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井之口政雄君 ただいま提出されました二十二
年度一般、特別両
会計決算に対しまして、
日本共産党といたしましては、全面的にこれを承認することができないのでございます。
まず第一に、二十二
年度の
歳入歳出決算は、
財政法第三十九條の
規定によりますと、二十三年の十一月三十日までに
会計検査院に送付されていなければならぬのでございます。しかるに、翌年の一月三十一日に
至つて、ようやく
会計検査院の検査を受けるというほどの、実にてんやわんやで急ごしらえにこしらえたものである。これでは、
会計検査院が十分の審議ができないのは当然でございます。なお
終戰後、この時にはすでに翌々年二年にも及んでおるのでありますから、
予算の
遂行に対しましても
相当明確な
秩序が確立していなければならなか
つたにもかかわらず、そうな
つていない。これは
社会党内閣の重大なる
責任だ
つたと思います。
当時
共産党は、
野坂氏の
反対討論をもちまして、この
予算の
遂行が、
国民所得を一千数百億も超過していて、
国民経済を破壊する
インフレ財政に導くであろうということを指摘しておられました。また、
歳入は大衆から、
歳出は
資本家へ、こういう
予算であることも指摘されておりました。半分以上は非生産的に使われまして、
経済を破綻させ、
日本の独立を危うくするものであるということも、前も
つて指摘されていたわけでございます。他方、
賃金は千八百円ベースでくぎづけされて、今日の
吉田内閣の低
賃金政策に至る端緒を、すでにこの
財政が開いております。そして、この
野坂氏の
日本共産党の代表としてなされました
意見は、そのまま的確に事実上立証されて
参つておるのでございます。
従つていま
歳入歳出の
実行面を見てみますと、どうでございますか。未
確認額でさえも、
歳入で五億円に達し、
歳出で百五十億円に達しておるような
状態でございます。
概算拂いの
精算未了のごとき百二十六億円にも達する
有様であります。それらの未
確認歳入や
歳出に対してしては、
証明書さえもないというのが実情、
会計検査院の質問、問合せに対してすら、回答ができないというほど未
確認として遅れているのでありますから、実際を考えてみますならば、たとい、
あとでつじつまをいかように合せましようとも、
予算の
実行面がいかにルーズに行われ、その間にいかに不正が
予算の一
方面に伏在しておるかということを、これは的確に物語
つていると思います。
特別会計の分を見ましても、
農林省関係食糧管理特別会計、これはこの間問題にな
つておりますが、そういうところで、すでに二十二年において五億からの貸出未
確認額がございますし、
国有鉄道——今、国鉄の多くの
労働者の
方々が、この收奪されたところの
賃金の
支拂いを要求して闘
つております、そういう
国有鉄道事業が、すでに二十二
年度において、
歳入四億円、
歳出十一億円という
多額の未
確認が出ているわけであります。これだから、ああした問題も起るので、われわれは、
予算の実例について、深く深くここに思いをいたさなければならぬと思います。
以上のようにルーズな
実行をや
つておるものでありますから、
確認済みの分を見ましても、
歳入未
確認が年々
増加して来るという、こういう
状態、これ全
国民が苛斂誅求によ
つてしぼりとられた
税金がどのように使われているかについての大きな
疑惑を抱くに至らしめる
根本原因と思います。
政府が当然とらなければならぬ
歳入の
部分で、いまだ
收入に立ち
至つていないものは、五百三十三億四千五百万円というものがあげられております。これらは主として大
資本家から当然とらなければならない
租税部分でございますが、それがほとんど脱税の形において残されてしま
つた。また
価格差益金の
納付金にしたところで六十八億円でございます。
特殊物件の
收入でさえも十四億円、
特別会計で
收入未済額は、專売局で七十七億という大きな金でございます。
食糧管理で七十三億、どうです。この
食糧管理で、七十三億なんというものが、まだ未
收入にな
つている。事実を申し上げます。
財産税が三十二億であります。これは
会計検査院が指摘している
数字です。これを單なる宣伝というふうにお考えになるところに根本的な誤諮がある。
支出の
方面を見まするに、
予算それ自体が、
終戰処理及び
