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1950-03-29 第7回国会 衆議院 労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十九日(水曜日)     午後二時十分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 篠田 弘作君 理事 島田 末信君    理事 福永 健司君 理事 吉武 惠市君    理事 青野 武一君 理事 稻葉  修君    理事 春日 正一君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    塚原 俊郎君       松野 頼三君    柳澤 義男君       柄澤登志子君    石田 一松君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調逹庁事         業部長)    石破 二朗君         検     事         (検務局長)  高橋 一郎君         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君         労働事務官         (職業安定局         長)      齋藤 邦吉君  委員外出席者         労働基準監督官         労働基準局監督         課長      堀  秀夫君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 濱口金一郎君     ————————————— 三月二十四日  委員飯塚定輔君及び千賀康治辞任につき、そ  の補欠として大橋武夫君及び柳澤義男君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十七日  委員吉武惠市君辞任につき、その補欠として山  口六郎次君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員山口六郎次辞任につき、その補欠として  吉武惠市君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  大橋武夫君及び吉武惠市君が理事補欠当選し  た。     ————————————— 三月二十五日  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、議  決第三号) 同月二十七日  失業保險金給付期間延長並びに同給付額増額の  請願外二件(岡田春夫紹介)(第一八六〇  号)  同(春日正一君外一名紹介)(第一八六一号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  連合審査会開会に関する件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、議  決第三号)  労働事情に関する件  参考人選定に関する件     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  お諮りいたします。去る三月二十三日に理事大橋武夫君が、また三月二十七日には理事吉武惠市君が、それぞれ委員辞任されまして、再び委員補欠選任されましたが、理事が二名欠員となつております。この際、理事補欠選挙をを行わねばなりませんが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。それでは、大橋武夫君及び吉武惠市君をそれぞれ理事指名いたします。     —————————————
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に本委員会に付託せられました公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件、内閣提出議決第三号につきまして、人事委員会及び運輸委員会より、それぞれ本委員会に対し、連合審査会開会要求がございましたので、本委員会におきまして、人事委員会及び運輸委員会連合審査会を開会いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さよう決定いたしまして、来る四月七日午後一時より開会することといたしますから、御了承をお願いたします。  次に本件につきまして、審査の必要上、加賀山日本国有鉄道総裁説明を求めますほか、元公共企業体仲裁委員会委員長荒井誠一郎君、公共企業体仲裁委員会委員今井一男君、同じく堀木鎌三君、国鉄労働組合中央執行委員長加藤閲男君の四名の方に、参考人として出席を願いまして、説明または意見を聽取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。なお審査の便宜上、その説明または意見は、連合審査会において、聽取することといたしたいと存じますから、御了承を願います。     —————————————
  7. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に労働事情に関する件を議題といたします。質疑を許します。青野武一君。
  8. 青野武一

    青野委員 私は本日の労働委員会で、鈴本労働大臣にお尋ねしたいと思う点が四つ、五つありますので、特に発言のお許しを受けたのでありますが、御病気の関係で、本日の委員会には御出席ができないそうでありますから、主として賀來労政局長にお尋ねしたいと思います。それは今問題になつておりまする災労ストに関してであります。御承知のように三百五十六組合組合員総数約三十一万と称されておりまする炭労ストに関しまして、GHQエーミス課長が、二十七日午前十一時に関係者を呼び出されまして、それぞれ四月以降のスト中止する、これは最高司令官命令であるというようなお言葉があつたように、新聞記事では伝えられておるのであります。この点について、第一に四月以降の炭労スト中止は、はたして最高司令官命令であるかどうかということと、第二は、三月三十一日までの全国的なこのストライキ中止してはどうかという勧告を受けたそうであります。二十五日から三十一日まで、一週間ストライキを続ける方針で、全国に指令を出しておつたのであります。それも本日の新聞紙を見ますると、二十八日に打切つたように報道されております。この三月三十一日までの炭労全国的なストライキ中止してはどうかということは、正式なGHQ勧告であつたかどうか、まずこの二点をお尋ねしたいと思います。
  9. 賀來才二郎

    賀來政府委員 お答えいたします。政府に対しましては、直接司令部からさような意思表示はなかつたのでありまして、組合の代表を呼んで、意思表示をされたのであります。そのことを政府GHQから通告されたということであります。そこで直接受けたのでありませんので、私の申しますところは、組合側から聞いたこと、及び司令部からの通告のあつたことにつきまして、お答えを申し上げたいと思います。  第一点は、四月以降におていはストライキをやつてはならない、これは最高司令官意思によつてエーミス労働課長命令をする。こういうように聞いておるのであります。三月の現にやつておりますストライキにつきましては、そういう事情から、四月以降においてもストライキができないということになりますれば、今後のストライキはやはり意義がないと考えるので、自主的に中止するように勧告をした。かように聞いておるのであります。ただわれわれが承知いたしておりますのは、今後一年、二年にわたりまして、ストライキ禁止されたのではないということであります。すなわち一月——六月のベース・アップの要求に対しまして、使用者側との間に妥結がつかなかつたので、今度のストライキをやつてつたのであります。その一月——六月の賃金基準引上げに関することが妥結いたしましたならば、その後の別の問題によりますストライキにつきましても、禁止されたものではないと了承をいたしております。
  10. 青野武一

    青野委員 ただいまの御答弁で大体はつきりしたのでありますが、エーミス課長炭労幹部を二十七日の午前十一時に呼びまして、ただいまのようなお話があつたということであります。同じくその日の午後二時ごろ、に鈴木労働大臣は、炭労組合側幹部を呼びまして、強制調停通告を出したそうでありますが、そのときに国民経済影響することが非常に大きい。本日の新聞では、鈴木労働大臣意見といたしまして、著しく公益を阻害する、こういうことを言われておるのであります。これは真実であるかどうか、新聞記事でありますが、国民経済に非常に大きな影響を與える、あるいは著しく公益を害する。公益事業でない炭鉱労働組合ストライキが、どういう具体的なことで、国民経済影響を及ぼすかということについて、お尋ねしたいのであります。それとあわせまして、大体通産省あたり観測では——この炭労ストライキは相当長く続けられておりますが、北海道初め各地の石炭貯炭が、特に軍関係石炭など全部をひつくるめて一箇月ぐらいの余裕があるというような観測を下して、大体通産省労働省も、炭労ストライキに関する限りは相当期間がかかる、そういう考えのもとに、争議を見送つてつたと私ども観測するのであります。この点について、当時はたして一箇月分に推定される貯炭全国にあるということを基礎にして、この争議に関する調停その他、労働省として独自の立場から何らか解決をしてやらなければならぬのを、そういう理由のもとに見送られたと私どもは考えておるわけでありますが、この点につきましても、ただいまの国民経済にどういう影響をしたかという具体的なお答えとあわせてお願いしたい。
  11. 賀來才二郎

