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1950-03-24 第7回国会 衆議院 予算委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十四日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 尾崎 末吉君 理事 小峯 柳多君    理事 苫米地英俊君 理事 川崎 秀二君    理事 川上 貫一君       淺香 忠雄君    天野 公義君       井手 光治君    江花  靜君      岡村利右衞門君    奧村又十郎君       角田 幸吉君    北澤 直吉君       小金 義照君    坂田 道太君       中村 幸八君    松浦 東介君       松野 頼三君    南  好雄君       稻村 順三君    西村 榮一君       水谷長三郎君    北村徳太郎君       山本 利壽君    米原  昶君       松本六太郎君    岡田 春夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君        国 務 大 臣 山口喜久一郎君  出席政府委員         特別調達庁長官 根道 廣吉君         総理府事務官         (特別調達庁長         官官房長)   岩永 賢一君         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1  号)     ―――――――――――――
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き質疑を許します。小峯柳多君。
  3. 小峯柳多

    小峯委員 主計局長に、少しむし返しのようになりますが、一昨日来の質問で、どうもまだふに落ちない点がありますので、重ねてお伺いいたします。今回の進駐軍住宅建設します資金を、終戰処理費によつてやる方法と、見返り資金の貸付によつてやる方法二つ考えられるわけですが、その両方でやる方法が、国民経済的な角度から見て、どつちが現在の日本国民経済上好もしいと考えるか。すなわち二つ方法利害得失についての御見解を重ねて伺いたいと思います。
  4. 河野一之

    河野(一)政府委員 お答え申し上げます。終戰処理費でやるということになりますと、五十数億の金につきまして、新たに財源調達を要する次第であります。すなわち減税程度をさらに少くするかどうかという問題に触れますし、またその他におきまして、ある程度歳出補正でもして、財源を生み出すということに相なるのでありますが、これを援助資金の方でやりますと、御承知の通り千五百八十一億という援助資金予算が計上されておるのでありますが、その中に使途未確定のものがいわゆる予備費といたしまして二百八十一億ございます。その中から出すということでありまして、確定的にその金が援助資金から出されるという点におきまして、一般歳出予算から出すというよりは、有効需要の点から、あるいはその他の経済効果の上において、非常にまさるところが多いということで、こういうような処理にいたした次第であります。
  5. 小峯柳多

    小峯委員 ただいまの答弁は、終戰処理費でやれば、国民負担をこの上とも増す傾向があるから、それを押えるのだ。もう一つは、とかく眠りがちになる見返り資金を、これだけでも積極的に使うことになり、国民経済上の角度から、有効需要関係の上から行つて、それだけはプラスという意味に承知してよいのでありますか。
  6. 河野一之

    河野(一)政府委員 さようでございます。
  7. 小峯柳多

    小峯委員 それでは、今度は見返り資金を使う方法でありますが、見返り資金を直接投資して使う方法と、今回のように公社をつくつて使う方法と、二種類あるわけでありますが、この二つの比較、利害得失といいますか、これも国民経済角度からどうお考えになつておりますか。
  8. 河野一之

    河野(一)政府委員 この公社から使う行き方につきましては、ちようど鉄道に対してあるいは通信事業に対し、政府が直接支出いたしまして使うという行き方でありまして、従来のような私企業投資のものでありますと、小峯さんもよく御存じのような、実際問題としてなかなか流れにくいというような点に比較しまして、すでに使途が確定し、早急に出されるという点において、大分違つて参ると思います。ことに五十二億の金が四月から七月までの間に、急速に出されるという意味におきまして、見返り資金運用としては、現在の経済情勢下においては、非常に適当であるというふうに考える次第であります。
  9. 小峯柳多

    小峯委員 そうすると見返り資金使い方が、直接投資はどうも澁滞しがちだが、この方法によるときわめて能率よく、短時間に動き出す可能性がある。それだけのことだと承知してよろしいか。重ねて伺いたいと思います。
  10. 河野一之

    河野(一)政府委員 その点が非常に重点でありますが、この住宅投資につきましては、昨日も申し上げましたように、全国的に非常にちらばつておりますので、とかく私企業投資におきましては、地域的に偏在する傾向に対して、全国的にその金が出されまして、一般的になかなか流れにくい金が、末端まで流れるというような意味におきまして、非常にいいのじやないかと考えております。
  11. 小峯柳多

    小峯委員 見返り資金住宅公社に出す條件、すなわち金利などは、どの程度のものを予想しておりますか、伺つておきたいと思います。
  12. 河野一之

    河野(一)政府委員 五分五厘で見返り資金から借りることになつております。
  13. 小峯柳多

    小峯委員 五分五厘という金利見返り資金として一番安い方に属すると思いますが、その通りでございますか。
  14. 河野一之

    河野(一)政府委員 さようでございます。
  15. 小峯柳多

    小峯委員 そうしますと、五分五厘の金利ならば、先日来お話がありましたが、この正常な家賃收入金利負担ができるし、同時にまた元本の償還もできるというふうな確信をお持ちでございますか。
  16. 河野一之

    河野(一)政府委員 家賃は月一戸当り七十四ドル二千戸にいたしまして年額で二百万ドル程度になるのでありますが、この金で大体十二年程度で、見返り資金からの借入れを償却できるというふうに考えております。
  17. 小峯柳多

    小峯委員 最後に、見返り資金性質について伺いたいのでありますがこれも先日来各委員から質問がありましたが、伺つておりますと、実はどうも御答弁がぼけているような感じがするわけであります。事の性質上、あるいはそういうことになるのかもしれませんが、もう少しはつきりしていただきませんと、今後の例というふうなこともあつて、この際ぜひはつきりしたいのでありますが、私は見返り資金というものは、もう完全に日本政府責任で、百パーセント使う権利があるものだというふうに考えるわけであります。援助資金に関しましては、たとえば援助物資代金決済その他の問題は、講和会議と関連があると思いますが、そういう場合に、もしこれが債務だと規定されましても、援助物資代金決済については問題がありますが、一応それをトランスフアーして見返り資金ということで入つた以上、これは日本政府の完全な責任において使用できるのだ。資金のよつて来る原因の上から、その運用注文のつきますことについては、これはいたし方ないことでありまして、むしろこれは広い意味の、占領管理の一環としての注文だというふうに考えると、見返り資金は完全に日本のものである。そうすると、見返り資金によつて建てる今度の住宅は、国有財産であるかどうかというような問題も、おのずから解決すると思うのでありますが、いろいろな面で見返り資金根本性格が問題になつているわけでありますので、重ねて主計局長の、見返り資金性格に関する御見解を伺つておきたいと思います。
  18. 河野一之

    河野(一)政府委員 見返り資金性格というお話でありますが、アメリカから援助――食糧、石油その他重要資材援助を受けておりまして、それがドル幾らというふうなことになるわけでありますが、それを国内的に売りまして資金を得る。これは形式的には――形式的と申しますか、実際的にも日本のものであろうと思います。ただその見返りと申しますか、反対にこれに対して日本債務を負つておる金自身としては、国内で売つて調達された金でありますから、これは国のものであることにかわりはありませんが、その見返りとしてアメリカに対する債務を負つておる。ただこの債務というものは、講和会議においていろいろ具体的な、最終的な処理がとられるというふうに考えております。ただ今申しましたような関係からいたしまして、国会の決議もありますし、また関係方面の意向もありまして、見返り資金運用につきましては、関係方面と一々協議をしてやる。こういうような段階にあるものと考えております。
  19. 小峯柳多

    小峯委員 どうもはつきりいたしませんが、あまりはつきりお答えできぬものと思いますが、最後にもう一つ、これは山口国務大臣に伺つておきます。こまかいことを伺うことはいたしません。あなたは所管大臣として、今月中にこの予算衆参両院を通過いたしますれば、覚書に示された通りのプログラムでもつて、完全に実施できるとお考えになつておられるかどうか。その準備ができておるかどうか。総括的な御意見を伺つておきたいと思います。
  20. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 お答えいたします。今月中に衆参両院を通過いたしましたならば、ただちに今月中に入札、請負契約を完了して、四月一日から工事に着工いたしまして、七月三十一日までにこれを完了するという、十分の準備ができております。
  21. 小峯柳多

    小峯委員 先ほど見返り資金を直接投資でやるか、間接投資でやるかという問題、終戰処理費、あるいはこれを見返り資金でやるかという問題で、主計局長に伺いましたが、主計局長の御答弁大臣の御見解も大体同じだと承知してよろしいか、重ねて伺つておきたいと思います。
  22. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 主計局長答弁とまつたく同様な見解を持つております。
  23. 植原悦二郎

    植原委員長 他に政府委員に対する御質疑がなければ、午後二時から大蔵大臣出席を求めて開会いたします。午前中はこれにて休憩いたします。     午前十一時三分休憩      ―――――・―――――     午後二時二十二分開議
  24. 植原悦二郎

