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1950-03-03 第7回国会 衆議院 郵政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三日(金曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 石原  登君    理事 宇田  恒君 理事 大和田義榮君    理事 風間 啓吉君 理事 加藤隆太郎君    理事 白井 佐吉君 理事 松本六太郎君       東井三代次君    原 健三郎君       平島 良一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         郵政政務次官  坪川 信三君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      金丸 徳重君  委員外出席者         郵政事務官         (貯金局次長) 齋藤信一郎君         専  門  員 稻田  穣君 二月二十三日  西村久之君が議長の指名で委員に補欠選任され  た。     ————————————— 二月二十七日  簡易生命保險法の一部を改正する法律案内閣  提出第四一号)(参議院送付)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四二号)(参議院送付) 同月二十三日  逓信従業員寮費全額国庫負担請願苅田ア  サノ君外二名紹介)(第九七九号)  箱石郵便局集配事務開始請願山本猛夫君  紹介)(第一〇〇九号)  秦野町に特定郵便局設置請願(小金義照君外  一名紹介)(第一〇七三号) 三月一日  室田郵便局職員の復職に関する請願田島ひで  君紹介)(第一一四七号)  川内村小川字下小川に無集配郵便局設置請願  (飯塚定輔紹介)(第一一七五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  簡易生命保險法の一部を改正する法律案内閣  提出第四一号)(参議院送付)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四二号)(参議院送付)  郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出  第四六号)(予)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第五八号)(予)  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第五九号)(予)     —————————————
  2. 石原登

    石原委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便振替貯金法の一部を改正する法律案議題といたしまして、審査に入ります。まず政府より提案理由説明を求めます。     —————————————
  3. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいま議題と相なりました郵便貯金法の一部を改正する法律案の、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金預金者利益を保護するために、郵便貯金拂いもどし証書有効期間について必要な改正を行うとともに、土地改良法制定等に伴う規定整備を行おうとするものでありますが、以下その内容について御説明申し上げたいと存じます。  まず第一は、拂いもどし証書有効期間についての改正であります。御承知のように郵便貯金制度におきましては、たとえば貯金の全部拂いもどしをする場合には、一応郵便貯金通帳に記載されている貯金現在高に相当する現金のみを郵便局で受取り、貯金利子でまだ通帳に記載されていないものに対しましては、後日貯金原簿を保管する地方貯金局発行する拂いもどし証書送付を受けて、この証書と引きかえに郵便局でその拂渡しをすることとなつておりますが、この拂いもどし証書有効期間は、現在の規定では特に交通不便の地域でない限り、すべて一律にその発行の日から二箇月となつておりまして、もし預金者がその期間内にその証書による拂いもどし金の拂渡し請求をしなかつたときは、十円の料金を納めて、証書の再交付を受けなければならないことになつております。もとよりこの規定は、通常の状態においては別段の支障を生ずることもないのでありますが、たとえば証書蓬蓬が何かの原因で遅延したような場合等、預金者の責に帰することのできない事由によつて証書有効期間内における掛渡し請求ができなかつた場合において、この規定適用することは、預金者に対して酷に失することとなりますので、このような場合には、その事故の存続する日数は、証書有効期間に算入しないことに規定を改めて、預金者の不利益を救済いたしたいと存ずるのであります。  次に第二の改正は、郵便貯金総額制限適用を受けない公共団体等の名称の読みかえであります。御承知のように水利組合耕地整理組合北海道土功組合等公共団体は、郵便貯金総額制限適用を受けないことに規定されておりますが、先般土地改良法制定等によりまして、耕地整理法北海道土功組合法及び水利組合法改廃、並びに既存の関係事業及び諸団体の切りかえ、または整理が行われましたのに伴いまして、この規定の形式上の整備を行いたいと存ずるものであります。  以上がこの法律案内容でありますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いする次第であります。  さらにただいま議題に供されました郵便振替貯金法の一部を改正する法律案の、提案理由を御説明申し上げます。  郵便振替貯金制度は、郵便貯金の一態様とし七、明治三十八年に制定されました郵便貯金法中に規定されていたのでありますが、第一回国会において新たに郵便貯金法が制定されたのに伴い、昭和二十三年六月に現行郵便振替貯金法が制定されたのでありまして、その後順調に実施されており、従前と同様に確実な邊金及び決済の手段として、その機能を十分に発揮いたしておるのであります。従いまして今回御審議をお願いいたします改正案も、制度の本質に変更を加えるものではなく、利用者利益の保護と事業経営合理化をはかるため、規定の一部を修正しようとするものであつて、その一は、振替貯金制度利用者利便を増進し、またその利益を保護するため、現行第二十七條及び第四十八條を改正いたしまして、用紙需給関係から売渡しを停止しておりました振替貯金押込書用紙売渡し制度を復活し、また抑出し証書有効期間を経過した後で佛渡し、またはもどし入れの請求があつた場合において、その期間の経過が加入者または受取人の責によらない事由によるものについては、その事由により請求ができなかつた日数は、描出し証書発行の日より二箇月となつておりますが、証書有効期間に算入しないことにいたそらとするものであります。  その第こは、取扱い料金及びその徴收方法適正化と、事業合理的運営をはかるため、第五十一條及び第六十二條を改正しようとするものでありまして、その内容簡易生命保險保險料、または郵便年金掛金振替貯金から簡易生命保險、または郵便年金特別会計に移しかえる料金は、現在加入者から徴收することになつてい届のでありますが、これを簡易保險局において納付することに改め、また地方公共団体に佛い込む公金の抑込み料金は、取扱い経費等から考え、五円に引き上げようとするものであります。  以上御説明申し上げました規定整備によりまして、国民の円滑な経済活動に資することを期待いたしておりますので、これ等の点を御了承の上、何とぞ十分御審議されまして、すみやかに御賛成くださらんことを切望いたす次第であります。
  4. 石原登