    賀來政府委員 今度の炭鉱ストに関しまして、仲裁請求をいたしましたのは、ただいまお話の通りに、労調法八條第五号によつたのであります。実はその仲裁請求をやりまする数日前から、関係筋意向といたしまして、政府調停請求すべきであるということを言われておつたのでありますけれども労働省といたしましては、かような争議はあくまで労使の自主的な解決にまつべきである、何とかして双方交渉に入るのを待つておることが必要である、また入るようにできるだけあつせんをしたいという意向でやつて参つたのであります。大体当時の考え方におきましては、まだ相当貯炭もあるようなので、ここ数日は労使が直接交渉へ入ることを期待しつつ、形勢を注視するのがいいという考え方でやつて参つたのであります。ところが、いよいよ調停請求いたします日の状況を、石炭局あるいは資源庁と打合せてみますと、公団所有の百数十万トンは一応別といたしまして、当時の貯炭状況は、市場持ちが百六十万トン、港頭四十八万トン、坑所が十四万トン、合計二百二十二万トンになつております。石炭の一日の消費量を約十万トンと見ているのでありますが、そういたしますと、市場にありますもの及び坑所港頭にありますもの等を見ますると、大体二十日分の貯炭だということになるのであります。しかしながら特殊な事情といたしましては、北海道進駐軍用炭はもうすでに手持ち炭がなくなつておる。さらに山元から直接に石炭の供給を受けておりまする工場は、操業を行い得ない状態になつて参りましたし、中小の企業におきまして、資金繰りその他から、貯炭を多く持つておらないものにおきましても、相当困つて参つたのであります。さらに当時この一週間のストライキにおいて、組合側保安鬪争を非常に強化いたしておりまして、この状況を見ておりますと、そのまま一週間続いて行き、あるいはさらに続くということがありましたならば、炭鉱の回復には一週間あるいは二十日間、相当の日数を要するという状態になる、かように見たのであります。しかも今度の争議は、先ほど申しましたように、われわれとしてはあくまで労使自主的解決にまちたいという状況でやつて参りましたが、いろいろな事情からいたしまして、この双方自主的努力だけでは解決が非常に困難な事情になつておりまして、このまま推移いたしますと、国民経済全般に與える影響が非常に大きなものになり、ひいて公益に著しい障害を及ぼすことになる、かように判定をいたしましたので、調停請求するに至つたのであります。従来公益事業以外の事件につきまして、調停請求いたしたことはないのでありますが、アメリカの最近の石炭争議の例をとりましても、これは新聞の報道によるのでありまして非公式の調査といわれておりますが、貯炭量が大体十五日ないし二十日分という程度になり、一部の鉄道はとまるというふうな状況になりましたときに、大統領の禁止命令が出されておるというのであります。普通公益事業でありますならば、調停請求をやりますと——あるいはアメリカのように禁止命令が出ますならば、ただちにその翌日からは争議行為がやむのでありますけれども公益事業でない今度の石炭に対しまして、調停請求をいたしましても、そのこと自体からただちに争議行為中止にはならない。この点が違うのでありまして、さような意味からいたしまして、政府といたしましては調停請求をやらざるを得ない事情に立ち至つた、かように考えておるのであります。
  12. 青野武一

    青野委員 重ねてお尋ねいたします。これは労働大臣がおつしやつておることでありますから、追究してお尋ねするのもなんでありますが、著しく公益を阻害するということの、具体的なお話がなかつたようであります。重ねてお尋ねいたしたいと思いますることは、紛争解決のできない点は、御承知のように現在は炭鉱労働者は平均して五千四百円ベース、ところが今回の争議中心になりましたのは九千四百円の要求額であるといわれております。組合側は一月以降坑内夫は七百三十円、坑外夫が三百七十七円、これは税込み基準賃金でありますが、これを要求いたしまして、そうして鉱業連盟側現行基準賃金をすえ置いて、五百円から一千円の臨時能率賞與を出して、それで切り抜けようとしたのが、結局ストライキへと問題が発展して決裂したのであります。この点について、GHQから、四月から先はストライキをいろいろな関係でやることはできない、最高司令官意思によつて労働課長禁止命令を出されて、後に労働大臣労調法の第十八條第五号によつて強制調停をやられるということは、これは考えようによりますると、労働者側武裝解除の後に強制調停をやる。いかに労働組合側が不利であるかということは明らかであると思います。今回のこういうやり方は、初めてであると私は考えておりますが、鉱業連盟側現行基準賃金をすえ置いて、五百円から一千円までの臨時能率賞與を出そうとしておる。片一方は一月以降坑内夫七百三十円、坑外夫三百七十七円、この税込み基準賃金要求して、問題が紛糾したのであります。これらについて政府強制調停をやつたのでありますが、調停委員会を通じて、大体どういう点が妥当であり、うまく解決するところに行き着くかということについての見通し、ないし政府考え方をお聞きしたいと思うのであります。
  13. 賀來才二郎

    賀來政府委員 争議行為中止または禁止せられました労働組合が、その状態におきまして労使交渉に入りますと、ただいま青野委員の言われましたように、労働組合は武器を捨てて相手と取つ組むことになるのであります。さような状態交渉は適当な状態ではない。従つてやはりあくまで第三者の公正なる判断に基く調停によつて、この均衡が失われておりまする争議解決を公正に持つて行かなければならない、かような考え方もありまして、調停請求をいたしたのでありますが、問題は、御指摘のように、組合側か一月——六月の基準賃金引上げ要求いたしておるのに対しまして、連盟側は一月——三月については手当、あるいは能率給に基きまする一時金の支給によつて解決をし、四月以降の基準賃金引上げの問題につきましては、何ら意思表示はしていないという状態で、この争議に入つたのであります。従いましてこの調停は、調停委員会が公正なる判断をやられるものと考えておりまするし、また調停委員会調停に対しまして、政府がこれに関與し、あるいは干渉すべき筋合いではないのでありまして、おそらく調停委員会が公正な判断を下すものと期待いたしておりまするが、われわれの考え方といたしましては、やはり一応一月——六月の基準賃金という問題を取上げて、この点についての調停案を示さなければ、円満な妥結はむずかしいのではないかということを考えておるのでございます。
  14. 青野武一

    青野委員 これは最高司令官意思によつてエーミス労働課長が四月以降の争議はやつてはいけない、こういう申渡しをしたのでありまするが、そういう点についても政府は何らかの交渉をして、事実上労使を対等の立場に置いて調停せしめないと、やはり将来に問題が残るのであります。去年の春やりました炭労争議が、やはり十分の解決がついておりませんので、今回もまた再燃しましたように、一方的に鉱業連盟側を有利な立場に置いて、労働組合側のみを、いわゆる武裝解除をして強制調停をやりましても、そこに大きなむりが起ることは、火を見るよりも明らかであります。こういう点について、ただいまでも何らかの交渉GHQとする御意思があるか、あるいはそういう余地が残つておるかということをお伺いしたいのと、もう一つは、名前は申しませんが、とにかく関係方面有力者は、炭鉱労働者は大体一万五千円程度收入があるとこう考えおる。だから次に次ににストライキをやるということは行き過ぎではないかといつたような、私の意見を述べられたということを、私ども組合員の諸君から聞いておりますが、三十一万の炭労組合員のほとんどは、御承知のように五千四百円ベースであります。私は自分の住んでおりまする九州において、麻生さんと同じように筑豊炭田に非常に大きな関係を持つておりまするので、炭鉱労働者生活を直接私どもはよく知つておるのであります。決して一万五千円なんという給料を炭鉱労働者はとつておりません。かりにおりましても、これは地下採炭夫最高請負額であつて、ほとんど数えるほどしか全国におらないのが実情でありまして、やはり普通一般労働者と同じように、炭鉱労働者現行基準賃金では食うて行くことができない。それが中心になつてこういう要求が出て参り、そうして全国的な大きなストライキになつたのでありまするけれども政府は、現在のベースはドツジ・ラインの関係もありまするが、大体どの程度解決をつけたいとお思いになつておるか。今の状態では労働者は決して生活ができないということは、私どももよく知つておるのでありまするが、その点についてのお考え方、それから重ねて、あわせてお尋ねいたしまするが、今度のストに参加いたしました人員は、組合員三十一万人の中で約九五%、あとの五%は保安確保のために事実上就業しておつたのであります。このストライキによりまして、日産約八万五千トンの減産、昨日までの大体の推定は、新聞には百万トンと書いてありましたが、関係者から承りますると、実際は争議期間中の減産総額は八十五万トンであるといつております。今回の強制調停、あるいは政府の出方が、労働者側を一方的に不利に陷れて解決をつけようといたしまするならば、どうしても将来また同じごとを繰返すようになるのであります。この減産量の取返しは、結局労働者が自発的な労働意欲の向上によつてのみ、私は解決できるものと思いまするが、将来に禍根を残さないように、この八十五万トンの減産一定期間中に回復し、同時に労働者が希望をもつて働くように、この問題を解決してもらいたいと私どもも考え、またわれわれも労働委員会を通じて、そういう方面に努力したいと思つておりまするが、これらの点についての政府の御見解もあわせて承つておきたいと思います。
  15. 賀來才二郎

