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1950-04-11 第7回国会 衆議院 本会議 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十一日(火曜日)  議事日程 第三十四号     午後一時開議  第一 配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する決律案内閣提出)  第二 旧軍港転換法案参議院提出)     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  公職選挙法案(本院提出参議院回付)  公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案(本院提出参議院回付)  日程第一 配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案内閣提出)  日程第二 旧軍港転換法案参議院提出)  議員丹羽彪吉君の逝去につき院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞議長に一任するの件(議長発議)     午後二時五十一分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これよれ会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 本院提出公職選挙法案参議院回付案及び公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等の関する法律案参議院回付案をこの際議事日程に追加して一活議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  公職選挙法案参議院回付案及び公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案参議院回付案を一括して議題といたします     ―――――――――――――
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 採決いたします。両案の参議院修正に同意の諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて参議院修正に同意するに決しました。      ――――◇―――――
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法立案議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。     〔前尾繁三郎登壇
  8. 前尾繁三郎

    前尾繁三郎君 ただいま議題となりました配炭公団損失補てんのための交付金等に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。  この法案は、配炭公団食料品配給公団及び飼料配給公団損失金補填財源に、まず公団国庫に納付すべき剰余金を充て、それでもなお損失金が残りまする配炭公団に対しましては、一般会計からの交付金をもつてその損失金補填財源に充てることとするために提出されたものであります。すなわち配炭公団につきましては、昭和二十四年九月十五日に解散し、清算に入つておるのでありますが、その損失金は目下のところ百十九億四千五百万円と予想されるのでありまして、この損失金補填財源として、まず昭和二十三年度以降の国庫に納付すべき未拂い剰余金七十五億八千八百万円を充て、なお不足する四十三億五千七百万につきましては、同額を限り、昭和二十五年度において一般会計から同公団に交付いたそうとするものであります。次に食糧品配給公団飼料配給公団の二公団につきましては、昭和二十四年度末に解散して、昭和二十五年度中に清算結了の予定でありますが、その損失金は目下のところそれぞれ一億一千六百五十万七千円及び五千百九十八万一千円と予想されるのでありまして、これらの損失金補填財源として、昭和二十四年度以降の国庫に納付すべき剩余金をそれぞれ充当いたそうとするもりでありまして、この法案は以上の趣旨内容としておるものであります。  この法案は、三月二日、本委員会に付託されまして、四日政府委員より提案理由説明説明を聽取し、二十三日数日にわたり、各委員より、三公団損失発生原因経済調査庁公団について行つた調査の概要及び不正事実の内容等について、熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に讓りたいと存じます。  次いで四月七日討論に入りましたところ、竹村委員共産党を代表して、損失責任公団組織に滞し、不足穴埋め一般会計でやり、不正をさらに助長するようなやり方には反対である旨を述べられ、甲木委員会自由党を代表して、配炭公団損失事業の運営上やむを得ず生じたものであつて、この際これを補填しないと各方面に致命的な打撃を與えるもりである旨を述べて積切の意を表せられ、橋本委員民主党を代表して、公団経営放漫解散当時の不始末によつて生じた欠損を一般会計をもつて補填することは反対である旨を述べられ、川島委員社会党を代表して、政府の監督不行行届、公団符部の無責任穴埋めをするこことは納得できぬものがある旨を述べて反対の意を表せられました。  次いで四月八日、この法律施行日に関し次のような修正案が提出いたされました。修正案を朗読いたします。    配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案に関する修正案   配炭公団損失補てんのための交付金等に関する法律の一部を次のように修正する。   附則を次のように改める。      附則   この法律は、公布の日から施行昭和二十五年四月一日から適用する。 以上が修正案でありますが、この修正案が提出いたされましたのは、この法律施行日が四月一日となつておりまして、すでに経過しておるためであります。  次いで、本案並びに修正案一括議題として、討論を省略し採決いたしまししたところ、本案修正案のごとく修正議決いたしました。  以上御報告申し上げます。
