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1950-02-16 第7回国会 衆議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十六日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 池田正之輔君 理事 尾崎 末吉君    理事 上林山榮吉君 理事 小峯 柳多君    理事 苫米地英俊君 理事 勝間田清一君    理事 川崎 秀二君 理事 川上 貫一君    理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君       天野 公義君    井手 光治君      岡村利右衞門君    小淵 光平君       角田 幸吉君    北澤 直吉君       小金 義照君    小平 久雄君       田中 啓一君    玉置  實君       中村 幸八君    永井 英修君       西村 英一君    丹羽 彪吉君       松浦 東介君    松野 頼三君       南  好雄君    武藤運十郎君       北村徳太郎君    中曽根康弘君       村瀬 宣親君    林  百郎君       米原  昶君    奧村又十郎君       小坂善太郎君    平川 篤雄君       岡田 春夫君    世耕 弘一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 殖田 俊吉君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 高瀬荘太郎君         農 林 大 臣 森 幸太郎君         郵 政 大 臣         電気通信大臣  小澤佐重喜君         建 設 大 臣 益谷 秀次君         国 務 大 臣 青木 孝義君         国 務 大 臣 本多 市郎君         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         刑 政 長 官 佐藤 藤佐君         検     事         (検務局長)  高橋 一郎君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君         経済安定政務次         官       西村 久之君  委員外出席者         大蔵事務官   石田  正君         参  考  人         (警視総監)  田中 榮一君         参  考  人         (東京消防総         監)      塩谷 隆雄君         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計予算  昭和二十五年度特別会計予算  昭和二十五年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。  質疑を継続いたします。世耕弘一君に発言を許します。世耕弘一君。
  3. 世耕弘一

    ○世耕委員 簡単に、農林大臣に数点お尋ねいたします。米国あたりでは、不良食糧に対して取締りがあるのですが、日本ではそういうふうな取締りをしておりますか。その点をまず承つておきたいと思います。
  4. 森幸太郎

    森国務大臣 食糧は、御承知通り供出制度ができておりますので、その供出の場合に、消費者立場考えて、消費者が迷惑せないという規格を定めて、その規格に合うような食糧を買い取る、こういう方式をもつてつておりますから、不良食糧と言われましても、どういう定義を下しておられるか存じませんが、食糧にならないものは買い取らない。従つて配給もしない。こういろふうにいたしておるわけであります。
  5. 世耕弘一

    ○世耕委員 今私は資料を幾つも持つて来ておるのです。こまかい議論はなるべくやめることにいたしますが、最近外国から輸入した食糧で、消費者が受取らぬようなものを配給しております。たとえば粉のようなもの、こういうようなものを輸入する場合においては、嚴重取締りをしてやつたのか、向うまかせにしたのか、これは重大な問題だと思うのです。農林省はこういうものにどういうような立場をとつておられるか。あなたが大臣をされていなかつたときだと思いますが、かつて外米輸入した場合に、この外米の中に非常に強烈な防腐剤が入つておることを日本では知らないで、そのままぬかももつたいないと思つて食べて、至るところで腹下しをして国民の健康を害したという例があつたのです。それから砂糖を輸入したときに、だにがたくさん入つてつた。顯微鏡で見ると、驚くべき数のものがいる。こういうようなものも配給されて食つて、ずいぶんいろいろな病気が発生してしまつた。ぬかが入つているが、もつたいないからというのでそれは別にして、自分たちが食べるとお腹をこわすからといつて鶏にかいて食わしたところ、鶏が片つぱしから死んだという例が私の選挙区でもあるのです。最近の例といたしまして、外国から輸入した粉の受取り手がない。ごく最近に配給を受けたのはここにありますが、これは受取り手があつたようであります。ところが受取り手のないようなものを買つてどうするか。一トン二万円あるいは三万円の割合で購入しておるように、私の手元で調べたのにあるのですが、はなはだこの点ふに落ちない。今ここに持つて参りましたのは、おそらく最近皆さんの家庭配給されるだろうと思いますが、麦であります。この麦のごときは、食べれば必ず胃腸を害する。盲腸炎を起す。そのために各家庭では非常に不満を感じておるのです。私は池袋に住んでおりますが、これは押麦として昭和二十五年一月十六日配給されたものであります。どこの家庭でもいやがつて食べない。どうしてかというと、丸麦をそのままつぶしてしまうからこういうような結果になるのではないかということが一つ。もう時間がありませんからごく簡単に言いますが、たとえば小麦製粉の問題でも同様であります。私の調べたところによりますと、ふすまこみの八八%が小麦製粉の標準になつておるようであります。業者の意見を聞きますと、八八%のうちの八%のふすまが、結局胃腸障害原因になるということです。だから八%のふすまを入れることが、実は栄養価値が低下して腹痛を起す原因になつておる。こういうようなことでは、食糧政策の上から見て非常に重大なことではないか。あるいは農林省直轄の仕事ではなく、厚生省に属するかわからぬけれども、今日は量の問題も大切であるが、食糧は質の問題を考慮されなければ、ほんとうに親切な食糧政策とは私は言えないのではないかと思う。この点について、賢明な農林大臣はいかにお考えになつておるか。いろいろ資料があるのでありますが、この際一応御意見を簡單に承つて分科会等において詳細はお尋ねいたしたい。最近輸入されたものの中で、米国からのマイロ八千五百トン、約一億近くに相当すると思いますが、これは受取り手がなくて配給公団で困つておると聞いているのでありますが、お調べになつたことがあるかどうか。あるいは私が聞いたり調査したことが誤りであるかどうか、この際御指示を願いたいと思うのであります。
  6. 森幸太郎

    森国務大臣 輸入食糧については、先方まかせというわけではありませんので、これを受取りまして、それが食糧に適合するか適合しないか、一応品質検査をやるわけであります。とうもろこしのごときは食糧になし得ないものがありまして、それはみそ原料としてまわしたわけであります。なお配給等のされたものは当然交換をいたさなければならぬのであります。精白度につきましては、三月までの配給のものはすでにできておるのでありますが、三月から配給するものについては、この搗精歩合を高めまして、できるだけ白い優良な粉、今お話のようなふすまのあまり入らない程度にして配給いたしたい。現に一部におきましては、そういうふうに改善いたしました粉の配給をいたしておるのであります。  なお米におきましても、十二月の配給から、従来五分づきでありましたものを七分づきにしまして、消費者がさらにつくせわのないようにして配給しておるのであります。今後輸入食糧に対しましても、そういうようなものにつきましては、公団配給の上において消費者の迷惑にならないように、一層の注意を沸いたいと思います。
  7. 世耕弘一

    ○世耕委員 このマイロ八千五百トンというのは、配給しても受取り手がなくて、公団配給しないで鶏のえさか何かにしようと今考慮しておるという話はうそですか。
  8. 森幸太郎

    森国務大臣 現在それはないと存じます。過去にそういうのがありまして、それはみそ原料の方にまわしたと承知いたしております。
  9. 世耕弘一

    ○世耕委員 みそ原料にするのには少し原価が高過ぎるのじやないかと思います。これは輸入するときに、手当が十分に行届いておらなかつたというところに原因があるのではないかと思います。しかしこれはこまかくなりますから申し上げません。  次にお尋ねいたしたいのは、最近これは昭和二十五隻万一日東京配給されたタイ米でありますが、これはタイ新米ですか、古米ですか。私は百姓の子だからおよそ米のよしあしはわかるのですが、今古米である、新米であるということは申しませんが、農林省はこれがどういう種類の米だという見込みでお買いになつたのか、お尋ねしておきたい。
  10. 森幸太郎

    森国務大臣 詳細は存じておりませんが、先般輸入したのは二十四年の生産米ではないと思つております。先般タイからも食糧輸入について、向う農林大臣でありましたか参つておりまして、先般輸入した米は非常に油くさい、ああいうものを輸入しても食用に供されない、今後はああいうふうなものを輸出される場合においては、遺憾ながら日本は受取らないということを強く申しましたところ、向う農事局長でありましたか、それはどうもふしぎだ、油くさいとかなんとかいうはずはない、それは輸送中の船の積みぐあいか何かのためであろうと思うが、タイ国から積み出す場合においては、絶対にそういうことは考えられないと、非常に不審に思つておりまして、先般滞在中におきましても、その問題についてはタイ責任をもつてその原因を調査し、今後そういうおしかりのないように、絶対タイとしての優良な食糧を送りたいと言われておりました。タイ日本の米の性質もよくわかつておるのでありまして、日本からよい品種を持つて帰りまして、人工交媒等についても、いろいろ農事試験場研究しておるそうであります。なかなか熱心にやつておりまして、日本農事試験場にも立ち寄りまして米の品種の改良、育成等についての研究にむ非常に興味を持つていたようでありますが、先般の使節に対しては、あの悪臭のある米は、今後絶対日本輸入を受けないということを強く主張いたしました。先方におきましても、そういうことがあつてははなはだ申訳ない、その原因を確かめて、今後はそういうことのないようにするから、どうかひとつ日本から買うていただきたい、今後は一層の努力を傾けるということを言つておりました。その原因はどういうところにありますか、先般入りました米が非常に油くさくて、消費者が迷惑したということも聞いておりますので、今後十分先方にも注意し、さらにこちらにおいても輸送上の注意を、一層嚴重にいたしたいと考えております。
  11. 世耕弘一

    ○世耕委員 こういうような食糧を買い入れる場合、たとえばタイ米を買入れる場合に、現地に人を派遣いたしますか、それとも品質見本等をとつて後注文なさいますか、もしそういうような手続が、今日の現状として日本にできないならいたしかたありませんが、私はそれぐらいの買入れについての手続はしてさしつかえないのじやないかと思います。その点が非常に不良食糧輸入される原因どなるのではないかと思うのであります。タイ米の話を聞きましたが、実はこのタイ米古米です。大臣は油くさいと言うけれども、油くさいのもあるが、油くさくないのもある。油くさくないのを調べてみますと、少くとも三年前の米だということが推定できます。しかも三年前の米が安ぐ手に入つたから買つたというならりくつが合いますが、三年前の米を新米と同様な手続買つているのでは、これは少しむりで甘ないかということを言いたい。日本人は少し暮しがよくなるとぜいたくを言う、鶏の食うようなものでもありがたがつて食つたくせに、近ごろはぜいたくだとおしかりを受ければ別ですけれども、私はぜいたくの議論を言うのではない。量を満たすために質を忘れることは、食糧政策ばかりではなしに、国民の健康上に重大な影響があるということをこの際主張したい。今申し上げた数点について、過去のことは問いません、将来について農林大臣はどういう態度で処されるか、御意見を承りたいと存じます。
  12. 森幸太郎

    森国務大臣 今日の海外との取引状態は御承知通りでありまして、日本から使節を派遣し、また日本商人向うへ滞在いたす、あるいは日本商務官向うにおりまして、現地買取りをするというような自由を許される段階に入れば、まことにけつこうでありますが、今はそういう状態でないのでありまして、双方商人政府と、あるいは向う商人信用によつて取引をすることより今日は許されていないのであります。もちろんタイ国におきましても、あるいはその他の日本に対して食糧を輸出する国においても、自国の信用を高めて、将来のために資したいという希望はあるのでありますが、現在はあくまでも道義上の取引によつて先方のバイヤーとこちらとの間において取引を行うことよりしかたがないと存じております。今後においては当然これは改善され、また改善しなければならぬことと考えているわけであります。
  13. 世耕弘一

    ○世耕委員 私は国民感情を盛り込んで申し上げているのであります。その点を御了解願いたいと思います。なぜなれば、連合国側、特に米国が、日本食糧事情の不良なときに、大統領初めアメリカの全国民が、食を減じてわれわれの危機を救うてくれたという恩を忘れているわけではないのです。しかしながらせつかくそういうような愛情をもつてつてくれたことに対して、日本国民が感謝しているやさきに、輸入食糧の手違いから、かえつて余りものをわれわれに売りつけたのではないか、あるいは始末が悪いから、残品をわれわれに親切ずくで売りつけたのではないかということが、ややもすればわれわれの耳に入つて来るのでありますが、これではせつかくの好意がかえつて無になるように思われる。日米国交の親善を傷つけるような結果が、最も日常関係の深い食糧問題から起ることは、私は憂うべき現象だと思う。この点は特に当該官庁先方側によくその真意を伝えて、遺憾のないように期していただきたいと思います。特に当の責任者である農林大臣といたしまして、この点を御善処願いたいということを希望する次第であります。  次に申し上げたいのは、外国から食糧輸入することは、日本農村を圧迫することではないかということは、幾多委員会においても議論があつたようであります。私もこの点は幾分憂うるものの一人でありますが、こういうような声を調整する意味においても、また日本農村対策といたしましても、この際肥料家畜飼料、こういう点について転換策を講ずることが妥当ではないか。なぜそういうことを言うかというと、お米を輸入しても、その年に食つてしまう。ところが肥料輸入すれば、翌年その肥料がまた価値づけられて来る。この意味において、着実な農業政策としては、むしろ食糧をがまんしても、肥料を先に輸入するというのが、正当な行き方ではないかということを言いたい。さらにもう一つ家畜飼料であります。今日自由なる貿易がさらに開かれて行くということになりますと、自然自由競争の時代が来ることを想像しなければならぬ。そうすると日本農村としては、どうしても多角形的な計画を立てなければならぬ、つまり家畜中心にした酪農、その他多角的な農耕をやらなければならぬという場合において、飼料が今後に大きな働きをするのではないか、それについて農林大臣はどういうお考えをお持ちになつておるか、御計画を承りたいと思います。
  14. 森幸太郎

    森国務大臣 御説ごもつともでありまして、肥料輸入の点につきましては、今日硝安が窒素肥料としては輸入を受けておるのであります。しかしながら日本におきまして化学肥料生産が相当軌道に乗つて参りまして、硝安はできるだけ輸入を減らし、内地の肥料生産を向上いたしたいと考えておるわけでありますが、ただ日本としては、御承知のように燐鉱石カリ肥料を持つておりませんので、これは日本としてはぜひとも輸入を継続しなければならぬのであります。しかしこの燐鉱石も戰前とかわりまして、今輸入されておるのは、こちらの要求通りの良質なものが輸入されないのであります。これははなはだ遺憾な点でありますが、しかし今日の場合いかんともいたしかたがないので、品質の向上について先方と交渉を進めておるわけでありますが、現在輸入されております燐鉱石はまちまちでありまして、あまりいいものがないので、日本としてははなはだ残念に存じておるわけであります。しかしながらこの燐鉱石なりカリ肥料は、絶対輸入をしなければならない立場でありますので、この方面は一層輸入をいたしまして、硝安のごときは日本においてできます石灰窒素あるいは硫安等において補い、なお有畜農業奨励と同時に、手間肥――厩肥、堆肥の増産によりまして、地方の回復をはかりたいと考えておるのであります。従つて有畜農業奨励するについて、飼料の問題でありますが、飼料も相当輸入しておるのでありますが、まだまだ飼料不足をいたしておるわけであります。しかし多角形農業として酪農を取入れることにつきましては、よほど研究をしなければならぬ問題でありまして、近郊農業経営の上におきましては、酪農も成立つのであります。しかし山間地あるいはその他普通の農業であります都市を持たない地方におきましては、酪農奨励ということもある程度限度があるのであります。たとえば乳牛の乳のごときも、十石程度生産があれまその地方で何とか消化して、経営が成立つが、これを増加して二十石生産したら、もうその乳牛経営がだめになるということも、結局市場をまずもつて考えずして、いたずらに酪農奨励した結果でありまして、今後有帯農業という面から申しましても、農家各戸経営の面に沿いまして、大家畜、中家畜、小家畜、おのおのそれに適合した家畜を取入れて行く。一町歩以上の耕作農業につきましては、あるいは牛や馬でありますとる、また六、七反の経営では豚で行く、その下ならば、鶏あるいはその他の小さい家畜を入れるというように、農業経営の規模によつて家畜を取入れて行くことが、有畜農業奨励の方針でなければならないと私は考えておるわけであります。従つて酪農ということについては、いわゆる六大都市を中心にした近郊農業によつて、初めて酪農が成立つて行く、ただいたずらに有畜農業と申しまして、牛乳あるいはバターあるいはハムなりそういう生産に持つて行かなければならぬという、一つの理論をどこでも進めるというわけには参りませんので、その地方々々においてそういう酪農を進めて行きたいと思います。しかし今日までは食糧は非常にきゆうくつでありまして、いものごときはほとんど食糧に供しておつたのでありますが、いも類家畜飼料として最も適当なものであり、こういうようなものは家畜飼料となり、さらにその家畜が人間の食糧となるという士段階家畜に経過さすということも、今後考え奨励して行かなければならぬと思うのであります。いずれにいたしましても、飼料不足について一応輸入はいたしておりますが、国内においての飼料を求めるということに努力しなければならぬと思います。従つて牧野のごときも、今日牧野組合法ができておりますがこれは戰争中のいわゆる強制的な戰時立法でありますので、これを改正いたしまして、そうして牧野をもう少し充実したりつぱな牧野にして、家畜の開放をするということに利用いたしたいと、今せつかく検討を加えて法制化いたさんとしておる次第であります。
  15. 世耕弘一

    ○世耕委員 総理がお見えになりましたから、私は結論をつけてほかの方にお譲りしたいと思いますが……。
  16. 植原悦二郎

    植原委員長 あなたの農林大臣に対する質問は終りですか。終らなかつたら留保しておいていただきたい。総理はいろいろの方面で非常にお忙しいので、時間が限定されておりますから、この場合農林大臣に対する質問は、留保を願つて総理に対する質問を継続することにいたしたいと思います。
  17. 世耕弘一

    ○世耕委員 それではそういうふうにいたします。
  18. 植原悦二郎

    植原委員長 総理大臣に対する村瀬宣親君の質疑を許します。
  19. 村瀬宣親

    村瀬委員 昨日発表せられました中ソ友好同盟内容が、日本における帝国主義再起を防止することを目標の一つとして締結されたと書かれてあるのを見まして、日本国民は偶然といたしたのであります。終戰以来われわれ国民は忠実にポツダム宣言を守り、日夜心を清め、魂を洗つて、絶対平和を愛好する民族に生れかわろうと努力して参つたのでありますが、四年半の努力と精進のかいもなく、わが国に帝国主義再起のおそれがあると声明せられたことは、まことは遺憾千万であります。今やアメリカアチソン国務長官は、日本沖繩、フイリツピンを結ぶ難敵不落の反共防塞が完成しつつあると発表し、アジア反共同盟を議題にバンコック会議が開かれておると報ぜられております最中、一方において軍事同盟内容とする中ソ友好同盟が発表せられたのでありますから、日本人は一触即発の感に襲われて、心のつぶれる思いがいたすのも当然であります。かかる際一国の総理大臣として、国論を統一し、国民向うところをさし示す責任があると思うのでありますが、吉田首相の御意見を承りたいのであります。
  20. 吉田茂

    吉田国務大臣 中ソ條約のことは新聞で承知いたしましたが、その性質経過等については一切承知いたしておりませんから、日本政府当局者として、これに対して批評する立場にないということをよく御承知を願いたい。それからまた国民お話のようなこれに対して一種の関心を持つておるでありましようが、これに対してわれわれが国論を統一するということのなには、どういうふうな手段をお考えになるか知りませんけれども、政府として、連合国の間においてある條約ができた、これに対して批評がましいことを唱えるということは、この国際情勢のはなはだ微妙なときに差控えたいと思います。
  21. 村瀬宣親

    村瀬委員 事はきわめて重大だと思いますので、これ以上深く追究を差控えますが、ひとつ外務大臣としての御所見を承つておきたいことは、この中ソ同盟の第二條を見ますと、「締結国双方は、互いの同意の上に立つて、第二次世界戰争のときの同盟国とともに、できるだけ短期間内に協同で対日講和締結を獲得することを保障する。と書いてあるのであります。またこの協定としての長春鉄道返還の第一條には、「この返還は対日講和條締結後即時実現される。但し一九五二年末よりおそくはならぬ」とあるのであります。この二つの條項よりいたしまして、外務大臣として、日本に対する講和條約は、その時期がきわめて早くなつたと了解されるでありましようか。またかりに講和條約ができなくても、一九五二年には長春鉄道返還するとあるのでありますが、このさ来年を限度とした点より考えまして、講和條締結の時期に一線を画されたものとお考えになりますか。この点お伺いいたします。
  22. 吉田茂

    吉田国務大臣 これはただいま申す通り、中ソ條約の締結至つたいきさつ等は、一切承知いたしておりませんけれども、お尋ねの問題に対しては、私たちとしては意見を発表しにくいが、しかし早期締結ということを連合国の一部国である中ソが約束したということは、日本にとつてはなはだ喜ばしい朗報と考えます。
  23. 村瀬宣親

    村瀬委員 いま一つ、この同盟條約の点で伺つておきたいのでありますが、第一條に「締結国の一方が日本あるいは日本と同盟するその他の国の侵略を受け」云々とあるのでありますが、日本自体が、侵略するということの考えられぬのは、これは世界全人類の承知しておるところであります。次に「日本あるいは日本と同盟するその他の国の侵略」とあるのでありますが、日本国が同盟し得る立場に立つということは、講和條約が締結した後であると考える。現在の状態では、どこの国とも日本の国はいかなる同盟をも結ぶことはできないと思うのでありますが、この点に対する外務大臣の御意見を承りたい。つまりもう一つつつ込んで言いますならば、この條項から見れば、これは講和條約ができた後の日本を対象としておると解釈できるのでありますが、御意見を承りたい。
  24. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本の今日の立場として、将来の同盟を約束することはむろんできない。すべき立場ではないのみならず、また将来のことでありますから、講和がまだ締結もできない今日において、将来のことをかれこれ当局者として申すことはできないと思います。
  25. 村瀬宣親

    村瀬委員 非常に愼重なと申しますか、御答弁を承りまして、私は感ずるのでありますが、いよいよ物情騒然として参りました世界情勢に対処いたしまして、内閣の方も、通産大臣の辞職に伴つて、改造をなさる時期が来ることと思うのであります。時代感覚に鋭敏な俊鋭な專任外相を置かれる情勢が迫つたのかと思いますが、これに対する御所見を承りたい。
  26. 吉田茂

