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1950-03-02 第7回国会 衆議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 池田正之輔君 理事 尾崎 末吉君    理事 上林山榮吉君 理事 小峯 柳多君    理事 圖司 安正君 理事 苫米地英俊君    理事 勝間田清一君 理事 川崎 秀二君    理事 川上 貫一君 理事 今井  耕君       淺香 忠雄君    天野 公義君       井手 光治君    江花  靜君      岡村利右衞門君    奧村又十郎君       角田 幸吉君    北澤 直吉君       小金 義照君    小坂善太郎君       坂田 道太君    高橋  等君       田中 啓一君    中村 幸八君       永井 英修君    西村 英一君       松本 一郎君    南  好雄君       山村新治郎君    北村徳太郎君       中曽根康弘君    山本 利壽君       林  百郎君    深澤 義守君       米原  昶君    平川 篤雄君       松本六太郎君    世耕 弘一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣         通商産業大臣  池田 勇人君         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治庁次長 荻田  保君         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         国税庁長官   高橋  衞君         通商産業政務         次官      宮幡  靖君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計予算  昭和二十五年度特別会計予算  昭和二十五年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  理事諸君の御協議によりまして、午前中は休憩いたし、午後一時より開会いたします。  これにて休憩いたします。     午前十時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  3. 植原悦二郎

    植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  理事諸君の御協議に基きまして、これより税制問題を中心として質疑に入ることにいたします。通告順によりまして発言を許可いたします。小峯柳多君。
  4. 小峯柳多

    小峯委員 同僚各委員から税制を中心とする質問が行われておりますが、その前ぶれとしまして二、三大蔵大臣所信をただしたいと思います。  最初は事務的な問題でありますが、私ども予算審議を各位と一緒に非常に真劍にやつて参りまして、順調に進んで参つたと承知しておるのでありますが、税法の出方が非常に鈍いのであります。国税の中でもまだ全部そろつていないようなことになつておりますが、最初国税法の中で未提出になつております相続税資産評価税はいつごろ提出されるお見込みであるか、議事の進め方にも関連がありますので伺つておきたいと思います。それから平衡交付金地方税の問題であります。この問題も議事審議に間接ではありますが、関係が深いものでありますから、大蔵大臣自治庁担当国務大臣からこの法案提出のお見込みを伺いたいと存じます。
  5. 池田勇人

    池田国務大臣 税法関係が一部未提出になりまして、御審議支障を来しておりますことは、まことに申訳ないことと考えております。御承知の未提出になつております資産評価税は厖大な條文になりまして、関係方面との話合いはずつと前に済んでおるのでございますが、なお向うでまだ審議されておるよう状況であります。見通しといたしましては、三日までには来るだろうという考えを持つて進んでおるのであります。われわれといたしましても、こういう状態では御審議支障がありますので、常に督促をしておるよう状態であります。ただいまのところ、あすには来ると考えております。なおきよう向うに参りまして督促することに相なつております。
  6. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金法につきましては、政府で成案を得まして司令部承認を得べく折衝中でありますが、その間ほとんど未解決の問題はなく、ただ事務的な進行をはかつておる状態でありまして、本日中にも承認を得まして明日中には提案いたしたい、それに最初に立てておりました見込みに今日のところ変化はないと考えておりますので、これはすみやかに提案できると思います。地方税法につきましては何分広汎な根本的な改革でありまして、その骨子をなしておりますのが府県税附加価値税市町村税市町村民税固定資産税でありますが、この三つの税法につきまして、税率倍数等の点について、まだ最後的に決定を見るに至つておらないのであります。この点連日司令部との折衝努力をいたしておる次第でありますが、その他の点については事務的にも個別準備が整つておりますので、これが明後日くらいのところで結論に到達いたしますれば、十日前後には提案できるものと考えております。
  7. 小峯柳多

    小峯委員 どうか政府側予算審議進行を御希望なさるならば、その努力を一段と積極的に続けていただくことを要望いたします。  次に少し問題の角度が違いますが、本日の各新聞紙上に報道されました大蔵大臣談話について所信を承りたいと存じます。私どもはこの大臣談話を拜見いたしまして、わが党の大蔵大臣であるあなたにしましては、あまりにも親の心子知らずということを痛感いたしましたので、御性格の強い大臣であるし、また非常に自信も強い方でありますから、あるいは言い方がきつくなつている点で、真意が伝わつていない点もあるのではないかという気もいたしますので、その点で率直な大臣の御答弁をいただきたいと思います。  記事は各紙によりましてその取上げ方が多少違つているよう考えますが、内容は共通いたしまして、国家財政を建直すという基本政策のためには、中小企業者の五人や十人が倒産しても、自殺しても、いたしかたがないという文句があります。それからいま一つは、今は企業整理期であるから、多少の問題はあつても、そのため財政政策をかえるべきでないと言い切つておられます。この内容についてなのでありますが、三月の危機説は、あるいはこれは私どもがら見ますと、形式的な言い方かとも考えます。しかし現在の税金の旋風ときつい金詰まりのために、中少企業が非常に困難な状態にあつて、わが国の経済を再建するためには、通過しなければならない関門でありましても、その関門を通過いたしますのに、非常な難儀をしておりますことは、これは明らかなるところであろうと考えます。従つてそういう中小企業者に対する大臣談話としては、国の経済を再建するというその行き方のためには、通らなければならない関門であるから、いましばらくがまんしてもらいたい、いましぼらくしんぼうし、てもらいたいと、情理兼ね備わつた激励があつてしかるべきだと考えるのであります。ところが新聞紙面に現われましたことは、そういう激励でもなく、あるいは同情でもなく、今私が申し上げたような、まことに辛辣な言葉なのであります。私ども與党でありまして、あなたとは一緒になつて政策もやつてつているのでありますが、国民の代表といたしまして、もしこの新聞に現われたようなことが、事実その通りのあなたのお腹からであるとしまずれば、これは與党としても默過することはできない。かような立場に立ちまして、内容を突き進んでお伺いしたいのであります。  財政を安定させ、通貨を安定させて、それから他の経済の安定をはかるという、いわゆるドツジ・ラインにつきましては、私どもも異論はありませんし、またこれは通らなければならない関門だと考えております。しかし今までの予算総会で、いろいろ議論を申し上げたように、財政の安定、通貨の安定を確保いたしますために、その他の面にいろいろのしわ寄せ犠牲を招来していることは明らかなのであります。すなわちきつい税金とあるいは強い金詰まりに、そのしわ寄せが行つておりますことは、しばしば私ども指摘した通りなのであります。しかるにその強行徴税も、あるいはまた金詰まりも、特に中小企業に対するしわ寄せがきつい点も、これはほとんど皆さんの一致した見解のようであります。そういう中にありまして、いましばらくのしんぼうだ、今苦しくても先に明るさがあるならば、中小企業者もこれを耐えて、がまんをしてくれると思います。そういう意味激励が必要だと思いますし、おそらく大臣はそういうことを腹の中にお持ちだつたのかとは存じますが、非常に多忙の中にあつたせいもありまして、言葉が足りなかつたことと私は考えるのであります。でありますから、国家財政を建直すためには、どうしても必要なのだ、そのためにしわ寄せ犠牲が行くことはいたしかたないむしろこれは心を鬼にして大臣は見ているのだ、これを通らなければならない関門であるから、もう少ししんぼうしてくれ、もう少しがんばつてくれ——しかし御承知ように、長い間のインフレ統制経済という、まことに非能率な経済のおかげで、かなり企業の中には、実はあかのついた企業もあります。健全な勤勉な日本の産、業として、戰前の産業の行き方と違つたものがありまして、こういう割合にふまじめな——もちろん一部でしよう——人たちに対するふるい落しは、自由主義経済原則からいつて、ある程度やむを得ないと思うのであります。そういう意味のことをおつしやつたのでありますが、平素強い大臣の信念からいたしまして、こういうふうな言葉になつたのだと思います。ただ五人や十人が倒産しても、自殺してもいたしかたないというのは、これは少し言い過ぎのように思いますし、あなたの真意は正しく伝わつていないようにも考えるのであります。その点の御所信を明らかにしていただきたいと思います。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 私の気持は今小峯委員のおつしやつた通りでございます。五人や十人が倒産してもしかたがない、こういう意味は、中にインフレになれて当然落伍しなければならない人があるかもわからない、そういう人は倒産することがあるだろう、と言つているのであります。しかし私は日本経済を建て直すために、御存じの強力な措置をとつてつているのであります。しかしその強力な措置は、国民経済全般にへまた個々の人に向つても、できるだけやわらかく行くように、みんなしてこの難関を突破できるように、日夜努力いたしているのであります。金詰まりの問題にいたしましても、政府に金がありますれば、これをできるだけ早く民間に流すように、また税金の問題にいたしましても、この国民経済状況十分頭に入れて、苛察に渡らないように、取過ぎは絶対にないように、どちらかというと、取足らぬくらいがいいのじやないかというようなことを、内々で指示している状況であるのであります。私といたしまして、一人の倒産者、一人の自殺者も絶対に望んでいない。できるだけそういうことのないように、日夜努力いたしている次第であるのであります。しこうして全体につきましても、来年度予算は相当復興予算でありますので、ここしばらくがまんしていただけば、直接需要もふえて参りますし、明るい日本ができて来る。この難関は十月までだろうかというような話がありましたが、なるべく早くこれを通り抜けたいということを話しておつたのでありますが、何と申しましても表現の仕方が惡かつたのか、ああいうふうに出たのでありますが、あれは私の真意ではない。ほんとうはとにかく一人の倒産者自殺者もないように、日夜努力しているのが、私の真情であるのであります。
  9. 小峯柳多

