○鈴木明良君 ただいま
議題となりました
恩給法等の一部を改正する
法律案、通商
産業所設置法等の一部を改正する
法律案及び
経済安定本部設置法の一部を改正する
法律案について、内閣
委員会の
審査の経過並びに結果を御
報告申し上げます。
まず
恩給法等の一部を改正する
法律案について申し上げます。
本案において形勢を加えんといたしまする事項は次の諸点に盡きるのであります。
第一点は、
現行給與法令が適用される前の俸給を基礎として計算されている恩給年額の改訂に関するものであります。現在支給されております恩給は、その年額計算の基礎とな
つております俸給の点から見ますると、次の三つにこれを大別することかできるのであります。すなわちその一は、
昭和二十三年六月三十日依然に
給與事由の生じた恩給でありまして、
昭和二十三年七月
法律第百九十号恩給法臨時特例別表第三号表に掲げられている仮定俸給年額を基礎として計算された年額に改訂されておるものであり、その二は、
昭和二十三年七月一日以後に
給與事由の生じた恩給でありまして、
現行給與法令が適用される前の俸給を基礎として計算されておる年額のものであり、その三は、
現行給與法令による俸給を基礎として計算されておる年額の恩給であります。この三つに大別された恩給は、俸給の支給
水準のかわつたことによりまして、現に支給されている恩給の支給
水準に、退職の時期により、異ができているのが実情であります。しかして、この低い
水準に属する恩給、すなわち前に述べました一及び二に属する恩給につきまして、その年額計算の基礎とな
つている俸給に対応する
現行給與法令に基く俸給を推定し、その推定された俸給に相当する額を基礎として計算しました場合の恩給年額にこれを改訂いたしまして、
昭和二十五年一月分から支給いたそうとするのであります。この
法律案の附則第二項から第四項まで及び別表がこれに関する規定であります。
第二点は、増加恩給または傷病年金の家族加給及び扶助料の扶養遺族加給の増額に関するものであります。
現行恩給法臨時特例によりますると、増加恩給または傷病年金の家族加給及び扶助料の扶養遺族加給の金額は、扶養家族または扶養遺族一人に対して年額二千四百円にな
つておるのでありますが、先ごろ公務員の
在職給與たる扶養親族手当が月額されましたのに伴い、これらの加給の金額につきまして、右の年額二千四百円を四千八百円に増額することとし、現に支給されているこれらの加給につきましては、
昭和二十五年一月分からこれを支給いたそうとするのであります。
第三点は、いわゆる多額所得者の普通恩給の一部停止に関する規定の改正であります。
現行恩給法臨時特例によりますと、普通恩給年額一万五千円以上で、恩給外の所得年額十五万円を越えるものにつきましては、普通恩給年額と恩給外の所得年額の合算額に応じ、普通恩給の一部を停止することにな
つておるのでありますが、この
法律案によりまして
現行給與法令適用前の俸給を基礎として計算されている普通恩給の年額が改訂されることになりますることと、最近の経済状況の推移にかんがみまして、これを改めて普通恩給年額三万円以上で、恩給外の所得年額二十万円を越えるものにつきまして、
現行法のような割合で普通恩給の一部の停止を行うことといたそうとするのであります。
第四点は、官吏
制度の改正に伴い新たに恩給法上の公務員と
なつた者に対する恩給法上の措置に関するものであります。会場保安庁の職員の中で、海上警備の第一線に勤務する海上保安士たる海上保安官は、その職務の態様からいたしまして恩給法上警部保、巡査部長及び巡査たる警察官と同じような取扱いをすべきものと考えられますので、海上保安士たる海上保安官をこれらの警察官と同じように取扱い、恩給法上警察監獄職員として指定いたそうとするのであります。また特定郵便局長は、従来、恩給法上準文官たる準公務員として取扱われておつたのでありますが、先般特定郵便局
制度が改正されまして、恩給法上文官たる公務員となりましたので、
現行恩給法における準公務員たる準
教育職員が引き続き公務員たる
教育職員になりました場合の取扱いにならいまして、準公務員たる特定郵便局長から引続き公務員たる特定郵便局長に
なつた者につきましては、その準公務員としての
在職年の二分の一を公務員としての
在職年に通算することといたそうとするのであります。
