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1950-04-22 第7回国会 衆議院 本会議 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十二日(土曜日)  議事日程 第三十八号     午後一時開議  第一 労働省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 生活保護法案内閣提出)  第五 労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 図書館運営委員長国立国会図書館法  第十一條 第二項による審査の結果報告  第八 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律内閣提出)  第九 昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案内閣提出)  第十 競馬法の一部を改正する法律案江崎真澄君外十五名提出)  第十一 自由討議     ————————————— ●本日の会議に付した事件  全国選挙管理委員会補欠指名広島地方専売公社調停委員会員中原健次君を充てる件  北海道開発法案内閣提出参議院回付)  首都建設法案(本院提出参議院回付)  鉱工品貿易公団にまつわる不正事件等綱紀粛正に関する緊急質問猪俣浩三提出)  ソ連抑留邦人に関するソ連政府発表についての緊急質問池見茂隆提出)  日程第一 労働省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 建設設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 生活保護法案内閣提出)  日程第五 労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 図書館運営委員長国立国会図書館法第十一條第二項による審査の結果報告  日程第八 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案内閣提出)  日程第九 昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案内閣提出)  日程第十 競馬法の一部を改正する法律案江崎真澄君外十五名提出)  民事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出)  土地台帳法等一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時五十二分会議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 全国選挙管理委員会委員に一名の欠員がありますので、これを補充しなければなりません。よつてこの際全国選挙管理委員会委員指名を行います。     —————————————
  4. 山本猛夫

    山本猛夫君 全国選挙管理委員会委員指名ついては、議長において指名されんことを望みます。
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動機に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長全国選挙管理委員会委員小島憲君を指名いたします。      ————◇—————
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 内閣から、広島地方専売公社調停委員会委員中原健次君を委嘱するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。      ————◇—————
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) お諮りいたします。この際議事日程に追加して北海道開発法案参議院回付案及び本院提出首都建設法案参議院回付案一括議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  北海道開発法案参議院回付案及び首都建設法案参議院回付案を一括して議題といたします。
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 採決いたします。両案の参議院修正に同意の諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————  鉱工品貿易公団にまつわる不正事  件等綱紀粛正に関する緊急質問  (猪俣浩三提出
  13. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、猪俣浩三提出鉱工品貿易公団にまつわる不正事件等綱紀粛正に関する緊急質問をこの際許可されんことを望みます。
  14. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて道義のごとく日程に追加せられました。  鉱工品貿易公団にまつわる不正事件等綱紀粛正に関する緊急質問を許可いたします。猪俣浩三君。     〔猪俣浩三登壇
  16. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 鉱工品貿易公団不正事件につきまして、吉田総理大臣通産大臣安本長官及び法務総裁、なお藤沢総裁の出席を要来いたしておつたのでありまするが、どうも総理大臣は例のごとくお出ましにならぬようであります。これは次回に、適当な時期に私は留保いたしておきたいと思うのであります。  まず通産大臣に御質問申し上げたいと思います。  一体、この鉱工品貿易公団監督系統はいかなる機関がこれを行うものであるか、各機関がありましたならば、そのうちの最高責任機関はいずこであるか、及び各監督機関同士の間の横の何か連絡があるのかどうか、このことにつきまして御説明いただきたいと思うのであります。  次にお尋ねいたしたいことは経理システムであります。この公団経理がどういうシステムでやられておるのであるか。聞くところによりますると、ここに取扱いまするところの物品を各業者に販売をいたす、各業者がその代金を公団に納めると、公団経理部におきまして、その係の個人名義で預金するような組織になつてつたと聞かせられておるのであります。はたしてさような状態であつたのであるかどうか。さような状態でありまするならば、何ぼでも浮貸しもできれば横領もできる。公団に入りましたるところの命を公団職員個人名義で預金したというようなことがありといたしまするならば、これは公団首脳部あるいは通産省監督官庁知つておられて、さようになされたのであるかうか、その点について伺いたいと思うのであります。なお、本件が発覚いたしましてからのことと存じまするが、本件捜査はなかなか困難をきわめておると聞いておる。それは各帳簿書類があるいは破棄されたり、あるいは損失いたしたりしておりまして、なかなかそろわない。この公団が昨年の七月ある組織の変更をやりました後に、公団鉱産部におきまする帳簿というものは、七月以前の分は全部なくなつておるそうでありますが、かような事実がはたしてあるのかどうか。あるいは巷間うわさででもあれば幸いと存ずるのであります。なおまた公団機械輸入部におきまする書類にいたしましても、契約台帳というような大切な書類が、昨年の十月以前の分は、西洋かみそりで切りとられて紛失しておるということであります。かようなことが事実あつたかどうか。あつたといたしまするならば、これは事前に発見できなかつたものであるかどうか。かような次第でありまするがゆえに、現在公団帳簿台帳在庫品とは非常な差異を生じておりまして、帳簿台帳にありまするものにして存在せざる品物がたくさんある。これをつじつまを合せんとして、かような帳簿処理をしたのではないかと、疑われるのでありまするが、通産大臣におかれましては、この点いかなる調査をなされたのであるか、お聞かせ願いたいと思うのであります。なお一点お聞かせ願いたいことは、この公団保險関係は、もとは面接保險会社契約をなされておつたそうでありまするが、いかなる理由によりまして代理店なるものを介在せしめたのであるか。代理店が介在しなければ、直接契約では何か都合の悪いことがあつたのであるかどうかをお聞かせ願いたい。この代理店の中には、三協実業あるいは協盛商事というような代理店が主としてこの公団保險代理業をやつてつたそうでありまして、三協実業岸信介氏が中心になつており、協盛商事井野碩哉氏重政氏が中心となつてやられておるそうであります。ことに協盛商事は、井野重政両氏が加わりましてから、いわゆる農業水産部に限る品物については一手に保險をやつてつたそうで、その割もどし金が多額に上つており、しかもその割もどし金のある部分が公団職員の手に渡つておるという巷間うわさもありますが、通産省がよく御調査の結果、そのようなことがあるかないか。なお念を押しまするが、何がゆえにこの三協実業あるいは協盛商事というような保險代理業を加えてこの保險契約を取結ぶように相なつたか、その事情を御説明願いたいと思うのであります。  なお本件につきまして、通産省初め、われわれが新聞面によつて感じますることは、責任をあまり痛感しておらない。こんなことはあたりまえだというように、こういう不祥事に対しまして感覚がはなはだ鈍つておる、不感症になつておるのではないかと思われる態度が見受けられるのでありまして、これは公団総裁の言動とにらみ合せまして、かような不祥事の起ることがすでに道徳的に成立しておつたというふうに痛感せられるのであります。  その一事を申しまするならば、本件がすでに発覚して、通産省がこれを知つたのは、ずつと以前の話であろうと思うのでありまするが、その間におきまして、通産省はいかなる態度をとつたか、この最も直接の責任者でありまするところの岡部通産省通商振興局長は、二十八日に渡米することに相なつてつた新聞の伝うるところによれば、これはとりやめになつたということであるが、はたしてとりやめになつたのであるかどうか、これを御答弁願いたいと思うのであります。  本件新聞発表されたのは、およそ十日あるいは二週間以前であります。しかるに、これが新聞に公になりまして、十三日には通産省省議を開いておるにかかわらず、この通産省省議にはこの問題が一つも出て来なかつたということであります。これは不感症のはなはだしきものだと私は考えるのであります。さような事実があつたかないか。  なおまた藤沢総裁、三木副総裁水谷鉱産部長牛久保経理部長は、本月の八日に辞表提出しておるということであります。これは、あとで藤沢氏は、進退伺い辞表ではないということを言つたそうでありますが、とにかくそういうものが八日には出ておる。しかるに、その月の十八日に、通産大臣新聞記者たち質問しましても、辞表が出たことを知らぬというようなことを言つておられるのであるが、はたして知らなかつたのであるか。知つてつても、とぼけてそう答弁なさつたのであるか。知らなかつたとするならば、私はこれも一つ不感症の事例だと考えるのであります。かようなことにつきまして、通産大臣の御意見を承りたい。  なおまた、この損害は、巷間伝うるところによりますならば二億円に達するということでありまするが、通産省あたり発表では七、八千万円だという。一体この損害額は、今のところ、どの程度に確定せられたものである見込みがあるものであるかどうかということにつきましても、お見通しをお開かせいただきたいと思うのでありまするし、その損害額のうち何ぼ回收できて何ぼ回収不能になるか、回收小能になりまする損害は、いかにしてこれを補填する計画でありまするか、この点についてもお聞かせ願いたいと思うのであります。  時間がないようでありまするから急ぎまするが、次になお締めくくりといたしまして、通産大臣に対しまして、本件発生根本原因那辺にありやということに対してお尋ねしたいと思うのであります。この根本的な問題につきまして、われわれの了解のできるような御答弁願いたいと思うのであります。  次に安本長官お尋ねいたしたいと存じます。  聞くところによりますと、本公団のみならず、各種の公団に対しまして、安本におきましては、経済調査庁を通じまして、昨年の十月から本年の二月にかけまして根本的調査をなされたということであります。その際に、相当不可解なるところの経理状態が発覚しておつたというのでありまするが、それに対しまして、いかなるところの手を打たれたのであるか、お聞かせ願いたいと思うのであります。ことに、保險金の割もどしの金などの問題につきまして調査上つたかどうか、あるいは浮貸しの問題等につきまして調査に出たかどうか、その辺もお聞かせ願いたい。これは昨年の八月には会計検査院がすでに調査をやつておる。本件は四月ごろからすでに起つているにかかわらず、昨年の八月には会計検査院、また十月から二月ごろには経済調査庁、かような官署が会計検査調査をやつているにかかわらず、本件が今日で発覚しないでおつたということはこの監督機関が怠慢であるか、あるいは犯罪が実に複雑巧妙にして、これはとても人知の及ばぬような仕組みになつてつたのであるか、そのいずれかであると存ずるのでありますが、この調査をなさいましたところの安本長官の御説明を願いたいと思うのであります。  なお最後に、私は法務総裁お尋ねいたしたいと思うのであります。  捜査過程におきまして、多少疑惑のことがある。それは本件につきましては、本年の四月十一日に、この首脳の四名の氏名を指示しまして、全国指名逮捕の手配りをしたはずでありますが、これが逮捕されましたのは、本月十五日、湯島天神交番裏の新松という待合で、荒川初め三人の人間が逮捕せられておる。三人とも別々の宿舎があるにかかわらず、同じこの待合に集まつて、すなおに逮捕せられておるのであつて、これもはなはだ異常であります。なお奇怪なことは、その前日の十四日に、この荒川なる人物は自宅におりまして、請売新聞記者がこれに面会をして来ておる。その翌日の十五日に、みな三人おとなしくこの待合に集まつて御用に相なつた。聞くところによりますると、藤沢総裁の実弟は藤沢三郎さんと申されて、これが警視庁監察官付の警部だそうでありまして、巷間その間十分なる連絡をとつて、そうして口うらが合つたところで一網打盡に逮捕せられる形になつたと伝うる者があるのでおりますが、その事情につきまして法務総裁に御研究なされたかどうか、お伺いしたいと思うのであります。  なお法務総裁お尋ねしたいことは、本件はこの上なおどの程度進展する見込みであるか聞くところによれば、この浮貸しをやつた者は、こんな早船などはチンピラであつて、実は公団部長級がみんな大がかりで浮貸し稼業をやつておるという説をなすものがありますが、法務総裁は、かようなことにつきましての御認識がありますやいなや、この点についてもお伺い申したいと思うのであります。  私は総理大臣に対しまして根本的な質問をしたいと存じておつたのでありますが、お見えになりませんから、必ず適当の機会に質問を許されたいということの條件をつけまして今日の私の質問を終るつもりであります。(拍手)     〔国務大臣高瀬荘太郎登壇
  17. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。  まず第一の監督及び責任関係でありますが、こういうことになつております。貿易公団は、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、通商産業大臣監督従つて輸出入に関する業務を行う、こういうことになるのであります。通商産業省といたしましては、従つて安定本部総務長官のきめられた基本的計画に従いその業務公団によつて執行される場合、その業務執行についての監督業務責任を持つておると私は考えております。  次に第二は経理システムの点についてのお尋ねでありましたが、経理システムは、本来は公団本部経理部でもつて経理は統一されるということになつてつたのでありますが、それがその後くずれて、各業商部経理課というものがあり、それぞれ独立した純理組織を持つというふうになつてつた、そこに根本的な欠陥があつたと私も考えております。つまり、今度やつた手口を見ますと、鉱産部経理部との間の現金授受の間における未達関係によつて行われた事件であります。ですから、本来の経理事務規定のように経理本部経理部一本で行われておれば起らなかつた問題だと考えておりますので、この点は確かに欠陥があつたと思います。今後そういうことのないように厳重ま措置を講じております。  それから、昨年十月以前の帳簿その他が隠滅されておるというような話でありましたが、これについては、私はまだ承知しておりません。  それから手持商品調査の問題についてのお尋ねがありましたが、これは公団当局が行つておることであると考えております。  次の保險関係の問題でありますが、これも公団当局が行う仕事でありまして、通産省直接の仕事ではございません。  次に、この事件について通産省当局責任を感じていない、こういうようなお尋ねでありましたが、決してそういうことはございませんで、公団業務監督者としての十分な責任を感じております。  次に岡部振興局長の渡米の問題についてのお話がありましたが、これは中止せしめるということにいたしました。  次に、この事件について、この四月十三日の省議にかけられなかつたということについてのお尋ねでありましたが、新聞でも御承知通り、三月二十九日にこれが報告を受けまして、ただちに上層部におきましてはいろいろと連絡をとり、協議をしておつた次第でありまして、從つてこれが省議には出なかつたというわけであります。  次に、鉱工品公団総裁、副総裁部長等進退伺いの問題でありますが、総裁、副総裁経理部長及び鉱産部長からは、四月一日付で進退伺いが四月四日に提出されております。それが事務当局によつて保管されおつた次第であります。  次に現在判明しております被害金額について申し上げますと、現在判明しておるところでは七千八百五十七万七百八十八円となつております。その回收見込みにつきまては現在鋭意調査をしておるわけでありまして、その調査の結果によつて回収金措置をも考慮したいと考えております。  次に原因の問題でありますが、直接の原因は、先ほど申しましたように、経理事務処理規定にあやまちがあつたというところにあります。むろん、これらのことは監督者として発見されなければならない問題でありますが、公団監事室監査の場合に、それが徹底をいたしませんで、巧妙な帳簿操作によつて隠蔽されておつたわけであります。それらの点については、むろん公団職員身分監督が十分行われておらなかつたということが言えるだろうと思います。こういうような点につきましては、すでにそれぞれ嚴重な警告を発し、適当な措置を講じております。     〔国務大臣青木孝義登壇
  18. 青木孝義