    小峯委員 御答弁をいただきましたが、あなたもおつしやつておりますように、言葉づかいは、事大蔵大臣になりますと、また場合が場合でありますだけに、非常に響きが大きいのでありますから、言葉を今後十分気をつけられんことを特に要望いたす次第であります。  また記事の後段に、今は企業整理期であるから、多少の問題はあつても、その財政政策をかえるべきではないとおつしやつております。この点はいわゆるドツジ・ラインでありますればまことに同感であります。私は少くともそれに続きまして、しかし財政基本政策はかえないが、金融に関しては許される範囲で大いに努力をして、中小企業金融難も緩和するつもりだということを、明確に言い切つてほしかつたのであります。これはちようちん持ちではありませんが、最近あなたも非常に金融に熱心になられて、特に中小企業金融の問題も、非常に積極的におやりくださつていることを私ども承知いたしておりますが、しかるがゆえに非常に謙遜で御遠慮なさつたのかもしれませんが、やつていることはいいことをやつているのでありますから、ただきびしいことだけを言わずに、そのくらいの政治的な考慮ができませんと、大臣としては少々困るような感じもいたします。そういう意味金融政策は、基本政策をかえなくても積極的にやり得る余地があるのでありますから、たとえば別わく融資の問題とか、預金部資金を無盡や信用組合に配るとか、あるいは手形の決済の問題なんかにしても、特段の考慮をしてくれていることは承知しております。この機会にそういう点にも触れて、新聞記事の現われ方があなたの真意でなかつたということを、明確に重ねて御答弁を願いたいと考えるあけであります。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 小峯委員お話通りに、私は財政政策はかえないが、金融についてはできるだけ考慮を拂つている、こういうことは申したのであります。一例を申しますと、一昨日きまりました政府預金を百億円出す問題でも、特に取上げまして、今までの考え方ようやり方では十分円滑に行かない。大銀行は金が余つているよう状況だから、大銀行は少くして、まず無盡あるいは信用組合の方に先に出す、また見返り資金から出資を予定いたしておりますところの興銀、勧銀、商工中金、農林中金、それからその次に地方に出す。大銀行はコール市場に出ておるから政府預金をするのを少くするようにするという話もしたのでありますが、これは新聞には載つていないのであります。そこである新聞に、事務当局がおれの言うことを聞かぬというようなことが載つておりますが、これは聞かぬというのではなしに、私の所に持つて来た案が今までのような安易なやり方だから、実情に沿わぬから、こういうやり方じやいかないというので、今かえさせたところだという話をしたのでありますが、これは單に事務当局自分真意が十分わからなかつたというのと、大蔵大臣の言うことを聞かぬと言つたように載つたりしております。金融につきまして金詰まりが重大な問題でございますから、この話は新聞記者との会見のときにいたしたのでありますが、載らなかつたというだけのことでございます。
  11. 小峯柳多

    小峯委員 中小企業の問題が非常にやかましいときにきよう談話でありましたので、全国の中小企業者は、大蔵大臣池田というやつは鬼みたいなやつだと考えたかもしれない。しかし今のお話で大体趣旨は了解いたしました。しかしその趣旨をどうか全省に及ぼしていただきまして、われわれの党の政策とも完全にマツチされて、むずかしい時期でありますが、再建のためにどうかこの難関を乘り切るように、一段の努力を要望いたしまして、私の質問を終ります。
  12. 植原悦二郎

    植原委員長 ただいまの小峯君の質疑に関連いたしまして、勝間田君外数名の諸君より質疑をいたしたいとの申出があります。順次これを許します。勝間田清一君。
  13. 勝間田清一

    勝間田委員 池田大蔵大臣から各新聞紙上にたいへん重大な経済見通しについての発言があつたのでありますが、この問題は單に池田大蔵大臣個人考えだけでなしに、いみじくも民主自由党政策はつきりわかると思うのであります。その意味でこれをはつきりとこの際関連して質問させていただきたいと存じます。池田大蔵大臣は各新聞一様に見られます通りに、税金が苦しくて自殺するようなら、おれのところに相談に来たらいいだろう。加算税が苦しかつたら、銀行から金を借りて拂つたらいいだろう、それができないならば、差押えてもらえばいいじやないか。こういう態度をとつてお話になつていらつしやいます。これは私たち農村や、中小企業者から見て、まつたく無慈悲な考え方と存じます。私は民主自由党政策及び池田大蔵大臣政策を見ておりまして、非常に税金が過当にとられておるということを痛感いたしておつたのであります。特に最近の状態は、各税務署が所得におきましては去年の二倍ないし三倍の所得内示案を示しまして、それに合わなければどんどん更正決定を出すというかつこうで、きわめて苛烈な税金のとり方をいたしておるのであります。この前の補正予算のときに二百十三億の自然増収見積つて、しかも最近の状態を見れば、少くとも最小限度五十億ないし百億の剩余金が生れて来るとさえ言われておるのでありまして、池田大蔵大臣税法通り徴収すると言うけれども、実際は非常な苛酷な徴税が行われておることを私は見ざるを得ないのであります。こういうように国会で税率をきめたり、予算をきめたりする以上に、行政上において非常な重税を課しておいて、そこで自殺する者があれば、おれのところへ来い、加算税が苦しければ銀行から借りるなり差押えてもらえ、こういうのでは、私は政治が逆だと思うのでありまして、この点に対する池田大蔵大臣のお考えをまず第一に承りたいと存じます。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 まず自然増収お話がございましたから、これについてお答え申し上げます。御承知通り補正予算法人税あるいは酒税あるいは勤労所得税につきまして自然増収が見込まれますので、二百十三億の補正をいたしたのでありますが、別に申告納税すなわち中小商工業者あるいは農業者を主体といたします申告納税につきましては、千九百億円の予算を千七百億円に減らしたのであります。しこうしてその後の状況を見ますと、法人税酒税勤労所得税には相当の自然増収が見込まれますが、中小企業を根幹といたします申告納税は、赤が出る予想になつております。どれだけ出るかははつきりいたしませんが、私は赤が出てもやむを得ない、こういう考えで今税務行政をやるように指示いたしておるのであります。決して予算以上に問題の中小商工業者農業者に対しまして出て来るとは全然考えておりません。これは赤が出るのではないか、赤が出てもやむを得ないという気持でおるのであります。  それから次に、きのう新聞記者との会談で、税金のことで自殺する者が続出するということでありますが、税法には特定の救済手段があるのでありまして、そんなに思い詰めて税金を苦しく考えている方があるならば、私は時間の許す限り会つて、いろいろのお話を申し上げてみるということは申しました。そうするとある人が、何百人と来るだろうと言うから、自分一人で時間が足りなければ、ほかの人にかわつて会わしてもいい、税務官吏が相当あるのですから……。こういうことを言つたのであります。しかもまた税金が納められなくて、追徴税その他いろいろなものが多くなると困る、こういう話がありましたから、追徴税加算税はなかなか酷な税金で、来年度からはこれを非常に軽減する考えでおるのでありますが、差押えずにおきますと加算税、追徴税がかかるのであります。差押えておけば免除する規定になつておりますから、そういうことも考えに入れたらいいだろう、こういう気持で私は言つておるのであります。
  15. 勝間田清一

    勝間田委員 税金に対して銀行から金を借りたらいいだろうと言われておりますが、これが真実であるとするならば、一体この融資をするお考えでありますか。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 一昨年までは金融考え方といたしまして、税金金融は排除すべきだという方針でやつたのでありますが、昨年からは税金金融も大いにやるべしという考え方にかわつております。従いまして、その意味から私は納税資金の貸付も認めるようになる、この意味を申し上げておるのであります。
  17. 勝間田清一

