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1950-02-18 第7回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十八日(土曜日)     午前十一時二十一分開議  出席分科員    主査 小峯 柳多君       井手 光治君    角田 幸吉君       中村 幸八君    中曽根康弘君       林  百郎君    奧村又十郎君    兼務 小淵 光平君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     小川 潤一君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (日本銀行政策         委員代表銀行         局長)     舟山 正吉君  分科員外出席者         会計検査院事務         官       宮澤四可人君         会計検査院事務         官       池田  直君 二月十八日  第四分科所属員小淵光平君が本分科兼務なつ  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所、会計検査院法務府及び大蔵省所管  昭和二十五年度特別会計予算法務府及び大蔵  省所管  昭和二十五年度政府関係機関予算大蔵省所管     —————————————
  2. 小峯柳多

    小峯主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  大蔵省関係質疑を継続いたしたいのでありますが、その前に昨日留保になつております会計検査院に対する質疑を行います。
  3. 奧村又十郎

    奧村委員 会計検査院お尋ねをいたします。昨日も会計検査院の問題が出たのでありますが、昨年の暮れ国会で問題になつて、本国会でもまた考査委員会で取上げられることになつております薪炭特別会計赤字問題ですが、それがために農林大臣検査院のほかに、また民間の計理士を頼んで会計検査をやらしておるということを承つておるわけなのです。これは具体的にどういうことであるかははつきり存じませんが、結局会計検査院というものが十分の機能を発揮しておらぬというふうに見られがちであるということは、争われぬと思うのであります。その意味で全般的の仕事について少しお伺いしたいのでありますが、一体会計検査院はこういう特別会計あるいは公団というものに対しては、どういうふうに検査をしておられるか。政府一般会計と同じような検査をやつておられるのであるかどうか。その点をお伺いいたします。
  4. 池田直

    池田説明員 お答えいたします。会計検査院特別会計並びに公団等検査につきましては、国の一般会計とまつたく同じような立場におきまして検査をいたしておる次第でございます。特に特別会計のあるものにつきまして、あるいは公団等につきまして、一般会計のある部面よりもかえつて国の現在の財政運営の面におきまして、ウエートが高いものもあるように考えますので、そうした特別会計なり公団等につきましては特に愼重に、また検査の目が十分行き届くように留意して、検査して参つておる次第であります。公団のみならず、復興金融金庫のごとき国の全額出資によりますような政府関係機関につきましても、その融資等財政支出と何らかわらないような実情にかんがみまして、会計検査院といたしましては、国の一般会計に劣らず十分力を入れて検査いたしておるような次第であります。
  5. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの御答弁によると、公団特別会計も、一般会計と同じようにとりはからつて検査をしておるというお言葉で、まことに心強いのでありますが、そういうふうにおやりになるとするならば、少くとも今の検査院予算ではとても十分な仕事はできまいとわれわれは考える。お言葉通りにしつかり行けばよろしいが、また時々刻々適切な検査ができておるとするならば薪炭特別会計のようなああいう問題が、今ごろになつて出て来るはずはないと思います。その点少し不安なのです。大体公団予算組み方からして——これも昨日から問題になつておるのですが、一般会計などと比べると非常に違つておる。それで検査を同じようにやるということはりくつに合わぬことだ。大蔵省主計局の方では、公団予算組み方一般会計特別会計とは違うのだというような答弁であるから、政策上の問題であるとして組み方も微細な点にいろいろ疑問があるが、それは一応保留しておいて、検査院のお話が済んでから、大蔵省関係の方に承りたいと思つておるのですが、検査院がそういう同じような行き方でやるとするならば、少くとも今の検査院やり方、あるいは今の予算では十分のことはできまいと思う。公団関係でどの程度の人がこれに携わつておるか。それからこれはどういうふうな検査やり方を、公団に対してとつておられるのか。現品なりあるいはその他直接現場検査をやつておられるのであるか。そういう点についてお伺いいたします。
  6. 池田直

    池田説明員 お答えいたします。ただいまの御質問は、公団検査一般会計に比しまして、いろいろな予算その他の編成執行等の規制と申しますか、基準と申しますか、そうしたものが一般会計と違つておるから、公団検査一般会計と同じように力を入れて検査をいたしますことは、おかしいじやないかという趣旨が一点あつたと承知いたします。その点につきましては、なるほど御意見のように公団予算編成の方法、予算執行その他経理運営に関しまして、一般会計とはまつたく違つた部面もございます。しかしながらそれはやはり公団性格上やむを得ない関係から、そうした取扱いになつておると私承知いたすわけでありますが、公団会計運営方式等がかわりましても、結局基金と申しますか国の出資、これが全額国から交付されて出資されております。また最近では独立採算制によりまして、公団経費等は結局は消費者等負担になるように、公団会計仕組みがなつておると思いますが、その経理運営成績等のいかんによりましては、国の財政の方に及ぼす影響が大きいものがあると考えますし、予算編成執行等に関します基準が違つておりましても、違つたわく範囲内におきまして、一般会計に劣らず、その基準通り、たとえて申しますれば、公団法規定あるいは公団定款規定等に準拠して、公団会計経理が適正に運営されているかどうかということは、国の財政に及ぼします影響が大きい点にかんがみまして、その基準違つたわく内におきまして、公団会計検査を十二分にすることが必要と認めまして、やつておるような次第でございます。  それから公団検査に私どもが振向けております現在の要員でございますが、公団検査につきましては、他の政府関係機関と一緒に検査をする建前をとつております。検査第一局の出資検査第一課、出資検査第二課、この両方のものが公団関係を他の政府機関とあわせまして検査いたしております。その要員復興金融金庫とかあるいはその他の政府関係機関、これを同時に検査するのでありますが、両方事務官と雇員と合せまして約八十名程度人員をこれに振向けております。私今こまかい数字を持つておりませんので、八十名に少し欠けておるかとも記憶しておりますが、検査の結果につきましては、御承知通り公団法規定によりまして、二十三事業年度までは前期後期の二期にわけまして、公団の財務計表が会計検査院に提出されますので、その決算検査いたしまして、はたして公団会計が適正に行われたかどうか、当を得ないものがありはしないか、あるいは公団法その他の規定に違背するものがないかどうかにつきましてこれを十分判定いたしまして、公団並びに安本長官に対しまして、その承認いたしましたことにつきまして、あるいはかくかくのことは当を得ないと思う、あるいは違法である、こうしたことを通知いたす次第でありますが、そのほかにも常時実地検査なりあるいは書面検査なりの結果によりまして、違法あるいは不当のことはただちにこれを是正してもらうように、あるいは改善してもらうように、公団当局に対し、あるいは主務官庁たる監督官庁に対しまして注意をいたしておる次第でございます。また国の予算に関連しまして、結局公団でこれを行わせることは適当でないというようなことがございましたら、主務官庁あるいは関係官庁に対しましても改善的な意見をこちらから申しまして、公団会計経理が軌道に乘るように、また公団本来の業務が円滑に行つて所期目的を達するように、協力的な意味合いをもちまして検査嚴重にいたしておるような次第でございます。検査は、先ほど申し上げましたように書面によりましても検査いたしますが、常時検査建前と、また一つには検査徹底を期するために、各地の公団の支局なり支部なりその他の出張所なり、そうした現場の実際につきまして実地検査をいたしております。現品検査につきましては、これは最も必要なことでございますので、現品検査もなるだけ徹底するように努めておるような次第でございます。大体実地検査も昨今では相当頻繁に行われるようになつて参りました。公団検査をやるようになりましたのが、ちようど公団発足がここ二、三年のことでございますし、会計検査院といたしましても公団会計検査につきましては、国の一般あるいは特別の会計検査と違いまして、私ども要員も事務ふなれでございまして、新たに要員を増員いたしまして、これに十分研修をいたしまして、会計検査適実を期するように努めて参つておるような次第でございます。何分先ほど申し上げましたように、公団発足以来日なお浅いというべきでありますし、私どもまたこれを対象といたしましての検査の経験が日なお浅いという関係から、あるいは皆様の御期待に沿うような効果が上らなかつたというような御疑問をお抱きになることにつきましては、はなはだ恐縮また遺憾に存ずる次第でありますが、全力を盡してやつて来たつもりでございます。なお要員の点につきまして、現在の人員で、しからば一般会計と同じように公団検査をやるとすれば、それで十分かという御質問、御意見でございました。ごもつともな御意見に拜聽いたしたのでございますが、ただいま私が申し上げましたような公団会計検査目的を所期通り上げるにつきまして、はたして八十名程度で足りるかどうかの点につきましては、はなはだむずかしい問題でございまして、これをどの程度検査徹底を期するかということにつきまして、人間関係もおのずから違つて来ると思いますが、御承知通り国財政再建途上にありまして、一銭の金といえども国民の血税でございますので、緊縮を要します折柄でもありますし、会計検査院といたしましても最小限度経費最小限度要員によりまして、できるだけの効果を上げたい、こういうふうな観点から必ずしも十分とは考えませず、また急に人間をうんとふやしましても、ふなれな人間が多くては結局頭数だけの効果は上げられない。そうしたことも一面考慮し、また公団は御承知通り暫定的の機関のように考えられます等にも思いをいたしまして、必ずしも現在の人員が十分とは考えませんけれども、できるだけの研修を加えまして検査効果が上つて来て、少しでも御期待に沿えるように始終努力いたしておる次第であります。
  7. 小峯柳多

    小峯主査 答弁を簡潔に願います。
  8. 池田直

    池田説明員 私ども検査の結果につきましては非常に愼重を期しておる関係で、相当いろいろ調査いたしたような成績につきましても、外部にあまり発表をいたしていないような次第もございまして、私ども検査の状態は世間に必ずしもよく認識されていないという点につきましても、私どもといたしまして多少いろいろ考えねばならぬ点があるかと存じます。
  9. 奧村又十郎

    奧村委員 私のお尋ねしたいことはたくさんありますので簡潔にお答えを願いたい。私も簡潔にお尋ねをいたします。  それでは公団はほかの一般会計特別会計と同じように、取引が行われてから二箇月目には受取りその他の証憑書類を、会計検査院に送るということをやつておりますか。
  10. 小峯柳多

    小峯主査 池田局長、要点だけで、一間一答でやりますから簡潔に願います。
  11. 池田直

    池田説明員 承知いたしました。お答えいたします。御意見のように二箇月以内に会計検査院書類が来ることになつておるのでございますが、いろいろな公団の事情によつて必ずしも規則通り参つておりませんので、現在規則通り証明があるように私ども公団嚴重に注意いたしまして、計算証明の改善を期し、私ども会計検査の結果が早く公団経理に反映するように努力いたしたいと思います。
  12. 奧村又十郎

    奧村委員 私は特別会計及び公団検査が最も重大であると思うので、いずれ実地に参りまして現状をお伺いしたいと思つておるのですが、それでは一般会計特別会計は大体二箇月あるいは三箇月以内には、そういう証憑書類会計検査院に出ておるかどうか。それと比べて公団はどのくらい出ておるか。全然出ていないのか。八割くらい出ておるのか。その程度をお知らせ願いたいと思います。
  13. 池田直

    池田説明員 公団計算証明も国の一般会計特別会計計算証明に比べまして、公団が特に悪いというふうにも考えておりません。一般会計特別会計計算証明がずいぶんいいところもありますが、全体的に申しますとやはり国の方の会計計算証明が遅滯しがちでありますので、これに対しましても嚴重計算証明迅速化に対しまして、私ども注意いたしておるような次第であります。
  14. 奧村又十郎

    奧村委員 公団決算は大体半年ごとぐらいには出ておるはずです。そこで公団によつて昨年の十月三十一日現在程度決算までは検査院に出ておるかどうか。それを検査しておられるかどうか。その点をお伺いしておきます。
  15. 池田直

    池田説明員 公団にもよりますが、大多数の公団は大体昨年の十月ころまでの計算証明は提出されていると思つております。ものによりましてはもつと悪いのもありますが、私ども検査計算証明があれば、大体一箇月以内には計算を了するような方針でやつておりますし、現在その点につきましては検査を大体了しておりまして、その都度質問、照会をいたしておるような次第であります。
  16. 奧村又十郎

    奧村委員 この公団予算を見ると、かなり一般会計特別会計と比べると、予算組み方がかわつておる事業的な性格を持つておりますから、予算現実とは相当かけ離れて、機動的に科目をかえて流用することが多かろう。そういう現実について、一般会計特別会計と同じように違反は違反しとしてあげておられるでしようが、それは一般会計特別会計と比べてどの程度になつておりますか。
  17. 池田直

    池田説明員 お答えいたします。公団の方のいわゆる経費科目流用と申しますか、これも一般会計と同じように私ども嚴に見ておるわけでございますが、ただ先ほどの御意見通り流用のできる範囲が、公団の方が非常に楽になつております。従いまして楽になつております範囲内においてはそれで承認いたさるべきでありますし、また流用が楽でなくては事業がうまく行かない次第でございますので、公団の方の流用関係も相当ございますが、いわゆる大蔵大臣承認を経なければ流用できないものもままかつて流用しておる、予算の不足を来したために流用しておるという事件もありますので、それらに対しましては嚴重に私ども警告を発し、また最後まで決算を是正いたさない、あるいはできないものにつきましては、決算承認についてこれは不当である、あるいは違法であるということで承認をいたさないことにいたしております。
  18. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは公団に関連して大蔵省の方にお伺いいたしたいと思います。
  19. 小峯柳多

    小峯主査 それでは会計検査院に関する質疑はこれで終了いたしました。     —————————————
  20. 小峯柳多

    小峯主査 次に大蔵省関係に移ります。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 会計検査院から公団に対する会計検査についてお伺いいたしたのでありますが、それに関連して大蔵省の方にお伺いいたします。公団赤字を出した場合、その赤字は全部国の負担になると思うが、その点はいかがですか。
  22. 河野一之

    河野(一)政府委員 さようであります。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 公団における予算科目流用その他については、一般会計特別会計と同じように大蔵大臣承認が必要であるかどうか。
  24. 河野一之

    河野(一)政府委員 昨日も申し上げましたように、公団予算組み方は特殊でございます。それから一般財政法会計法規定適用はございません。その理由はいろいろございますが、省略させていただきます。予算におきまして、これを縛つております予算目的外に使用してはいかぬということは、この法律にあるのでありますが、大蔵大臣の指定する費目については大蔵大臣承認を経なければいけないということで、原則的には一般会計特別会計と同じでありますが、項のわけ方が大体一款一項ということになつておりますので、その点実行上において相当楽であるというふうに考えます。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 公団財政法会計法規定適用せられない——それじやどういう法律適用せられるか。実は私も昨日あれから一晩かかつて調べたのですが、なかなかうまく調べがつかぬ。公団経理面における法的規定はどの法律できまつておるのか。これをお伺いしたいと思います。
  26. 河野一之