    吉田国務大臣 しばしばお答えいたしましたが、專任外相は当分置かないつもりでございます。
  27. 村瀬宣親

    村瀬委員 世界の情勢が固定をしておれば、以前の御意見は承つてつたのでありますから、重ねてお尋ねをすることはなかつたのでありますが、世界の情勢が転々とかわつて参るから、御質問をしたのでありまして、置かないとおつしやるならば、それは御意見は承りました。  そこでこの問題に対して一つはつきりと承りたいことがあります。第六国会の施政演説に、無防備、無軍備がわが国民の唯一の幸福安全の保障であるとお説きになりましたが、第七国会におきましては、自衛権の問題をお述べになつたのでありまして、この関係を一応伺いたいのであります。それは私が第六国会において代表質問のときに――これは大事でありますから、速記録をそのまま読みますが、かようにお尋ねをいたしたのであります。「吉田首相は、無軍備こそ唯一の保障であると説かれたのでありまするが、この無軍備とは、單にわれわれ日本人だけがわが国から永久にかつ完全に軍備を撤廃するというような單調な意味ではなくて、日本の国土からあらゆる軍備、あらゆる軍事施設、あらゆる軍事基地を拂拭するという信念を吐露されたものと存ずるのでありまするが、この点に関し総理大臣の明確なる御所見を承つておきたいのであります。」とお尋ねをいたしたのに対しまして、吉田総理大臣の御答弁を速記で読んで見ますと、「無防備の内容いかんという御質問でありますが、これは御意見通り、わが国からあらゆる軍事施設を拂拭するという意味合いであります。」とはつきり御答弁があつたのであります。私はこの御答弁に安心をし、満足をしたのでありますが、その後自衛権の問題をお話になり出してから後の本会議並びに本委員会における御答弁の中に、ときどき明確を欠くおそれのあるお言葉がありましたので、ここであらためて伺つておきたいのでありますが、かかる情勢に対処する日本の国是としては、あくまでも無防備、無軍備がわが国民の唯一の安全保障であるということ、その無防備、無軍備というのは、わが国からあらゆる軍事施設、軍事基地を拂拭する――特に拂拭という言葉を私も使いましたし、総理大臣の御答弁にも、拂拭という強いお言葉が使われたのでありますが、その御信念にいまなお微動だにしておられないかどうかを承りたいのであります。
  28. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本国はただいまお話通り防備を撤し戰争を放棄した。日本国内において何らの防備もいたさぬ、あるいはまた戰争には参加しないということをもつて戰争を放棄したということは、憲法にある通りであります。で政府としては、今日日本において何らの防備を設けることも考えておらず、また将来においても、戰争を放棄した以上は、日本が武力による自衛権を持たないということであります。自衛権の問題を出したがために、防備といろいろ関係のあるようにお考えになるが、独立しておる以上は、武力によらざる自衛権があることは当然であります。ゆえに防備は、日本の武力によつて国際紛糾問題を解決することはしないが、かりに外国との問に交渉が起つた場合に、武力によつてその問題を解決することはしないが、他のあらゆる方法、武力以外に国を守る方法は幾らもあります。外交上なり、あるいは日本政府の政策を宣伝するなり、世界の同情に訴えるなり、武力によらざるも国を守る方法は幾らもあるはずでありますから、自衛権ということを申したのは、日本は戰争放棄に徹底するし、かしながらそれは武力によらざる自衛権は存在しておるのである。自衛権と戰争放棄とは両立し得るものであるということを言つた意味であります。
  29. 植原悦二郎

    植原委員長 村瀬君に御注意申し上げます。もうあなたの持時間は三分でありますから、必ずしも一分を争うのでありませんけれども、あなたを信頼しますから、時間内に限定するように簡潔に御質問あらんことを希望いたします。
  30. 村瀬宣親

    村瀬委員 私も憲法第九條には明らかに自衛権はあると存じておるのでありますが、ただ私は、むろん自衛権があるが、しかし日本のこれからの進む道というものは、あくまでもわが国からあらゆる軍備、軍事施設、軍事基地を拂拭するという点に、民族を守り得る根本があるということを信じますがゆえに、このことをお尋ねいたしたにすぎないのであります。  時間の御催促がありましたので次に進みますが、先般の総理の施政演説を拝聽いたしまして特に耳に残りましたものは、農産物の最低価格の維持というお言葉であります。單に農産物の価格の維持とはおつしやらないで、最低価格というお言葉をお使いになりました。これを聞いて農民が驚きました。びつくりしたのであります。なぜかといいますと、今まで政府は農産物の最高価格を不当に安くきめて、汗水たらしてつくつた農産物を、少しでも高く売ると、ただちに罰金を科し、農民を刑務所につないで参つたのでありますが、その政府から今度は反対に農産物の最低価格を維持しようと言われたのでありますから、農民が耳をそばだてたのもむりはありません。一体総理は具側に農産物の最低価格を維持する覚悟をお持ちであるかどうか。これは農業政策の大転換の氷山の一角が現われたようなものでありまして、吉田首相は農産物の最低価格をいかにして維持しようとなさるのであるか、また農産物の最低価格はどこにきめようとなさるのか。後藤農林大臣の時代に、米価の最低価格を維持しようとして率勢米価というものをつくり上げたことがあるのでありますが、吉田首相農業政策の基盤ともいうべき農産物最低価格の維持につき、詳細な構想を承りたいであります。
  31. 吉田茂

    吉田国務大臣 私は今のたとえば米価にしても、あるいはその他の蚕糸にしましても、実は安いと思います。世界の農産物の水準から考えてみて、米価も安ければ、蚕糸も安いのである。であるから、どうかしてなるべくこれをその生産費に合うように、つまり日本農業の現在の水準が高まるようにいたさないと、農民のためにならないと思いますから、なるべくこの水準を高めたいとは考えておりますが、しかしながらその水準以下に持つで行くということは、政府としてはなすべからざることであり、農民の利益でもないと考えますから、なるべく上げたいと考えておるのであります。上げたいと思つておるところに重点をお置きを願いたい。、
  32. 村瀬宣親

    村瀬委員 單に上げたいというお話でありますが、それでも上げたいと思わぬよりは非常によいのでありますが、今まで政府のとり来りました農産物価に対するもの、いわゆるパリティーシステムに基礎を置くものでありますが、これはきわめて不合理であり、科学的欠陥を随所に包蔵しておつたものであります。現に公聽会におきまする公述人の説くところを見ましても、今直面しておる農村の問題は、昭和五、六年ごろの世界的農業恐慌の余波を食つた場合とは全然異なつて終戰以来農民の上に課して来た政治的理由に基くものであるということを、強力に主張いたしておるのであります。ちよつと一例を申し上げますならば、今坤の米価をきめるときにも、安本は九十品目をとつて。パリティーをきめました。農林省は九十四品目をとつてパリティーをきめた。農林省のパリティーは酒、みかん、りんご、キャラメルを加えたのであります。そうするとその指数が五点上つた。五点上れば大体百五十円ほど上るのであります。その農林省の指数はやめて安本だけの安い指数をとつた。これは百姓にもやはり酒も飲ませ、キャラメルも食べさすのが当然でありますが、その当然をも改めようとしない。あるいは基準米価でも深川正米価格だけをとつておりますが、神田川の正米価格、堂島の正米価格と三つとるのが公平の点からいつて当然であります。知つておりながら一番安い深川正米価格だけをとり、一向改めようとしない。そういう観点に立つておりましてこの価格をきめて参つたのでありますが、施政方針演説の中に、最低価格の維持という言葉をお使いになつた以上は、こういうパリティーの間違いは直せと私は安本長官に大分追究したけれども、安本長官ではよう直さないのでありますけれども、総理大臣からそういう不合理な点は直せと御命令になる御意思があるかどうか。
  33. 吉田茂

    吉田国務大臣 不合理なことがあつたら直すに政府はやぶさかでないのであります。
  34. 村瀬宣親

    村瀬委員 それでは来年のパリテイーは直すと総理大臣が言われたのでありますから、農林大臣はよくひとつ聞いておいていただきたい。
  35. 植原悦二郎

    植原委員長 村瀬君。あなたの質問はオーバーしておりますから、どうか議論はよして、わずかな質問だけ單刀直入にするならお許ししますが、あなたの意見を述べておるならば、その質問は禁じます。
  36. 村瀬宣親

    村瀬委員 それでは最後に総理大臣に伺いますが、もうここらでタバコ民営の問題に最後の終止符を打つていただきたい。これはすでに論じ盡されたのでありまして、結論は出ておると思うのであります。これは国会タバコの会においても、全国耕作農民も大反対をいたしておるところでありますので、特にこれは言い出された吉田総理大臣御自身からこの点をはつきり御言明になつて、農民に安心をさせていただきたいと思うのであります。  それから最後に特に承つておきたいことは、吉田首相の綱紀粛正に対する御決意であります。なぜこれを言いますかというと、三十五年度予算にこの綱紀粛正を乱す要素が非常に多いのであります。どこにあるかといいますと、それは災害費全額国庫負担の中にあるのであります。なぜかというと、今までの災害費が大体千六百億円と見積られております。そこに持つて来て三百七十億円しか災害費は組んでない。しかも今年度に限るというのであります。政府は全額でやろうというのであります。今まで二分の一や三分の二の補助をしておるときでも、その工事に割り込もうとして査定をとるには、いろいろな手段を講じたものなんであります。好ましからざる手段まで講じてその工事をやり遂げようと地方ではしたのであります。今度は全額ではあるし、しかもそれが二十五年度だけに限る。こういう予算の組み方をしたのでありますから、あらゆる手段を講じてこの工費の争奪戰が起るのは当然であります。自然あるいはこれが党利党略にも利用されるおそれもある。また收賄、贈賄、競合というような非常手段まで訴えて、この災害全額負担の金額をとろうとするのは、これは昭和六、七年ごろの匡救土木事業当時の実例に徴しても明らかなのであります。これらに対しまして綱紀粛正をいかに完全になさるおつもりであるか。
  37. 吉田茂

    吉田国務大臣 災害復旧費の使い方だとか、あるいは御指摘のようなことがもしありました場合には、政府としては断然たる処置をいたします。タバコは答申を待つて決定いたします。
  38. 植原悦二郎

    植原委員長 次に株百郎君に、総理大臣に対する質疑を許します。なお林君に御注意申し上げておきます。あなたにはかなり関連質問で十分寛大に取扱つております。あなたの持ち時間は七分でありますから、その限度において縮めて質問されることを望みます。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 総理に一点だけお聞きしたいと思います。それは昨日発表になりまして本日の新聞紙に出ております中ソ相互援助條約でありますが、この第一條に「締結国双方は協同で一切の必要な措置をとり、日本あるいは直接間接に侵略行為の上で日本と結びつくその他のいかなる国家の新たな侵略をも、また平和の破壊をも制止することを期す」とあります。これは先ほどの総理の答弁によりますと、まだ政府としては正式な報告を受けておらないという御答弁のようでありましたが、これはわれわれは相当信頼するに足る発表だと思います。しかもこれが第一條にうたつてあるということは、日本政府がいまもつて侵略的な性格を持つておるのではないか、」いう、国際的な危惧を多分に持たれておるということを、われわれは疑わざるを得ないのであります。これも十三日でありますか、英政府の正式な言明の中に、英政府としてもソ連を参加させる全面的な講和を望むものであつて、條約のない特定関係を日本、と結ぶことは好まないということを、はつきり英政府としても発表しておるのであります。しかもわれわれがなお憂うべきことは、米国の国内の輿論を見ましても、これはあるいは総理は一部の輿論とおつしやるかもしれませんが、相当有力な輿論として、昨年十一月十三日のタイムスには、吉田氏は前国会、次のごとく強調した。日本の中立性やその将来の安全保障が明らかになると思われる講和條約調印後までは、それらは論議するのは欲しないといつておるが――これからタイムズ紙の評でありますが、天皇と財閥を以前の権力まで復活させることが、現政府の目的であることは周知のことであり、そして過去における演説から料断するに、多分武装兵力に身をやつした軍隊の要求がおそらくそれに続くであろうということが言われております。それからさらには同じく一九四九年十一月三十日のサンデー・タイムズ紙でありますが、スクラプターという記者の言として、ドイツ問題と日本問題の間には多くの明白な類似点がある。両者ともに短かい期間に根絶することが非常に困難な軍国主義の長い伝統がある。これが再び浮び上つて来る危険は十分にあるというようなことを言われております。従つて日本の侵略的な性格については、軍事的な勢力の復活の可能性については、相当国際的に注目されておることだと思いますが、この点についての首相の見解と、さらにそれに対して首相はどういう処置を具体的にとつておるかということをお聞きしたいと思います。
  40. 吉田茂

    吉田国務大臣 中ソ援助條約の中に、日本の将来の侵略を恐れるということの文字を入れたのは、どういういきさつであるかということでありますが、これは先ほども申し上げた通り、一向その経過等につきましては知りませんがら、これに対してとやこう言明その他のことはできないのであります。またイギリスの新聞なりその他が、日本に対して、もし軍閥の復興とか、財閥の復興とかいうことについて、疑惑を持つておるとするならば、政府としてはその疑惑を解消するすべての手段を盡すつもりでおり、また盡しております。私の施政の演説の中においても、外国からして従来の軍国主義等について疑われることのないように、特に戰争の放棄とか、あるいはまた日本国において民主主義が徹底するようにあらゆる努力をするといつて、あらゆる機会において私は日本の民主主義の確立また戰争放棄の精神が、国民のすみずみまで行き渡るようにすべての施策をとるのみならず、施政の演説においても機会あるごとにこれを強調いたしておるのであります。これに対してなお世界の新聞のあるものが疑いを持つたとしても、一々これに対して取消しをするとかなんとかする手段は、今日のところできないのであります。また今日日本としては在外公館を持つておらず、また新聞の宣伝等のこともできないので、ただ日本において国会その他において、私が施政の演説において政府の趣意とするところ、国民の趣意とするところを徹底するに努める以外に方法はないのであります。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 このことは実は新聞の報道のみでなくして、現にわれわれの同僚がアメリカへ参りました際に、ボストン市から軍事スパイの嫌疑をかけられまして、参観を拒否せられたというような、われわれとしては実に耐えられない経験がありますので、首相に念を押したのであります。そこで総理の答弁を聞きますと、総理としては、できるだけそういう誤解を拂拭するための努力をしている、施政演説の中にもそれは言明しているというのでありますが、われわれが具体的に吉田内閣のもとにおける散策を見ておりますと、総理のただいまの言明と相反する政策が多分に見られるのであります。たとえば最近海上保安庁に元海軍の将校らが採用され、ソ連からアメリカヘ返環され、横須賀に繋留されている二十七隻の哨戒艇を監視するという意味で、元の海軍と同じ軍事的な訓練をしておる。また警察におきましても、これは長野県その他の県であつた例でありますが、二千人、三千人と動員いたしまして、まつたく軍隊と同じ訓練をされておる。さらにまた台湾へ渡航ました根本中将一派の元軍人の募兵事件におきましても、これは殖田法務総裁は帰つて来たら処断するということを言明されておるにかかわらず、この根本中将が台湾から帰つておるのに、これに対して何らの処置をとつておらない。それから壱岐、対馬に対しては特殊地域として三十何億という厖大な金を使つて軍事的な基地をつくる計画が予算の上から見られておる。さらに沖繩、硫黄島には多分に基地をつくるための物資、人員が動員されておる。さらにわれわれが憂うべきことは、恒久約な軍事基地化に対して、首相からはつきりポツダム宣言の範囲内で層本の国としては拒否する、あるいは適当な意思表示をなすことができると思うのですが、これに対して総理は何らの意思表示もされない。占領下庭おいてはやむを得ないというようなことを申しておるようにわれわれには考えられる。こういうように具体的な政策を見て来ますと、総理のただいまの答弁と反した施策を吉田内閣のもとにおいては多分に行われておると思うのですが、これに対する総理の見解をお聞きしたい。
  42. 吉田茂

    吉田国務大臣 私はあなたのお話とは全然意見を異にしておるので、来年度の予算その他、あるいは吉田内閣の提出した予算を通じて、そういうような御懸念のあるはずがないと思いますが、これに対してあなたがいろいろ疑惑をお持ちになるとしても、これは私は意見の相違であるからして一々説明しない。また今お話の海上保安庁その他連合軍の監視のもとにいたしておるのでありますからして、再び軍備を持つような行動、あるいは練習はいたしておらないはずであります。もししておつたとするならば、監視しておる駐屯軍がただちにこれを停止するであろうと思います。それから根本中将の問題は、私は知りませんが、もし帰還しでおつたとすれば法の示すところによつて処罰いたします。警察の軍事化はないと思います。というのは占領軍の監視のもとにやつて煽るのでありますから、そういう事実はあるはずはありません。それからまた軍事基地の問題は、しばしばお尋ねを受けますが、占領軍が占領の必要三なす施設に対しては、政府はこれに協力をす為義務を持つておると考えております。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 総理の御答弁を聞いておると、連合軍あるいは総司令官のもとにおるから軍事化はなされておらないというのでありますが、総理の具体的な施策を見ると、これに藉口しまして、実際は軍事化の施策が多分に行われておる。これをもつと真險に考えて、これを一掃しない限り、国際的な疑惑は断じて解くことはできないと思うのであります。そういう意味で、私はただいまの総理の答弁を聞いた範囲では、これはむしろ現実に行われておる日本の軍事化の方向に対して正しい認識を持たない、故意に持たないとわれわれは解釈します。のみならずこれに対してこれを一掃するだけの努力を、政府並びに與党は何らする意思がないように考えますが、これに対する総理の最後の御答弁を聞いて私の質問を終ります。
  44. 吉田茂

    吉田国務大臣 一掃する意思があります。また努力いたしております。御懸念は御無用であります。
  45. 植原悦二郎

    植原委員長 この際武藤運十郎君から関連質問を要求されておりますからこれを許します。
  46. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 それでは簡單に関連して総理大臣に御質問を申し上げたいと存じます。  ただいま林君からも質問がございましたが、中ソ條約第一條は明らかに日本を侵略国として扱つておるようであります。、     〔「ソビエトの宣伝だ」と呼ぶ者あり〕
  47. 植原悦二郎

    植原委員長 静粛に願います。
  48. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 日本は新憲法によりまして軍備を廃止し、戰争を放棄しているのに、日本を侵略国として戰争の対象にしておりますけれども、日本政府はこれについて、何かただいま林君にお答えになりましたほかに思い当るところがございますか、お尋ね申しあげます。
  49. 吉田茂

    吉田国務大臣 全然思い当るところはありません。
  50. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 中ソ條約第二條は、日本と特定国との同盟條約の締結を前提としておりますけれども、政府はかかる同盟條約を締結する意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  51. 吉田茂

    吉田国務大臣 ただいまのところそういうことは全然問題になつてお。ません。少くとも講和條約後でなければ、そういう問題は日本政府としては議する資格がないのみならず、今日において私の申すことは、ただいま申した通り連合国の中の二箇国がなした條約に対して、私がとやこう占領下の政府当局者として、さしでがましいことは加えられない地位にあるのでありますから、お答えできません。
  52. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 日本が米ソその他の特定国と單独講和を締結し、または同盟條約を結んで軍事基地を提供し、あるいは軍隊を通過または駐屯せしめることは、必然的に日本を戰争に巻き込むことになるのではないか、この点について、総理大臣の所見を承りたいと思います。
  53. 吉田茂

    吉田国務大臣 そういう抽象論に対しては、例によつてお答えをいたしません。
  54. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 それでは私の質問を終ります。
  55. 植原悦二郎

    植原委員長 これにて休憩いたし、午後は正一時より開会いたします。     午前十一時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十一分開議
  56. 植原悦二郎

    植原委員長 これより会議を開きます。質疑を継続いたします。世耕君の農林大臣に対する午前中の質疑が中途で打切られておりますので、この場合世耕君に農林大臣に関する質疑の継続を許します。世耕弘一君。
  57. 世耕弘一

    ○世耕委員 農林大臣に簡單にお尋ねいたしたいと思います。災害復旧の問題で、これは建設大臣もちよつとそういうことは触れておつたように思いますが、災害の十五万円以下の工事は切捨てて、政府はこれに援助を與えないというようなことが、説明されており、また実際そういうようなことがあつたのでありますが、これは私はなはだ不当なものだと思う。こういうことが言えるのです。その一つの理由としてたとえば新潟とか、富山とかいうような農地のたくさんあるところの土地と、和歌山県のような、あるいは長野県のような山間部の一反歩とたいへん差が出て来るのであります。同時に工事の金額のごときも、その土地々々の事情によつて、金高のしんしやくをすべきであつて、十五万円以下は損害を見るの見ないのという行き方は、私は従来の官僚の行き方とちつともかわりはないと思います。かように考えるのであるが、この点について間違いだと思うのでありますが、農林大臣どう考えておられるか。  それからもう一点は、今日の時代は、もう日本人としては粒食というような考え方はかえなくちやならぬ時代ではないか。粒食から粉末食、さらに液体食というようなふうに、徐々に文化的な食糧に切りかえて行かなければ、日本人の文化生活というものは成立つて行かないのじやないか。そういう点に対して農林省は何か計画をお持ちになるか。食料科学について何か権威ある研究をとられておるかどうか。この二点を伺つておきます。
  58. 森幸太郎

    森国務大臣 お答えいたします。災害の復旧に対して十五万円という制限を一応設けたのでありますが、これは昨日も御質問があつたのでありますが、実は相当工事費がかさんでおりますので、小部分の復旧につきましても十四、五万はかかるのであります。一反歩の河原になりましたような田を、元へもどすだけでも十二、三万円ぐらいかかるのであります。ですからまことに軽少な地区でも十五万円ぐらいはかかるのでありまして、十五万円ぐらいの程度で決して災害に取残されたということはないのではないか。また地区によりましては、漢谷地等におきましては、できるだけその復旧をいたすように、その町村の耕地の一割というような予定をいたしておりまして、できあだけこの十五万円以上の工事をというふうに考慮を拂つて行きたい。これで現在さしつかえないのではないか、かように考えておるわけであります。  なお食糧問題につきましては、これは御承知通り日本人は穀物で主として生活いたしておりまして、日本人の体質がそういうふうに今日つくり上げられておるのであります。しかしかような胃拡張なからだをつくり上げて、どうでもこうでも腹一ぱい食わなければならぬ。いわゆる栄養で行くよりも、むしろ量というような食生活をして来たことは、日本としては非常に誤りであり、かつ国土の狭いところに国民がふえて、また腹一ぱい食べて行かなければならぬということであつては、対外的な関係もたいへんなことと思うのであります。今後は家庭等へ呼びかけまして、食生活の根本的な考え方を改めてもらうということが必要なことでありまして、これはひとり農林省食糧政策の上のみならず、厚生省の国民保健の上からいつても、私は重要な問題と思うのであります。幸いと申してはどうかと存じますが、日本人はやむを得ない事情では詰りましたが、粉食にもなれて来まして、そうしてパンの生活もやつて来たのであります。しかしパン生活、粉食生活をいたしますと、やはりここで脂肪ということを考えて行かなければならないのでありますから、カロリーの蛋白質の補給ということを加味し、また家庭の料理におきましても、科学的に栄養本位に料理を立て行くという、量よりも質というふうに今後持つて行くということが、これはひとり先ほど申し上げました食糧需給対策の上からではなしに、国民の保健の上がらいつても、必要であると思います。幸い水産物に恵まれている日本、また今後有畜農業にいたしまして、家庭的にも畜類の蛋白質をとるということを理想として、国民の食生活を改善して行くことが妥当であり、またそうして行かなければ日本食糧問題は解決しない、かように考えておるわけであります。
  59. 世耕弘一

