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1950-03-10 第7回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十日(金曜日)  議事日程 第二十二号     午後一時開議  第一 昭和二十五年度一般会計予算  第二 昭和二十五年度特別会計予算  第三 昭和二十五年度政府関係機関予算     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 昭和二十五年度一般会計予算  日程第二 昭和二十五年度特別会計予算  日程第三 昭和二十五年度政府関係機関予算     午後一時十九分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、昭和二十五年度一般会計予算日程第二、昭和二十五年度特別会計予算日程第三、昭和二十五年度政府関係予算、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長植原悦二郎君。     〔植原悦二郎君登壇〕
  4. 植原悦二郎

    植原悦二郎君 あらかじめ御了解を得ておきたいと思います。きわめて広汎な予算でありますがゆえに、そのごく要領だけを摘出して御報告申し上げるのでありますけれども、相当の時間を要すると思いますから、しばらくの間ごしんぼう願つて御清聽を賜わりたいと思います。(拍手)  ただいま議題となりました昭和二十五年度一般会計予算、同特別会場予算、同政府関係機関予算につき、その内容及び予算委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。  御承知のごとく、国会開会劈頭予算案が国会に提出されたのは、終戰後今回が初めてであります。よつて委員諸君と協議して、民主主義政治実現のため、予算案審議の標本的好慣例を示すように、お互いに努力いたしたのであります。そして、與党、野党の別なく、最善を盡して国民の信託にことうべく、これが愼重審議に当つたのであります。  本予算案は、一月二十一日、予算委員会に付託されました。そして一月三十日より昨三月九日まで一箇月有半にわたり、各委員政府側との間に、終始熱心なる質疑応答がかわされました。その間、衆議院規則に基き公聽会を開き、各方面の権威者より、これに対する忌憚なき意見の開陳を求めまして審議の参考にいたしました。さらに二月十七、十八の両日分科会を開き、予算案全体の細目につき検討を加えました。これらの質疑応答並びに公聽会の詳細については速記録によつて承知を願うことといたし、これより予算案大要につき序を追うて御報告申し上げます。  予算内容等につきましては、去る一月二十三日の本会議並びに一月三十日の委員会における政府側説明及び政府提出の資料「昭和二十五年度予算説明」により、ほぼ明らかでありますので、ここでは内容についての詳細の説明は省略することといたします。  この昭和二十五年度予算案基本的構想につきましては、昭和二十四年度補正予算のそれとほとんど異なるところがなく、総括的にこれは十五箇月予算と称せられるものでありますことは、諸君のご承知の通りでありますが、この二十五年度予算において特に注意を喚起すべき点も相当ありますので、それらの点につき簡單説明したいと思います。すなわち、昭和二十五年度予算特色とも言うべき点は次のごとくであります  第一に、本予算案は、前年度に比し、財政規模、すなわち予算総額相当に縮減されていることであります。これは実に近年のわが国財政史上特筆に値する重要な点であると思います。  第二には、ドツジ・ラインを基礎とする真の総合的均衡予算編成の実績であります。従つて、これによりインフレの禍根は根本的に收束され、国民経済復興の基盤は形成されるものと思われます。しかし国民に対しては敗戰国民たることを自覚せしめ、国家再建基礎を強固ならしめるため、引続き一層耐乏の生活を期待することになるのであります。  第三には、統制経済を撤廃し、自由経済復帰の道を画していることであります。これがため、企業に対する価格調整補給金は大幅に削減せられ、それとともに各種公団は漸次廃止されんとしております。  第四には、米国日援助見返資金の漸減であります。これは前述の補給金とともに、いわゆる竹馬の二本の足をなすものでありまして、日本経済の自立、国際経済への参加を実現する上においては、やむを得ない措置であります。そしてこれに関連いたし、外国貿易額を、輸出入それぞれ一億ドル内外の増加を予想しているのであります。  第五には、復興建設的支出増加であります。すなわち、一般会計における公共事業費失業対策費在宅資金出資等が計上されており、特別会計における電気通信国鉄等建設勘定の増額のほか、見返り資金の直接投資四百億円を計上したなどは、これを物語るものであります。  第六には、地方財政強化であります。これには、公共事業費中、災害復旧費は、その全額を二十五年度限り国庫負担としたほか、従来の地方配付税配布勤を廃し、新たに地方財政平衡交付金制度を採用することになつております。その他、地方に対し新税の創設を企てております。元来、民主政治地方自治の完成にまつべきものであります。しかるに、法文上地方自治制度は確立されましたが、財源なきため、まつたく中央機関隷属機関にすぎないものでありましたが、このたびの地方財政の強化によつて、これが地方自治促進の重要なる契機となるでありましよう。  第七には、シヤウプ勧告案に基く国家及び地方にわたる租税制度根本的改革であります。特に国税においては大規模減税を行い、国民負担軽減を企てておることであります。しかも歳入総額の六六%を税收入によつてまかなつておる点は、消費インフレを押え、資本主義経済発達基本的要件である資本蓄積の道を開拓せんといたしておることであります。  第八には、前年度に引続き巨額債務償還を行わんとしておることてあります。政府は、この債務償還による資金を適当に運用し、経済安定に資するとともに、資金の蓄積、金利の引下げ、国際金利水準へのさや寄せ等を考慮されておるように思われます。  第九には、インフレ抑制、低物価政策維持輸出増進等の見地から、賃金水準及び米価は現行通りすえ置きとしたことであります。このことは、公務員給與ペースの改訂を避け、もつて現行の民間賃金水準を維持せしめ、一般経済の安定を強化せんとするものと思われます。  大要以上のごとき特色を有する昭和二十五年度予算内容を、さらに数字をもつて説明申し上げますならば、次のごとくであります。  まず一般会計予算は、歳出入とも総額六千六百十四億円余でありまして、前年度に比較いたし、歳入において七百九十九億円余、蔵出において七百九十六億円余の減少となります。これに伴い、財政規模は、前年度に比し実に八割九分強であります。まさに画期的ともいうべき縮小であると思います。  次に特別会計予算は、歳入総額一兆七千四百億円余、歳出総額一兆六千九百七十六億円余でありまして、これも前年度に比較いたしますれば、歳入において五千九百四十八億円余、歳出において六千四十二億円余と、それぞれ減少いたしております。また政府関係機関予算は、歳出総額一兆四千一百十億円余、歳出総額一兆二千九百億円余でありまして、これまた前年度に比べ、歳出入と四千九十億円余の減少をいたしております。  次に、重要予算項目について簡單説明申上げます。  まず債務償還の問題であります。債務償還は、一般会計より七百二十三億円余、見返り資金より五百五十二億円余、合計一千二百七十六億円余の巨額に上つておりますが、一般会計分のうち二百六億円余は過年度剰余金でありますから、租税收入からまかなつておりますものは五百億円余であります。しかも、地方財政において三百億円ないし四百億円の起置が認められておりますから、実質的には、租税からの債務償還はわずかに百億円ないし二百億円余にすぎません。すなわち、債務償還の大半は見返り資金よりの五百億円余、これをもつて償還されるわけで、国民経済への影響は、直接には、さまで重大でないというのが、政府の見解のようであります。  第二にあげられる問題は補給金の削減であります。いわゆる竹馬の一本の足である価格調整費は、二十四年度当初予算におきましては二千二十二億円であり、同補正により二百三十億円を減少したのでありますが、二十五年度におきましては九百億円に圧縮されております。二十五年度補給金の内訳を見まするに、鉄道二百五十九億円、肥料百七十六億円、ソーダ八億円、輸入食糧四百五十六億円となつておりまして、安定帶物資輸入食糧とで、おのおの半額ずつを占めております。しかして、安定帶物資補給金は本年度一ぱいに整理される建前になつておるようであります。補給金の削減は、消費者価格を騰貴せしめ、有効需要の減退を招きはせぬかとの懸念もありますが、この点、政府はその運用面において調節をはかり、これが影響最小限度にとどめる意向のごとくであります。  第三は、竹馬のもう一つの足である米国の対日援助減少することを見越し、その分だけ輸出を振興させなくてはならねわけであります。三百六十円の為替レートを維持しつつ輸出を増進するためには、国内において低物価政策を持続する必要が起るわけであります。  第四に、公共事業費及び災害復旧費増加が重要な意義をもつていると思います。すなわち、それらの項目は、二十四年度の六百二十五億円に対し三百六十五億円の増加、つまり九百九十億円であります。内訳を申せば、一般事業費五百億円、災害復旧費四百七十億円、事業費二十億円、合計九百九十億円であります。右の災害復旧費のうち三百七十億円が過去の災害に対するものであり、百億円は二十五年度中に発生を予想される分に対する、いわば予備費的のものであります。従来は、災害の発生に対し、予算がないため速急に復旧にとりかかることができなかつた事実に試みて、この予備費を計上してあることは、きわめて適切であるとの感を抱くのであります。また災害復旧費全額国庫負担となりましたことは、地方負担相当軽減できるのではないかとも考えられます。  第五には、地方財政平衡交付金であります。すなわち、従来の地方配付税配付金制度が、シヤウプ勧告の趣旨に沿い、地方財政の充実と地方自治強化のため、この平衡交付金として生れたわけであります。二十五年度交付金総額は一千五十億円でありますが、そのうち、従来の配付税配付金相当するものが六百六十六億円、補助金相当するものが三百四億円でありますから、差引七十八億円余が新制度の平衡交付金相当するものであります。このたびの地方税全面的改正によつて生ずる各地方の不均衡が、これにより幾分調整され得ると思います。  第六は、教育文化及び社会政策的経費増加している点であります。まず問題の六・三制による小中学校校舎建築費でありますが、これは公共事業費の中に四十五億円計上されておりますので、二十四年度補正予算の十五億円と合計して六十億円となるわけであります。これで、最低限度ではありますが、六・三制校舎は一応整備されるものと考えられております。そのほかにも、研究機関経費として六億円、育英費その他として十五億円が計上されております。また社会政策的経費としては、全般的に前年度より増加を見ております。さらに生活保護費健康保険国庫負担事務費保険衛生費引掃者援護費及び失業対策費において、かなりの総額となつております。同じく社会政策的経費でありますが、住宅対策費といたしまして、住宅金融公庫への出資五十億円が計上されておりますが、それに特別会計見返り資金からの百億円投資を加え、合計百五十億円になります。住宅については、さらに公共事業費中に住宅建設費として、一般用三十一億円、引揚者用五億円が計上され、住宅問題に対する政府の深い関心を示されております。  第七は、税制の大改革についてであります。すなわち二十四年度補正予算においては、取引高税織物消費税廃止物品税軽減及び勤労所得税軽減暫定措置がとられておりますが、二十五年度においては、所得税法人税等を中心とする本格的税制改正を企図し、直接税に重点を置き、税制全体を簡素化せんとしております。これにより、二十五年度租税及び印紙收総額は四千四百四十六億円となり、前年度の五千百五十九億円に比べ七百十三億円余の減少となつております。これに二十四年度補正の二百億円の減額を加えますと、実にに九百億円の減少であります。ただ酒税につきましては、前年度收入総額七百五十二億円に対し、二十五年度は一千三十億円と、大幅の増收を見込んでおります。これは主として増石によるものでありまして、小売価格は大体現行程度にすえ置かれるものであります。  以上は昭和二十五年度一般会計予算説明でありますが、次に同特別会計につき簡單説明申上げます。特別会計の数は、二十四年度末には三十一でありますが、その後の新設及び廃止党により三十となる見込みであります。これら特別会計予算総額は、歳入一兆七千四百億円余、歳出一兆六千九百七十六億円余でありまして、前年度に比較いたし三割ほどの減額であります。この減少は、主として地方配付税配付金特別会計及び薪炭弊給調節特別会計の二特別会計廃止と、国債整理基金特別会計における短期証券及び借入金の借りかえの減少等によるものであります。  最後に、政府関係機関予算について申上げます。政府関係機関は、日本専売公社日本国有鉄道各種公団復興金融金庫国民金融公庫、船舶運営会持株会社整理委員会閉鎖機関整理委員会証券処理調整協議会のほか、二十五年度新設予定住宅金融公庫及び商船管理委員会であります。これら政府関係機関収入支出総額は、収入一兆四千百十億円余、支出一兆二千九百十億円余であります。これを前年度に比較いたしますと、収入において二割三分、支出において三割の減少となつております。この減少は、各種公団及び船舶運営会廃止あるいは清算事務完了を見る予定のためであります。  以上が昭和二十五年度予算案大要であります。  次に、委員会における審議の経過及び結果につき申し述べます。まず最初に取上げられました問題は、日本経済現状を安定と見るか不安定と見るか、あるいはデフレと見るかデイスインフレと見るかの問題でありまして、委員より、真の安定とは家計も企業国家財政もともに均衡を得ている状態を言うのである、通貨面の安定だけから経済全般の安定を結論するのは早計である。政府安定論は、中小企業が壊滅に瀕し、農村が圧迫され、失業者が増大している現状を無視しているものである、また政府デイスインフレレ政策が奏功しつつあると言つているが、深刻な金詰まり現状から見てデフレの傾向が強いと思うかどうかとの質疑があました。これに対して政府答弁は、経済現状は、生産、通貨、物価、賃金、貿易のあらゆる面から言つて大体安定していると言える、家計や企業安定化せしめるために、まず財政上の安定策を推進せしめているのである、旧来の放漫なインフレ政策を切りかえた結果、どうしても相当の摩擦は避けられぬ、安定化により生ずる断層は別途に救済すべきである、またデフレデイスインフレかの議論も、どこに基準を置いて論ずるのか、むつかしい問題である、政府としては、米国援助のある間にデイスインフレ政策を推進して、援助がなくなつだときに急激なデフレにならぬようにしたい、以上のような答弁でありました。  さらに経済安定のための最も大きな要素である見返り資金の問題について、主として野党側委員より、打出の小づちといわれていた見返り資金放出が遜延しているのがデフレの原因である、政府見返り資金の運用についてほ自主性を保持すべきである、明年度においては、債務償還に充てる分は減らして、産業への直接投資に振り向けるべきである、また政府援助の打切られた場合を心配しているが、援助がなくなるときは終戰処理費もなくなるはずではないかというような意見がありましたが、これに対する政府の見解は、見返り資金はまず通貨財政の安定のために使用せねばならない、従つて見返り資金による債務償還はぜひ必要である、また債務償還は結局銀行を通じて産業資金となつて還流するものであるから、直接投貸とはその形式を異にするだけである、見返り資金放出が遅れていると言われるが、諸外国と比較しても決して悪くはない、見返り資金を十分に経済自立のために活用しないと、援助が打切られたとき急激な生活水準の切下げに見舞われることになる、また米国援助終戰処理費とは法的にも経済的にも全然別個のものであ、ということでありました。  