    河野(一)政府委員 それでは公団関係会計方面ちよつと申し上げます。公団公団法でおのおの組織がきまつておるわけでありますが、第一次的には各省主務大臣監督官庁になつております。それから最終的には経済安定本部総務長官監督官庁になつております。それでその会計関係規定公団法のまず第一段にあるわけであります。公団法におきましては各事業年度——これは一年でありますが、前期後期にわけまして、前期後期おのおの別々に損益計算書貸借対照表財産目録をつくることになつております。これは主務大臣を経由しまして安本長官承認をする。二回あるわけでございます。それから会計規定につきましては定款で定めております。それで原則的にはそういう方面規定で動いておるわけでありますが、昨年から公団等予算及び決算暫定措置に関する法律というのが出ておりまして、予算書決算書国会に提出するという法律が出ております。それでこの予算のつくり方でありますが、普通の特別会計一般会計でありますとおのおのの所管大臣予算をつくつて大蔵省に提出して参るわけでありますが、公団につきましては各公団主務大臣を経由して大蔵省に提出する。そうして内閣でこれを決定する。こういう仕組みになつておりまして、この点が多少違います。それから予算でありますが、予算一般会計と同じように款及び項にわけて提出しろということになつております。それで国会の議決を経たならば、その款項の区分に従つて支出せねばならぬことは当然であります。それから予算に定めた款項を超過しては支出できないのでありますが、款項内におきましてお互いの流用はできるのであります。しかし大蔵大臣が指定しているものについては流用はできない。と申しますことは、たとえば人件費物件費との間の流用はできない。これは大蔵大臣が個々に通牒を発しまして、そういう制限を加えておるわけでございます。それから公団会計についてどういうわけで財政法会計法がこういうふうな適用にさせなかつたか。これは根本論でありますが、公団というのは、何と申しましてもある程度の商売をしておるわけでありますから、彈力性を置きたいということが第一点であります。国の会計みたいに非常に款項をこまかくいたしますと、末端においてなかなか処理しにくい、現実に合わないものが出て来る。国の会計でも全国官庁、いわゆる官庁と申しますものは、駅だとか何とかを除きまして約四万人ほどあると思いますが、この機関に約三万人ぐらいの会計官吏がおるわけであります。ところが公団におきますと、食糧公団のことを考えてごらんになりましても約八万人ほどの人員でありますが、配給所は各町村にあるというような非常にこまかに末端組織を持つております。それから現金拂いが非常に多い。国の歳入歳出でありますと原則として日本銀行を通すわけでありますが、食糧公団なんかの食糧配給を見ると月に四回、一週間に一ぺんぐらいあつて、非常にこまかい金を扱う。国の会計でありますと令書というものを発行して、そうしてそれを日本銀行に納めるわけでありますが、こういうのは実際問題としてできないので、現金拂いというのが非常に多い。そうしてこれは日本銀行でなしに一般的な金融機関を経由してそこでやつておる。それから公団仕事関係手形で動いておるものが相当多いのであります。認証手形の制度がありまして、公団は直接の認証手形の当事者にはなれないのでありますが、品物を公団に渡してその手形で決済しておる。従つて公団としては金融機関に勘定を持つておるというのが非常に便利である。そういつたような関係一般の国の会計等適用は受けておらないのであります。ただ将来においてこれをどうするかということは問題でありますが、現在のところとしてはこれを国の一般会計規定で縛り、あるいは予算決算等において同じようなやり方をすることは、実体を著しく拘束し制約する結果になりますので、現在のところそういうようにしておるわけであります。しかし会計監督につきましては、できるだけ国の一般会計特別会計と同じような方式に近づけて参りたいということは考えておる次第であります。
  27. 奧村又十郎

    奧村委員 公団会計法財政法適用しない。会計検査院は大体この会計法財政法にのつとつて検査をやつておられると私は考えるのですが、そうすると公団会計検査院検査対象にどの法律でなるのか。
  28. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは各公団法にございます。それからただいま申し上げました公団等予算及び決算暫定措置に関する法律、これにもございます。両方法律会計検査院検査を受けることになつております。
  29. 奧村又十郎

    奧村委員 公団は主として管轄の主務大臣監督によつて主務大臣から予算が出される、こういう話でありますが、事実はこの間じゆうからこの食糧公団の問題で四、五日いろいろ審議したのですが、食糧庁長官はほとんどこの予算に関連しておらぬということで、たいへんな論議をやつたわけであります。そうなると結局その公団は非常に手放しにしてある。そうして損が行つたら、赤字が出たら国会負担するということになるので、非常に不合理と考えられるのであります。そこでただいま公団予算において人件費物件費との流用はできない、こういう通牒は出してあるということでありますが、もしこれに違反した場合、それではどういう規定適用されるか。
  30. 河野一之

    河野(一)政府委員 その問題は公団法ばかりでなしに、一般会計特別会計についてもある問題でありまして、大蔵大臣承認を経ずに流用したといつた場合は、これはどういう責任を負うかということでありますが、現在のところといたしましては、これは一般行政監督の問題になつております。ただそれによつて国に損を與えたような場合があつたらどうなるかという問題はあるわけでありますが、現在そういつた問題につきましては、現金の亡失とか何とかいうことについては、当該の官吏責任を負うわけでありますが、承認なくして流用したという場合においては、行政責任あるいは議会における政治的責任ということに相なるだろうと思つております。
  31. 奧村又十郎

    奧村委員 議会における政治的責任が結局一番最後になる。公団政治的責任を受けるということはあり得ない。その監督官庁である大臣政治的責任を負う。こういうことになるものと思うが、その通りになりますか。
  32. 河野一之

    河野(一)政府委員 公団は国の行政機関であります。これは行政組織法にもあります通り国機関であります。それから職員官吏でありまして、政府職員であります。少くとも大体総裁は各省次官と同等の級の者でなくてはならぬというふうに書いてあります。官吏でありますから一般官吏法上の責任を負うわけであります。
  33. 奧村又十郎

    奧村委員 大体はつきりしました。それで違反した金の使い方をしても結局官吏としての責任を負うだけだ、こういうことになります。しかし実体は、公団は昔の米屋さんが名前をかえただけであるので、それだけではたしてこれを監督して行けるかどうか非常に問題がありますが、これはここで今議論してもむだだろうと思います。そこでそうなつて参りますと、やはりこの食糧配給公団などの予算嚴重に審査することが一番かんじんになつて来る。ところがこの予算はまことにもつてたよりない予算で、これは四、五日大蔵委員会でもみにもんだのであります。これもしかし今取上げて申し上げましても、結論は得られぬと思いますから、これは追つて大蔵大臣質疑をいたします。
  34. 小峯柳多

    小峯主査 奧村君まだ長いですか。
  35. 奧村又十郎

    奧村委員 まだ私は一時間ほど質問があります。
  36. 小峯柳多

    小峯主査 それではこれにて休憩いたします。午後は一時から再開いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  37. 小峯柳多

    小峯主査 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。奧村又十郎君。
  38. 奧村又十郎

    奧村委員 公団関係の問題は長いこといろいろお尋ねしましたが、お伺いすればお伺いするほど、ますますもつて奇怪きわまる性格を持つておると思いますので、なお二、三お尋ねいたします。なおこまかい点について、もう一度大蔵省の方に直接お伺いいたしたいと思います。ただいま公団会計については、公団法及び定款によつてというお言葉がありましたが、定款というものはどういう法の根拠によつてできておるのか。全額政府出資して、定款ということになると、これはほかにも会社の例があるが、その定款はどういう法律規定に基いてできておるか。またその定款には、特に会計についてはあらましどういうことがきめられておるか。そのことについてお伺いします。
  39. 河野一之

    河野(一)政府委員 公団法には会計規定があるのでありますが、そのほかに公団公団自身としまして、定款でもつて左の事項を規定しなければならないというようになつておりまして、その中に目的とか名称、事務所の所在地、基本金額、役員、業務及びその執行に関する事項、会計に関する事項というようなことがあるのであります。それで定款につきましては主務大臣、それから経済安定本部総務長官の認可を受けるというようになつておりまして、その定款の中に会計に関する事項をきめておるのでありますが、これは国のように非常にこまかい規定ではありませんで、普通にありますような主として事業年度はどうするとか、そういつたもので相当大ざつぱと申しますか、国の会計のように精細をきわめたものではございません。しかし内部的には公団には監事その他のいろいろな監査機関を置いておりますし、それからいろいろな事務規定、たとえば実際に取扱います機構をどうするとかいつたようなことについて、いろいろ規定を設けておるのでございます。
  40. 奧村又十郎

    奧村委員 そういたしますと、公団会計検査院に対してはどういう義務を持つておるか。公団法にどれだけの規定が盛られておりますか。
  41. 河野一之

    河野(一)政府委員 公団は先ほど申し上げましたように、毎事業年度前期後期にわけまして、損益計算書財産目録貸借対照表、これを二回にわたりまして主務大臣及び経済安定本部総務長官承認を得るわけでありますが、そのほかに公団法でこの「財産目録貸借対照表及び損益計算書については、会計検査院検査を受け、その承認を受けなければならない。」、こういう規定が各公団法にあります。それでそういうことができるように帳簿、書類を整理しておかなければならぬということも公団法にあるわけであります。これに基きまして会計検査院では計算証明規則というものができております。この計算証明規則は何も公団ばかりではありませんで、一般官庁全体でありますが、毎月の收入支出をいつまでに報告して来いとかいつたように特定の事項を規定して、この点については報告を求めるとかいうようなことで、特にかわつたことはありません。会計検査院検査し得る法的根拠はここにございまして、あとは会計検査院一般的な検査権限を持つておりますので、その方の法の動かし方で実際が行われておるわけでございます。
  42. 奧村又十郎

    奧村委員 そういたしますと、それだけでは一般会計特別会計のように個々の取引について時々検査するということについては、法的に見てはなはだ困難に思われるし、またそこまでしなくとも年に二回の検査によつて大体その目的を達し得る、そういう精神になつておるように思うのであります。そういたしますと、公団は特に予算において縛られるだけであつて、あと決算までの中間においては公団には直接縛られる法規はない、こういうように了解するのですが、いかがですか。
  43. 河野一之

    河野(一)政府委員 直接には予算で縛る。そして支出款項ではその範囲を越えては支出してはならない。それから項の中でも人件費物件費の間の流用は禁ずる、ここが主たる点でありまして、個々の取引についてやるということはございません。一般会計及び特別会計予算執行につきましても、個々の取引は各主務大臣責任でございまして、ただ財政法上及び会計法上、各四半期においてどれだけの契約はしてよろしい、どれだけの金を拂つてよろしいということは、各四半期ごとにきめるわけであります。しかしそれすらも公団については現在のところございません。ただ目的財政法の改正を考えておりますが、支出款項につきましてはこれは各四半期にわけて、その計画に従つて行わせるというふうにしてはいかがかと考えて、目下検討している段階でございます。
  44. 奧村又十郎

    奧村委員 実は食糧公団の審議中において、大蔵委員会であつたことですが、結局結論としては公団予算ははなはだ大ざつぱである。またいるかいらないかわからないが、一通り経費だけは計上してある。しかし実際においては各四半期において実行予算を組んで、むだな経費を省くようにする、こういう話であるが、これは一般会計特別会計の場合であつて公団においては、四半期ごとのいわゆる実行予算なるものによつて大蔵省がそこまで関與しない、こういうふうなお言葉でありますが、その通りでありますか。
  45. 河野一之

    河野(一)政府委員 私の申し上げようが惡かつたようでありますが、法的な規制はないわけであります。ただ現在のように財政收支というものが経済界に大きな影響を與えるものでありますから、事実上においてとつております。一般会計特別会計でありますと、これは款項ごとにきまりまして、そうしてその予算日本銀行に行きまして、日本銀行はその款項を越えては支拂わないわけであります。すなわちそこに日本銀行は支拂つてはならない義務を、会計の面においては負うわけであります。そこでダブル・チエツクになるわけであります。ところが公団等におきましては、そういう規制は事実上こういうふうにやつてほしいと申しますか、こういうふうにやれというふうなことはあるのでありますが、その予算日本銀行に行くわけではありませんで、おのおの取引先の銀行を持つております。そこでやるものでありますから、その点の規制力というものは大分違うと思います。実行上においてはもちろんやつておるのでありますが、法的にこれを強制し、それに違反した場合にはどうするかということはございません。公団というものは、先ほどもたびたび申し上げましたように、一定の商売をいたしておるものでありますから、予算で一応縛つて、それ以上は取引があつても、これは買えないのだ、あるいは拂えないのだというようなことにいたしますと、非常に活動に阻害を與えますので、この点は予算のそういつた実行計画をつくるにつきましても、相当の彈弾力性をもつて考えております。
  46. 奧村又十郎

    奧村委員 来年度の公団予算を見ますと、一応考えられ得る経費は全部網羅しておる。たとえば食糧を東京へ運ぶ、貨車でおろして入庫させずに、すぐ公団へ運んで配給する。その場合に運賃が二重にいるものが一重で済むとか、あるいは保管料も必ずしも全部ではないが、一応全部いるものとして予算を組むとか、あるいは袋の修繕がこの部面でこう、この部面でこうというふうに、一応予算であるから考えられ得る経費は全部載せてある。しかし実際においてほんとうに経費がいるのは、この半分いるか、あるいは三分の二いるか、常識上判断できるが、一応全部書いてある。それを実行においてこれを検査して行く機構がよほど確立しておらぬと、その面において公団が非常に自由かつてな動きをする。その点を私が案じておるのです。その実行面において、実際にうまく検査して行く機構がまだ十分できておらぬということが、大体ただいまの御答弁ではつきりいたしましたので、これは政策上の問題でありますが、しかし私の判断において非常に参考になりましたので、この点厚くお礼を申し上げます。  それでは、これはこれだけにいたしまして、ところが公団は何公団でもそうですが、非常に官吏といいながら待遇がよろしい。食糧公団計算してみますと、本給が七万四千七百四十八円、公団手当が一万五千円、家族手当が一万七千円、勤務地手当が一万八千円、時間外が五千円、十三万円になつておる。ほかの公団もそれぞれそういうふうにみな高いものになつておる。特に閉鎖機関は十八万五千八百九十二円になつておる。これは小使に至るまで突きならしてであるが、復金は十七万五千八百十二円、このほかにまだ復金や閉鎖機関は手当がついておる。これは官吏といいながら、あまりにもかけ離れておるが、これは一体どういうわけですか。復金や閉鎖機関について、特別職ではありますが、官吏として、どういう経過でもつてこの給料をきめられたのでありますか。
  47. 河野一之

