込んで来て、首を絞上げた。それからあるおばあさんの胸をひつつかんで、壁ぎわに、ぎゆうぎゆう挿しつけた、こうしたことがなされたんです。そうして飛び出してから、どうしても私たち返事を聞かなければならぬというので、追つかけて行つた。ところが所長さんのあとまで行くと、みんなひつばられて押しつけられた、みんなどろんこにされてしまつたのです。私自身がそうなんです。これは労働者のうちに初めから忍び込ませてやられていた、計画的な暴力ざたということが、はつきり言えると思います。  それから闘争ニユースのことですが、闘争ニユースにはそういうようなことが書かれております。これは事実でしよう。事実書いたんですから……。しかしそのとき、はつきり申し上げますが、二百のわくが一応来ました。これは何も所長さんのお情けでくださつたわけでも何でもない。私たちが今まで何とかわくをふやしていただきたいということをお願いしていたために、十九日から来るということになつた。ところがそのとき私たちはまだそれを知つていなかつた。そのときはつきり知つていたことは、六百からのわくが「余つていたということです。私たちはきよう働かなくちや食えないというのに、六百からのわくが余つているというこの事実を知つたわけです。これを働かせろというのは、労働者としてはあたりまえのことだと思う。これを拒否したから、十二時までもとまり込みしなくちやならない、あたりまえなわけなんです。これを拒否して、そういうようなことをやられたのは、はつきり所長さんだ。従つて所長さんが挑発したということははつきり言えると思うんです。
  9. 島田末信

    島田委員長代理 参考人の方にお願いいたします。御答弁はなるべく簡單に要点だけをお願いします。
  10. 天野公義

    天野(公)委員 今度は所長さんにお願いしたいのですが、今田代さんのお話では、やはり先ほどのと大分食い違いがあります。これは水掛論になるかもしれません。しかし今の田代さんのお話の部分に対して、所長さんとして事実であつたかないか、その点を簡單にお願いいたします。
  11. 梅津好二郎

    梅津参考人 中原において私ども警察官スクラムを解いていただいた。そうして駅へ引上げましたが、うしろの方で、はたして田代氏がどろんこの中にころがされたかどうかということは、安定所職員は全然知つておりません。その点については事実かどうかということほ申されません。そういうふうに壁に押しつけたり、のどを絞め上げられたりというようなことは、私ども職員はこの目で見ておらない、そういうことであります。  それから、六百のわくでありますが、十一日から十二日にかけてのとまり込みは、現に六百ないし千も余つておる。これはどうしたんだというようなことでねばられたのでありますが、安定所としては、実際に失業対策事務所行つて調べなければわからない数だ。組合を疑うかということを責められるかと思いますが、実際は行つて調べなければ、事実であるかどうかはわからぬし、安定所として班をふやして使うということは言えないのであります。その点は食い違いがありましたが、たしか百五十余つてつたようです。しかしこれは班ごと紹介でありますので、あるときはこの紹介予定数よりも多くなり、あるときは少くなる、そういうことで操作上どうしても必要な数でありまして、そういうのが吐き出された結果、三月末日に男女一班ずつ減らさなければならないということになつたのであります。そういうように考えております。
  12. 天野公義

    天野(公)委員 時間も大分経過しておりますので、次に進みたいと思います。熊川さんにお願いいたします。林労働局長は、今回問題になつておる求職闘争というものが、大体東京都を中心として見た場合に、計画的に行われた。しかも闘争の大きな事件の指導者というものは、ほとんど共産党に関係しておるものである。どうしても計画的であると言わざるを得ないということを言つておるわけでございます。熊川さんは全国の職員組合委員長をしておられて、全国のこれらの闘争のいろいろな実情というものをよく知つておられると思いますので、熊川さんからこの職安闘争の計画性、暴力性、これらについてお話願いたいと思います。
  13. 熊川廣衞

    熊川参考人 実はこの日雇い労働攻勢の問題については、私たち組織といたしましても相当重大関心を持ちまして、このことがもしうまく行かなければ、安定行政が手をあげてしまうということは、とりもなおさず、社会的な大きな不安を惹起する状態にまで追い込まれるであろうといつたようなことを痛切に感じまして、去る三月四日から、大阪で私たちは全国大会を開きました。そのときも、これに対して安定所職員は、むしろ組合は、今後どういう態度で臨むかというようなことを、しかも外来からも相当傍聽の方がありましたが、これは相当重大な問題であるというような観点に立ちまして、秘密会議をいたしまして、この問題を中心としてある結論を持つたのであります。その結論の中から申し上げますと、まず第一に日雇い労働者の個々の方々に対して、すなわち失業者の方々に対しては、安定行政の中にその職を奉ずる私たちといたしましては、気の毒だという親心をもつてあくまで臨まなければならない。これが第一点だつたわけであります。しかもなおかつわれわれは、この日雇い労働者を、失業対策事業の方に吸收するのみに職員がとどまつてつてはならない。安定行政の基本線であるところの、民間の日雇いの求人を開拓することをまず第一に考えなければならない。この方面に相当努力を拂うべきことが考えられる。第二には、公共事業拡充強化に伴つて、その面にも相当数の失業者の方々を吸收していただくように、安定所としても努力を拂うべきではないかということ。しかしながらこれほど大きな問題に対して、私たちは最近しきりに起つておる暴力に対しては、断固職員として十分結束してこれに当る、暴力は徹底的にこれを排除する。これが私たち組合の基本線として決定された決議であります。そういう観点に立ちまして——その後もしきりにいろいろな情報が入つて参りました。これにつきまして今月の十三日から執行部会議を持ちました。執行部会議出席した地域的な者を申し上げますと、まず九州は二箇所、すなわち福岡の安定所に勤務しておる方、熊本に勤務しておる方、それから徳島の池田安定所に勤務している方、鳥取に勤務している方、それから大阪の安定所に勤務している方二人、奈良の桜井の安定所に勤務している方が一人、愛知の北安定所に勤務している方、それから岐阜の大垣に勤務している方、それから千葉から二人、茨城の水戸の安定所に勤務している方、それから長野の方、宮城の石巻に勤務している方こういうメンバーが集まりまして、この日雇い攻勢に対して、安定所はこれほど非常に険悪な状態に追い込まれておるのだが、これは一体どうしたことなんだといようなことで、いろいろと検討を加えました。その結果われわれ執行部として、この実情に対して、私たちは率直に、大会で決定された基本線の三つといたしまして、いかなる党派の中にもわれわれは結びつかない。いわゆる厳正中立で行くんだ、このことなしには、すつきりした安定行政、いわゆるわれわれ職員の任務は遂行できないだろう。この基本線に立つてつたわけであります。その三つの基本線の中から出た執行部会議においての結論は、はたして一部でいわれておる品ように、あるいは共産党の組織的な指導によつてこの行動が行われたのではないかという問題も、取上げたわけであります。その結果、共産党がこういうようなことをやつておるかどうかということについては、遺憾ながら党からの地方細胞に対する指令というものを、われわれは確認しておらない。従つて、そのことははつきりと言うわけには行かないけれども、現われて来た事実の中で、すなわちこの暴力は別問題といたしましても、交渉に当る大半の幹部の方々は、反共の方々でないということだけは、はつきり言えるであろうということを私たちは結論づけたわけであります。その線に立つて私のお答えといたしたいと思います。
  14. 天野公義

    天野(公)委員 この闘争というものが職安の職員の方々の勤務に重大な支障を及ぼしており、またその勤務條件にも非常な負担を加えておるように聞いておりますが、その点に関してのお話を承りたい。
  15. 熊川廣衞

    熊川参考人 御説明いたします。実際ただいま御同情ある御質問をいただいたのでありますが、まつた安定所職員が非常に脅威を感じておるということは、いなめない事実だと思います。なおかつ、たくさんの求職者の方方が安定所に一挙に入つて来られますと、安定所の現在の運営のやり方から行きまして、業務がそれだけ停滯するということははつきり言えると思うのであります。たとえばここに参考までにアカハタに掲載されました新聞の写真を持つて参りましたが、こういうような状態でありまして、安定所の窓口にたくさん参りますと、一人々々の方にお聞きしなくちやいけないのでありまして、私たちは業務遂行上非常に停滯を来すということは、はつきり言えると思うのであります。そういう中におきまして——しかしながら、何としても私たちはこの問題を與えられた職務として、がんばつて行かなければならないというようなことも考えて、大きな決心をしておるのでありますが、現在のところすでに皆さんも御存じだと思いますが、私たち職員がきわめて労働過重の状態に追い込まれておるということは、はつきり申し上げることができると思います。私たちは現存朝の六時に役所に出勤するのでありますから、従つて少くも、家族が三時半ごろ起きて、御主人に御飯を食べさせるというようなことになりますと、家族ともども相当の労働過重であるということは、はつきり言えると思うのであります。しかもなお安定所そのものがきわめて不潔であるということも、はつきり言えるのではないかと思うのであります。と申しますのは、しよつちゆうげたばきで来られる方もありますし、いろいろそういう点からも、なお安定所そのものが狭隘であるといつたような点からも、きわめて不衛生な状態にあります。従つてその中で私たちは朝早くから夜遅くまでやるんでありますが、最近これらの労働過重に伴つて、私たち職員がどしどし倒れて行くという事実を、率直にここで申し上げなければならないと思うのでありますると申しますのは、先般二月一日現在の共済組合の中で、三月以上長期欠勤をしておる方の数字を調べたところが、これが定員一万九十二名中三・三%が三月以上の長期欠勤であります。従つて三百五十七人が長期欠勤者であるといつたような状態になつております。そういう中からも、私たちがいかに労働過重ではあるけれども、しかしその中でがんばり抜いておるかということを御了察願いたい、こう思うのであります。  それから私たちの業務遂行上いろいろ不便な点が多くあるわけでありまして、まず職員が足りないのではないかというような点も、率直に申し上げなければならないと思うのであります。と申しますのは安定行政、いわゆる安定所で行う業務というものは、るる御説明申し上げるまでもなく十分諸先生方は御了解のことと思いますので省略させていただきますが、私たちの生命というものは、あくまで求人開拓である。求人を開拓することによつて、ある程度失業している方々、その他職場の職務の転換を希望される方々に対しても相当できるのではないか、こう思うのでありますが、これは手不足のためにできないといつたような現状であります。それから旅費などにつきましても、きわめて少額であるということがはつきり言えるのではないか、こう思うのであります。現在私たちが、この昭和二十五年度の年間予算の中で、一人当り計算いたしますと、いわゆる求人開拓に一安定所五人以上出ると仮定いたしまして、四百十五箇所、これは職員が少いところもありますので、五人以上求人開拓に出られないところもあります。大体五人以上求人開拓に出られるところは、四百十五箇所ぐらいでありますが、これが二千七十五人になります。この人々が大体において一日、年間予算でどのくらいになるかということになりますと、昭和三十五年度の予算の中からは、一人四十七円といつたような、きわめて少額なものでありまして、こういう中で自腹を切りなからでも、私たちは求人開拓に当つておるというのが現状であります。それから超過勤務などにいたしましても、宿直日直をとりますと、大半残らない、現在の予算の中からはほとんど残らないというようなことで、朝六時に出まして、それから残務整理のために八時までも私たちはがんばつておるのであります。もちろんこれは全職員ではありません。しかしながらそれにしても、宿直日直などをとりますと、きわめて少い。従つてこれらにつきましては、いわゆる報酬の立場からは何ら裏づけがなく、奉仕をしておるといつたような現状であります。大体私たちはこういう中で、ぜひ私たちがほんとうに仕事のやりいいように処置していただきたい、こういうことによつて、私たちが本腰をすえて、今後ともに仕事をやつて行けるのではないか、こう思うのであります。以上申し上げましたことで、私たちの勤務そのものが、税務署の方々がやつている勤務と、何ら現在のところかわつていないのじや万いかということを、はつきり申し上げることができるのじやないかと思うのであります。従つてこの点に対しまして私たちは、この際できますことならば、税務職員と同様の特別給の取扱いを、ぜひ措置していただきたいということをお願いしたいと思うのであります。はつきり申し上げますが、この日雇い労働攻勢に対しましても、私たちは先に申し上げました基本線に向いまして——今後おそらくそういうようなことは望むべきことではありませんので、また私たちはこの失業者の方々の中に飛び込んで行つて、そうして失業者の方々の気持を私たちの気持として、今後ともにやつて行くということが確立されておりますから、今までのような危害というものは、今後少くなるのではないか、こうも思いますが、しかしながら将来に対する事態を、はつきり私たちとして申し上げることは困難であります。見通しとしては困難であります。とにかく私たちは身命を賭しても、この問題に対して、自分たちの與えられた任務を遂行するというはつきりした決心だけをしておるということを、申し上げたいと思うのであります。
  16. 天野公義

    天野(公)委員 次にお伺いしたいことは、東京でも各所長がつるし上げにあつておる。足立の所長さんのごときは、洋服を破られたというようなぐあいになつておりますし、また先日の大阪の野々山さん、名古屋の後藤さんのお話によりますと、所員の方々で相当身体的な傷害を受けられた方もあるようでございます。またいろいろ交渉によつて、しらみ戦術、スコツプ戦術、ガス戦術というような戦術で闘争が展開せられておるようなところもあるようであります。そうしてこれらの求職闘争のために、求人が減るという事実ガあるやに聞いておりますが、その点をお伺いしたいと思います。
  17. 熊川廣衞

    熊川参考人 御説明申し上げます。いわゆるこの求職闘争のために求人が減るということ、それはちよつと私から御質問の内容について質問してさしつかえございませんか。と申しますのは、求人が減るということについては二つの面があると思います。すなわちそういうふうな悪質な、乱暴するのであれば、そういう方はいらないという面においての求人が減るということと、それから安定所の業務がそのために停滯するがゆえに、求人開拓ができなくて、求人が減るという、こういう二つの面があると思うのですが、どちらの方ですか。
  18. 天野公義

    天野(公)委員 両面を簡潔に。
  19. 熊川廣衞

    熊川参考人 第一の業務の途行が円滑に行かないために、求人が減るということは、遺憾ながらその通りであります。と申しますのは、何としても求人開拓が私たち安定所の生命であります。御存じの通り安定所仕事をつくるところでは絶対にありません。いわゆるつくられた仕事を見つけ出して、職を求める方との間においての結合の役をするのが、安定所の任務であります。そういう中から、私たちはどうしてもつくつてくれた仕事を見つけに歩かなければいけない。これがすなわち求人開拓なんですが、五十人も六十人も来られますと、その方の措置に手をとられまして、求人開拓が十分に行われないということが言い得るわけであります。この点現在のところ、そういうような状況にあるということを先般の執行部会議でも一応確認したわけであります。  それから第二点のことでありますが、これは私たち遺憾ながらまだその方面の資料は十分につかんで来ておりません。ただ私、けさ千葉から参つたのでありますが、こういう事例を申し上げたいと思うのであります。私、千集の安定所に勤めておりますので、けさちよつと安定所に寄つて来たのでありますが、労働課長が私に、あそこの自由労働組合の書記長さんは石毛という共産党員の方でありますが、市役所に対しては安定所の方から優秀な方を向けてくれというようなことで、失業対策関係ではなくて、あそこのどぶ掃味でありますが、その方面に市役所の方から求人があつた。それで石毛さんに行つてもらつたらどうかということで実は紹介をした。ところが市役所の方では、共産党員は使わない、おれらは使わないということを言われたのだが、どうなんだというようなことを実は言われたということで、安定所としては、そんなことは絶対にない。われわれはいかなる党に属しようが、属しまいが、そういうことは抜きにしておせわしておるのであつて安定所職員は、共産党の方はある職場には向けない、そんなことは絶対に言うた覚えもないし、またそういうことは安定所の方の建前からいつても絶対にあり得ない。それで市役所のどなたが言うたか、はつきりしなければいけないから、ぜひひとつ石毛さん行つてつれて来てくれということを頼んだところが、つれて来ると言つて出たまま、私こつちに来るまではつれて来ませんでした。おそらくこれは何らかの間違いじやないかと思います。ただ求人との関係でありますが、日雇い労働者の方がが全国的にどうかということは、先はど申し上げましたように、十分調査伍しておりませんので、残念ながら申し上げられませんけれども、ただ千葉の一つの例を申し上げますと、日雇い労働者の方々は勤務があまりまじめでないというようなことで、最初民間の方からは相当苦情が出たのであります。それに対して私たち直接出向いて参りまして、能率が上らないということも事実あるのじやないか。私たち能率が上らぬということは絶対に言えない。なぜならば、この方々は失業しておる方々である。あすの食事をどうするか、心配する方々だ。しかも千葉は百九十二円でありますが、百九十一円の金で、何人かの家族がその日の生活ができるかというような点から考えまして、いろいろあぶれたり何かもいたします。まず健康上、いわゆる体力からいつても、一般のおいしい物をたくさん食うておる労働者の方々と同じ程度の能率を上げろ、そうしなければ雇わないというようなことでは、あまりにも苛酷過ぎはせぬかというようなことで、そういう方々に対しては、私たち直接出向いては現在説明を加え、理解ある同情にすがつておるわけでありますが、最近はそういうことは千葉の場合絶対にないようであります。大体以上であります。
  20. 天野公義

    天野(公)委員 それからもう一つ熊川さんにお聞きしたいのですが、職安闘争の指導者は、どうしても遺憾ながり共産党員が多い、こういうことを言われたわけですが、大体指導者の種類は、共産党員であつても、細胞であるこか、それから議員をしておるとか、そういうような区別で、どういう方が争いか、おわかりになつていたらひとつ言つてください。
  21. 熊川廣衞

    熊川参考人 その点、私共産党に対する知識がありませんので、どういうことになつておりますか、十分には知りません。ただ党員の方、いわゆる党に属している方がおもであるということだけを申し上げたいと思います。この点でまことに申訳ありませんが、御了解願いたいと思います。
  22. 天野公義

    天野(公)委員 澁谷の所長さんに、一点だけお伺いしておきたいと思います。それは職よこせ闘争に参加してやつて来る者の中で、失業対策事業の正当な対象となり得る者の割合は、どのくらいであるか。それから代表者交渉の態度、また共産党系統の就業者の就労態度に、何か特徴があるかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
  23. 坂田虎七郎

    ○坂田説明員 第一の、求職者の割合の問題ですが、澁谷の場合におきましては、私の見たところ、約半数がほんとうの求職者じやないかというように考えます。  第二点の、交渉の態度といいますしと、ともかく口調が非常に激越な口調である。私どもとしましては、一つの団体交渉的な形をとろうとしましても、ほとんどその求職闘争の指導者といいますか、組合幹部人たちの態度が、全部が代表である——それが静かにといいますか、ともかく静かに団体交渉的な交渉ができ得ないようなことが、よく醸成されております。  第三点といたしましては、私の方としましては、輿論で、いろいろうわさもありますので、実際現場に行きまして、その就労状況も見るのでありますが、共産党の関係の方と言いましても、やはり非常にまじめな方——あるいは多少はつたり的な人も多いようでありまして、一般的にどうということは言えませんが、中にはやはり非常にまじめに就業している人も多いので島ります。しかしその反面、やはり具体的にいつて、実際の仕事ができないというような苦情も、現場の方から来るのであります。全般的にどうだということは、結論的に言えないのじやないかと思います。以上であります。
  24. 天野公義

    天野(公)委員 次に、澁谷自由労組の沖田さんと、それから城北千住労組の菅野さんに、同じ問題でお伺いしたいのですが、沖田さんと菅野さんは、大体共産党の方が指導される職よこせ運動をどう見ておられるか。またその指導、方法、目的というものを、正しいとお考えになつておるか、おらぬか。以上簡潔にお話願いたいと思います。
  25. 沖田正人

    沖田参考人 お答えいたします。組合の立場からこういうふうなことを言うことは、私としてはどうも言いにくいのではありますが、この際はつきり申し上げます。まず第一にお尋ねになりました、交渉態度が民主的な労働組合として、はたして適当であるかどうかという点に対しましては、遺憾ながら私たちは、民主的な労働組合といたしまして、東京土建一般労働組合人たちとは一緒にやれません。なぜならば、これはどうも団体交渉をやる一にしましても、代表をあげて交渉するにいたしましても、われわれとは常に意見が合いません。交渉態度にしても、ばかやろうだとか、死んじまえというようなことも、もう少し言わなければいいだろうと思うほどに、言う場合がある。それからまた交渉するにしましても、われわれですと、どうも安定所だけをいじめるのではなくて、やるのだつたら、むしろ国会にへたり込む、または労働省にへたり込むというのならば、輿論を喚起する場合においても非常に効果が強いと思いますが、その点においても、どうもわれわれと一緒に行かない、どうもおかしいじやないかと思われるのであります。それから東京土建一般労働組合人たちがやつておられる運動そのものについて、新聞にもはつきり出ておりますが、私たち組合ですと、一応組合に求職相談に来るわけです。組合員がその人を本部に連れて来て紹介して、そうして安定所仕事はないものだろうか、また失対事業に働くためにはどうであろうかということを、いろいろと相談をする。私たちはそれについていろいろと懇切にお話ししております。そうして一応失対法に基いて、その資格が全然失対法に抵触する者、不適格者ならば、これは最初からあるいは生活保護法を適用するとか何とかいう、ほかの面も考えて、そういう人ができるだけよくなるように、われわれの方は考えておりますが、どうも見たところ、全部まとめて連れて行くのではないか——それは戦略戦術の立て方でございますから、われわれがどうということは言えませんけれども、われわれの組合は、そういうふうに一応組合でもつて失業者の方々、また生活困窮者の方で、現在の失対事業に適格であるか、どうかということを考え、そうして、だめな人は、その他の方法を考えてあつせんする。また当然失対事業に登録できる建前の人は、われわれとしても応援をしてでも口添えして、安定所に対して申入れをする。われわれは民主的な労働組合として、今まで代表をあげて団体交渉をやつており、またそれが成果を収めて来ております。しかしながらこの問の交渉においては、多少遺憾な点もありましたが、これは一応省きまして、大体その程度であります。またほかにあれば、お答えいたします。
  26. 菅野四郎