さらに本予算の大きな特色である債務償還の問題に関しては、委員より、国民の大きな負担をもつて、いまだ返済期限の来ていない債務償還する政府政策は、わが国経済現状より見て、はなはだむりである、この分は大幅に削減して、公共事業あるいは減税または産業復興等に充てるべきである、またこの債務償還によつて銀行手持国債はほとんど買い上げられることになり、銀行資産構成に変化を及ぼし、ひいてはその預金準備を枯渇せしめることになる、さらに政府は、この債務償還によつて資金金融機関を通じて民間産業に流れるものと予定しているが、市中銀行巨額日銀借入れを余儀なくされている現状では、かかる資金の還流は行われないのではないかとの質疑に対し、政府は、債務償還費のうち、見返り資金による五百億円の分は米国援助によるものであるから、これを減税に充てるということは筋が通らない、問題は一般会計からの七百億円以上の分であるが、この中には財政法その他の規定による分が二百億円以上あり、かつまた復金よりの納付金百八十七億円とも見合わせて考えると、本年度租税負担による債務償還の額はさほど大きなものではない、しかも地方起債を三百億円程度予定しているので、これをもあわせて考えると、全体としては債務の増減はバランスしている、本予算においては、公共事業投資あるいは減税等については十分な措置がなされているので、この程度債務償還は妥当なものと考える、また金融機関は国債を買い上げられても、優良な金融債社債等を買い、優秀な企業には必要に応じて貸出しを行つて行くから、資金の還流、預金準備率低下等については心配はいらないとの答弁がありました  次に設備資金の問題に関して、委員より、二十四年度においては、見返り、資金放出遅延最近における証券市場不振等によつて設備資金の調達がはなはだ不円滑であつた、企業合理化のためには設備、機械の改善が必要であるが、資本不足のため合理化が行き悩んでいる、来年度設備資金供給見込みはどうかとの質疑がありましたが、政府答弁は、見返り資金放出は漸時順調になりつつある来年度設備資金は、見返資金からの直接投資預金部資金の活用、特殊金融機関の増資並びに債券発行による資力の充実等によつて本年度以上以上に十分調達きる見込みである、とのことでありました。  さらに年度末の通貨金融情勢に関して、委員より、金詰まりの今日、——三月において予定通りの徴税を強行すれば、いよいよ深刻なデフレを招来し、企業、なかんずく中小企業は倒産の危機に追い込まれるのではないかとの質疑がありました。これに対する政府答弁は、本年一月以降、徴税額は約千九百億円余であるが、一、二、三月における政府資金引上げ超過は一千億円程度である、しかしながら、日銀の貸出し、預金部余裕金市中預託見返り資金放出等の諸措置が適時適切になされるから、三月末通貨は三千億円台に保持できる、当面の金融対策としては株式金融滯貨金融に遺憾なきを期したい、一部には三月危機説が流布されているようだが、財政金融上適切なる手を打つから、さような心配は御無用である、との答弁でありました。  次に、本委員会における質疑の焦点の一つは農業問題でありました。輸入食糧の増大と関連して、農村恐慌問題が各党委員より取上げられ、活発な論議が行われましたが、その要旨は、明年度三百四十万トンの食糧輸入農村を圧迫するものである、またこれらに四百五十六億円も補給金を出すことは、農民に二重の負担をしているものではないか、またわが国国際小麦協定に参加して、より安い食糧を輸入できるようになれば、国際農産物価格が低落の一途をたどりつつある現在、政府のかかる輸入食糧依存方式は必然的に農業恐慌を招来するおそれがある、食糧輸入を減らし、補給金を削減し、その分の経費を増産の方に振り向けべきではなかろうかという質問に対しまして、政府答弁は、三百四十万トンの食糧輸入は需給の関係上必要なものである、消費者本位の立場をもつ生産者の利益を無視しているのでは毛頭ない、また安易な輸入食料依存主義をとつているのではなく、国内食糧増産による自給態勢の確立こそ政府農業政策基本方針である、国内における食糧絶対量が不足しておる点、また輸入資金に限度がある以上、無制限の食糧輸入が不可能である点等よりして農業恐慌が来るとは考えられないが、そのような場合を仮定すれば、農産物価格支持政策関税引上げ政策等を取上げ得る、しかし現在では災害防止土地改良、技術の改善、病中害の駆除等によつて積極的増産を行い、生産費を切り下げることによつて農業生産を確立することこそ急務である、との政府のお答えでありました。  また農業金融に関しまして、委員より、自己資金の貧弱な農村を振興すためには長期低利資金が必要であり、また肥料購入等の正常の経営資金に結まつているため融資を円滑にする必要がある、さらに農業協同組合は経営の基礎が薄弱で積極的に農業に寄與するような活動ができない現状にある、しかも明年度から一般法人と同等に税されるようになる、これは、さらでだに弱体の農協を一層圧迫するものであるとの意見を述べられましたが、これに対して政府は、農業金融には、まず農林中金の資金を充実して活用し、農業手形制度を拡充して万全の措置をとるつもりである、農業協同合は、事業ごと連合会を組織せしめてその基礎を強化するが、課税を一般営利会社並にするのはやむを得ないことである、課税上に特典を與えるより、資金面その他において優遇し、これを育成して行きたい、との答弁でありました。  次に租税の問題に関して、委員より、租税負担軽減が不十分である、中小企業や農民、勤労者は依然として税の重圧に苦しんでおる、政府は本予算において盛んに減税を実施したいと唱えておるが、地方税の増徴を勘案すると、むしろ税負担が重くなるものも相当多いと思うがどうかとの質疑がありましたが、これに対して政府は、米国援助を受けておる現在、二十五年度減税はこの程度が妥当であると思う、二十六年度においては、財政規模を縮小し、より一層の減税を行う予定である、また二十五年度減税ではなくて増税であるという意見があるが、もちろん個々の場合については一律に言えないが、全体としては、国税において七百億円、実質的には九百億円の減税であり、地方税においては四百億円の増税で差引三百億円ないし五百億円の減税である、しかも地方税四百億円のうち三百億円は従来の寄付金のかわりになるものであるから、これを考慮入れると、中央地方を通じて六百億円ないし八百億円の減税になるという政府答弁でありました。  さらに国税地方税総合的調整の問題に関して、委員より、地方公共団体徴税機構の未成熟な現段階において、附加価値税等の新税、市町村民税固定費資産税等国民生活に大きな影響を與える税が、はたして円滑に実施され得るか、これらの税を標準税率通り徴收すれば、予算額をはるかに超過する結果となりはしないが、また地方税体系の新編成により、地方によつて財政的基礎が著しく薄弱になる所が多いが、これらの地方では、平衡交付金が十分に收支の差をカバーし得ない以上、経営的な行政をなし得ないことになるがどうであるかとの質疑がありました。これに対して政府は、今までの地方財政は、あまりにもきゆうくつなわくに縛られ過ぎていた、今回はそのわくをゆるめる第一段の措置であり、この程度地方税増徴は十分円滑に消化し得る、標準税率通り徴收すれば予算額を超過すると言うが、地方の実情に応じて標準税率以下の所もあり、また徴收率を考慮すれば、そのような心配はない、さらに平衡交付金は、今回は收支の差を十分にカバーし得るものではないかもしれないが、その配分を十分に合理的に行うつもりであるから、国家財政現状からこの程度の額で御了承を願いたいとの答弁でありました。  さらに現在の徴税行政のあり方について、委員より、インフレ期の徴税と、デイスインフレの安定期の徴税とでは、納税者の受ける苦痛の度合いが相当異なるものがある、安定期においてインフレ時代と同一の徴税のわくを押しつけられれば、納税者の苦痛は耐えがたいものになるだろう、ゆえに現段階においては、徴税方法において愼重なる考慮を要するとともに、税務官吏はきわめて親切なる態度をもつてこれに当るべきであると思うが、これについて総理の確たる御所見が伺えれば国民は安心感を抱くことができるようになるだろうと思うが、総理のこれに対する御所見いかんとの質問がありましたに対し、内閣総理大臣は、御質問の御趣意は全然同感であるのみならず、しばしば大蔵大臣にも注意を促しておるとの答弁ありました。  次に貿易の問題に関して、委員より、わが国経済復興のかぎを握る貿易が、本年初頭以来はなはだ振わないが、はたして政府予定しおる輸出入計画が達成されるか、また政府の貿易に関する基本的構想いかん、また本年度の輸入計画は多分に外国の過剰商品の圧迫のもとに立てられていて自主性がないと見受けられるかどうかとの質問がありました。これに対して政府答弁は、輸入面においては比較的順調であるが、輸出は、昨年末の季節的好調を除けば概して不振である、しかし、輸入九億ドル、輸出六億ドルの目標は大体達成できると思う、ローガン構想を実施するには、輸入金融に遺憾なきを期せねばならない、また貿易の基本構想としては、目標地域をいずこに置くかというふうに限定しないで、できるだけ広い範囲において取引をやつて行きたい、但し今日は各国ともドル不足の状態であるので、協定貿易をできるだけ拡大するという方式をとるよりほかに道はない、また輸入は、わが国に必要な程度だけを見込んでいるのであるから、貿易に自主性がないというのは当らない、との趣旨の答弁でありました。  さらに外資導入、外国銀行の活動等に関する政府答弁を総合いたしますと、外資導入の現状は、戰前から外資と関係ある企業では一部復活しているようである、さらに新しく外資を入れる企業についても、單に技術を入れるという程度のものは比較的問題はないが、技術と同時に資本を入れるという種類のものになると、なかなか障害が多いようである、外資導入に関して早急に決定を要する問題は、外貨送金の保証、政治上その他の原因による企業の損害の補償、技術者などの所得税軽減措置等である、外国銀行に対しては、單なる為替取引の面だけではなく、外資導入その他とも関連してその活動が期待される、しかし、その取締り、監督は内地銀行と同じようにやることになつており、また実際にやつて行けると思う、とのことでありました。  次に公務員の給與に関する問題であります。委員より、人事院の勧告にもある通り、公務員の給與は民間資金水準よりはるかに下まわつている、経済安定、均衡予算のために公務員の生活を犠牲にすべきではない、政府は六千三百七円ベースの引上げる意思はなか、またたといぺースの引上げは不能としても、昇給その他の措置で公務員の給與を改善する意思はないかとの質疑がありましたが、これに対して政府は、民間賃金との比較といつても、中小企業の賃金のごときは平均賃金より二、三割も低い、また公務員の給與ベース六千三百七円といつても、省によつては六千八百円あるいは六千九百円のところもあり、それに超過勤務手当を加えると七千円以上になり、民間賃金とそれほど隔たりがあるとほ思われない、政府は、公務員の現行給與べースは昨年三月より実施されたものと解釈しており、それ以来物価、生計費指数は下つているので、公務員の実質賃金はむしろ上まわつていると思われる、また国家財政現状からいつても給與ベースを引上げる意思はない、但し公務員の生活の窮状は十分察するので、超過勤務手当の増額あるいは住宅施設の整備等によつて何とかその実質上の給與を改善するつもりである、との答弁でありました。  次に公聽合について簡單に申し上げます。公聽会は、二月十日、十一日の両日にわたつて開催いたしました。公述人としては、農業関係、東大教授近藤康男氏、産業関係において復興金融金庫の理事長工藤昭四郎氏、貿易関係、東洋棉花社長前田保勇氏、金融関係は帝国銀行副社長大坪俊次郎氏、地方財政関係は立教大学教授藤田武夫氏、労働組合関係は国鉄労組副委員長菊川孝夫氏でありました。各公述人は、それぞれ専門的な立場からその意見を開陳され、委員側との間に質疑応答がかわされました。  そのおもなる意見を総合して、要点だけを申し上げますと、経済安定対策は言うまでもなく必要であるが、二十五年度予算には少しくむりではないかと思われる点もあるから、政府予算実行面に十分なる考慮を拂い、デフレに陥り、かえつて経済不安定という逆効果を生じないよう最善の注意を拂う必要がある、ということでありました。さらにこれを問題別について申し述べますと、まず農薬については、輸入食糧最小限度にとどめ、農村に急激な影響を與えないように機宜な施策を進めて行くべきである、また補給金削限により浮いた財源は、これを生産者価格の引上げに充ててはどうかという意見もありました。  産業貿易及び金融問題につきましては、債務償還の強行、補給金の削減、産業及び貿易対策費の僅少、ポンド・ブロックの自給経済化の傾向等の困難な事情に対処するために、金融面における積極的措置と果敢なる施策を推進することが緊要であるとのことでありました。  なお貿易問題については、政府輸出計画六億三千万ドルの達成は、現在の見通しとしてほ予定通り実現し得ると思うが、特にポンド地域においては、政府も業者も環境の変化をよく調査研究し、現状に適応するよう大いに努むべきであるとのことでありました。  地方財政につきましては、平衡交付金の内訳を検討してみると、地方へ交付される金額は、前年度に比較して増加はわずかながらあるが、少な過ぎるのではないか、また平衡交付金基礎となる標準行政費の認め方の問題や交付金の取扱い等に対する意見が開陳されました。  労働問題につきましては、予算案全体があまりに金融資本強化に偏するので、労働者にとつては、労働力のダンピングが行われ、失業者の増大を招くことになるので、本予算は修正されなければならないと述べられた者もありました。以上が公聽会大要であります。  次に分科会について申し上げます。予算案全体につき、細目にわたり詳細な審議検討を行うため、五分科会にわかつて、二月十七日、十八日の両日間、熱心な審議を重ねられました。その経過並びに結果については各分科会主査の報告がありましたが、これは速記録に譲ることにいたします。しかし、ただ一点だけ特に注意を要することは、公共事業費について、現在の認証制度による煩瑣は事務手続等の不合理を是正し、公共事業の能率を上げること、また災害復旧は出水期までに工事を完成することが必要であるから、第一・四半期に少くとも予算額の六〇%を支出することが望ましいとの、政府に対する熱心なる要望があつたことであります。討論採決は各分科会とも保留いたされました。以上が分科会の報告であります。  去る八日質疑を打切り、翌九日討論採決を行いました。討論採決に入り、民主党中曽根康弘君より予算の一部組みかえを要求するとの動議があり、また社会党の勝間田清一君より予算返上の動議があり、それぞれその趣旨弁明がありました。これを終つて一括討論に入り、各党代表者の活発なる討論がありましたが、これらは速記録によつてごらんを願うことといたし、ここにこれを省略いたします。  次いで採決に入り、まず中曽根康弘君提案の予算の一部組みかえの動議を採決し、次に勝間田清一君の返上の動議を採決いたしましたが、いずれも少数をもつて否決されました。続いて、政府提出原案の昭和二十五年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算の採決に入りましたが、多数をもつて政府原案通り可決いたしました。以上をもつて私の報告を終ります。(拍手)
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより討論に入ります。稻村順三君。     〔稻村順三君登壇〕
  6. 稻村順三

