○神田博君 ただいま
議題と相なりました
不正競争防止法の一部を改正する
法律案につきまして、
委員会の
審議の
経過並びに結果について概要ご報告申し上げます。
ご承知のごとく、現行
不正競争防止法は、国内法制の欠陥を充足するよりも、工業所有保護同盟条約のヘーグ改正条約に加入する準備として、昭和九年に制定せられたものでありまして、打続く
計画経済下にありまして、到来十有余年の間は、何ら日の目を見ることができなか
つたのであります。条約に基く最小限の義務を規定いたします本
法律案の出現は、国際通商場理に乗り出さんとする新生
日本にと
つては重大な使命があるのであります。
以下、本会成案の
要点をご説明いたします。改正案の第一は、
不正競争防止法第一條第一項各号に揚げる行為をする者に対しましては、その者が不正競争の
目的をも
つてするといなとを問わず、被害者はその行為の阻止を請求し得ることとした点であります。
第二は、故意または過失により
不正競争防止法第一條第一項各号に揚げる行為をなす者は損害賠償の責に任ずることであります。
第三は、不正競争の
目的をも
つて不正競争防法第一條第一項第一号ないし第三号に揚げる行為をした者、及びあとで述べますように本條に新たに加えました行為をした者に対し刑罰を科することとした点であります。すなわち現在は、第四條の違反行為以外については罰則の規程はなか
つたのであります。そこで、新たに三年以下の懲役または二十万円以下の罰金の規定を設け、不正競争の
目的をも
つてする行為者に対する制裁を
強化したのであります。
第四は、
不正競争防止法第一條第一項第一号及び第三号に揚げる行為について、新たに輸出する行為を加えた点であります。
第五は、商品もしくはその広告に、その商品が産出、製造もしくは加工された国以外の地において産出、製造もしくは加工されたような誤認を生ぜしめる表示をなし、またはこれを表示した商品を販売、拡布もしくは輸出する行為も、
不正競争防止法第一條第一項各号に揚げる行為と同様に扱うこととした点であります。
本
法律案は、三月九日
委員会に
付託せられまして、三月十一日、
政府委員より
提出理由を聴取いたしまして、十六、十七の両日にわたり、
政府委員との間に熱心なる
質疑応答がかわされたのであります。
内容は
会議録をご参照願いたいと思います。
続いて、二十三日
討論に入りましたところ、
自由党中村幸八君より、この種経済事犯としては一罰百戒の
意味もあ
つて苛酷に失するくらいの罰則を付せられたものと思うが、法の
目的は人を罰するにあらざることを
関係当局はよくよく銘記せられて、業者の企業意欲を減退せしむるがごときことのないよう温情ある裁定を下すようとの強い要望を付して
賛成意見の開陳があ
つたのであります。次に
社会党今澄勇君及び民主党有田喜一君よりも、それぞれ同様の
趣旨の希望を付して
賛成意見が申し述べられ、共産党伊藤憲一君よりは
反対意見が述べられたのであります。引続き採決に入りましたところ、多数をもちまして可決することに決した次第であります。
次は中層企業等協同
組合法の一部を改正する
法律案についてでございます。
中小企業等協同組合法は、昨年七月一日
施行されました中小企業の協同組織に関する基本法でありまして、旧市街地信用
組合方に基く市街地信用
組合は、本年八月末までに本法の信用協同
組合に組織変更することを要するのでありますが、最近の中小企業金融の現状にかんがみまして。右の組織変更は早急に行わねば鳴らぬところの実情にな
つておるのであります。しかるに現行法は、
組合運営はもちろん、信用協同
組合への移行すら困難であるいうのであります。以上が提案の要旨であります。なお改正の
要点をご説明申し上げますれば、第一、現行法においては、総代は総会において選挙することにな
つておりますが、総代会を設けるがごとき
組合は、
組合員数も多く、地区も広汎である
ために、総代選挙を総会においてすることは実際には至難でありますので、これを全
組合員の
意思が公平かつ容易に反映されるような地区別に選挙区を設けて選挙を行いとか、その他
定義に定める法方にすることが必要であるというのであります。
