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1950-02-17 第7回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十五年二月十五日(水曜日)委 員長の指名で次の通り選任された。    主査 池田正之輔君      岡村利右衞門君    小淵 光平君       坂田 道太君    松野 頼三君       山村治郎君    稻村 順三君       村瀬 宣親君    深澤 義守君       今井  耕君     ————————————— 会議 昭和二十五年二月十七日(金曜日)     午前十一時七分開議  出席分科員    主査 池田正之輔君      岡村利右衞門君    坂田 道太君       松野 頼三君    山村治郎君       深澤 義守君    今井  耕君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         農林事務官         (大臣官房長) 平川  守君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     伊東 正義君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (農地局長)  山添 利作君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         農林事務官         (蚕糸局長)  最上 章吉君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         林野庁長官   三浦 辰雄君  分科員外出席者         農林事務官   金城 順隆君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計予算農林省所管  昭和二十五年度特別会計予算農林省所管  昭和二十五年度政府関係機関予算農林省所管     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  この際審査方針についてお諮りいたします。本分科会昭和三十五年度一般会計予算昭和二十五年度特別会計予算及び昭和二十五年度政府関係機関予算農林省及び通商産業省所管審査に当ることに相なつておるのでありますが、今日は午前、午後を通じて農林省所管審査を行い、明日は通産省所管審査をいたしたいと思いますが、このようにとりはからつて異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田正之輔

    池田主査 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。  それではこれより昭和二十五年度一般会計予算昭和二十五年度特別会計予算及び二十五年度政府関係機関予算農林省所管を議題として審査に入ります。まず政府説明を求めます。農林大臣より説明を伺い、細部にわたつては各局長より御説明を願うことにいたします。
  4. 森幸太郎

    森国務大臣 農林省所管にかかります予算の内容について説明いたします。詳細はお手元に原案を出しておきましたので御検討をいただいたことと存じますが、二十五年度の農林省所管予定経費要求額は、一般会計におきまして二百九億二千八百九十八万円であります。これを前年の当初予算の二百十四億五千四百三十一万円と比較いたしますと、五億二千五百三十三万円の減少なつております。二十四年度の補正予算を含めた年間予算総額の四百五十五億四千三百四十八万円に比較いたしますと、二百四十六億一千四百五十万円の減少と相なるのであります。このように二十四年度に比べまして大幅の減少を示しておりますのは、二十四年度補正予算食糧管理特別会計繰入が百七十億九千三百万円、薪炭需給特別会計の繰入五十四億七千万円があるためであります。従つて二十四年度予算年間総額から、これら両特別会計繰入を除いた二百二十九億八千四十八万円と比較いたしますと、二十五年度予算は十四億三千八百五十一万円の減少となり、国の一般会計予算要求総額減少一一%弱に比べますと、六%強の減少にとどまつておるのであります。  なお二十五年度は、シャウプ勧告によりまして、若干の補助金地方財政平衡交付金に吸収されましたし、森林害虫駆除関係公共事業費から一般会計に組みかえられ、また国有林野事業特別会計独立採算の見地から、従来同特別会計に計上されていた林業試験場費及び国有林治山事業事務費一般会計に組みかえられ、また第一水産講習所関係経費は、所管がえによつて文部省の予算に組みかえられる等、予算の組み方に若干の変動があつたわけであります。  これらの予定経費要求額は、お手元に差上げてあります予定経費要求書に定めるところに従い、部款項目節に区分して支出する予定でありますが、その重要な事項について説明いたしますと次の通りでおります。  第一に、わが国民経済の復興と安定への要請上、何と申しましても緊要欠くべからざるものは、食糧事情の安定でありまして、これがため一般会計におきましては、食糧増産関係に六十二億九百四十八万円、食糧供出関係に三十六億九千二百九万円を予算いたし、これらを合せますと、一般会計予算要求額の四七%弱に達し、農林省といたしまして、全力をこの点に傾倒しておるわけであります。なおこのほか食糧管理特別会計におきましても、食糧事情の安定上三百四十万トンに上る食糧輸入を予定いたしております。  食糧増産関係六十二億九百四十八万円については、このうち農政局に二十三億六千九百二十五万円、動植物検疫所に五千九十五万円、肥料検査所に一千八百八十四万円、農薬検査所に六百三十五万円、ばれいしよ原々種農場に九千百七十一万円、農業改良局に六億八千五百六十一万円、畜産局に八千三百七十二万円、種畜牧場に二億七百七十四万円、食糧庁に二十六億九千二百一万円を予算いたしたものでありまして、二十四年度の三十三億九千四十一万円に対し、一億六千七百六十八万円減少しておりますが、一般会計総額に対する比率におきましては、二十四年度の一四・七%から一五・四%と多少増加し、大体において二十四年度の規模を踏襲しております。  この経費は申すまでもなく、食糧の増産をはかり、農家経済の安定とわが国経済の復興を促進いたしますために、農民諸君に対するこれが適切なる指針を與え、進歩せる農業技術の普及、優良なる種苗の確保、農業用諸資材の適正なる配給確保等事業を行いますとともに、農業経営に甚大なる影響を及ぼす天災や病虫害等に対する対策といたしまして、共済保險制度を実施するための経費であります。食糧増産関係六十二億九百四十八万円のうち、農業共済保險制度を実施するための経費が一番大きく四十七億七十七万円を占めておりまして、特に二十五年度は二十四年度における麦の被害の実情にかんがみ、異常災害が発生した場合の支拂い基金として、農業共済保險特別会計に繰入れる経費九億一千五百二十万円を要求いたしております。このほか食糧増産関係で二十四年度とかわつております点は、第一に單作地帶対策に力を入れまして、二十五年度は北海道のみならず、東北、北陸等寒冷單作地帶の稻作を安定し増産をはかりますために、水稻保温折衷苗代水稲温床苗代及び紫雲英採種圃設置に要する経費の補助二億四千七百九十一万円を要求しております点と、第二に二十四年度補正予算で成立しました病害虫の防除を本格的に実施することにいたしました点、第三に農業改良普及員を二千五百名増員いたしまして進歩せる農業技術の普及をはかりました点、第四に優良種牡畜利用拡大をはかり、家畜の改良増殖を促進いたしますために、新たに人工授精施設に必要な経費を要求いたしました点等であります。  食糧供出関係経費は三十六億九千二百九万円でありまして、このうち農政局に計上されてあります十五億九千二百四十五万円は、主要食糧の生産及び供出を確保するために、農業調整委員会の運用によつて、生産及び供出数量事前割当補正割当等を行い、それに必要な諸資材の計画的割当等農業計画を樹立、実施するための経費であり、農業改良局に計上されてあります一億一千六百六十六万円及び作物報告事務所に計上されてあります十九億七千三百六十万円は、右の農業計画に必要な耕地面積作付面積、予想收穫高、推定実收高、地方調査等の諸調査を行うための経費でありまして、二十五年度は特に農作物被害状況を明らかにし、補正割当を適正にするために、新たに被害調査を実施することにいたしております。このほか食糧庁食糧管理に関する諸調査に要する経費九百三十七万円を予算いたしております。  食糧供出関係経費は、二十四年度の四十一億三十四万円に比し四億八百二十五万円減少しておりますが、これは、主として農作物調査に要する諸経費の節約によるものであり、また市町村農業調整委員会が八月から農地委員会と合体いたしまして、農業委員会となります関係上、委員会の数を農地委員会に合せて減らしましたため若干減少を見ております。  次に農地改革のために三十億六千五十万円、このうち二十九億九千三万円を農地局に、七千四十七万円を農地事務局予算いたしております。この経費は申すまでもなく農地解放についての残務及び経理事務の促進、牧野の解放、並びに開拓事業のための未墾地の取得、売渡し事業を行う経費でありまして、既墾地及び牧野関係に二十四億五千三百六十三万円、未墾地関係に六億六百八十七万円を予算いたしております。二十四年度の農地改革費三十九億七千八百七十七万円に比し、二十五年度は九億一千八百二十七万円を減少し、総体の比率におきましても二十四年度の一七%から三%弱減少しておりますのは、農地改革事業も大体において一段落に達し、所期の目的を着々達成したことによるのでありまして、農地改革実行の第一線の末端機関であります市町村農地委員会も、二十五年度からは書記二名を一名に減じ、八月から市町村農業調整委員会と合体し、農業委員会として発足するわけであります。  次に開拓事業のために十九億一千六十三万円。このうち農地局に十六億六千二百八十二万円を、農地事務局に二億四千七百八十万円を予算いたしております。もつとも開拓事業につきましては、所管外ではありますが、後に述べまする公共事業費に五十一億八千三百二十九万円を要求いたしてありまして、一般会計ではそれに要する事務費と入植及び営農に関する適切なる指導に要する人件費その他の諸施設に要する経費が要求されておるわけでありまして、そのほか開拓者資金融通特別会計におきまして、入植者営農資金及び共同施設資金を十一億八千九百八十万円融資することになつておりますが、その貸付資金及び同特別会計の国債、借入金利子の財源として十三億六千五百七十五万円を一般会計より繰入れることとしてあります。  申すまでもなく、国内開拓事業は、食糧増産基本的対策でありますとともに、海外引揚げ農民吸收の適切な対策でありますので、公共事業費における開拓事業費も大幅に増加し、一般会計における開拓関係経費の比重も九%強に達し、農林省として大いに力を入れておるところであります。  次に治山治水のために十一億四千四百六十五万円を林野庁予算してあります。戰時戰後を通ずる山林の過伐濫伐は、年々水害の累増となつて現われております現状にかんがみ、すみやかにこれに対処して、治山治水事業を実施し、国土の保安をはかりますことは、経済復興と民生安定上急務でありまして、保安林制度を整備拡充し、民有林の施業案を普及してその経営を計画的ならしめ、過伐濫伐を防止して造林を奬励するために必要な経費を計上したものでありますほかに、森林の害虫駆除に要する経費治山及び造林事業を実施する公共事業費事務費を見ております。公共事業費におきましては、所管外ではありますが後に述べますように、この関係で四十億の経費が要求してあります。  治山治水関係では、二十四年度の八億七千五百九十九万円に比し、二十五年度は二億六千八百六十六万円を増加しており、総体の比率におきましても二十四年度の三・八%から二十五年度は五・四%と増加し、治山、治水に力を入れていることがわかるわけであります。  次に試験研究及び調査研究のために、十七億四千七百八十九万円。そのうち系統的な試験研究機関による試験研究費を十三億三千四百十万円予定しておりまして、これを農業改良局に一億八百九十八万円、農業研究所に一億四千九百四十二万円、農業試験場に三億五千三百四十六万円、農業総合研究所に二千百七十五万円、農事改良実験所に一億七百六十七万円、蚕糸試験場に一億五千六百四十一万円、家畜衞生試験場に二億二千三百十一万円、食糧研究所に二千五十万円、林業試験場に一億三千九百十五万円、水産研究所に二億六百八十四万円を予算いたしております。  その他調査研究費といたしまして農業改良局に九千七百五十六万円、作物報告事務所に二億五千七百四十五万円、水産庁に四千九百三万円、林野庁に百八十一万円、蚕糸局に三百二十三万円、官房に四百六十八万円、合計四億一千三百七十九万円を予算いたしております。  申すまでもなく、試験研究所及び調査は、技術の発達と経済の進歩の原動力でありまして、わが国のごとく経済の発達の遅れている国におきましては、あらゆる分野において試験研究調査の必要は痛切に感ぜられるところでありますが、わけても零細な生産者が狹小な国土に蝟集し、技術と経済の発展が他産業に比し特に遅れております農林水産業におきましては、その必要性はなおさら大きいのであります。この意味におきまして、試験研究調査は特に重視いたしまして、懸案の試験研究機関整備統合も結論を得まして、二十四年度の十五億八千四百四十八万円に対し、二十五年度は十七億四千七百八十九万円と二億余円を増加し、総体の比率におきましても、二十四年度の六・九%から八・四%と増加しておるわけであります。  次に統制の撤廃ないし緩和は二十五年度予算編成基本方針なつておりますが、農林省関係におきましても、大幅に統制を緩和ないし撤廃いたしまして、統制関係経費は二十四年度の二十五億二千六百八十九万円から七億五千三百八十一万円へと、実に十七億七千三百八万円を減少し、総体の比率におきましては二十四年度の一一%から三・六%へと大幅の低下を示しております。今そのおもなものをあげますれば、物資の需給調整及び物資の割当関係におきましては、二十四年度の五億四千八百八十八万円から三億一千三百四十九万円へと、二億三千五百三十九万円の減少なつており、指定農林物資集荷配給繭及副蚕糸配給割当指定農林物資検査、薪炭の配給統制鮮魚介及び加工水産物集出荷配給につきましては、統制の撤廃を予定して経費を要求してありませず、肥料公団及び食糧配給公団に対する交付金は廃止し、その他統制の全般にわたりまして、その緩和と経費の節減をはかつてあります。  二十五年度において要求しております統制関係経費は、七億五千三百八十一万円でありまして、これを官房に六千五百四十三万円、資材調整事務所に二億四千八百五万円、農政局に一千九百四十七万円、畜産局に五百四十二万円、食糧庁に九千五百三十万円、林野庁に三十二万円、水産庁に六百二十九万円を予算いたしております。  以上申し上げました食糧増産供出関係農地改革開拓事業治山治水試験研究統制関係経費の総額は、百八十五億九百二十四万円に上り、二十五年度一般会計要求総額の八八%強を占めております。右のほか申し落しました一般会計重要事項につきまして簡單に申上げます。  まず輸出関係では農林省水産物輸出入促進輸出品検査のために、官房に千三百三十五万円、輸出品検査所に一億九百八十二万円、合計一億二千三百十七万円を予算いたしておりまして、これは二十四年度の二千三百十四万円に比べまして一億円余の増加となつております。  協同組織関係では農政局に、四千百七十二万円、水産庁に千八百五十五万円、計六千二十七万円を予算し、農漁民の啓蒙と組合役員等教育等によつて、農漁村における協同組合運動自主的発達をはかり、農漁村民主化の促進をはかつております。経費の額については二十四年度と大差はありません。  農村工業及び副業の振興につきましては、農政局に千五百八十六万円、農村工業指導所に三百七十五万円、計千九百六十一万円を予算いたし、農家経済の安定を期しております。二十四年度の予算額千九十二万円に比し八百六十九万円の増加になつております。  養蚕及び蚕糸業の振興につきましては、先に述べました蚕糸試験場試験研究費のほかに、養蚕振興対策に必要な経費として千二十二万円、蚕糸の技術改良に必要な経費として六千九百八十二万円、蚕糸業指導監督に必要な経費として千七百八十九万円、合計九千七百九十三万円を蚕糸局予算し、為替レート関係海外市場変化等関係から深刻な影響をこうむつておりますわが国蚕糸業及び養蚕業に対し、海外需要に即応した進歩せる技術の普及によつて、製糸業養蚕業の経営を能率化するとともに、蚕病予防のために蚕種の検査を行う等、養蚕業及び製糸業の振興に努めているわけであります。この経費も二十四年度の八千七百六十九万円に比し、千二十四万円の増加となつております。  次に水産関係におきましては、漁業制度改革のために三億八千三百六十三万円を水産庁予算いたし、新漁業法に基きますところの新しい漁場秩序を樹立することによりまして、漁業生産力を向上させるとともに、民主的な漁業調整委員会制度の運用によつて漁業民主化を期待いたしておるわけであります。そのほか水産増殖のために二千四百八十六万円、沿岸漁業取締り指導調整のために八百四十六万円、遠洋漁業取締り及び指導監督のために一億七千五百七十九万円、合計二億九百十一万円を水産庁予算いたしまして、水産業における生産力の増強をはかつております。これらの経費は二十四年度に比し、漁業制度改革において二億五千四百六十一万円、増殖及び取締りにおいて一億二千八百九十九万円と大幅に増加しております。  次に公共事業費について概略申し上げます。農林水産業関係公共事業費要求総額は二百十八億四千万円でありまして、二十四年度の百七十億四千九百七十八万円に比べますと、四十七億九千二十二万円の増加となつておりますが、公共事業費全体が六百六億六千万円から九百七十億へと大幅に増加しておりますために、公共事業費要求額に対する農林水産業関係公共事業費要求額の比率は、二十四年度の二八%から二二%へと低下しております。農林水産業関係公共事業費要求額二百十八億四千万円は農業に百五十七億、林業に四十九億五千万円、水産業に十一億九千万円という配分になつております。  まず農業関係について申し上げますと、農業関係要求総額百五十七億のうち約四六%に当る七十二億が災害復旧費に充てられておりまして、そのうち六十億六千七百八万余円が農業公共施設の復旧に、十一億三千三百九十一万余円が耕地災害復旧費の補助に充てられております。二十四年度の農業施設災害復旧事業費は四十七億四百六十九万円でありまして、二十五年度はこれに対し、二十四億九千五百三十一万円の増加となつており、災害復旧に重点が向けられております。特に二十四年度本予算におきましては、耕地災害復旧費の補助は打切られ、融資をもつてまかなうこととされたのでありますが、融資も円滑を欠き、利子も相当額に上りますので、農家経済の安定をはかるため二十四年度補正予算に五億円を計上いたしまして再び補助の対象とし、二十五年度はこれを十一億余円に増額要求したわけであります。  災害復旧費を除く八十五億円につきましては、その三九%に当る三十三億一千六百七十万円が土地改良事業費に、四六%に当る三十八億八千三百三十万円が開墾事業費に、一五%に当る十三億が干拓事業費に充てられておりまして、これを二十四年度に比べますと、土地改良事業費において七億四千百七十六万円の増、開墾事業費において四億三千九百三十五万円の増、干拓事業費において四億八千六百三十万円の増、総体で十六億六千七百四十二万円の増加となり、土地改良事業費の増加が一番大きいわけでありまして、土地改良事業に重点が向けられておるわけであります。  林業につきましては、総要求額四十九億五千万円のうち、造林事業に十九億二千九百十五万円、治山事業に二十億七千八十五万円、林道開設に五億五千万円、災害林道復旧に四億円が要求されておりまして、治山事業が最も多く、総額の四二%、ついで造林事業が三九%となつております。これを二十四年度に比べますと造林事業において五百七十六万円の増、治山事業において八億五千九百六十九万円の増、林道開設において七千九百六十九万円の増、林道災害復旧において四千五百二十九万円の減少となり、結局林業全体として八億九千九百八十五万円の増加となつております。  右の増額要求のうち治山事業が八億五千九百六十九万円で大部分を占め、治山事業に重点を向けておりますことは明らかであります。  なお水産施設につきましては十一億九千万円を要求しておりまして、このうち漁港修築費が七億五千万円、災害漁港復旧費が四億四千万円であります。これを二十四年度に比較いたしますと二億二千七百六十四万円の増加になつております。  以上述べました通り二十五年度における公共事業費要求の特徴は、災害復旧に重点が置かれておることでありまして、農業関係におきましてはその四六%に当る七十二億が、林業におきましては、治山事業災害林道復旧とを合せて、林業総額の四七%に当る二十三億二千九百十五万円が、水産業におきましてはその三七%に当る四億四千万円が災害復旧費に充てられておるわけであります。  なお前に述べましたように、二十五年度要求額農林水産業とも二十四年度に比し増加しておりますが、公共事業費要求総額との相対的比率におきましては、農業は二十四年度の一九・八%から一六・三%へ、林業は二十四年度の六・七%から五%へ、水産業は二十四年度の一・六%から一・二%へとそれぞれ低下をやむなくいたしたわけであります。  なお特別会計等につきましては、お手元にまわしました原案について御了承くださることと存じますが、農業共済保險特別会計におきましては、歳出四十二億二千六百九十七万円で二十四年度の五十三億三千六百八十六万円に比し十一億九百八十九万円の減少なつておりますが、これは歳入につきましては主として借入金收入減少、歳出につきましては、主として農業共済組合連合会に対する交付金減少と国債整理基金特別会計繰れの減少によるものであります。  森林火災保險特別会計におきましては、歳入歳出五千八百六十二万円でありまして、二十四年度の四千四百二十二万円に比し千四百四十万円の増加となつておりますが、これは主として未経過保險料と無事戻金支拂いの財源に充てる支拂備金受入れ收入の増によるものであり、漁船再保險特別会計歳入歳出二億九千六十一万円でありまして、二十四年度予算に二億八千四百十三万円と大差のないところであります。  次に自作農創設特別会計におきましては歳入において六十四億三千四百八十一万円で二十四年度の四十九億二千二百七十九万円に比して十五億千二百二万円の増加となつておりますが、これは前年度決算剩余金受入れが二十四年度の二十二億から四十九億八千七十二万円へと二十七億余万円増加しておるためであります。また歳出におきましては、六十三億九千六百五十三万円で、二十四年度の二十七億七千四百七十二万円と大幅に三十六億二千百八十一万円を増加しておりますが、これは農地証券を繰上げ償還いたします関係上、農地証券償却金及び償却手数料が大幅に増加して四十八億八千二百五十万円に上つているためであります。  開拓者資金融通特別会計歳入歳出は、十三億九千八百四十四万円でありまして、二十四年度の二十一億四百七十三円に比し七億六百二十九万円の減少でありますが、これは開拓者に対する融通資金の縮小に伴うものであります。  国有林野事業特別会計におきましては、歳入歳出百五十一億円でありまして、二十四年度の百三十億三千二百七十七万円に比し二十億六千七百二十三万円の増加でありますが、これは林道事業造林事業及び治山治水事業等の経費に充てるため米国対日援助見返り資金特別会計から三十億円を受け入れているためでありまして、事業の経常面におきましては、景気の後退のために縮小を余儀なくされ、素材、製材、薪炭等直営生産物の売拂い收入は二十四年度の百一億二千五百五十八万円から二十五年度は九十億二千百八十五万円と十一億三百七十三万円の減小を示しております。  終りに国営競馬特別会計の投票券勘定におきましては、歳入蔵出五十七億八千四百十七万円でありまして、二十四年度の六十七億七千五百二十七万円に比べまして九億九千百十万円を減少しておりますが、これは税金の関係や競輪との競争、一般的購買力の低下等による勝馬投票券発売金の收入減少を見込んだためであります。従いまして業務勘定の方も、二十四年度の二十六億二千八百四十八万円に比べまして二十五年度の歳入歳出は、二十二億六千九百七十八万円と三億五千八百七十万円の減少なつております。  以上所管の予定経費要求のごく概略を御説明いたしました次第でありますが、よろしく御審議をお願いいたします。
  5. 池田正之輔