    石原委員長 それではただいま議題となつております両案に合せまして、前に提案されております簡易生命保險法の一部を改正する法律案郵便年金法の一部を改正する法律案郵便為替法の一部を改正する法律案の各案を議題として審査を進めます。質疑を許します。白井君。
  5. 白井佐吉

    白井委員 二、三の点についてお尋ねしたいと思います。  その第一は、今年の二月二十九日の神奈川新聞に掲載せられました横浜郵便局貯金課外事係が犯した背任、横領、その他それに関連する事実であります。それによつて、当時報道せられておりますごとき内容が事実でありといたしましても、その国家に與えた損害は大体二百万円見当となつておるのでありますが、その二百万円を問題にするということよりも、まず国民の最も信頼できる貯蓄機関の対象たる郵便局の存在が、こらした事柄によつて一般大衆の心理にどういうような影響を與えるかという点を、重観したければならぬと思うのであります。ことに昨年六月以来郵政監察制度の実現を見まして以後におきましては、著しくその方面監察の度合いガ強仕されておるという事実は認めざるを得ないのでありますが、往々にして、連日の新聞紙を見ておりますと、各地にそうした大同小異の問題が発生しておるというようなことも、その記憶にあるわけなのでありまして、この事実に対しまして、当局はどのような態度に出ておられますか。その点をまず第一にお聞きしたいと思うのであります。  次に、簡易生命保險の問題でありますが、今日簡易生命保險は、その独占性を離れて、最も一般的企業形態の面において、維持運営されておると思うのであります。ところで二十四年六月一日以降に効力が発生した契約が、二十一年の十月にさかのぼるということになるならば、その間における契約高倍額をもつて支輪いするということにつきましては、それに要するところの費用及び財源というものはいかにするか。またことに日本脳炎等をも加えて全額を支輪いするということになるならば、そこに相当の支出が行われるのではないかというよりにも考えられるわけなのであります。しかもまた一面には、この契約高現行法におきましては五万円ということに最高が限定されておりますが、一般民間企業におきましては、二十万円までほとんど無審査状態において、契約が締結されるということを聞いておるのでありますが、そういたしますと、ここに一方簡易生命保險けその独占性を失い、きわめて自由な立場に置かれて、それだけまた民間企業がその方面に侵入しで来るというおそれがあるのではないか。この場合に、この五万円を十万円とか、あるいは十五万であるとかいうようなものに契約最高額を改めて、そうして一般会社と太刀打ちできるような態勢に導くということが、必要ではないだろうかというようなことも考えられるわけなのであります。これらについての当局の御意見をまず伺いたいと思うのであります。まずぞれについてお伺いして、またあとでさらにお伺いしたいと思います。
  6. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 白井君にお答えしますが、御指摘のように、最近郵便事業に対する犯罪が激増いたしておりますことは、まことに遺憾なことでありまして、またわれわれの責任も非常に痛感いたしておるのであります。お話のように最近新しい監察制度を持つて、その妙を得た監察振りを発揮いたしておるのでありますから、従前よりは犯罪発見日時、あるいは件数等も非常に早く、よく発見されつつあることは、この制度のよいところでありますが、ただ私どもは、お話のように、ただ監察制度で発見した犯罪者を処分したというだけでは、何らの意味もないのでありまして、私どもは、一つ犯罪がありますれば、監察から詳細の報告を求めまして、その報告内容によつて、爾後再びこうした犯罪が繰返されないように、制度改廃ということを常に考慮して行かなければならぬという方針によりまして、一つ犯罪が検挙され、また監察から報告が参りますと、常に省議を開きまして、その跡始末というものを次から次につけて行く。また法規等改廃を要する点は、法規改廃をいたす。また事務整理方法について欠陥があるものには、その欠陥を改めて行くというような方針で最近進んであります。しかしながら出て来る犯罪の形が、犯罪ごとに非常に違つておりまするので、しかもその犯罪を行う人は大体内部に多いのでありまするので、なかなか、巧妙な、新しいやり方で犯罪をいたしておりますむのですから、思うようにそれを防止することができないようになつておりますが、しかし今申し上げました通り監察制度によつて一つ事故というものがあれば、その責任を問うというだげではなくして、今後こうした事件が二度と起きないような、法制あるいは事務に改善を加えて行きながら、こうした犯罪を極力防止しようと考えております。