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。勝間田清一君。     〔勝間田清一登壇
  10. 勝間田清一

    勝間田清一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案反対をいたしたいと存ずるのであります。  現在の政府がいわゆる自由主義経済を主張せられて、その政策の綱領とせられる点につきましては、もちろん私ども批判は持つておりますけれども、その考え方自身については了とするものがあるのであります。しかしながら、私どもがほんとうにお願いをいたしたい事柄が、統制から自由への政策をもし政府が実行せられるというのでありましたならば、私は、あくまでもその自由主義政策によりところの責任を現政府は感じていただきたいということであります。同時に、それをになう自由党諸君にいたされまましても、私はあくまでも責任伴つたところの果敢なる政策にしていただきたいと存ずるものであります。過般の配炭需給特別会計における赤字の問題に引続きまして、この際再び配炭公団赤字を百数十億ここに出しまして、そのうち四十三億円をいわゆる国民税金であるところの一般会計から支出せんとする態度に対しましては、遺憾ながら私ども賛成することができないのであります。  問題の中心はどこにあるかと申しまするならば、私は統制撤廃して自由にする過程の問題だと考えるのであります。すなわち、一歩われわれが退いて、当時の物価不足あるいは敗戰後における工場生産の破壊という状態の中において統制止むを得なかつた、しかして漸次生産が回復し、需給が調節さられて、そこに統制撤廃の時期が生れたといたしましても、いかにして統制撤廃するのかの時期と技術の問題はあくまでも自由党諸君責任を負うベきものであると考えるのであります。特に現在の石炭統制撤廃におきましても、従来その時期におきましては、あるい時期尚早であるのではないかという非難も多々起つてつたのであります。特に一面ににおいて、石炭生産が強く要望せられておつた当時に、自由党諸君はこれを早期に統廃せんといたしましたのでありまするが、その家庭において起つたところの問題は、中小炭鉱に対する重大な犠牲とそれからもう一つは、当時のいわゆる優良炭鉱の非常に一方的な利益とが保証せられたにすぎなかつたのであります。統制撤廃が行われるという報が伝わるやいなや、これらの炭鉱は売れないような石炭をどんどん配炭鉱団に売りつけて、配炭公団にうず高く山積んでおつたということは、これはまぎれもない事実であります。かかる事実と、さらにわれわれが心配いたしまする問題は、これらの事態に処するに対して、公団それ自身組織がきわめて非民主的である点であります。官僚に縛られておりましたために、時宜に適切なる政策をとることができない、こういう事態がこの赤字を一層増大せしめた原因伴なつていると考えるのであります。  われわれは、現在の公団組織が悪いものと考えるものでに断じてございません。現在の石炭状態においては、むしろこれを強化し、これを拡大せしむる必要さえ痛感するものであります。しかしながら、現在当時しておるこの全公団の危機に問題は、われわれはあくまで現政府責任であると考えるものであります。  さらにこの際私どもの一言いたしたい事柄は、この百数十億円赤字補填する場合において、何ゆえにその経理内容国民の前に明確にしないかということであります。われわれが聞くところによりますると、経済安定本部経済調査庁においても、公団一切の経理調査した結果、その内容のきわめて優うべき事態にして、この発表さえあえてできない状態のあるということであります。現在国民が知りたがつておることは、何ゆえ赤字が出ておるか、公団国家経済の上においていかに合理的に運営されているにかの問題を明確ならしめずして、いたずらに損失出し、いたずらに一般会計によつて負担せんとするのは、国民にその蒙をしいんとするもりであります。  さらに私ども最後に一言いたしたいと存じます。まだ今後七公団が存在するのでありまして、これらの公団経理をいかに合理化して行く、またいかにして赤字を未然に防ぐかということは、私は現政府の重大な責任であると考えるものであります。従つて今日、あるい薪炭特別余計といい、あるいは配炭公団赤字といい、すベての業續にかんがみて、七公団の今後の経理に対して重大なる警告を発して私の反対討論を終りたいと存ずるものであります。(拍手
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 甲木保君。     〔甲木保登壇
  12. 甲木保