    賀來政府委員 第一点につきましては、実情をすでに御存じと思いますが、二十五日から入りました全国一齊の争議状況を見ておりますと、二十五日は二十八万六千人、二十六日か二十九万人でありますが、二十七日には二十七万二千人になり、二十八日には二十六万三千人になつておるのであります。労働省といたしましては、先ほど来申し上げますように、あくまで対等の立場で直接交渉によるべきだと考えましたが、この状況で推移いたしますと、組合側立場が不利になるという考え方も見られるように至りましたので、この際に、スト中止はともかくとして、公正なる第三者判断による調停に付すべきだというふうな考え方をいたしたのが、一つ理由にもなつておるのであります。そこで関係筋におきましては、先ほど申しましたように、将来にわたりましてこの問題以外の争議行為禁止いたしたのではないのでありますから、この点はわれわれといたしましても、ます永久的な禁止がなくてよかつたと、かように考えておりますとともに、かような状態下におきまする調停につきましては、やはり青野委員も申されましたように、労働省あるいは政府といたしましても、この状態において組合側が一方的に使用者側に不利な状態に陷れられるということのないように、関係筋におきましても、請求による調停に付し、あるいは争議禁止あるいは中止さしたという條件を入れて、できるだけ公正なる解決がつくように協力をしてもらいたいということは、われわれとしても要請をいたしておりますし、さような線に向つて協力をしてもらえるものと期待をいたしておるのであります。  第二の金額の点でございますが、御承知のように、現在石炭自由企業になつておりまして、政府補給金その他も打切られておるのであります。従いまして、金額幾らにすべきであるというような態度を、政府はとるべきでないと考えております。労使交渉によつてこれが決定せらるべきであり、また使用者側が拂える金額でありますならば、その拂える能力におきまして、適当な金額に持つて行くということをやりましても、何ら政府から干渉し、あるいは關與すべき筋合いではないと考えておるのであります。われわれも、炭鉱労働者が全部一万五千円程度つておき、きわめて裕福な生活をしておるという考え方は持つておりません。坑外夫五千四百円というベースにこのままくぎづけされて行きますならば、現状におきましても、やはり生活については楽ではない、かように考えておるのであります。従いまして、公正なる調停委員会は、これらの事情をも十分勘案し、労働者生活状態勘案し、あわせて業者の支拂い能力十分勘案の上、公正なる判断が下されることをわれわれとしては期待をいたしておるのでありまして、政府として金額幾らに上げるべきだというような意思表示をすべき今日は段階ではない、かように考えておるのであります。  第三の問題につきましては、われわれはまつた青野委員と同意見を持つておるのでありまして、一時的な、場あたり解決では、再び争議が起るというおそれが多分にある。今日まで終戰後石炭に関します労使紛争状態を見ており、またその解決状態を見ておりますと、基本的な解決がされたことはないのでありまして、多くの場あたりの一時的な御処置が講じられておりますし、さらにバツク・ペイの支拂い方が多くとられておるのでありますが、さようなことでなく、今日の石炭鉱業実情、あるいは炭鉱労働者生活状態を考えてみますと、どうしても今後少くとも三箇月あるいは半歳にわたりまして、労使の間に紛争が起らないように、賃金体系といたしましても、適当な基準賃金がきめられますとともに、能率にマッチいたしましたところの能率給の支拂い方も合理的に定めらるべきものである、かように考えておるのであります。今度の調停請求に際しまして、われわれといたしましては、中労委会長にさような解決がはかれるように御盡力を願いたいということは、口頭をもつて要望いたしておりましたし、中労委会長もまた、この点に融れて考えてみたい、一月——三月の基準賃金を一時金で支拂うというような点だけではなくして、でき得れば四月——九月、もし可能性がなければ、四月——六月にでも基本的なものを考えて行き、あわせて支拂い能力等十分勘案の上、賃金体系というものも合理的なものにして行きまして、今後安心して労働者が生産に従事して行けるように、何とか基本的な解決をはかつてみたい、こういう意見を漏らされておるようであります。調停委員は本日きまりますか、明日になりますか知りませんが、これらの調停委員がきまりましたならば、さような方角に向つて努力をされるように、われわれとしましては重ねて要望をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  16. 青野武一

    青野委員 最後にもう一つお尋ねしたいと思いますのは、今炭労紛争にあわせましてて大きな問題を提供しておりますのは電産の争議でありますが、これは御承知の通り目下あつせん中でありまして、新聞紙の報ずるところによりますと、調停委員の中山さんが二十八日の晩の五時に労組側、一時間遅れて六時に経営者側を呼びまして、最後的折衡に入るという前提のもとに、いろいろのお話があつたように書いてあつたのであります。そして同じく二十八日の午後九時に、労使双方がそのあつせん案を大体中心にして歩み寄つたこれは私どもに入つた情報の一部分でありますが、さきの調停案基準賃金は、御承知のように八千五百円を基準に来る四月以降のいわゆる新基準賃金をここで明示する、第二は、一月から三月までの新賃金と現行賃金との差額を一時金として支給する、賞與の形か能率給かわかりませんが、そういうことをいわれているのであります。第三は、労働組合側が昨年十月以降から賃金改訂を要求して今回の争議に入つたのでありますが、十月分から十二月までの分を臨時賞與の形式で応分の金額を別途に考慮する、こう申しまして、一、二、三のこの三つが大体骨子となりまして、急速に最後的の折衝に入ることにわれわれの方に情報が入り、また新聞紙等も簡單に報道しておりますが、労働省といたしましては、炭労争議に並行して問題を提供しております電産のこの紛争に対しまして、どういう見通しを立てておられるか。これは基準賃金が八千五百円で、炭労要求は九千四百円、人事院が公務員に対するところのベース改訂の内容は、御承知の通り六千三百円ベースが七千八百円ベース、こういうことで、金額はまちまちでありますが、大体においてそういう線が紛争を通じて各所に出て来ておりますので、この電産の争議に関しまして、労働省はこの三つの点を骨子として調停が始まろうとしておりますことについての見通しを、最後に承つておきたいと思います。
  17. 賀來才二郎

    賀來政府委員 労働省の民間賃金に対します考え方は、紛争に関連いたしましては、大体大きく二つの線をわれわれは考えているのであります。一つは、賃金三原則の限界内で定めらるべきであり、第二はいたずらなる名目賃金引上げ、あるいはこの引上げによつて、全体としての物価との惡循環を起してはならない、この二つの原則に合いますならば、これは労使の間で適当に妥結せらるべきものであつて、何ら統制を加えたり、あるいは干渉すべき筋合いではない、かように考えているのであります。それで電産の争議のあつせんにつきましては、ただいま青野委員の御指摘の通りに、解決の方向といたしまして三つの要素が盛られております。第一は、十月——十二月のベース・アップの問題は、これは取上げない、しかし三月末におきまして、経理に余裕ができましたならば、賞與の形において処理、いたしたい。一月——三月のベース引上げらるべきであるという調停案が出ておりましたが、この点は基準賃金引上げという形によらずして、現行の基準ベース調停案にあります八千五百円の基準ベースとの差額を三箇月分として、これを三月末に一時金の形において支給する。第三は四月から以降の基準賃金を八千五百円に引上げなければならないと、組合はいつておるのでありますが、使用者側におきましては、これは将来にわたつて八千五百円の賃金が支拂えるかどうかの見通しがついていないので、とりあえず臨時手当の形において、八千五百円を下らざるような支拂い方をやりたい、こういことをいつて、この一点で労使間の意見が対立しておつたような状態になつてつたのであります。昨日中山委員長のあつせんによりまして、この四月以降の基準賃金の取扱い方につきまして、三原則に違反せざる限りにおいて、組合要求をできるだけ通して、そして妥結に導きたいという線で、中山委員長はあつせんに努力されたのであります。この点について双方の歩み寄りが相当近づいて参つた、かように聞いております。昨晩あつせん案が出される段階に近かつたのでりますが、基準外賃金の問題と、それから退職金の問題が附帶的に残つておりまして、その附帶的な問題につきまして、最後的了解がつかずに、本日午後四時からあつせんが再開をせられるということになつております。これが何時間かかりますか、われわれといたしましては、あるいは今夜おそく、または明日早曉あたりには、双方にあつせん案が示されまして、妥結に至るのではないか、かように考えておるのであります。
  18. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいま青野委員からお質問のありました炭労ストライキについて、当局の御見解の御説明があつたのでありますが、まだはつきり了解できかねます点につきまして、御質問申し上げたいと思います。エーミス労働課長が、ストはやつてはならないという命令を出されたということがいわれておるのでございます。これは新聞の記事も、命令というふうに談話の中にはございますが、     〔委員長退席、福永(健)委員長代理着席〕  そのあとには勧告されたというふうにこれは朝日新聞であつたと思いますが、いわれているのでございます。昨日増田官房長官のところへ夕刻参りまして、政府の見解をただしましたときに、増田官房長官は、強制調停ということは、強制という字を除いて考えてもらいたい、それは旧法であつて労使ともに罷業権はあるし、またロック・アウトの権利もあるのだ、かようにわれわれは考えておるという政府の側見解の発表もあつたのであります。きよう賀來労政局長お話を伺つておりますと、その点の関連がどうもはつきりいたしませんので、もう一度はつきりと御答弁願いたいと思います。すなわち命令であるか、勧告であるかという点、それから、政府は今度の、いわゆる強制調停といわるべきものによつて、ただいまの御説明でございますと、労使双方が対等の立場調停が行われる方が有利だと考えられているというふうにお話があつたのでございます。昨日増田官房長官は、ストライキの権利というものがはつきり保障されているというお話があつたのでございますが、そういうふうにお考えになつておられるかどうか。この二点について御答弁を願いたいと思います。
  19. 賀來才二郎

