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1949-12-21 第7回国会 衆議院 労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十一日(水曜日)     午前十一時四十四分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 大橋 武夫君 理事 篠田 弘作君    理事 福永 健司君 理事 三浦寅之助君    理事 吉武 惠市君 理事 青野 武一君    理事 川崎 秀二君 理事 春日 正一君    理事 島田 末信君       麻生太賀吉君    押谷 富三君       佐藤 親弘君    塚原 俊郎君       福田 喜東君    船越  弘君       福田 昌子君    前田 種男君       稻葉  修君    柄澤登志子君       石田 一松君  出席国務大臣         労 働 大 臣 鈴木 正文君  出席政府委員         運輸政務次官  原 健三郎君         (労働局長)         労働事務官   賀來才二郎君  委員外出席者         専  門  員 濱口金一郎君         専  門  員 横大路俊一君 十二月二十一日  委員菅家喜六君及び中村幸八君辞任につき、そ  の補欠として福田喜東君及び船越弘君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、議  決第一号)     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  昨日をもつて質疑は終了いたしておりますから、これより公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題として、討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。大橋武夫君。
  3. 大橋武夫

    大橋委員 私は民主自由党を代表いたしまして、公共企業体仲裁委員会裁定の中で、十五億五百万円以内の支出を除きまする残余部分に対しましては、遺憾ながら承認すべきものではないとの意見を申し述べるのでございます。但しこれにつきましては、次の附帯条項を付せんとするものでございます。    附帯条項  一、裁定に関し、予算上又は資金支出不可能なる部分金額については、日本国有鉄道は、その公共企業体たる特質に鑑み、将来企業内部における経営の健全化に依り、独立採算上、現実に余裕が生ずる場合において、更めてその支給につき考慮すること。  二、政府公社企業体たる精神に鑑み、将来業績による賞与制度を設け、予算以上の収入又は節約が行われ、それが職員の能率の増進によるものと認められる場合には、公社職員賞与支給し得るよう適当な措置を考慮すること。  三、政府一般公務員待遇についても、現在民間給与に較べて相当低い実情に鑑み、適当なる措置を併せ講ずること。  以下簡単にこの理由を申し上げます。  仲裁委員会裁定は、四項目よりなつておりますが、このうち公共企業体労働関係法第十六条第一項に該当するのは、その第二項の四十五億の金額のうち、十五億五百万円を超過する部分であります。そもそも裁定当時におきましては、国鉄人件費予算残額と認めるべきものは約千三百万円でありまして、これを除く部分は、予算上、資金上、不可能の状況にあつたのであります。爾来本院におきましても、公共企業体労働関係法精神にかんがみて、裁定尊重について院議をもつて政府に要望したのでありますが、連合軍司令部の好意あるはからいと、公社及び政府努力とにより、十五億五百万円は行政上の予算流用措置によつて支出可能となりましたので、昨日政府議案の訂正を行われたのであります。今この十五億五百万円の内訳を見ますと、人件費節約によるもの約千三百万円、物件費節約によるもの十四億九千万円余でありまして、その物件費流用をいたします結果は、当然本年度に予定せられました線路の補修その他の必要な計画の一部を、打切らざるを得ないことになるのでありますが、公社及び政府がこれらを犠牲として、しかもこれを職員給与に振り向けて、裁定をできるだけ実施するように努められた努力の跡は、これによつても明らかであると思うのでございます。  国鉄の最近の経理はすこぶる困難をきわめているのでございまして、前国会において九十億の赤字を補填いたしますために、補正予算を編成し、貨物運賃八割の引上げを行つたのでありますが、しかもなお本年度においては、三十億円を一般会計よりの借入れによらなければ、収支の均衡を得ないという実情でありますから、現行予算もまたすこぶる圧縮を受けているのでございまして、各費目とも余裕に乏しく、右の十五億五百万円以上を捻出することは至難でありますので、裁定によつて示されました四十五億円のうち、これ以上の金額はもはや明らかに予算上、資金上、不可能であると言わなければならないのでございます。よつてこの部分について、政府公労法第十六条第二項により国会承認を求めた次第でありますが、政府としては諸般の状況にかんがみて、この部分の経費の支出はこの際困難であると考えたために、これが支出に伴うところの予算を、本国会にあわせて提案するに至らなかつた次第でございまして、もとより国会としてはこの政府の意向、また希望に拘束せられることなく、独自の見解によつてこの部分について承認を与えることも、またこれを不承認とすることも可能でありますが、国会においてかりに承認と決した場合には、政府は当然これに伴う補正予算提出する次第でありまして、政府のこの案件についてとつ処置は、手続としては過法であつたと言わなければならないりでございます。そこで国会としては今これに承認を与えるかいなかを決しなければならないのでございますが、これには財政上、資金上、これ以上のものが可能であるかどうかという点を考えなければならぬと思います。そこで公社支払い能力が最も重要な問題となるのでございます。  公社の本年度経理はきわめて困難でありまして、運賃の値上げと借入金によつて、辛うじて均衡を保つているのであることは、先に申し上げた通りでございます。十五億五百万円の捻出すら実に容易でなかつたのであります。この点につきましては、裁定解説書の第五におきまして、予算流用によつて生じ得べき余裕は、約一パーセントであるという標準を示しておられるのでありまするが、今回公社において流用についての努力をいたしましたる結果、この標準でありまする一パーセント以上の捻出に、すでに成功せられた次第でございます。従いましてこれを超過する三十億円をカバーすべき財源は、本年度においてはこれ以上予算自体にはあり得ないことは明らかでありまして、裁定解説書の中にも、すでにこれを明白に認められている通りでございまするから、かりにこれを実施いたすといたしまするならば、本年度においては借入金によるほかはないということになつて参るわけでございます。しかるに給与のためにする借入金につきましては、経済原則及び賃金原則に照しまして、極力これを避けるべきであり、また今日のわが国客観条件から見ましても、その不可能なることは言をまたざる次第でございます。この一点より見まして、今回の裁定は、予算によつて支給せられましたる十五億五百万円以上の部分は、この際国会において不承認となすべきものと考える次第であります。この結果といたしまして、当然十五億五百万円を超過いたしましたる四十五億円の残額につきましては、仲裁委員会裁定は効力を生ぜざることが確定いたすのでありまして、従つて後日この問題に関しまして、公社並びに組合の間に債権、債務関係を残すことのあり得ないということは、明らかでございます。  しかしながら今日国鉄職員諸君待遇が、民間における同種の賃金水準に比して低いということは事実でありまするし、また生活費に比しましても、不均衡を免れ得ないという事実も私どもは認めなければなりません。