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1950-03-30 第7回国会 衆議院 本会議 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十日(木曜日)  議事日程 第三十号     午後一時開議  第一 地方税法の一部を改正する等の法律案内閣提出)  第二 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 国税犯則取締法の一部を改正する法立案内閣提出)  第四 国税延滞金等特例に関する法律案内閣提出)  第五 災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に附する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 国家公務員法の一部を改正する法律案人事委員長提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  人口対策に関する緊急質問床次徳二提出)  炭労スト強制調停に関する緊急質問青野武一提出)  日程第一 地方税法の一部を改正する等の法律案内閣提出)  日程第二 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法立案内閣提出)  日程第三 国税犯則取締法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 国税延滞金等特例に関する法律案内閣提出)  日程第五 災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出))  日程第六 国税徴收法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 国家公務員法の一部を改正する法律案人事委員長提出)  輸出信用保險法案内閣提出)  輸出信用保險特別会計法案内閣提出)  政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  北海道開発法案内閣提出)     午後一時五十三分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、床次徳二提出人口対策に関する繋急質問、これをこの際許可せられんことを望みます。
  4. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  人口対策に関する緊急質問を許可いたします。床次徳二君。     〔床次徳二登壇
  6. 床次徳二

    床次徳二君 私は、人口対策に関しまして政府所信をお伺いいたしたいと考えるものであります。  去る二十日、厚生省は、昭和二十四年におけるところわが国人口動態を発表いたしたのでありまするが、昨年のわが国人口総数は八千二百二十万人でありまして、一昨年に比べますると、引揚者を加えまして二百万人の増加を呈しておるのであります。死亡率は漸次減少し、人口自然増加は一部低下の傾向を示してはおりまするが、今日なお百八十万人に近いところ人口増加があるということは、これは軽々には見のがすことのできない重大なる問題であると考えるのであります。われわれ国民といたしまして、深くこの事実を檢討いたしたいものであります。  人口の過剩が、わが国経済復興の上に、また国民生活水準を向上せしむるために、また婦人の解放のために、母性文化のために非常なる支障を持つておりますることは、いまさら申し上げるまでもないのであります。私どもは、すみやかにその対策を樹立いたしまして、これに処することを考えておつたのでありまして、昨年五月、本院におきまして、満場一致人口問題に関する決議を行いまして、国内における人口包容力増加し、人口自然増加を抑制し、さらに将来の海外移民に関し、政府に対しましてその積極的、具体的な対策を要望いたしましたことは、皆樣もすでに御記憶のことと思うのであります。私は、この際、この重要なる衆議院の決議に対して政府は今日までいかなる処置をとられたか、お尋ねいたしたいのであります。また、すでに人口問題審議会におきましても本問題に関しまして答申を行つておるのでありますが、政府は、その答申に基いて、いかなる対策を確立せんとするか、この際明瞭にせられたいのであります。私は、かかる重要な問題が今日までいまだ決定を見ないということに対しまして、はなはだ遺憾の意を表するものであります。  次にお尋ね申し上げたいことは、政府は、その人口政策を行うにあたりまして、いかなる機関をしてこれに当らしめるかということであります。さき政府人口問題審議会を設置いたしましたが、その対策は、わずかに厚生省の一部局をもつて担当せしめているかのごとく見えるのでありまして、政府の諸政策中に、根本的の各方面より総合せられた対策が上つておらない。まことにその効果の乏しきことを私どもは遺憾に思うのであります。近時、いわゆる不完全雇用者、また潜在失業者等が急激に増加して参つたということは、これすなわち政府人口に対する諸政策の欠陥であるのでありまして、今日この人口過剩の圧力が著しく激化されつつあるということに対しまして、私どもは深い反省を要するものと考えるのであります。ここにおきまして政府においては総合的な、しかも企画的な実施機関を設けて、人口対策の徹底を期せられるお考えがあるかどうか、私は承りたいのであります。この点に関しましては、すでに人口問題審議会答申においても述べられておるのでありまするが、この際政府人口問題審議会を廃止いたしまして、新たに有力なる常設の人口対策を企画する委員会を設置し、さらにここに事務局を設けて各般の政府政策につき調整を加え、もつて人口政策実施に遺憾なきを期する考えはないか、右お尋ねいたしたいのであります。  次にお尋ねいたしたいことは、わが国人口問題の解決に対し、政府は進んで海外諸国に対しましてその理解協力を求める考えはないかということであります。現下の国際情勢におきまして、人口問題の解決の方途といたしまして、いたずらに海外移民を論ずることは、まだその当を得ていないということにつきましてはもちろんであります。しかしながら、わが国人口問題をわれわれがいかに解決するかということは、單に国内の問題ばかりではないのでありまして、海外諸国も、はなはだ関心を持つていることなのであります。過去におけるところわが国人口過剩、あるいはこれが侵略戰爭の有力なる口実にもなつたと論ぜられておるのでありまして、近く講和会議を迎え、さらに將来永久たる平和文化国家として立つわが国におきましては、この人口問題を解決し、その対策を確立いたしますることは、われわれ国民に対してはもちろん、世界諸国に対しましても、きわめて緊要なことであると存じます。私は講和に対するところの欠くべからざる前提であると考えるものであります。  なお、わが国がこの際適正なる人口対策を確立し、この解決努力するということは、われわれが健全なる民主国民となることと同樣に、世界に対するわが国民の重大なる使命であるというふうに考えるものであります。今日適正なる人口対策実施せられるといなとは、單にわが日本国民生活、いな生序の問題であると同様に、世界の平和あるいは人類の福祉の問題にも関係を有するのでありまして、今月までこの雄姿なる政策が放置せられておつたということに対しましては、政府の重大なる関心を喚起いたしたいのであります。もちろん、海外諸国におきましても、戰後わが国人口問題には潔い注意を拂つておるのでありまして、すでに多数の学者をわが国に派遣いたしましてその実情を調査し、その多数はそれぞれ意見を発表いたしておるのであります。  最近英紙の報ずるところによりますると、いわゆる英国の対日講和草案の中にもこの問題が取り上げられておるのでありまして、国民皆さんの注目を引いたことは申し上げるまでもないと存ずるのでありますが、今日わが国民の中にも、また海外諸国におきましても、いまだわが国人口問題に対しまして正しい理解を有せざる者も少くないことを指摘しなければならないのであります。今や私たちは、適正なる人口対策を確立し、その最善とするところ政策によりまして、これを強力に、しかもすみやかに実行すべきときに際会いたしておると信ずるものであります。  その対策は、国民政府協力一致して国内における人口收容力増加いたしまするとともに、反面におきまして人口自然増加を極力抑制することに努むべきであります。しかしながら、今日まで政府の調査いたしましたところによりまするとわが国人口の重圧は今後なお相当の期間継続いたすのであります。国内におきまして上述のごときいろいろな対策を講じましても、なお今後相当多数の失業者を生じ、国民生活相当の圧迫を受けることが推定せられるのでありまして、この際もしも海外に対して平和移民が認められますならば、国内的の人口対策相伴つて相当効果をあげ得ることが予想せられるのであります。もとより、国内人口対策一つでありますところ貿易通商産業その他のことに対しましても海外援助を要することが少くないのでありまするが、今後の人口問題の解決のためには、全面的に海外諸国好意援助を仰がなければならぬと信ずるものであります。よつて私は、この際次のことを政府にお尋ねいたしたいのであります。  第一に、海外協力を得てわが人口問題の解決に資するためには、まず国民が十分この問題を理解し、万全の努力をもつて決定いたしました政策を実行すると同時に、海外に対しましても、右日本対策につきまして十分の理解協力を得らるるよう努力することが必要と存ずるのでありまするが、これに関する政府見解を伺いたいと思うのであります。  第二に、海外好意によるところ協力は、單なる貿易通商等に対するところ協力と同時に、将来わが国平和的移民に対する協力も必要と増えるのであります。政府のこれに対する見解をお伺いいたしたいのであります。今日まことに少数ではありまするが、すでに技術者の渡航その他の関係におきまして、ある程度までその実現を見ておりますることは、まことに喜ばしいことでありまするが、将来わが国が十分な努力をいたしまして、一日もすみやかに海外諸国が歓迎するところのりつば民主国民になり、海外に進出することができましたならば、まことにけつこうなことと存ずるのであります。政府は、この点につき海外協力援助が得られまするよう、今日より最善準備をいたされたいものと思うのでありまするが、これに対する政府所信を伺いたいのであります。なおこの問題に関しまして、今日の政府予算におきましては、その準備調査、あるいは将来適当なものの育成に関しまして何ら予算を持つておらないように考えるのでありますが、はたしてこれで予期した成果をあげ得るかということに対して私は疑いなきを得ないのであります。  なお、今後われわれ日本人が広く世界の平和、福祉増進に寄與するために、たとえば国際連合の未開拓地開発計画等のごとき事業に対して参加することが認められまするならば、まことに望ましいことであります。かかるわが日本人の希望と日本人の熱望とを表明する機会がありましたならば、ぜひ今日の機会においてこれを明らかにしておきたいと考えまするが、政府の右に関する御所見を伺いたいと存ずるのであります。  以上は私の質問要点でありまするが、元来人口問題に関しましては、その取扱い方いかんによりましては国際相当影響が予想せられるのであります。しかしながら、その影響を憂うるのあまりに、これを暗々裡に放置するというようなことがありましたならば、かえつて将来における適正なる解決機会を失いはしないかということを私は憂うるものであります。もし、かかることがありましたならば、後日わが国民の不幸を招來するばかりでなく、国際上にも禍根を残すこととならぬとも限らぬのでありまして、今回の日本人口状況を発表せられた機会におきまして、政府は、国民に対し、また海外諸国に対しまして、大胆にしてしかも率直なる所信を明らかにし、その解決の方法につきまして十分なる協力を求める、必要なる援助を要請するということを私は要請するものであります。  これをもつて私の質問を終りたいと思います。(拍手)     〔国務大臣林讓治登壇
  7. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 床次議員にお答えいたします。  昭和二十四年五月に、本院におきまして人口問題に関する決議がなされたのでありまするが、私どうも、きわめて時宜に適したものと考えまして、政府におきましては、その御決議趣旨を尊重いたしまして人口問題の解決努力いたしておる次第でございます。  昭和二十四年四月に、政府人口問題審議会を設置いたしまして、人口問題に関して調査審議願つたのでありますが、この審議会は、さつそく本院決議を体し、これを十分考慮されるように願つたのであります。昭和二十四年十一月に、人口問題審議会から、人口対策基本方針につきましての建議提出せられたのであります。この建議は、基本的方針に関するきわめて広汎なものでありまして、行政のほとんど全部門にわたつているのでございます。これを具体的に施策に移すにあたりましては、関係各省、各部局において慎重に考究を要するものでありまして、今日各省建議を回付いたしまして、その趣旨に従つて実現し得られるものから逐次実施をいたす方針をもつて今日おるわけであります。  なお今後機関の問題について、新たに委員会などを設けることはないかとの御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、非常に広汎な問題でありすので、目下のところにおきましては、今日の人口問題審議会を主とし、あるいは政府機関にゆだねておるりのでありまして、御意見のほどは十分尊重いたしまして今後の研究に資したいと考えておるわけであります。  なお海外移民などの点につきましては、これらの解決をつけまする上においては、何といたしましても諸外国理解と御同情に基かなければならぬことと考えるわけであります。従いまして、今日わが日本におきましては、民主主義を徹底いたしまして国際信用を高揚せしむべく、政府といたしましては努力いたしたいと考えているわけでございます。さよう御了承願いたいと思います。(拍手)      ————◇—————  炭労スト強制調停に関する緊急質問青野武一提出
  8. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議を拠出いたします。すなわち、青野武一提出炭労スト強制調停に関する緊急質問、これをこの際許可されんことを望みます。
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  炭労スト強制調停に関する緊急質問を許可いたします。青野武一君。     〔青野武一登壇
  11. 青野武一

