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1950-02-17 第7回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十五年二月十五日(水曜日)委 員長の指名で次の通り選任された。    主査 尾崎 末吉君       江花  靜君    小平 久雄君       田中 啓一君    西村 英一君       丹羽 彪吉君    水谷長三郎君       山本 利壽君    小坂善太郎君   会議 昭和二十五年二月十七日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席分科員    主査 尾崎 末吉君       江花  靜君    小平 久雄君       田中 啓一君    西村 英一君       丹羽 彪吉君    山本 利壽君       小坂善太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  原 健三郎君         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     粟澤 一男君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  後藤 憲一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君  分科員外出席者         運輸事務官   国安 誠一君         日本国有鉄道施         設局建築課長補         佐       片山 隆三君         專  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計予算運輸省所管  昭和二十五年度政府関係機関予算運輸省所管     ―――――――――――――
  2. 尾崎末吉

    尾崎主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  この際審査方針についてお諮りいたします。御承知のようにこの第五分科会は、昭和二十五年度一般会計予算昭和二十五年度特別会計予算、及び昭和二十五年度政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び電気通信省所管審査に当ることになつておりますが、本日は午前、午後を通じ、運輸省所管予算について審査し、明日は午前に郵政省所管、午後に電気通信省所管予算について審査いたすことにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 尾崎末吉

    尾崎主査 御異議なしと認め、さようにはからいます。  それではこれより昭和二十五年度一般会計予算昭和二十五年度政府関係機関予算中、運輸省所管を議題とし、審査を進めます。  まず政府より運輸省所管予算について説明を求めます。なほ国鉄関係については、主として午後にいたしたいと思いますから、その点お含みおきを願いたいと思います。政府説明を求めます。
  4. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 それでは私から昭和二十五年度運輸省所管一般会計予算の大綱につきまして、御説明申し上げます。  まず第一に歳入予算でありますが、本年度歳入予算額は十七億四千五百四十余万円でありまして、これを前年度歳入予算額二億三千百十万円余に比較いたしますと、十五億千四百三十余万円を増加する計算になりますが、これは船舶公団よりの納付金が、前年度より十五億八千五十余万円増加する見込みのためであります。  次に、歳出予算について申上げます。歳出予算額は百二十五億七千余万円でありまして、これを前年度歳出予算額二百一億六千二百三十余万円に比較いたしますと、七十六億六千百五十余万円の減少となりますが、これは船舶運営会に対する補助費を減少したことと、日本国有鉄道に対する貸付を行わないことによる歳出減が主たる理由であります。  要求の各経費につきましては、要求書にそれぞれ要求事由を記載してございますが、そのうち重要な事項につきまして申上げますと、まず商船管理委員会に関する経費でありますが、これは従来の船舶運営会事業及機構を縮小するとともに、名称商船管理委員会と変更いたしまして運営する方針でありますが、この事業運営上生じまする損失に対する補助金といたしまして四十二億五百三十余万円、在外邦人帰還輸送を行う経費といたしまして五億四千三百三十余万円を計上いたしました。なほ前に申し述べました通り、従来の船舶運営会商船管理委員会名称を変更して運営することとなつたため、この事業縮小に要する経費船舶運営会清算交付金として一億八千百四十余万円を計上いたしました。  次に、港湾に関する公共事業施行に必要な事務的経費でありますが、これは内地及び北海道の港湾施設修築並びに戦災復旧に必要な事務費といたしまして四億二千八百九十余万円を計上いたしました。  次に、気象官署に関する経費でありますが、気象通報業務の完全を期するための事業運営費といたしまして十二億七千八百十余万円、連合軍の指令によります洋上固定点観測業務等維持運営に必要な終戦処理事務費といたしまして三千五百三十余万円を計上いたしました。  次に、海上保安庁に必要な経費でありますが、これは不法入国監視密貿易の取締り、航路標識維持運営、その他海上保安業務運営費といたしまして二十四億二千九百三十余万円を計上いたしましたほか、現有船舶をもつてしては海上保安業務遂行支障がありますので、二十四年度の十六隻建造に引続き、巡視船九隻及び港務用船二十七隻を建造することといたしまして、この建造費九億九千八百十余万円を計上いたした次第でございます。  以上、運輸官所管一般会計予算の概要を御説明申し上げました。
  5. 尾崎末吉

    尾崎主査 これより質疑に入ります。なほ本日をもつて運輸省関係を大体終りたいと思つておりますので、質疑は簡潔に、重複を避けるようにお願いいたしたいと思います。それでは質疑に入ります。
  6. 小坂善太郎

    小坂委員 簡單に御質問をいたしたいと思います。船舶運営会を今後商船管理委員会と改称せられるというのでありますが、その改称せられる趣旨、並びに今後その管理委員会を大体どの程度までの期間やつて行かれようとするのか。もつと端的に申し上げますと、日本商船その他の復旧ということが急務であるのでありまするが、そういつた統制的な機関をどこまで維持されようとしているか。その点について御説明願いたいと思います。
  7. 荒木茂久二

    荒木政府委員 一応政府といたしましては、今年度予算を編成するにつきましては、できるだけ運営会形式を縮小するという方針のもとに、内航、いわゆるコースト・ラインは運営会からはずしまして、自由態勢に持つて行く。外航の方は、これも自由態勢に持つて行つて、自由な国際競争場裡に活躍させたいという希望は多分にあるわけでありますけれども、御承知のように講和條約前におきましては、何かの不便拘束を受けておりますので、これに対しまして全部自由にしてしまうということはできません。なほかつ外航に出ますについては、講和條約前でございますので、日本の旗を立てて行くということに参りませんで、向う管理下におきまして、つまり商船管理委員会というものを連合軍側のコントロールしておりますスカジヤツプの旗を立てて行く。こういう事情になつておりますので、外航までを全然フリーにしてしまうというわけに参りません。なほ日本商船というものは、全体的に一応連合軍管理下に置かれておるという形式でございますので、一応その形式は保持しなければならぬ。こういうことで商船管理委員会というものに出しまして、それを通じて連合軍管理を受ける。こういうことに相なつておるのでございまして、大体先ほど政務次官から御説明申し上げましたような予算状態になつておるのでございますが、細目につきましては、目下GHQの方と交渉いたしておりまして、ここでごひろう申し上げる段階にまで、遺憾ながら参つておらない、こういう事情でございます。
  8. 小坂善太郎

    小坂委員 よくわかりましたが、内航の船を自由なものにするということが御趣旨のようで、たいへんけつこうでありますが、それによつてこの船舶運営会のころと、どのくらい予算の面で相違があるのでありますか。
  9. 国安誠一

    国安説明員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、内航の自由運航につきましては二十五年度の予算におきまして、一応デットウエート五千トンで切りまして、それ以下をデコントロールする予定にして計算しておりましたが、それによると、二十四年度と、傭船料その他により多少変更がございますけれども、一応補助金といたしましては九十億の金額が予定されたのであります。それを五千トン以下をフリーにいたしますと、ただいま御手元にございます四十二億という金額に一応なつております。
  10. 小坂善太郎

    小坂委員 デコントロールすることによつて経費がそれだけ浮いて来る。それについて運輸省としては、それを何か別の方面に振り向ける。たとえば新しい商船建造とか、そういうような積極的な意図があるか。また意図を持ちながら、財政的な理由でできないというような、そういう事情がございますれば、それをお話願いたい。  もう一つは、大体日本商船隊復旧ということを非常に好意を持たれておりますが、それについてどういう計画外航に耐え得る船を建造しておられるか、この際伺わしていただきたいと思います。
  11. 荒木茂久二

    荒木政府委員 はなはだ申訳ないのでございますが、海運局長が今参議院の本会の方へ出ておりますので、すぐ参りますから、ちよつとお待ち願います。
  12. 小坂善太郎

    小坂委員 最近船賃の値上げをいたしたのですが、あの値上げの結果はいかがなのですか。大体ペイするように各会社行つているのでしようか、どうですか。
  13. 国安誠一

    国安説明員 本年の一月一円から海上運賃を、平均いたしまして九割値上げをいたしました。その九割の計算は、相当きつい原価計算をいたしましたけれども、一応海運関係の採算にペイするという基礎に立ちましてのものであります。ただ実際の輸送量は現実には――一月以来まだ的確な資料はございませんが、相当つておるような現象が見えております。これはその他のいろいろな事情もございましようが、運賃値上げということが相当響いているという点も考えられるのであります。その点目下詳しい実績を調査いたしております。
  14. 小坂善太郎

    小坂委員 あの九割値上げというのは、大体陸上鉄道運賃八割との権衡上されたように聞いておるのであります。だから必ずしも会社自身経理内容その他から推して、九割内外が妥当であるということでもないのではないかと思うのでありますが、一方消費者負担の面からいつて、今お話なつたように値上げのために、かえつて輸送量が減るというようなことも、この点十分計算されてないように思うのですが、その点当局がどのように思つていらつしやるか、伺いたかつたのでありますが、今のお話では詳しいデーターもお持ちにならないようで、大体一月に値上げした直後ですからむりもないかもしれませんが、そういう資料をできるだけとられて、早い機会にわれわれにお示しを願いたいと思います。
  15. 田中啓一

    田中(啓)委員 実は私鉄道並びに船舶関係にはなはだ暗いものですから、今ごろそんなことをお聞きするのはいかがかと思いますけれども、戰争中、戰後、船舶運営会なるものがございましてやつておられ、また機帆船の方などもいろいろにかわつたように思つておるのでありますが、そういうのが今日伺いますと、若干予算面にも現われて来ておるようでありまして、今海運の方の大きな船というものがどういうような運営方針、あるいは経済組織で動かされておるか、また小さい機帆船はどういうふうになつておるか、そういう点を伺いたいと思うのであけます。
  16. 荒木茂久二

    荒木政府委員 小坂委員の方の御質問とも関連いたすことで、はなはだ申訳ないのでありますが、今参議院に出ております海運局長を呼んで参りまして、詳しいことを御答弁申し上げたいと思います。
  17. 小坂善太郎

    小坂委員 港湾事業費についてお伺いしたいのですが、二十三億という予算が今出おりますが、各港湾から改修要求されるものの全額港湾局へ来る要求額というのはどのくらいあるのですか。
  18. 後藤憲一

    後藤政府委員 今年度の公共事業費港湾事業費でありますが、ここに資料で差上げたように二十三億であります。そのほかに災害復旧費として二十億あります。災害復旧費合せまして四十三億というのが、港湾関係予算であります。二十五年度の予算を編成いたしますにつきまして、各地方港湾企業者である港湾団体からの要望を全体集めまして、二百三十億ほどの要望がございますが、それに対して公共事業費の全体のわくでいろいろ操作いたしまして、一応閣議でもつておきめ願いましたのが、この二十三億に対する分としましては三十五億御決定願つて、われわれもそれでいろいろ作業を進めたのでありますけれども、関係筋の御了解を得られない事情もありまして、二十三億に減少いたしました。はなはだわれわれとしては不満足な感じをいたしているわけであります。
  19. 小坂善太郎

    小坂委員 大体一割ということでありますが、これはたいへんだと思います。二年くらい前でしたか、関税港を大分ふやした。関税港に指定するときには特別に経費はいらぬということですが、そういうものは関税港に指定されることによつて経費増額要求されている面がありますか。
  20. 後藤憲一

    後藤政府委員 開港指定を行いますところの港湾事業費の特別な増額というようなことはございません。ただその港のいろいろな状況によりまして、修築費用を含んでいるというようなことになつております。
  21. 小坂善太郎

    小坂委員 港湾改修について、大体予算補助率はどのくらいになつているのか。それからもう一つ寄付金等によるものもかなりあるのではないか。そういうものは全体でどんなものになつておりますか。
  22. 後藤憲一

    後藤政府委員 港湾事業国費で出しますのが二十三億でありますが、外国貿易に直接当るべき性質の港湾施設、それから旧軍港でまだそのままになつているものに対する修築の分、これは金額国費でいたしております。それから重要港湾につきましては五割の補助が出ております。従つて残りの五割は地方分担いたすことになります。その地方分担につきましては、各地方、ことにいろいろと事情が違うのでありますが、地元の市あるいは町と、それから府県との間に話合いでいろいろ率をきめてその地方分担を請負つているというようなことであります。それから地方港湾というものでありますが、これは四割の補助であります。それから港湾維持費に充てますのについては、三割の補助国費からいたしております。荷役機械でありますとか、上屋でありますとかいう陸上設備に対しては、一割の国費補助いたしております。災害復旧の方につきましては、今回災害復旧国庫補助法案によりまして、港湾につきましては全額国費の措置をとつておりあます。
  23. 小坂善太郎

    小坂委員 そうすると災害復旧でやれば、上屋あるいはクレーン等の破損は全額国費でくれるのですし、新たにつくろうとすると一割ということになりますが、そうするとどこまで亦一体災害であるか、あるいは自主的に新設したいというものであるか、その限界がなかなか明確ではないかと思いますが、そういうものはどうやつて判断すしるのでありますか。
  24. 後藤憲一

    後藤政府委員 災害復旧ということは原則的に、現在ありますところの府県または市町村という公共団体営造物が、台風でありますとか地震とかの天災によりまして受けました被害を、原形に復するということを原則としております。それ以外のものにつきましては災害復旧は一切認めない。それで大体今の御質問の区別がつくことと思います。
  25. 西村英一