    ○稻村順三君 私は、日本社会党の立場から、ただいま上程されました昭和二十五年度の一般、特別、政府関係機関の諸予算に対し、これに反対し、あらためて組みかえの上再提出すべきことを政府に要求する意味において返上せんとするものであります。  一口に申しますと、一般会計特別会計政府関係機関に関する予算を通じて見まして、その中に日本を民主主義化とようとする意欲がはなはだ稀薄であるという点が、私の反対せんとする理由であります。敗戰日本の大命題は、言うまでもなく、ポツダム宣言によつてわが国を民主主義国として再編成することにあるのでありますが、さて、いかにしてこの大命題を遂行するかということになりますと、人々はややもすれば眼前の最近における目まぐるしい事象に眩惑されまして、これを本質的に掘り下げてみるということを、とかく忘れがちなものであります。本予算案のごときは、この典型的なものであると言わなければならぬのであります。  しからば、この大命題を遂行するという場合に基本となるべきものは何であるか。世界の進歩的な政治学者は、いろいろな民主主義に関する政治理論を述べております。しかしながら、大体において一致したところの意見は、近代民主主義は近代的産葉の上にのみ育成されるものであるという、この結論であります。この点は、去る予算委員会におきまして、私は吉田総理大臣に所見を求めましたところ、吉田総理大臣も、まつたくこれに同意だという返答をいたしておるのであります。しかしながら、一般的にはだれが聞いても納得できる、かような常識というものが、わが国の実情において、はたして十分に考慮されているかどうかということは、われわれとしては、あらためて考えてみる必要があると思うのであります。  わが国は、戰前すでに、ごく一般的に申しますと、帝国主義という資本主義最高の段階に到達しておつたことは言うまでもありません。それにもかかわらず、何がゆえに、かくのごとき最高段階に達したところの資本主義のもとに、民主主義が発達しなかつたかということは、われわれとして、あらためて検討しなければならない大きな問題であると思うのであります。わが国の資本主義を構成するところの各産業間の発達があまりにも不均等であつて、一方においては巨大なるところの産業があり、またその産業を支配するところの近代的な銀行があつて、これが世界的水準にまで発達しておつたのにもかかわらず、その他多くのものが、あるいは農業のごとき、あるいは水産業のごとき、また多数の中小企業のごときものの産業的構造が、きわめて未発達であつた。そのために、かくのごとき巨大なものとまで発達したところの産業ないし企業のために、未発達なところの産業ないし企業というものが常に犠牲にされて来たというところに、わが国には民主主義が発達しなかつたところの根本原因があるのであります。  われわれから言うならば、かくのごとき戰前の形態がすなわち財閥の発達となつて現われまして、いわゆる財閥の独裁政治というものが、わが国を軍国主義化しておつたことも、否定することができないのであります。その最もいい例が、農業のように資本主義以前の生産構造をそのまま持つているということが、少数財閥が経済的にも政治的にもその支配権を確立するところの原因となつているということであります。従つて日本を民主主義化する最も基本的な條件は何かといえば、この遅れたるままに残されている産業の構造といものを、民主主義の基盤たるにふさわしく再編成するということであります。われわれは、それを名づけまして産業の近代化と口に言つております。  終戰後、ポツダム勅命によつて財閥は解体いたしました。しかし財閥を解体したということは、実にこういうような理由があるのでありまして、單に財閥を解体するだけでもつて民主主義の基礎が確立したなどというようなことは考えられないのであります。財閥を解体するというのは、その存在が、多くの遅れたるところの産業企業というものを犠牲にして、民主主義を育成すべきところの基盤を経済的に破壊するというところに、われわれが財閥を解体しなければならなかつたところの理由を発見するのであります。(拍手)  近来、産業の近代化ないしは合理化に名をかりまして、巨大産業を立て直し、遅れたところの産業及び企業を犠牲にする、いわゆる集中生産方式というものが云々されております。これは決してわが国を民主主義化することではなくして、財閥解体の意義を無視するものであります。いな、このことはむしろ旧財閥の復活の第一歩であると私たちは言わなければならぬのであります。しかるに本予算には、かくのごとく遅れたる産業に対して、企業を近代化すべき積極的な意図が何ら見られないのであります。その証拠が、本予算に現われたところの協同組合対策であります。今日のごとく立ち遅れたところの小さな独立企業体というものは、個々の力によりまして自分みずからを近代化するということは、おそらく不可能でありましよう。従いまして、われれわの考えといたしましては、これらの独立企業体については、みずからの生産を協同化するということによつてのみ近代化の体制が整えられるということは、これまた識者のひとしく認めるところであります。従いまして、終戰後最近になりまして、協同組合の設置あるいは協同組合の育成ということが、やかましく言われ出しているのであります。  しかしながら、この協同組合に関するところのものは、ポツダム宣言の線とまつたく一致するものといたしまして、政府においても協同組合法というものを設定して、あたかもこの方式というものに協力しているごとくに見せているのであります、しかしながら、本予算では、これを積極的に育成するというような予算が一体どれだけ計上されておるか。皆さんが、そういうものを見ないで、ただやじを飛ばしておるということは、予算案を見ない議員の本質を暴露したものである、かように考えるのであります。(拍手)そういう予算を積極的に計上していないばかりではなくして、逆に附加価値税のごとき、政府では盛んに、附加価値税は事業税の半額に削つた、こういうふうに言つておりますが、協同組合に関する限り、特に農業協同組合あるいは生活協同組合というようなものに関しましては、かつて支拂つて来たところの事業税に比べまして、実に五一・八倍というような甚大なものをかけようとして、協同組合育成の芽をつまもうとしおることを、われわれは認めざるを得ないのであります。(拍手)これは協同組合を、実に幼芽のままに圧殺しようとするところの予算であると言われてもしかたがない、かように存ずるのであります。これ実に、現政府が民主主義化にまつこうから反対であるということを言われてもしかたがない措置であると私は考えざるを得ないのであります。  政府は、かくのごときことは財政資金によらないで、金融によるのが妥当であるという見解を表明しております。だが、これはまつたくみずからの無能を陰蔽するために用いた言訳であるにすぎません。なぜかこいえば、実際的に本年の融資の事態を見るときに、その本質が明らかになると思うのであります。すなわち、融資額の六分の一は滯貨金融で、しかもその多くは輸出品を対象としておるのであつて、何ら産業構造の近代化のために直接役に立つための金融はせられておらないのであります。  一般産業金融についても、金融の中心を現在の銀行にまかしておる限り、その営利的立場から、弱小中小企業農業の再編成に金融することを躊躇すると思うのであります。よしんば政府の指令があつたり、あるいは日銀融資で裏づけをやつたりいたしましても、なお金融が受けられるまでには、早くて二箇月、おそいものは半年、一箇年も要するという例が少くないのであります。これでは、今倒産のうき目にあつているといわれているところの中小企業あるいは農業の応急の間に合わないのみか、長期金融には、銀行はほとんど絶対といつてよいほど融資はしないのであります。これでは、急速に再編成をするのに役立たぬことは、これまた自明の理であります。  かくのごとき事態を知つておるのか知らないのか、政府は、一般市中銀行資金を豊富にして金融を円滑にするのだと称し、国民大衆の血税のうちから、実に七百八十六億円という巨額のものを国債償還のために振り向けようというのが本予算案であります。まさに言語道断といわねばなりません。金融制度を今日のままにしておいて国債償還をするということは、銀行が今日の事態のように、金融に対しわれわれか最も必要な方式においやらずに、單なる営利的な立場からのこれをしているということを思い合わすならば、これに單に無條件で金を持たせるということは、これは実に銀行資本の擁護以外の何ものでもないことは明かなのであります。(拍手)もし国債償還によつて金融を円滑にしようという考えがあるならば、金融制度根本的改革をなぜ先にやらなかつたかと私は言いたいのであります。  そればかりではなく、今日あらゆる銀行が、国債を見返りとして、あるいはまた貸し出す場合には、日銀融資の形において日銀から融資を受けておるのでありまして、従つて、もしもこの際に国債償還するということになりますれば、何よりも先に、優先的に日銀の融資を償還するということになりまして、これはかえつて国民の血税を集めまして、それによつて、他方において日本銀行の倉庫の中に通貨を集めて、デフレ傾向を育成することに拍車をかける以外の何ものでもないのであります。(拍手)金融によつで、中小企業並びに農業近代化に資するところの建前なぞ、実情を無視した一個の空想論にすぎないと私は言いたいのであります。  かくのごとく、遅れた産業及び企業わが国に存在しておるのが、わが国の民主主義化を阻害しているという最む象徴的な表現は、これはわが国における低賃金ということであります。巨大な産業中小企業農業をいけにえにしているという事実は、賃金に最も端的に表現されているのであります。およそ賃金水準は、その国の国民生活の水準によつてきめられるのでありますが、余剰労働を持つているところの中小企業農業に従事する人々が、今日のごとく生活苦に苦んでいるということは、これが産業予備軍をつくり上げ、賃金を低下させるところの原動力となつているのである。中小企業農業を近代化せしめないで、巨大産業の独裁を現出せしめないで、巨大産業の低賃金と言う現象となつて現われたといつてもさしつかえないのであります。春秋の莊法ではないけれども、それゆえに低賃金こそ非民主主義の集中的表現であるとさえ断言してもさしつかえないのであります。  なお巨大産業は、かかる低賃金を利用して、みずからの技術的水準を高めたり、労働の生産性を高めるというようなことに対して、何らの熱意を持たない。合理化合理化と口では叫んでいるが、その合理化とは、現在あるところの労働を強化し、下請工場を犠牲に供する。またそれゆえにこそ低米価を要求するということである。すべての勤労大衆の犠牲を要求することが、彼らのいうところの産業合理化なのであります。(拍争)それによつてのみ実に輸出の振興というものをはかつているのであります。私たちは、予算委員会におきまして、しばしば経済再建のキー・ポイントは輸出の振興であるということを聞かされておるのでありますが、実に今日の事情そのままにして輸出をはかるとするならば、一体だれを犠牲にして輸出振興かはかれると言う自信があるかということを、皆さんにきいたのであります。  吉田内閣は、またこの政治的な代弁者であります。人事院の勧告や、仲裁委員会の裁定にかかからず、国家公務員及び公共企業体労働者の賃金ペース改正に反対して、みずから制定したところの法律の精神を無視し、低資金を固執しているということは、なによりもこの事実を雄弁に物語つているものであると言わなければならないのであります。池田大蔵大臣は、民間の給與に影響があるから公務員並びに公共企業体の職員の給與ペースを改善することができないと言つているのでありますが、これなさに、問うに落ちず、語るに落ちるとい例に漏れず、みずから低賃金を維持して日本の民主化の進まないこの状態をあくまでも期待して行こうという意欲を現わしたものにほかならないと吠えるのであるます。  もともと池田大蔵大臣は、本「国会財政演説で、一般会計特別会計政府関係機関に関する予算を通じて、約二千百五十億円の建設面に関する費用が計上されていると言つておりますが、その内容を見るに、ほとんど復旧に関するものばかりが大半を占めまして、新たに産業を再編成する費用というものは、ほとんど組まれていないのであります。たとえば、同僚勝間田譲員がすでに指摘した通り中小企業振興味のために、わずかに一億四千万円しか計上されておらないのであります。また農業に至つては、かえつてマイナスの方策が講ぜられているといつてもさしつかえないのであります。なぜかならば、農業近代化の大前提をなすものは、最も興の農業の発信を阻止して来たところの農地制度を改革することにあつたことは、言うまでもないのであります。従つて、マツカーサ—元帥の指示によりまして第二次農地改革がなされたのでありますが、これは農地改革というものを完全に放棄することを意味しておるのであります。いな、第二次農地改革を完成するためには、まだ幾多の登記事務が残されておりまして、この登記事務を完了するだけでも、昨年の三倍、四倍の費用がいると言われているときに、農地委員会廃止して、これを農業委員会に改組する。しかも、農地改革に関する予算を昨年よりもはるかに削減するに至りましては、実に吉田内閣の産業政策の反動性を最も如実に現わしている証拠であると私は言いたいのであります。  池田大蔵大臣は、この二千百五十億の建設事業が、有効需要の振興、失業者の救済、経済の再建に寄與すると自画自讃をしておりますが、私たちから考えるならば、いやしくも一国の財政をつかさどるところの大臣でありますので、おそらく経済学のABCくらいは知つておると私は考えておりましたところが、実に大蔵大臣は経済学のABCもわからないということが明らかに暴露されているのであります。なぜかならば、われわれから考えるならば、有効需要の最終的な決定要因というものは、これは最終的な消費財の消費であります。生産財と消費財との両部門の間に十分なバランスがとられていない限りにおきましては、実に健全なるところの経済の発展もなければ、また有効需要の振興、喚起というようなものは絶対に起り得ないのであります。  しかるに、今日のごとく、一方においては労働者の生活難あり、他方においては中小企業の倒産あり、農業が貧困化しているというこの時期におきまして、最も巨大なるところの、消費財の最終的消費者であるところの勤労大衆の有効需要というものを喚起せずして、一体どこに有効需要が生れて来るかと言いたいのであります。(拍手)いな、最終消費というものを拘束しておいて、そうして單にすでに荒廃したところの生産施設や何かをところどころつくろうという程度において、そこに有効需要が喚起されたり、失葉者が吸収されたり、あるいはまた経済が再建せ、られるというような考え方は、実に私は事態をあまりにも甘く見過ぎた考えであると言わなければならぬと思うのであります。(拍手)一時的には、あるいはこういうような投資というようなものも、ちよつとの間くらいは需要を喚起し、あるいは失業を吸収するかもしれませんが、それはほんの一瞬のものでありまして、その後において、ただちに破綻の来ることもまた明らかなのであります。こういうことによつて経済の再建をもくろむというのは、こうやく張りでもつて大修理を行うということを期待すると同じ考え方であるといわなければならぬのであります。(拍手)私たちは、そのほかにこの予算の最も欠点としていることは何であるかと申しますならば、それは超均衡予算という名前をかりまして、あらゆる犠牲を超均衡予算のために強行しているということであります。私たちも、もちろん均衡予算というのは重要な問題であるとは考えております。しかしながら、これはあくまで応急処置でありまして、応急処置はあくまで応急処置であつて、根本的な問題を解決することを忘れるならば、何の役にも立たないものであるとおもうのであります。  私は、予算委員会におきまして、これを吉田総理大臣に対して質問したのでありますが、そのときに吉田総理大臣も、われわれは産業を近代化して民主主義の基礎を築くということが第一であり、均衡というようなものにとらわれるものではないと、はつきりと返答しているのであります。しかるにもかかわらず、この予算を見ますと、あらゆる問題をここに集中いたしまして、予算が足りないという理由によりまして、いかなる犠牲もあえて辞せないということが、はつきりと現われているのであります。昔から、しかを追い風師山を見ずというたとえ話がありますが、まさに均衡の亡者にとりつかれたところの池田大蔵大直は、日本の民主主義化という根本的なものを忘れて、ただこのことに夢中になつているものと言わざるを得ないのであります。  われわれから考えるならば、何よりも第一の重要なことは、すなわち民主主義化を十分に日本において徹底することである。しかも、この民主主義化というものは、結局日本において遅れておるところの産業を近代化するというところに初めて私たちは求めなければならないのでありますが、これを忘れてしまつて、單なる均衡のために一切を犠牲にするという考え方、すなわちこれは、私は官僚としてはやむを得ない考え方であると思う。なぜかというならば、官僚というものは、ただ上司の命令に従つて、法律というものを、條文のわく内において文字をもてあそぶということだけのくせがついておるのであります。池田大蔵大臣は、最近に政治家になつたようでありますが、長い間の官僚生活をしておりましたので、何事も文字をいじくつて、法律をこまかく解釈するというだけにとどまつていると思うのであります。かような考え方からいたしまして、いわゆるドツジ・プランの維持、あるいは経済九原則をいじつて、そうしてここに総合均衡予算という文字にとりつかれてしまつたということによりまして、遂には人間というものをすべて機械のごとく考えておる。人間によつて法律がつくられたのではなく、人間によつて社会がつくられたのではなくて、実に法律の機械が人間であるという、かような考えが出て来ると思うのであります。ここに私は、今日の大蔵大臣の、いわゆる五人や十人の人間が倒産してもやむを得ないというところの暴言が生れて来ると思うのであります。(拍手)  また大蔵大臣ばかりではありません。予算委員会におきまして、森農林大臣のごときも同じように、兼業農家は相手にせずというような暴言すら吐いておるのであります。また増田官房長官は、單産ストもゼネストとこれを解するというように、実にかような、人間によつてつくられた法律ではなくして、法律のために人間が物のように取扱われているという考え方が、すべてこの吉田内閣の中に漂つているのでありまして、かようなたちばから本予算案が組まれているということを、われわれはみのがすことができないのであります。  とりわけ私たちは、この予算の中で最も注意しなければならないことは、税制の問題であります。この税制改革によりまして、実に本税は七百何十億という減税になると呼号しております、われわれから言うならば、はたしてこれが軽減になるかどうかということは疑問であります。なぜかならば、今日目標徹税額以上に税史によつて所得が査定されているという事実と照し合せて見ますならば、われわれは、おそらく目標額以上に租税を取立てることによつて、かような減税をカバーするという方針をとる危険なしとしないのであります。  しかしながら、私たちは、これを減税であると考えてもよろしいのであります。一応そう仮定いたしましよう。しかしながら、それにもかかわらず、地方税法が全然今日まで上程されておらないから、幾ら地上税がとられるかということは、十分決定的な考え方をするわけには行かないのであります。私たちから申しますならば、地方税を拂う人間と国税を拂う人間とは同一人であります。同一人であるならば、公正なるところの課税というものがもし重要であるならば、地方税国税とは同時に決定を見なければならぬのであります。しかしながら、かくのごとく、いまだ地方税に関する法律案を上程せずして、ただ国税だけの計算によつてここに予算を決定しようとする態度は、実に将来の地方税に対する大きなる負担というものをごまかして、單なる本税の軽減を呼号することによつてこの欺瞞的予算を通さんとするところの下心と言つてもさしつかえないと思うのであります。(拍手)  私は、かような考えからいたしまして、以上の立論を要約いたしますと、この予算案は、民主主義の基盤になるように対しては実に無関心であるということ、労働者、農民中小企業者を犠牲にして顧みないということ、租税の重課ということをするために地方税を同時に審議することを避けておるというような、かような條件を考慮いたしまして、私たちは、本予算というものを修正しようと考えるならば、根本的な立場の相違がありますから、とうてい修正をすることができない。むしろこれは根本からやり直さなければどうにもならないと、かように考えるものであります。従つて私たちは、これをひとまず返上いたしまして、すみやかに政府が組みかえをすべきことを要求するものであります。  私の予算案に対する反対の説明をこれで終えます。(拍手)
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 上林山榮吉君。     〔上林山榮吉君登壇〕
  8. 上林山榮吉