    青野武一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、炭労ストに関する強制調停緊急質問政府に向つて行わんとするものであります。質問要点をきわめて要約いたしまして、時間を制限せられておりまするから、その時間内に特に質問を終りたいと考えるのであります。  昨日の労働委員会におきまして鈴木労働大臣の御出席がありませんでしたので、本日会議を通じて、事重大な——将来に影響力を持つておりますから、二、三の点に関して御質問申し上げたいと考えるのであります。御質問申し上げる前に特に希望いたしておきたいことは、御答弁は明快に、そして率直にお伺いしたい。これは社会党だけが聞きたいというのではありません。御承知通り炭労傘下三百五十六組合、その組合総数三十一万人、家族八十万、これらの諸君が、みずからの生活を守るために血みどろになつて闘争をしておる渦中に、強制調停による最後的結末がどうなるかという点について大きな期待を持つておることでありまするから、特に本日列席の議員傍聴者のみでなく、広く日本労働者野対して、吉田内閣一般的労働行政をも含めて明確なる御答弁をお願いしたいのであります。  御承知のように、総司令部のプラツテイ氏の勧告に基きまして、十九日に団体交渉が決裂いたしましてから、遂いて最後事態に直面したのがこの炭労ストであります。二十日に中央闘争委員会を開いて協議の結果、非常事態を宣言するとともに、新聞紙その他で報ぜられておりますように、二十五日から一週間、時間にして百六十八時間の長期の全国的統一ストが、各傘下労働組合に指令第八号として発令されたことは、皆さんも御承知通りであります。こうして長期間にわたる波状ストによつて、すでに七十万トンに相当する石炭減産を見ており、さらに今回の全国的ストによりまして、一日十万トンの出炭減が予想されていまるのであります。  なお今回の炭労争議は、大手筋中小炭鉱とはその経営状態が極度に不均衡であるのと、いま一つは、厖大なる滞貨貯炭量があること等のために、この紛争の解決が非常に困難であつた鉱榮連盟側は、例によつて理解強硬態度をして、争議の様相を必要以上に複雑なところに追い込め、遂に炭労をして非常事態宣言をなさしめたことは、御承知通りであります。二十四日までは従来の波状ストを継続して連盟の再考を促す戰術をとり、二十五日以降については、炭労組合組織の運命を賭して、三十一万の組合員は、その家族を含めて、生活権のためにあらゆる苦難を克服しつつ、いまだかつてない熾烈な闘争態勢のもとに闘いを続けておつたのでありまするが、炭労にとつて一番大切なその団結と、ストライキの堂々たる戰術によつてその威力が発揮せられんとするときにあたりまして、去る二十七日の午前十一時、総司令部エーミス労働課長は、武藤委員長、柴田、小菅両副委員長を招致いたしまして、総司令官意思に基き次のごとく公式に申し入れる、その要点は、司令部としては、今後炭労ストは一週間以上は許さぬ、その理由としては、これ以上のスト日本国民経済がこれ以上のストにはたえないからである、こういうことが申し渡されたということであります。  これは新聞その他によつて報道せられておるのでありまするから、吉田内閣労働行政責任者でありまする鈴木労働大臣は、知らないということはないと思います。これが総司令部司令官意思に基いてやられたことであるか、政府としての立場から、その事実をお答え願いたい。なおそれに伴つて、三一日までのストライキ中止しては_という勧告エーミス労働課長から受けておりまするが、これに関する真相と経過を、あわせてさき中止命令とともに御説明願いたい。これが私の質問の第一点であります。  炭労争議の建前には、貯蔵量全国に約二百三十二万トンあつたということは、昨日の労働委員会賀来労政局長答弁をしておりまする営業の一節でありました。全国で一日平均消費量十万トンといたしまして、炭労争議の直前には二十二日分の石炭があつたのであります。ストに入つて参加人員は三十一万、その三十一万のうちの九五%がストライキに参加し、あとの五%が保安確保のために就業しておつたのでありまするが、その滅産量は一日平均八万五千トン、二十八日にスト中止に至りまするまでには、この炭労ストによつて石炭は約九十万トンの減産を来したといわれておるのであります。この滞貨石炭が二百二十二万トンあつたために——そういうたくさんの貯炭があるために、鉱業連盟が冷酷無情な強硬態度をもつて交渉を決裂に導いたということを、私たちは指摘したいのであります。  それと相関連いたしまして一言申し上げたいと思いますることは、福岡県の三井化成経営者は、福国民政部司令官に対しまして、炭労ストライキが続いておることは非常に困る、ただいまより二十四時間以内に三池炭砿より石炭の供給がない場合は、この三井化成の全工場壞滅状態になつて、その復旧には一箇年以上を要するから、組合に対して、ただちに石炭を供給せよとの指示を與えられたいと陳情したということが、われわれの手元に情報として入つておるのでありますが、こういつたやり方こそ、資本家の封建的な思想と、えてかつて考え方であると私ども考えざるを得ないのであります。こういう考え方である限り、平和的な交渉解決する問題も、戰後には争議争議へと追いやつて行くのであります。  およそ労働者団結権の行使の意義は、争議状態における労働者資本家対立抗争の中に求めらるべきものでありまして、会社経営上の心配、資本家の泣きごとを組合が一々聞いて、彼らの喜ぶようなやり方をしておつたのでは、ストライキ意義はまつたく無意識、無価値に終つてしまうのであります。今次の炭労ストは予告の上で開始せられたものでありますから、三池炭鉱と同資本であります三井化成経営者のごときは、政府手持ち貯炭あるいは若干の生産炭購入等により、みずから万全を期するがために、彼らとしては当然にそういうものを用意しておかなければならぬ。いよいよせつぱ詰まつたときには、炭労ストライキがわれわれの会社を苦しめておるといつて占領軍の力にすがり、それらの諸君処置に大きな期待をかけるということは、これは一種のストライキ破りといつてさしつかえないのであります。こういう態度——会社や大工場あるいは炭鉱業者諸君が戰時中の日本軍閥上層官僚の独善的な考え方を持つておるから、常に必要以上にストが長引くことを、私たちは重ねて指摘したいのであります。  こういう点につきまして、通産省は二百二十二万トンの石炭があることを理由にいたしまして、炭労ストライキを見送つて、非常に冷淡な態度をとつてつたということを、私どもは知つておるのであります。労働省にいたしましても、全国に二百二十二万トンの貯炭のあることを理由にいたしまして、積極的な炭労スト調停に乘じ出さず、民間産業給與に対しても、労働省独自の立場から、いろいろ打つ手があるにもかかわらず、それを今日まで見送つてつたのでありますが、先ほど申しましたように、二十七日に炭労の幹部が招致せられまして、四月以降のスト中止が命ぜられ、事実上二十八日をもちまして、二十五日から三十一日まで一週間のストライキは、これまた中鬪委員会決定によつてこれが中止されたのであります。  労働大臣にお尋ねしたいと思いますことは、このストライキ中止と相前後いたしまして、労調法第十八條の第五号によつて公共のために著しき障害を與えるという解釈のもとに、今回の強制調停労働大臣によつて中央労働委員会請求をせられたのでありますが、私の記憶によりますならば、昭和二十一年の十月、全通ストライキの折に強制調停請求せられて、中央労働委員会調停に付された。これは吉田内閣の当時であります。昭和二十三年九月、電車のストライキに直面いたしまして、これまた強制調停請求せられた。この二回であります。これは明らかに公共事業である電気産業全通民間の私鉄あるいは水道、ガス等である。しかし私どもは、炭鉱産業というものが公益事業であるとは考えない。労調法第十八條第五号——労働大臣公共幾多支障を来すおそれありとした場合には強制調停請求することができるということはありまするが、炭鉱産業ストライキに対して、公共に対して幾多障害があると解釈することは、明らかにこれは法的解釈の矛盾であります。炭鉱公共事業ではありません。先ほど申しましたように、しかも今までにかつて例がない。これが三回目であります。こういう点について、私は労調法第十八條第五号について、労働大臣はいかなる法的根拠の上に立つて強制調停請求せられたかという点に関してお尋ね申し上げたいと思うのであります。  なおこの強制調停につきましては、中央労働委員会は、強制調停請求を受けてから十五日以内に調停案をつくつて、十日以内の期限で当事者にその受諾を勧告することになつているのでありますが、これが一番重要な問題であります。われわれは、従来の五千四百円の低いペースをくぎづけにする政策決定には断じて賛成することはできません。低賃金のまま炭鉱労働者を重労働に従事せしめるから、こういう炭鉱争議が起るのでありまして、低賃金はその産業部門の差異のいかんを問わずに、その産業技術的進歩向上と生産の増強を阻害するがんとなることは、明らかな事実であります。  われわれは、高賃金高能率をあくまでも主張するものであり、炭労の主張と要求を絶対に支持するものであります。従つて中央労働委員会が、その全機能をあげて、全知能を傾けて、過渡的の難局に直面している炭鉱労働者の紛争、賃金問題をあらゆる角度から検討して、その合理的解決に最大の寄與をするように大きな期待を持つているものであります。頑迷なる経営者に対しましては、また幾多の問題が惹起せられると思いますが、吉田内閣の一般労働行政の担当者でありまする鈴木労働大臣は、この民間産業の最も大きな炭鉱労働組合のこの争議に直面いたしまして、どういう給與政策の具体案を持つておられるか。幸いにして、電産の争議解決の一歩手前に参つております。これまた調停委員会決定いたしました八千五百円の新ペースを政府は一応了承したという基礎の上に立つて交渉が進められているということでありますが、この炭労の主張する五千四百円の現行ペースを九千四百円に要求しております点について、鈴木労働大臣は、この民間給與政策に対してどういう具体的な案をお持ちになつているか、この点を私に承りたいのであります。  そして最後一つ希望いたしておきたいと思いますことは、常に問題が起りましても、吉田内閣は労働問題に関する限りは非常に冷淡であります。国鉄の裁定にしてもその通りである。人事院の勧告にしても、これを無視している。仲裁委員会の裁定を無視し、公労法を蹂躙し、そうして今回炭労ストライキ中止せられるや、公共事業でもない炭鉱ストに対して強制調停請求する。すべてが労働者を故意に敵視して労働者に何ものも與えず、労働者のためにその利益を積極的に守つてやろうという立場をとつたことを、われわれは見たことがありません。従つて、ただいまの質問にあわせまして希望したしたいと思いますことは、雇用組織に関する政策であるとか、職業補導に関する各産業における再訓練であるとか、労働協約の国際的普遍化であるとかいうような重要な問題について、吉田内閣労働行政は今日まで明らかにせられておりません。この機会に、そういう構想を鈴木労働大臣が持つておりますならば、国民大衆の前にその意思を御発表願いたいということを希望いたしまして、以上三点の御質問を申上げた次第であります。(拍手)     〔国務大臣鈴木正文君登壇
  12. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) 青野議員の御質問に、簡明率直にお答えいたします。  労調法の十八條五号を発動いたしたのは、徹頭徹尾労働大臣としての見解とその責任のもとにおいて行つたのでありまして、労資あるいは総司令部いずれの意図によつたものでもなく、労働大臣の権限と責任において行つたのであります。(拍手)  それから、公共事業でないところ事業におきましても、きわめて重要な、大きな事業の大きなストであつて、しかもそれが著しく公益に障害を與えるという段階においては強制的調停の措置をとり得るのでありまして、現に石炭貯炭は二十日前後に減り、しかも北海道方面においては、一部すでに石炭が不足しておる部分がある、特殊の山元から直接受けておるところ工場におきましても、工場がとまるおそれがある、中小商工業者は金繰りの関係石炭の手持ちを持つておらない、この方面も困るおそれがある、こういう状態におきましては、公益を著しく阻害する状態に陥つたものと判定したのであります。(拍手)しかも私どもは、あえてこの強制調停によるのでなくして、本来の筋道によるのを当然とすべきであるという見解をとり、この十八條問題が起きてから、なお一週間にわたつて極力労資双方の直接交渉を慫慂して来たのでありますけれども、月曜日の午後八時に至つて、両者が交渉を再開する希望と余地は絶対にないということが明らかになつた。そり最後の段階において、労働大臣として十八條五号の適用を決意したのであります。(拍手)  申し上げるまでもなく、この十八條五号は調停に参加するということだけの強制でありまして、その調停に絶対服従すべしという強制力は持つておらない、ストライキをとめるという強制力も持つておらないでありまして、私どもは、全般的の情勢から考え石炭の情勢から考えて、この段階においては、十八條五号を発動して両者交渉のきつかけをつくることが日本経済のために絶対に必要であるという見解のもとに、労働大臣の責任において措置したのであるということを、明確にお答えいたします。(拍手)      ————◇—————
  13. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、地方税法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事菅家喜六君。     〔菅家喜六君登壇
  14. 菅家喜六