    植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を許します。北澤直吉君。
  25. 北澤直吉

    北澤委員 今回政府におきましては、見返り資金から五十二億円を出して、そうして進駐軍用住宅公社をつくりまして、これを進駐軍住宅に供するというようなことになつておるようでありますが、従来こういう住宅終戰処理費から出しておつたのでありますが、今回これを特に見返り資金から出すようにしましたその経緯につきまして、山口大臣の御説明を願いたいと思います。
  26. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいまお尋ねの第一でありますが、これは一月二十七日付のスキヤツ・イン二千七十六号によつて建設費見返り資金よりの借入金をもつて支出すべき旨の指令を受けております。またこの実質的な理由といたしましては、この問題が起きたときには、すでに処理費を含む二十五年度予算案国会提出後であります。予算を変更することが司令部によつて回避せられたという事情も、そのためにあつたように考えられます。そこで見返り資金は十分な予算費がありますので、これから支出するようになつた次第であります。またこの住宅建設は、日本経済に対する相当の負担でもありますので、これを早く償却するために、ドル家賃を支拂うことになつたのであります。そのためには米国給與制度関係上、終戰処理費支弁国有住宅では、家賃のもととなるべき住宅手当が支給されないことになります。そのために公社をつくつて見返り資金からの借入金というような形をとつたのであります。また法的根拠といたしましては、米国対日援助見返資金特別会計法を改正し、資金運用目的のわくを拡げるために、この予算案とともに提出した連合軍住宅公社法案というものの第五條において、所要の改正をする、こういう仕組みになつたわけであります。
  27. 北澤直吉

    北澤委員 終戰以来日本におきましては、年々一般会計におきまして、終戰処理費というものを計上してやつてつたわけであります。二十五年度予算におきましても、大体一千億余の終戰処理費が計上されておるわけでありますが、私ども考えから申しますると、進駐軍に必要な経費、特にこういうふうな住宅であるとか、そういうものはでき得れば私は見返り資金から出してもらつて、そうして一般会計には余裕を持たせる。極端な話を申しますと、終戰処理費が一千億ありますが、できれば全部見返り資金から出す。それだけ一般会計余裕を持たして、減税なりその他の方面に使うということができれば、非常にいいと思うのでありますが、今後終戰処理費をだんだん節約いたしまして、その分を見返り資金から出すというお考えがありますかどうか。その点を伺います。
  28. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 北澤君のお尋ねの大体の本論につきましては、大蔵大臣からお答えになるのが至当であると思いますが、この問題に関して、見返り資金からこれをまかなうというような考え方は、私としてはむしろ先刻来いろいろ御議論もあつたようでありまするが、終戰処理費から使うよりも、むしろ見返り資金を流用するというようなことが、われわれが戰争というものに一つの遠ざかる、気分的にも、また予算の運営の方面においても、この方がより平和に移行する一つの道でもあろうかと考えておるような次第であります。
  29. 植原悦二郎

    植原委員長 北澤君にちよつと御注意申し上げますが、その点はあなた御出席にならなかつたけれども繰返しここで質疑応答が重ねられたことでありますから、なるべく繰返し質問はなさらないようにお願いします。
  30. 北澤直吉

    北澤委員 それでは大蔵大臣に対しての質問を継続いたします。     〔川上委員大蔵大臣に対する質問はこちらが先です。」と呼ぶ〕
  31. 北澤直吉

    北澤委員 それでは私の大蔵大臣に対する質問はあとまわしにいたしまして、共産党の方にお願いいたします。
  32. 植原悦二郎

    植原委員長 それでは川上君。
  33. 川上貫一

    川上委員 ただいま山口国務大臣からお答弁がありましたように、この連合軍住宅建設見返り資金からするということは、これは午前にも主税局長からも答弁があつたのでありますが、第一には、財源が見当らぬから見返り資金を使う。それから第二には、家賃をとるために、こういうような方法を講ずる必要があつたわけでありますと、御答弁になつておるのでありますが、こう解釈してよろしゆうございましようか。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 大体そう御了承願つてさしつかえないと考えております。その二つに帰するわけではないのでありますが、また財源がなかつたという問題につきましても、いろいろな解釈があるわけでございまして、私どもといたしましては、急に起つた問題でございますし、また見返り資金予備金もありましたこと等を考えまして、今御審議を願うような方法とつた次第であります。
  35. 川上貫一

    川上委員 そこはやはり明瞭にしておく必要があると思うのであります。この見返り資金最初に設置されましたときの覚書によりましても、産業の開発と貿易に関すること、とにかく経済九原則の建前を遂行するために使うということになつておるのでありまして、そのほかのときに使うということは、その時分の目的ではなかつたのであります。従つて今回これを住宅に充てます場合にも、特別会計法條文を改めなければならぬというようなことになるのでありましてとにかく見返り資金が余つてつたから使うというようなルーズのものではないと私は思うのであります。特に見返り資金を使わなければならないという理由が、はつきりしておらなければならぬと思います。その理由は、財源がないということが第一と、第二には家賃をとる関係上ということで、これはたびたび御答弁がありました。この二つだと思うのでありますが、今の大臣の御答弁は非常にあいまいなのであります。そこで、なぜ見返り資金を使うのかという点を、明確にお聞かせを願いたいのであります。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、そういう二点が主たる理由であるのであります。  なお見返り資金運用につきましては、お話通り、当初は相当厳格なものにいたしておりましたが、事情の変更によりまして、あまりきゆうくつな使い方にする必要もないのではないかと考えまして、先般御審議を願つたかと思うのでありますが、文化事業方面にも出せるような方法をとつておるのであります。
  37. 川上貫一

    川上委員 この連合軍住宅は、今回の案では二千戸となつておりますが、これが八月までに完了される。これが第一期であつて、第二期にあとまた三千戸建築するということで、すでに示唆が来ておると承つておりますが、そういうことはありませんか、承つておきたい。
  38. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 二千戸が第一期で、その後にあるというようなただいまのお尋ねでありましたが、その後のことに関しましては、政府は何ら関知しておりません。
  39. 川上貫一

    川上委員 すでにその示唆が来ているということを承つておるのでありますが、そういうことはないのでありますか。
  40. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 そういうことは一切ございません。
  41. 川上貫一

    川上委員 最初新聞が取上げたときは、四千戸ということになつておりまして、これが今度は二千戸になつておるのでありますが、われわれはどうもあと二千戸の問題、あるいは三千戸かもわかりませんが、それが必要であると言われるのではないかと思つております。しかしそういうことは何もまだ聞いておらぬというお話でありますから、これはこれ以上承つてもむだだと思います。  次に承りたいのは、家賃をとるという問題でありますが、連合軍使つております間は、この家賃問題がかかる。これは将来の話でありますけれども、先日の御答弁によると、ほかに使う場合もあり得るということですが、そういう際には、これが国家の資産でありましても何でありましても、家賃は十分とれるわけであります。そこで家賃という問題が非常に重要になつているらしいのでありますが、これがまた一番大事な問題だろうと思います。財源がないという問題もありましたが、これはないはずはないのであります。しかし家賃ということになりますと、――これは償還計画が十二箇年もかかるということになつております。総理大臣早期講和ということをしきりに言うておられます。講和が近いということも言うておられますし、国民講和の一日も早からんことを希望しておるのであります。また国際的の状況から見ましても、早期講和が行われなければならぬということは当然であります。そして講和後は、連合軍関係はないはずだとわれわれは考えております。家賃云々ということが、見返り資金を使わなければならぬ大きな理由だとすると、十年も十二年も占領されているという建前の上か。もしくは講和会議が終りましても、連合軍は駐もするという建前の上かでなければ、どうも了解し得ない。そうとしか思われない。つまり十年も十二年も占領されておるのだという予定のもとに、建築するというように考えざるを得ないが、この点はどうお考えになつておりましようか。
  42. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 総理も、講和問題については、仮定の事実については答えられないということを、しばしば言つておられまするが、講和会議終結後における状況については、われわれは今日ここで判断することは非常にむずかしいと思うのであります。しかし川上君の先ほどからの御見解のように、われわれとしては終戰処理費を使うことよりも、むしろ見返り資金使つて、そうしてこれから家賃をとつて行つて、十二年後には元利が返済されるというようなことの方が、見返り資金性質から言つてもよほど平和的で、合理的であるとわれわれは考えておるような次第であります。
  43. 川上貫一

    川上委員 見解の相違という問題ではなくて、この見返り資金を使うという理由の第一の問題が、家賃という問題であります。つまり国財産であれば、アメリカの方の規定としては、家賃がとりにくい。それでわざわざ公社にしておるのでありまして、見返り資金使つて家賃をとることにする、これが重要な要件であります。そうしますと、十年間ないし十二年間、そういうふうに連合軍がおられませんと、家賃は入らない。早い講和で、講和後はただちに連合軍の撤退がある。こう考えておるのでありますが、そういたしますと、わざわざ見返り資金使つて家賃問題を取上げて、こういう計画を立てることは、理解に苦しむのであります。中小企業その他の産業資金がこれほど不足しておる場合に、この大事な見返り資金住宅に向けるということは、国全体の産業と人民の生活を考えるならば、よほどの理由がなければできないことだと思う。そうすると十年も十二年も連合軍がおられるという建前でなければ、この案が立たないと思われるじやありませんか。この点を聞いておるのです。
  44. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 この点は何べんお尋ねになつても、結局水かけ論になるかと思うのですが、われわれが資金計画なり事業計画をなす場合において、講和会議が一年後に見通しがついたからといつて、五十二億円のものが一年後に返るような計画は、とうていできないのであります。何としてでも十二年間に元利が支拂われるというような計画は、いかなる器用な財政家でも、それ以上の計画は立たない。その間において講和会議が中にはさまれて考えられる。その講和会議後の処置につきましては、また公社の独自の見解から、その使用者がだれであろうとも、これから家賃をとつて、十二年間に返済する、こういうことにはかならないと思います。
  45. 川上貫一

