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1950-03-23 第7回国会 衆議院 本会議 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十三日(木曜日)  議事日程 第二十七号     午後一時開議  第一 製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 解放団体財産收入金特別会計法案内閣提出)  第三 保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 副検事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第五 裁判所職長定員に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 別府国際観光温泉文化都市建設法案永田節君外二十二名提出)(委員会審査省略要求事件)  第八 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第九 厚生年金保險法等の一部を改正する決律等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第十 自由討議     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  国家公安委員任命につき同意を求めるの件  日程第一 製造たばこ定価決定又は決定に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 解散団体財産收入金持別会計法案内閣提出)  日程第三 保險業法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 副検事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第五 裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 別府国際観光温泉文化都市建設法案永田節君外二十二名提出  日程第八 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第九 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  夏時刻法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時十八分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) お諮りいたします。内閣から、国家公安委員青木均一君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本件同意を與えるに決しました。      ――――◇―――――
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案日程第二、解放団体財産收入金特別会計法案日程第三、保險業法等の一部を改正する法律案、右三案は同一委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長川野芳滿君。     〔川野芳滿登壇
  6. 川野芳滿

    川野芳滿君 ただいま議題となりました製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改定する法律案について、大蔵委員会における審議経過並びにその結果につき御報告申し上げます。  この法案は、日本專売公社タバコ製造能力の復旧にかんがみまして、全面的な國民生活の安定と実買賃金向上を目途とする政策の一環として、製造タバコ定価引下げを行うとともに、その価格表の整備を行い、あわせて日本專売公社の試製したタバコ小売定価について特別の規定を設けるために提出されたものであります。  改正要点は、第一に、価格表にありますタバコについて、標準規格の一部を変更し、最高価格を十本当りピース五十円、いこい三十円、ハツピー二十円、新生二十円にそれぞれ引下げ、日光は四十グラム八十円に引下げることといたしております。第二に、従来価格表になかつた光、富貫煙、アストリヤ及び桃山について標準規格及び最高価格を定め、その最高価格を、党十本当り四十円、桃山五十グラム当り二百円にそれぞれ引下げることといたしております。第三に、商況及び嗜好に応じて日本專売公社が試製したタバコについて、値の製造タバコ小売定価に應じた小売定価で、おおむね六箇月の期間を限つて販売できるものといたしております。  以上が、この法案提出になりました趣旨並びに内容要点でありますが、この法案は、三月十六日、本委員会に付託されまして、十八日、政府委員より提出理由説明を聴取し、各委員より、タバコ配給廃止実質賃金との関係タバコ製造能力各種タバコ收益率等について熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。  次いで討議に入りましたところ、川島委員社会党を代表して、北沢委員自由党を代表して宮澤委員民主党を代表して、河田委員共産党を代表して、内藤委員国民協同党を代表して、品質の向上生産量増加価格引下げ等を希紹して、いずれも賛成の意を表せられました。次いで採決いたしましたところ、起立総員をもつて本案原案通り可決いたしました。  次に、ただいま議題となりました解散団体財産收入金特別会計法案について、大蔵委員会における審議経過及びに結果もつき御報告申し上げます。  