    ○上林山榮吉君 ただいま予算委員長よりご報告のありました昭和二十五年度一般会計特別会計及び政府関係機関予算案に対し、私は自由党を代表してこれに賛成の意見を表明せんとするものであります。(拍手)  申までもなく、本予算案は、さきの臨時国会に提出されました昭和二十四年度補正予算と一体をなすものでありまして、いわゆる十五箇月予算と呼ばれるところのものであります。従つて、本予算案の要する特徴については、すでに昭和二十四年度補正予算提出の際に論議されたところとまつたく大差がないのであります。しかし、しさいにこれを考察いたしまするに、なお幾多の特色とも言うべき内容を包藏しておるのであります。  たとえば第一に、本予算案は前年度に比し、財政規模が著しく縮小されておるのであります。この点は、シヤウプ勧告に基く税制の改革とも関連するものでありますが、ともかくも、一般会計において前年度に比し一一%、その純計において一五%をそれぞれ減少いたしておりますことは、近年のわが国財政史上から見て、確かに画期的な財政規模の縮小であると考えられるのであります。  近年、わが国経済は激烈なインフレーシヨンのあらしの中に置かれ、国民経済基礎は、物価の連続的暴騰により極端な危険状態にさらされておつたのであります。しかして、その主る原因が国家財政の膨脹に存したものであり、一般には財政インフレーシヨンと呼ばれて来たのでありまするが、それがドツジ・ラインを参考として財政面の具利敵緊縮をはかり、さらに今回財政規模を著しく縮減することになつたのは、インフレ収束の点から見て、まことに喜ぶべきことであると確信するのであります。(拍手)しかも本予算案は、財政規模の縮小とともに、前年度以来政府の根本方針である総合均衡予算の方針を引続き賢持し、ますますインフレ収束に努めるとともに、さらに一歩を進め、安定より復興へ進まんとするものでありまして、一応大筋としては歓迎すべき財政措置と考えてよいのであります。かくすることによつて財政の黒字はやがて家計や事業の黒字となり、進んでは国際的にも均衡のとれた貿易ができる結果となるのであるから、政府としては、このことを念頭に置いて、国民とともにある気持をもつて一層の努力を傾倒されんことを望むのであります。  第二に、税制の改革について申し上げたいのであります。税制の改革は、わが自由党本来の基本政策一つでありまして、すでに国民にその実現を公約いたして参つたのでありまするが、ここにその大部分が改革されたことは、国民とともに喜びにたえあにところであります。(拍手)もつとも、この税制改革につきましては、わが国財政経済の全般ないしは国民負担能力に緊密な関連を有するものであり、單なる一時的弥縫策をもつてしては、とうてい満足できないばかりでなく、時にかえつて幾多の矛盾を惹起するおそれもありましたので、シヤウプ博士一行の来朝を待つて、これが根本的改革をはかつたのであります。  幸い一部を除いて、わが国税制の上に画期的大改革が行われ、臨時国会においては、本年一月より取引高税織物消費税廃止を善行し、物品税及び勤労所得税軽減措置をとり、地方税農業事業税を廃止することに決定したのでありましたが、これによる昭和二十四年度国税減収は二百二億円となつておるのであります。しかして、本に十五年度予算においては、四月以降、所得税、法人税などを中心とする本格的な改正をはかることとなつたのであります。この結果、租税及び印紙収入総額は、前年度に比し七百十三億円の減少となつております。すなわち、補正予算による減税分と合計いたしますと約九百億円の減税であり、さらに注目すべきは、予算委員会において、政府が、昭和二十六年度には約一千億円の減税を実行すると言明したことである。ゆえに、これをあわせて考察するに、来年度以降の見通しとしては、国民生活相当の明るさをとりもどすものと確信し、健全なる考えを持つた国民大多数とともに、意を強くいたしておる次第であります。(拍手)  第三には、政府は、従来の統制を大幅に撤廃し、経済本来の健全な、実際的な姿である自由経済に立ちもどらんとする努力を、予算案その他において示しておる点であります。ご承知のごとく、わが国経済は、戦争遂行の必要から、戦時中、国民経済の各部門にわたり、生産面にも、分配面にも、消費面にも強度の統制のあみを張りめぐらし、遂に国民の間に個人の創意に基く奮発心を喪失せしめ、また業者は官僚と結託して独占利潤の獲得に狂奪し、安易な経営になれ、消費者に対するサービスを忘れてしまつたのであります。この幣は言うまでもなく終戦と同時にいち早く脱却し、自然なる自由経済に立ちもどるべきであるたのでありますが、内外の政治力のいかんによつて、その実現が容易でなかつたのであります。  もちろんわれわれは、現下の国際情勢及びわが国経済事情において、古典派経済学者の説くごとく、手放しの自由放任論を主張するほど無責任でもなければ、内外の情勢にうといものでもありませんが、しかし、わが国統制経済の形態たる官僚統制に対しては、断固として反対せざるを得ないのであります。(拍手)この点については、従来のわが党の主張、特に前国会における経済安定本部長官に対する私の演説等によつて諸君のご了承を得らるることと確信するものであります。  しかるに政府は、本予算案において引き続き統制撤廃の意思を明瞭に示しておりますことは、われわれの共感を禁じ得ないところであります。かくて本年度内には、一部公団を除き、大部分の公団の解散が予想せられますことは、当然の処償と言わなければならぬのであります。ただ、この際政府が十分注意せねばならぬことは、自由闘争から来る副作用を最小限度に食いとめ、しかもそのためには、経済的処置はもちろんのこと、強力なる社会政策、特に社会保障制度をさらに拡充強化してこれに対処し、国民に理想と感激を與え、落伍者を少なくして、再起の機会を多く與えるべきであると信ずるものであります。なお、統制撤廃に関連いたした各種補給金廃止が行われ、予算面における価格調整費が、本年度予算の半額であるところの九百億円に大幅に減少されていることは、前述の減税の点と相まつて注目すべき予算措置と考えられ、従来価格諸経費財政面に大きな重圧を投げていた点にかんがみ、適当なる処置といわなければならぬのであります。  第四には、米国日援助見返資金減少した点であります。これは、さきに述べた補給金削減とともに、いわゆる竹馬の二本の足を切断したものであり、わが国経済自主性確率の上に好影響を與えるものと考えるのでありますが、これが運営に当たつては、時期を失することなく、また手続も簡素化して、産業資金として私企業方面へますます活用し、もつて所期の目的を達するように努力すべきであると考えるのであります。  第五に、特に大きく気づきますことは本予算案において公共事業費が著しく増額された点であります。すなわり前年度に比し、一般会計で五五%、金額にして、百六十三億円、特別会計において六五%、金額にして三百億円、政府関係機関において一三九%、金額にして二百二十五億円をそれぞれ増加し、合計金額は二千百六十四億円、比率の上では実に六九%を増加いたしておるのであります。  この公共事業費につき注目すべきは、災害復旧費全額国庫負担としたことと、二十五年度内に予想される災害復旧費として、新たに予備費として百億円を計上しておる点であります。言うまでもなく、天異の頻発は、わが国国民経済の上において一大がんともいうべきものでありまするが、これがために全国民の受ける被害は、尊い人命から、土地、家屋、家畜、農産物その他に至るまで、毎年莫大な額に上るのであります。ことに近年は、戦争中及び戦後における山林の間伐、堤防その他破壊箇所の増大その他により、被害の額を一段と大きなものにいたしておるのであります。しかも経費及び資材の関係が遅れて復旧に間に合わぬものが多く、聞くところによりますと、昭和二十三年以前の災害復旧に要するもの七百億円、昭和二十四年度発生の分については九百億円、合計千六百億円んの巨額を要するといわれるのであります。かくては、近年地方財政の窮乏の現状より見て、とうていこれを地方経費のみに求めをことはできない有様であつたのでありますが、今回これを全額国庫において負担すをことになつたことは、きわめて重要な点であると思うのであります。また昨年度内に発生を予想される被害の分として、新たに百億円の経費を準備しておることなど、戦災復興五個年計画とともに、わが政府が、わが国の各種復旧事業について地方の要望に深い関心を拂つておる証左であつて、特に意を強くするところであるが、この点は、その性質にかんがみ、事業分量を増加する処置等を考慮して、さらに一段と努力をしてもらわなければならぬと思うものであります。  さらに公共事業内容の面からこれを見まして、懸案の六・三制校舎建設のための補助金として四十五億円が計上され、さきの補正予算による十五億円と合計して六十億円の支出が可能となつたことは、きわめて意義の深いことと思うのであります。(拍手)なおこの分は、五割を国庫で補助するものであるから、事業費としては百二十億円になると思うので、六・三制の問題は、十分とは言えないまでも、一応ここに解決を見るに至つたことは、諸君とともに御同慶にたえない次第であります。(拍手)  また、目下のところ莫大な社会問題である住宅問題も、住宅金融国庫に百五十億円を出資するほか、公共事業費中に、一般用及び引揚者用住宅建設費としてそれぞれ相当額が計上されているので、合計百八十七億円となり、かつて予算に見られない大幅の増額となつておるのであります。これら公共事業費により、約百万人の身就職労働力が吸収されることになるのは、失業対策、治安維持の面からも、きわめて有効な機能をはたすものと信ずるものであります。     〔議長退席、仮議長着席〕  第六には、前年度に引き続き債務償還を継続せんとしておる点であります。債務償還額は、昭和二十四年度千五百七十一億円、二十五年度千二百七十六億円で、二百級十五億円の減少でありますが、前年度に引続き巨額債務償還を計画しておることは、既往の債務を縮減することにより消費インフレを抑え、資本の確実な蓄積を推進して、対日援助費の減少ないしは打切りに伴う国民経済自立の準備として、当然の処置と言わなければならぬのであります。要は、わが国財政現状国民負担調節等から、その額をどの程度にするか、かつまた還流されたこの資金をいかに有効に産業資金として活用するかが問題であるが、政府としても慎重なる態度をもつて特にこの点に善処すべきであると思うのであります。  今、さいむ償還内容を見るに、一般会計より七百十六億円、見返り資金より五百億円計上されておりまするが、一般会計分については、前年度繰越しの二百六億円と、復金納付金百八十七億円が充てられると思われるので、二千五年度の納税負担よりの償還は三百億円程度であるが、反面、地方債は三百億円以上を許されることになるのであるから、国民負担はさほど重いものではないのであります。しかも、この債務償還経済的クツシヨンとして彈力的に使用しつつ金利の漸進的引下げを行い、もつてこれを国際金利水準にさや寄せをなすとともに、外資導入にもまた大きな契機となることを思えば、必要以上これを、非難することは、ためにせんとする一方的議論としか受取れないのであります。(拍手)但し、前に述べたことく、償還されたこの金が再び遺流されて、参漁資金として十分その機能を果たすよう、重ねて政府努力を要望するもの、あります。  さらに第七にあげられ得ることは、地方財政強化であろうと思います。わが国の過去の実情は、極端な中央集権政治であつたのであるが、今後は、新憲法下における地方自治を十分に発達せしめなければならぬことは明白なる事実であります。しかし、地方自治の発達といつてみたところで、結局は、その裏づけとして地方財政経済基礎を十分強固なものにしてやるのでなければ、まつたくその意味をなさないのであります。それが、今回の予算により、地方に十分の実力を復興せんとして、従来の地方配付税配付金にかえて地方財政平衡交付金を設けるとともに、地方税収の面においても新たに附加価値税、固定資産税の増設をなし、住民税の増撤を許し、それに、前述のごとく多少問題はあるとしても、災害復旧費全額国庫負担とするなど、政府地方財政強化に意を用いているところは、大いにこれを了としなければならぬと思うであります。(拍手)けれども、国税地方税を通ずるは、確かに全体として差引五百億円程度減税に違いないが、もし勧告案通り地方税が改正されなければならぬ結果となれば、人により、事業や所によつて相当重税になるものもあるから、本問題解決のためには、日本の実情に応ずるよう、削減の方向に向つて政府は腰を落ちつけて、これかために善処せられんことを望むものであります。  以上のごとく、昭和二十五年度予算に見られる特色は、いずもわが国経済復興のため当然行うべき処置であると思うのでありまするが、本予算の実行をして十分効果あらしむるために、なお相当注意を要する点があると思われるので、率直に、以下そのおもな点について意見を申し述べておきたいのであります。すなわち、従来政府の安定方策は、いわば、なしくずしの安定方策であつたが、経済第九原則指示以来、これを早期安定ないしは一拳安定の方針に切りかえたので、ちようどそれは、人間が病気回復期にあるときに荒治療を加えた感がするのであるから、事態の推移について常に謙虚な気持でこれをながめ、慎重に急速にそれぞれの処置を講ずべきであると思うのであります。もちらん、かくすることによつて真に本予算が活用され、本年秋ごろより来年に向つては、必ずや明るい景気を招来する曙光を見出すものと信ずるのであります。(拍手)  まず第一に、課税徴税の問題であります。せつかく政府及び国会減税の方針を決定しても、これに従事する税務官吏が実態に即した課税をなし、激情ある徴税をなさなければ、感情的衝突や、あるいは自殺者を出す悲惨な事態が起り、しかもこれを利用する極左分子などがあつて大混乱を来すのであるから、実態調査を厳密にするように、強く下部機関に徹底せしめなければならないのであります。本問題については、委員会において特に内閣総理大臣に強く要望した点でありまするから、この際重ねて要望をいたておきたいと思うのであります。  第二に、農村恐慌を防止する具体策をあらかじめ講ぜねばならぬと思うものであります。現在は、もちろん経済的な純梓の農村恐慌ではありませんが、確かに農村恐慌の徴候が二、三現われておると見られるのでありまするから、本予算において農村相当負担が軽くはなるておりまするけども、農産物価の適当なる保障をさらに考えるとともに、あるいは農村金融の打開に努め、さらには農村経済の中核的機関である農業協同組合に活を入れ、特に組合金融機関の対策に対しては、政府の一層の努力を要望してやまない次第であります。  第三には、中小企業の積極的対策を講じ、これら業者の犠牲を最小限度に食いとめ、日本経済再建の重要部門を担当せしむべきであると思うのであります。すなわち、中小企業者に対する課税を適正にし、実態に即した調査、徴税等かなし、金詰まりり打開策として、長期金融、不動産金融、中小金融等をさらに拡大し活用して、立ち上る勇気を與えるべきであると信ずるのであります。なおこのことについては、自由党本来の中小企業対策、及びわが党が三月三日発表せるところの党の中小企業緊急対策の線に沿つて政府は当然このことについて善処すべきである信ずるものであります。  最後に一言したいことは、公務員に対する給與の問題であります。われわれは、公務員が国民に対する善良なる奉仕者として親切に能率的に活動をなし、かつまた健全なる労組運動にに従事することを望んでおるものでありますが、この点については、国民負担国家財産上の立場、現実的生活水準等を十分勘案して、適切なる対策をさらに一段と講ずべきであると思うのであります。もちろん、單にこれらの問題に迎合し、あるいは煽動するような、無責任な政党の所見とは見解を異にしなければならぬ点もあるのでありまするが、政府は、この実情をよく認識してこの問題に善処せられなければならぬと思うのであります。  すなわち、最近の民間賃金の水準を調査するに、一部有数なるものを除いては、漸次賃金は二割ないし三割方安くなつているが、中には二箇月、三箇月も遅配・欠配をしておるものもあるのであるから、その安定性は、かえつて公務員の方にあるのでありまするが、それにしても、なお相当の開きが見られるのであります。これに対し、従来もわれわれは、あとう限りの支給額の上昇、あるいはその支給方法等について協力して来たのであるが、政府においても、勤労所得税織物消費税物品税等の軽減により、公務員住宅の増設により、かつまた主食の増配その他により、実質賃金の向上に努めて来たのでありまするが、反面、一部物価の上昇も見られるのであるから、この際昇給期間の短縮、費與制度の確立、超過勤務手当の完全支拂い、福祉施設の拡充、住宅手当の支給等の実質賃金増額を予算の範囲内で考え、せめて現ぺースの二、三割方程度になるように善処して、その方針を一日も早く決定し、これを負担するところの国民の了解と、これを受けるところの公務員諸君に対し強い理解を求むべきであると思うのであります。(拍手)  今や、本問題を適当に解決せねば、政界、経済界の思わざる不安定を来し、いずれに原因があるにもせよ、国民全体の生活脅かし、再建に支障を来す結果ともなり、さらには国際的信用にも関係するのでありますから、慣重に考慮し、進んでこれが解決をはかれんことを望むもので、あります。もとより、敗戦後のわが国政治、経済現状にかんがみますならば、われわれ国民としては、いわゆる耐えがたきを忍び、明日の明るい再建のために、目に見えて来た国民経済安定のために、国際社会へすみやかに復帰するために、さらに奮闘すべきであるとは思いまするが、政府としても、国民のこの建般的な努力を一段と成果あらしむべく最大の考慮を拂うべきであると信ずるものであります。  以上、政府に対し率直に注意を喚起し、本予算案に賛成するものであります。(拍手)
  9. 庄司一郎