第二といたしましては、総代の定数が常時
組合員総数の十分の一であることを要求しておりますが、協同
組合の加入は御承知のように自由、脱退も常時変動を免れないのでありまして、この際総代の定数に関し、一定の基準の時期を明確にしたいというのであります。
六三は、総代の任期には制限がございませんが、
組合民主化の見地からその最高限を定め、
組合員の総代に対する批評の機会與えたい、こういうのでありまして、この際総代の任期は、役員のそれと歩調を合せまして、最高三年とするのが妥当であるというのであります。
本改正案は、二月二十八日
委員会に
付託となりまして、三月十一日
政府委員より
提出理由を聴取し、十七日
質疑に入りましたところ、中小企業の現状に関しまして、各
委員より熱心なる
質疑応答が、通産大臣及び
政府委員との間に、同日及び二十二日の二日間にわたり行われたのであります。
内容の詳細は
会議録に譲りますか、ご参照を願いたいのであります。
そこで、二十四日
討論に入りましたところ、
自由党門脇新太郎君より、本
法律案は下刻の中小企業が直面するさまざまな苦難を一つ一つ解決して行こうとする前ぶれであ
つて、これを契機として、政府は全力を振
つて次々と中小企業問題の解決に当てられるよう期待したいとの熱烈なる要望を付しまして
賛成の
意見を表明されたのであります。続いて
社会党今澄勇君、民主党有田喜一君より、中小企業問題の打開は今度にまつべきもの多きを憂うるも、本改正案は百尺竿頭一歩を進めたものであるとの
賛成意見が述べられ、次に共産党伊藤憲一君よりは
反対意見が開陳されたのであります。引続き採決いたしましたところ、多数をもちまして可決いたした次第であります。
次は
小型自動車競走法案でございます。
まず本
法案の
目的及び要旨を簡単に御説明申し上げます。すなわち、本
法律案の
目的といたしますところは、第一に、小型自動車の疎外宣伝に資するとともに、小型自動車工業界の有形、無形な復興に寄与せんとすることであります。
第二には、この
法律案の
施行によ
つて期待し得る相当な収益の活用でありまして、幸いにして復迫せる地方財政が、いささかなりとも改善せられることになりますならば、まことに当を得たものと思わなければならないというのであります。
第三には、小型自動車競走は速力を主眼といたします
関係上、おのずからその性能の向上、品質の改善に貢献するところ多大でありまして、とかく近来不振に陥りがちな当業界に清新はつら
つたる活力を與え得るものと確信するのであります。
次に本
法律案の主要なる点を簡単に申し上げますと、
施行者は都道府県でありまして、その議会の議決を経て行うことができるのであります。
次に売上げ金額の配分につきましては、小型自動車競争
施行者は、勝者投票券の売上額の百分の七十五を車券購入者の賞金とし、残り百分の二十五のうち百分の三は国庫收入とし、さらに百分の三を越えない範囲内の金額を当該小型自動車競走会に交付いたしまして、残余の百分の十七をも
つてその他の経費及び競走
施行者たる地方自治体の收入に充当したいというのであります。
前項の規定によりまして国庫收入と相なりました金額に相当する金額をもちまして、自動車工業の生産増強、品質、性能の向上、広汎な外国市場の開拓による輸出全般の伸長に振り向けんとするものであります。
本
法律案は、
自由党東山長次郎君外四十一名の、共産党を除く各派共同提案になるものでありまして、三月九日
委員会に
付託せられ、十一日、
栗山長次郎君より
提案理由を聽取し、越えて十四、十五の両日にわたりまして熱心な
質疑応答が重ねられたのであります。ところが、共産党を除く各派より、都道府県のほかに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市の五大都市をも競争
施行者に加えてはどうかとの
修正意見が抬頭いたしまして、十七日の
委員会に諮りましたところ、共産党を除く各派の
同意を得ましたので、私神田博より
修正案が
提出せられたのであります。
その
理由といたすますところは、右五大都市は、その