    国務大臣青木孝義君) ただいまの猪俣議員の御質問のうち、経済調査庁が昨年十一月ごろから調査したが、その結果はどうかということの御質問と存じます。御承知通り経済調査庁行政監査を行いました。そこで、公団業務の全般的な、総合的な運営を適切にするという目的と、もう一つ公団の本来的な機能の発揮を助長促進するというような目的をももまして調査をいたしました。その結果は、大体におきまして、そのまとめ得られたもの、あるいはその過程におきまして、一応主務大臣に通達はいたしてございます。問題は、個々の非違の調査摘発を主眼としない建前をとつておりますので、そういう関係から、本事件の具体的な事実は、監査の際には把握しておりません。さような次第でありまして、ここにこの点を明確にお答え申し上げておく次第であります。     〔国務大臣殖田俊吉登壇
  19. 殖田俊吉

    国務大臣殖田俊吉君) 猪俣さんにお答え申し上げます。  この事件は、二月の初めから警察において捜査をいたしておつたのでありますが、検察庁がこれに関係をいたしましたのは本月に入つてからであります。(「それまでは何していたんだ」と呼ぶものあり)警察がやつておればよろしいのであります。  被疑者荒川何がしというものと新聞記者とが会つたということについて知つておるかというお話でありますが、なるほど荒川何がしに読売の新聞記者会つたそうでありまして、その会つたということを築地の警察署長がその夜にどこからか知りまして、従つて荒川をもうしばらくそのままにしておきたかつたのでありますが、これは漏れる心配があるというので、ただちに翌日逮捕いたしたそうであります。決してその間に何らの不都合があつたとは思わないのであります。  それから、この事件がどのくらい大きくなるか、これはまだわかりません。しかし、ただいま検察当局警視庁とは緊密なる連絡をとりまして、熱心に捜査を続けております。私は、これは徹底的に捜査せしむべきものと考えております。従つて、その結果については御安心を願いたいと思います。      ————◇—————
  20. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、池見茂隆提出ソ連抑留邦人に関するソ連政府発表についての緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議賛成諸君起立を求めます。   (賛成者起立
  22. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて日程は追加せられました。  ソ連抑留邦人に関するソ連政府発表についての緊急質問を許可いたします。池見茂隆君。     〔池見茂隆登壇
  23. 池見茂隆

    池見茂隆君 ただいま議題となりました国民全体が最も大いなる関心を持つ重大なる海外同胞引揚げ促進の問題につきまして、昨年五月二十日当時総司令部発表と、さらにソ連発表のその数字に大いなる食い違いを生じ、国民全体がこの問題について最も大いなる関心を持つたのであります。(発言する者あり。)この問題につきましてはいろいろとやじも飛ぶようでありますけれども、抑留者引揚げ問題につきましては、国会の決議において、超党派的の問題として取上げられておる。この問題に対しまして、われわれ国民は、本日またこうした大きな問題に直面したのであります。  それは、本日の午前九時のラジオ・ニユースで放題があり、さらに、もはや夕刊にもそのことが掲載されておるのであります。それは日本人捕虜送還完了である。いわゆる先般二千四百と病人残留……。     〔発言する者多し〕
  24. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 静粛に願います。
  25. 池見茂隆

    池見茂隆君(続) これを送還いたしたならばソ連抑留者送還は完了するものであるということが発表せられたのであります。これは日本政府はまだ受理しておらないでありましようけれども、少くろもわれわれ国民、わが国会政府におきましては、最も大いなる関心とこれが研究に当らなければならない問題と思うのであります。(「政府数字を出せ」と呼ぶ者あり)  この数字に関しましては、昨年五月二十日、終戰の当時、抑留者、いわゆる捕虜の総数は五十九万四千名とあるのであります。(「それは司令部数字じやないか」と呼ぶ者あり)この場合におきまして、現地のいわゆる職場において解放したる者が七万八百八十名、さらにすでに引き揚げた者が四十一万八千百六十六名、差引十万四千九百五十四名、未引揚者九万五千と、一応、数字は昨年の五月二十一日に発表されておるのであります。この数字は、すなわち昭和二十四年——一九四九年五月二十日、ソ連閣僚会議管轄下にある引揚げ事務が、タス通信を通じて発表しておる数字であります。この数字がすなわち最高司令部数字と一致しておることにおいて、必ずしも最高司令部数字にかれこれの問題はないということを私は確信する。  さらに本日発表のいわゆるこの数の中におきまして、戰犯二千四百名と病人残留、これはソ連の重大なる犯罪を犯した者として千四百八十七名、中共関係の戰犯者として引渡さなければならない者が九百七十一名、病気の者が九名、これでもつて二千円百名ということになつておる。しかるにこの数字は、昨年五月二十日の五千九万四千名というこの数字を基礎としまして、すでにソ連より帰還したる者が五十一万四百九名、さらに現地において釈放せられました七万八百八十名と、今日発表せられたこの二千四百六十七名をプラスすると、すなわち五十八万三千七百五十六名という数字になる。これを昨年のいわゆる総数から引くところにおいて、一万二百四十四名の、この発表に対しても食い違いを生じておる。この数字の食い違いに対して、政府はいかなる見解のもとにこれを険討せられるかということが一つ……。(発言する者多し)  さらにわれわれといたしましては、国会の決議ないしは海外残留同胞引揚促進委員会におきまして、この正確なる残留者の把握に最高の努力を拂つて来たのである。しかるに……     〔林百郎君「委員会で話したらいいじやないか、そんなこまかな数字を聞くな」と呼び、その他発言する者多し〕
  26. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 静粛に。林君静粛に願います。——林君……(発言する者多く、聽取不能)
  27. 池見茂隆