    西村(英)委員 ただいま港湾お話伺つたのでありますが、さいぜんの港湾局長の話で、港湾事業が初め三十五億と閣議決定されたが、向うとの折衝で二十三億になつたと申しました。それはドツジ・ライン関係もあるでしようが、その事業内容等について、こちらと向うの方の意見が内容的に非常に合わなかつた点があるようにも聞いておりますか、おもにどういうところが支障になりまして、閣議決定をされました三十五億が二十三億になつたか、御説明していただきたい。  もう一つは、災害復旧の二十億でございますが、災害復旧費全額国庫負担一般土木事業と同様でございますか。またその最低一件十五万円以下の災害には国庫補助がないというようなことも、どういうような基準でやつておるか、それも御説明願いたい。
  26. 後藤憲一

    後藤政府委員 災害の方を先に御返答申し上げますが、災害最低額一件十五万というのは、その通りいたしております。  それからもう一つは、これは速記をとめていただきたいのですが……
  27. 尾崎末吉

    尾崎主査 速記をとめてください。     〔速記中止
  28. 尾崎末吉

    尾崎主査 速記を始めて……
  29. 西村英一

    西村(英)委員 もう一つお尋ねします。気象台の問題ですが、これはどうも特殊の仕事のためにとかく閑却になりがちであります。今日その関係者が見えておるかどうかしりませんが、二十五年度の予算面におきましては人員が多少ふえておるようであります。実は非常に災害が多いので、その災害の予防のためにも、気象通報を利用いたしまして、被害を事前に防止するというようなことも必要であるのでありますが、来年度増員になりました人間は、おもにどういう方面にお使いになるのでありますか、それをお尋ねしたい。
  30. 栗澤一男

    栗澤政府委員 御説明申し上げます。ただいまお話の多少増員になりました分は、関係方面要求によりまして太平洋の中へ船を出して所定の定点の観測をやつております。それを一箇所ふやすということで増員をやりました。国内では特別にふやすということはありません。御了承願います。
  31. 西村英一

    西村(英)委員 特殊な事情のためにお増しになつたようでありますが、私は気象台事業は非常に重要でありまして、災害のために気象通報をよく利用して、防禦しなければならぬということが必要であると思つておるのです。おそらく一般地上観測のために増員されておると思つたのですが、そういうことでないということで、よくわかりました。  もう一つお尋ねしたいのは、その下にあります運輸技術研究所増員相当になつておりますが、これは国有鉄道技術研究所の振かえでございますかどうかその点を伺いたい。
  32. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは国有鉄道技術研究所をこれに包有攝するということではございませんで、御承知のように現在運輸省には運輸技術研究所船舶試験所、それから港湾関係港湾技術研究課があるわけであります。それで別に国有鉄道国鉄技術研究所があるわけでございます。その国鉄技術研究所のうちの基本的なものと、地方軌道に関するものをこちらに移す、こういうことでございます。
  33. 西村英一

    西村(英)委員 二十四年度の予算定員が百六十八名から三百七十三人にふえておりますが、二百人増員したのはおもにどういう研究をやられるつもりでありますか。
  34. 栗澤一男

    栗澤政府委員 ただいま御説明のありましたように、船舶関係試験所定員と、港湾技術研究関係定員であります。それに対しまして鉄道関係自動車関係、それから特別のものといたしまして船舶陸上両方に使いますが、日本ではまだあまり完成しておりませんガスタービン研究があります。そういう面に新規な研究を始めますので、そういつた内容をもつた定員であります。
  35. 尾崎末吉

    尾崎主査 それでは岡田海運局長がお見えになりましたので、小坂君並びに田中君に、質問の要点をもう一度簡單に述べていただいて、局長から答弁を願いたいと思います。
  36. 小坂善太郎

    小坂委員 先ほどの私の質問をごく簡単に要約してみますと、船舶運営会が今度商船管理委員会に改組せられましたわけですが、その主たる目的は、五千万トン以下をデコントロールすることであるというようなお話を承りました。そうしますと九十億の経費が四十二億になり、四十八億円節減になるわけですが、運輸省とされましては、減つたものはそれだけ全体の予算経費から落すということだけを考えておられるのか。あるいはこの四十八億をもつと積極的に商船建造という面に向けて行かれる御意思があるのかないのか。できるかできないか。またできないとすればどういう点に難点があるかということが質問の第一点。  もう一つは、外航に向ける船は今きわめてわずかしかない。しかし当然に日本商船隊の再建ということも、各国好意をもつて考えてくれている際ですから、あなた方にしても自主的にこの問題を研究されているに違いないと思うので、新船の建造計画等についての抱負を承りたいということであります。
  37. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お尋ねの第一点でございまするが、五千トン未満の船をデコントロールいたしました目的は、一に国家財政の見地からそれだけの経費節約したい、こういう観点からでございます。私ども海運関係者といたしましては、戰争で非常な打撃を受けました現在の日本海運を、再び元のような姿に帰しますためには、相当国家的な指導援助を必要とする、かように考えておるのでございます。ことに諸外国があまりいたまない船体をそのまま保有しており、しかも相当手厚い国家援助を受けておるというようなことを考えまする場合、日本海運につきましても何らかの方途が必要である、かように考えるのでございます。しかし御承知通り日本海運は、まだ連合軍嚴重なる管理下に置かれておりまして、国際海運への復帰ということも、連合国側意図のもとに処理されるという状況にあるわけでございます。しかしこの国家的援助あるいは助成ということも、日本海運の将来が再び国家の手厚い助成によつて連合国海運を脅かすであろう。こういうふうな誤解と懸念が多分にあるわけであります。そういうふうな点からいたしまして、現在の段階におきましては、国がこの海運の復興に対して直接援助することは避けなければならない、かように考えております。従いましてこの五千トン未満をデコントロールすることによつて相当量節約が期し得られるわけでありますが、それは一に国家経費節約観点から出ておるのでありまして、それを他の海運助成方途に使うということは予定していないわけであります。  それから外航配船は、現在非常に嚴重司令部管理下に置かれておるわけでございます。約十万重量トン余り貨物船と、二十万重量トン余り輸送船海外航路に現在従事しておりまするが、それも一に司令部好意によ造強弱を持つた船、端的に申しますと、最近よく言つております外国船級協会船級を持つた船が、ごく少数なわけでございます。現在外へ出ておりまするのも、連合軍監視船というふうな資格のために、そういう外航適格性がなくても、特に認められておる。そこで司令部の方におきましても、日本船を本格的に外に出しますためには、どうしても外航適格性を持つた船の整備が第一だということを慫慂されており、われわれの方も特にその必要を痛感しておるのでございます。これが対策といたしまして、今持つておりまするA型戰標船、一万電量トンのものを、約二億円の金をかけまして根本的な改造をいたすことにしておるのであります。とりあえず二十九隻の船を改造いたしております。それから現在持つております船の中にも、そのまま外国のクラスのとり得る船がありますから、極力その外国船級の取得に努めますとともに、御承知通り本年度におきまして、約三十万総トン新造計画いたしておるわけでございます。これらの計画が完成いたしまする場合、二十六年の三月ごろになりますると、約八十五、六万総トン外航適格船ができるわけでございます。もしこれが整備されますと、相当量日本に出入する外国貨物輸送を果し得る、かように考えておるのでございます。なお目下次年度新造計画並びに改造計画について、案を練つておるわけでございますが、ただいま申しましたものに加えまして、相当量新造並びに改造を続行して行きたいということを考えておる次第でございます。
  38. 小坂善太郎

    小坂委員 大体わかりましたが、そうすると国家保護助成は困難な事情にあるということはわかりますが、現在の造船の経理内容は、いわゆるドツジ・ライン企業のペイイング・ベーシスにおいて、銀行が融資する対象になり得る状態なのでしようか。それがよくわかりませんので、御説明願いたいのですが、私ども考えますと、何かそういうようなものを節約したかわりに、そういう国家的に非常に必要である。しかしながらかりに現在のこの不安定な経済の状況のもとにおいては、そういうことがなかなか緒につきかねるという点については、特に金利を引下げて長期資金を低利に融資する道を――一方予算面で節減ができたかわりに、こういうことを講ずることが必要でないかということを感ずるのですが、いかがでしよう。
  39. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船舶の新造につきましては、御承知通り例の見返り資金からの融資が行われておるわけでございます。先ほど申しましたA型の改造につきましては見返り資金を七割、新造につきましては五割という見返り資金を融資されておるわけでございます。あとのものにつきましては、市中銀行にその融資を仰ぐわけでございまするが、現在までの計画におきましては、幸いにして市中銀行筋その他の協力によりまして、何とか融資がついておるわけでございます。しかし今日のような、非常に経済界の情勢が惡くなりましたときに、はたして次年度の金融が円滑に行くかどうかということは、非常に懸念を持つておるわけであります。たとい見返り資金の方で五割の融資をしても、あとの五割は相当困難じやないか。かりにやるとすれば、少くとも新造についても七割以上の融資が必要じやないか、かように考えるのでございます。それから市中から融資する場合の金利その他について、相当考えなければならぬじやないかというお話は、御説の通りでございまして、今日本の船舶が、外航に出します場合に、非常にコストが高いことが一部にいわれております。そのコストが高い一番大きな理由は、金利にあるわけであります。外国新造をする場合に、多くは三分五厘、少くとも五分以下の金利であるのに対しまして、日本の市中銀行は御承知通り一割以上、一制一、二分程度の金を使つておるわけでございます。そういたしますと全体の運行コストの中で、金利が二割から二割五分する。たとえば運営会で船を傭船しておりますが、その運営会で拂う定期傭船料についてみますると、三割以上のものが金利になつておるわけでございます。しかもその金利も、先ほど言いましたようにエイド・ファンドを半分使つておりますから、エイド・フアンドは七分五厘の金利でありますが、その七分五厘を考えに入れても、なお傭船料の差額が全体の運行コストの二割から二割五分しかない。金利が高いということは、今後日本海運国際海運に列しました場合の、最も弱い点じやないかと考えております。これに対しまして、しからば利子補給その他をしてはどうかということでございますが、これは先ほども申しましたように、諸外国ではそういうことは盛んにやつておるのでありますが、日本海運の置かれました現状からいたしまして、そういう国家補助をする制度をとり得ない。まことにデリケートな事情にあるわけでございまして、私どもとしては目下のところ、そういうことは考えていない次第であります。
  40. 小坂善太郎

    小坂委員 やむを得ないいろいろな微妙な事情もありましようけれども、海運の再建の必要性は非常に大きいのでありますから、あなたはひとつ大責任を持つて関係方面なり大蔵当局なりに御折衝を願いたいのであります。われわれも及ばずながらこの点はできるだけ援助いたしたいと思います。  もう一つつておきますが、二十五年度の輸出が大体金額にいたしまして六億三百万ドル、輸入が九億五千五百万ドルという大体の計画ですと、これに要する総重量トンはどのぐらいあればいいのですか。
  41. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 外国貿易関係の物資を、全部日本船で運びます場合に、ちよつと今数字を持つておりませんので、あまり食い違つてもどうかと思いますので、あとで申し上げますが、ただいま申しましたようにかりに年度末に八十六万総トン外航適格船ができました場合に、それによつて日本の輸出入物資の大体三割程度のものが運べるであろう、かような想定をいたしております。
  42. 小坂善太郎

    小坂委員 エイド・ファンドから直接融資される場合の筋道は、どういうことになつておりますか。
  43. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 エイド・ファンドを借ります場合に、私どもの方の官庁の手続から言いますと、ただいまとつております方法は、二十四年度新造計画でありますると、その新造計画にのつとつて各社から申込みを出させまして、その各社が本年度の例から言いますると、予定トン数よりもオーバーいたしましたら、一定の方法によつてその中からセレクトするわけであります。そのセレクトした会社がつくる船の高並びに所要資金のホール・プランを関係方面に出しまして、全体の計画としての関係方面の了解を得たわけでございます。個々の船会社につきましては、それぞれ会社内容を加えたものをもつて、まず日本銀行の審査を受け、日本銀行でその会社の経理状況その他から見て、エイド・ファンドを貸しつけるに支障がないと見きわめますると、それを大蔵省の方へまわす。大蔵省の方でさらに検討してこれを司令部の方へ出す。司令部の方では大蔵省の意見に基いて、許可をするということであります。司令ブから認可がありますると、大体二、三日中に金が渡されるという状況になつております。
  44. 小坂善太郎

    小坂委員 金はどの窓口から出るのですか。日本銀行から出るのですか。
  45. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは国の貸付になりますから、貸付機関は国でありまするが、実際の仕事は日銀でやつていると思います。
  46. 田中啓一