    勝間田委員 差押えすれば加算税が云々ということを言われましたけれども、これは中小企業者や農民の方々の気持とは、大よそかけ離れた政治だろうと私は存じます。差押えをしてそういうことをのがれるという政治以前において解決するという政策をとることの方に、重点を置くのが当然だと私は考えるのでありまして、その点は言葉の行き違いかも存じませんけれども、私はまことに遺憾に存ずるものであります。  それからもう一つ重要な問題は、中小企業に対しで非常に冷淡なように見受けるのであります。特に金詰まりなり倒産なりが、企業者責任であるかのごとくに報道されておるのであります。これは従来の答弁から見て、確かにそういうお考えを持つてやられておるという直感を私は持つのであります。中小企業一つの試練に立たなければならぬことはよくわかりますけれども、これがはたして中小企業責任であるかどうかという問題については、私は池田大蔵大臣とは逆な考えを持つものであります。特に最近の中小企業倒産状態について非常に楽観的でありますけれども、たとえば今度の東京都の調査でも、これは二月から九月までの統計でありますけれども、三十人未満のものが百三十件、百人未満のものが百五十一件、しかも最近では二百人未満工場でも百四十七件という数字を出しておるのでありまして、中小工場がいかに軒並に倒れておるかということは明らかであります。しかも従来の傾向から行きますと、企業縮小するという傾向は現われておりましたけれども、閉鎖という傾向は若干それにあとからついておつたように思います。しかしながら最近では縮小が四割で倒産が六割という状態になつておるのでありまして、こういつた倒産状態縮小状態に追い込んでおつて、はたして経営者責任であるとなすりつけておつていいのか、私はこれをきわめて重要視しなければならないと存じます。しかも中小企業のこういつた困難なことに対しまして、池田大蔵大臣は、従来いろいろの金融政策をとつておると言われますけれども、従来の金融政策の中で、われわれはとかく銀行の独裁的な、あるいは中小企業に対しては無慈悲な態度を指摘して参つたのでありますが、時あたかも今度の対日理事会におきまして、英国の大使が、御存じ通り八大銀行は新財閥結成のおそれがあるので、これを至急調べてみろということを出しております。日本銀行の八割はこの大きな八つの銀行が占めておる。そうして旧財閥復興、新財閥結成ということがそこに現われておると思うのであります。一面においては金融のそういう形が出ており、他面においてはそういう金融に無慈悲に倒されておる中小企業状況を見まして、この問題について池田大蔵大臣は一体どう処置されて行かれんとしておられるのか、私はこの点をまずお尋ねしたいと存じます。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 八大金融機関の問題につきましては、私はまだ聞いておりませんのでお答え申し上げるわけに参りませんが、今の中小企業に対する金融につきましては、極力努力をいたしておるのであります。先ほど小峯委員の御質問に対してお答えしましたように、政府資金を出します場合におきましても、できるだけ早く中小企業の方に行くような面にたくさん出し、中小企業の方へ行きにくい面には少くする、こういうふうな方針をとつておるのであります。最近通産大臣を兼任いたしましたために、向うにおける中小企業長期資金の問題につきまして相当な調査が進んでおりますので、さつそくこの調査に基いて各銀行長期資金を出すよう金融機関に話をいたしまして、できるだけ見返り資金を活用するとか、あるいは今度の政府資金を一時的に使うとか、特に中小企業金融について努力いたしておる次第であるのであります。  なお金詰まりの原因は企業者側にあるということは、これは企業者側にもなきにしもあらずという意味であるのであります。もちろん銀行が将来の見通しがつかぬので、貸し澁りということもございます。しかしまた一面におきましては企業者側にもその責任のある場合もあると言つたのであります。
  19. 植原悦二郎

    植原委員長 この場合念のために勝間田君に御注意申し上げます。今勝間田君に発言をお許ししているのは関連質問であります。財政上の御質問として八大銀行に対する金融の問題を御質問なさるのは別な機会に願いたい、これと関連はいたしておらぬのであります。勝間田御存じのことと思いますけれども、どうかつとめて関連する事項にのみ限られるよう、念のために御注意を喚起したいと思います。
  20. 勝間田清一

    勝間田委員 それならばもう少し問題を狭めて参りますが、ダンピングを非常に楽観されて、問もなくこれは終るだろうというよう考えを持つていらつしやるようでありますが、私はこのダンピングというものが、いかに現在農家の人やあるいは労働者のいわゆる消費の非常な縮小、そういう面にあえてさらにタンピングを加えて、しかも最近では政府は公団手持ちの滯貨をここで一掃されようとしておられる。私は現在のダンピングというものは、きわめて憂うべき結果を引起すものと考えるのであります。いかにも池田大蔵大臣は先安になるからこれを目がけてのダンピングであると結論しておるようでありますけれども、私はそれのみにとどまらずに、もつと深刻なところからダンピングが出ておると考えるのであります。しかもこの際に政府がまた滯貨を一掃しようとする政策をとられるようでございますから、これは民主自由党及び池田大蔵大臣考えていらつしやる中小企業をここで、一掃させて行こう、企業整備を暴力的に遂行して行こうとする一端ではないかとかように私は考えるのでありまして、この問題について池田大蔵大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  21. 池田勇人

    池田国務大臣 滯貨をなるべく少くする、ことに公団の滯貨につきまして、早急に処理するよう関係方面からのメモランダムも来ておるのでありますが、これを早急に処理いたして参りますと、お話よう経済界に非常な惡影響も予想されますので、私といたしまして適時適当な方法でやつて行きたいと実は考えておるのであります。何もこの際どんどん滯貨を吐き出してしまつて中小企業の方々に御迷惑のかかるようなことはなるべく避けたい。これは兼ね合いの問題でございまして、滯貨を処理するということも一つの方法でありますが、それが過ぎて経済界に惡影響を及ぼすことは、これはまた望ましくないことで、適時適当の措置をとつて行きたいと考えてやつているわけであります。
  22. 勝間田清一

    勝間田委員 なおこの発表によりまして、池田大蔵大臣は昨年の十二月の生産指数が相当上つたということを言われておりますが、これはどういう意味でこういうような生産指数が上つたとお考えになりますか、その点をお述べ願いたいと思います。
  23. 池田勇人

    池田国務大臣 これは経済安定本部の調査でございまして、十一月の状態は、ここでも議論になりましたように、安定本部の方は相当上昇しておるが、ESSすなわち関係方面の統計では上昇していないというのが議論になつたのであります。しかしそれは十一月のことでございます。十二月は両者とも急激な生産増を来しておるのでございます。これは電気の関係、その他やはりできるだけ能率を上げて行こうという国民努力の現われだと私は考えております。
  24. 勝間田清一

    勝間田委員 これは例年現われる一つ傾向と見てよろしゆうございましようか。この点についてはいかがですか。
  25. 池田勇人

    池田国務大臣 例年現われる傾向もやはり季節的にはございましようが、私は国民全体に生産意欲が上つて来た結果だと考えておるのであります。
  26. 勝間田清一

    勝間田委員 この生産はいわゆる正常な意味において需要がふえて、こういつた生産が上つているのではなくて、先ほどあなたのお言葉通り、あるいは能率を上げてみよう、あるいは採算をとつてようという、早く言えば出血生産に近い形でこの生産が上つて来ておる。こういうように私ども考えるのでありますが、池田大蔵大臣はいかにお考えになりますか。
  27. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう方面もあるかもわかりませんが、出血生産という言葉がよくわかりませんが、とにかく能率を上げて行こうという考え方から出ておると思うのであります。従いまして、生産と滯貨の問題が兼ね合いになるのでありますが、滯貨につきましては、前月に比べまして相当減少したこともあるのでございます。両者を合せますと、非常に良好だと考えておりまする
  28. 勝間田清一

    勝間田委員 ところがそういうよう池田大蔵大臣が言われる反面において、現在の金融状態を見ておりますと、たとえば日銀のあつせんなりについて見ましても、固定設備に対する資本投下は、一月にわずか七億程度にしかなつておらない。その反面に流通的な面が非常に多くなつて来ておるしかもその中では、関係筋その他いろいろな方面から言いますれば、滯貨金融が約一千億になつており、日本金融の約六分の一にもなつておるということを言われておる現在の金融が、はつきりそういう裏面を物語つておるように、この生産増というものは、決してノーマルな意味においての生産発展ではない。むしろ滯貨をも覚悟しての生産の上昇にすぎなくて、決して楽観材料になつておらない。こういうふうに私は考えるのでございますが、池田大蔵大臣はいかにお考えになりますか。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 私は楽観も悲観もいたしておるのではありません。とにかく事実が証明しておるのでありまして、滯貨につきましても、相当の品目について減少しておるのであります。それは喜ばしい現象だと考えております。
  30. 勝間田清一

    勝間田委員 池田大蔵大臣が以上のような、いろいろの面ついてのきわめて無慈悲な楽観的な言を吐いており、しかもその下の欄には、日銀総裁が、これは財政のデフレが金融にしわを寄せている結果から生じたことである。こういうことを言われておるのでありまして、日銀総裁と池田大蔵大臣考え方は、そこに大きな食い違いがあるように私は見受けるのでありまして、私どもも現在の財政のしわを一切金融に寄せて行くが、その金融に寄せられたものは、一般国民の窮乏と倒産とによつて、それは消化せられずに、からまわりしていると私たちは考えるのであります。そういう過程における中小企業倒産あるいは税金の滯納等等は、経済安定とは、大よそ意味の違つたものである。こういうよう考えるものでありますが、この点をお尋ねいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りに、私の談話の下に日銀総裁の談話が載つており、御不審があつたと思いますが、日銀総裁も私も、何も違つた見解を持つておりません。私は経済安定の一つ関門として越えなければならないいばらの道であるという、この考え方は一万田総裁も同じであるのであります。しこうして財政のしわが金融に寄つておるということも一部には認められますので、今の財政の余裕金を極力民間に流すよう努力しておることは、勝間田君も御承知のことと考えております。
  32. 勝間田清一