    菅野参考人 御存じの通り東京に十七箇所の安定所がありまして、足立はその十七箇所のうちの一部分であります。いろいろ新聞や何かを見ますと、労働局の見解としては、仕事よこせ闘争は、共産党の策謀であるということを申しておりますが、足立における動き方を、一応私の立場から御説明申し上げたいと思います。大体足立には一般労組というのは三つあります。すなわち東京土建、都北産業、城北千住の三つの組合がありまして、これが常に職安に向いましていろいろと交渉をやりましたり、いろいろなぐあいに動いておるのであります。二月の中旬のことでありますが、東京土建がビラをまきまして、直行は極力やめる——直行がなぜいかぬかというと、直行すると現場にいついてしまうために、仕事にあぶれが出た場合に、そのあぶれをまわすことができない。あぶれを公平にわけ合うためには、直行はよくないというふうな東京土建のビラがまかれたのでありまして、直行を極力やめろということで、直行をしている者が非常にたたかれたのであります。直行をやめろということを言われまして、二月二十八日にそれを組合三つが持ち寄りまして、職安でもつて会議をやつたのであります。そのときに出席された方は、東京土建秋輪君、大成君、都北産業においては須田君、鈴木君、城北におきましては私が出席しまして、いろいろ直行の問題について討議しましたところ、結局直行はよろしくない、事業主体そのものがどうしても必要だということに対して認証されたもの、これ以外は直行をやめろ、これは直行をしないで輪番制でやるんだ、こういうような点に了解がつきまして、翌日からそれを実行する、こういう建前になつたのであります。ところが三月一日になりまして、東京土建一般労組から石山君という班長が出まして、急に直行をやめろということの態度がかわつて来まして、今度は直行させろということになつて、中旬から全部直行させろというビラがまかれました。ばかにそこに矛盾があるわけでありますが、全部直行をするという、その理由は、現場にすぐにいつけば、電車賃が安くつくじやないか、そのために労務者も楽じやないか、こういうふうな話が出て来ました。これは私どもとしても、組合で協約したものを、現場を獲得したから今度は直行をやれ、こういうような非常に非紳士的なやり方はおもしろくないというので、これに対してさつそく抗議文を出しまして、ここにございますが、協約を破棄するという通告をしたのであります。そして破棄の通告をしたというビラをまきました。私ども安定所なり、あるいは東京土建なり、あるいは都北産業なりに協約破棄の通告をしまして、それが現在まで行われておるのであります。そこに何といいますか、一貫したものを持たないということ、私どもとしては、闘争をしながら一貫したものを持たないで一緒に行くということに、非常に不満を感じたのであります。それから三月二十一日のことでありますが、立川自由労働組合という名でもつて、またビラをまき始めたのでありますが、そのビラにこういうふうなことが書いてあります。日曜就労という問題は、われわれには非常に大きな問題でありまして、ぜひ日曜を就労させろということを、事ごとに林局長に向つて、その都度その都度われわれは獲得のために奔走したのでありますが、要するに三月十九日の日曜は、立川においては働いた、こういうふうなビラがまかれたのであります。私たちは十九日は休んでしまつたがこれはえらいことになつた。十九日に休ませられたところもあり、働いたところもある。こういうふうなやり方は非常におもしろくない、大問題でありますと林局長に言つた。その結果いろいろ調べられたことろの回答によると、十九日に、なるほど立川において大畑村と五丁現場、ほか一箇所に労務者が集まつたが、これは就労したのではなくて、労務者がスコツプを持つてそこの現場に集まつて仕事をさせろということで右往左往して、とうとうその日一日はむだに終つて一銭もとらなかつた、こういう情報が入つたのであります。これは非常におもしろくないやり方だ。日曜働けるところがあると言われてつられた人々が、朝飯をたいて弁当さげて出かけて、結局その日仕事をしないで右往左往した。これはおもしろくないやり方だ。結局私は真相を書きまして、ビラを流しまして、こういうふうにつられてはいかぬ。そのためにわれわれは損をするのだ。正しく交渉をして正しく行くということは、ほんとうに労働者としてりつぱな行いであるということ、ほんとうに働かないのに、働いたというようなビラにつられて動いてはいかぬ。そういうことを真相として発表した。その真相のビラもここにありますから、もしごらんになりたいお方がありましたら、御参考に供したいと思います。そんな状況で、十九日に就労をして金をとつたと書いてあるビラは、絶対にうそであるということ、こういうことに対して非常に私らも不満を感じていましたところが、たまたま二十二日、足立には新宿というところがありまして、そこで就労するのでありますが、新宿で二百二十名の就労を獲得した、こういつたビラがまたまかれたのであります。これは私のところでありまして、立川と違いましてすぐわかることで、すぐ安定所に話し合いましたが、このビラは、足立の本田のかたい団結によつて二戸二十名の就労を獲得した。今度の日曜は新宿は就労でできる。こういうふうなことが書いてありましたが、これを調べましたところ、新宿では三月二十九日に支所が移転をやつたのであります。一月たちました本月の二十九日にこの移転記念をやりたい。ついては一日繰りまわしをして日曜に仕事をして、二十九日に移転記念をやりたい。こんな申出があつたそうであります。それをたちまち、獲得したというビラをまかれたために、昨日は労働者が、われわれの同胞が、お気の毒にも四百名ばかり集まりました。安定所ではさつそく新宿に問い合せましたところ、いやこんなわけなんだ、それは四月二十九日の見返りにやりたいんだというとでであつた。そういうことは労働行政上できない、いろいろそういう話がありまして、新宿はとりやめになつてしまつたのであります。二十九日の休みがとりやめになつたために、とうとう日曜は新宿は遂に就労できなかつた。そのために昨日はこのビラにつられて、朝飯をたきまして、腰に弁当をさげて四百名ばかりの人が出て来て、お気の毒にもあぶれた。これは非常な問題だと思います。私たちもそれを獲得するために闘いもしますが、ただ、つられて出て来て、つられたということで失望する。要するにそういう扇動的なものに乗せられるということは、非常な問題だと思いまして、私の組合としては、正しく事実を把握して、事前にこういうものに対する防禦をする、あるいはこういうものに対して見解を明らかにするために、正しく働こう、正しく交渉しよう、こういう見地に立つてこういうビラを対抗しておる、こういう状態であります。以上のようなことでありますから、御了承願いたいと思います。
  27. 天野公義

    天野(公)委員 大体求職闘争の実情というものの全貌がわかつたように思います。まだいろいろ参考人説明員の方にお伺いしたい点もあるのでございますが、時間の関係上私の質問はこの程度にいたします。
  28. 春日正一

    ○春日委員 川崎の職安の問題ですけれども、こういう陳情が来ておるのです。川崎の職安の労働組合から、川崎の職安の所長は、暴力を用いて自由労働者の運動を押えつけるということを考えて、一人に四十枚ほどのカードを與えた事実がある。それから今度はこれに組合で反対して通報すると、今度はパンパンを買うために、不正だと放言する町の不良と結びついて、幾枚ものカードを與ええておるというようなことをやつておる。こういうことで不正が摘発されたものが、本日までに七十数名に上つておるというようなことが出されておりますけれども、これは非常におもしろくないと思いますが、どうですか。
  29. 梅津好二郎

    梅津説明員 組合員の中に不正者があつて、それを組合の活動によつて、今まで幾多見つけて、これをたたき出したことは事実でありまして、私どもこの点については感謝しているものであります。と申しますのは、人のことを言うようでありますが、私どもがこの不正を排除したいということで、外国人登録証を見ることによつて、相当こ重登録の防止その他ができるという見地から、外国人登録証を見ることができるように何とかしていただきたいというので、労働省にもお願いし、また東京都にも連絡をとり、二月二日に総司令部の査察がありましたときにも、アイリツクさんに、何とかそういうことができるようにすれば、川崎の、この不正は相当排除できるから、御盡力をいたたきたいということをお願いしてあるのであります。私どもはこの受付をします場合、ほかに証拠になるものがありませんので、米穀通帳をもとにして、いろいろ家庭事情を聞いた上、失業対策法に基く就労者として、これを受入れるべきかどうか、そういう点を判定して受付けているのであります。そうしてこれは特異な事情かもしれませんが、失業対策事業では、他に收入の道がなく、ほんとうに困つている失業者の家庭である場合には、同家庭から二人まではよろしいということになつておりますので、本人の收入その他を考えてと申しますのは、輪番制ですから、同一人がいつでも就労できるわけではないのですが、二人までは受付けております。しかしながら三人である場合は、マル三という判を押して、この方は受付はしますが、失業対策事業には、就労は遠慮していただく。そうして民間の方に就労できるように、私の方で努力しているのであります。この不正就労のために、過日も組合から要求がありまして、不正者の温床を排除しろというようなことを言われましたので、何とかこの不正を排除するように、自分の方でも手を打ちたい、組合組合として引続き活動してもらい、安定所安定所として不正排除のために努力したい。そのためには写真の添付という方法も講じたいということを言いました。ところが自分たちは罪人じやないから、そんなことまでしてもらわなくてもいいというようなことを言つて、怒られたことがあります。いずれにしても不正者はある。ところが、このせつかく組合でたたき出した不正者を、安定所が使うということで強くたたかれたのであります。しかしながら考えてみますと、不正者として、あるいはボス的な存在として、組合がたたき出した者を、安定所でそのまま不正者として、ないしはボスとしては、絶対使わない。しかしながら自分の前非を侮いて、一介の働労者として、まつたくまじめな勤労意欲に燃えた者として、求職の申し込みをした場合には、安定所はこれを拒絶する何らの根拠もないのであります。従つて私はそのときに組合代表者に言つた。罪を憎んで人を憎まずということもある通り、間違いがあつたからといつて、この人たちをあくまでも排除しなければならぬというのは酷じやないか、そういうことを言つているのであります。不正者の点については、そういうような事情であつて、不正者を引続き不正をする者、あるいはボス的存在として受入れて、安定所が使つているという批判は、まつたく当らないのであります。
  30. 春日正一

    ○春日委員 その問題については、私自身も知つている。川崎ではないけれども、鶴見でもやはりそういうボス的存在があつて、その不正を摘発した組合幹部暴力を加えている。ところがそういうことに対して警察は何もしない。そうして彼らは警察や職業安定所の方とも連絡があるということを、公然と言つている。しかしこれはその男の言うだけだから、確実に証拠ということにならぬけれども、そういうことを言つている。現に川崎でも昨年だつたか、その不正を摘発した職員が首になつた。あるいは暴力団になぐられるというような問題が事実あつた。そこで私は、それはあなたに聞いてもしようがないから、田代さんの方から、それに対する労働者側の見解を聞きたい。
  31. 田代フデ

    田代参考人 その前に、私先ほどの御質問に対して、二つ言い忘れておりましたので、申し上げます。先ほど所長さんが言われたことの中の二つの問題です。たとえば激烈なという言葉を使われましたが、それほど困つている労働者を、なぜ競輪のエキストラに出さなかつたかという御質問でしたら、これは組合といたしましては、はつきり組合の闘争方針の中に、川崎市をばくち場にする競輪競馬絶対反対ということが入つておりますので、組合幹部としては、これに対して協力することができなかつたということは、はつきりしております。しかし失業者が自分の意思で行きたいという人をとめてはいない。それからもう一つ、三月の月末になつて、わくを多く食い過ぎていたために、班を減らさなければならなかつた。しかもこれには労働攻勢の激化ということがあつた所長さんは言われましたけれども、これは全然別です。そこの失業対策事業所の所長さんは、はつきり言つておられる。職業安定所紹介方針が拙劣なために、こうなつたということをはつきり証言されている。  それからそのほかにもう一つ、今御質問にあずかりました問題ですが、これは具体的には山本という人がおります。今年の一月ごろ、この人のためになぐられた人がおります。四十枚ばかり他人のカードを——これはその人一人で持つているはずのないカードです。それがその人一人に使われていたという事実です。しかもこの人には暴力が伴つている。このために安定所人たちは何もすることができない。それではどうにもならない。私たち組合全体のために、こうした人たちはやはりのいてもらおうということで、組合人たちは一生懸命にのいてもらうために、私たちはなぐられながら、この人を摘発して、出て行つてもらつた。ところがこの人が出て行つたあと何が残つたか。また再びそういう人を入れようということが常に行われている。この人を入れることには、私たちから抗議を申し込んで、あやまり状までその職員の人が書きました。それが入れられないので、その人の右の腕ともいわれるような人をやはり入れた。そこにはつきりした不正がある。そういう事実がある。それからその後その一人を追放しましたら、今度は町の不良といわれるような人たち——こういうことは、自分たちの仲間のことですから、言いたくないのですが、事実チンピラとか、不良とかいわれる人たちが、私の頭に、カードをびりびり裂いてなげつけながら、言われることは何か。おれたちはパンパンを買うには八百円かかる。八百円の金をとるのには、四枚のカードを一日に働かなければならないのだ、ということを言つてつた。私たちがこれに対して対抗しますと、おれたちはお前たちを一つや二つなぐつたつて平気だぞ。一日か二日警察にちよつと行つて来れば大丈夫だ。警察はおじさんだから大丈夫だ。吉田さんはおれたちの親分だ。だからおれたちはどんな乱暴したつて大丈夫だ。安定所人たちはちやんとこれを知つている、ということをはつきり言つているわけです。こうしたことを言いながらやつている。しかもこうした四枚ものカードを裂くということは、これがほんとうに一生懸命になつて、パンパンを買いたくてこしらえたカードだつたら、なかなか裂けないはずなんです。ところがこれがいくらでもまた再発行してもらえるカードだものですから、どんどん裂いてしまう。そうして頭にたたきつけて、やはり再発行されている。こういう事実があります。
  32. 春日正一

    ○春日委員 それから沖田君にお聞きしたいのですが、今までの交渉の方法、これは別な組合をつくつて反対なことをやつておるのだから違うのがあたりまえで、かれこれどうこうということはないけれども、あなたは、われわれとしてはこれを調べてみて、他の方法で何とかすると言つておりましたが、大体どういう方法でやつておいでになりますか。
  33. 沖田正人

    沖田参考人 お答えいたします。安定所の窓口に来る人たちの中で、働く意思と肉体を持つている者は、一応失業者だということをわれわれは考えているわけです。それにつきましても、年寄りの人だとか、または女の人でもよぼよぼした人だとか、そういう人たちには働く力がない人もあるわけです。そういう人たちについてはざつくばらんに申しますと、失対法と生活保護法の関係が、現在の求職相談に来る人の中で非常に不明確な点になつているわけです。私も再々これについての見解を、東京都の労働局または労働省に対して聞いておりますが、はつきりしません。そういう点で、そういうふうなよぼよぼした人、または働く能力のない人たち、または現在の状態で一応失対事業に吸收できないというふうに考えられる人たちは、生活保護法で救済するように民生委員の方にわれわれから働きかけております。もしくは安定所の職業課の方に一緒について行きまして、何か雑役でもありませんかということを口添えして、職があればそのときにやつてもらう。なければ生活保護法で、民生委員の方で救済してもらう、こういう建前をとつております。
  34. 春日正一

    ○春日委員 非常にけつこうな方針だと思うのですが、大体それで生活保護法がみんな適用されて解決ついておりますか。
  35. 沖田正人

    沖田参考人 われわれの方でやつた人は、大体それで適用されております。その人は特に困つているから、そういうふうになつているのであつて、ふまじめな人はわれわれの組合では相談しておりません。
  36. 春日正一

    ○春日委員 そうすると、あなたのお考えでは、今の状態でそういう方針で行けば、失業問題は大体解決がつくとお考えですか。
  37. 沖田正人

    沖田参考人 われわれ国民からから選出された春日さんから、そういうお言葉を伺うのは、どうも奇異な感じだと思いますが、われわれ自身においても、非常に現在の失対事業そのもののわくが足らないということは、はつきりわかつております。またこれに対して現在われわれの闘いも非常にむずかしくなつて来ている。それについていろいろの考え方もございますが、特に春日さんの質問だけにお答えいたしますと、もちろんこういうふうな現在の吉田内閣のやり方に対しては、いかぬということ、失業者を見殺しにしているということが、はつきり言えると思います。
  38. 春日正一

    ○春日委員 それから熊川さんにお伺いしますけれども、先ほどの御答弁の中で、あなた方の苦衷もいろいろお話になつたのですけれども、そこで求職攻勢といいますか、こういうものは、それでは共産党の指導者をなくしたらなくなると思いますか
  39. 熊川廣衞

    熊川参考人 非常にむずかしい問題だと思います。私たちは皆さんによつておつくりになられた国家公務員法のわく内でいろいろやつておりますから、こういうことについては、はつきり申し上げられない点を御了承願いたいと思います。ただこれはひとつお調べ願うと非常に幸いだと思いますが、千葉におきまして、三月十七日に実は安定所の周辺に女の方が約百二十名ばかり押しかけて来まして、出て来いというようなことであります。ちようど所長が休んでおりまして、所長出て来いというわけでありましたが、私が次長をしておるので、それでは私が個々お会いしましようということを申しげたのですけれども、個々というような簡單な問題ではない。われわれ全部で会わなければいけない、出て来いということでありましたので、出て参りました。そのときに連れて参つたのが大塚良一という——これは党員でありますが、この人といろいろお話をしまして、納得ずくでそのときはおわかれし、なおかつ結果としましては、一人一人お会いして、登録するというようなことに妥結をしたのであります。  ところが一人々々御相談に応じて、まだ十分に職はないのだ、非常にお気の毒だが、職はありません。現在の日雇い労働者の方々のお勤めについても、こういうふうに輪番制にしておつて、あぶれる方もあるということを申し上げたところが、それはちよつと意外だ、自分たち——今井という寮に約百二十世帯があるのですが、そこではちやんと共産党細胞という名で、安定所に行けば職がある。だから十七日の午前九時までに安定所に集合というビラがあつたの自分たちは来たのだが、実際はそうじやないじやないか。私たちは何も日雇い労働者として土方みたいなことをやらぬでも、内職程度のものをいただけば、何とかかんとかやつて行けるというような方も実はあつたわけであります。それで安定所に職がないのに来いとは何事だということで、私たちの方に非常にとばつちりが参つた。それでいろいろ聞いたところが、そういうふうな状態であつたわけです。それじや迷惑だということで、実は最近安定所の周辺において、第三者が安定所職員であるかのごとき立場から、安定所に同情されて職のことについてとかくおせわする方があるようですが、しかしいろいろな点から迷惑にたえない、私たちは第三者にお願いしたことは絶対にないから、今後そういう方々の言に惑わされずに、直接私たちのところに御相談に来ていただきたいということを話しました。そしてちようど夕方の五時半ころ帰らうとしましたら、御存じだと思いますが、芹澤さん、金子さん、大塚さん、石毛さん、この四名と千葉のアカハタ支局の新聞記者の方——めがねをかけた方ですが、この五人が次長ちよつと待て、お前にものを言うことがあるということでありました。そこでいろいろ話したのですが、実は安定所の入口にビラをかけたのは実にけしからぬ、ああいうビラは迷惑千万だからとれ、こういうことであつたわけであります。ところがわれわれとしては、第三者にとやかく言われてとる必要を感じない。私たちが気の毒だと思つて、汗を流しながら職を探しおるのに、じやんじやん押しかけられて来たのでは、われわれは実に困るのだというようなことを申しましたところが、そういう意味からではない、ああいうことを掲げると、共産党が非常に迷惑をする。これは共産党がやつておるのではないかということを民衆は感ずるであろう。だから頼むからひとつとつてくれということでありました。それは三月十七日で、ビラを張つたのが三時十五分で、その交渉に入つたのが五時半からであります。それでそれはおかしい、私たちは、あのビラの文句を十分検討されるとおわかりだと思いますが、絶対に共産党の方ということは一言半句も入れておらない、それに対して共産党が迷惑だということをあなた方からお聞きするのは実に意外だ、と言つて反駁いたしました。ところが、いやそれはあなた方はなるほど表面にはうたつてないが、しかしあなた方の意図するところは、そこにあるのだろうというようなことでありましたので、とんでもない、私たちはあなた方が来た場合、共産党の方だから話をしないとか、あなた方だから向うに行つてもらつては困ると言つてはいない、みなあなた方と御相談の上で輪番制をとり、いろいろやつておる。何もそういうふうにあなた方がおかしく曲解される必要はないということを言いましたところが、それにしてもとれということでありました。それで、そういうようなおせつかいをやつたのは、残念ながら共産党としてやつたのだ、従つてわれわれもその点は反省し、今後は絶対にそういうことはやらない、そういうことをおれは約束するからこのビラをとれということであつた。そこで私はそのとき非常に大事な問題だと思いまして、ちよつと待つてくれ、あなたは地区の委員じやないか、共産党として迷惑するからとれ、共産党の名においてこのビラをとれということを要求するのだつたら、共産党本部の最高決議機関の決議に基いて、千葉安定所に掲げてあるビラをとれというのなら話はわかる、しかし党員であるあなたから、党として迷惑をするからとれと言われたのでは納得できない。私も労働運動をやつておる一人だが、そういうものではないか、いかがでしようかと言つたら、いや、それはちよつと失言である。とにかくわれわれとして迷惑だからとつてくれということであつたわけです。それはとれない、それはあなた方をさしているのではなくて、お互いに食えない方があるために、党員の方でなくても——千葉でもそのときは第二組合がまさにできつつあつたわけです。そういう第二組合ができつつあり、その幹部の方々も、やはりお互いに食べられない隣の方々に対しては、あなた方と同じようなことを言う場合も出て来るかもしれない。従つてたちは、それにしてもいろいろ宣伝もしております。職のない方々は安定所に来て一応御相談をしていただきたい、というように宣伝もしておりますので、その点から非常にそういうものが出て来ると迷惑なんで、あなた方から要求されたからとつたということになると、まさにわれわれが共産党をさしているということを裏づけするようなことになる。私たちは共産党をさしているのではないから、あなた方から要求があつても絶対にとらない、私の信念においてとらないのだからということを言つたところが、あなたはそう言うけれども、この失業者に対しては、安定所と共産党以外の同党が一体心配しているか、あなたの見解を言えということを迫られたわけであります。従つて私は何党か言えと言われても、私どもとしてもちよつと困る、私の立場としてもちよつと困る、しかし共産党の方々だけが心配しているということも考えられない、これは市だつてつているんだし、現在の政府もやつておる、社会党の方もいろいろ心配しておられることは、国会の議事録を見ればよくわかる。従つて共産党のみが心配しておるということについては、あなた方は私たちに対してあまりに幅を広めたお話合いだと思いますが、ということを言つたが、それにしてもとれと言つて、あくまでそれをとらせようとしたのです。そうして熊川次長、お前みたいなやつとは話はできぬ、今まではおとなしくして来たが、今度はそうでないからそう思つておれ、ということを私に言いまして、ものわかれをしたことがあります。けさ芹澤さんとも会つて来ましたが、とにかく私はそういう観点から、先ほど申し上げましたように、党の指導者がなくなることによつて、労働攻勢かなくなるかということははつきり言えないと思います。ただここで申し上げたいことは、私たちはどなたが指導するのもけつこうだと思います。勤労者が組織の力によつて当るということは正しいことでもあり、これ以上に手はないと考えております。その点については代表の方が来れば、われわれは遠慮なくいつでもお会いするということになつております。ただその中に暴力というものがあると、私たちは恐ろしくて、今なぐられやせぬか、なぐられやせぬかと思いまして、自分の思うことも、現在持つておる手持ちのことについても、御相談ができないで、戰々兢々の状態に追い込まれておるということを、率直に申し上げなければならないと思います。
  40. 春日正一