    田中(啓)委員 小坂さんの質問に関連しましてまず一点伺いたいと思いますが、わが国の商船新造問題とからみまして外国から裸傭船したらいいじやないかという論がかなり広くとなえられているやに承知しております。しかも新聞等は露骨に、通産省と運輸省と対立しておるのじやないかというようなことまで言うのでありますが、きようはあまりそういうことで惡くあげ足をとるような人も委員の中にはおらぬと思いますから、それらの問題につきまして忌憚のない御所信を伺いたいと思います。
  47. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 最近ある新聞に相当大きく出て、非常にセンセーショナルな問題になつたようでありますが、事実問題になつておることはなつております。最近二件ほど外国船を裸傭船してそれに日本船員を乘り組まして、運航したという計画が出ておるのであります。その一つはラウントリー・シッビング・カンパニーというアメリカの船会社でありますが、それが日本の大きい船会社と提携して、アメリカからリバティーを五十隻、裸傭船で持つて来る、こういうことであります。しかしこの計画はアメリカのシッビング、アクトによりますと、アメリカ船にはアメリカの船員がある程度乘らなければ、全部外国船員を乘せることは困難だと思います。日本の法律で言いましても、日本の船会社が直接参加するという点において、むずかしい点がございます。そういう意味で前の方はまだ正式に許可申請が出ていないで、そのままになつております。もう一つ最近出ておりますのは、アメリカのグリフィスという個人会社であります。それからスティブンソンという会社と、これは日本海運業者では、ございませんが、もと日本の大きい船会社の重役もしくは社長をしておつた人たちと提携して、これはパナマ船、もしくはホンジュラス船を裸傭船をして、これに日本船員を乘り組ますという計画が、外資委員会に出ておるわけであります。これに対しまして私どもの方では、日本海運の今置かれておる非常にむずかしい状態からいたしまして、その時期でない。運輸省としては、そういう外国傭船並びにそういうやり方については、本質的に反対すべき何ものも持つていないけれども、現在においてはその時期でないという考えを持つておるのであります。一方貿易の面から申しますると、運賃が安ければ安いほどいいという考えもありまして、まだその点については目下内部で検討中でございます。たまたま新聞に出まして、非常に問題になつておるようでございますが、まだそういうような段階にあるわけでございます。ちよつと速記をとめていただきたいのですが……
  48. 尾崎末吉

    尾崎主査 速記をとめてください。     〔速記中止
  49. 尾崎末吉

    尾崎主査 速記を始めてください。
  50. 田中啓一

    田中(啓)委員 よく御苦心のあるところはお察しするのにやぶさかでないのであります。先ほど小坂さんのおつしやつた造船に対する金利補給の問題といい、今の裸傭船の問題といいなかなかむずかしい問題ではあると思うのでありますが、結局日本海運というものは、これを大きくして行くのに必ずやある程度たたかれるであろうことは、何人も覚悟しなければならぬところだと思うのであります。でありますから結局実際にやれば、二歩出たならば一歩退くこともあるというようなことで、金利の問題でも、よそがやつておればおれのところでもやれぬことがないではないかというようなことで、押すときもあり、どうしてもいかぬときは退くこともあるというようなことではないかと思う。私ども外国貿易にしましても、また海運にしましても、あまり專門の知識を持つておらない。きわめて通俗的な国民常識から考えますると、いつでも日本の役所の乘ぜられるすきというものは、業者それぞれ利害を異にしておつで、それが巧みにそれぞれ立場が違う役所に持ち込んで、そうしてそのために進むものも進まないというふうなことがあります。ことに海運では、昔からの知識で、いかに苦心をしておられるかはよく知つておるのでありますが、しかし私は相当国策的に、政府全体として強力な統一的な仕事をして行くというふうに、ぜひお進めを願いたいと思うのであります。何やら戰争中の苦心を、また今も繰返しておられるような気がして、実は個人的には同情にたえないのであります。これで関連質問は終りであります。  それから本来の質問は、まことにしろうと質問で、ほかの委員の方に御迷惑かもしれませんが、戰争後いろいろ大小の船舶に関する運営の方針が、年年変化しつつあるわけでありまして、今までの運営会から船舶管理委員会に切りかえられる場合に、また五千トン以下の船はコントロールしないというふうになりつつあるようでありますが、それらの経過並びに将来の方針、なおついでに統制というものは、船持ちとどういう一体経済関係になるのか。それらのことをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  51. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御承知通り日本の船舶は戰争中運営会をつくりまして、百トン以上の鋼船は全部運営会に傭船をして動かしておつたのであります。当初はやはり船員を乘り組ました船を定期傭船のような形で使つておつたのでありますが、戰争の末期に、船主からは船だけを借り、船員は全部運営会の船員にするというふうなことにかえてしまつた。それから木船もたしか五十トン以上のものは、形だけは運営会の強制傭船という形である。それから旅客船も同様であつたのです。ところが木船と旅客船につきましては、二十一年の六月にそれぞれの船主の手に返しました。従つて木船と旅客船は今完全に民間の方でやつております。それからそれ以外の貨物船につきましても、昨年の四月までのやり方は裸傭船形式――船だけを借りて自分の運営会の船員だけ乘せるという形でありましたのを、昨年の四月からいわゆる定期傭船形式にかえまして、運営会が今まで持つておりました船員を全部船主の方に返す。船主は船員を乘り組ました動き得る状態にある船を運営会に提供して、運営会はその動く機関だけを借りる。こういう定期傭船形式をとつたわけであります。さらに汽船のうちでも、八百トン未満のものを昨年の九月から民間の方に移したわけでございます。従つて現在運営会で動かしておりますのは、八百総トン以上の船を定期傭船形式てやつておるわけでございます。さらにこの形態を、この四月から五十トン未満の船を民間の方に返すという予定で、ただいま御審議を願つておるような予算を組んでおるわけでございますが、この五千トン未満のものを民間側に返した場合百にどうなるかと申しますると、現在国内沿岸並びに朝鮮方面への荷動きが非常に減退いたしておりまして、月に約九十万トンから百万トン足らずのような状況でございます。ところで五千トン未満の船を民間側に返しました場合に、約百万重量トンの船があるわけであります。この百万重量トンの船では、今のような調子では、そこに二、三十万トンくらいな船腹過剩が生ずるであろうというので、民間側からそういう過剩船腹が生じたのでは、日本海運というものは立つていかぬというので、端的に申しますると、非常に今反対空気が強いわけでございます。それから一面におきまして、五千トン以上の船ということになると、外航配船運営会の手で独占的といいまするか運営会だけの手でやられるということであります。そこに国家機関として運営会が、そういう外航を独占してやるという面がどうかというふうな議論もあるわけでございまするけれども、私どもとしてはすでに船腹過剩ということは、政府で統制する時代が過ぎたのだろうというふうな  それから小型汽船は、昨年の九月にはずされましたが、これは非常に苦しい状態にありまするけれども、まあ何とか各会社とも死なずにはやつて行けるようでございます。一番今困つておりますのは田中先生が最もよく知つておられます機帆船でございまするが、これが今燃料の非常なる削減を受けまして、ことに九州、山口炭を輸送しておりました三千隻の船に対しましては、油はほとんど全面的に削除されておる状況であります。まことに哀れな次第であるわけであります。それは九州、山口炭の輸送並びに鋼材その他の比較的重要なものを運んでおりまするものに対しまして、約五千キロリットルから六千キロリットルの油をもらつておりましたのを、約千キロリットル――特に九州、山口炭を輸送しておつたものに対しましては、油の配給を差控えるというような状況になつておりまして、機帆船としては今非常に苦しい状況にあります。これの主たる理由は、汽船が今相当過剩の状態になつておる。この汽船は石炭をたいて動く船であつて、アメリカの援助物資である油を使つていない。従つて日本としてはこの過剩船腹の汽船をまず使うべきであるというふうな見地から、削除を受けておるような次第であります。これにつきましては、国会方面におきましていろいろ御心配にあずかりて、お骨折り願つておるのでありまするが、今もつて解決し得ない状況にあります。まあ自由になつておりまする業者の中で、この機帆船の問題が非常に大きな立場に立つておるわけであります。
  52. 田中啓一

    田中(啓)委員 実はその機帆船の油の問題も御質問したいと思つたのでありまして、今の御説明で一応の理由はわかるのでありますが、ひとり船の問題だけでなくて、石炭の問題にしましても、また鋼材等の問題にしましても、その他沿岸の農林産物を運ぶ点から申しましても、むしろ重油の問題は何とか克服をして、沿岸の汽船と自由な競争の立場に生かすということが、日本経済全体の面から言つて、私は望ましいことでないかと思う。もともと戰前からそういうふうに自由な立場で競争をして来たものでありましてそれによつて日本の産業経済が動いておつたということでありますから、どうもそこをちんばにされたのでは、ひとり機帆船だけでなく、ほかの産業が非常に迷惑をする。またひいては国民生活に影響を及ぼして来る、こういうことになる。世界的に非常に重油が不足して、どうにもならぬという状態ならば、これはどうもやむを得ないことになるのでありますが、それらの見込みなり、何らかひとつ解決の方針にわれわれも努力することを惜しまぬのでありますが、そこらの事情の見通しというようなものを、重ねてお伺いしたいと思います。
  53. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 機帆船の油を削減いたしますることが、他の産業並びに国民生活に非常に影響を及ぼしますることにつきましては、私ども詳細なる資料つていろいろと交渉をいたしておるのでございますが、先ほど言いましたような理由から、その緩和に至つていないのでございます。しかし油自体におきましては、私ども必ずしも前よりも不足しておるというふうには感じないのでございます。ガソリンその他におきましては、増配の状況にある。重油にしましても、国内の油業者は盛んにこれを売りたがつておるというふうな状況にあるのでございます。従いまして私どもとしては、あらゆる方面からこの機帆船に対する油の増配についての資料を提供し、また方途を盡して増配の実現を期したいと思つて、今やつておるのでありますが、何と言いまするか、ひとつのイデオロギー的なものから出ておりまして、非常に考えがかたいわけでございます。しかしあるいはこれが少し転換するのではないかという情勢も出かかつております。これはここでこれ以上申し上げることができないのでございまするが、そういうふうな空気も見えかけておりまするので、この上とも力をいたしたい、かように考えます。
  54. 小坂善太郎

    小坂委員 ちよつと簡單に……同胞の帰還輸送費についてでありますが、この同胞の引揚費というものは今年度予算には五十九億、前年度に比してふえておる。この輸送の面におきまして七億一千二百万円減つているのですが、大体予算分では三十万同胞が残留しているということで組んでありますが、この輸送費が減つているというのは何か特別な事情があるのでしようか。
  55. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 帰還輸送につきましては、どの船を何隻充てるかということについて、すべて関係方面の指示によつてつておりますが、これに充当されます船が大分減らされて参りまして、今まで本年度の初めにおきまして約三十隻あまりの船が当つておつたのでありますが来年度におきましては約十一隻というように減らしております。これはこういう目的のものでございますので、関係方面の指示通りに私どもは忠実に実行する考えでおるのであります。
  56. 小坂善太郎

    小坂委員 その他というところで同胞帰還費だけでございますと、五十四億六百万円というものがある。そうするとその他の中から、必要に応じては輸送費の中に繰込めるというような余裕をもつて、この予算は組んであるのでしようか。
  57. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今まで帰還輸送の船の使われておる状況を見ますと、非常に余裕を持つておりまして、ほとんど一隻の船が月に一航海するかしないかというような待機状態にあるのであります。従いまして十一隻の船がほんとうに能率を上げて動きます場合に、は、これをもつて相当の数が輸送し得るものと考えるのであります。もしこれが一時に出まわるようになりますと、あるいは不足することになるかと思いますが、現在のところこれで少々の数がふえましても、支障ないものと私どもは考えております。
  58. 尾崎末吉

    尾崎主査 それでは一般会計中、運輸省所管分と、政府関係機関中国鉄以外の運輸省所管分につきましては、他に御質疑がなければ、一応この程度で終ることにいたしまして、午後は主として国鉄関係につき質疑を行うことといたします。  午後は一時四十分から開くことにいたしまして、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時十二分開議
  59. 尾崎末吉