    川上委員 それはおかしい。撤兵ができて後には、公社でなくても幾らでも家賃はとれる。見返り資金使つて、特に公社をつくつてやらなくちやならぬというのは、連合軍関係の問題である。連合軍関係の駐もが十年も十二年もないということになれば、わざわざ見返り資金使つて公社までこしらえて、家賃の問題を考慮などする必要はない。どうしてもこれほどのことをしなければならぬということは、十年なり十二年なり連合軍の駐屯なさるもの、こういうことでなければ、わざわざ見返り資金を使うという理由にはならぬ。一年ぐらいの家賃のことならば問題はない。この点をお聞きしたい。
  46. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 理由の第一に私が説明したはずでありますが、一月二十七日付のスキヤツプ・インによつて建設費見返り資金借入金によつて支弁すべき旨の指令を受けております。しかして講和会議がいかような形式によつて結ばれるか、また講和会議締結後の状況等によつて、その仮定の事実に基いて、ここに川上君と政府議論しても、それはとうてい解決される問題ではなかろうと思います。
  47. 川上貫一

    川上委員 解決する、せぬはどうか知りませんが、そういう疑問がわれわれのみならず、国民全体が持つであろうから、そのことに対して明確な御答弁をお願いしたいのが、私の質問の趣旨なのであります。ここで議論を言いかわそうというのではない。終戰以来四年半の間住んで来た問題である。連合国の方としては、住宅その他にいろいろお困りになつたという事実も聞きましたが、すでに終戰以来四年半であります。そうして総理大臣も近い将来に必ず講和があるということを言つておられるのであります。今になつてそれが急に二千戸の住宅が必要であるというが、すでに講和が問題になつておる。しかも公正なる講和の後は、連合軍は必ず撤退されるものと国民は思つおる。われわれもそう思つておる。しかるにこの講和を前にいたしまして、急に住宅建設する。そうすると国民は、当分講和見通しがないのか、あるいは占領軍が腰をすえられたのか、こう思う危険がある。あるいはまた講和後も駐屯されるのではないかという危険がある。今軍事基地化が問題になつており、新聞雑誌等にもこの問題を多く取上げておる。こういう時代に、これは軍事基地化関係があるのじやないか。こういうふうに思われる危険が十分ある。そこでこういう点について、見返り資金使途に対する説明とあわせて、明らかにしておく必要がある。そこでこの案は、今までの御答弁なり、この案に出ておる説明によりますと、十年も十二年も家賃をとる。しかもこれは連合軍から家賃をとる。こういう前提でなければ、見返り資金を使うというりくつが立つて来ない。これはほかの金を使つてもよいのであります。この点を明らかにしたいのが私の質問でありまして、ここで私は何も議論をしてみたいのではない。またこれは私一個人の質問じやない。国民全体がかくのごとく思うであろうということを私は危惧しておる。あらためて質問します。
  48. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 連合軍の方で必要になつたという理由は、しばしばこの席上でも申し述べておるわけでありますが、家族を呼び寄せることのできないというような軍の内規、そういうことから勘案されて、先方で必要と認められたものと思うのであります。かかる連合国軍の家族病舎の不足を充足するために、新たな指令がわれわれの方に発せられた次第でありまして、講和締結後の規定は仮定の問題でありまして、川君はしばしば危険々々と言われますが、川上君の指摘される危険が、また危険でないと考えられる面もあるかもしれませんし、そういうことには私らも触れたくないのであります。ただ軍が住宅状況の緩和のために、現在必要とするものを最高司令官より調達の要求があつた。これに対してわれわれがこの法案をこしらえた。こういうことにすぎないのであります。日本政府としてはポツダム宣言のもとにあつては、やむを得ないことであると思つております。
  49. 川上貫一

    川上委員 これは私の質問には少しも適合した答弁ではないと思いますが、おそらくいくら質問しても、そうお繰返しになるに違いないのであります。  次に覚書というお話が今出ましたので、ついでに大蔵大臣に聞いておきたいのですが、覚書のことについては、去る三月九日に経済安定委員会で増岡政府委員がこういう答弁をしておる。「覚書でやつた云々と言うが、考え方の発端はいずれもわれわれの方から出したものが大部分であります。昨年十二月末の覚書の問題でありますが、あれなどは全部こちらから出したものに対する回答でありまして、統制をするかしないかということについて考え方をきめたのは、まつた日本政府の方できめたのであります。大きなものでありましても、石炭の統制を解除したという場合にも、そういう意見をこちらが出したのです。日本が出していろいろ議論をした。発端は日本政府でやつたものであります。」こういう御答弁である。つまりこれはある場合には日本政府の方から頼んだ、ある場合には日本政府から案を出していろいろ相談をして、そして出してもらつておるのだという答弁である。都合が悪くなればすぐ覚書に持つて行かれて、国民の口をふさぐというようなやり方があるのじやないかという危惧が生ずるのでありますが、この覚書というものについては、日本政府一つも自主性はありません。日本政府の意思は一つも加わつておらぬのであります。また日本政府は意見も申されないのであります。あるいはどういう形でこれは行うのか。その点は特に大蔵大臣にお聞きしたい。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 向うからの命令は、スキヤツプ・インの形式をとる場合もありますし、メモランダムの形式をとる場合もあるのであります。これは一様に覚書と省略されておるのでありますが、その効力その他につきましては、違つた点もあるのであります。しかして覚書が出ましたりするときに、日本政府が参加するかどうかという問題でございますが、これは個々の問題でよほど事情が違つておるのであります。一概に言うわけには行かないのであります。たとえば預金部資金運用につきましては、一応覚書で制限を受けておる。しかしその後事情の変更によりまして、その変更をこちらから求める。そのときの承諾書は、覚書と言うこともあるのであります。しかし今回の進駐軍の二千戸の建築につきまして、こちらから発議したのでないことは確かであるのであります。しかもこの覚書はスキヤツプ・インということに相なつております。
  51. 川上貫一

    川上委員 そういたしますと、このスキヤツプ・イン、これについては政府一つも自主性がないのでありますか。あるいは意見を一つも加えることができないのでありますか。この点をはつきりとお聞きしたい。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 日本政府から発議したのではございません。向うから話がありましたときに、日本政府といたしましては、日本政府の意見は申し入れております。しかしていろいろな事情を参酌いたしまして、この際二千戸を見返り資金から出すことにつきましては、日本政府において向うのスキヤツプ・インに基き、日本政府において決定いたしたのであります。
  53. 川上貫一

    川上委員 見返り資金を使うということについて、政府見返り資金を使うことが適当であるという御意見でありますか。見返り資金を使うことについては適当であると思わぬという意見をお出しになりましたか、どうでありますか。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 私は見返り資金を使うことが、適当であると考えておるのであります。
  55. 川上貫一

    川上委員 そうしたら見返り資金を使うという問題は、日本政府の意思を忖度されて、スキヤツプ・インにされると解釈してよろしゆうございますか。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 折衝の結果、そういうふうに見返り資金を使うことにきまつたのであります。
  57. 川上貫一

    川上委員 そうするとやはり第一の問題にかかつて来るのであります。われわれは見返り資金をこれに使うということの安当性を認めることができないのですが、政府の方ではこれが適当だという大蔵大臣のお考えなのであります。従来この住宅建設については、終戰処理費使つてあるのであります。この終戰処理費を使うということについても、私は問題があるのではないかと考えますけれども、これは別の問題であります。従来は使つてあります。先日の本委員会において河野主計局長も、終戰処理費説明にあたつて、降伏のときのとりきめで、日本側において施設すべきものは日本側でやることになつておる。たとえば住宅云云とはつきり言うておられるのであります。住宅終戰処理費で建てるのだと、主計局長が御答弁になつておるのであります。にもかかわらずこの住宅見返り資金で建てる。その理由家賃だ。家賃ということになれば、私の先に言うた問題にまた返つて来るのであります。連合軍日本駐屯が非常に短い期間であると考えられるならば、見返り資金使つて、十二箇年間家賃連合軍からとるために、見返り資金を特に使う。ほかのものから家賃をとるならば、見返り資金を使う必要はないのであります。これは国有財産であろうと何であろうと、家賃はとれるのであります。ただ連合軍から家賃をとらなければならぬから、見返り資金を使うということになる。そういたしますと、見返り資金性格から言いましても、大蔵大臣見返り資金を使うのが適当だと、こうおつしやるのでありますが、そうするとこれはどうしても十年、十二年も連合軍がおられるものと仮定しなければ、どうも私はできぬと思います。この点は非常にはつきりしないのであります。しかしおそらくこれは開きましても、先の答弁を繰返されるだけで、私が満足するような御答弁はないだろうと思いますから、私は重ねて質問をいたしません。いたしませんが、この問題は国民の疑惑するところであろうということを、はつきりと申し上げておきたい。しかもこの見返り資金を使うということは、大蔵大臣の賛成されるところであり、政府の意思が加わつたところであるということを、はつきりと記録にとどめておきたい。そうして次の質問に移りたいと思います。  この占領軍の撤退のあとは、病院に使うとか、あるいはホテルに使うとかこういう御答弁がきのうあつたのでありますが、この点をはつきりとひとつ聞いておきたい。
  58. 池田勇人