    甲木保君 私はただいま上程されました配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案に対して、自由党を代表して賛成の意を表するものでございます。  野党諸君が指摘されるがごとく、この損失金に対して国民税金をもつて補填せんとすることは、われわれといたしましても必ずしも本意ではありませんが、もしこのまま放置せんか、さすれば復興途上にある産業並びに経済上大いに支障を来すおそれがあるのであります。  そもそも配炭公団は、昭和に二十二年三月、供給の過度の不足せる石炭及びコークスの需給調整機関として設立せられたのであります。終戰後、わが国終括構想の根幹は公正なる取引確保に置かれ、私的独占は嚴重に禁止せられておるのであります。従つて統制を必要とする場合は、政府みずから、またはその代行機関をして行わしめることとなつてり、公団なる特殊な企業形態が考案されたのであります。この配炭公団は、その設立の趣旨沿つて価格の公正及び安定化適正配炭確保等流通面においてその職責を果して来たのでありますが、ここに損失金百十九億四千五百万円の赤字出したことは、まこと遺憾にたえない次第であります。この百十九億四千五百万円の損失予想に対しては、二十三年度以降の国庫に納付すべき未拂い剩余金七十五億八千八百万円を充て、これを差引くと、二十五年度一般会計から交付すべき金頭は、四十三億五千七百万円と相なるりであります。この損失金内容調査してみますると、次の三点があげられるのでおります。  まず第一に、公団末期において異常貯炭をしなければならなかつたりで、新規に貯炭場をつくつたが、新地のため、地入り土砂混合等欠斤とせざるを得ぬものが相当あること、また著しい風化で商品価価を失い、あるいは自然発火のため売れなくなるものもできて、やむなく廃棄せざるを得なくなつたものや、その他特に炭質の低下のごときものがはなはだしいりであります。  第二に、最近の生産炭品質が向上しているのに対して、公団石炭は、長貯炭により品質が非常に低下いたしている。特に統期廃棄後は下級炭市場相場が大幅に低下している実情であるから、大部分が低品位炭である公団貯炭は、買入れ当時の価格より相当に値下げして売却して行かなければならないにもかかわらず、かくのごとき低品位炭を使うような中小企業が現在では活発でないから、なかなかさばけないのであります。  第三は、配炭公団政府の計画に基いて配給を行う單なる配給実施機関であつたため、民間社のごとく得意先の選択が自由にできなかつたこと、並びに指定産業資材割当規則で、割当公文書の提示があつた場合はその荷渡しの拒否ができなかつたため、自然売掛金は増加せざるを得なかつたのであります。また輸出不振、産業界金融難等から、やむなく事業の縮小あるいは廃止せるものが続出して来たため、これが回収不能を生ずるに至つたのであります。  野党諸君の指摘されるがごとく、損失失金の生じた原因公団運営方針の誤りまたは不正によるものとすれば、それは現吉田内閣のみたらず、片山、芦田両内閣時代政治的責任も追究されなければならないのであります。かりに本案が不成立となつた場合の影響を考慮いたしますならば、これら債務残額の大部分を占める、認証手形による融資銀行への支拂いはもとより、貿易公団への支拂い不能をもたらす。その結果ほ手形の振出入たる生産業者への請求ということに相なり、今日金融逼迫に困惑している石炭生産業者に対しては金繰り上致命的な打撃を與え、産業基礎資源たる石炭産業の破綻を導くのではないかと思うものであります。また貿易公団への未拂い貿易特別会計への繰入れ不能を生じ、ひいては見帰資金の活用にも自然支障を来すおそれがあるのではないかと考えられるのであります。  以上のような産業並びに財政政策支障を来す点を十分考慮いたしますると、この損失金融補填は事情やむを得ないものと存じ、われわれ自由党本案に対して賛成いたす次第であります。(拍手
  13. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 橋本金一君。     〔橋本金一登壇
  14. 橋本金一

    橋本金一君 ただいま議題となりました配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案につきましては、民主党を代表いたしまして反対をいたす次第でございます。  反対理由といたしましては、今回の損失百十九億余万円は、不可抗力によつて生じたものはほとんど何もないのでございます。第一は経営の無責任により、あるいはまた不当なる支出により、さらに廃止直前におきまして不正なる取引によつて生じたるものが大半をなしておるのでございます。その二、三の内容を明らかにいたしたいと存じます。  各種公団経営並びに余計経理につきましては、すでに昨年の春以来相当問題と相なつてつたのでぎざいますが、とわわけ配炭公団が昨年の九月十五日に廃止になるということが各方面に伝わりますと、八月上句より出荷がますます上昇をいたして参つたのでございます。さらに八月中句に参りますと、非常に出荷が増大いたして参りました。その間調査いたしますと、当時山元においては駐在員檢炭検量をいたしておつたのでありますが、八月半ば以後におきましては、これが検炭檢量をいたさずして日々多量の出荷を見るに至りました結果、遂に従来のり貯炭場不足をいたしまして、最後廃止当時におきましては二千有余箇所と相なつたのでございます。  一体、この二千有余箇所貯炭場に積まれました炭は約五百万トンと称しておりまするが、何がゆえ貯炭場が、あるいは輸送をなす者、あるいはまた生産者のかつての場所に選ばれたかというところに一つの問題があるのであります。ことさら二千有余箇所貯炭場が地理的に不便なところに選ばれた原因は、御次知の通り、輸送会社におこましても、荷役会社におきましも、あるいは山元駐在員に至りましても、すべて従来の業者関係によつて組織をせられておつたのであります。かような点において、輸送をいたす上において、荷役をする上において、奥出し料と称しまして、不便なところは地理的関係によつて特別運賃を支出しなければならない建前になつておりました関係上、ことさらかような方面貯炭をいたしたという事実があるのでございます。