    ○春日委員 非常に御雄弁で、けつこうな証言だと思うのですが、私の聞きたかつたことは、千葉の連中が言われた——あれは全国にたくさん起つておるけれども、しかしすべて圧倒的に大多数が、そういうふうな失業闘争のようなものであるかどうかということなんです。その点あなたの方ではどう考えておるか。
  41. 熊川廣衞

    熊川参考人 その点は先ほど天野先生の御質問に対していわゆる組織としての確認をした事実を申し上げた通りでありまして、春日先生もそのときおられたと思いますが、この点繰返して申し上げますと、結局われわれ執行部としても、これは共産党だというようなことをわれわれが簡單に言うとおかしいということで、いろいろ検討を加えたのであります。しかしその結果、党ということはこれは絶対言えないだろう一というのは、党として動く場合は指令によつて動く、その指令はわれわれは確認をしておらない。だからそういうことは言えない。しかしながら全国から集まつた方々が、身をもつて体験し、目によつて見、耳によつて聞き、そうしてみずからの任務の中で体験したことを総合いたしますと、主として共産党に属する方々が中心であつたということは言える。こういうことなのであります。
  42. 春日正一

    ○春日委員 私の聞いておるのはそうではない。今全国で起つておる職安に仕事をくれといつておる人々の大部分は、今あなたのお話になつた千葉のように、ほんとうは仕事はほしくない、内職くらいしかほしがらないような気楽な人ばかりかということです。
  43. 熊川廣衞

    熊川参考人 私のお答えが的はずれで申訳ありません。その点はやはり現在相当数この状態で行くならば、失業者が出るであろうことは、この前も私たちいろいろの角度から検討を加えまして、そういう結論に達しております。おそらくなおく気の毒な方々が出て来るであろう。なぜ出て来るかということになりますと、先ほどもお断り申し上げましたように、私たちなぜということは、国家公務員法で言うてならぬということになつております。から、その点は御了承を願いたいと思います。出るであろうという予測だけは……。
  44. 春日正一

    ○春日委員 なぜということではなく、現在大勢押しかけて行つて仕事をくれくれと言つてる。あの人たちは口では仕事をくれといつておるけれども、ほんとうは仕事はほしくないのだ。これは圧倒的な数のものがそうであるかどうか、どう思われるかということなのです。
  45. 熊川廣衞

    熊川参考人 先ほどの千葉の例は、まつたくこれは異例だと、こう見るのが正しいじやないかと思います。大半の方々は、少くとも現在職がなくてあすの生活にもお困りになつておる方々であるということは、これははつきり申し上げなければならないのではないかと思います。
  46. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 熊川さんに伺つておきたい。千葉のは特別な異例だという話であります。実は千葉に電産の組合の大会があつて私参りましたときに、あなたがおつしやつておられました今井寮の主婦たちが、国会人が来ておるから、食えない実情を聞いてもらいたい、職安では受付けてくれないので、何とか同じ婦人であるから、婦人の立場から聞いてもらいたいといつて、子供を連れて二十名近くが電産大会にわざわざ来られたのです。そこでは私たちも急いで議会に帰つて来なければならぬので、十分詳しく聞くことができなかつた。しかし何にもそういう会議に出たこともない婦人たちが、子供を負ぶつて大会で電産労働者諸君に訴えたのは、分裂しないでくれ、電産の労働者は今ここでけんかをしないでくれ、一緒になつてたちの問題でもつてぜひ闘つてもらいたい、私たちは授業料も佛へない、主食も買えない、夫は賃金の欠配で食えないのであると訴えられたのであります。私たちは職業安定所が私たち仕事をせわしてくれる親切なものだということを知らなかつた。そういう予算が国にあるということを知らなかつた。今まで何にも知らないでいた。そのために着物を売り、子を売り、自殺をし、ひどい目にあい、子供を学校からおろしたりして暮して来たというのです。そういうことを、今のお話で、千葉は異例だというようにおとりになりますと、やはりいろいろ全国の状況を代表されて、職業安定所職員として御発言なさつておるのでありますけれども、そういうことで、全体の日本の働く人、あるいは家庭の主婦たち婦人が、職業安定所に多く集まつて来るという問題を考えておいでになりましては、これはもうほんとうにたいへんなことになると思うのです。そういう態度がやはりいろいろな混乱を起させるもとではないかと思うのです。ですから、ビラをお張りになつて、そのあと今井寮の問題に対して、どういう対策をおとりになつたか。職業安定所としてどんなふうにその人たちの問題について処置をおとりになつたかということを、ちようど私当時当面いたしておりまして非常に気の毒だと思つて、まだ今でも何にもして上げられなかつたことが胸の中に残つているのです。ですから、どういうふうになすつたかということを、簡單でよろしゆうございますから……。
  47. 熊川廣衞

    熊川参考人 それではお答えいたします。ただいま柄澤先生は、私が千葉の場合は異例だと言つたように、何か私の説明をはき違えているのではないかと思う筋もありますが、とにかくそういう方が現われたということなんです。窓口で個々にわたつて見た場合に……。そこで全体的に見ましてそういう方がたくさんあるか、そういう異例に属する方がたくさんあるかということになりますと、これはたくさんはないのでありまして、あくまでこれは例外的なものだということを御了承願いたいと思うのです。それで私たちがその後その問題についてどう処置したかということであります。それは柄澤先生も幸い千葉に行かれたならば、あすこでおわかりだつたと思いますが、街頭にはマイクをかけておりまして、必ず職のない方は安定所へ来て御相談をお願いしますというようなことを、スピーカーを通して毎日やつております。これは時間を限つて毎日やつておりまするそれから今井の寮には、私たちの方でそのとき代表の方が電話で連絡をとればよろしいということでありましたので、その代表の方には、職があればただちに連絡をするというようなこともやつておりますし、現在の御婦人にとにかく向かないことが多い。千葉の場合ですね。現在の失業対策事業が御婦人の方に向かないというようなことで、実は市の方ではつつばねておつたわけであります。それではお気の毒だ。一日二十名でも三十名でもいいからお使いくださいということで、競輪の方のカウンターにも開拓しましたし、またこれはその後必ず三十六人ずつは使う。これは失業対策事業ではありません。これは市の予算をもちまして、三十六人ずつは使うというようなことになつております。  それから現在、これはあのアカハタにも出ておつたようであります。何かわれわれの圧力によつて、市の方では職業補導的なことを四百万ですか、含むようにしたと、アカハタには載つておるようですが、この問題はそういう交渉がある前から、県と市の方では実はやつてつたわけであります。それが二十五年度大体市会で通つたようであります。しかしながらその間どうするかという問題がありまして、そこで現在は、失業対策の方にも何か御婦人に向くような作業はあるだろう。工事そのものの全体から行けば、これは相当の体力がいるので、御婦人には向かないと思いますが、しかし気の毒な実情は同じなんだ。だからして何とか一人でも多く御婦人の方も就労できるように、作業をひとつ考えてもらいたいということで、現在その方面にも毎日二十名ずつ行つていただいております。それからこういうことがあつてはいけないということで、千葉の場合は求人開拓班というようなものをつくりまして、その人たちがじやんじやん今宣伝をやつております。その求人を兼ねてやつております。また千葉は引揚寮が多うございますから、そういう方面にも職員を派遣いたしまして、御相談にできるだけ応じたいというようなことで努力しております。ただ問題は、全国的に見ますと、先ほど春日先生の御質問に説明申し上げましたように、これは何としてもこの失業者がほとんど全部と言つていいくらい現在食べられない方だということは、はつきり申し上げなければならないのではないか、こう思つております。
  48. 春日正一

    ○春日委員 それでもう一つ熊川さんにお聞きしたいのです。これはちよつとむずかしい質問になるかもしれませんが、求人開拓の努力の効果ですな。こういうものをおわかりになつてつたらお聞きしたいと思います。
  49. 熊川廣衞

    熊川参考人 努力の効果、これはむしろ私たち組合の代表に聞かれるよりも、安定所長さんあたりに質問の矢をお向けになられるのが妥当じやないかと思いますが、それはさることながら、私の知つてる範囲のことをお答えいたします。これはやはり求人開拓をやればまずまず、満足ではありませんけれども、少しずつでもある。ただ固定された仕事、もう常用的な仕事に対しては、相当期待が薄らいで来ているのではないか、こういうように私たちは現在考えております。それから地方に行きますと農繁期といつたふうな問題、それから大きいところでは大掃除ですね、こういつたことにまで現在台長い入つて、とにかく日雇い労働者の方方のあぶれを少しずつでもなくさなければいけないというようなことで、そういう方面まで現在食い入つております。そういうような方面にある程度の、微々ではありますけれども、求人開拓をやることによつて、いわゆる求職者の方々に御満足を與えるような職そのものはないとしても、何とかかんとか日雇い労働者の方々と同じように、ある程度数においても効果をあげて来ているのではないか、こういうように考えております。
  50. 春日正一

    ○春日委員 もうあと少しです。先ほど来東京土建の組合の運動方針云々ということについているく言われたのですが、それで現場直行の問題。直行に反対して、その次には直行にしてくれといつたようなことを言つたという、その直行という問題についての考え方、あるいはその他の東京土建として考えておる運動方針、こういつたようなものを伊藤君からちよつと聞いておきたいのです。
  51. 伊藤清

    伊藤参考人 お答えします。東京土建一般の運動方針という御質問でございます。先ほど安定所職員の方から、あるいは土建産業の沖田さん、あるいは菅野さんからたいへんりつぱな意見が出たように思いますが、非常に私は労働組合としての、また人間としての感覚を失つているのじやないか、こういうふうに思います。なぜかと言いますと、今熊川さんがおつしやられた言葉の中でも、失業者の大部分があした食えないということをみな認められているわけです。あしたの問題、今晩の問題が非常にたいへんだということを熊川さんが確認されております。こういう食えない人たちに対して一定のわくをはめる。現在生活保護法でもつて食えない人たちすらも、安定所に出ているわけなんです。独身者の人はそういう登録はさせない、こういうわくもきまつております。あるいは婦人はとらない、こういうわくもきまつておるわけであります。きようあしたの問題が非常に苦しいと言われておる熊川さんの口から、やはり一つのわくに当てはめて、それ以外のものはどうでもかつてになれというようなことは、人間としては私はできません。これがおそらく失業者の生活になれば、さつき沖田さんが言われたような、そういう方法にはならないわけなんです。商店は現在どんどんつぶれております。工場も閉鎖されて、こういうところからは、一定の失業対策の予算に合つたような失業者は出されておりません。これは莫大な、計算できないほど、そういう人たちは出ているわけなのです。これを小さなわくにはめて、一つの失業対策が、このわくの中でできれば万全であるというような考え、あるいは政府の政策に対して十分御協力をするという沖田さん、あるいは熊川さん、こういうあれでは、私は非常に人間としての、お互いに苦しい者同士としての話にはならぬと思うのです。     〔島田委員長代理退席、大橋委員長代理着席〕  東京土建といたしましては、どうしても苦しい立場だから、これは現存登録をとつておる者も、登録のとれない失業者も——新宿の例を見ましても自殺をしておる。あるいは亀戸においては一枚の登録をとるために、職員の人に強姦をされようとしておる。こういうような人たちをほつたらかすのではなくて、やはり政府の予算の中で、もつと現在の失業者に、その失業者を基盤とした失業対策を立てられるように、われわれは運動を進めております。従いまして、現在沖田さんの方から直行の問題についてのあれが出ておりますが、そういう立場から、労働組合としては、どうしても一番苦しい状態、あるいは食えない人たちの問題を基礎にして進めなくちやならぬ、こういうふうに考えております。それから菅野さんから直行の問題といたしまして、東京土建は一貫した方針を持つておらない、こういう意見が出ておりました。これは明確ではありませんが、菅野さんの方だと思うのです。この組合に入ればあぶれはしない、あぶれないのだ、おれの方の組合に入ればあぶれないという、これはなぜかというと、顔によつて現場へ直行できるということがあつたそうです。これは菅野さんの方かどうかちよつと不明確ですが、こういうことがあつた。その当時としては、お互いあぶれがひどいときであるから、お互いがやはり輪番制をとつて、このあぶれをなくすように協力して、そうして林局長の言葉で言えば、苦労をわかち合うという方法で行つた方がいいのじやないかというような当時の方法でありまして、これはやはりボス的な存在に対する一つの方法であつたわけであります。東京全体としましては、婦人が朝四時半ごろに起きて、六時か六時中ごろまでにすでに安定所に行かなければならない現在の状態におきまして、やはり五反田におきましても、安定所に一ぺん行つて、それからまた荏原なら荏原の事業所へ行きまして、それからまた今度は大井なら大井の現場へ行く。こういう何回も回数をふむような手数を抜いて、やはり現場配置をしてもらいたい。これは婦人であり、子供をたくさん持つた者であればよくわかります。そうして交通費の問題につきましても、二重にも三重にも拂う。朝八時なり九時なりの就労の時間に十分に間に合えばいいということになれば、朝の二時間半なり三時間が助かる、その時間というものは、婦人であれば非常にわかるわけです。経済的に非常に違う。からだも助かるわけです。こういう立場から、われわれは直行にしていただきたいとお願いしたわけです。現在直行されておる安定所もある。こういうところでは非常に能率も上つております。そういう点で直行のことをやつたのでありまして、菅野さんの言われた当時と條件が非常に違つておる。東京土建の方針は一貫しておることを言つているのです。あくまでも労働者の利益のために、そういう方法がとられるのでありまして、管野さんの言葉には非常に不満です。そういう点を私は申し上げます。足らない点は質問していただきます。
  52. 春日正一

    ○春日委員 いろいろお聞きして、私、もう一つ結論的にお聞きしたいのです。これは林労働局長がおいでになると、林労働局長からはつきり答えてもらえばいいのですが、おりませんから東京の澁谷の所長さんからでもいいと思います。最初の日の証言でも、職安に行つてもわくがない。これは林労働局長も登録を抑制しておる。職安に行けば、民生委員に行きなさい。民生委員に行けば、働けるのだから職安に行きなさい。このまん中でどうにもならない状態にある。これがわくからはみ出した人の実情だと思うのですが、一体そういう人たちに対して、あなた万の立場から見て、どうしたらいいとお思いになるか。そういう人たちから、それではそういう場合どうしたらいいか、ぜひ聞いてくれということを言われておるのですけれども、この点あなた方の立場から見て、どういうふうにしたらいいか、お考えを聞かせてもらいたいと思います。
  53. 坂田虎七郎

    ○坂田説明員 結局局長も言つておりましたが、対策事業なり、あるいは公共事業なりの予算のわくを増大していた、たくほかはないのじやないかと思います。
  54. 春日正一

    ○春日委員 いろいろ意見が出ましたけれども、代表的に沖田君と菅野さんと熊川君にお聞きしたいのですが、やはり失業問題、こういうふうに求職攻勢が起つて来るという問題を警察的に扱つて、ただやつて来るからけしからぬという現象を扱つて、それで片がつくかどうかという問題、それからこういう問題の起つて来る根本、それはどう片をつけたらいいかという御意見、これを一つ聞かせていただきたい。
  55. 沖田正人

    沖田参考人 お答えいたします。さつき坂田所長から結論が出ましたように、失業対策予算がないということはもちろんでありますが、これは結論で、御存じの通りだろうと思う。また現在のよつて来る情勢が非常に困窮しておるという状態もすでに御存じのはずだと思います。そこで私は特に土建産業の運動方針を申し上げましてお答えにかえたいと思います。もちろん吉田内閣の失業対策予算が、はつきり申しまして、足らないということも、また労働者のために足らないということも、でたらめであるということも、はつきり申します。そういうこともすでに御存じの通りだと思う。しかしながら、それに輪をかけて——つたくそういうふうな労働者が生活に困窮して困つておる、これに輪をかけて社会不安を助長させるのは、一部の共産党の人たちであるということは、はつきり言える。なぜならさつき伊藤君が私のことを何か言つておりましたけれども、何ら意に介しません。われわれは労働者のためにやつておるのであつて伊藤君が中傷したからといつて、また春日さんがわれわれのの立場を御存じでありながら、また特に民同という立場を追究せられる真意がわからないわけです。そういう点におきまして、吉田内閣のそういうふうな悪政に対しまして、共産党はそれに輪をかけて労働者を困窮化させる、こういう点であります。われわれは正直者がばかを見るというふうな世の中では絶対にいけないというところにおいて、民主的な労働組合としての合法闘争を——また吉田内閣がそれに対して聞かなければ、われわれとしても十分それに対しての対策を考えなければいかぬのではないかということを考えております。はつきり申します。重ねて申しますが、共産党の人たちとはどうも意見が合いませんし、また労働者のためになることだとは常識では判断できませんので、一緒にやることはできません。むしろはつきり闘わざるを得ないかとも存じます。もう一度申しますが、吉田内閣の予算が足らないということははつきりしておりますので、どうぞこの委員会でも十分に取上げて、今春日さんの言われたような、そういう失業者を救つていただきたいと思うわけであります。
  56. 菅野四郎

    菅野参考人 今春日先生の言われた通り、また沖田君の言われたように、政府の対策の行き詰まり、どうしてもこれがあるのじやないかと私は思います。なぜかというと、二十四年の六月に東京都内の求職日雇い労働者数というものは、二十三万台でありました。それが二十四年の九月になりまして三十一万台、二十五年の一月に五十二万台、約三倍くらいの膨脹であります。足立におきましても、約千人くらいのものが二十五年の六月に求職の登録をしております。それが今では三千人を越えております。こういうようなぐあいに急激な膨脹をして行く。これに対してどういう仕事をしておるかというと、大体清掃、路面の補修、これはつるはしをもつて路面をひつくり返すのであります。それから河川の浚渫、どぶさらいであります。残土の運搬、これは区役所で五十人か六十人で常用人夫でやつてつたのを、三百人か五百人でやつております。だからすぐ仕事がなくなつてしまう。そういうようにめじろ押しでやつておるという政策の行き詰まり、それから御承知の通り足立では今勤労者が錦糸堀に行つております。足立から錦糸堀までは三里もあります。二時間ぐらいかかります。二十八箇所の停留所、三十二円の電車賃を使わなければ行けない。そこへわれわれを五十名も有名も押し込んでおります。こういうことで、百万もある失業者数、あのTVAのごとき大きな仕事で早急にこれを吸收しなければ、問題は解決しないということ。それから生活面に対するわれわれの賃金は二百四十二円、保険を入れて二百四十五円、二十四日稼働すると五千八百八円になります。人事院の調査で七千八百七十七円のベースは、二十三年の七月の六千二百七円に対して、一年間繰越しました二十四年分の七月の標準生計費が三八・六%上つておるために、七千八百七十七円という計算ができたのであります。この計算によりますと、大体東京都の成年男子の食費は一箇月二千七十二円、それから食費以外の経費、CPS——消費者実効価格でありますが、これが千五百四十三円、合計が三千六百十四円、これにエンゲル係数の——このごろは御承知の通り登録は非常にやかましいのでありまして、一人くらいではだめで、五人か三人家族でないと仕事をくれないのでありますが、エンゲル係数の三十二をかけさせてもらうと、一万千五百六十五円くらいのものをもらわぬと食つて行けないのが、今の登録労働者実情であります。それを今の五千八百八円、半分くらいしかもらわない。これでは労働意欲が出なくなるのはあたりまえということ。デイス・インフレで物が下つた。生活は楽になつた。卵は八円、りんごは五円というが、買えない。なぜ買えないかというと、われわれ三百四十二円しかもらつておりません。どんなに安くなつてもわれわれの生活ではとても追いつけない。牛肉を食つたこともありません。卵を食つたこともありません。三人、五人の家族を養つておれば、りんごが五円になつても買えない。これはデイス・インフレとインフレが交互に来る。生活必需物資はずいぶん上つております。米も上うております。御承知の通りガス代も上つておる。家賃も上つております。物がずいぶん上つております。必要物資が上つておる。いらない卵ばかり下つておる。これではわれわれは悪性のデイス・インフレにひつかかつているのであつて、生活は楽ではありません。この五月から私鉄の一円二十五銭が一円四十銭に上ります。一割六分の値上りであります。ガスが一割五分、それから新地方税が決定すると同時に地代が約二倍に上るそうです。家賃が戦後の家屋では約五、六割、昭和十二、三年度の建築だと十倍に上るそうです。これはどうしてもわれわれの受けるところの痛手であることはおわかりだろうと思います。大きな悪性のデイス・インフレに悩み拔いているということ、だから三人や五人の家族を養うに今の二百四十二円というものをくれたのでは、とても勤労意欲は出ないということ、これには最低三百円くれないと、われわれ登録労働者はだめだということもよくおわかりだろうと思います。それを二百四十二円くれて、こちよこちよごづきまわされたのでは、とても勤労意欲は川ない。これではおぼれるものは、わらをもつかむというたとえの通り、どんな策謀にも乗るということもおわかりだろうと思います。御承知の通りわれわれの賃金は何にもない。二百四十二円といえば二百四十二円ぽつきりです。健康保険で医者にかかるということもできません、ありませんか……。けがしても医者にかかるごとかできない。家族手当もない。何もない。そういうような不安な状態です。早大の教授の末高君から、この間通信かありましたが、非常に向うはそういり保障制度がいいそうです。ああいうものをいくらか習つて、そうして社会保障制度でわれわれを把握してもらいたい。そのほかにTVAのごとき企業を興させて、われわれ労働者のほんとうの勤労意欲のはけ口を見つけてもらいたい。こうしなければ、社会不安は除去されないということ。以上の点であります。御清聽ありがとうございました。
  57. 熊川廣衞