価格調整費の占める割合は実に五二%にも達している、半分以上達しているという、こういうものである。しかも、
終戰処理費は六百四十一億でありましたが、
年度内に使い切れないほどのものを
予算で組んでおる。その
部分だけても、四億円から
支出が余
つている。しかも、これの
支拂い状態は、
概算拂いで、
ちやらんぽ
らんで金が出されているのです。そうして、その
精算も完了いたしておりませんし、
工事費が過拂いになりまして、
あとは当然とらなければならないものが、その返納に至らないもの
多額にあるのでございます。さらに
価格調整費に
至つては、
国民の
税金をも
つて大
企業の
独占利潤を保護するもので、これは大
企業からは
租税の
徴收を怠
つておいて、片方に與えるという不当な
執行が行われているわけであります。
次に
復興金融資に対しましては、まるで詐欺的に奪い合いを始めて與えられたところの
有様、が実によく
決算の上にも現われて
参つております。しかし、それもごくわずかでございます。
昭和電工問題について、あの大きな
腐敗事件が
国民の前に明瞭になりましたが、
会計検査院の調査は、それに対しましても、ごく
部分的であり、またほんとうにずさんなものであります。徹底したメスを入れておりません。こうした
犯罪事件までも起したような
復金は、二十二
年度に限らず、いち早く今日までの分をすでに全部調査して、
国民の
疑惑を解いておるべき
性質のものであります。それだのに、それをや
つておりませんから、その後に
至つても、しばしばいろいろな
不正事件が伏在している
状態でございます。
麻生炭鉱への融資問題も、いまだに不問に付せられておりますが、こういうものも早くどんどんとや
つて、
国民の前に明瞭にしなければならぬ
性質のものであると思ます。
さらに、本
決算で見のがすことのできないものがございます。それは
特殊物件関係でございます。これは、すでにこの二十二
年度までに大
部分が処理されてしま
つております。かかるに、売拂額の六十一億九千万円に対しても、驚くなかれ、未
徴收額が十二億円に達しております。この
特殊物件の価格なるものが、そもそもインチキきわまるもので、これが非常に詐欺的に安く算定されていることは、
会計検査院みずから指摘している
通りである。そういうふうな、ほとんどくれるにひとしいような低価格のものでさえも、いまだに未
徴收に立ち
至つている。これは
国民的な財産が奪い去られている実情を物語
つているものであります。
廃兵器類の
決算において、国家の大財産であ
つたものが処理されて、かえ
つて処理費として、あべこべに
政府の方から出さねばならぬものが二億六千万円もあるというような、こういう
状態は、われわれが常識をも
つてしても判断し得ないものであります。国家が当然收納すべき
部分に対して何の追及もしていなか
つたという、これは歴然たる証拠でございます。艦艇の解撤作業に至ちましては、二十二年以前に着手いたしました
部分に対しても、経理措置がいまだにとられていないということが
報告されております。全
国民の、いたく憤慨するところとな
つている次第でございます。
要するに、
予算審議の場合にわが党が指摘いたしましたことは、そのまま
予算の
遂行にあた
つて的中しております。それのみではなく、その使途の方法に
至つても不当事項が続出し、不正が雑然として集積されておる
状態であります。これらの混乱は、積んで積んで積み上げまして、今日の不当な
状態に立ち
至つております。大金融閥を富まし、独占資本と結託せしめるもとを、この時代にすでに開いております。植民地化、軍事基地化を可能ならしめる、あらゆる堕落と不正の実体は、もうすでに二十二
年度のここにおいて種がまかれております。
われわれは、
日本の独立を確保せしめる全面的な講和を希望する次第であります。低
賃金と重税と農業の破壊政策に反対して、平和を守るために党は闘
つておりますが、それには
決算を巖格に審査し、一切の不正を摘発し、独占資本を利する一切の政策におさらばを告げねばならない。そうすることによ
つて初めて
国民は明るい政治を持ち得ると思います。これこそは、そういうことをして初めて二十三
年度の
決算をさらに正しいものとなすことができると、われわれは思
つております、
かくいたしまして、この
決算に対しまして、私たちは全面的に賛同を表することができないのでございます。これをも
つて終わります。(
拍手)