    勝間田委員 もう一つお尋ねしたいと思いますが、最近は預金部資金とか見返り勘定とかいうものを短期の資金なり、あるいはときにはたとえば証券融資なり、ある場合においては預金なりをいたしまして、非常にノーマルでない方面にずいぶん使つて行く傾向が強いと思います。むしろ預金部資金、あるいは見返り資金等のものは、長期設備資金なり、あるいは農業の資金なり、あるいは中小企業資金、あるいは地方債の引受というものに、当然行くべきであると私は考えるのでありますけれども、それが現在は非常な邪道に向けられて融資されておることを認めざるを得ないのでありまして、こういう傾向は私は、金融そのものが行き詰まつておることを意味するものであるし、むりをして大蔵大臣はそこにつじつまを合せようとすることが、結果から出て来ておると考えまして、この点に関し、池田大蔵大臣は、はたしてこういう融資をどうお考えになつていらつしやるか、この点についてお尋ね申したいと思います。
  33. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金から短期の資金は出ておりません。二月末で一千二百億円の見返り資金のうち、九百億円、正確に申しますと八百九十数億円でございますが、大体九百億円を復金債の償還、あるいは鉄道、電通への貸付金、そしてまた一般の私企業長期資金に出しておるのであります。しこうして三百億円の今の余りの分は、今月中に相当部分使う予定にいたしておりまして、決して短期の方に向つていないのであります。預金部の金は従来地方債の引受を主眼といたしておりますが、公団金融には出すことにいたしておるのであります。従いましてただいまにおきましても、公団金融のために百五十億円を予定いたしておりまして、これが動き始めております。ただ問題になりますのは、昨年末預金部から百億円出しましたのが、これが長期になつたり短期になつたりいたしますが、これは何分にも今予定しております興銀あるいは勧銀、農中、商工中金の長期資金の先走りとしてやつておるのでございまして、議会で御審議をいただきまして興銀、勧銀等が見返り資金の支出によつて債券を発行した場合においてこれに乘り移る、いわゆる長期資金の前ぶれのものと私は考えておるのでありまして、決して預金部が短期資金を出して邪道に入つておるとは思つておりません。
  34. 勝間田清一

    勝間田委員 今百五十億と言われたのは貿易公団かと私は思います。貿易公団の百五十億円というのは滯貨金融ではありませんか。いわゆる預金部資金から出ておるのは……。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 出すことにいたしておりますが、まだ十分にまわつておりません。これは一部滯貨の分もございますが、それ以上に一般の会社が貿易公団につきましての未拂金がありますので、これによつて未拂金を整理しようとする金であるのであります。しかしこれはずつとまわりまして、早く返ることになると考えます。
  36. 植原悦二郎

    植原委員長 上林山榮吉君。
  37. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私は與党の立場からではありますが、野党の諸君とはもちろん違つた立場において、大蔵大臣である池田君に、率直に質問をいたしてみたいのであります。  まず先ほどの小峯君の、質問に対して、新聞に報道されておるものの中に、言い足りないものもあり、言つたことを全然発表されていないものもある、こういう答弁をされたのでありますが、それならば大体において有力な新聞に書かれておることを言うたのは事実であるかどうか。この点を私はまずお尋ねしたいのであります。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 私の新聞記者会見におきまして、新聞に載つておることが話題になつたことはその通りであります。
  39. 上林山榮吉

    ○上林山委員 新聞記事に載つておるその内容は、記者団会見において言われたことが書かれておる、この点はお認めになつたようでありますが、それであるならば、その中で中小企業者の問題あるいはこれに関連する金詰まりの問題、あるいは税金攻勢による関連の問題、それから来るものとして、いわゆる中には倒産する者があり、中には自殺する者があつてもやむを得ない、こう誤解を與えるようなことを言つたことは事実であるかどうか、この点を伺いたい。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 倒産する者があり、自殺する者があることはまことに遺憾であるけれども、こういう事実は認めざるを得ないということを申し上げたのであります。
  41. 上林山榮吉

    ○上林山委員 そこで私は大蔵大臣にお尋ねいたしたいのは、あなたは官僚の御出身であられますが、議員になられてから、政党政治に対して相当御努力をされておることもわかるのでありますが、一体政党内閣についてどういう見解を持つておられるか(笑声)この点を私はお尋ねいたしたい。これは決して笑い事ではない。少くとも政党政治というものがどういう感覚を持ち、具体的事実に直面してどういう行動をとらなければならぬかということは、大よそ事務的な官僚的な政治感覚とは私は違わなければならぬと思う。もしあなたの言つておる真意というものが誤り伝えられておるとするならば、ここに反省をすべきものではなかろうか。国民に間違いなく伝え得るということは、政党内閣あるいは政党政治というものをどういうふうに身につけるかということによつて、私はそこに考えなければならぬポイントがあると思つているのでありますが、自分の党の大蔵大臣に対して私がこう申し上げることは、われわれは相協力して健全な政党内閣をつくり、健全な政党政治を推進したいという一途から申し上げておるのでありまして、決して單なる皮肉ではない、單なる攻撃ではないのであります。でありますから、私はこれに対して池田大蔵大臣の所見を伺つておきたいのであります。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 政党政治は旧民を基本とするものでございまして、われわれといたしましては、事態をはつきり国民に認識していただき、了解を得るような方向で行かなければならぬと考えております。
  43. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私は大蔵大臣がただいま言葉の上において、国民に理解され、しかも正当に理解され、お互いが納得した上に立つた政治をやつて行かなければならぬ、そういう御見解であるならば、新聞記者会見において、わが党が国民に誤解を受けるよう——野党の諸君からただいまも質問がありましたが、わが党の性格そのものである、こう言うに至つて、われわれは共同の責任を負つておる立場として、しかも中小企業の問題、あるいは農村の恐慌の問題、あるいは減税の問題について政府努力をしておることについては、心から共鳴をしておるのであるが、これが取立ての方法、あるいは地方税へのしわ寄せ、こういうような問題については、さらに政府と協力してこれが是正をはかりて行かなければならない、このときに、私は国民に誤解を受けるような、野党に攻撃の機会を與えるような言論は、この際大いに愼んでもらいたいと考えます。いろいろ申し上げたい点もありますが、そういう意味において私は大蔵大臣に反省を希望いたしたいのであります。
  44. 植原悦二郎

    植原委員長 川崎秀二君。
  45. 川崎秀二

    ○川崎委員 本日の朝刊紙上を見まして、国民はぼう然といたしましたでありましようし、また税金の重圧や、業績の不振のために、苦境にあえいでおるところの中小企業者は、おそらく怒りに燃えたものと私は考えるのであります。全部の紙上を見まして、ほとんど同一の言葉が投げられておりますので、これはもはやあやまちではないと私は思うのであります。たとえば毎日新聞のごときは、中小企業の問題について新聞記者団が蔵相に投じた第一の質問に対して、「五人や十人の業者が倒産し、自殺してもそれはやむを得まい、ドツジ・ラインという大きな政策転換の前にはいたしかたがない、」それから下の方に参りまして、「じたばたする人間が少くて済むように、いろいろな施策をやつて行かなければならないと思う」というような驚くべき言葉を使つておる。さらには読売新聞の紙上では、「五人や十人倒産し自殺しても、国民全体の数から見れば大したことはない、」という驚くべき発言をいたしておるのであります。私は一体大蔵大臣は、人命の尊重ということについて、どういうお考えを持つておられるのか、(笑声)こういう基本的な考え方からただして行かなければならぬ、実に愚劣な質問さえしなければならぬのである。これは笑い事ではありません。この発言は戰争中における大隊長、中隊長というような軍部の将校が、兵隊の戰死して行くのを、これは戰闘のためにやむを得ない犠牲者だ、どんどん死んで行つても、そのかわりに戰果が大きければいいといつたよう発言と、ほぼ同様のものと考えるのであります。従いましてこの発言の底に流れておる蔵相の考え方は、ちようどその政策が冷酷無情なるところの極端なる緊縮政策であると同様に、思想の根底において、憲法の精神に沿うところの人権の尊重ということを軽視しておる、安定政策のためには人命の犠牲もやむを得ない、こういう考え方が私は流れておるのではないかと思い、実はけさの新聞を見まして、ぞつとした一人であります。まことにこれは吸血鬼というか、先ほど来新聞の紙面を見ておつて、だんだんこれは殺人鬼に似て来るような印象を私は受けておる次第である。そこでこの際特にお伺いいたしたいことは、ドツジ・ラインを強行する、安定政策を強行することのためには、多少の犠牲もやむを得なしといたしますると、そこには最低生活の保障というラインが私はくずれて来ると思います。この政策が続く限りは、新憲法でうたつたところの最低生活の保障、基本的人権の尊重という線が破れるのではないか、それでもなおかつこの政策を続けて行かれる御所信であるか、その点をお伺いいたしたい。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 政治の要諦は、国民万民がその堵に安んずることにあるのであります。しかしこういう敗戰の状況から申しまして、私はその目的に向つて推進いたしておるのでありますが、中には不況のために破産する方々等がある事実は認めざるを得ないのであります。これはまことに遺憾であるけれども、やむを得ないことだ、われわれはこれを絶無にするよう努力しなければならぬということを私は言つておるのであります。しかしてじたばたする人が少くなれば早く治まるということは、やはり商売人というものは先の見通しを非常に想像いたしまして、投売りしたり、苦境に陷るような結果をもたらす場合もありますので、やはり気を休んじてこの難関を相ともに過して行きたい、こういうことを言つたつもりであります。
  47. 川崎秀二

