運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-02-07 第7回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月七日(火曜日)  議事日程 第十四号     午後一時開議  第一 高松地方専売公社調停委員会委員委嘱につき議決を求めるの件  第二 公共企業体労働関係法第十六條第二項の規程に基き、国会議決を求めるの件(議決第二号)の撤回を求めるの動議三宅正一君外百二十六名提出)  第三 臨時通過法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した事件  故議員北二郎君に対する篠田弘作君の哀悼の辞  日程第一 高松地方專売公社調停委員会委員委嘱につき議決を求めるの件  日程第二 公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(議決第二号)の撤回を求めるの勤議三宅正一君外百二十六名提出)  日程第三 臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後一時二十七分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇————
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御報告いたすことがあります。議員北二郎君は、去る一月二十九日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。同君に対する弔詞は議長においてすでに贈呈いたしました。  この際弔意を表するため、篠田弘作君より発言を求められております。これを許します。篠田弘作君。     〔篠田弘作登壇
  4. 篠田弘作

    篠田弘作君 ただいま議長から御報告がありました通り、本院議員北二郎君は、去る一月二十九日、急病のため逝去いたされました。まことに痛惜にたえません。私は、ここに諸君のお許しを得まして、議員一同を代表し、つつしんで哀悼の辞を述べたいと存じます。  北君は、北海道空知奈井江村の御出身でありまして、昭和十二年、庁立岩見沢中学四年を修了後、家業である農業に従事され、かたわら奈井江酪農振興会長として、農村の指導と発展にも盡瘁せられたのであります。  昭和二十二年四月の総選挙には、嚴父勝太郎の後を受けられ、北海道第四区から立候補され、若冠二十九才にして本院の議席を占め、さらに昨年一月の総選挙にも再度当選の栄誉をになわれたのであります。  北君は、三箇年にわたる議員生活におきまして、常にあふるる若さと熟をもつて活動され、本院においては、あるいは農林委員として困難なる農村問題と取組み、あるいは人事委員として、精励よくその職責を果され、最近はまた外務委員として、来るべき講和問題に没頭され、敗戦の祖国が一日もすみやかに国際社会に復帰することを念願として活躍せられたのであります。ことに、死の前日ともいうべき去る二十八日の本会議場における君の颯爽たる英姿は、長くわれわれのまぶたに映じて忘れ得ないところであります。北君が、その本領ともいうべき農村問題を論ずるや、絶対に妥協も許さず、その態度はむしろ一徹にすら感じられたのでありますが、これは同君が実に信念の人であり、おのれの行くべき道をただ一筋に貫かんとする真摯なる良心的政治家であつたことを物語るものであります。その何ものをも恐れざる意気と誠意は、私たちの常に尊敬し、かつうらやましく存じていたところでありまして、日本再建に対する君の役割はむしろ今後にあり、私たちの刮目して待つたところであります。しかるに、年少わずかに三十才六箇月、幾多の希望と夢を残して、いまだ春秋に富む身をもつて突如として永眠されたことは、祖国再建のためにも、まことに痛恨痛惜にたえないところでありまして、私は真にその悲しむべき言葉を知らないであります。  ここに、つつしんで哀悼のまことをささげる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一につきお諮りいたします。内閣から、高松地方専売公社調停委員会委員成田知巳君を委嘱するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。      ————◇—————
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 内閣総理大臣から、去る一月二十八日の北村徳太郎君及び神山茂夫君の緊急質問に対して答弁のため発言を求められております。これを許します。吉田内閣総理大臣。     〔国務大臣吉田茂登壇
  8. 吉田茂

    國務大臣吉田茂君) 北村徳太郎君にお答えをいたします。  北村君の御演説の中に、講和問題に関して、ソ連依存でもなければ英米依存でもないのである、これらの野党質問に対して政府はまじめに答弁しない、民主的と言えないという非難でありますが、英米依存とかソ連依存とかいうことは、現に問題になつておらないのであります。講和問題については、何ら具体的に政府としては取上げておるのではありません。これに対して民主的にお答えをする材料を持たないから、お答えをいたさなかつただけであります。  また第二の質問としては、全面講和であるかどうか。これまた前面講和何ものであるかということは具体的にきまつておらないのみならず、私は、全面講和は概念的にけつこうなことである、できればこうしたい。しかしながら、問題は客観的情勢によつてきまるのであつて、すでに講和である以上は、ある一国が、他国、數国なりが同意しない講和状態に入りたいと言われれば、それだけの話でありますから、これは客観的情勢によるのであると申して、全面講和けつこうであるが、しかしながら、今日においては客観的情勢の推移を待つよりしかたがないと申しておるのであります。  また神山茂夫君にお答えをいたします。  御質問は、民主野党派を初め、学識経験者財界有力者までが全面講和を希望しておるのである、この事実を何とみるか。私は、私の施政演説においてはつきり申し述べておりまする通り全面講和はまことに望ましいことである。しかしながら、客観情勢によることであると申しておるのであつて全面講和がいかぬとか、あるいは財界有力者云々と言われますが、財界有力者あるいは学識経験者のならざるも、国民としては、全面講和けつこうであると考えておるに違いないのであります。(拍手)  御質問の二は、講和を妨げておるものは、ソ同盟と全世界の社会主義的、人民主義的な勢力存在そのものでなくて、これに対する世界一部の帝国主義勢力政策そのものであるのではないかという御質問でありますが、私はこれに対して何らの批評を加えることはいたしません。