    ○菅家喜六君 ただいま上程されました地方税法の一部を改正する等の法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、別途党委員会に付託になつておりまする地方税法案と関連を有するもりでありますが、該法律案は何分にもわが国の地方税財政制度の根本的改革を意図したものでありますために、政府において成案を得るのに多大の日子を費し、以外に提案が遅延いたしましたので、改正法律案の制定実施昭和二十五年四月一日以後となるべきことが必至と見られるに至つたのであります。従つて、その間の応急措置を講ずる必要を生じ、よつて新税法の制定実施に至るまでの暫定措置を法定しようとするものであります。  本法律案の内容といたしましては二つの点を含んでおるのであります。その第一は、現行地方税法の一部を改正して、酒消費税及び同附加税を昭和二十五年四月一日以降廃止することであり、その第二は、同法の一部の施行を一時停止して、昭和二十五年度分の道府県民税、地租、家屋税、事業税等二十有余の地方税は、新税法の制定施行の日まではこれを徴收することができないものとすることであります。前者は、シヤウプ勧告の線に沿うて酒消費税及び同附加税の廃止が予定され、すでに国税である酒税の改正が昭和二十五年四月一日以降実施されることとなつておりますので、この改正と歩調を合せ、負担の過重を来さないようにしようとするものであり、後者は、新税制との切りかえの関係上、新税法の制定後、実施の際における徴税手続の複雑化を避けようとするものであります。  本法律案は、三月二十八日、本委員会に付託され、翌二十九日愼重に審議いたしましたが、委員の質疑のおもなるものをあげますと、まず本法律案は、別途提案中の地方税法案が国会を通過し法律実施されることを前提としているが、該法案は、産業及び国民生活に甚大の影響を與える重要法案であるから、国会としては十分に審議を盡さねばならず、かかる政府態度は国会の審議権を軽視したものであり、かつ法律が成立を見なかつた際に支障があるではないかとの意見があつたのであります。  これに対し、政府としては国会軽視の意は毛頭なく、十分に該法案について両院の御審議を願う所存であるが、新税法案の成立を期待し、その成立実施に至るまでの暫定措置を法定しようとするものであつて、かつまたその内容としては、第一点は、すでに成立した酒税と歩調をそろえて地方税の軽減をはかるものであり、また第二点は、地方税法の改正ではなくして、新税法案によつて変更される見込みのある税種目について、新税法の成立実施される日まで徴収を見合せるにすぎないから、何ら支障はない旨の答弁があつたのであります。  なおこれに関連して、地方公共団体においては、昭和二十五年度当初税収入が激減し、予算編成及び財政上の繰作にはなはだ困惑を感ずるのであるが、伝えられる地方財政平衡交付金の配布等につきいかなる処置を講ずるかの点について、政府と委員との間に活発な論議がかわされたりでありますが、要するに政府としては、平衡交付金は正しくは地方財政平衡交付金法の成立をまち、これによつりて交付すべきであるが、事急を要する場合には、法の成立以前においても一般の補助金を支出し得る根拠によつて相当所要額を交付し、地方自治体が年度初めにおける財政操作に支障のないよう取はからうことを期しており、その交付金額も、大よそ上四半期分、すなわち四、五、六の三箇月分として約三百億円であつて、従来の配付税及び各種補助金の如上三箇月分に当る金額を年度当初において交付する見込みであるとの答弁をしたのであります。  なお以上のほか若干の質疑もありましたが、本法律案は年度の交代を目前にして緊急を要する問題であり、その趣旨もまたやむを得ぬものと認められましたので、質疑終了後、討論を省略し、即日採決いたしましたところ、共産党所属委員を除き全員の賛成がありまして、本法律案は原案通り可決の議決を得た次第であります。  これをもつて報告を終わります。(拍手)、
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  16. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第二、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案日程第三、国税犯則取締法の一部を改正する法律案日程第四、国税の延滯金等の特例に関する法律案日程第五、災害被害に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案日程第六、国税徴收法の一部を改正する法律案、右五案は、同一の委員会に付託された議案でもありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。     〔前尾繁三郎君登壇
  18. 前尾繁三郎