    ○世耕委員 大体了承いたしましたが、なお研究を続けていただきたいことを希望いたします。  次にお尋ねしておきたいことは、農村の人口問題、この人口問題については、各委員からそれぞれ詳細な質問がおありになつたから、その点は触れない。触れない点だけお尋ねいたしますが、農村の人口問題と産兒制限の問題であります。農林大臣はどういうふうに考えておられるか、昨日の新聞でございましたか、サンガー夫人の日本入り拒否、有名なマーガレット・サンガー夫人の日本入国に関し、総司令部は十三日、同夫人の日本入国を再び拒否したと発表しておる。サンガー夫人は日本の産児制限計画の顧問として、日本におもむくはずであつたが、総司令部が今回の措置をとつたことは、日本人がみずからを救う権利を、日本人から奪うものであることを強調した、こういう新聞が出ておるのですが、私は総司令部の賢明な見解だと思うのだが、これは厚生大臣の部門に属するかもしれぬが、一面農林大臣にも重要な関係があるから、特に農村経済に直接関係を持つ産兒制限に関して、農林大臣はどういうようにお考えになつておるか、お尋ねしておきたいと思います。なお食糧政策の結論としてお伺い申し上げたいのは、現在の日本人の食べておる主食あるいは副食について、現在われわれの食べておる副食物と考えておるものをば主食にするところまで、日本の食生活が科学的に進歩して行かなければ、ほんとの文化人は成立たないものと私は考えておるのだが、農林大臣はどういうように考えておられるか。これをもつて私の農林大臣に対する質問を終ります。
  60. 森幸太郎

    森国務大臣 二つの御質問に対して答弁を忘れておりましたが、栄養食糧については、農林省食糧研究所というものを設置いたしまして、あらゆる食糧について恒久的蓬栄養の立場から研究しておるのであります。たとえば一つの例でありますが、玄米を食う。そうすると脚気もわずらわず、栄養が非常にある。しかし日本国民の性格として玄米は困る。こういうようなつまりジレンマに陷つておる問題につきまして、この研究所で研究いたしましたことは、ある一定の措置をいたします。と、ぬかに含んでおるところの栄養分が、内部に滲透してしまうのであります。そうすると、これを普通の白づきにいたしましても、玄米と同じ効率が、あるということも研究されております。またみその製造の上におきまして、あるいはしようゆの製造の上におきまして等々と、いろいろ食物についてせつかく研究を進めておりまして、これを今後の食生活の改善に持つて行きたいと考えておるわけであむます。  今御質問の人口問題と農村でありますが、これは私が考えておりますことは、国民各自々々の――何と申しますか、自覚によつて処理すべきことでありまして、産めよ産めよと奨励したり、あるいは産むな産むなと奨励したり、こういうことははなはだ権道であつて、正道でないと私は思うのであります。文化生活をしている人が存外子供が少いということは、おのずから自分の生活の環境をよく考えられて、おのずから調節できておるのではないかと思うのでありますが、農村におきましては、そういうふうなことでなしに、やはり産むという気持でなしに、生れて来る、また産むべきいわゆる自的なしに、多産というような生産が多く続けられておるのではないかと思うのであります。従いまして自分の家庭ということを存えずして行う人ができるというような傾きは、農村、漁村、山村には多いと思うのであります。しかしながら国家の立場から申しまして、何かおかしいことを申すようでありますが、国土へそういう生物をおろすということは、神の攝理としてこれは当然われわれその国土に住むものが、それだけの人間を養つて行く責任がある。これを養えないのは政治の貧困である、こう私は考えておるのであります。ベルギーのごときは産児制限をしておりません。そうして日本と同じ程度に人口は増加をしておりますけれども、決して食糧問題は窮迫いたしておりません。ベルギーは増加する人口を有利に利用いたしまして、そうしてその工業力によつて輸出を盛んにするということによつて、ベルギーの国は成立つているわけでありますから、そうして私はこういう問題について厚生省の方針と少し違つておるようでありますが、私は食糧問題をあずかつておる立場といたしましても、そういうむりをしないということで行くことが、たいへん人間性、社会性の上においてのつの許されたる大きい使命ではないかと考えておるのであります。
  61. 世耕弘一

    ○世耕委員 文部大臣に簡單に重要なことだけお尋ねをして、あとは他の機会に譲りたいと思います。私は日本の敗戰後の道徳の頽廃は、宗教教育の火除から来たんだ、こういうふうに考えられるのでありますが、文部大臣は今後の道義頽廃の回復策として、社会教育を施すというような観点からお話があつたのだが、この点はその趣旨においては反対ではありませんが、少し足りないような感じがあるが、宗教教育に対する積極的な考えはどうか。  それから第二点は、教戰員にして教育者として不適格者があることは、新聞その他においても発表された通りでありますが、特に国立大学の教職員に対する不適格者のその後の処置を、どういうようになされたかということ。  それからもう一点は学生の入学定員制であります。私はこれは封建的だと思う。だから入学試験なんということは資格試験で、あとは開放すべし。そうして進級、事業の場合に、嚴重な試験を行うという行き方が最も合理的だと思うが、この点文部大臣はどうお考えになつているか。もう一つは、これは大蔵大臣にも聞こうと思いますが、見返り資金の中から私学振興並びに戰災学校の復旧資金に流用するという考えはどうか。  最後の問題といたしまして、国立大学の学生暦において、非常な月謝の滞納者がある。おそらく数億に上るのではないかというふうに私は予想しております。それはどういうところから来たかというと、経済事情から来ておりましようが、実際の実情から言うと、定員制の災いが原因していやせんかと考えられるのであります。しかもある一面から言えば、国立大学へ入りたいという多くの希望者が門戸が狭いために入れなくて、せつかくつた連中は、経済力がなくて途中で退学したりあるいは月謝を滞納する。こういうような現状では、教育の機会均等ということは実際的には当てはまらないじやないか。これに対する調和いかん。  それから先般本会議で問題にいたしましたが、私立大学と国立大学との扱い方、予算の関係で国家の予算と一般人の寄附による私立大学の支出は違うというような御返答があつだが、それもごもりともだと思いますが、国費が官立の学生にのみ多く支給されるということの矛盾をどう調和するか。統計もあり、資料もありますが、長くなるから申しません。今私立大学の国家関係で補助を受けるかと思う範囲では平均約一方円であります。ところが国立大学の学生は十万五千円という数字が出て来るのであります。かような開きがある。しかも今日は私立大学も国立大学も、国家に貢献するところにおいては何らかわりがない。むしろ教育という大きな国家事業から考えてみたならば、私学が一万円、国立大学が十万五千円の一人当りの費用を支出するというような分配の仕方は、はなはだ適当でないと、大ざつぱではありますが、考えられるのであります。たとえば私立大学においては、学生十三人に対して一人の教職員が当るのであります。ところが官立では一人の職員が一・三人の学生の割合になるという計数が出て来るのであります。国家経済の困難なときに、かような矛盾した取扱いは適当ではないように考えるのであります。それが一点。  最後に、これは請願もいたしておきましたが、巷間話題に上つております南北朝の正閏論の問題であります。ある雑誌によりますと、国家の象徴ともいわれる天皇がほうきのかつこうをして写真に出ておる。あるいは新たな天皇があそこにもここにもというように、もうすでに二、三名名乗りをあげて来た。しかもそれは国内だけの問題ではない。それが外国の新聞雑誌にも掲載されておるということは、はなはだ尊嚴を傷つけはしないかと思うのであります。できれば私はこの機会に、さような問題を拂拭するように、ひとつ文部省が主催になつて、調査会でも開かれて善処なさることが必要じやないかと思いますが、以上の点について、文部大臣に簡單でよろしゆうございますから、御答弁を承つておきたいと思います。
  62. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 お答えいたします。最初に宗教教育の問題でありますが、これについては先日もこの委員会で御質問がありまして、私としては宗教教育というものは非常に重要な問題である、ことに今日のような思想的にも生活的にも不安定な時代におきましては、個人の精神生活から申しましても、また社会生活の上からいつても、きわめて重要なものでありますから、大いにこれが普及することを希望するということを申し上げたわけであります。けれども新憲法にも明示されておりますように、信教の自由ということは尊重されなければならないのでありますから、文部省といたしまして、学校教育の上で特定の宗教をどうするということは好ましくないことでありますから、一般的に情操、宗教的な信仰というものを、ぜひとも国民の間に強めたいという方針で進んでおるわけであります。ただこの前も申しましたように、特殊の私立学校において、特定の宗教を信教として奉じておるものはあります。それは自由に、宗教教育を十分にやつてさしつかえないと思います。そういう点から文部省は、特定の宗教に対してどうというようなことを積極的にやらない方針でやつております。もちろん一般的に宗教心というものは非常に大切なことでありますから、これが高揚されるようにした、ということで、できるだけの努力をして行こうという方針でやつておるわけであります。  それから教戰員の不適格という問題でお尋ねがありました。ことに国立大学での問題でありましたが、これも本会議でたびたびお話がありましたが、超国家主義的な思想を持つておる者は、教職員適格審査において不適格になります。もちろん思想は個人として自由でありますが、これが教育に影響するという点については考慮しなければなりません。それで教育の上にその思想が影響しまして、破壊的な結果を生ずる、あるいは学内の秩序を乱すような言動に至る、政治的な中立性を侵すというような言動に至る場合は、断固として処置しなければならない、こういう方針で行きたいと思います。各大学におきましても、むろんその方針によつて学内秩序の維持を考えておりますから、その方針で処理されると思いますが、今までのところ、そういうことで処理された人がどの程度にありますか、数字を集めておりませんので正確なお答えはまだできません。  それから学生の定員制についてお話がございましたが、定員制の問題なかなかむずかしい問題でありまして、お話のように最初入つた定員の数が卒業するまでにだんだん減つてしまうというとでいろいろな欠陷が起ることもあります。ただしかし定員は学校の施設の関係からどうしてもきめなければなりません。小さな施設のところへ多数の生徒を形式的に入れるというようなことは、教育的におもしろくないことでありますから、施設の規模に応じた定員というものは、どうしても一応きめなければならないと考えております。  それから私学の振興についてのお話であります。これはむろん私どもも十砂考えているわけで、はなはだ不十分ではありますけれども、戰災復旧について二十五年度三億七千五百万円ほど補助をいたすような予算になつております。私立学校法をつくりまして、そういう点も法律的に疑問のないようにいたしましたし、また今日の経営困難の状況から、收益事業を営んでもいいということにいたしましたし、今度の税法改正で、私学に対しては特殊な取扱いができるというふうにもなりましたから、間接的には相当私学のために援助になるかと思つております。それから見返り資金を使つたらどうかというお話でありますが、見返り資金の使用については、非常に嚴重なわくがありまして、現在のところは困難と考えております。  それから私学と官学との予算の問題でありますが、これは建前からいつて政府の予算との関係ははつきり別でなければなりませんし、私学に対する国家の援助は、やはり特殊例外的な場合においてこれを国家がやるという建前が正しいと私は今でも考えております。  それから授業料滞納者か国立大学において非常に多い、これは事実でありまして、はなはだ遺憾に思つておりますが、卒業する時分にはたいていの者がまた納めるようであります。しかしその間滞納していることが多い、これもはなはだおもしろくありませんので、何とか処置しなくてはならないと思つております。滞納者がある場合に、これを整理すれば空席ができて、入りたくて入れなかつた者を收容して満足させることができるというお考えもあろうと思います。これもできないことはない。学校の方針でもつて、滞納者が悪質で、これはどうしても除名すべきだという者は除名できることになつております。そしてあいた場合に、他の大学から転入学させることも、規則上できることになつております。ただ大学の方針として、この点実際問題としてなかなか困難なことがあります。やはり大学になりますと單位制度がおもでありますから、履修科目なんかが違つているようなこともあります。また大学としての優劣とまで行かなくとも、それぞれ程度に違いがあつたりしますから、大学の方針としては、自由に転入学を許すわけに行かないというようなことで、規則上できることでありますけれども、実際上はなかなか転入学できない状況にあると私は考えております。  最後に南北朝の問題でありますが、これはやはり專門の歴史家の周到な研究の結果によつて事実が明らかにされるのでありまして、文部省が特にそれを調査する特別の機関をつくつて決定することは、はなはだ私は好ましくないと考えております。
  63. 世耕弘一

    ○世耕委員 大蔵大臣その他の質問があるのですけれども、来ておられませんから、私の質問は留保して、ほかの方にお譲りいたします。
  64. 植原悦二郎

    植原委員長 世耕君に割当てられた時間はもう三十三分に限られておりますから、この際念のために申し添えておきます。  この際米原昶君より説明員として石田税関部長の出席を要求されております。石田税関部長は出席されました。ごく限られた時間で米原昶君の質問を許します。
  65. 米原昶

    ○米原委員 簡單に事実だけをお尋ねします。石田税関部長は、先日東京商工会議所で講演会を開きまして、そこで、暮の十六日ですか、ブラッセルにおける国際会議日本政府の代表として参加されて、正式に條約に調印されて来たような話をなさつたようでありますが、これは事実であるかどうかということを、第一にお聞きしたいのであります。
  66. 石田正

    ○石田説明員 ブラッセルの会議に参りまして、調印して参りましたことは事実でございます。
  67. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、信任状を持つて行かれたわけでありましようが、それは私たちの聞いておりますところでは、十二月九日に、吉田総理大臣から直接信任状を受けられて、そうして十日に出発されて、十六日の会議で調印されたと聞いておりますが、その通りでございましようか。
  68. 石田正

    ○石田説明員 持つて参りました委任状は、たしか十二月七日付であるかと思います。十二月九日に東京を立ちまして、十二月十六日に調印いたしました。
  69. 米原昶

    ○米原委員 その信任状は、吉田総理大臣から直接受けられたでしようか。
  70. 石田正

    ○石田説明員 委任状の名義は外務大臣になつておりました。私は外務当局から大蔵当局に手渡されましたのを受取つてつたのであります。
  71. 米原昶

    ○米原委員 その條約は、万国関税率公刊に関する協定と聞きましたが、その中に、日本政府として分担金を引受けて来たようなお話つたと思いますが、そういうことになつておるわけですか。つまり日本政府として、ある債務負担行為が伴つているところの協定であるかどうかということを聞きたいのであります。
  72. 石田正

    ○石田説明員 十六日にきまりました議定書は、従来の国際関税事務局に対しまするところの経費の増額と、その各国別の分担というものを、こういうふうに改めた方がよろしいという意味の議定書であります。
  73. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、やはり日本側として、その議定書によつてある分担金を引受げることになる、こういうことが出て来るわけでございますね。
  74. 石田正

    ○石田説明員 議定書に対しまして私の調印いたしましたところの意味、その効力に従いまして、その問題は解決される、こういうふうに思つております。
  75. 米原昶

    ○米原委員 次に、その講演会で講演されている内容、この新聞に出ておりますが、その中で、この会議に部長が出席されたのは、講和條約以前にも、各国と協定をし得るような前例をつくることが一つの目的であり、もう一つの目的は、国際貿易機構、並びに現在の関税協定への参加のための捨石となることをねらつたというようなことを、講演でなされたということが、この新聞に、あなたの写真入りで出ておりますが、大体そういうことが目的であつたのでございましようか。
  76. 石田正

    ○石田説明員 私は、こういう目的で参れということを、政府から明示されて行つたわはではございません。それから私一人参つたのではありませんので、関係方面から同行者がございました。この関係方面の同行者には、事前にもいろいろと事務的な碁打合せをしたわけでありますが、その際私が受けました印象では、そういうことがあるのではないかということを言つたのでありまして、新聞にはどう書いてあるかわかりませんが、私はそういうふうに観察したということを申しておるにすぎないのであります。
  77. 米原昶

    ○米原委員 これ以上の問題を部長に聞きましても、これは政策的な問題になると思いますから、やめますが、ただ今わかりましたことによつて――吉田総理大臣は、私の質問に対して、先日は調査するとおつしやつたのです。しかしこれは自分の関知されない、全然別個のことではなくて、自分が委任状を出しておられる、正式調印をさせるための日本政府を代表する親任状を一自分で出しておりながら、そのことすら調査しなければわからぬ。当然わかる自分自身のことすら、国会に発表されていないというので、はなはだ重大だと思う。それからこれは国会の承認を得ていない。この点でも憲法違反であり、それからこの分担をするという意味でも、これは憲法違反であります。これは政策的の問題でありますから、石田税関部長には、この点についてはここでは追究いたしません。ただ一番重大なのは、いかなる資格で行かれたかということです。この占領下において、はつきり日本政府を代表して、外国と外交條約を結ぶということは、重大な点でありますが、この点において、いかなる資格において行かれたかということを、明確に説明してもらいたいと思うのです。
  78. 石田正

    ○石田説明員 私のもらつて参りました委任状を読みますと、私は、調印に関しましては、日本国憲法の定めます。承認を條件として調印することができる、こういうふうに相なつております。
  79. 米原昶

    ○米原委員 そういうことで、大体明確になりましたから、これをもつて私の質問を打切ります。     〔「その委任状を持つてどうして来たんだ。それをはつきりしなければいかぬじやないか」と呼ぶ者あり〕
  80. 植原悦二郎

    植原委員長 林君、静粛に願います。  次に武藤運十郎君に質疑を許します。  なお念のために申し上げておきますが、武藤運十郎君と勝間田清一君に割当てられた時間は五十九分であります。その範囲内において御両方が質疑を終了せられることを希望いたします。武藤運十郎君。
  81. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 私は厚生当局と法務府当局にお伺いしたい。  去る一月十六日に、国立癩療養所の栗生楽泉園におきまして、二人の狂暴な患者が、数十名の患者によつて撲殺をされた事実がございます。一昨々年の例の草津の楽泉園における人権蹂躙事件以来、厚生当局と療養所当局の非常に熱心な御努力によりまして、癩療養所の施設は画期的な改善を見ておりまして、私どももまことに同慶にたえないと思つておるやさき、かような不祥事が起りましたことはまことに遺憾であります。聞くところによりますと、この撲殺をされた二人の患者は、いわゆる凶状持ちでありまして、手に負えないような凶暴な患者だつたそうであります。これに対して何ら法的に措置する方法がないので、やむを得ずリンチが加えられたという形になつたようであります。聞くところによると、癩患者の犯罪者に対しましては、検察当局では犯罪を発見しましても、癩患者なるがゆえに無條件で釈放しておる。あるいは形式的な取調べをして起訴猶予ということにしておるようであります。それからまた療養所当局におきましても、あるいは犯罪がありま恥しても放置せざるを得ない立場にある。あるいは患者のたらいまわしを各療養所でしておるという事実があるやに聞き及んでおるのでありますが、かような不祥事が起りましたことは、要するに癩患者の犯罪に対する国家の対策というものが、確立されておらないからだと考えるのであります。この点に関して両当局の所見並びに対策を承りたいと思うのであります。
  82. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 お話のような問題が起りましたことは、はなはだ遺憾に存ずるのでありますが、かような事件が起ります原因と申しますか、理由と申しますか、それはつまり癩療養所の特殊な性質からいたしまして、法律規則の適用が弛緩しておる、つまり十分に励行されなかつたということから、法律規則に対する信頼が失われた。ことに殺されました患者は、最も素行の悪かつた者でありまするにかかわらず、この素行の悪い患者に対して、敏速かつ有効な措置が従来とられておらなかつた。自然他の患者がこれに憤激いたしまして、みずから実力を行使した、こういうことのようであります。このような不祥事件がたびたび起りましては、まことに申訳ないことでありますので、たといいかなる理由があるにいたしましても、これを今後は断固やめなければならぬのであります。  しからばどうすればよかろうかということでありますが、療養所長は、所内の秩序維持のために、適当な懲戒の権能は持つておるのでありますが、それではむろん犯罪に対しては効果がないのであります。かような犯罪がありましたときに、ただいま武藤さんのお話のごとく、犯罪を軽く取扱うということも従来停むを得ない措置としてあつたかもしれないのであります。しかしそういうわけには行かないのでありまして、犯罪の訴追も十分にいたし、処罰もまたこれを励行するということでなければならぬと思うのであります。しかし癩というものは特殊な、非常に重い伝染病でありますから、普通人と同一に取扱うことができないので、あります。私どもの今考えておりますところでは、癩療養所の中に特殊な施設を設けて、その中で監禁、拘禁もいたし、刑の執行もする。同時に癩の療養もして行く。そしてつまりこれは外部との接触を最もいとうべきものでありますし、この伝染病は絶対に取締らなければならぬ問題でありますから、そこで外部とは接触させず、癩療養所内だけで片づけるという措置をとることが、一番適当であると考えまして、実は昨年未来厚生当局、始終相談をいたして、厚生当局におきまして予算上の措置もいたすことになつてつたのでありますが、財政上の都合によりまして、不幸にも来年度予算にもまだ計上されておらないのでございます。なるべくすみやかに右のような方針を実現するように、努力をいたしたいと思うのでございます。
  83. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいま御質問になりました草津楽泉園の不祥事件でありますが、御質問の中には二名殺害されたという話でありますが、事実は五名でございます。まことに遺憾なでき事でありまして、国立癩療養所を所管しております私どもといたしましては、非常に遺憾に存じまして、善後措置は十分に講じておるつもりでございますが、根本の問題は、ただいま法務総裁からのお答えもありました通り、癩療養所内に適当な行刑措置を講ぜられるような施設のないことがその原因でございます。国立癩療養所十箇所の所長は、すでに何十年という癩療養所運営の経験を持つておられまして、日常不幸な癩患者とまつたく寝食をともにしておられ、癩患者の精神状態から、すべての生活に対する態度等を心得ておられますが、その療養所長の長年の希望であり、また所長会議における毎回の決議事項が、この施設の設置であつたのでございます。不幸にして今日までその完全なる実現を見ないで来たのでありますが、幸いに昨年来法務当局と厚生当局との間に、きわめて円満な話合いが進んでおりまして、これが今年度においては実現すると思つたのでありますが、非常に困難な障壁にぶつかりまして、まだ実現に至つておりません。結局ただいままでこのことが実現いたしません理由は、この施設なり運営の主管の問題と、それからこういういわゆる不良癩患者に対する療養重点主義と申しますか、一方また行刑重点主義と申しますか、この二つの考え方の間に、適当な調整ができながつたのでございまして、私どもといたしましては、たとえば癩患者でありましても、法に照して、これを正しくさばくべきものは厳重にやらなければならないという、所長の結論に同意しておるわけであります。いわゆる行刑重点主義に傾かざるを得ないのでありますが、一方法務当局の方は、やはり病院としての療養に非常に重点を置くべきであるというお考えでありまして、この点いろいろ話合いの結論に達しておりません。しかしながら最近この不祥事件が起りましたので、実は昨日から国立癩療養所長会議を開いておりますが、その所長全部が再びまた急速に、いわゆる癩刑務所の問題の解決を希望されまして、実は本日も朝来法務、検察、各方面を陳情に歩いておられるような次第でございまして、私どもといたしましては、法務当局と十分に折衝いたして、一日も早く完備した施設のできるように努力いたしたいと思つております。
  84. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 ただいま両当局の御説明を承りますと、法務総裁のお話では、従来癩患者の犯罪に対する処置が十分でなかつたということを遺憾に思われておるようでありますが、私は警察官あるいは検察官が必ずしも怠慢であつたとは思わない。実際において、かような伝染病に対しては調べる場所にしても、拘置する場所にしても、なかなか得ることが困難でありまして、要するにその法と設備の不備ということが、こういうふうに問題を放任させに原因であろうと思うのであります。在つて適当な設備を施さない限りは、いくら今後犯罪に対する措置を励行しますということを申されましても、末端では行われないだろうと思うのであります。そこで問題は、癩患者の犯罪者を收容する拘置所と申しますか、それから既決の犯罪者を收容するところの刑務所と申しますか、そういうものを特設しなければ、結局何にもならないと思う。今厚生当局から承りますと、何かこれが実現しなかつた理由の一つとして、両当局の主管問題について、療養重点主義か、行刑重点主義かということで、御意見が一致しないということも、大きな理由であるというように承つておりますが、もしかような事実があるとしますならば、遺憾千万なことでありまして、これは話せばいずれかに解決すべき問題だと思う。ことにこの癩療養所に刑務所の出張所といいますか、分館といいますか、そういうふうなものでも大した予算はかかりませんがら、至急設けるようにいたしまして、行刑に対する責任は主官庁である法務府が持つ、療養に対する責任は療養所内において厚生当局が持つというふうにしますならば、この二つの療養重点主義なり、行刑重点主義なりとしいわれておる主義の調和というものは、決して不可能ではないと思う。この点についてどういうふうにしようと具体的にはお考えになつておるか、もう少し突き進んで法務総裁と厚生当局の東医務局長お話を承りたいと思います。
  85. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 私も武藤さんの御意見と大体同感でありまして、なるべくすみやかに適当の処置を講じたいと思います。また両当局の話合いは、実際問題といたしまして、そんなにめんどうなものではないと思います。これは実際具体的の場合にあたりまして、適当に話合いができるものと思います。ただ私は、実はこまかい問題につきまして御説明を申し上げかねますので、事務当局が参つておりますから、事務当局よりお聞き取りを願いたいと思います。
  86. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 ただいまお尋ねの癩患者が犯罪を犯した場合に、それをいかに処遇するかという問題でございますが、この点につきましては先ほど法務総裁から御説明申し上げましたように、特別な刑務所を設けて癩患者をそこに收容して、療養しながら行刑を施すか、あるいは療養所の一角に特別な施設を設けて、療養しながら行刑を施すかという点について、従来法務当局と厚生当局との間に、なかなか話がまとまらなかつたのでありますが、昨年の夏以来たびたび折衝いたしまして、結局先ほど法務総裁から申し上げましたように、両者の間に円満に話合いがまとまりまして、昭和二十五年度の予算においてこれを実現しようということになつたのであります。それは癩患者という特別な性質にかんがみまして、絶対に社会から隔離してこれを療養しなければならぬ。いかに犯罪者であつても、癩患者の犯罪者はこれの療養を主としなければならぬ。療養をしながら行刑の目的を達しよう、こういう点において結論を見出したのであります。すなわち普通の刑務所におきましては、さような特別な医療の施設を何ら備えておりませんので、癩療養所の一角に特別な施設を設けて、癩患者の犯罪者に対してはこれを迅速に取締りをなし、起訴すべきものは起訴し、刑の執行も十分に行つて行こうということに話合いがついたのでありますが、遺憾ながら明年度の予算においては、財政上の関係から少しも認められませんので、遂に実現に至らないようであつたのでありますが、その際に草津療養所においてお説のような不祥事件が起りましたので、はなはだ遺憾に存じておるのであります。近い将来田において機会がありますれば、ただちに予算的措置を講じて、人的、物的に特別な施設を設けて、癩患者に対する刑の訴追及び行刑の冒的を達したいと考えている次第であります。
  87. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 両当局に対する質問はこれで終ります。  次に私は建設省当局にお伺いをしたいと思うのであります。建設省におきましては、今般住宅の欠乏を補うために、住宅金融公庫の構想によりまして、約百五十億の住宅建設資金を計上されたようであります。これは、三百五十万戸といわれる住宅の不足に対しましては、決して十分な金額であるとは考えませんけれども、しかしながら従来閑却されておつたところの住宅問題に対して、百五十億という金額が計上されましたことは、非常に喜びにたえないのであります。ただ私のお伺いしたいことは、この住宅金融公庫に使われるところの百五十億が、はたして勤労者の住宅を満たす役に立つかどうか、言いかえますならば、今一番住宅の欠乏に苦しんでおりますものが勤労者であることは、疑いの余地がありません。従いまして国家が予算を計上して住宅を提供するならば、まずこの最も欠乏に苦しんでおるところの勤労者に住宅の提供をしなければならないと思う。そういう意味におきまして、はたして今度の金融公庫の貸出し方法その他が、勤労者にまず第一に住宅を提供するような形で行われるかどうか、ということをテーマとしてお伺いをしたいのであります。最初にこの住宅金融公庫の金融の方法を、ごく簡單でけつこうでございますけれども、具体的にお示しを願いたいと思います。
  88. 益谷秀次