ことに今回の交渉に際しまして、国鉄労働組合諸君のとられましたる態度というものは、自由にして民主的なる労働組合として、国鉄再建建設的精神によつて行動せられ、公共企業体労働関係法の示す合法的なる軌道によつて、堂堂として終始せられましたることは、まことにわが国労働運動の発達を物語るものでありまして、国民諸君とともに喜びにたえないところでありまするとともに、その裏面におきまして、組合員諸君の容易ならざる耐乏生活が存することに思いをいたしまするならば、これこそ真に労働組合員としての、英雄的行動であると申さなければならないのでありまして、私どもは心から頭の下る思いを禁じ得ない次第でございます。これらの諸君が、長き忍耐の後にようやくにして得られましたる裁定が、その一部分しか今実現することができないということは、まことに情において忍び得ざるものがある次第であります。されば私どもは、冒頭希望条件において申し上げました通り残余部分につきましては、明年度において、可能ならばあらためて考慮すること。また裁定第三項の、業績による賞与制度の採用をでき得る限りすみやかに考慮すること。またこれらの処置につきましては、将来一般公務員にも均霑することを条件といたしまして、この案件不承認のやむを得ざることを主張いたす次第なのでございます。  国鉄従業員諸君におかれましては、現下の困難なる実情思いをいたされまして、われらの衷情を了察せられんことを望みまするとともに、政府及び公社におかれましては、わが党の意のあるところを了解せられまして、特に希望条件につきましては真情をもつて対処せられ、すみやかにこれを実現するよう努力を傾倒せられんことを望んでやみません。(拍手
  4. 倉石忠雄

  5. 青野武一

    青野委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程せられておりまする公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求める件につきまして、十五億五百万円を含みました仲裁委員会裁定による四十五億を全額支給すべしという立場をとりまして、今の大橋委員の御意見に対して反対意見を開陳するものであります。  御承知のように、本年九月十四日国鉄労働組合は、賃金ース改訂と年末賞与金支給その他に関する紛争を、国鉄中央調停委員会調停申請をしたのに、この問題は始まつておるのであります。内容裁定書に詳しく載つておりまするから重複を避けますが、そのおもなる主張は、一箇月九千七百円べース、一箇月に相当する年末賞与金要求であつたのでありまするが、遂に公社はこれを拒否いたしましたために、十月の二十八日に調停委員会調停を打切りまして、そうして公労法第三十四条第二項の規定に基きまして、即日仲裁委員会申請がされたのでありまして、十月三十一日臨時仲裁委員会が開催せられまして、その審議の結果、仲裁を行うことに決定いたしました。爾来公聴会を開き、あらゆる角度から非常に慎重なる調査をいたしました結果、三者をもつて構成しておりまする仲裁委員会において、十二月の二日に至つて最後裁定が下されましたのが、四十五億の金額になつて出て来たのであります。十二月末までに三十億を支払い、残額は新賃金ベース決定に至るまで、一箇月に五億円ずつ支払えというのがその内容でございます。私はこれにつきまして仲裁委員の個人々々の学識経験手腕徳望といつたものに対しましても、心から敬意を表しておるものでありまするが、それにもまして仲裁委員会裁定は、厳粛にこれを尊重しなければならないという立場をとるものであります。裁定尊重と実行は公労法を守り抜くことであり、言いかえますと、国鉄労働組合員の基本的な人権を守ることであり、これらの諸君祖国再建経済復興生産力増強といつた面からいたしましても、国鉄従業員労働力を高く評価することの結果になるのであります。公労法ができまする当時、私どもは不幸にして議席を持つておりませんから、その真相はつまびらかでありませんが、同僚議員に聞きましても、当時の速記録を読みましても、公共企業体関係労働者争議権を剥奪されましたために、もし要求当局側にいれられざるとき、団体交渉によつてその要求が貫かれざる場合におきましては、調停委員会の議に付し、最後には仲裁委員会によつてこれが最後的な裁定が下される。これは明らかに公労法の条文によりましても、当事者双方を厳重に拘束するものであります。ところが今回下されました裁定は、公労法施行後最初のものでありまするので、法律上いろいろな解釈が下されると思います。昨日も私は労働委員会大屋運輸大臣質問をいたしましたが、十五億五百万円という金は、国鉄公社経理内容においてやりくりをして生み出した金である、しかも国会は、与党派におきましては、四十五億を決定いたしました裁定については、その精神を極度に尊重すべしという決議が行われておる。野党派におきましては、四十五億全額支給すべしという決議を出して、遂に数で敗れましたけれども通りました裁定精神尊重せよという院議があるにもかかわらず、国鉄公社やりくりをして経理の中から出して参りました十五億五百万円以外は、院議決議を無視して一銭も出ておらないのであります。これでは公労法が何のために設けられたか。労働者が自己の最低生活権を獲得するために、どんな形で将来闘争をしなければならないか。ただいま大橋委員は、国鉄従業員諸君に対して、正々堂々と合法闘争をもつて終始一貫したことは敬意を表すると言つておりまするけれどもそういう言葉だけでは、国鉄従業員諸君生活は断じて安定するものではありません。この最後仲裁委員会決定が、当事者双方において、成規手続をとつて運輸大臣大蔵大臣を経て閣議によつて決定せられまするならば、公労法が生きるのでありまするが、今日のような状態に参りまするならば、それは明らかに公労法というものをつくつて労働者闘争による闘争戦術の手足をもぐにひとしい結果になるのでありまして、勢い日本労働運動というものは、合法運動から一歩も二歩も外に踏み出さざるを得ない状態に立ち至るのであります。私は公労法尊重するがゆえに、これを守り抜くために、日本労働運動に健全なる道を歩かせるためにも、将来の日本経済再建を着々と進行せしめるためにも、公共企業体労働関係法が今日のありさまでは、明らかに蹂りんせられて法の精神が無視せられておる。しかも国会決議まで無視せられでおるということにつきましては、公労法精神からいつて、第一に反対せざるを得ないのであります。  第二点は、公社経理内で捻出いたしました十五億五百万円の残余額を、どうして予算的措置をとつて国会提出しなかつたかということであります。これについて反対理由を簡単に申し上げまするが、公労法の第十六条は、昨日の労働委員会でも大屋運輸大臣質問をいたしましたが、不幸にしてわれわれの解釈とは違つております。残余の約三十億円弱のものは、予算面に表わして国会提出しなくても、明らかに金額がわかつておるではないかというようなお話もあつたのでありまするが、第十六条の後段には「又国会によつて所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」明らかに「協定に基いていかなる資金」ということがあげられております。白紙ということは書いてありません。明らかに「資金」とある。あるいは予算、あるいは資金予算化したもの、そういつた明らかに金額の載つておりますものが国会提出をせられるからこそ、ここに「いかなる資金といえども支出をしてはならない。」国会決定するまでは支出をしてはならないということは、残余の三十億円弱を予算化して、国会に出すという解釈をして、決して間違いはないと私どもは考えておりますが、運輸大臣はこれと反対意見を発表せられたのであります。