    池見茂隆君(続) この問題が発表せられたということにつきまして、私は、現在未帰還者の数がどの程度あるか、さらに外務当局に対して、どの程度帰つて来なければならないかということをただしましたときにおきまして、三十一万一千九百十四名程度の者はまだ引揚げなければならないという状態にあるということを言つておる。(発言する者多し)静かに聞け。これがすなわち私は総司令部の当時の食い違いの三十一万というものと合致するものであることを考えるときにおきましては、この二千四百何名という数字は、この結果より持つて来たところの一つのつくられた数字ではないかということを考える。(拍手)この点につきまして、私はあくまでも日本人といたしまして、われわれ同胞の一日も早く祖国帰還をこいねがつていることは同様である。この場合において、政府は、この数に対して、ただいま申し上げましたところのことを明確に御返答願いたい。  同時に私は、国民の代表としての深刻なる要望として、深刻なる希望として、今日この引揚げ完了ということは一応発表せられましたけれども、今まではその生存者の数を発表して、死亡者の数は一度の発表もない。私は、この死亡者の数を、司令部を通じ、ソ連大使を通じて、もつて発表していただきたい。さらに、今回のこの新聞にある二千四百何名の人々の氏名、住所を即時に私は発表を要求していただきたい。これは最高司令部を通じ、あるいはソ連大使のいわゆる道義に訴えて——二千四百名の生存者があるなれは、その氏名、居所は当然明確にわかつている。これを発表することにおいては、何も私は遠慮するところはないと確信している。(拍手)このいわゆる要望と、私が最初に申し上げたところの事柄についてご返答が願いたい。  つけ加えて私は申し上げておきます。昨日も群馬県の引揚げ促進の県民大会に参りましたが、千数百名の聽衆の叫びは、まことに切々なるものがあるのであります。特にその数を調査いたしましたところが、群馬県内においてさえ、まだ二千名程度の未帰還者のあるということを、その筋の人より明確に承つた。かかる点より考えまして、共産党の諸君が、私のこの質問ないし要望に対して、かれこれ言われますけれども、昨日の大会におきましても、あの徳田要望の問題が出たのであります。かかる場合におきまして、こういつた発表と関連いたしまして、最も国民はこれを考えているのでしあます。この点において、国会の決議でもつてなされるこの引揚促進運動のために、私は共産党はよりよく働かなければならないと思う。  以上、私の質問んあいとは深刻なる政府にたいする要望を申し上げまして降壇いたします。(拍手)     〔政府委員川村松助君登壇
  28. 川村松助

    政府委員(川村松助君) ただいまの御質問並びに御要望に対しましては、遺憾ながら議場がいたずらに騒然といたしまして、ほとんど聞きとれなかつたのであります。つきましては、速記録を調べまして十二分に検討を加えた上で、あらためてお答え申し上げたいと思います。
  29. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、労働省設置法等の一部を改正する法律案日程第二、農林省設置法の一部を改正する法律案日程第三、建設省設置法の一部を改正する法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事奈良良治二君。     〔奈良治二君登壇
  30. 奈良治二

    ○奈良治二君 ただいま議題となりました労働省設置法の一部を改正する法律案農林省設置法の一部を改正する法律案及び建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会の審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず労働省設置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、労働省設置法並びに職業安定法の一部を改正せんとするものでありまして、同省の権限中、失業保険に関する認可事項の改正、労働基準監督官研修所の設置、各種審議会の整理及び公共職業安定所の所掌事務の改正等をおもなる内容としております。  本案は、四月八日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、質疑を行つた後、四月十九日、討論を省  し採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。  次に農林省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、農林行政の簡素化、能率化の目的をもつて、農事、茶業、園芸及び畜産の四試験場並びに開拓研究所を一つの農業技術研究所に、またそれぞれ各地の支場を七つの農業試験場に統合し、総合的かつ能率的な試験研究を行わしめることとし、現在同省に置かれている二十九の審議会を十二に整理しております。また食糧庁にある食糧部及び食品部について、その所掌事務の改正とともに、その名称を業務第一部及び業務第二部と改め、かねて問題となつておりました地方出先機関である資材調整事務所については、その所掌事務中、電力、石油等の物資の割当配分事務を当分の間食糧事務所に取扱わせることとし、その他の所掌事務はこれを都道府県に委讓して、本年五月一日以降これを廃止することとし、木炭事務所については、残務整理期間を考慮して、明年一月以降これを廃止しようとするのであります。  本案は、四月十四日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き爾来慎重に審査を続けて参つたのでありますが、四月十九日、討論省略、採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。  次に建設省設置法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、建設省の付属機関たる審議会等を整備しようとするものであります。  おもなる改正の第一は、地理調査所においては公共団体、日本国有鉄道または日本專売公社の委託に基いて土地の測量、地図の調製及び測量用写真の撮影を行うことができることとし、その第二は、官庁営繕審議会を廃止するとともに、河川審議会及び道路審議会を統合して土本審議会とし、河川、砂防、道路、災害復旧その他土木に関する重要事項につき調査審議し、関係行政官庁に建議できることとし、その第三は、関東地方建設局の位置を船橋市から東京に移そうとするものであります。  本案は、四月十三日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、建設委員会との連合審議会を開き、建設委員会より、土本審議会を廃止し、河川審議会、道路審議会及び官庁営繕審議会を復活するよう修正の申入れがありましたが、右申入れの趣旨は、その運用において、十分に尊重するよう政府に要望することとして、四月十九日、討論を省略し採決のり結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。  以上御報告申し上げます。
  31. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) まず日程第一及び第二の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  32. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長の報告通り可決いたしました。  次に日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案の委員長の報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  33. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇————
  34. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第四、生活保護法案議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事青柳一郎君     〔青柳一郎君登壇
  35. 青柳一郎