    池田主査 これにて政府説明を終りました。引続き質疑に入ります。岡村君。
  6. 岡村利右衞門

    ○岡村委員 今年度におきましては、山間地には非常にいもち病の被害がありまして、そのために主食の供出に相当影響があると思うのであります。ことに品質において相当の影響があると思うのでありますが、その食糧検査員が現在においても非常に多忙をきわめ、手不足を感じておる状態でありますが、いもちの被害による品質の低下によつて検査ということはますます多忙のことと思いますが、この食糧検査員の増員ということに関していかなるお考えをお持ちですか、お伺いいたします。
  7. 森幸太郎

    森国務大臣 食糧供出の複雑な仕事をやらしております末端の検査員につきましては、予算措置におきましてこれを増額いたしておらないのであります。しかしながら食糧事務所の事業の分量においても、相当の整理をいたして参りたいと考えております。ことに食糧検査は季節的でありますし、臨時雇員というような方法によりまして、その事業にさしつかえないように今日まで経営いたしておるのであります。しかし今農林省の設置法の一部を整理いたしまして、今回定員内部において、できるだけ配置転換をいたしまして、本事業進捗の完全を期したい、かように考えておるわけであります。
  8. 岡村利右衞門

    ○岡村委員 大体大臣の説明で了解を得ましたけれども、非常に末端方面においては、手不足を感じておる次第でございますので、何とかそれを打開するように御盡力をお願いいたしたいと思います。  次に有畜農業ということが、農林省の方におきましても御奬励なさつておるようでありますが、この家畜に関する税金は非常に重いのでございます。これを何とか軽減していただくようなことをお考えであるかどうかひとつ承りたいと思います。
  9. 平川守

    ○平川政府委員 家畜に関しまして税金と申しますと、主として地方税のことであろうかと思いますが、今回のシヤウプ勧告に基いて地方税法の改正案も近く提案されることと思います。雑税につきましてはできるだけ整理するという方針になつているわけであります。
  10. 岡村利右衞門

    ○岡村委員 次に林野庁の方にお伺いしたいのでありますが、国有鉄道の運賃の引上げにつきまして、林野庁特別会計の方に相当影響があると思うのでありますが、どの程度に影響がありますか。
  11. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 汽車運賃が木材につきまして非常な値上げになりまして、そこで国有林の方におきましては、北海道におきまするところの約八百万石に関する分が、特に影響が多いのであります。私どもといたしましては、国有林ばかりでなしに、この大量の貨物であります、トン当りの価格がきわめて安い木材が、あのように上るということは、結局山林の資源に対する取扱いが非常に粗末になり、ひいては山林に対する所有者の関心を薄めて、国土の保全あるいは資源の増殖に対して緩慢になるということを非常に恐れるものでありまして、目下運輸省の方面と、その点について運用上の問題についていろいろ折衝中でございます。国有林はもとよりその影響は八百万石についてありますが、さらに大量を出します民有林に対して、非常に影響のあることを私どもは心配いたしております。
  12. 岡村利右衞門

    ○岡村委員 これに対する対策を何かお考えになつておいでになりますか。現在三百五十キロまでは素材でありますと一割、七百五十キロまでは一割五分、それ以上は二割というのが三月末まで暫定的に行われておりまする特別割引でございます。これを四月一日から始まりますところのいわゆる固定的な級別の際に、素材につきましては、私どもといたしましては九級、それから製材につきましては八級くらいまでにしてもらいたいということで、一応運輸委員会の答申が鉄道総裁まで出てはおりますが、さらにその点をもつと緩和してもらいたいという今の主張の線に持つて行きたいと、今折衝中であります。
  13. 岡村利右衞門

    ○岡村委員 私どもといたしましても、何としても等級審査会の原案というのは、あまりに運賃の値上げのことにばかり專念しているというような感じを持つておりますので、私の方といたしましても、できるだけこれに努力いたしたいと思うのであります。あるいは農林省の方の関係におかれましても、運輸省及び国有鉄道と十分の折衝をされんことを切にお願いする次第でございます。
  14. 深澤義守

    深澤委員 本国会の劈頭にあたつて総理大臣の施政演説の中に、農産物の価格支持制度案というものが強調されておつた。政府の與党である民主自由党の大会においても、この問題が取上げられております。新聞紙上におきましても、農林省はその原案を目下作製中であるやに報告されておるのであります。日本の農業が今一大転換期に際会しておる場合において、政府がこの対策を立てておるであろうということをわれわれは考えるのであります。現在の米価よりもなお米価が下落するという予想のもとに、この農産物価格支持制度案というものを考えられておるのかどうか。そうして国際農業と日本農業がどういう関係において、今後調節されて行くのか、その点について農林大臣の御意見を聞きたいと思うのであります。
  15. 森幸太郎

    森国務大臣 これは予算委員会でも、本会議でも再々質問が出ておりまして、深澤委員も御承知と存ずるのでありますが、重ねての御質問でありますから申し上げます。ただいまの米価は、その生産に必要な品目の価格を基準として定めておるのであります。必ずしも、これは合理的とは考えられませんが、今日の場合におきましては、この方法をとるより道がないということに決定いたしておるわけであります。今後、自由貿易の立場になりまして国外の食糧と日本の国産食糧とのさや寄せが、どういうふうになつて行くかということは、諸物価の変動にもよりますし、また、今から予測するわけにも行きませんので、ある場合、今から予測いたします場合において、あるいは高くなるかもしれません。海外から安いものが入つて来る、それらのために、日本の農産物価格が圧迫を受けるというようなことも予想されるのでありますが、ただいまでは国外の農産物が日本の農産物より割高になつておるのであります。しかし、あくまでも農業の再生産を妨げないという適正な価格は、政府として維持して行かなければならぬのでありますから、政府がそういう場合に処しましては、農業保護の意味におきまして、農産物の価格を支持することは当然であります。その場合において、あるいは食糧その他あらゆる農産物の管理を国家の力によつていたしまして、価格の高い場合においては、政府の手持ちのものを売り、また安くなつた場合には、政府がこれを買上げるという操作もおのずから行わなければならぬと思うのでありますが、目下のところといたしましては、具体的に研究を進めておる程度でありまして、そのこまかい点についての発表をする機会ではないことを御了承願いたいと存じます。
  16. 深澤義守

    深澤委員 新聞等には、かなり具体的に発表されておるのであります。従つてこの制度が実施されることになりますれば、食糧管理法並びに、食糧確保臨時措置法等のいわゆる主食に対する統制法規が一切廃止されるという前提の上に立つて、この制度が行われるのでありますが、一体、政府は現在の統制を、いつごろ農産物価格支持制度案に切りかえろる御予定を持つておられるのか。もしこの見通しがおつきになつておるならば、一応その見通しをお聞きしたいのであります。これは全国の農民が大きな転換に際して、非常な関心を持つておるわけであります。いつこの制度に切りかえる予想を持つておられるのか。これは特に総理大臣が施政演説に、はつきり言つておるのであります。従つて、何らかの具体的な見通しがあられるのではないかというぐあいに、われわれは考えますので、その点についての見通しをお聞きしたいのであります。
  17. 森幸太郎

    森国務大臣 時期等に対しての見通しは、まだはつきり申し上げられません。一月十五日に朝日新聞でありましたか、記事が出ておりましたが、あれは政府の中において、ああいうふうな起案をいたしておるように書かれておりましたが、あの記事につきましては、農林省といたしましては全然責任がありません。あれは一個人の構想かと存じますが、農林省としては、全然あの記事には責任を持つておりません。従つて、今お話のように、そういう制度を設ける場合においては、もちろん食確法なり、あるいは管理法の存廃等について、検討を加えることは当然であると存じますが、これがいつごろにできるかという予測は、今申し上げる段階になつておりません。
  18. 深澤義守

    深澤委員 その問題は、政府がまだ成案を持つていないということであるならば、その程度にしておきますが、しかし総理が声明し、民主自由党がその大会の農業政策の上において、決定されており、さらに新聞において発表されておるということになれば、全国の農民諸君が、この制度の切りかえ近きにありという考えを持つておることは間違いないのであります。そういうような観点から、私はその段階になりまして、急遽そういう大きな転換策が講ぜられることになりますれば、農業にとつても重大問題でありますので、特に質問をしたのであります。こういう大きな制度の切りかえに対しましては、十分なる準備と、また農民に対する十分なる納得の方法においてやられんことを希望するわけであります。  第二の問題といたしましては、農地改革の問題であります。政府農地改革が一段落しておるという見解でありますが、末端に参りますと、まだ農地改革の問題は非常に混乱があります。実は私、新潟県にちよつと行つて参つたのでありますが、こういう問題があります。北蒲原郡に福島潟という大きな潟があるのであります。この潟の所有者は全国でも有数な元の地主の市島徳厚さんでありましたが、この人が昭和二十二年において、ハワイのモルモン教会に、この潟及びその付近の土地を全部寄付した。ところが市町村農地委員会におきましては、これは当然買收すべき対象になる。合法的に買收できるということで買收したのであります。県農地委員会においては、このモルモン教会に寄付されたからといつて、これは第三国人の土地であるという主張で、この買收ができない。ところが、この干拓地七百町歩というものは、簡單に干拓いたしまして水田になり得るところなのでありますが、これを外国の教会に寄付したということによつて、ここの開拓が行き悩んでおるという事実があるのであります。一体農地法から申しまして、昭和二十二年でありますから、当然これは昭和二十年十一月二十三日に遡及して、買收できるという見地に基いて、地元の農地委員会はやつたのでありますが、県農地委員会並びに、県農地課の見解は、これは第三国人に寄付したのであるならば買收できないだろうということで、大きな論議が繰返されておるのであります。こういう日本の領土を外国人に寄付することが、はたして現在の法的根拠としてできるかどうか。そうして、こういう理由によつてこの開拓計画を阻害することができるのかどうか。その点についての御見解を承りたいと思います。
  19. 山添利作

    ○山添政府委員 その件につきましては、かつてちよつと新聞か何かで見たような記憶があるのでありますが、なお具体的な調査をしてみたいと思います。今お述べになりました中で、気のついたことを申し上げますと、昭和二十年十一月二十三日以後適用するというのは固有の農地でありまして、今の福島潟というようなところは結局未墾地買收の規定——未墾地買收の規定は別に時の原形に遡及した状態においてやるということではございませんので、そのときの状態において、これが開拓に適する——福島潟の場合でありますれば、開拓に適するということであれは買收できるということであります。そういう法律上の取扱いでございます。もう一つ、あそこは干拓ができるかどうかは、私は調べて見ないのでわかりませんが、疑問に思つております。と申しますのは、あそこは今いかにして排水するかということが大問題でありまして、雨が降りますたびに非常に付近の耕地にまで水がたまつて行くというような事情のもとにおいて、この水の処理、排水を完全に処理する目算がつかない限りは、干拓ということもなかなか考えられないのではないかというふうに思います。  日本の国土を第三国人に寄付することが、いいか惡いか、これは法律上の問題ではございませんが、これは国の感じといたしまして、国土を農地として利用すべきものを農地以外の部面に利用すべきものではない、もとよりそういうふうに考えておるわけであります。
  20. 深澤義守

    深澤委員 現在の事情として、私もまだよく調べておりませんが、日本の土地をそういう教会等に寄付して、それが第三国人の所有になるということが法的に許されるのでありましようか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  21. 山添利作

    ○山添政府委員 現在国籍によるところのそういうことについての特別の差別はないのでありまして、おそらくそういうことも外国が禁止するということであれば、それも考えられますけれども、現状におきまして、それを禁止するという法制はないと考えております。
  22. 深澤義守

    深澤委員 日本の領土の一部を外国人に寄付するということは、日本政府としてはこれを認めておるわけでありますかどうか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  23. 山添利作

    ○山添政府委員 外国人が土地を所有するという状態は認められておるわけであります。
  24. 深澤義守

    深澤委員 そういう場合においては、日本の民法による、つまり登記まで完了しなければ、完全に所有権が移つたものでない。つまり登記をもつて第三者に対抗できるというあの原則は、やはり適用できるのでありますか。
  25. 山添利作

    ○山添政府委員 それはその通りでありますけれども、登記がなければ対抗できないということでありましても、具体的に、たとえばその農地を買收するかどうかというようなことについて決定をいたします場合には、事実関係を持つてするわけでありまして、登記面ではございません。ただ関係者間に争いがあれば、登記がなければ対抗ができない、こういうことになるわけであります。
  26. 深澤義守

    深澤委員 この点については地元でも相当問題になつております。新潟県でも問題になつております。従つてこれは農地局としても十分御調査を願いたいと思います。  それから農地関係の問題で第二番目にお聞きしたいことは、予算書には、現在農地委員会に使つておりますところの書記二名は、八月の切りかえ時に初めて整理するというぐあいになつておりますが、先ほど農林大臣の御説明によりますと、四月、つまり年度切りかえにおいて整理するのだというような御説明でありましたが、これはいずれがほんとうでありましようか。説明書によりますと、昭和二十五年八月一日より、従来の市町村農地委員会市町村農業調整委員会とを合併して、市町村農業委員会にするということになるが、その際市町村農地委員会の所属の書記のうち一名を整理する、八月一日の切りかえの際に整理するのだというように説明されておるのでありますが、農林大臣説明によりますと、年度の切りかえとともに整理するという説明であります。この点はどちらがほんとうでありますかお聞きしたい。
  27. 山添利作

    ○山添政府委員 予算上におきましては、新しい年度には農地委員会に所属しております書記二名は、一名になるのでありまして、従つて新年度から予算上はそういうことに相なるわけであります。もつとも国家予算としましてはそういうことをやりますけれども、具体的にはその人たちが引続いて農地改革あるいは農業委員会の仕事、あるいは今後町村で非常に事務がふえます徴税関係等の仕事、そういうものに従事してもらうようにそれぞれ措置は考えておるわけであります。
  28. 深澤義守

    深澤委員 それはまことにけつこうな措置であります。農林省として、この大きな日本の農地改革の仕事を中心的にやつて来た農地委員会の書記が、今ここで失職するということになりますれば、大きな失業問題になりますし、過去の努力に対しても、政府は何ら報いるところがなかつたということになるのであります。今後できる農業委員会あるいは新たに徴税関係の事務等に、必ず身分保障をして使う、農林省としてこういう積極的な指示をせられる考えがあるかどうか、その点を承りたい。
  29. 山添利作

    ○山添政府委員 もちろんその通りに考えております。
  30. 深澤義守

    深澤委員 次に供出制度の問題についてお伺いしたいと思います。本年の供出割当に雑穀が非常にふえておるようでありますが、かんしようの買上げが非常に減つて参りまして、その代作として雑穀がおそらくつくられるだろう。だから雑穀が当然供出対象として増加する、こういう見解で、この雑穀に対する供出割当を増加されたのかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
  31. 森幸太郎

    森国務大臣 雑穀を前年度より多く生産するような計画を立てましたのは、実際は、この雑穀に対して今日まであまり関心が持たれていなかつたのであります。たとえば北海道において、北海道庁の調査によりましても、雑穀がどれだけできておるかという正確な数が把握できない。農林省は作報事務所の調査によりまして、大体調査をいたしてその正鵠を期しておるのでありますが、地元の調査が、あまりにも雑穀というものを軽く取扱つておりました関係上、昨年の麦の生産におきましても、非常な余裕のあつたというような事実も、地方によつてはあつたのであります。従つて今回かんしよ、ばれいしよの自由な立場に置く面を広げましたために、雑穀に転作するというような面も従つてふえて来るという予測をいたしまして雑穀の生産計画を高めたわけでありまして、この数量は決してむりな数字ではないという確信を持つておるわけであります。
  32. 深澤義守

    深澤委員 今年から肥料に対する価格調整費の削減によりまして肥料の値上げが行われる。ところが肥料が値上げされますと、当然米価に影響して来ることは間違いない事実でありますが、この肥料の値上げと米価の調整、これはどういうぐあいにおやりになるのか、その点を伺いたい。
  33. 森幸太郎

    森国務大臣 一月に上げましてまた三月に一割五分上げることになつておるのであります。なお八月になつて補給金関係で価格が上昇するのでありますが、バツク・ペイによつてこれを還元するということを予算にも計画いたしておるのであります。
  34. 深澤義守

    深澤委員 それから肥料の関係として今農業手形が発行されておるのでありますが、ところが各地に参つて見ますと、農業手形の返還が非常に困難な状況であります。さらに今年はより以上の農業手形を必要とする状況にありますが、政府としては昨年度の農業手形の未回收の分がどのくらいありますか。それが農村の事情を示す一つのバロメーターであると思いますが、その未回收がどのくらいあるか。また今年は農業手形に対してどのくらいの用意があるか、その点をひとつ承りたい。
  35. 平川守

    ○平川政府委員 農業手形は昨年の分は大部分回收されております。但し数字的にまだはつきりいたしませんので、数字を今持ち合せませんが、大体收穫時をもつて回收をいたしております。但し秋作の分等についてはまた新しい分が出ておりますが、春作の分は大体回收されております。それから本年度におきましては、肥料等の値上りもありますので、目算といたしましては、二百五十億くらいが出るのではなかろうかというように目算をいたしております、但しこれは御承知のように、農業手形の制度といたしましては、一定の條件は当てはまりますものでありますれば、金額に制限なく全部引受けるつもりであります。
  36. 深澤義守

    深澤委員 その農業手形が末端の農業協同組合に参りますと、一反歩千円程度のわくがきめられて来ておるというようなことで、政府が考えておるように、必要ならば多々ますます弁ずるというぐあいに大蔵大臣が説明されておりましたが、そういうようなぐあいに末端には徹底していないのであります。農業協同組合で一反歩千円程度のわくをおろしておるというようなことが、末端では言われておるのでありますが、その点はどういうぐあいになつておりますか。
  37. 平川守

    ○平川政府委員 これはやはり手形でありまして、貸付をいたすわけでありますから、やはり回收について担保が必要なわけであります。従いまして最高限度といたしましては、農業保險によつて保險されておる金額の範囲内ということに相なるわけであります。それからさらに限定いたしまする要素といたしましては、これが肥料代なら肥料代、あるいは農機具代、あるいは農薬代というものに充当される範囲、最高限度として農業保險の範囲ということに限定されるわけであります。あえて金額で制限しておるわけではありませんけれども、その関係から金額が限定されて来るのであります。
  38. 深澤義守