    賀來政府委員 第一点につきましては、四月以降においては争議行為をやつてはならないという禁止命令でございます。この三月一ぱいの、現にやつておりました争議行為につきましては、中止勧告いたしております。  第二点につきましては、今度の争議行為禁止は、占領軍によります軍の命令であります。その範囲につきましては、これは争議行為はできません。しかし調停請求によつて争議行為禁止はいたしておりませんし、国内法的には、石炭は依然争議権を持つております。ただ現在の状況におきまして、この一——六の基準賃金に関する問題につきましては、軍の命令によつて争議権を使えない、かように解釈をいたしております。
  20. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大体政府の御見解がはつきりしたわけでございますけれども、これに関連して少し質問してみたいと思います。過日炭鉱災害が非常に多いというお話がございましたが、具体的な資料が提供されなかつたのでございまして、もし炭鉱災害がふえたというような具体的な資料がございましたならば、ここで、ごく簡單でよろしゆうございますから、御説明願いたいと思います。
  21. 福永健司

    ○福永健委員長代理 柄沢さん、今しばらくたつと、労働基準局長が参りますので、ただいまの御質問に対しては、基準局長が参りました節にお答えさせますから、どうぞそれまでお待ちください。
  22. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは質問を続けます。実質貸金が上るというようなことが先ほど言われておりますけれども炭鉱におきまして、今月の一月に配給になりました、これは最も必要な労働者の作業衣でありますが、これが三百四十円ぐらいでありましたものが、二月の末、三月になりましてから、五百六十円にはね上つておりまして、炭鉱の労務者の八割が買えないで、これを返してしまつたという実情が、北海道の各地でございました。こういうことにつきまして、労務物資関係の方のおいでを願つているはずでありますが、これはどういうわけであるか、こういうことを一体監督しておられるのかどうか、どうして値上りしたのか、こういうこともやはり争議と関連を持つた問題だと思うのであります。
  23. 福永健司

    ○福永健委員長代理 この点も、基準局長が参りましてからお答えすることにします。
  24. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは質問を続けます。資金は各経営の状態に応じて当然契約が結ばれるべきであるというような、今後の炭鉱労働者の資金面についての示唆が、今労政局長からあつたのでございます。炭鉱の経営が、自由販売になりまして以来、大手筋、中小炭鉱というふうに、その経営状態によつて、配炭公団が一手に引受けていた時代とは、非常にかわつて来ておると思うのでございますが、その経営状態について、大まかでよろしゆうございますから、統制撤廃後の状況につきまして御説明願いたいと思います。
  25. 福永健司

    ○福永健委員長代理 ただいまの問題も、後ほどお答えいたします。
  26. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労政局長に御質問申し上げたいと思つておりますが、終戰以来の炭鉱争議の根本的な解決中心は、北海道炭鉱だけではございません、日本全体の石炭の増産さえすれば、炭鉱労働者賃金の問題は解決するというふうにいわれて来たと思います。この点につきまして政府の見解は大体一致しておつたのでございます。今調停の問題が問題になつておりますけれどもストライキをやめた状態において、炭鉱労働者が現在の調停に臨んでおるわけでございますが、この基本的な解決、従来のように政府石炭を増産さえすれば労使の問題、つまり賃金の値上げの問題も解決するというふうに考えておいでになるかどうか。根本的な解決の根拠をどこに置かれておるかということを承つておきたいと思います。
  27. 賀來才二郎

    賀來政府委員 先ほども青野委員お答え申し上げましたように、今度の解決につきましては、従来のように使用者側は單に能率のみを主張する、労働者側能率よりも生活保障給に重点を置いて、あくまでつつぱつて行く、かような状態で今日まで参りましたために、紛争の根本的な解決にならなかつたものとわれわれ考えておるのであります。従いましてこの際やはりある安定した機関をつくりまして、労働者は資金制度に信頼して、不十分ではありましようけれども、ある程度生活の向上をはかることができて働いて行く、使用者側は経営の合理化をはかりまして、できるだけ労働者が安心して働けるように持つて行かなければならない時期に到逹いたしたものと思うのであります。この点は調停委員会でも必ずそういう点につきまして触れて行きまして、そうして公正な調停案を出してくれるものと期待いたしておるわけでございます。
  28. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 アメリカ炭鉱労働者ストライキがトルーマン大統領によつて禁止されたという例を、先ほどもおあげになつたと思います。しかしアメリカ炭鉱労働者状態は、昨年大体四十五セントのものを七十五セントに引上げるというトルーマン大統領の方針によつて、日給が大体二千百六十円くらいになつたものを、さらに一ドルに上げろ、日給二千八百円にしろという要求で、鬪つておるような状態であります。ところが日本の炭鉱労働者の場合には、主食も買えない、作業衣も買えない。一万人の夕張炭鉱で赤字の労働者が三千四百人もおりまして、主食の代金を引かれてしまいますと、家に持つて帰る金がない、女房に一文も渡せない、次の月まで子供の授業料も拂えないというような状態にまで追い込まれておるのであります。でありますから、そういう状態のもとに、炭鉱労働者公益性を持つておるからというので、ストライキ禁止されまして今日においては、やはり労働委員会としてはもつと積極的に、また労政当局としてももつと積極的に、この対策が立てられなければならないと思うのであります。今までの御答弁はまつたく不十分でございまして満足できないのでございます。大体去年増産をしろ、増産をしろといつて石炭が五百万トンも余つてしまつて、九月十五日現在では百十五億からの配炭公団の石炭か、自然発火と風化でもつて損失をこうむり、全然使えないものになつてしまつたという事実があるのでございます。これは大手筋の炭鉱資本家の反対でこういうことが起つたということが、その当時もいわれておりまして、全官公の庭先貯炭をさせてくれ、越年用の貯炭をさせてくれという要求が、故意にか、あるいは偶然にか知りませんが、しりぞけられて、そういう損害のために、今年度の予算で四十三億も政府機関の損害補填費が計上されて、国民がこの損害を負担させられているような現状であります。ですから、ただ單にこういうような増産すればとか、労使対等の立場でというような、従来のようなお考えで、労政局がこれに当つておられましては、この問題の根本的な解決はできないと思うのでございます。労政局長として、災害のふえた、また労務用の物資が事実上高くなつている事実もありますが、こういうことについて資本家側に対してどういう手をお打ちになつて、どういう監督をされているか、具体的にどんなことをなすつたか、御答弁を承りたいと思います。
  29. 賀來才二郎

    賀來政府委員 災害の点につきましては、いずれあとから基準局長が出て参りますので、いかなる監督をしたかについてはお答え申し上げることと思います。ただ労政局といたしましては、先ほども申しましたように、今日の段階におきましては、調停委員会の公正なる活動を期待する。調停委員会はあくまで政府あるいは使用者、労働組合からも独立した、独自の立場において判断すべきであつて政府としてこれに何ら関與すべきものではない、かように考えている次第でございます。しかしながら政府といたしましては調停請求いたしておりまするし、またストライキ禁止され、あるいはみづから中止した状態にあるわけであります。同時に炭鉱労働者の現在の生活状態、あるいは今日までの労使紛争状態については、いろいろ研究もさしていただいているわけであります。かような意味からいたしまして、労働者が将来にわたつて日本経済の復興に十分協力してもらえるように、争議がすみやかに公正なる妥結ができるように、労政局あるいは労働省として、あらゆる努力を拂つて行かなければならない、かように考えている次第でございます。
  30. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 問題の解決労働者協力することによつてというような御回答と思つたのでございますが、増産ればするほど、労働者賃金の遅欠配ができて首が切られたという去年の石炭産業の事実をお認めになるかどうか。
  31. 賀來才二郎