    益谷国務大臣 住宅金融公庫法と申しますのは今立案中でございます。各方面と交渉いたしておりますので、従つていまだ閣議決定になつておりませんが、構想は持つておりますから、詳細の点は事務当局から御説明をいたさせることにいたします。ただ今日最も住宅難に苦しんでおる階層は、申すまでもなく勤労階層でありますから、勤労階層方面の住宅難を緩和するということは、住宅金融公庫のねらいであることだけを私から申し上げておきます。
  89. 伊東五郎

    ○伊東(五)政府委員 住宅金融公庫の金融の仕方の大体を説明しろというお話でありますが、ただいま大臣から申し上げましたように、こまかい点、具体的の業務方法につきましては、法律で規定したいと思つております。その法律がまだきまりませんので、確定的なことを申し上げるわけに行きませんが、私どもの考えております大体の構想だけを申し上げてみたいと思います。百五十億によつて、鉄筋コンクリートのもの木造などを合せまして、大体八万戸程度のものについて貸付をなし得る予定でございます。貸付の対象としましては、個人とか住宅組合法百によります住宅組合、それから特に会社などで、貸家、アパートをつくるなどという場合を考えております。この貸付方は公庫自体が決定するわけでありますが、公庫の職員としまして、全国各府県に一、二名程度以上駐在させまして、全部で百五十名ほど考えておりますが、この職員では八万戸の貸付全部について調査し、資金の回收等をすることが困難でありますので、その業務は銀行などに委託したいと思つております。銀行で受付けまして調査をして、その結果公庫で貸付の決定をするという、こういう段取りに考えております。  それから貸し付ける建物でありますが、あまり大きなものに対しては貸し付けない。大体三十坪程度から小さいものに貸し付ける。そうして建設資金、それから土地の入手の資金と合せまして、これに対して最高七五%程度まで貸し付けたいというふうに考えております。それから金利及び貸付の期限でありますが、大体五分五厘程度にいたしまして、木造なら十五年程度、鉄筋などの堅牢な建物でありましたならば、三十年程度にいたしたいというふうに考えております。
  90. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 私はこの前ちようど出ておりませんでしたが、金融公庫の百五十億のうち個人並びに住宅会社には百五億ぐらい、地方公共団体の貸出しが四十五億ぐらいというような御説明が、建設大臣からあつたそうですが、事実でしようか。
  91. 伊東五郎

    ○伊東(五)政府委員 百五十億のわけ方につきましてはまだ決定しておりませんが、大体個人あるいは組合等を主体として考えておりまして、地方公共団体への貸付は、別に公共事業費で庶民住宅の経営をやつていただいておりますので、この方の貸付は困難ではないかと考えております。
  92. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 ただいまの住宅局長お話は、少し簡單過ぎるように思うのでありますが、何新聞だつたか私は覚えておりませんが、住宅局長の談話としまして、一つの例が載つてつたように思うのでありますけれども、十坪ないし十二坪の建物に対しては、建築費約二十万円と見て、今のお話の七五%程度で十五万円ぐらいを貸し付ける。期限は今のお話の十年ないし十五年見当であるということになると思いますが、そうしますと返済方法を考えると、利息を合せまして、月賦で拂うとして、一月千円から千五百円の償還金になるのではないかと思うのであります。なおこのほかに家を建築した者は地代を拂わなければならぬ、家屋税を拂わなければならぬ、しかもこの地代と家屋税は、来年度から非常に値上りになるということになつておる。なおそのほかに十坪の家を建てるといたしましても、七五%の不足金の二五%は手持ちを持つておらなければならない。三十坪の借地権の権利を得るといたしましても一万五千円ないし三万円がいる。五、六万円の手持ちを持つてつて、しかも月々千五百円ぐらいの月賦を拂つて行く、資力のある者でなければ、家が建てられないということになるであろうと思うのでありますけれども、今の賃金ベースから申しまして、労働者はとてもそんな高い月賦が拂つて行かれるはずはないと思う。六千三百七円ベースにしまして、住宅費は百七十一円であり、七千八百七十七円ベースにしましても二百八十五円しか見積られていない。このくらいの負担力しかない労働者に、毎月千五百円以上の金を拂つて行くことは、実際問題としてできないと思う。しかも坪二万円程度の家でありましては、十五年たつたならば、おそらくこれは朽廃しまして使えなくなると思う。何のために家をつくつたかわからないということになると思うのであります。そこでむしろさような金を貸し付げて、拂わせて家を持たせるという国家の住宅政策を切りかえて、国家で国営住宅を建てる。百五十億の予算があるならば、これをもつて不燃性の鉄筋コンクリートのアパートでも建てまして、そうして貸金ベースに見合うような家賃で貸し付けて行くというふうな政策に切りかえる方が、住宅に欠乏して駆る勤労者に住宅を提供するという目的に一致するのではないか、そういうふうに使い道を切りかえてはどうか、こういうふう忙考えるのでありますが、この点に対する厚生当局のお考えを承りたいのであります。
  93. 伊東五郎

    ○伊東(五)政府委員 勤労者の負担力と、この資金の償還金との関係等についてお尋ねになつたのでありますが、大体ただいま申されました程度でよろしいかと思いますが、私どもの試算で参りますと、十二坪の木造の家を建てますために、大体十九万二チ円ほどかかりますうその七割を貸しますと十三万五千円、そうして一時金で五万七千円を負担しなければならぬということになります。それで五分五厘で十五年間で償還するといたしますと、この元利が毎月千百十一円になります。それに火災保險料、家屋税――今度大分上つたもの、それから地租を加えますと、全部で千六百八円になりますわこれは十二坪の場合でありますから、ただいまの十坪になりますと千四百円くらいになります、この勤労者の負担でありますが、六千円ベースとの関係をおつしやつたのでありますが、私どもの調べでは、昨年の五月現在でございますが、現在もあまりかわつておらぬと思いますが、東京都の勤労者の平均の生計費が一万三千五百円となつております。一万三千五百円程度の人ならば、全部合せまして、大体千六百円程度の負担はできるものと考えております。それからなおこの程度の負担にたえない勤労者に対しては、別に公共事業として、半額国庫補助の庶民住宅を地方公共団体に経営してもらつておりますので、その方に入つてもらえばいいのじやないかと思つております。それから十五箇年の期限で権利がかわるのだが、十五箇年たつたら家がだめになつてしまうのじやないかというお話ですが、これは大体予定しております單価で十分使用材などは標準のものを定めまして、少くも三十年以上持つものにしたいと思つておりますから、その間あまり大きな修繕などをしなくても持つくらいなものにいたしたいと思つておりますので、その懸念はないのじやないかと思つております。それからこの予算でむしろコンクリートのアパートを国営でやつたらいいじやないかというお話でございますが、これは別に公共事業費で公共団体でやはりコンクリートのアパートを相当数建てる予定になつておりまして、ただいまのところ、国営というものは考えておりませんが、それにかわるものとして補助住宅を公共団体にやつていただく。このやり方についてはなおいろいろ研究いたしますが、それとこの資金の貸付というものと二本建で二十五年度は住宅政策をやつて参りたいと考えておるわけであります。
  94. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 最後に八万戸の住宅な建てることはけつこうでありますが、一体それに対する敷地の見通しはどうであるか。東京その他の都市におきまして、まだ至るところに敷地があるように見えますけれども、一たびこの敷地の上に家を建てようということを考えて交渉を始めますと、いずれも強力な所有権の主張にぶつかりまして、なかなか敷地が手に入らない。非常に困難である。この敷地についてどういうふうな考え方を持つておるか。敷地というものは簡單に得られるというふうにお考えになつておられるのか。あるいは得られないとすれば、どういうふうにして得ようとするのか。また公共事業その他によつて建てる場合、国営、公営で住宅を建てる場合に、どういうふうな方法で敷地を得ようとするのか。住宅の敷地というものはどこでもいいことはないのであつて、職場あるいはその他一定の場所があるわけでありますから、そういうふうな適当な土地をどうして得ようとするのか。それについて何らか法的の措置をとる必要があるのではないか。具体的な考えを持つておるか。そういうことをお伺いしたい。
  95. 伊東五郎

    ○伊東(五)政府委員 住宅用地の問題につきましては公共団体がアパートを建てる場合と、個人が公庫から金を借りて建てる場合と二つあると思いますが、前者の場合におきましては、ただ、いま都市計画法に、一団地の住宅の経営をする場合には、土地收用法を適用して強制取得ができるという道が開いてございます。これもしかしまだ十分でありませんので、将来土地收用法を改正いたしまして、こういう場合に土地收用ができるように明確に規定したいと考えております。それから個人の住宅の場合でありますが、この場合には土地の買收、それから借地権などの買收の問題がありまして、この場合にも住宅金勘公庫から金を貸し出す場合に、建物だけでなく、土地の買收費、借地権の買收費もやはり周じように融資の対象にしたい。これで大体個人の場合は解決するのではないかというふうに思うのであります。
  96. 武藤運十郎

    ○武藤(運)委員 土地收用法を改正してというお話でございますが、宅地の借り上げまたは開放を主とするところの、名前は何というか、宅地調整法というような、そういう特別の法的措置を考える必要があるのではないかと思いますが、その点を最後にお伺いいたします。
  97. 伊東五郎

    ○伊東(五)政府委員 この土地の問題は非常にむずかしい問題でありますので、私の方でも研究いたしておりますが、ただいまのところ、宅地の開放というようなことについては、具体的の案を持つておりません。十分研究したいと思つております。
  98. 植原悦二郎

  99. 勝間田清一

    ○勝間田委員 官房長官がお見えになつてからにしたいと思います。
  100. 植原悦二郎

    植原委員長 それでは官房長官が来るまで、小淵君の農林大臣に対する質問を許します。
  101. 小淵光平

    ○小淵委員 農林大臣に蚕糸行政のことをお伺いいたしたいと思います。蚕糸業の重要性についてはいまさら申し上げるまでもなく、日本農家経済のためにも、また国家経済のためにも、重要な一つの部面であるということは、これは申し上げるまでもないのであります。大体蚕糸行政についての予算面を見ますと、非常に少い予算のようにうかがわれるのですが、これからの日本の蚕糸業を、どういうふうに大体持つて行く考えであるか、それをお伺いいたしたいと思うのです。
  102. 森幸太郎

    森国務大臣 蚕糸業に対しましては、御承知通り、過去におきましてわが国の輸出の大宗とまで言われたほど、重要な産業でありまして、ことに古い歴史を持つておりますので、その施設の上におきましては、すでに大体の基礎が立つておるのであります。それが戰争のために一時えらい頓挫をいたしたのでありますが、日本の今後の蚕糸業の問題につきましては、従来ありますところの施設を有効に利用いたして行くという面もありますので、予算の面からながめますと、はなはだ金額は少いようでありますが、すでに過去において十分なる規模を持つておる蚕糸業でありますので、今後はこの蚕糸業の復興と申しますか、過去における隆昌まで行かないでも、とにかくこの過去の施設を活用して行くということを考えておるのでありまして、予算の面においてのみ考えられないと存じております。蚕糸業の今日における重大性は依然として国内の衣料資源のみならず、対外的な国際的な市場を持たなければならない、かつ持つておる蚕糸業でありますので、一層蚕糸業の復興を期したいと考えております。戰争中人造繊維、化学繊維が発達いたしまして、しかも第一の消費地でありましたアメリカが、戰争のために生糸を離れた化学繊維の発見に努力いたしましたので、過去のごとくには生糸の消費がないように考えられる面もあるのでありますが、しかしながら絹の優良性は彼らも十分にこれを認識いたしております。ただ今日は盲貿易と申しますか、先方の機業界の状況がはつきりいたしておりませんために、しかもまた一面においては、宣伝が非常に遅れておりますために、絹糸の需要もはなはだ思うように行かないのであります。しかしながら昨年の後牛期におきましては、絹糸の消費がアメリカにおきましても相当増嵩をいたして参りました。かつまたフランス、イタリア方面におきましても、イギリスにおきましても、絹糸の需要が年々回復いたして進んで参りますので、蚕糸業は今後は日本の輸出産業の面におきましても、重要なものと考えておるのであります。ただ戰争の結果統制をいたしまして今日まで参一つたのでありますが、昨年統制を撤廃いたしまして、繭価と糸価との考え方においていろいろの混乱も生じましたが、御承知通り蚕糸業五箇年計画を確立いたしまして、そうして桑園の施設あるいは製糸機械の設備等を拡充いたしたのでありますが、あの当時製糸機械の設備が十分にでき上つたにもかかわりませず、食糧事情のために、繭の生産がこれに伴わなかつたという結果、非常に跛行的な状態になりまして、それが統制のためにようやくその形を整えておつたのでありますが、昨年統制を撤廃いたしましたがために、繭価の需給関係から暴騰、暴落等の状況もあつたのでありますが、漸次回復して秩序を保つてつたのであります。ただ今日にお牽ましても蚕繭の生蹟額が非常に遅れておるのでありまして、この蚕繭の生産額を今後大いに増嵩をいたして行かなければならないのであります。従来食糧問題から桑園の反別も食糧に転換いたしまして制約されておつたのでありますが、今回一部の食糧の緩和に伴いまして、桑園の反別も三十余万町歩まで今増加し得られることになつておりますので、今後はこの桑園の増反による蚕繭の増獲に努力いたしたい、指導して行きたいと考えておるのであります。  なお技術方面におきましても、先ほど申しました通り、古い産業でありまして、世界にその技術を誇つておるのでありますから、さらに時代に即応する技術の研究を進めて行きたい、かように考えまして、国立蚕糸試験場、各府県におきまする蚕業試験場等を総動員いたしまして、品種の改善、桑園、桑種の改良、飼育技術は今日はほとんど養蚕家が堪能な位置に立つておりますので、そういう方面よりも、むしろ桑の品種の改良研究等を進めて行きたい、また生産費を下げる、コストを下げるという意味から、製糸機械の改良等にも、それぞれ業者の研究を進めておりますが、この問題につきましても、政府は資金等の助成をいたしまして、できるだけ生産コストを下げる、そうして貿易におきましても、この生産コストの安いことによつて、販路を拡張するということにいたしたいと考えておるのであります。本年十月にはニユーヨークに生糸の消費のため国際的な会議がありますので、そういう機会におきましても、この絹糸の宣伝その販路につきまして一層の努力を拂いたい、かように考えておるわけであります。
  103. 小淵光平

    ○小淵委員 一応大臣としての考えは、しごく当を得たものというふうに私ども今、拝聽いたしたのですが、たとえば蚕糸業五箇年計画を立てておりまして、製糸業の方が五箇年計画を早くに達成をしてしまつて、繭の生産の方が非常に遅れておるということ、今、大臣お話になられたようでありますが、そのことはすでに結果においてかま数に対して繭が供給できないから、昨年あたり統制がとれた実際の状態は、生糸の値段が六〇%しか値段の上らないものが、原料においてはアンバランスの関係からいたしまして、大体三倍半から三倍という値段が原料に現われて参つたわけであります。そういうことは一時的には生産意欲を高揚するということになるのでありますけれども、翻つて蚕糸業の長い安定という面から考えますと、すでに養蚕家は、今日ういうふうな状態であつては先がどういうふうになるかわからない。またこの反対に非常にたたかれるときがあるのではないかということを、実に懸念をいたしておるわけであります。現在の全国の状態を見ましても、処理の設備は大体五万五千くらいはあると思うのであります。一かま当りが五百貫といたしましても、二千七百五十万貫という繭がなければ、大体この供給をすることが不可能になるのでありまして、このアンバランスはいずれか一方の生産を上げて参るか、かま数の制限をどうにかして来なければ、この問題は解決できない。この問題が解決できなければ、多数の養蚕農家は安んじて生産を上げて行くことができないという結果になりますので、これがきわめて早い期間にどういう見通しを大体持つているのか、その点をお伺いしたいと思う。
  104. 森幸太郎

    森国務大臣 加工施設と原料とのアンバランスがある、これは加工業者のみならず、原料生産者もお互いに不安な状態に置かれるのであります。お話通り製糸設備は相当充実いたしております。にもかかわらず原料が得られなかつた。これが今日まで統制ということによりましで、何とかかんとか不自由ながらも不足しておる原料をわけ合つて経営をいたしておつたのであります。これが自由な立場に置かれまして、そこに原料の取合いというようなことで、一時的ないわゆる採算を割つた繭の価格も現われたのであります。昨年度の製糸業の経営は春蘭が割安であつたために、どうにかこうにか一箇年の経営が成立つたようでありますが、さて三十五年度に対してどれだけの原料があるかということも、製糸業者としても不安であり、また養蚕家といたしましても、どのくらいな価格において売られるだろうかという、双方はなはだ不安定にあることはお話通りであります。ただここでは加工施設に相伴うところの原料の確保でありますが、食糧増産のために犠牲になつておりました養蚕業を、にわかに復興さすいうことは容易ならざる問題でありますが、漸次その方面にこれを向けて行く。日本の養蚕業組合連合会におきましても、協同組合連合会におきましても、二十五年度においては二千万貫の増産を目標として計画を立てるということになつておるのでありますが、実は養蚕業者としては、長い間食糧事情のために、蚕糸業はもうだめだというような実に失望したような考え方において今日まで参りましたが、にわかにこれを復興するということは、養蚕精神と申しますか、その振興をまずもつて考えて行かなければならぬ。しかもこれが農家の経営の上において、副業としあるいは主業として、経済的に恵まれて行かなければならぬということが條件づけられるのであります。従つてこういうふうに申して行きますと、結論において糸価をある程度安定せしむるということになると思うのであります。この糸価の安定は、決して内地の製糸家、養蚕家あるいは内地の機業者のみならず、海外への輸出品であるという点から申しましても、この糸価のある程度の安定が要求されるのであります。アメリカにおきましても、日本の絹糸が高低常ならず、実に不安な状態に置かれる間は、アメリカの機業家は原料として考えない、こういうことになるのでありますから、ある程度の価格は維持し得られるような処置を行うということは必要なのであります。しかし今日自由な立場に置かれる産業に対して、こういう制約をすることは許されない状態でありますが、これは国内の状況のみならず、対外的な関係から申しましても、非常に必要なことでありますので、糸価安定に対しては、何らかの組織をもつてこれを実現せなければならぬ。これはアメリカにおきましても強き要望であり、またヨーロッパにおきましても強き要求でありますので、政府におきましては業者とよく協調いたしまして、そういう施設を設けるということの必要性を痛感いたしまして、目下研究を進めておるようなわけであります。
  105. 小淵光平

