○小笠原八十美君 ただいま
議題と相なりました、農林
委員会付託にかかる、
内閣提出、
農業災害補償法の一部を改正する
法律案、
農業災害補償法第十
二條第三項の
規定の適用を除外する
法律の一部を改正する
法律案、並びに
内閣提出、
参議院送付、
農産種苗法の一部を改正する
法律案、
農業改良助長法の一部を改正する
法律案、以上四案につきまして、審議の経過及び結果の大要を御報告申し上げます。
まず最初に
農業災害補償法の一部を改正する
法律案より御報告いたします。
農業災害補償制度は、
昭和二十二年
実施以来、すでに二箇年余りを経過いたしましたが、その間頻発した台風の襲来や、暖冬異変というような異常気象に遭遇いたしまして、農作物に非常な災害を與えたのでありますが、本制度の運営によりまして、農家経営の安定と農業再
生産の確保に多大の
寄與をいたして参つたのであります。しかし、近年におきまする災害の発生状況にかんがみまして、なお
改善すべき点が少からずありますので、この際農作物共済の共済事故に虫及び鳥獣の害を加え、蚕繭共済の共済事故に蚕の風水害地震、噴火、虫害及び桑の葉の病虫害を加えて事業の拡充をはかり、同時にまた、従来の都道府県知事の権限に、新たに農業共済組合連合会に対する業務報告微收、会計検査等に関する監督上の権限を加え、共済団体に対する地方公共団体の指導協力態勢を整備したいというのが
提案の理由であります。
本
法律案につきましては、去る二月二十四日
提案理由の
説明を開き、次いで二十八日並びに三月一日の両日にわたり質疑を行いましたところ、
自由党——足立、淵、原田各委員、社会党——井上、足鹿両委員、
共産党——山口委員、
国民協同党——吉川委員の各書より災害補償制度の健全なる
発展のために共済金に課税しないうに
措置すべきではないか、無災害地帯に対しては無事もどしの制度を考慮する必要はないか、共済金の迅速な支拂いを行うために、どのくらいの運用資金を必要とするか、さらに災害の予防に一段と力を入れるようにすべきである等の意見の開陳がなされました。これに対しまして
政府委員より、共済金に対する課税により宵
生産に及ぼす支障については社会
政策上よりも考嘱すべきものと考え、課税の減免に関しては財務当局と交渉中であること、無事もどしについては財政目下のところ
実現困難であるが、今般の改正によ
つて虫害、鳥獣害を加えることにより危險の分散化が行われたので、幾分不公平が少く
なつたこと、さらに共済制度の運用資金については約八十億円程度を必要とするが、基金の設定については本年度は予算
措置がとられなかつた等の発言がなされたのであります。
本
法律案の企図する改正点につきましては、共済制度を一歩々々完成するために、農林
委員会各位のかねて主張しているところでありますして、各党とも
異議がありませんので、討論を省略して表決に付しましたところ、ゑ全会一致をも
つて可決した次第であります。
次に農林害補償法第十
二條第三項の
規定の適用を除外する
法律の一部を改正する
法律案について御報告いたします。
農業災害補償法第十
二條によりますと、水稻、睦稻、夏の農作物共済の共済掛金の一部は、一旦
食糧管理特別会計が農業共済再保險特別会計に繰入れて負担し、さらにこの負担金を
食糧の売渡し価格の中に織り込んで消費者に転嫁するような仕組みにな
つておりますが、賃金、物価
政策上、これを消費者負担とせず、一般会計より直接再保險特別会計へ繰入れるようにしたいというのが、本
法律案の
提案理由であります。
本
法律案につきましては、先に御報告いたしました
農業災害補償法の一部を改正する
法律案と並行して審議を行いましたが、本
法律案の内容は、第五国会において成立し、
昭和二十三、二十四の両年度に
実施せられました、職業災害補償法第十
二條第三項の
規定の適用を除外する
法律と同一内容のもので、
昭和二十五年度にも延長してこれを適用しようとするものであり、またこれに要する経費二十六億九千二百一万一千円については、二十五年年度一般会計予算に計上せられておりますので、本案の内容については、各委員とも何ら異論もありませんので、討論を省略して表決に付しましたるところ、全会一致をも
つて可決いたしました。
次に
農産種苗法の一部を改正する
法律案につきまして御報告いたします。
種苗のよしあしは、農業
生産上重大な
関係がありますので、各種種苗の品質の維持向上をはかり、または優秀な新品種種苗の育成を奨励助長することが必要でありますが、この目的を達成するために、一昨年度
農産種苗法が制定され、種苗業者の届出制を
実施し、かつ特に重要と認める販売種苗については、種類、品種、
生産地、採種年月、発芽率等を記載した保証票を添付させ、また種苗検査官をして、種苗業者の営業届出、及び保証票の添付状況の検査、あゑほ発言の検定等を行いまする一方、優良晋品種の登録事業をも行いまして、種苗及び種苗業の
改善、並びに優良な新品種の有成に努めて参つたのでありますが、これらの事業をさらに一段と合理的に推進して、農業
生産の
改善をはかりたいという趣旨で、本
法律案を
提出せられたのであります。
本
