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世耕委員 私は簡單に三点ほど
総理にお尋ねいたしたいと思うのであります。幸いにここに山口国務大臣もおいでにな
つておりますから、先般来私が本
委員会で取上げました金塊の問題について結末をつけたいと思います。
最初本
委員会でお尋ねいたしましたときに、
大蔵大臣はそういう話は聞いておらぬから知らぬという御返事であ
つたのであります。それでは理財局長にお尋ねしたいからというので、
政府委員を呼び出して聞きましたところ、東京湾で引揚げた物資は二億三千万円、かように説明されたのであります。そこで私は二億三千万円あ
つたという話だが、われわれの
調査によると、数百億に上る金額と
考えておる。大体その品質は何かと聞いたところ、それは銀だ、こういうような御
答弁をされたのであります。私の手元に参
つておる書類によると、それは白金であり、金である。非常な食い違いがあ
つた。だからもし銀であるとするならば、その銀であるということの証明をあなたが立会
つて見たのかというと、それは知らぬ、こういう話であ
つた。それでははなはだ心もとないではないかと言うて別れて、さらに精査をお願いいたしましたところ、一昨日でありましたか
大蔵大臣からの
答弁によりますと、金塊が五億円、銀塊が二十億円、しかもオランダの掠奪物資であるというので、すでに引渡し済みだ、こういう御説明があ
つたのであります。ところが賠償庁の報告書を三月末現在で調べてみますと、掠奪物資として返還したものが金塊で約千キログラム、銀塊で二十四万七千キログラム。こうな
つております。そうするとこの間にまた
一つの食い違いが出て来ることになるわけであります。私はなぜかようなことをしつこくお尋ねするかという理由を一言述べておきたいが、われわれが今日の
日本人として掠奪物資があるとするならば、いち早くこれを見つけてその本国にお返しするということが、国際道義を高揚する上において必要である。かように
考えてわれわれはこれまでそういう
関係の人々を指導して来たのであります。しかしながらはたしてそれが掠奪物資であるか、あるいはその金額がどの程度であるかということをはつきりつかんでおくことも、われわれ国
会議員としての義務ではないか、かように
考えますので、これはこの機会にあえて国務大臣から御
答弁を願おうとも、
総理から御返事願おうとも思いません。ただ注意を御喚起申し上げて、今後かくのごとき非難の起らないように、善処していただきたいという一点を申し述べておきたいのであります。
次に第二点に申し上げたいのは、過般来法務府において細胞活動をしたという
関係から、十三名が懲戒処分に付せられたということが
新聞報道で出て、名前までも発表されております。われわれが細胞活動について多年経験した常識から見ましても、法務府、検察庁にかくのごとき事例がある以上、おそらく各省にわた
つても、あるいはさらに国警、地警に至
つても、この細胞
関係が
相当伸びておるのではないかという感を深くするものであります。この
意味において、私はこの際非日活動
委員会というのは
言葉の上ではどうかと思いますが、いわゆる国会と
政府との間に、かくのごとき細胞組織がはたして組織的に行われておるかどうか、国家の基礎を危うくするような活動かあるかないかということを、この機会に徹底的に
調査しておくことが、
国策運営の上に必要ではないかと、かように
考えるのであります。この点に関して
総理の御
意見を承りたい。
もう一点、最後にお尋ねしたいことは、いわゆる講和條件の問題であります。平和條件と降伏條件は、はつきり区別してわれわれは
考えなくてはならぬことだと思う。すなわちサレンダー・タームスとピース・タームス、この二つははつきり区別して
考えなくてはならない。すでに降伏條件は、われわれは過去に属して、今日は平和條件に向
つてその
完成を期しつつあるとかように
考えておる。この
意味から見まして、すでに新しく憲法を樹立して、民主国家としての体面もりつぱに維持することができ、大政党としての存立もここに明らかになり、
吉田内閣の存在もまた確然とな
つておる今日から見まして、われわれはすでに全面講和し得る態勢が整
つておるということを、世界に発表して少しもさしつかえないのではないか。卑近な例を申しますれば、いまだ内職治まらざる中華民国においてすら、十数国の国家がすでに独立国として承認しておるではないか。今日大西洋憲章並びにポツダム宣言の意義から見ましても、当然
日本が世界の外交に乗り出し得る態勢が整
つておるということを、私は天下に発表してさしつかえなく、また同時に講和問題を世界に要求して、少しも恥じないのではないかという観念を深く持
つておるのであります。この点にかんがみまして、
総理はどういうお
考えを持
つておられるか。もしこのままにしてなお
日本の講和が遅れることがありとするならば、われわれの理論をして推し進めたならば、むしろ講和の遅延は連合国側にありという結論を示さざるを得ないのではないか、私はかように
考えておるのでありますが、この点について、
総理はどういうお
考えをお持ちにな
つておられるか、この点をお尋ねしておきたいと思うのであります。