    ○小淵委員 蚕糸業の安定をして生産を増強させるということは、われわれ最も大切なことであるというふうに常に考えておるわけであります。そこでこの蚕糸業をどういう方法で安定させるかということになるのでありますが、まず元の原料の方から安定させるということと、それから生糸をもつて安定させるという二つの道が多分あるだろうというふうに考えております。糸の方から安定させるということは、海外市場にもいろいろの関係があるので、なかなか困難であるというふうに考えられるのでありますが、これもかつては帝蚕という制度によつて実施された経験済みのことであります。また原料におきましてこれを安定させるということは、今農林省がお考えになつているようにわれわれ漏れ聞いておるのですが、農産物価格支持制度案というようなものをこしらえて、この中に繭を含ませるということになりますれば、第一次生産物でありますから、これもできるのではないかというふうにも考えられますが、いずれにいたしましても大臣が言われるように、蚕糸業の安定が増産の一大要諦であるというふうに考えられておることからいたしまして、今大臣考えておられるのは、この糸の方から安定させるということがまず手取り早いか、あるいは原料の方から安定させるということが手取り早いか、具体的に一日も早く安定させるには、どういう道を選ぶかということのお考えをお伺いいたしたいと思うのです。
  106. 森幸太郎

    森国務大臣 繭は原始産業でありまして、一つの農産物と考えていいのでありますが、価格の安定は、やはり最後の段階における絹糸を安定さすということによつて、すべてをここに落ちつけさす、こういうことでなければならぬと思うのであります。しかしこれは統制をいたすのと違うのでありまして、製糸企業の内容においても区々まちまちであります。養蚕業の生産コストにおいてもまちまちでありますが、大体これは海外市場等の関係もあり、また海外市場の価格と国内の繊維原料としての価格もにらみ合せて行かなければならぬのでありますから、やはりその糸価の安定ということを考慮いたしまして、それによつて繭価の安定がおのずからできて来る、こう考えておるわけであります。
  107. 小淵光平

    ○小淵委員 先ほどの蚕糸業の当面しておる考え方といううちに、もちろん技術面の改良もしなければならない、また海外宣伝もしなければならないというふうに考えておられるようでありますが、たとえば技術の改良という面だけを考えてみましても、通産省の予算たとえば工業技術庁の予算を見ますと、これはきわめてたくさんな予算を持つておるのでありますが、大体工業化の助成の経費として一億三千万、それから自転車工業の工業化助成金が三千万円、こういうふうなものが計上されておるようでありますけれども、これらの通産省関係の工業技術庁の予算については、昨日繊維関係の方面にこの予算を何とか使つて行けるように考えられているかどうかということを通産次官にお尋ねいたしましたところが、繊維関係部門にはこれは大体考えていない、鉱工業方面だけしか考えておらないというふうに昨日お話になつたのでありますが、そういたしますと、これらの技術面の改善については、農林省としてはほとんど予算が盛つてない、ただ繰糸教婦養成の援助費として四十二万円全国で見積つ場て計上されてあるだけで、これしかこの方面にはないのであります。また蚕糸試験場の方面を見ましても、予算は一応一億五千六百万円が計上されておりますけれども、これはほとんど人件費が大半、それから物件費として新しい機械を設備するのがありまして、その他は繭の原料費が大体その物件費の半分も背負つておる。そういうことからしますれば、技術の改善をする、あるいは技術の改善について助成をするというようなことについては、ほとんど全体の予算を見て四十二万しかないという結論になるわけです。こんなことで大体技術の改善をするとかなんとか考えておつても、事実上できないというように私は考えております。これらのことについて、どういう方面から技術の改善を考えて行くかということをまずお尋ねいたしたいと思うのです。  それから海外宣伝ということにつきまして、海外宣伝によつて販路拡張を考えて行かなくてはならないのですから、もとよりこれは一番重要なことで、大臣もよくお考えになつておるようでありますが、きのうの経済新聞を見ますと、蚕糸に対する安定制度というので、大体五つの方向をきめてあるようでありますが、この海外宣伝費として、大体二百万円しか計上していないようであります。この二百万円の金がいわゆる海外宣伝に充てられて、全きを期するのではないかというふうに、われわれはこの新聞を見て推察いたすのでありますが、この技術面の改善、海外宣伝、この最も重要なことについて、どういうふうなやり方で具体的に進んで行くつもりですか。これをお伺いいたしたいと思うのです。
  108. 森幸太郎

    森国務大臣 蚕糸業については、よく何もかも御承知の小淵議員でありますから、私が詳しくお答え申し上げるまでもないと存ずるのであります。先ほどもお答えいたしました通り、新興繊維なんかの研究等につきましては、いろいろの研究がなされおるのであります。蚕糸業に対する技術と申しますと、いかなる方法によつて製糸原料のりつぱなものを安価に生産するか、こういうことに結論されるのであります。従いまして、まず第一技術上の改良は、優良品種の発見であります。そうして優良品種が養蚕業者の技術に合うかどうかということが第二の條件でおります。そうしてこの優良品種をつくるについて、りつぱな桑が必要だ。これが蚕糸業に対する技術の目的とするところであります。幸いに蚕糸試験場なり、あるいは民間団体において、蚕品種の改良は着々進められ、小淵議員も御承知通り、蚕糸試験場においては、三十四年度においていままでにないりつぱな蚕品種を発見いたしました。また業者団体等も優良品種を創造いたしまして、これらの品種はまず今日世界的と言つてもいいと思う。日本が世界一の蚕糸国でありますから、世界的の品種の発見ができております。しかもこれは今日の養蚕家に対しての技術に合う品種であります。移動、飼育が困難でないのであります。従つてこのりつぱな品種を飼う桑園につきましては、はなはだ今日十分なる桑葉を得ることが、食糧事情の定めに打撃を受けておりまする回復の時期でありますから、十分でありませんが、今後におきましてもりつぱな桑の品種をつくつて、そうして技術と品種と相まつて、優良原種を飼育し、そうしてりつぱな糸をつくるということになるのであります。従つてすでに蚕糸試験場の設備は、相当の設備を持つております。ただ人件費と申しますか、この設備を動かす人件費によりまして、この蚕糸試験場が十分なる活動をなし得ると信じております。また桑の品種の発見につきましても、蚕糸試験場においてはいろいろ研究を加えまして、実にりつぱな桑の品種もつくり出しておるのであります。従つてここに残されておるものは、技術の改良でありますが、技術はすでに養蚕家も相当に技術堪能になつておりますので、ただ今科学的にこれをやつて行きます場合においては、今申し上げました品種と桑の種類というものとによつて、養蚕家がここにりつぱな繭をつくり上げ、そうして製糸企業の上におきましては、これは企業体といたしまして、それぞれの製糸業者におきましておのずからによつて研究が進められております。また蚕糸試験場におきましても、これらの民間団体の研究と相まつて、これらのいろいろの新機械を生産いたしておるわけでありますが、いずれにいたしましても、製糸企業体はおのおのその工場工場の特徴を持つているのであります。特徴を持つておりますから、これはあまり外部からあれこれを指導することは許されないのでありまして、ただ資金等の面において見返り資金等よりも融通ができますならば、そういう方面に融通いたしまして、これら企業家の新しい改善発達に資したい。こういうことを考えているわけであります。いたずらに予算の上において経費がないから、普通の中小産業者に対しては非常に技術の研究努力をいたしているが、蚕糸業に対しては技術の指導がはなはだ少いではないかというおしかりでありますが、前段申しましたような原料生産ということが農林省の直轄になつております。こうしてこの取りました生糸をいかにして織り、どうして衣類化するかということについては機企業の上においていろいろの研究を進めて行くということに私は考えていただきたいと思うのであります。
  109. 植原悦二郎

    植原委員長 大蔵大臣の時間の都合がありますから、この際平川篤雄君に大蔵大臣に対する質疑を許します。
  110. 平川篤雄

    ○平川委員 平衡交付金と義務教育費の問題についてお聞きしたいと思います。大蔵大臣に関係のあるところだけ先に取出してお尋ねをいたしたいと思います。シヤウプ勧告において千三百億の平衡交付金を支出するように勧告せられているのでありますが、千五十億のみが計上されているのは、差額百五十億というものが生活保護費として別額になつているというのは間違いがないのでありますか。
  111. 池田勇人

    池田国務大臣 その通りでございます。
  112. 平川篤雄

    ○平川委員 平衡交付金というものは、本年度は前年の地方配付税等に基いて算定をせられたと説明書にあるのでありますが、これは将来大体このくらいのわくに相なるものか、あるいは地方公共団体が要求をいたしましたものに基いて算定をいたします場合に、それに予算的な措置というものが相当強力に加わる御方針であるか、ないしはその点よりもむしろ地方の要求を重んずるという御方針でありますか、将来の点についてお聞きしたいのであります。
  113. 池田勇人

    池田国務大臣 地方の財政並びに国の財政を見ながら、地方財政委員会によつて一応測定いたしまして、それによりまして閣議を決定し、国会の御審議を願うことに相なると思います。
  114. 平川篤雄

    ○平川委員 地方交付金の制度につきまして漏れ聞いているところによりますと、この総額を大体地方公共団体の要求しているものに重点を置いて、決定するというような法的な措置を講ぜられたいという御意見政府の部内にあるに対しまして、大蔵当局ではそれは予算措置でやればけつこうであるという御意見があつて、これが対立をしていると正いう話を聞くのでありますが、そういうことがありますか。
  115. 池田勇人

    池田国務大臣 何も対立しているという状態ではございません。先ほど申し上げましたように、地方財政委員会におきまして一応測定いたしまして、それを他の予算と同じように政府において決定することに相なつているのであります。
  116. 平川篤雄

    ○平川委員 大蔵大臣の先ほどの御言明によりまして、生活保護費が別わくになつておるというのでありますが、義務教育費が別わくになつていないのと比較いたしまして、その論拠がどういうところにあるのか、お聞かせを願いたい。
  117. 池田勇人

    池田国務大臣 シヤウプ博士の考え方では、生活保護費も入れてやつてつたのでありますが、その後事情を考えまして、生活保護費は従来通り国の方の予算に置いた方がいいだろう、その理由といたしましては、やはり相当増減もありますし、また片一方の義務教育費の方につきましては、いろいろの補正的な措置を講ずれば彼此不権衡はない。こういう考え方であります。
  118. 平川篤雄

    ○平川委員 これはまだ御提案になつていないのでありますが、交付金制度の決定せられるにあたりまして、政府の方では地方の公共団体に国の要求をいたします行政の規模と申しますか、そういうものを確保いたしますために勧告をする。もしそれに従わないような場合には、予算を全部または一部を減額するというような措置をおとりになるということを聞いておるのでありますが、もしこれが真実であるといたしますと、予算の総額を国が決定いたしまして、しかも相当理想的なものでなくても、地方団体に対してある程度の規模を要求するということになれば、国がやらなければならないものを、地方財政にしわ寄せをするというような結果が当然出て来ると思われるのでありますが、こういう点について明らかにしていただきたい。
  119. 池田勇人

    池田国務大臣 国の事務あるいは地方の事務、その点の分界はなかなか困難でございますので、シヤウプ博士の勧告案にあります通りに、地方行政調査委員会によりましてそのわけ方をきめて行きたいという考え方になつておるのであります。それによりまして地方財政平衡資金も動いて来るように相なると考えております。しこうして地方自治委員会地方の行政機関に対しまして勧告するということにつきましては、ただいま所管の地方自治庁で検討を加えておることを聞いております。
  120. 平川篤雄

    ○平川委員 以下は本多国務大臣並びに文部大臣が御出席になりましてお聞きしたいと思います。
  121. 植原悦二郎

    植原委員長 世耕弘一君に大蔵大臣に対して留保されておる質問を許します。世耕君の受持時間は二十三分であります。大蔵大臣がここにおられる時間ももう二十分ですから、そのつもりでどうか要領よくお願いします。
  122. 世耕弘一

    ○世耕委員 私は大蔵大臣に数点簡單にお尋ねいたします。過般来問題になつておりました対日援助見返資金の特別会計の問題に触れてちよつと念を押しておきたいと思いますが、米国対日援助物資処理ということと、米国対日援助見返資金との使いわけが予算の面に現われておりますが、これは内容が違つておるのかどうかということと、もう一つは、この見返り資金の性格は日本政府にとつての借款という言葉が当てはまるのではないのかということ、それからこの性質から考えまして見返り資金とか、対日援助資金とかいうような言葉は、むしろ借款という單純な言葉で言い表わすことの方が適当でないのかどうか。この点をまず最初にお伺いします。
  123. 池田勇人

    池田国務大臣 過日の委員会で債務かどうかということが議論になつたのでありますが、今のお話の対日援助物資特別会計というのは、今までは御承知通り貿易会計でガリオア、エロアの物資とその他の物資と一緒にしてやつてつたのであります。今度民間貿易になりました関係上、援助物資の方は別にいたしまして、対日援助物資特別会計というのでやることにいたしま出した。それによつて輸入した物を売つてできた金は、今度資金会計の方の見返援助資金特別会計に行くことになるのであります。貿易特別会計を改組いたしまして、簡單にわかるようにいたした次第であります。
  124. 世耕弘一

    ○世耕委員 そうしますと、この資金というものは米国政府ですか、民間資科ねですか。
  125. 池田勇人

    池田国務大臣 日本政府資金であります。
  126. 世耕弘一

    ○世耕委員 そうすると、これまでの総額は大体私の概算で一兆円くらいに達しておると思いますが、この金額はどんなものでございますか。
  127. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和三十一年度においては二億三千万ドル、二十三年度においては三億二千万ドル、二十四年度においては五億ドル近かつた、こう考えておるのであります。日本の円に換算いたしまして合計いたしますことは、その当時の為替相場によらなければならぬので、今これだけ、一兆億円ということは、なかなか困難ではないかと思います。やはり総体を集めますと、十億ドル以上になつておると考えます。
  128. 世耕弘一

    ○世耕委員 少しばかりわかりました。徹底してお聞きするには時間がありませんから、他の機会に譲ります。もう一点お伺いしたいことは、金塊の問題でありますが、日本は最近一箇年三トンくらいの生産率があるということを過般の委員会で承つたのでありますが、これは非常に興味ある問題だと思います。現在日本政府の所有する金塊の総額はどのくらいに達しておるか。なお終戰当時われわれの調査したところによると、相当多額の金塊が保有されておつたはずでありますが、その所在はどうなつておるかという点、なぜそういうことを私はお尋ねするかと申しますれば、いつまでも不換紙幣を発行すべきじやない。やがては正貨準備のある紙幣に立ち返らなくてはならぬという準備を、もうすでにこれから始めなくてはならぬはずじやないかという観点から、実はごく総括的ではあるが、お尋ねしておきたいと思うのであります。  それから最後にもう一点お尋ねしておきたいのは、これは実は司令部の方の関係もあるので、あるいはこの場で御答弁願うことがむずかしいことになるかもしれぬと思いますが、一九四六年の四月中という記録がありますが、東京湾で金、銀及び白金の隠匿されたものが、(笑声)十ポンド程度のものが合計千五百本、貫数にいたしまして一万四千九百六十貫というものが引揚げられておるのであります。この処理が日本政府でどういうふうに処理されておるか。実は笑い話でも何でもないのであります。かなり緻密な報告書がこれについておりますが、ただこの場所で発表することが適当であるかどうかということが考えられますので、ただ核心だけをお尋ねするわけであります。必要があれば読み上げてもけつ、うであります。
  129. 池田勇人

    池田国務大臣 日本政府の持つておる金はどれだけあるかという第一の御質問でありますが、日本政府といたしましては、今は各種の法令によりまして、日本で出ました金は全部政府が買入れることになつておるのであります。御審議願います貴金属特別会計におきまして、二十五年度においては四トン余のものを買い上げることにいたしております。二十四年度においても大体その程度を買い上げました。そして買い上げたものの大体十分程度は、歯科医その他の方に使つておりました。半分ばかりがたまつておることに相なつておるのであります。それ以外におきましては、日本銀行は大体一億二千万円程度の金を持つております。それから日本政府のものではないのでありますが、戰争中にこつちへ持つて来た金で、南方諸国としてイヤマークされたものが相当程度ありました。これについては申し上げるわけに行きません。  東京湾の金の延べ棒その他につきましては、寡聞にして私は聞いておりません。
  130. 世耕弘一

    ○世耕委員 実は意外な感じをするのですが、私の手元に参りました資料をここに申し上げますと、そう通り一ぺんで大蔵大臣が知らぬような資料ではないのです。ただいろいろな関係があるだろうからと思つて私は発表を差控えておるのでありますが、これはひとつ適当な機会に、差上げますから、御調査を願つておきたい。これはただ單純な情報とかなんとかいう問題ではない。(笑声)一万四千何百貫と申しますと、五十トン以上のものなんです。読み上げてみましようか。これは今日金高にしても数百億に上る金額であつて、大蔵大臣はあるいは御存じないかもしらぬが、事務当局はおそらく知らぬということはなかろうと思う。かなり長い問うわさの種に上つておる。そして進駐軍関係の人も、佐官級、大尉級、その上の将軍という名前のつく人の名前もここに出て来ております。大蔵大臣はもし御存じなければ、事務当局のどなたか知つている方にお話を承りたいと思います。非常に重要なことであります。これはなぜこういうことを私が重ねてお尋ねするかというと、私が静岡県で金塊の所在を突きとめたときに、私は実は名誉毀損で訴えられた事件があります。ところがその名誉毀損で訴えられた事件、結局本人が逮捕されるに至つたような結果をもたらした実例もあるのであります。ただ笑い話で済ますことでなく、金本位に返る一つの重要なポイントとして聞いておきたいということと、終戰当時における日本の国内にあつた、われわれが予算を組んだときに考えた金塊の数額が、はなはだ明瞭を欠いておるのであります。そういう立場から、この際もつと具体的な返事をしていただきたいと思いますが、大蔵大臣御存じなければ、事務当局から御説明を願いたいと思います。
  131. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げましたように実は聞いていないのでございます。全然聞いておりません。私がずつと三年余り前に聞いたのは今のお話つたかと思いますが、静岡県の金のことは聞いております。東京湾のことは私大臣として聞いておりません。この問題は理財局長が所管でございまして、適当な機会に理財局長をお呼びくださいまして、お請願つた方がよろしいかと考えております。
  132. 世耕弘一

    ○世耕委員 これで終ります。
  133. 植原悦二郎

    植原委員長 次に勝間田清一君の御要求の官房長官が見えられました。この際、勝間田清一君に質疑を許します。
  134. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私は賃金問題についてしばらく増田官房長官及び大蔵大臣にお尋ねいたしてみたいと思うのでありますが、一番私の疑念に思つたのは、賃金の給與に関する資料を内閣からお出しになりました。これはどういう意味でお出しになつたか、その点をひとつお尋ね申したい。
  135. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 勝間田君にお答え申し上げます。政府がいわゆる給與白書なるものを発表した理由についてのお答えを申し上げます。政府といたしましては、さきに総理の施政方針演説におきまして、給與ベースは人事院の勧告があつたけれども、また勧告はできるだけ尊重したいつもりで検討して参つたけれども、遺憾ながら勧告には応ずることはできない。そこで公務員諸君の給與條件が昭和五―九年に比べて、全体として悪いことはよく承知しております。しかし昭和二十年終戰後から見ますと、だんだん実質賃金は上つて来ておるのであつて、ことに昨年の三月以来政府の総合安定施策が奏功いたしまして、消費者価格指数は上らざるのみならず、横ばい、ないし低落の傾向にある。こういうような理由もあり、その他諸般の理由もあつて、かたがた上げにくいというようなことを公務員諸君によく実情を話し、また公務員諸君に御理解を得る必要がある。こういう意味において発表いたした次第でございます。
  136. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それで私は明確にしておきたいと思いますのは、どうして三月を基準としてこういう指数を出されたか、その根拠を伺いたい。
  137. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 三月を基準とした理由について申し上げます。人事院の勧告がたしか一昨年の十一月中旬ごろにありまして、御承知通りあのときの国会におきまして、三千七百九十一円を六千三百七円ベースに切りかえられたことは御承知通りでありますが、しかしながら一昨年の十二月、それから一月、二月等はまだ実質急與が六千三百七円になつておりません。というのは、総計二百六十五億円という範囲内において六千三百七円を実施せよというような関係方面の御指示がありまして、結局実質的には五千三百三十円を十二月、一月、二月、三月とも施行しておつたような状況であります。しかしながら一月、三号の総計をとりまして、十二月に加えまして、結局三月になりますと、すでに形式的にも実質的にも六千三百円の実施ができた。四月以降はもとより六千三百七円の予算が組んでありますから、名実ともに六千三百七円ベースになることは御承知通りでありますが、その前の年におきましても、三月だけは、実質も形式もやはりそうした六千三百七円であつたのであります。そのときを基準といたしまして、その後のCPI等を見まして、もしCPIに非常な狂いがあれば、給與ベースについてさしつかえがあつても、万障差繰つてもやらなければならないという考えがないわけではありません。実質、形式ともに六千三百七円になつて、新給與べースになつたそのときを基準として考慮する必要がある。こういう意味で三月を基準といたした次第であります。
  138. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そうすると三月から完全に実施されたという事柄は、いわゆる便宜上のことであつて、実際上この給與ベースが実施されましたのは十二月一日であつて、それが法制上においては一月一日になつておるということであるから、三月は一応政府の便宜であつて、これは事実とは違つておる、こう見てよろしゆうございますか。
  139. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 勝間田さんにお答えいたします。形式における給與べースの変更は一月であります。しかしながら給與ベースを変更する必要があるかということは、いつも実質を押える必要があるのでありまして、名実ともに新給與ベースになつたのは三月からでありますから、三月を基準としてものを考えた次第であります。
  140. 勝間田清一

    ○勝間田委員 速記をとめていただきます。
  141. 植原悦二郎

    植原委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  142. 植原悦二郎

    植原委員長 速記を始めてください。
  143. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 結局名実ともに六千三百七円という新ベースを、人事院の勧告を尊重して、国会も政府もこれを尊重して具現化したのが三月である。あるいは四月である。そこで四月のCPIをわれわれはとらえて、上げる必要があるか、下げる必要があるかということは、このCPIにスライディング・スケールを適用して決定すべきものであると考えている次第であります。
  144. 勝間田清一