これは私どもに言わせますならば、この予算的処置をとつて、そして現在占領下にある関係上、関係方面との折衝がうまく行かない、国鉄公社経理内容が非常に今日困難をきわめておるから、どうしても十五億五百万円以外の残余額は、国会を通じてもこれを支出することが困難であるという結論になるならば、調停委員会最後調停案に服従し、仲裁委員会最後裁定に服従した国鉄諸君は、菊川君を通じまして、国会予算提出せられて、そして事情があつて否決せられるならば、涙をのんで私どもはあきらめます。こういうことを、御承知三つ連合審査会で発表せられておるのでありますが、政府がこれを実行しなかつたという、非常に大きな問題が取残されておるのであります。五十万の国鉄労働組合員だけではありません。組織された六百万の労働者だけではありません。日本全体の一千万の労働者がこの問題について、はたして労働意欲高揚が行われるか、経済再建のために必死の努力をしてくれるか。いかなる政府といえども日本労働者を敵にまわして祖国再建はあり得ません。この点から考えまして、この残余額予算的処置をとつて国会提出しなかつたということが、私どもにとりまして大きな反対理由一つであるのであります。野党連合の話合いの結果でもありますが、もう一つは、公社従業員諸君にとりまして、今回支給せられますものは、一人当り平均約三千円と少しであります。それに並行して今国会法律案として提出せられております国家公務員の年末賞与が、平均にいたしまして、二千九百二十円ということであります。これは昨日の委員会におきましても、稻葉委員からも主張せられたのでありますが、これは明らかに残額三十億円弱を、国鉄職員に約三千円平均支給することによつて国家公務員に対する二千九百二十円という年末賞与等と、いろいろな意味で混同せしめるという、欺瞞的な手段が政府にあると私は考えますから、この点につきましても、反対一つ意見としてこれにつけ加えておくのであります。  次にいま一つ申しますが、従つて結論といたしましては、私どもはあくまでも三十億円弱の十五億五百万円以外の残余額は、明らかに法律債務として残るということを、ここではつきり私ども主張として申し上げておくのであります。いま一つ申し上げたいと思いますことは、国家公務員の新賃金ベースは、人事院勧告によりまして七千八百七十七円となつておりますが、公務員のこの新しい賃金ースの線に沿いまして、公共企業体従業員でありますから、法律的にはその立場を異にしておりまするが、企業体になつていまだ間もない今日のことではあり、かたがた民間類似産業との賃金差額等を考えまして、日本国有鉄道従業員の新賃金ベースも、国家公務員に対する人事院勧告の七・八べース、あるいは民間平均一万二千円程度給与額とにらみ合せまして、近い将来にこれが実現のために、政府は極力努力しなければならぬということを、私ども三つ反対理由の別に、警告申し上げておく次第であります。  最後に申し上げたいと思いますことは、これらの労働政策、あるいは給与政策と申しますものは、ただ国家公務員だけが片づけば、あとはどうでもいい、あるいは民間産業に従事する労働者給与問題が解決すれば、政府関係諸君の問題はどうでもいいという行き方の政府のやり方は、明らかに間違つておりますので、国家公務員の新賃金ベース公共企業体関係労働者給与も、民間産業に従事する労働者給与も、ともにあまり懸隔のない総合的な給与制度が、必ず総合的財政経済政策の中に織り込まれて確立されなければ、この問題の解決というものはあり得ません。ひいては農村における農民、中小企業者の重税に苦しみ、金融難にあえいでおります者も、これらと、また密接な関係があるのであります。戦争犠牲者、未亡人であるとか、傷い、軍人であるとか、戦災者であるとか、あるいは失業者であるとか、関東附近の例をとりましても、その日その日の生活に困つております日雇い労務者の問題であるとかいうようなことに対して、どうして給与額をきめ、そしてこれらの諸君に具体的にあたたかい保護救済の手を差延べるかということも、この裁定の問題と密接なつながりが当然あるのでありまして、経済財政政策労働政策の中に、給与政策というものを総合的に決定しなければ、こういう問題は決して解決するものではありませんから、この点について日本社会党を代表いたしまして、そういう政策を一日も早く樹立して、日本再建経済復興、いわゆる労働政策を確立するために極力努力するように、私ども要求してやまないのであります。詳しい具体的な反対理由はまだあるのでありますが、ほかの党の代表者の御意見もありますし、こまかい点は、裁定書内容に十分盛り込まれておりますので、私は公共企業体労働関係法政府は明らかに蹂りんしており、しかも大屋運輸大臣の昨日の答弁では、十五億五百万円、この程度でけつこうと思います。こういう労働者をばかにしたものの言い方はありません。私はこの点に関しまして、以上の三つの点と二つの問題を警告いたしまして、日本社会党を代表いたしまして、今上程せられております公共企業体労働関係法第十六条第二項による残余額支出すべからずという主張反対し、裁定による全額四十五億円を、裁定精神によつて支給すべしという立場主張をとりまして、反対を申し上げる次第であります。(拍手
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 稻葉修君。
  7. 稻葉修

    稻葉委員 私は民主野党派を代表いたしまして、本案、すなわち公共企業体労働関係法第十六条第二項に基き、国会議決を求めるの件につきまして、民自党の主張に対しまして反対の意思を表明する次第であります。  本件は去る十二月二日、公共企業体仲裁委員会国鉄労働組合申請にかかる賃金ベース改訂、及び年末賞与金支給その他に関する紛争に関して下した裁定につき、十五億五百万以内の支出は、公労法等十六条第一項にいわゆる予算上、資金上、可能であるが、残余は不可能な支出であるから、同条第二項によつて国会承認を求めて来た議案であります。  去る八月三十日以来、国鉄内部におきまして組合公社との間に待遇改善について紛争を生じ、団体交渉公労法規定に基いて組合側から公社に求められ、その後調停委員会にかけられまして、この調停委員会調停案組合は受諾したが、十月二十二日公社はこれを全面的に否定した、拒絶をいたしました。そこで十月二十八日調停は打切られ、組合としては公労法第三十四条に準拠して、仲裁委裁定紛争最後決定的な解決をゆだねた次第でありました。仲裁委は十二月二日裁定を下し、賃金ース改訂しないけれども職員の切り下げられた待遇については特段の考慮をし、是正をするということ、公社総額四十五億円を支払うべし、その配分方法は、当事者双方において十二月中に協議して定める。組合の求める年末賞与は認められないけれども企業業績上つて、それが職員の功績に帰せらるべき場合には、賞与として相当部分支給しなければならないこと、さらに本裁定解釈または実施に関し、当事者間に意見の一致を見ないときは、本委員会の指示するところによつて決定する、こうしたのであります。この裁定は、公労法第三十五条により、予算上、資金上、不可能なる部分について国会承認を求めることを要する場合のほかは、最終の決定的な紛争処理の判決でありまして、当事者双方を拘束することは申すまでもありません。しかるに意外にも問題は裁定の第二項目について起りました。それは公社裁定第二項によつて負う総額四十五億のうち、国有鉄道部内において予算上、資金上、不可能な部分が相当多額に上つておる。これは国鉄公社側は初め二十七億と計算をいたしました。そこで国鉄法の第三十九条第一項にいわゆる「予算作成後に生じた事由に基き、必要避けることのできない場合」に当りますので、公社は同条の規定に従い、十二月十日予算作成手続に準じ、追加予算を作成し、借入れ金をもつて支弁することとして、これを運輸大臣を経て大蔵大臣提出する手続をとりましたことは、昨日の委員会において提出せられたこの資料によつて明白であります。従つて国鉄法第三十九条第二項及び第三十八条第三項により、国有鉄道のとりたる手続に基いて、内閣は予算決定し、国会承認を求めなければならないものであることは、これらの規定に徴してすでに争う余地のない明白なることであります。