この法案は、現行外國貿易特別円資金特別会計を廃止し、新たに解散団体財産收入金特別会計を翻訳して、その軽瑕を明確にするために提出されたものでありまして、現行特別会計におきましては、解散団体財産管理及び処分に関する政令に基いて国庫に帰属した財産に関する收入金を、これらの財産に伴う債務支拂いに充てるほか、外國貿易特別会計に総入れて貿易のために使用することといたしておりますが、今回この経程方法を改めまして、これらの收入金債務支拂い及び特に政令で定める経費に充てるほか、一般会計に総入れて、その財源に使用することといたそうとするものであります。  次に新特別会計法案現行特別会計法と異なりますおもなる点を申し上げますと、まず第一條において会計設置に関する事項を定め、第四条において新会計における歳入及び歳出となるべき事項規定し、第八条において一般会計へ繰入れる額の計算方法規定しておる点であります。  以上が、この法案提出になりました趣旨並びに内容要点でありますが、この法案は、三月十一日、本委員会に付託されまして、十四日、政府委員より提案理由説明を聴取し、十七日、各委員より解散団体財産管理費等について質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。  次いで三月十八日、討議を省略し採決いたしましたところ、起立多数をもつで本案原案通り可決いたしました。  次に、ただいま議題となりました保險業法等の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果につき御報告申し上げます。  この法案は、保險会社金融機関としての結質にかんがみ、その株式新有について特例を設け、外国保險事業者日本への進出に備えて内閣保險会社との衡平をはかり、なお損害保險料率合理性を保障する等の措置を講ずるため、保險業法外国保險事業者に関する法律及び損害保險料率算出団体に関する法律、この三法律の一部を改正しようとするものであります。  次にこの法律要点について申し上げますと、第一に、保險会社が他の会社株式を所有しまたは貸付の担保として受入れることのできる限度は、独立禁止法によりますと、その会社株式総数の百分の五でありますが、これを百分の十とする特例を設けようとしております。第二に、保險会社外国において営業する場合には、創立後三年を経過し、かつ最終事業年度において利益を計上していなければならないこととし、外国保險事業者日本において営業する場合にも同様條件を與えなければならないことといたしております。なお、保險会社外国保險事業者代理店となることができ、また外国保險事業者損害保險料率算定会会員となることができるように改めようとしております。第三に、損害保險料率算定会社保險事業について公聽会を開かなければならない場合は、現行法によりますと、算出した保險料率についてだけでありますが、これを、算出しようとする保險料率についても公聽会を開かなければならないことといたしております。  以上が、この法案提出になりました趣旨並びに内容概要でありますが、この法案は、三月八日、本委員会に付託され、十四日、政府委員より提案理由説明を聴取し、十七日より数日にわたり、各委員より再保險契約総額限度外国において営業する保險会社資格審査にあたり積立金準備金重点を置かない理由等について熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。  次いで、三月二十二日討議に入りましたところ、宮澤委員民主党を代表して、内閣保險会社の立場が不利にならぬようにとの希望條件を信じて賛成の意を表せられ、河田委員共産党を代表して、諸般の規模弱体なる日本現状において、外国保險会社に対し日本保險会社と衝平な取扱いをすることに妥当でない噂の理由をあげて反対の意を表せられ、佐久間委員自由党を代表して、保險公共性国際性保險事業合理性等にかんがみ時宜に適した措置である行を述べて賛成の意を表せられました。次いで提供いたしましたところ、起立多数をもつて本案原案通り可決した次第であります。  以上簡単でございますが、御報告いたします。(拍手
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論通告があります。これを許します。梨本作次郎君。     〔梨木作次郎登壇
  8. 梨木作次郎

    梨木作次郎君 私は、ただいま上程になりました解散団体財産収入金特別会計法案に対し、日本共産党を代表いたしまして反対討論をなさんとするものであります。  解散団体財産収入金特別会計法案、これはその第一条におきまして、「解散団体の財政の管理及び処分等に関する政令第三条の規定により国庫に帰属した財産に関する収入金経過を明確にするため、特別会計設置し、一般会計と区分して経理する。」ということになつておるのでありまして、つまりこの特別会計法基本になるものは、解散団体財産管理及び処分等に関する政令、これがこの特別会計法基本になつておるのであります。ところが、解散団体財産管理及び処分等に関する政令というのは、これはポツダム勅令五百四十二号に基いてつくられておる法令なのであります。  まず私が反対せんとする第一の理由は、この特別会計法基本たる解散団体財産管理及び処分等に関する政令、その基本であるところのポツダム勅令五百四十二号、これは今日進歩的な学者によつて明確に指摘されておるように、明らかに憲法違反法令であります。従いまして、この憲法違反法令に基いてつくられたところの解散団体財産管理及び処分等に関する政令、これを無効であることは明白であります。その点が反対の第一の理由であります。このような無効な政令に基いて国庫に帰属したところの財産管理し、この経理を賭博にしようというのがこの特別会計法でありまして、この特別会計法も、根拠のないところのそういう法令に基いて徴収した財産管理しようというのでありますから、明らかにこれは憲法違反法令であるということを折衝したいのであります。  第二点としてわれわれの強調し、特に指摘しておかなければならない点は、このポツダム勅令五百四十二号に基いてつくられたところの例の団体等規正令、これに基いて解散を命じられたその団体財産管理しようというのでありますが、これが現在どのように運用されておるか。