しかしながら一方犯罪がありましても、もし一般国民のうちに、その犯罪によつて何人か損害をこうむる場合には、もちろん政府責任を負つて賠償をいたしておりますから、一般国民諸君にその犯罪のために損害をかけるというようなことは、全然ないつもりでおります。また一方犯罪者に対しましても、極力賠償を求めまして、国庫負担が少しでも増大しないような方策を講じつつあるような次第であります。いずれにいたしましても、こうした傾向ははなはだ遺憾な問題でありまするから、今後さらに十分な留意をいたしまして、こうした問題の惹起しないように、少くなるように努力いたすことを、お誓い申し上げる次第であります。  それから第二番目の、簡易生命保險の今回改正をいたしました、いわゆる倍額支拂いを一年間さかのぼる。またその倍額支拂いの病気の種類を日本脳炎も加えたということは、申すまでもなく簡易保險制度は、私の考えでは、一つの大きな社会保障制度だと思うのであります。従つてこの保險事業経営によつて、幾分なりとも加入者負担を軽くして、そうして高額な保險金を支拂つてやるということに努力することが、一番重大な問題じやないかと考えております。従つてただいまの、災害によつて突如死亡したような場合における倍額支拂い制度というものは、この制度根本精神に合致するぱかりでなく、この範囲を、財政の許す範囲内において極力拡張して行くということが、また大きな私ども任務だと考えております。しかし簡易保險には一つ特別会計的な措置をとられておりまするから、無制限にこれを拡張することはできませんが、現在の経理状況、あるいは財政状況におきまして、ただいま提案をいたしました程度法案改廃はしても、ただちに保險事業影響はないものと考えまして、いわゆる加入者利益のために、この法案提案をいたしたような次第であります。なおこの予算の收支に関するこまかい点は、保險局長から答えることにいたします。  それから第三番の、最高金額を現在の五万円に制限しておつたのでは、民間会社と競争した場合において、国家経営する簡易生命保險というものは、だんだん衰微していくのではないか、こういう御質問でありますが、それはごもつともでございます。しかしながら簡易生命保險制度というものの持つ任務、すなわち社会保障制度の一環として持つ任務からいたしますれば、できるだけ下層階級の、国民の中の経済的に恵まれない人を、できるだけ多くこの制度に加入してもらつて、そうして不時の事故に対しまして補助をするということが、この保險制度目的でありまするから、あまり大きくすることはどうかという問題がありまして、現に第六国会と思つておりまするが、従前保險金額を五万円にする場合におきましても、大蔵当局の方では、民間保險会社を圧迫するから、五万円ということでは実際納得しなかつたのであります。そこで事務当局考えでは、四万円ということで法案を出そうと考えておりましたが、閣議におきまして私と大蔵大臣の折衝で、他の閣僚諸君も私の主張を認めて、ようやく五万円にきまつたような次第であります。もちろんこの五万円がいいか、十万円がいいか、あるいは十五万円がいいかということは、どつちにもいろいろ論拠がありまするが、民間事業も必ずしもひどく圧迫しない。また簡易保險独立採算ということも必ずしも害せない範囲では、やはり現在のところでは五万円程度で押えることが至当ではないか、こう考えておるような次第であります。それからかりに同じ五万円の契約に入り、しかも無審査で入るというような場合におきましても、私の現在の観察では、一般民営保險会社に対する国民諸君信頼と、国営の現在郵政省で扱つておる簡易生命保險に対する信頼心とは、大分違つておるのじやないかというような見地から、もちろん将来はいろいろ考えなければなりませんけれども、現在の段階では、必ずしも少額な保險金額の取得について、民営民間会社に押されておるというようなことは考えていないのであります。しかも幸いに郵政省内におきましては、全国各町村にいわゆる郵便局出先機関を持つておりますので、そういう点からいつても非常に有利な地位を占めておるものと考えておる次第であります。以上のような次第で、今後時勢の大きな変化でもありますれば、またこの問題を再検討しなければならぬと思いまするが、現在の情勢ではこの程度で、保險はうまくやつて行けるのではないか。また国民利便もはかられるのではないか、こう考えております。
  7. 金丸徳重

