○原(健)
政府委員 昭和二十五年度
日本国有鉄道予算の概要について御
説明申し上げ、御審議の資といたしたいと存じます。
第一は
事業計画でありますが、
予算の
説明に入ります前に、まず本年度の
事業計画の大綱について申し上げます。
一は
輸送計画、
昭和二十五年度
輸送計画は、いわゆる
日本国有鉄道が国民の信託にこたえて、経済再建と民生安定の基本に資するため、
施設車両の
復旧整備と保守の向上をはかり、も
つて輸送サービスの改善をはかる目途をも
つて計画を樹立したのであります。まず
鉄道においては、旅客
輸送人員は三十億人で対前年四・三%増であり、人キロでは七百十五億七千百万人キロ、貨物
輸送トン数は一億三千二百万
トンを目標とし、対前年二%増であり、
トンキロにおいて二百七十六億四千三百万
トンキロでありまして、これに要する列車キロは一億五千万キロであり、対前年二%の増加とな
つております。国営自動車においては旅客
輸送人員六千四百万人、六億六千九百万人キ
次は工事
計画、工事
計画としましては、
施設の維持及び取替補充をなすための工事に重点を置き、
企業の合理化、サービスの向上をもあわせて考えて策定いたしました。そのおもなるものは、車両
関係としては、電車二百五十両、客車百十両、貨車九百四十三両の
新造及び客車、電車、貨車の更新工事等であります。
施設関係としては、新線建設については(二十三年九月のアイオン台風により破壞されました山田線の代替
復旧が困難なるため、ひとまず釜石線の全通をはかることといたしまして、前年度より継続してその残工事を完成する
計画、及び前年度より継続の信濃川山辺発電所建設の
金額を計上いたしております。その他の大部分に、いずれも現在の老朽
施設の補充取替的なものであります。以上による工事費の総額は、設備の保修に要する
経費を計上せる損益勘定において、
施設、車両、機械、船舶の修繕費三百六億円、設備の取替改良に要する
経費を計上せる工事勘定において工事費二百億円で、工事費の総計は五百六億円であります。なおそのほかに対日
援助見返り資金から受入れる特別の資金が四十億円ございますが、これは運輸、大蔵両大臣が協議し、承認した
目的に充当することができるわけであります。
次は資材
計画であります。以上の諸
計画に要する資材は、そのおもなるものについて述べますれば、普通鋼材二十一万
トン、銑鉄二万三千
トン、セメント十五万
トン、木材百九十万石、枕木六百六十万丁、石炭六百三十五万
トンでありましてこれを
昭和二十五年度の生産
計画に対比いたしますと、普通鋼材において一〇%、銑鉄一二%、セメント八・四%、木材二・七%、石炭一六%となるのでありまして、国全体の資材
計画において、
日本国有鉄道の使用量は、
相当なる部分を占めることになります。これが使用にあた
つては極力
節約に努めるとともに、合理的な運用をなす所存でございます。
次は職員
計画であります。以上の諸
計画を実施するに要する職員数は、損益勘定所属のもの四十万九千九百人、工事勘定所属のもの一万五千五百六十人、中間勘定所属のもの六万七千二百九十人、合計四十九万二千七百五十人でありまして、二十四年度の
予算人員五十万三千七十二人と比較いたしますと、一万二百二十二人、約二%の減とな
つております。これは職員の自然退職率一・五%を基礎として、二十四年度十月以降、自然減耗に対する新規補充は、原則としては行わないという考え方で、以上の四十九万二千七百五十人の
予算定員と
なつたのでありまして今後は職員の勤労意欲の向上と相ま
つて、経営の合理化をはかる考えでおります。
次に
昭和二十五年度
予算、歳入
歳出予算、
昭和二十五年度
日本国有鉄道歳入
歳出予算について
説明いたします。
以上の諾
計画を織り込みました
予算の総額は、歳入歳出ともに一千五百八十億七千万円でありましてそのうちには百九十九億九千五百万円の減価償却と、取替
経費の重複
金額が計上してございますから、差引きしますと一千三百八十億七千五百万円となり、これを
昭和二十四年度当初
予算一千三百四億三千六百万円と比較いたしますと、差引純増加額は七十六億三千九百万円とな
つております。これは人件費については、二十四年度同様六千三百円ベースの給與水準により、また物件費は現行物価ベース、