    河野(一)政府委員 公団関係職員の給與というものは非常に入り乱れておりまして、まず職員について申し上げますと、公団につきましては、食糧配給公団を除きまして全部が一般職であります。食糧配給公団だけが特別職になつておるわけであります。従つて一般職に属するものは国家公務員法の適用を受け、従つてその給與については、新給與実施に関する法律で規律せらるべきはずであります。しかしながら現在のところは一般職である公団職員につきましても、この新給與実施に関する法律適用を除外いたしております。と申しますことは、公団職員は大体民間からおいでになつたのが大部分でございまして、官吏の新給與実施に関する法律によつて、これを規制するということになりますと、現実的に給與が下つて参ります。それで適用を除外しておりまして、その給與に関する事項は、総裁が主務大臣の認可を経てきめるということになつております。そうして原則的に大体三割程度公団手当というものがついております。その結果一般政府職員の給與水準に比較して、相当高いわけであります。それから特別職は、これは新給與実施に関する法律適用はございません。それから、おあげになりました復興金融金庫、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会、こういうものの職員が非常に高いことは御承知通りであります。しかしそれらの職員については国家公務員法の適用はございません。これが公務員であるかどうかについてもいろいろ疑いがありまして、刑法上におきましては、これは国家公務員とみなすというふうになつておりますが、現在の国家公務員法でこれをはたして公務員と言えるかどうかは、いろいろ疑問の存するところであります。従つてその給與についても新給與実施法の適用はありませんし、総裁あるいは委員会の委員長が一応かつてにと申しますか、自由にきめられる建前でございます。しかしながら先ほど奧村さんのお述べになつたような事情もありまして、昨年からこういう機関予算国会に提出いたしまして、その際におきましては、予算において人件費というものを制限いたしまして、その範囲でなければ人件費の支出ができない。従つて、間接的にその給與を統制しているというかつこうになつておるのが実情であります。ただ給與に関することでありますから、急速にこれを国家公務員並に落すということもいかがかと思いますし、またそれが適当でもないということで、現状のようなことになつておる次第であります。御了承願います。
  48. 奧村又十郎

    奧村委員 但し、これは官吏としての身分は同じことと思いますが、その点は間違いありませんか。
  49. 河野一之

    河野(一)政府委員 公団職員は、一級、二級、三級といろいろあるのでありますが、総裁は官吏であります。それから官吏でない者も相当あるのであります。それから委員会等の職員官吏ではありません。広い意味における政府職員ではございますが、国家公務員法にいう公務員というふうには現在のところなつておらない。従つて給與についても違つておるというわけであります。
  50. 奧村又十郎

    奧村委員 配炭公団がかなり赤字を出しておるといううわさでありますが、もしかりに事実赤字が出ておるということであるとするならば、これは相当問題になる。その場合において、公団職員官吏として行つた仕事において間違いがあつて公団に損失をこうむらせた。それがために赤字が出た。その場合その損失をその公団職員が補う義務があるかないか。
  51. 河野一之

    河野(一)政府委員 配炭公団である程度赤字が出ると思いますが、その赤字が出たのがはたして職員責任であるかどうか。それが職員が不正をしておつたということになりますれば、あるいは現金を亡失したとか、そういうような面になりますと会計法上の責任がありますし、公団赤字と申しましても職員の事務処理が適当でなかつたという面もあるかもしれませんが、それよりもいろいろ他に問題があるのでありまして、たとえて申すならば今までの買取り方式では、石炭を出したらこれを必ず買わなければならぬというような統制方式の問題もあるわけであります。薪炭につきましても、もちろんその会計経理について適当でない点がありまするけれども、出て来た炭はどんどん買わなければならぬような建前にあつたというような点がありまして、それが御承知のように、公団というものはある種の事実上の金融というような役目も果しておつたのでありまして、そういうものがどんどん重なつてつて、あるいは今後統制が解除されることになつて、なかなか売れなくなつたという面がございまして、はたして御質問に該当しますか、御答弁になるかどうかは存じませんが、職員責任赤字全体について負う、あるいは弁償するというものではないであろうというふうに考えます。
  52. 奧村又十郎

    奧村委員 公団が解散する場合、たとえば食糧公団は来年の三月に解散するそうですが、解散する場合その当時の公団の財産は全部政府のものになる。これは当然でありますが、それは法律的にはどういう條文に規定されてあるか。定款によつて規定されてあるのか。
  53. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは法律にあるかどうか存じませんが、全部国の出資でありまして、国が全額を出資しております。一般会計出資しておりますので、これが解散しますれば、財産は国に帰属するのが当然だろうと思います。現在でも剰余金は国に納めるというかつこうになつておりますので、その点から申しても当然国庫に全財産が入つて来るというふうに考えております。
  54. 奧村又十郎

    奧村委員 公団は国の出資であり、国の方針でやつて行くわけであるが、そういう性格公団定款があるというのは、どうも私はふしぎに思うのですが、しかしこれはあなたにお尋ねするのは少しむりでありますから、また別の機会にお伺いいたしたいと思います。  次に大蔵関係の印刷庁の予算を見ますると、将来一円札を一億枚、十銭札を一億枚売り拂うという予算になつておりますが、これはすでにやめるはずであるが、どういうわけで予算に見積られたか。
  55. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは一円札それから五円札もある程度出さねばならないのでありまして、大体コイン、硬貨にする予定でありますが、その方の能力等の関係から行きまして、しばらくこれを相並行してやらなければならぬというふうに考えております。将来は硬貨の方のできぐあいを見まして、年度内にあるいは場合によりましては、一部製造を停止するというようなことも考えられるのでありますが、ただいまのところ両方並行して参るという考え方であります。
  56. 奧村又十郎

    奧村委員 大蔵省の方でいただいた銀行の資金コストの表を見ると、非常に資金コストが高い。預金部の資金コストよりも銀行の資金コストの方が高い。預金部の資金コストは今年かなり切下げられておるが、それにしても、預金部のあの十円前後の零細な金を集めるのと、銀行の大口の金を集めるのと、その資金コストが銀行の方が高いということは、どう考えてもほんとうに思えぬ。銀行の預金よりも人件費が一・八倍いる。それだけの人件費を、銀行がとるということは、銀行の月給が高いということは知られておるが、どうもほんとうに思えぬ。それでも少し突つ込んで、銀行の資金コストを調べるために経理内容を研究してみたいと思うのでございますが、これは一応一般会社と相対応いたします貸借対照表損益計算書の発行以外に、大蔵省の方においては特に銀行経理内容を検査することができるはずだと思うが、この銀行の資金コストのこまかい資料を集め得るのかどうか。人件費の内容、たとえば人数、給料その他人件費のこまかい内容を知りたいが、そういうことができるかどうか。
  57. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 銀行と郵便貯金と比較いたしまして、銀行の方が資金コストが高いというお尋ねでございますが、その原因はいろいろあると思います。郵便貯金におきましては戰前に比較いたしまして、その店舗すなわち郵便局の数とかそういうものが大体旧来のままであり、これに比較いたしまして比較的預金の伸びが良好であるというのに反しまして、銀行の方は人件費が御推察の通り経理統制令のはずされた後におきまして比較的向上する、また物件費等もかさむ、これに比較いたしまして銀行の預金の伸びが惡い、こういうような事情に基くものではないと考えております。もちろん資金コストを極力低下いたさせまして、従つて貸出しの利率を下げて行くということの必要なことは申すまでもございませんので、また銀行法その他各種金融機関監督法規に基きまして、主管大臣はそれぞれの監督をすることができる建前になつておりますので、無用の経費というものは極力避けしめるように指導しております。いろいろの資料につきましては、たとえば銀行の従業員数その他につきましても、関係当局としては判明しておるものも相当ございます。
  58. 奧村又十郎

    奧村委員 銀行局長お尋ねしますが、これはこの前から特に銀行局の方にお願いしてあつたのですが、大蔵大臣は一県一銀行主義の弊害を打破するという意味において、新銀行の設立を許可するということになつておりました。それは第六国会財政演説でお述べになつた。それで新銀行の設立の認可申請がかなり出ておるはずです。はたして新銀行が全国にどんどんできるかどうかということは、われわれの非常に大きな研究題目になる。私は資本金三千万円の新銀行の設立ははなはだ困難だと思つておる。ところが大蔵大臣はできると言う。一体申請は今確実な数字で幾つ出ておるか。できれば県別にお聞きしたい。
  59. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 銀行の新規免許につきましては、今お尋ね通り大蔵大臣が前国会におきまして、必ずしも従来の一県一行主義に拘泥しないということを申されたのでございます。また一面実情を見ましても、戰時中の統制その他によりまして、銀行がその地域において銀行業務を独占するといつたような弊害が現われてはいけませんので、ほんとうに必要な箇所については、新銀行の免許もいたして行きたいと考えております。しかしただいままで正式の申請というものはまだなかつたと思いますが、すなわち大体下話を持ち込まれておる件数は、数件あるようでございます。これらにつきましては、事務当局としましては十分その新銀行が成り立つて行くか、成り立つて行かないかということに重点を置きまして、提出していただきました資料等を検討しておる次第でございます。なるほどただいまは金詰まりの声がはげしくて、各方面から、ただ銀行ができさえすれば、そこで金が借りられるだろうというようなお気持から、新銀行設立運動も起ることが考えられるのであります。しかしこの銀行ができまして相当の固定設備も持ち、またそれが世間的に信用を確立して参りまして、預金も十分集まつて来るということは、一朝一夕にできることではありませんので、うつかりいたしまして、もし弱体の銀行が一つそこにできるということになれば、銀行全体の信用問題にも関しますので、事務当局におきましては御提出になりました資料を十分検討して、健全な銀行ができる見込みがあるかどうかという点について、調査をいたしたいと考えておる次第でございます。
  60. 小峯柳多

    小峯主査 この際委員諸君の御了解をいただきまして、私から金融政策に関する問題を二つほど銀行局長に伺いたいと思います。  一つは、最近における金融政策の方向についてであります。本予算の審議にあたりまして、本会議、委員会を通じまして、経済が安定しておるのか、あるいは不安定なのか、あるいはデイス・インフレなのか、デフレなのかというような問題がしばしば繰返されまして、私からも予算総会において大臣にただしたところであります。私はその質問を通じましても、今日日本の経済政策の中で一番金融政策の重さが大きいのである、大臣は安定しておると言われるが、その点どうかと質問したところ、その安定も安定の道をたどつておるという意味で答弁がありましたから、私は了承いたしたのであります。またデイス・インフレということをおつしやいましたが、安定の道をたどらせしめ、あるいはデイス・インフレにするためには、予算本来の性格がデフレ的でありますから、金融によつてこれを上手にかじを取る以外に、方法がないと考えて参つたのであります。かような意味で当局の金融政策に対しましては、非常な関心を持つて見守つて参りましたが、年末以来金融政策に新しい色彩が加つたように看取するのであります。すなわち年末預金部資金百億を動員いたしましたことを初めといたしまして、まだ実現はいたしておりませんが、この国会にも見返り資金を銀行の増資に使うような話がしばしば出ておるのであります。また大蔵大臣は新聞記者との会見におきまして、見返り資金の問題、預金部資金の問題、あるいは閉鎖機関の余裕資金の問題等にも触れております。私は今日の金融政策といたしましては、政府部門に蓄積されておる資金を動員することが、ぜひ必要だと考えて参つたのでありますが、どうやらその線に入つて来ておるように思うのであります。金融政策がかわつたというよりも、今の段階では必要に応じてそういう変化を遂げて来たとも思うのでありますが、この機会に一番国民が関心の深い、また経済政策で非常に重要であります金融政策に関しまして、新銀行局長から、特に銀行局長は日銀の政策委員も兼ねていることを承知いたしておりますので、この機会に、わが国の金融政策に新しい方向が予想されるかどうか。あなたのお考えで、これからの金融政策の切盛りに積極的な面が出るかどうか。金融政策の新しい方向に関しまして、御抱負なり御見識を伺いたいと存ずる次第であります。
  61. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 ここ一両年来の金融政策につきまして、非常に重要性が加味せられて来ましたことは、ただいまの御質問にも現われておつたところと存じます。二十四年度の予算が均衡予算でありまして、その面からインフレの要因が断ち切られた。これに基きまして、経済の基盤がようやく安定の基礎ができまして、インフレの進行が停止されたのでありますが、しかし何分この変化がいささか急激でございましたので、経済界全体として、これに対応する態勢をつくりますまでに、相当の摩擦が起るということはやむを得なかつたことでございます。また急激に財政によつて相当の資金が吸収せられますので、これを埋め合せ、かつ摩擦を円滑ならしめますために、それがすべて金融政策の任務と相なつたことは当然でございまして、この意味におきまして、ちようど昨年の夏ごろから時を同じくして起りました金詰まりその他の声に対しまして、大蔵省におきましてもいろいろの手を打ちまして、遺憾なきを期して参つたわけでございます。最近の銀行券の発行を見ましても、十七日に三千三十億ということでございまして、昨年から比べて約百億円くらいの減少を示しているのでございます。これはデフレではないかといつたような御意見も、あるいはあるかと思うのでありますが、しかし昨年の一——三月ごろはまだインフレであつたが、本年度の財政政策によつてようやく安定期に入つたのだという見方からいたしますれば、去年の一——三月に比べるということは、必ずしも当を得ないという意見もあるわけでございます。しかし日本経済の全体といたしまして、資金量、信用量が急激に収縮いたしましたので、各方面それぞれ悩みもあるわけであります。またこの悩みを分析して考えますと、従来のインフレ期における資金の非常なだぶつきによつて、きわめて楽をしておつた面が、資金量が適正になつて参りましたために生ずる苦痛というものも加わつているかと思うのであります。しかしまた実際現在の情勢下におきまして、中小企業、零細企業、あるいは中小生活者というものが、相当金融的な苦しみを味わつておられることも、十分了察せられるところでございます。昨年の夏以来、大蔵省といたしましても金融政策には重点を置きまして、いろいろ施策したのでございまして、その一、二を拾つてみますれば、去年の夏にはさつそく融資準則を変更いたしまして、丙種産業の優遇とか、あるいは貿易業あるいは問屋卸売業に対する融資準則上の優遇とか、それから証券業者に対する資金の融資準則上の優遇とかを行つて参り、また金利の低下にも努めて参つたのであります。特にこの財政資金で、また市場から金融が引上げられることに対処して、日本銀行から潤沢な資金が金融市場に流れますように、いろいろ配慮いたしたわけでありまして、たとえば日本銀行の国債及び国債買上げのオペレーシヨンは、昨年中は大体二百五十八億ということになつておりますが、このほかにも復金債を六十二億買い上げまして、これだけの金が市中に流れ出ておる。なお大蔵省から日本銀行に金の借りやすいように、いわゆる法律適用の利率を下げまして、またさらに日本銀行からは積極的に中小金融資金といたしまして、銀行を指定いたしまして、すなわち興銀とか勧銀とか商工中金とかに対しまして、別わく融資という特殊の中小金融用の資金を供給するというような工作を用いまして、極力日銀から市中金融機関への金の流れを潤沢にしておるわけであります。なお暮れに至りましては政府資金も動員いたしまして、国庫資金を金融機関に預託するという試みは、去年の前半にも実施いたしたところでありますが、昨年末の情勢に対処いたしまして、預金部資金を特に百億円市中金融機関、特に中小金融と関係のあります無盡会社とか信用組合も新たに加えまして、これに対して融資をしておるわけでございます。最近の対策といたしましてなおいろいろ計画をしておるのでございますが、まだ発表の段階になつておらぬものもございます。たとえば国庫資金の市中銀行への預託、預金部資金も相当余裕金がございますから、これをさらに追加して市中金融機関へ預託をするとか、復興金融金庫が回収その他によりまして余裕金ができ、これを国庫に納入しますまでに相当の期間もございますので、これを市中に還元する方法とかいうようなこと、それからさらに閉鎖機関にも余裕金がございますので、これを市中金融機関に放出するというようなことも考えておるわけであります。さらに見返り資金の方面におきましても、これは国民から吸収した資金でございますので、でき得る限り早く民間に還流せしめるということで、許可その他の手続を急いでおることは御承知のことと思うのであります。こういうふうに現在の機構のもとにおきまして、でき得る限りの配慮はいたしておるのでありますが、さらに喜ばしいと存じますことは、最近金融界において懸案でありましたいろいろの大きな制度的な、あるいは機構的な問題が着々と解決せられて参つたことであります。委員長の御質問の中にもございましたように、近く法案を提出して御審議を願うことに相なつておるのでありますが、銀行に債券を発行せしめまして、長期資金を供給するという件がございます。これもこの運用をなめらかにするためには、見返り資金でもつてこれらの銀行出資優先株を引受けしめるということも考えられておるのでございます。大体金詰まりの一つの打開策としては、不動産金融によつてできれば低利の長期資金を供給するということが、多年の要望であつたのでございますが、いろいろの見解のもとにこれが妨げられておる。御承知通りそのために勧業銀行あたりが、長年の不動産金融の経験あるにかかわらず、これがただ普通銀行としての機能しか発揮できなかつたというような事情があります。この不動産金融という問題は、不動産を担保といたしまして資金の融通を可能ならしめますのみならず、中小企業等につきまして、唯一の担保であります不動産を担保として金を借りることができることになりまして、中小金融上も非常に重要な一つの手段であるのでありますが、これが今回の法律改正によりまして、勧業銀行あたりが不動産金融の再開ができまして、その方面に寄與することが非常に多いであろうと思うのであります。なお大体法律によりまして商工中金も債券を発行できます。この債券発行に伴いましては、これもかねて問題でございました預金部資金の運用が許可せられる見込みであります。預金部資金は申すまでもなく国民大衆の零細資金の蓄積でありますが、終戰後インフレを防止する意味におきまして、預金部資金は原則として国債の引受けあるいは地方債の引受け、地方公共団体への貸付、こういうもの以外には運用を認めないという建前がとられておつたのでございます。それが最近預金部の金融機関への預託が認められたということを契機といたしまして、近くは金融債の引受けも認められる、こういうふうに運用範囲が広げられて参りましたことは、非常に金融界のため慶賀すべきであろうと考えておるのでございまして、ますますこれが広く認められますように、言いかえますれば預金部資金が眠つておりまして、国民経済に少しも働かないようなことのないように、私どもはますます努力して参りたいと考えておる次第でございます。見返り資金の問題につきましても、その放出が非常に遅れておつたことは周知の事実でございまして、せつかく民間から吸收いたしました資金ができるだけ民間に還流すべきであるにもかかわらず、その許可が遅れており範囲が限局せられておつたために、この本来の機能を発揮することができなかつたということは、多少金詰まりというような問題につきましても関係があるのでありまして、その見返り資金の運用につきましても、今回銀行出資を認められたということは、まさに注目すべき大きな転換であると思うのであります。その他いろいろ新聞紙上にも伝えられておりますようなこともございまして、見返り資金をいかに有効に使うかということについては、大蔵省をあげまして頭を悩ましておるところでございます。こういうふうに大きな懸案でございました点が、年末から今度の国会の御審議を経まして、この春のうちに組織なり用意なりが整いますれば、今後はますますこれらの機関を活用し、その力を総動員いたしまして金融の疏通に努めることができることになります。委員長のお尋ねのありましたように、これらの内容的な大きな変化が昨今起りつつありますことは、国民経済のために非常に喜ばしいことと存ずる次第であります。さらに一——三月の金融の危機ともいわれておるのでありますが、来年度になりますれば、予算における公共事業費あるいは住宅建設費等の散布も着々実行することと思われ、これが国民経済において有効需要を喚起いたしまして、金が再びまわり始めるのではないかというふうにも考えられ、また株価対策というようなものにつきましても、大蔵大臣は非常に御盡力中でありますので、これもやがて実を結ぶのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  62. 小峯柳多

