○小金義照君 私は、ここに
通商産業委員会全
委員の
提案にかかわりまする鉱害に関する
決議案について、決議及びその理由を申し述べたいと存じます。
まず
決議案を朗読いたします。
鉱害に関する
決議案
石炭採掘による鉱害のため、美田は変じて泥海と化し、住宅は日夜倒壊の危檢に脅され、交通通信と絶し、祖先の墳墓は水底に没する等、惨たんたるその事情は、路傍の人もなお正視するに忍びないものがある。
昨年十月資源庁の調査にかかる炭鉱の鉱害復旧費は、総額実に二三一億円に上り、この中特別鉱害復旧臨時措置法によ
つて処理せられるものは、約五〇億円に過ぎない。
しかも炭鉱の鉱害は、更に今後も続々発生することに想い到るとき、ぼう大なるこれら鉱害のために被る経済上の損失、公共福祉の阻害、あるいは人心の不安等、誠に憂慮に耐えないものがある。
本院は、今般特別鉱害復旧臨時措地法の成立せるに際し、一般鉱害の復旧についてもまた、これと一体不可分の関係にあるものとして、特別の関心を有するとともに、鉱害対策は、総合的な国土計画の一環たる性質を有するものと認める。
政府は、
本件の重大性、特に今日の
事態を招来した原因に深く鑑み、既存鉱害の復旧を促進するため、あらゆる手段を講ずるはもちろん、国土計画の観点からも対策を樹て、今後の発生を最小限度に喰い止めるため、鉱業権の設定、施業案の認可等に関する抜本寒源的措置についても万遺憾なきを朗すべきである。
右決議する。
以下、
提案理由を述べます。炭鉱鉱害の問題は、現地においては、経済問題だけではなく、すでに大なる社会問題にまで発展しているのであります。これら鉱害のうち、いわゆる特別鉱害は、今回の復旧臨時措置法によ
つて一応安心できるのでありますが、これは全体の約五分の一程度にしかすぎない有様であります。特別鉱害だけが処理せられても、なおこれに数倍する一般鉱害が残ることをわれわれは忘れてはならないのであります。
事態を今日のごとく悪化せしめたことについてはいろいろの原因が考えられますが、石炭鉱業に関する行政当局の措置そのよろしきを得なかつた点の小くないことも否定し得ないところであります。いわゆる無過失損害賠償の原則が確立せられ、担保提供の制度が設けられておりましても、加害者に賠償の実力がなく、供託金は貨幣価値暴落のため、なきにひとしい状態であるがために、復旧を阻害している点も少くはないのであります。今後の対策として
政府当局に要望したいことは、公共
事務費による国庫補助の増額、土地改良費の国庫支弁その他あらゆる手段を講じて、すみやかに復旧をはかるとともに、今後続発する鉱害を最小限度にとどめるため、いやしくも採掘のために生ずる鉱害を完全に賠償し得る見通しのつかないものに対しては鉱業権の設定や施業案の認可等を與えないことはもちろん、供託金の適正化、賠償の紛争に対する調停、あつせん等についてもそれぞれ善処せられたいのであります。なお復旧工事の合理化をはかるとともに、採掘と鉱害復旧との総合調整についても、国土計画その他ともにらみ合せまして遺憾なきを期せられたいのであります。
以上、簡單ながら本
決議案の趣旨を弁明した次第でございます。
天然ガス緊急開発に関する
決議案について、
提案者を代表して
提案理由の
説明をいたします。
まず
決議案を朗読いたします。
天然ガス緊急開発に関する
決議案
産業の復興は、一つにかか
つて石炭、水力、石油等天然資源の開発にまつものであるが、わが国の石油資源は、その埋蔵量極めて貧弱、国内消費の九〇パーセントを輸入に仰ぎ、その総額ば、年間五〇〇〇万ドル以上の多額に達する実情であ
つて、埋蔵量七〇〇億立方米以上といわれ、石油に優るとも劣らぬ資源と考えられている天然ガス資源の開発は、急務中の急務であるにもかかわらず、十年一日の如く遅々として進展しない有様である。
天然ガス資源を、緊急に開発して、自動車燃料を始め、工場用家庭用の燃料に充当し、あるいはさく酸ビニール製造の原料として、これが利用を促進するときは、輸入資金を節約するとともに、国内産業を振興し、平和日本再建のために貢献するところ多大なるものがあると確信する。
よ
つて本院は、
政府に対して天然ガス資源の緊急なる開発に関し、積極的に左記対策を講ずべきことを要望する。
一 天然ガス生産量日産五〇万立方米以上を確保するために、必要且つ適正なる措置を講ずること。
一 天然ガス資源開発に要する設備資金の融資につき、特別措置を講ずること。
一 天然ガス利用によるさく酸ビニール製造方法の研究助成につき、速やかに対策を樹立すること。
一 天然ガス埋蔵地域の地質調査、試掘等は、国家自らこれを行うのほか、国庫補助の途を開くこと。
右決議する。
平和日本の再建は、もつぱら輸出産業の振興による以外はないと考えられておりますが、わが国は国土が狭くて、天然資源もきわめて貧弱でありまするから、その実現には幾多の難関が予想されておりますことは御承知の
通りであります。しかしながら、天然ガス資源の調査研究が進むにつれて、これを急速に開発して多方面に利用することによ
つて産業の振興をはかり、輸出を盛大にすることは必ずしも難事でないという輝かしい確信を抱くに至
つたのであります。
天然ガスは、熱量八千カロリー以上で、オクタン・バリユー一二〇でありますから、自動車燃料としてはガソリン以上の低能を有するものでありまして、現に各地では、工場用の燃料として、あるいは家庭用の燃料として広く利用されているりであります。なお最近、天然ガスを原料として酢酸ビニールを生産することも各方面において研究されつつあるのであります。天然ガスの利用価値は今後ますます増大することと期待されておりまするが、天然ガス鉱業の現状はまだ新興産業の域を脱していないということは、まことに残念に存ずる次第であります。アメリカにおきましては四大燃料の一つに数えられ、天然ガスの消費量は全アメリカのエネルギー消費量の七分の一に達し、天然ガス輸送用のパイプ。ラインの延長は実に数万マイルに及び、鉄道総延長よりも長く、あらゆる部門に利用されているといわれております。この際
政府は、緊急措置を講じ、天然ガス資源の開発を助成して、少くとも現在の日産二十万立方メートルを、日産五十万立方メートル以上までに増加するとともに、天然ガス利用の促進、天然ガスの輸送用パイプ・ラインの実現を期すべきであると信ずるもりであります。
以上の理由によ
つて、本
決議案を
提出した次第でありまするか、何とぞ御
審議の上御
賛成を願いたいと存ずる次第でございます。(
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