過般の朝鮮人連盟解散、これは団体等規正令に基いて解散を命じているのでありますが、この際に、一体どのようなことが言われましたか。この朝鮮人連盟に対する団体等規正令運用ということは明らかに不当である。これは申すまでもないのでありますが、その際に、この団体解散を命じた後においての財産の徴収に一体どのようなことをやつておりますか。この政令そのままを運用するといたしましても、この解散団体に属しておつた財産でなければ徴収できないはずである。ところが実際は、この解散団体に所属しないところの財産までをも徴収している。こういう不当なことが行われている。かようにして徴収したものを、この特別会計法によつて管理しようというのであります。特にはなはだしいのは、過般の台東会館に対する徴収問題の一件であります。これは明らかに朝鮮人連盟財産ではない。これは朝鮮人諸君が、お互いの寄付によつてつくつたところの会館なのであります。こういうものまでも、団体等規正令に基いて解散された解散団体財産だと称してこれを接収し、この特別会計法に基いて経理しようというのが、この法案のねらいであります。  従いまして、私に、この法案に対する第三の反対理由といたしましては、この法案のいろいろな重要な点につきましては、すべて法令の定めるところによりといつて、広汎に政令に委任しているのであります。こういう形によつて、この法令運用が、きわめて反動的に、かつ反民主的に運営される危険がある、この点も指摘したいのであります。  以上三つの理由により、この法案に対し反対するものであります。(拍手
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたします。  まず日程第一につき採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。  次に日程第二及び第三の両案の一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  12. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第四、副検事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案日程第五、裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案日程第六、裁判所法等の一部を改正する法律案、右三案は同一委員会に付託された議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員会理事北川定務君。
  13. 北川定務

    北川定務君 ただいま議題と相なりました副検事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判所法等の一部を改正する法律案について、それぞれその要旨及び委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  まず副検事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案は、副検事任命の期日をもう一年間だけ延期しようとするものであります。委員会においては、この法律特例法であるのに、すでに二年延期して、今また一年延期すれば、検察庁法原則がくずれるではないかという質疑がありました。これに対し政府かち、昨年中定員補充がてきなかつたから、今年一年だけ延期し、明年から決して延期しないという答弁がありました。  かくて、三月十六日討論採決に入り多数をもつて政府原案通り可決されました。  次に裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この改正点は二つありまして、まず第一点は、家庭裁判所事務増加のため裁判官増加することであります。すなわち、昨年度家庭裁判事件三十二万余件、少年裁判事件十万余件ありまして、これを担当する判事は百十数名にすぎなかつたので、その不均術改正するにあります。第二点は、新たに設置される裁判所書記官研修所に教官を置き、各家庭裁判所少年調査官及び少年調査官補を設けようとすることであります。  委員会においては、定員変更の原因たる裁判所法質疑が集中し、この法案については質疑がなく、討論の後採決の結果、多数をもつて政府原案通り可決いたしました。  最後に裁判所法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案改正点は次の三点であります。第一は、最高裁利所に新たに裁判所書記官研修所を置くことであります。第二は、裁判所事務官または裁判所技官少年保護司に補する制度を廃止し、新たに少年調査官を置くことであります。以上二点は、問題なく各委員ともこれを了承したのであります。第三点は、裁判所警察官派出を要求し、その協力を求めることができるとしたことであります。これは、裁判所または裁判官は、その職務の執行を阻害する者がある場合には、これに対し必要な警察官派出を求めようとするのであります。  委員会においては、第一に、この規定法廷侮辱罪の形をかえて挿入したものではないかという質問がありました。これに対し政府から、これは明治十四年の太政官達趣旨を法文にしただけで、法廷の秩序を維持する事務的処置以外の意味はないという答弁がありました。第二に、法廷警察官によつて包囲されるようなことがあつて裁判嚴生公平、自由は保たれない、裁判所は、この條文実施にあたつては、裁判所規則を制定して、その濫用を戒める用意があるかという、質問がありました。これに対し政府から、法廷公開原則が少しでもくずれることのないように、御質疑趣旨に沿いたいという答弁がありました。  かくて、質疑を終了し、三月二十二日討論に入りました。共産党議員反対社会党議員條件付賛成自由党議員賛成演説のあつた後採決に入りました。その結果、多数をもつて政府原案通り可決した次第であります。  右御報告申し上げます。