しかしながら講和は、もし全面講和なるものが、その得がたいこと、ある一国が拒否権を利用して全面講和に同意しないという事実を見越して全面講和を唱えて、長く日本戰争状態に置くという考えであるならば、私は国民の名においてこれに反対せざるを得ないのであります。(拍手)  その次、第三問としては、ヤルタ協定に対しては何と考えるかということでありますが、ヤルタ協定には、日本国協定国の一員でありませんから、何ともお答えいたさない。(拍手)  第四問として、引揚げについて外務省では三十七万という基本数字を出してをるが、この数字を立証する根拠国会提出せよ。これはしばしば外務省から提出いたしております。また、この根拠を隠滅するがために書類を燒き捨てた、こういう事実は全然ないのであります。(拍手)  次に第五問として、ポツダム宣言には、民主的の人民政府ができたならば連合軍が撤退すると書いてあるが、総理は知つておるかということでありますが、ポツダム宣言には、同宣言に掲げられたる諸々の目的が達成せられ、かつ日本国民の自由に表明せる意思に従い、平和的傾向を有し、かつ責任ある政府が樹立せられた場合、占領軍が撤退する、こう書いてあるのであります。その時期については連合国が認定いたすのであつて日本政府ではないのであります。これだけお答えをいたします。      ————◇————
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第二、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(議決第二号)の撤回を求めるの動機を議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。赤松勇君。     〔赤松勇登壇
  10. 赤松勇

    赤松勇君 私は、日本社会党民主党野党派、新政治協議会農民協同党労農党社会革新党の諸派を代表いたしまして、公共企業体労働関係法第十六條第二項に基き、国会議決を求めるの件の撤回を求めるの動議提出し、かつその理由を述べんとするものでございます。  政府は、一月七日の閣議におきまして、專売裁定第一項について、予算上、資金実施不可能であるとの理由によつて裁定を拒否する態度を決定し、同日、本件国会に付議して参りました。その理由といたしまして、昭和二十四年十二月二十八日、公共企業体仲裁委員会が、全專売労働組合の要請にかかる賃金ベース改訂の問題に関して下した裁定は、公労法第十六條第一項に該当するので、同條第二項の規定により国会に付議する必要があるからであるという理由でございます。  さらに、一月十日付の、大蔵大臣から全專売労働組合に提示いたしました回答書の中におきまして、公共企業体仲裁委員会の下した裁定には、公共企業体労働関係法第三十五條によつて当事者双方は服従しなければならないものであるが、同條但書において、第十六條に規定する事項について裁定の行われたときは同條の定めによると規定されておる、しかして、今回の裁定第一項による総額一億二千八百万円の金額は、大蔵大臣承認を得て予算流用を行わなければ、これを支出するこたができないのであるが、諸般の事情を考慮して、この際予算流用を認めることができないので、同法第十六條第一項の、予算上、資金上不可能な資金支出内容とするものであると考え、従つて、同條第二項の規定により国会に付議したのであるということを述べておるのでございます。  私は、二月三日の議院運営委員会におきまして、本件公労法第三十五條に該当するものであつて政府が同法第十六條第二項の規程に基いて国会に付議したことは誤りであり、議長はいかなる根拠に基いて本件を受理されたのであるかとの質問を行いましたところ、議長国鉄裁定前例にならつたと答え、また民主自由党を代表して大橋武夫君は、政府予算流用を認めないのであるから、当然これを国会に付議すべきである、ということをば主張せられたのでございます。  今回の專売裁定は、国鉄裁定の場合とは、まつたくその事情を異にするものでございます。先ほど申上げましたごとく、政府は、専売裁定が、公労法第十六條第一項の、予算上、資金上不可能な資金支出内容とするということに該当すると言つておるが、專売裁定に伴い支出する金額一億二千八百万円であり、現在公社には二十六億一千九百万円の流用予算のあることを、公社仲裁委員会もこれを認めておる。この場合、公労法にいうところの予算上、資金上とは、国会において承認を受けた既定予算を言うのであつて日本專売公社の場合、大蔵大臣監督権限を持つために、費目流用承認大臣に求めたのであるが、これは公労法でいう不可能な資金支出ではなくして、費目流用は可能な資金支出であると考えるのである。日本專売公社は、かかる見地から、公労法第三十五條第一項に基いて予算案を作成し、これを大蔵大臣に提示したのでございます。言うまでもなく、このことは、專売公社裁定が同法第十六條に該当しないということを認め、日本專売公社法による流用予算承認大蔵大臣に求めんがための措置であつたのであります。  さらにまた、一月十日、池田大蔵大臣はへ全專売労働組合に対し、專売公社不用予算科目流用をもつて裁定実施したいとの申請を出して来たが、私としては、日本現状を考え、科目流用までして出すことには同意できないと回答し、予算科目流用のいかんが裁定実施問題点であることを明らかにし、また秋山專売公社総裁は、一月三十日、参議院議院運営委員会における証言の中におきましても、仲裁委員会公労法第十六條第二項によることなく支出し得るとの見通しのもとに裁定を下したのである、公社はこれに従わざるを得ないし、また支出し得る財源はある、しかし予算流用大蔵大臣の許可が必要であるから、流用予算を作成して、裁定に従いたいから許可してほしいとの承認を求めたのであるが、承認を得るにいたらなかつたと、公労法第三十五條規定に基いて本件を取扱うべきことが合理的であることを明瞭にしておるのでございます。  さき国鉄裁定国会に付議されました際、増田官房長官は、日本国有鉄道公社がその経理能力の範囲において支拂い得る可能な部分は十五億であり、残余の部分三十億は予算上、資金上支拂う能力がないから、これを国会に付議すると、議院運営委員会発言されている。しかるに、今回の專売裁定の場合には、公社それ自身支拂能力のあることを証言し、仲裁委員会もまた、さようなことを認めておる。議長が、本件取扱いについて国鉄前例にならつたというのは、公労法とはいかなる法律であるか、また專売裁定書内容はいかなるものであるかを理解する能力を持つていないものと断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)また、もしそれを理解しつつ、あえてこれを受理したといたしますならば、不偏不党であるべき議長の立場を放棄し、民主自由党政府公労法無視反動的労働政策に屈服し、国会の権威をみずから蹂躪したものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  さき衆議院事務総長は、昭和二十四年十二月二十四日の衆議院公報において、国鉄裁定国会において承認がなかつた、こういう事実にあらざる通知をば内閣に対して行いました。