    尾崎主査 休憩前に引続いて再開いたします。  先ほど申し上げましたように、午後は政府関係機関予算中、主として日本国有鉄道関係について審査を進めることにいたします。  まず政府より予算の概要について説明を求めます。原運輸政務次官
  60. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 昭和二十五年度日本国有鉄道予算の概要について御説明申し上げ、御審議の資といたしたいと存じます。  第一は事業計画でありますが、予算説明に入ります前に、まず本年度の事業計画の大綱について申し上げます。  一は輸送計画昭和二十五年度輸送計画は、いわゆる日本国有鉄道が国民の信託にこたえて、経済再建と民生安定の基本に資するため、施設車両の復旧整備と保守の向上をはかり、もつて輸送サービスの改善をはかる目途をもつて計画を樹立したのであります。まず鉄道においては、旅客輸送人員は三十億人で対前年四・三%増であり、人キロでは七百十五億七千百万人キロ、貨物輸送トン数は一億三千二百万トンを目標とし、対前年二%増であり、トンキロにおいて二百七十六億四千三百万トンキロでありまして、これに要する列車キロは一億五千万キロであり、対前年二%の増加となつております。国営自動車においては旅客輸送人員六千四百万人、六億六千九百万人キ  次は工事計画、工事計画としましては、施設の維持及び取替補充をなすための工事に重点を置き、企業の合理化、サービスの向上をもあわせて考えて策定いたしました。そのおもなるものは、車両関係としては、電車二百五十両、客車百十両、貨車九百四十三両の新造及び客車、電車、貨車の更新工事等であります。施設関係としては、新線建設については(二十三年九月のアイオン台風により破壞されました山田線の代替復旧が困難なるため、ひとまず釜石線の全通をはかることといたしまして、前年度より継続してその残工事を完成する計画、及び前年度より継続の信濃川山辺発電所建設の金額を計上いたしております。その他の大部分に、いずれも現在の老朽施設の補充取替的なものであります。以上による工事費の総額は、設備の保修に要する経費を計上せる損益勘定において、施設、車両、機械、船舶の修繕費三百六億円、設備の取替改良に要する経費を計上せる工事勘定において工事費二百億円で、工事費の総計は五百六億円であります。なおそのほかに対日援助見返り資金から受入れる特別の資金が四十億円ございますが、これは運輸、大蔵両大臣が協議し、承認した目的に充当することができるわけであります。  次は資材計画であります。以上の諸計画に要する資材は、そのおもなるものについて述べますれば、普通鋼材二十一万トン、銑鉄二万三千トン、セメント十五万トン、木材百九十万石、枕木六百六十万丁、石炭六百三十五万トンでありましてこれを昭和二十五年度の生産計画に対比いたしますと、普通鋼材において一〇%、銑鉄一二%、セメント八・四%、木材二・七%、石炭一六%となるのでありまして、国全体の資材計画において、日本国有鉄道の使用量は、相当なる部分を占めることになります。これが使用にあたつては極力節約に努めるとともに、合理的な運用をなす所存でございます。  次は職員計画であります。以上の諸計画を実施するに要する職員数は、損益勘定所属のもの四十万九千九百人、工事勘定所属のもの一万五千五百六十人、中間勘定所属のもの六万七千二百九十人、合計四十九万二千七百五十人でありまして、二十四年度の予算人員五十万三千七十二人と比較いたしますと、一万二百二十二人、約二%の減となつております。これは職員の自然退職率一・五%を基礎として、二十四年度十月以降、自然減耗に対する新規補充は、原則としては行わないという考え方で、以上の四十九万二千七百五十人の予算定員なつたのでありまして今後は職員の勤労意欲の向上と相まつて、経営の合理化をはかる考えでおります。  次に昭和二十五年度予算、歳入歳出予算昭和二十五年度日本国有鉄道歳入歳出予算について説明いたします。  以上の諾計画を織り込みました予算の総額は、歳入歳出ともに一千五百八十億七千万円でありましてそのうちには百九十九億九千五百万円の減価償却と、取替経費の重複金額が計上してございますから、差引きしますと一千三百八十億七千五百万円となり、これを昭和二十四年度当初予算一千三百四億三千六百万円と比較いたしますと、差引純増加額は七十六億三千九百万円となつております。これは人件費については、二十四年度同様六千三百円ベースの給與水準により、また物件費は現行物価ベース、昭和二十四年十一月により、その所要額を計上しておるのであります。すなわちこの七十六億三千九百万円の増加額を内容的に見ますれば、工事経費においては七十四億四千八百万円の増加となり、経営費においては七億三千万円の減となつておりますのみならず、二十四年度中における電力、鋼材、その他資材の値上り等を考慮いたしますれば、著しく節約行つていると言えるのであります。  次に物件費のおおむねを占める石炭費は、六千カロリーの石炭を使用することにして、一トン当り單価を三千八百三十円、使用量は六百三十五万トンとしたのでありますがこの物件費は六百四十二億一千百万円であります。  このほかに減償却費は、二十四年度同様帳簿価格を基礎として計算することとして、十七億六千七百万円と、特別補充取替費として百八十二億二千八百万円、特別建設改良費として四十億円、利子三十二億二千四百万円、及び予測しがたい事由によつて生ずる予算の不足を補うための予備費として十五億円を計上し、経費総額が一千三百八十億七千五百万円となるのであります。  これに対する財源といたしましては、事業收入では一千三百二十七億九千百万円と、病院その他雑收入九億六千三百万円、米国対日援助見返り資金特別会計から受入れ四十億円と、貯蔵品売却等の諸收入三億二千百万円との合計額、一千三百八十億七千五百万円でありまして、運輸收入につきましては、臨時国会において御承認を得ました貨物運賃八割増を織り込みました收入でございます。米国対日援助見返り資金特別会計からの受入れ四十億円は、予算総則にもございますように、運輸、大蔵両大臣の協議して承認した目的に支出することにいたしております。  次は債務負担行為、予算総則第六條に示してあります債務負担行為に関しましては、二十四年度と同様営業費で九十三億円、建設改良費で三十四億円を必要とするものといたしております。  次に一時借入金の限度については、予算総則第八條に百億円と規定いたしました。これは予算執行に伴う資金の一時的不足に処するためのものであります。  次に予算の彈力條項、さらにまた予算総則第九條においては、日本国有鉄道の收入増加が業務量の増加に伴う場合においては、予備費使用の例に準じて、運輸大臣が大蔵大臣と協議して定める基準により、收入の一部を業務のため直接要した経費に充当することができるよう規定して、企業運営の機動性を発揮できるよういたしております。  予算総則第十條においては、従来立法科目として絶対的な流用禁止項目でありました款、項のうちの項の移用につきましても、二十四年度予算においては、財政法の改正によりまして、予算総則において規定すれば移用できることになりましたが、二十五年度におきましては、国鉄予算においても項の移用が、運輸大臣の承認を受ればできることとなつたのであります。なおまた同一項内の給料、手当に属する経費、謝金及び賞與金、交際費は相互に彼此流用が、運輸大臣の承認を受ければ、可能となつたのであります。もつとも給料、扶養手当、勤務地手当、超過勤務手当、特殊勤務手当、寒冷地及び石炭手当の金額の相互間は、承認なしで流用は可能なのであります。  予算総則第十一條においては、給料以下寒冷地及び石炭手当の総額は、四百五十六億三千万円と定めている。この給與総額の範囲内において、給與準則を作成することになつておりますが、その給與準則を実施するために、必要があれば運輸大臣の承認を受けて、増額が可能であることを規定しているのであります。これによつて公務員の給與準則とは別に、公共企業体としての給與準則を作成することができるようになつた次第であります。  貯蔵品の保有額でありますが、予算総則第十三條においては、日本国有鉄道の貯蔵品の保有額の限度については、二十五年度において百億円と規定してこれを二十四年度の百三十億に比較すれば三十億円の減少となり、貯蔵品の適正保有に努めている次第であります。  最後に日本国有鉄道の財政につき今後の見通しを申し上げますと、去る臨時国会におきまして貨物運賃八割の値上げの御承認を得ましたおかげで、  以上昭和二十五年度日本国有鉄道予算の大綱につき御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことを切望いたします。
  61. 尾崎末吉

    尾崎主査 これより質疑に入ります。質疑を許します。山本利壽君。
  62. 山本利壽

    山本(利)委員 ただいまの御説明を承りまして、輸送計画におきましては旅客輸送で四・三%、貨物輸送で二%増となつているのでありますが、特に現在の滯貨状況等から考えまして、この程度の増加で二十五年度においてはスムースに輸送が可能でありましようか。そこらの点をまずお伺いしたいと思います。
  63. 足羽則之

    ○足羽政府委員 この輸送量の見方にはいろいろございますて、これは事業計画を立てるにいたしましても、あるいは收入を見積るにいたしましても、一番重要な要素でありまして、いろいろ多数の人がかかつて、従来の実績を基礎にして算定をいたしたのでございます。大体この旅客、貨物の増加につきましては、今の御質問趣旨が、このくらいな増加を見込んで、はたしていいのかどうか。少くはないかという御質問と実は思うのでありますが、私たちの大体今まで携わつております点では、大体このくらいの見通しでやつて行けるというふうに考えております。
  64. 山本利壽

    山本(利)委員 次に国営自動車の問題であります。昨年中国営自動車民間拂下げの問題が起りまして、各方面から拂下げ反対の陳情書を多く受取つたのであります。当局の方に御質問申し上げましたところ、これはやりたいのだがどうもやれないのだ。まあ心配はあるまいといつたような意味のお答えをいただいていたと思うのでありますが、この国営自動車民間拂下げ問題は打切られたものでありますか。なお研究中のものでありますか。そこらの見通しについての御見解を承りたい。
  65. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 お答え申し上げます。国営自動車を民間に拂い下げるということは、一時今山本さんのお話のように世間でうわさされましたが、目下運輸省、国鉄といたしましても、国営自動車を拂い下げる意思はございません。
  66. 山本利壽

    山本(利)委員 次に工事計画の部分で、北支事変が始まりまして以来、当時工事中であつたいろいろな路線の工事中止等が行われまして、各地方におきましては、その建設工事が復活されることを非常に望んでおるのでございますが、二十五年度の計画には釜石線の全通をはかること以外には、その予算の計上がないようでありますけれども、今後すでに予定線になつておつたもの、ことに工事を途中で打切られたものに対しての復活ということは、どういうことになるでありましようか。
  67. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 御承知のように建設線中、工事に着手したものは約五百五十キロあり、戰争以来資材、資金その他の関係から、大部分のものは未完成のうちに工事を中止しているという点は、御指摘のようであります。今後資金及び各線の收益、公益性を考慮して、順次工事に着手いたしたいと思つておりますが、大体の方針はそうでございますけれども、二十五年度において今予算面におきましては、さつき御説明のありました以外のところにおいて、具体的にやるということは、これはきまつていない次第でございます。
  68. 山本利壽

    山本(利)委員 対日援助見返り資金から四十億円が組み入れられることになつたということが書いてありまして、これは運輸大臣並びに大蔵大臣の協議によつて、その使途が決定するのでありますけれども、運輸省といたしましては、この金を先ほど申しましたような工事に振り向けて、地方民の要望にこたえる意思はあるかどうか。あるいはそういう方面でなければ、大体、大蔵大臣が承認するならば、こういう方面に使いたいという計画についてお漏らしを願いたいと思います。
  69. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 四十億につきまして、その詳細についてどういうふうに使うかということは、もちろん大蔵大臣と協議することは御指摘の通りであります。それで運輸当局といたしましての腹案といたしましては、信濃川の山辺発電所に対して、前年度からの継続事業といたしまして、二十三億何千万円かをもつてこれをやることは確定いたしております。残余については目下関係方面と交渉いたしておりまして、発表する段階に至つておりません。
  70. 山本利壽

    山本(利)委員 ただいまの御答弁で、ちよつとあいまいと思いましたのは、信濃川の山辺発電所の建設費は四十億の中に入つておるということでございましようか。あるいは四十億以外のところから、二十三億の財源を求めようとしておるという意味でありましようか。
  71. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 山辺発電所の方は、その四十億の中に含まれております。でありますから、ほかの建設は見返り資金からする場合は、その残余のものでやる、こういうことになります。
  72. 山本利壽

    山本(利)委員 それについて、新しい、現在よりも路線を延長するという工事については、関係方面から絶対に禁止されておるということはなく、ただ国家予算面から不可能という程度でありましようか。それとも一つの指示として、新しい線路を延ばすということを絶対に禁止されておるものでありましようか。
  73. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 たとえば特に関係方面から、新設を絶対にしてはいけないというような覚書とか、文書とかいうようなものはございませんが、諸般の情勢から考えまして、均衡予算をとる建前から、なるべく線路を今後補修したりするという方面に大体方針をとつてつておりまして、予算上理論としてはもちろん新設もいたしたいのでありますが、均衡予算の建前から、現実的にはどうもこういう予算の範囲に落ちついて来たような次第であります。
  74. 山本利壽

    山本(利)委員 そういたしますと、今まではそういう方面に着手できなかつたということは、われわれもよく了承するところでありますが、すでにこの見返り資金勘定のみについて見ましても、四十億円の中から二十三億円を引いた差額が、今年度の予算に計上されている以外に使われ得るのであります。大体独立採算制がとれるようになつ状況でありますから、二十六年度あたりから新線に着手することが可能のように、これは仮定でお答えしにくいかもしれませんが、大体見通しはつきましようか。
  75. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 かれかれの立場からしましても、全国民からなるべく新線を敷設して、積極的に日本の経済の発展に資してもらいたいという要望が、非常な熱烈なものがございます。それでわれわれもただ独立採算制とか、予算がないというような、小さいからにとじこもつて、それだけ満足しておろうと思うのではございませんので、御指摘のように本年度はこういう状態でございますが、来年度ありからは逐次方向を転換して、御希望のように新線の敷設というような方面にも意を用いたい、こう思つておるのでございます。
  76. 山本利壽

    山本(利)委員 この信濃川山辺発電所建設の問題でありますが、一方通産省においても、全国的に電源開発の計画は立てられておるようでありますが、それとこれとの関連、特にこういう別個に計上されるということは、鉄道に使用の電源というものは、通産省関係とは全然別個になつておるものでありましようか。
  77. 足羽則之

    ○足羽政府委員 山辺発電所を含めました信濃川の発電所の計画は、ずつと前から立てられておつたものでありま
  78. 山本利壽

    山本(利)委員 次の国鉄におきましては、現場機構の改革ということが行われる由承つておりますが、大体その計画の要点について、現在よりもいかにこれが改善せられるものであるかということについての御説明を承りたいと思います。
  79. 足羽則之