    ○川崎委員 先ほど勝間田君と蔵相の質問応答を聞いておりますと、その質問応答の中にきわめて注目すべき項がありました。それは日銀の一万田総裁が、中小企業の危機ありということを言つているのに対しまして、大蔵大臣自分考え方と一万田総裁の考え方は違つておらないというような御発言であつた。どうして違つておらないか。本日の時事新報の紙上によると、一万田総裁は中小企業の危機を指摘してこういうよう言い方をしております。「インフレ経済からデフレの切りかえで、経済施策の不合理な点が、秋ごろまでに全面的に産業界に現われるだろう、たとえば中小企業について見れば、インフレ時代に濫立の傾向があり、また国内市場を目当てにした生産を続けたことが危機を招いているが、これに対する対策は何も立つていない、インフレ経済の落し子たる滯貨をめぐつてインフレの決算期に近づくにつれて物価の下落、市場の狹隘、労働問題など不合理な点が徐々に表面化するから、これらに対する施策を急がねば金融はつかない」というふうに指摘しております。そこできようの蔵相の談話を見ても、また先ほど来のお話を聞いておつても、中小企業一つの形式的な危機がないということは認められておるが、しかしながら十月ころまでには中小企業の整理がつく。中小企業の苦しい時期はその期間である。その期間には倒産する者もできるし、人命を落す者もあろうがというようなことを予想いたしているのであるから、私は大蔵大臣はある意味において、危機を瀰漫的に認めているのではなかろうかというよう考える。そういう点では一万田総裁とあなたの考え方はまつたく一致していると思いますが、そういうお考え方で一致しているというのですか。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 インフレ経済統制経済から安定経済へ行きます場合において、ある程度の摩擦が起るということはたびたび申しおるのでります。しかして滯貨の問題もございますし、とにかくいばらの道をしばらく歩かねばならぬということを私は考えておるのでありますが、そういう考え方は一万田君も持つていると思い、一万田総裁と私の考え方は違つていないというお答えをいたしたのであります。
  49. 川崎秀二

    ○川崎委員 ただいま私が指摘した点はどうですか。瀰漫的危機があるということをあなたは認めておられませんか。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 瀰漫的危機と申しますと……。
  51. 川崎秀二

    ○川崎委員 十月までには中小企業の整理をしなければならぬ、その間において倒産もあれば、人命を失うこともあるだろうということは、明らかに中小企業の危機ということを認めた発言だろうと思う。この意味においては一万田総裁の考え方と同じであろうと思うけれども、それはどうだろうかということを聞いておるのです。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 私は危機とは認めておりません。いわゆる整理過程の一段階であると思つておるのであります。しかしてこういう変革期のときでありますから、われわれはそういうことのないよう努力いたしておりますが、中に倒産するごとき方たちがありますのも、これはいたしかたがないことで、われわれとしてはそういうことがないよう努力している、これが私の考え方であります。しかして一万田総裁も私の考え方とかわつていないということは、たびたび会見いたしておりますので、違いはないと私は申し上げておるのであります。
  53. 川崎秀二

    ○川崎委員 大蔵大臣は毎日登院されたり、大蔵省へ行かれたりするのに、自動車を乘りまわしておられるから、中小企業の危機ということについての深刻な実際面に触れられることは少いのではないかと思う。机の上で、あるいは自動車の中で考えておることと現状とは、非常に背馳をいたしております。このごろ満員電車の中や汽車の中で耳に入つて来る会話のほとんどすべてが、中小企業の危機、中小企業金詰まりということについてかわされております。終戰後一時は、これらの会話は食糧問題に集中されておつたが、最近かわされる会話は、ことごとく中小企業の危機や金詰まりについてである、大蔵大臣はもつと深刻に事態を認識してもらわなければならぬと思うのであります。先ほど預金部資金の運用について、勝間田君に対して御答弁がありましたが、預金部資金の運用については、先般もこの予算委員会で御質問を申し上げましたが、このような金はなるべく大衆に還元する、大衆のために投資をするというふうだ使われて行くことが、最も適切であろうと思います。そこで預金部資金を使うことの計画については、すでに参議院あたりで議員の質問に対して御答弁はあつたのでありますが、十二月に百億出した以外の金を、一体今後どういうふうに、どういう時期に融資をして行くつもりであるか、またその融資をするところの先は、どういう銀行にするのか、この点について明快な御答弁を願いたいと思う。  それからついでにもう一点お伺いをいたしておきたいのでありますが、現在の危期の様相からして、やはり一つ中小企業金融公庫というようなものをつくつてやることの方が望ましいのではないか、その方が適実にこれを救済する目安がつくのではないかと考えるのでありますが、将来そういうものを設ける気持はないかどうか、この点について明快な御答弁を煩わしたいと思います。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りに、自動車に乘つて歩いておりますが、私といたしましては、できるだけ民間の実情を聞くように、いろいろな人と機会をつくつて会つておる次第であります。及ばざるところはますます努力いたしまして、とにかく民間の実情を十分知るよう努力いたしたいと考えておりまする  次に預金部資金の運用についてでありますが、先ほど答えましたように、預金部資金はただいまのところ千五、六百億円ございます。六百数十億円を国債に、また六百数十億円——ほとんど同額を地方債に、また余つた金は糧券その他に運用いたしておるのでありますが、今後の預金部資金の使い方といたしましては、勧銀、興銀、あるいは北拓、農林中金、商工中金、こういうものが金融債を出しますので、来年度におきましては四百億近い地方債を引受けますと同時に、金融債を引受けて一般の金融に充てたいと考えておるのであります。しかして中小商工金融公庫というようなものをつくつてはどうかという御意見のようでございますが、新たに公庫をつくりましても、実際に動くときは遅れたり、支障があるのが今までの例であるのであります。従いまして、お話中小商工金融公庫というようなものよりも、現在あります商工中央金庫、あるいは農林中央金庫というものの債券の発行によつて資金を集めて、そういうものを活用して行くのが適当ではないかと考えております。
  55. 川崎秀二

    ○川崎委員 最後にもう一点お尋ねいたしたいのでありますが、中小企業の崩壊を食いとめるということの政策の根本には、第一には政府の出資によるところの融資、それから第二には、どうしても協同組合というものをもつと活発に組織をして、そうしてこれを育成して行くより方法はないと思うのですが、最近の相次ぐ協同組合の解散問題、たとえば新潟県では、新しい協同組合法によるところの協同組合の届出は、一月末現在で百二十九組合、すなわち既存組合に対して四分の一の数字である。また東京でも六割六分というような低率である。しかして最近においては、協同組合無用論さえ一部においては行われておる。政府は一体この協同組合の育成、助長ということに対して、今後どういう適切な手を打つて行くのか。この点について明快なる御答弁を煩わします。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 政府方針といたしましては、事業協同組合、信用協同組合の二つにわけまして、助成をいたしおるのであります。しかしなかなかこういう制度がマツチする地方もございますし、受入れられない地方もあるのでありますが、相当に予算を計上いたしまして協同組合の発達に努力いたしでおるのであります。なお中小商工金融につきましては、信用協同組合の育成をはかると同時に、今までの一県一行主義を改めまして、地方にも小銀行を設置するようにいたしておるのであります。設立の認可はまだ出ておりませんが、なるべく早い機会になるべくたくさんそういうものができるように、努力をいたしておる状況でございます。
  57. 川崎秀二

    ○川崎委員 大蔵大臣通産大臣を兼ねられてから約二週間目であるが、昨日の中小企業に対する発言内容については、国民の受けた印象はなかなか消え去りにくいと思うのであります。従いましてこれはひとり予算委員会だけの問題でなしに、国会のあらゆる面において政治問題化して来る問題だと思います。本日は中小企業に関連しての質問でありますが、私は大蔵大臣の今後の態度に対して、十分に自戒あらんことを警告いたして、私の質問を終ります。
  58. 植原悦二郎

    植原委員長 林百郎君。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 私は本日発表になりました各新聞掲載にかかわります池田大蔵大臣の所見なるものを読みまして、実に愕然としたのであります。おそらくこの記事を読みまして、日本全国の中小企業者は、池田大蔵大臣に対し限りなき憤懣を感ずると思うのであります。私はこの全国の中小企業者の声を代表して、ここであなたにお聞きしたいと思うのでありますが、まず本日の新聞紙に出ております整理の転換期は、いつころになつたら目星がつくかという問いに対して、十月まではかからぬだろう、じたばたする者が少いようにやる、新年度の予算によつて政府関係だけでも大きな需要が出るし、じたばたはそれほどひどくならずに整理され、残るものは残るだろうと言われておりますが、じたばたというのはどういう意味か。あなたが使われたかどうか。また使つたとしたらどういう意味か。これをまずお聞きしたい。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 じたばたという言葉は使いました。これは通常語ではないかもしれませんが、われわれの国の方ではそういうことを言つております。意味は、非常に先安とかあるいは不安を感じまして、投げ売をしたり、あるいは普通の経済行為でないようなことをやる場合をさしておるのであります。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵大臣はどういう気持でお使いになつたか知りませんが、世間でいうじたばたというのは、人の首を締めて苦しがつて死んで行くのを笑つて見ている心理状態であります。従つて私は池田大蔵大臣の精神状態は、変態的異常者であるというふうに解釈する。業者がじたばた倒れて行くのを平気で見ているというのが、池田大蔵大臣政策であると考えざるを得ない。それが具体的にそこに出ておるのであります。  銀行が貸し出す気持にならぬ最大の原因はどこにあるかという問いに対して、いろいろ説明して、金詰まり責任経営者にあるということを言つておるのであります。金詰まり責任経営者にありとしててんとして恥じないようでありますが、この点について池田大蔵大臣の御回答を求めます。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 じたばたというのをそういうふうにお使いになるのは、あなたのごかつてでございますが、私はそういうつもりで言つていないのであります。これは広島へ行つてお調べになつたらわかると思います。  次に金詰まり責任経営者にあり——経営者のみにあると私は言つたわけではございません。この問題は先ほどの御質問に対しても答えましたように、銀行の貸し澁りもございましよう。しかしまた経営者側の方におきましても、採算その他の点からいつて銀行が貸し澁るような信用状態にある場合もあるという一面を言つただけのことであります。
  63. 植原悦二郎