    賀來政府委員 さようなことはまだわれわれ承つておりません。
  32. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 昨年は、先ほども申し上げたと思うのでございますけれども貯炭がふえて、それがはけないで、そのために困つたのでございます。ことに中小炭鉱は配炭公団から手を切られてしまいまして、石炭を売ることはできない。また中小企業は買うことができない。北海道あたりでは、暖房用の石炭労働者は買えないという状態で、石炭がなくて不景気だつたのではなくて、あり余つて不景気だつたのでございます。ですから、増産のために大採炭などをやると、一箇月の期間で大体三十二名くらいの労働者が、落盤のために死んでいるのであります。これは目の先に報奬物資をぶらさげられて、安い基本給のために、報奬物資がほしさに休まずに働くというような大採炭の一つの悲劇でありますけれども、そういう形で増産されました石炭が、日本の復興のためには使われておらないのであります。国民生活の保温のためにも買えない状態であります。これを全部石炭産業の労働者の責任に転稼されて、今日では、石炭産業の労働者賃金の問題が解決のできない大きな原因になつておるのでありまして、そういう問題が解決されない限り、また労政局自身がそれをお認めにならない限り、根本的な解決はできないと思うのでございます。だから、知らないというようなことをおつしやらずに、この石炭産業の現実というものをお認めになるかどうか。配炭公団であれだけ貯炭があつたのに、中小産業が買えないというような現実、こういう問題が解決されない限り、今の労政局の御見解のような石炭産業労働者の問題も解決されないと思うのでございますが、知らないと言つてどこまでもお通しになればそれまでで、のれんに腕押しでございますけれども、そういう点を伺いたいのが一つでございます。  それからもう一つは、統制の解かれましたことによりまして、独占資本の三井とか三菱とか北炭というような系統は、独占価格によつてもうかつておるということであります。しかしもうかつておる独占価格のところでも——先ほど賀来局長から、いわゆる能率給によつて増收をはかるんだというお話がございましたが、その賃金系体によつて——統計が手に入ればわかると思うのでございますが、独占炭鉱の三菱大夕張というようなところでは、非常に災害がふえておるということでございます。だから、もうかつても、増産されても、現状のままの状態では、少しも独占資本の炭鉱労働者の有利になつておらないし、さらに中小炭鉱労働者は、中小炭鉱の壞滅によつて、なおさら悲惨な状態にあるという事実があるのですが、この対策が調停委員会によつて、今のような労政局の御見解で、はたして十分にやれるかどうか。それはもちろん労政局自身が、もつと真劍に労働者立場になつて、基準法違反その他を追究して行かなければならぬと思うのでありますが、そういう点がどこまで行われていたかということ。坑内に入れば基準法違反だらけ。切羽に行けばあぶなくて作業ができないという状態ですが、どこまでの監督が行われておるか、伺いたいのです。
  33. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。炭鉱の坑内におきまする安全衞生関係の災害防止のための監督につきましては、御承知のことと思いまするが、昨年鉱山保安法が制定実施されましてそれ以後は鉱山保安行政を一元化するという見地から、炭坑内の安全衞生関係の監督は通産省において行つております。われわれの方といたしましては、そういう関係で、その方面の直接の監督実施は今のところやつておらない状況であります。ただわれわれの方といたしましても、坑外施設、それから坑内の労働時間というような一般問題については所掌しておりますので、その方面から見まして、坑内において安全衞生上、こういうことを気をつけてやつてもらいたいというような点がありますれば、その都度通産省に対しまして、われわれの方からあるいは勧告し、あるいは助言するというような方法をとりまして、鉱山の炭坑内におきまするところの保安の実施に対する監督については、われわれとしてもできるだけの助力をして行きたい、こういう態勢をとつております。
  34. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労働大臣がお見えになりませんので、炭鉱関係の質問はこの辺で打切りたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、一月に三百四十円だつた労務者の上着が、三月には五百六十円にはね上るというような、こういう不当なことが行われておるのでございますが、これは一端でありまして、小さな問題のようでございますが、すべての問題に関連したことでございますから、嚴重にお取締りを願いたい。またそれから受けた労働者の損害は、会社側が全部負担するようにすべきである、こういうふうに考えますので、その点をぜひやつていただきたいと思います。
  35. 春日正一

    春日委員 最近労務管理が非常にひどくなつて来て、三菱横浜ドツクなんかでは、守衞に警棒をぶらさげさして監視さしている。これは明らかに基準法違反だと思う。脅迫、強制、こういう労働はいかぬということになつておる。警棒をぶらさげておることについて私は質問主意書を出したのですが、それに対して、警棒をぶらさげておることは事実である。しかしまだそれによつて脅迫したという事実がないからさしつかえない、こういうことですが、つまりぶんなぐるまではかまわぬ、こういう意味なのですか、その点をはつきりさしてもらいたい。
  36. 堀秀夫

    ○堀説明員 ただいまの御質問につきましては、実際横浜ドツクにおきまする実情を調査いたしたのであります。その結果は、あそこは賠償指定工場に指定されておるというような事実もありまして、守衞に棒を腰にぶらさげさせろということで、ぶらさげさしております。それでわわの方で監督官を派遣いたしまして、監督はしておるのでございますが、もちろんぶんなぐらなければ強制労働にはならぬというものではないと思います。要するに警棒をぶらさげさして、それによつて労働を強制するというような証拠があがれば、それはたといぶんなぐらぬでも、強制労働は成立すると思つております。ただ現在のところでは、守衞が今ぶらさげておりまする棒が、そのような目的のために使われておるという証拠がまだない。強制労働というよりも、もつぱらそれ以外の、一般のドツク内の保安とか監視というような目的のために使つておるのである、こういうふうに一応判断しております。それでこの点につきまは、われわれの方といたしましても、はたしてその棒を強制労働のために使用するのかどうかという点は、今後においてもその都度監督を行いまして、そういうようなことが認められますれば、基準法違反の問題に取上げて行きたい、こういう考えでおる次第であります。
  37. 春日正一

    春日委員 しかしそれは妙な話だと思います。もう棒をぶらさげること自体が、すでに一つの威嚇なのです。新聞には、旗を立て、デモをやつて気勢をあげるというようによく書くけれども、守衞が棒をぶらさげるということ自体威嚇なのです。だからそのこと自体がすでに労働者に脅威を與え、脅迫を與えて、組合活動なんかを非常に困難な状態に陷れておる。だから、それはあなたの方で、はつきり強制労働と認めてもらわなくては困ると思う。それが一つ。  それはそれでいいとして、検務局長がおいでですからお聞きしたいのであります。この警棒の問題ですが、だれでも任意の人が、任意の工場、事業場、事務所で、警棒というようなものは、銃砲火薬取締法に違反しない限り、ぶらさげてかまわぬということになるのかどうか。
  38. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 ただいまのお尋ねは、抽象的に一般の場所において、警棒なんかをぶらさげては法律違反になるかどうかという問題と承つたのでありますが、それ自体としては別段法律違反になるということは言えないと考えております。もちろんそれが脅迫のためのものであるとか、あるいは傷害するための準備であるということになれば、段階によりまして、問題となる余地はあるかと思います。
  39. 春日正一

    春日委員 そうするとあなたは、傷害するための準備であるということになれば、これは問題になるというふうに言われる。しかしこの警棒は飾りであります、絶対使いませんという札をつけてぶらさげていない限り、ぶらさげさせるということには、ぶんなぐるということが入つておるはずである。警察官がぶらさげるというのは、国家権力の象徴なんで、ある場合には行使するということは、法律的の保障かあるからいいけれども、一般民間企業の守衞は一個の労務者である。これが警棒をぶらさげて、同じ労務者を監視するというようなことが許されるか。その点はつきりした御答弁を願います。
  40. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 ただいまのお尋ねは、前の横浜ドツクの具体的な問題と関連があるように承るのでありますが、この点につきましては各工場等をよく監察しておられる労働基準局等におきまして、もし違反行為がありということになりますれば、当然われわれの方にも御連絡があることと思うのであります。もしそういう違反が認められましたならば、一般の標準に従いまして適切に処置いたす考えであります。
  41. 春日正一