    金丸政府委員 倍額支拂いによりまする支拂い増加が、どれくらいであるかというお尋ねでございますが、私ども今まで集まりましたいろいろな材料を参考にいたしまして、計算いたしたところによりますと、二十五年度におきまして二千四百五十五万円ばかり、この制度によつて支拂い増加する見込みでございます。それから二十六年度におきましては、五千九百五十五万円という数字が出て参つております。これは災害による死亡を、最近の経験によりまして全死亡の四%程度と押えてある結果による数字であります。この財源をどうするかというのでありますが、最近全体の死亡率が非常に減つております。これは全国民死亡率減つた結果によりまして、私どもの方の契約者死亡率も減つておるわけでございますが、そのような関係からいたしまして、死亡保險金の予定いたしておりまするものに大分余裕がありますので、財源にはこの程度のものでありますれば、心配はございません。のみならず、ただいま大臣からも御説明がございましたように、この制度によつて事業の信用や、サービスの増加によります加入者増加ということによりまして、收入面におきまするプラスも相当期待されますので、財源の方にはまずまず心配はないと考えております。  次に日本脳炎の方でありますが、脳炎の方におきましては、これは流行の程度によりまして、いろいろ考えなければならないのでありますが、過去の経験によりますれば、これはごくわずかであります。十種伝染病の場合尺全国民の全死亡に対するこの十種伝染病死亡率が一%、それから簡易保險におきましては一一八%で、ちよつと高いのでありますが、日本脳炎におきましては、全国民の全死亡に対しまする日本脳炎死亡が〇・二七でありますのに対しまして、簡易保險経験率は〇・二二でございます。それでは十種伝染病による死亡支拂い保險金が、簡易保險にどれくらいになつておるかと見てみますると、二十三年度におきまして五百四十万円であります。これを先ほどの十種伝染病の大体十分の一程度のものとかりに押えますると、この日本脳炎をかように拡張いたしますることによつてふえまするのは、五十万円か六十万円と、こう考えられるわけであります。これは今までの経験率によつておよそ算定いたした数であります。
  8. 白井佐吉

    白井委員 簡易生命保險の点につきましては、今まで大臣及び局長からるる御説明がございましたので、了承いたします。ただ郵便貯金関係におきまして、あえてこの場合郵政監察官態度行動を云々するものではございませんが、たまたま特別調達庁職員が不正を働いたということに対して、横浜地方検察庁が発動いたしまして、それにからんで横浜郵便局貯金課外務員の醜行がここに暴露されて来たという点につきまして、私はこの意義ある監祭制度に対して、遺憾の意を表する次第でございます。今後十分御監督願いまして、しかもこの事件が一朝一夕にでき上つたものでなくして、相当日数を要しておるというこの内容と対照いたしまして、特に今後における監督の適正ならんことをお願いいたしまして、私の質問を打切ります。
  9. 石原登

    石原委員長 この際私からもちよつとお尋ねしたいと思いますが、最近預金部資金運営の問題にからみまして、郵政省業務の中の、郵便貯金業務並びに保險年金業脇を一括いたしまして、これを公共企業体に持つて行きたい。こういうかなり強い空気が一部にある」とを私存じておるのでありまするが、こういうような考え方に対して、郵政省政府当局はどういうふうにお考えになつているか。もしそういうような事態ができたといたしますならば、その後の郵政事業にしいられている特別会計が円滑に運営できるかどうか。こういう面について郵政大臣の御所見ちよつと聞いておきたいと存じます。
  10. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この貯金事業のいわゆる公共企業体移行という問題については、格別な詳細な研究はまだいたしておりません。ただ私の現在の立場において考慮されることは、少くとも敗戰後の今日は、できるだけ国家の直接経営というものをいわゆる公共企業体、もしくは民間事業に適切なものは民間事業に移して、そうして歳出面を極力節約いたしまして、国民諸君負担の軽減をはかつた、いわゆるこじんまりとした国家が、われわれの理想とする平和国家ではないかと考えておるのであります。従いまして政府の常にとつておる態度は、いわゆる行政簡素化経費の節約という面に非常な努力を注いでおります。従つて今後大きく検討さるべき一般行政機構簡素化とからみ合せまして、また残された郵政省事業等も検討いたしまして、こうすることが国家総合的な行政運営上、適当であるというような結論が出た場合においては、必ずしも公共企業体になることに反対するものではありませんけれども、ただ、今軍に郵政省から貯金事業というものを切り離して、公共企業体にするという問題については、ただちに賛意を表することはできないのでありまするが、なおそういう問題については、極力私の方でも検討してみたいと考えております。
  11. 石原登