参議院議決を無視するの暴挙をあえてしたことと関連いたしまして、私は次の事実を指摘いたしたいのでございます。すなわち、近来幣原議長は、その風格にますます枯淡味を加えつつあることは慶賀にたえないのでございますが、その枯淡味は、利根の川原の枯れすすきのようなものでございまして、水に流され、風に押され、権勢におもねて、いやしくも国権の最高機関を代表する衆議院議長としての識見と極威を欠き、行政機関に屈服し、一党一派に偏し、まさに民自党のメツセンジャー・ボーイの感があることは、まことに遺憾といわざるえない。(「何を言うか」と呼び、その他発言する者あり)  この問題について、民主自由党諸君の中には、前の国鉄裁定の場合と今度の專売裁定とは、案件の主キ理由同一であるから、同一に取扱うべきだとの説をなす者もあるのでございますが、そういう理由がもしも合理性を有するならば、この案件は、国鉄の場合も專売の場合も、主文及び理由同一であるから、一事再議の原則に基いて、專売裁定案件国会で受理したことは、明らかに無効であり、議長の許しがたい失態であるといわなければなりません。ことに、国会休会中といえども議院運営委員会の召集は可能であり、また公労法によれば、国会休会のときは開会後五日以内に付議すればよいのであつて、それにもかかわらず、これを行わないで、労働委員会にいきなりこれを付議したことも、また議長の專断といわれなければなりません。  また、大蔵大臣が、予算流用を許可しなかつたのであるから、裁定国会に付議したことは当然であるこういう議輪もあつたのでございますが、この議論はまつたく問題外でございまして、年間一千二百億の收入がある專売公社に対し、わずか一億二千八百万円くらいの予算流用ができないような無能力大蔵大臣は、遠慮はいりませんから、さつさとやめていただきたい。二百七十名の代議士を有する民主自由党は、反動的政治能力以外何ものをも持合せていないということをば、ここに暴露したものであるといわなければなりません。  また増田官房長官は、裁定国会に付議したのには、行政上の裁量事項だということをば、議院運営委員会発言しておられる。公労法行政上の裁量で踏みにじられていいでございましようか。この議論こそ、吉田内閣民自党の非立憲的な官僚主義思想の集中的な現われであるといわなければなりません。  要するに、全專売労働組合の賃金問題は、政府との係争ではない。公労法に基く日本專売会社と全専売労働組合との間の係争である。しかも、公労法規定に基く処置を公社がとろうとしているにかかわらず、政府が一貫した低賃金政策の一環として本問題を取扱い経済的要求を、あえて政治権力闘争に導くものとすれば、これこそ一九四八年七月二十二日のマツカーサーは明朗に反するものといわなければなりません。  政府は、さき国鉄裁定を蹂躪し、さらには人事院の勧告案をこれまた無視いたしまして、今日低賃金政策をなお頑強に押し通そうとしている。国会協同闘争委員会に結集する五百二十万の労働者諸君は、昨年、いわゆる合法闘争を展開いたしまして、すなわち、この公労法または国家公務員法に基いて、忍耐に忍耐を重ねて参つたのでございまするが、国家公務員法第二十八條を蹂躪したのは一体だれであるか。公労法の第十六條第一項、第二項は、常に大蔵大臣の一方的な見解によつてその監督権限が濫用されて、もし大蔵大臣の一方的な見解で、すべてその予算流用を許さないということになれば、公労法の精神は一体どこにあるりか。労働者は、どのような民主的な、合理的な手続をすればよいか。このような事態に追い込んだ吉田反動内閣民主自由党のこの反動的な労働政策に対しまして、昨日、国会共同闘争委員会に結集する五百二十万の労働者諸君は、断固たる決意をもつて吉田内閣と鬪うということを宣言した。今日、この五百二十万の民主的な労働組合員諸君をして、いわゆるゼネストの準備をばあえてさせた、ゼネスト煽動の張本人こそ吉田内閣であり民主自由党であると断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)  われわれは、この国会を通じまして本問題の所在を明確にし、今日このような労働不安とストライキの激成は、すべて吉田内閣民主自由党責任であるということを明確にすると同時に、專売裁定のかかつている国会は、かかるストライキ煽動家の野望を排して、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件の政府提案撤回さすべきでる。私は、議長の理不盡きわまる本件取り扱い責任を追及しつつ、本件取扱い責任を追求しつつ、本件撤回を要求するものでございます。(拍手
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 本動議に対して討論の通告があります。これを許します。福永健司君。     〔福永健司登壇
  12. 福永健司

    福永健司君 私は、民主自由党を代表して、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件の撤回を求めるの動議に反対の意を表明するものであります。(拍手)  まず、いわゆる專売裁定理由の三に、公社予算上、資金上、今年度内に裁定主文第一項の金額支出し得る経理能力を有し、従つて公労法十六條二項に関係なく、その支給に必要な措置をとり得べきものと認めるという趣旨の記述があるのをとらえて、そのゆえに政府が該案を国会に付議したのは違法であるとの誤れる主張に対し、われらの正当なる見解を明らかにいたします。(拍手)  裁定予算上不可能というのは、国会議決した予算費目及び金額のみに照して不可能であるという意味ではなく、国会議決した予算について、その後に行われた予備費支出費目流用等の一定の手続きによる変更があつたとすれば、それを考慮に入れて、しかも現在の予算では支出不可能だということでなければなりません。しかし、かかる変更は、現在までに行われたものに限るべきであつて、将来行われることを仮定して、予算上可能か不可能かを決定すべきものではないのであります。なぜならば、予算上不可能というのは、仮定の事実ではなく、現在の客観的事実でなければならないからであります。国鉄裁定審議に際し、参考人として出席された末弘仲裁委員長は、裁定予算上、経理上不可能かどうかは客観的に定まるものであると明言されたりも、われわれの記憶に新たなところであります。  