    植原委員長 林君、御熱心に御質問なさるのはよろしゆうございますが、再び委員長を煩わして言葉の取消しやなんかを出さないように、念のため御注意申し上げますから、なるたけ言語をお愼みくださることをお願いいたします。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 言語を愼むというのは、大蔵大臣の方こそ言語を愼んでもらいたいと思うのであります。そこで先ほどから大蔵大臣答弁を聞いておりますと、金詰まり責任はまつたく金融業者と、また金融業者が投資のできるよう状態に置かないところの経営者にあると言われた。ところが問題は「銀行が安心して投資をすることができるよう企業状態に置かない、いわゆる中小企業者をどんどん整理して行くという、この吉田内閣の池田財政こそが最高の責任である。ところがあなたはそれに対して、まつたく責任銀行が安心して貸出しのできるよう企業状態、合理的な企業をしておらない企業者にあると言つて、現政府は全然この金詰まり責任がないようにのがれておるのでありますが、この点についてあなたは全然自分自身の責任を感じないのかどうか、この点をお聞きしたい。
  65. 池田勇人

    池田国務大臣 政党責任内閣でありますから、政治につきましての責任は全部持つていることは当然でございます。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたが責任を感じられるならば、その次の問題として、部下を責めるわけではないが、事務当局が私について来ない、事務当局自分ほど事態を認識していないようだという重大な発言をしておるのであります。こういう発言をしたかどうか。まずこれからお聞きしたい。
  67. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどお答えした通りであります。今政府の金を百億円流す場合におきまして、実は自分はこういうふうに考えておるのであります。今まで通り預金に比例して出すということは事態に沿わぬ、従つて銀行の預金額に比例して出すようなことはするな、これがなぜわからぬかということを、ちよう新聞記者と会う前に事務当局に指示したものでありますから、そういうようなことを言つたのであります。私といたしましては、とにかく今の経済情勢を十分事務当局にも認識してもらつて、私が一言言えばさつとそれが流れるようにしたいということを念願しておるものであるのでありますが、たまたま百億円の預け方におきまして、自分はこう考えておる、とにかく中小企業に早くたくさんまわるようにということを言つたついでに、これを言つたのであります。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 もし部下にしてあなたの望むような方向に行かないとするならば、たとえば自分のあとをついて来ない、あるいは事態の認識について非常に浅いという部下があるならば、その最高責任はやはりあげて大蔵大臣にあると思うのであります。この点については大蔵大臣自分自身の責任は全然韜晦して、あるいは経営者に、あるいは自分の部下に責任を転嫁しているというところに、あなたの卑劣きわまる態度が見られるのであります。この点についても、もし事務当局自分について来ないというならば、その責任はまず大蔵大臣自身にあるということを認められるかどうか、この点を聞いておきたいと思います。
  69. 池田勇人

    池田国務大臣 部下におきまして自分の意に沿わない場合がありますときには、意に沿うように指導して行くのが私の責任であると考えております。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に中小企業倒産の問題でありますが、業界では輸出繊維品その他滯貨処理に非常に困つてつて、機業地で倒産する者が続出しておるという、これは実情でもあるし、またわれわれとしても問いたいところでありますが、これに対して、そんなことは全然ないと言つて完全に否定されているのであります。ところが、当日の新聞紙にも伝えているのでありますが、たとえば山梨県の郡内あたりでは県下の機業の九割五分がすでに倒産しておる。絹、人絹機業の危機は非常に深刻だということを言つておるのでありますが、この中小企業、ことに絹、人絹機業界の危機というものは、想像にならぬほど深刻であるけれども、これをあなたはそんなことはないと簡單に一言で否定しているのであります。この点について大蔵大臣は事実をどう認識されておるかということをお聞きしたいと思うのであります。
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通りに、最近生糸が非常に値下りいたしまして、十一万円を割るというよう状況も聞いております。そしてまた機業家が一時休業するということも聞いておるのでありますが、こういうものに対しましては、私は生糸製糸業者に対しては金融の道をつけております。また福井県の方面で原価の三十円を割つて、二十六、七円という取引があるということを聞きまして、これに対しましても金融の道を講じつつあるのであります。機業界におきまして相当の問題が起きておるということは、私は事実認めております。従いまして、これが防止策といたしまして、輸出滯貨の処分につきましても、できるだけ適当な方法をとろうとして努力いたしておるのであります。全然そういうものがないというふうには私は考えておりません。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵大臣答弁では、金融の道を講じている、何億円、何十億円金融するという数字だけで問題は解決しているような、安易な答弁しかいつもわれわれは聞いていないのでありますが、事実機業家はどんどん倒産して行く。ことに山梨、福井、あるいは栃木その他の絹、人絹の機業はほとんど七割、八割も倒産の実情にあるということを認められるかどうか、認められた上でこういう対策を講ずるなら講ずる、こういうことならわかりますが、まず認められるかどうか、これをお聞きしたい。
  73. 池田勇人

    池田国務大臣 七割、八割もが倒産しておるとは私は認めておりません。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 それなら何割、どの程度倒産しているかということを調査されているかどうか。されているなら、その数字を発表してもらいたいと思うのであります。
  75. 池田勇人

    池田国務大臣 経営が思わしくない場合は考えられますが、あなたのおつしやるように、倒産というのは破産と私は考えておりまして、破産しているのはそう大した数字ではないと思います。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 そう大した数字でないというなら、具体的にどういうようになつているか、あなたは通商産業大臣なんだから、中小企業がどうなつているか、ことに機業はどうなつているか、絹、人絹の機業はどうなつているかという数字をここに示して、だからわれわれは安定なら安定、だからわれわれはこういう対策を講ずるなら講ずると言わなければ、責任を果せないことになる。
  77. 池田勇人

    池田国務大臣 値下りによりまして、金融上あるいは営業上非常に困られる方につきましては、さつそく手を打つております。しかし倒産したとか、あるいはどれだけの人が経営不能になるかということにつきましては、相当の時日を要しますので、ただいまのところ数字を持つておりません。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう無責任答弁ですから、これ以上いくら追究しても回答を得られないと思います。  その次に問題になりますのは、予算委員会で、税金のために国民が非常に苦しんでいる、そのために自殺や心中する者までが非常に目立つて来ておるということは、予算委員一同が與党野党を通じて考えていることである。この問題は衆参両院の予算委員会で問題になつたのであります。具体的な実例まで出しまして、国民の間ではこのような自殺や心中する者までが、税金のために起きているのだということを、この予算委員会でわれわれが問題にしたのでありますが、それに対して大蔵大臣は、そのような取上げ方は社会に不安を起すものだ、税や倒産がどれだけ自殺の原因になつているのか、あるいはその人の精神に異常はなかつたかなど調べなければ、何も言えないと言うに至つては驚くべきものだ。まず問題になることは、自殺や心中する者があるということを認めるかどうか、それをお聞きしたい。それからなおこの自殺や心中する者があるということを、この予算委員会で取上げること自体が、社会に不安を起すというのでありますが、問題は池田財政が社会に不安を起しているからこそ、われわれはこの予算委員会で取上げるのです。それをあなたは予算委員会でそういう取上げ方をすることが社会に不安を起す。これでは国会を否認するもはなはだしいじやないか。池田財政のために国民は苦しんでいるのです。こういう苦しんでいる声があるけれども、これに対してどう考えるかということを、われわれ国会議員としてここで聞くのは当然だ。ところが、そういう取上げ方が、かえつて社会に不安を起すということになるならば、それは国会のわれわれの審議をあなたは否認することになる。むしろあなたの財政方針こそが、社会に不安を起しているとわれわれは考えている。この点についてのあなたの見解を聞きたいのであります。
  79. 池田勇人

    池田国務大臣 自殺やあるいは心中する事例は新聞紙その他で聞いております。しかしてまたそういうことを予算委員会で論議してはいかぬというようなことは全然言つておりません。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 そのような取上げ方は社会に不安を起すものだということを新聞に書いてある。先ほどから私が言うように、社会に不安があるからこそわれわれ国会議員は国会で取上げている。それを国会がそういう取上げ方をすることが社会に不安を起すのだと言われるならば、これは重要な問題だ。あなたは一体新聞記者団会見の際に、そのような取上げ方をすることは社会に不安を起すものだというようなことを言われたかどうか。これをまずお聞きしたい。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 申しましたけれども、国会で論議することは社会に不安を起すものとは言つておりません。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 この点も池田大蔵大臣はちやんと言つているのであります。言つているけれども、今私に追究されて困つて答弁をごまかしているのでありますから、私はこれ以上申し上げません。しかし実際社会ではこの税金のためにいかに苦しんでいるかという点を、私は二、三例をあげて私の質問を終りたいと思うのであります。これは私たちのところへは限りなく訴えがたくさん来ております。もう数百通も来ているのでありますが、私は一々それをあなたに紹介するわけに行かないけれども、社会にそういう不安があるからごそ、われわれはやむを得ず予算委員会で取上げているのだということをはつきりあなたに知つてもらいたい。まずここに。……(「関連質問だけにしろ」と呼ぶ者あり)関連質問に関連している。ここに請願書が来ている。この請願書に対して池田大蔵大臣はどう考えるか、まずお聞きしたい。その内容をかいつまんで言うと「私の家は長男伊勢次(二十九)は去年小林町の大阪製材所がつぶれたために失業し、次男実は沖繩で戰死、三男松藏(二十六)は幼時病気のために両足が立たず、いざり、四男勝次郎(二十一)は勤務先の力メツキ工場が営業下振のために首切られ、長女喜代子(二十二)は病弱のために仕事ができず、妻フサ(五十八)は盲目というありさまで、辛うじて私と伊勢次の二人でぼろ布を売買して、一間間口の店で生計を立てていましたが、納税は国民の義務と思い、むりをして九万円の正直な申得をしましたところ、阿倍野税務署(署長塚原智教氏)から五十万円もの仮更生決定が来ましたので、どうしたらよいかと夜もろくろく眠れないほど心配していましたところ、去る一月十五日午後一時ごろ阿倍野税務署の徴收係の人が来られ、税金をすぐ佛え、拂わなければ、他に品物がないから、着物を差押えると何度も言われたために、貧乏でろくな着物も持つてない娘タカ子(十八)がたつた枚の晴着をとられると、着物ほしい盛りの娘心の悲しさに、驚きのあまりその場であつと声を立てると、逆上のあまり発狂してしまいました。税務署の人はそのまま帰りましたが、娘はその夜は明け方の四時まで着物のことや税務署のことばかり口走り、やつと天王寺区寺田町の旦局医院に来てもらつて、眠り薬を飲ませて眠らせましたが、翌朝十時に薬が切れて目がさめると、今度は足が立たず、いまだにわけのわからないことばかり叫んでいます。もしも娘のからだが元のようにならなければ、私は税務署にあばれ込んでやるつもりです。目の惡い母親の手を引いて市場に行つていた親孝行な内気でおとなしかつた娘のことを思えば、腹が立つてたまりません。いつそ気違いがなおらないのなら、今のうちに死んでくれたらと、先の希望も何もなく、やけくそになりそうです。そのときは私も覚悟があります。ほんとうに私の家の税金五十万円は、一体何をもとにして決定したのか、実にひどいと腹が立ちます。どうか共産党の力でこのあだを討つてください。」まあこういうわけです。(笑声)私はこれ以上実例を読むにはたえられませんが、もう一つ最後にあなたに申しますのは……。
  83. 植原悦二郎