    石原委員長 実はこういうこともぜひ御研究願いたいと思うのですが、預金部資金というものは申すまでもなく郵政省保險と、貯金業務によつて集められたきわめて零細な国民資金であります。この資金運用は、あげて大蔵省にまかされているような事態ではありまするが、私はあげてこの責任は当然郵政省にあると、かように考えております。そういうことになりますと、当然郵政当局といたしましては、この資金運用については十二分の考慮を拂われると同時に、国民に対して最も有利な運用ができるよう、責任をもつて善処さるべきものだと、利はかように考えております。考えてみますと、都会地においても相当階級人たち預金あるいは財産というものは、相当有利にこれが運用されておりますから、その財力はますますもつて強化して行く一方でありますが、こういう貯金のお金みたいなものが、非常に安い金利で、しかもこれが国家の大きな目的の犠牲という言葉は必ずしも当らないかもしれませんが、そういう方面に使われるということは、私はきわめて不合理だと考えておるわけであります。でありますから、私はこの資金運用という問題については、もつと郵政当局が積極的に動いてもらわないと、この前みたいに預金部資金運用するについて、運用委員会があるにかかわらず、事実はこの運用委員会などというものは、まつたく事後承諾機関になつているのではないかというような感もいたされますので、少くとも大蔵省に対する郵政省立場、また同時にこういうような預金者に対する郵政省義務責任という面については、一段の考慮努力をいたしてもらいたいと思いますが、こういう面に対しても政府所見を一応承つておきたいと存じます。
  12. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 今委員長お話は、大体預金部特別会計全般を含めてのお話のように聞えましたが、これは二つにわけて考えることが適当ではないかと思うのであります。というのは、簡易保險積立金運用と、貯金運用というものとは、別個に考えなければならぬのではないかと考えております。というのは、先ほども申し上げました通り簡易生命保險一つ社会保障制度でありまして、この制度の持つ特性といたしまして、当然国民からはできるだけ低額の加入金、すなわち掛金によつて、できるだけ多い保險金を拂つてやるということが大きな使命なのでありまするから、従つてこの保險積立金運用は、今委員長お話のように、極力高率に運用いたしまして、そうしてその得た利益で、ほんとうの最小限度の実費を引いて、余つたものは加入者に返してやるというようなところまで進むことが、保險積立金運用に関する根本であると考えておるのであります。従つて現在のようにこの積立金運用大蔵省でやられておつて、しかも思う存分の利潤を獲得することができないということは、この制度の根本に対して矛盾したやり方であるばかりでなく、これによつて加入者利益が増進されていないということは、はつきりしておるのであると思うのであります。従つてどもはこの保險積立金運用に関しましては、郵政省設置法の規定の趣旨もありまするし、極力その運用郵政省へもどし、そうして今委員長が話しましたような運用方法に進むことが、適切だと考えております。  一方預金部の大部分を占めまする貯金の、いわゆる預金部運用でありますが、これは考え方がいろいろあると思います。この零細な資本を集めて、そうしてできるだけ高金利に国民に拂つてやるということがいいのか、それともこれが運用については、国家資金運用に関する唯一の高金額を持つ預金部資金でありますので、適当な場合に適当な施設を施すのには、実際問題といたしましては、政府はこの預金部貯金積立金以外にはないのでありまして、これはやはり現在の段階では資金統制の一元化、あるいは財政政策どもにらみ合した運用が必要でありますので、必ずしもこれは郵政省に持つて来なくてもよろしいのではないか。換言すれば、普通経済界で認められるところの金利を保障しさえすれば、たまたま預金運用で損をいたしましても、これは国民の福祉の増進のために損をするのでありますから、一般会計の方からこれを補填して行けばよろしいのではないか。こういうふうに考えておりまするが、しかしこの一般銀行への預金者と、政府機関である郵便貯金を利用する者との間に、差異があつてはよろしくないと思います。すなわち金利等において差異があることはよろしくないと思いまするか、郵政省としては大体そのときの経済情勢に応じて、また一般商業銀行等の金利等を比較しながら、全部は一致いたしておりませんけれども、総合的にはバランスのとれるような預金の率を定めておるような次第であります。これをかりに今委員長が言わるるように、高度に利潤をもうけるような積立金運用をいたして、そうして利益があつたということを仮定いたしましても、もし郵便貯金の利息を市中銀行より何倍も高くするということになりますれば、市中銀行の方く預ける人がなくなつて、全部資金がこつちに入つてしまうという場合もありまするし、要するに金利というものはどこに標準を置くべきかという、その時その場合における考え方に基いて、金利というものはさまつて行くものと考えまするので、そうした意味において、そのきまつた金額さえ保障し得れば、かりに運用の方では損しても、その損失がむだな損失ではなくて、むしろ国民諸君の先ほども申した通り、福祉の増進のために使われておるならば、一般会計より補填することは何ら不思議ではないのではないか。ただ貯金事業を扱ヶために厖大な経費がかかつて、節約すればできるのに、その経費のためにたくさん金を使つて、しかも貯金会計を危うくすることは、嚴に愼しまなければならないことでありまして、この点については私ども委員長と同感で、極力事務費その他の費用を節約いたしまして、国家利益を増進したいと考えております。
  13. 石原登