    ○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。  この法案は、昨年十二月一日公布されました外国為替及び外国貿易管理法の施工期日が各規定につき政令で定められることになつておりまして、その期間は本年三月三十一日までとなつておりますのを、本年六月三十日までに改めようとするものであります。  このように施行期日を延期しなければならなくなりましたのは、外国人の本邦内事業活動等に関しましてなお愼重考究を要する点がありまして、外国為替の集中、渉外債権債務の統制等に関する政令を制定するに至つておらないためであります。  以上が、この法案の内容並びに提出になりました趣旨でありますが、本法案は、三月二十八日、本委員会に付託されまして、翌二十九日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、各委員より、円建取引の構想、外国人の本邦内事業活動等の具体的内容等について質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に讓りたいと存じます。  次いで討論を省略し採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案外三租税関係法律案につきまして、大蔵委員会の審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。  まず災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案についてその趣旨と内容を御説明申し上げます。本法律案は、今回の税制改正に関連して所得税、相続税、富裕税法等の災害減免に関する規定を整備しようというのであります。すなわち所得税改正法案におきましては、震災、風水害、火災その他これらに類する災害等により流動資産以外の資産について損失を受けまして、その損失額が納税義務者の所得金額の十分の一を超過する場合、その超過額を所得金額から控除することとし、また流動資産については、災害等よる損失を事業所得の経費と見る建前ををとつていたのであります。しかるに、比較的に所得金額の少額な者が住宅または家財について甚大な被害を受けた場合には、従来と同様、本法律による簡易な災害減免の方途を認めることを適当と考え、納税者が所得税法の規定による災害等の控除の規定と本法律による災害減免に関する規定とのいずれかを選択できることとするのが、本法律案趣旨であります。しかして、この法律による軽減または免除に際しては、所得税の軽減または免除を受ける者の範囲を従来の所得金額十五万円より三十万円に引上げることとし、所得金額が十五万円以下のときは所得税額の全額を免除し、所得金額が十五万円を越えるときは所得税額の半額を軽減するのであります。  次に富裕税に関しましても災害減免に関する規定を設け、課税時期後、申告書の提出期限前に甚大な被害を受けた場合、納付すべきその年分の富裕税は、征来の相続税の場合に準じ、被害を受けた部分の価額を控除した金額によりこれを計算することとし、また災害を受けた場合における相続税の減免につきましても、今回の相続税法の全面的改正に伴いまして必要な整備を行おうとするものであります。  なお今回所得税及び法人税につき繰越控除の制度が創設ないし拡張されること等を考慮いたしまして、昭和二十三年及び昭和二十四年中に生じた災害たより事業の用に供する資産等につき甚大な被害を受けた者につきましては、個人及び法人を通じて、その年において控除できなかつた損失額を、被害を受けた年の翌年から三年間、必要な経費または損金として認める特例を設け、災害発生の時期の差異による被害の負担の著しい不均衡を是正しようとするのであります  次に国税犯則取締法の一部を改正する法律案について御説明いたします。国税に関する犯則者の取締りの強化に伴い、一層その執行の適正を期するとともに、納税者の正当な権利利益を保護することを必要と認め、その適用の実情にかんがみ若干の改正を加えようというのが本法律案趣旨であります。  まず改正り第一点は通告処分の履行期限の延長でありまして、間接税に関する犯則につき、従来は通告後七日を経過してなお履行されないときは告発することとなつてるのを、この期間を二十日に延長しようというのであります。その他刑事訴訟法の改正に対応し、收税官吏が物件を領置した場合の処理手続及びその効果を差押えの場合と同様とし、また助女子の身体を捜索する場合には成年の女子の立会人を要することとする等が改正の要点であります  次に国税徴收法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  現下の困難な経済緒情勢のため、最近におきまして国税の滯納は著しく増加し、国税徴收法による滯納処分を要する場合も相当増加しているのでありますが、その施行の実情にかんがみまして、延滯金制度の合理化及び差押え禁止物件の範囲の拡張をはかるとともに、地方税の重要性の増大に基づき国税と地方税の徴收上の順位を改正する等、同法に所要の改正を加えようというのが、本法律案趣旨であります。  すなわち、まず国税徴收の順位につきましては、従来国税は他のすべての公課及び債権に優先して徴收することとなつていたのでありますが、今回の税制改正に伴い地方税の重要性が著しく増大いたしましたので、国税と地方税とは原則として同順位で徴收することとし、ただ国税または地方税の滯納のため財産の差押えをしたときは、差押え財産の価額の限度において当該差押えをした方の租税が優先することとし、また納税者が強制執行、破産の宣告あるいは競売を受けた場合においては国税を地方税に優先して徴收しようというのであります。  次は延滯金制度の改正であります。従来日歩二十銭の割合で徴收することとなつていた延滯金を延滯加算税額に改めるとともに、その額を日歩四銭の割合に軽減するこことし、なお  その最高限を滯納税額の五%相当額に制限せんとするのであります。  次は差押禁止物件の追加であります。すなわち俸給、給料、賃金等のいわゆる給與所得につきその金額を差押えることは苛酷となる実情を考慮し、滯納者の受ける給與所得のうち七五%相当額の部分はこれを差押えることができないものといたします。  次に過誤納となりました国税等を還付する場合に付加する還付加算税につきましても、右に対応し、現行の日歩十銭も、利子税額の日歩と同様四銭に改めようというのであります。  その他差押え財産を随意契約によつて売却することができる場合を若干拡張する等所要の改正を行うとともに、租税の賦課徴收に関する処分または滯納処分に関する再調査、審査及び訴訟の制度及び手続き等につき、おおむね所得税法その他におけると同様な改正を行おうというのであります。  次に国税の延滯金等の特例に関する法律案について御説明いたします。  今回所得税法の一部を改正する法律案外各国税に関する法律案におきまして、本年四月からは、従来の国税に対する延滯金及び加算税に関する制度を合理化いたしまして、その日歩を軽減いたすことになつているのであります。本法律案は、さらに最近の経済情勢にかんがみ、本年一月一日さかのぼつてその日歩を軽減しようというのであります。すなわち、本年一月一日から三月三十一日までの期間に対する延滯金は、従来の日歩二十銭を八選に改め、また所得税、法人税、相続税及び通行税の同期間に対する加算税は、日歩十銭を四銭に改めることとし、なお本年四月以降利子税の制度に改められない非戰災者特別税、有価証券移転税及び取引高税の加算税についても、本年丹一月一日以降のものは日歩四銭に改めようというのであります。しかして、すでに延滯金または加算税を従来通りの日歩で納付しまたは徴收いたしておりますときは、その過納となる分を未納の国税等に充当するか、または請求に基いて還付することにしようというのであります。  なお以上の諸法律案は、いずれも四月一日より実施せんとするのであります。  次に審議の経過について申し上げます。この四法律案につきまして、二十四日及び二十五日、まず政府委員より提案理由の説明を聽取し、次いで質疑に入り、各委員より熱心なる質疑がありました。それらの質疑応答の内容に関しましては速記録を参照願うこととして、ここでは御報告を省略いたしたいと存じます。次いで二十九日、質疑を打切り、ただちに討論採決に入りました。まず川島委員は日本社会党を代表して、災害被害者に対する減免法案に関しては、その方向においては賛意を表するも、今日国民経済の実情から見て、この減免の基準は妥当なものとは認めがたい、また延滯金等の特例法についてはその根本において皮対であるから、改正法についても賛意を表し得ない、犯則取締法の改正については、きわめて不徹底であるから、これまた賛成しがたい等により四法律案に反対する旨討論せられ、次に三宅委員は自由党を代表し、いずれも時宜に適した改正であり、いずれも賛成する旨述べられ、次に河田委員は日本共産党を代表し、災害者に対する減免に関しては、なさざるにひとしいものであり、延滯金等の特例法については、本来延滯金等に同意しがたく、またこの程度ではなお過酷に過ぎる、また徴收法の改正は徴税官僚機構の強化である等の理由により、いずれも反対する旨討論せられ、次に宮腰委員は民主党を代表し、災害者に対する減免に関しては不十分で、もつと基準を改めるべきであり、延滯金等に関する特例及び他の二法案についても、改正の方向は了とするも根本法に反対するがゆえに本法律案に対しても反対である旨討論せられました。  かくて討議を終局し、四法律案一括採決に入りましたところ、起立多数をもつて、いずすれも原案の通り可決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。田中織之進君。     〔田中織之進君登壇
  20. 田中織之進

    ○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程に相なりました四法案に対しまして、きわめて簡單に反対の理由を申し上げたいと思うのであります。     〔議長退席、副議長着席〕  今回の国税徴收法の一部を改正する法律案外三件の国税に関しまする改正法律案につきましては、もちろんその改正の方向につきましては、われわれはあえて反対すべき理由を見出さないのでありますけれども、問題は、この程度の改正によつては、今日税金地獄に追い込まれておる国民の負担の軽減、救済、こういうことにはならないというのが、われわれの反対の根本的な理由でございます。たとえば災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案について見ましても、総所得金額が十五万円以下であるときには当該所得総額に対して全額免除することの規定が行われておりますけれども、現在の貨幣価値の段階におきまして、また近く行われるところの資産再評価等の関係から見まするならば、この程度の減免率をもつていたしましては、零細な所得者に対する災害を受けた場合の租税の面における救済ということには決して及ばないのであります。さらに問題は、経過的な規定に若干見ることになつておりますけれども、二十四年度以前の災害によつて被害を受けた者に対する租税の面における救済の経過規定がきわめて不十分であるということが災害被害者に対する租税減免等に関する改正法律案について言えるのであります。  さらに国税の延滯金等の特例に関する法律案について見まするならば、なるほどこの方向は、われわれとしてもあえて反対することはないと考えます。しかしながら、大体われわれは、延滯金というような名目でとるものは合算的な二重課税だと思う。われわれは、根本的にこの二重課税には反対するという建前から、この程度の延滯金利の引下げということについては全面的に賛成をするわけには行かないのであります。今日零細な滯納をせざるを得ないような状態に置かれておる者にとりましては、たとい従来旧渉二十銭のものが八銭に引下げられたとしても、これは過重なる負担であります。しかしながら、十分能力のある者が、たとえば源泉徴收に関する勤労所得税等の滯納を行つておる事実に対しましては、これはむしろ税務署から金を借りた方が安いという考え方がすでに出ておる。二十銭から八銭に引下げるということこによつて、税務署から金を借りるという声が出ておる。今日日歩十五銭だとか二十銭だとかいう高利の金を使つておる面から見まするならば、そういうことが言えることによつてもわかりまするように、われわれは、この程度の改正によつては決してこの二重課税という弊害が除かれるものではないという見地に立つて、これに対しましては反対をいたします。  さらに国税徴收法の一部を改正する法律案につきましては、ある程度民主化の方向に進んで参つております。これは私のあとに立つて討論せられるであろう自由党の三宅君が、声を大にしてこの改正をほめそやすでありましようけれども、これは当然のことでありまして、決して声を大にして賛成をすべき筋合いのものではない。これは政府が現下の税金地獄の実情に対してもつと理解ある態度をとりまするならば、当然さらに徹底的な改正を行うべきであるというのが、われわれ反対の根拠でございます。  国税犯則取締のの法律にいたしましても、国税の犯則者は決して刑事上の被告人なの、犯罪者と同一に扱うべきではないのであのます。国税の滞納者その他に対する取扱いにおきまして、刑事上の被告人あるいは犯罪者と同様な取扱いを税務官吏に行わしめるような、こういう惡法に対しましては、われわれは絶対に反対であるということを表明いたしまして、私の討論を終る次第であのます。
  21. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 三宅則義君。     〔三宅則義君登壇
  22. 三宅則義