昭和二十四年十一月により、その所要額を計上しておるのであります。すなわちこの七十六億三千九百万円の増加額を
内容的に見ますれば、工事
経費においては七十四億四千八百万円の増加となり、経営費においては七億三千万円の減とな
つておりますのみならず、二十四年度中における電力、鋼材、その他資材の値上り等を考慮いたしますれば、著しく
節約を
行つていると言えるのであります。
次に物件費のおおむねを占める石炭費は、六千カロリーの石炭を使用することにして、一
トン当り單価を三千八百三十円、使用量は六百三十五万
トンとしたのでありますがこの物件費は六百四十二億一千百万円であります。
このほかに減償却費は、二十四年度同様帳簿価格を基礎として
計算することとして、十七億六千七百万円と、特別補充取替費として百八十二億二千八百万円、特別建設改良費として四十億円、利子三十二億二千四百万円、及び予測しがたい事由によ
つて生ずる
予算の不足を補うための予備費として十五億円を計上し、
経費総額が一千三百八十億七千五百万円となるのであります。
これに対する財源といたしましては、
事業收入では一千三百二十七億九千百万円と、病院その他雑收入九億六千三百万円、米国対日
援助見返り資金特別会計から受入れ四十億円と、貯蔵品売却等の諸收入三億二千百万円との合計額、一千三百八十億七千五百万円でありまして、運輸收入につきましては、臨時国会において御承認を得ました貨物運賃八割増を織り込みました收入でございます。米国対日
援助見返り資金特別会計からの受入れ四十億円は、
予算総則にもございますように、運輸、大蔵両大臣の協議して承認した
目的に支出することにいたしております。
次は債務負担行為、
予算総則第六條に示してあります債務負担行為に関しましては、二十四年度と同様営業費で九十三億円、建設改良費で三十四億円を必要とするものといたしております。
次に一時借入金の限度については、
予算総則第八條に百億円と規定いたしました。これは
予算執行に伴う資金の一時的不足に処するためのものであります。
次に
予算の彈力條項、さらにまた
予算総則第九條においては、
日本国有鉄道の收入増加が業務量の増加に伴う場合においては、予備費使用の例に準じて、運輸大臣が大蔵大臣と協議して定める基準により、收入の一部を業務のため直接要した
経費に充当することができるよう規定して、
企業運営の機動性を発揮できるよういたしております。
予算総則第十條においては、従来立法科目として絶対的な流用禁止項目でありました款、項のうちの項の移用につきましても、二十四年度
予算においては、財政法の改正によりまして、
予算総則において規定すれば移用できることになりましたが、二十五年度におきましては、国鉄
予算においても項の移用が、運輸大臣の承認を受ればできることと
なつたのであります。なおまた同一項内の給料、手当に属する
経費、謝金及び賞與金、交際費は相互に彼此流用が、運輸大臣の承認を受ければ、可能と
なつたのであります。もつとも給料、扶養手当、勤務地手当、超過勤務手当、特殊勤務手当、寒冷地及び石炭手当の
金額の相互間は、承認なしで流用は可能なのであります。
予算総則第十一條においては、給料以下寒冷地及び石炭手当の総額は、四百五十六億三千万円と定めている。この給與総額の範囲内において、給與準則を作成することにな
つておりますが、その給與準則を実施するために、必要があれば運輸大臣の承認を受けて、
増額が可能であることを規定しているのであります。これによ
つて公務員の給與準則とは別に、公共
企業体としての給與準則を作成することができるように
なつた次第であります。
貯蔵品の保有額でありますが、
予算総則第十三條においては、
日本国有鉄道の貯蔵品の保有額の限度については、二十五年度において百億円と規定してこれを二十四年度の百三十億に比較すれば三十億円の減少となり、貯蔵品の適正保有に努めている次第であります。
最後に
日本国有鉄道の財政につき今後の見通しを申し上げますと、去る臨時国会におきまして貨物運賃八割の
値上げの御承認を得ましたおかげで、
以上
昭和二十五年度
日本国有鉄道予算の大綱につき御
説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことを切望いたします。