そこで、現在の客観的事実を基礎として、專売公社予算について、裁定実施財政法規定従つて予算上可能であるかどうかを検討してみまするに、公社の現在実施中の予算において、当然この種の支出に充てることのできる費目は、給與すなわち人件費であるが、この予算金額は、三月までに支出すべき本来の給與を支弁するならば、それ以外にはほとんど余裕がないのが事実であつて裁定第一項の金額は実際に支出不可能といわなければなりません。葉タバコ購入費等から一億数千万円を人件費流用するというような考え方も、大蔵大臣承認がなければ、当然予算支出不可能であります。  大体、わが国タバコを吸うことは、大部分税金を吸つているようなものであります。專売益金があるから、それで何とかというような議論は、税務署の役人が税金を集めたら、その中から、しかるべく使つてよいというようなものであります。ことに公社においては、本年度は約三十億円の收入欠陷が予想されており、軽々のことは許されないのであります。  大蔵大臣は、今日まで、かかる流用承認しておらず、従つて現在のところ、裁定第一項の実施予算上不可能であるということは間違いのない事実であります。しかして、予筆流用についての承認は、財政上大蔵大臣権限に属しており、仲裁委員会または調停委員会が、仲裁または調停において、いかなる見解を述べようとも、このこと自体は何ら大蔵大臣職権行使自由裁権量を拘束し制限するものでないことはとは、公労法第十六條第一項に、予算上、資金上不可能の事項目的とする裁定政府を拘束しないとあるに徴しても、当然なことであります。(拍手)よつてこの場合、仲裁理由に何と述べてあろうとも、大蔵大臣は独自の見地に立つて流用承認し、または承認しないことができるのであつて、その承認なき限り、公社の現在の予算では不可能なることは明らかなる客観的事実であると申さねばなりません。  以上の理由によつて專売仲裁裁定予算上不可能であるから、政府がこれを国会に付議したことは当然であり、これを撤回せしむべき理由を発見し得ないのであります。もちろん、予算流用につき承認を與えなかつたという大蔵大臣措置が妥当であるかどうかということは、まつたく別個の問題でありまして、そのこと自体、本裁定審議にあたつて労働委員会において検討されてしかるべきであります。しかし、これに対する当該委員会の判断ということも、予算上不可能という客観的事実そのものを動かすものではなく、本院が本動議のごとく撤回を求むべしとなす理由とはなり得ないのであります。(拍手)  また、前会に提出せられました国鉄裁定の場合の題名並びに主文同一なるがゆえに、一事再議原則により受理すべきものにあらずとの所論がありますが、これはとるに足らぬ牽強附会であります。裁定自体議題となつており、別個のものなることは、もとより申すまでもありません。この問題につきましては、議院運営委員会におきまして、幾たびか論議を重ね、すでに最後的に結論を出しておるものであります。それをまた、本会議動議提出してむし返すごときは、審議の能率を阻害することはなはだしいものといわなければなりません。(拍手)本動議提出者たる社会党所属参議院議員波多野鼎氏は、左か右か中間か、いずれの派に属するかは存じませんが、一両日前の新聞に、アメリカの議会を見ての感想を寄せておられます。その中に、わが国議会手続形式議論に多くの時間を空費することを強く反省しておられます。まつたく皮肉の感を禁じ得ないものがあります。(拍手)  われらは、あくまで祖国現状を直視し、無責任なる迎合的な煽動を排し、最もまじめに、責任ある態度をもつて、すみやかに問題の解決をはかることこそ、真に労働者諸君のためであり、祖国再建の足取りを進めるゆえんであると確信するものであります。(拍手)ともあれ、政府法律の定むるところに従い、遅滯なく国会提出してすでに一箇月、この間、形式論理をもてあそび、実質的審議に入らず、あげくのはてに撤回せよなどとは言語道断、われらは、かくのごとき無謀なる動議に対して断々固として反対するものであります。(拍手
  13. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 次は並木芳雄君。     〔並木芳雄君登壇
  14. 並木芳雄

    ○並木芳雄君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、ただいま議題となつております本動議に全幅の賛成の意を表するものでございます。(拍手)  実は、この前国鉄裁定の問題のときにも、私は同じこの壇上に立つて討論を行つたのでございますが、あのとき私は單に政府を攻撃したり、与党を罵倒する討論ではなかつたつもりでございます。今からでもおそくない、民主自由党の中にも具眼の士があるのであるから、どうぞ私のこの討論を聞いてくださつて、気持を翻してもらいたいということを述べたつもりでございます。しかるにもかかわらず、私の切なる願いはいれられなかつた。しかしながら私は、その後時の経過とともに、われわれの気持もくんでもらえて、再びかくのごとき凡失を繰返さないだろうということを期待しておつたのでございますが、今日同じような性質を持つた專売公社裁定について、同じ凡失を繰返すに至つては、これは政府と與党がよほどのボーン・ヘッドであるか、よほど心臓の強いむちやであるかの、いずれかであると断ぜざるを得ず、私は、はなはだ遺憾に思うのでございます。  專売公社というものは行政上の機関でなく、公共企業体として、全額を政府は出資しておりますけれども、民間企業のよいところを取上げて、十分能率をあげ、そうして独立採算制のもとに運営を改善して行こう、こういうねらいにおいて、進められたことは、わが国において初めての試みでありまして、われわれは、これを現在の政府が、従来監督の地位ににあつた行政の一機関と同じように取違えておる傾向を見ることは、まことに残念でございます。  公共企業体というものは、国の予算それ自体予算とは区別して考えるものでございまして、仲裁裁定案というものが双方を拘束して、そうしてこれに従うべきものであることは、しばしば述べられた通りであります。ここには司法上、民法上の債権債務の関係が生ずるのでございまして、もし確立された私有財産権、その債権というものに対して、政府が干渉するごときことがあるならば、これは憲法違反に問われてもやむを得ないと思うのであります。裁定そのものに、もし違反の疑いがありといたしますならば、これは、われわれが国会において論議すべき問題ではなくして、最高裁判所または降伏文書による司令官の指令するところの精神に基いて審議さるべきでありまして、裁定それ自体に対する疑いの問題と今回の問題とを混同して、これを国会提出し、われわれにその責任を転嫁するごとき感を抱かしむることは、これまた私どもが承服できない点であります。  