ここにおいて、五百万トン以上の滯貨は、遂に廃止後におきましていろいろと精算人によつて調査いたしますると、五百万トンのうち約十三万三千トンの欠斤をいたして来たのであります。十三万三千トンの欠斤は、金額に直して約三十一億、さらに無調査、あるいはまた最後至つてかようにう厖大に排出いたしました結果、まことに悪質炭が増大して参りまして、品位ほ低下し、これら悪質炭のために値下りをいたしました損害が約三十六億になんなんといたしておるのでございます。  さらにはなはだしきにおきましては、醜炭公団保險契約の濫用であるのであります。配炭公団保險契約をいたしておりまする代理店は、さきの職員にして理事、監事を辞めておりました者によつて千代田商事会社組織いたし、それに対して、配炭公団契約金支拂金は六億円を超過いたしておるのでございます。その間六億以上の保險金支拂いつつ、あるときにおいては茨城県において、あるときにおいては秋田県において、数箇月の間、石炭がえんえんとして自然発火をしておるにもかかわらず、何らこれを処置するところの手段を設けず、しかも六億以上の支拂金出しながら、これに対する補償金は、ちようど二年三箇月の間にわずか七千万円に過ぎないのでございます。かような不当支出、かような無責任によつて生じたものが、先ほど申しました百十九億のうち、未拂剰余金を差引きますと四十三億以上に相なるのであります。  私どもは、この四十三億をもつて、ただ單に反対をするというよりも、かろうな不始末が、すでにたくさんの公団廃止せんとする前に、しかも廃止せられたところの繋炭需給調簡特別会計のおいてすら五十四億七千万円となり、あるいは、肥料公団に、あるいは飼料公団にこれらを最近補填いたしましたる金が百一億三百余万円と相なつておるのであります。百一億三百万円と申しますると、御承知の二十五年度の勤労所得税であり源泉所得税でありまするものが九百八十億に達しておるりでありますが、勤労所得税より見ますと、この損害は約一割一分に相当たすのでございます。一方に過重の負担に苦しみ、しかもそれに対して賃金ペース改訂ですら困難なりとしてたな上げしてる最中に、これら一部の利得のために、一割一分に相当するものをさらに勤労者に課する結果になることに思いをいたしまするならば、私どもは、かかる案に対しましては、絶対反対せざるを得ないのであります。  以上をもつて反対理由といたします。(拍手
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 竹村奈良一君。     〔竹村奈良一君登壇
  16. 竹村奈良一

    ○竹村奈良一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本法案反対するものであります。  現在配炭公団は、百十九億四千五百万円の赤字がありまして、従つて、これらの各公団政府に納入せねばならないところの従来の剰余金をもつてこれが不足に充当し、なお不足分金四十三億五千七百万円に限つて政府一般会計から交付するというのでありますけれども、これが委員会説明によりますと、この赤字というものは、はつきりしたものではないのでありまして、ただ推定に基いて、なおこれが赤字だと言われておるりであります。つまり、今後どれだけ不足するか不明のまま、ただ推定によつてこの法案が提出されておるのでありまして、たとえば先般伝えられましたところの飼料公団における浮貸し等の不正による数千万円の損失もこの中に見込まれておりませずして、配炭公団における現在の売掛金の未収十六億円の中には、いまだどうなるか判明しない分が相当含まれているのがこの現状であります。  この公団の第二会社との関係においてなされました不正の数々は、この中に数えるにいとまがないほど多いのであります。たとえば、先ほどからも言われておりますけれども自然発火を過大に見積もつて廃棄炭として良質炭拂い下げたり、また運賃においても、西日本石炭輸送株式会社は九州、山口炭機帆船による輸送統制を行つて来たのでありますけれども公団が設立され、機帆船自由運航になつてからも公団の第二会社として介在し、実質的な配船権を握つて両部地区の全機焼如会社を、代理店契約あるいは委託契約でもつて傘下に攻め、独占的な支配を持ち、これらからピンはねを行つた運賃で月約一億円という重大な利益を得さしめていたといわれているのであります。しかも、こうした第二会社利益を得さすために、運賃が特に高く見積られて決定されている。従来石炭基本物資であるため雑貨より安かつたのであるけれども、これを一航海一往復の運送だけだという理由で、雑貨よりはるかに高い運賃を定めているのである。二十三年六月の物価改訂のときも、雑貨二倍に対し石炭は二・八倍の運賃価格がきめられ、この価格決定にあたりまして公団西日本に協力し、また二十四年二月ごろには、石炭庁機帆船運賃が高すぎるために三割引が妥当であるという結倫が出ていたが、何ら公団は努力しないばかりではなく、北部地区輸送東北機帆船協同組合は、昨年初めから割引でよいからら輸送させてくれと陳情し、北方五件は三月からやつと二割引を実施しただけであります。しかも、運賃を安くするから石炭を運ばせてくれという中小機帆産業者の陳情は、西日本に対する独占価格機構のために、すべてはねつけられていたのであります。  第二会社で最も露骨なのは石炭協会である。これはこぼれ炭を再び公団に売りつけておる。あるいはまた、やみ炭瞬足となつていたのも、こぼれ炭であります。それから保險につきましては、先ほど民主党議員によつて言われましたから申しませんが、ともかく、保險においても六億円というような厖大保險をかけて、それに対する拂いもどしはわずかに七千万円未満というような状態であるのであります。