    ○三宅則義君 私は、ただいま議題となのましたる災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案国税犯則取締法の一部を改正する法律案国税の延滯金等の特例に関する法律案国税徴收法の一部を改正する法律案の四法案に滯しまして、自由党を代表して賛成の討論をいたしたいと思うものであります。これより各法案の改正の要点につき、また特長について申上げ、満堂の諸君の御了解を得たいと思う次第でございます。  災害被害者に対する租税減免徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、震災、風水害、火災及びこれらに類する災害に対しまして特別の免除をいたしたいという点は、現今の経済情勢にかんがみまして、まことに時宜に適し、当を得たる改正であるということを信ずるものであります。従来は五万円までは全免し、十万円までは五割を所得から免じておつたのでありまするが、今回の改正によりまして、災害は十五万円まで全免し、さらに三十万円までに対しましてはその五割を控除することにいたしましたのでありまして、災害により自分の住宅もしくは家財等を消失いたし、あるいは甚大なる被害をこうむつた場合におきましては、比較的簡易なる方法によりまして免除または軽減をいたしたいという点は、わが党の要望をいれましたる社会政策の一端というべく、その効果きわめて顕著なるものがありと信ずるものであります。(拍手)今回創設せられましたる富裕税に関しましては、課税価額の計算の基礎となつた財産に甚大なる被害を受けた場合におきましては、これまた相続税と同様に必要に応じ減額いたしましたことは、まことに思いやりのある政策であると信ずる次第であります。  災害に関する今回の改正の大特長というべきものは、昭和二十三年もしくは二十四年において災害をこうむつた個人、法人を問わず控除できなかつた者に、今回三箇年間にわたつて必要経費もしくは損金に入れましてこれを控除しようという特例を設けた点は、まことにわが党の政策を如実に現わしたるものでありまして、この法案に対しましては、全国的に国民とともに感謝感激にたえないところであります。  次に国税犯則取締法の一部をを改正する法律案につきましては、今回の改正に伴いまして、物品税等間接税の犯則につき、いわゆる通告処分をするものでありますが、従来は通告後七日過ぎました場合においては告発することになつてつたのでありまするが、今回の改正によりまして、納税者の利便を思い、この期間を二十日に延長いたしましたので、納税者を裨益するところきわめて多大であり、まことに同情のある改正であると考える次第でありす。第二は、刑事訴訟法の改正に伴いまして、收税官吏が女子の身体の捜索にあたりましては、成年の女子をいたしまして立ち会わしめるようにいたした点でありまして、人権を尊重する意味合いにおきまして、まことに適当なる改正案であると思う次第であります。(拍手)  国税延滞金等特例に関します法律案に対しましては、わが党の政策実現に邁進いたしました効果百パーセントというべきものでありまして、従来の延滯金、加算税は、日歩二十銭または十銭というような、これを年利に通算いたしますと七割五分に相なるのでありまして、きわめて高額な、無慈悲な、罰金に類するものでありましたが、今回の新税法の施行にあたりまして、昭和二十五年四月一日よりこれが八銭もしくは四銭というふうに改正せられたのであります。これは、わが党内閣によりまして今回の特例を設け、本年一月一日にさかのぼりまして安い日歩四銭に改正しようとするものでありまして、まことに国民の納税者といたしましては朗報というべく(拍手)、が自由党といたしましては、政策実現に邁進いたしまして、天下に向つて堂々と発表し得るものであるということを確信するものであります。(拍手)  さらに非戰災者特別税、有価証券移転税、取引高税の加算税に関しましても日歩四銭に改正されたのでありまして、大いに納税者の便宜をはかつたものであります。なお同情ある手配といたしまして、今まで延滯金及び加算税を従来通り本年一月一日からこの三月三十一日までに日歩二十銭もしくは十銭として納めた方に対しましては、これはよけい納め過ぎたということに相なりますから、その分だけは将来の税金にあてるか、もしくは請求のあつた場合におきましては特に同情的に日歩十銭でもつてこれを計算し返還せしめたいということでありまして、従来の過酷なる税法から民主的なる税法に改まりました点は、まことにわが党の税制に関する努力の跡きわめて顕著なるものであるということを確信するのであります。  国税徴収法の一部改正に際しましては、今回の改正にあたり延滞金制度の合理化及び差押え物件の範囲を拡大いたし、地方税が国税とともに重大なる要素を占むるに至つたのでありまして、今回国税も地方税も同格順位によつて取上げ得るようになりました点は、国税、地方税を通じまして、税の重要性を一般に認識せしめたものでありまして、まことに公平なる措置であると断ずる次第であります。延滞金に対する日歩四銭と相なつておりまして、ただ指定期間後完納日まで一応延滯金額は四銭の日歩を加算せられますが、全体の五%を越えないことになつたのでありまして、これはたいへんに楽になつたわけであります。これを年利に直せば一割二分ということになるのでありまして、従来は七割五分でありましたことを考えますと、納税者の便益は大いなるものがあると信ずるのでありまして、合理的になり、まことにわが意を得たる改正案なりということを確信する次第であります。(拍手)  さらに俸給、給料あるいは賃金等に対します給與所得に対しまして、延滞者の給與所得中七五%までは、最低生活を保障いたしますために、基準点としてこれを所得者のものといたし、あとの二五%に対してのみ差押えをするという道を講じたのでありまして、いかにわが党が勤労者並びに労働者に対しまして同情ある措置にでたかということを御了承願いたいと思うのでありまして、この点は八千万国民とともに歓迎すべき点であるということを信ずる次第であります。(拍手)  この四法案を通覧いたしますところ、多年税務行政は官吏の一方的独善によつて決定せられておつて、納税者の怨嗟の的とかなつてつたのでありますが、今回の改正によりまして合理的制度に改まり、民主的な課税及び徴收となつたのであります。災害者の特例といい、また国税犯則取締法といい、延滯金の特例といい、国税微收法の一部改正といい、まことに時宜に適し、国民の欲する改正を断固勇敢に実施いたしました点は、わが自由党といたしまして絶対多数の威力と申し上げるべく、八千万国民とともに賛意を表する次第でございます。(拍手)  以上をもちまして、四法案に対しまして、自由党を代表いたしまして賛成討論をいたした次第であります。何とぞ満堂の諸君の御賛成を賜わらんことを期待いたしてやみません。(拍手
  23. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 橋本金一君。     〔橋本金一君登壇
  24. 橋本金一

    ○橋本金一君 民主党を代表いたしまして、ただいま議題となつております各案件に対し反対の意を表します。  大体内容並びに数字につつきましては、ことに自由党の代表から感謝感激のうちに詳細にお述べになりましたから、つとめて簡單に私は反対の一、二を申し述べまして、皆さんの御了解を得たいと思います。  大体犯則につきましてもいろいろ解釈はございますが、最も重要な点、あまりに納税者を奴隷視してはおらないかという点であるのであります。従来は、一応調査あるいは捜査の場合におきましては、それぞれ必要な立会人を設けてあつたのでありますが、今回婦女子に至りましては、もちろん二十歳の成年者の立会いはあるとはいえども、かりそめなる捜査状により、婦女子に対して何らこれを保証するの方法をとらずして、いたずらに捜査に向うとか、あるいは錠前とか、とびらというものも自由に税務吏官によつてこれが行い得るというに至りましては、私どもはであまりにも納税者を奴隷視するのではないかということを考えざるを得ないのであります。  さらに、先ほどからいろいろと災害に対する免税に対して感激をしておいでになりますが、実際現在の財界の事情あるいは国民一般生活の不安が日に日に迫つて参ります今日におきまして、かような不可抗力的な災害に対して、減免というよりも、私は全面的に免除をするのが適当ではないかといわざるを得ないりであります。(「君らだつてやらなかつたじやないか」と呼びその他発言する者あり)わからなかつたら、あとでお聞きください。  さらに徴收法におきましても、またいろいろとお話はありましたが、かりに地方財政の改正はいたされたといえども国税をしてこれら各面の優先的徴收をなすとかであるいはまた一般債権に優先してこれの徴收をなすとかということに、一般の地方の実情が無視し、ただ国税を徴收せんがための徴收法である。また、それに対する差押え、公売に対する制度を見ましても、従来大蔵大臣は、常に、差押え、公売に対しては、強制あるいは税金を徴收するのに差押え等はできるだけ避くべきことを言明しておるにかかわらず、法の改正によつてこれを強化する事実は歴然たるものがあるのであります。(発言する者あり、拍手)かような矛盾した法の改正に対しては、私どもは根本から反対せざるを得ないのであります。  以上の理由によつて、民主党を代表して絶対反対の意を表します。(拍手
  25. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 河田賢治君。     〔河田賢治君登壇
  26. 河田賢治