    植原委員長 林君、例のことなら……。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 これで結論です。
  85. 植原悦二郎

    植原委員長 関連質問でありますがゆえに、新聞記事に関連していることならばお許ししますが、あなたのところへ私書として来ているものを、ここに限りなく参考として読むことは、委員長としては許しません。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 だからこれでやめます。そこで最後に、「何の面目あつて国民の前で私が大臣でござると言えるか返答せよ。今日すぐ食つて行けるよう税法をつくれ、私は必死で叫ぶ」というような手紙が限りなく来ております。これが税金の実情であります。予算委員会でこれを読むから、これが世間を不安にさせるのではなくして、世間があなたの税のために、あなたの財政のために、あなたの経済政策のために、みなが死に身になつております。その声をわれわれはここで代表しておるということが、あなたはわかるかどうか、この点だけ聞いて私の質問を終ります。
  87. 池田勇人

    池田国務大臣 今お読みになつたような事実があるのは、まことにお気の毒でございます。そういうことのないようにいたすべく、私は努力いたしておるのであります。
  88. 植原悦二郎

    植原委員長 井手光治君。
  89. 井手光治

    ○井手委員 私の質問は、私どもの先輩諸君質問と若干重複をするきらいがないでもないでありますが、ただいままでのいろいろな党の諸君お話を伺つておりますと、現在国の安定経済の線上におきまする国民耐乏の考え方を、反対的な小さな議論によりまして、より以上不安感を助成して、わが国の経済安定政策に汚点を加えんとする傾向が見えまする関係上、私は次の諸点について大蔵大臣に御質問を申し上げたいと存ずるのでございます。  昭和二十四年度から二十五年度に至りまする一連の財政及び金融政策は、ドツジ・ラインの強行によりまして、池田大蔵大臣のいわゆるディスインフレの典型的状態においての経済安定が、徐々にその実力を示しつつありますことは、私どももこれを肯定するにやぶさかでないのであります。二十四年度予算の本会議における討論におきまして、わが党の小峯議員の発言中に、経済再建のために、国民が一度は飲まなければならぬ薬であつて、まことに良薬であるが、この良薬がややもすれば副作用を伴つて来るきらいがある、この点に政府は十分に注意せられたいということを述べておられます。これに対しまして池田大蔵大臣は、副作用はお説の通りあるものと考える、これを絶無ならしむるために、十二分の用意があるということを答弁しておるのであります。この副作用こそは、私ども国民のひとしく憂慮の念にかられながら、また一面におきましては、この副作用をよく忍びまして、その覚悟を持つて国民は協力をなしつつあるのが現状でございます。まことにこれは喜ぶべき現象であると申し上げなければならぬのでありますが、ただいまのようないろいろな細末的な反対論をもつて、この経済安定に汚点を加えんとすることは、まことに私は遺憾であります。しかしながら一面、まことに潰滅ではございますけれども、ただいま新聞紙上等にも伝えられておりますような、いろいろな副作用がこれに伴つて来る、すなわち安定恐慌——良薬に強度の反応がありまして、国民生活の上にこれが及び、特に中小企業の苦難の状態が露呈しつつあることも、またやむを得ないことは、ただいま大臣も認めたところであります。しかしドツジ・ラインは新薬でありまして、この新薬の副作用をいかに軽からしむるかということも、またドツジ・ライン強行の線におきまして、強度の努力を要するということも考えられるのであります。池田蔵相は副作用を軽く見ておる、そういうことのために名医の失策を糊塗せんとするため、軽々しき発言をなしつつあるかのごときごとを国民に印象づけられますことは、これは私ども池田財政のためにとるところでありません。また苦難にあえぎまする中小企業のために、失望を與えるものであつてはならぬと私は考える。そこでこの際この副作用排除への具体的な施策を、明瞭に国民の前にさらに明らかにせられまして、具体的な政策により裏づけありということを、ひとつ明らかにせられたい。またわが党の中小企業家に対しまする相当の政策あることを、天下に声明をいたしまして、これらの細末的論議に堂々たる反発を加えられる御意思があるかどうか、この点を伺つておきたいと思うのであります。
  90. 池田勇人

    池田国務大臣 問題を中小企業に限られておるようでございますが、大企業におきましても、かなりの苦難を続けております。ことにそれが中小企業において度が強いということも私は認めておるのでありますが、まず中小企業中心としたその苦難の道は、金融の道と税金の問題だと思います。税金につきましては、先ほど来お答え申し上げましたように、当初予算よりも二百億円減じ、また減ぜられたものよりも、相当赤字があつても、ほかの方で埋合せがつくから、決してむりな税金はとらないということを強く指示して、現業者に当らしておるわけであります。なおまた金詰まりの問題につきましては、すでに新聞紙等に出ておりますように、政府の金、預金部の金、あるいは政府関係機関の金をどしどし金融機関にまわして、そのまたまわし方につきましても、中小企業を主体としてまわすよう考えております。今までまわしました金より別に、最近関係方面折衝がつきますれば、相当の、いわゆる金詰まり緩和の方途が講ぜられることをここに申し上げておくのであります。何と申しましても、先ほど来お言葉がありまするように、自分といたしましては——危機とは申しません。難局をみごと突破するべく、万全の努力をいたしておるのでありますし、また決して楽観的でなしに、私は十分突破し得る確信を持つておるのであります。
  91. 井手光治

    ○井手委員 もう一つ伺いたいのであります。それはただいままで論議の中心になつております金融政策の問題でありますが、特に中小企業に対しまする金融が非常に梗塞の状態にある。このしわ寄せ日本経済再建を妨げて、いろいろな社会問題を起しつつあるということは、ただいまるる述べられておるのでありますが、しかし一面におきまして、池田蔵相は予算上、資金上種々具体的な案はたくさん掲げておる。たとえば金融機関の公共性を常に強調しておられる。お話のありましたように、協同組合を強化する、農林、商工中金等を張化する、あるいはポリシー・ボードの金融操作上の諸般の対策を具体的に移しておる、あるいは市中金融機関政府資金の融通をやつておる、中小企業に急速なる資金の融通をしようというような、数えあげればまことにいとまのない具体策を取上げつつあることは、私どもも大いに意を強うしておるのであります。しかし一面これらの具体策が、一向にわれわれ国民の前に具体的にきき目がまだ現われていない。量の問題、質の問題よりも速度の問題である。この速度の問題が国民を不安感に陷れて、そしてさらに不安感を助成する一部の者のいろいろな言論の末にこれが現われて来る、こういう結果になつておるのでありますが、これは一体どういう理由から来るのでありましようか、ただいま申したように、投薬の目盛りを誤つて、副作用を伴つておるのではないか、あるいは先ほど申し上げました、ドツジ・ライン上におきまする財政金融政策の比重、ウエイトを誤つておるのではないかという疑いを持たせる結果になるのではないかということを私は憂慮する。でありますから、この量的、質的な問題に、さらに速度を加えまして、さらにウェイトを加えまして、これらの問題を具体化するということを、ひとつここではつきりお話をお聞きしたいのであります。  具体的に申し上げますと、市中金融機関等はいろいろ大臣の施策が述べられますけれども、これらが窓口に一向に現われて来ない、この点は大蔵大臣の愛国的な日本再建のこの情熱に一向について来ないのではないか、問題がここにあるのではないかというふうな見方をされておるのであります。そこでこれらの金融機関の窓口まで具体的なきき目が現われなければならない、しかもそれを急速に、速度の上にこれを載せまして、現われるようにするのにどういうお考えがあるか、それらの具体的な改善策につきまして、不安感はみなぎつておるのでありますから、十二分に速度をもつて、こういうふうになつて来るのだということを、私どもの納得行くようにこの際お聞かせ願いたいと思います。
  92. 池田勇人