しかるにもかかわりませず、政府のこれに対してとりたる態度はきわめて奇怪しごくであつて、何らの予算的措置を講ずることなく、加うるに国鉄経理内部においてまかない得る額をも指示することなく、当初におきましては、四十五億全面的にゼロの予算を付して出して来たと同様な、案件提出をした次第でありました。幸いに一昨日はこれを修正いたしまして、十五億五百万円は可能である、残余部分については、公労法第十六条第一項にいわゆる予算上、資金上、不可能なるものと認めるから、同条第二項に基いて国会承認を求める、こういう態度であつたわけであります。十二月二日の裁定が下された後、組合側及び公社のとりたる態度、裁定尊重してその内容実現に努力をしたという点については、大橋君並びに青野君と同様に、これを認め、かつ敬意を表する次第でありますが、これに反して国会委員会におきましても、また裁定の断案が下された後、政府裁定に対する態度につきましても、私どもはその不誠実を認めざるを得ないのであります。私どもはもし予算上、資金上、不可能なる部分が生じた場合には、先ほども申しました法の命ずるところに従つて、すみやかに追加予算を組み上げて、これを国会提出し、この承認不承認を求めるのでなければ、国会はその審議の対象を失い、あたかも国会が、最終決定的な断案を下すことのできるところの仲裁委員会の、覆審的な機関となる次第でありまして、これは公労法仲裁委員会の制度と、国会の性質とにかんがみ、断じて許すことのできないことであります。従いましてわれわれといたしましては、何らかの予算について、これを承認するとか、しないとかいうことをきめる権能があるだけであつて裁定そのものを審議の対象とするがごとき議案提出に対し、まず政府の不誠意を鳴らした次第であります。しかるに連合審査会における政府、与党委員、それから調停委員及び組合代表者及び国鉄当局の質疑応答の経過を見ましても、政府は決して法規違反ではない、また公労法精神をも躁りんするものではないということを繰返し繰返し述べられておりますけれども、その立法の精神をも、どういうふうに解釈しておるのか、その理由を示すことなく、ただ結論だけを——決して精神に反するものでない、国鉄法規定にも違反するものでない、そういうことを言つておりますけれども、それは決して答弁ではありませんで、ただ口を開いて声らしきものを出しておるにすぎないと、私どもは受取らざるを得ない次第であります。  第一に、国鉄総裁は、ここにも明白なるごとく国鉄法第三十九条に基いて、予算を組んで運輸大臣及び大蔵大臣にこれを提出したのでありますが、閣議の結果は、その予算をゼロと認定したかのごとく、十五億五百万については可能であるから、その範囲において裁定はのめる、それ以外については全然のめないから、国会はこれを承認しないことにしてもらいたいと言わんばかりの答弁をいたすのでありますけれども、かくのごときは、裁定内容尊重するという考えが、公然ないのであろうと思うのであります。昨日大蔵大臣は、これに対して尊重する気持はあるけれども、現在の内閣の経済政策財政政策上、すなわちドツジ・ラインの経済原則賃金原則等の建前から、とうてい追加予算を組むことはできない次第である。こういう理由を申されておりますけれども、この点につきましても、元来この四十五億というものを出しましても、決してわが国のインフレ化を促進するという性質のものでないこと、しかも国鉄の赤字の原因の一つとして、七月来の人員整理に必要な退職資金、五十四億の支出が、非常な比重をなしているという点、しかもこの支出は経営の合理化をはかるための資金であつて、いわば企業体の資本的支出であるということ、しかも国鉄経理内容をしさいに点検した結果は、これらの金額借入れをなすことによつて支出しても、将来十分に償還能力があるということ、これらの点に対して明瞭に合理的、科学的に説明を加えておりますゆえに、池田大蔵大臣の御回答は、科学的な根拠を欠くものと断ぜざるを得ない次第でございます。従いまして、私ども仲裁裁定に対します政府の態度は、公労法を蹂りんし、しかも裁定の四十五億という金額支出の、企業体における資本的な意味内容について、大蔵大臣にも誤解があるものと存じ、この点について強い反対を表明いたす次第でございます。従いまして公社がすみやかに裁定書の命ずるところの四十五億金額支給をなすべきである。従つて政府は既定予算上、不可能であるならば、国鉄法規定従つて追加予算提出手続をとるべきものと存じます。それをとらずして、いきなり裁定書そのものを、あたかも不承認してくれと言わんばかりに提出するその態度に対して、その不誠意に対しまして、その反労働者的性格に対しまして私どもは断じて承服することができない次第でございます。  さらに十五億五百万円という国鉄経理内容について、経理能力の範囲内において支出し得る金額は、時あたかも年末給与について、国鉄以外の一般労働者、ことに公務員の年末手当支給に関する要求等と相からんで、あたかもこの十五億五百万、すなわち一人当り三千一円という政府支給は、十分裁定の趣旨を尊重して、国家財政の苦しい中をこれだけ出してやつたのである。こういうふうに一般国民に響きを与えて、単に労組を欺瞞するのみならず、一般国民をも欺瞞し、公労法精神を蹂りんするものであると思うのであります。何となれば裁定書にも明かである通りに、この四十五億を支出すべしということは、もしかりにこの四十五億全額が支給されましても、これは決して年末手当的な性質のものではございません。これは七月以来、国鉄従事員が特に他の一般労働者とは別に、いわば六千三百七円ベース、それよりも一人当り千円下まわつた、切り下げられた待遇で今日までに至つた、その過去の損失に対する補償という性質のものでありまして、たとい四十五億全額支払われたとしても、決して年末手当と称すべきものではございません。同じ日の新聞紙上に、国鉄職員は三千一円、一般職員は二千九百二十円というふうに出されますと、国鉄職員は非常な優遇を受けているかのごとき錯覚を生ずると思います。これすなわち労組を欺瞞するものであるのみならず、一般国民をも欺瞞する、実に巧妙ではあるけれども、卑怯なやり方であると私ども思います。さらにもし裁定書内容尊重をするならば——この裁定書では賃金ースは当分引上げない、当然十月十二日の調停のごとく八千五十八円に引上げらるべきであるけれども、あるいは八千四、五百円に引上げらるべきではあるけれども、いやしくも政府の責任ある行政府——現内閣が実質賃金制という強い施策を持つておるということであり、また現在の諸般の経済情勢にかんがみて、当分これを引上げないということにいたしておりますが、この点については、この裁定の下された当時は、他の一般公務員に対する給与ースの引上げについても、いまだ人事院勧告のなされなかつた時代のことであり、その後十二月四日に、この点について引上げらるべきことの勧告が、政府及び国会になされた実情にかんがみまして、すみやかなる機会において、政府及び国鉄は、国鉄職員賃金ベース改訂する努力をしていただきたいと思う次第でございます。  以上述べましたように、公社及び組合の従事員は裁定の線に沿い、また八月以来の労使双方の紛争処理にあたつて、終始一貫公労法規定に準拠いたしまして行動をして参りました。その点に対する遵法精神を賞讃すべきことについては、大橋委員も口をきわめて申されました。しかるにもかかわらず、政府公労法精神を蹂りんいたしまして、単に国会承認を求めて、その不承認議決を得ることによつて裁定書内容とするところの、四十五億支給の大部分を無効に帰せしめるがごとき結果を来さんとしておるということは、はなはだ心外である次第でありまして、かくのごときは、せつかく組合紛争処理最後的な決定を、仲裁委員会にゆだねるにあたつてとつたあの悲壯な態度、もし仲裁委員会が、四十五億全額支給できない、そんなものは全然一文も支給できないと判定されましても、労働者の遵法精神を発揮して、公労法規定に準拠し、これをのまなければならないのである、毒を仰いで死んでも、法は守るという、悲壯なソクラテスにも匹敵すべきその遵法精神にかんがみまして、公社は極力これを努力して、成規手続とつた。