    熊川参考人 これは春日先生に再三お断りするようで、非常に恐縮でありますが、国民の一人としてはいろいろな言い方があると思います。しかし、私は安定行政に携わつておる者で組織された組合の代表であるという点から、発言をしなければいけませんので、この点御了解いただきたいと思います。それで私たちは新しい合法闘争ということ、これは基本線として打立てられております。従つてわれわれは、それ以上のことには及び得ないということを、残念ながら申し上げなければならないのであります。  そこで警察力を使つて失業対策問題が解決されるかという御質問でありますが、私はその点はそうはならないのじやないか。私たちといたしましては、ここで参考まで申し上げたいことは、埼玉県の川口安定所におきまして、全国の所長が現在集まつて研修会というものやつております。そのときに所長さん方に、局長代理の諸澤監察官主任が、いわゆる日雇い労働攻勢に対する暴力の問題について、なぐられても安定所職員はじつとしておつてくれ。ただちに訴追する、起訴する、告発するということがないように、そのことは一般民衆が安定所というものを理解し、同情を得たときに、初めてその問題を処理したらどうか。あまり荒立てないようにしてもらいたいというようなことを言つたと聞いております。それは基本的人権を冒涜しておる。安定所職員といいながらも人間だ。なぐられてもだまつておれ。訴え得るのに訴えてはならないというようなことは、これはいわゆる監督官の下僚に対して言う言葉ではない。これは憲法上からいつても逸脱だ。この点については反駁しております。私たち暴力というものに対しては、大東亜戰争におきまして、私たち職員のほとんどの者が兵隊に行つておる。そうして上官に打ちなぐられたり、いろいろ暴力による脅威というものは、身にしみて感じておりますので暴力に対しては——また暴力というものは平和を乱すものだ。現在国民の全部が一丸となつて、この占領下におきまして何とか日本の独立と再建とを考えなければいけない中に、暴力というようなものがあるということは、これはわれわれ断固としてこの点については甘んずるわけには行かない、許し得ないということになつております。しかしながら、だからといつて暴力があつたならば——ただちに暴力があるであろうということを予想して、警察の方に連絡をとるということは、おそらく全国の安定所においては、絶対にないと断言して私ははばからないと思います。この点は少くとも私たちは、今度来るぞ、来るらしい、だから警察の方へ連絡をとつておいて、何とか応援して取締つてもらわなくちやならぬということでなくて、やはりわれわれは、目にかかつて来る火の粉は拂わなければいけない。まさにかかろうとするときにはやります。けれども、あるいは火をつけられるかもしれないから、早く連絡をとれということは、いらざる刺激を與えることで、現在われわれは、そういうことは絶対にやつておらないということを御承知願いたいと思います。これはこの前の会議においてもそういうことを確認しております。好んで警察にあらかじめ連絡し、応援を求めるということはないということをはつきり申し上げたいと思います。ただ警察力によつてこの問題が解決されるかどうかということは、警察の力が強いか、労働者の力が強いか、このいずれか強い方が勝つということ以外には手はないのであります。この点につきましては私らとしては考えません。とにかく私は暴力があることよ非常に迷惑だ、なぐられた場合には、やはり自分の立場を擁護するために連絡もとらなくちやならぬだろう。非常に残念であるが、連絡をとつて、そうして処置してもらわなければならないだろう。このことが社会平和をもたらすところの一つの方法であるということを申し上げたいと思います。
  58. 春日正一

    ○春日委員 いろいろ御証言ありがとうございました。私言つたのは、警察が強いか、労働者が強いかという形で聞いたのではなくて、元をただせば、つまり仕事が少くて、その何倍も失業者が余つておるという状態においてそれでただ警察でもつて押しかけて来るのを撃退しておるというだけで、解決がつくかどうかという意味でお聞きしたわけです。その点についてはあらためてお答えしてもらうまでもないと思いますから、大体私はこれで質問を打切ります。
  59. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 川崎安定所長梅津さんに御質問申し上げたいと思います。大体春日さんからも質問を盡されておると思うのでありますが、川崎は、前に暮れから陳情に見えておりました失業者の陳情を承りますと、賃金の遅欠配になつた工場の、夫の收入が途絶えたために、妻が職を求めるということが非常に顕著に出て来ております。また工場に勤めておる夫が首切りになり病気になつて、家庭の主婦がこれを見て行かなければならないということで、報告にもありましたように、非常に特徴を持つたはつきり政府の政策のもとにおける失業者の状態、休職の状態というものが出ておると思うのであります。それから労働者の場合にも、五反田の組合の方の御意見にもありましたように、中小工場がつぶれて、失業保険が日本第一だということを伺つたと思いますが、これもやはり政府の政策によつて労働者失業せざるを得ない立場に追い込まれていると思うのであります。ところが川崎の報告を承りますと、婦人それから技能を持つた——土場の失業労働者などは特別の技能を持つた者になると思います。こういうものが一般の緊急失業対策には適用できないということになつて、そういうことが労働者の町である川崎や五反田、あるいは大森等の職業安定所に特に顕著に出て来るという原因ではなかろうかと私ども考えるわけであります。川崎安定所長としての御方針は、先ほどからいろいろ承つておりますけれども、こういう問題について制限をやつておられるということは、これは労働省からの指令とか方針とかいうものがあつて行われておいでになるのか、あるいは対策として民間にそれらの解決の方法がどうついておるか、民間の就職のあつせんがどういうふうに解決がついておるか、またその見通しがついておるか、そういう点について御答弁をいただきたいと思います。
  60. 梅津好二郎

    梅津説明員 川崎の特異な事情については、ただいまお話のあつた通りでございまして、この点私どもとしても、これら気の毒な方々を何とかごあつせん申し上げたい。それについては求人開拓がまず第一番ということで全力をあげておるわけであります。私、川崎に赴任しましたのは十一月の二十八日でありますが、最初の日にも申し上げました通り、当時労働攻勢が非常にはげしく、失業者の発生状況と、與えられたわくとのギヤツプが非常に大きいために、今までは押されるとそのまま受入れて、前にも申し上げた通り、十こ月末までに就労させなければならないものを、十月二十七日に使い盡してしまつたというようなこともあつて、何とか與えられたわくで仕事ができるような態勢に持つて行かなければ、ならない。そういう点から私ども職員にその旨を申しておつたのであります。朝配置の状況で、きようは何名、民間にはこれだけ、失業対策事業としてはこれだけ、そういうことを報告を受けまして、わく以上出ておりますので、上司からの命令もあり、わくを越えた就労はなるだけしないようにということを私申したのであります。ところがさつそくそれが組合幹部の方へ入りまして——私は職員に話したのでありますが、そのそばに組合幹部の方がおつたのでありましよう。組合幹部の方が参りまして、所長おかしいことを言う、川崎まで来てそんなつもりで所長が勤まると思つたらとんでもないことだといつて、おどかされたのでありますが、それはおかしい、失業対策事業にそんなにむきになつて来るというのはおかしいじやないか、私はここに来るについては、民間の求人をできるだけ開拓して、その面で全部の方に職業の安定を得せしめるようにしてあげたい。失業対策事業も、よしんば毎日就労したにしても、これはまつたく不安定な仕事であつて、できるだけ常用的な面に就職をあつせんするというのがわれわれの本務だ、それについては今後われわれができるだけ努力して行くがら、これに期待してもらいたいということで、幹部の方に帰つてもらつた例があるのであります。その後私どもは求人開拓に出たいと思つておりながら、連日連夜の労働攻勢であつて所長として当然果すべき重要な仕事である、雇用主を訪問することもできないという状態であつたのであります。当時民間の求人に対する日雇い紹介はようやく百二、三十名という状況でありましたが、その後労働攻勢がやや落ちついて参りましたので、今ではこ百七十数名、多いときには三百名を越えております。もつともこれは船舶荷役関係の船が入つたときでありますが、そういう関係で求人開拓の効果が徐々に現われております。また職業の安定上最も望ましい状態である常用の就職でありますが、私ども参りましたときには二百に達しない、それが三月の常用の就職においては三百八十にも達するという点で、私ども職員一同とともに大いに努力しているわけであります。従つて安定所としましては、與えられたわくだけに固執してむりに押えようとする、そういうふうな安易なやり方はとつておらないのでありまして、できる限り多くあつせんしたい、しかしながら民間の求人開拓にも限度があり、かたがた失業対策のわくもきめられているのでありまして、これを調整する意味において、家庭の事情等によつて失業対策事業に就労しなくてもいいという方には、ある種の制限を付する、つまり失業対策以外のものには紹介できるが、失業対策には遠慮してもらう、そういう意味で、私ども御主人かしつかりした会社に働いている、いろいろ事情を聞きますと、收入も相当あるようだ、それなら失業対策事業でない方面に働いていただこうということで制限をしたところ、幹部の方からそういう制限をするのはけしからぬ。大体自分たちが調べておる。あの会社では実際收入がこれしかないということを言われました。ただ言われただけでは私どもは納得が行きませんので、会社に実際をただしたところ、はたして組合の人々の言う通りであつた従つて三人が会社でりつぱに働いておるのだが、その給與では食べられないということで、失業対、策事業に就労することを私どもはそのまま受入れておるのであります。そういう事情で、いたずらな制限はしておらないつもりであります。また私どもはそういう点では、東京からも横浜からも、鶴見からも受入れております。職業安定法十七條の受付の原則によつて、何ら制限はしない。ただ失業対策事業に従事してもらうために、資格、條件等を精査する、そういう程度でありまして、はなはだしい制限はいたしておりませんし、ただいま御質問のあつたような事態はあまりない、私はそう信じております。
  61. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 御報告によりますと、就労状態は十月が一〇〇%で、あなたがおいでになりました十一月から六〇%、十二月は四三%、一月は二九%というふうに、今御報告されたような非常な熱心な活動にもかかわらず、逆に就労状態が悪くなつているのですが、これは一体どういうわけでございましようか。
  62. 梅津好二郎

    梅津説明員 その状況は、工場側の資金難その他から遅配欠配等が出て、やむを得ず一家の主婦が子供を負ぶつて就労の手続に行く、そういう方の事情を調べたところ、もつともだということで受付けるのがあり、その他御承知の通り川崎には大分密造部落等がありまして、その面で相当な成金もおつたのであります。あのやみのルートがふさがれた当時は、相当金もあつた従つてただちに就労の申込みはしなかつたようでありますが、このさいふが盡きると同時に、どんどん求職の面で申し込んで来られておる。それが十一月の末ではまだ一千数百しかなかつたのでありますが、毎月々々一千以上の新たな就労希望者が出たために、急速に就労率が悪くなつた。私はそういうふうに解釈しております。
  63. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、失業闘争の起きました一番大きな條件は、そういう客観的な事実がぞの原因ではないのでございますか。所長はどういうふうに考えておられますか。
  64. 梅津好二郎

    梅津説明員 私は、川崎における就労闘争といいますか、労働攻勢というものは、まつたく今のような事実から派生したものだということを、最初の日に申したわけでありまして、速記録をよくごらんいただけばわかると思います。
  65. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、その事実から紛争が起きたということが一番大きな原因だということは、所長もお認めになるわけでございますね。
  66. 梅津好二郎

    梅津説明員 最初の日に申し上げた通り、その事実から派生したものである。ただこの組合の攻勢というものが当を得たものではないという点については、最初の日に申し上げた通りであります。
  67. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 最初の日の御発言のとき、確かに特に川崎に派遣されたことの意義を強調されておつたと思うのでございます。何か特別な任務を與えられて川崎においでになりたというふうに、あのとき私ども印象を受けたわけでございますが、それはどういう任務であつたのでございましようか。
  68. 梅津好二郎

    梅津説明員 川崎安定所の秩序を保たなければならぬ。つまり内部的にはいろいろな弱体な点もありますし、外部的には労働攻勢に屈してしまつて、たとえば恥をさらすようでありますが、先ほど言つた通り、わくを無規した紹介をそのままやつてしまつた事実がある。あるいはまた労働者が大挙現場行つて就労してしまつた。ところが現場の方では困つてしまつて、このままでは金が出ないから、何とか安定所紹介票を渡してくれないか、そういう現場要求もあつたのです。安定所から紹介の手続をとらない人であるから、これに対しては、あとから切つてしまつたということも聞いておるのであります。また加配米の状況でありますが、加配米の関係も組合がタツチしてしまつて安定所はそれの言いなりになつておる。いわば当時の情勢からいうと、川崎安定所は神奈川県の恥である。これを再建しなければなりぬぞというふうに言われでおるのであつて、労働攻勢に対して、特に自分行つてどうのこうのという使命ではなくて、あくまでも川崎の秩序を保ち、これを再建する、そういうことであります。
  69. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 安定を保ち、秩序を維持するということが、労働者の利益を守つて、職を與えて、毎日々々晩の飯の心配のないようにすることと、何か矛盾しておるような結論が出るように思うのでございます。安定所本来の役割というものは、やはり職業安定だと思うのでございます。そういう点で労働組合運動というものは一この間も労働局長の御見解をただしたのでございますけれども、何か特別に工場がつぶれて行つて失業者が多くなり、賃金遅拂いが出て食えなくなつておるということに原因があつて、それを防衛するのが労働運動の当然の使命です。生活権を防衛するということが、労働運動の基本的な運動であるのに、そういう事態宙認めておりながら、そういうふりに労働運動が発展するのを、何か間違つたことだというふうにお考えになりておるのではないかと思います。もう一つただしておきたいのは、職員の方からも御証言がありまして、危険になつた場合でなければ警察官を呼はない。火の粉が降りかかつて、火をつけるというようなことでなければ、決して警察官は呼ばぬというようなことを再三言われておりまして、行き過ぎのために、暴力的なことが労働者の方からしかけられたときにだけ職安ではやつたという御報告だつたと思います。ところが私どもの聞いておりますのは、所長さんが御自分で三月の初めころに、もうすでに労働省から内示があつて労働者が押しかけて来た場合には、すぐに警察と連絡をとつてやれということを言われたけれども、そういうことは自分としてはやりたくないから、それで一箇月くらいやらないでいたということを言われておつた。こういうことを聞いております。そうすれば、正当な団体交渉、正当な労働組合運動によつて労働者の人権が守られて行く。そういう場合に、いたずらに警察官を呼ぶということは、これは刺激して弾圧になるということを知つておられるのではないかと思います。ですから、そういう事実があつたかどうかということと、そういうことをやつたことによつて、一層紛糾が大きくなつたのではないかということ、この点について御答弁を願いたいと思います。
  70. 梅津好二郎

    梅津説明員 それでは今の御質問に対して御答弁申し上げます。私どもは正当な労働者の利益代表として選ばれた代表者の方には、いつでも会つておるのであります。これが衆をたのんで、おれたち全部が代表だということで迫られ、所内の秩序がまつたく蹂躪されてしまう、正常な紹介行為ができない、そういう事態になつた場合には、私ども安定所における当然の機能発揮ができる状態に置くために、警察要請することが間々あるのであります。  なお四月六日のことでありますが、これは先ほど申し上げた通り、おれがひつばられたら今度はお前やれということで、その希望者が六人か七人かすでにある。これは警察の判断においても容易ならざる事態である。そういうような点から、私ども警察の方に、万一のことがあつたらお願いしたいということで私自身行つた。そういう事態でありまして、先ほども申し上げた通り、事を好むものではない。このまま仕事ができるような状態に置いてくれれば、元々通り仕事をする。それで行つてくれないかということを訴えたところ、全面的に拒否されたから、やむを得ず、もうこれ以上ここにいるわけには行かぬ。帰るからお願いします。こう言つたのであつて、決して初めから乱暴したのではない。前にお話のあつた通り、乱暴者は安定所長であり、警察官であるというようなことはないと私どもは信じております。また労働組合が正当な要求を持ち出して来るというお話でありますが、ここで参考になりますから、二月の六日に労働者大会があつて採択せられた十九條の項目のうち、安定所の分として九つ要求を突きつけられたのでありますが、この要求項目を申し上げます。一つは完全就労をさせろ。二番目、日曜、雨降りにも働かせろ。第三に託兒所を即時つくれ。四、失業保険を改正しろ。五、公共事業日雇い労働者を百%使え。六、日雇い労働者に健康保険を適用しろ。七、不正就労をなくせ。八、組合事務所をよこせ。九、沖繩行き反対。たとえば八の組合事務所をよこせ。これなども実に執拗に迫られたのであります。安定所の二階があいている。おれたち事務所がないから、事務所をよごせ。こういう要求であります。これは再三にとどまらない。なお沖繩行き反対、これなども何度この説明を求められたかわからないのであります。それから失業保険を改正しろ。この失業保険を改正しろということについて、私こういうことを答えております。これは組合側でも記録をとつておりますから、その通りであります。法の改正は国家で行うものであつて安定所としてはできない。改正に努力しろということであれば、現在の就労状況から行き、むりもない。何とか改正してほしいということは、私は県を通じ、労働省の方とお会いしたときは、いつでも言つておるのであります。なお沖縄行き反対のごときも、十一日から十二日にかけて、とまりがけで交渉されたときにも私はこういうふうに言つております。夜中でありますが、時間は明瞭でない。所長安定所は世界第三次大戦をもくろむ好織田の手先となつて、おれたち労働者を沖繩へかり立て、奴隷のように使おうとしているんだろう。申込者は今まで何人あつたか知らせろ。私はそんなことは知らない。労働者、そんなはずはない。所長、わからないのは教えろと言つたつてそれはむりだ。こういうふう安定所に持つて行くべきでないことを、実は執拗に迫られる。     〔大橋委員長代理退席、吉武委員長代理着席〕 それから先ほど言つた健康保険を適用しろとか、託見所を即時つくれということで、所長はこれに対して誠意をもつて答えているのでありますが、それでは答えではない。何ら誠意がないじやないかというようなことで、これ以上は回答ができないから、退去してもらいたいということを言つている。そういう点で非常に困るのであります。一度はとうとう二月の二十何日でありますか、その日は代表者を選んでくれというのに、おれたち全部が代表者だということで、何にもならないのです。それでやむを得ず警察に退去させてもらうことにした。ところが警察では暴力になるということで、公安委員が来て組合幹部の者に引取つてもらいたい。このままではだめだから、あす代表者を出したらいいだろうと、肩をたたいてやさしく言つたが、断固として受付けない。やむを得ず警察官に来てもらつた。しかし私としては、何とかして事態を紛糾させないようにやつてつたということが申し上げられます。
  71. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは私どもちよつと承つておきたいのですけれども、暮れに失業者の問題で労働委員会を開きまして、失業対策課長の報告を求めたことがあつたのでございます。ところがそのときの報告は、東京都内でございましたが、職業安定所所長からの報告は、完全就労させておるということでございまして、これは事実と非常に違つてつたというようなことがあつたわけです。当時東京都内ではあぶれがあつて困るという状況であつたのに、安定所長の報告が完全就労であるというのであれば、それが閣議で取上げられる場合にも、越年資金とか、飢餓突破資金、食えないから青酸カリをくれるかどうかという熾烈な要求が出ておつたのに対しまして、あなた方の当面する役所が完全就労させておるというのですから、これは失業者の具体的な政策を閣議一まして吉田さんなんかは、それはそうしてやらなければならないというふうにお考えになるわけはないわけです。ですから、どうしてもやはり労働者は、直接当該の役所であります安定所要求を持ち出して、そこから行くのがこれが筋道ではなかろうかと思うのです、ことに私ども最近の請願を見ますと、こういうふうに、困つて来ているのは、川崎市だけではありません。全国的でありまして、呉とか、あるいは青森なんかでも、安定所長が先になつて県会の問題にし、県会や県知事と一緒になつて予算をふや正すために努力している。あるいはやむを得ないから、とにかく仕事に就労させて予算を使つてしまつて、そうして何とかひねり出していただきたいというふうに、県民のために、失業者のために、今日国会に持つて来ておると思うのです。ところが、何か特別な任務が與えられて、問題を起さない、だまつて押えていればいいんだ、秩序を維持すればいいという観点から報告をされて、それで政府の方から労働者に向つてつておられるのではないか。逆に労働者の方から政府の方に向つてつて来るのが、民主的な立場における職業安定所の立場ではなかろうかと思うのでございますが、何か非常にそういう点が食い違つているようにお思いではないか。あなた方は公務員だ、公務員だと言われますけれども、一体国民の立場に立つて失業者の問題を解決されるのか。あるいは吉田内閣の首切り政策の中小企業をつぶすこの政策に協力して、むりにこのわくに押しつけて行くのか。結局はそこで紛糾が起きる元ができて来ると思うのです。そういう点で川崎所長さんの見解を承つておきたい。
  72. 梅津好二郎