    深澤委員 どうもそういう意味からいつて、おのずから限定されるのであります。従つて多々ますます弁ずるということにならないらしいので、末端におきましては、肥料代が拂えないというような窮状も出て参つております。こういう点について、十分御考慮願いたいと思うわけであります。  その次にちようど協同組合の問題が出て来ましたから、この際お伺いしたいのでありますが、協同組合の課税問題が非常に大きな問題になつております。先ほど農林大臣が、農村民主化のために協同組合組織というようなものを保護育成するというようなことを言われておりますが、協同組合にかかる税金問題であります。附加価値税あるいは所得税等の問題について、協同組合の特別扱いをしてもらいたいという要求がずいふん出ておるようでありますが、この点については、農林当局として何か特別の措置を講ずるというお考えがありますかどうか、その点お伺いしたい。
  39. 平川守

    ○平川政府委員 附加価値税等につきましては、われわれといたしましては、実は協同組合に対する特別な扱いということも希望いたしておつたのでありますが、税理論の関係からいたしまして、協同組合に特に軽く課税することは困難であるという考え方で、目下のところその特別扱いは困難なもようであります。
  40. 深澤義守

    深澤委員 全国の協同組合が、現在三八%程度赤字であるというのが今日の現状であります。さらに農業協同組合の経営が非常な困難に陷つておるということも、これは間違いない事実であります。これは農村の経済の中心組織であるという意味において、われわれは重大なる関心を持たなくちやならぬし、政府もひとつ考えていただきたいと思うわけであります。特に供出等の問題については、政府事業を相当分担してやつているわけであります。従つてこれは県連の段階や全国の段階は、批判すべき多くのものを持つておると思いますが、市町村の農業協同組合は、まつたく今窮地に陷つておるような状態であります。従つて政府はこの際真險に農村の経済を考えるという立場になりますれば、農業調整委員会、あるいは農地委員会補助をいたしましたように、市町村農業協同組合の人件費を国庫補助にするという考えがあるか。これは非常に重大な問題であると思うのでありますが、その点についての政府の見解を承りたいと思います。
  41. 森幸太郎

    森国務大臣 協同組合ができましてようやくまる二年たつたところであります。しかも協同組合に改組しました後において、さきに組織いたしておつた農業会の資産等の受入れ等、いろいろの問題がありまして、まつたく新しくつくりながら、昔の因縁に引きずられておるというような関係から、まだ協同組合の力が十分出ておらない面が相当あるのであります。しかも府県に、あるいは全国に連合会をたくさんつくりまして、末端の協同組合では、ほとんど迷惑をいたしておるというような実情でありますので、近く法律で御審議を願いますが、地方におきましては指導連、販購連、信用連という三つにわけまして、この連合会の基礎を強固にする、あるいは協同組合の経営の資産状態におきましても、自己資金の拡充をはかつて組合の信用程度を高めて行くということに、重きを置いて指導して行きたいと思います。全国におきましては指導連と信用速と販連、購連の四つにいたしまして、組織をもつと簡素化して行きたい、そうしてできるだけ贅費を省いて行くということにしなければ、今日の状況ではほとんど人件費でつぶれてしまうというような情勢であります。これを今申しましたような方針に改正いたしまして、協同組合の強化をはかつて行きたい。ことに助成をしたらどうかというお話でありますが、助成は豫算の関係もありますし、補助金を出すということはできませんが、ただこの職員等に対する経営能力の向上ということに対しましては、経費を国が持ちまして、技術、技能の研究練磨の助成をいたしておるわけでありますが、精神的に申しますと、もつと農業者に、自分らのつくつた協合組合であるという観念を植えつけることが、今日一番必要だと私は考えております。自分でつくつた協同組合でありながら、その協同組合に預金することが何だか心配だというので、地方の銀行に預けたり、郵便局に預けたりしているような組合員も相当あるのであります。これはまつたく自分らのつくつた協同組合であるという観念ができておらない証拠で、これじや対外信用もありませんから、もつとほんとうの協同組合をつくらすように指導いたしまして、そうして協同の力を信用して、金融の面も特にはかつて行くというような方面に指導して行きたい、かように考えております。
  42. 深澤義守

    深澤委員 農村民主化と並行して協同組合の民主化も行われますので、今農林大臣が言われたように、協同組合がまだ自分のものになつていないという事態の中に、農村民主化が非常に遅れておるという一つの事実を見出すわけであります。そうして特に税金問題がちよつと問題になりましたから、私はついでにお伺いしたいのでありますが、昭和二十三年ですかに、匿名供出制度というものを永江農林大臣のときに設けたのであります。そうして東北のある一部に非常にたくさんの匿名供出が出ているわけであります。この課税問題がまだ片づいていないわけです。ところが匿名供出制度のできましたときは、これは供出並びに課税の対象にならないという條件で匿名供出が行われておつたわけであります。ところが二十三年度分の匿名供出が、一村五千俵くらいずつある所があるのであります。従つて今年度これを片づけなければならぬというので、税務署と協同組合と生産者の間に非常な紛争が巻き起つておるわけであります。当時農林省は、はつきり供出並びに課税の対象にならないということを末端に通牒し、農業協同組合等もそういう意味から非常に督励をしておるわけであります。ところがその後に至つて農林省はそういう考えを持つておつたが、大蔵省はそういうことを知らない、所得のあるところ必ず課税するんだということで、これに対する課税を要求しておるわけであります。これは民自党の内閣の時代ではなかつたのでありますが、事務当局としてはあまりかわつておられない関係上、その当時のことは知らないとは言えないと思うのでありますが、一体どういう考えをお持ちになつておりますか、この点をお伺いしたいと思います。
  43. 山添利作

    ○山添政府委員 あれは税金等の対象にしない制度をくふうしようというので、匿名供出の方法を考えたのでありますけれども、結果においては、当時から関係方面ともいろいろ折衝の経過もあり、やはり税金の対象にするということに当時からなつております。その点多少誤解があつたのであろうと思います。もしほんとうに税金をとらぬというのであつたならば、匿名供出はもつともつと出ているはずでありまして、税金の対象になるがゆえに、匿名供出が全体的には失敗だつたというわけであります。
  44. 深澤義守

    深澤委員 税金をとらないから匿名供出が出るという見解は、違うのであります。それはやみ売りができた部面は、どんどんやみに流したから、匿名供出の必要はなかつたのですが、やみ売りのできないような不便な所では、匿名供出がたくさん出ている。事実一村五千俵出ている。具体的に申し上げていいと思いますが、秋田県はそういう状況であります。ところが今山添局長はそういうようなことを言われているが、末端へは、確かに供出は課税の対象にならないから、これを督励しろというのでやつたのです。先日も協同組合長の会議を開いて、われわれもそういう政府の意向であるからやつておつた、そのために一村五千俵も出てしまつて、その解決がいよいよ税金がと三割五分はガリオアによることになるのではないかという見通しを持つております。その六割ないし七割の商業資金による輸入が、実際的に国別に当つてみますと、それだけの所要量をなかなか完全に充足することは、諸種の事情からいたしまして困難な状況もあるように、ただいまのところ見受けております。従いまして、できるだけよけい救済資金によるものを得たい。それが需給の確保の上からはどうしても必要であるというような考え方をもつて進んでおるわけであります。価格は、商業資金によるものはタイ、ビルマ、カナダ、アルゼンチン、濠州、イラン、イラク、アフリカの一部というような所でありまして、価格の点は各国の状況によつて違うのでありまして、一律に申し上げるわけには参りませんが、漸次下落の方向をたどつておるということが言えると思います。
  45. 深澤義守

    深澤委員 聞くところによりますれば食糧が国家統制なつておりますタイ、ビルマ方面におきましては、かえつて値上げするというような情報もわれわれ聞いておるのでありますが、そういう点はどうでありましようか。
  46. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 タイの一部にさような意見があつて、価格を引上げよという動きのあることは、私どもも聞いております。しかし商業面からいたしまして、いろいろ私どもが情報を得られる範囲内においての結論は、そういうことはおそらくないであろうという見通しを持つておるわけであります。一部には、政府筋と申しますか、そういう方面には、多少そういう動きもあるように私は聞いております。
  47. 深澤義守

    深澤委員 商業勘定において、現在予定しているところの三百四十万トン以上のものの六〇%ないし七〇%程度輸入するということになりますれば、莫大な資金が必要とされると思うのでありますが、こういう資金準備の見通しというようなものが十分あるかどうか。もしそれがないとすれば、この輸入計画というものに非常に大きな蹉跌を来すのでありますが、そういう点の見通しはどういうふうにお考えになつておりますか。
  48. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 結局日本の輸出貿易がどこまで伸びるかという問題にからんでおるわけであります。これは前にも申し上げたと思いますが、多少数字は古いのでありまするが、大体私どもが確実に入手できるであろうと思つておりますのは、米については五十万トン、甘く見まして七十万トン程度であります。もつとも計画としては八十万という数字もあげておるのでありますが、大体実行可能性という点から考えますと、五十万トンから七十万トン程度かと思つております。それから濠州の小麦でありますが、これが三十万トンから三十五万トン、アルゼンチンの小麦が三十万トンないし四十万トン、それからカナダの小麦が十万トンないし十五万トン、それから大麦等各地の雑穀類でありますが、これが二十万トンないし三十万トン、合計いたしますと、以上で低目の方が百四十万トン、大目の方が百九十万トン、約二百万トンで、この辺は資金面その他から見ましても、また相手国との貿易の関係から見ましても、大体確実なところじやないかという見方をいたしておるわけであります。そういたしますと、三百四十万トンの六掛としまして二百万トン、それ以上にふえますと、今後の貿易の状況というものがからんで参りまして、ただいまのところそう簡單に予測は許されぬのではないかと考えます。
  49. 深澤義守

    深澤委員 現在においても相当の輸入食糧の増大のためにストツクがあるそうでありますが、なお最近においては、各農村地方においては、やみ売りができないために、非常にやみ価格が下落をいたしております。消費者価格以下に下落しておるというような状況もあるようであります。従つて政府の配給にまたずに、そうしたものでまかなうというような傾向も非常に強いのであります。そのために公団等のストツクも相当ふえておるということをわれわれ聞いておりますが、こういうような状況の中に三百数十万トンの輸入が行われますと、相当に食糧が過剩になるという見通しをわれわれは持つのでありますが、そういう点についてどういう考え方を持つておりますか。
  50. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 この三百数十万トンが順調に入つて来る、また今年の作況も非常にいいということになりますれば、過剩とは参りませんが、相当緩和された状態にはなろうかと思います。しかし全面的な統制をいたしておりまするので、心理的な影響は別としまして、現物の操作による圧迫というようなものは、私どもは考えなくていいのではないか、ただいろいろな思惑その他の点からいたしまして、農民が生産して、従来であれば相当高い価格でやみ売りをし得たものが、そのやみ値が相当下落をするということは、これはあり得るだろうと思います。
  51. 深澤義守

    深澤委員 公定価格の上から見ました外国食糧の輸入というものは、一応日本の農業を圧迫しないという計算になつておりますが、日本の農業が今日まで成立し得た條件の中には、いわゆるやみ売りというものが相当大きなウエイトを持つているわけであります。ところがそれがほとんどできなくなつたという状況は、まさに輸入食糧が日本の農業を圧迫しているということが言えるわけであります。こういうような状況の中に、当然米価の問題が大きな問題になつて来ております。そこで米価の問題についてお伺いしますが、米価審議会で四千七百円を決定し、消費者価格との開きは一千円以上に上らないようにという強い要望があつたようであります。ところが政府は最初米価審議会をつくるということを声明されたときには、米価審議会の決定を尊重するということを農林委員会で明言されたはずであります。ところがこの米価審議会の決定を全然無視してしまつた。それでなお消費者価格と生産者価格との間に千円以上の開きはよろしくないという要望があつたのでありますが、依然として二千円以上の開きがあるという状況になつておりますが、今後米価審議会は継続して持ち続ける御意思があるのかどうか。あるいはまた米価審議会で決定された米価を今後採用するのかどうか。ただ参考に聞く程度なのかどうか。それから消費者価格と生産者価格との間における二千円以上の開きというものが、大づかみに言つてどこに根拠があるのか。私の考えから申しますれば、輸入食糧の相当厖大なストツクのために、相当多額の保管料というか、あるいは保險料というものが、この中間経費の中に大きなウエイトを持つのじやないかと考えるのでありますが、その三点についてお伺いしたいと思います。
  52. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 米価審議会を今後どう取扱つて行くか、また今年の米価審議会の経過にかんがみまして、あまり尊重しておらぬのじやないかという点でありますが、ただいまお話がございましたように、四千七百円、中間経費は千円という線で答申があつたわけでありますが、私どももただいま申し上げましたように、このやみ価格が漸次下つて参りまして、経済が軌道に乘つて来たと申しますか、そういう状況になりますれば、米価についてはやはり適正な米価政策というものをどうしても立てなければならぬ。そうでなければ農村の経済というものがもたないことは当然と思います。それで適正な米価の決定ということについては、真劍は考えておるわけであります。そのために、ただいまのようなパリテイー計算によるのがいいのか、あるいは昔やつておりましたような生産費主義で行くのがいいのか、いろいろ検討をいたしてみたのであります。結論といたしましては、生産費主義というものを相当尊重して行くことが適当であろうという考え方をいたしておるのでありますが、今年の米価についてはパリテイー方式というものを採用いたしまして、従来通りつて決定したのであります。生産費については、高い安いといろいろ議論が出るところでありますが、現在の農村の状況からいたしまして、私どもはできるだけ今後とも適正な米価を決定することに、十分努力をして参りたいと考えておる次第であります。  それから米価審議会は今後もこのまま持つて参りたいと考えております。やはり官庁のみでなく、ああした権威の方々のお集まりの御答申を得て、その線に沿うて政府も努力するという体制が、適当であろうと考えております。  それから中間経費が非常に多いという点でありますが、これはしばしば      ほかの機会にも申し上げております通り、いわゆる中間経費というものの中には、生産者に還元されるものが相当あるわけであります。純粋の中間経費のみをとつてみますと、資料は別途差上げてもけつこうなんでありますが、私の記憶では、消費者価格に対しまして、一五、六%ぐらいじやなかつたかと思つております。自由経済当時、茨城三等米について東京の白米小売価格との開きを出してみますと、これは二〇%以上であつたかと思います。従つてもちろん昔のものは営業でありますから、そこに税金がかかります。政府扱いの場合にはその税金がありませんから、端的な比較は困難でありますけれども、そういう自由経済時代に比較いたしまして、ただいまの統制下における中間経費は高いものでない。むしろ多少低目であるということが言えると、私ども考えておるのであります。もつともこの中間経費の節約については、今後とも私どもといたしまして、十分努力をして参らなければならないことであることはもちろんであります。
  53. 深澤義守

    深澤委員 もう一点長官にお伺いしておきたいことは、この八月ごろか、食糧公団の配給方式が多少かわつて行くように聞いておりますが、どういうぐあいにかわつて行くのか、その点一つお伺いしておきます。
  54. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 食糧配給公団は、公団の一般的な整理方針に従いまして、来年の三月末をもつて廃止するという段取りになつておるわけであります。二十五年度中にこの解体作業を実は続けて参らなければならないのでありますが、大体の考え方といたしましては、最初に小売機構を切り離して参るつもりであります。小売は消費者の登録制によつてこれを整理して行く。それから次に卸の段階をきめなければならない。こうした統制経済下において、従来のような卸は考えられないのでありますが、しかしかりに卸という名前をつけますれば、卸の機構をその次に整備をする。大体一府県について複数制——五つぐらいの卸機関をつくりまして、投票によつて小売と結びつけるというような形をとつて参ろうかと考えております。この卸の機構が整備いたしますれば、そこで政府が直接卸に物を流して、小売に流れるようなおぜん立てができるわけでありまして、その時期を見まして公団を解消する、こういう段取りにいたしたいと思つております。時期並びに方法その他詳細の点については、ただいま研究中でありまして、まだ申し上げる段階に至つておりません。しかし大筋はそんな関係なつております。
  55. 深澤義守

    深澤委員 先ほども農林大臣にちよつとお伺いいたしたのでありますが、新聞等に農産物価格支持制度案というものが具体的に発表されておるのでありますが、あれが現在検討されつつあるということは、当然に食糧供出制度をなくするという前提の上に立つて考えられておるのでありますが、一体いつから農産物価格支持制度というものを実行しようとして考えられておるのか、この供出制度はいつからなくなるという見通しを持つておられて、いわゆるああいう作業をされたのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  56. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 御承知のように食糧確保臨時措置法は臨時立法でありまして、来年の三月をもつて一応切られることになつております。そのあとの供出制定をどういうふうな形において持つて行くかということは、私どもとしては研究しなければならない段階に入りつつあるわけであります。新聞等に出ておりまする価格支持政策的な思想といいますものは、農林省といたしまして、まだ正式にこれが立案なり、研究の段階に入つておりません。いろいろ試案といたしまして研究を続けておる向きはありまするけれども、まだそれを取上げて、その方向で行くという段階に達しておらないのであります。しかしただいま申し上げましたように、供出制度の基本でありまする食確法が来年の三月をもつて一応切られるという事情からいたしまして、供出制度をどう持つて行くかということについては、私どもこれから真劍に研究をして、また適当な機会がございますれば、いろいろ御意見等も伺わなけれ     ばならないかと思つておるわけであります。
  57. 深澤義守

    深澤委員 山根畜産局長にちよつとお伺いしたいと思うのですが、最近地方に参りますと、牛乳等の価格がどんどん下落しております。それから豚や牛の肉の価格もまた急速な下落をしております。そのために日本農業の前途に非常に暗い影を投げかけておるのであります。日本の農業が酪農の方向に、あるいは畜産の方向に動いて行なかければならぬというときに際して、この傾向はまことに憂うべき状態であると考えます。ところが聞くところによりますと、牛乳関係の下落は非常に多額な還元牛乳と申しますか、そういうものがアメリカ等から輸入されておるというこの状況によつて、圧迫されておるのであるということをわれわれは聞いておるのでありますが、その点について御見解を伺いたいと思います。
  58. 山根東明

    ○山根政府委員 畜産物の価格が非常に下落して参りまして、そのために非常に盛んになつておりました畜産熱に大きな打撃を與えております現状は、御指摘の通りであります。実は戰争直後から、畜産の復興のために私どもは非常に力を注いで参つたのでありますが、どちらかと申しますと、もつぱら増産といいますか、数量の増加にのみ重点が置かれ過ぎたきらいが実はあるのでありまして、もちろんかねてこういう事態を予想いたしまして、それの対策につきましてもいろいろ頭を悩ま  しておつたわけでありますが、事態がこういうように具体的に現われて参りまして、私どもといたしましては今後の一つの力の入れ方を畜産物の消流関係の面に入れて行なければならない。こういうことでいろいろな問題をそういう面で実は検討を続けておるわけでありまして、このためにせつかく高まつて来ました畜産熱が、ここに急にくじけて来るということがありましては、せつかくここまで回復して来ました実績は、まつたくあともどりして水泡に帰するということになるわけでありますから、その面には今後とも力を入れて行きたいと考えております。具体的に牛乳の価格が非常に下つて来たことは、アメリカから入ります還元牛乳の圧迫であるのではないか、こういう御趣旨であるのでありますが、もちろん相当数量の還元牛乳が入りまして、牛乳の需給の面に一つの力となつて作用いたしておることはこれは認めざるを得ないと思います。しかし実は私どももこれはお互い家庭人として考えます場合に、従来の牛乳の乳価が、はたして一般の消費大衆がそのまま受入れられる価格であるかどうかこういう点を考えますと、今日までの乳価は、実は遺憾ながらむしろ家計の面から考えますと、少し高過ぎたのではないか、乳価がある程度下りますことは、その両からすれば、むしろ望ましいことであり、またそれによつて国内の購買力がふえるということは、牛乳の増産の面には非常にけつこうなことではないかというように、実な乳価については気持を持つておつたのであります。外国牛乳の不当な圧迫によつて、これが不当に値下りになる。その結果せつかくの酪農に対する熱意が、これまたそこでくじかれる、こういう現象に立ち至ることになりますれば、もちろん私どもとしても、それに対応した何らかの策を考えなければならぬ、かような考え方をいたしております。
  59. 深澤義守

