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賀來政府委員 第一点につきましては、
実情をすでに御存じと思いますが、二十五日から入りました
全国一齊の
争議の
状況を見ておりますと、二十五日は二十八万六千人、二十六日か二十九万人でありますが、二十七日には二十七万二千人になり、二十八日には二十六万三千人にな
つておるのであります。
労働省といたしましては、先ほど来申し上げますように、あくまで対等の
立場で直接
交渉によるべきだと考えましたが、この
状況で推移いたしますと、
組合側の
立場が不利になるという
考え方も見られるように至りましたので、この際に、
スト中止はともかくとして、公正なる
第三者の
判断による
調停に付すべきだというふうな
考え方をいたしたのが、
一つの
理由にもな
つておるのであります。そこで
関係筋におきましては、先ほど申しましたように、将来にわたりましてこの問題以外の
争議行為も
禁止いたしたのではないのでありますから、この点はわれわれといたしましても、ます永久的な
禁止がなくてよか
つたと、かように考えておりますとともに、かような
状態下におきまする
調停につきましては、やはり
青野委員も申されましたように、
労働省あるいは
政府といたしましても、この
状態において
組合側が一方的に
使用者側に不利な
状態に陷れられるということのないように、
関係筋におきましても、
請求による
調停に付し、あるいは
争議を
禁止あるいは
中止さしたという
條件を入れて、できるだけ公正なる
解決がつくように
協力をしてもらいたいということは、われわれとしても要請をいたしておりますし、さような線に向
つて協力をしてもらえるものと
期待をいたしておるのであります。
第二の
金額の点でございますが、御
承知のように、現在
石炭は
自由企業にな
つておりまして、
政府の
補給金その他も打切られておるのであります。従いまして、
金額は
幾らにすべきであるというような態度を、
政府はとるべきでないと考えております。
労使の
交渉によ
つてこれが決定せらるべきであり、また
使用者側が拂える
金額でありますならば、その拂える
能力におきまして、適当な
金額に持
つて行くということをやりましても、何ら
政府から干渉し、あるいは關與すべき
筋合いではないと考えておるのであります。われわれも、
炭鉱の
労働者が全部一万五千円
程度と
つておき、きわめて裕福な
生活をしておるという
考え方は持
つておりません。
坑外夫五千四百円という
ベースにこのままくぎづけされて行きますならば、現状におきましても、やはり
生活については楽ではない、かように考えておるのであります。従いまして、公正なる
調停委員会は、これらの
事情をも
十分勘案し、
労働者の
生活状態も
勘案し、あわせて業者の支拂い
能力も
十分勘案の上、公正なる
判断が下されることをわれわれとしては
期待をいたしておるのでありまして、
政府として
金額は
幾らに上げるべきだというような
意思表示をすべき今日は段階ではない、かように考えておるのであります。
第三の問題につきましては、われわれはま
つたく
青野委員と同
意見を持
つておるのでありまして、一時的な、
場あたりの
解決では、再び
争議が起るというおそれが多分にある。今日まで
終戰後の
石炭に関します
労使の
紛争状態を見ており、またその
解決状態を見ておりますと、基本的な
解決がされたことはないのでありまして、多くの
場あたりの一時的な御処置が講じられておりますし、さらにバツク・ペイの支拂い方が多くとられておるのでありますが、さようなことでなく、今日の
石炭鉱業の
実情、あるいは
炭鉱の
労働者の
生活状態を考えてみますと、どうしても今後少くとも三箇月あるいは半歳にわたりまして、
労使の間に
紛争が起らないように、
賃金の
体系といたしましても、適当な
基準賃金がきめられますとともに、
能率にマッチいたしましたところの
能率給の支拂い方も合理的に定めらるべきものである、かように考えておるのであります。今度の
調停請求に際しまして、われわれといたしましては、
中労委の
会長にさような
解決がはかれるように御盡力を願いたいということは、口頭をも
つて要望いたしておりましたし、
中労委の
会長もまた、この点に融れて考えてみたい、一月
——三月の
基準賃金を一時金で支拂うというような点だけではなくして、でき得れば四月
——九月、もし
可能性がなければ、四月
——六月にでも基本的なものを考えて行き、あわせて支拂い
能力等十分勘案の上、
賃金体系というものも合理的なものにして行きまして、今後安心して
労働者が生産に従事して行けるように、何とか基本的な
解決をはか
つてみたい、こういう
意見を漏らされておるようであります。
調停委員は本日きまりますか、明日になりますか知りませんが、これらの
調停委員がきまりましたならば、さような方角に向
つて努力をされるように、われわれとしましては重ねて要望をいたしたい、かように考えておる次第であります。