    ○勝間田委員 速記をとめていただきます。
  145. 植原悦二郎

    植原委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  146. 植原悦二郎

    植原委員長 速記を始めて。
  147. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 勝間田君にお答え申し上げます。私どもは名実ともに新給與ベースが設定されたときから、物価に狂いがあつたなら給與を上げることが必要であり、物価に狂いがなかつたならば、せつかく一生懸命国民全体がやつておるのでありますから、この際安定施策を増強せしめるために、しばらくがまん願いたい、こういう感じを持つております。
  148. 勝間田清一

    ○勝間田委員 完全に実施されたという事柄は財政的理由であつて、かえなければならない基礎、及びそういう数字がきまつた基礎は、人事院の法文にもあります通り、五分の生計費の上下があつた場合に勧告するという法律に従つて給與改訂も行われるし、法律に従つて勧告も行われるわけであります。だから財政的理由と法律的根拠になつたものとは、おのおの別個の問題であつて、給與の基礎になるものは、あくまでも実体がその基礎にならなければなりません。財政的理由は基礎になるものではないと私は考えますが、いかがでありましようか。
  149. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 給與を変更するかどうかというようなことは、やはり財政経済全体的の見地からものを考えるべきでありまして、法律で許されたからというわけで、すぐ新しき給與ベースを設定するというようなことはどうかと思います。経済財政の見地から、給與ベースをさらに変更する必要があるかどうかということを考えるべきであるもことに関係方面全体の意向を見ましても、経済財政の見地から二百六十五億以上出してはいかぬということだつたのでございますから、十二月から三月までの四箇月を平均いたします。と、政府が当時、泉山君が提出せんとした五千三百三十円なのであります。それから四月からは、正確に申しますと官吏の総人員に平均給六千三百七円をかけたものが予算として計土されて、本年度の予算になつておる次第でありまして、本来は四月を基準としてもよろしいのでありますが、三月を基準といたしました。そうして四月の方は三月よりは御承知のごとくCPIは多少上つておりますが、そのトップから見ますと、今のところはもつとひどいのですけれども、そんなところはとらずに、実際上と形式上と、ともに六千三百七円が設定されたと見られる三月のCPIを一〇〇といたしまして計算してみると、物価というものが九三・九というのが十一月であり、九五・六というのが十二月である、こういう状況でございます。
  150. 勝間田清一

    ○勝間田委員 非常に重要な問題でありますからはつきりさせておきますが、法律によらなければ給與はやつてはならないというのが、日本の給與法の根本と思います。その給與法が一月一日に実施せられ、それが十二月一日に施行せられたという形になつておることは、この報告書にもある通りであります。それがなぜ財政的の理由によつて三月に引延ばされたか。私は、日本の給與法は財政のいかんにかかわらず、一月一日から少くとも実施されておるものと思います。この法律根拠があつてこそ、ここに給與が開始されたわけでありますもだから私は、その法を無視してまでも三月ということを主張されるということは、少くとも私には理解が行きません。この点はもう一ぺんお尋ねをいたしますう
  151. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 勝間田君にお答え申し上げます。私は今法文のこまかい内容まで記憶いたしておりませんが、要するに総額二百大十五億の限度内において六千三百七円ベースを施行せよ、こういうような関係方面の意向でもあり、またこの意向を法律化しておる、こういうふうに考えております。六千三百七円にして、しかも法律は書きつぱなしであるというようなことで、政府が五千三百三十円しか拂わなかつたとすれば仰せのごとく違法でありますが、四箇月を平均いたしまして五千三百三十円を拂つてよろしい、また二百六十五億以上拂つてはいかぬという根拠は、法律上あると考えております。
  152. 勝間田清一

    ○勝間田委員 速記をとめてください。
  153. 植原悦二郎

    植原委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  154. 植原悦二郎

    植原委員長 速記を始めて。
  155. 勝間田清一

    ○勝間田委員 もう一つ、これは官房長官の御責任でありますから、官房長官にお尋ねするわけでありますけれども、適当な人があつたならばさしていただきたいと思いまするたとえて申しますれば、この給與白書なるものの内容について、あるいは減税でごうなるとか、あるいは何でどうなるとかいうことを書いてありますが、私は大きな間違いがたくさんあると思います。それはどこにあるかというと、税そのものによつて軽減されるものは、なるほどこの指数の中に含まれております。しかし資産再評価によつて――たとえば電力料金が上るのか上らないのか、あるいは私鉄の料金が上るのか上らないのか、すなわち資産再評価自身によつて他の物価や賃金に及ぼして来る影響、それから固定資産税というものをつくつて来ることによつて、家賃及び地代に対する影響、いわゆる税制改革案が生活に間接に及ぼして来る影響、この影響は非常に大きいのであります。この点が何ゆえに載つていないのか。それからもう一つは、今度の予算編成におきまして物件費のいろいろの計算をされている中に、米価が、今年の九月におきまして米のパリティー計算が一六八となると書いてあつたと私は記憶いたします。そうしてそれまでの間のパリティーが一六四と記憶いたしております。ここで特に肥料が八月末で補給金がとれて、九月から米価が一六八のパリティーに移つて来る。この問題もまだ今後に残されておると思うのであります。それからもう一つ重要な事柄は、この生活費へ及ぼして来る――いろいろの物価の値上りがして来る、マル公の値上りがして来る云々という問題がございますけれども、これは二十五年四月までの條件としてここに織り込まれてあるのであります。改訂期日が二十五年四月となつておるのでありますが、むしろわれわれが重要に考えておりますのは、四月以降のマル公の改訂がどうなるかということであります。何となれば四月以降が、もし賃金改訂があれば、非常な重要な時期をなすものであります。その意味において、私は四月までのマル公改訂の期日は、これはあるいは行政上、法律上、あるいは閣議としては決定していないから載せないということかもしれませんが、少くともここで予算の編成の資料といたしましては、七月、九月等々にマル公がそろそろ上つて来るわけであります。補給金が撤廃になるわけであります。われわれがむしろ現在労働者の生活から見ますならば、やみの価格がどうなるかという問題よりも、現在においては配給食その他のマル公がどうなるかということの方が、有産者よりも関心が大きいのでございます。そういう意味で私はここに出されておる平均において六・七五%とか、あるいは何において何パーセントとか、たくさんございますけれども、私はこれに非常な疑惑を持つものであります。なぜならばこういう面を織り込んで行くならば一体どうなるのか。こういう計算が現在ありましようか。またそういうものを何ゆえに載せて行かなかつたのか。その点をお尋ねしたいと思うのであります。
  156. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 御質問の前段にあつた政府考えを改訂する必要があるから、改訂せよという御質問に対しましては、私どもといたしましては現衣あの法律は十二月ないし三月までの関係においては、私先ほど必ず條件がついておるということを申し上げましたが、今河野主計局長に聞いてみます。と、條件がついておるそうでありまして、このわくの範囲内において十二月ないし三月は支拂え、こういうような法律になつておるのでございますから、法律的見地から見ましても、完全なる六千三百七円ペースが設定されたわけではないのでありまして、やはり三月が完全なる名実ともに六千三百七円が設定された時期でございます。でございますから従つて政府考え方を訂正する必要はだいと考えております。  それから給與白書でございますが、政府といたしましてはあの白書を出すときに考え得るあらゆるフアクターを考えた次第でありまして、資産再評価あるいは固定資産税の増額に伴う云々という関係はこまかいことはあるいは大蔵大臣なりその他の大臣から御答弁申し上げるかと思いますが、およそ予見し得るフアクターは計算に入れて白書をつくつたものと心得ております。それからマル公は高くなる場合がありましよう。しかしながら四月とい、う月が新予算によつて、価格調整金が撤廃される月でありまして――あるいは七月撤廃されることがあるかもしれませんが、大体においてほとんどがともかく新マル公になるわけでありまして、あらゆるフアクターを予見し得るものはすべて取入れておる。それからマル公は上りましても、白書に書いてあります通り配給関係は相当増額いたしますから、従つて六七の減税関係が実質上の賃金の増額となり、それからマル公関係が調整費の節約によつてプラスの部分もあり、マイナスの部分もあつて、結局十二%引かなければならぬということで、五・六%、こういうふうになつております。
  157. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そういう答弁がありましたから、これはまたもう一ぺんはつきりさせておきたいと思いますが、あの法律は、この予算の範囲内にということは、財政的理由でありまして、しかしこの法律ができるのは人事院勧告の精神にのつとるということは、これは六千三百七円のベースを貫く精神であります。六千三百七円ベースができた根拠というものと、それが支給し得られなかつた財政的理由というものと、これは別個のものであります。従つて財政的理由の方に基礎を置いて、あなたが三月を基準としてCPIをと、つて行くという考え方は、これは非常な大きな間違いであります。私はあくまでもこの二つの別個なる立場をわけてお考えをいただいたならば、決してそういうむりな解釈はできないと思う。法律ができ上つた経緯、交渉された経緯、いろいろの経緯から見て、これは率直に御訂正を願いたい。もう一度ひとつ考えを願いたい。
  158. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ここに法律がありましたから、すべて御熟知のことでございますが、読みますと、結局一月分及び二月分は、その給與の額からそれぞれ百分の一七・五を差引いたものを支給する。ごう書いてあるのでありまして、これもやはり法律でございます。法律は全体を調和ある全体として解釈しなければならぬのでありまして、三十二條というものを全体として見ますというと、やはり一月、二月までは六千三百七円は設定されなかつた。財政、経済、法律、あるいは生活すべての見地から給與ベースは設定さるべきもの、こう考えております。單に財政的見地とおつしやいますが、財政の理由というものも相当大きな理由を構成すべきものと心得ております。
  159. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その法案は後ほどまた見せていただきますが、議論にわたりますけれども、そうではございませんので、これこれしか金がないから、これを六千三百七円ベースの基礎は確立しておいて、十二月から三月まで支給の方法、その中の配分はきめようじやないか、財政的に金がないから、月々の支給額はきめるけれども、六千三百七円べースは、忠実に人事院勧告を守つて、これをやろうじやないか、しかしそのわくは十二月一日以前に立ち返ることはできないという條件がつけられ、財源はESSの許可によつてこれをやろう。そしてそれはあくまでも人事院勧告の基礎によつてやろう、こういうことになつておる。これは当時関係を持つた者といたしまして、十分御理解をいただきたいと考えております。しかしこれは水かけ論になりますから、この程度でやめさせていただきます。  次にもう時間も切れそうでありますから。
  160. 植原悦二郎

    植原委員長 切れております。ずいぶんオーバーしておりますが、特に重要なることだと思つて寛大の処置をとつておるのであります。
  161. 勝間田清一

    ○勝間田委員 もう一つは寒冷地手当の問題でありますが、これも人事院勧告によつて去年世蔕三トン、それから金額三千三百二十一円九十銭をトン当り支給してほしいということであつて、これがわずかに二千五百円で支給されておるのでありまして、今年も聞くところによるとこれを二千五百円というようなことで出ておると聞いておりますが、私はこれは当時の状態から見まして非常な誤りではないかと考えております。当時の石炭のマル公で四級かち八級までの粉炭および塊炭の平均価格ということまできまつて、ここで勧告されておるのでございます。これを何ゆえにこのような状態に置くのか。また本年はこれをもつと改正する恩恵はないのか。この点をはつきりとひとつ承らせていただきたいと思うのであります。
  162. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 お答え申し上げます。人事院勧告にかかる寒冷地手当は、すべて勧告通り政府は尊重し、これを具体化いたしております。のみならず政府考えまして、この辺は二級になつておるけれども、三級の方がよろしいのではないかというふうに考えられる点は、こちらから指摘いたしまして、直しておるというような点もある程度あるのであります。それから石炭手当でございますが、政府といたしましては、三トンという点は勧告通り尊重いたしております。ただしかしながら金額の点におきましては、一トン二千七百円ということにいたしておりますが、暖房用といたしましては、工業用その他と違いまして、カロリーはある程度低くても保温はできるのではないかという見地から、二千七百円ときめて支給した次第でございます、
  163. 植原悦二郎

    植原委員長 勝間田君、大分オーバーしておりますが……。
  164. 勝間田清一

    ○勝間田委員 一つだけ……。石炭が三トンいるからというところに基礎があるのでありますが、私は少くともそういう基礎に立つておるものと思いますが、これを金額によりもし支給するということでありますと、そこに趣旨の上、目的の上で非常に違つて来ると私は考えます。それで今二千七百円とか二千五百円とかいう石炭は事実上ありません。またそういう規格のものも、ほとんど現地を調査したところないそうであります。実際上は四千円も五千円も用さなければ買えない状態であります。従つて三トンという認められた数量が買えないでおる実情であります。私はその意味でこれは当然増額すべきであると思う。数量の三トンということに重点を置くべきだと考えるのでありますが、いかがでありますか。
  165. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 当時の時価その他を見まして二千七百円を決定して支給いたしました。しかしながら勝間田さんも御指摘の通り、その後炭価は石炭の統制撤廃に伴いまして、われわれの予想したところと多少の違いがございまして、すなわち上級炭はわれわれが予想したよりも上つておりますし、下級炭は上らなかつたということになつております。暖房用といたしましては、下級炭で足りるとい今ふうに考えております。但し北海道といたしましては、どうしても越冬用に三トンはいるというのが実情でございますから、三トンは確保いたしたい。あとの関係は財政上の関係で二千七百円とことしはなりましたが、明年はやはり時価と暖房用の石炭とをにらみ合せまして、適当なる価格をきめ、これを支給いたしたい、こう考えております。
  166. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私はほかに大蔵大臣にも質問があつたのでありますが、給與ベースの問題が案外長引いたために、時間が切れたようでありますけれども、これは適当な機会にまたお願いしたい、こういうことにお願いいたしまして、私は打切ります。
  167. 植原悦二郎

    植原委員長 適当な機会に考慮いたします。  この際平川篤雄君に留保されておる文部大臣に対する質疑を許します。中川篤雄君。
  168. 平川篤雄

    ○平川委員 私に許された時間は三十分しかありませんので、きわめて大ざつぱなところだけお伺いしたいと思います。まず本多国務相にお尋ねを申し上げたいと思います。本年度の平衡交付金は昨年の地方に配付せられました補助金等を勘案いたしまして、結局七十八億の増額にしかなつていないということが、予算の説明書等に明らかにされておるのでありますが、これで大体十分であるとお考えでありましようか。この点をお聞きしたい。
  169. 本多市郎

    ○本多国務大臣 平衡交付金は、今回平衡交付金法によりまして、地方自治体の標準收入額、標準財政需要費というものを算定いたしまして、その差額を平衡交付金で交付するという建前になつておりますが、ただいまの見通しといたしましては、上分とは言えないと考えております。しかしながら国家財政の事情から来るものでありますので、この金額によつて適当に処理するほかはないと考えております。
  170. 平川篤雄

    ○平川委員 足りないという斜言明であります。それでは平衡交付金の交付にあたりまして、これは大体自治の本旨を尊重するところにあるわけでありますから、これについていろいろひもをつけたり、條件をつけたりすることはいけないということは当然なのであります。ただいまのように、まつたく足りないということが大体わかつております際に、もしかりに地方団体が経済状態が良好であり、かつ自分から欲して積極的に超過税率を適用いたしましたり、あるいは法定外の税目を定めたり、寄付によつて地方行政の水準を高めるということを、自発的に考えたときには、地方自治庁としてはそれをじやまをなさるということはないであろうか。この点をはつきりさしていただきたいと思う。たとえばこれは昨年なんかそうであつたのでありますが、教員の定員を増そうという場合に、もし増すならば配付金を削減するというような脅迫的な言辞を弄して、これをとどめたというような事態があつたのでありますが、かようなことは今後は行われませんか。そこをお聞きしておきたいのであります。
  171. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方税法は標準税率を法律をもつて決定いたしますが、この標準税率を上をとるか下をとるか、またちようど標準税率をとるか、まつたく自治体にまかされたところでありまして、それに干渉をするという考えはもちろんございません。しかし全国的な均衡等からはなはだしく不当であると思われる場合には、相当勧告あるいはその他の調整の方法が講ぜられると思いますが、原則としては自由でございまして、政府は干渉いたしません。
  172. 平川篤雄

    ○平川委員 交付金の額というものは、地方税の收入と非常に大きい表裏の関係に立つておると思います。附加価値税とか入場税、遊興税のような收入を持たない農村地帯は、当然交付金の額が大とならねばならぬと思いますが、基準財政需要額を算定いたします場合に、特に大都市に率を高くして優遇をするというような措置は絶対にとられませんか。その点をお聞きしておきたい。
  173. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはまつたく財政需要費の実情から来ることでありまして、大都会、小都市あるいはまつたく純然たる農村というようなものには、それぞれ財政的事情が相異をする点がありますので、人口等によりまして、多少の段階を設けたいと考えております。
  174. 平川篤雄

    ○平川委員 教育費の問題に関連いたしまして、これは本多さんにお伺いしたいと思いますが、このたび標準教育費法案というものが提出せられるそうでありまして、この教育費として二百六十億というものが計上せられておりますが、これは一体どの段階、つまり都道府県の段階か、市町村の段階か、どこまでおおろしになる御予定でございますか。
  175. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ただいまの御質問の金額がどの段階までやられるかということにつきまして、手元に資料がございませんで、ただちには答弁いたしかねますので、この点だけ保留をお願いいたします。
  176. 平川篤雄

    ○平川委員 それではついでに本多さんにお伺いしたいと思いますことは、最近道州制をできるだけ早く実施するというようなお話でありますが、大体その実施の見通しというのはどういうふうになつておりますでしようか。
  177. 本多市郎

    ○本多国務大臣 道州制の問題につきましては、いまだ道州制を採用すべきかいなかということについて、意見を申し述べたことはないのでございます。しかしそういう意見も一般より聞くことがあるのでありますが、政府といたしましては、こういうような行政区画の問題につきましては、シヤウプ氏の勧告に基く地方行政調査委員会議というものが発足いたしておりますので、そこで中央と地方の行政事務の再配分と合せて、このことも調査して、たたきたいと思つておりますので、その結論を待つた上で方針を決定いたしたいと考えているものでございます。従つてただいまのところ道州制がどうというような、政府として答弁申し上げるような方針は、ここに持つておらないのでございます。
  178. 平川篤雄

    ○平川委員 それではその他のことは分科会に譲りまして、文部大臣に今の問題に関連いたしてお聞きしたいと思います。ただいまの義務教育の標準教育費法案でありますが、この中に予想しておいでになります大要をお聞かせ願いたいのであります。
  179. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 平衡交付金の中に含まれて支給されます地方教育費の補助額につきまして、義務教育については特別な法的の措置をしたいということで準備を進めておりますが、こまかい点は法文を今調整しておりますので、あとからごらんをいただきたいと思つております。
  180. 平川篤雄

    ○平川委員 さいぜん文部大臣の御臨席にならない前に、大蔵大臣に教育費をひもつきにするかどうかという問題についてお伺いをしたところが、生活保護費と同様に、大体実質的にはひもつき同様にするような法的な措置をとるというふうな御言明があつたのでありますが、こまかいことはけつこうでありますが、大体のことについて以下二、三の点につ心てお答えを願いたいと思います。  その一つは、ひもつきと言いますからには、結局この平衡交付金の交付せられます財政需要額と、財政收入額の百分の七十というものを引きました差額を慶付せられる中に教育費は含めないで、それぞれの都道府県、市町村に必要な教育費だけは別個に出されるような形に相なりますかどうか。
  181. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 お答えいたします。私の今考えている案ではそういうことではございませんで、やはり平衡交付金の中に入つて交付されるのでありますが、その配付されたものを地方で使います場合に、必ず義務教育については一定の標準教育費を支出する義務を市町村が負うようにしたい。こういう考えでございます。
  182. 平川篤雄

    ○平川委員 そのような考え方は伝え聞いております。地方財政平衡交付金法案の中にも、政府の各関係機関が地方自治体に対して適当な規模と内容を要求して、もしそれにそぐわないような場合には減額ないしは全額を削つてしまうというような、強い措置をとるような規定が示されているかに聞くのでありますが、それと一体どの程度の違いが出て来るのでありましようか。
  183. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 お答えいたします。平衡交付金法案として考慮されておりますのは、一応教育について標準的経費というものを計算して、財政需要額の中にこれが計算されて行くわけであります。そうしてその計算のもとで平衡交付金が交付されて行くのでありますが、そのあとで市町村が、標準的な教育費相当額を実際出しておらないという場合には、交付金額を返還させるとかなんとかいう規定があるようなお話でありますけれども、その場合に返還をさせるべきかどうかというようなことをきめるにつきまして、義務教育という重大な教育についての責任を負つて奉ります文部大臣としての権限がほとんどありませんで、地方財政委員会がその場合どうするかというようなことをかつてにきめられるというような構想になつては困る、こういうことから来ているのであります。
  184. 本多市郎

    ○本多国務大臣 この機会に、平衡交付金法の文案を担当いたしております私の立場からも、一言御答弁申し上げておきたいと存じます。御承知のように平衡交付金の制度は、三百数十に上ります補助金というものがあまりに錯雑であやますので、これに統合して、財政的調整はこの平衡交付金制度によつて、原則として一本でやるというのが理想であるのでございます。そうした見地からここに教育費も計上されているのであります。教育費はこの地方自治体の経費の市の非常大きな部分を占めており、義務教育費は特に重要であひますので、この義務教育の費用が適正に支出され、それに相応する効果が上るようにということにつきましては、これは十分関心を持つている次第でございます。しかし一面自治体の財政的運営の根本は、この平衡交付金法によつて、今日以上に強力性が加わるようということがねらいでありまして、いかに義務教育とはいいながら、一体としての運営に支障を来すようなことになつてはなりませんので、いかにして義務教育費が適正に支出され、さらにまた地方財政運営を円滑に、弾力をもつて運営ざれるかということについて、矛盾のないように調整しなければならぬと考えているのであります。ただいまの段階におきましては、そうした見地から、その調整に努力しつつおる次第でございます。
  185. 平川篤雄

    ○平川委員 時間がございませんのであと一点だけ文部大臣にお伺いいたしまして分科会に譲りたいと思います。先ほど本多国務相の御留保になりました点について、文部大臣の御答弁をお願いいたしたい。つまり教育費をどこまでおろすか。
  186. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 今度制度がかわるものですから、こまかい点であるいはお考えと私の方の理解と違うかもしれませんけれども、今御指摘になつた数字は平衡交付金のうちに入つております。教育委員会の補助のような金額として平衡交付金の中に計上されて入つた分じやないかと思います。それですと二十四年度は府県という予定になつております。
  187. 平川篤雄