その他におきまして、こういういろいろな不正、あるいはまた欠斤と言われておりますものでも、たとえば北海道の室蘭におきましては、公団貯炭場業者石炭がその上に積まれて、それが欠斤となつて現われておるのであります。  ところで現政府は――こうした不正と腐敗による公団赤字原因公団組織そのものであつて、これは現政府責任ではないかというがごとき無責任な放言を自由党諸君は行うのでありますが、このことは、実に現政府行政担当無能力を暴露する以外の何ものでもないと私たちは思うのであります。(拍手)現在各公団の不正と腐敗原因は、あげてこの行政担当無能力の証明にすぎないのであります。  しかも、不正と腐敗原因をその相織にすりかえんとする意図の裏に、もう一つ見のがすことのできないのは、本法案でも見られるように、まだどれだけの損失であるか釈然としないうちから、推定によつて国民の血税から補填するというのは、一体どういう意味であるか。吉田内閣は、公務員に対する給料を実質的に引下げ、あるいは引揚者に対する定着援護、あるいは新制中学建築費補填土地改良中小商工業者の救済に必要な分の予算はなかなかお出しにならない。しかしながら、こうした赤字補填金、つまり一部階級の利益のためには、推定で早々にお出しになる出しつぶしのよいところに、われわれは、解散のどさくさに、という疑いを持たさるを得ないのであります。(拍手)われわれとしては、解散公団の不正こそ現内閣腐敗集中的表現であり、それは現在問題となつている五井産業あるいは金相哲事件等考査委員会において取上げようとしないところの自由党の本質を暴露するものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)  わが党は、こうした不正と腐敗を今後全力をあげて徹底的に追求するとともに、本法案に対しましても絶対に反対するものであります。(拍手
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  議決いたします。本案委員長の報告、修正であります。本案委員長の報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  18. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り決しました。(拍手)      ――――◇―――――  第二 旧軍港転換法案参議院提出
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第二、旧軍港転換法案議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。     〔前尾繁三郎登壇
  20. 前尾繁三郎

    前尾繁三郎君 ただいま議題となりました旧軍港転換法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。  この法案は、旧軍港のあつた横須賀市、呉市、佐世保市及び舞浜市を平和産業港湾部市に転換し、恒久の平和を実現しようとする日本国民の意思を出界に明らかにするとともに、国有財産たる旧軍用財産等を広くこれに活用する道を開くために提案されたものであります。  この法案のおもなる点を申し上げますと、まず第一に、旧軍用財産は、公共団体において医療施設、社交事業施設もしくは引揚者り寮の用に供するときまたは学校教育法第一條に規定する学校の用に供するときは、当該公共団体または学校の設置者に対して時価の五割以内に減額したる対価で譲渡することができることとし、もし当該調査を譲渡を受けた者が代金を一時に支拂うことが困難なる場合におきましては、確実な担保を徴し、利息を付して十年以内の延納の特約をすることができることといたしております。第二に、旧軍港市転換事業の用に供するために必要があると認められる場合においては、国はその事実の報告にに要する費用を負担する公共団体に対し普通財産を譲與しなければならないことといたしているのであります。第三に、旧軍用財産の処理及び普通財産の議與に関し、その相手方、財産の策因、譲渡価額、延納期限その他の主要事項について、大蔵大臣の諸問に応じてこれを調査審議するために、大蔵省に旧軍港市国有財産処理審議会を要求することといたしておるのであります。  以上が本法案の要点でありますが、この法案は、去る3月二十五日、本委員界に付託せられ、同二十八日、佐々木参議院議員より異議理由説明を聽取し、三十日、三十一日の日、建設委員会と連合審議会を開き、繭来数回にわたりまして、各委員会より、旧軍用財産の使用状況、議渡の場合時価の五割以内とした理由等について熱心たる質疑が行われたのでありますが、その詳細につきましては速記録に譲りたいと存じます。  次いで、昨四月十日討論に入りましたところ、宮原委員自由党を代表して、本法案は平和を欲求する旧軍港市民の平和的情神を賃目現するものであるとともに、失業、破産によつて自滅直前にある旧軍港市を社会的、経済的に更生せしめるものである旨を述べて賛成の意を表せられ、竹村委員共産党を代表して、第二條に都市計画法を適用するとあるが、都市計画法は、かつて軍事都市建設を目的として立案されたものである、また審議会の構成に問題がある旨を述べて反対の意を表せられ、佐竹委員社会党を代表して賛成の意を表せられ、宮腰委員民主党を代表して、無償拂下げが適当であると思うが、国有財産の譲渡については十分民主的に処理せられたいとの希望條件を付して賛成の意を述べられました。  続いて、採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。  以上御報告もうしあげます。(拍手