  14. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論通告があります。これを許します。加藤充君。     〔加藤充登壇
  15. 加藤充

    加藤充君 日本共産党は、ただいま一括上程の三法案に絶対反対の意を表明するものであります。  一家心中、青少年の不良化を初め、近時犯罪統計の累増は、吉田内閣不景気政策、すなわち中小企業の破壊、首切り、低賃金、低米価供出の結果、あるいはまた恐慌輸入ダンピング輸出内容とする売国的協定貿易外資導入政策の当然の結論なのであります。しかをに吉田内閣は、生死をかけての悲痛な人民の抗議に対しましては、じたばたするなと放言し、並びにこれを利用して三鷹、松川事件のごときをでつち上げ、さらに挑発までして彈圧機構を整備強化しようと企てておるものでありまして、この三法案は、その企画の一斑にすぎないものであります。  裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案は、行政整理の名のもとに、下級官吏の首を、まつたく切捨て御免に多数切捨てながら、彈圧機関、高級高額の特権官僚はこれを増員するものであります。  副検事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案に副検事任命資格は、元来基本的人権保証に重大なる関係がありますので、副検事命任資格特例に関する法律では、その特例有効期間は当初一箇年以内に限られたものであります。それを、さきに二箇年に延長し、今回さらに三箇年に延長せんとするものでありまするが、これでは、明もかに基本的人権保証は骨抜きにされ、弱化されることは明瞭であります。  裁判所法党の一部を改正する法律案も、司法権独立人権の保障のためにれ看過することはできない。それは、裁判所構成法実施のときにおいてすら、すでにその存続は、はなはだ穏当ならざるものと相なり、憲法裁判所法が新たに制定実施されたときに明らかに排除されたはずの、あの天皇制裁判の亡霊、すなわち明治十四年の太政官達第八十六号を復活し、事前に、一般的に、従つて常置的に配置した武装警官のまつただ中に被告人その他の関係人を引きすえ、あの昔のおしらず裁判法廷再現の悪法律案であります。そこでは、自由な陳述も、公開原則も、それに基く公正なる裁判も踏みにじられることは、まことに明々白々でありまして、日本弁護士会ですらが、このことに反対して来ておるものてあります。  元来吉田内閣は、御承知の通り五井産業その他ほとんど底なしの泥沼的ないわゆる不正と腐敗の摘発調査の要望に対しましては、ふてぶてしくも、ほおかむりで押し通し、しかも反面においては、わが日本共産党中心とし、広く民主主義者平和主義者彈圧に没頭しておるのであります。(「違う違う」と呼ぶ者あり)違う違うとおつしやいますが、米誌極東スポツト・ライト二月号にすらが、ノーベル賞湯川博士は、最近吉田内閣が赤のレッテルを押した民主主義科学者協会会員である、政府民科会員を教職から追放することか計画しておる、と報じておりましたが、不幸にして、このことは、一部すでに先ころ実行済みであります。  皆さん特審局は明らかに特高秘密警察中心をなしておる。しかも、こういうことをやりながら、密輸、募兵のあの海烈号の背景と目されている戰犯分子の新亜通商会社の第一回の打合会首相官邸で行わせ、細菌戰犯その他の国際的人道と平和の加害者どもの検察は、渉外関係に籍口してサボリ続けておる実情ではないか。外人記者へツスル・テイトマン氏も、日本政府警察は、奇妙にもこの危険に無関心のようである、これは人に、一部の高級官僚思想の上で極端な国家主義思想に同調しておるのではないかとの疑いを起させる、と指摘しております。また二月十六日、留日華僑総会も、台湾募兵の問題について、これらの行為は民族自決の偉大なる原則を踏みにじるものとし、今日までかれらの逮捕、処罰を行つていないことを明確に回答すること、すみやかにこれら軍国主義分子を逮捕し処罰することを日本政府に要求している始末であります。  皆さん犯罪の根本的な対策を無視し、こういうような対策彈圧を強化する法律案には、わが党は、人民の名においてこれに反対しなければならない。わが党は、人民彈圧し、民主化に逆行し、ポ宣言を無視するごとき一切の企てに対しては、国の内外民主主義者自由主義者平和主義者人民とともに、その生活の安定と自由と平和と民族独立のために断固闘い続けるものであります。  以上が、一括上程された三法案に対するわが党の態度であり反対理由であります。(拍手
  16. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  18. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第七は提出者より委員会審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。  日程第七、別府国際観光温泉文化都市建設法案議題といたします。提出者趣旨弁明を求めます。永田節君。     ―――――――――――――     〔永田節登壇
  20. 永田節