    深澤委員 もう一点だけ養蚕関係について蚕糸局長にお尋ねしたいと思います。  養蚕関係が昨年の夏秋蚕におきまして、業者の買いあさりによつて非常に価格が上昇しておるのであります。しかし生産者もあるいは製糸家といえども、この状況をノーマルな状態だとは考えていないのであります。むしろそのために現在製糸家の非常に大きな打撃が現れておるのであります。従つて養蚕家といたしましても、一体養蚕を転換すべきかどうかということについて、非常に思い悩んでおるのであります。ところが最近における外国貿易関係におきましても、相当生糸の下落があるということが伝えられているのであります。一体日本の養蚕の前途はどういうぐあいになつて行くのか、そうしてどういうぐあいに指導されているのか、どしどし養蚕に転換すべきであるという確信を持つて指導されておるのか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  60. 最上章吉

    ○最上政府委員 蚕糸業の前途につきまして、全国の養蚕家が非常に不安な念を持つておるということは、ただいまお話の通りでありまして、もともと生糸は一つの国際商品でありまして、ことに海外の経済事情に左右されるという一つの大きな特徴のある商品であります。海外の経済界の景況によつていろいろ左右される、過去において非常な暴騰、暴落を演じたことがあるのでありますが、統制撤廃後においては、かような傾向を持つておるのであります。従いまして、何らか糸価を安定するような制度をつくるということが、單に日本の生産に携わる日本の生産者の立場のみならず、海外の消費者の立場からも強く要望されておりますので、この点につきましては、目下政府においても、何らかの形において糸価の安定策を講ずるように始終考究をいたしておるのでございますが、現在のところまだはつきりした結論を申し上げるわけに参りませんけれども、将来何か糸価の安定策を講じたい、かように考えておる次第であります。  なお蚕糸業の将来につきまして、いろいろの見方があるのでございますが、要するに先ほど申しましたように、海外の経済事情に左右されるのでありましてまた昨年の上半期におきましては、生糸の主たる市場でございますアメリカが非常に物価が下落いたしまして、ことに繊維品は大幅に値下げを受けまして、非常な不況に見舞われて、消費も減退したのでございます。その後アメリカの経済界も漸次立ち直りまして、最近におきましては相当生糸の消費もふえておるのでございます。昨年は一年平均いたしますと、毎月二千六、七百俵の消費でございましたが、去年の十一月ごろから四千俵ないし五千俵に近い消費を月々示しておるのでございます。私どもはそのために決して楽観をいたしておるわけではございませんけれども、今後とも品質の向上、ことにまた最も大事なことで今までやらなかつた絹の宣伝ということを、今後大々的にやりたい。また昨年世界中の絹の生産国と消費国が一体となりまして、生糸の需要増進をやろうということで、国際絹業同盟というものが二十数箇国でできたのでございますが、その機関と連繋をいたしまして、世界中に絹の宣伝をやろうという計画をいたしまして、目下いろいろと計画中でございます。その第一回の総会をこの秋の十月から——これは昨日の新聞にも出ておりましたが、そういう具体的の計画を持つておりますので、そういう海外の機関とも連繋をいたしまして、需要増進をはかつたならば、現在程度の絹の生産をもつていたしましては、すなわち現在程度と申しますと、戰前の二割程度にすぎないののでございましてアメリカの一般の繊維の全体の消費の数字から申しますと、これは一昨年の数字でございますが、綿花、羊毛、人絹その他で約六十五億ポンドの繊維原料を消費いたしておるのでございます。そのうちで絹はわずかに七百万ポンド、率にいたしますと、千分の一にすぎないのであります。従いまして、アメリカの一般大衆は絹というものに全然興味がなくなつた、あるいは魅力を感じなくなつたということは決してございませんので、新しいもの、良いものをつくり、それによつて宣伝をいたしましたならば、決して現在程度の激減した生産の生糸が、非常な供給過になることはないと考えておる次第でございます。
  61. 深澤義守

    深澤委員 最後に一点なお生糸の問題についてお伺いしたいのですが、最近われわれが日本の市場を見ますと、ナイロンがかえつて逆に日本に大分入つて来ております。しかもナイロンのくつ下等を見ますと、非常に強い。こういう点からいつて化学繊維としてのナイロンに日本の生糸が将来において太刀打ちできるかどうかという点が、非常に不安なのではないかと思う。今アメリカの消費がなお増大する見込みがあるというお話でありますが、ナイロンの十分な発達によつて非常に圧迫される可能性があるのじやないかと考えるのですが、その点われわれ專門家でないからわからないのですが、蚕糸局長はどういうぐあいに考えておりますか。
  62. 最上章吉

    ○最上政府委員 ナイロンの発達はまことに脅威的なものでございまして戰時中から日本の絹がアメリカに行かない間に、ナイロンが品質的にも量的にも非常に改良されましてほとんど絹にとつてかわつたのでございます。すなわち戰前生糸はアメリカでは主としてくつ下に使われておつたのでございますが、現在くつ下の分野におきましては、ほとんど絹は駆逐されましてナイロンにかわつておるのでございます。今後くつ下の面ではなくして、織物の方面に絹は相当の消費の需要増進ができるものだと思うのでございます。ことに最近は人絹あるいはナイロンといつたようなものと混織することが相当研究をされまして、また一部に非常な好評を博しておりますので、今後は織物の方面、ことに他の化学繊維と混織するというような方面に、相当伸びるものだと考えておるのであります。
  63. 今井耕

    今井委員 本年の四月以降におきまする肥料の生産予定につきましては、政府提出の資料に一応その数字が出ておるのでありますが、この予定通り肥料が生産せられました場合におきまして、農民に配給せられるところの作物別反当配給数量が、主要作物についてどういうふうになつておるか。この点に御計画ができておりましたらお答えを願いたいと思います。
  64. 藤田巖

    ○藤田政府委員 本春肥におきまして、主要作物別の配給肥料の反当数量を申し上げますと、稻につきましては窒素七貫、燐酸四貫、カリが一貫。麦につきましては窒素六貫九百、燐酸六貫九百、カリー貫百。それからかんしよにつきましては窒素が二貫五百、燐酸三貫、カリ二貫、茶につきましては窒素二十二貫、燐酸五貫五百、カリー貫。桑につきましては窒素十七貫五百、燐酸七貫、カリー貫五百。菜種につきましては窒素六貫、燐酸四貫、カリー貫、さように相なつております。
  65. 今井耕

    今井委員 生産者は本年の農業計画をする上において、こういうことを非常に聞きたがつておるのでございます。ぜひ早く新聞などにこういうことを発表してください。これは生産計画に資するようにしていただきたいといれておりますところによりますと、大体一月から二割、三月から三割五分、八月から七割五分ということがちよいちよい新聞に出ておるのであります。この政府提出の資料によりますと、肥料の値上げが一月と三月と四月と八月と四回になつております。ここにこういう違いができておるのでありますが、どちらが事実であるか。その点をお答え願います。
  66. 藤田巖

    ○藤田政府委員 肥料の値上りはただいまお話のございました中で、四月の値上りはございません。一月に二割、三月に一割五分それから八月以降が三割五分、通じまして七割になるじやないか、こういうことになります。
  67. 今井耕

    今井委員 この主計局かち出ております資料によると十四ページ、十五ページのところに四月にも上ることになつておるのです。それでどうかと思つて聞いたのですが。
  68. 藤田巖

    ○藤田政府委員 私どもが安本及び物価庁と相談をいたしまして決定をいたしておりますものは、四月の値上りはございません。三月に一割五分上りまうことを希望いたします。  次に肥料の価格の値下げについてでありますが、政府が今日まで発表せられておりますところのよりますと、大体一月から二割、三月から3割五分、八月から七割五分ということがちよいちよい新聞にでておるのであります。この政府提出の資料によりますと、肥料の値下げが一月と三月と四月と八月と四回になつております。ここにこういう違いができておるのでありますが、どちらが事実であるか。その点をお答え願います。
  69. 藤田巖

    ○藤田政府委員 肥料の値上りはただいまお話のございました中で、四月の値上りはございません。一月に二割、三月に一割五分それから八月以降が三割五分、通じまして七割になるじやないか、こういうことになります。
  70. 今井耕

    今井委員 この主計局から出ております資料によると十四ページ、十五ページのところに四月のも上ることになつておるのです。それでどうかと思つて聞いたのですが。
  71. 藤田巖

    ○藤田政府委員 私ども安本及び物価庁と相談をいたしまして決定をいたしておりますものは、四月の値上りはございません。三月に一割五分上ります。それからずつと春肥はそのままで参りまして春肥の完了後八月に三割五分上ることになつております。
  72. 今井耕

    今井委員 その値上りの率は、各肥料を通じて同様の割合で上るのでありますか、肥料の種類別によつて率がかわつて来るのでありますか。
  73. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これは各肥料を通じましてその率で値上げをする、こういうように考えております。
  74. 今井耕

    今井委員 そうすると政府提出のこの資料による肥料の値上りというものを、何か平均してそういうふうにされるわけでありますか、生産者価格がそういうふうに一率になるわけですか、その辺の事情をお伺いいたしたい。
  75. 藤田巖

    ○藤田政府委員 ただいま御説明をいたしておりますのは、肥料の農家渡しの価格の問題でございます。御承知のように肥料は生産者、つまり肥料製造業者はさらにこれよりも高い生産者価格で公団に売つているわけであります。たとえば硫安にいたしますとトン当り大体二万二千円くらいになるかと思いますが、それを売つておるのに対しまして補給金を出しております。その補給金によつてカバーいたしまして、肥料の農家渡しの価格は先ほど申し上げましたように生産者価格よりも安いもので渡しておる、こういうことになります。
  76. 今井耕

    今井委員 そうすると資料に出ておりますところの消費者渡し価格というものは、補給金を含まないところの消費者価格という意味に解釈していいのでありますか。
  77. 藤田巖

    ○藤田政府委員 さようであります。もう少し詳しく申しますと、たとえば現在硫安、それから過燐酸石炭及びカリ、いずれも公団が一手に買い取つております。公団がメーカーから買い取ります価格は、これは必ずしも一様でございませんので、たとえば硫安につきますと四本建にわかれております。過燐酸につきましても二本建でございましたか、これが一本建でございましたか、カリについては二本建、こういうふうにわかれているわけであります。それで買いまして、公団が農家に配給いたします価格は、先ほど申し上げましたように現在の消費者価格のそれぞれ二割上げあるいはまた一割五分上げということになるのでありまして、その差額につきまして、政府が補給金を公団に出している。こういうことに相なつているわけであります。
  78. 今井耕

    今井委員 大体わかりましたが、この政府の提出資料によりますと、たとえば硫安の消費者価格という上から考えますと、二十四年の十二月には一トンの価格が一万一千百二十六円それが八月一日から二万一千七百五十円、ちようど九割高になつておる。こういう比率で行きますと、燐酸石灰の十五割高、石灰窒素が十五割高、硝安は十二割高、カリ塩は十三割高こういうことにこの資料で計算するとなるのです。そこで政府の方が荷渡し価格で三月から三割五分、八月から七割五分ということになつておりますと、そこに相当の行き違いがあつたと思う。その間がよくわからないからお尋ねしたのですが、この割で値上りすると、政府発表のようなそういう割合では食い違いがあると思うのですが、その点いかがですか。
  79. 藤田巖

    ○藤田政府委員 私はお持ちの資料を詳細に存じませんのでありますが、あるいはそれは生産者価格の意味ではないかと考えるのですが、私どもの今お答えいたしておりますものは、消費者価格であります。つまり農家渡しの価格であります。製造業者が肥料公団に渡します価格につきましてはこれは別に計算されておりますので、あるいはその違いじやないかというふうにも想像いたします。
  80. 今井耕

    今井委員 確かにこれは消費者価格として出ておる数字を申し上げたわけであります。生産者価格の方は別にまたここに出ておるのでありますから……。この点ちよつとはつきりしませんから、またあとで詳しく承りたい、こう考えます。  なお硫安とか過燐酸石灰あるいは石灰窒素の生産者価格を昨年の十二月と本年の八月を比べますと、いずれも生産者価格そのものも高くなつておるわけであります。それは多分石炭とか電力が上つたためにそういうふうに生産者価格も上るのではないかとも思うのでありますが、その生産者価格の上つておる基礎につきまして、大体硫安ならば、トン当り石炭がなんぼ高くつくのであるから、あるいは電力料がなんぼ高くつくから、こうなるのだというようなものがありましたらふお答えを願いたい。
  81. 藤田巖

    ○藤田政府委員 生産者価格につきましては、生産者価格の上ります要素になりますものは、たとえば硫安につきましては電力の値上り、それから石炭につきましてもそういうふうな値上りがあろうかと思つております。そういうふうな値上りと、一方企業の合理化によりまして原單位の切下げをやるというふうな面も両方ございまして、結局出て来ました数字が、今お述べになりましたような数字になるわけであります。
  82. 今井耕

    今井委員 そのくらいの程度の抽象的なことは、私もわかるのでありますが、これは企業の合理化でこれだけ安くする、ところが電力がトン当りどのくらい上る、石炭でこれだけ上るというものがあるならば、非常に参考になると思つてお伺いしたのですが、その点はおわかりにならなければ、またひとつ通産の方の分科会ででもお伺いしたいと思います。
  83. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これは本来、実は生産者価格の決定のところは、通産省及び物価庁で決定いたすものでございまして、私どもは間接的に承知をいたしておるわけでありますが、一月に上りました当時の状態を申しますと、大体硫安はその当時、十二月までが二万二百六十一円でございました。一月の予想の価格、これはその当時の推定でございますので、決定は若干狂つておると思いますが、二万四百二十七円というふうに相なつております。これは先ほど申しました電力の値上りを、当時は大体一・三七三倍と見込んでおりました。硫安につきましては四百六十円増、石灰窒素は九百八十六円増、過燐酸は二十一円増、それから原單位の切下げの関係で、硫安は五百十一円、石灰窒素六百三十六円、過燐酸は五十四円、原單位の切下げを行つたのであります。それから鉄鋼の値上りが一・五倍で硫安が二百十二円増、石灰窒素二百九十四円増、過燐酸が五十円増、こういうふうに相なります。差引き硫安につきましては百六十六円、石灰窒素六百四十四円、過燐酸二十一円、こういうふうな基礎でその当時は一応予定されたわけであります。決定には若干あるいは狂いがあると思いますが、大体そういうふうな事情に相なつております。
  84. 今井耕

    今井委員 その点はそのくらいにしておきまして、次に肥料の値上げがこういうふうに次から次に行われますと、農民が受取る時期になりますともどれが何月分かわからなくなつてしまう、そこにいろいろな間違いが起る場合が非常に多いのであります。そういうことがあつてはならぬと思いますが、その辺についてどういうような御処置をおとりになる考えでありますか。
  85. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これは御指摘の通り、月によつて価格が違いますので、その点ははつきりさせておかなければ相ならぬわけでありまして、私どもといたしましては、一応計画を立てまして、十二月までに渡すものは幾ら幾ら、それから一月、二月の渡し分は幾ら幾ら。それから三月以降の春肥の分は幾らというふうな計画を立てまして、その計画数量につきましては、それぞれその時期の価格に相当する価格で売るというふうなことで、極力配給の方も急がせまして、大体十二月渡しのものにつきましては、一、二県若干違いますけれども、全国大体予定通りのものは、その当時の価格で配給が済んでいる、こういうことになつております。
  86. 池田正之輔

    池田主査 今井君にちよつと御相談しますが、大臣は三時になるとちよつとほかへ行かなければならぬそうですから、大臣に対する質問を先にしてください。
  87. 今井耕

    今井委員 いろいろお尋ねしてから大臣にお伺いしたいと思つたわけでありますが、昭和二十五年の農村の経済というものを考えてみますと、総合的に考えて非常に惡くなつて行く、私はこう思うし、また今後の農村の経済を考えましても、世界の食糧生産の過剩というようなことによつて、相当心配される点がある。従つて日本の農業政策というものも、ここで一大転換をいたしまして今後に備えるということが、今一番必要なときだと思うのです。そういう点に対してどれだけのお心構えがあるか、こういうことについて、いろいろ過日予算委員会でも承つておつたのでありますが、大体お座なりのようなことばかりでありまして、これはたいへんけつこうだというような点は見出せません。従つて私は非常に遺憾に思うのでありますが、同時に本日提出されましたこの書類をちよつと簡單に見ましても、この費目の内容は、詳しいことはわかりませんけれども、まず第一に、食糧増産確保のための費用というようなものは、これはうんと力を入れなければならぬ。ところがわずか四千三百万円であつて、昨年に比べると二百万円減つているというようなことは、一体どういうことであるか。また農民の経済が惡くなるについては、まず生活の改善というようなことは徹底的にやらなければならない。同時に農業技術指導というようなことを徹底的にやらなければならぬ。もちろんこれについては、本年二千五百名の普及技術員をふやすということになつておりますけれども、これについては農業改良助長法案を審議をしますときに、われわれは少くとも一万五千名以上置かなければならない、そして一市町村一人以上置く必要がある、そんなかけ持ちだつたならば、責任の所在がはつきりしない、従つて効果が上らぬということは、前の駐在員制度などにおいてももう試験済みである。だから何としてでも一市町村一人置かなければならぬということを強く要求しておつたわけです。ところがそれが五千名から今年はようやく二千五百名ふえたけれども、四町村に三人、これがまた半端なものだ。また生活改善の方面の普及員なんかにつきましても、ごくわずかの人間で、地方に行きますとさつぱりあるかないかわかりません。こういうような点は、思い切つてもつと措置が講ぜられなければならない。それについてわずか二千五百名で今年もまた一人宛にならぬ。四箇町村に三人ずつというような半端なものだ。これは非常に物足らぬことだと思う。  それから日本農業の転換期にあたりまして、農業に関するところの試験、研究というようなことは、この際相当思い切つた施設をやらなければいかぬ。そうしてその研究の範囲も広めて、そうして個々の農民をどうするかというようなことについて、真劍な努力を拂わなければならぬと、こう考えるのでありますけれども、これもわずか日本の国で九千八百万円、わずか七百万円ほどしか増加しておらぬというように非常に少い。それから第三番目に何と言つても家畜の増殖というようなことについては、これは全国あげてやらなければならぬことだが、この経費もきわめて少い。去年とほぼ同額である。なお次に農業の近代化というような経費、この内容もはつきりわかりませんが、こういうような経費も百万円減つている。また農業協同組合の問題につきましては、大臣は、過日来法律の改正によつていろいろ強化して行くという答弁が再々あつたわけでありますが、しかし予算面から見ますると、この助長、育成のための費用というものは、わずか四千百万円、これがほとんどふえておらぬ。従つて府県あたりの活動状態を見ましても、県に農業協同組合課があるけれども、一体何をやつておるのかさつぱりわからない。もつと農業協同組合というものについて、真劍に国が力を入れて、そうしてこの助長、育成をはかる。こういうことが予算面にもはつきり現われて来るということでなければならぬ。今あらまし見ただけでもこういう点が浮ぶのでありますが、こういうような事項につきまして、ひとつ農林大臣の御所見をまとめてお伺いしたいのであります。
  88. 森幸太郎