    池田国務大臣 もう質問をやめられたので、答えるのもどうかと思いますが、一応私の意見を申し上げておきたいと思います。この建てた建築費を何年間で償却するかという問題と、進駐軍がいつまでおられるかという問題は、全然別個の問題だとお考えを願いたいと思います。  次に御質問の、進駐軍が去つて行かれたりしたあとの、公社財産処理の問題につきましては、いろいろな点が考えられると思うのであります。その所と時によつて、よほど利用方法は違つて来ると思います。今からこれはこれに使うのだというふうな予想は立たないと私は考えておるのであります。
  59. 川上貫一

    川上委員 質問を一応打切つたのにまたお答えになりましたが、その答えがさつぱりいけない。別のものじやない。見返り資金を使わなければ家賃がとれぬというのは、連合軍がお使いになる場合だけです。その他の場合は、見返り資金を使わないでも、はつきりと家賃がとれる。見返り資金を使わなければ家賃がとれぬというのは、連合軍日本におられる間の場合だけです。そうすればこの建築に見返り資金を使わなければならぬ理由は、連合軍が十年も十二年もおられるのだ、こう行かなければ一つもりくつが立たない。この説明一つもない。これは私がいくら聞いても、いや十二年おられるのだという答弁は、なかなかできぬでしようから、私は質問を打切つた。しかし国民はかような疑念を持ちますよということを言つておる。この点についてどうお考えになるかということを聞いておる。この点については満足な答弁がないのだから、私は質問を打切つた大蔵大臣が言われた答弁は、さつぱり私は了承することはできない。この連合軍の撤退後はどう使うか一向わからぬ。これはまことに無責任な話だと思います。そうするといよいよこれは十年も十二年もおられるのだとお考えになつておると思わざるを得ない。こういうこともちつとも考えないでおいて、どんどん見返り資金で建てて行く。こんなばかげた計画というものはないと私は思う。先日の御答弁では、それは、病院にも使えるし、ホテルにも使えるというところがあつた。ところかどこに建てるかというと、現在ある基地、そのそばに建てるという御答弁である。そこのところにそんな病院をつくろうと、そんなものはいりません。同じところに千戸も二千戸も病院をつくるなんということは、できるものじやない。またこれをホテルにするといつても、とまりません。またこの建築は一戸が相当な金額になるのでありますが、これは日本人はなかなかごの家を使いません。これほどの家に入つて、そんなに集まつておるのでありますから、そこのところにだれが入るか、これは非常なことになる。そうしてみるとまた私は繰返しますが、やはり十年、十二年もおられるという前提に立たなければ、この計画はどうしても立たない。何に使うかわからぬという大蔵大臣の御答弁でありますから、これは私もう聞きません。おそらくそれをつつぱるでありましようから――。しかしこれはまことにずさんなといいますか、無計画な、私は無謀な政府のお考えだと思う。しかも見返り資金を使うことが、政府の御意見であるような御答弁でありましたから、いよいよもつて私は合点が行かない。  次にお聞きしたいことは、財政の支出の点までスキヤツプ・インに書いてある。やり方まできめてある。こういうどの費用をもつて何をせいというところまで指摘された覚書が今までありますか。この点をお尋ねいたします。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 今はつきりそういう具体的のことを、スキヤツプ・インできめられたものがあるかないか、記憶いたしておりませんが、交渉いたしまして、そういうふうにきめたのであります。きめたからといつて、私は悪いことはないと考えております。
  61. 川上貫一

    川上委員 はなはだ悪いところがある。このようなメモランダム、あるいはスキヤツプ・インというものが、今後次々と出されることになることになれば、財政運用の自主権はまつたくありません。それでスキヤツプ・インから出たのだからしかたがない。メモランダムが出たのだからしかたがない。こういう形で、財政の運用について、どんどんいつまでも出て来る。これはまことにけつこうだと大蔵大臣はおしつやいますが、これは実に驚くべき答弁だと思う。これでは財政運用の自主権が保たれるはずがない。こういう政府のお考えであるならば、この危険を政府はお考えになりませんか。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 まことにけつこうであるとは、申し上げたのではありません。交渉の上きめたので、悪いことではないと思います。今後の問題につきましては、その時と場合によつて、適当に善処したいと考えております。
  63. 川上貫一

    川上委員 こういうことを平気で言うのが日本大蔵大臣、けつこうじやないか、悪いことじやない。何という私は答弁かと思う。悪いことでなければ、けつこうなんです。またこういうことはその時分々々できめる。私の言うておるのはかようなメモランダム、かようなスキヤツプ・インが、今後次次に出されることになれば、財政の運用の自主性はまつたく喪失されるのではないかということを聞いておるのです。それはその時分のことだ、これが一体自主性のない大蔵大臣答弁だ。これがみずから自主性を失うところの吉田内閣の性格だ。この危険を私は指摘しておる。この現われがここに来ておる。ここには與党の委員諸君もおられます。その他の委員諸君もおられますが、おそらく何人といえども、かくのごときことが、日本政府のお喜びになるような形において、――悪いことがないと言われますから、どんどん出て来るということになれば、私は繰返して言うておきますが、これはみずから財政運用の自主性を放棄するものであると言わざるを得ない。  次にお伺いいたしますが、この家の所有権は、一体どこへ所属するのでありますか。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題はたびたび議論になつておるのでありますが、重えてお答え申し上げます。公社の所有になるところと思います。
  65. 川上貫一

    川上委員 公社の所有に対して、なぜ修繕費を終戰処理費から支出するのでありますか。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 先般来たびたびお答えいたしておるのでありますが、終戰処理費から出すのが適当と考えたからであります。なぜ適当と考えたかと申しますと、終戰処理費で建つておる住宅その他と隣接しておりますし、いろいろな支拂いその他につきまして手数が省けるから、こういう考えで来ております。
  67. 川上貫一

    川上委員 まことに驚き入つた答弁であります。手数が省けるから、終戰処理費から出す。そういうようなことでお考えになりましたら、もう何でもかんでも便利だから、手数が省けるからということになる。そういうことを聞いておるのではない。私の聞いておるのは、法人の所有に対して、終戰処理費から国が負担しなければならぬ法的根拠が、どこにあるかということを聞いておる。
  68. 河野一之

    河野(一)政府委員 修繕の経費については、今度出しました公社法におきまして、終戰処理費から出す。こういうふうにきめております。
  69. 川上貫一

    川上委員 そういう公社法を出すこと、その考え方までも聞いている。法人であり、私有である。公社の所有であるものに対して、どうして国がこれを負担しなければならぬか。しかもその上に将来の赤字は国が負担するという答弁をされた。たとえば火事になつたらどうするか。保險はつけないという答弁であつた。そうしたらこの負担はどうするか。国が負担するのだと言われている。公社の所有に国がなぜ負担するか。この点が明かにならない。
  70. 河野一之

    河野(一)政府委員 修繕費を終戰処理費負担する理由につきましては、たびたび申し上げた通りでありまして、現在の段階におきまして、公社の得ます家賃收入で修繕費をまかなうということにいたしますと、その償却の年限が相当長くなりますので、従つてこういうものは早く返済した方がいいという考え方が一つであります。それから先ほど大蔵大臣の言われましたように、この公社については、特別調達庁において実際上の事務をおやりになつて、一般の終戰処理費で建てた住宅と同じように取扱われるという関係から、終戰処理費から出すのが適当であろう。こういうふうに考えました次第であります。
  71. 川上貫一

    川上委員 きわめてあいまいでわかりません。そういうことを聞いているのではない。法人の所有――これは国の所有じやない。国の所有でないものに修繕費を、あるいはその損害を、終戰処理費もしくは国家からどうして出すのですかということを聞いているので、便利だから出すというのではなく、その法的根拠を聞いている。どうしてこういうことが行われる。これはあいまいで、国のものやら公社のものやらわからぬのです。これはどういう関係になるか。国が公社に対して特別に補助金をする、こういうことはありましよう。あるいは特にどういう費目でもつてか、公社に交付するということはありましよう。この修繕費を直接出すのだ。
  72. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは今川の公社法できめようと思つているわけであります。先ほどと同じようなことを繰返すようでありますが、現在でも民間の家屋を接收いたしました場合に、その維持修繕の経費は終戰処理費で持つている。大体それと同様な趣旨になろうかと思います。
  73. 川上貫一