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。砂間一良君。     〔砂間一良君〕
  22. 砂間一良

    ○砂間一良君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本法案反対の意見を述べるものであります。  旧軍港市を転換して平和産業港市都市を建設して行うという地元民諸君の平和を愛好する熱心なる要望に対しましては満腔の敬意を表し、その趣旨に何ら反対するのではないのでありますが、しかし、今日の客観情勞のもとにおきましてこの法律を実施して行きますならば、この地元民諸君の要望とはまさに正反対の結果になる危険があるのであります。日本に軍事基地を建設する問題につきましては……     〔発言する者多し〕
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 静粛に願います。
  24. 砂間一良

    ○砂間一良君(続) 国議間におきましても、いろいろはげしい論議がなされておるのでありますが、最近のロンドン・エコノミスト誌によりますと、日本に軍事基地を設ける米国の政策は、日本人民の間に公然かつはげしい抗議を呼び起こしつつある、一方米国は、一切の意図を隠そうともせず、日本における陸、海、空軍基地を保持しようとしている、米国は横須賀軍地、重要の飛行場四箇所及び少くとも四角師団を宿営させるに足る兵営を拡張すべきだと考えている、ということが報ぜられております。現に横須賀市におきましては、旧軍港用の土地二百六十一万坪のうち、その五七%に当る百五十万坪が接収されておるのでありまして、また旧軍用施設建物の、総延べ面積六十八万坪のうち三十八万坪、五六%が接収されて、現に軍用の目的に使用されておるのであります。そして、横須賀の軍港地設は以前よりもはるかに増強されていると伝えられておるのであります。(拍手)こういう現状のもとにおきまして、またかかる客観情勢のもとにおきまして、横須賀だけ切り放して、また横須賀の残された部分だけをもちまして平和産業港湾都市を建設しようと言いましても、そういうことが不可能であることは常識で判断しても明らかであります。(拍手)  横須賀を平和産業都市に転換するという名目のもとに都市計画法や特別都市計画法を適用するということになつておるのでありますが、こり都市計画法や特別都市計画法は、かつて軍用都市を建設するためにつくられた法律であります。こういう法律を適用いたしまして、道路を拡張いたしましたり、あるいはいろいろな都市計画を実行いたしまして、そうして実は新しい軍港都市を整備拡充して行こうというのがこの法律のねらいであります。  またこの旧軍用財産の譲渡に関しまして、その相方だとか、財産の範囲、譲渡価値、延納期限等を審議するために旧軍港市国有財産処理審議会というのが設けられることになつておりますが、この委員会の横取を見ますと、委員二十人からなつておるのでありますが、これは徹頭徹尾天くだりの機構でありまして、何ら地元民の要望が反映されるような仕組になつておらない。こういう審議会は、結局地方ボスと官僚に悪用されるだけであります。もし軍用財産を拂い下げまして、これを医療施設とか社会事業施設、引揚者の寮とか学校、そういう公共施設に利用する、その場合におきましては五割以内で十年以内の延納を認めるということになつておりますが、しかし真にこういう平和の目的に利用するために拂い下げるのであるならば、何も五割とか四割とかの代償をとる必要はない、よろしく無償で拂い下げてしかるべきだと思うのであります。  こういう要望が旧軍港市の市民諸君の中から盛り上つて参りましたそのの原因を探求いたしてみますると、結局は市財政の窮迫ということ、それから失業者が非常に多いということ、それから税金が非常に過重であると、あるいは中小企業がまつたく商売がやつて行けないという、こういう大衆の生活の窮迫というところから、これではとてもやつて行かないので何かとか生きる道はないかという点からこういう要望輿論が起つて来たと思うのでありますが、しかしこの要望を満たすためには、單に横須賀だけ、あるいは舞鶴だけ、県や佐世保だけよくして行こうといいましても、それはむりであります。そもそも地方財政の切迫ということは、今日の自由党吉田内閣が中央へ全部の財源を吸い上げまして、地方財政をまつたくやつて行けないようにしておる、この一段的な政策の特に顯著に現われたのがこういう旧軍港市に出ておるのであります。あるいは失業問題にいたしましても、重税の問題にいたしましても、こういう一般的な問題を解決することなくして、單に横須賀や呉、佐世促、舞鶴だけよくして行こうといいましても、それはできない相談であります。  そういう理由からいたしままして、私どもは、旧軍港市の地元民諸君が真の平和産業都市を建設して行きたいというその要望に対しましては双手をあげて賛成するのでありますが、しかし、その根本をたたさずして、たたこういう法律だけをつくつてみましても、それは何にもならない。今日の客観情勢のもとにおいて、また自由党吉田内閣のもとにおきましては、これは結局日本の軍事基地の強化、新しい軍港の整備拡充に利用されることになるおそれが多分にあるりでありますから、さような意味におきまして、日本共産党は本法案に絶体反対するものであります。(拍手
  25. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 岡延右エ門君。     〔岡延右エ門君〕
  26. 岡延右エ門