    ○平川委員 それでは本多さん並びに文部大臣に対します質問はこれで一応打切りたいと存じます。  次に御苦労をお願いしておりました消防総監、警視総監、並びに官房長官に対して簡單にお聞きいたしたいと思います。まとめてずいぶんたくさんなことをお聞きいたしますので、あと落ちのないように御答弁をお願いいたしたいと思います。まず消防総監にお聞きしたいと思います。総監は佐藤昇という人物を御存じになつておるかどうか。個人的な御関係はどういうふうになつておるのか、また消防庁の出入り商人であるというようなことが伝えられておりますが、それに間違いはないか。それから追放令の該当者であります岡崎、丹羽両氏、並びに現在の増田官房長官との御関係はどうなつているか。最後に総監が所管事務その他に関して、しばしば岡崎、丹羽氏等と赤坂の大野という家で御会見になつておるといううわさがありましたり、あるいは佐藤昇氏と金銭の授受があつたというような風評がございますが、絶対にかような点はないかどうかり以上とりまとめてお答えを願いたいと思います。
  188. 植原悦二郎

    植原委員長 塩谷消防総監に参考人として発言を許します。
  189. 塩谷隆雄

    ○塩谷参考人 お答えいたします。佐藤氏とは数年前から個人的に親しく交際をいたしております。次に佐藤氏は東京消防庁の厚生課との間に昨年の大月以来若干の取引があります。次に岡崎、丹羽両氏は私の内務省時代における先輩として面識がございます。増田官房長官とは面識がございません。所管事務に関し岡崎、丹羽氏と赤坂の大野で会見した事実は一度もございません。
  190. 平川篤雄

    ○平川委員 所管事務以外にでも赤坂の大野という所に絶対にお立入りをなさつていないかどうか、それは岡崎、丹羽氏の関係においてです。
  191. 塩谷隆雄

    ○塩谷参考人 個人的の交際におきましても岡崎、丹羽民と大野で会つたことは一度もございません。
  192. 植原悦二郎

    植原委員長 平川君に注意いたします。個人的に関する問題もしくは誘導的の質問は、委員長はこれを禁止します。
  193. 平川篤雄

    ○平川委員 警視総監にお尋ねいたします。敗戰後警察はわが民主社会を守るものとして、国民が最大の期待をかけているものであります。しかるに自治警察が出発をいたしまして以来、国家地方警察と自治警察との関係、あるいは自治警察と地方勢力との関係が、いろいろ国民の批判の的になつておりまして、ことに地方財政の関係もあつて、自治体警察を廃止してほしいというような要望も、無視できないような状態になつておる事情にあるわけであります。こういう際に、先日岡田春夫君より指摘せられまして本委員会の問題になつたのでありますが、そばから聞いておりまして、はなはだ自治体警察の権威のために、日本の警察の権威のために、残念な事件であるように考えられるのでおります。ことに警視庁の内部におきまする勢力の対立や、あるいは種々の権力が警察権の行使をはばむのではないかというような疑惑を持つような状態である。こういうことは警視総監として、部内の統一についても相当な御責任があると思いますが、一方国民の警察信頼の念に、多大の悪影響を與えたというような点がありますと、本問題が一地方警察等に起つたものとは類を異にすると思うのであります。この点について警視総監は少くとも道義的な責任があるとお考えになつているかどうか、あるいはそれについてどういうふうな態度をおとりになろうとしているか、警視総監にお尋ねをいたしたいのであります。  なおそれに付随いたしまして、ただいまの消防総監に対してお取調べになつた事実があるかどうか、それから本日読売新聞に出ました金相哲氏の事件が出て来たのでありますが、それにはわれわれの尊敬をいたしております同僚の議員諸君の数名のお名前も出ておつたのでありますが、政党献金事件があるというふうなことが伝えられているのであります。聞きますれば、これは警視総監の管轄下においてお取調べになつたように聞いておるのでありますが、こういう事実がありましたか、なお金子と呼ばれ、あるいは金と呼ばれている人の国籍は一体どこにあるのか、この点について御承知ならばあわせてお願いしたいと思います。
  194. 植原悦二郎

    植原委員長 参考人として田中警視総監の発言を許します。
  195. 田中榮一

    田中参考人 参考人としてただいまの御質問にお答え申し上げます。自治体警察と国警との関係につきましては、常に密接な関係を持ちまして国内治安に邁進いたしております。なお、いろいろ財政上の関係から自治体警察との関係もございましたが、ただいまでは大体におきまして財政も確立いたしまして運営をやつております。  それから警視庁部内に対立があつて、非常に世間に疑惑を與えたというお話でございますが、あえて対立の炭態はございません。三万五千の警察官打つて一丸となりまして、首都治安の任にただいま努力をいたしております。  それから消防総監云々というお話がございましたが、消防総監は本事件には何ら関係ございません。一応新聞記事等にはそういう点が報道されてお匂ますが、消防総監は関係ございません。それから金某の事件につきましては、現在銀行の浮貸し事件に関連しまして取調べをいたしております。その他の問題につきましては、ただいま取調べをいたしておりません。以上お答え申し上げます。
  196. 植原悦二郎

    植原委員長 平川君の割当の時間はすでにオーバーしております。
  197. 平川篤雄

    ○平川委員 官房長官に一言所信をお尋ねいたしたいと思います。ただいま警視総監のお話によりますと、金某氏の事件はただいま調査中であるというふうなお答えでございましたが、けさほど見ました新聞では一応捜査が終りまして、三名の代議士の名前と、なおそのほかに十数名が政治献金を受けているというようなことが明らかになつて釈放せられたということが出ているのであります。しかしまあそれはまた別の機会に譲るといたしまして、ともかく近来金氏の事件ないしは今の佐藤氏の事件というように、詐欺事件の容疑者であるというような人たちから、政治献金を受けているというような事件が次々と出て来るのであります。このことは国会自体といたしまして実に残念な問題でありまして、われわれともどもこれを国民に対して明らかにしなければならぬ烏だと思うのであります。先日、官房長官は断々固として佐藤事件に関係のない由を申されたのでありますが、まことにそうあるべきことでありますし、また同時に私もそうであることを信じたいのでありますけれども、この際いろいろと疑惑が持たれている際であります。国会自体が自主的な立場においてこれを明らかにすることは、国民に対する責任であると考えるのでありますが、ついては考査委員会等の委員会もありまして、みずからの手でこれを明らかにすることは可能なんでありますが、官房長官は政府の要路の立場におかれますと同時に、またあるいは一代議士としてこの点を徹底的に国会の内部において、自主的に究明しなければならないという御意思を、お持ちになつているであろうと私は確信するものでありますが、どういうふうにお考えでありますか、ひとつこの点について御所信を承りたいと思います。
  198. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 平川君にお答え申し上げます。私の所見はこの前、それからその前きわめて明確に申し上げた通りであります。しかして、これらの事柄について国会が独自の立場から、考査委員会なり何なりの機関を経て調査されるということは、もとより国会独自に御決定あそばすべきことと、こう考えております。
  199. 平川篤雄

    ○平川委員 これで終ります。
  200. 植原悦二郎

    植原委員長 この際、関連の質問を許します。時間も迫つておることでありますから簡潔に願います。勝間田清一君。
  201. 勝間田清一

    ○勝間田委員 田中警視総監にお尋ねしたいのでありますが、最近司法関係とかあるいは警察関係などがよほど寄付などをもらいまして、また寄付を納める者は、この際警察へも寄付しておかないと、あぶないからというのでよく寄付をする傾向が濃厚のようであります。そういうことは、特に最近の財政状態では、むずかしいことには違いないけれども、いわゆる官紀の粛正の上から行きましても、私は重要なことと考えますのでお尋ねをしたいのであります。日野中野署長が、容疑者であつた、またその後に容疑者になつたのかもしれませんが、佐藤氏から十万円もらつて、これは警察のために使つたと言われますけれども、その金がどういうところに使われたのでありますか、その点をお尋ね申したいと思います。
  202. 田中榮一

    田中参考人 お答え申し上げます。警察の費用というものは原則といたしまして、当然警察費、公費をもつて充当するのが建前であります。ただ、御承知のごとく、現在財政上の事由からいたしまして、十分なる警察費が計上せられないところに、いろいろな問題が起るのでありまして、最近におきましては警視庁の予算も相当増額せられまして、大体におきまして公費をもつてまかなつているのでありますが、ただどうしても公費をもつてまかなえない面につきましては、やむを得ず管内の有志の方々から弊害のない程度におきまして浄財をとりまして、これによつて充当いたしているような次第でございます。それから日野署長の佐藤昇から受取りました金につきましては、私当時警視総監として在職いたしておりませんので、明確なることはわかりませんが、一応日野署長の言うところによりますと、警察費等にこれを充当しているということであります。私どももそれを信頼するほかはないのであります。一応警察費等に使つたということであります。
  203. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その金をもらう場合に、公式にあるいは公明に募集するなり、あるいは正式の手続をとつてそういう金を募集するということならばけつこうだと思いますけれども、どうして一体佐藤からこういう金が入つたのか、その経緯というものはどういうものであるかということと、それから警察に使つたと言うけれども、一体それは正式に受入れて、公表されたものとしてそれが使われておるかどうか、この点についておきわめになつておれば、それをお聞きいたしたいと思います。
  204. 田中榮一

    田中参考人 ただいまの御質問はごもつともだと存じます。当時の状況を調査してみますと、日野君が個人としてこれを受入れまして、個人としてこれを警察費に充当したように考えております。私どもの考えといたしましては、当時それを公然と受入れまして、支出等一切はつきりいたしておいたならば、何ら支障はなかつたろうと私は考えておりますが、ただそれが上司にも言われずに、日野君個人として警察活動費にこれを充当いたしましたので、その点におきまして日野自身も道義上の責任を感じまして、辞職をいたしたような次第であります。
  205. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私はこの際官房長官にお尋ねしたいと思いますが、こういう警察の金なりその他の金を個人でもらつて、個人でいかに私服はしなくても、こういつたものを出して行くという考え方が、非常に社会を不明朗にしていると私は考えます心こういうものを今後一切やらないような適当な手を政府は打つべきだと私は患いますもこの点どうか所信を述べていただいて、明確に警察と司法に対する国民の信頼感というものを、私はここではつきりとしていただきたいと思います。御答昇をお願いいたします。
  206. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 勝間田さんにお答えいたします。警察あるいは消防その他すべて官庁におきまして、経費が足りないというような意味合いから、従来寄付を募つておりますが、かかる寄付はたとい明確なる記載がございましても、これから後はおもしろくないという意味合いにおきまして、従来政府は寄付を受けないようにということを強く勧奨いたしております。そういうことをいたしておりますし、将来もいたして参る所存でございます。
  207. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それから田中警視総監にお尋ねしたいと思います。岡崎、丹羽喬四郎両氏は昔の特高でありまして、しかも当時の非常な特高フアシヨの人物たちであります。こういう人達が警視庁に出入りしておるということは、私は非常にゆゆしい問題と思いますけれども、再々警視庁に出入りしておりますか、どうでしようか、この点をお尋ねしたい。
  208. 田中榮一

    田中参考人 お答え申しまする少くとも私が警視総監になりまして以来、今申しました岡崎、丹羽君はほとんど警視庁には出入りいたしておりません。おそらくそれ以前におきましても、パージになりまして以来、お二人は警視庁には出入をいたしていなかろうと私は確信いたしております。
  209. 勝間田清一

    ○勝間田委員 法務総裁にお尋ねしたいのでありますが、パージを受ける職業を失つた官吏なり、その他の政界の考が生活を守るために、いろいろの仕事をするということについては、われわれは同情を持つものでありますけれども、自分の縁故あるいは顔等を利用して、自分の出身省とか出身官庁などに関連をした事業を営んで、自分の顔をきかしてそこに有利な地位を開こうとする傾向があるやに私は見受けるのであります。今度の問題が幸いにして架空なものであればけつこうでありますけれども、この際こういう問題について、いかなる能度をもつて臨まれるか、この点を明確にしていただきたいと存じます。
  210. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 ただいまお話のような事実をときどきうわさに聞くのでありますけれども、これははなはだ遺憾なことで、追放令等によりまして、それらのものは十分に取締りをして行きたいと考えております。御承知のごとく各官庁にいわゆる外郭団体というようなものがありまして、その中に追放者が、公職でないという理由のもとに入り込んでおる事例が多々あつたのであります。それらにつきましては、ただいまのお話のような趣旨からいたしまして、ほとんど全部これを一掃するように努力をいたして参つております。およそ完成いたしておると思います。
  211. 勝間田清一

    ○勝間田委員 なお私ども社会党は、こういつた官紀の粛正の問題について、今後十分なる究明をして参りたいと思いますが、以上をもつて私の質問を終りたいと思います。
  212. 植原悦二郎

    植原委員長 次に関連質問で川崎秀二君に質疑を許します、どうが簡單に願います。
  213. 川崎秀二

    ○川崎委員 簡單にやります。増田官房長官は、先般も佐藤昇には一昨秋以来会つたことはないといことを言つておられますが、その後けさの新聞あたりを見ると、すでに額まで示してこれだけの献金をした、何べんも会つておるということを佐藤が言つておるというようなことも報道されておりますが、真に天地神明に誓つてあなたはないとおつしやいますか、もう一度御答弁を承りたいと思います。
  214. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 川崎君にお答えいたします。けさの新聞というのは、私は知りませんが、一昨秋ということは言つたことはございません。三年も以前から会つておりません。しかも一、二回でありまして、大体二度目に会つたときに顏を忘れておつたというような状況でおりまするこれは天地神明に誓つて客観的な事実であります。
  215. 川崎秀二

    ○川崎委員 昨年の秋であつたと私は記憶いたしますが、私はこの佐藤昇というのは、陸上競技の選手をしておつた時代がらよく知つておる。一昨年の春であつたか、当時の西尾官房長官に対して昭和電工疑獄に関連をして、献金をしたというような事件があゆて、スポーツ界一般で、あいつはしようないやつだということで、純真なるスポーツ界からおつぱらえというような意見さえあつたわけでありますが、昨年の秋でありますか、議会へ来まして廊下で会つたときに、お前もうあんまり悪いことをするなと言つて、私は直言したことがありますが、その際に一体どこに行くのだ、民主自由党の幹部室にちよつと用があつてつたというような話であつた。思い返すと、これはなかなか関連微妙なことでありますが、その際に会つた覚えはありませんか。
  216. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 昨年の秋といいますと、ついこの間のことですが、私は三年前からすでに会つていない、きわめて明瞭に申し上げます。
  217. 川崎秀二

    ○川崎委員 一説によると、その際帰り道であるか、玄関のところで……。
  218. 植原悦二郎

    植原委員長 川崎君に御注意いたします。
  219. 川崎秀二

    ○川崎委員 あなたと会つたというようなうわさもありますが、そのような覚えはありませんか。
  220. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 幾らでも御答弁を申し上げます。私はそういう事実は全然知りません、またありません。
  221. 植原悦二郎

    植原委員長 一説によれば、というような質問は許しません。
  222. 川崎秀二

    ○川崎委員 パージの問題に関連をいたしまして、ちよつとお尋ねをいたしたいことがございます。これは方面は違いますが、追放者の政治活動というのは、きわめて重大な問題でありますから、法務総裁に一言だけ伺つておきたいのであります。最近戰争中において最も活動して、日本の政治をむしろ軍部に売り渡した張本人である政友会、民政党の主流幹部であつた両名がしばしば活動しておるといううわさを私は聞くのであります。植原委員長においても、あるいは池田正之輔君等においても、この両名には非常に煮え湯を飲まされて、当時自由主義思想をもつてつたところの両君は、非常な御苦労をなさつた経歴がある。その両名が今や吉田首相の身辺に出入をして、そうしてよく電話で連絡をとつておるといううわさを聞いておるのであります。私は名前をこの際出しません。出しませんが、大方おわかりになろうと思う。追放者の中には鳩山さんであるとか、あるいは安藤さんであるとかいうような、まさに追放される性質のものでなくして追放されておる非常にお気の毒な境遇の方々がおられる。しかしそういう人の追放活動というものに対しては、きわめて嚴であるけれども、戰犯にもひとしいような人物で、しかも大政翼賛会の幹部であつて、政友会、民政党の主流幹部の両名が、近ごろは保守合同その他においても非常に活躍をしておるといううわさがある。これはきわめて重大であつて私は昨週であるが、そのうちの一名に会つて、あなたは政治活動をすることはけしからんということを直言いたしたことさえありますけれども、そういううわがある。これを法務府においては調査をされた事実があるやいなや。この点をお伺いしておきたいと思います。
  223. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 川崎さんが名前をさしておつしやらぬのでありますが、私の想像が聞違いであるかもしれません。しかしお前が頭の中でわかるだろうとおつしやつたので、私も想像してみたのでありまして、そういう巷説がしばしば伝わりまして、そうして多分新聞等にも出たことがあつたと思うのです。私どもは追放者の大物、小物を問わず、全部にわたつて十分注意をいたしております。なかんずく大物については特に注意をいたしております。しかしながらうわさのごとき事実を肯定するエヴイデンスを一件も発見いたしません。従つて私は事実でないものと考えております。
  224. 林百郎

    ○林(百)委員 貴重なる時間ですから簡潔にお尋ねしたいと思います。まず増田官房長官にお尋ねしたいことは、われわれが佐藤昇事件をお尋ねするのは、政府の綱紀粛正の立場から、かかる腐敗事件がある場合に、少くとも官房長官の名前すら出ておる際に、長官はどういう責任を負われるかということがまず第一点でありますが、その腐敗の内容としまして、参考までにすでに佐藤が自白しておるといわれる事実を、報道方面では伝えておるのでありますが、それによりますと、塩谷消防総監は佐藤から三百万円もらつておる。岡田鉱山保安局長は三十五万円もらつておる。増井群馬県国警隊長は五万円、間狩国警防犯課長は三万円、それから警視庁内の遠藤竹頼元京橋署長、世羅三郎元神田署長はいずれも物品の供與を受けておる。中西元警務部長に至つて百万円もらつた、現在はやみ屋の元手に融資するという形でこれをもらつておるという事実、さらに吉武警視庁の第二課第二係長は三万円、上野刑事部総務課の庶務係長は五万円、張本警備課第一係長に酒、くつ下等の物品を受けておる。そのほかさらに憂うべきことは、増田官房長官自体が六十万円、それから民自党の江花靜君が四十万円、元代議士東舜英君が二十万円、日野元中野署長が十三万円、福田篤泰――吉田総裁の元祕書でありますが、これが四十万円、さらに憂うべきことは、福田氏を通じて吉田総裁自体が佐藤昇から三十万円もらつておるというような事実に至つては、これを看過するわけに行かないのであります。こういうことは火のないところに実は煙は出ないのであります。そのほかすでにきようの新聞紙の伝えるところによれば、いろいろな問題も出ております。さらに株券の名儀書きかえの期間をシャウプ勧告の一箇年を、さらに二箇年三箇年に延ばしましたときにも、池田蔵相に対して、証券界から何らかの贈與があつたということを言つておるのであります。これは火のないところにまつたく煙は出ないのであります。こういう事実に対しまして、政府はどういう官紀粛正の責任をとられたか。ことに増田官房長官がどういう責任をとるかということをお聞きすると同時に、さらに殖田法務総裁に対しましては、かかる重大なる自供をしておると伝えられる佐藤を見ながら、勾留わずか三日にして保釈ではなくして釈放してしまつておるのであります。こういう重大なる事実を自供しておるという者を釈放したならば、いかに証拠が隠滅されるかということは明らかであります。しかもこの際逮捕状を出して地方検察庁に要求したのは岩城検事でありますけれども、岩城検事が逮捕状を要求したにもかかわらず、検察庁の特捜部長の岡崎君が、贈賄の疑いにしては根拠が弱いという形で、保釈ではなくして釈放を許したという点についで、われわれは幾多の疑惑を持たざるを得ないのであります。何がゆえに佐藤を釈放をして許しておるのか。この点が第一で為ります。  第二は何がゆえに岡田鉱山保安局長、並びに塩谷消防総監をかかる嫌疑があると伝えられておるにもかかわらず、一度も検察当局ではお調べにならないのか。  第三としては警視庁の中で事件を捜査するに非常に大きな妨害があつた。松本第二課長の部下である吉武第二係長は、この首脳部の意向を受けて捜査を妨害したという形で、土野署の次席警部として転職されたそうでありますが、そのほかさらにいろいろな形で警視庁の首脳部が、この問題の捜査を妨害をしでおるということでありますが、かかる事実ありとすれば、検察権の公正なる行使は絶対庭できないと思いますが、この事実について検察権の最終責任者である殖田法務総裁はどうお考えになるか。なお田中総監についてもこの警視庁の中庭おけるところの佐藤事件にからむ捜査妨害の事実について、どういう責任を負い、どういう事実があるかということをはつきりさせていただきたいと思うのであります。  さらに佐藤事件の発端は、味ノ素の常務をしておる鈴木恭一氏の職事件から出たのでありますが、この鈴木恭二氏は二百万円の職をしておるというにもかかわらず、まつたくこれは無罪で釈放になつておる。検察当局ではなぜ無罪でこれを釈放したか。これが佐藤事件の暗い陰をもたらした第一の出発点でありますが、この鈴木恭二事件についての司法権の公正なる行使について、殖田法務総裁はどうお考えになるか、お聞きしたい。  最後に、増田官房長官、並びに田中総監にお聞きしたいことは、この佐藤事件に献身努力し、首脳部がむしろこれを押えようとしておるのを、首脳部を越して直接地検に逮捕の要求をしたところの松本第三課長に対して、何らかの処分をしようということを意図しておる事実があります。この事実があるかないか。  以上の点を増田官房長官、並びに法務総裁、田中総監にお聞きしたいと思うのであります。われわれはなぜこの問題を重視するかといいますと、ただいま申しました通りに、検察権の公正なる行使を監督することは国会の任務だと思います。この点が第一点。  第二は佐藤事件の捜査が妨害されて、首脳部の個人的の意向によつて、忠実なる検察官並びに警察官の捜査権が妨害されることになるならば、国民の検察権に対する信頼はまつたく失われると思うのであります。この点について将来われわれは、検察権の公正な行使と国民の信頼を確保するためにも、この問題を追究しなければならないと思うのであります。  第三としては、官界の腐敗はすでにわれわれこのまま黙視し得ないのであります。この点につきましても、この六千億円の厖大なる予算が国民の血税からまかなわれておる際に、一銭一厘の行使をわれわれ予算委員会としては、重大な関心を持つていなければならない立場におきましても、この官界の腐敗を徹底的に追究しなければならない。  最後に、これは増田官房長官も昨日はつきり言つておられるのでありますが、丹羽、岡崎というような特高の追放者と三、三度会つておる、こういうことはどういう名目であつたかしりませんが、少くとも時の重要なる重職にある人が、元特高の追放者とお会いになるということは、一つの疑惑をあなたの行動の上に及ぼすことになる。以上の点から申しまして、われわれとしてはこの佐藤昇事件を徹底的に追究しなければならないという見地からお尋ねしておるのであります。その立場から各関係者の答弁を求めたいと思うのであります。
  225. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 林君にお答え申し上げます。今の火のないところに煙は立たぬといつたような、しかも風説を根拠にしたような陳述に対しては私は答弁できません。私の所見は、また事実はきわめて明瞭にしばしば申し上げた通りであります。それから官紀の振粛に要する点については、もとより大いに振興しなければならないと心得ております。それから丹羽、岡崎両君に対しましては、昨日か一昨日申し上げましたが、一昨年でありましたか、追放になつて以来会つていないのであります。
  226. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 佐藤昇事件が新聞にいろいろ出ておるのでありますが、現在問題になつておりますのは詐欺事件が二つ、職容疑が一つ、この三つであります。身柄を釈放いたしましたのは、これは留置する必要がないからあります。職の事件は、資源庁の岡田鉱山保安局長との関係でありますが、岡田鉱山保安局長が商工省特別資材部長であつたときに、佐藤から金銭の贈與を受けたということでありますが、その職務関係等につきまして、なお慎重に捜査を要するので、ただいま捜査をいたしております。これを逮捕しないのはその必要を認めないからであります。また警視庁の捜査課長のお話がありましたが、これは自治警察の問題でありまして、東京都の公安委員会が処置すべきでありまして、私は表面これに関與する権能を持たないのであります。
  227. 田中榮一