    石原委員長 保險の問題に関する限りは、大臣と顧つたく同意見でありますが、実は貯金の事情に対してお尋ねしましたのは、今日普通の市中銀行、市中金融機関の金利よりも、郵政省の金利の方が安いという事実に立つて、私は御質問を申し上げておるわけであります。しかもこの郵便局を利用しておる人は、非常に零細な人たちである。そしてこの安いという原因は、この資金国家目的のために使われておる、これが安い原因になつております。さよういたしますと、国家目的のために零細な国民が犠牲を抑つて、もつと力のある人たちはちつともその面に協力してない。こういうような結論が現われて参りますので、少くとも郵便貯金の利息も、一般市中金融機関と同等の利息に引上げられれば、この問題には全然文句はないわけでありますが、事実安いのであります。でありますからこの面に対して、政府は当然善処さるべきだと思うのでありますが、この点いかがですか。
  14. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 委員長の言われる通り預金の種類によつては、市中銀行より高いものもあるし安いものもあります。ひつくるめて大体市中銀行と同じような巾で行つておるという意味であります。委員長の言われるのは、ある特殊な問題をごらんになつて安いと言われておるのだが、しかし他の部分は高いのもありまして、平均すると大体同じであります。とにかく金利の決定は郵政省だけでいたしておりません。大蔵省、安本、いわゆる金利政策の線に沿うてやつておりますから、零細な貯金を集めたものには金利が安く、一般市中銀行は高いという具体的場合もあるいはあるかもしれませんが、少くとも現在の日本経済において、金利はこうあるべきだ、あるいはかくあらねばならないという方針従つてつております。従つてかりにこれを郵政省に移したからというて、金利の面は無制限利益があるから、金利を高くするということはおそらくできないことではないかと思います。またしてはいけないことだと考えております。
  15. 齋藤信一郎

    ○齋藤説明員 大体郵便貯金の大宗を占めております普通貯金が、銀行の当座預金と見合つておるのでありますが、郵便貯金におきましては、現在二分七厘大毛の利率でございます。それからこれに見合いまする銀行当座預金の利率は、ほとんど無利息に近いごく低いものであります。ただ郵便貯金におきまして、普通銀行貯金に比べて低いものは定額貯金でありまして、これは郵便貯金の全体の約二割程度が、現在郵便定額貯金ということに相なつております。これの利率は経過年数のふえるごとに高くなるという仕組みになつておりまして、最高三分五厘、但し一番最低は、一年以下の場合に二分九厘、一年を越えて二年以下の場合が三分、あと二年以上、三年以上、こういうふうに利率が逓増して行くというふうになつておりまするが、銀行にもよりまするけれども、銀行では初めから一年間で三分五厘といつたようなことになつておりまして、多少銀行預金の方が総体において郵便貯金よりもよろしい、こういうことになつております。
  16. 石原登

    石原委員長 私はその意見にはちよつと承服しかねます。銀行の当座預金は御承知通り、自分のお札を持つているような、小切手を発行する預金であります。これは当然利息がつかないわけであります。しかし郵便局預金というものは、事実に基いて考えてもらわなければならないのですが、もちろんその預金はいつでも拂い下げることについては約束しております。しかしその事実はほとんど預金の方が多くて、拂い出すのがずつと減つている。これは累積された蓄積預金と言つても私は過言でないと思います。ですから郵便局貯金の利息と当座預金の利息を、同等に見られるのはどうかと思います。特に銀行の当座預金、というのは、一つの商業取引の手段としてやつているものでありまして、預金の性質が全然違うということも当局はお認めになると思うのですが、その点いかがでありましようか。
  17. 齋藤信一郎