    池田国務大臣 資金の流れ方でありますが、私どもといたしましては、大量的にさつと出したいという気持でやつておるのでありますが、しかしなかなかやはり関係方面のこともありますので、それが思うにまかせぬ点はありますが、昨年末以来相当の政府資金を上げおります。しかしてだんだんやつてみますとあとからわかつて来るよう状況で、流れ方が十分に行かぬというときには、今度は流れやすい方に早く出すというよう努力をいたしておるのであります。何と申しましてもやはり金融機関の協力を得るということが最大でありますので、私は特に金融機関の方々と会う機会を多くし、また自分財政経済政策をやつておるのでありますが、銀行の方につきましてもやはり預金の増加と見合いをしなければいけませんし、またこういう状態のときに、貸出しが非常にふえて経営が惡くなるということも考えておるようでありますが、何と申しましても日本経済を再建することが、銀行家にも非常にいいのでありますから、機会あるごとに、とにかく政府政策に協力するよう努力はいたしておるのであります。今後の金の流し方につきましても、こういう事情を十分加味いたしまして、お話通りに量をふやすと同時に、速度を早めるよう努力して行きたいと考えております。
  93. 井手光治

    ○井手委員 これで終ります。
  94. 植原悦二郎

    植原委員長 もう関連質問が大分ありまして、かなりあらゆる場面に触れましたけれども、まだ川上さん御質問になりますか。
  95. 川上貫一

    ○川上委員 いたします。
  96. 植原悦二郎

    植原委員長 ではどうか簡單にその関連質問を逸脱しないようにお願いいたします。
  97. 川上貫一

    ○川上委員 私の質問は簡單であります。第一にお聞きしておきたいことは差押えの問題でありますが、さきに大蔵大臣は追徴税等を拂うのに困るなら差押えを受けたらよろしい。こういう御答弁であつたと思うのでありますが、これは私は相当重大な御発言だと思うのであります。日本国民は従来税金を拂うものだと考えて来ておる。差押えを受けるごときは国民の恥辱だと考えて来ておることは、これは長い間の国民考えであつたのです。大蔵大臣はみずから追徴税を免れようと思つたら、差押えを受けたらよろしいと言う。差押えを承認なさる。こういうお考えで一体国民の指導ができますか。喜んで差押えを受けて、差押えによつて徴税の増徴を免れるというような風潮を御奨励なさいますか。かようなことで国の精神が興つて来ると思いますか、これが大蔵大臣の御答弁なんです。私はこの点について大蔵大臣のお考えを聞きたい。
  98. 池田勇人

    池田国務大臣 現行制度におきまして、追徴税加算税の徴収は差押えがあつた場合にはしないでもいいという規定があるのであります。従いまして非常に納税にお困りの方がありまして、そうして納税はできぬ、このままやつておつたならば追徴税加算税がかさむというときに、一応差押えをしておいて、加算税、追徴税を徴收しないような方法が、今までごくまれな機会にあつたのであります。私は非常にお困りの方があつたならばそういう便法もあるということを言つたわけなのでありまして、原則としてそういうことを奨励する気は毛頭ないのであります。
  99. 川上貫一

    ○川上委員 軽卒きわまる大蔵大臣新聞記者諸君に対する答弁だ。こんなこともあるというようなことを言うたということだが、何の必要があつて全国の新聞紙に書かれるようなことを言うのです。大蔵大臣の資格がない。  次にお聞きしたいのは、税金のために自殺するようなものは、私のところに来ればよいと言つておりますが、来たらどうなさいますか。これをお聞きしたい。
  100. 池田勇人

    池田国務大臣 私も大蔵省を預かつておるものでございますから、そういうふうな深刻な問題につきましては、私時間の許す限り御相談申し上げたいと思う気持言つたのであります。これは私としては当然のことと考えております。
  101. 川上貫一

    ○川上委員 一体北海道、九州、東北におるような人々、あるいは関西でもよろしい。税金が拂えなくて自殺しなければならぬというような人が、あなたのところに言つて来ますか。一体どうして汽車賃があるのですか。常識のある人間なら、かようなことは言えません。しかも新聞記者諸君に対してこれを言つてござるのです。これが日本大蔵大臣なのです。私はかような非常識なことで国の政治はできないと思う。これはおそらくこれ以上言つたところで、何とかかんとか言われるでしようから、このことはこれで私は質問しませんが、このことについては大蔵大臣としては、お愼みになることが、よほどよろしいということを申し上げたい。  第三番目は中小企業が非常に困つておる。民族産業も困つておる。この責任は業者にあるという問題について、ほかの方もいろいろ質問なさいましたが、はつきりした答弁が得られておらぬ。私の聞きたいことは、今日の中小企業の困難の責任中小企業にある。政府にはないとお考えになるかどうか。この点だけでけつこうです。
  102. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどお答えした通りでございます。
  103. 川上貫一

    ○川上委員 政府責任があるようなことは、この新聞には一つも出ておりません。これを日本国民が読むのです。大蔵大臣はかような軽卒なことをやるから、與党諸君からでさえああいうようにしかられるのです。  第四番目にお聞きしたいことは、倒産、自殺、しかたがない。これを絶無にすることをやつておると言われる。一つもしておらぬ。この金詰まりがどうなる。中小企業は片つぱしからつぶれておる。中小企業金融については、ある産業家の会合に行つて見返り資金を出すなどということは、あれはちよつとあめをねぶらしておくのだと大蔵大臣は言われたそうです。貿易がどうなつておりますか。まつたく行き詰まつてしまつて、国内産業を破壊するような滯貨のダンピングをやつておる。賃金はどうです。六千三百円くぎづけです。米価は四千二百五十円です。その上に法外な税金です。不景気の風が全国を吹きまわつておるということは、おそらく日本のだれしもが知つておるのです。どこに絶無になるようなモーメントがありますか。必ず絶無にするようなことを自信をもつてつておると言われたが、こういうことは池田さんのひとりよがりの自信じや解決つきません。日本の実業家、銀行家、絶無になると思つておる人が一人でもありますか。無責任な言辞は吐かぬ方がよろしい。一体どういうことで十月にはこれが絶無になりますか、あるいは本年一ぱいで絶無になりますか、どういうお見込みを持つておられますか、この点をはつきりとお聞かせを願いたい。
  104. 池田勇人

    池田国務大臣 なるべく早く真の意味経済の安定を来しますよう努力いたしておるのであります。絶無にするようにやるのが私の務めであるのであります。
  105. 川上貫一

    ○川上委員 一つも務めを盡しておらぬ。いま一つお聞きいたしますが、見返り資金が百人以下の小さい企業に幾らまわつておるかという数字、百人以下の小企業が過去一箇年間に銀行から幾ら金を借りたかという数字、現在全国の絹、人絹機業が、百人以下の機業が、何パーセント閉鎖されておるか、これをお聞かせ願いたい。
  106. 池田勇人

    池田国務大臣 一月からスタートいたしました中小企業への長期資金としての見返り資金は五千二百万円……。
  107. 川上貫一

    ○川上委員 中小企業じやありません。百人以下……。
  108. 池田勇人

    池田国務大臣 百人以下の分については今の中小企業のうちに入ると思います。それで御了承願いたいと思います。
  109. 川上貫一

    ○川上委員 その額です。
  110. 池田勇人

    池田国務大臣 その他の点につきましてはただいま資料を持つておりません。
  111. 川上貫一

    ○川上委員 持つておらぬはずだ。そういうものも持つておりもしない、知りもしないで、大言壯話しておる。これで自殺者が何だとか、困る者はおれのところへやつてくりやあいいとか、こういうことを言つておられる。わかつておらぬじやないですか。しかもそれが通産大臣大蔵大臣、こういうことを概数でさえここのところは数字は持つておらぬというようなことで、これで中小企業がどう、日本産業がどうとか、あまり困つてはおらぬとか——大蔵大臣はかつて金詰まり日本のどこにあるかと言つておられたことがある。みんなはまだまだ甘い、これからどかつと来るんだとはつきり言つておられた。新聞に出ておる。戰争に負けたんだからあたりまえだというよう意味のことを言つておられる。これは雑誌に出ておる。シヤウプさんが来られたら喜んでくれるだろうと言つておられる。今大蔵大臣は心から日本の国の人々かこの状態で苦しんでおることを遺憾に思うと言われましたが、ほかのことを考えてみればそんなことは考えてござらぬ。これはあたりまえのことだと言つておられる。そうして聞いてみればわからぬと言う。人民をないがしろにする、国民をないがしろにする、まるで内に向つては大言壯話しておる。外に向つては媚態の限りを盡しておる。さようなことでありますから見返り資金でも、過去一年間にわたつてありもしない法律を適用して人民をおどかしておる。こういうことが、これが池田大蔵大臣の性格たるばかりじやない。吉田内閣、與党たる民主自由党の性格なんだ。こういうことに大蔵大臣はいささか反省なさるがいいと思う。こういうことによつて、またこの新聞記事ようなこういうことによつて、本日のよう大蔵大臣の御答弁によつて国民は安心して現内閣にわれわれ国民全体の生命財産、安寧幸福を託すと思つておられるか、どうです。この点をお聞きしたい。
  112. 池田勇人

    池田国務大臣 国民はわが吉田内閣を支持しておると私は確信いたしております。
  113. 植原悦二郎

    植原委員長 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。     午後三時三十四分散会