法律案の主要点は、およそ次の三点であります。第一点、優良新品種種苗登録の対象範囲を拡大いたしますとともに、重要な種苗のうち保証票を添付して証明せしむるべきものは特に保証種苗として指定すること、第二点、保証票に記載いたしまする種苗の
生産地は、現行法によりますと、その
生産地の属する市町村名を記載することにな
つておりますが。これを簡単にしまして、都道府県名だけを記載すればよいことにすること、第三点、新品種種苗登録の出願及び登録に際しまして、現行法ではいずれも無料とな
つておりますのを、その出願について二百円、登録については二千円以内の手数料を徴収するようにいたしましたこと、以上の三点であると思います。
本
法律案は、去る二月七日、予備審査のため本農林
委員会付託と相なり、次いで二月二十日、二十四日、三月二日の三日間にわたり質疑を行いましたると二ろ、
自由党——渕、村山、山村、河野、寺島各委員、民主党——小林、大森両委員、社会党——井上委員、農民協同党——小平委員より、いずれも真劔にしてかつ適切な質疑が行われました。その大要を御報告いたしますと、一、品種の改良向上には進歩した近代科学を取入れるべきである、二、種苗の発芽率は地理的並びに自然的傑作に左右せられるが、その誤差をどのくらいに見ているか、三、惡質な種苗業者を嚴重に取締
つて、農民に迷惑をかけないようにせよ、四、保証票には種苗
生産地の市町村名まで記載する現行制度がかえ
つてよいのではないか、等であります。これに対しまして、
政府委員より、種苗
関係技術者を網羅した研究機関をつくり、近代科学の普及をはかり、また
海外より優良品種を
輸入して業者に配布する等技術の向上練磨に
努力している発芽率については五・七%の範囲内の誤差を認めている、悪質な種苗業者に対しては販売の停止等適当な処分をも
つて臨むつもりである、さらに保証票に種苗
生産地の市町村名まで記載することは、現在は技術的に困難である、等の発言がありました。
本
法律案に関しましては、参議院において次の二点につき修正を加えられ、去る一日、本院に送付せられて参つたのであります。すなわち第一点といたしましては新民法による均分相続の例に基きまして、優良新品種または新系統の種苗を育成いたしました者の権利の承継
関係を明白にしましたこと、第二点は、登録の
取消しの際に当該
関係人に対する聴問の機会を與えるように修正いたしましたこと、以上の二点であります。
本改正
法律案は、その趣旨、内容とも明瞭であり、かつまた参議院の修正箇所も時宜に適した
措置でありまして、各委員とも異論がございませんので、去る二日、討論を省略して表決に付しまとたるところ、これまた全会一致をも
つて可決した次第であります。
次に
農業改良助長法の一部を改正する
法律案につきまして御報告いたします。
農業
生産の増大並びに農民
生活の
改善をはかりますためには、農業に関する科学技術の発達と、その成果の有効適切な普及の裏づけが必要でありますので、その目的達成のために
農業改良助長法が第二国会において成立いたしましたのでありますが、その
実施後におきまする経験にかんがみまして若干の改正を加え、有効適切な運用を期したいというのが、本
法律案提案の理由であります。
本改正案の主要点は、およそ左の三点であると思います。その第一点は、現行法によりますと、試験研究資金は土地・建物等への流用を禁止せられていますが、これを緩和いたしましたこと、第二点は、協同農業普及事業に対しまする
補助金の割当基準の変更であります。現行法によりますと、
補助金総領の九割までを各都道府県の農業人口、耕地面積の
割合に応じて配分することとな
つておりますが、この
補助金の大
部分は改良普及員の設置費でありまして、この改良普及員は市町村を單位に設置するものでありますので、
補助金配分基準の一つとして市町村数を考慮いたし、さらに都道府県の特殊事情の比重をも高めまして、
補助金割当の適正を期することといたしましたこと。
第三点は、共同農業普及事業の資金を有効に使用するために、当該事業の
実施状況が不良の場合には、
補助金の割当後においてもその交付を停止し、必要に応じて他に転用することができる
規定を設けまとたこと、以上の三点でございます。
本
法律案は、二月十六日、予備審査のため内閣より参考送付と相なり、昨六日、参議院より本院に送付せられまして、正式付託となりましたが、二月二十日、二十四日及び三月六日の三日間にわたり質疑を行いましたるところ、
自由党——淵、村上、山村、河野、寺島各委員、民主党——小林、大森各委員、社会党——井上委員、農民協同党——小平委員の各委員より、
わが国農業技術並びに農業
経済の試験研究制度、あるいは農業技術の末端農家への普及浸透方法等につきましてそれぞれ有益な所見が開陳せられ、
政府の施策を大いに鞭撻するところがあつたのであります。これらについて一々御報告いたす時間もございませんので、詳細は速記録によ
つて御
承知を願いたいと存じます。
本
法律案の意図しまする改正点自体につきましては、各党とも何ら
異議がありませんので、昨六日、質疑終了後、ただちに討論を省略して採決を行い、全員の総意をも
つて可決すべきものと議決した次第であります。
以上をも
つて報告を終ります。(
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