    ○足羽政府委員 国鉄の従来の経常の組織の点につきましては、御承知のように中央に現在の本庁があり、地方には各鉄道局、それからその下に管理部、もしくは工機部、管理部の下にそれぞれ現場の機関がありまして、御承知のように駅とか機関区とか保線区とか、それぞれの仕事を分担するところがあるのでございます。ところでそうした組織で運営をして参つたのでございが、しかしこれを一つ段階を減らして、つまり四段階を三段階にして組織を簡素化してはどうか。同時にそのねらうところは、責任の所在が明確になり、かつ能率を上げる。こういう新しい観点から問題が出て参つたわけであります。そこでまず第一段といたしましては、御承知のように北海道においてそれが実施されまして、北海道において管理部が全部廃止になり、従来札幌鉄道局一局でありましたのが、札幌と旭川、釧路と、この三箇所に鉄道局を置き、そのかわりに管理部が全部廃止になりまして、その鉄道局の使命といたしますところは、列車が運転せられる線路とか、いろいろな施設の保守をすることと、旅客、貨物を輸送する輸送業、これに專念することであり、それ以外の仕事につきましては、おのおのまた鉄道局から分離した別な機関をつくつてつて行く。こういう考え方へ組織が改組されたわけであります。なお全国的には資材関係の購入、あるいはそれの配給事務というものの責任を一貫し、かつその権限を明確ならしめるという意味で、資材部というものが鉄道局から独立をいたしまして、これは北海道だけではございませんで、全国的にそういうふうにかわつたわけでございます。なお北海道では鉄道局自体に置く資材部がそういうふうにわかれ、また仕事の分担がそういうにかわり、また営業関係の仕事は営業支配人という組織ができまして、これが鉄道局のそれぞれの所在地に営業支配人を置くような組織になつて、営業関係はそこで担当いたすというふうに、主要な業務についていろいろな施設の保守並びに輸送業務に專念するということが、鉄道局のさしあたつての仕事となつた次第であります。なお北海道についてその成績の成果をまず見るため、試験的のことを実施するということでございますが、最近には同様の考え方で四国の組織をかえようかという考えで、そのいろいろな計画が進んでおるようでございます。それ以外の地域につきましては、まだはつきりどういうふうにするか、具体的な計画はないようでございますが、大体今申しましたような趣旨によつて、逐次組織をかえて参りたい、こういう考え方で慎重に研究をしておるように私たち承知いたしております。
  80. 山本利壽

    山本(利)委員 機構いじりというものは、非常に困難を伴うものでありまして、札上ではまことにけつこうな案であつても、従来のいろいろ慣習といいますか、関係から、非常に混乱を来すものであります。当局においてそういうふうに愼重におやりになるということは、まことにけつこうだと思います。北海道で試みとしておやりになつたのは、いつごろでございましよう。そうしてその結果、かえた方がよいという結論が出たのでございますか。ちよつとお伺いいたします。
  81. 足羽則之

    ○足羽政府委員 北海道でその組織をかえましたのは、昨年の九月ごろからでございます。なおこうした組織の改変に伴いまして、その結果がはつきりどうだということは、相当時日を必要とし、また検討を要するものでございますので、ことにすべり出しは、御指摘のように初めての試みでもあり、組織のかわる点もございますので、一時的な混乱なども生じようかと思うのであります。従つて組織の改変がはたしていい結果であるかないかということには、相当な検討の期間を要する、こういうふうに考えておるのであります。まだはつきりとそれがいいか悪いかという結論までは、正確には承知をいたしておりません。しかしおそらく四国についても、その考え方で進もうというふうに、今検討を重ねられておりますが、大体その方向に進んでおるのではないかと承知いたしております。
  82. 山本利壽

    山本(利)委員 漸次内地において、ことに四国においてもその試みがなされるとすれば、私の聞いておりますことで疑念としておりますところを、一、二お伺いいたします。今度の改革の趣旨は、伝え聞くところでは大体縦割り制度といいますか、一つの專門的な業務においては命令系統を一本にして行こう。このねらいはまことに私けつこうなことだと考えるのでありますけれども、各保線区というものがあつて、そこに建設関係のものが駐在しておる。従来は建設区というものがまた別にあつて、そうしてそれは都市を中心として設けられておつたので、各地方においては保線区にその建設係がいた。ところが今度は建設区も廃止されまして建設団というものが組織されて、それがそれぞれの建設に必要な部面に向つて巡回して建設工事を行つて行く。このアイデアはまことにけつこうだと思うのであります。それでもなおかつ保線区には建設係というものが残される。この場合に各地方の保線区にある建設專門の人たちは、やはり原則に従つて命令系統一本化のもとにその建設団と申しますか、鉄道局直属でありますが、その建設方面の指揮系統のもとに入れてもらいたいという要望が非常に強いようであります。これは私は專門家でありませんので、そこらをいかにしたら最もいいかということはわかりませんけれども、そういう要望が起るということは、各地方においてごく少数の者が、全然自分の專門技術とは違う人の支配を受けてときどきインフエリォリティー・コンプレックスですか、そういう感じを持つことが多いのじやないかと思います。これがその仕事の能率に影響するということはあり得ると思う。そういうようないきさつから来たものかどうかということは別でありますけれども、十分に御研究の上で、そういう危險性があるということをお含みになつて、今度の機構改革にあたつても善処していただきたい。このことをお願いしておきます。何かこのことについての御説明がありましたならば、お伺いしたいと思います。
  83. 片山隆三

    ○片山説明員 今の御質問ですが、現場機構の改革は目下研究されておりまして、きまつたわけではございません。御質問の建設区というお話は、おそらく建築区のお話だと思いますが、従来建築区は大都会だけにありまして、地方に保線区がたくさんありますが、保線区の性格上、保線区は大きく管轄を持つことはできません。警戒とかいろいろな関係上、こまかくわけなければなりません。それに建築もついておりましたが、最近アメリカからは、建築とか土木関係は、ギャング・システムと言つて、車に乘せて作業員を移動して、人間の経済をはかり、作業能率をはかれ、そういうことが言われておりますから、どうしてもその線に沿つて、今後現場の機構改革がなされなければならぬと思います。またその線に沿つて研究されております。そうしますとほかの電力とか建築なんかは、保線とは違いまして、日々の警戒というようなことは緊急度が薄いものですから、むしろ作業能率をはかつた方がいいものですから、従来のようにこまかくわけた保線区にあるよりも、一元的に御説の通りに縦割りの命令系統を一つにして、責任態勢を明らかにする。この線に沿いまして一本にするのが、運営上一番いいと思います。しかし日常のこまかい雑務もありますから、やはりそういう專門の人間をその土地に駐在
  84. 山本利壽

    山本(利)委員 ただいまの御説明でよく了承いたしました。私もまだ確定していないと思つて、できるだけよい方に改善されることを希望したのであります。  次に本年度の予算は、六千三百円べースの給與水準になつておりますが、現在の鉄道員の生活状況がどういうものであるか。ただ鉄道方面だけの賃金の改訂がせられるということは、ただちにまた他の方面にも影響することとは思いますけれども、予算関係から行つて、今後この六千三百円ベースは当然改訂せらるべきものであると思うが、改訂の可能性があるかどうか。ことに先ほどの原政務次官からの御説明によつて、今度の予算流用ということが項までも行くことになり、非常に好都合になつたようでありますが、そこらのこの鉄道従業員に対する給與の見通しについての御説明を承りたいと思います。
  85. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 給與ベース改訂については、御承知のようにこれは国鉄のみ変更するのではなくて、政府関係機関をも含んだ全会計が、同時にベースの改訂をすることになるようにも思いますし、元来は国の財政一般の問題になるものでありますので、ただ私どもだけの国鉄及び運輸省だけの話ではなくして、全般的ににらみ合せて問題にされるべきものである、こういうふうに了承いたしております。
  86. 山本利壽

    山本(利)委員 私一人で時間をとるようでございますので、この辺で一応打切ります。
  87. 小平久雄

    小平(久)委員 最初に本年度の輸送計画でありますが、先ほど同僚山本君から二十四年度よりも若干なりとも多くなるのはどうかという御趣旨の御質問がありましたが、私はむしろ逆に、最近における経済情勢等を見ますと、二十五年度においては二十四年度よりもむしろ減るのではないか。特に統制の撤廃などを考えますと、そういう感が深いのであります。しかし先ほどの御説明では、いろいろな情勢からこう見込んだという御説明でありましたが、当局としましては一体旅客あるいは貨物につきまして、こういう面ではふえる、こういう面では減るういう大体の見当をつけておることだろうと思うのですが、その点についてもう少し御説明を願いたいと思います。
  88. 足羽則之

    ○足羽政府委員 そのこまかい点につきましては、実は私も詳しく申し上げることができないのでありますが、ただ旅客の問題につきましては、格段な増減は大体ないものと一応考えております。季節的のいろいろな増減もあるのでございますが、しかしあるいは運賃の変更とか特段な要素のかわりがない限りは、特に格段なふえ方は大体ないというように考えております。従来、普通の状態のときで、鉄道ではごく大ざつぱに申し上げて毎年五%の増、少し景気がいい場合にはそれがずつと上つて来るわけでありますが、大体その前後の増が実績でありまして、それがそのときの情勢によつて少し下まわるとか、あるいは上まわるというのが大体の傾向でございます。  それから貨物の問題でございますが、貨物は今度の運賃改正によりまして相当海運転貨をする。御承知のようにたしか先般の貨物運賃の改訂の場合に、三%の減を見込んだかと思うのでございますが、それが大体最近の様子を見ますと、相当輸送距離が延びております関係上、予想より成績はややよろしいかと考えております。この数字としましては、海運調整で海運に転貨するものも相当あり、だんだんといろいろな情勢が落ちついておる部分もございますし、また落ちついてない部分もあるのでございますが、特に大きな要素を見込むということは、これはあまり考えられないのでございますけれども、非常に減を見込むということはまずない。大体において二%増と申しますと、実際は現状と大体かわらない。こういう想像的な結論だと考えてよろしかろうかと思います。たいへん不明確なお答えでございますが、以上お答えいたします。
  89. 小平久雄

    小平(久)委員 大体のことはただいま承つて了承するのでありますが、何と申しましても予算の根本でありましようから、もしできるならば、後ほどでもけつこうでありますから、この増減についての数的な根拠を資料として出していただけるならば、頂戴したいと思います。  それと関連しまして、聞くところによりますと、鉄道においては五十キロ以内の貨物の輸送は今後やらぬ。トラックにまかせるということを聞いておるのですが、そういう事実がございましようか。
  90. 足羽則之

    ○足羽政府委員 それはあるいは貨物運賃の値上げの場合に、トラックに対する影響いつた点もいろいろ研究をいたしたのでございますが、そのときに五十キロ以内、ことに小口の貨物だつたかと思いますが、そういうものはトラックに転貨する傾向が非常に強いという考えで参つたかと思いますけれども、それがあるいは何かの形でお耳に入つたのかとも思いますが、そういうことはございません。
  91. 小平久雄

    小平(久)委員 次に見返り資金からの借入金の四十億でありますが、これは昨年度は百五十億でありまして、借入金と申しますか、多分建設公債の引受けというような形であつたかと思います。ところが今年度はただこれが受入れとなつておりますが、これは一体性質がどう違うのでありますか。出資になるのでございましようか。
  92. 足羽則之

    ○足羽政府委員 昨年は百五十億を借入金として処理いたしたのでございますが、今年度は公共企業に対しては、政府方針がただで出すというふうになつておるようであります。従つて国有鉄道に対しては、これを政府が出資をするという形になつております。あるいは電気通信事業特別会計その他の特別会計には交付金として出す法立案が、大蔵省から提案になるように私たち承知いたしおります。国鉄としては、これを資本金として取扱うということになりまして、国有鉄道法のそれに関する改正法律案を、やはりこの国会に出して御審議を願うことになつております。
  93. 小平久雄

    小平(久)委員 次に電化の問題でありまするが、本年度の予算を見ますると、電化設備費、あるいは発電設備費というものが、二十四年度に比較しましてそれぞれ非常に減つておるのであります。これまた聞くところによりますと、電化は一時中止だ、但し高崎上野間だけを改良費か何かでやるということでありますが、これにつきまして当局の御方針を承つておきたい。
  94. 足羽則之

    ○足羽政府委員 電化の問題につきましては、詳しく御説明を申し上げるまでもなく、われわれといたしましても電化に対しては熱心にこれを進めて参りたいという気持がございますし、また一般にも、電化が單に国鉄のみの問題でなく、現在の社会情勢のもとにおきましては、あるいは失業問題に関係をし、あるいは一般の産業に対する需要の喚起というところからも考えられ、あるいは石炭の節約と申しますか、そうした動力源の保持というような観点からも考えられ、單に国鉄だけの問題でなく熱心に電化をしたい。いわば国策としてそれを取上げるという気持で、盛んにこれが期待されておる。こういうわけでありまして、われわれといたしましてもぜひ何らかの形でこれを進めて参りたいということで、今まで参つたのでございますが、今年度の予算を作成するにあたりまして、まずさしあたつて問題になりますのは、米原、浜松間の電化であります。いろいろその点について折衡を重ねて参つたのでございますが、主として電源に対する電力の需給計画に対する見解の相違と申しますか、そういつたことが中心でございまして、はつきり予算に組むまでに話を進めるに至らなかつた。大体そういつた事情でございます。なおしかし何らかの形で電化問題を一歩前進させて行きたいということは、われわれ現在でも考えておるわけでございます。
  95. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまの御説明によりますと、主として電源の関係で特に問題になりまして、米原、浜松間についても解決を見なかつたというお話でございますが、そうしますと関係方面等において、まだ日本においては電化はぜいたくだといいますか、必要ないといいますか、そういつたような考えが別にあるわけではないのでありましようか。
  96. 足羽則之