    永田節君 ただいま上程になりました別府観光温泉文化都市建設法案につき、提案者の一人といたしまして、第一、本法案の目的とするところ、第二、別府市が何ゆえ適格地であるかという点、第三、本法の実施方法、この三項目にわかちまして、ごく簡單にその趣旨を申し述べます。  第一、本案趣旨とするところは、国策としての観光事業を集約的に別府市に実施しまして、国策の効果を促進せんとするものであります。観行事業が現在及び将来のわが国の経済並びに文化の上に占めまする重要性は、いまさら申し上げるまでもございません。別府市は、戰後いち早くこの点に自党いたしまして、昭和二十二年に、観光事業国策として推進されんことを当院並びに参議院に請願いたしました。幸いなるかな、翌二十三年には採択せられるところとなり、観光審議会設置並びに観光事業五箇年計画の実施となりましたことは、私の感謝にだえない次第でございます。私どもは、内外現状にかんがみまして、この際さらに一歩を進め、国の観光本業計画を集約的に実施することによつて、その効果を顕著ならしめ、もつて外客の誘致を促し、国策の目的を促進することが要素なりと考える次第でございます。しかして、この構想を実現する観光地といたしまして、別府をもつて第一の適格地と信じまして、本法律提出いたしました次第でございます。  第二、別府市が何ゆえに適格地であるかという点を申し上げます。温泉地としての別府は、国内で群を拔くばかりではありません。その泉量の豊富なこと、多種多様の温泉を持つていること、ともに世界第一でありまして、外人に対し十分な魅力となることも想像にかたくないのであります。別府市内の泉源、すなわち湯の出る口は約四千あります。一賓夜の湧出量四十万石に達して、まさに世界第一を誇つております。また、その温泉の種類は、大別いたしまして八種類に及び、日本国中の各温泉の全種類を別府に網羅しているような壮観であります。これまた、世界中他に類を見ざるところでございます。その風光においては、わが国医学界の恩人、故べルツ博士が、南ヨーロツパのナポリの風光にも酷似し、はるかにそれをしのぐと言われたほど、海陸の景観に富んでおります。交通の点では、瀬戸内海国立公園の終点であり、阪神、中国、四国と直結いたしておりまして、九州の諸都市や観光地を背後に控えまして、国内交通の便利はもちろんのこと、国際通路に対しましても、最も便利な地位にあるのであります。  特に御留意を願いたいことは、別府は海の瀬戸内海国立公園の終点であり、同時に陸の阿蘇国立公園がその背後の山までを含んでおるという点であります。この二つの国立公園の接触地点でありながら、この二つの国立公園のポケット地帯でありながら、この世界第一の温泉別府市は、そのいずれにも含まれておらない。かようなことが観光国策から除外されておるということは、まさにゆゆしい問題であると考えるのであります。別府がとるに足らない村落ならとにかく、国内無比の観光地であり、しかも前も後も国立公園に包まれながら放任されるということは、国策上重大なる欠陥であると同時に、また重大なる損失であるといわなければなりません。観光地として、あるいは風光景観ともに別府市にまさる土地が国内にないとは申しません。しかし、あらゆる点を総合いたしまして、国が観光施設を集約的に実施するには別府をもつて第一とすることに、諸君異論はなかろうと信ずるものであります。  第三に、本法の実施方法について申し述べます。別府市は、以上の観点に立ちまして、自信を持つて観光十五箇年計画を立てて今やまさにその実行に着手せんとしておるのでありますが、かかる厖大なる経費と計画は、一温泉都市の独力では、容易に実行は困難であります。すなわち国の積極的援助を仰ぐゆえんでございますが、この援助投資は決して使い捨てにされるものてはなく、やがて大いなる国民経済への利潤となつて回収されるものでありまして、いわば国家の投資事業でございます。別府市民及び大分県民は、容易ならざる負担を覚悟しつつ、観光国策将来のために進んでこの大計画実現に邁進せんとして、市議会及び県議会は、共産党を除く社会党民主党自由党、名政党政派満場一致をもつて本計画実現を決議いたします。  何とぞ本院におきましても、政党政派を超越いたしまして、満場一致、拍手をもつて賛成賜わらんことをお願い申し上げます。(拍手
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより討論に入ります。砂間一良君。     〔砂間一良君登壇
  22. 砂間一良

    ○砂間一良君 私は、去る第六国会で観光事業振興に関する決議案が本院の討議に付された際、今日流行の観光事業なるものが売国的な政策もあり、観光の名に隠れて、実は軍事的植民地化の意図を持つものであるという趣旨を述べまして、右決議案反対したのでありますが、ただいま議題に供これております別府国際観光温泉文化都市建設法案こそ、まさにこの具体的な実例でありまして、日本共産党は、本案に絶対反対するものであります。  本法案の目的は、別府市を国際観光温泉文化都市として建設することによつて国際文化向上をはかるとか、世界恒久平和の理想を達成するとか、観光温泉資源の開発によつて経済復興に寄與するとか、いろいろ美辞麗句を並べておりますが、実は別府市を、国や地方公共団体の援助によりまして外人向きの温泉都市にしようというのが、そのねらいであります。つまり、都市計画法や特別都市計画法を適用いたして、目ざわりになる、きたない民家は取沸い、道路を広くしたり、舗装を加えたり、公園や運動場あるいはドライヴ・ウエーをつくつたり、旅館を改装して、客間から便所から、女中の言葉づかい、料理の仕方に至るまで、すべて外人に喜ばれるような国際温泉都市にしようというのであります。  日本の温泉、日本の景勝地でありながら、大多数の日本人が、その天然の恩恵にあずかることができないということは、これは日本にとつて一つの不幸であります。私どもは、この温泉質源を、まず国内の勤労階級が容易に利用できるようにしたい。それには、一方では勤労階級の生活を安定し向上するとともに、すなわち失業や首切りや賃下げをなくし、重税をやめ、農業恐慌や中小企業を破滅させる政策を中止するとともに、他方では、勤労者を対象とする慰安・娯楽設備、療養所、温泉寮等を国費をもつて大々的に建設いたしまして、病人や疲れた労働者たちが、交互に、簡單に、いつでも行つて温泉に浸り、休養することができるように施設することが、かんじんであります。かような政策をとることによつて初めて温泉の価値も大衆的に利用され、また地元の業者、別府の市民全体の繁栄も達成することができるのであります。  しかるに、今この法案を見れば、まつたく本末顛倒であります。すなわち、木を枯らして末を繁栄させようというのであります。