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小澤国務大臣 今
委員長の
お話は、大体
預金部、
特別会計全般を含めての
お話のように聞えましたが、これは二つにわけて
考えることが適当ではないかと思うのであります。というのは、
簡易保險の
積立金の
運用と、
貯金の
運用というものとは、別個に
考えなければならぬのではないかと
考えております。というのは、先ほ
ども申し上げました
通り、
簡易生命保險は
一つの
社会保障制度でありまして、この
制度の持つ特性といたしまして、当然
国民からはできるだけ低額の
加入金、すなわち
掛金によ
つて、できるだけ多い
保險金を拂
つてやるということが大きな使命なのでありまするから、
従つてこの
保險の
積立金の
運用は、今
委員長が
お話のように、極力高率に
運用いたしまして、そうしてその得た
利益で、ほんとうの最小限度の実費を引いて、余つたものは
加入者に返してやるというようなところまで進むことが、
保險の
積立金運用に関する根本であると
考えておるのであります。
従つて現在のようにこの
積立金の
運用が
大蔵省でやられてお
つて、しかも思う存分の利潤を獲得することができないということは、この
制度の根本に対して矛盾したやり方であるばかりでなく、これによ
つて加入者の
利益が増進されていないということは、はつきりしておるのであると思うのであります。
従つて私
どもはこの
保險の
積立金の
運用に関しましては、
郵政省設置法の
規定の趣旨もありまするし、極力その
運用を
郵政省へもどし、そうして今
委員長が話しましたような
運用方法に進むことが、適切だと
考えております。
一方
預金部の大部分を占めまする
貯金の、いわゆる
預金部の
運用でありますが、これは
考え方がいろいろあると思います。この零細な資本を集めて、そうしてできるだけ高金利に
国民に拂
つてやるということがいいのか、それともこれが
運用については、
国家の
資金運用に関する唯一の高金額を持つ
預金部資金でありますので、適当な場合に適当な施設を施すのには、実際問題といたしましては、
政府はこの
預金部の
貯金の
積立金以外にはないのでありまして、これはやはり現在の段階では
資金統制の一元化、あるいは
財政政策
どもにらみ合した
運用が必要でありますので、必ずしもこれは
郵政省に持
つて来なくてもよろしいのではないか。換言すれば、普通経済界で認められるところの金利を保障しさえすれば、たまたま
預金の
運用で損をいたしましても、これは
国民の福祉の増進のために損をするのでありますから、
一般会計の方からこれを補填して行けばよろしいのではないか。こういうふうに
考えておりまするが、しかしこの
一般銀行への
預金者と、
政府の
機関である
郵便貯金を利用する者との間に、差異があ
つてはよろしくないと思います。すなわち金利等において差異があることはよろしくないと思いまするか、
郵政省としては大体そのときの経済情勢に応じて、また
一般商業銀行等の金利等を比較しながら、全部は一致いたしておりませんけれ
ども、総合的にはバランスのとれるような
預金の率を定めておるような次第であります。これをかりに今
委員長が言わるるように、高度に利潤をもうけるような
積立金の
運用をいたして、そうして
利益があつたということを仮定いたしましても、もし
郵便貯金の利息を市中銀行より何倍も高くするということになりますれば、市中銀行の方く預ける人がなくな
つて、全部
資金がこつちに入
つてしまうという場合もありまするし、要するに金利というものはどこに標準を置くべきかという、その時その場合における
考え方に基いて、金利というものはさま
つて行くものと
考えまするので、そうした意味において、そのきまつた金額さえ保障し得れば、かりに
運用の方では損しても、その損失がむだな損失ではなくて、むしろ
国民諸君の先ほ
ども申した
通り、福祉の増進のために使われておるならば、
一般会計より補填することは何ら不思議ではないのではないか。ただ
貯金事業を扱ヶために厖大な
経費がかか
つて、節約すればできるのに、その
経費のためにたくさん金を使
つて、しかも
貯金会計を危うくすることは、嚴に愼しまなければならないことでありまして、この点については私
どもは
委員長と同感で、極力
事務費その他の費用を節約いたしまして、
国家の
利益を増進したいと
考えております。