そのとつ手続を全面的に排除して、そうして予算はゼロである、どうにもしようがないというふうにやつて来る政府当局の態度に対しましては、政府みずからの規定したところの、この公労法精神を根底から蹂りんするものであり、さようなことになりましては、法は最小限度の道徳でありますが、その最小限度の道徳も政府みずから躁りんするということになりましては、道義の頽廃世をおおうという、悲しむべき結果を来すことは当然であります。かくのごとくいたしましては、せつかく健全に発達して来たわが国労働運動全体、単に国鉄労働運動のみならず、労働運動全体が、再び過去の終戦直後の混乱した行き過ぎの労働運動に逆もどりをし、労働運動が非合法化するという危険が十分にあるのでありましてこの点につきましては、仲裁委員長も認められておつた次第であります。そうなりますと、将来わが国労働運動の悪化について、これを仲裁委員会としてどう処置したらよいか、責任が持てないから、その職にとどまつていることもできないとさえ、わが党の川崎議員の質問に対して、明瞭にお答えになつておる次第でございます。労働運動を悪化せしめ、仲裁委を破壊して、一体今後のわが国労働運動がどういう展開を示すかは、思い半ばに過ぐるものがある次第でございます。そういうやり方をするならば、菊川副委員長も明瞭に指摘したことく、いかなる事態の発生も、その責任はあげて政府にある。これは共産党の委員諸君は、土橋一吉君初め、この菊川副委員長の発言に対して、拍手喝采して、そうだそうだと呼応したではないか。かくしては、この政府裁定尊重せざる無謀なやり方は、結果としては共産党の勢力を拡大することになる次第であります。従つて政府及び民主自由党諸君は、悪意はないかもしれないけれども、結果としては、共産党とぐるになつてわが国労働運動の将来を無軌道の線に追い込むことになるのでありますが、それではたしてよろしいのであろうか。政府民主自由党及び連立派と称する諸君は、常に防共ということを言つているけれども、こういう政府のでたらめなやり方は、結果としては興共になるおそれがあります。共産党を興隆せしめることになるではないか。そういうやり方をするならば、現在の日本が置かれている国際的な立場からいたしまして、去る第六国会の施政演説に総理大臣は、いわゆる講和条約の有利なる締結は、国内における民主主義の確立であり、外国に対してわが国が真に責任ある政府を持つているという印象を強く与えることである、こう申しておりますが、こういうようなやり方で、はたしてそういう印象を外国に与えることができるか。菊川副委員長も報告をいたした通り、アメリカのAFL及びCIOにおきましても、公共企業体労働関係法が初めて適用になるところのこの案件について、非常な関心を持つて注目をしている際に、政府のとつているそういう法規違反の行為、この精神蹂りんの行為は、断じて私どもの許すことのできない状態でございます。この点から野党連合の線に沿い、またわが民主野党派の独自の見解に従つて、本案に対して賛成し、政府の態度に反対の意を表明いたす次第でございます。
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 春日正一君。
  9. 春日正一

    ○春日委員 日本共産党を代表いたしまして、国鉄仲裁委員会裁定金額を全額支給すべし。つまりここに出された議案承認ということについての討論を行います。  大体この問題は、九千七百円に賃金ースを上げてもらいたい、それから年末賞与を一箇月分もらいたいという国鉄労働組合要求に端を発して出て来たものでありますけれども、この要求が、国鉄従業員の非常に苦しい生活を、何とかして緩和して行きたいという最低の要求であるということは、国鉄組合も言つているし、私どもも認めざるを得ないところであります。たとえば東神奈川の鉄道従業員が私のところによこしました報告を見ますと、この人は本人、家族とも五人で暮しております。本俸七千八百円で手取り一万円、大体このくらいな収入をとつておりますけれども、十月には生活費としての支出が一万三千九百九十八円七十五銭というそろばんを出しております。十一月には一万四千七百二十五円六十銭ということになつておる、つまり月々三千九百円ないし四千七百円という赤字の生活をしておる。その他の部分につきましても、労働組合の調査によりますと、大体月々二割から三割の赤字の生活をしておるという結果が出ております。こういうわけで、この要求というものは、自分たちが働く、労働力の再生産にとつて必要欠くべからざる最低のもの、これを出しておるにすぎない。しかるにこの仲裁案を見ますと、賃金の引上げの要求も、年末賞与一箇月の要求も、お預けになつておる。そうして、ただ七月以降国鉄に特有な待遇の切下げ、これによる損害の六十億の、大体八〇%に当る四十五億を補償してやれというにすぎない。従つてこの四十五億というものが、完全に支給されてみたところで、これで国鉄従事員の労働力が保護され、そうして十分働ける状態になるというような性質のものではないのであります。たとえば最近新聞に出ておる分配を見ましても、最高五千円云々といつておりますけれども、これが団体交渉でどうきまろうとも、この三千一円というものが職階級によつて割当てられるならば、下の方で働いておる多くの労働者諸君は、実際には二千円あるいは勤務の浅い者なら千二、三百円ということになる。これから二割税金を引かれると、一体幾ら残るか。今の世の中では少し年の大きな子供なら、十円札をやつたつて、ありがたい顔をしないような世の中である。こういう世の中に、年末だから、今まで削減されて米た代償だからというので、千円や千五百円やつてどうなるか。この実情をよく考えてもらいたい。しかし裁定委員会としては、給与を上げるという必要は認めておるけれども、実際何とかとつてやらなくてはならぬという趣旨で、どこへ出してもこれだけは何とかなるという確信を持つて、最低の四十五億というものを出して来ておる。だから仲裁委員会の苦労というものもわかりますし、非常に少額な金にすぎないということはよくわかる。ところが政府は、これすら拒否しておる。予算上、資金上、こう言つておる。政府予算上、資金上出せない。そうしてわれわれの質問に対しても、結局政府の説明は、予算上、資金上ということ以上一歩も出ない。それ以上詳細な説明というものをわれわれは受けられなかつた。しかしわれわれが常識で考えてみて、また仲裁委員会もはつきり言つておるように、民間では首切り資金の融通をやつておる。これは三原則に違反するものでないという。ところが池田大蔵大臣に言わせれば、民間でそういうことをやつておるということは聞いておりますけれども国鉄の場合にはできませんというような答弁を、昨日もしておられた。しかし、一体あの民間で首切り資金の融通をやるとかどうとかいうようなことは、国の経済政策として、財政政策としてやられて行くものとマツチして行われておる。決して日銀総裁の一存とか、帝銀の頭取の一存でやつておるものではなく、首切り資金の融通というものが、結局事業の合理化のためには必要であるという見地からやつておる。するなら、公社としての国鉄に対して、首切り資金の融資ができないはずはないという、仲裁委員会の見解は正しいと思う。これに対しては、政府諸君も何とも言えないはずである。しかもそういう措置をとれば、とにかく首切り資金が不足して、石炭代から三十七億円出しておるのだから、この三十七億の首切り資金を融資してやる措置をとれば、三十七億というものは浮いて来る。それに今出ておる十五億というものを出せば、裁定案は楽にのめるはずである。ところがそれすらやろうとしない。このやり方をもう一度考えてみますと、石炭代の節約その他についても、国鉄従事員諸君も非常な協力をしておるということを加賀山総裁も言つておるし、あるいは菊川君も言つておる。