    春日委員 われわれの方に連絡があるというよりも、今も基準局の説明員は、そういう事実は確かにあるということを認めておるわけですよ。ぶらさげておるという事実は認めておる。とにかくそれを違反であると認定するかしないかが問題なんだ。日本国中の工場で、守衞が全部警棒をぶらさげてもいいとなつたら、日本中監獄になつてしまう重大問題だと思う。そういうことが許されるか。おしまいにはピストルも持てるということになるかもしれぬ。えんなことになつたらたいへんだ。少くも日本の労働者がそういうような労働環境において——以前は巡査だけがピストルを持つてつたが、それは武器に類するものだ。それを民間の守衞に持たして、労働者を監督させるという非常識なことが許されるか。それが問題なんだ。
  42. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 同じことを御答弁するようになるかもしれませんが、守衞が單に棒を持つておるということだけでは、どうも違反としてそれを訴追する程度には至らないように存ずるのであります。もしそれまでも、どうしても国家の法律でもつて処置しなければならないということでありますれば、やはり別個の法律を要するだろうというふうに考えております。     〔福永(健)委員長代理退席、委員   長着席〕
  43. 春日正一

    春日委員 これは重大な問題で、あなた方がそういう見解を持つというなら、日本国中の工場でみんな棒を持つようになる。持つことになれば当然なぐるということが予定に入れられると思う。それでは一般に労働組合かデモをやる場合に、なぐらなければ棒を持つてもいい、やりを持つてもいいとはつきり明言できますか。
  44. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 具体的事情によりまして、判断するよりないというふうに考えております。
  45. 春日正一

    春日委員 それでは政府自身が、そういうものを持つことを默認するという方針だと解釈していいわけですか。
  46. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 いろいろ一般的に行われておりますことで好ましいこと、好ましくないことがございますけれども、好ましくないことをすべて検察でもつて処理しようというふうには参らないと考えておりますので、法律違反として訴追しないということをもつて、それでは好ましいものかというふうにおとりになることは、誤解であろうと考えます。
  47. 春日正一

    春日委員 それでは好ましくないということをここではつきり言えますか。
  48. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 私は具体的事情を存じませんので、その点については御答弁いたしかねます。
  49. 春日正一

    春日委員 大体それで腹はわかつたということで、次に移ります。最近臨時工が非常にあるわけですが、これは中間搾取は禁ぜられておるわけですな。
  50. 堀秀夫

    ○堀説明員 基準法で禁止されております。
  51. 春日正一

    春日委員 ところが最近その基準法違反が非常に広く行われておる。たとえば臨時工という名前で、浅野ドツクのごときは大体四千人くらいの従業員のうち、八百人くらいは臨時工を使つておる。この臨時工にもいろいろありますけれども、特に今問題にしておるのは、いわゆる社内外注という名前の臨時工ですが、こういうのが最近非常にふえて来ておる。これは私どもの方で実情を調べてみたら、浅野ドツクの工場設備、機械、材料を使つて、そこの仕事をしているという状態であります。これは明らかに人夫人入れ稼業だと思います。それにいろいろ何組々々という組の名前も出ておりますけれども、そういうことが許されるかどうか。
  52. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 私からお答え申し上げます。具体的な事情を詳細承知いたしませんが、いわゆる職業安定法で禁止いたしております労務供給事業ということに認定いたされますならば、それによつて処罰される、かように考えております。
  53. 春日正一

    春日委員 そうしますと、もう少し具体的に言いますと、たとえばここに中村組、横浜製材、宇野組、横浜石綿等、何々と八つか九つ入つておりまして、この組から二百五十二名も入つております。こういうものに会社としては親方に給料を一人四百円なり五百円なり拂つておる。親方は本人には二百五十円とか二百七十円とかいう形で拂う。この間に莫大な利益があるわけです。ところが普通人夫供給といつても、工場から製品を運搬するというようなことで、自分のトラツクや馬力でもつて運搬させろというなら、一つの事業として仕事を請負つたということで筋は通るわけですけれども、同じ工場の中で、そこの職工と同じ仕事をさしておきながら、その工場の機械を使つて、工場の材科を使つて仕事をさせるのだから、実際には人をせわするだけしかない。こういう形のものか非常に多くなつております。これは明らかに中間搾取であるし、人夫人入れ稼業に相当するものだ。こういうものが神奈川県だけでも相当たくさんあります。私はこれは明らかに職安法違反であつて禁止すべきものであると思うのでありますが、その点ははつきり、禁止すべきものなら禁止するようにしていただきたいと思います。
  54. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 ただいまお話の横浜ドツクの問題につきましては、ただいま何の報告も受けておりませんが、職安法に禁止しておりますところの労務供給事業に該当いたしますならば、当然処罰されるものと私どもは考えております。そうしてまた現にそうした方針で全国の安定所を指導しておるような次第であります。
  55. 春日正一

    春日委員 該当いたしますならばということで、ちよつと不十分だつたから、確かめておきますけれども、そうすると今言つたように工場へ人だげ入れて、そこの機械を使つて、そこの材料を使つて加工して、仕事をさせて、それで自分が請負つて仕事をさせるという名前で給料をとるということは、明らかに職安法違反である。それに対する見解、一般的に、全国にたくさんありますから、それをはつきりさしていただきたい。
  56. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 ただいまお話のありましただけで、今すぐこれは労務供給事業であるかどうか返事しろ、こう言われましても、もう少しいろいろ調べませんと、申せないと私どもは考えております。事情を調査いたしまして、該当いたしますならば、処罰されるものと、かように確信いたしております。
  57. 春日正一