    森国務大臣 お答えいたします。今井議員も私と同じ農村におられる人でありまするから、農村の事情は私以上に御承知と存じます。日本の農業の状態はここ二、三年にできた農業ではありません。極端に言えば、神代の時代から米をつくつておつた農業であります。予算の面から見て、このくらいのことで珍しいことがないと言われるが、珍しいことがありそうなはずがないのであります。農業の組織が原始産業であります。この原始産業をどうかして幾らかでも近代化すること、そうして農業経営をする上においての天然自然の力の利用を高めること、また天然自然の暴力に反抗して行くこと、こういうようなことを農業政策の上に考えて行くことが、これはいずれの時代でもあるのであります。ただそれが漸次科学の進歩に伴つて、近代化して行くというところに、農業発達が行われるのであります。いまだに農村におきましては、御承知の通り、手で一本ずつ稻を植える農業であります。これはアメリカのように飛行機によつて種をまくというような、飛び越えたる農業改良というものはでき得ないのであります。予算の面においては、もつと予算書を詳細に調査していただきますと、いかに食糧増産のために農業の保護のために、政府は金を使つているかということをよく御了承を得られると存じます。日本の今日の農業といたしましては、まず第一に外国から食糧をもらわなければいけない状態である。でありますから、日本の食糧の各面において増産するということを目的として、すべてをまとめて行くのであります。それには再々申しました通り、日本は天災の多い国でありますから、治山治水によつて農業の安全性を高めて行く、これが根本であります。でありまするから、治山治水農林省の計画の、あるいは公共事業の上にやつておりますこと、一重に食糧増産確保の一つの根本手段であります。また土地改良におきましても、單作地帶をできるだけ保護して、温床苗代なり折衷苗代をつくつて、そうして生産額を高めて行く、あるいは排水の惡い土地においては、暗渠排水によつて土地の力を高める。また客土によつて土質を改良して行く、これも食糧増産のための一環であります。また品種の改良におきましても、今日まで各府県がきそつて優良品種を生産しておりましたけれども、今は配給、供出の状態でありますので、この品種が非常に低下しておる。また戰争のために品種改良のための技術上の力を入れることができなかつた。純系分離なんということも遅れている。それでありますから、農業試験場の組織を縦に横に総合統一いたしまして、品種の改良あるいは耕種技術の改良に、総合的な面からこれを推進してこれを農業者に指導して行く。また技術員の指導が少いとおつしやいますけれども、今改良局におきましては、一出張所に四人を持つているのであります。これをもう少し増加いたしますれば一村一人ということになるのであります。農業経営というものは、特に去年と異つたもの珍しきものがその年に行われるものじやありません。そういうものではありません以上は、堅実なる運びによつて年々これを改良して行くということが、農業指導の上において必要であると私は考えているわけであります。協同組合のごときも、午前にお答えいたしました通り農業者が農業者自身、自分らがつくつた協同組合だという観念を持つ、この精神指導が第一であります。これが過去の農業会があまりに変な発達をいたしたがために、世の中から非常な惡評をこうむつて、遂に解散をせなければ、ならぬことになつたわけでありますが、協同組合自体は農業者自体のものであります。この精神を植えつけることが、農業協同組合をおのずから発達せしめる導あつて、それをわれわれは指導するのであります。補助金をやつて協同組合を発達せしめるというようなことは小乘的なものである。大乘的な立場から精神を植えつけて行く。そこでりつぱな協同組合ができれば、その協同組合の力によつて土地改良もできれば、あるいは生活の改善もでき、消費の節約もできて、近代的な農業がおのずからそこに起つて来るわけであります。でありますから、もつと予算の内容について、各般にわたつて御検討くだされば、いかに今日日本の政策といたしまして、食糧増産のために農林省に持つておるところの経費のほとんどを注入してやつておるかということが、おのずからおわかりと存じます。
  89. 今井耕

    今井委員 農林大臣からいろいろ御答弁をいただきましたが、そういうような御答弁は、過日来からの予算委員会で十分拝聽しておるのでありまして、了解の上、質問をしておるのであります。それでこういうような戰争がなくて、ずつと従来の農村が続いておる場合においてはそれでもいいと思うのでありますけれども、この長い間の戰争によつて、しかも強力なる統制下にあつて、日本の農業の実態が国際的の関係からすつかり離れて来ておつた。行き方がかわつておる。それが今国際的に参加するというようなことが目に見えかけておる、そういうような特殊な時代です。従つてそれに対処するための特殊な政策が、私は必要だと思う。そういう点から考えて、私は御質問申し上げたのであります。その点をひとつ御了承を願いたいと思います。時間の関係から、私の大臣に対する質問はこれだけにいたします。
  90. 山村新治郎

    山村委員 大臣も時間がないようでありますから、行政その他に対する一般的な質問は、いろいろチャンスもありますから、私は具体的数字の面においてお尋ねしたいのであります。大臣の、特に農業予算の面に対するところの熱心な御努力には感謝いたしますが、土地の問題につきましてまず土地改良の事業開拓事業とございますが、はたして大臣は、どちらを重点的に考えられて、この予算原案を出されたか、その点につきまして伺います。
  91. 森幸太郎

    森国務大臣 開拓と申しますと、未耕地開墾もあるいは沿岸、沼地等の干拓も含んでおるわけでありまして、土地改良の中にもこれは総合的に考えられる経費でありまするが、これはどちらに重きを置くという意味でなしに、すでに未耕地の開墾も、予定の九〇%が終りまして、その残つておる予定地をやればそれでいいわけでありますが、まだまだ考えれば、未耕地というものはできて来るでしよう。しかしこれは国土の総合計画の上から申しまして、開墾すべき土地であるか、あるいはこのまま平林地として残した方がいいかということを検討を加えて、これは開拓してもさしつかえないということを承認したものに対しては、やはり耕地の拡張の上においてやつて参るのであります。干拓の方におきましても、沿岸の干拓と湖沼等の干拓と二色ありますが、科学の力によりまして、その目的の達し得られるものは、どしどしと干拓をして行くということでなければならぬと思うのであります。従つてこの経費を、どちらに重点を置いたかということでなしに、日本の現状といたしましては、まだ干拓する場所が相当あるのであります。しかもその干拓が長くかからずして、短時日の中に完成するというものから取上げて、その完成を急いで行きたい、かような計画で事業を進めておるわけであります。
  92. 山村新治郎

    山村委員 御説のごとく、開拓事業の中に、開墾と干拓その他がありまして、いずれも食糧の絶対性、安全性を持たない日本としては、重要な仕事であることは間違いないことでありますが、ただ吉田内閣の根本的な政策の一つといたしまして、治山治水ということがすでに叫ばれておりまするが、この点がややもすれば開墾事業の行き過ぎによつて、その方針と相矛盾する傾きが多分にあるということは、しばしば識者の指摘しておるところなのでございます。この原案を拜見いたしますると、開墾事業は去年に比べまして、四億五千八百万円の増加をいたしておるようでございます。しかしむしろ実際は個人の農家が所有いたしておりますところの、すなわち犠牲田を、より一層改良を加えることによつて増産の方が、開墾の仕事によつてほとんど山を荒じたに過ぎない結果を生んでおる現状に比べまして、国家的見地から考えてはるかに有効であるということを考えますときに、土地改良の方面の、特に国営灌漑、排水事業が、わずか三億九千万円増でございまして、この開墾事業の方がはるかに四億五千万円増と上まわつておるということは、吉田内閣の基本方針たる治山治水の政策とも、いささか相矛盾するものがあると思うのでありまするが、この点に対する大臣の御見解を承りたいと思います。
  93. 森幸太郎

    森国務大臣 予算の面からお考えくだされば、さようにも一応考えられますが、土地改良ということでは、公共事業関係しております災害復旧、これがとりもなおさず既耕地を復旧して改良するということになつておるのであります。また排水とか容土とかいうことも、もちろん土地改良の中でありまするが、災害復旧ということを合せてひとつ御研究願いたいと存じます。
  94. 山村新治郎

    山村委員 もう一つお伺いいたします。見返り資金の運用につきまして農業方面の実際予算に対する計画が進められておると聞いておりますが、この配分の率も——大体が普通予算の場合におきまして、こういうような数字を立てられておりますと、この予算が見返り資金の方にそのまま参るおそれが多分にあると思うのでありますが、この点は別個のものとして計画を立てられるものでありましようか。
  95. 森幸太郎

    森国務大臣 見返り資金の運用は、御承知の通り特別な事情がありまして、これを当初からあてにして予算歳入と見ることができ得ないのであります。その後見返り資金から農業資金の方にまわすということは、予算以外のことになつておるのであります。さよう御承知を願います。
  96. 松野頼三

    松野委員 早期供出の奬励金の問題ですが、單作地帶はなるほどただいまの現行法で、ある程度恩惠をこうむりますが、二毛作地帶におきましては、現在の早期供出の奬励金のわくに入りきらないところが多々あるのであります。これが早く供出を完納するための奬励金ならば、これは全国的に行わるべきものである。單作地帶におきましては、あるいは寒冷地特別手当が含まれてはおりますが、この供出奬励金が、供出を早くしろという意味ならば、これは全国的に、單作地帶、二毛作地帶の差を緩和して、供出を早くした者に奬励金を出すような方法にかえなければならぬと思いますが、これを第一にお伺いいたします。
  97. 森幸太郎

    森国務大臣 早期供出奬励に対しましては、いろいろおもしろい沿革があることは御承知の通りであります。これを考え出しましたのは、日本の食糧事情が非常に惡い、とても十月の端境期が越えられない。二合三勺の配給ができない場合、どうしたものかという心配から、早場米の地方へ参りまして、どうか收量が惡くても早稻をつくつて出してもらいたい。あるいは少々刈取り時期が早いと考えられても出してもらいたい。そうしなければ、この十月の端境期が越えられない、こういう時代があつたのであります。その時代には、農林省からも出張いたしまして、そうして地方の農業者団体の人なり農業者を集めて、いわゆる懇請して早場米を出してもらつて、端境期を越えたのであります。そういうむりをして收穫の少いわせをつくり、あるいは收穫の時期に達していないものを刈つてもらつて出してもらつたという、それに酬いなければならぬというのが、早場米供出に対する奬励金であつたのであります。ところが農業者諸君のお骨折により、おかげさまで食料事情がよくなり、また連合国よりもいろいろ心配して食糧を輸入してくれますから、今では十月の端境期は、資料にも示しております通り、よほど余裕綽々たるものがあるのであります。それでありますから、もはや奬励金を出してまで、十月に出していただかなくともいいと実は存じておるのであります。しかしながら現在は、單作地帶に対しまして、特に同情申し上げなければならない土地の改良等の、特別な事情によつて、これが改善せられる地方もあります。また気候関係では、單作地帶でどうしても依然として続けなければならぬ地方もあります。單作寒冷地帶の助成は、先ほど予算説明の際にも申し上げましたが、昨年は一億からの助成をして、温床苗代をつくることにしましたが、今年は約二億五千万円の金を出しまして、同じく寒冷地帶に奬励命をまわしておるのでありますが、とてもこのぐらいなことでは、單作地帶いわゆる寒冷地帶に処することはできないのであります。食糧事情がよくなりましたけれども、この早場米奬励の気持でこれを継続して、本年もまた明年度もその奬励金を出すということを続けて行くことは、そういう気持であるのであります。従つて二十四年度における早場米の供出につきましては、従来の早場米を出してもらいましたことと比例して決して寒冷地帶ということに限らず、全国的に早場米を二十三年度まで出してもらつたその量と比例して、各府県に割当てて、これだけは出してください。これだけは出します。こういうふうに処理をいたしたのであります。早場米を奬励いたしまして、いわゆる農林一号等のわせ種類しかつくれない、またつくつた方が、中手、おく手をつくるよりも利益だという地方は格別でありますが、中手以上、おく手をつくつた方が收益が上つてよいのだけれども、早く出せば奬励金がもらえるからというので、牧量の少いわせをつくる。たとえば滋賀県なら滋賀県、京都府なら京都府で中手、あるいはおく手をつくつた方が收穫が多い。ところが奬励金があるからというて、その收量の少いわせをつくる。そうすると、奬励金があるために、国家全体から見て生産を減らすということになるのであります。個人は奬励金がもらえますから、收量が少くても奬励金でカバーしてよいかもしれませんが、国家全体から見れば、わせをつくらぬようにしてもらつて、そうして中手、おく手の收量の多いものをつくつてもらうことにしなければ食糧増産にならぬ。東北なり北陸地方の寒い所は、中手、おく手はだめなんです。従つてあすこには農林一号というような特殊なわせ種類をつくられて、初めてそれが農業経営にもよい、早くそれが出て来るということになつておるのでありますが、早場米奬励金に対しての考え方が、昔と今と非常にかわつて来まして、やはり一部の單作地帶を奬励保護するという気持で、早場米という名前で現在これは持続して行きたい、かように考えておるわけでありますが、早く出さざるを得ない所と、早く出さなくとも、よい所を一つにして、早く出したからそれに奬励金をやるということは、国家全体の食糧増産の意味から見て、たとえば暖かい地方においては、これは決して奬励すべきものでない、かような気持でおるわけであります。
  98. 松野頼三

    松野委員 次に、先ほどに関連しますが、土地改良事業であります。土地改良が本年は災害復旧費を含めて相当増額される、こう言われましたが、現実面におきまして、ことに灌漑用水は市町村団体は本年はすべて補助金の対象から打切られたと私は承知しております。そうしますと、一番現実面において土地改良が簡單にできて收益が上るという市町村営の土地改良が、本年は国の補助金が打切られたという結果になつて、先ほど災害と結び合せて土地改良事業はふえたと言われますが、どうしてもそこまでは考えつかない。もう一度この点の御方針を承りたい。それと関連して開墾事業でありますが、現在開墾事業として、ことに小開墾がおもに残つておりますが、小開墾事業は、おそらく計画には載つておりますが、現実面において何ら手をつけないところの山林がたくさんある、また計画の中に入つておるために、はたして将来どういう方針があるかというので、手もつけられないというのが、各市町村におそらく相当の数残つておるだろうと思う。御承知の通り、最初は開墾を強制的に各県に割当てられたということから、実は現実面に矛盾が出て来ておるのでありますが、いまだにその計画をどういう方針でやられるか、これを解除するか、あるいは強行するかというこの一点について、第一の御答弁を願いたい。私はこの開墾事業よりも土地改良に市点を置くという一人でありますが、ただいまの小さい市町村営の土地改良を何ゆえに打切られたか、この二点をお伺いしたい。
  99. 森幸太郎

    森国務大臣 事業計画の詳細な点は政府委員からお答えいたしますが、その根本問題の土地の変更という問題につきまして私からお答えいたします。百六十五万町歩という一つの予想をいたしまして開墾に着手したのであります。ところが百六十五万町歩というのは、過去においてそういう統計の根拠があつたかもしれませんが、私はこの問題について相当議論もし、考えたわけでありますが、ただそれを各府県に割つけて、それだけは開墾しろ、戰時のあの戰争の勢いをもつてつて来たようなことをやつて来たのであります。これが行き過ぎをいたしまして、その行き過ぎの結果は、遂に平地林をなくして水害の原因を起すというようなこと、が非常にできまして、今では農地委員会の決定いたしました土地が、真に農地として適切なものであるかないかということについては、相当な議論があるのであります。そこで一昨年末から林野庁長官の名前におきまして、また農政局長の連名によりまして、できるだけあやまつた農地の買收はやつてはいけないという注意をいたしたこと、があると記憶をいたしております。しかしなおこれが法制化いたしておりませんので、なかなか行き過ぎることがある。それでその反別によりましては、県の調査会を経て、その調査会がこれは農地委員が買取つてもよいということを決定して場合においてこれを買收する。また十町歩未満でありましたか、小さいものは、地方事務所ごとに審査委員会をこしらえて、その審査委員会が、これは開墾してもよいということを決定したら、それはやつてもよいというふうな措置をとつたのでありますが、これは決して法的措置ではないのであります。従つてその農地委員会の行き過ぎはなお今日も継続されているような面がありますので、これは国土を保護する上から申しましてたいへんなことになる。東京近くを歩きましても、りつぱな森林になりかけている、いわゆる幼木林を農地に開墾するといつて切離す。ところがどうせそんなものは一年、二年ではりつぱ農地になりませんから、遂にはまた元の林にもどるということをせざるを得ないというような情勢も見受けられるのであります。それで造林法を今度は法律化して、この地方は森林として持つて行くことが利益であるということを決定いたしまして、その農地委員会とも相談いたしまして、ここは開墾するよりも林地としての維持がよいという場合においては、それを造林地として指定して、それに造林せしめる。こういう計画を法制化して行きたいと考えておるのであります。昨年の再々の台風によりましても、平地林をいたずらに開墾したために、水害の度を高めたという例も相当現実にありますから、耕地も必要、あるいは開墾も必要でありましようけれども、あまり行き過ぎたことは、これは国土保安の上からいつてもたいへんでありますから、その実際に合うような耕地の拡張、林地の保護ということに政策を進めて行きたいと考えておるわけであります。なお経費の問題については農地局長からお答えいたします。
  100. 松野頼三

    松野委員 もう一つは、すでに伐採しましたところで、現在計画のままで放置してあるという所が開墾予定地にあるのでありますが、これは農地委員会に申請して、開墾予定地解除という方針で申請されれば解除されるかどうか、それが第一点であります。
  101. 森幸太郎

    森国務大臣 一応農地委員会が手続を完全にやりまして、開墾予定地として決定いたしておるものは、これはやむを得ないと思います。今後における問題といたしましては、その審議会にかけて協議を経なければ、農地委員が、これを買收地として、決定することができないことになつておるのでありますが、今日まで正しい手続を終えて、農地買收地として決定いたしておる向きに対しましては、これはいたし方がない、かように考えておるわけであります。
  102. 松野頼三

    松野委員 もう一つ、再び農地委員会に申請して、農地委員がこれは不適当だという判決を合法的に下した場合には解除されますか。
  103. 森幸太郎

    森国務大臣 もちろんこれは解除いたします。
  104. 松野頼三

    松野委員 次にもう一つ農村工業予算がここに記載されておりますが、これはおそらく農村工業振興のための技術員の経費及び旅費程度のものではなかろうかと思いますが、農村工業振興の金融的措置をどういうふうにおとりになるか。これが第一点。  第二点は、本年は農地証券の償還をどの程度にされるか。昨年はたしか三億五千万円かと承知いたしておりますが、本年はまだ七十億ぐらいの農地証券が償還されないものが残つておりますが、本年はどの程度行われるか、これが第二点。  もう一点は、先ほどの見返り資金に関連しますが、土地改良事業が市町村営のものが国旗補助の対象から打切られましたから、これに見返り資金をもつて土地の改良事業を継続されるか、この三つをお伺いしたい。
  105. 森幸太郎

    森国務大臣 見返り資金の問題につきましては、後ほど農政局長がまとめてお答えいたします。  農村工業経費は、国の予算面におきましては、指導者の教養ということに使うことになつておりますが、見返り資金に対しましては中央農林金庫からこれを融通をいたすということにいたしたいと存じております。中央農林金融金庫の方にも、農村、漁村、林業山村、いろいろの方面に金がいるのでありますが、今までは御承知の通りわずかに四億万円しかわくがなかつたのであります。これを増資して八億にいたしまして、その二十倍百六七十億万円のわくを定め、また見返り資金の方から八億ここへ出資いたしまして、そうして十六億になるわけでありまするから、それの二十倍とすると三百二十億万円というわくができるわけであります。その範囲内において相当この農村、山村、漁村に対する資金の面をやつて行きたいと思つております。農村工業におきましても、その性質によりましては非常な金もいる、また設備等もいるような工業もありますが、そういうものに対する資金は、中央金庫を通じまして助成いたしたいと考えております。なお土地証券の回收につきましては、昨年度は二十億ですか、やつたわけでありますが、これは一日も早く償却いたしたいということを考えておるわけであります。
  106. 松野頼三

    松野委員 だんだん大きな問題になつて来ますが、もう一つは、先ほど予算委員会で御答弁がありました、供出制度の改良も自分は考えておるというお話でありますが、供出制度の改善とは具体的にどういう点を御改正になられるか、要点だけでけつこうですからお尋ねいたします。
  107. 森幸太郎

    森国務大臣 供出問題は、とかく具体的に早合点して申しますと問題を起しますので、申し上げるのはどうかと思うのでありますが、今日の供出制度を改めるということは、今日の供出制度の欠陷を除くということであります。今日は農家が競うてこの供出制度に協力しておつてくれるかどうかという一つの問題がある。これはもう根本の問題であります。この供出制度は、決して農家全部が喜んで供出に協力してくれるとは考えられませんから、それはどういう点が農家が協力してくれないか、これをよく明らかにすれば、おのずから供出制度の改革すべき欠点がわかつて来ると思います。将来は食確法とかあるいは食糧管理法とかいうような小むずかしいことなくして、そうして日本の食糧が外に依存をいたすといいましても、それが日本の国民の力によつて輸入するという状態になる場合におきましては、日本の食糧事情もかわつて来るわけでありまするから、そういう場合において、働けば働いただけ、よけいとればよけいとつただけ、それだけ生産者がその努力に報いられるような農業政策でなければならぬという見地から、供出の面におきましてもそういう気持で供出制度をかえて行きたい、かように考えておるわけであります。今ではいもなんかも自由にしまして、一部においては非常に高くなつて喜んでおる農家もあります。またせつかくつくつたのが、処分に困るからやはり統制してもらつた方がいいというような考えを持つておる農家もありますが、これはまだ今日の食糧事情が自由な立場に置かれないのでありまして、将来の供出制度におきましては、今日の欠陥を補つて、そうして生産者が自分のとつたものを生産しない人に供給するという気持が、農業経営の上に有利な立場でなし得られるような制度に改めて行きたい、かように考えておるわけでありますが、具体的にこういうことを考えておるということは、ちよつと控えさしいただきたしと存じます。
  108. 松野頼三