第五点は、恩給法上の特殊公務及び
在職年の加算に関する規定の改正であります。恩給法上の公務員が職務をも
つて海難、火災その他の災害による危險を救助または防止するにあたりまして、その危險を予断し得るにかかわらず、あえてこれを冒してその職務を執行したしましたため受けました傷痍疾病、及び職務をも
つて機雷の掃海作業に従事中に受けました機雷による傷痍疾病を特殊公務による傷痍疾病として取扱い、また海上保安庁の排水量百五十トン以下の木造巡視船や、排水量二百五十トン以下の木造掃海船の乗組員の勤務につきましても、その不健康な勤務の実情にかんがみ、これを不健康業務の加算のつく業務として指定し、また静岡県加茂郡神子九島及び福岡県糸島郡烏帽子島につきまして、その辺趣にして不健康な環境にかんがみ、これを辺鄙または不健康の地域の加算のつく地域として指定いたそうとするのであります。
第六点は、地方自治、警察、消防、
教育等の諸
制度の改訂に伴いまして、それぞれ地方公務員に対する恩給法の準用規定がありますか、これらの規定の
内容を整備しようとするのであります。
第七点は、図書館法の
制定並びに
建設省建築出張所及び教護院の職員の都道府県移管に伴う恩給法上の善後措置
関する規定を設けようとするのであります。以上のほか、法令の改正に伴う字句の修正その他
制度の改正に伴い不要となりました條項の整理等をいたそうとするのてあります。
本案は、四月五日、本
委員会に付託され、ただちに
政府の
提案理由の説明を聽取し、爾来愼重に
審査を続けて参つたのでありますが、四月十七日、質疑を終了した後、
討論採決の結果、全会一致をも
つて原案の
通り可決いたしました。
次に
通商産業省設置法等の一部を改正する
法律案について申し上げます。
本案は、行政機構の簡素化をはかるとともに、通商
産業行政を経済情勢の推移に即応して重点的に
施策実施すべく
通商産業省の組織を整備するため、
通商産業省、工業
技術庁及び中小企業庁の各設置法の一部をそれぞれ改正せんとするものであります。
内容のおもなるものについて申し上げますならば、まず
通商産業省設置法においては、第一に、通商
産業行政の重点を物資行政から企業行政、なかんずく企業合理化行政の
推進に指向することを明らかにするため、
通商産業省の任務のうちにその行を特に規定するとともに、同省の権限中に
外国為替及び
外国貿易管理法の実施に伴う改正を行
つております。第二は、
通商産業省の内部機構の改組であります。すなわち、同省の内部部局は大臣官房のほか八局でありますが、
米国対日援助物資の特殊性にかんがみ、同物資の輸入等に関する業務の円滑なる遂行をはかるため、従来通商
振興局で所掌しております同物資の監督業務と
貿易公団の取扱業務を統合して新たに臨時通商業務局を設けるとともに、援助物資の経理を特別会計として、これを同局に專管せしめることとしております。また局の次長は通商及び通商繊維の二局に一人ずつ置かれてありますが、通商繊維局の次長制を廃し、通商企業局と新設の臨時通
産業務局に各一人を置くこととするとともに、大臣官房調査統計部の所掌事務について整備しております。なお通商企業局の調達賠償部及び地方支分部局たる通商
産業局の付属
機関として置かれてあります地方電気審議会を廃止するとともに、石炭需給統制の緩和に伴い資源庁の石炭管理局及び石炭生産局を炭政局に統合し、施設部を置くこととしております。
次に工業
技術庁設置法においては、人事院規則の実施並びに財政法及び会計法の改正に伴い、多数の職員を有する同庁における人事、会計等の庶務
関係事務が一段と増加することとなりましたため、同庁に新たに長官官房を設けることとしております。
次に中小企業庁設置法においては、中小企業行政の強力化をはかるため、中小企業の育成及び
発展をはかるべき
基本方策の設定、商工組合中央金庫に対する監督等につきその権限を明確にするとともに、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する
法律または
事業者団体法の適用について、公正取引
委員会との
関係を整備しております。
本案は、以上の諸点のほか、他の法令の
制定、改正等に伴う所要の改正を行うとともに、附則において、通商
産業局の分室廃止の際同局の職員であつた者でこの