ただいまの反対討論の中に予算上不可能であるということを論ぜられておりましたが、この予算が可能であるか不可能であるかということは、これは当事者がきめることであつて、それに対して責任者であるところの秋山総裁は、明らかに予算上可能であるということを断言しておるのであります。当事者がきめるところの可能か不可能かどういうことを、舞台をかえてこの国会の壇上に持つて来て、そうして予算が不可能であるからだめなんだというような討論をして、本件をカモフラージすることは、良識ある人のとるべき態度ではないと私は思うのであります。  かりに、この予算が可能か不可能かという議論は譲りましても、今度の問題の最も重要な点は、予算流用を許す大蔵大臣権限、この行使に対して、これは明らかに行政処分であり、国会の関知すべきものではない、大蔵大臣責任において予算流用を許可する、あるいは許可しないというだけの話であつて大蔵大臣責任をもつてやる行政処分を、この立法府である国会に持つて来て、そうして許可しないことを、あたかもわれわれ国会議員が承知をしないからできないのだというような欺瞞な態度をとるところに、われわれがこれに対してどうしても糾弾しなければならない点があるのであります。  従つて、この問題を冷静に考えてみると、これは実は政府とか與党の問題ではなくて、この政府のボーン・ヘツドによるところの欺瞞な態度行政処分を国会の問題にして、責任転嫁するという態度、その責任をわれわれ国会議員全部が負うか負わないかの問題である。こういう点においては、與党の皆さんにおいても、われわれが分担すべからざるところの責任を負うべきではないと思うのであります。新しく発足した公共企業体の円満なる発展のために、またわれわれが公労法の法の精神を生かすために、最高である国会というものが、行政府の一長官の責任の転嫁の場と化せられるならば、われわれとしては、これを断じて排撃せざるを得ないということを申し上げたいのでございます。  われわれは、従つて予算上できるできないの議論——また秋山総裁は、明らかに予算上できると言つておる。あとは、残るのは技術上の問題であつて予算上の問題とこの技術上の問題とを混合し、行政処分と国会議決の問題とを混合しておるところのこの裁定案というものを国会に上程して来ること自体が、その目的が那辺にあるか、われわれは、ひつきようこの裁定案を国会において否決させることによつて、そうして現内閣が非常に苦しんでおる——言葉の上では安定した財政、安定した経済と言つておるけれでも、その底に流れておるところの、実に不安定なもろもろの矛盾というものを弾圧しようとする、むりに押えつけようとする一端であるということを考えざるを得ないのであります。(「三月革命をやりますと言つた方が早いではないか」と呼び、その他発言する者あり)最近ようやく民主的な歩みを進めて参つたところの労働組合の健全なる進路を妨げるものであり、ようやく花の開かんとする花園を、どろぐつをもつて荒しにかかろうとするのが、今回の政府のとつた処置である。われわれとは、国会の権威にかけて、かくのごとき弱い者をいじめ、正しい者を押えつけようとするような法案の提出に対し、これを受取ることは絶対にできないのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)  私たちの生き方は、つとに労資協調の線を強く出しまして、いずれの方にも特にえこひいきをするものではない。資本家、経営者の味方にもなりますれば、一方において労働組合の味方でもある。日本の困難を救うために、労資協調の線を強く押出すことが緊要であるということを、繰返し繰返し主張しておるのでございます。従つて、最近の労働運動の傾向を見ますときに、その穏健なる足取りに対して深く敬意を表しておるのでありますけれども、かくのごとき頑冥、固陋なる案というものを国会が受入れるようであるならば、この調子が出て来たところの足並が再び乱れざるを得ない。これを憂うるものであります。  もとより、最近再び起つたような労働攻勢、特に不法なる行動にも出でんとするがごときものに対しては、われわれは、これをやはり支持することはできない。あくまでも合法的な闘争によつて労働組合の健全なる発展をはかる、これを主張しておるものではございますけれども、今回重ねてとつたこの政府態度、そうして、もしこれが国会において受入れられる、通過せられるようなことがあるならば、これは、あかつきにひたひたと押寄せて来るところのこの労働攻勢の波、今でこそ小さい波ではある。しかしながら、この押寄せて来るところの波に対して、天気予報は何と言つているか。與党の皆さんも、ぜひ科学的な、合理的なこの天気予報に耳を傾けなければならないと思います。  今は波は荒くないけれども、今夜までにはあらしになるかもしれないと警鐵が鳴つておる、この天気予報に耳をおおわんとするのが今度のこの態度である。もしも皆さんが、この多数の力によつて押し通そうとするならば、夕べには、今でこそさざなみであるけれども、この波が荒れ狂つて、皆さんのむりやりに押し流す船というものは、再び帰らざるところの、行方不明の船となつてしまう、晩鐘の挽歌になるのではないかということを恐れるのでございます。  そういう点におきまして、私は、どうか誠心誠意——この問題に限つては、行政処分と国会審議とを混同しておる、この点を特に留意せられまして、そうしてこの裁定案をわれわれに上程せずして、政府予算流用さえ許せば解決をする。そうして解決をすることによつて国鉄や専売公社の問題が、やがては官公吏の賃金ベースに影響するというようなことを考慮する必要はない。第一、これは人事院の方でもちやんと勧告案を発しておるので、われわれは、人事院の線あるいは仲裁裁定案の線というものを、まことに冷静に考え、また穏健なる労働者の向上、日本の民主化のために必要であるということを考えますならば、ぜひこの案を政府において撤回して、專売裁定案の裁定の線に沿つて一刻も早く円満なる妥結が行われるよう切に望みまして、私の本案に対する贊成の討論を終わるものでございます。(拍手
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 林百郎君。     〔林百郎君登壇
  16. 林百郎