    春日委員 どうもはつきりしない。そこで逃げちまうのですが、それでは人夫供給事業というものは一体どういうものか、この点をはつきりさしていただきたい。
  58. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 人夫供給事業の問題につきましては職安法に規定いたされてあります。なおそれの詳細が、職業安定法施行規則の第四條に規定いたされておりますか、この規定を実際にあてはめて一つ一つ具体的に判断をして、労務供給事業であるかどうかということを判断することにいたしております。職業安定局といたしましては、職業安定の民主化のためには、さような労務供給事業は徹底的に一掃すべきものと、私どもはかように考えております。これに該当いたしますならば、今日まででも嚴重に取締つておるのでありまして、今抽象的にお話があつただけで、これが労務供給事業になるか、こういうお尋ねに対しましては、ただちにお返事はできないということを申し上げたのであります。
  59. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 関連して……。今のは臨時人夫、臨時工の問題でございますけれども、こういう例があるのでございます。これは京都でございますけれども、京都では、今年の初めから、東京の山本組から頼まれたというところの津田明完、大島英という人たちが市内の下京区の喫茶店に事務所を設けて、そうして自由労働者だとか、輪タクの運転手などを三百名も募集をやつてつたわけでございます。待遇は一日最低七百二十円とかいうことで五千円から一万円のしたく金を出した、こういう話だつた。それを知りまして京都の職安では、職安法の違反として、二月の初めに京都の地検に告発しておつたということでございます。ところがこれを七條警察署でも調査を始めて、大分京都の商業新聞ども大々的に取上げて宣伝をしていたそうでございますが、職業安定所では、どういうわけかこの告発をいつの間にか取下げてしまつた、こういう事実があるそうであります。こういうことは今全国至るところで、無数といつていいくらい行われておりまして、今の臨時人夫、臨時工の問題などと関連しまして、非常に大きい問題になつていると思います。この京都の職安が、職業安定法違反ということをはつきり認めながら、なぜこれを取下げたか、これも関連して御答弁を願いたいと思います。
  60. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 京都の人夫の募集の問題につきましては、私の方も承知いたしております。京都府の安定課からもそういう報告を受けておりますが、取下げたという報告は受けてないのであります。警察と連絡をとつて、許可なしで募集していることを取締ろうというのでありまして、取下げたという報告はまだ聞いておりません。
  61. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、今後も、これはやはり職業安定法の違反としてお取締りになる方針でございますか。
  62. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 労働者の募集につきましては、労働大臣の許可が必要であるということになつております。従いまして、労働者を許可なしで募集するということがありますならば、それは職業安定法遅反でございまして、十分取締りたいと思つております。
  63. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、京都の場合には、やはり職業安定法違反として、労働大臣の許可のないものとして、お取締りになつていらつしやるわけでございますか。
  64. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 労働大臣の許可なしで募集したという報告を受けております。従つて安定所におきましてもそういう方針で調べているはずであります。
  65. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ちよつと臨時工の問題からそれますので、春日委員にはお気の毒でございますけれども、ついででございますので、この点はつきりしておきたいと思います。そういたしますと、労働大臣から許可を受けた場合には——これは新聞によりますと沖繩行きの労働者ということになつております。この沖繩行きの人夫の問題につきましては、政府の御当局の見解か非常に食い違つているのでありまして、たとえば二月二十一日に建設委員会で砂間委員が質問いたしましたことについて、岩永政府委員などの御答弁を承りますと、非常にはつきりしない点があるわけでございます。これも沖繩行きの人夫の問題でございましたが、これは向うの占領費でやるのか、あるいはこちらの終戰処理費でやるのかということを御質問申し上げたのに対して、職業安定所の関係労働省関係だというように、そのとき岩永政府委員は言つておられました。そうしますと、当然これは労働省関係の管理のもとにあるというように考えるのでございますか、大蔵委員会におきまして木村代議士が、この沖繩行きの人夫の問題で御質問申し上げましたときには、こういう御答弁があつたのでございます。その沖繩行きの人夫の問題は職安関係ではない、こういう御答弁があつたのでありまして、その点がはつきりしていないのでございます。それで、沖繩行き人夫は、労働大臣さえ許可をすれば、それは職業安定所で取扱うことになつているのかどうか、これに対する方針を伺つておきたい。この点はつきりさせていただきたいと思います。
  66. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 お尋ねの沖繩行き労働者の募集という問題でございますが、これにつきましては、御承知のように求人者の要求によつて安定所があつせんをするか、あるいは業者の方が労働大臣の許可を受けて募集をするか、この二つの方法があり得るわけでございます。しこうして現在までのところ、沖繩行きの労働者は、はつきり申し上げておきますが、一人も安定所においては募集いたしておりません。また業者の方の申込みも、いまだかつて一人も安定所は受けておりません。そのことだけをはつきり申し上げておきます。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕
  67. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、現実に募集している場合には、労働大臣が許可をしない、無許可の、職業安定法違反として考えてよろしゆうございますか。
  68. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 今日までのところ、求人者から募集についての何らの要求もございませんし、安定所におきまして直接募集したこともございません。また許可をいたした例も一つもございません。従つて沖繩行き云々ということで、あちらこちらからそういう風説を私も聞きます。従つて全国の職業安定課に対しましては、これは單なる流説である、もしさようなことを現実にいたしておるならば、職安法違反であるから取締るべきであるということを通牒いたしております。
  69. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 もしこの事実があつて取締らないとすれば、それは労働省の怠慢だということがはつきり言えるわけでございますか。
  70. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 怠慢という問題ではございませんが、目が届かぬこともございます。従つて目の届く限りにおきましては、十分取締りをいたしております。
  71. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 失業者が職業安定所に対して仕事をくれと言えば大衆的に押しかけて、公務執行妨害罪とか不退去罪だとか、何とか言つて彈圧をしておるような状態でございますが、こういう者の中には、一万円のしたく金というようなえさによつて、行こうという者も出て来るような條件が今生れて来ておるわけでございまして、そういう事実は、現実にあちらこちらからわれわれのところにも入つて来ておるわけでございます。今のような御答弁ではまつたく無責任な御答弁だと思うのでございます。現に入札をするとかいろいろなことが、沖繩の問題につきまして予算委員会でも問題になつておりますが、日本の新聞政府で発表する前に、外国の新聞が取上げておるような状態であります。労働者が失業と貧乏のどん底に落されておる今日では、この沖繩行きの問題が、職安法の違反であろうと何であろうと、えさにつられて寄り集められるような仕組みに、今の社会機構はなつておると思うのでございます。それを指摘いたします数々の事実を私は持つておりますから、そういう問題について労働省として嚴重に取締つていただきたい、そういうふうに希望いたします。それからまた告発などの状態が、そのまま放置されておるようなことについては、どういうふうにお考えになつているか。今日でもすぐにその処置をとるように労働省としてなさる御意思があるかどうか、伺いたいと思います。
  72. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 職業安定法違反の事項がありますれば、ただちに私の方では警察に移しております。
  73. 春日正一

    春日委員 ついでに伺いますが、これは非常にこまかいことでも、大きな問題でありますが、賃金遅拂いは基準法違反だということは明らかになつております。残業をやらして、手間を拂わなかつたら、これはどういうことになりますか。
  74. 堀秀夫

    ○堀説明員 残業をやらせまして、割増し賃金を拂わない場合には、基準法違反になるわけであります。
  75. 春日正一

    春日委員 それで大体けつこうですが、あなたの方の基準関係でも、それから労働省の中の特に職安関係でも、残業や早出をやらせて給料を拂つていないという事実を、私どもは非常に聞いておる。そういう場合官吏だから基準法は適用されないが、民間で基準法違反になるものは、公務員であつても同じで、働かせれば手間を拂うのはあたりまえだ。それをただで使うということを妥当とお考えになつておるかどうか。
  76. 堀秀夫

    ○堀説明員 これはいささか私の所管外になりますけれども、基準法は公務員には適用はないわけでございますが、公務員に適用ある新給與法によつても、やはりそういうふうな建前になつておるわけであります。最近のところは残業した場合の超過勤務手当も、相当確実に支給されておるように見受けております。しかしそれ以上のことは、私から御答弁するのもいかがかと思いますので、その点は人事院あるいはその他の当局の方に御質問願いたいと思います。
  77. 春日正一

    春日委員 これは非常に重大な問題である。労働省、特に基準とか職安とか、労働者保護の部面において、非常に一人当りの労働量もふえて来ておる。こういう事態において給料を拂わないことは重大問題だ。これはこの間新聞に発表された増田官房長官の、年末に金が余つたら超過勤務手当のような名目で拂うというこの言葉は、現に拂つていないということを、官房長官自身が知つておることを暴露しておる。これはあなたを責めてもしかたがないから、大臣が来たときに大臣にはつきり聞くということにしたいと思います。それでは私の質問は事務的にどうこうということはないので、大臣が来たときに聞くことにして質問を打切ります。
  78. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとこの際労政局長に聞いておきたいのですが、最近新聞紙上などを見ますと、職よこせデモ——いわゆる自由労働者の集団的デモが各地に行われまして、しかもこの日雇い労働者の職よこせデモというのは、われわれが新聞だけ見ておると、何か系統的に相当広範囲に、次第々々にその勢力が拡大しつつあるように見るのです。私はもし今後日本の労働問題で一大不祥事が起きるとしたならば、日々職をよこせと動いておるこの方面から起きるところの事件が、一番大きな不祥事件となりはしないかという、実に恐ろしい予感がしておるのであります。この職よこせデモ、いわゆる日雇い労働者の最近新聞で見よるようなあの事件について、労働省当局としてはどういう具体的な対策を持つていらつしやるのか。また日々拡大しつつあるこの趨勢に対して、どういう見通し、見解を持つていらつしやるのか。このことについて労政局長から、この際所信と具体的な対策があるなら、承つておきたいと思います。
  79. 賀來才二郎

    賀來政府委員 このことについては、労働大臣からお答え申し上げるのが適当かと考えますし、局の所管になりますと、主として職業安定局長の所管になつております。ただ労政局の立場から申しますと、われわれとしては、現在労働者が経済生活向上のために、職業がほしい、あるいは賃金を上げてもらいたいというふうな運動につきましては、現在行われておるような形、すなわち分派的な形にならずに、これが労働組合法に基く一つ組合というような正常な合法的な形において、行われてほしい、こういうことをわれわれの方の所管といたしましては考えておるのであります。その他の点につきましては、安定局長も見えると思いますから、安定局長からお答え申し上げたいと思います。
  80. 石田一松

    ○石田(一)委員 今の構想はまことに私はけつこうだと思うのであります。要するに合法的な組合の、組織的な動きにこれが指導できれば、まことにけつこうなのでありますが、それについて具体的な検討でも労働省の方で何かなさつたことがありますか。
  81. 賀來才二郎