    小峯主査 関連しましてもう一問簡單に御答弁願いたいと思いますが、今お話の中に株価対策という言葉が出ましたが、非常に伝えられること相当の時間になりますが、なかなか実を結んでおらぬようであります。お話ですと実を結ぶも近きにありというようなことですが、金融政策の一環としての株価対策といいますか、証券対策について進みつつある現段階を、おさしつかえない範囲でお話額いたいと思います。
  63. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 株価対策につきましては、市中銀行にも関係があるのでございまして、大蔵大臣の趣旨にのつとりまして、銀行にも株価対策について非常な協力を求めておるわけでございますが、何分その他の方策につきましては所管も違いますし、また大臣もお考えになる点があろうと思いますので、この場合は御遠慮さしていただきたいと思います。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 今の小峯主査質問に関連してお聞きしたいと思いますが、金融債の見返り資金引受けですが、これは金額はとりあえずどのくらいですか。
  65. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 今度の法律改正によりまして勧業銀行、興業銀行、北海道拓殖銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫、これらがさしあたつて債券を発行することとなるのでありますが、この法律の面からはじきました債券発行余力は約五百二十億くらいであります。しかしこれは資本金と見合いまして債券発行限度をきめましたので、さしあたつてそれだけの発行余力ができるということでありまして、発行ができますということと、現実にこれが市場で消化されて参るということにつきましてはおのずから別の問題である。また債券を発行いたしまして資金を獲得いたしましても、これを早急に使えるものでもないという問題もございます。従つてまた来年度に至りますれば、結局四半期ごとのわくでもこしらえて調整して行くことかと存じます。ただその際は預金部資金の発動ということも非常に有望になつて参ります情勢にありますので、資金が現実に出ますならば、債券は相当発行してもさしつかえないという情勢に立ち至るものと考えます。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 簡單でよろしいが、五百二十億の金融債を発行する。これについて見返り資金が引受けるのはどれくらいと見ておりますか。
  67. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 御説明が足りなかつたと思いますが、見返り資金を出しますのは銀行の株を持つのでございます。そうしますと簡單に申しまして、預金と債券を合せまして、株の約二十倍くらいは債券が発行できるという規定ができるのであります。債券を発行したものを見返り資金で今持つかという問題につきましては、まだ話はそこまで進んでおりません。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると株を引受けるのですが、それはどのくらいと見ておられますか。
  69. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 五つの金融機関を集めまして五十二億。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどのお話ですと優先株引受けという形になるとお聞きしましたが、その点はどうですか。
  71. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 優先株であり、償還株であるということになるのでありますが、その辺の詳細は関係方面に提出してから十分御説明いたしたい。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 法案がまだ出ませんが、実はそこを少しお聞きしたい。その優先株と償還株ですが、優先的に償還するのだと思います。従来の優先株は配当だけが優先であつた。今度は必要な場合には優先的にそれが償還され、いつでも引揚げることができるという性格、新しい商法の改正でも優先株と償還株の性格が今度かわつて来ておるが、そういう新しい性格の優先株で来るのかどうか。
  73. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 ただいまの商法で優先配当株というのは認められておるのでありますが、来年度の商法改正でさらに償還株式というものも認められるはずだそうでございます。今度のはそれを先に参りまして、優先配当株であり、かつ償還株であるということに法律の中に特にうたうわけでございます。すなわち普通株に優先して配当も受けるが、またある年次をきめまして、これは大体十箇年くらいを目安にしておりますが、利益金のうちから毎年株式を償還して減らして行かねばならぬ、こういう仕組みのものであります。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、配当も優先的に配当を受ける、償還も優先的に償還されるという非常に優遇された形で入つて来ると思いますが、その通りかどうか。それから償還株は今言われたように、十年と期限を区切るのか、あるいは必要な場合にはそれを自由に引揚げて、どうも日本の金融界があぶないという場合には、さつとあぶなくないように引揚げることができるような彈力性を持つておるかどうか。結局私たちの心配することは、見返り資金の入ることはいいが、こうやつて見返り資金が入つて来ることによつて、その條件いかんによつては日本の金融の中枢が見返り資金で握られ、もし見返り資金に政治的な條件でもあれば、日本の国の金融の中枢が外国の資金に握られる。しかもそれは場合によつてはいつでもさつさと引揚げ、配当だけは優先的にもらうということになると、一体国家的の立場からいつて歓迎していいものか、考えさせられるものですからお聞きしておるのです。
  75. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 見返り資金で銀行の株を持つということは変態でございまして、できるならば自己資金を充実して対外債務の保証といたしたいのであります。ところが現在の市況のもとにおいて、自己資本の充実が即座には望めませんので、若干見返り資金で補強するということでございます。その見返り資金の償還の計画は、別に各銀行ごとに償還計画書を出させまして、決してむりでない程度の償還年次をきめるはずでありまして、きまつた以上は原則としてそれによつて償還してもらうということになつております。いわば見返り資金を一時貸してもらつて、それを年賦償還で返して行くといつたかつこうでありますが、今申しましたような方法をとりまして、利益は結局それが自己資本の中に勘定せられまして、債券発行限度が非常に高いところへ行く。こういうことに御了承願います。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 私のお聞きしたいのは、商法も改正になりまして、今度は一株でも株券を持つておると、いつでも重役会を招集することができる、経理内容を要求することができる、いつでも必要に応じて自分の償還を請求することもできるというような、非常に少数の株で発言権の強い株主権を認めるような商法の改正が行われておるわけなんだ。それが考えようによると見返り資金とか外資を入れるための地ならしとして商法の改正が行われておる。そうした改正された強い発言権を持つた優先株なり償還株に外資が入つて来ると、非常に企業の中における外資の発言権が強くなり、そうなると日本の金融の自主性がそこなわれないかということでお聞きしたわけですが、大体わかりました。どうも私の心配するような方向に行くのじやないかと思われるので、これ以上けつこうですが……。
  77. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 細目にわたると思いましてお答えを簡單にしたのでありますが、見返り資金による出資は議決権を持つておりませんから、その御懸念はないと思います。それから銀行が別途自己資本を集めることができれば、それでもつて見返り資金を返して行くことも可能かと思います。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 主税局長に新しい税制の問題についてお聞きしたいと思いますが、実は予算がもう分科会に入つておる。民自党の諸君の考えるところによると、二十三日にはあげたいと言つておる。ところがこの予算の裏づけになつておる税法を今もつて拝見することができない。これでもつてわれわれはとうていこの予算を通すわけに行かない。一体国税と地方税制は今どういうようになつておるのか、御説明願いたい。
  79. 小峯柳多