    ○林百郎君 私は、本動議に対し、共産党を代表いたしまして賛意を表するものであります。  その理由の第一としましては、この裁定理由の第三項の中には、この裁定委員会は、公社経理状態を調査した結果、公社はその予算場または資金支出が可能であるということを明言しているのであります。  第二の理由としては、これに必要なるところり金頭は一億二千八百万円にすぎないのであります。しかも、この専売公社は、日本の国の予算の歳入のうち、秘税を除きましては一番大きな項目であるところの、全歳入の二割であるところの一千二百億の利益をあげておるのであります。一千二百億の利益をあげ、これを税金として歳入に繰り込んでいる。この努力を、実に三万八千の専売公社労働者諸君がしているのであります。この一千二百億の利益の基準であるところのこの労働者諸君に、わずか一億二千八百方円を出せないということは、これは国の経済そのものを破壊することになるのであります。  第三としましては、驚くべきことには、この専売公社予算の中には、流用科目と予備費として四十億あるのでありますけれども、これは十分流用できるのであります。しかも驚くべきことには、この四十億の流用科目並びに予備費のうちから、三十億というもので外塩を買つているのであります。しかも、これは最初百二十五万トンの予定であつたものを、わざわざ十五億円出して、三十二万トンの余分なものを買つている。しかも、この塩のうち、驚くべきことには、十五億円が実にストックとなつてつているのであります。この日本の国で使うことのできないところの塩を十五億円買つて、ストックにしておきながら、三万八千の労働者諸君に、わずか一億円の賃金の補充をすることができないという、かかる買弁的な性格こそが、池田財政の本質であると言わざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、吉田内閣の経済は、池田大蔵大臣の財政政策は、日本労働者諸君よりは外国の塩の方がもつと大事であるという、この政策が吉田内閣の買弁的な政策であると言わざるを得ないのであります。(発言する者多し)しかも、秋山総裁もまた、支出が可能だということを明言しているのであります。  池田大蔵大臣の説明によりますと、日本の国の経済は、今や安定から向上に進んでおると言つておるのであります。ところが、事実はどうであるか。二千億の異常滯賃の増大、不渡り手形の未曽有の増加、この一切の日本の国の経済の恐慌を、低貸金と低米価にしわ寄せするために、わずか一億の金は、出せないのではなくて出さないのであります。これこそが池田財政の本質なのであります。独占資本の手にある大経営の抑圧と奴隷的な労働状態、崩壊しつつある平和産業に従事しておるみじめなる労働者の生活、一千万を越える失業者、半失業者の生活、購買力の減退と重税に押しつぶされておる中小商工業者、重税と不当供出に苦しみ、低米価に苦しんでおる農民、漁民の生活、これが池田大蔵大臣の口で言う安定政策の裏に含まれておる日本の国のみじめな現状であるのであります。  しかも、この吉田民自党内閣の売国的集中生産の惨状は、炭鉱地帯に最も代表的に現われておるのであります。三井、三菱、住友の独占資本は、莫大な利潤をもうけ、着々と外資導入をはかつております。炭鉱労働者に対し、作業規律で労働を強化し、低賃金によつて植民地的労働候件を押しつけており、中小炭鉱は今や崩壊に瀕しておるのであります。炭鉱労働者諸君は、今やまつたく低賃金で、食うためには借金をすることなくしては生活できないというのが、池田財政のいう国民生活安定の裏にある現実の姿なのであります。  諸君、今や一日二百円の失業手当を受けるために、失業労働者は、夜中の十二時から午前の八時まで、かがり火をたいて待たなければ、わずか一日の失業手当を受けることができないというのが、日本労働者の現実なのであります。この日本労働者現状をこのままにしておきながら、三十億円のいらない外国の塩を買つて、これをストツクにして残しておきながら、なぜわずか一億の金を三万の労働者諸君に出すことができないのでありまよしようか。明らかにこれば、出せないのではなくして出さないというのが池田財政の本質であります。  これに対する回答はどうであるか。生活は安定し、生活は向上しておると言いますけれども、今や、この池田財政に対する労働者諸君の回答はどうでありましようか。日鉄の輪西、釜石では、今やストライキをやつております。九州の松浦炭坑、北海道の豊里では、すでにストライキをもつて池田大蔵大臣に対して日本の現実の姿を示しておるのであります。しかも、本日の新聞においては、日本の全労働者が、今やゼネストの決意を持つて、いかに自分の生活が破綻に瀕しておるかということを池田大蔵大臣並びに吉田首相に対して示さんとしておるのであります。(笑声)  諸君諸君は笑つて私のこの討論を聞いておいでになるかもしれません。しかし、この裁定を拒否することによつてどういう結果を及ぼすかということを、最後に一言諸君に申し上げます。この裁定が拒否された結果、一月十八日、全専売労働組合の中央闘争委員会は、次のごとき回答をしておるのであります。「我々は法律を守つて来た。政府法律を破壊しておる。この嚴然たる事実こそは、全専売組合員三万八千の異常なる憤怒の結果となり、凝固し、全組織をあげての断乎たる闘いを呼ぶものである。」といい、これこそが諸君の笑いに対する日本全労働階級の断固たる決意であるということを最後に申し上げまして、私の討論を終りといたします。(拍手
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 石田一松君。     〔石田一松君登壇
  18. 石田一松

    ○石田一松君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、ただいま提出されました動議に全面的に賛成の討論を行おうとするものであります。  その理由のと一いたしまして、専売公社に関する仲裁委員会裁定の第一項の金額支出が、公共企業体たる専売公社予算上または貸金上不可能な支出内容とするものでないという点が、第一の理由であります。この点につきましては、専売公社側の代表者であります秋山総裁みずからもこれを認めておるところなのでありまして、吉田総理大臣の、過日の参議院運営委員会における答弁を、ここで借用して説明すれば、本人がそう立証しておるのでありますから、これは絶対に間違いのないことであると、こういうことが言えると思います。私は、この公労法の第二十六條によつて内閣総理大臣みずからが委いたしました三名の委員をもつて構成されたこの仲裁委員会裁定理由の第三におきまして、先ほど来各議員の説明にあつたように、公社経理状態を調査した結果、公社はその予算上または資金上、今年度内に主文第一項に記した金額を支給し得る十分の経理能力を有することを明らかにいたしまして、従つて公労法第十六場第二項に関係なものと認める旨を明らかに記載しておるのであります。その上に、労働組合側の、まことに適切な、数字をあげての、理路整然と説明されたる資料を検討いたしましても、今回の仲裁委員会裁定第一項の金額支出は、公労法第十六條第一項に規定した、公共企業体予算上または資金上不可能な資金支出内容としたものでないということは、理論上からも、また実際上からも、これは明らかなる事実であると私は考えます。