法律施行の際都道府県の商工資材事務所に勤務する官吏たる者が引続き都道府県の吏員となる者に対して恩給を継続せしめること、並びに
通商産業省の機構変更に伴い
国家行政組織法の別表の一部を改正することを規定し、本年四月一日からこれを施行しようとするものであります。
本案は、三月二十九日、本
委員会に付託され、ただちに
政府の説明を聞き、通商
産業委員会とも連合
審査会を開いて質疑を行つたのでありますが、
本案に対し修正案が
提出されました。
その
内容のおもなる点は、
通商産業省設置法に関しては、輸出信用保險法及び輸出信用保險特別会計法の施行に伴いその経理事務を通商
振興局経理部に所掌せしめるとともに、通商
産業局においても、輸出信用保險の事務を取扱わしめることといたし、また今後
貿易公団の全面的縮小が予想されますので、
政府輸入業務を臨時通商業務局に所掌せしめることといたしております。
次に工業
技術庁設置法に関しましては、工業
技術協議会の任命権者を
国家公務員法に
従つて工業
技術庁長官とすることといたしております。
附則に関しては、本法の施行期日を公布の日と改め、都道府県の商工資材事務所の廃止に伴い都道府県吏員となる者に対する恩給継続の規定は本年四月一日にさかのぼ
つて適用することとし、商工資材事務所の物品を都道府県に無償で譲渡する規定を加える等であります。
かくして質疑を重ね、愼重
審査の後、四月十七日、計画採決の結果、多数をも
つて修正案の
通り修正議決いたしました。
次に経済決定本部設置法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
本案は、経済
事情の推移に即応して経済安定本部の組織機構を整備、簡素化せんとするものであります。
おもなる改正の第一は、経済調査庁法の一部改正と相まち、同本部の任務について一部改正を行わんとするものであります。すなわち、従来は経済統制を確保することを任務の
一つといたしておりましたのを、広く経済法令の励行を確保することに改めようとするものであります。
第二は同本部の内部機構の改組でありまして、現在の一官房、六局から一局を減じようとするものであります。すなわち、生産及び動力の二局を統合して
産業局を設けるとともに、生活物資局を民生局と改称しようとするものであります、また
貿易局の所掌事務に関しましては、
外国為替及び
外国貿易管理法の
制定に伴い閣僚審議会の事務を行わせることといたしております。なお局に置かれる次長は、従来生産局に二人、動力局に一人、生活物資局に二人でありましたが、今回
産業局に二人、民生局に一人を置くことに改め、すなわち次長二人を減ずることにな
つております。
第三は、従来同本部に事実上設置されておりまする企業会計基準審議会、
国民所得調査連絡協議会、河川総合開発調査協議会及び土地調査準備会を、今回附属
機関として
法律に明記することであります。
第四は、地方
機関の簡素化であります。従来、同本部、物価庁及び経済調査庁のおのおのの地方
機関として、地方経済安定局、地方物価局及び管区経済調査庁が置かれ、いわゆる三本建にな
つておりますが、これらを一本の組織に整理統合し、同本部、物価庁及び経済調査庁の共通の地方支分部局として、管区経済局を全国八箇所に置くこととし、その内部部局は調整、物価、監査及び査察の四部とし、これに関する細則は、経済安定本部令で定めることといたしております。なお経済調査庁法の改正により、地方経済調査庁が地方経済調査局と改称されますので、これを管区経済局の下部
機関として、都府県の区域ことに
一つ、北海道に四つ以内を置くこととし、これに関する細則は、経済調査庁法に規定するものを除くほか、経済安定本部令で定めることといたしております。
本案は、以上の諸点のほか、他の
法律の改正に伴う所要の改正を行うとともに、附則において、経済安定本部の存続期間に関する規定を廃止するほか、価格改定による価格差益徴収事務を大蔵省に移管することとして
関係法令に改正を加え、本年六月一日からこれを施行し、経済調査庁の所掌事務
関係及び審議会の整備等に関する一部改正規定は公布の日から施行しようとするものであります。
本案は、四月十日、本
委員会に付託され、ただちに
政府の説明を開き、質疑を行つた後、四月十七日、
討論採決の結果、多数をも
つて原案の
通り可決いたしました。
以上御
報告申し上げます。(
拍手)