    小峯主査 その質問は昨日もありまして、林委員御欠席になつて……。しかし御答弁願います。
  80. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 税制の改正案が遅れておりますことはまことに恐縮に思つておりますが、日本政府としましては、もうすでに二週間以前に法律案自体は確定いたしまして、総司令部の承認を求めつつあるのであります。私どもとしましては、事前にも相当打合せしまして、向うに提出しますれば間もなく承認が得られるものと考えまして、いろいろ努力いたしておるわけでありますが、何しろ今度の改正は相当広汎にわたつておりまして、細目の点になりますと、総司令部の各セクシヨンとも相当関係があるようでございまして、そういうところにおいて目下こまかく審査を受けているようでございます。大体の見通しとしては、来週早々に国税の中のおもな部分は提出できるのではないかと考えております。ただ地方税の方は根本問題として、なお税率等の問題が若干残つておりまして、政府としてはでき得る限り日本の実情に即したよい案を作成して、国会に提案して御審議を煩わした方がよいのではないか、かような趣旨で目下最後のとりまとめに努力している次第であります。従いましてこの関係は若干遅れるかと思います。大体そういうような状況でございますので、御了承願います。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 税制の問題でいろいろお尋ねしたいことがあるのですが、とありえず外資に対する課税の問題でありますが、全米貿易審議会の租税並びに対日協議会意見によりますと、富裕税はかけない。それから附加価値税もかけない。預金は日本において引出したものだけにかける。給與所得は五〇%基礎控除をして、あとの五〇%にかける。それから日本の国にいる一時的な労務者には給與所得税は廃止する。こういうような意見が出ているという話も聞きました。さらに二月五日の東京新聞でありますが、これを見ますと外資特例の大蔵省案としては、利益金については三箇年免除し、所得の半額は基礎控除するというような案もありまして、非常に外資は優遇されておりますが、豊かな外資に富裕税がかからないで、貧しい日本人に富裕税がかかるというのはちよつと納得できないことになるわけですが、一体外資に対する特例はどうなつているのですか。
  82. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 外資導入に関連して、税制の上においても極力その障害を少くし、できればある程度の有利になるような改正を行うべく、目下具体案を作成しております。ただこの問題についてはむしろ司令部において相当問題がございますので、まだこの分だけが最終確定という段階に至つておりません。従いまして本日私ここで詳しく申し上げることは差控えたいと思います。ただ今お尋ねの問題の中で富裕税の問題ですが、これは別段外国人に対して、普通の場合に比べて特別に考慮する考えはございません。ただ現在の所得税でも同様でありますし、一般の税の建前が外国人の場合においては、日本にある財産なり日本にある事業から生ずる所得、たとえば所得税でありますと、所得税法の施行地にある資産または事業から生ずる所得、これはずつと昔から税法の建前においてそうなつております。従いまして富裕税の場合においても、日本にある財産に対しては、外国人といえども課税するのでございますが、外国にある財産まで総合して課税することはしない。これはわが国の一般の税法の原則に従つて、そういうことにいたしたのでありますが、それ以上特別なことは目下のところ考えていないのでございます。なお附加価値税についても特別問題になつておりません。問題にいたしておりますのは主として所得税の税率で、御承知通りアメリカと比べて日本の所得税は相当高うございます。従いまして外資導入等に関連して、先方から日本に一定の人が来る場合において、日本の所得税法そのままを適用いたしますと、アメリカの所得税の負担に比べて非常に高い負担に相なるのでございます。これは所得の水準が大体低い。従つて生活水準が低い。従つて所得税の税率の構成が、日本の所得税の構成をアメリカの所得階層に持つて行きますと、相当下の方の階層で高い税率になるというような関係がありまして、著しく高くなります。これについては少くともアメリカの所得税程度負担にするというような配慮を加えた方が妥当ではないか、かような考えのもとに目下研究をしているわけでございます。  なお御承知通り、今までドルの所得につきましては、外国人の場合課税いたしておりません。円の所得につきましては一切課税しておるのでございます。このドル所得につきましても、ドルの取引自体につきましても、いろいろ研究されておるようでございますが、今後は課税するようにいたしたいと思います。ただ一挙に課税しますと、そこにいろいろ問題がございますので、経過的な措置等を考えるようなこともいたしております。主としてさような点を問題にいたしておりまして、その他の事項についても細目の点で若干ございますが、目下さような点について最後の具体案をまとめるべく研究中でございます。追つて近くこれは法律案として出す見込みでございますから、詳細はその際に御審議願いたいと考えます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 ただいま主税局長の説明の中にもありましたが、日本の所得税が外国と比べて非常に高い。従つてアメリカの方の全米審議会でも、これではとてもやりきれない。少くともアメリカの税負担よりは重くなるようなことがないようにしようということは、トルーマン大統領も声明しております。それからドレーパーの外資導入の條件の中にも、外資に対しては重い税金をかけないということが、たしか非常に重要な條件になつていたと思います。そこでこれは私の方の調査ですが、大体日本の国の五百万円の所得の者は、日本の国では今度は五五%ですえ置きになつて、あとはまたわずかの富裕税がかかるのでありますが、アメリカではこれに対して一四・五%である。それから二百万円の者については、日本の国では五五%ですが、アメリカではわずか七・七%くらいで、比較にならないほど日本の所得税が重いということが言われておるのであります。こういう点から言つて、所得税については、外資に関する限りは相当の額を基礎控除しなければならないように思うのでありますが、新聞紙で伝えている所得の半額基礎控除というようなことは、相当根拠があるのかどうか。日本の所得税とアメリカの所得税を比較する意味から言つても、この点をお聞きしたいと思います。
  84. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほども申し上げましたように、たとえばアメリカにおける一万ドルの所得者を、日本の円の三百六十円で換算しまして、三百六十万円の所得として所得税を計算する。かような比較をやつた場合におきまして、日本の所得税が非常に高いということはお話の通りであります。これは非常な違いがございます。このことは所得税の国際比較その他におきましても、私どもが前々から林さんにもそういうような資料を出して御検討願つておる通りでありまして、まさにその通りでありますが、ただこの問題は実はいろいろ議論しなければならぬ問題があるのであります。所得税の負担が一体どうなるかということになりますと、全体の平均所得が一体アメリカと日本とどう違うかということ、それから所得税の全体の收入が、国民所得に対して日本とアメリカとどのくらいの割合になつておるかというようなことを、よく検討した上で判断を下さなければならないのではないかと思います。結局におきまして、日本の現在の所得水準が非常に低い。その低い所得水準の中から国家としては相当な財源を必要とする。しかもその財源を所得税でまかなうということになりますと、国際的に比較しますと、相当低い所得層から相当な納税をしてもらわなければならぬということになりまして、單純に所得税の高さを、たとえばアメリカの一万ドルの所得の人の場合が、日本の場合ならば幾らになるというようなことで比較して高い低いをきめて、それで所得税全体のよしあしを判断するのはどうであろうかと思いますので、いろいろのフアクターを考えて御批判願いたいと思います。イギリスの場合、あるいは所得水準が日本よりも一層低い国におきましては——またもつと高い国もあるかもしれませんが、いろいろそういう差があるようでございます。しかし今の御質問はこういう問題にあらずして、むしろ一定の控除をする場合におきまして、大体どういうものさしではかるかという点が質問の要点のようでございますから、簡單にお答えいたしますが、その点で行きましたら前にも申しましたように、大体アメリカの独身者層の所得税の負担でございますね。それと前後するくらいの負担、それくらいのところがいいのではないかと考えまして、まだ五割ときまつておるわけではありませんが、その辺の数字を目下検討いたしております。それによりまして一律控除いたしますと若干高いところも出て来、低いところも出て来るかと思いますが、目下なるべく簡單で、しかもなるべくバランスのとれたものさしで適正化をはかりたいと考えております。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもうひとつ問題になりますのは、株式讓渡の名儀書きかえの期間の問題ですが、シヤウプ勧告によると一箇月以内ということになつております。それから池田大蔵大臣は三箇月ぐらいとしておる。日本の現状からいつて一箇月ではむりだという話であります。それから最近の新聞では二箇月になりそうだ。大体この一箇月説、二箇月説、三箇月説、各説紛々としているわけですが、これは一体実際はどうなつているか。しかもこの点についてはシヤウプ勧告の中でも讓渡所得の正確な把握なくしては、所得税全般の公正は維持できない。もしこれの一角がくずれるようなら所得税全般の公正はくずれるということ、非常にあそこを強調していると思うのです。これがシヤウプ勧告で一箇月と言われているのが、二箇月、三箇月になつたりするということは、よほど池田さんとしては証券界のことを考慮していると思いますが、一体向うとの交渉その他の関係でどの辺へおちつくのか、どういう交渉をしているのかお聞きしたい。
  86. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 讓渡所得の過正化ということは、新税制を適正ならしめるための重要な問題であることは御指摘の通りであります。従いまして私ども今後新税制につきましていろいろ新しい課税方法を採用いたして参りますが、讓渡所得につきましては極力適正な調査をいたしまして、課税の適正と負担の公平をはかつて参りたいと考えております。そういう見地から考えまして日本の現在の株式流通の実情よりやや離れまして、理想を追いますならば一月ぐらいでもいいんじやないか、こういうのがシヤウプ勧告の一つの出所じやないかと思います。しかし今の株の取引きの実際から申しますと、相当名儀を書きかえしないで流通いたしておるわけでありますから、これを全部一律に一箇月と一定のところで名儀書きかえを強制いたしますと、流通に相当の障害を来すという点からいたしまして、実情に即しますと三箇月説も出て来るわけでございますが、それはしかし課税の適正化と実際の調節をはかりまして、私ども二箇月で確定いたしまして国会に提案するつもりで、目下いたしておる次第でございます。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると池田大蔵大臣は三箇月説を言つておりましたが、二箇月に確定したと解釈していいかどうかという点と、それから二箇月という期間を置くことによつて、この間に株券を適当に投機的に使うことによつて、財産を隠匿して富裕税などがかからない方法で、投機的に使う期間を與える危險があるのではないか。やはり証券を資産として考え投機的な意味でないとするならば、私は一箇月でも別にさしつかえないと思うのでありますが、これを二箇月に延ばすことによつて、正確な讓渡所得の把握をかえつてのがす、脱税させる方向に行くのではないかと思いますが、この二つの考え、二箇月に確定して国会に出すのかどうか。もう一つはそういう二箇月の余裕を置くことによつて、かえつて讓渡所得の逋脱の道を開くのではないか。やはり短かい方がいいのではないかと私たちは考えるのでありますが、この点についての私局長の御意見をお聞きしたい。
  88. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 二箇月にいたすことに閣議の了解を経まして、目下司令部の承認を得て出すことに進めておりますから、近くそういうことで提案できると思つております。  なお期間の問題につきましては、短かくすることができればそれに越したことはないわけですが、御承知通り最近は相当名儀書きかえをしないで取引する慣行が、最近まで非常に広く行われております。ことに昨年株等が発行された場合におきましては、なかなか新しい株式かできないといつたような事情がありまして、この実情から申しますと、むしろ二箇月でもよほど会社等も勉強していただき、また取引界におきましてもそれに応ずるように努めてもらわなければ、なかなか問題もあるくらいに考えられるわけでございまして、私どもといたしましては大体現在の実情及び若干将来のことを考えまして、二箇月程度が一番いいんじやないか、かように考えておるわけでございます。  なお名儀書きかえ期間ができますことを前提にいたしておりますが、この期間ができまして、やつとそれくらいでちようど妥当ではないか、かように考えておるのでございます。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 その点は大分業界の意見を親切に取入れたとわれわれは解釈するわけでありますが、その次に問題になりますのは資産再評価の問題でございますが、この資産再評価を任意にした——シヤウプ勧告によると強制的にすることになつておりますが、これを任意にした理由をお聞きします。
  90. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今度のシヤウプ勧告に対しまして補正を加えました大きな事項が、今御指摘の再評価を任意にいたした点でございます。ただこの問題はシヤウプ博士も率直に言つておられるように、実は再評価というものは企業資産の方もそうでない場合も、もともと企業のためにやるのです。税金をとるためにやるわけではございません。従いまして六%の税金を拂わせることにいたしておりますが、再評価をやりますれば、その後その設備が収益力があつて償却できるだけの利益を出せる場合においては、常に会社にとつて有利な再評価であります。従いましてもともと会社のためにやりますことでありますし、しからばなぜ最初に一律強制にやるというあれができたかと申しますと、なるべくこの際一齊にこの仕事を済ましたらどうか。そのためにはどうせ企業の利益のためにやることであるし、そのことはひいては国民経済的にいつても望ましいことなんですが、そういうことでありますから、全部一齊に一律に、いわば強制的にやつた方がいいじやないか、こういうのがシヤウプ勧告のねらいであつたのでございます。ただしかしもともとさような趣旨でございますので、必ずしも強制ということには最初からそうとらわれなかつた。大体強制ということになりますと、しかもその程度につきまして一々政府で査定をしなければならぬ、こういうむずかしい問題がございます。一応法律によりまして物価騰貴率等で、取得株に対しまして一定の倍率を除いたものを再評価する規定がございますが、それに対してたとえば製鉄設備代は、現在の稼働状況及び将来の見込み等から照して、ある程度低評価しなければならぬ。その低評価する際の一々の査定を全部政府が背負い込まなければならぬ。政府でやるとなりますと勢い非常に一律的になりまして、企業の実情に即しがたいという点がございますので、むしろ企業の任意にした方がいいのじやないか。任意にいたしますとその程度等につきましては、よほど会社はその後の実際の状況、今後の見通しをつけまして妥当な再評価ができるのではないか。さような点を考えまして任意ということに変更いたしたのでございます。ただ趣旨は強制と申しましても、別段ほかの場合と違いまして、もともと企業のために一齊にこの際やるんだという意味の強制だということを御了解願いたいと思います。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 おそらくそれは日本の国の企業の内部から強制ではむしろ困る、強制的に再評価されて一定の率をかけて、一定の率のものを償却に強制的にされるということになると、むしろ企業がつぶれる場合もあるということから、日本の国の企業の内部からそういう声があつてこういうふうにかわつたかという点が一つと、第二は資産再評価審議会ができますが、これの権限、これはどういう権限を持つておるか、この二つを聞きたい。
  92. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 任意にいたしましたのは、もともと資産再評価ということが、今申し上げましたように企業が非常に現在帳簿価格で低くなつておりますが、それで償却したのでは資本を食いつぶすばかりでとうてい維持できない。それを今の価格において今後設備を維持できるようにしようというのが本来の趣旨でございまして、再評価を認める根本の趣旨はそこにあるのでございますから、別段任意にしたのは企業の要求その他でどうということにあらずして、私どもといたしましては再評価の本旨にかんがみて、やはり任意でやつた方が実情に即して適当な評価ができる、かような考え方から任意にいたした次第でございます。日本政府といたしましては、最初から任意の方がいいのじやないかということを意見としても言つておりましたし、また企業の実際から見ましても任意を希望したということは事実であります。  それから再評価審議会でございますが、再評価審議会につきましては、中央審議会は、大体の評価の基準と申しまするか、相当こまかく法律規定いたしまするが、いわゆる陳腐化いたしました資産——現在は厖大な設備がありまして、稼働率が低いとか收益力が低いとかいうことから、とうてい基準までは困難だというような資産につきましては、法律で定めました基準以下である程度ここに再評価をチエツクしなければならぬ、こういう問題だと思いますが、そういうチエツクする場合の基準を中央の委員会でつくつて、適正な再評価をやらせるというふうになります。それから各地方に再評価委員会ができますが、これは会社の再評価に対しまして政府が調べるわけですが、調べた結果会社の計算を否認するような場合におきまして、否認して適正な再評価に引き直させる場合におきましては、委員会へ諮問いたしましてあくまでも公正な査定を行いたい、こういう考え方で、主としてそういう機能を持つものとして設置する考えであります。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つお聞きしたいことは、再評価審議会が大きな企業の再評価をする場合には、やはり関係方面のオーケーをとり、関係方面の意向を聞く必要があるのかどうか。ことに外資が入つて来ておる事業、たとえば電力事業だとか、あるいは軌道の事業だとか、そのほか今後外資がどんどん入つて来ると思いますが、そうすると資産の再評価をどうするかということと、外資の利害と非常に結びついて来ると思う。こういう場合には審議会が独自でできるのか。やはりそういう場合には関係方面のオーケーを必要とするのか。これは今まで公安委員会だとか教育委員会だとか自治委員会だとかいろいろできておりますが、やはり関係方面の了解なくしては一つとして仕事が実行できないのでありますが、大企業、ことに外資の入つて来るような企業に対する資産の再評価をする場合に、関係方面との了解その他はどうなつておるか。この点をお聞きしたいと思います。
  94. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今お尋ねのような問題につきましては、実はあまり問題にしていない程度でございまして、今後具体的になつて来た場合におきまして、あるいは従来特経会社とか制限会社等につきましては、いろいろそういう関係もございましたので、そういうことになるかもしれませんが、別段ここで申し上げるほどあまり問題になつていないということを申し上げます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたは長い間大蔵省の主税局で苦労なさつておられる方ですから、大体の見通しがわかると思う。こういう委員会制度ができても、一体日本の国の大蔵省の考えるような方向だけでできるのか。やはり重要な問題、ことに外資の問題とからんで来た場合に、向うのオーケー、向うの意向が必要かどうか。私どもがこれをお聞きするのは、やはり再評価の仕方いかんによつて、すでに投資されている外資がどういう発言権を持つているか。新しく発言権を持つて来るか。こういう場合に資産の再評価の仕方によつて非常に利害が出て来る。それはやはり日本政府だけでできないで、向うの意向も聞かなければ運用ができないと想像される。あなたの長い間の大蔵省の中における仕事の経験から言つて、こういう委員会が独自の立場で思う存分できるのか。やはり重要な問題に対しては向うの意向も参酌しなければならないのか。正直に聞かしてもらいたい。
  96. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 御指摘の通り経験から徴して申し上げますが、たいして問題にいたしておりません。私どもといたしましては、あくまでも資産再評価の本旨に従いまして、公正に再評価したいと思つております。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 シヤウプ勧告自体もあなたや池田さんが考えたのではなくて、シヤウプ博士が来てつくられたのであるから、やはり審議会の運用の点についても向うの意向が相当に反映して来るのではないかと思いますが、そういう心配はないならないとはつきり言つていただきたい。そうすれば今後私はあなたの行動を見ております。そうでなく、やはり今の状態においては関係方面との連絡も必要なら必要だと、それもはつきり言つてもらいたい。何もあなたを苦しめるために聞いておるのではなく、実情を一応知つておきたいからお聞きしておるのであります。
  98. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 何もうそも隠しも言つておるのではないのでありまして、今申した通りでありまして、それ以上何もございませんから、御安心を願います。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 実はここに銀行局長もおいでになりますが、たとえば日銀のポリシー・ポートなどもそうでして、こういう重要なる機関が日本では今のところ自主的運営ができないわけであります。公安委員、教育委員にしてもはつきりしておる。ところが税金に関する資産再評価審議会だけが例外だというふうに私は考えられない。これは隣におる銀行局長に聞いていただけばわかると思いますが、これもやはり関係方面との相当の連絡、それから了解なくしては運営はできない。特に外資を導入して来ておる企業の再評価の場合はそういうふうに思いますが、それでもなおあなたは御心配ないとはつきり言うならかまわない。今後私は見ていて、もし偽りの事実があつたら、もう一度ここへ来て聞くだけですが、その点はどうですか。
  100. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 大分しつこいお尋ねのようでありますが、先ほど申した通りでございまして、現在のところ別段そういうことについては問題にいたしておりません。委員会といたしましてはあくまでも再評価法の本旨に従いまして、公正な運用をはかることに相なるだろうと私は考えております。
  101. 小峯柳多