    ○青柳一郎君 ただいま議題となりました生活保護法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  生活保護制度、すなわち国民の最低生活を保障する公共の扶助制度は、いかなる形の社会保障制度においても、その基礎の一つであります。現在生活保護法が、昭和二十一年十月一日施行以来今日に至るまで、公共、の扶助に関する根本法として果して来た重大かつ効果的なる役割については、あらためて申すまでもないところであります。しかしながら、現行法の慈惠的、恩惠的色彩を一掃いたさなければ社会保障制度の基礎たるを得ないのであります。さらにまた、わが国現下の情勢は、本制度による保護を要する人々の数の増加が予想せらるるのでありまして、この際本制度を急速に整備強化することが必要となつてつたのであります。特に昨年以来、本院においてきわめて緊要な問題として取上げられました未亡人対策あるいは遺族援護の問題等の審議を通じて、本制度の欠陥がしばしば指摘せられ、第五国会において、満場一致をもつて可決せられました遺族援護に関する決議においても、本制度の拡充強化が強く要望せられたのであります。さらに昨年一月現内閣によつて設置せられました社会保障制度審議会は、去る九月、内閣総理大臣に対して、現行の生活保護制度の改善強化に関する勧告を行うに至つたのであります。これらの要請に応じ、現行の生活保護制度を廃止し、新たに憲法第二十五條の定める理念にふさわしい、国民が権利として保護を要求し得る生活保護制度を樹立せんとするのが、政府の本法案提出の理由であります。  次に本法案の内容のおもなる点を申しまますれば、第一は、生活保護の制度を憲法第二十五條の規定に盛られた国民の生存権保障の理念を具現するにふさわしいものとしたことであります。もとより、現行の制度のもとにおいても、この法律による保護は国の責務として行われる建前をとつているのではありますが、今回の改正においては、第一章総則におきまして、国民は一定の要件のもとにこの法律による保証を当然に受ける権利がある旨を明らかにいたしますると同時に、第二章保護の原則、第三章保護の種類及び範囲、第五章保護の方法等にいて、この法律によつて行われる保護の内容を新たにすベて法律に明らかに規定することにより、その恩惠的色彩の一掃を期しておるのであります。さらに、国民がこの法律による保護を受ける権利のあることが明らかにされる以上、当然これに対応して、国民の側から見てその権利の実現がはばまれたとする場合には、この権利を主張し得る道の開けるベきは申すまでもないところであります。よつて、都道府県知事及び厚生大臣に対する不服申立ての制度を新たに確立することといたしておるのであります。  第二は、この法律の実施には、市町村長のもとに有給專門の職員たる社会福祉主事を置き、民生委員はこれに協力するものたることを明らかにしたことであります。民生委員の関與により、生活保護制度が国民にきわめて親しみやすいものとなつており、民生委員の数十年に及ぶ功績は高く評価されるべきでありますが、他面、真の責任者にあらざる者にあまりに多く依存することは、法の執行における公の責任をあいまいにするきらいがあるというので、民生委員と社会福祉主事との両者の責任区分を明確にするとともに、両者の協力体制を今後も緊密に維持することとしておるのであります。  第三に、現行の生活扶助、生業扶助、医療扶助、出産扶助、葬祭扶助の五種類の扶助のほかに教育扶助及び住宅扶助の制度を創設したことであります。現行制度のもとにおきましては、生活扶助を現に受けている人々でなければ、その子弟の義務教育に要する経費、家賃及び住宅補修費等を支給せられないのでありますが、今後は生活扶助を受けておらぬ人でも、そのために生活に困る人々には、この二種類の扶助を單独に受け得る近が開かれるのであります。  第四に、医療機関について指定制度を設け、監査制度を実施することといたしたことであります。生活保護に要する経費は、昨二十四年度は百十五億円、本年度は百五十億以上に上るのでありますが、昨年度においては、医療扶助に要した費用はこの総額の約四五%に達しておりますので、今回の改正におきましては、医療機関の指定制を確立するとともに、その診療方針及び診療報酬は社会保險のそれに準ずるものたることを明らかにし、あわせてその請求を監査し得る道を開き、濫診濫療なからしめるようにいたしておるのであります。  この生活保護制度は、厚生委員会における最も重要なる議題一つとして、第一国会以来機会あるごとに、その運営、実施の面について、あらゆる角度からの検討が盡されて参つたのでありますが、三月二十二日、本法案が厚生委員会に付託せられて以来、ほとんど連日委員を開催し、きわめて熱心なる審議が行われたのであります。  以下、おもなる質疑応答の内容を申しますれば、まず第一に、社会保障制度審議会の生活保護制度の改善教化に関する勧告の内容はどの程度本法案に取入れられているかとの質問に対しては、従来市町村長の補助機関であつた民生委員を協力機関に変更した点及び保護に要する経費の都道府県及び市町村の負担を現行通りおのおの一割ずつにすえ置いた二点を除いてはことごとく勧告を採用しているとの答弁でありました。  第二に、生活困難に陷る原因としては失業が相当重要な因子をなしている。が、本法案では失業者に対していかに考えているかとの質問に対しては、失業すればだだちに生活困難に陷るものではなく、現に各種の失業対策が講ぜられている、これらの失業対策によつてもなお最低限度の生活を維持することができない者に対してのみ初めて本法案の保護が行われるとの答弁でありました。  第三に、本法の保護は無差別平等を建前としておるが、各種のハンデイキヤツプを有する者、特に未亡人母子世帶は本法案では救われないではないかとの質問に対しては、いわゆる無差別平等の原則は本制度の保護に対する機会均等の意味であるが、従来この原則が誤解されて、法の運用があまりに機械的に流れる傾向があるため、今回特に必要な即応の原則を掲げて、要保護者の実情に即し最も有効適切な保護を行わねばならないことを明らかにしている、現在生活保護法によつて保護を受けている者は約百六十万人、世帶数にして五十万に近いのであるが、このうち婦人世帶主は実にその約六六%、ことに子供を有し、病気の夫をかかえ、不具廃疾者を擁している婦人世帶主がその四八%を越える状況であり、本制度は婦人の福祉のためのものともいえるのである、新たに教育扶助及び住宅扶助を創設して、いまだ満足な金額ではないが、未亡人母子家庭の最大の関心事である遺兒の教育と住居の問題の解決をはかつたほか、法の実施面においても、未亡人母子の福祉増進については十分考慮しているとの答弁がありました。  第四に、本法案により保障される最低限度の生活の内容は健康で文化的たるべきことが明記されているが、その基準をいかなるところに置くか、この基準を決定するためには特別の審議機関を設置する必要はないか、なお現在の基準をもつて健康で文化的な生活水準が維持できると考えるかとの質問に対しては、その基準は決して固定的なものではなく、敗戰後の国力、社会、経済の諸情勢を考慮して社会通念上妥当なるように決定せらるベきものであつて、生活扶助の基準において飲食費の占める割合は、従前の八二ないし八三%から現在七五%に上昇している、理想的立場から見れば現状をもつて決して満足すべきものとは考えていないが、他の一般国民の生活水準との振合いをも考慮する必要があり、諸般の事情を参酌して、あとう限り保証内容の向上に努力している、またいかなる基準を用うべきかについては社会保障制度審議会における調査研究の結果を期待しておるとの答弁でありました。  第五に、最も論議の集中いたしました問題として、現行法では、生活保護の実施を適正ならしめるとともに、これを国民に親しみやすいものたらしめる意味において、民生委員を市町村長の補助機関として強力に保護事務に關與せしめておるが、本法案が民生委員を協力機関に変更したことは、せつかく社会奉仕の立場から進んで保護の実施に当りつつある民主委員の積極的熱意を冷却し、ひいては保護事務の円滑適正なる運営に支障を生ずるのではないかとの質問に対しては、ここ数年来の経験に徴すれば、当然公の責任においてなさるべき仕事までも民生委員の負担となつている実情で、その負担が次第に加重せられておる結果、遂には社会奉仕者というその本来の使命の遂行までが阻害されるおそれが出て参つたので、今回これをその本来の姿に復帰させ、社会奉仕者たるにふさわしい姿において活動させるとともに、保護り実施は名実ともに市町村長の公の責任たることを明確にしようとするのである、もちろん民生委員の努力なくしては保護事務の円滑妥当な実施は期せられない、民生委員には、要保護者の発見、その生活状態調査、保護の決定または実施に関し意見を開陳すること等は将来も従来通りつてもらうのである、これを要するに、名誉職の社会奉仕者たる性質より見て適当と認められる範囲において進んで民生委員の協力を求めるよう十分措置するとの答弁がありました。  次に、本制度における医療扶助の診療方針及び診療報酬は国民健康保険の例によるを原則としているが、国民健康保險の診療内容等は市町村によつて区々であるから、本法案の診療方針及び診療報酬は、むしろ健康保險の例によつて全国一本とする方がよいではないかとの質問に対しては、公的扶助の理念からるれば、国民健康保險のごとく地域的扶助共済の観念に基く保險給付の例による方が適当と認めるものであつて、これは現行そのつままであるとの答弁がありました。  次に、生活保護は国の責任をもつて実施すべきものであるから、これに要する費用は当然国庫が金額を負担するか、または国の負担額をもつと引上ぐべきではないかとの質問に対しては、地方負担の軽減については社会保障制度審議会の勧告もあるが、シヤウプ勧告に基く税制改革によつて、地方自治体確立のために地方の財源が豊富になる関係上、都道府県、市町村がおのおの一割の保護費の負担をする能力が十分にあると思われるのと、他面、目下地方行政調査委員会議において検討中の中央・地方間の事務の配分調整に応じて生活保護事務の負担区分の訂正を行わねばならなくなるから、今回は一応その推移を見るため現行の負担区分を変更しなかつたとの答弁がありました。  以上のほか、社会保障制度との関係、各種扶助の具体的内容、いわゆるボーダー・ライン階級の保護対策、保護施設、管理者の権限、社会福祉主事の性格、扶助義務者の範囲等に関して熱心なる質疑応答が繰返されたのでありますが、これらの詳細については速記録について御承知願いたいと存じます。  なお本法案の重要性にかんがみ広く一般の世論を聴取するため、四月一日公聴会を開き、全日本民生委員連盟会長原奏一氏外十名の公述人から、あらゆる角度よりの意見を聽取して、愼重審議を重ねた次第であります。  かくて、十九日質疑を打切りましたところ、青柳委員より次の修正案が提出せられたのであります。その第一は、第五十一條第二項として、医療機関の指定取消しの場合に、取消処分を受けた者に対して弁明の機会を與える規定を設けようとするものであります。第二は、第五十三條第三項として、都道府県知事が診療報酬の額を決定するにあたつては、権威ある機関の意見を聞くべき旨の規定を設けようとするものであります。第三は、第七十二條第一項中の施設を補足せんとするものであり、第四は、第八十四條第二項として、違反行為の場合、いわゆる両罰主義をとつて、行為者のみならず、その行為者を使用する者をも処罰する規定を設けるものであります。第五は、附則第一項中の施行期間を五月一日に改めるものであり、第六は、附則第八項として、社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する規定を置くものであります。  次いで討論に入ましたところ、自由党を代表して青柳委員より、生活扶助を初め各種扶助基準の合理的引上げ、民生委員の活動の積極化、国民健康保險の充実強化、地方負担の軽減について希望し、社会保障制度の一つの礎石たる公的扶助制度がまずここに確立せられ、社会保障制度樹立のために一歩を進めることを喜んで本法案に賛成の意見を開陳いたしました。次いで日本社会党を代表して岡委員よりは、第一、生活扶助額を実情に即して引上げること、第二、母子家庭の実際に即して教育扶助額を引上げ、あわせて育英資金制度を拡充すること、第三、地方負担の軽減をははること、第四、ボーダー・ラインの人々に対する生活保障して生活資金供給の金庫を設置すること、第五、十分なる失業対策を講ずること、第六、人口問題を無為に放任すべからざること、第七、社会保障制度の実現を促進すること、この希望意見を述べて賛成の討論があり、さらに日本共産党を代表して苅田委員よりは、第一、生活保護の基準が低く、本法案は欺瞞的である、第二、民生委員の活動を制限し、保護が官僚化する等の理由をもつて修正案を除く本法案に全面的に反対する旨の意見が述べられたのであります。  次いで討論を終結し、まず修正案の部分について採決に入りましたところ、修正案は満場一致をもつて可決すべきものと決せられ、次いで原案の他の部分について採決いたしましたところ、多数をもつて原案通り可決すべきものと決せられた次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手)
  36. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。苅田アサノ君。     〔苅田アサノ君段登壇
  37. 苅田アサノ