勤労大衆の生活をますます破壊する政策を続けておきながら、別府だけ繁栄しよう、それには貧乏な日本人なんか寄せつけなくてもよい、金持の外人がたくさん来てもらえるようにしよう、その施設をするために国や地方公共団体の援助を受けようというのであります。国民の重税の中がら、こんなところに金を打込むということに対しましても、いろいろ問題はあると思いますが、こうなつたら、別府は一体どういうことになるでありましまうか。この風光明媚な温泉都市から、日本人はますますシャツト・アウトされて、外人ばかりが横行闊歩する、事実上の外国の植民地都市になつてしまうではありませんか。これは日本の国土の貴重な部分を切り売りするにひとしいのであります。  提案者は、外人をとめれば外貨が落ちる、これは国際收支にプラスになり、経済復興に寄與すると言う。しかしこれは、別府温泉を外国にうつた身のしろ金であります。これは日本の利益でもなければ、別府市民の幸福でもありません。日本の経済復興をはかるなら、すみやかに全面講和を結び、平和産業を興し、貿易の自主性をとりもどし、正常なる貿易その他の方法によつて外貨獲得に努むべきであります。  別府が国際観光温泉文化都市として指定ざれるならば、次には熱海、伊東というふうに、全国の温泉観光地が次から次に外人の慰安・娯楽地に指定されるでありましよう。單に観光文化都市建設という名目ばかりでなく、旧軍港市の転換だとか、首都建設だとか、あるいは地方開発だとか、いろいろな名目を揚げまして、実は日本の植民地化、軍事基地化が推し進められて行く気配が今日濃厚でありますが、別府を国際観光温泉都市にしようという本法案は、それから一連の植民地化政策の最初の手がかりを築きあげることになるのであります。かかる意味において、本法案の持つ意識はきわめて重大でります。  私は、別府の市民諸君が何とかしてこの不況を切り抜け、市の繁栄をはかりたいという気持には深く同情するものであります。しかし、それは別府温泉を外国に身売りするような方法ではなくして、全日本の勤労階級と一つになつて、不景気の因をなす今日の重税や首切り、賃下げ等、内外独占資本の收奪政策反対して闘うことであります。  今、全国各地に、外国資本との共同出費による観光ホテル建設計画などもしばしば伝えられておりますが、こういうホテルには、税金減免等幾多の特権が與えられようとしているのであります。別府の特定の温泉旅館が外人向きのホテルに改装され、みな、こうした特権を持つことになれば、これは市の財政にとつても決して利益にはならないのであります。かえつて、他のすべての旅館業者、勤労市民の負担は、市民税その他において、ますます加重される結果になるでありましよう。  私は、別府市民の利益にもならず、日本全体の利益もならないかような売国的法案には絶対反対するものであります。(拍手
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案可決いたしました。      ――――◇―――――
  25. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第八、開拓者資金融適法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。     ―――――――――――――     〔小笠原八十美君登壇
  26. 小笠原八十美

    ○小笠原八十美君 ただいま議題と相なりました、農林委員会付託にかかわりまする。内閣提出参議院送付開拓者資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、審議経過並びに結果に大要を御報告いたします。  開拓者の営農を安定させる目的で、昭和二十二年に開拓者資金融通法が制定され、開拓者に対しまして、営農資金、住宅資金、共同施設資金を貸し付け、安定した開拓農家の増大に貢献して参りましたが、本年度末におきまするこれら貸付金総額は、五十二億五千万余円に達するのであります。しかして、これら貸付資金のうち共同施設資金の一部は、すえ置き期間経過いたしまして、本年度に第一回の年賦償還が始まるのであります。現行法によりますと、この年賦償金は、元金部分を米価の変動に応じて増減することとなつております。すなわち、債還期間十五箇年として、二十四年度、一万円について八百七十七円五十四銭の年賦金でありまして、米価の騰貴率を考慮に入れますと、二・五倍ないし一・八倍となり、かなりの負担増でありますが、現状におきましては、年賦金の増額は適当でありませんので、この際この増加をしないか、または六百六十六円六十六銭にまで引き下げ得ることを方針として、開拓者の経済状態に即応した運用ができるように規定改正いたしますとともに、現行法設置してあります中央開拓審議会は、審議会等を極力整理する政府の方針に基いて、このたび廃止いたしたいというのが、本法律案提案の理由であります。  本法律案は、去る三月十一日、予備審査のため本委員会に送付され、次いで二十日参議院を通過いたしまして、同日付託となつたのであります。昨二十二日、提案理由説明を聴きましたが、本法律案は、提出趣旨内容とも明瞭であり、かつまた今日の経済状態のもとにおきましては、開拓農家の経済安定をはかりまする上に、やむを得ない措置と考えられまするので、質疑討論を省略して、ただちに採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決した次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  27. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  29. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第九、厚生年金保險法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員長堀川恭平君。     ―――――――――――――     〔堀川恭平登壇
  30. 堀川恭平