    ○岡延右工門君 私は、旧軍港転換法案に対し、自由党を代表して賛成の意を表せんとするものであります。(拍手)  数千億の国弊と、百年の長きにわたつて常々して横難された軍港は、もつぱら戰争目的にのみ使用され来つたことは御承知の通りであります。厖大なる軍工廠は、全国から技術春及び工員を集中して、ここにおのおの人口数十万の大都市が、まつたく人為的に賛成せられていたのでのありますが、破綻の状態において鶏戰となり、これがため、親子三代にわたつて定着した市民は、住むに家なく、帰るべきふるさともすでになく、ぼう然たるうちに失業の群衆と化し去つてるりであります。  旧四軍港厖大なる施設は、おのおの程度の差こそはあるけれども、ほとんど従前通りの姿を保ち、あるいは相当に破壊されているとろもあるのでありますが、これを平和産業へ前面的に使用するあかつきにおきましては、日本の再建に甚大なる貢献をなし得るのであります。それにもかかわらず、これが全面的に使用を許されない理由は、連合各国が、この旧軍港施設を戦争目的にわが国が使用するおそれありとの危惧の念を抱いているからであります。数箇月前、県及び佐世保における作業が四分の一程度に縮小されたことは、その間消息を最も雄弁に物語るものであります。されば旧軍港市は、ここに百八十度の転回をもつて、一切戰争目的なきことを世界に宣言し、あわせて平和産業港湾都市への転換をなすゆえんを世界に宣明せんとするが本法案の大理想でありまして、これ私が双手をあげて本案賛成する第一の理由であります。(拍手)  次に、破壊されたスクラツプの山と、転覆した艦船の残骸を朝な夕なにながめる市民は、戰争の惨禍と無意義さをしみじみと味わつているのであります。そこで、本法案の通過によつて平和日本建設の大行進のうちに加わる喜びに胸ふるわせておるのでありまして、旧軍港市百万市民を奮起せしむるカンフル注射の役をなすものである。これ私が本案賛成する第二の理由であります。  なお、厖大なる旧軍港施設が所轄官庁の管理そのよろしきを得ず、いたずらに雨ざらしになつている現状を地方自治体及び公共団体へ肩がわりする道を本法案によつて開いた点でありまして、これ私が本案賛成する第三の理由であります。  さて共産党の砂間君は、共産党一流の猜疑心から、種々の難癖をつけて本法案反対したが、去る三月三十六日、横須賀における市民大会において、そこにおられるところの共産党の中西伊之助代議士は、数千の市民の面倒において、本法案賛成の演説をやつておる。(拍手)その日、横須賀地区委員会反対のビラを散布した。また舞鶴市内には、これとは反対賛成のビラが張られている。なおまた本法案は、参議院においては、委員会においても本会議においても起立総員で可決されたのであるから、共産党議員も積極的には反対しなかつたのであります。  さて、昨日の大蔵委員会においては、田島ひで君、竹村奈良一君がともにこの法案趣旨には賛成であると前提して質問を行い、結局最後には竹村君は反対であると結論している。数日前、参議院において、反対の意思表示をしながら賛成の白票を投じて除名された議員があるが、精神分裂症状の点において、両者はよく似ておると言える。(拍手)  共産党は旧軍港の平和産業港湾都市への転換法案に互対したが、これはとりもなおさず、百万市民を見殺しにせんとするものである。されば共産党員ば、百方市民の恨みを買つて軍港都市から一掃されることは明らかであつて、四つの都市は破壊者なき健全なる都市と化し、ここに消き明るき平和産業港湾都市が生れるという副産物まで得られたることは望外の幸いである。  以上の理由によりまして、百万市民の多幸を念じつつ、本案に対して心から賛意を表する次第であります。(拍手
  27. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 前田榮之助君     〔前田榮之助君登壇
  28. 前田榮之助

    ○前田榮之助君 私は、ただいま議題となつております旧軍港転換法案に対し、日本社会党を代表いたしまして賛成の意見を述べんとするものであります。(拍手)  旧軍港市であります横須賀、呉、佐世保、舞鶴は、諸君も御承知のごとく、日本の海軍の基地として、軍需産業の中心地として、敗戰の終戰まで約五十年間、地方の一農漁村であつたものが、海軍軍部の独裁のもとに発展したのでありますが、その間、民間産業の同地方の施設を禁じたために、海軍依存万能でその都市は発展し、終戰までには、大体において人口三十万ないし四十四、五万とい与程度まで発展したのであります。しかるに、終戰とともにその海軍を失い、これらの四都市は、産業は根底から崩壊するに至つたのであります。今日その一例といたしまして、呉市のごときは、大体人口が十九万にまで減じているのでありますが、そのうち失業者が二万というような、全国一の高率なる失業者出している。この事実をもつていたしましても、この四都市がいかに疲弊困備のどん底に陥つているかは想像するに余りあるのであります。  ことに日本国が、新憲法下、軍備の存在を許さない平和文化国家の建設に八千万国民が総力をあげて努力をいたさなければたらない今日、旧軍港市の平和産業都市に転換することは、最も時宜を得た緊要なことと存ずる次第であります。(拍手)なお現下の国際情勢において、占領軍治下のわが国に対して、連合国の一部において、いまなお日本に再軍備の疑念があるかのごとき報道をするものがあることを思いますれば、われら日本国民の最も遺憾とするところでありまして、かかる際に本法案の成立こそは、われらの最も念願とするところであります。  本法案内容については、前半の第一條において、この軍都を転換していわゆる平和都市への宣言をいたしておるところに本法案の最も重要なる点があるのであります。第四條、第五條において、法律第七十三号、同七十四号の制限の緩和を規定いたしまして、その適用に関して、あるいは一部において利継屋の介入のおそれあるというような説をなすものがありますが、これは運営の面において、本法の第六條第六項の委員の任命については至公至平、人格高潔かる硬骨の人材を配して、政府においてもこの法案の第一條の目的に沿うように努力されんことを希望するものであります。  日本社会党におきましては、この四都市の平和復興特別委員会というものを党内に設置いたしまして法案実施を見守るとともに、本四市の復興に協力をいたしたいと現在決定いたしておるのでございますから、何とぞ満場諸君の御賛成の上に本法案を成立さしていただくよう切に希望いたしまして、賛成の意見とする次第でございます。(拍手