    ○苅田アサノ君 ただいま議題となつております生活保護法案に対しまして、日本共産党を代表したしまして反対の討論を行います。  この法案に対して賛成の諸党派の人たちが画期的な生活保護法の改正だと言つておられるのはなぜかと申しますと、第一章の総則の第一條から三條にわたりまして、すべての国民は憲法第二十五条の理念に基いて一人残らず最低限度の生活を保証される権利を持ち、しかもその最低限度の生活というのは健康で文化的なものでなければならないという規定が書いてあるという理由によるのであります。その点だげでいえば、私どもの決して反対ではないのであります。それどころか、わが国の現在の国民が陥れられておるひどい状態、食うに食えず、生きるに生きられないその結果、一家心中や自殺、あるいはやみの女や犯罪が非常に急増しておる今日の状態は、その大部分が本人の責任ではなくして、国民に押しつけられた戰争の結果であり、さらに大量の首切りや低賃金、重税や中小企業の破壞の政策の結果でありますから、これらの気の毒な犠牲者に対しましては、当然政府が資任を持つてその生活を保障すべきであるということは、従来わが党が率先して最も熱心に要望しておつたところなりであります。  問題は次の点にあるのであります。つまり、單に美辞麗句を並べればそれで方事オーケーであるか、あるいは集際にそれが行われるということが必要であるか、この点が問題なりであります。(拍手)言葉でなくして、実際にこの目前の多数の生活困窮者に対しまして、一人残らず少くとも文化的で健康だといえる生活を保障するというのでありますれば、ただ画期的な文句を紙に書きつけるだけでなくて、裏に画期的な予算の措置が必要だということはきわめて明瞭なのであります。(拍手)またその通用に際しまして遺憾なからしめるためには、真剣な手だてが講じられなければならない。これも、だれが考えましても明瞭なことなのであります。  ところがこの法案には、その点が何一つとして裏づけされておらないのであります。生活費の基準は、相かわらず成年女子の必要カロリーが一千六百カロリーというようなものであつたり、また東京都で五人世帯の住む六畳間の間代が七十円そこそこというような、まるでおとぎばなしの世界のようなことが基準になつておるのでありまして、もしこの生活保護法がかりに適用されたといたしましても、とても健康で文化的な生活どころの話ではないのであります。保護費の総額が今回二割増額されておるといたしましても、当局が言つておりますように、これは従来の自然増加を見込んだだけの数字なのでありまして、私どもの目前にあふれておるところの、しかもどんどん増加しておりますこの破滅寸前のどん底の生活者、失業者、倒産者、こういう人に対しまして、法律の趣旨に基いて、一人の漏れなく、しかも健康的な、文化的な生活を與えるという積極的な予算でないということは、これだけでもわかるのであります。  しかも依然として生活保護費のニ割負担を府県と市町村に残しておりますので、それでなくても苦しい市町村の台所から、ことに予想される今年度の状態では、従来に増してその適用を制限をせざるを得なくなることは火を見るよりも明らかであります。     〔議長退席、副議長着席〕 こういう強い歯どめを一方に残しておきながら、一方では国民全体の権利だと言つておるところにも、この法案の大きなうそがひそんでおるのであります。またこれを適用する面について考えましても、民生委員の権限を縮小しまして、上から任命された少数の特定の官吏をもつて行い、上からの命令一本で働く官僚の事務取扱いにこの大切な仕事をまかせるなど、まさに法案改正の趣旨とは逆な改悪が行かれているのであります。  以上申し上げました法案実施上の裏づけのない点は、わが党がひとりこれを主張するだけでなく、先般の公聽会におきましては、民生委員も、被保護社も、保護施設の代表者も、また一般の学職経験者も同様にこれを指摘されているばかりでなく、今日賛成をしておられる他党の諸君におかれましても、すべてこの点を不満としておられまして、委員会の討論におきましても、これでは犬小屋につながれた犬の正活だとか、あるいは羊頭狗肉のおそれがあるということをしきりに申しておられます。それなればこそ、委員会の討論におきましても、またおそらく今日このあとで行われます討論をお聞きになりましても出るに違いないように、長々と希望條件をつけまして苦しい賛成をしておいてになるのであります。それぐらいなら、なぜ他党の皆さんも正直にこの法案に反対されないのか。(拍手)画に描いたもちでは、決しておなかはふくれないのであります。実際に行えもしないものを紙に書いただけで、自民ははたして幸福になることができるでありましようか。幸福どころか、実際はさらに悪いのであります。  国民の生活は、前にも申しましたように、政府の自主性のない政治の結果、実に絶望的なものとなつております。健康保險国民健康保險もがたがたにこわれ、また労災保險にいたしましても、失業保險にいたしましても、真に名ばかりと言つていい状態なのであります。一方では中小企業家が一家心中を企て、また一方では、長い病気に寝ついている妻が、自殺薬をもらいたい、それだけが一家の破滅を救う方法だというような悲痛な訴えをしでおります声は、おそらく皆さんのお耳にも達しているはずであります。これに対しまして、政府は一体何をしようとするか。形だけでは何ら実際の伴わない生活保護法を與えまして、それですべての国民は少くとも最低の文化的、健康的な生活ができるのだとうそぶきまして一家心中や自殺者に対する責任を回避し、また自殺よりももつと悲惨な、食うに食えない失業者や、どん底の生活者が軍事基地の建設工事へ追いやられるということの政治的資任を回避しようとしているのであります。生活保護法というのは、こういう法案であります。  国民を偽ることなく、愚弄することなく、政府が当然の処置として、責任を持つて一切の国民の生活を実際に保障することを要求するため、日本共産党共は、かかる幻想的な法案に反対することこそ国民に対する最も真実な態度であると確信するものであります。(拍手)
  38. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 大石武一君。     〔大石武一君登壇
  39. 大石武一

    ○大石武一君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま上程せられました生活保護法案に対しまして賛成の趣旨を述べるもりであります。  現在わが日本国内における最も需要なる政治の一つとして社心保障制度があげられております。終戰以来破綻に瀕しましたわが国の経済は、国民各位の熱烈なる努力によりまして、ようやくその立ち直りを見せて参つたのであります。いまだ国民の大多数は、経済的重圧のもとに、生活苦と闘いながら、将来に希望を託して、わが国の再建に懸命の努力を続けているのが、わが国の現状であります。この国民の経済的重圧を取除き、生活案定を健保させるものは、この社会保障制度の完成以外に断じてないと、私は信ずるものであります。  御承知のごとく、社会保障制度は——わが国に行わるべき社会保障制度は、現在行われております各種の社会保險と公的扶助の両者の根本的改革、拡充であり、有機的な総合調整であらなければならないのであります。ただいま問題になつております生活保護法は、この公的扶助の大部分を占むるものであります。この生活保護法が昭和二十一年の十月に実施せられまして以来、いかにわが国民の大多数の生活を救つたかということは、いまさらここの喋々するまでもないと思います。今回この生活保護法が根本的に改革せられまして、本院に上程せられましたことは、私は非常に喜びにたえないのであります。(拍手)  この法案の改正のおもなる点につきましては、先ほど青柳理事よりいろいろお話がありましたから、くどいことは省略したします。ただ、われわれの最もこの法案に賛意を表するところのものは、この法案を貫く精神であります。今までの生活保護法は、惜しいことには、救済的な、恩恵的な色彩が特に強かつたのであります。それが、このたびの更正によりまして、かかる恩恵的な色採を一掃いたしまして、この保護は国の当然の義務であり、国民は当然の権利として受けるべき義務であると規定いたしましたことは、まことにわれわれの喜びにたえないところであります。民主主義の根本は、無差別平等なる基本的人権の尊重であります。この基本的人権の尊重をこの法案に盛り込みましたということにおきまして、われわれは党をあげて賛意を表するものであります。  ただ、ただいま共産党の苅田君より、この生活保護法の基準が低過ぎるということ及び民生委員の活躍が不十分であるということにつきまして、全面的な反対の意見が述べられたのであります。私は、その御意見はまことに尊重すべきものとは思うのでありますが。なぜこの法案に全面的に反対しなければならないかということに対して、私は非常に疑問に思うものであります。(「ヒヤヒヤ」)  生活保護法というものは、いな、この生活保護法ばかりではない、すべての法律というものは、その国の経済的事情、政治的事情によつて左右されなければならないのであります。しかるに、皆様御承知のように、わが国の経済的事情は、自殺者がたくさんあり、倒産者がたくさんある、こういうような現状であります。     〔発言する者多し〕
  40. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御靜粛に願います。
  41. 大石武一

    ○大石武一君(続) 従つて、ひとり生活保護法のみが、わが国の生活の水準を飛び越え、理想的な、すばらしいものになるわけではないのであります。わが国の現在の経済状態を、一瞬のうちに、一挙にしてこれをゆたかな経済にすることは、いかなる手品を使つても不可能であることは、三才の童子でも知るところであります。わが国の生活保護法は、わが国の経済に従つて実施されなければならない。従つてまた、それが当然の過程であります。(「ヒヤヒヤ」)従つて、現在の生活保護法の基準が低いといううらみはございますが、わが国の経済上から考えまして、やむを得ざるものと私は信ずるのであります。さらに、もしこの生活の基準が低過ぎると言つてこれを否定いたしましたならば、百六十万に及ぶこの保護を受ける人々の生活をいかにして救うべきでありましようりか。われわれは、将来の完成を希望しつつ、一歩々々前進して行くところにわれわれの政治の努力があるのであります。(拍手)  次に民生委員の問題であります。今までの民生委員というものは、生活保護法の実施機関の最尖端でありまして、最も重要なるものであります。今までは、民生委員というものは市町村長の補助機関であつたのであります。しかるに、今回の改正によつて、これを補助機関より格を上げて協力機関にかえ、その最尖端が直接の事務を扱う者は專門の職員を充てることにしたのであります。まことにこれは組織上の進歩であります。いやしくも科学的な社会主義を信奉せられる共産党の諸君が、この組織の改良に対して反対をいたされるということは、われわれのふに落ちないところであります。  以上のような理由によりまして、わが国の経済がますます好転して参りまして、生活保護法もこれ従つてその基準を引上げることができますように、ひいては将来はこの生活保護法がわが国内において必要のないような経済状態になること念願して討論を終る次第であります。(拍手)
  42. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 岡良一君。     〔岡良一君登壇
  43. 岡良一