労働者犠牲によつて生み出されたものが相当入つておるところのこの三十七億というもの、これを労働者を首切るというしりぬぐいのために使つておいて、現在それらの条件の悪化によつて生活が破綻しておるという労働者に、先ほど来申しましたように、最低にも足らないこの四十五億というものの支出を、予算上、資金上出せないという政府の態度というものは、これをはつきり言うなら、とにかく犠牲労働者に加えろ、もうけるものは資本家にくれてやるという態度以外の何ものでもない。こういう政策のために、今労働者生活が破綻しようとしておる。従つて、少くともこの裁定案に盛られておるところの四十五億の支出というもの、今国会で論議になつております二十九億九千五百万円というものは、これは当然国会承認を与へ、即座に支出すべきものであると思う。  そこで、第二番の問題としては、この公共企業体労働関係法の十六条ということをたてにとりまして、政府は今度の態度に出て来ておりますが、しかしこの法律の成立のいきさつを考えてみますと、御承知のようにマツカーサー書簡でもつて公共企業体労働者あるいは公務員は公務に服するものであるから、ストライキというようなことはやらしてはならぬということで、この公労法が出て来ておる。しかしマツカーサー元帥は、そのあとに、民間労働者、一般の労働者の水準に劣るようなことのないように、十分保健、福祉、生活の面でのめんどうは見てやれということを、つけ加えておるはずである。そしてこの法律が出たときに、私ども共産党としては、労働者に与えられた罷業権を剥奪するということは、明らかに人権の蹂りんであり、憲法の違反であるということを主張した。ところが当時の与党の諸君はどう言つたか、なるほど罷業権は奪うけれども、しかしこの公共企業体労働関係法の中には、この罷業権を奪うにかわるべき保護の規定があり、調停があり、仲裁がある。しかもこの仲裁は最終決定として両者を拘束するのだから、決して労働者だけが片手落ちにいじめられるのではないということを強調したはずである。しかるに昨日あたり、大屋運輸大臣なんかの答弁を聞いておりますと、この十六条をいかように解釋しようとも、これは政府の自由であるというようなことを言つておる。そういうことになりますれば、ほかの条文がいかにりつぱにできておろうとも、いかにりつぱなる仲裁ができようとも、この十六条一本によつて政府は何ら拘束されないということが保障されて来る。従つてこの公共企業体法が今のような形で運用されるということになると、たとえば今度の場合は、金を出せという裁定であつたから、十六条が発動されて、ここで否決するかしないかということが問題になつておるけれども、首を切れというような裁定、あるいは賃金を下げろというような裁定が出た場合、もちろん政府予算上、資金上、不可能という問題はないわけであるから、これには問題はない。同時に労働組合として、この裁定に対して抗弁する何らのものも残されていないということになれば、明らかに、この十六条の今の政府のとつておる態度によつて公共企業体労働関係法は、マツカーサー書簡による労働者保護の立法でなくして、労働階級を抑圧し、拘束する法律である、政府は何ら拘束されない法律であるということを断言し得ると思う。ここに公労法の本質があると思う。もしそういうことになつたら一体どうなるか。政府はこれを国会に裸で提出して、国会承認不承認を求めると言つておる。国会承認されれば、予算的な措置は組まなければならぬと言つておる。そういうことになると、公労法を生かすか殺すかということは、この公労法をつくつた国会の責任にかかつておるということがはつきりと言えると思う。ここでもしもわれわれが、これを不承認にするならば、政府残余の額を出さないということの責任は、あげて国会に転嫁される。国会はみずから法律を組みながら、しかもみずからその十六条の解釈によつて労働者に不利な判定を下したということになる。そうなるとこれは、政府としては非常に都合がいいけれども国会としては非常に迷惑しごくのことだと思う。そこで私がこの際言いたいことは、公共企業体労働法に諸君が賛成したとき、いろいろ陳弁されたように、ほんとうに労働者を保護する法律である、マツカーサーの書簡に基いて保護する部分が主であるということになるならば、ここでこの十六条の解釈というものは、政府予算をつけて出すように、国会承認を与えてやることが主であるというように解釈して、これに全面的な賛成を与えるべきであると思う。そうすることによつて国会の権威も守られるし、また法の権威も守られるということになる。もしもわれわれがここでこの議案不承認を与えるようなことになるならば、先ほど来申したように、現在労働者生活が破綻し、赤字になつておるという状態において、労働階級が生きるための闘いは、どうしてもこういうものにかかわらず、闘わざるを得ないような方向へ行くということが考えられる。そういう事態なつた場合の責任というものは、あげて政府とこれに賛成する諸君の責任であるということ、この点ははつきりくぎをさしておく必要があると思う。そういう意味で(発言する者あり)——諸君は気楽なことを言つているけれども、しかし労働者生活が赤字であるという事実——政府の言つておることは、企業の赤字は大きい声で言う。労働者生活がそれ以上赤字であり、破綻しておるということについては、口をつぐんで一言も言つていないけれども、しかし一体企業は何のためにやるのか。結局政治といい、経済といい、国民が生きるための道具にすぎないのだということになれば、労働者がまさに生活が破綻して、日々死んで行つておる、なしくずしに殺されておるこの状態を救うということが、国会の最大の任務でなければならないと思う。国会の権威を守り、法の権威を守るために、民主自由党諸君といえども、もう一度考え直して、この裁定を全面的に承認されることを特に私は希望しまして、共産党の討論を終りといたします。(拍手
  10. 倉石忠雄

    倉石委員長 島田末信君。
  11. 島田末信

    ○島田委員 私は民主党の連立派を代表いたしまして、ただいま議題となつております裁定案中、国会に付議されたる部分に対しまして、先ほど民主自由党を代表いたしまして、附帯条件付の不承認論を述べられましたる大橋君の説に同調するものであります。  連日のこの問題に対する質疑応答におきまして、私は大屋運輸大臣並びに池田大蔵大臣、さらに加賀山国鉄総裁等の答弁中、十五億五百万円という可能部分に対する支出が、裁定案の趣旨を尊重したる最善の努力を尽した結果であるということを、了承するのであります。さらに残余部分に対する予算措置につきましては、今日の国家財政の現状においては、まことに至難であるということも一応了承するのであります。ただこの際一つ宿題に思つておりますのは、国権の最高機関である国会が、裁定案を不適当なりとして、財政上の余裕の有無いかんを問わず、不承認をした場合におきましては、全面的にその残余部分に対して免責されることは、もちろんであると考えるのでありますが、もし裁定案の趣旨は大いに尊重するが、財政上これが許されないために、不承認であるという場合には、はたして法律論的にも免責されるかどうか、これは一応もう一歩検討する必要があるのではないか、かようにも考えるのであります。一歩譲りまして法律論的な解釈は別として、少くとも国会裁定案の趣旨を尊重する建前から出発した以上は、この残余の額に対しましては、政治上の責任は負わねばならぬのじやないか、かようにも考えるのであります。そこで先般の国会において、院議として裁定案の趣旨を尊重して最善を尽すということを決議いたしましたる以上、私は今後国鉄が十分その目標とする独立採算制を確立して、公社側、組合側一体となつて大いに業績をあげるとともに、そのあげられた業績の中から、今日の残余額に対して何らかの形で、大いにその趣旨を実行するという建前で進んでいただきたい、かように熱望するものであります。  以上簡単でありますが、すべては大橋君の述べられた説によつて十分でありますし、また連日の質疑応答中、速記録において十分と存じますから、右わが党の精神をここに明らかにいたしまして、附常条件付の不承認論を述べた次第であります。(拍手