    梅津説明員 私どもはどちらの立場に立つということでなく、與えられた職責は十分に果して行きたい、そう考えております。ただその職責を果すというのは、消極的な意味ではなく、職業の安定を得るために、先ほど来申し上げたように、求人の開拓をして、できる限り不安定な職業でない方面にあつせんをして行きたい。それから失業対策事業についででありますが、先ほど申し上げた完全就労をさせろという要求に対しても、私はこういうふうに答えておるのであります。現在のところでは……。
  73. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 簡單でいいのです。どちらの立場に立つているかということを聞くだけでいいのです。
  74. 梅津好二郎

    梅津説明員 どちらの立場に立つということでなく、自分の職責を盡して行きたいと考えております。
  75. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 いろいろ感情的にも、当然そういうふうに質問されますと、行き違いも出て、悪感情もお持ちになると思うのでございますが、あいつら、きようもまたあぶれやがつた、あいつら、またきようもあぶれて行きやがつたというようなこと、そういうような態度で所員の方や所長さんが臨んでいて、そういう言葉が大衆の間に流れまして、何かあぶれを出すのが職業安定所の任務だというふうに考えているような、ちよつとそういうふうに思われやすいものがある。向かそういうものを助長しているのではないか、非常に失而ですが、そういうことをおつしやつたことがございませんか。
  76. 梅津好二郎

    梅津説明員 私が、あぶれさせるのが本務だというようなことを言つたことはないのであります。たた私の言つたことが聞き違えられて、これは年末十二月中の日曜の就労の件のときに、一人の、これは学生アルバイトの方ですが、アルバイトの生徒を見つけて、あなたは失業対策事業には就労はできないのであるということで、実に私ども説明これ努めたのでありますが、その学生さんはなかなかわかつてくれない。そうして自分たちもみんなと同じように働く権利があるのだということで憲法を持ち出し、あるいは法律論をくさりやるのでありますが、それが非常に的をはずれたもので、職員があとから思わず苦笑したというような点から、あぶれたために所喜がそういうことを言つた、というふうに誤り伝えられたということは聞いております。
  77. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 田代さんに伺いたいのでございます。今所長さんからいろいろ御説明があつたのでございますが、婦人の就労の拒否とか、その他の事実について、皆さんの方の御証言と食い違つておるというふうに思われるのです。これは春日さんの御質問にもお答えになつたと思いますが、川崎のいろいろな紛争が起きますときの顕著な二、三の例を御説明願いたいと思います。
  78. 田代フデ

    田代参考人 これは今所長さんははつきり拒否されておりますが、女の労働者の中ではつきり聞いた人が一ぱいいるわけなのです。きようは三十名ばかりあぶれさせたから、りゆういんが下つたというふうなことを言つておられるわけです。従つていつもあぶれさせることを、安定所の一つの名誉であるという考えのもとに行動されていたということなのです。そうして常に女の人は三日に一度くらいしか働けたい。三日に一度で百八十五円でどうして食つて行けるでしようか。食つて行けないのが事実です。それで自分の親戚や知人はみんなたずねてしまつて、借りられるだけのものは借りて来て、売れるだけのものは売り盡してしまつた、もうどうにもならない、娘は死んでしまつた、もう病気になつている子供一人しかいない、しようがないから、この子供を殺して自分も死んでしまおうとした、と言つて私のところに泣いて来た人もあるのです。また三人の子供をかかえてどうすることもできない、百八十五円では食えない、どうしたらいいのかというので、人から笑われながら、泣く泣く夜の女に化けている人もいるわけなのです。そうかと思いますと、数え年十七歳の女の子供さんで、戰争で両親には死にわかれてしまつて、そうして二階に住んでおりますが、年寄りで二階の上り下りさえできないおばあさんと、弟や妹を三人もかかえて、百八十五円では食つて行けない、そうかといつて不正はできません、どうしたらよいでしようか、内職を何とか探してくださいといつて来る人もおるわけです。こういうようなことを一人々々から言われて、私たち組合として、そういうような内職のお手伝いなんかできませんけれども、できるだけのお手伝いはしたいという気持で、個人的にはそうした人に内職をせわするという形でやつておりますけれども、そういうようなことでは、この失業問題は解決のつく問題ではないと思う。やはり女の人も男の人も、食えるだけの賃金をもらつて毎日働かしてもらう、それ以外にはこの問題は解決されることではないと思う。とにかくそういうような考え方でやつておる私たち労働者のお願いを、労働攻勢である、暴力だというようなお考えのもとから、結局きようは何人あぶれさせたから気持がよいとか言つて、それを楽しんでながめておられるというのが、安定所長梅津さんだということを、はつきり私たちは確認しておるわけです。それだけです。
  79. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほど熊川さんの御証言の中に、活動するのに自分たちの給料は非常に安い、それから旅費がなくて困る、従つてそういうことが職業安定所の民間の求人開拓とか、いろいろな活動を相当阻害しているということが、簡單ではございましたが、あつたと思います。そういうことについて、あまり長くならなくてもよろしいですから、伺いたいと思います。
  80. 熊川廣衞

    熊川参考人 率直に申しまして、安定所の現在の職員の待遇というものは、決してよいものではないということをはつきり申し上げなければならないと思います。梅津所長さんの問題につきまして、あぶれを出すことに快感を覚えたということがあつたようでありますが、私は全国的に見まして、そういうことは信ぜられないのであります。というのは、こういうところから、この点が証拠づけられるのではないかと思うわけであります。と申しますのは、私たちの超過勤務の問題でありますが、これは先ほどもちよつと御説明申しましたように、大体朝六時に役所に参りますので、超過勤務は早出勤務として二時間半です。それからあつせんの仕事をやり、晝は晝の勤務をやるのですが、労働省の方からは、超勤が足らないから朝早く出た者は早く帰つてよろしいというような通牒をいただいておりますけれども職員の手不足の中で、それらの方々が早く帰るということは、失業している方々に対してまことに申訳ないという真摯な気持から、そういう方々はあすの紹介に対する事務をやらなければならないということで、夜の八時ごろにならなければ帰れないというのが現状であります。にもかかわらず、超過勤務手当はどれだけ出ておるかといいますと、三十五年度は少しばかり、かえたようでありますが、二十四年度中におきましては、たいがいの安定所におきまして一人二百円あるいは三百円程度です。安定所に配付された予算の運営上、その程度でもつてつてもらわないと困るというようなことであります。従つてたち組合の立場からいえば、これは超勤の裏づけがないのだから、とにかく朝は八時半出勤でよいのではないか、夕方は五時でよいのではないかというようなことも一応考えられるわけでありますけれども自分たちがそうすることによつて、影響する面にはどういうふうな結果となつて現われるかということを考えますと、私たちは朝の六時から出勤をして、夕方の八時ごろまであすの仕事の準備をやる、日中は少い旅費で、汽車賃程度——それすらも満足ではありませんが、そういう中で求人開拓をやつている状態であります。従つてたちは、決してあぶれを出すととに快感を覚えているというようなことはなく、その失業している方々のお気持を自分たちの気持として、自分たちでできることは何とかやらなければならないという気持で、現在やつているということを率直に申し上げます。しかしながら、それらのむりな状態の中で、職員も手不足であります関係上、非常な労働過重で、現在どの官庁にもその例を見ないような多数の長期欠勤の職員を出しております。現在健在である職員は、それらの分をも引受けてやつているわけであります。従つてこの問題について、現在職員間に何とかしていただきたいというような声もありますので、非常に多くなつて来るであろう失業者の方々の仕事のおせわをする場合、そういう点で職員の志気に相当影響するのではないかということを、私たちは心配するものであります。私たちは職場復興ということを基本線として大会で打立てておりますので、この点私たち幹部といたしましては、職員の方々に対して非常に気の毒に思つているわけであります。そういつたような板ばさみの中で、非常に苦しい努力を続けておるということを、御了解願いたいと思うのであります。そういう点で職員の志気を完全にここで保持して、そうして安定行政の円滑な運営の面をより以上大きく広げて行くためには、まず職員の増、職員をふやしていただかなければならないのじやないかということ。それから待遇問題にいたしましても、私たち全国の職員の平均年齢は三一・五であります。それから家族の平均が一・九一であります。それの平均賃金が、本俸といたしまして四千三百十七円であります。そういうような関係でありまして、年齢が比較的多い、また有家族者が多いにもかかわらず、俸給が他の官庁のそれに比較して低いというような面、それから勤務内容でありますが、きわめて現業的であるというようなこと、そういう点から考えて、税務署の方々の勤務の内容と比較検討したのでありますが、これにつきましても、暴力とか危険とかいうことを言うと、おしかりを受けるのでありますが、現実にあつたその姿の中から考えますと、そういう点も自分たちとしてはある程度甘んじなければいけない。好んで警察の応援を求めるというようなことをして、この事態をなお紛糾させるような方向に持つて行つてもいけない。それは最悪の場合でなければいけないというような点から考えまして、税務署の職員の方々と何ら勤務内容についてかわつておる点がない。従つて特別号俸の適用といつたような問題、旅費や超勤もふやしていただくならば、職員が喜んで求人開拓の面、あるいは雇用主訪問というような、職業安定法本来の目的であるところの、いわゆる生産復興の問題と結びつけて、円滑にやつて行けるのではないかと思いますので、この点御同情願いまして、何とか御善処方お願いしたいと思うのであります。
  81. 天野公義

    天野(公)委員 先ほど柄澤さんの御質問に対して、田代さんがいろいろ御証言されたのでありますが、その中で、田代さんのお話によりますと、川崎所長さんは、あぶれを出すのに快感を覚える、それをもつて職としておるようにとられると言われた。これは国家公務員として実にけしからぬことだと思いますが、はたして田代さんの言われたようなことが事実であるかないか、所長さんの御意見を承りたいと思いまする
  82. 梅津好二郎

    梅津説明員 あぶれを出して快感を覚えておるというようなことは、これは私に言われたのかどうか、まつたく私は疑わざるを得ないのでありまして、先ほども言いましたが、現在の求人のわくと、失業者の発生状況等を私は絶えずにらみ合わせて、これをグラフにまでとつておるのでありまして、たとえば二月の二日ですか、GHQの失業対策事業の実地状況査察があつたときにも、本省の失業対策課長がいらつしやいましたので、十現在のままでは、このギヤツプはますますひどくな  る。第三・四半期のときにも追加のわくがいただけたのでありますが、どうぞこの第四・四半期におきましても、追加のわくをぜひいただきたいということをお願いしてあるのであります。なおそれだけじやない、県の職業安定課長が本省に参りますときにも、こういうひどい状況で毎日々々労働攻勢にあつておる。失業者の発生がひどいということは、とりもなおさずわくが規定してあるからである。こういうことでは困る、何とかしてもらいたいということを、私お願いしてあるのであります。それで二月は十六日から県、百、市、百、二百のわくをもらつて、それで失業情勢を、ほんの少しでありますが、緩和できた。これは私どもとしては非常にうれしく、本省にも感謝した次第でありますが、こういうふうに幾分でも状況を緩和する。それから失業者の発生状況がひどいので、暮れも正月もないという日を迎えたのでありますが、一月の四日に、私は労働課長と、それから職業紹介係の、信用しておる者をつれまして、桑島土建に行つて正月四日から求人開拓をしております。あぶれに快感を持つような所長であつたら、おそらく正月の四日から求人開拓をして歩くということはまずないと思います。私はそういう点を申し上げたいのであります。
  83. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 東京の五反田の職業安定所長さんにお伺いしたいと思いますが、労働組合の方からの御報告によりますと、あなたの方の失業者の性格は、川崎と同じように工場労働者で、失業保険を受けておる者が多いということでございますが、これは六箇月が切れる人がずいぶんあり、もう切れ始めておるんじやなかろうかと思います。こういう人たち失業保険もなくなつて来ると、結局また緊急失業対策事業に生活のよりどころを求めて来ると思うのでございますが、こういう者に対しまして、五反田では技術を持つておる者として拒否していらつしやいますか。
  84. 本庄竹雄

    ○本庄説明員 五反田では、組合の方よりもお話があつたように、拒否した事実はございません。ただ御承知の通り、失業保険の受給資格者は、都内では現在では大体固定化されたような状況でございますが、昨年の六月以降急激に膨脹しておりまして、現在では失業保険を受給しておる失業者は大体七百人、これに給付しております現金の金額が七十万円、こういつた状況でございまして、実際この方々と現在ここで問題になつておる失業者の方々とは、多少その趣が異なるのではないかと思います。私の安定所といたしましては、この失業保険の受給資格者の支給満了によるほんとうの失業に対しましては、職員総力をあげて、この求人開拓並びに完全就労の面につきまして努力を拂つております。現在この方面から日雇い労働者を希望して労働課の方に見えます人員はごく少数でございまして、大部分は無技能の労働者が多いようでございます。それを数字的に申しましても、ここへ数字は持つておりますが、長くなりますから、その程度にいたします。
  85. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 失業保険のことが出ましたので、いわゆるほんとうの失業者の失業保険のことについて承つておきたいと思いますが、職にあぶれましても、あぶれた日に失業保険が、かりに六〇%でももらえますと、これでどうにかいくらかの目安がつくと思うのであります。一文の收入もないというところに、必死になつて、うちへ帰るこができないという要求が出て来ると思うのであります。つまりそこへすわり込むということも、一文でも持つて帰らなければ、米がない、交通費がないんだという、せつぱ詰つた問題だと思います。六〇%でも、あぶれた日にあればいいと思うのでございます。これは労働局長がいらつしやいますれば、東京全体の統計がわかると思いますが、五反田でも澁谷でもよろしゆうございますけれども失業者からどれだけ失業保険料をとつて、それを具体的に実際にはどれだけ失業者にもどしておるか、統計がございましたら御発表願いたい。組合であつた組合の方でもけつこうです。
  86. 伊藤清

    伊藤参考人 数学的には、ここに来ておられる調査係長からお聞きになつたらよくわかると思います。失業保険のことでございますが、川崎では一月を通じて八日から十日きり働いておりません。そういう状態ですと、五十年かけても、百年かけても、失業保険はとれないわけであります。二月を通じて三十二枚の切手がなければとれない。ですから一月に十五日以内、十六日以内の仕事をやつていたのでは、これは絶対にとれない。これはもうだまかされて詐欺にとられたようなものです。今のところ失業保険は、どうやらこうやら登録をとつておる者は、働いておりますから失業保険ももらつておりません。この前上野の更生寮に発疹チフスが出まして、ここでは多くの人がとじ込められたわけです。それから目黒の更生寮もそういうことがありました。このときに、実際には病気にかかつておらない者がとじ込められておつて仕事ができないから、これには失業保険を何とかしてくれという要求をほんとうに強くやつた結果、これはとれましたが、足立においてはたつた一人、あとは、この前上野で出したやつは、あれは間違いで出したのだから、出すことはできないといつて断られたそうです。そういう事実もあります。ですから数字で行きますと、大体私が覚えている点では、三月末までに二百七十五、六万の保除金を十一月からとつておるわけです。そのうち発疹チフスで出したのが二十四万ぐらいだと聞いておりますですから相当の金が残つておる。この点正確な数字は調査係長からお聞きになつていただくとよろしゆうございます。
  87. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほど川崎所長さんから、労働組合の方から沖繩行き等に対する反対が出たということでございまして、そういう事実がないというお話でございました。これは全国的に私どもの方へ入りましたことでも、実は職業安定所自身が、これは職安法違反なのですが、やつておられるのでございます。そういうことは川崎ではなかつたというお話でございますが、東京の各職業安定所長さんにひとつ御答弁願いたいと思います。
  88. 本庄竹雄

    ○本庄説明員 五反田からお答えいたします。私どもの聞いておる範囲内では、沖縄行きの労務者のあつせんを東京都内の職業安定所で取扱つた事実は聞いておりません。
  89. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 澁谷、五反田、大森もおいでになるのじやないですか。
  90. 本庄竹雄

    ○本庄説明員 これは三箇所ともやつた事実はありません。
  91. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほども出たのでございますが、職員組合の方に伺つておきたいと思います。実はあなた方の給料の安いことなんかにつけて、いろいろ誘惑もあると思うのでございますけれども、小岩などで山本スミという人が、手帳をもらおうとしまして職員の方に、大体通り相場三千円とかいうので三千円持つてつた。二千円は返してもらつたけれども、千円はまだもらつていないという事実があります。それから亀戸でも何とかして就職登録したいという女の非常に弱いところにつけ込んで、強姦されようとしたというようなこともございます。日雇いの人の命の問題というような非常に切迫したところへつけ込みまして、いろいろそういうことがあると思うのでございますが、日雇い失業者の方の組合では、こういう不正な、労働者仲間に暴力を振うような者、弱みにつけ込んで利益を得るというような者に対しましては、組合としてやはり自主的に手帳を取上げてしまうとか、行動停止するとかいうことをやつておると思うのでございます。職員組合ではそういう事実がありました場合にはどうなさいますか。
  92. 熊川廣衞

    熊川参考人 実はアカハタを見まして、アカハタにその事実がありまして、非常に私意外に思つているのですが、私たちはそういうことは絶対にない、あくまでない、こう申し上げるよりほかにないのです。そこで問題は、組合としては事実あれば、当然そういうものは断固何らかの措置に出なければいけないと思います。また上司そのものは、そういうものがもし出たとするならば、措置するのが建前ではないか。もし上司にしてその事実があるにかかわらず、措置しない場合には、組合として上司に対して、その措置方を勧告するといつたようなことが当然だと考えております。ただ、はたしてそういう事実があるかどうか。この前も柄澤先生が御指摘になりました誘惑という問題は、いかなる場合でも起り得ることが予想されますので、そういうことのないように十分警戒をしなければいけないし、お互いに注意をしなければならないということは、申し合せておるわけであります。従つてないと思うのでありますが、それ以上お答えすることはできません。
  93. 天野公義

    天野(公)委員 今の問題も相当重要な問題だと思うのでございます。そこで沖田さんに伺いますが、そういう事実をお聞きになつたことがあるかどうか。
  94. 沖田正人

    沖田参考人 お答えいたします。私らの組合で、事実かどうかそれを突きとめたいと思いまして、相当組合でもやつておりまするが、いまだに登録手帳を一冊とつてもらうのに、通り相場三千円だとか、または千円だとかいううわさが飛んでおります。これは事実です。しかしそれが事実かどうかはまだつかんでおりません。私らも実質的にも、これは徹底的に排除しなければいけないということを考えてやつておりますが、今申し上げた通りつかめません。それからまたさつき柄澤さんから申されたようなことは私は知りません。
  95. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 最後にもう一、二点聞いて終りたいと思います。先ほどお答えが漏れたのでございますが、一箇月ぐらい前に労働省の命令があつたということでございますね。川崎の職安の所長の方でございますが、しかし自分としてはあまりそういう方法をとりたくなかつたからやらなかつたと言われていた。これは好意的な立場から言われたのだと思いますが、そういう事実がございましたでしようか。
  96. 梅津好二郎

    梅津説明員 労働組合に対して職員が会う場合には、労働者の正当な要求であれば誠意をもつて会う。ただし会う場合には、人員代表者が来てやるがいいし、それから時間もいろいろな用を持つているのだから、あまり長くならないがいい、そういうふうに指示を受けておるのは事実であります。しかしながら私は先ほど言つた通り、所長として全部の方に会つて所長の誠意を察してもらいたい、そういう点から今までとらなかつたのであります。
  97. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 警察を呼ぶということについて、労働省からはその指示があつたかどうかということでございます。
  98. 梅津好二郎

    梅津説明員 所長の判断によつて、情勢の判断でどうしても事態がそのまま收まらないという場合には、警察にお願いして保護を要請してよろしいということになつております。
  99. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 田代さんに聞きたいのですけれども、あなたではなかつたかと思いますが、川崎の女の方から、自分らはとにかく仕事をもらいたいといつて安定所交渉に行くときに、もう警官が来ていた例があるという報告があるのです。先に来て二階に伏せておつたというようなことがあります。それから市役所に行くだろうというので市役所へ行く道に——その日は行かなかつたそうでありますけれども、たくさんの警官が伏せておつたということがあると聞いている。そういうことはほんとうにあるのでございますか。
  100. 田代フデ

    田代参考人 これはそうであろうということで、警官が来たことはたびたびありまするたとえば二回切符を切るのに、警官を動員して護衛しなければ切らなかつたというようなこともあつたのですし、それからそれと一緒に、私たちが表の方で、きようはどうかして出してもらいたいということを相談していると、もうすでに警官が三階に上つていたことがある。また私たちが、もうきようはだめだから、しかたがないといつて、ぶつぶつつぶやきながら帰つておりますと、途中に公民館がありますか、その辺にたくさんの警官かうろうろしていたことがあるわけです。おそらくこのようなときにも、警官がこういうふうなところに待機せられていたのだなということを、私たちは感じながら行つたことがある。しかしこれは安定所のために来たかどうかということは、私たちは警官に確めておりませんから、この点では来たということは言い切れませんけれども、しかし常に警官が、私たちのために動員される経過から見まして、おそらくそのときもそうであろうということを推察いたしております。それからもう一つ所長さんは、はつきり沖縄行きは自分たちはやつていないと言われるのしですけれども、受付もはつきりありま了し、受付の人たちが二月の初めごろたつたと思いますが、六十何名すでに雰集しましたということを言つていますし、具体的には、私の方の組合の女の従業員の佐藤さんという人の御主人か、どうにも食えないからしかたがない、安定所行つて沖縄行きに志願したということも言つておられるので、こういうふうなことはあつたということを、私申し上げたいと思います。
  101. 吉武恵市

    ○吉武委員長代理 柄澤さんに申し上げます。が、あとまだ質問者がございますので、ひとつ簡單にお願いをいたします。
  102. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほど暴力を振う者の手帳を取上げたのを、また所長が手帳を交付したということがあつたと思うのです。そのほかに特別そういう暴力団のような人たちに、一日借賃百円で手帳を貸すとか、あるいは登録をするのにはいくらか賄賂をやるとか、そういう事実があるか、それからもう一つは、失業保険は実際川崎ではどういうふうにあなた方に使われておるかということ、それだけで終ります。
  103. 田代フデ