    ○足羽政府委員 特にそういう御指摘のようなふうなことについては、私はつきり承知いたしておりません。
  97. 小平久雄

    小平(久)委員 なお電化のことにつきまして、民間において電化設備会社と申しますか、要するに民間資本を主体として、電化の工事を請負つてやろうという計画もあるやに聞くのでありますが、こういうことについて当局のお考えはいかがでありますか。
  98. 足羽則之

    ○足羽政府委員 今御指摘のような話も民間に進んでおることは、私承知をいたしております。何らかの形で電化が実現することを希望している者といたしましては、具体的な内容が今後どう固まるかによると思うのでありますが、抽象的に申し上げれば、そうした企ても非常にけつこうなことと私たちは考えております。
  99. 小平久雄

    小平(久)委員 次に鉄道で最近行われました踏切番の廃止について承つておきます。これは問題は小さいといえば小さい。しかしまた交通事故の防止という点から申しますと、踏切りは非常に必要なのであります。ところが昨年の行政整理の後におきまして、ずいぶん踏切番を廃止したところがあるようでありまして、そのためにとは申しませんが、間接的にはそういう関係もありまして、事故も相当つているとわれわれは承知いたしておるのであります。サービスの向上が基本だということが御説明にもありましたが、乘客のサービス、あるいは貨物の取扱いに対するサービスばかりでなく、一般の交通者に対して、鉄道として当然こういう施設をやるべきものだとわれわれは考えているのでありまして、万一事故が起りますと、鉄道関係の方などは、すぐこれは行政整理のためだということを軽々しくおつしやる方もありますので、私はこの際、一体踏切りというものが全国にどのくらいあるものか。また行政整理等の関係によつて、廃止したのがどのくらいあるのか。あるいはそれによつてどのくらい鉄道としては経費を節減したか。こういう点がわかれば伺いたいものであります。
  100. 足羽則之

    ○足羽政府委員 今の御質問でございますが、具体的な数字の点につきましては、あいにく資料を持合せておりませんので、後刻調べて御返事を申し上げたいと思います。なお踏切りの問題は、われわれ非常に重要な問題と考えておりまして、実は運輸省としては、踏切りの設備をどうするかという問題を、單に国鉄だけではなく、私鉄、国鉄を通じて取上げて研究して参りたいということで、建設省、あるいは路面の方の交通の監督にあたつておる警察関係、あるいは関係方面のその関係の方、そういつた方々にお集まりを願つて、実は打合せ会をいたしております。最近発足いたしまして、それによつてあるいは踏切り道の設備をいかにすべきか、あるいは交通量をどうして見るかというような、おおむね踏切りに関連した設備基準と申しますか、あるいは設備のその具体的の内容なんかにつきましても、そうした点について何らか一定の基準を見出して、それの推進をはかりたいということで、最近打合せ会を重ねております。もしこれを実現さすとなれば、相当大きな仕事でありまして現在の打合せ会でそういう基準を考えるということは、その準備段階にすぎないと思いますので、ただいまの御質問の要旨にはすぐには即しかねると思うのでありますが、しかしそういう観点から、実は昨年の暮以来数次会合をいたし、そういうものをやつておる次第であります。踏切りの問題につきましても、列車運転の安全の保持という見地から、あるいは人命の保護という見地からも、おろそかにしないで考えている次第でございますから、その点は御了承を願いたいと思います。
  101. 小平久雄

    小平(久)委員 次に最近の列車事故と関連しまして、特に機関士の問題でありますが、昨年の行政整理の当時におきましても、機関士が非常に不足する。あるいは労働基準法の関係もありましようが、機関士が特に不足だというようなことをわれわれは聞いておつたのであります。最近の事故等の例を見ますと、中にはもちろん機関士の不注意ということもありましようが、その不注意も、また鉄道関係の人から聞きますと、過労が主因だというようなことをたまたま耳にするのでありまして、そういう関係からして、どうしてもこれは特に機関士というような重要な職種の方は、十分に確保していただきたいとわれわれは思うのであり事が、一体機関士の所要人員というものは、ただいま十分にあるのでございますか。またそれと同時に機関手の訓練といつたようなことにつきまして、どういうお考えを持つておるか、承りたいと思います。
  102. 足羽則之

    ○足羽政府委員 これも実ははつきりした数字をもつてただいま御説明申し上げられませんことは遺憾でございますが、しかし機関士はもとより、機関助士、そうした機関車乘員につきましても、必要な人数は業務遂行上非常に大切なことでございますから、必要な乘員の備わつておることは間違いなく、そうお答えできると思います。  なお運転事故の防止ということは、鉄道の運営から申しますと非常に大切なことでありまして、これには従来から非常に深い関心を拂つております。諸設備の整備、あるいは従事員の指導訓練とか、あるいは運転関係の工具類の整備、こうしたものにつきましては、その一々を申し上げるわけにも参りませんが関心を拂い、いろいろな施案を実施して参つております。なお本年の三月から、こうした運転に直接関係のあります全従事員に対して、考査制度を実施することにいたしております。考査制度と申しますのは、運転関係の従事員の精神的な欠陷から、事故を起しやすい、こうした状態にある者を発見する。こういうような目的で、職名によつて違いますが、六箇月あるいは一箇年の期間ごとに、それぞれ運転に直接関係のあるいろいろな法規とか、作業とか、あるいは技能、そういつたものを考査いたし、あるいは精神機能の検査を実施する、こういう制度をとつております。なお一般の職員の保健とか、あるいは衞生などの点につきましても、これを一々くどくどしくは申し上げませんが、特にこうした運転関係の従事員の重要性は申すまでもないことでございますので、十分に考えて、その点の施策はできるだけのことをいたしておるようでございます。
  103. 小平久雄

    小平(久)委員 次に自動車関係について若干承りたいと思いますが、この予算書を拜見しますと、鉄道及び船舶の方はそれぞれ收支が合つておるようでありますが、自動車だけは三十五年度においても赤字のように拜見します。そこで一体国鉄経営の自動車の営業路線というものは、路線数にしてどのくらい、営業キロ数においてどのくらいおありなのでしようか。
  104. 足羽則之

    ○足羽政府委員 国営自動車の現状について御説明をこまかに申し上げたいと思うのでありますが、現在路線といたしましてはやや專門の言葉でございますが、一般路線と申しましてハスとトラックと両方動いておる路線が六十七ございます。それからバスだけ動いております――旅客路線と申しておりますが、これが九つございます。それから原産地路線と申しまし出て、トラックだけ動いております。主として山間のいろいろな貨物、資材を運ぶ、こういつた路線でございますが、トラックだけ動いておる線が十線ございます。合計で八十六ございます。なお区間貨物路線と申しまして、トラックだけある一定区間を――定期の路線をきめないで、ある二点間を動いておる路線がございます。これが四十箇所ございます。それから東京と大阪では、荷電代行とわれわれは申しておるのですが、つまり普通の荷物を運ぶために電車が走つております、その電車の代行としてトラックを動かしておりますので荷電代行と申しますが、これが九
  105. 足羽則之

    ○足羽政府委員 国営自動車の現状について御説明をこまかに申し上げたいと思うのでありますが、現在路線といたしましてはやや專門の言葉でございますが、一般路線と申しましてハスとトラックと両方動いておる路線が六十七ございます。それからバス挫け動いております――旅客路線と申しておりますが、これが九つございます。それから原産地路線と申箇所ございます。それから機動運営と申しますのは、ある区域をきめまして、その区域内でトラックだけが動いておる、そうしたところが四箇所、合計日本全国では百四十六路線と申しますか、百四十六箇所ございます。以上の営業キロ程は、最後の区間貨物と荷電代行とそれから機動運営を除きまして――これはキロ程に換算できませんですから除きまして、あと全部で九千七十キロ、これだけが営業のキロ程でございます。以上は路線の数で表示いたしましたのですが、それをやつておる自動車区の数が百二十九ございます。これは昨年の九月十日現在でお話申し上げておるのであります。なおそれに対する車両数は、旅客車千五百七十三両、貨物車が二千八百九十九両、それからトレラーと申しまして自動車のあとにくつつけてひつぱつて行く、そういう車が二千二百四十八両、それだけでございます。なお従事員といたしましては約一万三千人がこれに従事して参つております。それから運輸成績は、今手元に二十三年度のものしかございませんですが、旅客收入が七億七千百二十八万九千円、約七億七千万円でありまして、貨物収入が三億九千三百万円、雑收入が四百三十万円、以上合計いたしまして十二億七百万円という運輸收入になつております。ごくあらましを申し上げますと、大体そういうかつこうになつております。
  106. 小平久雄

    小平(久)委員 そこでこの自動車につきましては、もちろん公共企業体の経営でありますから、必ずしも採算のとれる線とばかりは行かないだろうと思いますが、一体ただいま御説明のあつたうちで、どのぐらいの路線が採算がとれ、どのくらいの線が採算がとれないものですか。
  107. 足羽則之

    ○足羽政府委員 実は不十分でございまして、そうした御質問に対する資料を持ち合せておらぬのでございますが、総じて自動車関係では、收入と支出との関係は、先ほど来年度の予算説明においても御承知を願つたことく、收入、支出の関係で非常にいいというわけに参らないことは、非常に遺憾でございます。ただこの経営の合理化ということを目標といたしましていわゆる独立採算制というものを国鉄自動車としてもいたしておる。この国鉄自動車の経営合理化と申しますのは、ある一つの自動車区を例にとりますれば、そこで本来かかるべき支出がこれこれ、本来そこで上ぐべき收入がこれこれ、こういう基準を定めまして、それ以上に收入を上げ得るかどうか、あるいはそれ以上に支出を切り詰め得るかどうか、そういつた一つの基準を定めて、逐次それを接近させる、こういう考え方でやつております。それの成績につきましては、実はこれも具体的な数字を持ち合しておりませんが、全区の各自動車区に実施をいたしまして、相当ないい成績を逐次收めて参つております。ただこれはやはり国有鉄道に関連をいたします交通網の整備ということが重点でありまして、あるいは国鉄の先行線、あるいは代行線、あるいは短路線、あるいは培養線、こういう見地からいたしておりますので、自動車線だけを切り離して完全に收支がとんとんになるというふうに考えることは、必ずしも必要でない、こういうふうに私たち考えております。
  108. 小平久雄

    小平(久)委員 自動車の関係であと一点だけ承りたいのでありますが、この予算書を拜見しますと、建設改良費のうちの工事費でありますが、その中に自動車関係経費がとつてあります。これを見ますとたとえば自動車線設備費が十万円、自動車工場費が十万円、あるいは自動車費が百万円とか、こういつたぐあいで、民間のほんとうのちつぽけな会社でも、はたしてこんなものでやつて行けるかどうかと思われるほどのごくわずかな、言うに足りない額しか載つておらないのであります。自動車費というのは、あるいは自動車を新しく買う費用じやないかと思うのでありますが、百万円といえば、申すまでもなくバスなどは一台買えばなくなつてしまう。ちよつとよくつくれば一台でもどうかと思われるようなのでありまして、特に公共企業体でやつております路線であつても、観光地等に関係あるものもずいぶんありますし、今や特にバス界等において相当車はよくなつております。しかるにどうもこういうもので、いうところのサービスの向上なんというものができるのかどうかと、はなはだ疑問に思うのでありますが、こういう点はどんなお考えでありますか。御説明願いたいと思います。
  109. 足羽則之

    ○足羽政府委員 現在の自動車路線に対する費用は、損益勘定の方に載つておるわけでありまして十分にその経営については一般の期待にそむかないようにやつて行けるだろうと考えておりますが、ここに今御指摘になりましたのは工事勘定の、つまり新線を新しく開拓をするとか、それに関係するものがこの工事勘定としてあがつておるのでありまして、実はこの点につきましては新線をやつて行くということについて、関係方面になかなかその点が認められない。こういうかつこうで工事勘定についてはきわめて僅少な額があがつておる点は、われわれの遺憾とするところでございます。しかし現在の路線を経営して行く上についての経費は、損益勘定の方に別にございまして、この工事勘定とは別になつておりますから、その点御了承を願いたいと思います。
  110. 小平久雄

    小平(久)委員 それでは方面をかえますが、特に本年一月から貨物の運賃が八割値上げになりまして以来、遠距離貨物等については、その運賃が事業をやつて行く上におきまして、非常に重大な問題になつておることは御承知通りであります。そこで荷主から通運会社を通じまして貨車の要求をする。その場合に大きな駅でありますと、荷主の要求する貨車が迅速に大体まわるようでありますが、地方の駅などではなかなか要求した貨車がまわらぬ。極端に言えば十トン車でいいものが、十五トン車がまわつて来る。そういう場合がなきにしもあらずで、その場合でも料金は十五トンでとられる。これがときにはわれわれの推測では、通運会社の方の、極端に言えばずるい考えも若干そこにあるのではないか。大きな貨車にすれば積みいいし、またいろいろな名目での料金もたくさんとれる。こういう関係もあるかと思うのでありますが、いずれにいたしましてもただいま申し上げました通り、荷主の要求する貨車と、それから実際に使用できる貨車というものが違つた場合には、当然これは荷主の要求した貨車の料金でしかるべきものだと私は思うのでありますが、その点いかがでありますか。
  111. 足羽則之