    松野委員 作物報告事務所というものがありまして、作柄を報告なさつて農林省が本年の予想收穫及び割当をなさいますが、この作物報告事務所の報告と、市町村の報告との問題が供出の一つの非常に大きながんではないか。それでさしあたり作物報告事務所というものを、今後どういうふうに増設されるのか、あるいは縮小されるのか、または人員をふやされるのか。承りますに、地方の食糧供出面において、最も不足しておるというのは正確な調査の問題であります。あるいは本年も予算の審議の前に、農林大臣は増員の計画をお持ちであつたようにも承りますが、現実にはできなかつたというふうなぐあいではないか。いわゆる農林大臣の御構想として、作物報告事務所を今後どういうふうにやつて行くか。どういうふうにして作柄を予定するか。往々にしてこの作物報告事務所が、現在有名無実的な中間的な存在であるということが、一つの私の大きな疑問であり、また地方の論議の中心のように考えられますが、作物報告事務所の今後の経営及び増設、増員ということをお伺いしたい。
  109. 森幸太郎

    森国務大臣 作物報告事務所につきましては、関係方面の慫慂によりまして日本の統計が世界の統計とつながるということの必要性より、これの設置を慫慂され、また政府もその必要を認めて設置したわけであります。ところがこの作報事務所に勤務しておる人は、実に気の毒であつたのであります。なぜならば、一面この供出制度があるからであります。この供出制度がないといたしますならば、この統計調査することは実に易々楽々なものであつた。ところが片方において生産計画を立て、そうして実收高を調べ、その実收高によつて農家の保有を定めて、その余りを供出さす。いわゆる作物報告事務所が正確な数字をつかめばつかむだけ、農家は裸になつて出さなければならぬ、こういう立場にありますために、作物報告事務所が一番きらわれておるのであります。これは実に事務所に活動された人には私はお気の毒に思うのでありますが、日本人は——すべての問題であります。ひとり農業だけではありませんが、基礎をつかんでいないのであります。耕地面積も、田畑合せて六百何十町歩といつておりますが、これは減つたりふえたり、年々開墾とかあるいはつぶれ田等がありましようが、大体数字においてはかわりないと思います。それが作報事務所なんかで調査いたしますと、一筆調査いたしますれば相当正確に近いものが出て来る。出て来るのたが、その出て来るものをはつきり政府が信じますと、それについて割当をする。だからもうそこで農家に余裕がなくなるから、隠し反別で隠そうとする。それだから作報事務所は不都合なやつた、ほんとうにうちの軒下まで調べて出すからということで、実に憎まれた。実際気の毒なのです。それですから昨年のごときも、作報事務所も調査いたしますし、食糧事務所も参考のために調査しました。県当局もそれぞれ調査しましたが、実收高においては一千万石も違うような実收高であつた。これはつまり日本の統計を調査する人が、神様のような気持でや  つておらないという証拠だ。これは日本のすべての政策をきめる基礎が、いわゆる砂上に宮殿を築くような状態だつておらないという証拠だ。これは日本のすべての政策をきめる基礎が、いわゆる砂上に宮殿を築くような状態だから、何べんやりましてもがらがらと結果において違つて来る、こういうことなのであります。それでありますから、私はもつと作報事務所に就職しておる人に、ほんとうにしつかりしたものをつくつてもらつて、これを地方の人もよく理解してもらいまして、そうしてこれは県も町村も協力して、ほんとうの姿をとる。われわれがほんとうの姿をとつて、それが必ず耕作面積として利用できるかできぬかということは、これは考えなければならぬ問題でありまするから、必ずしも私はその数字が、鬼がものを押し売るようなことでなしに正確なものをつくりたい。これは私はこの改良局において、作報事務所の仕事が実に重大であり、しかも至難な仕事であるということに同情しておるわけでありますが、ことに名前が非常に惡いのでありまして、作報々々といかにも農家からかたきのように思われておりますから、今年からこれを農林統計調査所というような名前にかえて行きたいと思つております。これはひとり食糧だけでなく、災害調査にしても正確なものをつかみたいし、あるいは漁業の調査、あるいは蚕糸業調査、いろいろな農業調査をやつてもらわなければならぬのでありますから、そういうふうにして行きたいと思つております。今後もこの作報の事務の完璧を期するように努力いたしておるのであります。予算面においても相当の努力を拂つているのであります。ただ政府全体の行政官庁の立場から、できるだけ人員を整理せいという段階に立つておりますので、この増員に対しては今非常な苦難な状態にあるのでありますが、できるだけ作報事務所、いわゆる、農業統計調査所の拡充強化をはかつてやる。そうしてその成績が、だれからも一指もさすことのできないような正確なものをつくり上げて行きたい。これがまた日本の建て直りのための最も必要な一環だと考えているわけであります。
  110. 松野頼三

    松野委員 そうすると、ただいままでは作報報告一本を正しいものというわけで、供出関係におきましては、農林大臣作物報告事務所の統計を基礎として、今まではやられておりましたか。あるいは市町村の報告を相勘案して、妥当と認める点を正確なりと判定されておられましたか。
  111. 森幸太郎

    森国務大臣 作報事務所の報告におきましても、決してこれが完全無欠な数とは考えられません。しかし政府の機関といたしましては唯一の調査機関でありますから、その調査された結果を否定し、疑うことはできないのであります。しかしながらここに誤差もあり、また誤りもないとは限りませんので、地方庁から欲張つた統計が出ておりましても、またそれを参考にいたしまして、そうして作報報告の統計に誤りがないか。またその実收高等におきましても、直接本省より事務員を派遣いたしまして、そうして実態の調査をやつて、できるだけ正確な数を、作報事務所の数字を基礎としてつくり上げるということに努力をいたして今日まで来ているわけであります。神様のやつた仕事でありませんから、また全部末端までの組織を持つておりませんから、決してこれに間違いないということは断言できないのでありますが、できるだけ正確な数をつかむように、あらゆる角度から、総合的な数字の修正、把握に努めておるわけであります。
  112. 松野頼三

    松野委員 もう一点で終りです。食糧増配の問題ですが、盛んに世間で期待しております二合八勺の計画が、農林省としてはいつ、ころ実現できるか。もう一つは、最近くず米及び五等米を料理屋において自由に出してもよろしいという話も聞きます。これは多少食糧緩和の方向にある実例のように存じますが、くず米、五等米をどういう程度見込まれておりますか、この二点を最後に承りまして私の質問を終ります。
  113. 森幸太郎

    森国務大臣 二合八勺がいいか、あるいは三合がいいか、これは問題でありますが、米というものはそう食べられるものでないのでありますから、五合も配給されると困るのであります。しかし二合七勺では幾らか不足しているというのが事実でありますが、この二合七勺でできるだけ行けるようにしてもらいたいと思うのであります。それは、本会議でも世耕君の質問に答えましたように、食生活をかえて行く。牛乳を毎朝飲めば一勺、二勺の米がなくてもカロリーがとれて行くというように、食糧の種類を勘案することによつて、何も二合七勺の配給をしなければならぬということにはならないのであります。これは一般的な問題であります。この二合七勺は連合国が、占領治下の日本国民の食糧の限度として許されているのであります。それで二合七勺にしようか、あるいは二合八勺にしようかということは、日本が一方的にきめられない。これは連合国から食糧を輸入しておる関係からでもあります。そこで今までは二合七勺の配給でやつたが、これは黒い米であるから、これをつき屋へさらにもう一ぺん持つて行く。これがいいかどうかわからぬが、そうすると目減りするし、取られるし、非常な手数がかかるというので、社会問題になつております。そこでできるだけ白い米を配給しようというので、十二月から七分づきを出しております。それから小麦におきましても、従来は、相当むりをいたしまして、ふすまも一緒に食べてもらつておつたわけであります。そこで、三月までは大体それができてしまつておるから、四月からぼつぼつそういうようになつて行くと思いますが、白い粉を配給をする。そうして。パンにしても、うどんをつくりましても、その味覚がよくなつて行くというように、質を改良しつつあるのであります。今後二合八勺にするかどうかという問題でありますが、でき得べくんばそこまで上げたいという気持でありますけれども、これは今申しましたように、日本が全部食糧を持つておるなら自由にやれますけれども、日本だけの考えではそういうかつてが許されない事情があります。しかし今後六月、七月という收穫時期に入つて参りまして、食糧事情がいいという目途がつきますならば、労務加配等特別な事情のもとにあるところに対しましては、現在よりは一層その加配の量をふやし得るのではないかと考えております。学校給食にも、今まではパンなんかは給與できなかつたのでありますが、パンの給與をなし得るようになつて来ております。できるだけ増配をいたしたいという気持でありますが、先ほどお断り申しましたように、日本だけで、これは余つたから二合八勺にしてやろうというように、簡單に行政措置をとることができ得ないことを御了承願いたいと思うのであります。政府としての気持は今申し上げた通りであります。
  114. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 くず米の問題を、料飲店の臨時規整法の一年間延長の問題とからみ合せまして、新聞にいろいろおもしろく書いてありますので、御説明申し上げます。くず米、砕米につきましては、従来の食管法に基きまして、これの管理については県知事が特例を設けることができる建前になつております。しかし需給の状況からいたしましてこれを押えておつた。ところが県によりまして、いろいろ刑事問題を惹起いたしておりますので、この辺ははつきりきめなければならぬという状況になつております。それで先般各府県知事に通牒を出しまして、くず米、砕米について特例を設けて処置をしたいという考えがあるならば、府県の條例案をきめまして農林大臣に相談を持ちかけてくれ。こういう通知を出しているわけであります。それがきまりますれば、その県についてはある一種の特例的な動かし方をすることができるということになろうかと思つております。現在のところはまださようなつておりません。それから料飲店の臨時規整法につきましては、統制からはずれているものは出せるというふうに直そうと思います。そうしますといもなんかは扱えるということになるわけであります。それとただいま申し上げました通牒にからんで、くず米等も出せるのだというふうに結びつけて、新聞としては出ていると思います。
  115. 松野頼三

    松野委員 今の県知事の特例ということですが、府県知事が地域的に自分の行政管轄内において特例を設けてよいとなると、東京あたりはくず米、五等米の供出がないとすれば、東京都下には影響ないという結論になりますか。
  116. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 念のために申し上げますが、五等米はその範囲外でございます。これは政府の管理内であります。五等米でなくて、その下のくず、碎米でございます。これはやはり府県單位の特例でございます。
  117. 松野頼三

    松野委員 もう一つかんしよの問題であります。かんしよは、本年は作付統制をしないと申しますと、本年は何もかも自由にできるのかという点が第一点、もう一つは、この反別に何を耕作してもいいか、この二点をもう一度お伺いしておきます。
  118. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 今年は政府といたしましては、いも類を四億万貫と予定をいたしております。これは食確法に基かない相対の約束でやらせる、こういうつもりでございます、その事由を近いうちに県の方に出したいと思つております。従つて従来のようないも類に関する規制は全然ないというようにお考え願いたいと思います。
  119. 松野頼三

    松野委員 そうすると昨年までいもを植えつけられておつたところの畑は、本年は何をつくつてもいいという結論になりはしませんか。耕地の問題になりますが……
  120. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 結局食糧確保臨時措置法に基く生産割当というものがないわけでありますから、お話のようなことになると思います。
  121. 松野頼三

    松野委員 食糧増産確保予算というものが四千三百万円上つておりますが、これはどういうことに現実に昨年までに使われたか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  122. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これは従来農政局本来の仕事でございます食糧増産の強力な推進をはかるための経費でありまして、本年特に加わりましたのは、とうもろこしの原種圃設置補助、これが新しく加わつております。従来ばれいしよにつきましては、原種圃設置補助をやつておりましたが、新しくとうもろこしにつきましても、優良な品種のものをとりまして、増産をするための原種圃設置補助をする。そのほかは食糧増産の施策の推進をはかり、あるいはまた農業生産計画を実行するというような意味の、需給調整規則を徹底するための人件費あるいは事務費でございます。
  123. 松野頼三

    松野委員 今人件費と言われますが、新しく人間がふえたというような感じがいたしますが、そうなりますか。ほかの人件費の中に含まれておりますか。
  124. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これは特に含まれておりません。この予算書でごらんいただきましても、こういうように前年度予算が四千五百三十九万八千円でございます。本年度は先ほど申し上げましたように、とうもろこしの原種圃設置補助もございますが、総体においては四千三百二十九万七千円に減つております。人件費の増は、ございません。
  125. 松野頼三

    松野委員 三浦長官もおられますが、薪炭の場合に特別供出奬励金、そういうものをお出しになつて大分会計検査院でもめたようにも存じておりますが、これはやはり食糧増産確保のために、特別に各府県知事に配付されるという予算の形式をとつておられますか。
  126. 藤田巖

    ○藤田政府委員 それは全然別個でございます。
  127. 松野頼三

    松野委員 そういうふうな供出のために特別経費が食管の特別会計か何かにありますか。どういうふうにして供出の成績のいいものに配分されるのか、惡いところに奬励のために、特にしりをたたくために配分するのか。まずこれをお聞きしておきたい。これはたとえば供出のため一の奬励金と申しますか、そういうようなものはないわけでございますか。
  128. 金城順隆

    ○金城説明員 そういうものはないわけですが、食管特別会計の中に集荷委託費というのがございます。これは御承知のように地方財政法の中に、供出のために要します経費は、地方自治体がこれを負担しない、国が全部負担するという規定があるわけでございます。従つて地方庁が中央から生産供出の割当を受けまして、これをずつと農家まで下して行く事務が一つございます。それから供出の督励その他供出のために要します旅費とか会議費とか、相当の一経費があるわけでございます。その経費を国が負担するために特別会計にそれを置いておるわけであります。それらの配付方法といたしましては、供出割当数量並びに各府県の広さというようなことを勘案いたしまして、各府県に割当をしておるわけでございます。
  129. 松野頼三

    松野委員 どうもちよつとはつきりしないのですが、集荷委託費というものが各下々までまわりまして、市町村及び役場までこの経費が事実行つておるということは、実は役場の村長さんもあまり知らないのです。それでこれがどういう配分でやつておるのか、できますならば供出数量に応じて府県に多くやつておるという割当の関係を聞きたい。もう一つは市町村まで行つておるかどうかという確認は、どういうふうにされておるかということを伺いたい。
  130. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 集荷委託費はただいま錦城課長からお話申し上げたのでありますが、供出の数量、それから内容的には旅費等に使われるのが相当多くなつております。県の広さというようなものがやはり基準になりまして割当されております。それで県におきましては会議費であるとか旅費であるとか、いろいろ督励の費用に使われておるのでありますが、町村別に、また用途別にいろいろ使い方があるということにつきましては、府県の方に全部委託されております。
  131. 松野頼三

    松野委員 本省ではこれを供出数量に応じて各府県に渡す、こういう原則のように伺つておりまりが、そういうふうになつておりますか。
  132. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 大体供出量を主といたしましてやつております。
  133. 松野頼三

    松野委員 大体という言葉が問題になるのですが、いずれこれはあとで会場計の方からお伺いしてもけつこうです、それでは供出数量に応じて各市町村にわけるというふうに了承します。  もう一つ旅費は本省の旅費になりますか、各府県知事の旅費という意味ですか。
  134. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 供出督励の地方庁の旅費でございます。     〔主査退席、山村主査代理着席〕
  135. 松野頼三

    松野委員 その総額はどれくらいの程度のものでありますか。
  136. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 集荷委託費は四億くらいであります。
  137. 松野頼三

    松野委員 これも当然中間マージンの中から出るわけでございますか。
  138. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 いわゆる中間経費というようなことを分類いたしますとその中に入るわけであります。
  139. 今井耕

    今井委員 私先ほどの肥料の続きをやります。  肥料の生産が相当多くなる。そこへもつて来て、今政府の計画で肥料の値が上つている。そうすると大体農民の支拂わなければならぬ肥料代がどのぐらいになるか。そういうことについて計算されたことがあつたか。あればどのくらいになるか承りたいと思います。
  140. 藤田巖

    ○藤田政府委員 大体二十五年度の生産計画及び需要計画に基きます肥料の資金所要額は、公団配給肥料その他魚肥類、石炭類、自由品等を合計して約五百二十四億、こういうふうに計算いたしております。
  141. 今井耕

    今井委員 そうすると、これが農民の支拂う金額と一致するわけですか。
  142. 藤田巖

    ○藤田政府委員 さようでございます。
  143. 今井耕

    今井委員 私も大体そのくらいの見当になりはせぬかと思つて概算をやつておつたわけです。もちろん肥料は米や麦だけに使うものではありませんけれども、農民の現金收入の一番大きいものは米代であります。供出を三千万石としますと、今の四千二百五十円で計算すると一千二百七十億円ということになります。そして五百二十四億円の肥料代とこの供出の米代と勘定すると、非常に大きい比率を持つわけです。ところが実際にこんなたくさんの肥料を現下の農民の経済ではたして買えるか。こういうことを、私は農村の経済から考えて非常に心配するのであります。おそらく硝安というような肥料は、もう農民は引取らぬと私は思うのです。硝安というような肥料が相当入つて、これに補給金を十三億七千万円も出しておるということは、何としても合点が行かぬことでありますので、こういう点について政府の御見解を承りたい。
  144. 藤田巖

    ○藤田政府委員 お話の通り、硝安は、肥料としても施肥に非常に注意を要しなければならぬものでありますし、また水田等には不向のものであるわけであります。従つて私どもといたしましては、全体的に肥料の非常に少いときでありますならばいいわけでありますが、相当肥料の出まわりもよくなつて参りますと、おそらく農家は硝安よりも硬炭を好むであろうと想像いたされます。しかしながら硝安にもまた一つの特質があるわけであります。私どもといたしましては、昨年個々の農家につきまして、需要量の調査をいたしております。たとえば硫安がほしいとか、あるいは硝安が幾らほしいとか、こういうふうな調べをとつております。従つて大体硝安のほしいところに硝安を振向けよう——御承知のように畑作、特に果樹地帶においては、相当硝安を好むところもございます。そういうところに重点的に流すことにいたしまして、特に硝安を欲しないようなところは、極力これを避けて行きたいというふうにやつて参りたいと思つております。
  145. 今井耕

    今井委員 お説の通りに、肥料の需要量を調べたということも承知しておるのでありますが、肥料が今政府の計画通りほどたくさん配給されるとも思つておらぬし、また八月から七割五分も上るというようなことは事実知らんでおる。従つて実際やつてみた場合と相当そこに開きのできることが予想されるのであります。そこで、これだけ肥料がたくさんでき、値が上りますと、引取らぬものが相当できて来る。自然統制撤廃をやつてもさしつかえない時期が遠くないと私は思うので、こういうような点に関する政府の見解を承りたい。
  146. 藤田巖

    ○藤田政府委員 肥料の種類ごとにそれぞれ若干事情が違うと考えております。たとえばカリ肥料のごときは全部輸入に仰いでおり、国内の生産はございません。数量的に考えましても、やはり農家の欲する数量にはまだ到達いたしておりません。過燐酸につきましても、若干足らないように考えております。ただ硫安及び石灰窒素等の窒素肥料につきましては、相当生産も三つて参りましたし、硫安の輸入及び硝安の輸入等もございますので、このまま生産が順調に続いて参りますれば、私どもの観察といたしましても、おそらく本年の秋肥ごろになりますれば、需要についてはあまり不足というふうな問題は起つて来ないだろう。むしろ地帶によりますと、割当てました肥料を有効需要その他の関係でとらないというふうな事態も、若干起つて来ようかと思つております。従いまして、私どもといたしましても、別途に今後の需給の見通し等も考えまして、公団機構の再検討をいたし、必要な機構の改正をどうやつて行くかということを、現在考究中であります。
  147. 今井耕