この点を、特に強引に、不可能なる支出であると、支離滅裂の理論の上に立つて、あくまでも主張をしておる人たちは、日本人の多くの中で、現吉田内閣と、その與党たる民自党諸君だけであると、こういうことが言えると思うのであります。  その第二は、政府当局自体が、この裁定主文第一項の金額支出するために必要以上の多額の金額をこの専売公社自体が保有しておることを認めておるという事実であります。と申しますのは、政府当局は、運営委員会等に増田官房長官が出席いたしまして、われわれに説明したその内容を承りますと、なるほど専売公社には金がたくさんあります。ありますけれども、公社にあるこの金は専売益金であつて、専売益金は租税の性質を帯びておるものであるので、この専売益金がいくらあつても、ただちに仲裁委員会裁定従つて、これを専売公社の従業員の人件費に振り向けることが、この金の性質上不可能であるのだ、と説明をしておるのであります。すなわち、そういたしますと、政府みずからは、専売公社予算上または資金支出可能な金額があることはあるけれども、専売公社にあるこの金の性質が、人件費流用することを不可能としているところの金である、こう説明しておるのであります。  なるほど一歩譲りまして、政府当局の言うように、この専売益金が租税の性質を帯びるものであるという観点から、人件費にただちにこれを流用することが不可能であるということを了承するといたしましても、流用が不可能であるというこの不可能の文字は、公共企業体労働関係法の十六條第一項の冒頭にいうところの、「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な支出内容とするいかなる」という、この公労法のいわゆる不可能とは全然意味が違うということであります。すなわち、政府流用する金があるのだが、その金の支出の解釈上、流用が不可能であるということを、ただちに公労法のいわゆる十六條の予算上または資金上の支出不可能なものであるということとすりかえようとしておるのであります。  私が、ここに特に諸君の注意を喚起したいと思いますことは、昨年末の国鉄仲裁委員会裁定問題が、本衆議院において論議されました当時、政府当局は、この国鉄裁定問題に関して、四十五億の金の中の十五億は、現在国鉄予算の中の機関車を修理する修理費とか、石炭を購入する購入費等を何とか今後節約して人件費流用することによつて、この国鉄の場合には、十五億だけは予算の範囲内で流用ができるので、この部分議決国会に求めているのではありません。すなわち、残余の三十億未満のものが、現在の国鉄公社予算上、資金支出不可解なものでありますので、十五億を除いた三十億面のみの議決を求めている、こういう説明をしておるのであります。しからば私は、この専売公社の問題におきましても、明らかに専売公社予算の範囲内で流用し得る、いわゆる額において流用し得るものが存している。その金の性質上、人件費流用はできない性質であるかないかは、政府当局、特に大蔵大臣の独善的解釈によつて、いかようにもこれは解釈できるということであります。そうだといたしますと、国会がみずから制定した公労法の精神を、一行政の長である大蔵大臣の独善的な判断によつて、この法律を蹂躪することも可能であるという結果になるのであります、私は、そうした国会の権威を冒涜するような、みずからが法律を蹂躪するような、今回の、あるいは国鉄裁定当時の政府の考え方、あるいはやり方には、世の識者はあげてこれに対して不満を抱き、しかも労働者諸君は、政府みずからが、法律を蹂躪するならば、われわれといえども、というような、相当強い意思表示が、しばしば最近なされつつあるという事実も認めなければなりません。  私は、こういう観点に立ちまして、特に今回提出されましたところの、この政府提出公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件というこの案件は、ただちに、ただいまの動議のごとく撤回さるべきものであるという意見をここに申し述べまして、贊成の討論を終るものであります。(拍手
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 石野久男君。     〔石野久男君登壇
  20. 石町久男

    ○石町久男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、ただいま上程されております動議に対して賛成の意見を申述べるものでございます。  裁定理由第三項に、公労法第十六條第二項に関係なく、その支給に必要な措置をとり得るに十分な経理能力を有する、ということが書かれておる。このことに対しましては、一月三十日の参議院の運営委員会において、秋山総裁が、専売益金の流用を認められるならば裁定に服し得るということを、言明しておる。また、先ほど共産党の林議員から言われておりまするように、その金額はわずかに一億二千八百万円であるということ、こうしたことを総合的に考えまして、今政府がこの案件国会に付議するという真意を私は疑うのでございます。さき国鉄労組の問題に関しましての裁定が、あのような姿で踏みにじられてしまつたことを顧みまして、今再びここに、専売公社に対する、この紛議に対する仲裁案が、民主自由党の多数の力によつて政府の横暴な、反動的政策が押し切られるとするならば、日本の全労働者の権利の主張はいずこにもなくなつてしまうということを、私は主張しなければならない。  政府は、予算上、資金支出不可能であるということを言つておりますけれども、このことに対しては、先ほど来、その趣旨弁明において、赤松議員が、またその他の贊成の討論をされた議員が主張されておりますように、専売労組自体予算の中におきまして、十分これに流用し得べき費目とまた額を持つているのでございます。にもかかわらず、政府はそれを支持し得ないものという断案をもつて大蔵大臣の独断的な基礎に基いて、この議案を国会に付議して来ているということ、このことに対しては、私は絶対に反対する。同時に、趣旨弁明をされましたこの動議に対して、徹底的に私は民主自由党諸君の反省を求めるものでございます。  諸君は、すでに林議員が言つておりまするように、本予算におきまして、十五億に達する外塩が、なおストツクとして来年度に持ち越されたという事実を知つているはずであります。この事実の中から、皆さんがもし財政的な通念を持つてこれを考えますならば、政府が三十億の赤字が出るというそのこと自体に対してわれわれ疑惑を持たざるを得ない。十五億の繰越し現品、ストツクがあるという事実をもつてしても、決して三十億の赤字が出るということは肯定できないのであります。私たちは、これは明らかに、民主自由党が、反動的政策をもつて、一方的に労働者を弾圧しようとする、悪辣な底意を持つたその構想がここに現われたものである、暴露されているものであるということを断言するものであります。  