    ○仮議長(庄司一郎君) 川崎秀二君。     〔川崎秀二君登壇〕
  10. 川崎秀二

    ○川崎秀二君 私は、民主党を代表し、昭和二十五年度予算案に反対するものでのります。  今回の一般、特別両会計並びに政府関係機関予算案を目して、政府昭和六年以来の均衡予算と称し、復興と安定の両性格を滞びたものとして自画自賛をいたし、しきりに楽観説を放つておりまするが、その実体はまつたくこれに反し、二十四年度予算に引続くデフレの傾向は依然として濃厚であり、予算の根底をなす財政対策は、弱肉強食、冷酷無情の自由資本主義の姿を随所に現しているものと申さなければなりません。(拍手)  反対理由の開陳に先だちまして、わが党初め国民協同党並びに新政治協議会は、総予算の性格が、資本の蓄積に名をかりて、経済安定政策の犠牲を、再建のにない手である農民、労働者並びに中小企業者に対し、しわ寄せをしていることは、断じてれを許すべからず、わが国の復興は国民各層の平等の負担勤労者の福祉を目標とすべきであるという理由から、次のような修正案を作成し、政府にその編成がえを要求いたしたのであります。  すなわち、一般会計歳出のうち、これを減ずるものとして、第一に債務償還費を五百億削減し、第二に価格調整費のうち七百十八億を削減、その内訳は、ソーダの補給金八億、硝安十三億七千万円、粘結炭一九億五千万円、食糧輸入調整費として百三十六億八千万円、第三に物件節減百五十八億、第四に二十四年度剰余金見込みの半額を計上いして七十億、合計九百六億を財源といたしまして、新たに歳出費目を、増額するものとして、農産物価格安定のために百四十四億、土地改良食糧需給対策、農業保険、農業科学枝術指導に百億を計上いたしまして、農村復興費を大幅に二百四十四億計上いしております。次に中小企業振興費に二百億、この内訳は、新たに中小企業金融金棒を興して、壊滅に瀕せる中小企業危機を救う出費をなすことを中心として、諸般の中小企業対策を包含するものであります。次に平衡交付金の増額をなし、地方税減税に充つるために二百億、第四に、公務員の賃金ベースについては、人事院勧告を尊重して七千八百七十七円ぺースにおきかえ、行政の合理化などの対策を含んでこれを実施することとし、その財源のうち二百億を計上、次に社会保障策費三十九億、その内訳は、健康保険、国民健康保険等の疾病保健の赤字の半額国庫負担十八億、日雇い労務者の失業保險の増五億、母子福祉対策五億、遺家族援護費十億、第六に教育文化費二十三億を計上、その内訳は、育英資金の増十億、科学技術振興の増十億、私立大学建設費貸付三億、以上合計九百六億をもつて修正動議を提出したのでありますが、予算委員会においては、不幸にして多数をもつて否決せられたのであります。  しかしながら、わが党が、二十四年度予算編成あれた際修正案を提出いたしまして、そのことが昨年の補正予算となつて現われたことく、この修正案を潮笑する諸君は、しばらくして政府が再び補正予算を提出をしなければならないことを見て、ぼう然とするであろうということを警告いたしておきます。それゆえに、ここに自主性なき政府の原案、ドツジ・ラインのいささかの修正をも懇請することなく、唯唯としてこれに屈従するごとき隷属的予算に対しくは、以下主として政策の大筋をいつつ、これに反対するものであります。(拍手)  今日国民経済は、かつてない茂縮に直面をいたしております。税金の滞納はおびただしく、不渡手形は増加し、滞貨は昨年から引続いてふえ、ちまたには店じまいのダンピングの声がやかましく、深刻なる金詰まり中小企業の破産等、デフレの深刻化と不景気は、企業といわず、家計といわわず、これを破滅のふちに追い落そうとしているのであります。加えて、現在の税金攻勢は、国民の大部分の身辺に脅威を與えまして、特に中産階級の破滅は眼前に迫り、ゆゆしき形勢を招来いたしているのであります。  これらの現象は、一体なぜ起つて来たものでありましようか。過ぐる昨年の春、インフレ政策の踏腱者である自由党政府が、ドツジ・ラインの壁に頭をぶつつけて百八十度転回し、その結果とつた極端なる金融玖策の結果であることは、何人もこれを否定することはできないと思うのであります。(拍手)もちろんわれわれは、盾の半面を見のがすほど片寄つた考え方を持つてはおりません。されば、われわれは、インフレーシヨンが解消し、通過の安定が保たれたことの功績は、一応これを認むるものであります。しかし、これは明らかに借物の衣装の成功であつて、本物ではない。借物衣装をそのまま拝借したがゆえに、一方日本経済の実態について、念の入つた、行き届いた、思いやりのある政策が打たれずして、やせ衰えた慢性胃腸病患者に、ひまし油を飲ませた結果、毒養はさらに低下し、気息えんえんというのが、偽らざる日本の現状ではなかと考えるのであります。  現内閣の財政政策は、モネタリ・スダビリゼーシヨン、すなわち貨幣的安定政策に基本を置いて、単純にこれえを実行したにすぎないのであります。すなわち、ローガン構想による自由貿易体制への復帰ということ、また債務償還金をもつてする金融機関のペーイング・ベーシスの上に立つて投資を主眼とする資本の蓄積の方法、また高額所の得者の属に対する税金の緩和な一連の政策は、通過の安定さえ得れば、その後は価格機構の自動的な調節によつて自然的成行きにまかせるという、前世紀の古典的資本主義に一貫しておるのであります。この貨幣的姿安定政策が唯一無二の政策であり、あとは統制経済をはずして自由経済に還元すればよいと、これが金科玉條のように遵奉されておるところに、現下のごとき日本の苦悩の姿が現出をいたしておるのにあります。これは貨幣の安定であつても、断じて経済の安定と復興であるとは申すことはできません。  経済政策に対する現内閣の欠陥は、いま一点、計画性をまつたく軽観しているところにその原因があるのであります。吉田内閣は、いわゆる経済復興五箇年計画を放棄したようであります。総理大臣は、五年先のような将来の計画まで立てても、情勢の変化によつてむだになると言明し、最近五箇年計画の原案をつくつた安定本部案は、閣議へかける前に発禁処分を食つたようである。五箇年計画を捨てられることは、かつてでありまするが、これにかわるべき何らの復興目標をも立てず、統制をはずして自由に復帰さえすれば万事事足れりというような、イージー・ゴーイングな、その日暮しの政策で、国民に耐乏をしいつつ楽観を説くことは、空腹の国民を暗夜行路にかり立てるものと言わなければならないのであります。  もとよりわれわれは、企業の自由を強力に要望し、統制経済の解除を主張することにおいて人後に落つるものではない。戦争中の官僚統制、戦後の諸般の事情から、やむを得なかつたとは言え、人工的な統制経済を打破することに協力して来たものであります。しかしながら、手放しの自由経済主義のおもむくところは、弱肉強食、再び勤労国民大衆をして社会的犠牲に泣かしめる結果を招来するのであつて、ここにその幣を排除するための公共的、合理的な諸政策が織り込まれなければならず、それには国民経済全体の運営について確固たる計画性が絶対に必要性を帯びて来るのであります。  昨夜、予算委員会の討論におきまして自由党の討論者小坂善太郎君は、自由経済こそ経済の合理性を意味すると申しまして、諭旨まつたく自由資本主義を謳歌する討論をして、かつての修正資本主義を幣履のごとく捨て去つたのでありまするが、経済の合理性を説くがゆえに、社会的合理性を没却し、競争の原理を変調して保障の原理を軽視することは、ここに政治の破滅が胚胎することを忘れてはならぬのであります。それにしても、修正資本主義者にはいろいろあります。しかしながら、言論と主張に生きなければならぬ小坂善太郎君が、政党人としての節操を売つた自由主義を謳拂し、経営と要領をたつとぶはずの故大塚万丈君は、その主義と思想に生涯をとじております。私は、人の信念と処世術を思い合せ、かつての僚友の態度に憮然たらざるを得ないのであります。  世界の各国において、日本のような古典的資本主義を建前として攻策を行つておる国がどこにあるか。今年冒頭において発表されたアメリカ大統領の教書をごらんなさい。南半球、カナダ等、保守党が政権を持つ国においてもしかり、世界の大勢は、資本主義に計画性を付與して、公共性、社会福祉性を中軸とし、その大わくのもとに国民の自由なる経済活動を促進いたしておるのであります。  金融政策における予算面に現れた最大の問題は、言うまでもなく債務償還費千二百七十六億の計上であります。何ゆえにこのよう厖大な国債償還を行わねばならぬのでありましようか。この点について、池田大蔵大臣は、昨年の債務償還は千五百数十億である。これと比較すれば二百数十億いまだ少いということを弁明し、税金吸い上げの分は結局三百億であるということを強調しております。国家の信用を維持するために債務償還の必要を力説されたのでありまするが、二十四年度国債償還内容と、二十五年度のそれとは、明らかにその性質を異にしておるのであります。  まず、昨年の復金償還から、本年は長期公債の償還に移つておることを、われわれは指摘しなければなりません。第二の点は、二十四年度においては預金が予想以上に好調であつたので、二十四年度は、千五百億の債務償還のうち大部分は金融機関還流しております。これが間接的に民間に投資されたことを、われわれは否定するものではありません。しかしながら、二十五年度に計上されておる千二百億の債務償還のうち、市中手持の国債はわずかに八百億円にすぎません。この八百億円を全部償還されるとしても、市中銀行の一千億に上る日銀借入金の返済に向けられるのが落ちであつて、この結果は、再び投資面に現れて来るというよりも、むしろ日銀劵の縮小の形になつて現われて来ることを予想しなければならぬ。明らかにデフレ要素を醸成することになるのであります。  ことに市中銀行としれは、支拂い準備して、預金残高の二割ぐらいは国債をもつて保有するのが従来の常道でありますから、言うがごとく市中手持国債の一掃は、市中銀行の応ずるところとはないり得ないのであります。本年一方、日銀の市中手持国債買上げ予定九十億円は、わずかにその三分の一も実行されないのを何と見るでありましようか。市中手持の債務償還計画は、この意味において実行不可能であり、大きな破綻を包蔵するものであります。昨年の債務償還インフレをある程度収束して、日本経済安定化するために必要な点があつたかもしれませんが、本年の債務償還、ことに一般会計において歳出総額の一五%にも達する債務償還は、かえつて復興と安定とを阻害するものとして、断じて賛成ででない点であります。(拍手)  一体何ゆえ、この財政窮乏の際、このような古い借金、しかも期限の来ていない長期公債を、このように多額に繰上げて支拂う必要があるか。国の負債はもと償還しなければならぬ。それは一国の政治の信用に関係があるからであります。しかし、未曽有の敗戰と経済窮乏の際、なけなし財布をはたいて、これをここ一、二年のうちに償還しなければならない理由は、どこにも見出せないのであります。  予算委員会の論議と、関係方面との折衝を通じましても、財政法第六條に基くところの二百六億の計上と見返り資金の分は別といたしまして、税金吸い上げの五百億の数字の根拠は、まつたく薄弱となつて参りました。池田大蔵大臣は、地方債の発行高とのにらみ合せなどを主張する以外に手がつけられないという状態であります。この五百億は、当然復興費に向けるべきものてあります。こ債務償還こそ、今回の予算の最大の欠陥である。衆参両院の公聽会等において、経営者といわず、学者といわず、労働者、金融当事者に至るまで、一斉にその削減を主張したことは当然であつて、池田蔵相の資本蓄積方法が、復興の段階に入つてもなおかわらぬということは、きわめて不可解な現象であります。  次に、現下崩壊の厄機に立つておる中小企業の救済については、何ら積極的な手が打たれておらない。中小企業金詰まりと売れ行き不振、加うるに税金の重圧は、次々に中小企業の倒産を呼び、中小企業庁の統計によりましても、二十四年の二月から九月までの間、東京地区において、工場の倒産したるもの四百十八件、大阪では、同じく一月から十二月の間に、整理二百三件、倒産・閉鎖百二件、名古屋地区では、商店の閉鎖したもの一千二百六十五件の多きに及んでおります。これに対し、政府行つた積極的な融資対策や助長政策は、何ら見るべきものがない。勝間田君が予算委員会で指摘しているところの施設補助費は一億六千万十億の融資に対してん迅速なる救済策が立てられないのは、はなはだ遺憾であります。  かかる状況の際におきまして、池田大蔵大臣は、三月一日、全国の中小企業者の苦悩を潮笑するかのごとき談話を発表し、その思想の底に流るる弱国強食是認の思想を暴露して、天下の指弾を浴びるに至つたのであります。あの感覚は、私は尋常一様のものではないと思う。表現が悪かつたとか、あるいはまた言葉が足りなかつたとかいう程度の問題ではない。われわれは、まず大蔵大臣の人間性について疑わなければならない。(拍手)その基本的人権に対する考え方が恐ろしいのである。戦争中の軍隊の過酷な指揮官と、これは一体幾ばくの距離があるでありましようか。これは、激流におぼれて死のうとするものを、橋の上から見て笑つておる姿ではないか。  中小企業は、確かに戦後において潜立した。今その整理時期であることは、率直にこれを認めなければならぬ。しかし、中小企業者の危機は、同胞の危機であります。憲法に農低生活を保障されている、血をわけた国民危機であいます。中小企業者の倒壊を最小限度に食いとめ、これを育成して、わが国産業復興の一異たらしめるよう、また戦後すでにその役割を遂げて来た中小企業の一面の功績をも尊重しつつ、これを思いやりのある政策をもつて育成すべきであります。危機はないと池田大蔵大臣は放言しておつたが、結局これを裏から是認するような暴言を吐いたこの池田大蔵大臣よりも、危機来るの警鐘を乱打して首になつた蜷川長官の行動を、国民ははるかに良心的な行動として感じておると、私は思うのであります。(拍手)  上林山君は、先ほど得々として自由党の中小企業対策を述べられましたが、先般の予算委員会においては、政府中小企業対策の貧弱なることを難詰して嘆き、かつ政党人として訓練なき池田蔵相に、融々として政党人のあり方を示唆された。(拍手)その上林山君が、その後中小企業対策について何らの変化がないのにもかかわらず、ここであのような発言をされるとは、私は筋をとうとぶ上林山君にしてはどうかと考えるのでございます。  わが党の対策を具体的に申し上げるならば、きわめて具体的な中小企業対策を持つておる。第一には、中小企業金融金庫を創設して、その出資金に百億、中小企業金融損失補償金に四十億、復興に関し都道府県への補助金十億、中小企業合理化のための施設改善補助金二十億、その他はやめまするけれども、こういう意味合いで、きわめて具体的な二百億の計上をいたしまして、目下の危機は、この具体策があれば十分に乗り切れるものと確信するのであります。(拍手)幸か不幸か、政府の暴言問題突発以来、どろなわ的に若干の融資をするよう新聞紙上に敬見いたしておりまするが、古語に言う、天に口なし、人をして言わしむ。池田暴言が、かえつて中小企業へのピンチ・ヒツターとなり、災いを転じて福となすならば、われらは党派の立場を超越して、国民のために喜ぶものでございます。(拍手)しかしながら、その実践を欠くときには不信任案はたとい院内で否決せられましても、ほうはいとして院外に中小企業対策に対する糺弾の手は高まり行くものであると確信するのであります。  労働問題が現政府の弱点である、欠陥であることは、これは天下公認のことであります。国鉄、専売の裁定、あるいは人事院の賃金ぺース勧告、生産スト、こういう最近の諸問題を通じて見てみますと、私は、従来これは政府の労働問題に対する感覚の欠加である、無感覚であるというふうに考えておつたが、最近は、やや考え方を改めて参りました。あるいはむしろ、これは本気に労働者を敵視しておるのではないかという疑いをすら抱かしむるほどの反動政策に一貫しておる。(拍手)まことに驚嘆すべき心臓であります。国鉄の裁定問題において、東京地方裁判所は、公共金業休労働関係法制定の精神を強調して争議権を奪われた労働者の給與に対する要求の最終りの裁判権は仲裁委の裁定であることを明示いたしまして、国鉄の債権を確認いたしたのであります。政府の法律無視の態度に憤慨しておりましたる世人は、司法権まさに健在なるかなと喝采をしたものでございます。しかるに、政府はこれをも無視いたしまして、上訴の手続をとつたようでありまするが、最高裁判所も同様の判決をなすとき、政府は何の面目あつて国民にまみえることができましようか。  人事院のベース改訂の勧告につきましても、政府は給與白書を発表いたしまして、これを封殺せんといたしております。この給與ベース決定の基準について、政府と人事院はまつたく見解を異にいたしております。人事院の見解は、現行給與ベース決定の基準を一昨年の七月に置きまして、その当時に比して生計費が高騰しておる、当然改訂の必要があることに言及いたしておりまするが、政府は、基準を昨年の三月にずらしまして、消費者実効価格が下つておることを理由に、物価の低落によつて実質賃金充実工場しておるから賃金ベースの改訂は必要がないと、つつぱつておるでありますが、六千三百七円ベース決定当時のいきさつを多少でも知る者にとつては、政府の給與白書は、まず人事院の発表するはずであつた給與改訂資料の先手を打つてこれを封殺しようとしたことが第一の点、第二の点は、計数の基準を巧妙に移動させた、この二点からいたしまして、明らかに一種の陰謀であると指摘しなければなりません  なるほど、インフレの絶頂にありました昨年の三月に比べますと、CPIは、当時の指数一四一から、昨年の十二月は一三一に下降しております。おりております。しかしながら、ベース改訂の必要を決定した一昨年の七月に比較いたしますれば、三制の高騰となつておるのであります。ベース改訂は、その必要を認めたときにその基準を求めるのが、けだし当然であつて、これがぺースの改訂の必要の第一の理由であります。また、民間賃金は依然八千四百円台を往来いたしており、社会から尊敬を受けるべき国民の公僕たる公務員との給與の差が二千円近くも開いていること自体、これは公務員法制定の趣旨から見ても、むしろ政府の恥辱とすベきではないかと考えるのであります。(拍手)  最近に至つて、いま一つの驚くべき政府の方針は、ゼネストの範囲の拡大意図であります。元来争議を好む者はありません。できればこれを回避しなければならない。しかしながら、労働者の基準権利といたしまして、憲法は明確に第二十八條において、労働者の団結権と争議権を保障しておるのであります。もちろん憲法第十二條には、公益の福祉を害する者は憲法各條章の規定も適用せられないという項があつて、これは憲法上論議の多いところではありますが、その紛溢を処理するために、すでに労働関係調整法はりつぱにつくられて、公共事業の争議は各種の制限を受けておるのであります。また、終戦直後のあの混乱をいたしました社会世相の中では、なるほど破壊の武器を濫用するは、国民生活を根底から崩壊させる危険があつたのであります。この御旨でマツカーサー書簡は出された。ゼネストは禁止された。  しかし、一産業のストライキは、あの当時といえども、今までも保障されておるのであります。ましてや、今日事情は一変いたしました。吉田首相の言をもつてすれば、経済は安定したという段階に入つた。今日労資の紛争が起きて、労働者が、法律や給與をてんで頭から問題にされないところの政府や資本家に対しては、当然自衛権の建前からストライキに立つことは当然であると私は考える。(拍手)このことを禁止しようとするのは、明らかにマツカーサー元帥書簡の、かつてな拡大であります。かつてな採用は不可であるということを、エーミス課長は、今朝の新聞においても再び指摘いたしておる。政府の態度は、まさに、とらの威をむりにかりて労協者を封圧しようとしておるのでありまして、これこそ、まさに穏健なる労働組合をかつて非合法闘争に追い込まんとする態度であります。われらの暫じて反対するところでございます。(拍手)  昨年、食確法の問題以来、農村改築の混迷はことに農家の経営を混乱せしめ、この重大な転換期に際しまして、農業経営の方向というものは少しも明示されていない。非常なめいわくをこうむつております。森農政は、半年間も惑つている。捜索願を出さなければ、その行方がわかない。いも類統制撤廃、米劵制度、食確法等に対する措置は、いずれも農村の実情に沿わない、むりな考えであり、かつ政府政策は、食糧の需給ということのみに重点を置いて、農業経営というものを犠牲にしているということ、この点を徹底的に改めなければ、悔いを千載に残すものと指摘しなければなりません。(拍手)すなわち、日本農業の置かれている特殊性を考え、農業の持つ役割というものを正しく表面に出して、適切な農業復興対策がとられなければならない。  戦後における農業の苦戦するところは、耕作面積の少くなつた点であります。従つて農村人口は非常な過剰である。外地引揚者の帰還、あるいは行政整理、あるいは企業整備等により失業者農村移住等を加えまして、農村の就労人員は約二千万人と称せられており、戦前一千四百万の人員に比較し六百万の増加となり、耕作面積は、従来一戸当り二町歩平均程度であつたものが、現在は七反五畝に落ちておちます。この経営規模の縮小は、まさに大問題であります。敗戦の国家的苦しみというべき人口の過剰を一手に抱えて行く農村の姿、この宿命的な土地の狭小、これらと闘つて——純朴にして愛すべき日本の農民が、いかにこれと取組んでも、生産する農作物の価格は非常に高いコストとなるのであります。諸外国の合理的な経済から生れた農作物と、これではたして正面から渡り合えるでありましようか。  そこへ持つて来て、食糧は三百七十五万トンも入るという。国内において千九百万石の繰越米を予定しておるときに、この広大なる輸入による四百六十五億の輸入補給金は、はたしていかがなものでありましようか。これがために、農村には農業恐慌の前夜のごとき感じが漂つているのであります。もとよりわれわれは、連合国の好意により、終戦後のあの絶望的な食糧危機を乗り越えて来たことを忘れるものではありません。しかし、国内食糧自給程度の低下を招来するような三百七十五万トンという輸入食糧は、いかがなものであろうか。この上に関税が廃止されるということならば、問題はさらに重大で、経済的民族闘争を自由党はあおり立てるものと言わなければならないのであります。(拍手)わが党は、この際輸入量と価格を調節し、輸入補給金削減を行い、国内にある食糧を全面的に表面に出す政策をとろうとしておるのであります。  二十五年度予算の中に、率直に言つて一つの傑作があります。それは公共事業費の増額ということである。これは明らかに石の中の玉である。しかしながら、土地改良と開拓事業の公共事業費に対するパーセンテージを見ますると、昭和二十一年には三八・六%、二十二年には三五・一二%、二十三年には二三・六一%、二十四年には一九・八%、二十五年には一六・三%というふうに、土地改良事業に振り向けられる公共事業費というものが漸次逓減をして来ておるのでありまして、これでは、農家が個々の蓄積において増産する母体となる土地改良政策として認められないということを裏書きいたしておるのであります。(拍手)低米価と土地改良軽視は、税金の過重とともに、現在の農村の希望を失わしめる三つの要素であつて、われわれは、農民の熾烈な反撃の声としてこれを訴えたいのであります。  子算案と表裏一体をなします地方税あるいは国税についても論及いたさなければなりませんが、これはそれぞれ今後討論があることでありますので割愛します。しかしながら、地方税中固定資産税、附加価値税、住民税等の問題多き法案が依然として未提出であることは遺憾にたえない。本来ならば、予算案の最終審議をすべきところではありません。しかしながら、われわれは国民生活に多大の影響のある予算案であるふら、大乗的見地から、地方税が未拠出でもこれに応じたことを、與党諸君は、国会運営の上で、しかと銘記してもらいたいと思います。  最後に私は、今次イギリスの総選挙の結果、今後世界史のたどるべき方向について重大な示唆を與えられたものと思うのであります。四年間政権を維持して、産業国有化政策、社会保障を断行したイギリス労働党が、非難攻撃の中にも政権を維持したことは、その不人気な社会主義的国営政策が勝利を收めたのではなくして、アトリー首相が言う、われわれの年代において後世の子孫に残す最大の遺産であると揚言をいたしました社会保障制度の実地の輝かしい勝利である、平和政策り凱歌であることは、私どもは疑わぬのであります。しかも一方において、イギリス保守党は、また破れたりといえども百数十の議席を増しておるのであります。これは、国民のぼつぼつたる企業の自由に対するあこがれであり、きゆうくつなる統制経済への反抗であり、保守党への期待でもあつたことを物語るものであります。  そこでわれわれは、ここにひとつの世界史の動向を見る。すなわち経済政策の基本は、人間本来の欲求と、経済の合理性に立つ自由競争を尊重するとともに、国民経済の上から計画性を持つてこれを運営し、その欠陥は、広汎なる社会保障制度を実地して、世のシヤドー・サイドを取除くべきであると考えるのであります。(拍手)  今回の選挙で、保守党の政策立案者じや、社会保障制度は医療国営を除いては断じて後退させないということを約束して、労働党攻撃の重点を、きゆうくつなる統制の解除に向けたと伝えられておる。     〔発言する者あり〕
  11. 庄司一郎

    ○仮議長(庄司一郎君) 静粛に願います。
  12. 川崎秀二

    ○川崎秀二君(続) 保守党と労働党との政策の差は、そのよつて立つ基盤と主義が鮮明に違つていても、政策の相違は接近をいたしておるのでおる。その現状認識と歴史感覚は、いずれも後向きの予言者ではないのであります。吉田首相が待望してやまないところの政治理論である二大政党の対立とは、かかる背景と思潮が主流をなさない限り、遺憾ながら御希望のようには行かないのであります。  施政方針の演設の中に、総理大臣は、社会政策的経費は五百六億計上してあるとうたつておりますが、社会保障に対する国家負担としては、依然三百億台であります。社会保險は各個ばらばらに行われ、健康保險、国民健康保險等の赤字は激増し、社会保障制度確立の以前において、すでに既存の制度がくずれ去らんとしておるのであります。われわれは、まず生活保護法を最低生活保障法に飛躍充実させ、しかして医療の公共化と社会保險の統合、未亡人、孤兒、老廃者の年金、さらに進んでは家族手当の充実を目ざす一大社会保障制度を確立し、福祉国家の建設に理想の火を高らかに掲ぐべきではないかと思うのであります。
  13. 庄司一郎

    ○仮議長(庄司一郎君) 簡單に願います。
  14. 川崎秀二

    ○川崎秀二君(続) 結論に入ります。本予算を通じて現われましたる自由党の財政政策は、もとより今国会の冒頭を飾つた講和問題の議論を通じて見まするときに、吉田内閣の政策は、外に対してはまさに向米一辺倒、内に対しては、大政翼賛会の再現を企図するがごとき独裁者の性格を露出いたしておるのであります。(拍手)吉田首相が自由党内に持つところの神格的地位等等、内外の緊迫は、そぞろに昭和十六年ごろの近衛————雰囲気の前奏曲の観があるのでありまして、一歩を誤まれば、中立と平和を軸とする新憲法の精神がまつたくくずれ去らんとする危機があることを、われわれは勇敢に警告をいたさなければならぬのであります。(拍手)
  15. 庄司一郎