    小峯主査 林百郎君、今の問題は大臣でないと御答弁しにくいのではないかと思いますから、お含み願います。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 そうですか。——それから資産再評価で問題になりますのは、資産再評価によつて一定の資産を償却して行くということになりますと、それが労働者の賃金だとか、あるいは企業の合理化だとか、そういう方面にこれが発展して行く可能性があると思います。資産評価をしたところが、これを償却するためにはこれだけ積まなければならぬ。そのためには利益も償却の方にまわさなければならぬ。この利益をまわすためには賃金の方もやむを得ぬからこれだけ切下げる、あるいは企業の合理化をするとか、要するに資産の再評価がそこの従業員の労働條件に及ぼす影響、また企業の合理化に及ぼす影響、こういう方面のことを考えられておるかどうか聞きたいと思います。
  103. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、現在は御承知通り企業は帳簿価格でしか償却いたしておりません。ということは非常に実際の資産の減耗率に比べまして、少い償却費しか計上しないでおるわけでございまして、今のままで放任しておきますと、順次設備すなわち実体資本を食いつぶしておるわけでありまして、これではいけないというので、再評価を認められたわけでありまして、これが資産の委員会で再評価されまして、それに基くほんとうの減耗額が收益から償却されて、初めて企業は維持できるということになるわけでございます。従つて現在すでに相当企業が合理化を行いまして、現在の状況のもとにおきましても償却可能の企業もたくさんあると思います。また反対にまだなお企業が十分に経営が合理化されておりませんで、よほど今後合理化をはからないと、そういう償却するだけの收益を生み得ないという企業もあり得るかと思います。これはしかし将来におきまして企業としましては重大問題でございますから、極力あらゆる方面にわたりまして経営合理化をはかつて、償却し得るように努力して行かなくちやならぬ。またそういう見通しのある企業がおそらく再評価をやるのじやなかろうか、かように考えているわけであります。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 私の懸念するのは、その企業の合理化の中にやはり労働の強化あるいは賃金の切下げあるいは首切りというような要素が、資産再評価税を納めるこの制度を通じて行われるのじやないかという懸念を多分に持つているわけなんです。だからあなたの言つた企業の合理化という中には、やはり労働部面へもそういう影響を及ぼすかどうか、そういうフアクターがあるかどうか、この点をお聞きしておきます。
  105. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 現在の産業の状況は林さんもよく御承知通りに、日本の産業はもう少し労働の生産性をあげまして、それによつてコストを低くし、あるいはそれによつてさらに企業の全体の経営状況をよくするという必要のあることは、林さんよく御承知通りかと思います。そういう観点から行きまして、おそらく合理化の一環としてやはり賃金コストをできるだけ低くして、それによつて能率化をはかることは、当然考えられなくちやならぬ一つの事柄ではないかと思います。しかし、そのことは必ずしも労働者にとつて私は不利ではないと思う。結局それによつて企業が健全化されまして、その生産物が有効に売りさばかれ、企業も漸次発展して行くということになりますと、結局その面から労働者の賃金も実質的にふえて行くということに相なりますから、一時はそういう影響もあろうかと思いますが、長期にわたつて全体としてながめてみますと、そういう過程を経なければ日本の産業、ひいては全体としての労働者の地位等も、なかなか向上しないのじやないかと考えられますし、そういう点からいろいろ問題が出て来ますことは、当然のことじやないかと考えるのであります。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この問題については企業の合理化が必要だ、労働高能率化も要求されるというような言葉の中に、私は従来そういう言葉のもとにいつも労働者が首切られ、低賃金にされ、企業の合理化ということの中に、表面の説明はそうでありながら、いつもその犠牲が労働者に転嫁されたということを経験いたしておるのであります。従つてこの資産再評価の制度を入れることによつて、企業の整備、企業の合理化、労働者の低賃金、首切りが起きるというように私は考えております。その点企業の合理化ということの意味のとり方が、私と局長と違つておりますが、この点についてはこれ以上あなたにお尋ねしないことにいたします。  その次に、今地方税で一番問題になつておるのは附加価値税と固定資産税でありますが、ことにこの附加価値税は世界にも類のない悪税だそうです。これはあなた怒るかもしれませんが、惡税だそうです。これは労働者の側から行くとどうなるかというと、労働者の賃金にまで一応この附加価値税がかかつて来るわけです。こうなると、この附加価値税の性格からいつて企業家自体は、これは方々の本にも書いてありますが、附加価値税と固定資産税——固定が非常に大きくて人をたくさん使つていればいるほど、そういう企業に対しては附加価値税は多くかかつて来る。固定資産税は高くかかつて来る。二重の負担がかかつて来る。労働者の側から行くと、附加価値税によつて労働賃金までが税金でとられてしまう。その上住民税はとられる、所得税はとられるという形になります。また固定資産税の方も、固定資産税をたくさんとられると、その固定資産税のはね返りが労働者の労働條件の方に行くということで、これは労働者も反対している。それから企業自体が非常に反対をしているということは、東洋経済新報の二月四日の記事を見ましても、ことに電力関係あるいは軌道関係事業家が、これはたまらぬ、早くシヤウプさんに来てもらつて助けてもらわないことには、しよがないというようなことまで言つているわけなんですが、この点について局長のお考えをお聞きしたい。附加価値税と固定資産税が今のこのままで行くのでは、非常に大きな問題になります。これこそが企業の育成あるいは資本の蓄積ではなくして、むしろ企業の整理、企業の合理化を税制を通じてやつているのではないかというように、われわれ印象を受けるのですが、この点あなたの考えをお聞きしたい。
  107. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 附加価値税については、新しい税金でありますので、いろいろ世間でも違つた批判が行われているようであります。しかし私は率直に言いまして、私は今の純益課税の事業税よりも附加価値税の方がよいと思つております。大体負担関係を申すとどうなるかということを申し上げればわかるのですが、今の事業税ですと、たとえばいかに大きな会社がある地方で大きな事業を営んでおるというような場合におきましても、収益状況が惡いと一つも事業税を納めていない。ところでその関係の市町村なり府県におきましては、それではやはり相当施設をかけたり、手をかけたり、あるいはめんどうをかけておりますから、どうも何だかおかしいじやないかというので、寄付金なんか押しつけてごまかしておるという面が相当ございます。その反面、中小商工業者の場合になりますと、自分の賃金が実は純益の中に入つておるわけです。営業所得の場合ですと、現在所得が平均大体二十万くらいですが、その所得の中に自分の労賃分が入つておる。従いまして今度は附加価値税になりますと、その部分は実は相当負担が減る。その反面大きな工場を持ち、厖大な労働者を擁しておるような工場でありますと、今までは労賃部分を除きました純益に対してしかかかつていなかつた。ですから純益に比べまして附加価値税が実は相当ふえる。従いましてそういう面は附加価値税が相当ふえる。総額といたしましては今までの事業税と同額をとる。大体四百四十億負担関係が違つて来るわけです。今まで純益が比較的惡 くて相当大きな仕事をやつていた工場、会社、それらは附加価値税になりますと相当ふえます。そういう方面からいろいろ声が出ておりますが、これは私はごもつともな声の場合もあると思う。その反面、中小商工業者なかんずく小営業者の事業税の負担に比べまして、今度の附加価値税の負担は相当減る。これは具体的にはまた適当な機会に申し上げますが、それはうそじやございません。はつきりそう言えるのでございます。そうして総額といたしましては、大体今までの事業税と同額をとろう、こういうわけであります。現在の純益課税の事業税に相当欠陥があることは事実でございますし、これを補う方法といたしまして附加価値税を採用するということは、私は今の実際の状況から見まして妥当な行き方ではなかろうか。それとさらに従来の取引高税と比べましても、実は附加価値税の方がいいところが多い。取引高税でありますと、一貫作業ですと一回限りで済むわけですが、下請その他に出しますと何回もかかつてしまう。ところが附加価値税は何回もかかりますが、決して重複してはかからない。それは企業部分に分担してその部分に対してだけかけますから、全部合計いたしますと、結局物の最終消費者価格に一回だけかかつたと同じになる。取引高税ですと、段階が違いますとたとえば四倍にも五倍にもなる。一段階でやりますと一%で済む。こういう不公平がありますが、附加価値税にはこういう不公平がない。従つて附加価値税の性格をどうするか、いろいろ問題がありまして、そういう問題につきまして、新しい税でまだやつたことがないということはまさにその通りなんですが、純益課税の事業税よりもいいところが多いし、また取引高税よりも数段よい。ただ新しい税でなれていないから、一体どんなことになるだろうという心配が多いのではないか。従つてそういう意味におきまして、新税の場合には問題があるわけでありますが、そういう意味におきましていろいろ問題が出ているのは、もつともな議論ではないかと思いますが、やつてみますと、かなりいい税金ではないかと思います。ただなれるまでちよつとやつかいである。ことに負担の下る面はいいわけですが、負担の上る場合におきましては、やはり上つた企業はそれぞれ新しい附加価値税をコストしまして計算しまして、それに基いて商売をやつてもらわなくちやならぬ。それに順応していただくのにやはりちよつと時間はかかる。そういう意味におきまして私はこれはやはりある程度摩擦はあると思いますが、しかしやつてみますと案外世間で言つているほどのことはなくて済むのではないかと思います。かような見通しでやつております。ただそういう税金でございますから私どもとしましては、この附加価値税で予定の収入以上にとる必要は実はない。予定の収入を上げるに必要な最小限度の税率はどこであるべきかということにつきまして、目下政府愼重に研究いたしておりまして、なるべく上げ得る限度の低い税率にいたしまして国会に提案いたしたい、かように考えております。  それからもう一つの固定資産税の問題ですが、これはもちろん大分今度は上ることは事実であります。事実でありまするが、率直に考えまして今までの日本の地租と家屋税の負担は、インフレーシヨンの結果実は少し負担が低いのです。これは大分この二、三年来おつかけて来たのですが、なおしかしやはり物価騰貴に及びついていなかつた。今度はそれを地方団体の財源の充実、なかんずく税制全体におきまするいわゆる財産課税の一つですが、むしろ今度の固定資産税は地方の物的財産税とも言うべき性質ですが、こういう税につきましては税の全体の負担が重い際でございますから、相当拡充をはかつた方が健全な税制のシステムになるのじやないかというのが、シヤウプ勧告の一つの重大なねらいでありまして、そういう見地から極力充実をはかりたいというように考えておるのであります。その際におきましては、今までは御承知通り、たとえば工場等の場合には家の部分だけは家屋税を課税しておるが、その家の中に隠まつておりますところのもつと値打のある機械設備等は除外しておつたのであります。これはなかなか徴税技術がむずかしく、その他いろいろな理由があつたわけでございますが、しかし考えてみますと、おかしいと言えばおかしいので、ほんとうはそのおおいでありますところの家屋よりも、中身の方がよほど価値のある工場がたくさんございます。そういう工場におきましては、むしろ中身の設備等もやはり評価いたしまして家屋と同様に課税する。この方がより税としては公平だということになるわけでございまして、そういう方面範囲を拡張いたしまして、要するに一種の物的な財産税といたしまして、地方税の有力な財源にしようというわけでございます。アメリカの今の市町村税もほとんど九○%までこういう税でまかなわれております。イギリスにもレートという地方税があるのですが、それもこういう性質に似通つたものでございます。この税を大いに拡充いたしまして、市町村の有力な財源にしようというわけでございます。ただこの場合におきましては、一番問題になるのは固定資産の評価をどうするかということがございますが、これはなかなか問題があります。再評価をやりまして、あらゆる資料が集まりまして、それに基きましてできるだけ適正な評価をする。地租と家屋税の申告につきましては従来から賃貸価格がありますので、その一定の倍率による方法によつて、徴税技術上の難点を克服して行つたらどうかというのが、シヤウプ勧告案でございます。ただこの点につきましても私どもは所定の収入を上げ得る限度におきまして、税率等はやはり低い方がいいという考え方でございます。それから賃貸価格を千倍にいたしておりますが、これもやはり実際から言いますと千倍という案も成り立たぬわけではございませんが、妥当性がどちらが多いかといえば、少し高過ぎるのではないかというように考えておりまして、その辺のところにつきましてよく資料に基いて検討をいたして、できるだけ実際に即しました案を作成して国会に提案すべく、目下努力いたしておる次第でございます。大体さような状況であります。  重ねて申し上げますが、確かに負担のふえる面もありますし、減る面もあるということを御承知願いたいと思います。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんから簡潔にやりますが、問題はこの固定資産税がさらに大衆へ転嫁される危険がある。たとえば固定資産の非常に大きい軌道事業なんかすぐ運賃をこのために上げる。それから電気関係事業ですとすぐ電気料を、これによりますと五割ぐらい上げなければ固定資産税が拂えないということになると、結局固定資産税がさらに大衆へ転嫁される。また地租、家屋税が二・五倍になりますが、地租、家屋税が上るとともに地代、家賃が今度は家作人、借家人に転嫁され、結局今度の税制によつて最後のしわ寄せが一番下層の労働者、農民、勤労階級に転嫁される危険が多分にあると思う。あなたの言われる通り地方税は負担が増すと思う。国定資産税も増すと思う。少し例外はあるが……。それがそこだけでとまらなくて、労働者、農民、勤労階級に転嫁されることが一番大きな問題だと考えております。この点について局長はどう考えておるか。転嫁されないと思うか、されると思うか、その点を聞きたい。
  109. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 御承知通り現在地代、家賃につきましては公定価格がございまして押えております。これは今の貨幣の実際の価値から申しますと、非常に低いところに実は押えつけておるわけです。実勢価格から行きますともつと高くなつてしかるべきなのですが、それは上げる必要がないというので統制で押えておるわけです。今度地租、家屋税の騰貴に基きまして、地主なり家主の負担がふえる。これは当然私どもは統制価格を改訂いたして、やはり転嫁し得るようにしなくてはならない、かように考えております。従いましてこの問題は当然地代、家賃に響いて来ると考えております。しかし最近できました新しい家等の場合におきましては大した問題はございません。古くからありますところの安い家賃、安い地代の場合におきましては、本税を実施したために相当上りますが、しかしこれは価格にいたしますと今まで利用しておるものが、実は統制のおかげで相当低い地代、家賃で住んでおつたのでありまして、そういう人の負担が本税の実施によりましてふえるということは、当然あり得ることと思います。その他租税の転嫁関係はいろいろな場合がありまして、一概には言いにくいのですが、不動産等の場合も既往の生産物の価格の中に転嫁される場合もございましようし、あるいは関係者の收益に食い込むといつた場合もありますし、いろいろあろうかと思いますが、地代、家賃ははつきり統制価格の改訂によつて転嫁される。その他の場合は林さん御承知通り、普通の経済原則できまると思いますが、大体その程度でお答えといたします。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 地代、家賃に転嫁されるといいますが、今の地代、家賃の何倍くらいになるとお考えですか。
  111. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 現在の地代、家賃は構成要素を調べてみますと大部分税金で、税金以外の分は非常に安く押えられておる。従いまして家屋税が二倍半から三倍くらいになるところもあると思いますが、かりに二倍半にいたしますと地代、家賃が二倍半までは行きませんが、二倍前後上るのじやないか、かように見ております。なおこの点今物価庁で案をつくつておるようですから、必要がありますればその方から説明させます。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると大衆に対しては非常に大きな負担が転嫁されることがわかりました。  その次にお聞きしたいのは青色申告の制度であります。これは一体どのくらい今利用しておるかということが第一と、それから青色申告制度をつくりましても、結局これは税務署の言う通りのことを書かないと、不実の記載があるのだというので意味をなさないことになる。それから青色申告をしないと異議の申立ては国税庁まで行けないということになると、今まで税務署がしていた水増しのやり方を青色申告で合法化してしまう。税務署の気に入るようなものを青色申告に書かせて、あとはみんな右へならえ。右へならえできなくて異議を申し立てようとしても、青色申告していなければせいぜい当該税務署しか異議の申立てができないということになりますと、青色申告というものは水増し課税を合法化し、従来異議の申立てのできた道をふさいでしまうという、非常な強圧的な制度に青色申告が使われる。現に非常な名案のように言われておる青色申告を利用するものはほとんどない。全納税者の中の一割だけが申し込んで、しかもそれは申込みの既得権をとりたいというだけで申し込んでおる。実際青色申告をするものはそれよりなお少いというところから見ても、実は青色申告というものは納税者に対しては脅威であつて、決して救済方法でないというようにわれわれ考えておる。この点について局長の見解を聞きたい。
  113. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今不動産税の増徴によりまして、家賃は相当上るんじやないかという御心配でありますが、私ども計算しておりますが、大体年所得十五万円くらいで、家族が奥さんと子供三人くらいの世帶で通常住んでいるような家を考えまして計算してみますと、現在、地租、家屋税の負担が大体年額千八十円ぐらいという計算が出るようであります。これに対しまして、そのまま上ると見ますと、三千百五十円、二千円ぐらい違うことになります。しかし他方、それが今日の所得税の改正案によりまして、実は、この辺の世帯では相当大巾に負担が下るわけでありまして、現在税の負担が、所得税が年額二万四百二十五円ですが、同じ人の改正後におきましては一万千百二十五円というふうに下ります。従つて国税、地方税を通じますれば、この辺の家族の世帶で、なお不動産税等の値上りによります家賃等の値上りを見込みましても、負担は全体として下るということは、大蔵大臣がたびたび標準世帶について申し上げておる通りでありまして、その点は実は計算に織り込み済みであるということを申し添えておきます。なおその次の青色申告税の制度ですが、これは実は今度のシヤウプ勧告の一つの重大な点でありまして、これがうまく実行できるかできないかということは、所得税の行政が非常にうまく行くか行かぬかのわかれ目になると思います。従いまして私どもといたしましては、記載様式等につきましてはある程度の正確性は必要だと思います。会計原則に従つて、あまりめんどうなことは実は避けまして、ある程度のところでできるようなものを告示いたしまして、今実行いたしております。様式等につきましても、実は最初は一定した様式をつくろうかという考えを持つたのでありますが、様式を一定しますとなかなかそれに応ずることがむずかしいだろうというので、これも記載事項その他が告示で定めております方法に従つておりますれば、必ずしも一定様式による必要はないじやないかということで、目下普及をはかつておる次第であります。これはまだ正確な数字は参つておりませんので、はつきりしたことは申し上げられませんが、所によつて大分提出状況がふぞろいのようでございます。しかし最初のことでございますから納税者もよくわからず、あるいは指導する税務署の方も、必ずしもうまく行かなかつたところがあつたと思いますが、なおしかし新法実施後におきまして、一定のときに、さらに記帳の申出をするというようなことにもいたしたいと思つておりますから、今後でき得る限り適正な普及をはかつて参りたい。この帳簿は納税者としましては、あくまでも正しく記載して置かなくちやなりません。と同時に税務官庁におきましても、帳簿をよく調べた上でないと更正決定ができないわけでありまして、税務官吏を今後いかにして正しい帳簿調査能力を持たせるようにするか。これを最大の問題として目下いろいろ訓練もし、経験も積ませるように努力いたしております。しかし一挙に理想的な状態になり得ないことは当然のことでございますが、私どもといたしましては、除々に理想的な方向に向つて行くことに努力を傾けたい、かように考えております。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 簡潔にお聞きしますから、簡潔に答えてくださつてもいいと思います。大蔵大臣主税局長の話を聞いておりますと、大分税金が軽くなつて生活が楽になるような印象を受けるのですが、実際の国民の生活から言うと、税金というものは一番の大きな悩みであつて、せめて税金のない世界に行つて住みたいというのは、ラジオでも一番大きな希望はこれだというようなことが報告されております。  気違いになつている人までもあるわけであります。あなた方は、数字だけで国民の生活が楽になるように考えられていますが、数字ではわれわれの生活は楽になりません。よほど考えていただきたいと思います。われわれとしては、四十万くらいまでの所得の人にはむしろ免税してもいいのじやないか、大衆的な課税は廃止してもいいというのがわが党の意見であります。大蔵省の主税関税の人が考えるよりも言語に絶した大きな負担が、税金として国民の生活にかかつておるということを私は申し上げたいと思います。そこでここに一つの例がありますが、大阪のげた小売商の娘さんでありますが、この人から抗議書として住吉税務署あてに出ておるのであります。「父倉本富太郎こと、今回の仮更正決定の配布を受取り、苛酷な税額に対して非常に驚き、毎日のように苦しみ、家族のものとして見るに忍びない状態でした。ところがついに去る一月十五日夜、高野線に飛込み自殺を遂げてしまいました。この悲しい事態が起つて家族は、今は亡き父の事を思う悲しみと、重税の二重苦に、これからどうして生きて行くか方針が立たないのでございます。この苦しい内心をお察しの上、すぐ当方の要求通りの処置を願います。」というふうに書いてあるわけであります。これは娘さんの抗議書であります。私はこういう声がちまたに滿ち滿ちておると思うのであります。そこで主税局長にお聞きしたいことは、水増し課税ということが最近非常に行われておりますが、これをなおやるかどうか。それからこの一月から三月までの徴税の見込みはどうか。それから最後に、昭和二十五年度でも自然増というような形で——池田大蔵大臣法律通りに税金をとるとると言つておりますが、法律通りにとつて自然増がある場合には、自然増という形で、実際面の数字よりはたくさん税金をとるということも考えているかどうか。時間もありませんからこれだけをお聞きしておきたいと思うのであります。すなわち第一は水増し課税あるいは期待倍数といいますか、こういう制度でもつて、上から天くだり的に実情を無視して税金をかけて来るやり方、第二としては、この一月から三月までの千八百億の徴税というのは、企業家にとつてもまた一般の勤労階級、中小商工業者にとつても大きな負担になつて来る。これをどういう見通しをもつておやりになるかどうか。それから昭和二十五年度は、実は本年度よりは国民所得が一割くらいふえて参る。かりに税率が下つたとか何とかいつても、国民所得がふえておれば、このふえた所得に下つた税率をかければ、プラス・マイナス少しもかわりがないことになる。しかもその上歳入の点で方々にエアー・ポケツトが隱されておる。これが昭和二十五年度には自然増という形で出て来るのではないかというようにも思われます。この点について、主税局長のお考えをお聞きし、さらに大衆を苦しめているような大衆課税は思い切つて撤廃して、日本の国の人民の生活をゆたかにする措置を、もつと真劍に考えられる意思があるかどうか。これだけお聞きして、私の質問を終ることにいたします。
  115. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お答えいたします。いわゆる水増し課税という言葉が、どういう意味かよくわかりませんが、課税はあくまでも税法の規定に従つて、正しく課税すべきものでありまして、水増し課税が何らの根拠なく、ただふくらまして課税するという意味でありましたら、そういう課税はいたしません。あくまでも税法の規定に従いまして、正しい所得を見出して課税する方針でございます。  それから第二でございますが、これは先般国税庁から資料として提供いたしましたところによりまして、大体一月末で、なお今年度の予算額に対しまして、お話の通り千八百億円程度つておりますが、その收入は大体において、全体としては確保することが可能でありますし、またそういうことで行きたいと考えております。  それから二十五年度の予算につきましては、これも今お手元にある、先般こまかく出しました計算資料で明らかでありますごとく、それぞれある程度の所得の増を見込みまして、その見込んだものに対して、改正税法を適用して算出した税額でございます。従いまして今のところは、大体お手元に提案した見込み額が、現況においては最も正しいと考えております。それよりもさらに自然増が出るとか出ないとかいう問題は、現在のところ申し上げかねるのでありまして、今のところといたしましては、どうしても提案通りになるのではないかと考えております。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 私が長々と主税局長にお聞きしたのは、実はちまたには税金で苦んでいる声が滿ちあふれておる。私の主税局長に対する質疑のごときは、まだまだその声に比べれば、ほんの何万分の一にしか当らないわけであります。そこで主税局長も十分このちまたの声をしんしやくされて、大衆的負担はもう思い切つて撤廃する方向に進んでいただきたい。本年度の六千億の予算から見ましても、これは歳入の点ではほとんど九割が大衆の負担になつておる。ところが歳出の面から言うと、たとえば終戰処理費だとかあるいは国債の償還だとか、そのほかの補給金だとかいうような形で、大衆と縁のない面へ使われるものが五割から六割に達しておるのであります。何のために国民は税金を納めておるかわからないような状況である。しかもそれが父を気違いにさせるような、あるいは夫を気違いにさせるような重い負担がかかつて来ておる。これを十分に主税局長は考えられて、今後も吉田内閣の方針でなくして、わが党の大衆課税を撤廃するという方針にぜひ協力するように努力されることを希望して、私の質疑を終わります。
  117. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今の政府におきましては、現在の租税負担が相当重いということを十分感じまして、私どもは二十五年度予算には相当な減税を盛り込んでおるわけでございます。国民所得に対する比率は、必ずしも正確ではございませんが、二十四年度が一番重いようです。二十三年度が二四・二%、二十四年度が二五・五%、来年度はわれわれの計画によりますと、それが二三・三%に下る計画になるようであります。
  118. 小峯柳多