    ○岡良一君 私は、社会党の立場から、本改正法案に対しましては賛成の意を表します。  われわれが本案に賛成いたしますのは、かつて生活保護法といえば、お助けの制度、救貧の制度であつたのでありますが、本改正を通じまして、国民の最低の生活が国民の当然の権利として保障され、また政府責任として義務づけられた点でありまして、この点は、あくまでも日本の国の生活扶助が民主主議的な方向に大きく前進したことを何人も疑う者はないと思うのであります。このことがもし吉田内閣によつてできないなば、吉田内閣は当然国民の追究によつて追陣をしなければならないでありましよう。しかしながら、そのことと、この法案の改正の趣旨そのものとは別個でありまして、かかる理由によつてこの法案を否定することは、国民の最低生活の保障に対する責任を回避するものと言わざるを得ないと思うのであります。(拍手)しかしながら、羊頭を掲げて狗肉を売るという言葉もありますので、私は、わが党の立場から四、五の希望を披瀝しまして、政府責任ある善処を期待いたしたいのであります。  第一点は、苅田君も指摘されましたように、生活扶助費の引上げであります。現在、東京都内内おいては、昨年の統計によれば、一般家庭の一箇月の支出が、一世帶一万四千五百円であります。その中の飲食物費が九千余円でありますが、生活保護の適用を受けておる五人世帶家庭における月額は五千二百五十円である。飲食物費が四千三百五十円、最低生活費の月額が一般家庭の支出に比べまして三分に一をやや上まわり、食糧に至りましては二分の一以下というようなことでは、これは申すまでもなく、十分なる生活保護法の適用を受けながらも、まことにみじめな生活をしいられておることは歴然たる事実でありまして、かかる観点から、生活保護費の最低基準額は、現実に即応すべく当然引上ぐべきことを希望するりであります。  同時に、この生活費の中に含まれる文化的費目の支出でありますが、生活保護費の中に含まれるところの飲食物費は八二%という計数を示しております。現在中流の文化的基準は、飲食物費の比率は約六〇%といわれておりますが、八〇%では、これまた苅田君の指摘されるごとく、まつたく犬小屋につながれた動物の生活でありまして、決して文化的な生活とは申せないのでありますから、この点においても実現に即したる引上げを断行せられることを希望いたす次第であります。  第二には教育扶助費の引上げであります。現在は、小学校におきまして各学年を通じまして月額九十円、新制中学におきましては百九十円でありますが、これでは、とうてい子供を安心して学校へ通わせるわけに行きません。東京都内の父兄の声を聞けば、最低一千円は交通費等を含めていると申します。特にまた、本法の適用の対象の半ば以上がいわゆる母子家庭である。現在日本には六十七万の戰争未亡人、百八十七万の母子家庭、未亡人世帶が存在するのでありますが、かかる方々に対しましては、子供の成長こそは唯一の生きるお楽しみであり希望であると思いますので、いま少しく現実に即応したる教育扶助費の引上げを希望したい。  いま一つ希望いたしたいのは育英資金の充実であります。本年度の育英資金は五億三千七万百円でありますが、この恩典に俗する者は四万三千人。ところが、現在それを希望する者は二十四万人と言われているのでありまして、いかに家庭が貧しくとも、英才がどんどん上級り学校に進学できるよう、教育扶助費の引上げとともに育英資金の大幅な増額を強く希望いたす次第でおります。  また、一切の扶助費は全額国庫負担とすべきことを強調いたしたいのであります。本法の改正を通じまして、国の責任において国民の最低生活を保障するという以上、理論的にも当然全額国庫負担とすべきでありまするが、なお実際の運営におきましても、これまでにおきましても、地方財政の顧慮よりいたしまして、適用さるべきものが適用されない例が多々あるのでありますが、本改正を通じまして、市町村の長の権限が拡大され、あるいはまた社会福祉主事等を設けまして、市町村において一括この事務を担当することとなりますると、ますますもつて地方財政の顧慮から、当然適用を受くべき者適用漏れとなる危險が推定されるのでありまするが、かかる観点からいたしまして、一切の扶助費は当然全額国庫負担とすべきものであることを強く主張し希望するものであります。  第四番目には、本法運営上の民主化であります。これまで生活保護法運営の第一線におりました民生委員の諸君がいわゆる協力機関ということになり、市町村り役場の窓口が拡大されて一括これを取扱いますると、ともすれば、従来の例に見るように、画一的、形式的に走つたところの取扱いがなされ、その上、地方財政の顧慮よりいたしまして適用漏れが頻発することも予想されるのであります。なおかつ、ある都市におきましては、生活相談所を設け、社会福祉主事に近いものを置いて実験いたしましたるところ、適用を希望する者が二倍、三倍と殺到しておる最近の例もあります。かかる事情を考えまするときに、この運営はあくまでも民生委員の意見を尊重し、また民生委員を福祉主事に起用する等の方法を講じて、従来の豊富なる体験を基礎といたしまして運営の民主化をはかられたいいのであります。  第五点は、ボーダー・ラインに立つ人々に対する政策であります。現在、万一事故があれば、もはや生活保護法の対象に転落しなければならない世帶が約十万人になんなんとしており、その人口は二百十三万と言われております。これに加うるに、慢性化し深刻化した賃金の遅欠配、かかる事情のもとにおきまして、本保護法の改正を通じ無差別平等ということをうたつておりますが、かかるボーダー・ラインの人々や、深刻なる賃金遅欠配によつて生活資金の窮乏にあえいでおるところの労働者に対しては、何らの生活資金を保障する制度がない空白の状態にさらされておるのであります。かつては公益質屋がありまして、この公益質屋が生活資金の供給に当つておりましたが、これも運転資金の枯渇によつて、当初に比べれば、現在その回転をしておるものは五分の一以下に減つておるのである。運転資金の枯渇は、金融機関の金詰まりや、あるいはまた地方起債の順位繰下げによるものでありますが、すでこ労働者は、厚生年金保險積立金において、本年度においてもすでに百八十一億をしましわるところの積立金をなしておるのであります。われわれは、この積立金の幾分を用いたしまして、あくまでもこれらの積立を労働者の福祉に還元する精神の上に立つてこれを活用し、公益質屋のごとく物件担保のみならず、対人信用も含めまして、生活資金そのものの保障をするための制度を確立せんことを、この際あわせて強く希望いたすものであります。  第六においては、人口調整の問題であります。すでに今年におきましても人口は百七十七万人の増加を来し、世界り輿論をあげて、日本の合理的な人口調整をうたつております。貧乏人の子だくさんと申しまするが、現在世界的にも文化生活の水準が高く、また社会保障制度が発達いたしておるところの国々につきまして見れば、あるいはニユージーラソドにおいては、一平方キロメートルの人口密度は六人である。スエーデンにおきましては、一平方キロメートル当りの人口密度が十五人でありまするが、なんと、わが国のそれは二百二十三人を上まわつておるのであります。こういうことを、このままにいたしましては、いつまでたつても、われわれの生活水準が向上せず、あるいはまた生活困窮者が跡を絶たないことは、昨年度政府発表しております長期復興計画なるその書類を見ましても、二十八年度におきましては、生産の水準が八九%に上昇いたしましても、人口の盲目的膨限の重圧によつて、生活水準はほとんど向上し得ないことを告白しておるのであります。かかる観点からいたしましても、われわれは人口調整の必要を力説し、昨年法を改正いたしまして、全国保健所においてそれぞれ保健婦を設け、その保健婦を通じまして、人口調整そのものの合理的な思想の普及と枝術の指導、母体調脇に中心を置くところの薬剤、器材の登記等を公然かつ迅逃に実行すべきことを、この際提唱いたしたいのであります。  第七番におきましては、社会保障制度との関連であります。社会保障制度が実現せられ、その体系が整備されればされるほど、当然かくのごとき生活保護法というがごときものは、その活動の分野が狭くなるのであります。この点におきまして、私は大石君の意見とは反対の立場に立つもりであります。われわれは、この生活保護法のごときものが、漸次社会保障制度体系の展開とともに縮小されることを希望し、またかくあらねばならないと思うのであります。  一例を申しまするならば、社会保障制度が最も発達しておるところのイギリスにおいて、年間のその総予算は七億五千万ポンドでありまするが、その中で、生活保護法のごとき公的扶助に支出されるものはわずかに四千万ポンドにすぎないのであります。あるいはすべての国民が、貧富の別なく、合理的に、必要あるときに医療を受け得るような国民医療サービスが実施され、あるいは現在のごとき官公吏や労働者のみならず、農民も含めて老後の最低生活が保障され得るような国民年金制が採用され、あるいは寡婦年金や兒童手当等が社会保障制度の完備とともに実施されますならば、当然生活保護法の分野はきわめて縮小されなければならないのであつて、生活保護法を大幅に改正し、言葉の上でのみ最低の生活を保障することによつて、われわれが期待するところの社会保障制度そのものの勧告をたな上げせられるようなことにつきましては、われわれはあくまでも反対をしなければならないのであります。  現在、社会保障制度とは申しまするけれども、社会保障制度そのものは決して……     〔発言する考多し〕
  44. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。岡君、簡單に願います。
  45. 岡良一

    ○岡良一君(続) 決して生活の窮乏に対する根本的な対策ではないのであります。現在、農民は低米価をしい、労働寿には首切り、低賃金、あるいはまた中小業者は金詰まり、こういうような事情において、政策のために生活の困窮の陷つているという、この自由主義的な、無責任な資本主義政策の根本的な解決なくしては、生活困窮の改善をするところの基本的な権利はないのであります。もちろんわれわれは本法の精神には賛成いたしまするが、しかし、これが実施されるかいなかにつきましては、国民に当然審判をゆだねるつもりであります。国民はおそらく、この間の京都府のわれわれの勝利のごとく審判を下すでありましよう。  われわれは、如上の希望條件と警告を付しまして本法案に賛意を表するものであります。(拍手)
  46. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は改正であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  47. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数、よつて本案は委員長報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  48. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第五、労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長倉石忠雄君。     〔倉石忠雄君登壇
  49. 倉石忠雄

    ○倉石忠雄君 ただいま議題となりました労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、四月八日内閣より提出されたのでありますが、その提案理由は、今般国脱徴收法の一部が改正されまして、国税滯納の場合の延滯金の率が引下げられることになりましたので、それに対応いたしまして、労働者災害補補保險料並びに失業保險料滯納の場合における延滯金の率を、従来の日歩二十銭から日歩八銭に引下げようとするものであります。なお。従来滯納保險料の一部を滯納した場合の延滯金の徴收に関しましては、便宜的にその残額に対して延滯金を徴收して参つたのでありますが、今回この点を明確にするために新たな規定を設けようとするものであります。  本委員会においては、慎重審議の結果、自由党はこれに賛成し、社会党及び共産党はそれぞれ反対せられたのであります。よつて採決の結果、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  50. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  51. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第六 海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提出
  52. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第六、海上運送法等の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員坪内八郎君。     〔坪内八郎君登壇
  53. 坪内八郎

    ○坪内八郎君 ただいま議題となりました海上運送法等の一部を改正すも法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、去る四月十七日、本委員会に付託され、翌十八日、政府より提案理由の説明を聽取し、これを慎重に審査いたしたのであります。  本法案の趣旨を簡單に申し上げますと、船舶の自主的運航体制に即応いたしまして日本船の対外定期航路事業並びに外国海運業者の船舶運航事業に対し適当な措置を講ずるとともに、現下の船腹事情にかんがみまして、これが需給に適当な調整をはかろうとするものであります。  その内容のおもなる点をあげますと、まず第一点といたしましては、対外定期航路事業について免許制を届出制に改めたことであります。次に第二点といたしましては、外国産運業者に対して、運送に関する協定等の規定以外は本法を適用しないことといたしたのであります。第三点といたしましては、外国船の購入あるいは甘日本の外国への売却について許可制といたしたのであります。第四点といたしましては、外国船の裸傭船を一箇月間に限り許可を要することといたしらのであります。  次に本法案に対する質疑のおもなるものを申し上げますと、機関傭船に対して許可制をとる必要はないかとの質問に対しまして、政府委員より、期間傭船は一時的な契約であるので許可制にする必要はないと思われると答弁がありました。また対外定期航路事情を届出制に改めたのはいかなる理由であるかとの質問に対しまして、政府委員より、外国海運事業者との関係上なるべく手数を省くのが適当と思われるので届出制に改めた旨の答弁がありました。その他詳細は会議録に讓ることといたします。  次に討論に入り、日本共産党を代表いたしまして上村進君より、また労働者農民党を代表いたしまして石野久男君よりそれぞれ本法案に反対の意見を述べられました。  かくて討論を打切りまして、ただちに採決の結果、起立多数をもつて本法案を政府原案通り可決いたした次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手)
  54. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  55. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  56. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第七、図書館運営委員長国立国会図書館法第十一條第二項による審査の結果報告を求めます。図書館運理委員長東井三代履次君。     〔東井三代次君登壇
  57. 東井三代次