  29. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 北村徳太郎君。     〔北村徳太郎君登壇
  30. 北村徳太郎

    ○北村徳太郎君 ただいま上程になりました旧軍港転換法案に対して、民主党を代表して賛成の意を表するものであります。(拍手)  すでに同僚職員たる自由党の岡君並びに日本社会党の前田君より詳細なる賛成の御意見がございまして、私はこれに多くを加える必要はないと思うのでありまするが、この問題になつております四つの旧軍港都市は、元来軍の威力によつて、軍目的のために、一般の自然発生的な都市形成の歴史とは違つた、非常に不自然な形において成長して参りましたものでございまして、従つて軍が必要と見れば、軍の威力で人を集め、その設備を増大し、厖大なる力を用いて今日まで軍が経営したのでございます。従いまして、先ほど共産党の方が反対討論をなさいましたが、それは半ば邪推と独断によるのでありますけれども、そういうふうな邪推と独断から、いまなお元軍港地であつたがために一般にそういう印象を與えておる。従つて、それぞれの軍港市民に、すでに平和宣言をいたしまして、そういうものを全然構拭することに努力しつつあるのであります。また一面においては、先ほど共産党の方も、四りの元軍港都市の市民が平和産業へ傾けている熱意に対しては満腔の賛意を表すると言われたのでありますが、その通りでありまして、その満腔の賛意を表していただいたことを、より具体的に合法的にするためにこの法案が出たのでございまして、従つてこのことに関しては、皆さんの十分なる御理解を願いたいと思うのであります。  簡單に申しまする、さきに申しましたように、特殊な軍の目的のために集められた人々、従つてその集められた人々の数は多いけれども、しかしながら、その施設と事業とそれらの重要なる軍所有地に対しては納税の対象にならない。しかも多数の人が集められて、それらの人の子弟の教育、あるいはその文化施設、衞生施設等は都市においてまかなわねばならぬ。従つて、そういうふうな軍の威力による特殊な制限を受けながら、軍港市民であるがゆえに、従は元内務大臣の特別なる許可を受けて、最高限度を超過して徴税をして、それでもなお経営ができなかつたというような実情であつたのでございます。それが、ひとたび終戰になりまして、徹底的に破壊せられて、そうして多数集められた人々は、ほとんどその日から失業状態になつておる。多数の失業者が町に氾濫し、町は焼かれ、その施設は赤さびの状態である。これをどうして平和的に転用するかということは、ひとり四軍港市の問題でなく、こういう施設が平和に、しかも日本の産業に有効に転用せられるということを世界に明らかにすることは、今日日本の立場においてきわめて必要なのであります。(拍手)従いまして、この法案が、このことにおいて世界に一つの平和宣言をするものである、かような意味においても、どうか満場の諸君の御賛成を得たいと思うのであります。  私は、以上簡單に理由を述べまして賛成の意を表するものであります。(拍手
  31. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) この際一言いたします。先刻の岡君の発言中、委員会の発言と異なつておるから訂正されたいとの申入れがありますが、課長は事実及び速記録を取調べの上適当に処理いたします。  これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長の報告は可決であります。本案委員長の報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  32. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。(拍手)よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  33. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御報告いたすことがあります。議員丹羽彪吉君は昨十日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。つきましては、同君に対し院議をもつて弔詞を贈呈いたしたいと思います。なお弔詞の文案は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつてさよう決定いたしました。  ここに議長の手元において起算した文案を朗読いたします。  衆議院ハ議員丹羽彪吉君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞ヲ呈ス  この弔詞の贈呈方は議長においてとりはからいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時八分散会