    ○河田賢治君 ただいま上程されました五法案に対しまして、私は日本共産党を代表して反対の討論を述べんとするものであります。特に上程されましたうちの国税犯則取締法国税徴收法の一部改正、これに重点を置いてお話したいと思います。御承知のごとく、現在税務署は、先ほど三宅議員の礼讃にもかかわらず、決して税法通りに仕事をやつておりません。たとえば申告におきましても、現に各地の農村におきましては、税務署自体が確定申告の額まで記入して、これを差出せと言つて強要しております。これは明らかに今日の申告納税制度の違反であります。また更正決定、仮更正決定あるいは確定に対する更正決定にしましても、実情を何ら調べずに、二倍、三倍、はなはだしきに至つては、予定申告、仮更正決定、あるいは確定申告と、こうして申告すればするほど金額がどんどんふえて、十万円の最初の申告が三十万円くらいになつて来ておるという例は多々あるのであります。こういう今日の税務署のやり方に対し異議申請をすれば、こういうものは、ほとんど調査をせず、ただちに差押え、競売をやつております。大蔵大臣は、じたばたしてもしようがないと言うが、じたばたしながら死んで行く人は相当つたはずであります。(発言する者あり、拍手)従つて與党の諸君でも——大蔵委員会におきましては、今日の徴税のやり方に対し、また税務の執行に対して、すべての議員国税庁長官その他多大蔵に対して非常に強硬な質問をやつておられるのであります。このように、今日日本の全体が、現在の法律を無観したようなこのやり方で徴税をやつておることは、万人の認めるところであります。ただ国会でだけ皆様がこれを認めないにすぎないと私は思います。こういうふうに、今日の中小企業がどんどん破壊され、おまけに生活に食い込むところの重税が来、さらに税務を執行するところの徴税官吏によつてこの法律を無視したようなやり方をもつて徴税されて、いわゆる税金地獄が現出しておるのでありますが、今度の法律の改正案、たとえば国税犯則取締法国税徴收法におきましても、決してこの方法を緩和するどころではなく、むしろこれを強化せんとしておるのであります。  先ほど他の議員からも指摘されたごとく、国税犯則取締法の第三條の二には、收税官吏が臨検、捜査または差押えをなすにあたつては、錠を破り、あるいはとびらその他封を開くこと等の処分をなすことができる、こういうような新しい條項が追加されておる。これは普通の刑事事犯と違いまして、いわゆる国税あるいは税金の問題などは、こういう必要がないはずである。しかるに、税務署は一方的にこうして錠を破り、あるいはとびらを破つてでも入ることのできるというところに、今日の徴税がますますフアツシヨ的な方向に向つておるということを明らかにこれは物語つておるのである。(拍手)  さらにまた、先ほども指摘されましたように、この第六條の第三項における女子の身体の捜査については、成年の女子を立合わしむべし、但し急を要する場合はこの限りでない。女子に対して成年の女子を立会わせるということは一応ありますけれども、今日の税務の執行におきまして、捜査その他の執行においては、先ほども申しましたように、決して、今日の徴税官吏はこのような法律を嚴格に守る意思のないことは明らかである。従つて、すべてにおいてこの但書の方を流用しまして、すなわち婦人に対して身体の検査をすることができる、立会いなくしても婦人をまつ裸にすることもできるという法律なのであります。(発言する者あり、拍手)こういうふうに、今日われわれ日本の基本的な人権すらも無視するところの法規をこの法律の中に織り込むということは、いかに今日の徴税方法が、先ほど申しましたように暴力的、フアツシヨ的になりつつあるかということを明らかに物語つておる。さらに国税徴收法の方におきましても、労働者給與所得から、たとえば七割五分以下に対してはやらぬが、それを越えた場合は差押えをすることができるとうたつておる。ところが、今日御承知のように、税を引かなくても、まるどりしても、今日の賃金では食えないのが現在の状態である。しかるに、税金が少し遅れたからといつて、七割五分以上の者に対しては差押えができる。すなわち、生活の保障もせず、生活の安定もせずして、税金だけはどんどんと生活に食い込むような税金をとりながら、さらに税金を納めなければ、これすらも差押えをして行くというようなことが、この新しい法律に追加されておるのである。  またその他、今日税務署におきまして、一般の人々をおどかしておる。たとえば税務署が、裁判所に訴えたならば、お前さん方の今の帳面はだめだ、もつと詳しいものをつくらなければ、裁判所に出ても勝てぬのだ、こう言つておどかしておる。こういう現在の徴税官吏のおどかしが、すなわち今度の法律の中には、これが合法化されまして、国税徴收法の中にやはり入つておる。裁判の手続その他のことについては裁判自体の問題である。それを今度の国税徴收法の中には、この規定をやはり設けておる。こういうふうにして、いわゆる納税者に対して、十分法律の詳しくない者に対しては、どんどんと税務署がおどかしの手をやることができるように、今度の徴收法の中は、すつかり綱の目を張つておるりであります。  こういうふうにして、今度の国税犯則取締法、特にまた国税徴收法の一部の改正、これらの二つの法案の意味するものは、現在のこのフアツシヨ的な徴税方法というものをますます合法化しますますこれを強化し、国民に対する徴税を、これまでの民主的な、納得の行く方法によらずして、むしろ強権をもつて、力をもつて取上げて行こうという方針が、この法案に盛られたのであります。(拍手)今日の政治が、すべてこうした官僚的な、あるいは専制的な方向に向いており、そうして徴税の機構においても、それが一環をなして強化されるのであります。従つて私は、特に国税犯則取締法及び国税徴收法の一部を改正する法律案の反対論拠を明らかにして、ここに上程されました五つの法案に対して反対の意思を表明するものであります(拍手
  27. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  五案を一括して採決いたします。五案の委員長の報告はいずれも可決であります。五案を委員長の報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  28. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて五案とも委員長の報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  29. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第七は委員長提出の議案でおりますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。  日程、第七、国家公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。人事委員会理事玉置實君。     〔玉置實君登壇
  31. 玉置實

    ○玉置實君 ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を弁明いたしたく存ずるのであります。  まず本法案の趣旨並びに提案理由を申し上げますと、今般食糧管理法の一部を改正の結果、食糧配布公団の存続期間が一箇年延長となりますので、これに伴いまして、食糧配給公団職員は、その職務の性質上特別職とする必要があるのであります。これが特別職に関する規定の有効期間を同様一箇年間延長せんとするものであります。すなわち、国家公務員法第二條第三項第十四号中「昭和二十五年四月一日から」とあるのを「昭和二十六年四月一日から」に改めようとするものであります。  人事委員会におきましては、全会一致をもちまして、これが延長を適当と認めまして、本法案の提出決定いたしたような次第でございます。何とぞすみやかに御審議の上、各位の御賛成をお願い申し上げる次第でございます。
  32. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  33. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。      ————◇—————
  34. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議を損出いたします。すなわち、内閣提出、輸出信用保險案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  35. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  36. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  輸出信用保險法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事小金義照君。     〔小金義照君登壇
  37. 小金義照

    ○小金義照君 ただいま議題となりました輸出信用保險法案につきまして、委員会における審議の概要並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のごとく、本法律案は、さきに第六臨時国会におきまして審議未了と相なりましたもので、その後構想を新たにあたしまして、今回再び委員会提出せられたもりであります。まず、法案の趣旨を御説明申し上げます。  今日の対外取引は、国際情勢の変動等に伴いまして経済上及び政治上の諸制約を受けるものでありまして、従つて国内取引とは比較にならない大きな危險が伴うものであります。そこで、輸出業者は取引上の不安にさらされながら輸出契約の締結並びに輸出品の生産、集荷等に当らなければならなかつたのであります。従いまして、金融機関の輸出業者に対する資金の融通も、おのずからきわめて消極的とならざるを得なかつたのでありまして、これが輸出伸長に著しい障害を與えておつたのであります。よつて、これら輸出貿易に伴う海外の特殊な危險を保險する制度を実施することによりまして輸出貿易の危險をある程度保障いたしまして、金融上生ずる不安を除去いたし、輸出業者並びに関係生産者の取引きを活発に行わしめ得る体制を確立することが刻下緊急の用務でありまするとともに、今後の輸出振興の基本的な方策であると言い得るのであります。  次に本法律案要点を申し上げますと、第一に、取引契約ができれば、ただちにこれを保險の対象となし得るのてあつて、輸出業者は民間保險会社と保険契約を結び、政府がこれを全額再保險するものでありまして、輸出業者が受ける損失を補填する損害保險であります。第二は、通常の保險によつては救済することのでき得ない危險を保險する制度を確立しているのであります。第三としまして、損失補償の額は契約額の百分の八十以下の範囲内とし、業者が保險を希望する場合に納める保險料率は、保險期間三箇月、千分の六を基準とすることになつております。  以上が本法律案の要旨及び要点でありまして、三月八日委員会に付託となりまして、十一日提案理由を聽取し、二十二日及び二十四日の二日間わたりまして、政府委員との間に熱心な質疑応答が行われたのであります。詳細は会議録に讓りますから、御参照願いたいと存じます。  続いて三十日に補充質疑を行い、討論に入りましたところ自由党中村幸八君より、将来においては貿易業者に対しさらに手厚い国家的保護を與えることを期待いたしたい、さらにこ種補償法としては、いまだ完璧とは申しがたいが、政治的不安の濃厚な仏印、台湾等に対する輸出業者にとつては得望の法律案であるだけに、すみやかに実施する必要があるという趣旨の賛成意見の開陳があり、次いで日本社会党板木泰良君より賛成、日本共産党風早八十二君よりは反対の討論がありました。引続き採決に入りましたところ、多数をもちまして本法律案を可決すべきものと決した次第であります。  右簡單ながら御報告申し上げます。(拍手
  38. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。風早八十二君。     〔風早八十二君登壇
  39. 風早八十二

    ○風早八十二君 私は、日本共産党を代表して、ただいま上程になりました輸出信用保險法案に反対の意見を表明するものであります。  第一に、政府が現在の危機のただ一つの切抜け策として望みをかけておりましたローガン構想も、日英協定貿易におきまして明瞭に示されましたように、輸入だけはしたけれども、輸出は完全に締め出されてしまつた。周知のように、食糧を初め外国の過剰商品が陸続と押しつけ輸入をされているのが実情であります。こういう貿易不振というものは、決して片々たる小手先の対策では、もはや解決することができないものになつております。自主的な貿易によつて、戰前輸出総額の四十%を占めておつた中国を初めとし、平和的な通商関係の設立によらなければ、この事態はもはや解決できないのであります。しかも、かかる貿易の行き詰まりの中で、百九十億円に達するキヤンセル、クレームこそは、講和條約を締結しない前に、むりに飢餓輸出、ダンピング輸出をしつつそれによつて生じたものでおるにもかかわらず、この点をほおかむりして、結局は国民の税金負担に帰着するところのものによつて輸出業並びに保險業者の輸出不振に対する怨嗟、反撃をそらそうとするのが、この法案の目的であります。  第二、中国、北朝鮮、ソビエト同盟、その他これらの近接有利な地域の貿易というものは完全にボイコツトして、民族解放闘争の高揚で、かのジエサツプ大使をして絶望的な状態であると言わしめた東南アジアを初めとして、南鮮、台湾を対象として、これに戰略物資の供給をやる、それによつて生じた損害をこの法案で補償しようというのがねらいであります。  たとえば、ここに朝日新聞の三月十六日号がありますが、これによつても、台湾に対して日鉄から鉄條網、あの有刺鉄線というものをどんどん送つております。これは台湾の内部の状状態、また台湾と中国との関係、これらをわれわれが見合うならば、この問題がいかなる意味があるか、きわめて明らかであると考えるのであります。軍事的な紛争地域への貿易について、政府は、損をしたら補償するからどんどんやれと奨励している結果になつているではありませんか。  第三は、恐慌輸入の当然の結果、発生した輸入滯貨の処分については、税金による穴埋めと、業者への圧迫を押しつけながら、その上この法案のような輸出保障をして、大衆の負担において一部大資本の利益を保護せんとしている点であります。これは完全に恐慌輸入を促進するために例の飢餓輸出を促進することを意味しております。  第四に、この法案により政府が保險会社をして保障することは、実は今度この法案に規定してありますように、外国保險会社国内の保險会社と同様の立場で活動できることになり、現に問題になつている外国保險会社の進出が一層促進され、これに対する隷属化が促進されるという結果になる点であります。  以上私は、日本政府の自主性の回復、民族の独立こそが貿易不振を解決するただ一つ解決策であるいうことを指摘し、吉田内閣の手によつて行われる戰争挑発に片棒をかつごうとするようなこの法案には絶対反対の意思を表明するものであります。
  40. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  41. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長の報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  42. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出輸出信用保險特別会計法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  43. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  輸出信用保險特別会計法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事北澤直吉君。     〔北澤直吉君登壇
  45. 北澤直吉