    小峯主査 中村幸八君。
  119. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 私は中小企業の金融問題につきまして、簡單に御質問いたしたいと思います。中小企業の金融問題につきましては、先日も大蔵大臣に対しまして、予算総会で御質問申し上げたのであります。相当詳細な御答弁を得て一応了承したのでありますが、先ほどの小峯主査の御質問に対して、銀行局長から日本の金融政策全般につきまして御答弁があつたのであります。これに関連いたしまして二、三簡單な御質問をいたしたいと思います。  御承知通り現在中小企業は過重な税金に苦しみ、異常な金詰まりに四苦八苦いたしておるのであります。このままにいたしておきますならば、破産、倒産が続出いたしまして、取返しのつかない結果が来ないとも限らないのであります。この際政府におきましても強力な有効なる手段を、一刻も早くおとりになつていただく必要があると思います。この点につきましては先ほど銀行局長からいろいろ詳細なお答えがありました。しかしただ政策を羅列しただけでは何にもならない。これは金魚の刺身と同様に食べることができない。中小企業は救われないと思うのであります。一刻も早くこれを実現に移しますように、最大の御努力をお願いいたす次第であります。その意味におきましてまず二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。  先ほどもお話がありましたが、日銀の中小企業資金は三十二億円であります。これをせんだつて大蔵大臣は、必要に応じて増額する覚悟があると答弁されました。この二月、三月の金融逼迫に対処いたしまして、現在大蔵省当局はこれをどの程度増額するお考えか。お答えができましたらお答え願いたいと思います。
  120. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 お答え申し上げます。日本銀行のいわゆる中小別わく融資というのは、ただいまわくが三十七億になつております。これに対して実績は三十四億まで行つております。近く興銀についても二億ぐらいは増資する見込みでございます。なおこれは便宜わくと称しておりますが、決してこれに縛られることはございませんので、実績が進みますに従つて、このわくは拡大してさしつかえないことになつております。
  121. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 ただいまの御答弁でたいへん安心いたしました。どうぞひとつ積極果敢に金融の道を講じていただきたいと思います。  それから見返り資金からの十五億の問題でありまするが、この十五億は第四・四半期分でございますが、一月からの分がまだ貸出しが活発に動いていないというように聞いております。今日の現状におきまして何口ぐらい、金額にしてどれくらいすでに貸出しいたしておりますか。この点をお聞かせ願います。
  122. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 いわゆる見返り資金によります中小融資でございますが、これは昨年末発表になりまして、年が明けましてから金融機関並びに一般に周知徹底が遅れました関係で、一月中の実績は約八百万円、十件内外の数字であつたと記憶いたします。月一億の見込みに対しまして、はなはだ少い数字でございまして、時期的にもずれがあつたことは遺憾でございますが、極力周知徹底方に努めておる次第でございますから、二月、三月には相当の成績になると考えております。
  123. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 この見返り資金からの金額はさほど大きい額ではありませんが、一般市中銀行からの金融がなかなか得られない中小企業といたしましては、旱天に雲霓を望むがごとく熱望いたしております。どうか一刻も早く貸出しができますように、手続あるいは調査等はでき得る限り省略いたしまして、金融の緩和に御努力願いたいと思います。  それから預金部資金でありますが、この預金部資金は来年度五百五十億円見当増加の見込みであると聞いております。今年度内におきましても相当余裕金が出ると思いますが、この年度内の余裕金はどのくらいできる見込みでありますか。またこれをどういう方面にそれぞれお使いになる予定でありますか、承つておきたいと思います。
  124. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 さしあたつての預金部資金の余裕金は二百三、四十億円であつたと思います。このうち先ごろ発表いたしました貿易公団の未收入金の回收、滯貨処理に関します方面に百五十億円を予定いたしておりますので、余裕金はそれより減少いたします。これにつきましても関係方面の了解を得て、できるだけ早く一般金融機関への預託をはかるべく努力いたしております。
  125. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 先ほど銀行局長から、預金部資金は銀行その他に預託する方面にも使う予定だというふうに承つたのでありますが、昨年暮れ百億円市中銀行その他に預託して、相当の成績を上げたということを聞いております。これを中小企業のために、無盡会社あるいは信用協同組合等にどのくらいおまわしになるお考えか。わかりましたらお答え願います。
  126. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 預金部資金の運用につきましては、現在のところ関係方面の了承を得なければならぬ等の事情がございまして、範囲等につきまして問題があるのでありますが、昨年末百億円、銀行信託、無盡会社、信託信用組合等に預託いたしましたが、さしあたつて目下のところ八億五千万円ばかりの金を都合いたしまして、無盡会社と今度は特に金額の振合い、それから中小企業への疏通などのことを考えまして、無盡会社、信用組合に限つて八億五千万円ばかりを追加預託する計画でございます。
  127. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 信用協同組合につきましては、現在市中銀行から中小企業が金融を受けにくいという現状におきまして、どうしてもこれは自治的に相互扶助的な考えに基いて、中小企業相互の金融をつけるという大事な機関であります。これが一刻も早く育ちますように極力御努力願いたいと思うのでありますが、承りますと大蔵省におきましては何か市街地信用組合その他の関係もありまして、信用協同組合の許可申請に対して、許可を澁つておるということも承つておるのでありますが、今日まで中小企業等の協同組合法に基きまして設立許可の申請のあつた件数と、許可になりました件数とを承りたいと思います。
  128. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 信用組合の設立許可につきましては、大蔵省といたしましては、小なりといえどもやはり金融機関であるから、基礎調査ということには力を入れなければならないという見地をもちまして、調査を進めておる次第でございまして、決して許可を故意に澁るといつたようなことはございません。なお今後許可すべきものはどしどし許可して参りたいと存じます。資料につきましてはただいま手元に持合せがございませんので、後刻御報告申し上げます。
  129. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 最後お尋ねいたしたいと思いますのは、現在中小企業金融がうまく行つていないということの一つの原因として、新規な貸出しについては銀行でいろいろ身元調査をしたり、信用調査をしなければならぬ。この調査の費用が非常に高くつく。従いまして小口の新規貸出しにつきましては、金利に比べましてコストが非常に高くつく、こういうような事情から、銀行が中小企業に対して金融を差控えるという向きがあるように聞いておりますが、小口の新規貸出しにつきましては、正式に調査料というようなものを銀行がとることにいたしますれば、今後相当中小企業金融も円滑に行くのではないかと思いますが、そういうことにつきましてお考えになつておるかどうか、この点を承りたい。
  130. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 中小業者の貸出しについて、調査料でもとつてもう少し楽に貸したらどうかという声が一部にございますことは、私存じておりますが、御承知通り、ただいま金利につきましては臨時金利調整法の制約がございまして、手数料その他の名目をもつてみだりにこれをとることにいたしますと、金利制限の違反になるというようなかね合いもございまして、今日までのところ懸案になつておるようなわけであります。中小業者の方も金融に奔走せられまして、急に銀行に飛び込んで行つてすぐ金を貸してくれと言われましても、それぞれ銀行の立場としてはそれができないといつたような事情もあるのでございまして、その辺のところは、調査料を出して十分調査してもらつても、金を借りられるようにすべきであるといつた御議論も、きわめて適切なものと考えておるのでございますが、まだ今日のところは結論に達しておりません。なお研究してみたいと存じます。
  131. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 中小企業は金利が高いというよりも、金がないので苦しんでおるのであります。従つてもし法律を改正する必要があれば法律を改正しまして、でき得る限り中小企業の金融が円滑に参りますように、一段と御努力を願いたいと思います。これをもつて私の質問を終ります。
  132. 小峯柳多