    ○堀川恭平君 ただいま議題となりました厚生年金保險法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審議経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  本法律案提案理由並びに内容のおもなるものを申し上げますれば、まず第一に、厚生年金保險保險料は、現在のところ事業主並びに被保險者の負担能力を考慮して、臨時の低い保險料率を設けて徴收いたしておるのでありますが、いわゆる任意継続被保險者については、従来資格條件の関係で該当者がなかつたため、臨時の保險料率規定がないのであります。しかしながら、今後はこれに該当する被保險者が予想せられますので、今回他の被保險者と同様に臨時の措置を講じ、任意継続被保險者に対しては、千分の二十六の暫定料率を設けることにいたしたのであります。  第二に、旧退職積立金及び退職手当法の適用者は、昭和十九年本法廃止とともに、退職とみなされたのでありますが、その支沸いについては、なお実際の退職を條件とする制限があるのであります。今日事業主の保管する金額もわずかであり、他面事業主並びに被保險者からも強い精算の要望がありますので、この際一切を精算させることといたしたのであります。  本改正法案は、三月四日、予備審査のため本委員会に付託され、六日、厚生大臣から提出理由説明を聴取した後、数回にわたり委員会を開き、慎重なる審議が行われたのでありますが、論議の中心は厚生年金積立金運用問題に集中せられ、厚生委員と大蔵当局との間に、きわめて熱心なる質疑応答がかわされたのであります。その詳細は速記録について御了承願いたいと存じます。  十七日、本付託となりましたので、同日質疑を打切り、討論に入りましたところ、自由党を代表して青柳委員よりは、厚生年金積立金を積極的に労働者福祉施設に還元使用すべきことを希望條件として本法案賛成する旨の御意見の開陳があり、また日本社会党を代表して岡委員よりは、厚生年金積立金を労働者福祉施設に還元使用することについて法的措置を講ずること、社会保障制度実現のため政府は一層努力することの希望條件を付して本法案賛成の意見が述べられたのであります。  かくて討論を終り、二十二日の委員会において採決に入りましたところ、多数をもつて法案政府原案通り可決すべきものと決した次第でございます。  右御報告申し上げます。(拍手
  31. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論通告があります。これを許します。苅田アサノ君。     〔苅田アサノ君登壇
  32. 苅田アサノ

    ○苅田アサノ君 ただいま上程されております法律案につきまして、日本共産党反対であります。  本案改正点は二つありますが、その一つは、厚生年金保險を十年以上かけて職を離れた人々が、養老年金を目的に、規定の継続二十年になるまで任意に掛金をかけ続けようとする場合の保險料率が、今回千分の二十六ときめられたことであります。元来、厚生年金保險のおもなる目的は、年とつて働けなくなつた場合の養老年金なのであります。遺族年金とか傷害年金、傷害手当等もありますが、これらはみな、比重から言つてごくわずかでありまして、実際の利用からいつても、二十三年度の例を見ましても、厚生年金の実收が六十七億六千万円に対しまして、三%の二億二千万円程度の給付がされておるにすぎないのであります。でありますから、毎年取立てる多額の保險料――二十五年度におきましては百十五億円以上の保險の收入が予定されておるのでありますが、その大部分は勤労者に沸いもどされることなくして――昭和三十七年までは、これが労働者に沸いもどされないで大蔵省の預金部に積み立ててあり、その総額は、今年の一月で百八十一億円という、預金部資金の一割以上にも及ぶ厖大な額に上つておるのであります。  ここで問題なのは、日本現状で、労働者が、一体二十年先の老後のことを考えて毎月百円内外の金を積み立てるということが、今日の常識で妥当と考えられるかどうかということであります。なぜならば、二十年先の老後の生活の安定ではなくて、今日目の前の差迫つた不安定をどうするかということが、今日の労働者のせつぱ詰まつた状態なのであります。それは、だれもよく知つておる通りであつて、毎日のように報道される自殺者、一家心中の例を見ましても、このことはわかるのであります。こうして、生活苦のためとか、あるいは失業のため、または過労、栄養失調、病気等によりまして、今日生きるに生きられなくて死を選ぶ人々の中には、二十年先の養老年金を積んでおる人も多くあるに違いないのであります。そういう矛盾の多い制度によつて積み立てました金が百八十一億もあるのに、これが少しも今日の労働者の生活をよくするために使われていない、いな、命を救うためにさえも使われていないという状態なのであります。この点において、自分たちの積み立てた金を自分たちの生活を助けるために使えという正当な要求が大衆の中から強く盛り上つておるのに、政府は何一つしていないのあります。  そればかりではなくて、病気がふえて保險経済がやれないからといつて、健康保險で掛金を上げるとか、あるいは初診料を取るとか、診療の内容を悪させるとか、いしやの支沸いを滞らせる。その結果、なお年度末には十二億円の赤字は必至だと言われておる状態なのであります。こんなふうにして、健康保險はがたがたになつております。国民健康保險は、もつとひどい状態であります。労災保險にいたしましても、今日中小企業の危機のために、どんどん労働者の負担に切りかえられておる状態なのであります。これでは、何の社会保障、何の社会保險と言い得るでありましようか。勤労大衆からの大收獲を隠す煙幕としての今日のこういう制度の役割も、今ではもう、ぼろぼろになつた着物同様であつて、まるで役に立たなくなつている状態なのであります。  一にも二にも、政府は予算がないと言つております。最近では、商業新聞でさえも苛斂誅求ということが言われております。