    川上委員 これは非常にあいまいなのでありますが、それだけではないのでありまして、四月一日以前において入札を特別調達庁が代行して行うということがあるそうであります。かようなことを行われるのでありますか。
  74. 河野一之

    河野(一)政府委員 公社の職員は、今回の法律案にもあります通り調達庁の職員が当られることになつております。従つて調達庁の職員が公社を代表して、そういう仕事をおやりになるわけであります。
  75. 川上貫一

    川上委員 そうすればその法案が通らなければ代行入札はなさらぬのでありますか。
  76. 根道廣吉

    根道政府委員 お答え申し上げます。公社法が成立いたしました後には、完全に公社の資格において諸般の事務は行われます。しかしこの法案は現在当院に上程されておりますが、その中に公社ができるまでは、特別調達庁において公社の事務を事前に行うというように書いてございます。なおまた実際問題といたしましては、スキヤツプ・インの中に四月早々に工事を開始し云々ということがありますが、実際問題といたしましては、その以前に諸般の準備を進めなければなりません。事実上特別調達庁において現在その手続中であります。
  77. 川上貫一

    川上委員 そうすれば、この法案が通らぬということは、全然予想されていない。また法案が修正されるということも、予想されていないわけですね。先に入札してしまうのですから、事は済んでしまうわけですが、そうするとこの法案は修正されることも全然ないし、かわることも絶対にないときまつておるのでありますか。もしかわつたら、入札しておいてあとどうなるのか。その点が明らかでない。
  78. 根道廣吉

    根道政府委員 特別調達庁のやります仕事のうちに、連合国軍最高司令賞の指示する事項ということがございまして、それに基きまして特別調達庁がやる基礎はございます。
  79. 川上貫一

    川上委員 そこがちよつとわかりませんが、法案が通過しない以前に入札してしまうのでありますが、その通りに法案が成立しなかつたらどうなるのでありますか。
  80. 根道廣吉

    根道政府委員 入札の際におきましてこの公社法案が通り、かつ予算案も通るということを前提といたしまして、入札をいたすのでありまするが、その場合には、いわゆる停止條件つきの入札というような形において、業者との間をやつて行こうと考えております。
  81. 川上貫一

    川上委員 そういう辺に非常にあいまいな点がありますが、時間が相当たちますから、この問題はそれだけにして次に移りたいと思います。  大蔵大臣は、見返り資金アメリカ納税者の負担であるということを、たびたび繰返して言われておりますし、先日の御答弁でも、見返り資金債務であるということをはつきり申されたのであります。このことについては、われわれはどうも納得ができないので、繰返し質問いたしておるのでありますが、いつも大蔵大臣は、私ども考え方がおかしいと御答弁になつておるのであります。われわれはこう考えざるを得なんのであります。援助費は債務であります。これは阿波丸協定のときに、明らかに債務として調印が行われておると思います。しかし見返資金特別会計として積み立てられているものは、これは国民の積立金で、即援助費じやありません。それは国民の所得のうちから、いわば強制的に積み立てられた強制貯蓄という性格を持つている。その内容は言うまでもなく放出代金、税金その他を加えれものであります。この見返り資金がどうして債務であるか。また大蔵大臣繰返して、これはアメリカ納税者の負担であると言われるが、ここがどうもわからない。このことについては見返り資金性格を明らかにしておきたいと思いますので、もう一ぺん聞いておきます。
  82. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金の源泉は、アメリカの納税者の負担によるものであります。しこうして対日援助資金債務考えております。その変形が見返り資金勘定になつておると考えておるのであります。
  83. 川上貫一

    川上委員 その変形というのは、法律上の用語かわかりませんが、見返り資金そのものは、国民所得の中から積み立てたものなのです。援助費即見返り資金というものではないのです。第一に援助費の金額と見返り資金の金額は、金額さえも違います。援助費の中には、俸給も自動車も倉庫もあるいは運賃諸掛も入つております。見返り資金というここへ積み立てられた金というものは、国民が放出代金として拂つたものと、国民の税金から入れたものなのです。これは国民のものなのです。援助費として日本債務を負うている事実はある。しかしこれがすなわち見返り資金であるというここが、合点が行かない。見返り資金は別のものなのです。ところがこれについては、きようの午前に主計局長答弁されている。その答弁によると、見返り資金アメリカから援助食糧、石油その他重要資材援助を受けておつて、それがドル幾らというふうなことになるわけである。これを国内的に売つて資金を得る。これは形式的にもまた実際的にも日本のものである。ただ見返りと申すが、反対にこれに対して日本債務を負うている。この債務を負うておるということは、これは援助費である。しかし見返り資金日本のものであるということを河野主計局長はもはつきり答弁なさつている。これは大蔵大臣の言われるのと相当違うので、この点を明らかにしなければ七国民も納得しないし、われわれもどうしても納得できない。見返り資金というものは網民のものであるかどうか、これをはつきりしたい。
  84. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金日本政府のものであります。しかし見返り資金は何によつてできているかと申しますと、アメリカから借りてできておるのであります。
  85. 川上貫一

    川上委員 見返り資金国民のものであるということを大蔵大臣が言われたのは、私の記憶するところでは、きようが初めてであります。しかし大蔵大臣には、この国民のものだという観合名が今までなかつたのではないか。というのは、これはたびたびわれわれが言う通りに、見返資金特別会計法第六條を言われたのでありますが、とにかくこういう法律があるのを忘れてしまつてつておられるということは、国民のものでないと思つておられるから、こういうことができるのだと私は思う。そこでお聞きするが、国民のものであれば、大蔵大臣はこの見返り資金国会の手に完全にとりもどす意思がありますか。それが適当だと思われませんか。見返り資金運用についてはも国民が自由にこれをすべきものでなければならぬ。対日援助費は債務として承認しておりますから債務でありますが、見返り資金運用は、国会によつて国民の手によつて運用すべきが当然であるとお考えになりませんか。
  86. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金政府のものであることは、政府が特別会計をつくつて施行しておるのでありますから、当然のことでありまして、議論の余地はありません。ただその資金アメリカ援助によるものであるという関係から、この使途につきましては、向うと相談することに実際上相なつておるのであります。
  87. 川上貫一

    川上委員 そういたしますと、見返り賞金というものは、国民の、国会の自由に使えないのがあたりまえであるという大蔵大臣のお考えでありますか。
  88. 池田勇人

    池田国務大臣 国会の自由にならぬというのではないのであります。この見返り資金運用につきましてはも政府が向うと話合いをして使うことになつているということを申し上げておるのであります。
  89. 川上貫一

    川上委員 政府は、見返り貸金を一発に貸し付ける時分に、まことにむごたらしい條件をつけてやつた。いまだかつてわれわれは借金するのに、かくのごとき借金の條件があつたためしを見ないが、ああいうぐあいに政府責任でおやりになるのか。あなたの御発意でありますか。
  90. 池田勇人

    池田国務大臣 資金の源泉か向うの納税者にありますので、その使途につきましては、十分な監督をしなければならぬと私は考えております。
  91. 川上貫一

    川上委員 十分な監督をするのに、ああいう條件がいるとは思えない。一体見返り資金については、大蔵大臣お尋ねするが、日本政府に自主性があるのですか、ないのですか。
  92. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金運用につきましては、運用計画をこちらから立てまして、向うと話合いの上で、いたしておるのであります。
  93. 川上貫一

    川上委員 それではお聞きいたしますが、国鉄に交付金としてこのたび四十億が入つております。国鉄の資金は、現在四十九億だと考えております。これは国鉄法によつてきまつておるのでありますが、資金が四十九億になつておる。ところがここへ見返り資金四十億が入つて来るのであります。そうすると、これに見合う資産をつくるためには、資産再評価をしなくちやならぬ。資産再評価をいたしますとも国鉄当局の話では、約一兆三千億ぐらいな再評価になるであろうということである。また政府側の方では、八千億ぐらいになるだろうというようなことを言われておるのであります。こういうぐあいに、厖大なる国鉄の資産になるのであります。それに対して八十九億の資金ということになる。そのうちで四十億は見返り資金ということになる。この見返り資金政府の御自由にはならない。そういたしますと、一兆三千億になんなんとする国鉄の厖大なる資産の約半分に相当するものは、日本側の一存にはならぬことになる。これは非常に私は問題だと思うのでありますが、これは償還の必要があるのですか、ないのですか。あるいはこれを償還するとすれば、どういう計画でするのでありますか。條件は何もないのでありますか。もらい切りでありますか。もしもこれが大蔵大臣の言われるようなものであるとするならば、もらい切りというりくつは立たない。そうするとこの四十億は将来どうなるのでありますか。この点をお聞きしたい。
  94. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金から出しておるのでありまして、私は鉄道の方へ出したあとの償還のことなんかは、ただいまのところ考えておりません。
  95. 川上貫一

    川上委員 償還をしないでもよいのでありますか。出しつぱなしで……
  96. 河野一之

    河野(一)政府委員 償還をしなくてもよろしいのであります。そのほかに、通信事業もございます。また国有林野もございます。住宅公社もございます。いずれも出資でありまして、償還をする必要のないものであります、
  97. 川上貫一