    田中参考人 お答え申し上げます。佐藤昇事件の險挙にあたりまして、私どもが検挙を妨害したかのごときお話でございますが、昨日も申し上げましたごとく、佐藤昇の検挙を命令したのは私であります。しかも検挙にあたりましては、常に刑事部長、捜査二課長一体となつて、常に緊密なる連絡をとりつつやつておりますので、何らそこに妨害の事実はございません。それから松本捜査二課長はきわめて有能なりつばな警察官であると私は考えております。
  228. 林百郎

    ○林(百)委員 殖田法務総裁にお尋ねしますが、そうすると佐藤の自供なるものは、岡田氏関係だけで、他はしておらないとはつきり断言されるかどうかという点が第一点。  第二は岡田局長に対する職容疑事件だというのに、なぜ岡田局長を取調べないかということが第二。  第三としては、かかる時の官界の要路者に対する職の嫌疑があるにもかかわらず、これを留置する必要がないとして釈放されるということは、明らかに証拠隠滅をむしろ検察当局が許してやるようなことだ、なぜこれを釈放されておるか、この三つの点をお尋ねしたい。  それから田中総監には、松本第二課長の身分上の処置については何ら現在考慮しておらないと断言される、また将来もそういう有能な部下に対しては、この際この問題のために身分上の処置は考えておらないと断言されるかどうか、その点をはつきり答弁していただきたい。ことに殖田総裁におきましては、こうした重大な犯罪が犯されているにもかかわらず、現在の刑事訴訟法では寛大にするよりほか道がないというようなことをこの前お答えになつておりますけれども、現在の刑事訴訟法では非常に厳格な処分を受けている。ことにわれわれ労働者や農民あるいはわが党のごときは、最も苛烈な彈圧を受けているにもかかわらず、かかる職に対してかくも寛大になさる理由がわからない。これはあなたは明らかに証拠を隠滅しようということを指令しているというよりほかに解釈のしようがないのだが、この点についてお聞きしたい。
  229. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 取調べしておらぬじやないかとおつしやいますが、捜査はしております。それは外形的にどういうことをしているかは、あなた方の干渉するところではない。それからなぜ釈放したかということでありますが、留置する必要がないから釈放したのであります。それは検察当局の考えにおまかせ願いたいのであります。それからまた、ある者は釈放し、証拠隠滅をするのじやないかということでありますが、証拠隠滅をする危險があれば決して釈放いたしません。証拠隠滅ができないと思うから釈放するのであります。またある者には重い取扱いをし、ある者には寛大であるということですが、それは事件そのものの本質によるので、事件が重ければ重くなる、軽ければ軽くなる、これはあたりまえのことであります。
  230. 田中榮一

    田中参考人 お答え申し上げます。人事の問題につきましては今ここで私が言明の限りでないと存じます。
  231. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと答弁が欠けているのですが、佐藤の自供は岡田関係だけであるということを断言されるかどうか。将来これが問題になつたときにはつきり断言できるかどうか。
  232. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 どういう自供であつたか、その自供をいかに活用するかは、それは検察当局の考えであります。
  233. 植原悦二郎

    植原委員長 なお関連質問を岡田春夫君に許しますが、岡田春夫君は相当質問してあるはずでありますから、二重の質問や繰返しは許しません。この前のあなたの質問以外のことで、ごく簡單な要領で十分に限つて許可いたします。
  234. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいま委員長からあまり長くやつてはいけないというお話ですから、ごく簡單に二点だけお伺いいたします。そのほかの問題につきましては、また別な機会においてこれをやりたいと思います。まず第一に先ほど総監のお話の日野署長の問題でありますが、日野署長に佐藤が十万円渡しておる、この問題について日野署長の自白によると、これを自分個人の名義で受取つて、個人の名義で警察に使つているということを言つておるのでありますが、この点に立つて昨日御答弁の通りに、日野署長は刑法上の関係がない、かような結論を昨日お出しになつたわけでございます。ところが私たち警視庁内部を調べてみますと、この日野署長の事実を調査いたしました場合において、これはあなたの監督下にある警視庁内の監察官の手によつて日野署長が調べられているのであります。従いまして、われわれの常識から申しますならば、なるべく警視庁内部のことはあまり問題にしたくないというお考えの上に立つて、しかも田中総監のお話によると、日野氏自身の自白を根拠にして、こういうものは單に警察のために使つたのだ、こういうように解釈されるような御答弁がただいまあつたわけであります。しかもそれのみならず日野署長のこの問題については、自分の在任当時の問題ではなくて、以前の問題であるから、詳細についてはわからない、かようにまでお話になつておる。こうなつて参りますと、以前の問題についてであるからしておそらく日野氏の自白については、前の総監時代の具体的な事実についてまで深く照合をされたり、取調べせられたりした結果として、これを全然刑法上の問題ではないという結論を下されたのではないと私は考えざるを得ないわけであります。そうなつて参りますと、結局日野署長の問題については、日野署長自身が言つた問題を根拠にして、できるだけこういう問題は、自分の管轄下の内部から起したくないというお考えの上から、正確に言うならば、刑法上の問題に当然該当すべき問題であるにもかかわらず、これを総監自身がきわめて軽微なる問題である、警察の経費として使つたのであるというその言葉のみを信じて、かように結論を下されたのではないかと私は考えさるを得ないわけであります。しからば田中総監にここではつきりお伺いしたいことは、日野署長が刑法上に該当しないという根拠はいかなる根拠に立たれて御答弁になつたか、この点をまず第一にお伺いをいたしたいと思います。
  235. 田中榮一

    田中参考人 お答え申し上げます。日野署長の取調べにつきましては、お話のように警視庁内に監察官制度がございまして、この監察官が至公至平の立場におきまして、厳重に調査をいたしたのであります。その結果はつきりここに金銭の授受があり、しかもその金が警察活動費以外には絶対に使われてないということ寮判明いたしましたので、私どもといたしましては、さらにこの金銭を受領した行為が、直接職務上の関係にあるかどうか、職務外の関係にあるかどうかということも厳密に取調べをいたしまして、その結果あるいは犯罪行為に該当するのではないかというような一応の考えもありまして、なお警視庁のみならず、さらに本件の内容をありのままに検察庁に持つて参りまして、検察庁においても十分に御検討願つたのであむます。その結果犯罪行為には該当せぬということがはつきりいたしましたので、犯罪行為でないといたしますならば、残る問題は内部紀律の問題であります。徳義上の問題であります。さような結果、日野署長自身も非常に徳義上の問題として責任を感じまして、辞表の提出もあつたのであります。大体そういうことであります。
  236. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それではその次の問題に入りますが、先ほど塩谷消防総監は関係がない、かような田中総監の御答弁でありました、ところが昨日の御答弁では、新聞紙上に載つてつた者の相当の者を調べておる。ところが二、三人の者は残つておる。かような御答弁であります。しかも二、三人のまだ調べておらない者については、ほとんど疑義がない、かような御答弁であつたと思います。そうなつて参りますと、塩谷消防総監は関係がないといたしましても、今までお調べになつた中で、日野署長以外に、金銭上の授受あつたというような事実はほかにありませんか。この点をお伺いいたしたいのであります。
  237. 田中榮一

    田中参考人 お答え申します。日野以外におきましては、先ほど読み上げました中に上野警部、これは帝銀事件の際に非常に各方面から御同情をいただきまして、その際に帝銀事件の捜査費といいますか、検挙いたしましたその雑費というので寄贈がありましたので、これは正式に受取りました。ただ受領者が上野警部となつておりますが、これは捜査第一課の、帝銀事件で各方面からいただきましたものはその費用にこれを充当いたしております。そのほかに間狩云々ということをさつき林委員がおつしやいましたが、これは数年前に警務課の方に寄贈がございましたので、これは正式に受領いたしまして、その金銭の授受ははつきり明細書に明記されております。それも帳簿にはつきり記入いたしておりまして、公の費用としてこれを充当いたしたのであります。
  238. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいまの御答弁でありましたが、今度は別の問題を伺いたいと思います。第一回目の私の質問のときに総監はおられなかつたけれども、私は読み上げたのでありますが、かねがねから警視庁の内部に三派の対立があつて、暗闘が繰広げられており、田中警視総監はあるボス派の方の力に押されてロボットの役割を果しておる。このように新聞には発表されておる。こういうような内部対立があつて、暗闘が繰広げられておるということは、綱紀粛正上きわめて重大な問題であります。この問題について田中総監の御感想を伺いたいと思います。
  239. 植原悦二郎

    植原委員長 その質問はもう答えられたのです。田中警視総監は同じことを答えられると思います。田中警視総監、お答えになつてよろしゆうございます。
  240. 田中榮一

    田中参考人 お答え申し上げます。何回も繰返してお答えするのでありますが、私ども二万五千人の警視庁の職員は、先ほども申し上げましたごとくに、まことに不敏ではございますが、私を助けて打つて一丸となつて首都の治安にただいま邁進をいたしております。従いまして何らそこに派閥も何も全然ございません。また私自身もある方面のボスの勢力から抑圧されるというふうなこともありません。きわめて自由な気持で自由な立場において仕事をさせていただいております。
  241. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 最後に一つ法務総裁に伺つておきたいと思います。
  242. 植原悦二郎

    植原委員長 一つだけ許します。
  243. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いろいろお伺いしたいのですけれども、委員長はもう許さないらしいのですが、先ほどからだんだん明らかになつて参りましたように、日野署長の問題にいたしましても、あるいは塩谷消防総監を初め、警視庁内部の多くの警察官の疑義の問題について、これは警視庁の一部の査察官というものがこれを取調べておるのであります。こうなつて参りますと、われわれの常識をもつていたしますならば、同じ警視庁内部のことは、田中警視総監にあとで泥のつくことでもありますので、なるべく外に出さないように、できるだけ穏便に取済まそうとするのが、これがやはり常識じやないかと思う。そうなつて参りますと、警視庁の内部において、先ほど総監自身がだれに幾ら、あるいはだれに幾らというような事実もお話になつておりますがこういうような問題は、警視庁の一部の査察官が取調べるべき問題ではなくて、しかもこの事件の重大性がこのように大きくなつてつておるだけに、この問題はむしろ法務府が徹底的に調べる必要があろうと私は考えます。こういうことについて法務総裁は、警視庁の内部のこの容疑の問題を、徹底的にお取調べになるお考えはあるかないか、この点についてひとつ意見を伺いたいと思います。現内閣の立場といたしましても、このような疑惑が国民の中に出されて参りました限りは、むしろこの際徹底的に洗つて、この疑惑の一掃に努められることが、私は絶対に必要であろうと考えますが、この際法務総裁の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  244. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 不正があれば、これを徹底的に粛正するのは当然であります。しかしながら世上に流布される疑惑を一々追つかけて、これを問題にするということは、またようなし得ざることであります。警視庁犯罪捜査の第一次責任者は警察であります。検察は第二次の責任者でありまして、りつぱな官庁の内部について、何らかの風評がある……。     〔「総監は知つているじやないか」と呼ぶ者あり〕
  245. 植原悦二郎

    植原委員長 私語を禁じます。
  246. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 ただちに検察がこれに干渉しまして、捜査をするということは差控えておるところであります。しかしながら御趣旨のごとく、不正があれば、もちろんいかなるところでもこれは粛正をいたします。
  247. 植原悦二郎

    植原委員長 この際、先刻世耕委員より、東京湾の金塊に関しての御質問がありまして、答弁を政府において留保されておりましたが、この際これを政府より説明いたしたいということであります。伊原理財局長に発言を許します。
  248. 伊原隆

    ○伊原政府委員 世耕委員にお答え申し上げます。東京湾から引揚げられました銀塊についてのお尋ねであつたと存じますが、この銀塊につきましては、世上いろいろなうわさがございますが、真相といたしましては、これは終戰後におきまして、陸軍から、臨時貴金属数量等報告令というのに基きまして政府に対しまして銀塊約三十トンが東京湾にあるという申告が出ております。この銀塊につきましては、司令部に接收せられまして、その後司令部の民間財産管理局におきまして、略奪物資であるということを認定せられておる次第であります。
  249. 世耕弘一

    ○世耕委員 金高はどのぐらいですか。
  250. 伊原隆

    ○伊原政府委員 先ほど申し上げましたように、臨時貴金属数量等報告令によります報告によりますと、三十トンでございますので、現在の金額にいたしまして二億三千万円でありますが、司令部で接收いたしました銀塊がは、たしていかほどであるかということにつきましては、日本政府としては了承いたしておりません。
  251. 世耕弘一

    ○世耕委員 引渡した金額が、二億円近くもあるものを、大蔵大臣が知らぬと先ほど返事をされた。ところが私の顔色を見ておつて、あなたに説明をさせると言う、はなはだふまじめな態度だと言いたい。実は私は読むのをやめておつた。なるべくこういうことは渉外関係のことでもあり、あなたの立場もあるようだから、そこを伏せて話をした。ところが今聞いてみると、銀塊ですか、金塊ですか。
  252. 伊原隆

    ○伊原説明員 銀塊であると了承しております。
  253. 世耕弘一

    ○世耕委員 この際私は、真相を明らかにする意味で單なる情報ではないということから、私はこれを読上げさしていただきたいと思います。    証明書(訳文)   関係者に対し、一九四八年四月二十三日余は石田恒太郎氏代理弁護士の岡本敏男氏の依頼により、余の体験せる左記事実をここに陳述証明する。   余、アルフレッド・W・ブルックスは米国陸軍大尉として、一九四六年四月中、日本東京駐在APO、二〇一、第三十二軍政中隊に所属し、E・V・ニールセン中尉は右中隊本部の法律及び公安課のために捜査を管掌し、若干の日本市民は、われらに協力し、われらが捜査基礎として使用すべき情報をときどき提供していたところ、東京湾に金、銀、及び白金が隠匿されているとのうわさを聞き込んだのである。しかしながらその所在、分量または関係者については、石田恒太郎にわれらが会見するまでこれを確定することができなかつた。   一九四六年三月十五日、総司令部財政部ブレーク氏より右情報を確かめることの通達があり、また同年三月二十五日ある密告者が芸者より同様の情報を聞き込みたることを報じ、これは前の情報と関連し確認するものであつたが、所在その他については  何ら新事実をもたらしたものではなかつた。   われらは、榎本及び後藤と称する二名の日本人と接触したところ、彼らと関係ある第三者が、われらに情報を提供したがつているのであるが、隠匿貴金属の所在を密告したことが漏洩すれば、その生命に危険あるを恐れ、表面に立つのを欲しないということがわかつた。榎本及び後藤は、右貴金属の所在について何も知らないけれども、一九四六年四月六日には彼らが代理している本人で右所在を指示し得る者を連れて来ると陳述した。同日において右本人たる石田は初めてわれらの前に来り、二ルセン中尉に現場を指示したのである。彼が金属塊隠匿場所と言つたのは、第一騎兵師団、第七騎兵連隊、第二騎兵中隊が占拠している地域に接続した所であつた。この者は相当期間にわたり該地域付近に監守人を置いていたのである。彼は伴つて来た日本潜水夫をもぐらせ、長時間かかつて金属塊一箇を引揚げ、彼の陳述の真実であることを証明した。   われらは該地域周辺に衛兵を配置し、報告書作成後これを上司に提出したのであるが、われらが貴金属をとりもどす基礎となつた情報の提供者石田恒太郎の名は当分の間秘密としておいた。   その後、W・P・ブラツドフオード准将の命により、われらの事務所が行つていた捜査はCIGに移管され、第二騎兵旅団が右金属塊を保全し、とりもどし、これを日本銀行の金庫へ送付する全責任をとることとなつた。一九四六年四月十日の書面において、ブラツドフオード将軍は、米国側監督のもとに、日本側より潜水隊及び必要なる装備を用意せしむることを許可したので、一九四六年四月十一日、二ールセン中尉は、右情報提供者石田恒太郎に対し、彼を第二騎兵旅団ムーア中尉に紹介する書面を與え、石田が潜水夫及び若干の装備を有するものであり、また、隠匿金属発見責任者としてその引揚げに助力することを欲しているものであるとし、また右金属発見について、石田の助力を得たことであるから、これに対し適当なる考慮あれば幸いであると述べ、また石田の奉仕に対し、いまだ何らの報酬も與えられていないので、右金属を水中より引揚げるにつき、一九四六年四月十日ブラツド将軍の許可に基き彼の部下及び装備を利用せらるべきことをニールセン中尉は非公式に提案したのである。   余はみずから石田とともに余の自動車にてムーア中尉を訪れ紹介の労をとり、石田はニールセン中尉より受けた書面をムーア中尉に提出した。その後、S―3騎兵サンダース少佐のS―3定期報告第五号により、第四一八警備地域として知られている前記地点から連絡番号のつけている銀塊と確定されるものが引揚げられたことをわれらは知つた。連目引揚げられたものの数量及び番号は、日本及び連合軍政府の記録により確認することができるけれども、われらの事務所では、引揚げられた金属の数量、種類または価格については詳細が判明しない。石田氏はこの場所に投入されたと思われる金属塊が約千二百箇、そのうち三十箇は金であつて、これを最初に水中に投入したものであると陳述した。一九四八年四月上旬、軍政部ヤング少佐は前記隠匿金属とりもどし責任者として石田恒太郎を確認せしむるため、余をその事務所に招致したので余はその確認をした。余の指示した石田は、前述隠匿金属とりもどしのため役立つことができる。また事実に役立つ適当かつ確定情報を直接に提供した唯一の者であつた。この金属引揚げを完了するため、米国海軍が用いられたことを余は聞知した。うわさによれば、約百ポンドのもの千二百本、十ポンドのもの三百本が引揚げられ、合計千五百本、その重量十二万ポンド(一万四千九百六十貫)のものが一九四六年五月上旬、日本銀行に保管せられたということであるが、これについてわれらは公式報告を受領していないから、その真偽を逃べることができない。   後藤及び榎本と称する日本人は、石田のため通訳及び連絡係をしていたものである。石田がその奉仕に対する報酬を請求するため、われらの事務所に来たとき、もし彼の諸経費が支弁され、彼の奉仕に対する報酬が支拂われるならば、さらに隠匿物資の発見に助かる旨を約した。その後余は他の任務についたため、爾後のできごとについては、何も聞いていない。われらが石田に対しその有益なる奉仕について何らの支拂いをも確保し得なかつたことを余は遺憾に思つている。されば本証明書により、余が公安士官たりしときにおいて知り得た事実を立証し得て、もつて石田氏の奉仕に対する報酬請求の基礎として用うることができるならば、余は幸いと思う。   総司令部、法律部APO五〇〇   極東国際軍事裁判所弁護部    アルフレッド・W・ブルックスこういう証明書が出ておる。こういうことを聞いたことございませんか。
  254. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 今のお話の証明書につきましては、私は直接聞いたことはございません。
  255. 世耕弘一

    ○世耕委員 理財局長にこれ以上お尋ねすることもむだだと思いますが、実は私の計算器よると、現在の公定価格で百五十億、やみ値にすれば数百億、それがただ略奪物資なりという名目で引揚げられたということはしかたかない、占領下でありますから……。内容を知らぬということはないでしよう。金がもし銀だと言われたらどうなさる。われわれは占領下において司令部に協力することについては人後に落ちぬつもりだけれども、国民が疑惑を持つようなこれだけの大きな金銀塊、あるいは白金も入つてつたという。それがこの席上で大蔵大臣は知らぬと言うし、あなたは目方についてもあまりお知りない。この司令都側の人が官名をしるして証明したことに対して、はつきりした御回答がないということは、少し私は無責任じやないかと思う。もしあなたが実は知らぬとおつしやつたなら、徹底的に大蔵大臣を責めるつもり、だつたけれども、あなたがおいでださると言つたから、私はその好意は感謝しますけれども、お互いが今日窮乏のどん底にあつて、百五十億、二百億の金高が、ただ引揚げられた。略奪物資だという証明が得られましたか、この点も非常に重大な問題だ。私が重ねてお尋ねしたから、列席の議員諸君はほんとだなと思われた。もしあのまま引込んでしまつたらナンセンスに終る。私がこの隠退蔵物資に対しいろいろと言つた。大部分はナンセンスに終つた。ダイヤモンドの問題についても同様、あとで十年かの懲役を食つた人がある。ナンセンスで懲役を食うはずはないけれども、私は国際関係いろんな関係があるから言わないでがまんしておつたけれども、大事な主張すべきこと、道理あることをなぜ堂々と主張なさらないか、私はこの点をはなはだ遺憾に思うのであります。現にここに金特別会計といつて項目が上つておる。数億の金が予算に計上されておる。ついでにお尋ねいたしますが、この新しい産金もみな司令部に一旦引揚げられて、それから拂下げを受けるのですか。
  256. 伊原隆

    ○伊原政府委員 最後の御質問につきましてお答え申し上げます。新産金銀を日本政府において買上げをいたしております。それをたとえば金を歯医者に使いますとか、銀を輸出用の製品に使いますとかいうふうな解除いたします場合においては司令部の承認を得ております。  それから先ほどのお話東京湾の銀塊の話でありますが、私どもといたしましては、先ほども申しましたように、臨時金属数量等報告令というのがございまして、これに基きまして当時陸軍糧秣本廠から東京湾に銀金量約三十トンがあるという報告が出ておる。その後それが引揚げられ、かつ接收せられたということ、並びにこれが司令部の民間財商管理局によりまして略奪物資である。当時軍が海外から持ち帰つたものであるという認定を受けておる。こういう事実を承知しております。
  257. 植原悦二郎

    植原委員長 世耕君にお願いしますが、もしそういう質問がありますなら、まだ大蔵大臣質問なさる機会があると思います。
  258. 世耕弘一

    ○世耕委員 そのときにお許しを願います。
  259. 植原悦二郎

    植原委員長 これにて総会における質疑は大体終了いたしたので、明日より分科会の審査に移ります。各分科会におきましては、明十七日及び明後十八日の両日にわたつて御審議を願いまして、その結果について二十日本委員会に御報告あらんことを望みます。その際まだ質疑の終らない方がありましたならば、時間の許す範囲、質疑を許すことにいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十九分散会