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春日委員 労働委員の人数をふやすというこの案に対して、共産党は反対します。というのは、まあ七人にふやしたら仕事ができるじやないか、それをあえて反対することもあるまいじやないかという考えもあると思いますけれども、問題は、そういう人間の数の問題では私はないと思う。これは
労働組合法自体の中にある非常なあいまいさ、そうしてそういうところにつけ込む
政府あるいは資本家の悪辣な攻撃、こういうものが、今日の労働紛争を一番大きくしておるのだ。たとえば
不当労働行為というようなものについても、去年の七月に、
政府が卒先して模範を示して、国鉄中闘の首を切
つた。今まで
組合幹部というものの首を切つ、ちやいかぬということは、大体概念にな
つてお
つたけれども、
政府が模範を示し、その後は至るところで、そういう
組合の幹部あるいは活動的の分子という者が、くだらぬ名前で首を切られている。島津製作のごときは、私ども七月に行
つたときに聞いてみると、五十八の
組合の
委員長が、暗愚無能にして云々というような
理由で首を切られておるということが、ひんぴんと起
つておる。これは
政府の政策によるものだといわざるを得ない。たとえば長崎なんかの市従組の首切りの場合には、この不当だということが地方
裁判所で判決されておるにもかかわらず、吉田総理
大臣がこれに対して異議を申し立てておる。というようにしてみると、こういうことは一貫した
政府の政策であると考えざるを得ない。しかも日経連あたりの政策としてやられ、
組合幹部に対するところの攻撃というものがどんどん出て来る点に、今日
不当労働行為というようなうるさい問題を、たくさん出して来る根本がある。この点が改められずして、ただ七人ふやすというようなことだけならば、これはどうにもならぬ。むしろやるなら、そういう
不当労働行為を
はつきり禁止をするように、その條文をつくるべきだと私は思う。
それからもう
一つの点は、
労働委員会自体の問題でありますけれども、先ほど来質問をしましたように、
職権委嘱ということが始ま
つてから、
労働委員会の信頼が非常になくな
つて来た。地方に行くと、あんな
労働委員会に頼んでもだめだ、買收されておるといううわさすら、出て来るというような状態にな
つておる。だから、そんなような状態の
労働委員会が、たとい七人にふやされ、十人にふやされてみたところで、これでは決してその
権威を高め、任務をや
つて行くというようなふうにはならないと私は思う。やはり
労働委員というものは
——少くとも
労働者側の
委員というものには、
労働者の多数の信頼のある者が出されるという原則が確立されざる限り、これは單に
労働者の中から出した
政府委員ということにな
つてしまう。現実にそういう
傾向を非常に濃くしておることが、今日
労働委員会のいろいろな問題の解決が遅れ、あるいは信頼がなくなるという根本になりておると思う。それから特に
公益委員の専断権の問題は、この前の労組法
改正のときにも、私らいろいろ質問もしたのですけれども、
公益委員だけにまかせるということのために、事の処理がだんだん遅れて行く。どうした
つて労働者の問題について解決を急ぐのは
労働者なんだ。ところがこれが決定に参加できないというために、解決が遅れて行く。
東京都
労働委員が現に七人にな
つておるけれども、先ほど柄澤君が言われたように、月に四件ぐらいしか片づかないという状態にな
つておる。現実にこういう状態で、ほかの三地域を七人にふやしてみたところで、それで問題の解決にはならないと私は思う。そういう
意味で、私は
労働委員会というものが
もつと
権威のあるものになるために、
職権委嘱をやること、それから
不当労働行為の原因にな
つておるところの、
政府や資本家のやる
組合幹部に対する首切りを禁ずるという、ことの
改正が先であ
つて、この七人をいじる、どうこうというようなことは、
労働組合にと
つて大した問題ではない。そういう
意味で反対いたします。