    田代参考人 お答えいたします。不正カードと言いますけれども、不正の就労手帳はずいぶんだくさん出ております。私たち組合であげただけでも、七十五枚か、六枚あげております。これは組合が摘発しまして失対所の中にはつきり保管しておるわけです。この人員の名簿は全部安定所に届けてあるということを、失対の所員は言つております。ところがこうした連絡があるにもかかわらず、やはりそうした人たちに再発行がどんどんなされているということは、組合の調査部ではつきり調査しております。具体的な事実です。それから百円というのが相場になつておりますが、これはやはり売り買いされております。百八十五円の女子たちの就労手帳が、百円で売れるということなんです。こうしたことがたびたびあつたわけなんです。もう一つは失業保険は、私たちの方ではほとんどもらう資格がありません。一箇月に八日か十二日働いたのでは、先ほど委員長から話されましたように一生涯かかつて失業保険はもらえないわけです。このもらえない失業保険を、なぜ拂わなければならないかというので、失業保険はやめてしまえという声が非常に高いのです。具体的に言えば、千人いれば毎日三千円あるわけなのです。これだけのものが吉田のふところに入つてしまつているのだ、こんなものはやる必要はないという声がひどく強いということです。これをせつかくやるのだうたら、健康保険に切りかえてくれという声も充満しておりまする
  104. 青野武一

    青野委員 私はいろいろ同僚委員からの御質問がありましたので、つとめて重複を避けますとともに、二、三まとめて御質問を申し上げたいと思います。あとにまだ一、二質問者もおりますことでありますから、要点を簡單におつしやつていただきたい。それから十九日、二十一日、本日の二十四日といろいろ、それぞれの立場からの御意見なり質問に対するお答えを聞いておりますと、一部にはこの労働委員会都合よく言い切つてしまえばいい、体裁よく言つておけばそれで済むというような気持の人が、言葉を通じて私どもには感じられる。この失業問題——私はいつでも国会で申しておりますが、党派を超越して、気の毒な失業者をいかにして保護し、救済するかということは、講和條約と同じように国民の全部があたたかい気持でこれに従事しなければならぬ。こういう立場に立つておりますから、日雇い労務者諸君の代表である労働組合代表者も、職安の労働組合諸君も、あるいは職安の所長さんたちも、またわれわれも、それぞれの立場から協力して、そうして一日も早く気の毒な失業者の問題を解決するんだという立場に立つて、要点だけ一つ真剣にお答えを願いたい。  一番先にお尋ねいたしたいと思いますことは、これは私も関係しておつたのでありまするが、二十一日の金曜日に、林東京都労働局長の、質問に対する説明の中にもちよつとお話がありました。私は福岡県から出て来ておるのでありますが、福岡県は県全体で今日、毎日三千七百五十へ、三月までは一日にそれだけの失業救済事業就労のあつせんをしておつたのであります。全国十四の主要都市の代表者がほとんど集まつたのでありますが、それが、政府筋に交渉をいたしまして一福岡県の例をとりますと、三月までは三千七百五十人、四月からは三千九百人、それが今回十四の主要都市、その県の労働部長が、それぞれの県を代表して来て、強硬に政府と話し合いました結果、わずかではありますが、福岡県は千名、余分にとつて行きました。もちろんこれは予算が関係することでありますが、こういうようなことを、私は二十一日に自分も関係してやつたのであります。四十億円の失業救済に関する予算の中で、一・四半期が十億円でありますが、この予算を繰上げ支出をしなければ、今のようにいろいろな問題が起つて来る。もちろん全部の予算でも間に合いません。そこで職安の労働組合とか、職安の責任者は、そういう主要十四都市の代表者のような具体的な問題を参考にして、政府関係に交渉、請願をなさつた事実があるかどうか。口先だけで失業者に同情しておつても、失業者は食えない。こういうことをやられたか、やられないかということを第一にお尋ねしておきたいのでありまする職安の労働組合の方と職安の所長さん一人、だれでもいいからお願いいたします。
  105. 熊川廣衞

    熊川参考人 職安の立場から申し上げます。私たちは口先ばかりでしやべつておるのではありません。その点をまず申し上げたい。そこで政府にこういう問題について言うたことがあるかどうかという御質問でありますが、私たちはいわゆる政府とは、この際労働省を意味するというような観点に立ちまして、現有のような状態ではいけない、これはわくも上げてもらわなければならないじやないかというようなことを、局長などには常に言つております。それから労働大臣にもお会いしたいということで、再三交渉したのでありますが、その都度おられないというようなことで、連絡をとつていただいた事実はありません。ただこの前政務次官にはお会いしまして、私たちの現在の勤務條件がこんな状態である。これを善処していただきたいということと同時に、これらを緩和するためには、どうしてもわくの問題も考えてもらわなければならない。それから日雇い労働者の方々の要求している事項は、たとえば賃金を上げろ、わくをなくしろ、それから失業保険法の一部を改正しろ、そういつたことであるということを率直に申し上げまして、そうして、これらについても善処方を実はお願いしておるわけであります。ただ失業保険法のいずれの点を、どう改正すればいいかというようなことについては、いわゆる待機期間というもの、これが継続五日、それから通算七日ということになつておりますが、私たちから考えますと、この点は少し長過ぎるのではないかというような点も考えております。そういう点も、これは政務次官にお聞きするとわかりますが、いわゆる政府即労働省であるという観点から、機会あるごとに局長などにはお上願いしておるわけであります。大体以上でお答うえといたします。
  106. 梅津好二郎

    梅津説明員 現在のところ、たとえば東京の安定所と神奈川の安定所、あるいは千葉の安定所というふうに、横の連絡をとつて、この意見をまとめて上申するという段階にまでは達しておらないのであります。そういう組織を持つておらないのでありまして、その点はまことに残念なのでありますが、ただ一つ申し上げたいことは、たとえば一つの県内において所長会議というのを催しております。ところが所長会議では各安定所失業状態、失業の発生状態及びわく等が常に熱心に討議されまして、第三・四中期であるとか第四・四半期、そういう場合に、たとえば川崎には割当が来たか、自分のところに来ないということは非常に残念だ。それから新年度の割当の配付でありますが、自分のところは失業者がこれだけある、しかるにだれだれのところは、自分のところほどでないのにもつと多いというような点を、非常に熱心に県へ言つておるのであります。所長会議のそうした模様からいつても、各安定所とも真劍にこの失業問題に取組み、失業対策事業を取上げております。もし横の連絡をとるととができますれば、私どもは御意見のありました通り、各安定所ともそろつてそうした上申の運びにしたいということは考えておるのでありますが、現在までそういうことができなかつたことと、もう一つは、はなはだ申訳ない次第でありますが、その日日の攻勢に忙殺されてしまつて、そこまで計画的な仕事ができないという点もあることを、御了承いただきたいと存じます。
  107. 青野武一

    青野委員 その次にお尋ね申し上げたいと思いますのは、便宜上労働組合沖田君に尋ねしますが、いろいろ労働組合の指導者の立場から、多少意見の違つたお話を聞いております。春日君の質問に対して、伊藤君のお答えと沖田君のお答えが違つておりますが、御承知のように民主的な労働組合という言葉かあり、あくまでも合法闘争をもつてこの失業問題の解決に努力する。その気持並びに精神はよくわかるのでありますが、飜つて考えると、国鉄の第一次裁定、第三次裁定、近くは炭労の強制調停あるいは専売公社の裁定の問題、どうも今のような状態で行きますと、労働問題に関する限りは、合法闘争ではその目的が達せられないのではないか、こういう労働者の声が非常に大きくなつて来ておることは事由実であります。特に失業問題のために労働組合を組織して、その指導者の立場から努力するのには、單に合法闘争をもつてわれわれはその目的としておる——これは職安の職員組合委員長言つておられましたが、沖田君は、この合法闘争というものは具体的に失業者の登録なり、あるいは雨天のときに長ぐつをもらつてやる。また子供のために、たとえば応急的なものでもよろしい、託兒所を設ける。あるいは土砂降りの雨の中で作業する者に対しては、雨具を買つてやる。そういうようなことを予算の範囲内か、追加予算を求めてする場合に、どういう形で合法闘争をなさつてその目的を達し、失業者のために努力なさつておるか。これを具体的に御説明願いたい。
  108. 沖田正人

    沖田参考人 お答え申し上げます。はつきり申し上げますが、むずかしい質問だと思います。合法闘争と言いましても、非常に幅が広く、解釈が非常に広くなりますが、しかしながら民主的な労働組合として私が再三申し上げておる立場、また合法闘争としての態度というものを、一応簡潔に要点だけ申しますと、もちろん困つている状態もわかる、そういう問題をただ單に抽象的に取上げて、そうして安定所のみで騒いだだけでは事は解決しないのではないか。それにつれて、ただ安定所所長さん方のお言葉をかりますと執行機関だ、こういうふうな見方は、これは一応指導者としてははつきりわかるのではないか。そういう点から、やはりその決議機関である東京都議会なり、または国会なりに陳情請願を行う、また大もとの労働省または大蔵省なんかにも徹底的に交渉を行う。もちろんその際においての交渉態度にも、代表団をあげての交渉もありましようし、またその代表団の交渉ができなくなりましたならば、今度はデモンストレーシヨンをかける場合もありましようし、あくまでもその場合には合法闘争という立場は堅持しておりますが、一応現在の法律の建前において、合法闘争の許される範囲を闘つて行きたい。こまかに解釈をして行きますと長時間にわたりますので、簡潔に要点だけお答えいたします。
  109. 青野武一

    青野委員 よくわかりました。その次にお尋ねしたいと思いますることは、これは澁谷と川崎安定所長にお尋ねいたします。直接関係があるかないかわかりませんが、その点はひとつよくお含み願つておきます。これはもちろん内閣が予算を編成して、衆参の国会で決定するのであります。それが十分予算が組まれて、完全な方法であつせん事業が完璧を期しますれば問題はないのでありますが、今の場合、公共事業の就労率は大体四十%ということを聞いておりまするが、この点についての御説明、それから失対事業にどのくらいの失業者を今吸收しておるか。これは全国的な統計がほしいのでありますが、東京都の労働局百長がきよう来ておりませんので、澁谷と川崎だけでよろしいのですが、参考までに承つておきたい。あわせて請負業者が自分の手持ちの労働者を使つて、巧妙に失業諸君の就労を拒否しておるという事実があるのではないか。こういうことを、関係しておりまする職員からたびたび申し出られておるのでありますが、そういうことがあるかないか。  それからもう一つお尋ねしておきますが、都として失業者の増大をどういう程度に見通しておるか。今の失業者がかりに完全に救われましても、半失業者を入れて全国には一千万を越すといわれておる。限られている予算では、失業救済事業も公共事業も役に立たなくなる、そういう点が非常に大事でありますが、都として失業者の増大の見通し、その救済事業への見解、それからあぶれを出さないようにするには、職業安定所長として具体的にどういう意見を持つておるか。もちろんこれは予算等が先に立つことでありますが、今のところ、どうすれば最小限度にあぶれを食いとめることかできるかということなんです。たとえば雨の降るとき、たとえば大雪のとき、あるいは多少体を痛めておるが、むりをすればこの程度の仕事をすることができるのではないかといつたような具体的な問題、あぶれをどういうように防いでおちれるかということをお尋ねします。もう一つあわせてこれは菅野君にお尋ねしたいと思いますが、独身者はだめ、家内一人くらいおつても、だめ——もつとも一人でけつこうですが、子供一人や家内だけではだめ、それから一家族から二人はだめだ、生活保護法の適用を受けておる者はだめだ、そんなことを言つてつたのでは、失業者の救済事業は成立たない。失業者は仕事にあずかれない。そういう点について改正すべき点があれば、われわれは国会を通じて努力することをお誓いするが、そういう点について労働組合幹部として、登録の現状を項目別でけつこうですから、労働組合の指導者、として、失業者の意思をどういう立場から代表してこういうことを考えておるのかということを承りたい。少し多いですが、三つそれぞれ御答弁をお願いしたいと思います。
  110. 梅津好二郎

    梅津説明員 失業問題の解決は、要するに失業対策事業個々のわくを画期的にふやしていただくということが一つの方法であります。しかしそれだけでは解決できる問題ではないのでありまして、やはり職業の安定した常用化が大事なのであります。そういう点から常用の求人に私どもは極力努力していることは先ほど来申し上げた通りでありますが、この点について言いますと、私どもは非常に川崎の管内では希望を持てるので、だんだん常用の求人がふえております。三月の状況から言いますと、ほかの安定所では大体前と同じくらい、あるいは部分的に下つておるところもあるということを聞いておるのであります。私どもの方では求人開拓の強化その他、たとえば鋼管あたりでは見辺り資金の融資とか、あるいは昭和石油が再開している。近く三菱が再開をする。その他造船が相当活気を呈しているというような点から、求人がふえておりまして、私どもはこの点に非常に期待しておるのであります。なお今まで相当苦難の道を歩いて来た工場であつても、ぼつぼつ求人を申し込んでくれる。そういう点で常用の紹介に一縷の希望を持つております。同時にそれだけではいけないので、失業対策事業のわくもふやしていただいて、時間的なずれといいますか、常用の就職に至るまでの失業者の救済ということについては、極力政府当局においても御考慮願いたいと考えております。現在の状況から申しますと、川崎では残念ながら、男子は必ず二日に一度就労になつておりますが、女子は三日に一度の場合と、三日に一度の場合があります。たとえばここに十四日から二十七日までの就労の配置計画が出ておりますが、十四日の女子の第一番に出て来るのは第八班であります。この第八班は十四日にあり十七日にある。次は二十日にあり三十二日にある。それから二十六日にある。輪番ですから、こういうふうに二日に一度、三日に一度というふうに回転しております。何とかもう少しこのわくをふやしていただきましたら、民間の方に対する求人開拓と相まつて、この点もう少し労働者のために就労の機会をより多く與えることができるというように私ども考えまして、せんだつて内閣の失業対策審議会の方がお見えになつたときも、そういう事情について申し上げたのです。
  111. 菅野四郎

    菅野参考人 今どうすればわれわれがこの状態から脱却して行けるかということと、もう一つは、今安定所でもつて就労を非常に厳選しておるが、もつとこれをどういう方に持つて行けばいいかというお話がありましたが、二百四十二円ではこれは一人で食つておる人間が貰う賃金である。これをもつとふやしてもらうにはP・Dみたいな組織をつくつてもらつて、各職場々々にりつぱにその職を生かすというくらいにまで、われわれの仕事を増大してもらいたい。御存じの通り、今の仕事は除草あるいは清掃、あるいは残土、仕事としてはあまり仕事らしい仕事という場面にタツチできないのであります。もつと意欲を伸ばす仕事を見つけてもらいたいということ。それから大体整理人員が非常に多いのであります。官庁が、二十五年の一月には事務所数で八千九百五十八箇所も整備されまして、整理人員が三十八万八千百二十七人、こういう非常な人間が整理されまして、そちして海外引揚げの同胞が二十四年度の十二月に六百二十四万一千四百二十三人です。こういうようなぐあいに海外引揚げがありまして、厖大な数が職業安定所に来る。安定所の面接においても一万九千六百七十六人、その中で求職した者が四千七百八十人、こういう非常に僅少な就職数しかわれわれは持つていないのでありますから、もつと予算を増加してもらつて、観光事業におきましてもうんと増大してもらいまして、どんどんできますところの何百万という予想失業者、大体去年でも百万くらいだといつておりましたが、この失業者を完全に吸牧してもらいたい。そうして今言つた通り、仕事を政府でめんどう見て、完全な仕事をわれわれに與えてもらいたい。それから先ほどお話のありました通り外国の非常にいいところの保障制度、要するに社会保障制度をわれわれにやつてもらいたい。このために私どもも努力をし、苦心をし、研究し、当局にもお願いしたい。今後こういう方針で進みたい、こういうところであります。
  112. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 政府が失業問題の対策として当初大きく発表しておつたのは、吸牧できる見通しをつけたものとして、外資の関係の事業を増大するとか、いろいろ出たと思いますが、川崎でふえておりますのは、どういう方面でふえておられますか。たとえばP・D関係とか、L・Rとか、そういう方面がありますが、職安ではそれの紹介をやつておられますか。
  113. 梅津好二郎

    梅津説明員 川崎ではL・Rいわゆる進駐軍関係のレーバー・リクイジツシヨンに対する紹介は、今のところ全然ないのであります。全然民間ばかりであります。ただ従来軍の施設としてあつたシグナル・デポー、これは日満埠頭のことでありますが、これが最近P・Dになつたということで、そこのP・Dで受けたところの常用の紹介を、最近数次にわたつてあつせんしております。民間の方の再開は先ほど言つた通りであります。
  114. 青野武一

    青野委員 もう一つお尋ねいたします。大都市の失業者の見通しとか、救済事業に対する見解とか、あぶれをどういうふうに具体的な方法を講じて防止するかといつたようなことのお答えがありませんでしたが、一緒にお答えを願つておきます。これは澁谷の所長さんでけつこうでありますが、お願いしておきます。  その次にお尋ね申し上げたいことは、これはこまかい問題でありますが、非常に日雇い労働者諸君の切実な要求もありますので、申しておきます。今菅野君からのお答えにもなかつたようでありますが、雨が降つたときに雨具がない。もちろんわずかな給料でありますから、雨具を買う金もないでしようし、下水工事になると、女の方あたりは、すねのところまで冷たいところに入つてつておる。そういう特殊な作業をする場合には、職業安定所では特別な規約でも設けて、長ぐつを貸してやるとか、子供のある人には、何とか借りてもいいから当分の間子供を預ける施設をする。これは未亡人あたりの切実な、血の出るような要求である。こういう点について、各職業安定所長さんはどうお考えになつておるか。  もう一つは食糧の配給を職安の前でやつておる。ところが自分の居住区域でやつておるところもある。そういうことはひとつ日雇い労働者要求に応じて、画一的に、東京都内では居住区域でゆつくり自分の時間内で、自由に取りに行けるようにしてやつていただきたいと思いますが、こういうことについての見解はいかがでしようか。  もう一つあわせて、これは職安関係の組合員を代表しておる労働組合委員長の方にお尋ねしますが、こういうように失業者が非常に多くなる。そして蒙れるためにいろいろな形で職よこせの闘争が展開せられて来る。これはどんな権力を持つて押えてもだめである。失業者に職を與えない限り、失業者の生活を最低に保障しない限りは、ますます大きく展開されて来る問題であるから、そういうことの見通しの上に立つて、その職業安定所事務を円滑に処理して行き、そしてあぶれのないように、それらの諸君とひとつ話し合つて、こういう人たちの最低の希望を通すには、また事務を円滑に処理して行くのには、どういうことをしてもらいたいか。こういうことについて、ひとつ労働組合側を代表して、全国の職安関係の職員諸君の意思を代表して、率直な見解を承つておきたい。  それからこれにあわせまして、いろいろ春日君、柄澤氏からも御質問がありましたことで、私ども事実資料を持つておりますけれども、申しませんが、初めから警察を呼んで警戒をする。これは明らかに事実問題として敵対行為を起させる原因をつくる。たとえば労働組合諸君が、自分の生活を防衛するために、旗を持つて議会に何千と出て来る。そうすると衆議院議長あるいは参議院議長が警視庁に電話をかけて、三百人も五百人も警察官を内庭に入れておる。何にも起らないときにすでにそういうことをやる。だからそういうことは、東京都内でもしばしばあつたはずでありまして、警察力にたよらなければ、失業者の問題が扱えないという考えが間違つておる。一緒になつて、これらの気の毒な諸君のために、できるだけ努力をするという立場に立てば、相当話がまとまつて行く。今の場合予算がなければ、予算はこれだけである、仕事はこの程度であるというように、よくひざを突き合せて話をすれば、私は日本人同士ならわからぬはずはないと思う。それをいきなり、こういうことがあつたときにはということを予想して、初めから警察と連絡をとり、初めから、田代氏も言つておりましたように、警察を前もつて呼んでおいて、警戒をしてもらうという行き方は、裏から言うと、失業者にかつてに死ねという結果になるのであります。こういう点についてどういうお考えを持つておるか。われわれはそういうことをしてもらいたくない立場から御質問いたします。  それからこれは川崎でも澁谷でもかまいませんが、どちらの関係かよくわかりませんけれども、たとえば俗に言うように、強い力でつるし上げになれば、登録を拒まない。あるいは戸山ハイツの諸君は、何ぼか中小企業の宮城前の大会に参加した。そして結局結論から言えば、力関係で何ぼかの人が給料をもらつた。事実働いてないが、宮城前の中小企業の大会に出て行つた。関係者はこれを俗に不正就労と言つておりますが、この問題について、実力行使をしなければ登録をしないというようなことは、規則の上からいつても、事務の上からいつてみても間違いである。できるだけあたたかい気持を持つて、成規の手続を踏んでやつてもらいたいが、この点についての真相、たとえばどれくらいの数の人が皇居前の中小企業の大会に出て行つて、どれくらいの人が結局給料をもらつたか。これは労働委員会で、最後にこの失業問題の結論を出すためには大きな問題であります。でありますから、この点をお尋ねしておきます。  いま一つそれに付随して申し上げておきたいと思いますことは、これは今の問題ではありませんが、労働委員会にしばしば出て来てもらうことができないかもしれませんから、各職業安定所所長さんのどなたでもよろしいのですが、伺つておきます。福岡には御承知の通り私どもの社会党の知事がおります関係で、よその県とは比較にはなりませんが、年末あたりには千五百の失業者の中で——仕事がないことはわかつておるが、年末だからというので、昨年の暮れは千二百名程度は仕事がないのに結局一週間程度就労させた。これは事実である。ところがしまいになると、二百人も来なくなつた。年末の突破資金を三千円もらつてやるから仕事に行くな、という話が伝わりましたので、せつかく千二百のわくをこしらえて、年末のもち代、正月の足しにもと思つてそういうことをやりましたが、結局数が少かつた。東京都におきましても、この前の労働委員会でも申しましたが、大蔵大臣の次におります事務次官が、一定のわくしか予算がない、気の毒な人のためにこの予算を使つてしまえば、一月、二月、三月は予算がないけれども、今気の毒な都内の日雇い労働者のことを考えれば、予算を繰上げて支出しなければしようがない。あとは何とか政治的工作があるだろうと言つたということを、ずつと前に労働者の代表の人が面会に来られたときに、私どもは聞いております。そういうことは、たとえば盆前であるとか、あるいは正月前であるとかいつたときに、福岡のような行き方をしてもらうように私は希望しますが、予算のそういうようなやりくりは、少々強硬に関係各省と話をすればできるのではないか。少くともその程度のあたたか味は、責任者である各職安の所長さんは持つていただいてもよろしいのではないかと考えます。これについての御見解も伺いたい。
  115. 坂田虎七郎

