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菅野政府委員 夏時刻法の一部を改正する
法律案の
提案理由を御説明いたします。
現行夏時刻法は
昭和二十三年より
実施せられたのでありますが、
昭和二十三年におきましては、立法の時期
的関係上、
夏時刻は臨時に五月の第一土曜日より
開始せられましたので、この
法律通り夏時刻が四月第一土曜日から始められましたのは、昨二十四年が一初めてでありますことは、御承知の
通りであります。この
夏時刻制度は、何分わが国にとつてまつたく新しい試みでありましたので、
政府としましても、その成果には特に大きな関心を持もまして、一昨年以来その
実施の状況を種々
調査検討して参
つたのであります。その結果、本
制度の
実施によりまして
日光活用による
電力の
節約、その他
国民生活の
改善保進等、所期の好ましい
効果はもちろんこれを収め得たのでありますが、
他方実生活面において、種々不都合な点のあることも、また明らかとな
つたのであります。そのおもなるもののみを取上げてみますと、大体において
夏時刻により、早朝未明、または寒冷時に起床を余儀なくされることに基く
生活上の支障でありますが、これらを具体的に検討いたしてみますと、その不都合な点は、おおむね
夏時刻の始まる四月において、特に顕著なのでありまして、もしその
始期を五月に改めるならば、その大部分は著しく緩和され得る性質のものと考えられるのであります。本
制度実施後、各方面で行いました
世論調査の結果を見ましても、大多数の
意見がその
始期を一箇月遅らせることを希望していることは、右の
事情を反映するものと思われます。
ただ問題となりますのは、本
制度の大きなねらいの一つである
電力節約との
関係でありますが、昨年の
夏時刻開始前後、各一週間における
実績調査によりますと、四月に
夏時刻を
実施したことによつて、
電力の
節約としてはほとんど見るべき
効果は得られなか
つたのであります。すなわち
最大電力においては一・一%の減少を見ましたが、
電力量としてはむしろ。〇・八%の
増加という結果を示しているのであります。もちろんこれは昨年度のみの
調査に基くものであり、かつ
電力量の増減は、種種の
事情の影響を受けるものでありますから、右の結果をもつて、ただちに
決定的判断の資料とはなし得ないのでありますが、なおこれにより、四月の
夏時刻制実施と
電力消費との
関係について、大体の傾向はこれを推知し得るものと考えます。なお四月は
一般に雪解けのため
水力電気も
増加し、
電力の
需給関係は、年間を通じて最も緩和される時期に該当しているという
事情もあるのであります。従いましてこれらの点を総合判断いたしますと、
夏時刻の
開始時期を四月から五月に改めましても
電力節約の問題に関してはさしたる悪影響はないものと考えられるりであります。
以上述べました
理由により
政府としては、
国民生活等の実情を考慮しつつ、しかも本
制度の趣旨を十分生かて参りますため、この際
夏時刻の
現行開始時期たる四月第一土曜日を、五月第一土曜日に改めることといたしまして、ここに本
法律案を
提案いたした次第であります。
何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに可決あらんことを希望いたす次第でございます。