○林(百)
委員 この点も
池田大蔵大臣はちやんと言
つているのであります。言
つているけれ
ども、今私に追究されて困
つて答弁をごまかしているのでありますから、私はこれ以上申し上げません。しかし実際社会ではこの
税金のためにいかに苦しんでいるかという点を、私は二、三例をあげて私の
質問を終りたいと思うのであります。これは私たちのところへは限りなく訴えがたくさん来ております。もう数百通も来ているのでありますが、私は一々それをあなたに紹介するわけに行かないけれ
ども、社会にそういう不安があるからごそ、われわれはやむを得ず
予算委員会で取上げているのだということを
はつきりあなたに知
つてもらいたい。まずここに。……(「関連
質問だけにしろ」と呼ぶ者あり)関連
質問に関連している。ここに請願書が来ている。この請願書に対して
池田大蔵大臣はどう
考えるか、まずお聞きしたい。その
内容をかいつまんで言うと「私の家は長男伊勢次(二十九)は去年小林町の大阪製材所がつぶれたために失業し、次男実は沖繩で戰死、三男松藏(二十六)は幼時病気のために両足が立たず、いざり、四男勝次郎(二十一)は勤務先の力メツキ
工場が営業下振のために首切られ、長女喜代子(二十二)は病弱のために仕事ができず、妻フサ(五十八)は盲目というありさまで、辛うじて私と伊勢次の二人でぼろ布を売買して、一間間口の店で生計を立てていましたが、納税は
国民の義務と思い、むりをして九万円の正直な申得をしましたところ、阿倍野税務署(署長塚原智教氏)から五十万円もの仮更生
決定が来ましたので、どうしたらよいかと夜もろくろく眠れないほど心配していましたところ、去る一月十五日午後一時ごろ阿倍野税務署の徴收係の人が来られ、
税金をすぐ佛え、拂わなければ、他に品物がないから、着物を差押えると何度も言われたために、貧乏でろくな着物も持
つてない娘タカ子(十八)がたつた枚の晴着をとられると、着物ほしい盛りの娘心の悲しさに、驚きのあまりその場であつと声を立てると、逆上のあまり発狂してしまいました。税務署の人はそのまま帰りましたが、娘はその夜は明け方の四時まで着物のことや税務署のことばかり口走り、やつと天王寺区寺田町の旦局医院に来てもら
つて、眠り薬を飲ませて眠らせましたが、翌朝十時に薬が切れて目がさめると、今度は足が立たず、いまだにわけのわからないことばかり叫んでいます。もしも娘のからだが元の
ようにならなければ、私は税務署にあばれ込んでやるつもりです。目の惡い母親の手を引いて市場に行
つていた親孝行な内気でおとなしかつた娘のことを思えば、腹が立
つてたまりません。いつそ気違いがなおらないのなら、今のうちに死んでくれたらと、先の希望も何もなく、やけくそになりそうです。そのときは私も覚悟があります。ほんとうに私の家の
税金五十万円は、一体何をもとにして
決定したのか、実にひどいと腹が立ちます。どうか共産党の力でこのあだを討
つてください。」まあこういうわけです。(笑声)私はこれ以上実例を読むにはたえられませんが、もう
一つ最後にあなたに申しますのは……。