    ○齋藤説明員 ただいま私の方から申し上げましたことは、個々の貯金の出し入れが自由であるかどうか。あるいは多少の年月固定しているかどうかという点に着眼して申し上げたのでありますが、郵便貯金全体の傾向といたしましては、やはり預けが多くて掛いの方が少い。その意味において多少長期預金に似ているという点は、まさにお読の通りだろうと思います。
  18. 石原登

    石原委員長 いずれにしてもこの問題は、きわめて零細者の預金であるということをぜひお考えくださいまして、さらに一段と御研究いただいて、こういう零細者の資金が十分に保護されるように、格段の御研究をお願いしたいと思います。  もう一点お尋ねしておきたいと思います。地方の資金が特に郵政事業を通じて中央に吸收されまして、これが預金部資金の大部分になつているのですが、そのために特に地方の農村、漁村では、資金が非常に逼迫いたしております。それがためにちよつとした事業をいたすためにも、わざわざ東京まで出て、しかもそういう資金が得られない。こういうことでますます地方は窮乏して来るのですが、特に最近では農業の恐慌とか、あるいは漁業の下振とかいうようなことが一部にもいわれておりますし、またわれわれとしても相当考えなければならない問題だと思つております。こういうときにあたりまして、農民にも漁民にもある程度資金が還元されるならば、相当経済の上に大きないい影響があると考えられるのでありますが、地方資金を吸收されまして、中央に運ばれる役割を果していらつしやる郵政省当局として、地方にもう一ぺん資金を有効に還元するという問題について、何か御研究あるいは御関心を持つておられないものであるかどうか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  19. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 簡易保險積立金運用については、郵政省にその運用を復帰するこどによつて、今委員長お話の地方の資金を地方に還元することが、完全に実行されると思うのであります。しかしこの郵便貯金積立金の問題については、直接にはかなり困難な問題でありますが、現実の面では相当還元されて行くと思うのであります。たとえば農林中央金庫とか、あるいは中小企業家の商工中央金庫というものに、今度証券を発行する権能を認めまして、その証券を預金部で引受けたといたしますれば、結論においてはやはりこれが協同組合なり、あるいはその他の団体を経まして、直接地方に還元されて行くし、昨年の暮、百億円を預金部から出しましたが、これは一般市中銀行を通じでではありましたが、当然これもまた地方に還元されております。ただ具体的にとこの町村にどうという問題は実行されておりませんが、結論において、今までの制度でも地方から集まつた資金が、適当な機関を経て地方に還元されておりまするが、その歩合の問題が、そのときどきによつて必ずしも適正化されておるかどうかということは、困難な問題でありまするが、要は郵政省で特に考えるべき立場に現在なつておりませんで、政府全般としてそうした考えのもとに、地方の資金は地方に還元するという建前に立つて預金部資金運用することによつて、今のお話のような目的を達成したいと考えております。
  20. 石原登

    石原委員長 大臣の御答弁でよく了承いたしました。そこで私は特にお願いいたしておきたいと思いまするが、預金部資金運用については、たしか運用委員会があつて郵政省からも委員が出ておられると考えるのであります。しかしながらはなはだ遺憾なことでありまするが、この運用委員会運用が、実は有名無実の形になつているのではないかということをおそれるわけでありまして、委員会のほんとうの根源は郵政省にありますので、少くとも郵政省の発言は相当保留されなければならない。かように考えますが、今後委員会の開催にあたつては、特に郵政省では強く郵政省立場を発言いたしてもらいたい。実は私先般この問題については、大蔵省にも申しておいたのでありますが、非常に重大な預金部資金運用を再開するという時期に至つても、新聞紙で発表ぎれるまで、郵政省にはその旨は通じていないという事実もございましたので、今後はこの面に対しても、郵政省側がむしろ積極的に大蔵省を駆使するくらいの活動を希望してやまない次第であります。  もう一つ、この際お尋ねしておきたいと思いまするが、さつき白井委員からも質問がありました通り郵政省貯金業務は、特に事故が多いようであります。私は取扱い事務はどういう内容になつているか、よく存じないのでありますけれども、少くともこれは厖大な事業でありまするがゆえに、外部にまだ現れない、潜在したそういうよらな犯罪相当あるのじやないか。しかもこの犯罪は永久にこれを掃蕩する方法がないだけに、われわれは十二分に監督の必要があるのじやないかと思うのですが、実は私もそうでありまするが、委員の諸君の多くも、この実際の取扱いの内容がはつきりわからないのじやないかと思います。そこで、郵便局貯金が預け入れられて、それが貯金局に記帳され、また郵便局から拂下げがあつて貯金局から描出される手続に至るまでの経過といいますか、それをひとつここで御説明願いたいと思います。
  21. 齋藤信一郎