    ○東井三代次君 国立国会図書館法第十一條規定により、前回御報告いたしましてから今日までの図書館運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本委員会は、昨年十二月十五日、十七日、十九日の三日間にわたり昭和二十五年度国立国会図書館予算の審査を終え、これに勧告を付して議長のもとに送付し、次いで去る四月十三日、図書館運営の経過報告を聽取し、さらに国立国会図書館定員規定の一部改正に関する規定案を審査し、これに承諾を與えたのであります。  新年度予算につきましては、すでに国会の議決を経て現在実施されているのでありますが、念のため申し上げますと、昭和二十五年度国立国会図書館予算は総額一億四千四十七万七千円、前年度に比べまして約三千五百万円増となつておりますが、この程度の予算では、特に取立てて御報告するに足りるような新しい事業の計画はなし得ないのでありまして、委員会といたしましては、この予算の程度では、国立国会図書館がその本来の使命を達成するには、はなはだ不十分であると認め、すみやかに大幅な予算増額の措置を講ぜられたき旨、議長を通じて強く要望したのであります。  最近、アメリカ連邦議会図書館ニヴアンス氏等より図書館運営委員会長あての書簡がよせられ、それによりますれば、わが国立国会図書館は創設以来日なお浅きにもかかわりませず、その発達のまことに見るべきものあり、これは、ただに図書館の名誉であるにとどまらず、国会自身の名誉でもあるとの賞賛の辞が與えられておるのであります。しかしながら、顧みますれば、わが国立国会図書館はいまだなお創業の初期にありまして、アメリカ連邦議会図書館のごとく、立法府に直結して、その議会図書館たるの機能を十二分に発揮するの域にはいまだ到達しておらないのでありまして、その域に達するまでには、なおほど遠いものあるを痛感する次第であります。なかんずく、その設備の点においては非常な懸隔があるのであります。  御承知のごとく、国会図書館本館は現在旧赤阪離宮を使用しておるのでありますが、これは書庫等の図書館業務本来の設備の点から申しましても、国会図書館として決して理想的なものではないのでありまして、このために、なるべく早くこの国会に近接した場所に国会図書館としてふさわしい建物を建設することが当初よりの懸案となつているのであります。しかして、その建設用地といたしましては、本国会建物に隣接しております三宅坂の元ドイツ大使館跡をすでに一応入手しておるのでありますが、何分にも、先般来訪のアメリカ使節団の示唆いたしましたごとき廷べ五万坪に及ぶ建物というようなものは、最小限度に見積りましても、これが建築には約五十億円を要するのでありまして、現下のわが国経済の実情から申しまして、その実現には相当の困難が予想されるのであります。このゆえに、二十五年度予算におきましては、国会図書館としましては当初せめて書庫だけでもと考えて、その建設費として別途一億五千万円を要望していたのでありますが、遂にその実現を見なかつた次第であります。  委員会におきましては、こうした点につきまして種々論議が行われ、右のごとく目下の実情において本建築が不可能でありまするならば、さしあたりその予定に暫定的に書庫その他の建物を至急建設することが望ましいとの意見が強く述べられたのであります。いずれにいたましても、この図書館建築の問題につきましては、議員各位の探き御理解と、熱意ある積極的な御支援とがなければ、とうてい解決し得ない問題であると存ずるのであります。この際、図書館運営委員長といたしまして、この点、議長諸君によろしくお願いいたしておく次第であります。  次に、国会図書館のその後の運営の経過を、ごく簡單に御紹介申し上げます。  まず第一に、国会に対する奉仕の点におきましては、依頼に応じた立法考査の調査件数は百九十一件、また調査資料は十八冊つくられておるのであります。またこれらの仕事に関連いたしまして、法律図書館というようなものの準備が進められ、今年度予算によつて具体的こ実現される運びとなつておるのであります。  次に行政各部分に対するサービス、すなわち各支部図書館における仕事といたしましては、これら相互の連絡統合によりその一層の活用をはかるため、各支部図書館蔵書の総合目録の作成が始められたのでありますて、現在までにすでに約六万枚余が完成しているのであります。  次に書物の入手状況につきましては、国内における各種の出版物は、納入制度と購入との二づり方法によりまして逐次順調な増加を見ておるのでありまするが、他方外国図書につきましては、代金支拂い方法等の点において、入手は相当困難の模様であります。しかしながら、幸いにケア物資及びロツクフエラー財団よりの寄贈書が相当量あり、これらをもつて一応国会図書館の外国文献の基本としているのであります。  最後に、国際的業務につきましては、最近特にユネスコ関係仕事が生れ、現在のところでは、まだユネスコを通じての図書文献の交換、ユネスコよりの資料の陳列の程度でありますが、最近に至りまして、ユネスコを中心として図書に関する国際的研究の企てがあり、わが国に対しても、これに関しての説明がありまして、逐次その具体化が急がれている次第であります。  以上をもちまして私の報告を終ります。(拍手)      ————◇—————
  58. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第八、昭和二十五年度における災害復旧專業費告庫負担の特例に関する法律案日程第九、昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。     〔前尾繁三郎君登壇
  59. 前尾繁三郎

    ○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました昭和二十五年度における災害復旧專業費国庫負担の特例に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。  この法案は、災害が地方公共団体の財政に過重な負担を與えることを防止する目的をもつて、さしあたり昭和二十五年度に限り地方公共団体が施行する災害復旧事情の費用を全額国庫負担とすることができるものとする等の措置を講ずるために提出されたものであります。  本案の要点は、この法案の適用を受ける災害及び災害復旧事業の意議を明確に定め、第二に地方公共団体が施行する災害復旧事業についてその費用を全額国庫が負担することができる場合並びに国が施行する災害復旧事業で地方公共団体がその費用の全部または一部を負担するものについて、その負担金の全部または一部を免除する場合を規定し、第三に、災害復旧事業のうち、その費用の全額国庫負担または全部または一部免除の特例を適用されない場合として、経済的効果の小さいもの等八項目を掲げております。  以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、この法案は、三月二十五日、本委員会に付託されまして、二十八日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、三十日、三十一日建設委員会との連合審査会、三十一日建設委員会及び地方行政委員会との連合審査会、翌月十日災害地対策特別委員会との連合審査会を開き、復旧事業費国庫負担範囲等について各委員より熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がおりましたが、質疑応答の詳細につきましては速記録に讓りたいと存じます。  次いで四月二十一日、三宅則義君より各派共同提案になる修正案が提出いたされました。修正案を朗読いたします。  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法法律に対する修正案  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律の一部を次のように修正する。  第二條中、「原形に復旧するものとした場合に要する金額に相当する金額」の下に「にその超える金額の三分の二に相当する金額を加えた金額一を加える。   附則を次のように改める。   この法律は、公布の日から施行し  昭和二十五年四月一日から適用する。  次いで、原案及び修正案を一括議題として討論に入りましたところ、自由党を代表して三宅則義君は、機関措置である旨を述べて賛成の意を表せられ、共産党を代表して竹村奈良一君は、次期国会で国庫負担に関する補正予算を組まれること、法の適用を有効に行われることを希望條件として賛成の意を表せられました。  次いで採決いたしましたところ、足立総員をもつて本案は修正案のごとく修正議決いたしました。  次に議題となりました昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。  去る四月一日より施行せられました所得税法の改正法律におきましては、申告所得税は原則として六月一日現在の現況により、六月中に六月予定申告書提出し、同月中に第一期の納税をすることとなつているのでありますが、昭和二十四年の所得税の申告及び納付の状況にかんがみ、その課税上の適正な処理をはかる必要と、さらにまた今回の改正が画期的な改正であり、改正所得税法の趣旨の一層の周知徹底をはかる必要とを考慮し、昭和二十五年に限り所得税の六月予定申告書提出期及びそれによる第一期納期を一箇月間繰延べる特例を設けんとするのが、この法律案の趣旨であります。この趣旨に基き、この法律案は、所得税の六月予定申告書は本年七月一日の現況によりこれを記載し、七月一日より三十一日までに提出すること、また所得税の第一期納期も七月一日より三十一日までとすること、その他必要な諸規定を定することを内容とするものであります。  この法律案の審議にあたりまして、大蔵委員会は、四月二十日、まず政府委員より提案理由の説明を聽取し、次いで二十一日、政府委員に対し質疑を行いましたが、その質疑の内容に関しましては速記録に讓りたいと思います。  次いで質疑を打切り、討論を省略して採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案通り可決いたしました。  右御報告申し上げます。
  60. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) まず日程第八につき採決いたします。本案の委員長の報告修正であります。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り決しました。  次に日程第九につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告通り決するに、賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  62. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長の報告どおりに可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  63. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第十、競馬法一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事藥師神岩太郎君。     〔藥師神岩太郎君登壇
  64. 薬師神岩太郎