このむごたらしい大衆課税は、一体何に使われるか。これはしばしばわが共産党がこの議場でも暴露しましたように、大衆の生活を守るためではないのであります。大衆の生活をこわすため、もつとはつきり言えば、戦争の準備のために使われておるという状態なのであります。  そればかりではありません。労働者から取立てました百八十一億の厚生年金の積立金は、一体何に使われておるか。従来、大蔵省の預金部を経まして地方公共団体へ貸し付けられて、これが土木費にもなり、また産業経済費にもなつておるわけでありますが、なお相当の部分が警察の費用にもまわつているということは、地方自治庁の資料を見ても明らかであります。さらに二十五年度には、この預金部の資金の中から多額のものが産業資金として使われる計画が進められておるということは、委員会において、大蔵当局の答弁にも明らかであります。  一体、労働者の金が労働者の福祉のために使われないで、労働者を弾圧する警察費になつたり、大資本家の手に渡つて、あべこべに労働者をしぼり上げる金になつたりというような、べらぼうな話があるでありましようか。勤労大衆からは根こそぎ取上げて、これをあげて一部の大資本家につぎ込んで、国を再建するためでなく、国を破壊するために使う吉田内閣のやり方は、この一つの厚生年金制度の中にも、以上のように、だんだん露骨に現われて来たわけでありまして、私どもは、これには絶対に反対であります。  今回の改正にいたしましても、給料の中から天引きされる標準報酬の千分の十五にしても容易でなかつたものが、任意で千分の二十六のものが、かけ続けられるわけのものでないこと、労働者の老年の保障のためには、もつと実質的な処置が講ぜられなければならないということを強く要望いたします。  第二の改正点は、昭和十九年以来支沸いを停止していた、旧労働者年金保險特別会計法によつて積み立ててある労働者の退職積立金及び退職手当金を沸いもどすという改正でありますが、この両方合せて、労働者一人当り二百七十八円七十五銭、これはその当時、昭和十九年におきましては、相当の額に違いないのでありますが、今日この同じ額では、百分の一のものも買えないのであります。これは労働者の任意の貯金ではありません。政府がかつてに凍結しておいて、百分の一以下の実質になつたものを、何の弁償もしないで、そのまま返すというような、そんな大衆をペテンにかけるようなやり方には、共産党賛成するわけには行かないのであります。この際、厚生年金保險はむしろ廃止し、ただちに積立金を労働者に拂いもどし、それにかわるべきであつて、このたびのような欺瞞的な改正案には全面的に反対するものでございます。(拍手
  33. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  34. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  35. 山本猛夫

    ○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出夏時刻法の一部を改正する法律案議題とし、この国際委員長報告を求め、その審議をすすめれんことを望みます。     〔「反対々々」と呼ぶ者あり〕
  36. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君提出の動議を採決いたします。山本君提出の動議に賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  37. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて日程は追加せられました。  夏時刻法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。労働委員会理事福永健司君。     ―――――――――――――     〔福永健司君登壇
  38. 福永健司

    ○福永健司君 ただいま議題となりました夏時刻法の一部を改正する法律案に関する委員会審議経過並びに結果を報告いたします。  夏時刻法昭和二十三年より実施せられたのでありますが、同年におきましては、立法の時期的関係上、夏時刻は臨時に五月の第一土曜日より開始せられましたので、規定通り夏時刻が四月の第一土曜日から始められましたのは、昨二十四年が始めてであつたのあります。この夏時刻制度は、その実施の結果、日光活用による電力の節約、その他国民生活の改善促進等、所期の好ましい効果は、もちろんこれを收め得たのでありますが、夏時刻の始まる四月におきましては、未明寒冷の時刻に起床を余儀なくされることによりまして、実生活の上に種々不都合な点のあることが明らかになつたのであります。そこでこの制度が実施されました後の各方面の世論調査の結果を見ますると、大多数が、その始期を一箇月遅らせることを希望しているのであります。ただ問題となりますのは、この制度の大きなねらいの一つである電力節約との関係でありますが、これについても、昨年の実績より見て別段支障のないことが実証されましたので、政府は、夏時刻の始まる時期を五月の第一土曜日に変更するために、この改正案を、三月三日、本国会に提出し、本案は同日労働委員会に付託されたのであります。  労働委員会は、昨二十二日会議を開き、提案の趣旨説明を求め、本日質疑及び討論を省略して採決の結果、多数をもつて本案可決いたした次第であります。詳細は速記録をもつてご承知を願います。
  39. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  40. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  41. 山本猛夫

    ○山本猛夫君 自由討議は延期し、本日はこれにて散会されんことを望みます。
  42. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十四分散会