    ○仮議長(庄司一郎君) 簡單に願います。
  16. 川崎秀二

    ○川崎秀二君(続) 民主主義今や危し、民主主義今や危しの声を絶叫いたしまして、私は本予算案に対し絶対反対をいたすものであります。(拍手)
  17. 庄司一郎

    ○仮議長(庄司一郎君) 世耕弘一君。     〔世耕弘一君登壇〕
  18. 世耕弘一

    ○世耕弘一君 私は、公正倶楽部を代表いたしまして、時間がございませんから、簡單に本予算政府原案に対し警告付賛成の意を表するものであります。  本予算を通覧、検討いたしまするのに、一応時局柄として、均衡予算の形式は整つておると思うのであります。しかしながら、均衡予算に熱中のあまり、数字にとらわれて、政治の実態たる国民の生きた実態をつかむことを忘れている点がうかがわれるのであります。政府は、国民経済が安定したと言われるが、それは皮相の観であつて国民生活は、まさに現在四苦八苦であります。政府はまた、均衡予算を組み、赤字財政より初めて黒字予算を確立したと言われるけれども、そもそも国民財政均衡予算とは、国民経済国家経済とが均衡を保つところに均衡予算があるので、国民生活と切り離して、いかに国家財政が黒字予算となつても、それは真の黒字予算とは称すべきでないと思うのであります。  次に給與ベースの問題であるが、勤労者の要求はむりからぬと思われるが、もしそれ財政上これが要望を満たし得ぬとすれば、米麦の主食の確保等になお別途の方法を講ずれば、実質的に給與生活者の不安を一掃することが可能であるということを主張したいのであります。この点、政府の熱意、努力が不足していることを指摘したいと思います。  税制の問題は一応軌道に乗つたと言えるが、国会での決定方針が、ややもしれば末端行政においてゆがめられ、その結果、納税者側に不当の負担課税をかけ、あるいは税務官吏の態度により国民に惡感情を拘かしめ、納税成績を不良にすることは、はなはだ遺憾であります。特にこの際、大蔵大臣は、税務関係の官公吏に対し公僕たるの誠実を現わすに努め、進んで一般納税者に対し、心から納税の義務と国家への協力を得べく努力するよう、あらためて指示を忘れてはならないと思うのであります。この点、特に政府当局者への注意を喚起したいと思うのであります。  次に外資導入につきまして、これが態勢を整えていないように思われる。すなわち、そのため外国からの民間資本の流入がきわめて僅少である。これらの点がまた外国貿易不振の一因と思われる。よつて政府の今後の努力を要望する次第であります。米国援助物資見返資金の題目は、その内容たるや、実際は日本国にとつての借款であり債務であるが、これをあたかも、米国側から日本に対して寄贈あるいは贈與されているやの感を一般に抱かせることは適当でないと思う。よつて今後、これが内容国民に公表すべきであると思うのであります。  次に一般金融関係において、政府の施策はおおむね金融業者保護に偏し、直接産業経済面を潤す策が貧弱であることを指摘したいのであります。政府は思い切つた今後の施策を樹立せねば、現在死線をさまよつている、特に中小商工業者を救済することは不可能であると思われるのであります。  経済産業の不振による失業者と、さらに引揚者等の多数の失業者救済について、これが具体的は対策が確立されていないのは遺憾でありますが、政府は今後、実際に即した、特別な、建設省、厚生省、労働省の合同的な計画による失業解決策を樹立すべきであることを、ここに要望するものであります。  次に、文化国家として出発せる教育面、特に六・三制の問題は、まだ確立するのに根本的な子算の解決がないことは遺憾であります。地方財政とにらみ合せて、将来大きな悩みが残されているわけであります。  次に、災害対策とともに、林産業の発達、地産治水の点に予算がはなはだ不足いたしております。なお働きよい社会、楽しい国家生活を営むことを、われわれは念願とするところであります。政府は、高い理想と熱意と勇断をもつて諸種の惡條件を克服し、国民の輿望にこたえられたいと思うのであります。  次に、農村対策は今や新たなる段階に達しております。内外の状況と諸種の新しい事態に処するため、緊急、恒久の二大根本政策を樹立して、一般失業対策と同様、あらためて議会に問うの用意をなすべきであると思うのであります。  次に講和会議の問題は、連合国側に積極的に要請する政府の熱意が欠けておるように思われる。この際一段と外務省の活発なる活動を要望するものであります。  ポツダム宣言に基く無條件降伏の條項は、わが方においてすでに完了し、しかもよき総司令部の指導によつて、われわれは新しい憲法のもと、民主国家を確立し、今やおごそかに、民主政治国民大衆の支持のもとに実行され、ここにに四箇年を経過したのであります。よつてわれわれは、国家態勢として、内容外観とも平和国家として世界に呼びかけるのに躊躇するの必要がないと確信するのであります。すでに連合国側の日本占領目的も達成され、今や講和会議を開催さるべき態勢を整えておられるやに聞き及んでおるのであります。われわれ日本人が日夜苦難の道を耐え忍び今日に至れるも、みなこれまつたく独立国家としての栄誉の達成を一日千秋で念願しておるからであります。もしこの希望が、何かの事情でその時期が失われ、あるいは遅れることが万一ありとするなれば、国民は思おざる方向へ走らぬとも限らぬと思われるのであります。よつて政府は、司令部側と常に連絡を緊密にして、国民の要望を一日も早く実現されんことを切望する次第であります。  隣国の中国においては、その後内乱を続けておると聞きます。しかし、新たに樹立された中共政府は、すでに数箇国の承認を得たることは、新聞の報道するところであります。すなわち、これら国際間の状況を観察いたしまするのに、わが日本国は、連合国の指導のもとに、輝かしき戰後平和無血革命を断行して、政体、国体の上に、また政治、経済、社会の上において、目ざましき文化国家、民主国家としての実態を整えてきたのであります。もしこの上に、各国が日本を独立国家として承認を與えぬとするなれば、この上われわれに何を突行せよと言われるのであるか。不承認の原因があるとすれば、その理由ほどこにあるかということを、あえて連合国側にこれが真相を確かめるべきであると私は思うのであります。  ここに一文を読み上げますと、「ジス・カントリイ・ビロングス・ツウ・ザ・ピープル・フウ・インバビツト」、これは皆さんも御承知通り、有名な米国の大統領リンカーンの言葉であります。居住するところの住民にその国が所属するという言葉であります。すなわち、ウイルソンの民族自決の原理もここから発生したと思われます。米国における日本人の二世が米国の国籍を有せることも、この尊い理想に基くものとわれわれは思います。しかし、われわれの理解しがたい点は、台湾におけるところの日本の二世、また樺太、特に千島におけるところの二世、三世は、現在いかなる状態におかれているか、はたして今日の現状に民族自決の哲理に徹しているのかどうかということについて疑いを持つのであります。要するに、日本の外交が自主的外交の機会の確立に、各面において熱と勇気の欠けていることを私は指摘したい。政府は、あらゆる機会をとらえて日本の独立確保に努力するよう、覚悟を新たにして臨まれんことを切に要望する次第であります。  綱紀粛正、治安の確保は、いまだわれわれの満足するところに至つておりません。政府は特に一段と努力を拂つていただきたい。  結論として、本予算は、各種の観点からして不満足であるが、この際政府の誠意を認め、一応了承しておきたいと思うのであります。おそらく今後臨時国会の召集の必要に迫られることと思うのであります。よつてここに、緊急な予算であるのと、年度末に立至つている関係上、本予算に警告付賛成の意を表する次第であります。(拍手)
  19. 庄司一郎

    ○仮議長(庄司一郎君) 深澤義守君。     〔深澤義守君登壇〕
  20. 深澤義守

    ○深澤義守君 ただいま上程されました二十五年度の三つの予算案に対しまして、日本共産党は絶対に反対であります。  現在の内外情勢の中で、この予算が世界平和を促進し、日本民族の独立を守り、平和産業の無制限拡大によつて人民生活の安定を保障するために編成されているかどうか。ここに本予算案賛否の問題点があると思うのであります。(拍手)  まず第一に、当面の内外の情勢についてわれわれの指摘しなければならない問題は、去る二月十四日締結発表されましたところの中ソ友好同盟條約であります。同條約は、その前文において、日本帝国主義の再起及び日本あるいはいかなる形式にせよ、侵略行為の上で日本と結びつくいかなる国家の新たな侵略をも防止するという決意を明らかにしているのであります。(拍手)この條約が今日の国際関係に非常に大きな衝撃を與えたことは、世界の各新聞が報道した通りであります。反共をもつて鳴るところのイギリス保守党の党首チヤーチル氏は、ただちに米英ソ巨頭会談を提唱し、これに対しては、アメリカの上院軍事委員長、イデングス氏もこの提案を称賛し支持しているのであります。この事実こそは、ソ同盟を先頭とする民主主義勢力が戰争に反対し、自由と平和を要望し、米英の輿論またこれに相呼応した証拠であるとわれわれは信ずるののであります。(拍手)これこそはまた、急速は公正な全面講和の可能性が一層強まつたと言うことができるのであります。しかるに、このような動向の中にあつて、吉田内閣は、口に講和問題を云々しながら、実際には講和を行う意思がなくて、ひたすらに国際独占資本への隷属に狂奔しているのであります。  今やわが国が、極東における反ソ反共の前線基地として、着々整備強化せられつつある事実は、おそらく何人も否定することのできないところであります。(拍手)多くの外電は、日本国内に幾多の海空軍基地のあることを報じ、また横須賀地区司令官ヂツカー少将は、横須賀を海軍基地として無期限に使用する保証を獲得すべきであると語つております。その他軍用資材及び人員の動員等幾多の軍事的事実が報道されていうのみならず、最近においては二千戸の軍隊用兵舎を建設することが決定されております。それと同時に、旧陸海軍軍人の蠢動がまた伝えられておるのであります。このことは、明らかにポツダム宣言の実地を拒否しているといわざるを得ないのであります。しかるに、吉田内閣総理大臣は、予算委員会におきまして、一方ポツダム宣言の遵守を約束しながら、他方このような軍事基地化の事実に関する質問に対し、そのことのいかんにかかわらず、進駐軍の要求する設営に協力する義務がある、と答えているが、これは明らかに、講和会議までの暫定的設営以上に、恒久的な軍事基地設定に対しても、実際的に協力するということを表明したものと解せざるを得ないのであります。(拍手)  そもそもポツダム宣言は、日本の民主化と非武装化を厳粛に要求しているのであります。われわれは、ポツダム宣言に基いて無條件降伏をしたけれども、ポツダム宣言の條項には、日本を軍事基地化し、あるいは国内にいかなる国の軍事基地をも容認する條項は、一つもないのであります。(拍手)かくて、吉田内閣及びそれに連なる反動勢力は、明らかにポツダム宣言に違反していると断定せざるを得ないのであります。しかし吉田内閣は、反ソ反共の軍事基地化に協力して、平和を愛好する国際民主勢力に敵対し、急速公正なる全面講和を主張するところのソ同盟、新中国に対して反対を表明していると見られても、しかたがないのであります。ここに吉田内閣が国際独占資本に完全に従属し、日本の隷属化を押し進め、その自主性を完全に放棄しておるところの姿が浮き出されておるのであります。二十五年度予算が、かかる吉田内閣の買弁政策の集中的表現であり、かかる予算が通過することは、日本国民にとつて不幸これに過ぎるもなはないと断定せざるを得ないのであります。(拍手)  まず、日本国民負担によつて積み立てられたところの見返り資金の問題であります。これは外貨予算とともに日本経済を支配するところの二つのかぎであります。すなわち、二十五年度において千五百八十一億に達する見返り資金は、国民の総貯蓄額の約三〇%を占め、政府の計画せる二十五年度産業設備資金千八百億の八八%に達するところの甚大なものであります。これは当然に、日本産業の発展と国民生活の安定に使用すべきのもであるにかかわらず、日本政府の一存によつてはどうすることもできない仕組みになつているのであります。この日本経済のかぎを日本の大蔵大臣が握つていないということ、そのことの中にこそ日本経済の隷属化が集中的に表現されていると断定せざるを得ないのであります。  それだけではありません。予算委員会において、池田大蔵大臣は、この見返り資金に関して、見返資金特別会計法第六條により連合軍総司令官の承認を受けていると答弁したのであります。しかるに、同法原案の條項は、第五国会において削除されたものであります。大蔵大臣はこれを無視して、過去一年間見返り資金を、このありもしない法律によつて運営して来たのであります。このような大蔵大臣を重要閣僚とするところの吉田内閣が、いまさら自主復興とか、経済自立とか、主権の回復とかいうようなことを申すことは、まことに厚顔無恥もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。(拍手)  次に外貨予算に至つては、所管大臣たる青木安本長官は、その具体的内容については何も明らかにしなかつたのであります。予算委員会において、日本が獲得した外貨の数量が幾らあるのか、また外貨の割当てについても、ほとんど明らかに答弁しなかつたのであります。しかも、粒々辛苦の日本産業の飢餓輸出のたまものであるところの外貨予算は、安本長官も通産大臣も自主的にこれを運営することができないことは、これまた見返り資金と同様であります。單に以上の事実だけによつても、日本経済自主性の放棄と国際独占資本への隷属はすでに明らかであります。  さて、かような隷属的立場において行われておるところの貿易は、一体どうなつておるのか。一方においては、輸出不振によつて甚大なる滯貨が国内に積上げられているのであります。     〔仮議長退席、議長着席〕 しかも、その国内処分によりまして、内地産業の崩壊はまことに悲惨きわまるものがあるのであります。他方におきまして、激増する輸入滯貨、さらに食糧、羊毛、ゴム、その他押しつけ恐慌輸入が続々と行われておるのであります。  ここで指摘しておきたいことは、第一に、外貨予算に引継がれましたところの六千七百ドルによつては、日英協定を初めとする今年度のすべての協定貿易は不可能であることが暴露された点であります。この一事だけでも、政府貿易政策は全面的に破綻であります。これは最近貿易計画を改訂せざるを得なくなつておるということによつても明らかであります。  第二には、重要戰略物資たるところの石油の問題であります。甚大な原油が輸入されておるにもかかわらず、内地の消費はますます制限せられる一方、ストツクはいよいよ増大しておるのでありますが、それが何に使われるのか、政府はこれを明言していないのであります。ここに吉田内閣の貿易政策の軍事的性格が歴然と現われており、われわれは、かような貿易政策こそ、まことに奇怪きわまるものであると考えるのであります。(拍手)  吉田内閣の国際独占資本への隷属と自主性の放棄は、また税制の問題についても明らかであります。第一、今回の税制改革は、だれによつて行われておるのであるか。また地方税法に至りましては、すでに第十四次案をつくつておるということでありますが、一体だれと相談をしておるのでありますか。かような状態の中で、国民の利益のための税制改革が行われないことは、すでに明らかであります。政府は盛んに減税を宣伝しておるけれども、これこそ、まさに羊頭を掲げて狗肉を売るの類であります。あの東條内閣時代でさえ、これほどの重税はとらなかつたのであります。これこそ、国際独占資本の收奪が、重税を通じていかに苛酷に現われておるかという、一つの証拠であります。すなわち国税におきまして、青色申告制度によつて裸申告を強制し所得を過大に評価いたしまして、基礎控除あるいは扶養控除による減額分を相殺、抹殺するところの仕組みになつているのであります。なお申告納税制につきましては、前年度の実績以上に申告することを強制していることは、明らかに中小企業農民に対する苛酷請求の宣言であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  また地方税におきましては、住民税、固定資産税が数倍から十数倍になることによつて農民は、農地改革によつて開放せられた農地を再び手離さざるを得ないという結果になります。地方産業は押しつぶされ、その結果は労働者の首切り、賃下げ、労働強化の結果となるのであります。なお付加価値税に至りましては、世界に類例のない惡税であつて、日本は今その試験台になつておるのであります。なおこれらの地方税が、数百億円の水増しからくりとなつておることを、われわれは計数上明らかにすることができるのであります。これがいかに苛酷きわまるものであるかは、市町村長を初めとして、全日本の国民があげて反対しておる事実によつても明らかであります。(拍手)おそらく與党諸君といえども、忠実に選挙民の声に耳を傾けるならば、一人もこの税制改革に対しては賛成することはできないものであると、私は確信するものであります。ましてや、外国人に対する特別の減税、免税等に至りしては、まことに言語道断でありまして、重税に苦しむ国民のだれ一人もがこれを承服することはできないことであるのであります。  しかも、このような税金が一体何に使われるか。第一に、千二百億の厖大な国債償還に充てられるのでありなすが、これは国内産業の崩壊をよそにして、内外独占資本によるところの日本経済の金融支配をいよいよ強化するとともに、外債支拂いという外国への媚態政策にほかならないのであります。(拍手)  第二に、平衡交付金千五十億、公共事業費九百九十億は政治的意図によつて握られ、現に計画しておりますところの十四箇所の特別開発地裁を中心として、軍事的目的のために重点的に配分せられるであろうことを、われわれは指摘するのであります。  第三に、終戰処理費千九十億、これが終戰以来五箇年間にわたつて、ほとんど減少しない事実は、全国民とともに納得しがたいとことであります。  以上によつて明らかなことく、二十五年度予算は、まさに軍事的殖民地化予算であり、反人民的予算であると断定してはばからないものであります。だからこそ、全労働者の切実なる賃金引上げの叫びを蹂躙し、あえて六千三百円ぺースを強制し、全国民三千二百万の悲痛なる要求を無視して、強権による不当割当と、四千二百五十円の低米価を押しつけ、肥料、電気料のごとき独占価格を引引げ、農地改革を打切り、土地改良の要求を無視し、これに反対する大衆に対しては武装警察をもつて彈圧しでおるのであります。さらに中小企業危機に際しましては、そその事実を警告せるところの蜷川中小企業庁長官を強引に辞職せしめたのであります。池田大蔵兼通産大臣の、あの冷酷無情なる驚くべき暴言は、国民大多数の悲憤にたえないところであります。しかるに、こうごうたる国民の非難にかかわらず、強硬不遜、てんとして恥じざる態度、これこそ内外独占本本の正体であり、吉田内閣の正体であると断ぜざる得ないのであります。(拍手)  かかる吉田内閣の買弁政策は、国際独占資本を利用しつつ、国内に急速かつ強力に反動勢力を復活しつつあるところの事実があるのであります。AP電報の報ずるところによりますと、イギリスは、対日講和に対しまして、きびしい原則を考えておるといわれておるのであります。たとえば、その中では、日本の非武装化、非軍事化、軍事訓練の禁止、スパイ制度復活の取締り等について強く言及しておるのであります。これを、さきに発表されました中ソ友好同盟條約と思い合せるとき、日本帝国主義の復活が国際的に注目せられておるという事実を物語るものであります。かかることは、急速公正なる全面講和を実質的に放棄しておるところの吉田内閣の————の当然の結果であり、それにもかかわらず、崩壊せんとする平和産業と窮乏せる生活の中から、全日本の労働者、農民、市民、中小企業者はもちろんのこと、真劍に日本民族の独立を考え、戰争に反対し、平和と自由を要望するところの大多数の国民は、断固として内外独占資本の支配と、それに結合する吉田内閣の政策に対して大反撃を加えんとすることを、われわれは期待するものであります。  ベース改訂を中心とする労働者の全国的な闘争、重税反対、電気料値上げ反対の農民中小企業者の闘争は、その前哨戦ともいうべきであります。この真劍なる日本国民の生きるための闘争は、同時に平和のための闘争でありポツダム宣言完全実施のための闘争であります。ソ同盟、新中国を先頭とする世界の民主勢力は、この日本国民とともに強力に闘うでありましよう。中ソ友好同盟條約は、このことを力強く保障しておるのであります。  わが日本共産党は、かかる内外情勢の中にあつて、日本を軍事的殖民地化の方向に促進し、反人民的政策を強行するための大きな役割を果す本二十五年度予算に対しましては断固として反対し、これを全面的に組みかえることを強く要求するものであります。(拍手)
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 先刻の川崎秀二君及び深澤義守君の発言中不穏当な言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の設置をとることといたします。竹山祐太郎君。     〔竹山祐太郎君登壇〕
  22. 竹山祐太郎