    ○足羽政府委員 非常にこれはむずかしい問題だと思うのでありますが、千差万別な量の荷物が出て、そしてこれの要求に応じた貨車を配給することは、非常に至難な問題だと思うのであります。現在貨車の平均荷重がたしか十三トン幾らということになつていると思うのでありますが、大体基準が十五トン車でございます。なお大きい車では二十トン、二十五トン、三十トンという大きな貨車も相当たくさんありまして十五トン以下の小さい車は全体の比率から見ると、いろいろな経済情勢で取引單位が大きくなるにつれまして、だんだん大きくなつて行く。鉄道貨車の平均荷重トン数がどう変化したかということを見て参りますと、これは鉄道が始まつて以来、逐年向上いたしております。そこでそういつた御希望は、今までもしばしば部分的にもあつたこと思うのでありますが、全般的にはその御希望にはなかなか沿い得ないことではないかと私は考えます。ただ先般の貨物運賃の改正の場合に、貸切りの貨物の運賃につきましては、最低運賃というものがきめてあるのでございますが、その最低運賃について従来はどの車でも区別なしに最低運賃がきめてあつたのですが、先般の貨物運賃の値上げの際に、貨車を三種類にわけまして、たしか二十トン以上の貨車、それから十四トンから二十、トンまでの貨車、十四トン以下の貨車、こういうふうに三段階にわけて、そして最低運賃を小さい車については安くきめろ、中間の車についてま中間に、大きい車についてはやや上げる。こういうふうにして、おそらく御希望の線に沿う処置をいたしております。具体的な問題について、一々の場合にはつきりそういう御希望に沿うようにいたすことは、実際の取引の実情からも考えて、あるいは至難ではないかと思うのでございますが、しかしそういう線に沿うて考えて、先ほど申し上げましたような趣旨最低運費もかえておりますので、そうした点を御説明申し上げたのであります。
  112. 小平久雄

    小平(久)委員 この問題は実際事業をやつている者からしますと、非常に大きな問題でありまして、多分東京から北海道に荷物を送る場合に一トン違うと、先に行くとずいぶん違うと思います。だから物が一体販売できるかどうかという、いわば致命傷になつてしまうのです。そういう点をひとつ御考慮くださいまして、今後さらにこの点についてぜひとも御研究をお願いしたいと思います。  次に旅客の運賃、特に定期券利用者のことでありますか、大体旅客もずいぶん緩和されて参つたようであります。しかし朝夕の通勤列車等はまだまだ混んでいることは、局長さんも御承知通りだと思います。客の考えからすれば、元来列車というものは、かけて乘れるものと、かように考えておるのであります。ところが通勤者などからすれば、かけられるのが不思議といつたような現状でありますから、ここに一、二等の料金改正といつたようなことも取上げられておるようでありますが、むしろこれらを利用する者は特定な連中でありますから、これよりも特に通勤者あるいは学生、生徒といつたものの料金を幾らかでも逐次引下げてやる。そういうことが一番正しい行き方とわれわれは考えておるのでありますが、この点につきまして当局ではどうしても定期の運賃を引下げられないというようなお考えでありますか、承りたいとい思ます。
  113. 足羽則之

    ○足羽政府委員 御指摘のように、旅客輸送が非常に込んでおるということは、鉄道を経営しておる観点から申しますと、遺憾な次第だと思うのでございますが、しかし終戰後から考えて参りますると、逐次車両の整備その他によりまして、緩和して参つたように考えております。なおしかし現在でも相当込んでおりまして、ことに電車区間で相当まだ込んでおるということは、非常に遺憾な次第だと思つております。そこでまたここに関連して定期券を引下げる余地はないかという御質問だと思うのでありますが、定期券の割引というものは非常に大きな割引率でございまして、これに対しては現在のところは、さらにこの割引率を多くするという考え方は持つておらぬ次第でございます。ただしかしおそらく近く提案をして御審議を願うと思うのでございまするが、新聞にもちよつと出たのでございますけれども、定期の中で三箇月と六箇月の定期に対する割引を、一箇月の定期より多くして参る。三箇月の定期に対しては、一箇月の定期運賃の三倍からさらに一割引、六箇月の定期に対しては一箇月の定期運賃の六倍から一割五分引、こういうふうにいたしまして、大きく申しますると、定期運賃の基礎を割引することにはならないのでございまするが、そういうふうな処置をいたして参りたい、こういうように旅客運賃の改正をいたしたいと考えております。全般的な定期運賃の引下げという問題については、はなはだ遺憾でございますが、そういうふうに考えておりません。
  114. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまの三箇月、あるいは六箇月の定期を格安にするということは、いつから御実施になる予定でありますか。
  115. 足羽則之

    ○足羽政府委員 実はこれも目下関係のところと折衝を重ねております。これは通行税の廃止と関連がございますので、それとにらみ合せて実施いたしたい、こういう心づもりで、目下折衝をいたしております。
  116. 小平久雄

    小平(久)委員 やはり関連した問題でありますが、学校の教職員に対する割引の問題であります。これは戰時中以来廃止になつておるかと思いますが、言うまでもなく教職員は、比較的安い俸給でやつておりまするし、特に教職員の場合には、最近ではいわゆる社会教育などというものがありまして、見聞を広めなければならないといつたような事情もあつて、以前のように運賃の割引をぜひとも願いたいという希望が非常に強いのであります。額にいたしましても大した額ではないと思いますので、何とか当局で御心配をしていただけるものならばしてやつてもらいたい、われわれも考えておるのでありますが、御意見を承りたいと思います。
  117. 足羽則之

    ○足羽政府委員 これはたしか私の記憶では、一時廃止をいたしかけたのが少し延期になり、そしてその後廃止をいたしたかと思うのでございますが、これについてははなはだ遺憾でございまするが、御質問の御趣旨に沿うようには考えておりません。
  118. 小平久雄

    小平(久)委員 次に通運会社の監督という点について若干承りたいと思います。多分通運会社鉄道の方で相当御監督なさつておるように、われわれは承知いたしておるのでありますが、もし御監督をなさつておるならば、一体どういうぐあいに監督をしておるものなのか、この際承りたいと思います。と申しますのは、運送会社でいろいろな名目で料金をとりますから、一般の荷主からしますと、はたしてそういういろいろな名目の料金が妥当にとられておるのかおらぬのか。実は戰時中以来、邊つてもらえばけつこうだといつたようなぐあいで、あまり注意を拂つておらなかつたのです。ところが最近では、運賃というものがばかにできない、また運送会社の取扱い手数料というものも、ばかにできないという時代になりましたので、相当注意を拂つておるのでありますが、はたしてそういう名目でとるのが妥当かとときには荷主の方で思うようなものを、運送会社がとつておるという場合もままあるようでありますので、一体どの程度の監督をなさつておるものか。この際承つておきたいと思うのであります。
  119. 足羽則之

    ○足羽政府委員 小運送業者に対しては、その料金はそれぞれ必ず告示するようにたしかなつておると思います。それからその料金については、それぞれ監督官庁の方で認可をするというようになつておると思うのでありまして、それぞれ関係の現場の駅長で、その実際の仕事について、これは監督というよりは、その実態について間違いのないように、よく見ておると思うのでございますけれども、これは実は自動車局の方の管轄でございますので、詳しくは、もし御必要があれば、別な機会にその関係の方から答弁してもらうようにいたしたいと思います。
  120. 小平久雄

    小平(久)委員 自動車課の管轄というのは、そこに国鉄経営の自動車道がなくしても、そういうことになつておるのでありますか。
  121. 足羽則之

    ○足羽政府委員 小運送業務の監督につきましては、自動車局がその監督業務に当つております。
  122. 小平久雄

    小平(久)委員 小運送ではなく、私の伺つているのは、鉄道に委託する場合のことを承つているのであります。
  123. 足羽則之

    ○足羽政府委員 それは自動車局の方で扱つております。
  124. 小平久雄

    小平(久)委員 その問題はそのくらいにいたしまして、最後に給與問題で当局の御見解を承つておきたいと思います。一時国鉄の全般のサービスぶりが、国民から非常にとやかく申されましたが、われわれの見るところでは最近確かに非常によくなつたと、この点は大いに感謝をしているのであります。ただこうよくなつたにつきましても、従業員諸君がいろいろな面において相当犠牲を拂つている面も、確かに多いじやないかとわれわれは考えるのであります。ましてや公共企業体となつたのでありますから、特に従業員の努力によつて成績が上つたというふうな場合には、先ほどこの点の御質問もありましたが、私はあまり一般公務員とのつり合いというようなことにばかりとらわれずに、成績が上つたならば上つたようによくして行くという道を、どうしても選ぶべきだと考えておるのであります。つまり今のところはいかにも役所なのか、民間企業的なのか、宙ぶらりん的でありまして、どちらにも煮え切れぬというところに、一番大きながんがあると考えておるのでありまして、なるべく当局としては民間並にやつて行くという方向へますます持つて行つていただきたい。給與の面でも特にかように考えてるおのであります。こういう点につきまして当局はどんなふうにお考えになつておるのか。最後に承つておきたいと思います。
  125. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 今の御希望まことに同感でございます。国鉄をいつまでも政府関係の諸機関と同様に縛つておかなければならぬという原則も法則もあるわけではございませんで、ただ今日の状態は、ごく最近までは国鉄が政府機関でございました関係で、こうなつておつたわけでありまして、将来はそれと同一にせずに、むしろ今の御希望のように能率の上つた場合、大いにもうかつた場合等は、十分国鉄従業員にそれを潤してやるのが、至当な考えであろうというふうに思つております。
  126. 小平久雄

    小平(久)委員 以上をもつて終ります。
  127. 田中啓一

    田中(啓)委員 私も給與問題から、当局の御意向を伺いたいと思いますが先ほど来予算説明を伺つておりますと、給與を増加することについてある程度の予算措置講じてある。ただほかとの関係も十分に連関性のあることであつて、それらとにらみ合せてやらなければならぬということで、ただいまは成績が上つた場合には、それで潤すようにしたいというような御説もございましたが、実はそれとまことに密接な関係を持つておるのでございますが、結局公務員の給與にしましても、私どもは何らかの方法で改善を期さなければならぬと思うのでありますが、ただ従来いわゆる生活給という思想一本やりで進んで来ましたことは、実は給與制度の妨害であると私どもは思うのであります。たとえば私どもが役所へ入りましたころというと、今から二十何年前になりますが、中学校を卒業して雇に入つたものの月給と、局長の月給というものを比べますと、まず十倍以上、実収におきましては十五倍ぐらいになつておつたものと思うのであります。以下部課長その他、そういつたような割合になつておつたのであります。ところが今はきわめてその差は少いわけであります。給與の制度につきましては、国民一般にも非常に誤解がありまして、最近などもこれは一般的に私は相当組織的に始めておるのだろうと思うのでありますが、実に給與を上げてもらいたいという手紙が毎日殺到いたしまして、手紙の整理にも実は困つておる。重要な手紙が調べられないような状態であります。そのうちから例を上げますと、自分は小学校の教師であるが、月給は六千円である。祖父と父母と家内と子供三人、合計八人おる。食えぬじやないか。こうお話なのであります。私も食えぬだろうと思いますが、さて一体その人の年齢を考えますと、まだ師範学校を出てから――今は学芸大学と申しますが、そう長くたつておらぬ人でありまして、昔からの考えで祖父の分まで、あるいはまだ父母が健在で働けると思われる年齢のものを、息子が全部食わすだけのかつこうになつてはおらぬと私どもは思うのであります。それはとにかく一人月給取りになれば、家族全部食えるのが当然だ。これは憲法で保障しておるというふうな書き方であります。私はそれではいかぬと思うのでありまして、やはりこういう貧弱な生計状態になつておりますれば、皆が働くということにならなければならぬのでありますが、働きが大きくとも小さくとも、同じような月給だというようなことでは働けないのでありまして、私は幸いそういつた予算の気構えまでおつくりになつてつておられます鉄道としましてまたことに事業の性質が性質でありますので、この際は能率、成績あるいは働きと申しますか、そういうようないわゆる能率給と称するもの、あるいはそれに伴う賞典制度というようなもの、そういつたものを現在の俸給に継ぎ足す。こういうような行き方を強く盛り込めるべきじやないか。またこれをできるだけ一般公務員にも、仕事の性質に応じて及ぼすべきじやないか。実はかような考えを持つておるのでありますが、さようにある程度の準備をなさいました鉄道の御当局としましては、どのような考えで給與の改善をお企てになりますか。御当局のお考えを伺いたいと思うのであります。
  128. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 ただいまの御趣旨、すなわち生活給によつておるただいまの給與べースでははなはだ不満足であつて、能率給、さらにそれを加味した賞與制度を設けたらどうかという御注意がありまして、さつき小平さんからもそういう話がございましたが、現在のところにおきましては、御承知のように生活給を與えるという思想が非常に濃厚でございまして、こうなつておるといいましても、私どもといたしましてはそれなら能率給だけにたよることもできませんので、まず生活給を考えて、さらにこれに能率給を大いに加味し、成績による賞典というような点も考慮して、将来はやはりそういう方面に持つて行くことが望ましいものである。こういうふうに考えておるのでありまして、また考えるだけでなくして、将来はそういうふうに持つて行くように盡力いたしたいと、こう思つております。
  129. 田中啓一