    ○北澤直吉君 ただいま議題となりました輸出信用保險特別会計法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法案は、今国会に提出されております輸出信用保險法案によつて輸出借用保險制度が実施されました場合、新たに輸出信用保險特別会計を設けまして一般会計と区分し、その経理の状況を明確にするために提出なつたものであります。  次にこの法案の要点を申し上げますと、この特別会計は通商産業大臣が管理し、その資本予算の定めるところにより一般会計よりの繰入れ、その歳入は一般会計よりの繰入金、保險料及び附属雑收入とし、その歳出は保險金、事務取扱費その他の諸費とし、損益計算上の利益または損失は翌年度に繰越して整理することといたしております。  この法案は、三月八日、本委員会に付託されまして、十四日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、十七日及び二十三日の両日、各委員より熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に讓りたいと存じます。  次いで、本日討論に入りましたところ、竹村委員は共産党を代表して、現在の貿易関係が対等でない等の理由輸出信用保險法案に反対である立場よりこの特別会計法案にも反対である旨を述べられ、北澤委員は自由党を代表して、日本再建基礎である輸出振興に寄與すること大である輸出信用保險法案に賛成である立場よりこの特別会計法案に賛成する旨を述べられ、宮腰委員は民主党を代表して、輸出信用保險制度を輸出補償制度に進展すること等の希望條件を付して賛成の意を表せられました。  次いで採択いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。  右御報告申し上げます。
  46. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  47. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長の報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  48. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員会理事藤枝泉介君。     〔藤枝泉介君登壇
  51. 藤枝泉介

    ○藤枝泉介君 ただいま議題となりました政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びに結果を報告申し上げます。  御承知のように、政府職員の新給與実施に関する法律昭和二十五年三月三十一日限り効力を失うことになつておりますので、その有効期間を一年間さらに延長することを目的として本法案は提出されたりであります。  本法案は、三月八日、本委員会に付託になり、同二十七日、提案理由の説明を聽取し、二十九日、三十日質疑を行いましたところ、各委員より熱心なる質疑がありましたが、その詳細は速記録に讓り、質疑の中心となりました点を申し上げますれば、現行ベースの妥当性、すなわち人事院の勧告にもかかわらず給與ベースを何ゆえに改訂しないかについてでありまして、これに対し増田国官房長官より、過去においてはインフレを追つて給與ベースの引上げが行われて来たが、今日経済安定政策効果が上つてる際には、不十分ではあるが、いましばらく現行ベースを維持したい、しかしながら、昭和——九年の給與水準を目標として実質賃金向上に努力するつもりである、二十五年度予算においても一人平均七千四百円を計上しておる。従つてまた、CPIが下つてもそれにスライドして給與ベースを引下げる意思はない旨答弁がありました。  質疑を打切り、引続き討論に入り、自由党を代表して藤枝委員より、公務員の給與は結局国民の負担能力によるものであつて給與基準は財政経済を考慮して決定する必要があり、現状のことぐ実効価格が横ばいの状況にあつて給與の水準を現状のままにすえ置くことが妥当である、しかしながら、二十五年度予算における平均給與七千四百円のわく内において、規則通りの昇級及び超過勤務手当、旅費の支拂い、勤務地手当の是正等につき十分の研究をされたいと要望されて本法案に賛成、日本社会党を代表して松澤委員より、給與水準、民間給與との均衡地域給その他内容において是正すべき幾多の点を有しながら現行のまま單に一箇年有効期間を延長することは何ら問題を解決することにならない点、給與政策に一貫性がない点等を指摘してこれに反対、民主党を代表して中曽根委員よりは、法律秩序の擁護の立場から、また財政経済上の点からこれに反対、日本共産党を代表して土橋委員よりは、国家公務員の生活の実態は赤字の累積であるにもかかわらず、最低生活の保障すら考慮されていない点等を指摘してこれに反対せられました。  以上をもつて討論を終結し、続いて採決に入り、起立多数をもつて本法案を可決すべきものと議決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  52. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 要論の通告があります。順次これを許します。松澤兼人君。     〔松澤兼人君登壇
  53. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました政府職員に対する新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案に対し反対の意を表明せんとするものであります。  われわれは、昨年十二月の人事院勧告七千八百七十七円ベースを十二月一日より実施するという立場、四月以降は九千七百円ベースを採用するという基本的な立場を持つておりますので、政府が人事院の勧告を無視し、漫然と六千三百七円ベースの一年延期の法律改正をなそうとすることに深い不満の意を表明するものであります。  政府が六千三百七円ベースすえ置きの理由といたしまして、いわゆる給與白書に述べておるところによりますと、現行ベースが完全に実施されたのは昨年の三月であつて、実質賃金はそれ以来向上しておるというのであります。しかし、申すまでもなく新給與法は、独身青年男子職員の最低生活水準維持費を一昨年七月で打算したことは当初の勧告において明らかにされておるのでありまして、かつ新給與法は、六千三百七円ベースの実施期を昭和二十三年十二月一日から適用しておるのでありまして、政府法律をつくり、その実施期日を明示しておりながら、現在に至つて、その完全実施の時期が昨年の三月であるというようなことを政府の公式文書において発表するがごときは、まことに奇怪千万といわなければならないのであります。思うに、かかるインチキの公表をなす魂胆は、昨年三月以来、経済諸指数がやや横ばいの傾向を示し始めたことによるのでありまして、事実の捏造であると申さなければなりません。  一昨年七月、すなわち六千三百七円ベース計算の基礎となりました数字に比較すれば、物価は昨年の七月において三七%の上昇を示し、民間給與との比較は、同じ期間に全工業平均賃金は七二%の増加となり、昨年七月において、民間給與八千四百十九円のうち毎月きまつて支給される現金給與七千八百九十五円と、そのまますえ置かれました六千三百七円とを比較すれば、千三百八十八円の開きがあるのであります。国家公務員法第六十四條は、政府職員給與民間給與と均衡のとれたものでなければならないことを規定しておるのでありますが、昨年四月現在において、人事院勧告によつても、三五%政府職員の方が民間給與よりも下まわつておることを決しておるのでありまして、政府は、これをさらに一箇年放置して何ら顧みようとしていないのでありまして、この国家公務員法の違反の見地から、われわれは断固反対せざるを得ないのであります。これが反対の第一点であります。  さらに給與白書によれば、政府は今後のやみ価格及び自由価格の値下りにより実質給與は改善されると述べているのでありますが、勤労者の飲食物の八〇%は配給に依存しているのでありまして、八〇%の配給飲食物は、公定価格の改訂によりますます騰貴し、実質賃金は改善されるどころか、かえつて改惡されて来るのであります。すなわち補給金の打切り、電燈料、家賃の値上り等は勤労者の生活をさらに圧迫するとともに、国税において多少の軽減はあるにしても、地方税においては、たとえば住民税が所得割と均等割によつて課税せられる結果大増税となり、たとえば東京都において、十万円の所得を有する独身者は、現行の税率の十倍ないし十四倍となるのでありまして、さらに固定資産税は企業に影響を及ぼすのみでなく、生産コーストとして大衆に転嫁され、また直接家賃、間代の値上りとなり、家計の支出はいよいよ増大するのであります。自由価格の値下りが多少あるにいたしましても、以上によつて引き去られた勤労収入に対しては、手の届かない高嶺の花にすぎないのであります。政府が言う生活必需物資の増配による生計費り軽減も、もしあると仮定いたしましても、政府職員に対してのみなされるのではなく、国民全体に対してなされるのでありまして、民間給與との開きは、かかる政府の施策によつては埋まらないのであります。従つて、実質賃金の充実をはかるという政府の主張はこれを期待することができないのでありまして、政府職員のみがさらに一年犠牲にならなければならない理由はどこに存在しないのであります。これが反対の第二点であります。  反対の第三点は、政府給與対策に関する一貫性がなく、さらに将来の見通しを欠いておるという点であります。昨年人事院の勧告を受けて以来、これを十分に検討することなく、ただちに給與改訂を行わずと称し、野党及び院外の要求にゆさぶられて、年末に来て、わずかなる年末手当を支給し、これをごまかし、国鉄裁定は資金上、予算上支出可能であるにもかかわらず、これを裸のまま国会に承認を求め、裁判所の裁定確認の決定によりその立場を失い、さらに專売裁定も、公労法第十六條第二項により不承認を求めるために国会に付議したのでありますが、中途において資金上支出可能として国会の審議を混乱せしめたのであります。かようにいたしまして、公労法の精神を蹂躙し、さらに年度末手当を出すと言い、しかもただちにこれを取消して給與内容の改善をはかると言い、何らの具体的な方策を示しておらないのであります。  政府職員は、公共の奉仕者として憲法に規定する労働基本権を制約され、そのために国家公務員法その他により、人事院が給與、福利、利益を擁護する建前になつておりますことは、御承知通りであります。政府は弾圧的な規定を強行し、政府職員の幸福と利益を守ることにはまことに不熱心でありまして、これが現内閣の性格を物語る以外の何ものでもないと信ずるのであります。われわれは、政府が給与裁定に関する見通しを示さず、給與内容の改善をはかる具体策を示さない限り、六三ぺースの延長には絶対に賛成できないのであります。  最後に、昭和二十四年、二十五年の予算を通じ、超均衡予算の強行が国民購買力そ減退させ、労働者農民の生活窮乏、中小企業の没落、破産、失業の増加、滞貨の増大、企業の整備等、まことに社会は惨憺たる窮状を露呈しておるのであります。われわれは、この経済の安定ということが、單に金融の安定、独占的企業の安定であつて国民生活の安定が決して実現していると考えないのであります。かような意味におきまして、われわれは、二十五年度の予算に対しまして、返上を主張して来たのであります。われわれは、民主主義を愛し、日本の再建のために苦闘する政府職員諸君とともに、必ずや近き日におきまして、血のにじむような叫びをもつて要求しております九千七百円ぺース実現の勝利の日があることを信じておるのであります。  以上をもちまして、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております案件に対する反対の討論を打切ります。(拍手
  54. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 土橋一吉君。     〔土橋一吉君登壇
  55. 土橋一吉