  12. 倉石忠雄

    倉石委員長 石田一松君。
  13. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は新政治協議会を代表いたしまして、今回政府より提案されましたところの「公共企業体仲裁委員会の別紙裁定中、十五億五百万円以内の支出を除き残余について公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定により、国会議決を求める。」というこの案件に対しまして、仲裁委員会裁定事項の第二項に記載してあります「公社総額四十五億円を支払うものとする。」という四十五億円から、政府が数字を示しましたただいま申し上げた十五億五百万円を差引きましたその残余の額についても——すなわち四十五億円を総額政府承認すべきものであるという意見を述べまして、その一部を今国会で葬り去ろうとする、すなわち政府に免責の言質を与えようとしておることにつきまして、いささか所見を述べて反対したいと思うのであります。  過日来本会議あるいは委員会等におきまして、政府当局に対していろいろと説明を求めております。昨日の合同審査におきましても、私は政府当局から二、三の重要なる点の御答弁を得ておるのでありますが、その点に関しましては、この残余部分について、附帯条件をつけて不承認討論をしておられます政府与党であるところの民主自由党の、この附帯決議などというものは、まことにこれは労働者を欺くもはなはだしい、幼稚な欺瞞であります。昨日私は、運輸大臣並びに法務総裁に対してとの点ははつきり質問をいたしまして、法務総裁は明らかに、第三項、第四項は、たとい政府提出したこの案件によつて、その残余不承認なつたあかつきでも、当然に効力を存続しており、当事者双方を拘束するものである。こういうことを申されておるのであります。しかもこの第一項の末尾にありますところの「経理上の都合により職員が受けた待遇の切下げは、是正されなければならない。」この第一項の末尾も、もちろん第三、第四項と同じ性質を有する内容でありますので、これも今回の議案残余の額が、国会において不承認となりましたあかつきにおいても、これは当然、効力を存続し、当事者双方を拘束するものであります。だといたしますと、ただいま民自党側がつけました附帯決議というものは、すでに昨日政府解釈においても承認をしておることを、いまさらここに附帯決議をつけて、われわれはこれだけのことをしたという一つの欺瞞的な、幼稚なトリツクであるという以外の何ものでもないのであります。私はここにこの問題がかく紛糾し、かく論議がわかれる、しかも政府与党並びに野党側において、公労法解釈の点におきまして、まことに正反対とも見えるような解釈意見の対立が生ずるということは、少くともただいま労働大臣をしておられる鈴木さん、あるいは今政府委員として出席なさつておる賀來さん、この人たちは現に本法が昨年の十一月二十日ごろでしたか、立法当時審議の過程において、直接これに参画をされておるのであります。しかも政府を代表して答弁をされておる立場でありますが、これを審議した委員の怠慢というのか、見落しというのか、この三十五条の但書と十六条の関連においての質疑応答というものは、速記録を見ましても、ほとんど発見することが困難なのであります。ただこの点に関して、賀來政府委員が明らかに、この三十五条に言うところの仲裁委員会裁定なるものは、これは行政官庁の最終的決定であつて、これは当事者双方を拘束するものである。但し裁判所の裁判権を阻害するものではない。こういう説明を一言なされておる速記録を見ることができるのであります。私はかかる点から考えまして、立法論的には、この公労法の三十五条の但書と十六条の関連において、まことに不備きわまるものがあることを指摘しなければならないと思うのであります。しかもこの不備が、現内閣のいわゆる第二次内閣のときにこれが立法され、審議され、法制化されたということに至りますと 私たちはことさらに臆測をたくましくするものではありませんが、むしろこの公労法は、一方において十七条で、この公共企業体に従事する労働者諸君の、憲法に認められた権利であるところの争議権というものを剥奪し、その代償としてといいますか、仲裁委員会の制度を設けて、苦情あるいは不平、不満等の紛議を処理する。こうした一つのえさを掲げて、しかも今いざ実際に解釈するというときになりますと、何らこの仲裁委員会裁定なるものが、最終的決定でないという今回のような結果になつて来ますことは、まことに遺憾であると私は思うのであります。しかも解釈論におきましても、私はこの法の精神ということから考え、第一条に明記してありますところの本法律の目的という観点から考えてみましても、少くともこれは公共企業体における労使の紛争というものを事前に予防し、あるいはもし紛争が現実に起つた場合に、これを平和的に解決する、この大きな題目を持つておる。すなわち職員のいわゆる労働争議というものの権利を一応停止するとともに、一方救済をするという大きな保護を含んだ法律である。こう解釈すべきであります。私は政府関係当局が今回の裁定案の問題に対して、冷たい、いわゆる字句の解釈のみに終始いたしまして、この法の大精神であるところの、労働者諸君を保護する、救済するという立法精神を没却して、ただ単に表面に出た字句を解釈すれば足りるという態度をもつてされるということに関しましては、まことに遺憾であると思うのであります。しかもこの問題こそは、本年六月一日から実施された本法律の、まず最初の解釈の適用の問題でありますので、慎重にいたさなければならないはずであるのに、政府は与党の多数をたのんで、これを一方的に自己に有利に解釈しようとしたうらみが、なきにしもあらずであります。しかも私の明らかにここに指摘いたしたいと思いますのは、三十五条の但書によつて十六条に帰るといたしますと、この十六条にある協定という文字は、すべて裁定と読み直さなければ、全然解釈がつかないということになるのであります。そこで私はこれを裁定と読み直すということにいたしまして、第二項の但書以下「国会が閉会中のときは、国会召集後五日以内に付議しなければならない。国会による承認があつたときは、この協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生する」とありますが、これを裁定と読み直す場合には、実際的には——この間これを国会提出した。二日目に提出して、残つた三日間に事案協定がなされた場合—この協定にある日付が記載されているにもかかわらず、裁定と読み直すために、もし国会がこれを事後承諾の形で承認した場合には、仲裁委員会裁定をしたその裁定書の日付にさかのぼつて仲裁委員会裁定が効力を生じ、一方においては、かわつた日付の協定がなされておるというような、実に不合理きわまる、実際においてはどう処置をしてよいかわからない結果が起きて来るのであります。しかも私は、この法律の十六条の条文を静かに読んでみますと、国会仲裁委員会裁定承認した場合という意味を、何らこれは含んでいないということであります。私は昨日も政府当局に質問したのでありますが、いわゆる既定の公共企業体予算上、資金上、支出の可能な仲裁委員会裁定があり得るかという質問をいたしましたところ、理論的にはこれはあり得る、また実際問題として初めてのことであるから、具体的な例は示されないと労働大臣はおつしやつたのでありますが、少くとも経済問題等に関する、いわゆる労働組合国鉄当局との間の紛議におきまして——おそらく仲裁委員会裁定する紛議において、現在の既存の公共企業体予算上、資金上、支出可能な資金の面でこれが裁定されるということは、実際問題としてはあり得ないと私は思うのであります。