    田中(啓)委員 次に電化の問題についてお伺いしたいのでありますが、前の御質問によつて大分明らかになつたのであります。結局今主要幹線、ことに東海道線の電化が一応行き悩んでおるかつこうになつておるのは、電源の関係についての意見が一致しない点からだという御答弁でございましたが、実は私もそう詳しいことを電力の需給関係については承知しないのでありますが、その根本的な行き方については、先ほどの関係御意見とまつたく同感なのであります。その頭を出したところが、浜松、米原間の電化と思うのでありますが、そう大きな電気を食うとも思わぬのであります。また一方発電工事も着々しておるのであります。従つてもしあれを電化して動き出したならば、たちまち需給関係が逼迫をして、あつちこつち停電をしなければならぬというような状態が起るものとは考えられないのであります。のみならず最近東京鉄道局が電力量の節約というような名目で、電車の数をお減らしになつたのに対して、日発はそんなことはない、別段電気は足らぬわけではないのだという、反対声明までしているようなわけなのであります。今年の冬の電力事情の特別にいいのにもよりましようけれども、かれこれ考えますと、どうもあまりこまかい問題を論争しておつて、らちが明かぬというのがほんとうなのか。何か他に原因があるのじやないかというような気まで、われわれするのであります。でありますから、かりに今電源の問題について意見が一致しないところがあるというのなら、どう意見が一致しないのか、またそれは一体どのくらいたてばその解決がつくのか、従つていつから工事は始められるか、そういう見通しを承れれば承りたいと思うのであります。
  130. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 さつき局長お話で、二十五年度において国鉄の電化をやろうとしておる。四十億の中で二十三億五十万円を信濃川発電所に充て、残余をもつて国鉄のいろいろなことに充てたいが、その電化の場合に浜松、沼津間については、電源の関係で非常に困難があるということを申し上げましたが、困難があると言いましただけで、これを放棄したとか、これをやらないとかいうようなことはございません。われわれとしましてもさつき局長も申しましたが、国鉄を電化するという意欲は非常に盛んなのであります。それは国民の輿論にもありますので、あの手この手やりたいと思つております。順序としては依然として浜松、米原間をやりたいという当初からの計画を、まだ放棄もいたしておりませんが、しかし局長の申しましたのはごく内輪話で、司令間当局との折衝のうちにやはりそうい意見もある。そういうほんとうの内輪の話を申し上げただけでありまして、その間放棄したのでもなければ、それならばかわりにどこそこの線を電化するにきまつたとか、まだその段階に至つておりません。向うの意見とこちらの意見と食い違つておりますし、いろいろ折衝を続けておる最中でありますので、その点とくとひとつ御了承願いたいと思うのであります。
  131. 田中啓一

    田中(啓)委員 私どもどうせ見返り資金でおやりになることであろうと思うのでありますから、浜松、米原間の電化の予算はどれくらいになつておりますか、よく承知いたしませんが、おそらく先ほどの予算の制度の御説明を伺つておりましても、そういう仕事は各方面の意見が一致しますれば、見返り資金等から金を借りるなり、あるいは繰入れをして――繰入れはあるいは国会の決議事項になるかもしれませんが、借りまして、そして仕事を始めるということは、ただちにできるのじやないかと思うのでありますが、その辺はいかがな関係になりましようか。
  132. 足羽則之

    ○足羽政府委員 もし国鉄がやります場合といたしますれば、やはり今年度の御審議を願う予算の中にその余裕がなければ、ちよつとむずかしいのではないか。あるいはあとで、将来年度中に補正予算の問題が起ります場合には、またその予算に関連してその問題を研究すべきであると考えます。
  133. 田中啓一

    田中(啓)委員 現在の補正予算で余裕がございましようか。
  134. 足羽則之

    ○足羽政府委員 それは今のところは御審議を願つておりますものの中では、四十億というのが、まだどこにどう使うかということの一応未定な金額でございます。そこで先ほど政務次官からの説明がありましたように、その中の一部分についてはやや交渉が熟して参つておるのでございますが、まだそれに行かぬ分もあるわけでおりまして、もしそうした部分がやる得るとすれば、それに充て得るであろう、こういうふうに私は考えます。
  135. 田中啓一

    田中(啓)委員 電力問題はそれだけにいたしまして、少しとつびな話でありますが、終戰後海軍の持つておりました福岡県の志免炭鉱は、鉄道の方で御経営になつておるように伺いました。おやりになる時分から、一体そんなに広げられてもどうであろうか、穴掘りはお得意でありましようけれども、石炭とトンネルは大分違うだろう、ああいうどつくさのときは、みずからおやりになるのもよいだろう。しかしこういうふうになつて参りますれば、もはやああいうものをおやりになつておる必要もないのではないかというふうに、私どもしろうと考えに思うのでありますが、その後の経過はどうなりましたが、どんな成績でありますか。まだおやりになつておるとすれば、将来どうなさいます御方針でありますか、伺いたいと思います。
  136. 足羽則之

    ○足羽政府委員 志免炭鉱は今お話のように海軍から引続いて経営をして参つておる炭鉱でございますが、昭和二十一年度には約十八万五千トンと、非常に少い出炭量であつたのでございますが、逐年上昇をして参つております。昨年度は三十一万二千トン、こういう出炭量でございます。二十四年度に経営合理化の非常に強い要請がありまして、炭鉱としてはこれに非常に努力をしてその実現に努め、毎月よい成績を收めております。ちようどここにその資料がございますが、二十四年度の出炭計画は四十万トンでありまして、月別の計画が十二月までしかわかつておりませんが、大体計画の少し下か、あるいはある月は計画を上まわる数字が出ております。大体毎月三万トン前後は出ておる、こういうことでございます。そこで工事費予算関係で、四十万トン計画が少し困難でありましたので、二十四年度の計画としては大体三十八万トンと、出炭量を見込んでおる次第でございますが、現在縦坑の工事をいたしております。これが二十五年度以降には完成をいたすことになつておりますが、これが完成をすれば、二十五年度が約五十万トン、二十六年度が六十万トン、二十七年度は六十五万トン、こういうふうに出炭状況も進むであろう、こう見込まれておる次第でございます。そうしますと現在の鉄道要炭の一割以上が、あそこから供給できるといつた見通しでございましてますますこれに対しては努めてやつて行きたいというふうに考えておるわけであります。
  137. 田中啓一

    田中(啓)委員 私は別段炭鉱関係にもどこにも利害関係は何もないのでありまして、ただ当時そういうことを承知しましたので、お尋ねをしたわけでありまして、成績がよければお持ちになつていることもむろんけつこうだと思うのであります。そこで今出ております石炭の原価計算をなさることは、資本投下の最中で、かなり困難であろうと思うのでありますが、およそ一トン当りどれくらいについておるといいますか、これもあまり科学的なことは言えないだろうと思いますが、どれくらいの原価のつもりでやつておるというような、おおよその見当があるのではないかと思いますが、それを伺いたい。
  138. 足羽則之

    ○足羽政府委員 送炭原価は二十三年度の実績は三千三百二円でございます。二十四年度は目標としては二千八百十九円という目標でやつたのでありますが、月々の実績を申しますと、四月が二千五百四十五円、五月が二千五百七十四円、いろいろ高低の推移が多少ありますが、最近の十一月、十二月を申し上げますと、十一月が二千七百五十六円、十二月が二千六百九円という送炭原価になつております。
  139. 尾崎末吉

    尾崎主査 他に御質疑はありませんか。なければこの際委員長としまして、一、二お伺い申し上げておきます。ただいまの田中君の御質疑にありました、借入金をもつて電化工事を実施する積極的の御計画はないかどうかという点、それから前に山本君が軽く触れたようでありましたが、いわゆる独立採算の成立つような鉄道路線、例を申しますならば、戰時中にレールをはずして中止をいたしておるところであるとか、あるいは路盤ができ上つておるか、いまだこれが開通に至つていないところであるとか、あるいは索道ができ上つておる、もしくは未完成ではあるが、相当の資金と資材とを注ぎ込んで努力しつつあつたところであるとかいうものの中から、特に独立採算の成立つような路線に対して、従来の消極方針から一転しまして、積極的にこれらの建設に向わるべき時期が来ておると思つておるのでありまするが、そういうことに対して何らかの御計画があるかどうか。もう少し具体的に申し上げますれば、債券の発行が許されることに相なつたのでありますから、それらの債券の発行の場合、特にそれらの敷設をなすべき関係市町村民等に、債券の引受けをさせるというようなやり方によつて、建設の方に進んで行かれる御意思、もしくは進んで申しますと御計画はないか、こういう点を伺つておきたいと思います。
  140. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 ただいま主査からいろいろ希望意見、政策を織り込んだお話でございました。まず第一に借入金をもつて電化を促進する意思があるかないかというお話でございますが、電化をやりたいという意向は国鉄もそうであるし、運輸省当局もその意向に燃えております。しかし借入金と申しますのは、これは予算的措置を必要とすることは言うまでもないのでありまして、われわれといたしましてはもし予算が許すならば、ぜひ借入金をもつてでも電化をやることがけつこうであろうと思つておりますが、均衡予算その他の問題で難色のあることは、皆さん方よく御承知通りであります。なお各政党におかれましても、われわれの意を体して、なるべく予算的措置をもつて、たとえば借入金のわくをおきめいただけるならば幸いであると思います。われわれももしそうしていただけるならば、きわめて賛成であります。  次に、ある程度独立採算がとれるような建設路線でありますとか、あるいは戰争中鉄道をはずしてよそへ持つて行つたようなところとか、路盤ができておつてただちに敷設できるという線は、全国に多数ありまして、これを一日も早く建設してくれということは、もはや日本国民の輿論であります。ただ御承知のように均衡予算とかいうものに縛られまして、現在のところにおいては新線は一切打切りというような少くとも去年からただいままでのところではそういう方針でやつて来まして、これがまた日本国民が非常に熱烈に新線を要望しているのと非常に齟齬を来しております。われわれとしてはぜひこの国民の輿論にこたえて、この際少し政策を転換してたとえば国鉄の債券の発行などによつてでも、たとい一歩でも二歩でも、一つの線路でも半分の線路でもこの際新設するように、目下ただちにやれということはできませんが、そういうふうな機運に除除に持つて行つて、少くとも来年、再来年と年が進むに従つて、新しき線路をつけて国民の要望にこたえた、いという熱意に燃えているものであります。なお国鉄再建のわくを云々することも、これは予算的措置が必要でありますので、皆さん方の御協力を得まして、そういう措置ができて、国民の輿論にこたえるよう御盡力をお願いし、われわれはそれに積極的に協力するにやぶさかではないのであります。
  141. 小平久雄

    小平(久)委員 先ほどお尋ねするのを忘れましたので、最後に一つつておきます。それは見返り資金からの受入れの問題でありますが、二十五年度の分が出資金の形で受入れられるという御説明であります。そういうことになりますると、二十四年度に見返り資金から借りているものは、二十五年度分と同様に出資という形に振りかえられるものかどうか。二十四年度分はやはり依然として借入金という建前でや  つて行かれるものか。その点だけを承つておきます。
  142. 足羽則之

    ○足羽政府委員 二十四年度の百五十億は、やはり借入金として利子がついて、これを返済することになつております。
  143. 小平久雄

    小平(久)委員 それは何年ぐらいに返済することになつていましようか。また利子はどういうふうになつていますか。
  144. 足羽則之

    ○足羽政府委員 これは一応でございますが、現在のところ利子は五分五厘それから五箇年で返済というふうになつております。
  145. 小平久雄

    小平(久)委員 それは二十四年度分はどうしても振りかえができないものですか。そういう点について何か大蔵省とお話合いになつたことがありますか。
  146. 足羽則之

    ○足羽政府委員 これはやはり出資ということなく、借入金として処理することに現在なつております。
  147. 尾崎末吉

    尾崎主査 二、三点委員長から要望いたしておきます。本日の御熱心な御審議の中で、いろいろの点か明瞭となりましたが、その中で先ほど山本利壽君の御質問なつた国鉄の機構改革にあたりましては、従来のやり方等の実績にかんがみて、できるだけ摩擦を避け、その長所を伸ばして行くようにやつてもらいたいという意味の御意見があつたようでありましたが、現在独立採算のために非常に困つている国鉄といえども、遠からずして技術その他の面における特長を伸ばして、大いに発展をしなければいかないのでありまして、そういう点がら考えますならば、国鉄が長く持つて来ておつた技術をむげに滅ぼしてしまうような結果になりますと、将来の発展のためにいかがかと思われますから、これらの機構改革にあたりましては、将来のことも十分にお考えになつてこれに当つていただきたい。もう一点は、小平君の御質問の中の自動車関係、その他の路線等で、非常に優良な成績を上げているものと、不良な成績を上げているものとの区別等の調査や、あるいは貨物輸送などに関連をいたしましての、いわゆる運賃値上げ前の成績と、値上げ後の成績との比較表の計数、そうした事柄は本予算委員会委員といたしましても、責任上必要なのでありますから、それらのことは十分に御調査になつて、将来の計画の重要な資料といたされるように、また発言者の方々から御要望なつ資料は、適当な機会にお出しを願うように希望をいたします。  他に御質疑がなければ、これをもつて運輸省関係予算に対する質疑は、一応終了いたすことにいたします。  明日は先ほど御了承を得ました通り、手前は郵政省関係、午後は電気通信省関係予算について、審査を進めることにいたします。時間嚴守を願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十二分散会