○北澤直吉君 ただいま
議題となりました
造幣庁特別会計法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この
法案は、造幣庁の
事業を企業的に運営し、その健全な発達に資する目的をも
つて、従前の特別会計を廃止し、新たに特別会計を設置いたしまして、一般会計と区分して経理するために
提出されたものであります。こり
法案の主要な点は、まず第一に、新たに補助貨幣回収準備資金を設置いたしまして、製造済み補助貨幣の発行高に相当する金額をこの資金として積み立てることといたしておる点でありまして、従前の特別会計におきましては、この金額は特別会計の歳入として計上されておつたものであります。なお回収準備資金は、大蔵省預金部に預け入れてこれを起用することができることとし、またこの資金をも
つて引きかえまたは回収しました補助貨幣は、地金の価額も
つてこの会計の資産とすることといたしております。
第二に、今回の新特別会計においては、製造済み補助貨幣の発行高に相当する金頭を歳入として計上することをやめますので、補助貨幣の製造に要します
経費は、予算の定めるところにより、一般会計が
負担してこの会計に繰入れることができることといたしております。
第三に、決算上の利益は原則としてすべて一般会計に繰入れるのでありますが、造幣庁の
事業の企業性にかんがみまして、その一部を資本の増加に充て、残余を一般会計に繰入れることとし、決算上
損失を生じました場合には、
損失の繰越しとして整理することといたしております。なおこのほか、資本及び資産、運転資金、資金計画等について必要な規定を設けております。
以上がこの
法案の
提出になりました
趣旨並びにその内容の要点でありますが、この
法案は、二月十八日、本委員会に付託されまして、三月四日、
政府委員より提案理由の説明を聴取し、十四日及び十五日の両、各委員より、造幣庁の
事業の内容、回收準備実金を設けた理由等について熱心なる質疑が行われ、
政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細ついては速記録に譲りたいと存じます。
次いで、
討論を省略し、ただちに採決いたしましたところ、起立総員をも
つて本案は原案の
通り可決いたしました。
次に、ただいま
議題となりました
証券取引法の一部を改正する
法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。まず、今回改正案のおもなる点についてその大要を申し上げますと、その第一点は、証券業者及び証券取引所の健全化に関する諸規定を設けたことであります。すなわちその一は、証券業者は営業用純資本として最低額五十万円を常に維持しなければならないこととし、証券業者の資産の内容の堅実化をはかるとともに、投資者の保護を全からしめんとしたのであります。但し、現在の証券業者に対して、ただちにこの制限規定を適用することは適当でありませんで、二年後より適用することにな
つております。その二は、証券業者が営業または財産の経理状況に照し過当な数量の売買取引、不健全な方法による売買もしくは借入れをなし、または不良と認められる資産を有る場合においては、証券取引委員会は当該行為を制限し、不良資産を償却する等の命令をなすことができることとして、証券業者の健全化をはかることとしたのであります。その三は、盛衰のはげしい証券業の特殊性にかんがみ、損益の平準化をはかるため、証券業者の営業年度を六箇月より一箇年に改正することにしたのであります。その四は、登録取消しの処分を受けた証券会社の役員は、五年間証券会社の役員に就任できないこととる等、現在の登録拒否または登録取消しの條文の不備を準備したことであります。
次に弟二点といたしましては、シャウプ勧告にうたわれている線に沿いまして、
証券取引法の規定により
提出される貸借対照表、損益計算書等の財務書類について、その用語、様式及び作成方法に関する権限を証券取引委員会に與え、も
つて不統一をきわめるわが国企業会計
制度の整備に資せんとしたことであります。またこれらの財務書類は、それを
提出する会社と特別の利害
関係のない公認会計士の監査証明を受けなければならないこととし、わが国で初めての試みである外部監査
制度を実効的ならしめることとしたのであります。
第三点は、有価証券の募集または売出しに際して、証券取引委員会規則で届出を免除することができる範囲を、現行の募集またあ売出券面総額五百万円より一千万円に引上げ、経済の実状の変化に即応し得ることとしたことであります。
第四点は、投資についての判断を提供すべき新聞、雑誌等の記事に関する取締り規定を設けたことであります。
第五点に、
証券取引法の規定に基いて設立された証券業協会について、その活動に実効性を與えるため、
事業者団体法の適用をしないこととしたことであります。
第六点は、証券取引委員会の委員長及び委員は、その職務の特殊性にかんがみ、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命するものとし、特別職とした点であります
以上が大体改正案の要点でありますが、この改正
法律案は、二月十六日、本委員会に付託されまして、二十日、
政府委員より提案理由の説明を聽取し、翌二十一日より数日にわたり、各委員より、証券金融対策、証券保有機関の設置、公認会計士の監査証明、新聞、雑誌に対する取締り等について熱心なる質疑が行われ、
政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、その詳細は速記録に譲りたいと存じます。
かくて、三月十五日
討論に入りましたところ、田中委員は
日本社会党を代表し、三宅委員は自由党を代表し、宮腰委員は民主党を代表して、いずれも
本案に
賛成の意を述べられ、竹村委員は共産党を代表して、
本案に反対の意を表せられました。
次いで採決いたしましたところ、起立多数をも
つて本案は原案の
通り可決いたしました。
次に、ただいま
議題となりました
財政法の一部を改正する
法律案につい、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この
法案は、予算執行の実績並びに現状にかんがみまして、予算配賦の際の区分並びに
支出負担行為についての承認手続を簡略にするためにに
提出されたものであります。
すなわち第一点は、内閣が各省各庁の長に対して予算を配賦します場合、現行法によりますと、歳出予算については目をさらに節に区分することにな
つておりますが、これでは、いたずらに手続を煩瑣にし、実効がありませんので、節の区分を廃止しようとするものであります。なおこれに伴いまして、目の整理統合を行うとともに、従来の節のうち特に流用制限をする必要のあるものは目に引上げる等の調整を行うこととし、これらの
措置は
昭和二十五年度予算から実施し得るよう所要の規定を設けております。
次に第六点は、
支出負担行為について大蔵大臣の承認を経るために作製します計画書類は、現行法によりますと、
支出負担行為担当官ことに作製することにな
つておりますが、これも、いたずらに手続を煩瑣にして実効がありませんので、各省各庁ごとに作製することに改めようとするものであります。以上が、この
法案の
提出になりました
趣旨並びに内容の要点でありますが、この
法案は、三月二日、本委員会付託されまして、四日、
政府委員より提案理由を聽取し、十四日及び十五日の両日、各委員より、会計検査院の検査
制度、節を廃止した後の影影響等について熱心なる質疑が行われ、
政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。
ついで
討論に入りましたところ、宮腰委員は民主党を代表して、大蔵大臣の承認は法規裁量によるものとせられたい、一般会計より特別会計への繰入金の跡始末については本委員会に報告せられたい旨の希望
條件を付して
賛成の意を表せられ、小山委員は自由党を代表して、物品費、消耗費については整備を行われたい旨の希望を付して
賛成の意を表せられ、田中委員は社会党を代表して、節を廃止することにより弾力性は認められるが、これに伴う弊害は除去されていない、この
法案は
昭和二十五年度予算案と並行審議さるべきものである等の理由をあげて反対の意を表せられ、河田委員は共産党を代表して、節を廃することにより自由裁量の範囲を広くして、
給與等において不公平が行われる等の理由をあげて反対の意を表せられました。ついで採決いたしましたところ、起立多数をも
つて本案は原案の
通り可決されました。以上御報告申し上げます。