    ○竹山祐太郎君 私は、国民協同党と新政治協議会を代表して、本予算案に反対の討論をなさんとするものであります。  民主党とともに予算の組みかえを要求いたしました内容については、川崎君の発言によつて私は省略いたします。  本予算案について、まず考えなければならない問題は昭和二十四年度予算編成が、総選挙の與党の公約に相違して、ドツジ・ラインによつて悩み抜いて成立をした経過から見まして、はたしてその結果は、実施後半歳にして、すでに国民はこの苦しいデフレの底に沈淪しておるのであります。この重病人に対して盛らるべき明年度予算が、はたして国民の耐え得るものであるかどうかが問題であります。苦しいうちにも国民が日本再建に喜んで協力するためには、まず働く者、農業者、中小企業者等に理解とあたたかみのある政治が何より肝要であると信じます。本予算案を通じて、一々例をあげるまでもなく、この親心を感ずることはできません。その現われの一つが池田放言となつたことは、少しもふしぎはないと信じます。  国民が本予算案に最も期待したのは減税であります。政府の公約からしても当然のことでありますが、ここに現われた減税案は、全体を通じて、国民負担は決して減少をしておらないことが明瞭になつたのであります。いな、デフレ下の国民にとつては、きわめて苛斂誅求が行われることになつておる。その中で、千二百八十億の厖大な債務償還を、この苦しい中に強行をしなければならないという政府の考え方は、了解をすることはできません。  蔵相は、口を開けば減税を叫ぶが、国民がその夢に拍手をしないのは、現実に行われつつある二十四年度徴税の事実からであります。古今を通じて、かつてないような、鶏一羽、庭の木一本にまで、ひしひしと重税が果せられつつあります。この徴税ぶりは何を物語るか。国会予算を議決しても蔵相の命令によつて予算超過の歳入をあげるような従来の大蔵省の財政方式の結果が、この結果を生んでおるのであります。インフレ下のときには、このことの起り得ることは了解ができますが、このデフレの底において農業者、中小企業者に厖大なる苛斂誅求が行われておることは、またその上、シヤウプの原則によつて、本年度最終決定額をもつて明年度予定申告とするという方法は、決して蔵相の言うような、いわゆる減税の夢物語に、国民は喜ぶことはできないのであります。われわれは、この意味において、特に地方税負担軽減のために平均交付金の増額を要求したゆえんであります。  次に食糧政策の問題と農村の問題であります。私が、先般この席から、政府食糧政策はどこにあるのか、統一のない方策でいろいろ迷わせられる結果、農村は昏迷に陷つておる、早くこの問題を解決しなければならないときが来るのではないか、むしろ供出制度のごときは、すみやかに変改を加えなければならないのではないか、ということの質問をいたしたのでありますが、その答弁は、きわめて不明瞭であたのであります。一昨日、昨日の予算委員会においても、私が重ねて質問をせざるを得なくなつたことは、GHQからの指示と称される食糧政策の根本的変改の問題であります。しかもその中には、重大なる関税政策の問題が含まれておるのであります。  一体この予算案を見れば、農村に対して一層強い供出制度を強制する反面、厖大なる食糧輸入、計画を計上して、何ゆえに農民の食う米までも取上げて、そのあとの買う金のない農民を憤激と悲痛のどん底に陥れなければならないのが、その理由に苦しむものでああります。現在の食糧の滯貨、輸入の状況等、諸般の情勢を判断するならば、一見この不条理は明らかでありましす。政府が、この点を、予算編成にあたつても積極的熱意をもつて解決せんとする努力をするならば、決して農村をこの迷妄の淵に追い込むようなことはないと信じます。それに対して、今回の指示に基くこの根本問題たる農政の決定に対しても、まだ政府は何ら根本方針をきわめておらないことは、この重大なる問題を通じて、私は国家のために痛恨にたえません。  農業の問題は、時間的ずれを最も禁物とするものであります。早目に農民の理解を得べき処置をとつておかなければ、恐るべき結果を招来するのであります。おそらく政府は、対日援助資金の決定と、輸入食糧の見通し等の結果を待つならば、この重大なる計画の変更のためには、必ず臨時国会の召集もしなければならないであろうと考えられます。私は、この意味において、今回の予算についても、莫大なる硝安等、農村の要求をしない肥料の輸入をとりやめて、また食糧の輸入についても必要の量小限度にとどめるならば、四百五十億の食糧輸入補給金の一部と、肥料の輸入補給金だけでも、これを国内増産の費用にまわし得るはずであります。  現政府は、今までかつてない土地改良公共事業費削減した理由は、農業を私企業として、自己の投資によるべきであるとしたからであります。今日の日本の農業が、手放しの自由主義経済によつて放置され、私企業として完全に取扱われるならば、その大半は消滅し、他産業に転ぜざるを得ません。過剰人口を抱容せしめられた農村対策は、自由経済の立場でなく、国家がこの増産施策の根本に十分なる施策を行うことが当然であり、その結果が、国内主産の増加となり、国内経済の安定を期待し得るものと信じます。この意味において、予算に強調しつつある見返り貸金の農業または公企業に対する融通がまつたく等閑視せられておることを最も遺憾とするものであります。  一体、農業者あるいは中小企業者、国民負担の裏づけとなつておるベき見返り資金運用品ついては、農林漁業や中小企業は当然優先的に考慮せらるベきものであります。政府も、当初は一応計画を立てたがごとくでありましたが、現実には、すでに三月も余り少いのに、今一文も農業、公共企業、には出されておらないのは、いかなることか。これは、政府がこれに対する熱意を示さない証左であります。この体験からして、二十五年度予算に盛られておる見返り資金運用にあたつても信頼を置くことはできません。  一体、証券対策のためには予金部資金を幾らでも出すその政府、この見返り資金の融通にあたつて再三の努力をなされる蔵相の、農村の融資に対する  熱意の欠如を最も遺憾とするものであります。今や農村においては、いろいろ重なつて来た報奬物資を不当に背負わせられた協同組合は、金融の面とはさみ撃ちになつて、破滅の状態に陥りつつあります。これを救済しなければ、農村経済は立つて行くことはできません。首相は、農政審議会をつくつて農村問題の解決に当ると言われておるが、何らの動きすらも現われておりません。私は、ベースの問題等を通じて、労働問題が国会の重大問題として取上げられ、池田放言を通じて、中小企業問題が大きく国会に、取上げられておりますから、特に残された農村問題を慢性的に取扱おうとする政府の態度に対して、今日特に重要視する意味において申したのであります。  最後に、本予算案について最も遺憾とするところは、地方財政を論議決定することができなかつたことであります。今回の地方財政の変革は、決して單なる負担軽減から来る税制改革と考えられません。地方制度やすべてにわたつて国家の非常な重大変革であります。おそらく終戰後の最も大きな変革の一つであると考えられますが、政府のこれに対する諸般の案が提出せられず、税制案と直接関係のある平衡交付金法案も、われわれは審議することができません。このままに本予算案決定しなければならないことはまことに遺憾であり、減税にいたしても、氷山の頭の国税を少し書いてもその足の方がわからないで論議をすることはできないのであります。  一体、千五十億の平衡交付金をもつて、はたして貧弱なる町村の自治体を維持し得るのかどうか。そのことは、予算委員会を通じての討議を経ても、われわれは信頼をすることはできません。教育費の問題が、義務教育という教育の平等が、はたしてこの平衡交付金によつて維持され得るのかどうか。現に山村や農村おいて、すでにもう先生を得られない実情において、政府の対策は、はなはだ心細い限りであります。また問題の地方税のうちにおいて、附加価値税については、新聞方面の強い要求もありますが、もつともと思います。農業中小企業の協同組合が、今後この税金のために破滅することが当然考えられます。今日のデフレ下の経済において、産業はもとより、中小企業が協同組合の組織によらざるを得ないことは論をもちません。政府が、これに関する関心の薄いことが今日露呈されておるのでありまして、はなはだ遺憾にたえません。  以上、簡單に本予算案に対する二、三の例示をなし、私は組みかえをなすべき立場に立つて反対を申したのであつて政府は必ず近い機会において臨時国会を召集し、われわれが主張をする予算の組みかえ編成を行わざるを得ないであろうことを信じて、私の反対討論を終わりといたします。(拍手)
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 松本六太郎君。     〔松本六太郎君登壇〕
  24. 松本六太郎

    ○松本六太郎君 私は農民協同党を代表いたしまして、本予算案に対しまして反対の意を表明するものであります。反対の理由といたしましては、時間の関係上、大体の要点のみを申し上げて、御了承願いたいと存じます。予算委員会等におきまして、私並びに野党諸君から相当詳細にわたつて論議検討をなしておるのでありますから、この機会に、簡單に要点のみを申し上げるのであります。  すなわち、本予算案についてまず第一に指摘いたしたい点は、先ほど竹山君も御指摘に相なつたのでありまするが、いたずらに政府財政収支の均衡というものにとらわれ過ぎて、そのことに盲目的にとらわれましたがために、他の重要なる部分を忘れておるという遺憾な点が第一点であります。すなわち、多くのなすべきことを忘れておるという中には、農村、漁村に対する産業の振興、生産の増強、これらをめぐる金融対策等は、ほとんどなきにひとしき状態であります。  さらに遺憾なことは、すなわち今回のこの予算案の中核とも申すべき価格調整費削減にあたつては、これはいたずらに財政収支の均衡に急なるがために、基幹産業を麻痺せしめ、あるいは農村生産力を窮地に追い込むようなことを一向に顧みない。しかして物価政策の面におきましても、このことは大きく反映をいたしまして、政府のいわゆる低物価政策というものは、この一面からもくずれて行くということが忘れられておるという点であります。  さらに、先ほど上林山君が、いかにも公共事業費の増額によつて農村が救われ、あるいは生産力が増強するかのごときお話がありましたけれども、われわれの見るところによりますれば、この公共事業費の増額というものは、まことに言うに足りない額でありまして、かような額をもつてしては、とうてい満足ができない。なかんずく土地改良費、あるいは災害復旧費に至りましては、とうていかくのごとき少額をもつてしては国民の輿望にこたえることが困難であります。  その次には食糧政策であります。すなわら、先ほどから各派の諸君によつて論じられましたことく、が国の食糧政策はまことに重大であります。しかるに、政府のとつておりまする食糧政策というものは、国民大多数の希望に沿わざるあるいは生産を抑圧し、あるいは消費者を苦しめ、いわゆる生産の面におきましても、消費の面におきまして、実情を無視いたしました惡税であると断ぜざるを得ない点であります。  さらに価格政策の矛盾が大きいということが一点、いま一点は、先ほどからの諸君によつて異口同音にとなられておりまする地方税制の改正に関する、すこぶる不徹底なる問題、さらには、この税制改正におきまして大蔵大臣は、いかにも国民負担軽減されるかのごとき構想をせられまするが、われわれの見るところによりますれば、国税におきましては、ある程度軽減がなされることは、これを認めるのであります。しかしながら、地方税のこの改正というものは、政府が考えておられるような、さような定易な結果は生れて来ない、必ずや政府の考えておられるよりも、はるかに思い税金となつて現われることは明らかであります。さような観点からいたしまして、国民負担は、全体を通じては決して軽減されないということが、われわれは予想される。  さらにいま一点は金融政策の面であります。この金融政策につきましても、しばしば指摘せられまするごとく、農村、漁村、中小企業等に対しまる金融政策というものは、なつていないのであります。このために、今日農村は、まさに疲弊困難のどん底に追い込まれ、中小企業は破綻に瀕しておるというのが現状であります。  さらにその次の問題は、全体をめぐるところの予算の全貌についてでありまするが、私は、大蔵大臣が、いかにも政府財政収支の均衡を得たということについて、これを得意とせられ、豪語いたされて、これによつて日本経済が安定いたし、国民生活が安定いたすというように考えておられることは、次なる問題いであると思う。そのことは、週日の予算委員会における二日間にわたりまする公聴会において、学界の代表も、農村の代表も、実業界の代表も、金融界の代表も、あるいは労働界り代表も、現内閣の財政経済政策は適当なものではない、かくのごとき政策を強行することによつて決してわが国経済安定は望まれない、相当大幅の修正をすべきであるということは、ことごとくこの公述人の意見が一致いたしておる。同時に、このことは、私は日本国民全体の声の縮図であると見てさしつかえないと存じます。  すなわち、われわれは、今回ここに予算の組みかえを要求いたすのでありまするが、自由党の諸君の多数の力によつて、われわれのこの動議、われわれのこの主張は、あるいは否決されるでありましう。しかし、近き将来におきまして、必ずや政府みずからがこれをやらなければならない事態に立ち至ることは明らかであります。私は、さような点をここに予言いたしまして、この案に対して全面的に反対をするものであります。  大蔵大臣は、いかにも日本の大蔵大臣が非常に手腕があり識見があつてわが国のこの財政経済政策というものを立てたということを常に誇りとしておられるのでありまるけれども、国民を苛斂誅求いたしてなすべきことをなさないで、政府財政収支の均衡だけをとるのであるならば、これは何人にもやれるのであります。先般も、大臣はこの議場におきまして、アメリカにおいてすら担当程度の赤字財政をやつておる、いわゆる公債を発行しておるが、わが日本はこれに反して、りつぱにこの財政収支の均衝を得ておるのである、こういうことを申されておる。なるほどそれは事実でありますよう。しかし、アメリカのような、あの経済力の強い、国民生活のゆたかな国において、なおかつ公債を発行して政府財政の切り盛りをやるということは、何を物語るか。すなわち、国民負担を勘案いたし、善政をしくというところにそのことが胚胎しておるのであります。わが国のごとき、この疲弊困憊せる国民をしぼり上げて、ただいたずらに政府財政の収支のみを合わそうという、かよな暴政に対しては、大いに反省すベきものがあると確信するのであります。ゆえにわれわれは、この場合、政府はいさぎよく本案を撤回せられまして、すみやかに国民の希望に沿う、わが国の真の経済復興に足る予算編成がえをせられまして、再び提案せられんことを希望いたすものであります。  これをもつて私の討論を終わります。(拍手)
  25. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 石野久男君。     〔石野久男君登壇〕
  26. 石野久男