    ○薬師神岩太郎君 ただいま議題と相なりました、江崎真澄君外十五名提出競馬法の一部を改正する法律案につきまして、審議の状況並びに結果の大要を報告いたします。  現行競馬法によりますと、東京ほか十箇所の国営競馬場が規定されているのでありますが、そのうち新潟、横浜及び宮崎の三箇所は、設備の荒廃、出場馬の不足または交通事情等の理由によりまして現在休止いたしておりますので、実際に開催されておりますのは札幌、函館、福島、中山、東京、京都、阪神及び小倉の八箇所であります。しかし、一面には分布配置の点に不自然があるわけでありまして、東京から京都に至ります中間地点に国営競馬場がありませんので、競馬関係者にとりましては非常な不便があるのみならず、経費もそれだけ重くなるということになるのであります。そこで、地元民の熱烈なる要望にこたえ、今般新たに中京地区に中山、東京にも匹敵する規模的な国営競馬場をを設置いたし、関係者の便益をはかりますとともに、その経済法的負担を軽減し、かつ勝馬投票券の売得金の増大による政府收入の増加をもはかり、あわせて健全娯楽の振興に資したいというのが、本法案の提案理由であります。  なお本案は、さきに第五国会提出されたものでありますが、中京のいずれの地点に設置いたしますか、地元側の意向も決定いたかねたので、本案件はこれを一旦継続審議にいたし、その間農林委員会におきましても実地調査を行つてつたのでありますけれども、結局審議未了となつて今日に至つたのであります。しかるに、最近地元側の意向もようやく確定いたし、第一候補として一宮市、第二候補として春日井市、第三候補を大府、鳴海、守山とし、それぞれ、一定期日までの実現に邁進することに関係者関の話合いも妥結し、農林省側もこれを了承することとなりましたので、今般あらためて、前回とまつたく同一趣旨の法案を多数議員の賛成を得まして提出されたのであります。  本法案は、二十日付託と相なり、昨二十一日、提案者を代表して江崎真澄君より提案理由の説明が行われ、これに対して、自由党野原、藥師神両委員、社会党井上委員、共産党高田委員、農民共同党小平委員の各委員と、提案者並びに政府委長との間に、競馬場候補地における土地買收、貸金調達の見込み、施設の規模等に関し質疑があつたのであします。詳細は速記録に讓りたいと思います。  次いで、討論の通告がありませんのでこれを省略いたし、採決に付しましたるところ、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上、簡單でありますが御報告いたします。(拍手)、
  65. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  66. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長の報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  67. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出民事訴訟法の一部を改正する法律案及び土地台帳法等の一部を改正する法律案の議案を一括議案となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  68. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山本提出動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  69. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて日程は追加せられました。  民事訴訟法の一部を改正する、法律案土地台帳法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員会理事押谷富三君。     〔押谷富三君登壇
  70. 押谷富三

    ○押谷富三君 ただいま議題と相なりました民事訴訟法の一部を改正する法律案並びに土地台帳法等の一部を改正する法律案につき、法務委員会における審査の経過並びに結果の御報告を申し上げます。  まず最初に民事訴訟法の一部を改正する法立案について御説明を申し上げます。  御承知のように、最高裁判所は旧大審院と異なり、最終的違憲審査権を有し、かつ規則制定権、司法行政権をも有するに至つたのでありますが、その裁判官の数は、事務の重要性と事務量の増大に反比例いたしまして、旧大審院時代の裁判官の三分の一にすぎない十五人に限定されているのであります。従つて最高裁判所の裁判権の範囲の調整問題は、新憲法と同時に施行せられました裁判所法定当時から議論せられたのでありますが、その後昨年一月一日から施行せられました新刑事訴訟法におきまして、刑事事件に関する最高裁判所への上告範囲を憲法違反、判例抵触及び法令の解釈に関する重要事項に制限をいたしまして、裁判権の範囲につき調整が行われたのであります。しかるに、民事事件につきましては別段の措置が講ぜられておりませんので、刑事事件と同趣旨の措置を講じ、これによつて民事事件に関する最高裁判所の裁判権の調整をはかるため本案が提出されるに至つたのであります。  さて法務委員会におきましては、本件につき政府並びに最高裁判所との間に質疑応答を重ねたのであります。その詳細は速記録に讓りますが、要するに最高両裁判所にふさわしい新使命の達成と国民の権利保護の保障との調整いかんが最も議論の対象となつたのであります。その結果、国民の権利保護に万全を期しがたい現象の生じ得ることも想定されまして、なお十分の研究を要すべき問題であることが判明いたしましたので、自由党から次のような修正案が提出されたのであります。  その内容は、要するに民事訴訟法の暫定的臨時特例たる性格を明らかにするために、法案の名称を「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」と改めまして、昭和二十五年六月一日から二箇年間だけ効力を有することとし、従つて民事訴訟法の一部改正でないという立場から、政府原案にありましたところの第四百九條の二及び第四百十九條の二第一項中の改正部分もこれを削除することにいたしたのであります。かくて、本日討論採決の結果、多数をもつて以上のような修正通り議決された次第であします。  次に土地台帳法の一部を改正する法律案につきまして簡單に御報告申し上げます。  今回、税制改革の一環といたしまして地方税法の改正が行われようとしておりますが、これによりますと、地租及び家屋税は市町村がこれを徴收することとなります。その結果、土地、家屋の賃貸価格の登録をする必要がなくなり、従つて税務署において台帳事務をつかさどる理由も消滅することとなりますので、土地台帳及び家屋台帳の事務は、これと最も関係の深い不動産登記の事務をつかさどる登記所に移管し、あわせて台帳事務と登記事務との間に、ある程度の手続上の簡素化をはかろうとするのが、本案の提出理由及びその内容の要旨であります。  さて法務委員会におきましては、自由党から施行期日に関し修正案が提出せられ、審議の結果、土地台帳法、家屋台帳法及び不動産登記法に対する今回の一部改正は地方税の改正に伴う適切な措置と認め、本日多数をもつて修正議決された次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手)
  71. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。加藤充君。     〔加藤充君登壇
  72. 加藤充

    ○加藤充君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程になつておりまする二法案に対して反対の意見を申し述べるものであります。  まず最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律案に反対の理由を延べまするが、大体人権の保障、私権の保護ということは民主主義の大眼目であります。しかるに、手が足りない、裁判所の事務澁滯がしておるというようなことではこの大眼目を毀損する、この立法の理由にはならないのであります。この澁滯、この手不足自体が人権の蹂躙であるのでありますから、積極的な解決の手を進んで構ずべきものなのであります。これをなさずして、この法律は、たとえてみれば角をためて牛を殺すという陰險きわまるやり方であります。この一角を切りとることによりまして、現行裁判制度による人権の保障、すなわち民主主義と言つてもよろしいのでありますが、それを殺害してしまうものなのであります。  上告理由で、左の各号に該当するもののほか、法令の解釈に関する重要な主張を含むと認めるものについて調査すれば足りるという、この上告裁判所、最高裁判所の規定の仕方は、従来上告の理由になり、上告裁判の問題になつておりました法令違反のうち重要な主張を含むもの、こういうふうに認められたものに限るというこの限定は、事実上上告ないし上告裁判の廃止を意味するものでありまして、こういう点が、わが党の反対する第一段の理由であります。  特例法は、期限を施行の日からニ箇年としておりますが、なぜこれを二箇年ときめたのか、この期限の定め方自体が何ら相当な理由に上るものではなく、まつたくいいかげんなものであるということも指摘しなければならない。二箇年だけだということで気休めしたり、あるいはこれにごまかされたりしては絶対にならないのでありまして、すなわち、かりに二箇年の間にいわゆる整理ができたとすれば、この二箇年間に、この特例法によつて人権がそれだけ侵害されたものがあるということをそれ自体物語るものであることをわれわれは忘れられない。またこの二箇年間に整理ができなければ、従来のあの陰險なやり方通り、再々延長される危險が絶対にないと、どこに保証されておるか。ずるずる延ばしにこの特例が永久化されるおそれが強いのであります。  民訴法の全般的改正がこの二箇年間に立案されるということが、もしあるとするならば、この特例法の存在自体、この特例法を通過せしめるということ自体に、すなわち来るべきところの裁判制度の改惡の大きな理由になり、その改惡案の中にこの特例の内容がそのまま盛り込まれるおそれが十分にあるのであります。この意味からしましても、この特例法の通過を、存在をわれわれは許すことができない。戰争中に、民刑訴訟手続の簡素化という名目のもとに人権が蹂躙され、三審制が禁止されたこの経験を、われ我はいまだに忘れることができないし、また忘れてはならないのである。この点から、最高裁判所への上告の制限は、あの戰時中にならつて、司法のフアツシヨへの道を開いたものであると指摘せざるを得ないのであります。フアシズムは、その芽ばえのうち、大きな枝を張り根を張る前に、その芽ばえのうちに、良識あるすべての人々がこれをつみ切つてしまわなければ、それは必ず民主主義の上に、人権の保障の上に大きな黒いてとなつて現われて参りまして、必ず民主主義を圧殺するものだということを、われわれは忘れてはならないのであります。  最高裁判所への上告の制限は、当初の最高裁判所のあり方を巧みに変更し、進んではこれを枢密院化するものであります。最高裁判所の判事の任免や、過去に行われたあの信任投票のインチキきわまるその経験から見て、昔憲法の番人と称したあの枢密院が、いかに反動的な、保守的なものであつたか。しかも、この法律を許すことによつて、やがてそれはこの枢密院の再現化を企図したものだと、われわれは指摘せざるを得ないのであります。  皆さん、先ほど問題になりましたように、日本弁護士会も、上告の制限をするこの法案に対しては、こぞつて反対の意を表明しておるものであるということも、われわれの反対の理由に加えなければならない。しかも、最後にこのような法案の審議が、きようのこの議場のように定員数をはるかに欠くことおびただしい、その実において不成立の委員会において、委員長の報告のように起立者多数というような形式的なやり方によつてこの法案が上げられたということも、この法案がフアシズムへの道を切り開いたものであることを指摘する。わが党といたしましては、この委員会のでたらめな運営自体も、そしてこの委員会によつてこの法案が上げられたということも指摘しておく必要があると確信いたします。  次に土地台帳法等の一部を改正する法律案に対して反対の理由を述べます。  これは御承知のように、極最近起きました地方税問題のあの醜態、人民大收奪のあの惡税法、いわゆる改革の一部分として、その制度としてこれがなされたものであろるということを、われわれはまず反対の理由にあげなければならない。  その次に、いろいろあるけれども、私は一つだけ指摘して反対討論を終りまするが、大地主、山林、田畑その他の大土地所有者のいわゆる税法上の隠し田を合法化し、隠し田を温存する、こういうようなことにこの法律が利用され、それがしかも合法化される意図が、この中に含まれていうことをわれわれ指摘いたしまして、以上上程されました二法案に絶対反対の意を表明するものであります。
  73. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長の報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  74. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り決しました。     —————————————
  75. 山本猛夫

    山本猛夫君 自由討議は延期し、本日はこれにて解散されんことを望みます。
  76. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十五分散会