    川上委員 それではわからぬ。アメリカの納税者の負担であり、アメリカ援助費と見合うものであり、担保ではないけれども、それと同じような性格を持つておるものであるから、家賃もとらなければならぬし、またその返済についても嚴重なる條件をつけなければならぬと、こう言う。ところが国鉄その他に対しては、くれてやつてしまう。これはどういうわけで、そういう差がつくのでありますか。一方ではくれてやつてしまつて、一方においては、とほうもない條件をつける。また一方においては、いやでもおうでも家賃を取立てなければ返せぬということになつている。こういうことになることがわからない。
  98. 河野一之

    河野(一)政府委員 見返り資金性格につきまして、いろいろの御疑点から、そういうようなお話が出るかと考えるのであります。けさほども小峯さんの御質問に対して御答弁申し上げたのでありますが、アメリカからの援助というものは、これは確かに債務であります。それによつて出て来た見返り貸金というものは、これは日本のものであります。ただその間における因果関係がございまするので、使用について御承知のようないろいろ制限があるわけであります。法律的に申しますれば、はつきり日本のものでございますし、これに担保がついておるとか、そういうことはないのであります。この使い方につきまして、あるいは出資で行く、あるいは貸付金で行くというようなことがございますが、国鉄あるいは電気通信事業、それから国有林野、こういうようなものは、これは同じ政府の部内でありますから、これを貸付金にするというのは適当であるまい。出資といたしまして、それだけを見返り資金から出資して、やり切りということが適当であるというふうに考えたのであります。
  99. 川上貫一

    川上委員 そうすれば、そのことについてもう一つだけ聞いておきますが、この国鉄に交付する金は、これきり、見返資金特別会計としてはきつぱり縁が切れて、無條件でくれてやつてしまう、交付してしまう、何の條件もなし、あとは何の関係もない、こういうことになるのでありますか。
  100. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは法律で出しております通り、現在何ら制限を受けておりません。
  101. 川上貫一

    川上委員 現在の制限を言つておるのではありません。見返り資金性格というものが、たびたび大蔵大臣が御答弁になるような性格でありまして、この見返り資金が四十億国鉄に入るのであります。そうすれば、この入つたことについて、今後は一言も、見返り資金から入つておるのだという理由からは、絶対に何も言わぬのか、言うのかという点であります。もうこれはくれつぱなしで、やつてしまうのか。何もあとくされが一つもないのかという点です。
  102. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金から出たことがはつきりいたしておりますので、現在のところはそのままにいたしたいと考えておりますが、将来問題は全然ないかという御質問に対しましては、はつきりお答えはできません。
  103. 川上貫一

    川上委員 それが問題なんです。そういう形で、再評価一兆三千億にもなろうという国鉄の資産に対して、その半額が見返り資金による資金として、八十九億のうち四十億まで入るのであります。そうしてこれに見合うところの資産を再評価すれば、一兆三千億になる。そうすると、この一兆三千億の半分に相当するほどのものが、見返り資金関係として押えられるのである。くれてやつてしまうのではないというのだから、どういうひもが今後つくかわからぬ。しかもこれは、今後半年で拂うものやら、取返されるものやら、くれてやつてしまうものやら地先にどうなるかわかりもせぬものを、この大事な国鉄の一兆三千億になんなんとする再評価資産に対して、わけのわからぬものを、ひものついた形でくれてやる。こんなことをしておつたら、国鉄は一体どこのものになるやら、わけがわからぬ。この点については一体どうなんですか。
  104. 池田勇人

    池田国務大臣 国鉄の資産が、今度出資しました四十価円の倍しかないというお考えは、たいへんな誤りだと考えております。数字的に御検討願いたいと考えます。私は国鉄の市場価格は数百億円に上つておると考えております。しこうして再評価して八千億円になるかどうかは問題でありますが、大体それぐらいな金額ではないかと思つております。しこうして、その際四十億円を見返り資金から出したから、八千億とか、あるいは一兆三千億円の半分を見返り資金が支配しておる。こういうことには相ならぬと思います。ここに一つの百万円の会社がありまして、これを再評価すると二千万円になる。その会社が四十万円借金したから、二千万円の資産に対して、四十万円の債権者が、その四割をどうこう言う問題はないと私は考ます。
  105. 川上貫一

    川上委員 だから、借入金ならけつこうなんです。借入金でない交付金として、資金として入る。四十億借りたのならば、四十億返しさえすれば、わけはない。四十九億あるところに四十億の資金として入るのです。それだから八千億に、四十億に相当するものが資金として入つて来る。その資金に見合うものは資産です。大蔵大臣は三百代言のように、四十億円抑えばいいと言われますが、借入金でないのです。ここのところか一体どうなるか。私は大臣答弁で、くれてやつてしまうものかと思つたのですが、ところがそうではない。これからどういう條件がつくかわからないという意味の御答弁、それでは非常に不安ではありませんか。
  106. 池田勇人

    池田国務大臣 出資としておるのであります。借入金ではもちろんありません。前年度の百五十億円につきましては、利子を拂うことになつて借入金になつておりますが、今後は出資ということにいたしておるのであります。私は今のところは拂わなくてもいいことと考えておりますか、将来の問題をあなたが言われますと、将来の問題について、絶対に拂うことはこんりんざいないというふうなことは私は申し上げられぬ、こういうのであります。
  107. 川上貫一

    川上委員 その将来のことが、償還期限もわからぬし、どういう條件をつけて来られるかわからないし、またそれにどういうふうな形で拂うのか、もらつてしまうのか、それもわからないし、さつぱりわからぬ形で、四十九億の資金のところにちようどそれと同じくらいの額の四十億の見返り資金、それが出資として入る。そしてそれにどういう條件がつくか、将来のことはわからぬということで、国鉄の危險はありませんか。これを私は言うのです。そうして見返り資金の自主性について問うと、日本政府だけの自主性ではない。国会にこれをとりもどすお考えはありませんかというと、それはないというような意味の御答弁、そういたしますともこの四十億には永久にひもがつくことになる。しかもそれが国鉄の資金の約半分になる。しかもこの国鉄の資金に見合うところの資産は、一兆三十億円というのです。ここに問題があると私は言うておる。これを大蔵大臣は、こういうようなわけもわからぬようなことで投資しておいて、そうして国鉄が不安でないとお考えになりますか。
  108. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の四十九億という数字は、ちよつと私には了解に苦しむ次第でありますが、それはさておきまして、ただいまのところでは見返り資金から出資いたしたのであります。私は見返り資金の方へ返そうという気持は拂つていないのです。もし将来万が一どうこうという問題がありました場合には、国会の承認を得ることにいたします。
  109. 川上貫一

    川上委員 大蔵大臣が返そうという考えを持つておらぬ。それで事が済むような見返り資金なら事は簡単なんだ。そうなつておらぬじやありませんかということを、繰返して私は聞いておるのです。見返り資金運用については、自分でやつてしまうようなことを言われるかと思うと、すぐにほかのことをお出しになる。これは非常に危険なんです。しかしこれ以上押し問答をしてもむだであると思いますから、私ははなはだこれは危険であるということを申し上げておいて、この項に関する質問を打切ります。  次にちよつとお聞きしますが、銀行等の債券発行等に関する法律案というのが出ておりますが、この法律案の裏づけをなすところの見返り資金使い方について、具体的な案をお示し願いたい。
  110. 池田勇人

    池田国務大臣 大体今私が考えておりますことは、日本興業銀行、日本勧業銀行、農林中金、商工中金、北海道拓殖銀行等に、それぞれ適当な見返り資金からの出資をいたしまして、それを元にしまして長期債券の発行を計画いたしておるのであります。幾ら出すか、しかもどの銀行ということは、まだはつきりきまつておりません。ただ私の今のもくろみであるのであります。
  111. 川上貫一

    川上委員 その件については、承りますところによりますと、その筋から指示があつて、デイス・インフレの建前から逸脱する案には、賛成できないというような意味合いで、この証券対策を含めた案には、はなはだ難色があると私ども聞いております。新聞の記事にも、一万田総裁の談として、現在金融機関の増資株引受けが困難だと伝えられている。場合によつては予定額を削られるかもしれないというようなことも出ているのでありますが、こういういきさつはどうなつておりますか、お聞かせを願いたい。
  112. 池田勇人

    池田国務大臣 一万田日銀総裁は、このことには關與していないと私は考えております。私かただいま折衝をいたしているのであります。この折衝の経過につきましては、ただいま申し上げる段階に至つておりません。
  113. 川上貫一

    川上委員 折衝がまだ終つておらぬというように承ります。この折衝が非常に困難な状態になつておられるのじやないかと、陰ながら御心配申し上げているのでありますが、それについて吉理総理大臣も、当面の摩擦を少くして乘り切らなければならぬから、長期政権を維持しなければならぬから、そのためには政策の再検討もしなければならぬだろう。そういうことで、いろいろお考えになつているようでありますが、ちよつとお聞きしたいことは、世間で言つておりますいわゆるドツジ・ラインというものがありますか、これについて政府の方では御考慮なさつているのではないか。こう考えるのでありますが、その点についてお考えをお聞かせ願いたい。
  114. 池田勇人