    今井委員 政府提出の資料によりますと、昭和二十四年度の米価のパリティー指数は一五六・一四、それで四千二百五十円、二十五年の秋の想定米価はパリィテ一指数が一六八、そうして四千五百六十二円、そうすると石三百十二円高くなることになります。これを供出米三千万石でかけてみると九十三億六千万円、こういうことで、大体この秋の米価を想定して收入面を考えてみると九十三億円、今の肥料の八月からの値上げをずつと考えてみますと、その比率は非常に大きくなつておるのであります。そこでこの肥料代を米価に織り込む場合に、その高くなつた肥料代の増額を米価に織り込むお考えか、あるいは従来のようなパリティーでお考えか、どういう考え方でこの一六八という想定パリティーができておるのであるか、その点の事情がわかつたならば、御答弁願いたいと思います。
  148. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 お話のように、パリティー指数を一六八と推定いたしておりますが、これは物価の上昇率あるいは肥料の問題、そのほかいろいろな事情を考慮いたしまして一六八という想定パリティー指数を出したわけであります。現実の問題といたしましては、このパリティー指数がどう変化するかというようなことは予測を許さんのであります。しかし予算を組みます以上、やはり一つの前提をとらなければ組めませんので、そういう各方面の資料を收集いたしまして、一六八という想定パリティーをしたわけでありますが、実行にあたりましては、そのときのパリティー指数でもつて全部がはじき出されて計算されるわけであります。そこに予算と実際の使用額との食い違いが出て来るわけであります。一六八を推定したその内容について、詳細の資料は、私ただいま手持ちしておりませんので、もし必要がございまするならば、参考資料として物価庁の方から出していただくようにいたします。
  149. 今井耕

    今井委員 ただいままでいろいろ御答弁願つたのですが、肥料代が補給金撤廃によつて非常に高くなつておる。それから米価の方は、輸入補給金がうんとふえて、従来通り低く押えられておる。しかも輸入補給金四百五十六億円というものが税金でまかなわれておる。これは農民にもやはりこの負担がかかつて来る。四百五十六億円というものを国民一人当りにすると五百五十円、一戸平均にすると二千五百円という負担になるわけです。そこで米価を相当安くきめて、また農民は何ら恩惠に浴さぬ。こういう経費で、一戸平均二千五百円の負担をしておる。一方肥料代は非常に高くなる。こういうふうに補給金の撤廃が、農民の経済に惡くばかり動いて来ておる。こういう結果になつておると思うのでありますが、それは大体政府の補給金を減らすという趣旨に一貫性がない。だからほかの補給金を減らすなら、輸入食糧の補給金も減らすという方法をとれば、何もかも合うのだけれども、ほかの補給金は減らすけれども、輸入補給金はふやす。なるほど国全体としてはそれでいいかもしれませんが、国民の各階層に支えろ影響という方面から考えてみると、今日の農民の経済は非常に不利な立場に立つておる。こういうことは農林当局として農村の経済から考えて、相当強く是正すべく努力がなされなければならぬと思うのであります。こういう点につきまして、農林当局がどういうふうにお考えになつておるか、御見解を承りたいと思う。
  150. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 私どもできるだけ国内の生産をあげて、国内食糧の増強によつて、輸入食糧を減らして、補給金等をあまり使わないで参りたいと思つております。また米価についても、適正な米価をきめることによつて一部国際的な価格というようなものもありますので、その辺ともにらみ合せて調整をとる必要もあろうと考えておるわけであります。私どもとしては、できるだけ補給金を少くする方法について努力をしたいと考えております。
  151. 今井耕

    今井委員 次に当面の問題としまして、昭和二十四年の稻作の收量は意外に少かつた。政府予定よりは三百八十二万石減收である。これは五・八%に当る。なほ前年に比べても二百三十七万石減である。こういうことが発表されておるのでありますが、これを四千二百五十円で計算しますと、農民の所得の收入減は百六十三億円ということになります。予定よりは、確実にこの百六十三億円は農民の所得が減るわけです。それから不作の年には米質は惡いのである。その惡い年に急に検査がきびしくなつた。これで等級価格差によつて收入の減るのも計算すると、六十五億くらいになる。そうすると昭和二十四年の天候の加減で、農民の所得減は約三百二十億円ということになります。今日のこの。パリティー計算というものは、昭和九年から十一年の物価を基準にしているのでありますが、その時分には相当豊作で、その豊作になつた年の物価の比率によつて、相当不作な今年の比率をきめるということになりますと、非常に農民の経済は悪くなる。従つてこういうふうに結果がはつきりすれば、その基準年度そのものも、そういう豊作の年でなしに五、六パーセントは減收であつたという年度の基準をとりまして、ハリティ治でやつて行くということにしないと、豊作のときの基準で不作の年も同じように決密をするという行き方では、農民の経済は非常に圧迫されると考えるのでありますが、こういう点について当局の見解を承りたいと思います。
  152. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 基準年次のとり方につきましては一隻ともいろいろ異論があるわけであります。結論的にはあの年次というものは、日本の経済が最も最近において調和のとれた時代であるという前提のもとに、あの基準年次が立てられておると思うのであります。それでただいまのお話のように、豊凶の差がパリティー計算による米価の中に反映して来ないということになろうかと思うのであります。私もその点は確かにそうだと思います。均衡価格の点のみから米価がパリティー方式においてはとられて来ておりますので、非常に凶作である、豊作であるというような場合の動きというものは、嵐接には出て参らぬのであります。農民の経済から申しますと、自由経済になりますらならば、非常に農作であれば米価が安くなります。非常に凶作であれば高くなるというので、その間の調節がとれるわけであります。こうした統制経済下におきましては、その点がそうは行かない。しかもパリテーう計算でやりますと、豊凶の差による影響が直接には現われない。どうしても凶作等の年におきましては、生産費の計算をいたしますれば高くなるわけであります。豊作の年には生産費は比較的安くなる。今後ともパリティー計算方式を採用するにいたしましても、豊凶というもののフアクタ治を、何かの形で織り込んで行く必要があるのではないかといケふうに、私どもは考えておるわけであります。その点が端的に現われる方法としますと、水産資源を例にとればはつきりして来るわけであります。いろいろな事情からいたしまして、今後ともパリティ治計算をとつて行くということにいたしましても、質凶による価格変動の要素というものを、何かの形で織り込んで行くことが適当ではないかと考えております。
  153. 今井耕

    今井委員 実は昨年の天候が悪かつたために、農民の所得が二百二十億円減少するということは、供出の米代一千三百億円から割出しますと、米作に対して一割五分の所得減ということになります。これは非常に大きな影響です。私は安本長官にもこのことを強く要求しておるのでありますが、ぜひ何とかこういうような一割五分も現金收入が減るのでありますから、処置を講じないと、とうてい耐えられぬようなことになりはせぬかということを心配するのでありまして、今後ともこのことを早急に御心配願いたいと思うのであります。  次に今月の食糧価格政策について御見解を承りたいと思うのでありますが、食糧の価格政策というものは、低ければ生産者が非常に困る。高ければ消費者が非常に因る。従つて国民生活の安定の上から考えまして、ここに強力な社会政策的なものがなければならぬと思う。そこで現在農民の四千二百五十円というものは、とうてい農民の再生産をやつて行くことのできぬほど低い価格である。その消費者価格は約六千三百円でありますが、中産階級以下の消費者は、一般の価格に比べて高くはないけれども、生活にほんとうに重圧を加えておるということもようわかる。ただ中産階級以上の消費者というものは非常に楽なことになつておると思う。従つて今日の食糧の価格政策は、農民と中産階級以下の者が非常に苦しんでおる。こういうことになる。、結局食糧に対する負担は平等負担であるということであるから、有産階級の人は非常に楽しておる。そこに社会政策的なものが何らない。そういうことは農民やら中産階級以外のものに非常に負担が重いということになる。従つてほんとから言えば、たとえば生産者価格が四千二百五十円、消費者価格が六千三百円だつたら、その中間の五千円にする。そうしてその中間経費はこれは税金でとる。こういう方法で行けば、ここに非常に社会的政策的なものになつて来る。そうすれば勤労者の生活も相当楽になる。農民もある程度生産生活に支障を来さぬということになつ、て来る。そういうふうに考えて行くことが今日の場合非常に必要でないか、こういうことを私は考えるのでありますが、こういう点について当局の御見解を承つてみたいと思います。
  154. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 お話の点は、以前に採用しておりました二重価格制度をとるか、とらぬかという問題であると思います。やはり全般の経済情勢からいたしまして二重価格制度をとることが適当であるということで、相当長い間二重価格制度をとつて来ておりましたが、財政経済面からいたします方針の確立に伴いまして、この二重価格制度をやめたのであります。お話の点のように、大衆の生活の安定をはかつて、また生産者の苦上い立場をできるだけ緩和するという線で参りますれば——私は一つの方法として二重価格制度というものをやはり考えるべき筋合のものであろうと存じております。現在の財政状況からいたしましてなかなか実現は困難でありますけれども、一つの賢明な方策であろうと私は考えます。
  155. 今井耕

    今井委員 次に農業手形の問題でありますが、昭和二十三年に農業手形の制度ができて農民の利用高が二十五億円、それが二十四年度には百五十三億円出て二十五年度には、先ほども約二百五十億円ぐらいにふえはせぬかというような御答弁があつたが、私はこんなことではとどまらぬと思うのであります。しかもこれにも限度があるわけでありますが、二十五年度はほとんどその限界に達しはせぬかと思うのであります。これは過日予算委員会でも安本長官につつ込んでおつたのでありますけれども、これは商工業者の運転資金と違つて、焦げつきのものである。営農資金として貸し付けるけれども、これは実は食い込みであつて、食い込んだために営農資金が足りないので借りておる。そういうものがどんどんふえて来る。これはちよつと返す見込みのないものです。     〔山村主査代理退席、主査着席〕 そこでこういうものがどんどんふえて来ると、これは以前農民に非常に負債が多いために、農民救済の非常ながんになつた。そういうものが今できつつある、こう見てよいと思う。こういう現象は、ただ農業手形を金がいれば出すということでなしに、こういうこと、ができぬようにするにはどうしたらよいかということについて、真剣に対策を考えなければならぬ。ただ、言つたら何ぼでも貸すのだ、そういう考え方は、きわめて不親切なことであつて、将来の農村救済の非常ながんになつて来る。そういうことを私はほんとうに、心配する。ところがこの間も安本長官にこうい、うことを聞いてみたのであります。ところが百姓も一つの営業というような見解で、われわれとはさつは、り感覚が違つておつたのでありますが、農林当局は今後の農村について、相当いろいろな高から心配していただいておると思いますが、こういう点についてどういうふうなお考えをお持ちであるか、御見解を聞いておきたいと思う。
  156. 平川守

    ○平川政府委員 お話のような意味の心配は、確かにあると思うのであります。ただ農業手形の制度そのものは、これはいわば死物でありまして、これを運用するやり方のいかんによるだろうと思うのであります。手形制度を創設しましたときの事情を申しますと、農家の方では資金が逼迫いたしまして、春の肥料を買うのにことかく、何とかして金の融通をしてくれなければ肥料も買えない、従つて生産ができない。こういう声が非常にやかましくなりまして、しからばいかなる方法で金融をするかということをいろいろ検討しましたが、その方法といたしましては、秋の作物の代金を引当てにして低利の金を貸すということができれば一番よいのじやないか。現在でも二銭四厘という比較的安い利子で融通しておるのでありますが、これがなかつたらどうなるかと申しますと、やはり場合によつては非常な高利の金が、そこに入つて行くという事態も起るんじやなかろうかというふうに考えられるのであります。そういう意味において、手形制度そのものは、われわれとしてはよい制度ではなかろうか、ただそれが比較的安易に手に入りますために浪費が行われるとか、ほかの方で苦しい金をこつちへまわして一時を糊塗しておるというような点に、お話のような弊害が考えられると思います。これが解決はやはり根本的に農業政策全体の問題として、農家の家計を改善しようという全体場問題として行くことと、それから農家に対する今の手形の運用に対する啓蒙と申しますか、そういう点が必要なのではなかろうか。手形制度そのものといたしましては、その点も心配いたしまして、これは嚴格に肥料の代金だ、農機具の代金だ、農薬の代金だというものでなければ融通しないという建前になつております。たまたまそれがいろいろ濫用される向きもあるようでありますが、制度そのものとしては、そういうふうにしてやつておるのでありまして、お話の点の心配は確かにあると思いますけれども、これが解決は手形制度の廃止という方向でなくして、全体の農業政策、農家経済の回復政策で行くべきものであると考えます。
  157. 今井耕

    今井委員 次に、先ほどちよつと御質問があつたようでありますが、農地証券のことであります。地方へ出ますと、金融業者の人が、盛んにこの農地証券なるものを買い集めておるのであります。それも千円のものを六百円ぐらいで何とかかとか言つて集めておる。それで証券を償還するなる償還するということをはつきり明示してやらぬと、そういう証券がほかの人の手に移るというような心配が非常にあるのです。今日国債なんか、繰上げ償還でどんどんやつておりますし、今日農村の資金が非常に欠乏しておるときであるから、ぜひ繰上げて、できるだけたくさんの償還をわれわれは希望するわけであります。昨年度においては約二十億円を償還したという御答弁でありましたが、本年度に幾らぐらい償還の見込みがあるか、その点をもう一つ伺いたいと思います。
  158. 山添利作

    ○山添政府委員 先ほど二十億というお話がありましたが、これは昨年の秋ごろそういう計画をしておりましたのですが、だんだん日にちも迫りまして、実は本会計年度におきましては、七億五千万円をこの三月から始めることになつております。二十五年度におきましては四十二億五千万、合せましてこの三月から五十億返す。このことは情報として流してありまして、協同組合等におきましてとりまとめて、勧銀によつて償還をさせる、こういうことになつております。
  159. 今井耕

    今井委員 よろしゆうございます。
  160. 池田正之輔

  161. 坂田道太

    坂田(道)委員 見返り資金の問題について午前中にお話があつたのですが、この見返り資金の流し方の方法についてお聞きしたいのですけれども、大体中金にやつて、それからまた中金から流すというようなお話に承つたのですが、それは間接的に行くのですか、それとも直接的に流すのですか。もし間接的に中金を通すということになれば、中金に七分五厘でやつた場合に、それから先の金利はどうなりますか。七分五厘で土地改良あたりにやられるとすると、全然中金のマージンというものはないと思いますが、その点伺いたいと思います。
  162. 平川守

    ○平川政府委員 見返り資金の流し方といたしましては、お話の通り中金を通して流したいと考えております。事柄が、各地に分散して、非常に多数ありますので、直接に特別会計で扱うことは困難であろうと思います。ただその場合の金利の問題でありますが、これは見返り資金の特別会から中金に金を貸すのは七分五厘、但し中金はその見返り資金の取扱者といたしまして、別に見返り資金特別会から手数料をもらう。その手数料はおよそ三分以内ぐらいになるかと思いますが、その手数料によつて末端に流す事務費に充てる。従つて末端の借り受けます金利もやはり七分五厘、こういう考え方であります。
  163. 坂田道太

    坂田(道)委員 それでは、見返り資金の方法については大体わかつたのですが、預金部資金を使う御計画はあるというようなお話でありましたが、実際やられるつもりでございますか、またやられるつもりで御交渉になつておりますか、その辺を伺いたいと思います。
  164. 平川守

    ○平川政府委員 預金部資金につきましては、御承知のように司令部のメモランダムがありまして、従来産業資金に使えないことになつておりますが、全体の問題として、大蔵省で司令部と折衝しておられるようであります。産業資金に使い得るということになりますれば、ぜひひとつ農林関係にも、従来使つておつたことでもありますし、また資金の性質から申しましても、農業関係に流すのは妥当な資金でありますから、ぜひこちらにも流してもらいたい。その流し方等につきましては、もちろんまだ決定をいたしておりませんけれども、おおよその考え方といたしましては、農林債券の発行限度が拡充されますれば、その債券の引受なり、あるいは直接に農林中金に預け入れをしてもらうといつたような方法で流して行きたい、かように考えております。
  165. 坂田道太

    坂田(道)委員 アメリカあたりでは、生命保險を農業関係に使つておるというようなことを聞いたのですが、もちろん日本の農村において生産力の問題あるいは回收というような問題から、なかなかむずかしいと思うのですけれども、そういうことを事務当局としてお考えになつたり、あるいはまたそれを御交渉になつたりしたことがありますか、あるいはそういう御計画がありますかどうか……
  166. 平川守

    ○平川政府委員 生命保險の金はこちらの方の利用する條件の関係からいたしまして、従来やつたこともありませんし、なかなかむずかしいかと思います。ただ最近生命保險協会の方におきましても、逆に、これを募集するような関係等もありまして、また資金の運用をやる程度国家的お役に立つようにしたいという意味から、若干農林方面に出してもよいというような話もありますが、まだ組織的にそういう方法をとるというところまで参つておりません。
  167. 坂田道太

    坂田(道)委員 この点については、金が非常に逼迫しておるときでございますから、ひとつ御研究になつていただきたいと思います。  それから、今年は非常に不作な所もございまして、災害を受けて、ほとんど收穫皆無というような所もそこここにあると思うのですが、そういう農家にとりましては、食糧確保さえもできない、その金さえもないというような事態が起つておるのでありますが、こういうような事態に対して、何か金融的措置をお考えになるかどうか、伺いたいと思います。
  168. 平川守

    ○平川政府委員 農林省といたしましては、農家の生活資金まで見るということは、少しく行き過ぎになるわけであります。ことに資金の性質が、おそらくは協同組合系統の資金ということになりますので、やはり農業生産の上の資金ということに大体は限定されると思います。但し災害等の場合におきましては、場合によつては家屋の建築に一時融通するというようなことも、行つたこともございますし、間接的に生産上の資金を流すことによつて、生活の面にもうるおいが出るというようなことはあろうかと存じます。
  169. 坂田道太

    坂田(道)委員 先ほどからも、供出あるいは割当というようなものについて耕地面積調査なり、あるいは農家人口の調査なり、そういつたものを徹底的に科学的にやらなければいかぬというようなことで、農林省としても本年度から非常に予算も組んでおるというようなお話であつたのでありますが、センサスの統計はどういうふうになつておりますか、この予算の中に組まれておりますか。作報の調査費用とダブつておるのですか、その点はいかがですか。
  170. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 今の御質問のセンサスは、世界農業センサスかと思いますが、その点は本年度の二月一日を期して実行いたしましたので、若干の集計費は入つておりますが、大部分の予算は二十四年度に計上してあります。
  171. 坂田道太

    坂田(道)委員 そういたしますると、このセンサスの統計で出て来た面積というものは、もちろん正確なものと思うのですけれども、これが将来の、たとえば割当の面積、あるいは供出の面積ということになりますか。
  172. 藤田巖

    ○藤田政府委員 生産割当をいたします場合に、先ほど農林大臣からお話がありましたが、やはり農林省としては、一番権威ある資料と考えております。これを基礎とするわけであります。しかしながら作報の調査自体が、やはり何と申しますか、ある程度の誤差があるわけであります。そういうふうな点でございますとか、あるいはまたその他府県あるいは農林省の直接の調査等も勘案をいたしまして、割当をいたします場合には、それらの要素を勘案いたしまして、これを決定する、こういうことであります。
  173. 坂田道太

    坂田(道)委員 実際市町村あるいは県あたりの調べた調査と、それから農林省の作報あたりで調べたものとの間に、何千町歩と違うのでありまして、もちろんこれを一つも違わないようにするということは非常に困難とは思いますが、その何千町歩というものをだんだん少くして行くということが、非常に必要であると思います。そういう意味において、センサスの統計あるいは作報の統計について、相当の経費を見込まれておるということはけつこうでありますが、それと同時に土壌の調査というようなものを計画しておられるか、計画しておられるとするならば、どれぐらいに見積つておられるか。
  174. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 お答えいたします。今の御質問の、單に面積だけでなくて、割当なり何なりと合理的にやるという意味からいたしまして、いわゆる地方の調査ということをやつておるかという御質問で廃りますが、私の方の予算の中にも、作報関係等に大体三千万ばかりの経費を計上いたしまして、二十四年度から地方の調査を始めております。それからもう一点、これは農業改良局の方の予算に入つておりますが、ずつと前から継続いたしております低位生産地の調査、これは県が主体になつてやつておりますが、これもたしか二千万ぐらい計上してあつたと思います。これも大体酸性土壌の調査が中心になつておりますが、作報と県と両方で地方の調査をやつております。
  175. 坂田道太