    賀來政府委員 労働省といたしまして、組合をつくる場合に政府がこれに関與することは適当でないと考えておりますので、さような意図は持つておりません。ただわれわれが期待しておるものは、現在のいろいろな組合、たとえば総同盟とか産別とかいろいろございますが、これらの組合のオルガナイザーがその間に入りまして、積極的に教育をしてつくつて行くということを期待しておるのでありまして、機会があるごとにこれらの指導者に対しましては、そういうふうにやつてもらいたいという意向を、われわれとしては言つております。もしそういう人々から、教育するについて協力をすべきであろというお話がございますれば、さようなものについては協力は申し上げてよいと考えておりますが、今積極的に、政府みずから乘り出してやろうという意図は持つておりません。
  82. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は今の政府の見解はまことに正しいと思うのであります。私は現状のままでこれが放任され、いわゆる未組織の日雇い労働者か、組織された労働者より以上の集団的な力を持つて、こうしたことが、各地に何だか一連の系統があるのかと思われるような動きのように拡大して行つていることは、労働行政上からいつて——もちろん組合を組織することについて、政府自体がこれに関與することは問題外でありますけれども、そういうふうに指導をして行くということも、最も重要な問題ではないか、こういうふうに思いますので、そういうふうに今後とも十分指導していただきたいと思います。
  83. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労政局長にお伺いいたします。先ほどの職安法違反の点でございますけれども、これは職安法違反として取締るという御答弁がございましたが、労働省の見解が全国的に徹底しておらないで、職安によつては、沖繩行きを登録しておるというような山口県職安副所長の答弁が、私どもの方に参つておりましたり、あるいは北海道でも江別の職業安定所などでは、沖繩行きを勧めたりしておる。職業安定所か自分で職業安定法を破つておる、こういうことがあるのであります。今日伺いましてはつきりしたのでございますが、こういう点につきましては、監督が不十分だということがはつきり出て来ておると思うのであります。事実を御調査になりまして、この意思を徹底するために新たな通逹をお出しになること、労働省としてもみずから法律を破るような、また今世界が注目しておるところの、日本政府が戰争準備に協力しておるというようなことをなくしますためにも、労働省の御方針とと、下部の安定所においてこのような事態が起きないように、前にお出しになりました通逹というようなもの、これはおそらく誤りであろうと思つております。ですから前の通逹は誤りであるということ、こういう通逹か出ておらないということがありますれば、労働省としての態度をはつきり表明していただきたい。それをやつていただけるかどうか、御説明願いたいと思います。
  84. 島田末信

    ○島田委員長代理 柄沢君に申し上げますが、安定局長はちよつと用事ができて帰りましたから、その質問は、今度の機会に安定局長から御答弁願つたらどうかと思います。
  85. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 しかし労政局にも関係がある問題でございますから、ひとつ労政局長から御答弁を願いたいと思います。
  86. 賀來才二郎

    賀來政府委員 御指摘で恐縮でありますが、いずれ今お話のように労働大臣からお答えを申し上げる方がよかろうと思いますので、その際お願いいたしたいと思います。
  87. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労政局長は御意見をお吐きになれないのでありますか。
  88. 賀來才二郎

    賀來政府委員 言えとおつしやれば言わぬこともございませんが、所管外について申し上げましても、責任のあるお答えはできませんのでごかんべんを願いたいと存じます。
  89. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労働行政に非常に関係があると思うのでございまして、所管外ではないと思いますが、ひとつ誠意をもつて御答弁を願います。
  90. 賀來才二郎

    賀來政府委員 私は所管外と考えておりますので、この程度でお許しを願いたいと思います。
  91. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではよろしゆうございます。山口国務大臣においでを願つたのでございますが、お見えになりませんので特別調逹庁の方に御質問申し上げたいと思います。  先ほど臨時工、臨時人夫の問題がいろいろ出ておつたのでございますが、こういう問題が、ことに特別調逹庁のP・D関係の仕事に非常に多く出ておりまして、最近の日本の労働行政、労務管理の上における特徴的なものだと思いますので、特別調逹庁の方の御意見をはつきり聞いておきたいと思つて、今日はおいでを願つたわけでございます。大臣がお見えにならないので、またおそらく責任のある御答弁が得られなないだろうと思うのでございますが、ひとつ誠意をもつてお答え願いたいと思います。專売裁定の場合にも、非常勤者、臨時人夫というようなものが裁定からはずされまして、その保護を一切受けておらないということがはつきり出て来ておるのでございますが、このP・D関係の仕事になりますと、場所によりましては、労働強化と相まちまして、能率が上つたところでは、一万円以上に收入がふえるというような條件もあるのでございますけれども、浅野ドツクの例などを見ましても、二箇月ぐらいで労働者が簡單に首を切られて、職場から出て行つている。非常にこの移動がはげしいというようなことが、私どものところに調査としてあがつて来ております。三菱下丸子などの工場になりますと、労働組合活動というものがほとんど停止しておるような状態でありまして、三人の労働者が一緒に集まつて話をしただけでも、首を切られるといつたような状態、便所に行くのにも監視がついていて、何分間で大便をして来たというようなことが調べ上げられて来でおる、こういうことを聞いております。そういたしますと、ちようど私どもが監獄におりました当時の状態と似ておるような状態が現場の作業場で行われておるというようなことを聞いております。こういうのが現在——おもに金属産業でございますけれども、どのくらいの人員がP・D関係の仕事をしておるか。こういうことについて、もちろんおわかりになつていらつしやると思うのでございますが、できましたならば御答弁願いたいと思います。
  92. 石破二朗

    ○石破政府委員 私は調逹庁の事業部長をいたしておりまして、今日委員会からのお呼びは、私どもの方の長官と事業部長に来いということでございましたが、調逹庁長官はあいにく横浜の八軍に呼ばれておりまして、私が参つた次第であります。まことに申訳ありませんが、私の方の所管は、進駐軍が直接使つております通称L・R労務者だけでございまして、P・Dには一切関係しておりませんから、御了承願いたいと思います。
  93. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 御所管がはつきりいたしましたのでお尋ねするのに非常に都合がいいのでございますが、L・R関係の労務者の問題でございます。この間横浜で八軍の兵器工廠という看板が空然かかりまして、横浜市民がびつくりしたわけでございますが、ここの労務者の状態は一体どういうふうになつておるかということでございます。私ども聞きましたところによりますと、これは県から労務提供をしておるということをうわさに聞いております。まだ私どもつて調べてないのでございますが、どういうふうな形でやられておるのでございますか。これは終戰処理費でまかなわれて、政府が直接この労務者を提供しておるという形でございますか。
  94. 石破二朗

    ○石破政府委員 御質問の具体的な事例につきましては私いまだ何ら聞いておりませんけれども、御承知のごとくL・R労務者と申しますのは、軍の方から労務者提供の要求が地方都道府県知事の方に参りまして、それに基いて提供しておるのが、いわゆるL・R労務者でございます。これに拂います給料は終戰処理費でまかなつております。ただいまの具体的な事例につきましては、私事情をはつきりいたしかねますので、何とも申し上げかねますけれども、原則は以上の通りでございます。
  95. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうしますと給與の支拂いだけをしておつて、その労働状態や労働條件や具体的な内容については、事業部では一切関與していないというふうなお答えでありますが、そういう実情でございますか。
  96. 石破二朗

    ○石破政府委員 私の方は労務を提供せよという連合軍の命令に基きまして、労務を提供いたしております。法律関係はなかなかむずかしゆうございますが、私の方は労務提供の責任をもつて雇用主として雇入れまして、これを連合軍の使用に供しておる、この結果の賃金も私の方で支拂つておる、こういう状況になつております。
  97. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうしますと、労働條件とかそういうものについての一切の責任は、調逹庁にあるわけでございますね。
  98. 石破二朗

    ○石破政府委員 労働基準法に定められておりますところの雇用主としての責任は、日本政府にあるものと解釈しております。
  99. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうしますと、政府は、労務を提供いたしました、その対象であります労働者の労働條件、労働賃金、実際の作業状態が、基準法に照して政府によつて保護されなければならないという原則はお認めになりますか。
  100. 石破二朗

    ○石破政府委員 基準法に定まつておりますところのいろいろの義務、雇用主としてやるべき責任は、日本政府にあるものと、かように解釈しております。
  101. 春日正一

    春日委員 そのL・R労務者の問題ですが、これは公務員になつておるわけですな。
  102. 石破二朗

    ○石破政府委員 特別職たる国家公務員になつております。
  103. 春日正一

    春日委員 そこでその扱いの問題ですけれども、この前暮れに幾らか一時金が出たというときでも、進駐軍労務者といわれる人たちには、これは特別職ということで手当が出なかつたわけですね。
  104. 石破二朗

    ○石破政府委員 特別職たる進駐軍労務者に関しましては、一般の国家公務員と同じに、昨年の一時金が支給されております。
  105. 春日正一

    春日委員 支給されておりますれば、それでいいです。
  106. 島田末信

    ○島田委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時四分散会