    ○石野久男君 私は、労働者農民党を代表して、ただいま上程されている予算案に対し反対し、これを返上し、予算の組みかえを要求せんとするものであります。きわめて簡單に、各党の意見との重複を避けて反対の理由を述べたいと存じます。  反対する第一点は、本予算編成の基盤となつ政府経済安定論は恐るべき謬論であるとともに、三百六千円為替レート維持策は日本の経済力に即応しない、デフレの無謀な施策であるということであります。安定を主張する根拠として、通貨については、政府はその発行高をのみ見て、その回転率を無視し、厖大なアイドル・フアンドを抱えて、通貨三千億を維持するために、郵便貯金、厚生年金、簡易保險等一切を動員して金融機関にてこ入れしている事実を無視して、きわめてむりな安定を説いているということである。生産については、企業家が融資の條件を確保するために、しやにむに行う生産のため、今や公団滯貨一千億、民間在庫八百億になんなんとする厖大な滞貨が存在している事実を隠蔽する楽観論であるということであります。物価については、消費者のやみ値がぐんぐんと下るのとは逆に、生産財のマル公を引上げる政府の施策は、購買力と物価政策の矛盾を示すもので、物価安定を示すものではない。むしろ独占資本の優位性と中小企業の転落過程を物語るものであると言わなければなりません。(拍手)通貨、主産、物価を通じて経済安定を説く吉田内閣は、自画自讃にすぎないのであつて国民の理解することのできないところであります  三百六十円レートを維持するために強行する低米価と低賃金は、過酷な税と過大な輸入食糧への屈従を通じて、農村を壊滅せしめ、労働者を失業と飢死に追い込んでいるのであります。企業合理化は、中小企業の倒産を通じて日本産業を混乱に陥れ、買弁化せしめる以外に何らの効果もないのであります。輸出の実情につきましては、昨年上半期は二億六千二百万ドルに対して、下半期においては二億四千八百万ドルに減じておる。これを二十三暦年に比べると、輸入が四・五四倍に増加しているに反して、輸出は三・二四倍であつて、輸入超過に伴うところの外貨資金の不足が決定的になつて行くのであります。この結果、外国為替委員会が、スターリング・ブロツク向け信用限度の拡大を、二千百万ポンドから三千ポンドに要請する至つておるのであります。もはや、ローガン機想の夢は消えようとしているのであります。  かくして、政府の言う経済の安定も輸出の増大も、池田財政が人民を欺瞞するから念仏にすぎないということを物語つているのであつて、事実はまつたく逆になつているのであります。われわれは、予算編成の基本的な誤りであるということを指摘するものであります。  反対の第二点は、税制改革の実質的内容が、低額所得者をだしに使つて、高額所得者に厖大な減税と利益を與えているということであります。大衆にとつては、形式的減税であつて、実質的な減税ではないということであります。勤労所得税昭和二十三年度に比し六十%増加しているのに対し、申告所得税は二三%の増加にすぎない。法人税ほ二十四年度に対し百十四億軽減されている。しかもこの中には、従来特別な扱いとして、機業協同組合が課税対象からけずれていたものが、今度は課税対象に新しく入つているということを注目しなければならないのである。富裕税に対しては、わずかに二十億にしかすぎないのである。有価証券税転税は、昨年度より九四・四%の減額がなされておる。資産再評価税においても、シヤウプ勧告の三億が百五十九億に減つておるのである。地方税増加企業合理化を考えると、勤労大衆の負担は一層過酷なものになつているのである。地租、家屋税、住民税等地方税を含めて、八万円の勤労者をとつてみると、現行税率においは一万二千円であつたものが、改訂税率では一万四千円となり、十万円の勤労所得者は、一万四千百七十四円が一万五千五百九十円に相なるのである。税制改革を通じて行われる減税とは、勤労大衆に対してではなく、高額所得者、大資本家に対して自由党及び吉田内閣が奉仕する減税のことであるのである。  われわれの反対の第三点は、本予算を実施することによつて滯貨は山積し、デフレ恐慌が一瞬深刻化するということである。農村は、世界の過剰農産物を滞貸輸入する政府の施策のもとに四千二百五十円の低米価をしいられ、加うるに八月まで数回に及ぶ肥料の値上げの前にさらされておるのであります。今や世界農業の恐慌来を目前にして、農民は土地を放棄し、一家心中、人身売買の非惨な事態に彷徨しておるのであります。労働者は、賃金のすえ置き、引下げ、物価の上昇、苛酷な税の前に生活の破綻におびえ、失業、首切りにおののいておるのであります。このとき吉田総理は、全建設省労働組合の問に対して、物価が安くなつたから六千三百円ベースでよろしいという返事をしておるのであります。一千数百万の失業者が予想される事態に対して、政府は、失業対策費として年間平均九万六千人を吸収するために、わずかに四十億の支出を見込んでおることと考え合せて、吉田総理のこの言葉は、いまなお労働者を不逞のやから扱いしていることを証拠立てる以外の何ものでもないということをわれわれは指摘する。(拍手)  中小企業に対しても何もの対策がないのみならず、消費財のやみ値が下るのとは逆に、生産財のマル公を引上げる施策によつて中小企業経営を一層困難にし、破産、倒産させ、五人や十人は死んでもいいと言われる池田財政を行つておるのであります。これに反して、旧債務償還一千二百億、公共事業費九百九十億、見返り資金等を通じて、資本の蓄積は着々と強行され擁護されているのである。かくして、広汎な有効需要の源泉地帶、購買力の造威地帶である農民、労働者、中小商工業者は、ことごとくこの予算のもとに收奪し盡され、購買力は枯渇し、有効需要の減退を招来することは火を見るより明らかであります。デフレ恐慌を一層深刻化させ、帶貨山積は必至でありまして、貿易はますます不振に陥れられるりであります。  反対の第四点は、本予算を通じて、資本の買弁化と、この国の軍事基地化の疑惑が濃化し、産業の自主自立基礎を奪い、国の独立を危機に陥れ、将来戰争介入の危惧を残し、全面講和の道を妨げる危險が内包されていることであります。公共事業費の大半、警察費、海上保安費の六〇%増は、軍事基地化への道を開くかの疑いをさしはさまれるのである。(拍手)政府は、低米価を農民にしいながら、輸入穀物の永久無税を考えておられる。将来わが国産業を外資にゆだれるかのごとき見返り資金力使用を行つているのであります。たとえば、国有鉄道公社への見返り資金からする政府出資四十億のごとき、あるいはまた、自由海運を宣言して、わが国海運界の小型船主を一切倒壊せしめ、船員を一齊に失業に追い込むがごとき、しかもこの結果、わが国外国航器就航可能船がわずかに二十数隻にすぎなくなるというがごときは、一国経済の動脈をなす陸運業、海運業の買弁化を意味する以外の何ものでもないのであります。  これを要するに、政府並びに與党が自主経済に踏み出したと称するこの予算案は、一切の犠牲を勤労者農民、中小商工業者にしわ寄せすると同時に、あまりにも露骨な大資本擁護の予算であり、国の自立性と独立を危機に陥れる悪質な買弁的亡国予算であります。労働者農民党は、かくのごとき予算に反対し、これが組みかえ、再提出を要請して、本予算案を返上せんとするもりであります。(拍手)
  27. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 小林進君。     〔小林進君登壇〕
  28. 小林進

    ○小林進君 私は、社会革新党を代表し、ただいま上程されておる予算案に対し全面的に反対し、その組みかえ返上を要求するものであります。  昭和二十五年度予算は、本年度のり予算とほぼその性格を同じうし、ドツジ・ラインに沿う経済安定へのコースを進まんとするものであると説明されておるのでありまするが、われわれは、まず昭和三十四年度予算実施の結果を一応ここで検討してみる必要がると思うのであります。  すなわち、昭和二十四年度予算こそは收奪的苛酷なる重税予算にして、あえてこれを強行する場合には重大なる社会問題を惹起するであろうことをわれわれは予言し、かつ警告しておいたのでありまするが、確かにわれわれの予想通り種々の破綻を来し、納税終末期と年度末を控えて、中小商工業者、農民、労働者諸君の窟乏ほ最頂に達し、まさに戰争末期における以上の経済的恐慌と社会不安を来しておるのであります。従つて明年度予算は当然この現実の姿に即応し、現在の国内の諸情勢の正しい分析と認識の上に組み立てられ、昭和二十四年度予算の跡始末と、編成方針の誤謬改正より始められなければならぬのであります。しかるに、このたびの予算は、この国民の現実を一切無視し、二十四年度予算のもたらしたる重大なる誤謬と破綻の上に、さらにその無謀なる方針を強行せんとするがごとき、その基本的態度に対し、国民の名において断じて靜視し得ざるところであります。  まず第一に歳入の点でありまするが、一般会計歳入予算六千六百十四億円のうち、所得税二千四百八十六億円の徴收は、現実の面において絶対不可能なる苛酷な税金と言わなければならぬのであります。政府は、昨年度に比較して五百六十七億円の予算減を宣伝いたしておりまするが、これを負担する中小商工業者の三六%はすでに倒産し、大蔵大臣の自認せられた通り、自殺への行進を続けておるのであります。また、これらの戰場から追われた労働者は、失業のちまたにほうり出されておるのであります。国民の大多数を占める農民は、二十四年度徴税のために、すでに大半が借入金によつて辛うじて生活を維持し、これが主体たるベき農業協同組合の三分の一は、まさに倒産に瀕しておる現状であります。こうした担税能力者の大幅め変動、大幅の縮小に目をおおつて、なおかつこの重税を課せんとするがごときは、まつたく收奪以外の何ものでもないのであります。しかも政府は、直接国税減額によつてごまかして、その重税政策の一切を地方税に転嫁いたしておるのでありまして、四月より施行せられる地方税法によれば、附加価値税、住民税、固定資産税等により千九百億円の課税を目標にしておるのでありまするが、実際の面においては、この三つの新税によつてさらに約八百億円の過超徴税が行われ、納税者にとつては、今年度に比較して二倍、三倍ないし五倍の税金を納めなければならねことが予想せられておるのであります。もはやこれは、国民大衆のとうてい耐え得るところではなく、昭和二十五年度の本予算が、これらの点において必ず重大なる破綻を生するであろうことを警告いたしたいのであります。  第二は歳出の面であります。この歳出が一部独占資本家に奉仕し、働く大衆を犠牲にする予算であることは、吉由首相、池田蔵相がみずからの言葉をもつてこれを証明しておるのであります。すなわち、中小商工業者に対する池田蔵相の放言は、国民のひとしく憤激いたしておるところでありまするが、これに対し吉田首相は、あちらにもよい、こちらにもよいというような政策なんてあるものか、一部の犠牲はやむを得ぬ、池田君しつかりやりたまえ、そういう激励をしたということが報道せられておるのであります。その、あちらによい政策のあちらという言葉の中に独占資本化が含まれていることは間違いないのであります。特にこちらの犠牲はしかたがないとおつしやる、このこちらの犠牲の中に中小企業者、農民、労働者の一切が含まれていることは、これもまた断じて間違いないのであります。最初から吉田、池田のラインによつて国民の九割五分の働く大衆の犠牲を前提としてつくり上げられたこの独占資本家擁護の予算こそ、反民主的亡国予算であると断ぜざるを得ないのであります。今や全国津々浦々において、農民、労働者、中小企業者、一般市民等々が憤激的怨嗟のをあげておるのであります。これを踏みにじつて、あえて多数の名において、この予算を通過せしめんとする、これがはたして真の民主政治であるかいなか、真に輿論を代表する政治であるかいなかを、われわれはまつたく疑わざるを得ないのでありまする。  第三の問題として特にここに指摘しておたきいのは失業問題であります。政府は、狭義の失業対策費として八十六億円を予算化し、広義の失業対策として公共事業費九百九十億円を計上いたし、これによつて約百万人の失業者を吸収することを予定いたしておるのでありまするが、こんな徹底的な無計画さでは、断じてこの失業問題は解決し得ないのであります。われわれは、終戰後の各年をとらえて、昭和二十一年度食糧危機の年、昭和二十三、四年度徴税旋風の年と称するのでありまするが、この二十五年度の特徴として最も強く予見されるものは、私は失業問題であると思うのであります。  すなわち、インフレの上昇する時期におきましては、あるいは磯農村、あるいは都会に寄褄して、やみブローカー的行為をしていた自由業者が、デフレ政策への転換とともに失業者となつて現れて来ることは、当然予定さるるところでありまして、農林省の統計によりますれば、昨年末において、すでに農村には五百万人以上の潜在失業者があるといわれておるのでありまする。これに都会の失業者を加えれば、現在一千万人ないし一千五百万人の失業者を算えなければならぬのであります。この働かんとしてなおかつ働き得ない失業者をいかに処置するかは、今年度の政治の重大なるポイントであります。これが解決策として、強力な失業対策、公共事業者の大幅の増額、産業投資に加うる完全なる雇用、社会保障制度等々の一連の社会主義政策が一切の歳出に先行して組入れられなければならぬのでありまするが、こうした施策の一つもないこの予算案こそ、自由主義政策の最も冷酷な面を明らかに示したものと断ぜざるを得ないのでありまする。まさに国民生活への保障一つない今次の予算案こそ、噴火山上に組立てられた最も不安定予算と断ずるのほかないのであります。  農民は、労働者は、中小企業者は、今や死か生かの竿頭に立つて、爆発寸前の胎動を続けておるのであります。一点、吉田内閣と池田蔵相に集中されたこの憤懣が、この怨嗟炉、いつどこで爆発するかを、われわれははなはだ恐るるものであります。これを恐れるがゆえに、現内閣がただちにこの予算案を組みかえて国民の輿望にこたえらるることこそ最も得策であり、それがまた国際信用を傳する唯一の道であることを、ひとえに進言いたしまして、私の反対討論にかえておく次第であります。(拍手)
  29. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。昭和二十五年度一般会計予算昭和二十五年度特別会計予算昭和二十五年度政府関係機関予算、右三件を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。昭和二十五年度一般会計予算外二件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。   氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  30. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  31. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたきせます。     〔事務総長朗談〕  投票総数三百五十四   可とする者(白票) 二百二十九     〔拍手〕   否とする者(青票)  百二十五     〔拍手〕
  32. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 右の結果、昭和二十五年度一般会計予算昭和二十五年度特別会計予算及び昭和二十五年度政府関係機関予算委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)     —————————————   〔参照〕  昭和二十五年度一般会計予算外二件を委員長の報告通り決するを可とする議員の氏名    足立 篤郎君  阿部 俊吾君    青木  正君  青柳 一郎君    淺利 三朗君  麻生太賀吉君    天野 交義君  有田 二郎君    井手 光治君  井上 知治君    伊藤 郷一君  飯塚 定輔君    池田正之輔君  池田 勇人君    池見 茂隆君  石田 博英君    石原 圓吉君  石原  登君    稻田 直道君  今泉 貞雄君    岩川 輿助君  宇田  恒君    宇野秀次郎君  植原悦二郎君    内海 安吾君  江崎 眞澄君    江田斗米吉君  江花  静君    小川 平二君  小川原政信君   小澤佐重喜君  小野瀬忠兵衛君    小渕 光平君  尾崎 末吉君    尾関 義一君  大石 武一君    大泉 寛三君  大内 一郎君    大上  司君  大澤喜平治君    大西  弘君  大野 伴睦君    大村 清一君  大和田義榮君    岡延右エ門君  岡崎 勝男君    岡田 五郎君  岡西 明貞君    岡野 清豪君  岡村利右衛門君    奥村又十郎君  押谷 富三君    加藤隆太郎君  鹿野 彦吉君    鍛冶 良作君  角田 幸吉君    風間 啓吉君  片岡伊三郎君    甲木  保君  門脇勝太郎君    金光 義邦君  上林山榮吉君    神田  博君  川西  博君    川野 芳滿君  川端 住夫君    川村善八郎君  川本 末治君    河原伊三郎君  菅家 喜六君    木村 公平君  菊地 義郎君    北川 定務君  北澤 直吉君    金原 舜二君  栗山長次郎君    黒澤富次郎君  小金 義照君    小坂善太郎君  小平 久雄君    小玉 治行君  小西 寅松君    小峯 柳多君  小山 長規君    五島 秀次君  近藤 鶴代君    佐久間 徹君  佐々木秀世君    佐藤 昌三君  佐藤 榮作君    佐藤 重遠君  佐藤 親弘君    坂田 英一君  坂田 道太君    坂本  實君  志田 義信君    清水 逸平君  塩田賀四郎君    篠田 弘作君  島田 末信君    澁谷雄太郎君  首藤 新八君    白井 佐吉君  庄司 一郎君    周東 英雄君  鈴木 明良君    鈴木 善幸君  鈴木 正文君    關内 正一君  關谷 勝利君    千賀 康治君  田口長治郎君    田嶋 好文君  田中伊三次君    田中 角榮君  田中 啓一君    田中 重彌君  田中 彰治君    田中  元君  田中不破三君    田中 萬逸君  田渕 光一君    多武良哲三君  高木  章君    高木吉之助君  高木 松吉君    高塩 三郎君  高田 弥市君    高橋 英吉君  高橋 權六君    橘  直治君  玉置 信一君    玉置  實君  圓司 安正君    塚原 俊郎君  土倉 宗明君    辻  寛一君  圓谷 光衛君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    寺本  齋君  東井三代次君    苫米地英俊君  冨永格五郎君    奈良 治二君  内藤  隆君    中垣 國男君  中川 俊思君    中村  清君  中村 幸八君    中村 純一君  中山 マサ君    仲内 憲治君  永井 英修君    永田  節君  長野 長廣君    夏堀源三郎君  西村 英一君    西村 直己君  西村 久之君    根本龍太郎君  野原 正勝君    野村專太郎君  橋本 龍伍君    幡谷仙次郎君  畠山 鶴吉君    花村 四郎君  林  讓治君    原 健三郎君  原田 雪松君    樋貝 詮三君  平井 義一君    平澤 長吉君  平野 三郎君    廣川 弘禪君  福田 篤泰君    福田  一君  福田 喜東君    藤井 平治君  藤枝 泉介君    渕  通義君  淵上房太郎君    船越  弘君  古島 義英君    降旗 徳弥君  保利  茂君    本多 市郎君  本間 俊一君    眞鍋  勝君  前尾繁三郎君    前田  郁君  前田 正男君    牧野 寛索君  増田甲子七君    益谷 秀次君  松井 豊吉君    松浦 東介君  松木  弘君    松田 鐵藏君  松野 頼三君    松本 善壽君  三池  信君    三浦寅之助君  三宅 則義君    水田三喜男君  水谷  昇君    滿尾 君亮君  南  好雄君    宮幡  靖君  宮原喜三郎君    武藤 嘉一君  村上  勇君    村上 清治君  守島 伍郎君    森 孝太郎君  八木 一郎君   藥師神岩太郎君  柳澤 義男君   山口喜久一郎君  山口 好一君    山村新治朗君  山本 久雄君    吉田  茂君  吉田 省三君    吉田吉太郎君  吉武 惠市君    熊野喜一郎君  渡邊 良夫君    亘  四郎君  否とする議員の氏名    足鹿  覺君  青野 武一君    赤松  勇君  井上 良二君    猪俣 浩三君  石井 繁丸君    石川金次郎君  稻村 順三君    今澄  勇君  受田 新吉君    大矢 省三君  岡  良一君    加藤 鐐造君  勝間田清一君    上林輿市郎君  川島 金次君    久保田鶴松君  佐々木更三君    佐竹 新市君  鈴木茂三郎君    田中織之進君  堤 ツルヨ君    土井 直作君  中崎  敏君    成田 知己君  福田 昌子君    前田榮之助君  前田 種男君    松井 政吉君  松尾トシ子君    松澤 兼人君  三宅 正一君    水谷長三郎君  森戸 辰夫君    八百板 正君  山口シヅエ君    米窪 滿亮君  荒木萬壽夫君    有田 喜一君  稻葉  修君    小川 半次君  小野  孝君    大西 正男君  金塚  孝君    川崎 秀二君  北村徳太郎君    小林 運美君  河本 敏夫君    佐伯 宗義君  坂口 主税君    笹山茂太郎君  志賀健次郎君    清藤 唯七君  園田  直君    高橋清治郎君  千葉 三郎君    苫米地養三君  中曽根康弘君    並木 芳雄君  長谷川四郎君    林  好次君  福田 繁芳君    藤田 義光君  増田 連也君    宮腰 喜助君  柳原 三郎君    山本 利壽君  吉田  安君    井之口政雄君  伊藤 憲一君    池田 峯雄君  江崎 一治君    加藤  充君  風早八十二君    春日 正一君  上村  進君    神山 茂夫君  柄澤登志子君    河田 賢治君  木村  榮君    聽濤 克巳君  今野 武雄君    砂聞  良君  田島 ひで君    高田 富之君  竹村奈良一君    立花 敏男君  土橋 一吉君    徳田 球一君  中西井之助君    梨木作次郎君  野坂 參三君    林  百郎君  深澤 義守君    山口 武秀君  横田甚太郎君    米原  昶君  渡部 義通君    井出一太郎君  石田 一松君    岡田 勢一君  吉川 久衛君    河野 金昇君  笹森 順造君    竹山祐太朗君  内藤 友明君    船田 享二君  三木 武夫君    飯田 義茂君  小平  忠君    高倉 定助君  中村 寅太君    松本六太郎君  石野 久男君    岡田 春夫君  黒田 寿男君    玉井 祐吉君  中原 健次君    金子輿重郎君  小林 信一君    水野彦治郎君  衞藤  速君    大石ヨシエ君  小林  進君    佐竹 晴記君     —————————————
  33. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて本日の議事日程は終了いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十一分散会