    ○坂田説明員 御質問の趣旨を局長が出席しておりますれば、たいへん明快に回答ができると思います。あまりに内容が豊富で一安定所長の回答では御不満だろうと思いますが、御指名がありましたので一応お答えいたします。  第一の失業者の予想いかん。またそれに対する対策をどう考えておるかという御質問に対しましては、失業者の増大は遺憾ながら認めざるを得ないのではないかと考えております。というのは、失業保険金の支給期間の六箇月も消えつつありますし、かつ先ほど来、二、三の人の品にも乗りましたように、現在の経済状態におきまして容易ならざる事態であるということは、私どもとしても考えておるのであります。ただこれに対する対策につきましては、一安定所長としてはあまりに問題が厖大で、先ほど申しましたように、今のところはわれわれに與えられた仕事としまして、求人開拓を徹底的にやる、あるいは公共事業なり、失業対策事業の予算の増大をお願いするほかはない、というふうにお答えするほかはないと思います。それから託見所の設置の問題でありますが、これは特に澁谷の場合においては、婦人労働者が非常に多いので、従つてお子さん連れも多いのであります。これに対しまして就労関係上、何とかしなければならぬと考えておりますが、託見所の問題は民生事業関係の仕事でありまして、ただ私たちとしましては、上級官庁である労働局にそのことを具申しまして、東京都の場合は労働局から民生局の方に積極的に設置の方法を考えるようにしていただきたいということを、申し上げておるわけであります。     〔吉武委員長代理退席、大橋委員長代理着席〕 それから警察要請の問題でありますが、これは現在のところ東京都としましては、事前に警察の方へ連絡をとつて、防備といいますか、そうしたことをやつておる事実はないのであります。それから大衆的な圧力をもつて登録手帳の獲得とか、そういう運動がなされたときに、その結果が、そういう要求通り行くかという御質問のように承りましたが、そういう事実もありません。ただいかに圧力がありましても、私たちとしては與えられた仕事のわく内において、それができる、できないということをやるので、そういう圧力のもとでそういうことをやるという事実はないのであります。
  116. 熊川廣衞

    熊川参考人 それでは職安の組合の立場からお答えいたします。まず第一に、失業者が出るであろうという点ですが、これはできるだけ出さないように、国策が考えられなければならないのではないかと思います。しかし、それにはどうすればいいかというようなことを、この際申し上げることは御遠慮いたしたいと思います。安定所の立場からは、何としても民間の企業の復興ということがない限り、失業者はふえて行くばかりじやないかと考えておるわけであります。従つて民間において仕事を、特に常用的な仕事をつくる方向に行くことが望ましいと考えております。  その次は、公共事業についてでございますが、飯場といいますか、いわゆる住宅の問題で、公共事業をやつておる場所に、失業しておられる方々が行けないといつたようなことで、公共事業に対する環境、設備が十分でないということが言えるのではないかと思います。従つて、こういう点にも善処される必要があるのではないか、こういうふうに考えます。  それから生活保護法の問題でありますが、生活保護法の適用を受けておる者は、登録をさせないというふうになつておるのだということを、再三参考人の方からの御発言の中で承つたのでありますが、これは全部が全部ということは、確証をつかんでおりませんので、全国的には申し上げられませんか、私の知つておる限りにおいては、生活保護法は、これは職のないということが前提となつて、生活保護法の適用を受けるのではないかということを考えるわけであります。従つてまず求職に来た方々は、それを登録する、登録は受付ける。そしてなお仕事がない場合に、しかもその人の生活が困窮しておるという場合に、初めて生活保護伝の適用という問題が考えられるのではないか。しかしながら現在の生活保護法の適用を受けましても、これは非常に金額が少いということが言えるのではないかと思います。従つて、その点についてある程度生活保護法の適用を受けて、なおかつ最低の生活ができるところまで金額のわくを上げてやるということが、必要ではないかというふうにも考えられるのであります。  それから現在の賃金の問題でありますが、これは緊急失業対策事業法によりまして、大体一般民間の賃金よりも二〇%または一五%低い賃金を支抑えというふうに、法律の上でなつておるわけであります。この点は諸先生方がおつくりになつた法律でありますので、私からこういうことを申し上げるま七もなく、おわかりのはずであります。従つて、この点について最近一般の民間におきまして、あるいはその他の仕事におきまして、常用的な仕事が似つて来ておる、川崎の例はいざ知らす、全国的に見れば、こういうことが、数字の上に現われて来ておるのではないかと思います。そういたしますと、この失業対策事業費でありますけれども、この失業対策法第一條にうたわれ、おる通り、これは暫定的な措置だということになつておりますが、現在の社会情勢の中では、これは常用的な、まつたく生活そのものと結びつけた中じ考えなければならないほど、失業対束法が制定されたときの情勢よりは、もつともつと深刻な問題が、これは定職こいう問題とも結びつけて現われて来ておるという、この社会現象を考えるこきに、この失業対策法によつて盛られてある、二〇%または一五%賃金を低くしろというような点につきましても、改正の要があるのではないか、こういうふうに私たちは考えておるわけであります。そういうことによりましても、なおかつわくをふやすということは、これはどうしてもやらなければならない問題じやないかというふうに考えるわけであります。  それからさらに御婦人の方で、御主人が働いておるのだが、どうしてもそれだけでは子供の教育もできない。もつと極端な例を申しますと、御主人が病気をしておるために、籍はあるが俸給がもらえないということも、再三私たち見受けるわけでありますが、そういう方々に対しても、これは相当考えなければいけない。すなわち御婦人の働き得るような事業を、この失業対策の中でも考えなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。と申しますのは、現在失業対策事業につきましては、大体事業の種目というものがきめられておりますが、その中には御婦人に向くような事業というものは少いのであります。そこでわれわれは、それでは困るということで、御婦人に向くような事業場を見つけてくれ、つくつてくれということを市当局にお願いしておるわけであります。事業はあくまで国庫補助の形におきまして市町村当局がやるわけでありまして、私たちは單にあつせんをするということになつておるわけであります。ところが、これはお調べを願つてもさしつかえありませんが、ややもするとこれは例外中の例外と思います。また日にちを記憶しないので、はつきり申し上げることができないのを残念に思いますけれども、千葉県の例をとりますと、この失業対策事業をどうするか、失業者の方々をいかにして救済するかという問題で、失業対策事業を中心として、千葉では現在千葉市、船橋市、市川市、銚子市の四つの都市が失業対策事業をやつておりますが、その四市の土木課長さん方のお集りを願いまして、県の職業課が中心になつてつたことがあります。そのときに、これは船橋の土木課長でありますが、あのやろうどもがうるさくてかなわない、というような暴言を吐いた事実があります。私も非常に憤慨いたしまして、そういうようなことであるから、船橋の失業対策事業は満足に行つておらない。やろうどもとは何だということで、非常に食い下つて取消しを迫り、取消していただいたことがありますが、そういう方がまだあるんじやないかというようなことです。こういうことも何らかの形で反省していただかなければならないのじやないか、こういうように思うわけであります。なおかつ、ある場所においては失業者があぶれているし、ある場所においては満配だといつたようなことも聞きますので、やはり賃金の点はこれは全部国庫補助といつたような形で、施設とかそういつた方面を市町村で持たせるといつたようなことにすれば、この点地域的に交流ができるのではないか、こう思うわけであります。たいがい聞いてみますと、われわれの方でも三分の一の賃金を拂つているんだ、だから自分の市の救済はやるが、よその失業者はあまり好ましくない、これはひとつ御遠慮願いたい、といつたようなことを言う市当局があるわけであります。そういう点も賃金は全部国庫補助だといつたようなことになれば、この点もある程度地域的に操作ができるんじやないか、いわゆるあぶれの点についての交流かできるのではないか、こういうように思うわけであります。  それから御婦人の問題につきましては、授産所といつたようなものをもつともつと真剣に考えなければいけない。授産所の問題と託兒所の問題が非常に関連性があるのではないか、こう思うわけであります。現在のところは託兒所というものはほとんど少いのであります。ことに作業の場所柄、先般のニユースでも、東京都の某所でやつておる作業場のニユースが出ております。子供さんが泣いておる。しかもお母ちやんがモツコをかついで、自分の泣いている子供を見ながら、それにおつぱいも與えられない。あの現場を私はニユースで見たときに、やはりその職場に携わつておる者の一人として、じつとしていられない気持があつたのであります。こういうような点もやはり考えてやらなければならないのではないか、こういうように思うわけでありす。  それからなお先ほど安定所の問題については、いろいろお願いをいたしましたので、御了察お願いいたしたいと思いますが、実際日雇い労働者紹介する場所を安定所と切り離した場所にする。なおかつ日雇い労働者の方々が現実に休憩する場所もありません、ほとんどのところが休憩する場所もないのじやないか、こう思います。そういうような点につきましては、やはりたまには雨も降る場合もありますから、ちよつとした雨宿りができるというような場所あるいはこれから暑くなりますと汗ばんで参ります、上着を脱いでおかなければならない、脱衣場といつたようなりつぱなものでなくとも、いわゆる盗難のおそれのない、そういうようなものを保管することのできる所も設備するといつたようなことも、これは考えなければならないのではないかと思います。こういうようなことが現存非常に要求となつて現われているようであります。そういうような点につきまして、できるだけ早く措置していただかれるならば、現在の日雇い労働攻勢というものも、そういう面から少くも緩和されて行くんではないかということだけは、はつきり申し上げることができるのではないか、こう思います。職安組合の立場から、労働攻勢に対してどういうふうにすればいいのかといつたような点については、以上八点にわたりまして申し上げたのであります。  それから警察力の問題でありますが、これは再三問題になつたことでありまして、私たちは決して物事を荒立てて行くということは、絶対に好んでおりませんし、またそうすることが建前ではないと思います。従つてたちは、気の毒な失業者の方々の中に飛び込んで行つて、ともどもに相談し合うというような気持であるということ、その中から緩和される面が出て来るんじやないか、従つて警察に対しまして、事前に連絡をとるといつたようなことはあり得ないということを、率直に申し上げたいと思います。大体以上であります。
  117. 青野武一

    青野委員 私はこれで最後でありますが、最後に一括して三点だけ簡單に御質問します。第一はこれは私が若いときに十年ほど苦い経験を持つてつたのでありますが、労働組合法の改悪の際も、職業安定法の際も、緊急失業対策法の際も、私たち労働者の利益を守る立場に立つて論戦もし、質問もしたのでありますけれども、不幸にしてわれわれの要求がいれられなかつた。そのときにも言つたのでありますが、全国的にこの労働攻勢、職よこせ攻勢の底を流れる大きな原因の一つとして、思想的背景のある者、たとえば何々党に所属するとか、あるいは何々労働組合という非常に戦闘的な組合に関係のある者とかいう人には、こういつた仕事はあなたのからだでは向きません、技術の点からも、あなたはこの仕事には向きませんと言つて、せつかく職業安定所が職業の紹介をしてくれましても、事業主の方がこれを巧妙に拒否をするという行き方が全国的にあつた。私は北九州でありますが、北九州では大きな会社が林立している。一年前には、社会主義というのはどんなものかといつたメンタルテストをやつて、それに答弁した者は絶対に採用しない。このごろはちとひどくなりまして、民主主義とはどんなものかということを、ある程度答弁ができる者は、もう雇うな、大体こういう傾向が裏にある。だから、東京の自由労働者諸君の中にも、あるいは国鉄や官公吏の中から首を切られた人たちがたくさんある。そうして仕事行つても、もうすでに裏からブラツク・リストに載つおるから、なかなか気持よく使つてくれない。職安の窓口は通つても、場に行くと、何のかんのとやちれる。初めのうち四、五日はわからなくとも、わかると巧妙にやられる。私も大正の末期から十年間ほど、北九州でどこをうろついても、職を得ることができなかつた苦い経験を持つておる。だから私どもは特にそういう点については理解を持ち得るのでありますが、そういう傾向は、何と申しましても、東京都は全国の一つの目標になつておる。すぐに政府から1影から命令でも来ると、そういう形をとる。だから、あつたとは申しませんけれども、そういう傾向があるということを私は認めておる。物的証拠をきようは突きつけませんけれども、そういうことが行われておる。だから東京なんかは、そういう形で行けば、いくら押えても、いくら労働攻勢をいやがつても、職よこせ運動に対立しても、そういう根は枯れることはない。そういう行き方をしておるとはつきりは申しませんけれども、そういうことをしないように、われわれは希望するのでありますから、そういう点について、一番いろいろな立場で中心になつておられまする川崎所長さんに、その点についてお答えを願いたいと思います。  それからもう一つは、菅野君がるる統計をあげて言つておりました。これは重要問題であります。これは一箇月のうちに二十五日間で、二百円手取りの者であつても五千円、そんな人はあまりよけいありません。福岡の例をとりましても、二箇月で三十二日働けば最高だと言つております。それで十日、十五日働けばいい方である。それを二百円手取りで、交通費を引き、いろいろな雑費を引いてはやつて行けない。その点について、自分のとる收入、自分の受ける給料を標準にして、そこにおいでになつておる職業安定所所長さんは、それでは食えるか食えないか、いくら公務員でもその程度は個人的に発表できる。われわれはすでに結論を握つております。労働委員会としてどういうところに——書類、資料じやありません、生きたそれぞれの立場からのお話、十九日、二十一日、二十四日と三日間、皆さんの血の出るような叫び、それぞれの責任者の立場からの苦衷を、私どもは十分に聞かしていただいたので、どうすればこの問題を、ある程度解決づけることができるかという一つの結論は握つておるのでありますが、その点について、あつせんの機関の責任者であります所長さん方の御意見を簡單に聞きたい。  また田代氏が言つておりましたように、御婦人は百八十五円、御婦人だからといつて男の三分の一の飯で済むはずはない。でありますから、この点についても非常に不合理があるのでありまするが、これは率直に承つておきたい。  それから次に、これは私が非常に北九州で苦しんだときの経験から割出してお尋ねするのでありますが、それも簡單な御答弁でけつこうであります。これは上級官庁の監督とか、何とかいうことではなくて、そう予算の伴うものではありませんが、今のような問題が次から次に起れば、これは職安の労働組合の労働職員の方も、やりにくいことは事実である。一定のわくがあつて、公共事業失業対策事業をどうすることもできない。その根本的な解決は内閣が予算を編成して、国会がこれを決定する。最後的な決定機関でありますから、よく知つておりますが、そういう点、今起つています問題を、ある程度合理的に話し合つて解決をして行くということにつきまして、われわれがやつております当時は、それぞれの都市に失業対策委員会という別個な機関を持つてつたのであります。少くとも全国に一つの範を示すために、東京の十七の職業安定所区域に、そこで働く自由労働者諸君の各労働組合幹部を、何人かずつ民主的な方法で選考してそれを出す。それから職業安定所の中の労働組合諸君——労働組合幹部ではなく、失業問題に関するいろいろな話合いするために、職安の労働組合の中から代表者を何名か出し、そして職業安定所長をも入れて、失業問題に対する具体的な対策の協議会を、自主的に民主的に持つて、納得ずくで話をして行く。それでもなおかつ問題が解決つかないときは、全部国会に持ち込まれることになるのでありますが、ただ気の毒な気の毒なでは、失業諸君の救済は根本的にできません。今のところは、そういう一つの機関を民主的な方法と自主的な行き方でおつくりになつて、集まつて来る日雇い労務者諸君代表者と、前日ぐらいから一応話し合つて、それぞれのあつせんをやつて行くといつたような行き方をやつて行けば、おのずから予算の範囲内で、それぞれの監督官庁の了解を求めて、あるいは雨の降るときには仮小屋、休憩所をつくる、小供さんのある者にはちよつとした簡單な託兒所を設ける。雨の降るときには、雨具とか下水掃除をするときの長ぐつとか——女の人が冬の寒中、ももまで水につかつて下水掃除をするというような、非常にその点は悲痛な御意見があつたのであります。そういう点も、ある程度はそういうような失業対策協議会というものを職業安定所ごとに持つてやれば何も上から干渉される必要はない、自主的にやるのでありますから、そういう御意思が職業安定所所長さん方におありになるか。あるいは熊川氏は全国職業安定所職員組合委員長でありますが、そういうお考えを持つておられるか、この三つをお尋ねいたします。  そして最後に、労働省の労政局長においでを願つておりますので、このあとに岡田君が御質問を簡單にやつて終るそうでありますが、今問題になつておりまする強制調停、総司令部によつてストライキを中止されました全国三十三万の労働組合員を持つておる炭労の調停委員会の問題について、政府の所見をただしたいと思いますから、最後に委員長にその点お含み願つておきます。どうぞ御答弁を願います。
  118. 大橋武夫

    ○大橋委員長代理 簡潔にお願いいたします。梅津好二郎君。
  119. 梅津好二郎

    梅津説明員 職業安定所紹介したものについて、大会社で何のかのといつてこれを断つている事実、これは川崎で何と考えるか、そういう御質問のようでありますが、遺憾ながら川崎においても、私どもが、一応適任者これは技術その他能力の点から見て大丈夫だと思う者を紹介いたしましても、会社の方が目が肥えているといいますか、技術の点はもちろんのこと、いろいろな関係から調べまして、会社自体好ましくないという人物に判定されました場合は、私どもが見まして適当だと考えておつても、不採用になるのが事実なのであります。私どもはこの職・業安定法の第三條にありますように、何人も人種、国籍、信條、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合員であること等を理由として、職業紹介、職業補導について差別的取扱いを受けることがないという原則に基いて紹介するのでありますが、一方において、職業の紹介の原則にあります通り、私ども求職者にとつてはその者の能力に適した職業、求人者にとつては求人條件に合致する人を紹介しなければならないという苦しい事情にあるのであります。しかしながらこの求職者の求職の條件の中には、その者がどういう思想であるかどうかということは、私どもは実際調べないことになつているのであります。これはまつたく公平な立場から紹介する。会社側が独自の見解でそういう点を調べて、自分の会社に対して望ましくないと判定された場合は、安定所としてはそれ以上これに対してぜひとれということは言い得ない事情にありますので、その点は御了承いただきたいものであります。なお追つて組合長からもお話があると思いますが、失業対策協議会というようなものをもつて失業者の代表、それから職安の労働組合の者、所長等が一緒になつて協議することができるようなふうに持つてつたら、現在の尖鋭化しているのも緩和できるのではないかという御意見がございました。これは私自身としては非常に望ましいことだと考えております。
  120. 熊川廣衞

    熊川参考人 最後の点でありますが、すでに失業対策委員会というものをつくつている県もあります。しかしこれはたいがい県が中心になつておりますが、これを安定所ごとにつくつてはどうかといつたようなことに、今勧奨しているのが全国的に相当多いと思うのであります。ただその中で現われて来るのは、現在の日雇い労働者の方々によつて組織されている組合の代表の方が、その失業対策の委員に入つているところは少いのではないかと見受けられるわけであります。この点につきましては、私たちはやはりものを平穏裡に、しかもお互いに納得ずくで乏しきをわかち合うといつたような気持の中から、話ずくでスムースに持つて行くためにも、非常にけつこうなことではないかと思いますので、今度の執行部会議には、そういうものもぜひ取上げてもらつて、われわれの立場からも大いに働きかけて行きたいと考えております。
  121. 青野武一

    青野委員 その点につきまして御質問は終つたのでありますが、そういうことは失業者の代表、いわゆる日雇い労働者の自主的な労働組合代表者を入れてこそ、話が円滑に行くのであつて、第三者はどこまでも第三者なのであります。そういう点は一つの新しい試みとして、すでに二十年前にも北九州方面である程度成功したのでありますから、ぜひひとつそういうように、それぞれ了解をしなければならないところは了解してもらつて、やつて行つてもらいたい。われわれはまた労働省関係には、特に議員の立場からそういう交渉を別個にいたします。  最後に各職業安定所長さん及び職安の労働組合諸君、各自由労働者の労働組合幹部諸君の御出席になりました人にお願いしたいことは、大きな問題はやはり国会を通じなければならない。日本の重要産業の問題は、国際的規模のうちに解決するように、一般労働行政の給與問題というものの中で、失業問題を解決しなければ、失業者だけの問題を切り離しては解決がつかない。そのためには国会はもとより、各党各派が超党派的立場に立つて、お互いに全力をあげてこの問題に最善の努力をする、また皆さんもそれぞれの立場から、こういう問題については真剣に、自分のことであり、最後には自分の力で自分の生活を防衛しなければだめだというひとつはつきりした立場に立つて、われわれと一緒に努力していただきたいことを最後に皆さんに希望いたしまして、私の質問を終ります。
  122. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 簡單に二、三点をお伺いいたしますが、まず第一に川崎安定所長にお伺いいたします。先ほど田代さんからお話のあつた中で、不正手帳が七十枚ばかり組合にすでにとつてあるという証言もあつた。しかもこれについてはその後においても再発行が行われた。第三の問題は就労手帳が百円で売買されている、こういう事実も田代さんからはつきり言われているのであります。この点については安定所長としてそういう事実を聞かれたことがあるのか、そういう事実をお調べになつたことがあるか。そういう点についてお答えを願いたい。
  123. 梅津好二郎