これはすでに予算を組んで、これこれのものはこれだけでいいと確定された予算であり、またもし固定された資金であるとするならば、この範囲を必ず仲裁委員会裁定なるものは越えるものである。そこでこの越える部分支出も禁止しているのではありません。この十六条は、その支出をする場合の、支出の時期についての手続的な規定である、こういうふうに私は解釈しておるのであります。すなわち裁定が既存の予算上または資金支出が不可能な内容を含んでおる場合には、この裁定を下され、あるいは十六条の本然の姿のまま協定がなされたとしても、それによつて政府がただちに拘束されて、そのままで政府予算あるいは他の財源を見つけて来て、この支払いをするという拘束はないのだ。すなわちそのことによつて、ただちに政府に支払いの義務を負わせるものではない。但しこれは国会承認を求めて後に、この支払いを開始していい、こういうふうな規定であると私たちは解釈するのであります。にもかかわらず、政府当局は強引に、この十六条の第一項、第二項にいうところの国会の所定の行為であるとか、国会承認という言葉で、その裏には国会承認するか、あるいは不承認するかは、国会の自由意思であるというように、保護の規定を、ことさらに一般規定と同じような冷たい解釈をいたしまして、労働者諸君主張をここに強引に排除するという態度は、先ほど来各委員からの討論がございましたように、今後の日本労働組合にとつて、まことにこれは悲しむべき政府の態度であると言わなければならぬと思うのであります。しかも私はこの問題に関しまして、政府がみずから、これは既存の予算、あるいは資金の上においては、かくかくかくかくの予算上、資金上の数字を示して、この理由によつて支出が不可能な内容である。但し公共企業体が支払いしようとしておるところの十五億五百万円というものは、これだけは支出支弁できるけれども残余の二十九億九千五百万の額は、これこれしかじかの理由によつて、既存の予算資金では絶対に不可能であるという数字を明らかに示して説明をし、しかも日本財政的な見地から、財源あるいは予算の操作等の数字を明からに示して、この点で新たなる補正予算あるいは追加予算を出すことは、これはかくかくの数字によつて証明するごとく、これで不可能なのである。これを要するに、具体的な予算的、財政的な数字による説明も、資料も与えずして、ただ大ざつぱに、裁定中十五億五百万円以内の支出を除き、残余について公共企業体……こういう議案として国会に出されたことは、昨日来議論になつておるように、少くともこの仲裁委員会裁定には、国鉄当局から政府に対して、この裁定精神内容を履行するための、いわゆる予算的数字、金額を具申し、提出してある。それによつて政府は財源を見つけ、あるいは財源が見つからなければ その理由を明記して、これをこの裁定書とともに国会提出して審議を求めるというのならば、まことにこれは堂々として、その点に何ら一点として非の打ちどころはないのでありますが、そうした明らかな事実の証明に供される資料も提出せず、予算提出せず、こうした大ざつぱな観点で、ただ裁定書のみを最初に出して、これを公共企業体労働関係法の十六条二項の規定に基いて、国会議決を求めるというような体裁で、出しまして、しかも政府はこれどをうしようとするのかと質問すれば、国会の御意思で御自由に承認でも、不承認でもしてくだされ、こういうような態度をとつておる。しかももしこれを、自分たちの与党が多数であるから、この多数に意を含めておいて、不承認とすれば、結局政府は何ら拘束をされない。こういうふうな甘い考え方で、まるで国会を無視した、多数ならば、どんな不法不当なことでもなし得るのだというような態度で、この案件に対して臨んで来られた政府の態度というものは、少くともそこにいらつしやる各政府委員以下お若い方々の、いわゆる政治良心を持つていらつしやる方々の、私の言うことは相当痛いところをついておると思う。私は現在日本が置かれておる客観情勢を絶対否認するものではありません。肯定しております。しかしながら少くとも実施されておるこの法律解釈する場合に、もちろん占領治下という一つの——いわゆる財政的にはそういう問題もあるでしようが、法律解釈論的には、占領治下にあるから、それで結局これこれが不可能であるから、この法律はこう解釈するというふうに、曲げて法律解釈されるということになりましたならば、私はこれはまことに矛盾もはなはだしい結果を生ずるものであると思う。なぜかならば、公共企業体労働関係法なるものの提案理由の中に、「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基き国有鉄道事業及び専売事業を公共企業体の事業とするのに伴い、公共企業体とその職員との間の労働関係を規律する制度を確立する必要がある。これが、この法律案提出する理由である。」すなわち昨年政府がこの公労法国会提出いたしましたのは、連合国最高司令官の書簡に基いてお出しになつた。この法律を、現在日本が最高司令官の占領下にあるからといつて、これをあまりに政府に有利に曲げて解釈をするということがもしあつたとしたならば、私は最高司令官の名前をもつて最高司令官の命令を葬り去ろうとするような、実に矛盾撞着のはなはだしい結果になると考えるのであります。少くとも私は政府の今回の措置は、日本の現在健全な発達を遂げる過程にあるところの労働組合を、昨日末弘博士のおつしやつた通り、また再び破壊的な労働組合、非合法的な組合運動にまで押しやることがなければ、まことに幸いであると思うのであります。  こういう観点からいたしまして、私はまず討論の最初に述べましたように、今回政府提出した本案の残余についても、すみやかに政府はこれを支払うべまである。裁定案の第二項の四十五億全額を支出する義務を公共企業体は負い、この公共企業体予算的、資金的な措置においてこれが不可能ならば、その具申を求めて政府はみずからその予算国会提出をしてこの承認を求め、この裁定によつて課せられたる義務の履行をしなければならぬものである。こういう観点に立つとともに、ただいま与党側より提出されておりますところの、いわゆる附帯決議だか、ごまかしだかわからないような、あんなものをつけなくても、当然に昨日の政府の言明によりまして、これは効力は存続しているものである。こういう意見を私は述べまして、ただいま最初に申し上げました通りに、今政府が、残余について公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定により国会議決を求められたこの議決は、残余についても総額を支払うべしという態度を表明するものであります。(拍手
  14. 倉石忠雄

    倉石委員長 討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。念のため申上げますが、本件は仲裁委員会裁定金額のうち、十五億五百万円以内の支出を除き、残余につき公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定により、国会議決を求められた案件であります。本件を承認するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  15. 倉石忠雄

    倉石委員長 起立少数であります。よつて本件はこれを承認すべきものでないと決定いたしました。  この際大橋武夫君より提出されました附帯条項について採決いたします。この附帯条項に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  16. 倉石忠雄

    倉石委員長 起立多数。よつてこの附帯条項を付することに決定いたしました。  本件の報告書の作成については、委員長に御一任を願いたいと存じますから、御了承をお願いいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後一時一三十五分散会