  133. 小淵光平

    小淵委員 ちよつと蚕糸類に対する金融の関係お尋ねしたいのです。蚕糸類と申しましても繭、生糸、織物、こういうふうな関係になつておりますが、これは一般金融でもちろん金融はされておるのでありましようけれども、その商品の性質から、国際商品との関係もあるのでいろいろな関連を持つて参りますが、どんなふうに金融をされておるか、これをお伺いしたいと思うのです。
  134. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 蚕糸に対する金融と申しましても部面が広いと思うのでございますが、蚕の生産という方面はやはり農業金融の方面で主として担当しておるのではないか。従つて農林中央金庫あたりが真剣に考えておる問題だと思います。繭になりましてからあとの金融は、やはり地方銀行でありますとか、あるいは信用組合では扱つているわけでございますが、金額がかさみます関係上、主として銀行が担当する関係かと存じます。
  135. 小淵光平

    小淵委員 繭の資金でスタンプ手形制がとられておるわけなんですが、大体繭の金融については、もちろん今お話になられるように銀行が主として融資されております。その融資の状態は、この生産物の性質から、中央の五大銀行が融資される額はそのうちの約二〇%以内であつて、大体は地方の銀行が融資をされているようであります。額にしまして昨年度は大体百四十億融資されておりますが、そのうちの八十二、三パーセントというものは地方銀行であるわけです。この地方銀行がこの生産品に貸し付ける額というものは、いわゆる全国的に全部できるのではないから、たとえば群馬とか埼玉とか長野とか、たいへん生産のたくさんできるところでは、蚕糸類に対する銀行の貸出しのパーセンテージが非常に上つて来るわけなのであります。そういうようなことから危險負担も一面にはあつて、なかなか融資が円滑でない歴史も実はあるわけであります。さらに現在の状態は、いわゆる別約融資が——生糸になつて横浜へ出て行つたものが、もとは問屋業者がすぐ肩がわりをして、問屋業者から——銀行から荷為替をつけて行つたものが振替になつて、問屋の融資で別約の金が出たわけなのですが、今は問屋からも輸出業者からも出ないから、結局スタンプ手形で貸したそのものが、横浜に生糸で行つたのが繭でそつくり行つた形になつて、実は融資されておるわけなのです。そのためにどういう結果が来るかというと、たとえば生糸に貸し付けておつたものが一俵十三万円として、十万円が繭の原価だとすれば、十万円そつくりの形で横浜へ行つてしまうと、生産費の三万円がそつくり業者の立てかえになつておる。そこでほんとうは横浜に別約があつて肩がわりができれば十三万円ということで、そこですぐに金が三万円浮いて工賃に充てて使うことができるが、今はそういう制度がないために、この蚕糸類に対する金融が極度に梗塞しておつて、そこに自然に現われて来る状態は、投売りをしてその金を早くとつて、頭金の浮き出したものを工賃に使つて行くというのが、現在の実情であるわけであります。従つて別約融資ということについてはどんなふうにお考えになつておるか、この辺をお伺いしたいと思います。
  136. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 繭につきましては金融上の問題もいろいろ特殊のものがあるかとも存じますし、またこれは従来の公団方式による買取り、集荷、販売、輸出というようなほかの業界にも共通な問題があるかと存じます。この公団等の制度が採用せられまして、戰前にありましたような問屋買いまわり人と申しますか、そういう商業取引上の系列関係が一時ストツプされまして、それぞれの取引段階における各業者が、それぞれ銀行に金融をつけなければならぬという段階になりましたために、資金的には非常にきゆうくつな場合があつたようであります。なお特殊の事情といたしましては、昨年の秋ごろから繭価の暴騰を予期いたしまして、銀行あたりも非常に融資の行き過ぎがあるやをおそれまして、これを若干チエツクしたこともあります。お尋ねの点は要するに商業取引における系列が問屋、買出人というふうにだんだんと信用取引が出て参りまして、一所に金融すれば末端の方は信用で商品を動かせるという仕組みにかわつて来れば、解決して行く問題だと思います。この問題につきましてはひとり繭の問題のみならず、ほかの商品についても同じことが言えると思います。だんだんとそういうふうに金融の方式も切りかえて行く。これについて業者の方も自然にそうなつて参りますし、また御協力も願つておるという状況であります。
  137. 小淵光平

    小淵委員 次にこれは主計局長さんもおわかりになると思いますが、本年度の予算に揮発油税の收入予算が五十一億円計上されておるのでありますが、これはどういう根拠によつて計算ができておるかお伺いしたいと思います。
  138. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 この揮発油税は大体需給状況から見まして、二十五年度中に引取見込み数最を三十一万六千八百五十五キロリツトルと見込んでおります。その課税見込みが三十万五千百十三キロリツトルの予定でありまして、一キロリツトルあたりの価格が一万六千八百九十円になつております。それの一〇〇%でありまして五十一億五千三百万円、大体そういう予算見込みでございます。
  139. 小淵光平

    小淵委員 その一〇〇%という割合はどういう根拠から出ておりますか。
  140. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 揮発油税の税率が小売り価格の一〇〇%ということになつております。その税率で算出したものであります。
  141. 小淵光平

    小淵委員 この一〇〇%を設定するときに、いわゆる揮発油というものはそのうちの大体八二%が自動車に消費されるので、自動車が使用する場合に他の燃料と対比して、一〇〇%の税率が可能であるという根拠に基いて、一〇〇%というのが出たと思うのです。しかるに現在はすでに他の代用燃料等の自由販売、それから品物が豊富に出まわつた関係からいたしまして、その一〇〇%がその当時と対比いたしまして大体三一、二パーセントに実は下つておると思うのであります。そこでどういう結果が来るかというと、結局輸送業者の輸送貨物に対する運賃の上に響いて来るわけです。結局大衆が高い運賃を拂つて行かなければならぬ結果になつて参ると思うのであります。それから今一年三十一万キロリツトルによつて基礎がなされておると言いますけれども、これはすでに昨年十月に安本が需給の計画を立てたのが、五十一万キロリツトルとなつております。きようも実は安本の人をすぐ隣の部屋に呼んで確めてみましたところが、昨年十月に決定いたしたものといささかもかわりない、需給の見通しはよいと今聞いて参つたので、はたして十月立てられた基礎がさらに裏づけられたわけです。そうしますと大体倍に近い税金がそこで上つて参るのです。そういうような観点からいたしまして、一面には大量消費する自動車の運賃その他の面に影響を及ぼす点と、根本的に計算の基礎が非常にたくさんになつて参るから、この点がこの予算組み方で進んで行けるかどうか。この辺をお伺いいたしたいと思います。
  142. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 御指摘の通り私も一応安本の需給計画を参考にいたしておるのでありますが、最近までの実績によりますと、安本の需給計画に対しまして売渡しの実際の実績が七三%程度になつております。これは見込みでございますから、あるいは今の御指摘のように確かに大分かかるかもしれませんが、私としましては最近までの実績に徴しまして、若干内輪に見積つた方が適正であろうという意味で、三十一万キロリツトルを算定の基礎に置いたのであります。  なお課税の税率の問題でございますが、揮発油の税率が小売価格の一〇〇%は確かに高い税率でございますが、ただ現在におきましては、なお実際の揮発油の状態が現在の需要に比べまして相当逼迫しておりまして、御承知通りほかの商品はおおむねやみがマル公に接近したり、あるいは場合によつては下まわつておるのが大分出て来ておりますが、ガソリンだけは相当上まわつております。現在のこういう状況のもとにおきましては、まだやはり一〇〇%の揮発油税で課税するのが妥当じやないか。将来この関係は検討を要すると思いますが、状況がかわつて参りますればその際において再検討する必要があろう。現在のところはさように考えております。
  143. 小淵光平

    小淵委員 日本の自動車は全部ガソリンで動かしてみましても、大体四十万キロリツトルで足りると思うのです。今大体GHQの考え方をそんたくいたしましても、近い将来にガソリンで大体動くような見通しになるのではなかろうかというふうに考えられるわけです。そこでこの自動車にはガソリンが一番燃料として適切なものである。今日までの発達した経過によつても明らかなように、代用燃料を使つて車の消耗を多くするというようなことは決して望ましいことじやなくて、どうしてもガソリンによつてつて行くことが当然のことになると思う。大体必要な四十万キロリツトルに対して三十六、七万キロリツトルの見通しはついておるように聞いております。そういうような点から考えますと、この予算を組んだ額が大体その倍額くらいの国の收入になるのではないか。一面資材を使用する面から影響を受けるところの全体的の負担というものを考えますと、これは相当将来考慮を拂つていただいてしかるべきものだというふうに思いますので、これらの基礎の数字から計算して、これをぜひ御考慮願いたいと思います。
  144. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お話の通り将来石油の需給状態がさらに一段と改善されまして、相当自動車等においてもフリーに使えるような事態になりますれば、はたして一〇〇%の揮発油税がよいかどうか、相当検討に値する問題ではないかと思います。現在では自動車の揮発油に対しましては、世界至るところにおいて相当の課税をいたしております。もつとも一〇〇%という高い課税はないでしようが、アメリカ等におきましても、州でも課税し、連邦でも課税するという状態でございますから、揮発油税自体は私は課税として適当ではないかと思いますけれども、ただ率につきましては、もちろん状況の変化に応じて検討する必要がある。ただ現在のところでは、さつき申しました状態から申しまして、一〇〇%の税率でまだいいのじやないか、かように考えております。
  145. 小峯柳多

    小峯主査 質疑はこれにて終りました。本分科会の討論採決はこれを留保いたしまして、総会に讓りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 小峯柳多

    小峯主査 御異議なしと認めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四分散会