    坂田(道)委員 ただいま酸性土壌に対する紙費を見込んであるというようなお話でありますが、これは非常に必要なことだと思います。それでお伺いしたいのは炭カルの工場の問題でありますけれども、これは指定工場主義になつておると思うのですが、それ以外でも相当な製品を出し、かつ相当な生産量を出しておる会社がずいぶんあると思いますが、それが指定されないがために非常に困つておるというような実情がある。この点はどうですか。
  176. 藤田巖

    ○藤田政府委員 お話のように、炭カルについては一応指定工場というふうなことを考えております。御承知の通り、炭カル工場というものは非常に種々雑多でございまして、非常に貧弱なものもあり、あるいははつきりしたものもある。よくわからないのでありますが、しかしながらもしも従来指定に漏れておるものであつて、しかも設備その他経営の内容が確実であるというものについては、私どもといたしまして、調査いたしました結果これを加える。こういうふうな方針で進みたいと思つております。
  177. 坂田道太

    坂田(道)委員 次に干拓堤塘の問題なのです。予算総会の際に農林大臣にもお伺いしたのですが、本年度は大体一億五千万を建設省の所管として出すというふうなお話であつたのです。しかしその際に建設大臣の御答弁ではこの干拓堤塘の非常に急に修理を要するところのうちで、国または県で管理をしておるところを第一にやるというような御答弁であつたのであります。ところがこの急に修理を要するところの干拓堤塘のうちで、七割というものが、武部分が市町村または組合の管理になつておるわけでありますが、しかもこの市町村または組合になつておるところほど早くやらなければ危険な状態にある。それで森農林大臣も、耕地の安全性を高めることが第一ということを常々おつしやつておられるのでありますけれども、これに対して農林当局はどうもあまり熱意がないようにうかがわれるのであります。この七割の市町村または組合の管理になつておるところの提塘を、農林省として何とかして救済するというお考えはないか。あるいは将来何とかするというお考えはないか。その辺をお伺いしたい。
  178. 山添利作

    ○山添政府委員 干拓堤塘につきましては、県で管理しておるもの、市町村で管理しておるもの、組合で管理しておるものとありますが、ざつくばらんに申しますと、二十五年度予算の編成におきまして、建設省からも予算の要求があり、農林省からも予算の要求をいたしました。内部でいろいろ協議がありました結果、これを普遍的にやるのはおもしろくない。そこでとりあえず建設省の予算として計上する。しこうして建設省はこれを地方公共団体が管理しおるもの、及び団体が管理しておるものというような区別をしないで、急を要するものから施行して行く、そういう方針で計上いたしたのであります。従つて建設大臣からそういう御答弁があつたのだろうと思いまするけれども、実行問題といたしましては、かれこれの区別なく、急を要するとこるからやつて行く。こういうふうにぜひやつてもらわなければならぬと考えておりまするし、予算が建設省に組まれました趣旨はそういうころにございます。なおつけ加えて申しますれば、そういう方向でうまく参りますればきわめてけつこうで、元来干拓堤塘のごときものは、これは団体等が維持管理の責めに任ずるということでなくて、できればこれは地方公共団体が管理するという、明確な形に持つで行つた方がいいのではないかという考えを持つております。
  179. 坂田道太

    坂田(道)委員 ただいまの農地局長の御答弁で、大体建設省べ持つて行かれたいきさつはわかつたのでございますが、これは将来において、やはり農林省で主管されるのが適当ではないかというふうに実は考えております。と申しますのは、干拓堤塘に囲まれた農地というものはもこれは排水の問題がありますし、干拓堤塘の樋門の問題もありますし、これを排水というような上から考えたならば、むしろ農林省でやつた方がいいのではないか、もちろんこれは最終的には、あるいは建設省においてやつた方がいいのではないかと思いますが、建設省で三割ぐらいしか——国または県の所管のところだけを本年度やるというようなことでは、その間が非常に危險にさらされるのでありまして、もし台風が来てこれが決壊するといたしますると、何事町歩という既耕地が一瞬にしてだめになるというようになりますので、この点につきましてはよほど愼重に考えていただきたい。もう一回、これについて何か法案を出すというような、法制的にはつきりするという御計画はないのですか。
  180. 山添利作

    ○山添政府委員 干拓堤塘につきましては、それに付属しております施設等の関係、いろいろございまするので、今後に研究を要する問題と思いますか、まず古いものと新しいものと区別をするというようなことも、国の行政としてはなかなか苦労であります。本年きめましたような方針でやつてみまして、その実績の上においてさらに若えたいというつもりであります。ただいま法案等を提案してどういたすというところまでは考えておりません。
  181. 坂田道太

    坂田(道)委員 法案を出す御予定はないようでございますが、これは干拓堤塘に囲まれた農民にとつては、非常に重大な問題でございまして、ことに農地制度の改革が行われて、そうして農家の経済力の伸長ないし農家経営生産力の拡充というような意味で、せつかく農地制度の改革が行われたにもかかわらず、こういう危険負担を今後やつて行かなければならぬということは非常にほかの耕地に比べて不均衡であるとわれわれは考えざるを得ないのであります。ことに河川の堤防についてははつきりしておるにかかわらず、海岸線の堤防地帶のみが等閑に付されておるということは、農林省としてよくお考えいただきたいと思つております。このくらいにしておきます。
  182. 松野頼三

    松野委員 一つ二つありますが、食糧特別会計のことですが、ここに雑收入というのがあります。雑収入の約七億という物品拂下げの収入この七億の中のあき俵代、違約金代、この内訳は大体どの程度になりますか。
  183. 金城順隆

    ○金城説明員 食糧管理特別会計の雑收入にあげてございます七億というのは、これは大体輸入食糧が入つて参りますときに、それと同時に原穀の麻袋がついて来るわけであります。それともう一つは、補修用の縫糸と縫針が若干ぞれについて参ります。これが大体三百万円ほどが付いております。あとの七億と申しますのは、輸入食糧について参ります麻袋は新しい麻袋でありますから、それを売却しますのを一応雑収入としてあげてあります。
  184. 松野頼三

    松野委員 違約金、弁償金というものと麻袋が七億というふうにとれますが、それと他の部分との比例を御説明願いたい。
  185. 金城順隆

    ○金城説明員 違約金とか弁償金というものをわけてあげてございますけれども、これは普通あげます場合に、これが順調に物が運ばれ、物が保管されているという状態におきましては、違約金とか弁償金というようなものはないわけでありますが、輸送途中に事故が起きたというような場合におきましては、これは輸送業者の責任として弁償金をとり、それから保管中に事故がありました場合には、やはり弁償金として保管業者からとるわけであります。それから違約金と申しますのは、既定の事実、たとえば工事が竣工しないとか、あるいはこちらの必要上何日までに輸送をするように契約いたしてありますものが、期間中にできなかつたという場合には違約金をとる。契約の建前上こういう仕組みになつておりますので、若干の収入をあげているわけであります。実際の収入はそのときの情勢によつていろいろ違つて来るわけでありますので、これは別に積算というようなはつきりした基礎はありませんので、ただまるい金をあげているわけであります。ただ雑収入の中の物品拂下代金というのが、さしあげてあります各日の印刷物に出ております。その中の年間三百万円が縫糸、縫針、あとは原穀の麻袋であります。こういうふうになつております。
  186. 松野頼三

    松野委員 その麻袋代がどれだけかということを聞きたかつたのです。それから七億の積算の数字をお聞きしたかつたのです。
  187. 金城順隆

    ○金城説明員 物品拂下代といたしまして七億四千九百九十三万一千円とあげてございまして、そのうち麻袋と糸、針の代金は七億四千九百八十三万一千円、そのうちでまた糸が三百四十八万三百五十五円、針が四千五百六十円あげてございます。そのほかに不用物品といたしまして十万円ほどあげてございますが、これは別に確たる積算があるわけではありませんで、これだけの大きな事業をやつておりますれば、たとえば小さい物から言いますと、古新聞とか古雑誌というようないろいろな物が出て来るわけでありますので、そういうような物を拂下げるのが幾らかあるだろうというので、まるくただ十万円というようにあげているわけであります。こういうような積算になつております。
  188. 松野頼三

    松野委員 この説明にあき俵というのがありますが、あき俵はこのうちに入つておりませんか。
  189. 金城順隆

    ○金城説明員 二十三、二十四年度まではあき俵を農村還元用としてかつて売却しておりましたですが、あき俵を政府がやらなくてもいいような需給の状態になりましたので、二十五年度の分においては、あき俵は見込んでおりませんので、説明にありますればそれは間違いであります。
  190. 松野頼三

    松野委員 実はお聞きしたがつたのは、ここに包装代として十四億という計算が出ておるのです。これはたぶん内地の買上げ価格の中に入つておりますから内地のものだろうと思いますが、この包装及び容器類十四億という支出がここに一応出ておるのです。そうすると、これが雑收入の中に入つていないとすると、あき俵はこの十四億で買い上げて、その後の償却尻で売り、下げるというように感じるものですから、この点をお聞きしたがつたのです。
  191. 金城順隆

    ○金城説明員 包装、容器代として十四億あげてございますが、これは内地のものは一つも入つておりません。全部輸入食糧について参ります、先ほど申し上げました原穀麻袋、それからその中には縫糸や針も入つているわけであります。ただ向うから入つて参りますのは、ばらで来るものと、それからやはり容器に入つて来るものとあるわけであります。そのうちばらの分は、容器へ詰めて一応拂い下げますけれども、なお容器が残つているという分は、容器として拂い下げる、こういう計算をいたしておるのであります。
  192. 松野頼三

    松野委員 大分はつきりしましたが、そうすると容器類として十四億で買つて、今度は麻袋として七億拂い下げる。この間非常にむだがあるように思うのですが、これをもう一度御説明願いたい。
  193. 金城順隆

    ○金城説明員 支出の方の包装容器類、としてあげているのをこまかく御説明申し上げますと、大体輸入米穀が九十万トン入つて来るだろうという想定で、輸入食糧の買入れ代金をあげているわけであります。それで大体原穀麻袋が一トン二十五ポンドを要するという計算で二千二百五十万ポンドの容器を見ております。そのほかの小麦とかああいう物の容器が、全体を通じまして三百四十万石買い入れますので、それから九十万トンをさし引いたものが、小麦その他のものの容器だ、それは、一応一トン当り一八・四ポンドを要する、これは過去の実績から見ているのでありますけれども、そのうちの一五%が大体容器がやはり別々になつて来るだろうということで計算している二一わけでございます。そのほかに二十三年三月から二十四年二月までの実績といたしまして、スペアーとして向うから別について来ているのがありますので、それを三百二十四万五千ポンドを実績で一応上げまして一全体が三千二日六十四万五千ポンド、単価四十三円というもので計算いたしております。
  194. 松野頼三

    松野委員 それでは、この説明の空俵のことは間違いで、私の質問と説明か食い違つておりました。ただ感じますのは、十四億の容器類、包装類を買つておきながら七億拂い下げる、不足な腕袋を計上するという感じがするのです。それからも二つ別な問題ですが、ここに国内食糧として玄米としての国内拂下げ価格が五千八百三十六円、精米の拂下げが六千百八十六円、この差か三百五十円と出て来るのですが、この三百五十円は精米料ですか、あるいは目減りを含んだ価格ですか。
  195. 金城順隆

    ○金城説明員 食糧管理特別会計で買いますのは、大体玄米を原則といたしておるわけであります。従いまして食宜会計が売りますものも原則として玄米であるわけでありますが、従来からの実績で、農村地帶でぬかを非常に要釈いたしますので、従来の農村の実績によりまして、約五百万石という数量を加工委託いたしておるわけであります。これは大体農村地帯でやつているわけであります。その加工賃を支拂つこの加工賃は、普通計算いたしました加工賃から毛ぬかは加工したものの所得として一応差引いたもので計算いたしております。
  196. 松野頼三

    松野委員 それからもう一つ、この人件費及び事務費ですが、二十四年度予算で二万八千六百四十人で四十七億、本年も二万八千六百四十人で四十三億、本年の方が予算額の上で減少を来しておりますが、これはどういうことになつておりますか。
  197. 金城順隆

    ○金城説明員 予算の人員が両方ともに二万八千六百四十人になつておりますが、二十四年度におきましては十月以降新しい定員法によつてきまりました定員が二万八千六百四十人でありまして、それ以前の人員の数字はそれよりも約二割上の三万五千人ほどになつておりますので人員の減少による金額の減少というようなことになつております。
  198. 松野頼三

    松野委員 そうすると人員は実際昨年は行政整理前のを含んでおる、こういうわけでございますね。  それではほかの問題になりますが、この農作物病害虫防除に必要な経費という欄があります。本省で全国へ指導されまして病虫害駆除をやられますが、経費の請求並びに配分の方法において、いまだに地方では支出残として病虫害経費が市町村負担に相当浅つている。いまだ必要経費の配分がないというのをたびたび聞きますが、本年はこの予算は、どういう程度の災害を見込まれ、いかなる程度の補助をされるつもりの予算ですか。
  199. 藤田巖

    ○藤田政府委員 本年の経費として、お話のは、あるいはいもち病の補助費八千八百四十二万円の問題ではないかと考えるのでありますが、この問題は最近県からの書類も全部整いましたので、すでに府県別の割当を決定いたしまして、すでに通知をいたしました。  それから昭和二十五年度の農作物病害虫防除に必要な経費でございますが、これはその内訳を申しますと、病虫害が非常に蔓延するおそれがあるというようなものについては、早急に手当をしなければなりませんので、この経費のうち約手六百十万円で機動防除用の動力撒粉機二百三十台を購入いたしました。そしてそれを各地方の適当な箇所に配置して保管させておきまして、病虫害が発生いたしました場合はこれを無償で貸與する、こういうやり方で防除の徹底を期したいと考えております。それから昨年以来やつておりますアメリカシロヒトリ、これの駆除予防費に大体五百万円を計上いたしております。それからばれいしよの葉腐れ病の駆除費として四百六十万円を計上しております。それから本年は特に害虫駆除予防費補助といたしまして九百六十万円を計上いたしておりますか、これはどういう災害が発生するかわかりませんので、臨機に害虫駆除の予防をいたさなければならない事態もあるかと思いまして、一応これは予備費的な考え方で、防除の何かに、そういう事故が発生いたしました場合に適当にこの予算を使いたい、このように考えております。以上が大体農作物病虫害予防に必要な経費のおもなる項目でございます。
  200. 松野頼三

    松野委員 病虫害駆除に実際にどの程度、何回撒布したかということを、食糧事務所の報告によるか、あるいは市町村長及び知事の報告によつてこれを決定するか、どちらに主眼を置いて予算を配分されるのですか。
  201. 藤田巖

    ○藤田政府委員 御質問の趣旨は、おそらく本年度いもち病の防除費八千八百万円の各県別の補助額の交付方針のことだろうと思います。これは通常、いもちが発生いたしました場合に、農家として農薬の撒布は当然いたさなければならぬのでありまして、約三回なら三回は必ずこれをいたさなければならぬ、こういう建前に考えておりますが、さらに本年はそれ以上いもちがはなはだしく発生いたしました余分の分につきまして、その農薬購入費及び噴霧機の購入費の約半額を助成する、こういう考え方で査定をいたしましたわけであります。
  202. 松野頼三

    松野委員 それはどこの報告によつて査定されますか。
  203. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これは大体県から報告をとりましたものに基きまして考えましたわけであります。
  204. 松野頼三

    松野委員 食糧事務所と作物報告事務所というものが各市町村にあつて、これが日本の現在の権威ある統計所として出張しているのでありますが、作物報告事務所ではなしに、県の方の報告が遅れたところは、実際撒布はしたが補助金はもらえなかつた、市町村の負担になるという点が多々あります。そういうときには、これは作報の報告だ、これは市町村の報告だという一貫した行政上の区切りはありませんか。
  205. 藤田巖

    ○藤田政府委員 この災害の問題につきましては、むしろ作物報告事務所よりも別途農業共済組合がありまして、共済組合自体がこの農機具を購入だしまして防除に努めたところもたくさんあります。そういうふうなところの報告もあるわけであります。私どもといたしましては、おそらく市町村から来ましたもの、それを県でとりまとめましたものと、それから一方面接に共済組合方面から参つております資料、これは共済保険の算定基礎資料になるわけでありますが、その両方をにらみ院合いましてやりますことが、やはり一番実情に近いものであるというふうな見解から、さよういたしたわけであります。
  206. 松野頼三

    松野委員 そうすると作物報告事務所はもつぱら供出関係のみで、災害は当然共済組合があるからそこでやる。こういうふうな主義でやられる。いわゆる作物・報告事務所は供出の面だけだというふうにとれますが、農林省の実際行政としてはそういうふうにおとりになつておりますか。
  207. 藤田巖

    ○藤田政府委員 もちろん作物報告事務所も、災害の調査につきましてはこれは十分いろいろ調査をいたしておりますので、その点はそれを無視するわけではないのでありますが、やはり全国一斉に、いろいろそういう査定の資料というふうなことを考えます場合には、私どもといたしまして一応共済組合の資料、それから県から参つておりますもの、県で相当補助金を組んでおりますものもあるわけでありますから、その県て県費として組まれております額というふうなものを参考にいたしましてやつております。
  208. 松野頼三

    松野委員 多少私どもとしてもわからない点がありますが、これ以上は別として、もう一つ、亡れはどこの局の係になるか准じませんが、農村工業指導所というのがここに山形、栃木が出ておりまして、ほかの地方には農村工業指導所が設置される予定もないようです。東北地方に農村工業指導をするというのはまことにけつこうですけれども、その他の県についても農村工業指導所の要望が大いにありますが、その方針はこういうことになつておりますか。
  209. 藤田巖

    ○藤田政府委員 従来農林省農村工業指導所は栃木県の雀宮、それから山形県の新庄にございます二つであつたわけでありますが、いろいろ鐘崇らいたしまして雀宮の指導所は二十五年限りこれを閉鎖することになりました。私どもといたしましては、新庄の農村工業指導所農林省の中心の指導所といたしまして、そこで技術者の養成あるいは技術普及、訓練、そういうふうなものをやつて行きたいというふうに考えております。もちろん御趣旨のように各地帶々々の特殊性から考えまして、それぞれの地帯にこういうふうな指導所のあることは望ましいと一考えます。これも将来財政その他の事情の許します限り設置に努力して参りたい。かように思つております。
  210. 松野頼三

    松野委員 もう一点、市町村の一農調委員会当りの経費が四万一千百円でありますが、四万一千百円と申しますと、大体二人の人員を雇えば、今の賃金から申せばやつて行けないのではないか。せつかく今度新しい組織で農業調整委員会ができたのに、はなはだ経費が少な過ぎはせぬかと思うのですが、今後どういうふうにして委員会を育成指導あるいは改転されますか。
  211. 山添利作

    ○山添政府委員 それは農業調整委員会農地委員会は八月に合併いたします。それまでは二つあるのであります。これはそれぞれ一市町村の委員会当りで通算いたしますと二十二万円くらいになるのでありまして、運営はつくと考えているのであります。
  212. 松野頼三

    松野委員 それからもう一つ、農地改革が大体終了しましたが、この登記の登記料は、たしか法律では国庫負担になつておりますが、いまだにその経費がないために登記ができない。今の場合特にやるならば個人負担で農地改革を終了させなければ、登記料の予算がないというのが多々ありますが、この登記料は本年の予算には十分組んでおりますか。
  213. 山添利作

    ○山添政府委員 登記の問題につきましては、原則というか、その趣旨におきまして国家の負担するものであります。二十四年度の農地委員会経費の中には、若干そういう点も見てあつたのであります。ところがやつてみますとやはり経費が足りないことがわかりまして、二十四年度補正予算におきまして一億一千万円、一市町村当り一万円、それだけは追加をいたしたのであります。大体三月末をもちまして、特別の事情のございますところを除いて、完了をいたすように努めております。なお若干残るかと存じますので、二十五年度におきましては三千六百万円、これは農地委員会経費とは別に計上いたしております。
  214. 松野頼三

    松野委員 この登記事務は大体三千六百円と昨年の一億一千万円で全部終了できますか。
  215. 山添利作

    ○山添政府委員 そういうつもりでいるわけであります。なおこの非常に金のかかります分筆をしなければならぬものとか、実測をしなければならぬものは別の経費が今までありました。
  216. 松野頼三

    松野委員 終りました。
  217. 池田正之輔

    池田主査 他に御質疑ありませんか別に御質疑がないようでありますから、これにて農林省所管の質疑は大体終了いたしました。  本日はこの程度にて散会いたします。明日は午前十時半より開会いたします。     午後四時五十八分散会