    池田国務大臣 世間でドツジ・ラインの修正ということを言つておられるようでありますが、私はドツジ・ラインというものについて誤解があるのではないかと考えております。どういうものをドツジ・ラインとして世間で見ておられるのか。これは相当幅のあるものでございまして、ドツジ氏の考え方、並びにわれわれといたしましても、経済界の情勢に即応いたしまして、最も適当な方策をとりたいという考えで進んでいるのであります。
  115. 川上貫一

    川上委員 ひようたんでなまずを押えたような答弁でありますが、そうするとこの銀行等の債券発行等に関する法律案、これの裏づけとしては約五十二億の予定ができているということは、たびたび新聞にも書かれており、予定としては確かなところだと思うのでありますが、これについて大蔵大臣は間違いないという自信がありますか。
  116. 池田勇人

    池田国務大臣 私は見返り資金から銀行に出します金を、五十二億円と発表したことも何もないのであります。しこうして私がどの金額を考えているかということは、先ほども申し上げましたように、ただいま申し上げる段階に至つておりません。
  117. 川上貫一

    川上委員 そういう逃げ方だろうと思うのでありますが、しかしこれはこの予算委員会で、だだ言い拔けをするようなことで納まる問題でないと思うのです。聞くところによると、これはなかなか困難ではないかというように私は承つておりますから、あえて質問しているのであります。これができないということになれば、政府の設備資金計画、一般資金計画というものはくずれるのであります。そういたしますと、これは容易なことではないと私は思う。世間はこう言つております。これが非常に暗礁に乗つて、たいへんなことになる。そこでゼスチユアを使うために、池田大蔵大臣アメリカに行かなければならぬのだ、こういうことを世間では言うておるという話であります。本日の毎日新聞にも「自立策を打診、池田蔵相渡米の目的」と出ております。ほかの新聞にも出ております。これは国民全体が政府のこの政策遂行に対して、不安を持つておる現われであつて、明確な答弁がありませんから、確実なことはわからぬにいたしましても、新聞、雑誌その他財界人等が、この銀行等の債券発行等に関する法律案、これに伴うところの計画、証券対策というようなものが、政府のお考え通りは行かなくなつて来たのだということを考えておる。これについて大蔵大臣が、ここでそういうことは絶対にないか、ありそうなのか。このことを国民の疑惑を解くために、明らかにされる必要があると思う。これをお聞きします。
  118. 池田勇人

    池田国務大臣 私は見返り資金並びに銀行等が増資によりまして、資本金をふやし、長期債券の発行の元をなすことが、日本経済再建に必要であるという確信を持つておる。しこうしてこの確信のもとに折衝を続けておりますので、あなたのお話のように、非常に悲観すべき状態だとか何とかいうことは、私は考えておりません。それから今数字が述べられておりましたが、私は数字のいかんにかかわらず、とにかく徐々にでも出して、そして長期債券発行の礎をなすという政策は、実行せられるものと信じております。
  119. 川上貫一

    川上委員 ここでは、今のようなはなはだ不適当な答弁ではありますが、適当な答弁ができましよう。実際の状態は、ここでの答弁で解決するものではないと私は思うのです。これは非常に重大な問題であつて大臣ははなはだ自信があるように申されましたから私はこれを覚えておきますが、なおこれについて今もせつかく折衝中であるとか、努力しておるとか言われますが、そういう間に日本はどういうことになりおるか。せつかくやつておる間にどうか。たとえば山梨県なんかでは、中小企業の機業家が全部今閉鎖しております。これは工場を開く見通しはもうありません。県下全部です。破産、倒産、まくらを並べております。大阪では中小企業と商店が連日のように、工場と店をしめて、税金を負けてもらいたいという運動を展開しております。大阪で商店が店をしめて、税金の苛酷なことを訴えた歴史はいまだかつてありません。一家心中の記事が続続として新聞に載つておる。農民は食糧の輸入で大動揺しております。労働者は御承知の通りです。政府の方では安定というようなことを、しきりに施政演説その他でも言われましたが、事態はかくのごとき状態になつている。そしてこの銀行等の債券発行等に関する法律案は出ておりますが、この裏づけをする見返り資金の問題について、せつかく折衝中である。まだ金額を言う段取りになつておらぬと言うておるが、この間に一体日本はどうなりおるのか。これで安閑としておれるのか。もしもこういうことがだんだんと行われぬようになつて――今の大蔵大臣の御答弁では、心配はない、悲観する必要はないと申されますけれども、その予定の通りに行かず、設備資金計画、一般資金計画もくずれるというような形になりますならば、一体日本はどうなるのか。この日本経済、あるいは人民の生活はどうなるのか。この点についてどうも私は、大蔵大臣、吉田内閣全体が、はなはだ責任を持つておられないと思う。こうして、たとえば中小企業に対しては、ああいうようなやり方をしておりながら、五十二億という見返り資金住宅建築に使う。こういう計画を、まことにけつこうだと思うからやつたという大蔵大臣の御答弁であります。これは決して日本の全体の――産業家をも含めての国民は、納得しないだろうと私は思います。
  120. 植原悦二郎

    植原委員長 川上君、質問ですか、討論ですか。
  121. 川上貫一

    川上委員 それでお聞きいたしまが、中小企業資金を十二億出すことになつておりましたのが、少し増されたということでありますが、この中小企業に出されるのが一―三月に三億円である。それが三月の終りころに一穂も実際は出ておりませんのに、大蔵大臣は、住宅の建築には見返り資金を五十二億もお使いになつて中小企業の倒れて行く、まことに悲惨な状態に対しては、十二億ないし十五億ぐらい出しておいて、しかもそれが三月の末の現在においても、一億も実際は出ておらぬというような状態に対して、大蔵大臣兼通商産業大臣として、これは適当だとお考えになりますかどうですか。
  122. 池田勇人

    池田国務大臣 経済界の円滑なる進展のあらゆる努力を拂つておるのでありますが、今お話の織物業者に対しましても、特に最高二十億を目途といたしまして、融資をやつておるのであります。なおお話見返り資金から中小企業に設備資金を出しますのは、一月からスタートいたしまして、ただいままでに相当出ておるのであります。何分にも銀行と半々で行く関係がありますのと、スタートして、初め事務の慣れなかつた関係上、一月、二月では五千七百万円しか出ておりませんでしたが、今月になりまして相当出まして、一昨日現在で二億円を突破いたしました。すなわち十五、六日の間に一億四、五千万円出たのであります。申込みは全体で三億四千万円まで申込んで来ておりますが、承認いたしましたのは三億六千万円でございます。私は三月末までには、予定の三億円が全部出て行く見通しをつけておるのであります。そういたしますと、三月で二億五千万円程度出ることに相なるわけでありまして、この情勢からいたしますと、四、五、六の二十五年の第一・四半期におきましては、三億円は不十分でありますので、五億ないし六億にいたしたいと今考えまして、計画を進めているのであります。慣れて参りますと、これはどんどんふえて行くと思いますし、非常に効果的だと考えておりますので、月一億円という金額でなしに、これをできるだけふやしたい。しかもこれは半額でございますから、地方の普通銀行がこれに参加いたしますると倍額になりますから、月に三億、あるいはできれば四億ぐらいこの方から出したい、こういう計画を立てておるのであります。また中小企業につきましては、見返り資金のみならず、別わく融資その他いろいろ手を使いまして、金融の疏通をはかつている状況であるのであります。
  123. 植原悦二郎

    植原委員長 川上君、あなたにかなり時間の余裕を與えてありますが、まだありますか。
  124. 川上貫一

    川上委員 あります。
  125. 植原悦二郎

    植原委員長 質問ならば、どうか討論をしないで、單刀直入に質問をしていただくことをお願い申し上げます。
  126. 川上貫一

    川上委員 單刀直入に質問いたします。
  127. 植原悦二郎

    植原委員長 もし討論的ならば、委員長が御注意申して、その質問を中止いたしますから、それだけ御承知願いたい。
  128. 川上貫一

    川上委員 中小企業の今の見返り資金その他資金の問題については、大蔵大臣が喋々御答弁になりましたが、私の聞いたことは、二千戸の住宅に五十二億使うのでありますが、全国の中小企業に対して三億や五億出して、これでバランスがとれると思うかという点を聞いたのであります。問題は三億や五億の問題じやありません。その例に山梨県における機業家の全倒壊の傾向などを述べたのであります。中小企業に対して多くすると言われますが、一体どのくらいなさるつもりでありますか。
  129. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金ばかりが中小企業のあれではないのであります。日銀の別わく融資とか、あるいは預金部資金とか、政府資金の一時預託等を勘案して考えなければならないと思うのでありますが、ただいまのところは月一億円というのを、一億五千万円あるいは二億円にいたしたいと思つておるのであります。情勢によつてはもつとふやしてもさしつかえないし、自分としてはもつとふやしたいという考えを持つております。
  130. 川上貫一

