○土橋一吉君 ただいま
議題とな
つておりまする
行政機関職員定員法の一部を改正する
法律案につきまして、私は
日本共産党を代表いたしまして
反対の
意見を述べるものであります。
ただいま
委員長の
報告があつたのでありまするが、
政府の
提案理由によりましても、
昭和二十五年度の
予算定員がすでに決定せられておりまするにかかわらず、その
予算定員をはるかに下まわ
つておりまするところの一万五百七十七名の減員となるのであります。これは、過日の
委員会におきまする本多国務大臣の答弁によりましても、
政府は約十億円の支出減となる見込みでありまするが、このようなことをいたしまするならば、昨年の六月以降におきまする行政
整理によりましては、各官庁とも事務が澁滯をし、かつ公務員諸君の現実の仕事の面におきましては非常に労働過重とな
つておるのであります。私は、このような
政策は、吉田
政府が本来労働階級に対しまする首切り專門と労働強化の熟練工であることを証明しておると思うのであります。こういうような
政策をいよいよ行いまするならば、
民間一般労働階級に及ぼす影響はきわめて甚大であると同時にこの傾向が
日本の労働階級を植民地化の方向に導くものと思うのであります。かかる観点から、まず
反対を主張するものであります。
第二点といたしましては、
政府自身が
提案理由のうちに証明しておりまするがごとく、今回の行政
整理は明らかに行政
目的におきまする一大転換であるのであります。それは常々吉田
政府が申しておりまするように、まず第一に思想の取締りを強化する。あるいは大衆団体のあらゆる行動に対しましては弾圧を加える。第三番目には、最近一般農民といわず、市民といわず、苛酷な悪税の徴收を強化するために組まれております定員の増であります。例を上げて申しますならば、まず思想取締方面におきましては、特別審査局が現在の定員でも多いと思われまするにかかわらず、さらに百十名の増を要求しておるのであります。あるいは少年院においては五十五名の増を要求し、先ほどの
委員長報告にもありましたように、海上保安庁の管区や、その他の設備増強のために五百二十六名というようなものが増強されておるのであります。これは明らかに
日本の軍事基地化の最もいい証明を、ただいましておるのであります。(
拍手)さらに一般市民諸君が重大な関心を持
つておられますこの国税庁の公務員の増強であります。これが、このたびの定員法の増におきましては一千二百五名の増であります。こういうようなものは、おそらく全
日本の
国民諸君は
反対せざるを得ないのであります。さらに加えまして
地方財政委員会が設置せられるのでありまするが、これは
地方財政平衡交付金と関連いたしまして、この新設による増が百一名あるのであります。あるいは最も不可解なる点は、吉田
政府の
政策よろしきを得ないために、あらゆる犯罪がただいま起
つておりまするが、その刑務所、拘置所、こういうものの増設に伴いまして、四百五十七名の公務員諸君が増強されるのであります。こういうものを勘案いたしますと、吉田
政府が
提案理由に書いておりまするように、明らかに思想の取締りと、大衆運動の彈圧と、さらにこの徴税の強化以外の何ものでもないということを証明いたしておるのであります。
翻
つて考えて参りますと、農林あるいは通産、建設、案本、郵政の方面におきましては多大なる減員を生じておりまするが、このような経済関係におきまする各省が減員をせられるということは、われわれは絶対に
反対をしておりまするが、端的に例を申し上げまするならば、たとえば郵政省のごときは、現在は二十六万六百五十五名の定員でありまするが、労働組合側も、あるいは一般識者におきましても、当然三十四万ないし三十五万人を要求しておりまするにかかわらず、郵政大臣は、これに対しまして十五名の定員を減じているのであります。でありまするから、全国の一般市民諸君が要求せられておりまする郵便業務におきましても、貯金業務が澁滯をする、あるいは
保險業務が澁滯をする、こういう
状態は吉田
政府の
責任であることを市民諸君が十分了解しなければならぬと思う次第であります。
さらに第三点といたしましては、
整理の基準を
政府は示していないのであります。かつ退職金につきましても、
委員会において本多国務大臣が、目下閣議をも
つて研究中であるような
説明をしておりまするが、少くとも行政
整理を断行する場合には、その
整理の基準を示しまして、どういう者を
整理するか、
整理される者についてはどの程度の退職金を支給するかは、これは
整理に関する表裏一体のものでありますから、当然このような措置が、
法案をも
つて国会で同時に
審議せられることが必要であります。にもかかわらず、
政府は行政
整理に関する
法案だけは上程いたしておりますが、今申し上げた
整理基準の準則あるいは退職金については、いまだにこれを出してはいないのであります。こういうことになりますと、昨年の行政
整理で現われておりますように、きわめて不当なる行政
整理が行われて来るのであります。なお不都合にも、あるいはまた国家公務員法が保証いたしておりますところの苦情処理の問題でありますが、いわゆるアツピール制度をこの
法案は拒絶しておりますので、いかに
政府が不当なる首切りをいたしましても、公務員諸君は訴願の問題と苦情処理を申し出ることができないのであります。このようなことは、民主国家におきまして、少くとも国家公務員法の立場から
考えましても、きわめて不当であると断定せざるを得ないのであります。
第四点といたしましては、去る国会におきまして問題になりました六千三百七円べースがすえ置きと相な
つておりますが、それに加えまして公務員諸君の職階法が通過したのであります。こうな
つて参りますと、一般公務員諸君にとりましては、吉田
政府と人事院の合作によりまして、賃金
状態においては奴隷的な立場、職務の面においてはきわめて機械的な立場において公務を執行することは明瞭であります。同時に、
政府が常々行
つております彈圧
政策と、さらに労働組合の分裂
政策は、
日本の公務員諸君をいよいよ植民地的な賃金奴隷に落すのであります。加えまして、このような
政策は、現在
政府が実質的にとりつつありますところのいわゆる
全面講和を否定し、
單独講和の方向に
日本の全産業、全政治、官庁機構を誘導することがきわめて顕著に
考えられるのであります。でありまするから、このようなものを確保し、このような高に向わしめることは、單に公務員諸君の首切りの問題にとどまらず、全
日本の労働階級に対する一大指針を示しているものと思うのであります。今回の第二次行政
整理は、進歩的な思想を持つところの、そのような者を
整理し、さらに平和と
日本の独立を闘いとるために働いておりまする公務員諸君を、あくまでも実質的
單独講和の方向へ
政府が導くものであります。さらにわれわれは、平和の闘いと同時に戰争に絶対
反対をしているのでありますが、そういう思想持つ者、植民地化、軍事基地化に
反対する者を、この
整理法案によ
つて首を切ろうとするのであります。
以上の観点を
考えますならば、われわれは、この植民地的な首切り
法案絶対反苅の
意見を表明するものであります。(
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