行政機構、人口、財政難の点におきまして優に都道府県に匹敵するばかりではなく、当該府県下の小市町村において競争
施行が許可される場合におきましては、実情に沿わない不合理な点も生じますし、また無用の競合を来すことになるからであります。また一方、新たに競走楊を設立するとか、あるいは既存の農耕地をつぶすとかい
つたふうな、思わぬ支障も生ずるおそれがあるのであります。
以上が
修正案の要旨及び
内容でありますが、詳細は
会議録を御参照願いたいと思います。
引続き
討論に入りましたところ、
自由党、
日本社会党、民主党、
国民協同党及び新
政治協議会の各派を代表して
自由党小金義照君より、本
法律案の
施行によ
つて生ずる
弊害について格段の監督を要望すると同時に、これが防止についても万全の対策を講ぜられたい、また国庫收入の金額も自動車業界の振興発展の
ために有効確実に使用せられたいとの強い要望を付しまして
賛成意見の開陳がありました。次いで共産党田代文久君よりは
反対意見の表明がありまして、採決に入りましたところ、僧正案並びに
修正部分を除く
原案について多数をもちまして可決した次第であります。
次は
帝国石油株式会社法を廃止する
法律案でございます。
帝国石油株式会社は、石油資源の開発を促進し、石油鉱業の振興をはかる
目的のもとに、昭和十六年帝石法に基き設立されたものでありますが、終戰後は戰時補償特別措置法、過度経済力集中排除法及び企業再建整備法の
施行に伴う再編成を行いまして、整備
計画は昭和二十四年八月認可され、さらに本年二月、過度経済力集中排除法に基く措置が終わ
つておるのであります。その特殊会社としての
性格を変更して、今後は商法による会社として存続せる必要があるというのが、本
法律案の要旨であります。
本
法律案は、三月十日、本
委員会に
付託されましたので、十一日及び十五日愼重
会議を行いました。
質疑の詳細は
委員会の
会議録に讓ることにいたします。
十五日に
質疑を終了いたしまして、一昨二十三日
討論に入りました。まず
自由党を代表して門脇勝太郎君は、帝石法は軍閥專制の置物であるから、本
法律案はまことに時宜を得たものであるが、石油資源の乏しい
わが国において、今後石油鉱業は全面的に自由放任となるのであるが、豊富低廉なる外油の
輸入を思い合せるとき、国内石油事業の前途はきわめて多難といわねばならない、そこで政府は、今後
わが国石油資源の実情を一層正確に把握するとともに、外国の
輸入が
わが国石油鉱業を不当に圧迫しないような対策を講ぜられたい、また第二といたしまして、帝石法制定当時強制買上げを行
つた鉱区の返還の有無を明らかにせられたいということ、第五といたしましては、地下資源の調査、開発等について一層の科学的施設を行うこと、という重大希望
事項を付しまして、本案に
賛成せられたのであります。
次の
日本社会党を代表して今澄勇君は、政府は一貫した燃料政策を樹立することなくして帝石法を廃止することは、
わが国石油鉱業を外資の鉄蹄下に放つものである、すなわち本
法律案の
施行により、今後
わが国石油業者は、豊富低廉なる外油に依存するのあまり、精油にのみ重点を置いて採油を軽視するようなことに相なりはしないか、そこで、
わが国石油鉱業の前途はきわめて不健全になるとの
趣旨によりまして、本案に
反対の
意見を述べられたのであります。
次いで民主党の有田喜一君は、第六
国会において拔本的石油鉱業政策の樹立を要望したにもかかわらず、今回もまた政府は、本
法律案に並行して石油資源開発法のごとき
法律案の
提出さえも行わず、一方石油鉱業に対する助成策も消極的であることは遺憾であると、強く石油鉱業政策の樹立を要求せられまして、本案に
賛成されました。
最後に、
日本共産党を代表して伊藤憲一君よりは、本
法律案によ
つて政府は国産石油に対する国家的擁護政策を全面的に放棄するのではないか、また安価な外油によ
つて国産石油の自立は不可能ではないか、こういうような立場から強い
反対意見が述べられたのであります。
これにて
討論を終りまして、ただちに採決に入りましたところ、多数をも
つて本案は可決すべきものと議決した次第であります。
以上をもちなして四案の御報告を終ります。