    川上委員 私はその額の問題と同時に、二千戸に対して五十二億という金額と、全国の中小企業に対して一億や二億の金というので、これがバランスだと思いますかということを聞いたのであります。これでは御答弁になりません。  それでは次に、引揚者、戰災者の住宅が現在までにどのくらいできたか。また本年中に幾らできる計画になつておるか。これは数字だけでけつこうでありますからお知らせ願いたい。
  131. 池田勇人

    池田国務大臣 明年度の公共事業費では、引揚者住宅に対しまして五億円予定をいたしておつたかと思います。今年度におきましてもある程度見込んでおつたと思うのでありますが、正確な数字は記憶いたしません。
  132. 川上貫一

    川上委員 中小企業に対して月一億や三億、戰災者、引揚者等の住宅に対して五億、二千戸の住宅に対しては五十二億、私はどうしてもこれではバランスがとれぬと思います。大蔵大臣が自分の考えで適当だと言われましたがゆえに、私はあえてこれを問うておるのであります。  それでは私はついでに聞きますが、通商産業大臣のあなたのおられます官舎は、竹田宮の邸宅になつておりますが、あれは一体家賃幾らでありますか。
  133. 池田勇人

    池田国務大臣 私は今記憶がないのでございます。一度聞いたことがあるのでありますが、忘れましたから、また別の機会にお答えいたします。
  134. 植原悦二郎

    植原委員長 川上貫一君、あなたはこの案に直接関係ないことを長々と御質問になりますけれども……
  135. 川上貫一

    川上委員 住宅問題に関係がある。
  136. 植原悦二郎

    植原委員長 住宅問題でも、委員長はさように考えません。あなたにはかなりの時間の余裕を與えておりますから、どうかそのおつもりで御質問願いたいということです。
  137. 川上貫一

    川上委員 それなら初めから時間を割当てたらよい。時間の制限はないのだ。
  138. 植原悦二郎

    植原委員長 委員長は時間でも発言でも、委員会の問題は委員長の権限で自由に左右することができます。委員長に権限があります。
  139. 川上貫一

    川上委員 そうでない。質問の内容に関して権限はない。時間を制限するなら制限すればいい。今後二十分なら二十分やれという権限があるなら言いなさい。
  140. 植原悦二郎

    植原委員長 それではあなたに五分しか與えません。
  141. 川上貫一

    川上委員 この法案の質問に対しては、私にはあと五分しか與えないと言うのですか。この法案に対しては、これが十日続いても十五日続いても、私には五分しか與えないというのですか。
  142. 植原悦二郎

    植原委員長 そうです。今日は五分しか與えません。     〔「一体議会の運営ということはわかつているのか、勉強して来い」と呼び、その他発言する者あり〕
  143. 川上貫一

    川上委員 勉強して来ているのだ。
  144. 植原悦二郎

    植原委員長 委員長の命令に従わなければ、委員長は適宜に処置いたします。あなたには五分だけ今日これから質問を許すだけです。
  145. 川上貫一

    川上委員 委員長が私の質問に対して、いかなる理由かわかりませんが、五分間より質問の時間を與えないという、まことに横暴な命令をして来ました。私は私の発言が誤つているのでもなければ、また委員会の規則を破つているのでもないと思う。また私の質問に何時間を許すということを、委員長は言われておつたわけでもない。ところがこの質問をいたしております間に、君の質問はなかなか長かいら、あと五分間より許さないということを言われた。これは私は了解することができない。なぜこういうことを私は言われなければならないか……
  146. 植原悦二郎

    植原委員長 あなたはそれに対して委員長答弁を求めるのですか。どういうことですか。
  147. 川上貫一

    川上委員 委員長答弁を求めます。
  148. 植原悦二郎

    植原委員長 一定の時間に一定の法案を処理することが、国会における委員会の規定であります。従つて委員はなるべく全委員質問のできるように御同様に注意いたして、そこに提案されている問題になるべく直接関係のある質問に限るというのが、委員会のこれまでの慣例であります。しかるにあなたの御質問には、質問にあらずして、討論のような意味を持つているものもずいぶんあります。質疑の前提において相当の意見を述べることはこれを許します。しかしながらあなたの質疑はその前提の言葉でありません。むしろそれよりも討論の場合において述べることが多いのであります。それのみならず、あなたはすでに一時間半くらいな時間をあなたお一人で使つております。この予算につきましても、一人の委員が一時間牛使うということは、ほとんどあり得ないことであります。ことに党の議員数に比例いたしまして、今までのように時間を割当てるならば、共産党に割当てる時間は、かなり制限されておると思います。にもかかわらず、その他の大きな党は、こういう問題でありますから、なるべく時間を制限しないで、よりよいチヤンスを少数党に與えた方がよかろうという了解のもとに、委員長は議事を進行して参つたのであります。それゆえにあなたに御注意申しました。委員長は時間を制限する権能があるとか、ないとか言いますけれども委員長委員をすべて処理するところの権能を與えられております。そうして各自がその有するところの時間を有効に使つて、公平に議事が進行されることを七委員長は希望するのであります。それゆえにあなたが、今日すでに一時間以上もお使いになつて、そうして委員長の判断によりますれば、この案の直接の質問というよりは、しいて関連したと言えば、関連のりくつもつきましようけれども、常識では関連質問であると判断のできないような範囲まで、あなたが拡張なさるがゆえに、委員長は注意したのであります。それでも委員長が権限がないとおつしやるならば、委員長は、委員長の有する権限において、あなたの発言を制限するよりほか、いたし方がないのであります。
  149. 川上貫一

    川上委員 討論の注意をされたときには、私はすぐ、それでは簡単に質問いたしますと答えております。また時間の問題でしたら、委員長は今までの例においても、あまり時間を一人で長くとるから讓つてはどうかとか、あるいはそのくらいにしておいてはどうかとか、いつもそういう取扱いをして来られておる。今日の委員会の質問については、時間の制限はなかつたのでありますし、なお理事会においても割当をしておらぬのであります。そこで私は、時間の制限はないはずだということを申し上げたのであります。委員長がもし正当にこれを考えて行かれるならば、あまり一人で長くやつておるから、このくらいにして打ち切つたらどうであろうかと言えば、それでも私は打ち切らないというのではない。ところが討論をするからいかぬ、あるいは関連に藉口して何でもないものをするからいかぬ、だから質問をとめる、あと五分間よりやらせない。これは私は不法だと思う。私はいくら委員長が言われても、それでも私はどうしても三時間やる、こういうことを言うた覚えはない。ただ委員長が、君のやることは討論だから注意します。君は関連せぬことを言うておるからいかぬと言うので、これは関連しておるのでありますと、私は言つておる。そうしてこの委員会は、初めから申合せで、私の質問時間には制限はなかつたのでありますということを主張しておる。ところが委員長は、さようなことを言えば、もう五分間で質問を禁止するとおつしやる。これは私は不法だと思う。どうしてこういうことが言えるであろうか。もし私が共産党でなくて與党であつたら、決してかくのごときことを言わないに相違ない。こういうことを言うのは、委員長はいたずらに発言をとめ、しかも委員長の権限を振りまわして、君には五分しか與えないというようなことを言う。これは私はきわめて穏当でないと思うので、これはお取消しを願いたい。
  150. 植原悦二郎

    植原委員長 お答えをいたします。よく速記を見なければわかりませんけれども、あなたに最後二つ質問を許す前に、あなたの質問は討論じみておつて質問が少いから、單刀直入にして下さい、こう言いました。それからその次に私は、あなたの質問はこの問題からはなはだ遠いところの質問である、しいてこれを関連したと言えば、関連したようにもなるけれども、あなたに委員長は発言の機会をかなり寛大に取扱つてありますから、と申しました。それでもあなたは、委員長はさようなことをかれこれ言う権能もなし、時間を制限する権能もないと言つたから、それはあります、もしあなたがそういうことをおつしやるならば、委員長は今日は五分以上あなたに継続して質問を許しませんと申し上げた。こういう行きがかりですから、あなたの今おつしやることとかなり違うのです。委員長はあなたに注意いたすべきは注意いたし、あなたになるべく質問を許すべきは許して取扱つて来たわけで、横暴だとかむりだとか言うのは、あなたの方がよほどむりです。公の方がみなお聞きになつて、常識で判断したならば、あなたのおつしやることの方が、委員長の横暴よりもよほどむりなので、時間を引延ばさんがために、質問をせんがために質問をしておるという判断すらもほかの人には與えられておると思います。
  151. 川上貫一

    川上委員 これは委員長と言い争いをするのが目的じやありませんが、どつちが常識かということになりますれば、私が非常識だと言われるが、私は委員長も非常識だと思う。君には五分間しか時間を與えぬということを言う。これは実際の委員会の今までの運営から言うても、権能を振りまわして、初めから時間の約束もないのに、君には五分間しか與えないというのは、この方が私は非常識だと思う、しかしこれについてここで言い争つていてもしかたがない。私は質問をしさえすればいいのだが、今日は五分間より與えないということは、これは念を押してあるのでありますが、私の質問を明日にまわしまして、本日はこれにて私の質問を打切ります。
  152. 植原悦二郎

    植原委員長 明日は午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五分散会