    ○齋藤説明員 郵便貯金は、窓口でありまする郵便局で受入れまして、それに対して必ず証拠書を作成いたしますかたわら、預金者預金通帳にその金額その他の事項を記入して、通帳はただちに預金者に還付いたします。あとその証拠書はただちにその日ごとに日計計算をいたします。次に、郵便局管下には各調査局というものが大体一県に一局ぐらい設けてございますが、これに証拠書を送付いたします。ここにおいては、さらに郵便局の取扱いに過誤があつたかなかつたかということを見るため、全部証拠書を総精査いたしまして、それをこの地域を管轄している貯金局に送付するのであります。それを受けました貯金局においては、さらにこれを全国二十八の原簿所管庁である貯金局別に、自分の局において登記するものと、よその局において登記するものとに振りわけまして、他の局に所属するものはそれぞれの局に相互に選る。これを交渉計算と申しておりますが、原簿を所管しておる各貯金局は、該当の証拠書を受けまして、さらにこれを原簿刑、記番号別、あるいは番号別に全部整理し、計算を固めて、ここで初めて貯金原簿の相殺をいたしまして、さらに証拠書の登記の間違い等が起きないかどうか、いろいろの計算を試みまして、縦からも横からも、きつちり一銭一厘も該当の貯金原簿に間違いのないように登記する。こういう計算の仕組みになつております。
  22. 石原登

    石原委員長 よくわかりました。ほかに御質疑がありませんか。
  23. 大和田義榮

    ○大和田委員 社会保障制度の確立は、民生の安定の根幹でありまして、それの一環としての簡易保險倍額麦押いは、いいことだと思います。多少性質は違い、ことに一方は死亡してからとり、一方は生きているうちにとるのでありますが、郵便年金に至りましては、二十五年あるいは三十年前の物価指数と現実を比較してみると、そこに非常に相違があつて、納得の行かないものがあることは、加入者といたしましては遺憾なことであるということで、文書あるいは口頭でしばしばおかましくいわれるところであります。これらの措置につきましては、もちろん具体的に簡易保險倍額安排いということをするには、現段階におきましては、実に容易でないものがあると思うのでありまするが、しかしながらこれらにつきましても十分考慮をして、何らかの措置を講ずることが、やはり必要なことであろうと考えられるのであります。従いましてこれらのことにつきまして、郵政当局はいかなる考え方を持つておるかというのが、第一点であります。  さらに郵便年金でありまするが、最近の経済事情によりまして、従来の六千円を三千円にする、半額にするということのようでありますが、半額にすることは、何らかの根拠があるのかどうか。あるいはどういう考え方で半額にするかということが、第二点でございます。この二点についてお尋ねをいたします。
  24. 金丸徳重

    金丸政府委員 年金の支拂い額が、最近の貨幣価値の変動によつて、感じの上から申しましても、実際の上から申しましても、非常におかしなものであるから、何とか弁償すべきではないかという御意見のように承ります。そういうような要求は、契約者側からも直接再々受けておるのでありまするが、ここにあらためて御説明申し上げるまでもなく、年金契約におきましては、一時なり、分割拙いなり、受取りました金は、ただちにこれを国債なり地方債なり、有利にして安全確実なものにこれを投資してございます。そしてそれによつて生ずるところの利子によつて契約通りの年金をお支拂いするということになつておるのでございます。この国債、あるいは地方債、その他投資してありますものが、最近の経済情勢からいたしまして、たいへんおかしな状況になつております。従いまして投資した額面はそのままというようなことから、麦押いたくてもその財源に苦しむような状況であるのであります。これを何らか別な財源を求めまして、たとえて申しますれば、税金なり何なりによつてまかなえるという方法が、特別に講じられますれば別でございますが、事業の中で経理いたしますことは、ただいま申し上げましたようなことで、いかにもいたし方がないことでございます。契約者側にとつてはお気の毒とは存じておるのでありますが、ただいまのところ、いかんともいたしがたい事情にあることを、御了承願いたいと思います。  それから次の三千円に引下げるのは、いかなる理由であるかというお尋ねでありますが、最近経済界が落ちついて来まして、金の値打ちが出て参りました一面においてはなかなか金詰りの事情から、入りにくいような形勢も見えております。六千円ならば入りかねるが、三千円程度のものであれば入るという希望の者もたくさん出て参りまして、これらの要望にこたえるために、最低額の方を引下げた次第であります。
  25. 石原登

    石原委員長 本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時三分散会