    梅津説明員 お答えいたします。不正手帳が七十枚もあがつたということは、これは事実のようでございます。私どもも何とかしてこの不正をなくしたいという点で、実はここにもございますが、これも不正なのであります。これは私ども紹介にタツチしまして、たとえばこれは十八歳の者が資格取得届をしてこの手帳をもらつているのでありますが、実際に就労せんとしてこれを保持しておつた者は、三十歳くらいの者であります。そうして就労せんとする際これを見ますと、本人ではない、これは不正である。従つて今のところ職に離れるとか、いろいろな点がありまして、残念ながらこういう事実はありますが、写真の添付によつてこういう不正は排除できるではないか、そういうことで私ども県の方に——今度十月末までにこの手帳を交付した者は、五月の初めから更新しなければなりませんから、こういう措置によつてこの不正者を撲滅したいというように考えております。また不正手帳の売買というか、貸したり何かするのも事実であります。従つてこういう点については、私どもはやはり虚偽の届出をしてその手帳を入手したという観点から、失業保険法第五十四條違反である。もし悪質な者であれば、これは告発するというところまで考えておりまして、私どもはそういう事実に遭遇しますと、懇々とさとしております。しかし今のところ職員がふなれなところもあり、かつ、たくさんの労働者が来ますと、十分一人々々時間をおいて審査することができないという弱みがありますので、手帳更新の際には写真添付その他万全の措置を講じて、なおかつこういう不正があるという場合には、私どもやむを得ず失業保険法違反という点で、この不正の撲滅を期したい、そういうように考えております。安定所としても極力この点については努力しているのであります。
  124. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今のお答えでは、日雇い労務者の方が悪いのだと言わんばかりのお話ですが、これはわれわれの聞いておる限りでは、いろんな縁故で安定所の関係から再発行されているような事情も聞いておりますけれども、きようは時間がおそくなりますから、簡單にして省略いたします。  その次には、先ほどこれは、やはり田代さんからの答弁で、大分はつきりして来ておるのでありますが、沖繩行きの点について六十名募集が行われた、こういう点がはつきりしております。それでこういうように沖繩行きの問題について、これはひとり川崎だけではない、東京の各職安の関係の地区においてもあつたように私は考えておる。そこで先ほど職安の所長はそういう事実がないと言つておられますが、労働組合の関係の方では、こういう事実を川崎田代さんと同じように聞いたことはないかどうか、この点を東京関係の労働組合の方から、あるかないかだけでけつこうでありますから、一人ずつお答えを願えればけつこうだと思います。
  125. 白川推二郎

    ○白川参考人 大森では、別に募集はしていないが、申込みは受付けるということを、はつきり職員が、沖縄行きのことについて質問した労働者に、答えております。
  126. 沖田正人

    沖田参考人 お答えします。うわさを聞いただけで、私の方も調べましたが、ありません。
  127. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ないのですか。
  128. 沖田正人

    沖田参考人 わかりません。
  129. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そのほかは伊藤さん、全体としてわかりませんか。
  130. 伊藤清

    伊藤参考人 沖縄行きの問題については、これは機密にやられたように私は考えているのでございます。あの当時安定所では、そういうことはない、労働省でもそういうことはないと言つてつたのですが、何だかよくわかりません。そういうことについては、当分控えておれというような指示が、労働省の方から出たように考えております。これははつきりと明るく出されたのじやなくて、非常に話から話に飛んで、祕密のような形でこれが出された。新宿の場合にはこういう話に乗つて非常に迷惑を——これはデマに乗つたのではなくて、そういう話に乗つて行こうとして準備をして、非常に迷惑を感じたというのが、私の知つている例であります。それははつきり行こうとしたことです。
  131. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 沖繩行きの問題も、職安の職員の方はないと言つておられますが、川崎の場合についても白川さんが答弁されました。大森の場合にしても、事実そういうことがあつたらしいことが判断できるわけでございますが、それはともかくとして、こういう事実などにしても、われわれの言いたいことは、職安法から見て、これは黙つておけない。行政措置が事実とられようとしておる。そこでこういうような事案がどんどん行われる危険性が、今後も相当あるような印象も受けるわけでございますし、しかも先ほどから、これは職安の新長その他ここに御出席の方全部がお話の通り、こういう職よこせの闘争にしても、その基礎には現内閣の失業対策の政策がなつておらないからである。こういう点ははつきり皆さんがお認めになつているわけであります。しかもこういうような失業の状態を根本的に解決しない限りにおいては、その失業者の問題が解決のできないことはいうまでもないので、これは吉武君がいかにやじられましようとも、吉田内閣のボロはこういうところではつきり現われております。吉武君もいずれ労働大臣になられるでしようから、そのときにはひとつ解決なさればよいと思うのでありますが、これは余談になりますから、この程度でやめておきます。  次に全職安の委員長に一つだけお伺いしたいと思います。先ほどからいろいろお話を伺つておりますと、職務に関してのお話がいろいろございます。いわゆる職安の組合員の生活の状態の問題、この問題については、私はちよいちよいこの席をはずしましたので、その間にお話があつたかどうか知りませんが、やはり職安の組合としては、組合員の生活の擁護というのが、根本的な問題でなければならぬ。特に七千八百七十七円の人事院の勧告も無視されて、六千三百円しかもらえないという、現在そういう状態にあるたけに、やはり失業者の立場を考えてみると、最初のあなたの証言のときに、自由労働者と、あるいは労働組合と一緒になつて、連繋をして失業問題の解決をする点については断つておる。かようにお話になつておりますが、しかしあなたの今の組合員の生活の状態から見て、やはり失業者の問題についても、自由労働組合の人と一緒に提携して、できるだけ解決して行くというのが、これが職安労働組合の立場としては私は正しいのじやないかと思う。それはあなたの職務として、職安の行政の問題としてはまた別でありましようが、少くとも労働組合の立場としては、そういう形で提携して行くということが、何よりの根本問題であると思います。ところが、どうも先ほどから伺つておりますと、そういう点が、大分職務の面だけが出て参りまして、生活の擁護の問題とか、こういう問題についてはあまりお話はつきり伺えなかつたようでありますが、具体的には職安労組が自由労働組合と一緒に連繋をとつて失業対策についても善処して行くようにやつて行くお考えがあるかどうか、この点について簡單に御答弁願えればけつこうだと思います。
  132. 熊川廣衞

    熊川参考人 お尋ねについては、私は前から御説明申し上げておつたのですが、たしか席におられなかつたときだと思います。私たちの生活上の問題、それに対する希望も、率直に現在の姿の中から、実はお願いしたわけであります。  なお最後の、失業者、いわゆる日雇い労働者の方々との提携の問題でありますが、私たちは決してこの方々と手を握らないというようなことは言つておりません。ただ私たちは、暴力に対しては断固排撃するということを言つておるのでありまして、(「うまいことを言つておる」と呼ぶ者あり)うまいことでも何でもない、事実じやありませんか。私たちはそれを話合いをしております。その点を御了解願いたいと思います。
  133. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 その暴力ということも、お話を伺つたように思います。しかし政府のやつておることは、これは暴力ではないかもしれないが、法律を無視したことがどんどん行われておる。これはあなたは組合員の立場としておわかりの通りです。人事院の勧告七千八百七十七円が実施されておらないことは事実なんです。あるいは国鉄の裁定の問題にしてもそうです。こういうふうに政府のやつておる政策の上においては、法律上の違反、これは基力でないにしても、そういう民主的ならざる行為がどんどん行われておる。そういうときに、あなた自身は組合の立場に立つて1先ほどどちらの立場にも立つのではないということを明言されましたが、やはり組合員として、組合の立場に立つてつていただきたい。あなた御自身組合委員長である限りにおいては、どちらの立場にも立たないと言うが、中立の立場では困るので、やはり組合の立場に立つて、しかも組合と連繋をとつてつていただくということが望ましいと思います。こういう点はあまり長くなりますから、論議をやめます。あとでお答えを願つてけつこうであります。  それから先ほど組合の問題として言つたという、かようなお話でしたが、最初のあなたの証言のときだつたと思いますけれども、たしか朝六時から出てやつておる。これほど精励されておられる。これは非常に感謝にたえないのですが、それは所員として八時間以上出勤をされておられるのですから、超過勤務は当然要求されているだろうと思います。この点についてどのような努力をされているか。  それからもう一つは、あなたは全国職安とお話になつておりますが、東京都内の職業安定所の労働組合員は参加しておりますか、どうですか。この点だけお伺いしておけばけつこうであります。
  134. 熊川廣衞

    熊川参考人 逆にお答えいたしますと、東京都は入つておりません。  それから六時の問題でありますが、これは先ほどから何回も御説明申し上げた通りであります。  それから労働組合委員長として、私の考えでは困ると岡田先生は申されたのでありますが、そう誤解されるとは私の立場として困るのでありまして、これは岡田先生かここにおられたかどうか、はつきり記憶いたしませんが、三月の四日から、大阪で大会を開き、なおかつ今月の十三日から執行部会議を開きまして、その大会並びに執行部の意思の決定に基いて、私が自分として委員長の立場から発言し、あるいは御説明申し上げたい点を申しておるのでありまして、私個人の考えをここで絶対に言うておらないということを、御了解いただきたいと思います。もしそのことがいけないとすれば、職安の組合運動というものはどうかということで、その点では大いに批判をいたたきたいと思います。しかしお前自身の考えは労働組合としては困るのだということになると、これは私個人の問題になりますので、非常に私としても迷惑をいたしますから、ひとつ御了承いただきたい。
  135. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今のお話で、あなたの御意見はつきりわかりました。あなたたの言われたことは、組合側に立つてこういうようなことをしておるのではなく、また政府側の立場にも立つておるのではない、中立の立場に立つてやるということを、職安の全国組合で決定したのだ、かようにお話になつたのたと私は解釈します。こういうように組合で決定をしているのだということを、あなたがお話になつた点をはつきり私はただいま聞きましたが、この点は非常に組合運動として今後重要な問題であると思います。しかしこの点についてはあらためて私は申し上げません。あとで適当な機会に申し上げて参りたいと思います。その他の問題につきましてもいろいろ申し上げたい点もありますけれども、大体ここで最後に一つだけ申し上げたい点は、あなたがお出になることによつて、全国の職安の状況をお話になつておられるのであろうと思います。これは当然そうなるでしようが、特にただいま問題になつておりますのは、安定所長も東京の方々ばかりが見えられしおる。労働組合の関係も東京の人が大半であります。こういうふうに、しかもこの問題は、東京の周辺において問題が特に相当大きく取上げられておるだけにあなた御自身も、職安の東京の状況を相当詳しくこの機会にいろいろな発言の中で伝えられておるものとわれわれは解釈をして、今までお話を伺つてつたつもりでありましたが、東京の組合が参加しておらないとすれば、東京の状況は、少くともあなたのお話から別問題であるというふうに解釈をしてよろしいのでございますか、どうですか。この点だけをお伺いしてこれで終りたいと思います。
  136. 熊川廣衞

    熊川参考人 その点はそう解釈されてしかたがないと思います。
  137. 大橋武夫

    ○大橋委員長代理 日雇い労働者求職運動についての本日の議事を終ることといたします。参考人各位におかれましては御繁多の折から御出席を願い、貴重なる御所見を寄せられましたことに対して委員長として御札を申し上げます。     —————————————
  138. 大橋武夫

    ○大橋委員長代理 この際青野委員より、炭労問題について政府に質疑をいたしたいとの申出がありますので、これを許します。青野武一君。
  139. 青野武一

    青野委員 一言だけ御質問を申し上げます。これは十九日の労働委員会も、二十一日の労働委員会も、労働省を代表して賀来労政局長に御出席を求めたのでありますが、どういう事情か御出席がありませんので、時間が非常におそくなつておりますが、事は重大でありますから、政府側の見解をただしたい。御承知のように炭労は先月の二十五日から一週間のストライキを全国に宣言いたしまして、結果は二十七日に御承知のようにスト禁止が命ぜられまして、禁止命令によつて二十八日から争議を打切つた。それと相呼応して労働省は労働大臣の名によつて労調法第十八條の第一項、第五号で——われわれから言わせれば強制調停でありますが、中央労働委員会の方に調停を申請した。その結果はどうなつたかと申しますと、政府もある程度好意をもつてつたことかもしれませんが、結果はどうなつたかと申しますと、三月二十七日の政府の要求によりまして、中央労働委員会は末弘厳太郎氏を委員長として調停委員会を開き、法律の許す範囲で調停案をまとめたのでありますが、その結果は、政府の強制調停というものは炭労三十三万の組合員、八十万の家族をかかえております重要産業に従事する労働者諸君の、この憲法で保障せられておる争議権を、事実上武装解除を完全にしたと同じ結果になつたのであります。調停案の一項は一月から三月までの給與についてはそれぞれ各地各山元で交渉しろ——こういうようなことは子供でも考えるこ乏なのであります。石炭鉱業連盟が無理解で冷酷無情の態度をとつておるためにストライキになつた。二百二十万の貯炭ができておりましたが、これがほとんど使い果された上に、一日八万五千トンの減炭を来した。そうして労働組合の三月攻勢の先頭に立つてつた炭労の争議というものは、ストライキ禁止命令と同時に、政府の強制調停の結果、調停案となつて現われて来ましたものは、一月から三月は各山元で個々別々に交渉しろ、四月から六月までの給與については何らかの方法で団体交渉をせよ、こういう内容でありますが、これは調停案ではない。これは一種のあつせん程度の内容である。これでは中央労働委員会の調停委員会の権威はまるでゼロなんです。あれだけ硬骨漢をもつてつてつた末弘さんが、最後に大きなみそをつけた。そんなことで炭鉱労働者の生活は保障されません。今問題になつております失業者の問題と同じように、この給與の問題が、せめて電産が獲得しました八千五百円程度に片づけばとにかくも、政府は貯炭が完全になくなるまでは終始傍観しておつて、国民経済がこれ以上耐え得ないという理由のもとに、総司令官の意思によつてストライキが禁止された。そこを得たりかしこしでもつて、強制的な調停を申請した。結果はどうかというと逆もどりである。そうすると完全に労働者は敗北である。武装解除である。連盟側はあくまでも強硬な態度をとつて来て、片づきそうもい。もう一ぺんやろうと思つてもやれなくなる。こういうような不利に追い込んだ大半の責任は政府側にある。きようは賀來労政局長を鈴木労働大臣の代理と認めて質問いたしますが、そういう点について政府はどういう見解を持つておられるか。どういう責任を持とうとしておられるか。四月十日に、みずから苦しい中から、五千四百円ベースで家庭を切り盛りしている諸君が、——これは自由労働者諸君の方にも聞いていただきたいと思いますが、北海道の果て、九州の果てから、二百四十名の諸君が血の出るような金をつくつてつて来て、増田官房長官や鈴木労働大臣会つて、血のような涙をぼろぼろこぼして自分たちの窮状を訴えている。朝炭坑に行くときには、もう晩には死骸になつて来るかもしれないという何千尺の坑内に、命がけで働いている労働者が、五千四百円べースでは食えない。何とかして九千四百円程度をくれろということです。これに対して、終戦後に果した労働組合運動に対する功績、石炭増産に協力して先頭に立つた労働者諸君、特に炭鉱労働者諸君の生活を無規して——その協力と理解がなくては、日本の民主国家の建設なんというものはあり得ません。ただ労働組合の、炭労の諸君を敵視するような行き方では、この問題はおそらく解決つかない。むしろ政府が強力に——労働者のサービス機関としての労働省が、労働大臣も次官も一緒になつて、この無理解な石炭鉱業連盟の行き方に対して、大きな権力を持つて、もつと労働者に有利な方向にこの調停を持ち込むのが、私は一番正しいし、また刻下の急務であると考えている。現下の急務である。その点について賀來局長の見解、政府の考えていること、それから将来この問題がこじれたときには——今御承知のように川中島をはさんでの対立である——どう場解決して行くかという点については、調停委員会では、私は極言いたしますと、だめなんです。こういう内容ではいくらここへ持ち込んでもだめ、そうすると最後には、問題が片づかなければ、勢い好むと好まざるとにかかわらず、自己の生活権を防衛するためには、やはり最後の残された手段に訴えざるを得なくなる。そういうことを私は考えまするから、事重大である。この調停案が出て、炭労の諸君はほんとうに必死になつて対立抗争をやつている。政府の見解を私は率直にお聞きしたいのであります。
  140. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 調停委員会の調停案につきましては、いろいろ御批判もあるようでありますし、ただいま青野委員からも御批判があつたのでありますが、政府といたしましての批判は差控えたいと思います。ただ末弘委員長以下各委員、特に末弘委員長は相当の時間にわたりまして、みずから一人で各方面を打診され、調査せられたのでありまして、末弘委員長並びに各委員の御努力に対しましては、われわれは深甚の感謝の意を表しているのであります。ただ、批判ではございませんが、御承知のように、またただいま青野委員の御指摘になりましたように、炭労の問題は、非常にむずかしい問題を含んでいるのでありまして、結局一応ああいう調停案を出すよりほかはしかたがなかつたのではないかということにつきましては、われわれも今まで、特に私は終戰以来炭労関係の紛争議には関連をいたしておりましたので、よくその御事情は了解ができるのであります。  さてその次の問題、しからば今の状態をどういうふうに考えているかという問題でありますが、御承知のように土曜日に経営者側からの正式の回答があつたのであります。組合の方は調停案の出ました翌々日には態度を決定いたしておりますが、これも正式の回答はたしか土曜日あたりまでにしたようなことになつていると考えるのであります。両者の回答の状況は、連盟側の回答は調停案を三つの條件によつて受諾する。一つは調停案に示されましたところの、一—三月の賃金については昨年の七—十二月の平均額より下まわらないようにという意味のことがあるが、山によつては、抑えない場合には下まわることがあるかもしれない。第二には、七—十二月の平均賃金の中には盆あるいは暮れの手当の臨時的なものは含まない。こういう意味の條件がついておつたと思います。これは大体において調停案を受諾したものと見得ると思うのでありまするしかしながら本筋をたどつて、はたして受諾したということで、実際の場合にそのように解決ができるかどうかということを考えてみますと、やはり至難な問題を含んでいる。特に調停案において七—十二月を下まわらないようにという点は、中小炭鉱のベースの問題に触れていると思うのでありまして、この点が問題として残ると思うのであります。組合側は御承知のように拒否の態度をとつております。その主要な事項は、第一は今度の一—六月のベース・アツプの要求は撤回する。第二地域交渉に移す。それから第三は中小企業の炭鉱で地域交渉がむずかしいというものについては、中央においてなお努力する。この三つから成立つているのであります。拒否の形になつておりますけれども、しかしながら地域交渉に移して各企業別、地方別の交渉でやつて行くという点から見ますと、調停案の四—六月の賃金については、企業別あるいは地域別等によつても、何とか交渉を再開してはどうかというところと、関連が出て参つているのであります。かれこれ考えてみますと、どちらも受諾または拒否と申しておりまするが、いろいろ同案含んでいると考えるのであります。二十二日に回答があつたのでありますが、末弘委員長は二十一日の夜から金沢の方に御出張になつておりまして、この両者の回答に対します調停委員会としての正式の意見は、いまだ決定をいたしていないのであります。御承知のように今度の調停案の一つの特徴は、委員会としては第一次的な調停案である。従つて情勢によつてはなお二次、三次と続けて行くつもりがあるから、一応第一次案のようなつもりでこの案を出すということを言われておるのであります。従いまして政府といたしましては、なおこの前請求いたしました調停は、継続をされておるものと考えております。しかしながら回答の結果が、ただいま申し上げますような状態でありますので、調停委員会は末弘会長がお帰りになりましてから、調停委員会としての正式の態度を御決定になるものと考えておるのでありまして、その調停委員会の態度の決定せられました状態によりまして、政府としての考え方をさらにきめなければならないということが、現段階の状況であると考えております。  第三に政府といたしまして、青野委員から責任があるという御指摘がありましたが、われわれといたしましては問題の形式がどういうふうになろうとも、この炭労の問題は、わが国の産業の基礎的な部分を含んでおるのであります。一日も早くこの紛争の状態が解決せられたいということを、念願といたしておるのであります。なお調停委員会は今後もその使命とするところに従いまして、合理的な早期な解決に努力されるものと期待をいたすのでありますが、政府といたしましてもこの経過につきましては、この調停が進行中も、あるいは進行前からも問題を重視いたしまして、この問題の進行に沿うて状況を注視いたしておつたのでありますけれども、この状態は依然継続をいたしまして、この問題を重視してあやまちのないような解決に、できるだけ早く向くように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  141. 青野武一

    青野委員 他に繰返して御質問したいこともありますが、時間的に見まして次の労働委員会にお譲りしたいと思います。私も労働委員という立場から、第三の立場で、調停委員会のやつたことを無責任呼ばわりをし、内容の貧弱な点を糾弾するのではなくて、その努力は認める。しかしその内容というものは、石炭鉱業連盟の主張しており、考えている線が調停案の内容には出て来ている。これでは労働者が何のためにとうとい犠牲を拂つてストライキをやり、あるいは一日八万五千トンの減産を覚悟で、炭労という三十三万の大きい労働組合が、組合の生命をかけて闘つたのかわからない。これでは何にもならない。先ほども言うように、武装解除せられて、両手両足をもがれたような立場に追い込んでしまつたこういう案では、解決の道がない。またストライキをやれば今度は政府が強制調停をやる。鉱業連盟の方では、頭からなめてかかつておるのであつて労働者の生活ということや、それらの諸君のやり方に対して理解を持たなければだめだといわれて、いわゆる公共企業体労働関係法ができても、憲法で争議は保障されても、最後はやはり労働者が力で直接行動で立ち上らざるを得ないように仕向けることは、政府の大きな責任の一つになる。今の調停案の内容はどこまで行つても鉱業連盟側の主張している線であつて、それでは労働者諸君は納得をしない。この点をはつきり認識せられて、事実上労働省というものがサービス省として設置せられた精神にかんがみまして、あくまでも労働者の利益を代表し、守り抜くという立場に立つて、政府側も無していただき、われわれもまた労働者諸君とともに闘つて、目的を貫徹するように努力したいと思いますので、その点特に希望しておく次第であります。
  142. 大橋武夫

    ○大橋委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後七時十五分散会