    ○土橋一吉君 ただいま議題と相なつておりまする政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、私は日本共産党を代表して反対の意見を表明するものであります。  政府が六千三百七円ベースを将来一箇年間にわたつてすえ置こうというようなこの法律案は、これは吉田政府が内外の独占資本家あるいは大企業家というようなものの利益のために一般労働階級を収奪する基礎になつておりまする法案でありまするので、私たちは、この六千三百七円ベースの一箇年すえ置きにつきましては、こういうようなことを政府が出しますことについて根本的に反対の意見を表明するのであります。  なおベース貸金は、御承知のように資本主義社会におきましては、一般労働階級の生活を保障することなく、單に能率をあげ、あるいは資本家側の諸君考えておりまする生産コストの見合いから考えられました賃金でありまするので、こういうものを支給することは、労働階級の生活を顧みない政策であるとわれわれは考えるのであります。従つて、六千三百円べースにいたしましても、ベース賃金そのものにわれわれは反対するのであります。  なお労働省の金子統計局長が、いろいろ昨年の委員会におきまして資料を出しておりまするが、全国の工業平均賃金は、昨年十月におきましては八千六百二十六円であります。ところが一般公務員は六千三百七円でありまするから、常識的に考えましても、ここに二千三百十数円という賃金の開きがあるのであります。本日も官房長官は、いや政府の方では、昨年の十月には七千二百四十六円の給與をしている、こういうことを公言いたしておりまするが、この超過勤務手当というものは、御承知のごとく、労働者が自分の力によつて普通の勤務時間以上に働いて取得する労働の対価であります。でありまするから、これがベース賃金の基準になるような説明は、いかに誤つているかということは明瞭であります。  現在の公務員諸君給與は、六〇%を占めておりまする六級以下の職員が、平均の給料におきましては五千六百三十九円であります。それを本給で平均比較しますならば四千二百九十六円というような低賃金で公務員諸君がおりまするが、こういう状況が続いておりますると、失策は増大し、さらに企業は整備せられ——こういう状況では、おそらく公務員諸君の奥さんの内職も私はない状態と思うのであります。昨日も、立川の職安に自由労働者諸君が押しかけて参つたのでありまするが、そのうちに、警官諸君の奥さんが、しかも職を求め、就労手帳を求めて参つておりまするけれども、これをも発行ができないという状態にあるのであります。  さらに、政府が六千三百七円ベースを議会において受諾いたしましたのは、これは一昨年の七月の資料に基いておるのであります。ただいまから見るならば、昨年の七月の生活資料を考えてみると、当然私は、人事院の勧告といわず、公務員諸君の九千七百円程度の給與は至当であると考えるのであります。この人事院のきわめて謙虚な、きわめて過少な勧告の七千八百七十七円ですら、吉田政府はこれをいれようとしないのであります。こういう態度は、いよいよもつて公務員の生活を惡化せしめるものであります。かように私は断定しなければならぬと思うのであります。  なお国家公務員法は、御承知のように公務員諸君団体交渉権を否認をし、しかも罷業権をも奪いとつておるのでありますから、当然人事院の勧告政府が誠意をもつてこれをのみ、かつ国会においても、自由党諸君は謙虚ななる気持をもつてこれを審議しなければならぬと思いますが、この審議の過程において、自由党は常に給與改訂については反対をし、会議を遅延して今日に至つております。従つて私は、こういう国家公務員法政府自身が打破り、政府自身がこれを圧殺するような態度——これは先ほど松澤君からも言いましたように、公労法の場合も同様、当然タバコ專売の裁定については、政府は法規裁量の制約を受けておるのであります。あるいは国鉄の場合におきましても、私は同様に政府は公労法の制限下にあると思うのでありまするが、このように公労法を蹂躙し、あるいは国家公務員法をどんどん圧殺しておりますることは、これは人事院が過日職階に関する法律案を出しましたのと軌を一にいたしまして、日本の労働階級に奴隷賃金を強要するものであります。こういう状態は、さらに失業を増大し、労働を強化いたしまして、かつての天皇制当時におきまする官吏制度の復活であるといわなければならないのであります。(拍手)これは低米価政策とさらに軌を一にいたしまして、いよいよ日本の勤労階級を植民地化する状態であるのであります。  御承知のごとく、政府のこの予算関係を調べて参りましても、一般会計におきましては、歳出の七割三分というようなものが軍事基地化と植民地的な方向へ使われ、内外の資本家をふとらす方向に使つておるのであります。また歳入面におきましても、大衆課税は歳入の七割六分を占めておりまするが、政府がこのたび行つておりまする補給金の削減と電気料金の値上げと、さらに地方税の増強によりますならば、おそらく労働階級はもう生きて行けない。昨今「町行かば首つる商人、村行かば娘売る農民、徴税の辺にこそ死なめ、政府は顧みもせず」という歌があるのであります。これはまさに吉田政府のこの政策をはつきりと表明いたしておるのであります。  人事院の人事官もおられますが、人事院の国家公務員法について出しております指令にしても規則にしても、政府の六千三百七円ベースの一箇年間延長すえ置きと軌を一にしているのであります。人事院がほんとうに政府や国会に勧告をする熱意がありますならば、昨年のあの補正予算を編成する以前に当然勧告すべきであつたのでありまするが、それを遷延しまして、臨時国会におきまして補正予算が審議せられた後の十二月四日に政府及び国会に勧告をしておるのであります。こういうことを考えて参りますと、政府も人事院も全部が一緒になつて公務員の利益を守つていないということを完全に証明しているのであります。これがいよいよ吉田政府の実質的な軍事基地化の方向に参りまするが、これが全労働階級の低賃金の方向のしわ寄せでございます。でありますから、地方公務員も、公共企業体労働関係労働者も、全日本民間産業労働省も、この六千三百七円ベースの一箇年間すえ置きのてこ入れに全部同調せざるを得ないような状態を政府みずからが考えているのであります。  こういう態度につきましては、議論は民主自由党の諸君はいろいろ申されております。政府もいろいろ御説明に相なつておりますが、私たちは、こういう意図を考えて、この奴隷賃金の制定、植民地的賃金の強要、さらに軍事基地化の方向に行きます吉田政府のこの賃金政策には、まつこうから反対をいたしまして、本案に反対するものであります。(拍手
  56. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  57. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  北海道開発法案内閣提出
  58. 山本猛夫

    山本猛夫君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出北海道開発法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  59. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  北海道開発法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長鈴木明良君。     〔鈴木明良君登壇
  61. 鈴木明良

    ○鈴木明良君 ただいま議題となりました北海道開発法案について、内閣委員会の審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  本法案は、北梅道における資源の総合的な開発に関する基本的事項を規定することを目的とするものでありまして、北海道総合開発計画に関する規定と、その所轄官庁としての北海道開発庁の組織、権限に関する規定とからなつております。すなわち北海道の開発事業は、従来関係行政機関が個別的に立案、施行しておりました結果、その間総合性、統一性を欠き、従つて北海道に投入される少からぬ国費の効率発揮上はななだ遺憾の点が多かつたのであります。政府は、未開発資源の今なお豊富な北海道の特殊性にかんがみまして、総合的な開発計画を立て、これを推進するために、これを專管する強力な行政機関を設けることが、終戰後国土が著しく圧縮せられましたわが国といたしましてまことに緊要なことと思い、この法律をつくらんとするものであります。(拍手)  内容のおもなるものについて申し上げますならば、第一は、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合的に開発するため北海道総合開発計画を樹立し、これに基く事業昭和二十六人度から実施する旨を規定しております。その開発資源の範囲については、これを政令で定めることとしております。なおこの開発計画には、関係地元民の意向を十分に反映せしめるため、関係地方公共団体が開発計画に関し内閣に対して意見を申し出ることができるようになつております。  第二は、総理府の外局として、国務大臣を長とする北海道開発庁を設置し、これをして北海道総合開発計画について調査立案せしめるとともに、開発計画に基く事業実施に関する事務の調整及び推進を專管せしめることを規定しております。なおこの北海道開発庁には、長官を助けて庁務を整理する次長一人のほか、庁務に参與させるため非常勤の参與十人以内を置くこととしておりますが、この参與は、関係行政機関の職員の中から長官がこれを命ずるものでりまして、関係行政機関との連絡協調に遺憾なきを期せんとする趣旨であります。  第三は、北海道開発庁に、その付随機関として北海道開発審議会を置くことを規定しております。この審議会の使命は、開発計画に関する重要事項につき調査審議して同庁長官に建議することができるとともに、同庁長官の諮問に応じ、開発計画に関する重要事項について調査審議することとなつております。その組織は、任期を二年とする非常勤の委員が二十人以内をもつて構成しております。会長は委員の互選による旨を定めておりますが、委員は衆参両院でそれぞれ指名した衆議院議員五名、参議院議員三名、北海道知事、北海道議会議長及び学識経験者の中から内閣総理大臣がこれを任命することとしております。  以上は本案の骨子でありまして、本案は北海道開発庁の準備の都合上、本年六月一日からこれを施行しようとするものでありますが、現に事実上設けられてあります北海道開発審議会に、それまでの間その機能を発揮せしむべく、これを法制化して総理府設置法の一部を改正し、四月一日からこれを施行する旨を附則において規定してあります。  本案は、三月二十五日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、建設委員会とも連合審査会を開いて質疑を重ね、慎重審査を行いましたが、建設委員会からは、地方計画を国土計画に先行せしめることは妥当でないから、すみやかに総合国土開発法案の提出を求め、両々相まつて国土の復興に寄與されるよう考慮せられたい旨の申し入れがありました。  三月三十日、討論に入りました。その詳細は会議録に譲りたいと存じますが、その中で、新憲法の精神から言えば立法府と行政府とは嚴にその混淆を危くべきであつて、この点から北海道開発審議会に国の最高意思決定すべき重大職責を有する衆参両院議員を含ましめることは妥当でないとの意見のあつたことを御報告いたしておきます。  かくして採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  62. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  63. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。  これにて議事日程は議了いたしました。明三十一日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十六分散会