われわれは、予算上、資金支出が不可能であるという政府見解には絶対に反対である。仲裁裁定書がいうように、本件は、公労法十六條二項に関係なく、支給に必要な措置がとり得べきものであるということを、私たちは信ずるものであります。  さき国鉄裁定において、今また専売労組において、仲裁委員会裁定がこのようにして跡みにじられて行く、これと給與全般に呵する吉田内閣態度とを考え合せまするときに、実に狡猾きわまりない懐柔的宣伝にのみ終始していると断言してはばからないものであります。一月三十一日に、政府與党連絡会で、吉田総理は、行政整理によつて人件費に余裕を生み出し、これを増給に充てるということを言つたそうであります。首切りを強行しようとする政府の腹構えを露骨に現しているものであります。  二月三日の給與白書は、ベースの改訂を行わないということを再声明いたしました。一貫した資本家奉仕の政策、勤労大衆の苦痛を白眼視して、大衆を踏台として独占資本に奉仕しようとする政策を、着々民主自由党の絶対多数の上に確保して行かんとする底意が、ここに現われたといわなければならないのであります。人事院は、政府給與白書に対して反をして、勧告の妥当性を強調しておるとつうておる。しかしながら、追い詰められて行くところの労働者の生活の苦痛は、今や政府や人事院や、あるいは裁定委員会に対して心からなる信頼を持つことができなくなつて来ているのが労働者の実情であります。  労働者は、政府及び政府機関の労働政策が、欺瞞に満ちた、やおちよう的なやり方をしておるということを、今やはつきりと知つておるのであります。(折手)もし政府の所信が、専売労組に対しても、国鉄裁定の場合と同じように強行されるといたしますならば、生活の苦境に追い詰められたところの、また法に信頼して来た専売労組三万八千の組合員諸君の生産への協力態勢、生産への意欲というものは決定的に減退するであろうということを、私ははつきりと申し上げる。そうしてまた、一千二百億の専売益金を生み出しているところの、あの労働組合の真摯なる協力態勢というものが、政府の弾圧的な反動政策の中からは絶対に確保でないということを、私は申し上げるのであります。  さきに福永議員は、野党諸君が、七日に本案が国会に付議されてから、審議を遅延するがごとき妨害工作をしたと言つておるのでありますが、それはあまりにも独断的な、ひとりよがりであります。われわれからすれば、民主自由党こそ、いたずらにこの法案をもてあそぶことによつて、専売労組諸君に対する、わずかに一億二千万の給與の増額を認めない遷延策を弄しておるものであるということを、はつきりとここで申し上げ、遷延策こそは、むしろ民主自由党諸君の反動的な政策の現われであるということを、私は強調するものであります。専売労組の諸君は、われわれは法律を守つて来たと言つておる。そして、政府法律を破壊しておるものであると言つておるのであります。政府は、よろしくこの言葉の意味を玩味いたしまして、民主自由党諸君もまた、この意味するところをよく理解いたしまして、本議案の撤回をいたされまするように、切に私は賢明な民主自由党諸君にお願いする。同時に私は、赤松議員が提出しました本動議に対して満幅の賛意を表わすものであるということを申し上げまして、私の賛成の意見を終りたいと思うのでございます。(拍手
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。この採決は記名投票をもつて行います。三宅正一君外百二十六名提出動議に贊成の諸君は白票、反対の諸君は青表を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  22. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 二百八十一   可とする者(白票)     百三     〔拍手〕   否とする者(青票)   百七十八     〔拍手
  24. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 右の結果、三宅正一君外百二十六名提出公共企業体労働関係法第十六条第二項の既定に基き、国会議決を求めるの件(議決第二号)の撤回を求めるの動議は否決されました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  三宅正一君外百二十六名提出公共企業体労働関係法第十六條第二項の既定に基き、国会議決を求めるの件(議決第二号)の撤回を求めるの動議を可とする議員の氏名       青野 武一君    赤松  勇君       井上 良二君    猪俣 浩三君       石井 繁丸君    稻村 順三君       受田 新吉君    大矢 省三君       岡  良一君    勝間田清一君       上林與市郎君    川島 金次君       佐々木更三君    佐竹 新市君       坂元 泰良君    田中織之進君       田万 廣文君    土井 直作君       成田 知巳君    西村 榮一君       前田榮之助君    前田 種男君       松井 政吉君    松岡 駒吉君       松澤 兼人君    松本 七郎君       三宅 正一君    門司  亮君       森戸 辰男君    米窪 滿亮君       荒木萬壽夫君    有田 喜一君       川崎 秀二君    小林 運美君       小松 勇次君    河木 敏夫君       笹山茂太郎君    園田  直君       床次 徳二君    並木 芳雄君       橋本 金一君    長谷川四郎君       畠山 重勇君    福田 繁芳君       増田 連也君    宮腰 喜助君       森山 欽司君    柳原 三郎君       山本 利壽君    吉田  安君       井之口政雄君    伊藤 憲一君       池田 峯雄君    江埼 一治君       加藤  充君    風見八十二君       春日 正一君    上村  進君       川上 貫一君    苅田アサノ君       今野 武雄君    志賀 義雄君       砂間 一良君    田島 ひで君       田代 文久君    田中 堯平君       竹村奈良一君    立花 敏男君       谷口善太郎君    中西伊之助君       梨木作次郎君    野坂 彦三君       林  百郎君    深澤 義守君       山口 武秀君    横田甚太郎君       渡部 義通君    石田 一松君       今井  耕君    金子與重郎君       吉川 久衛君    小林 信一君       河野 金昇君    笹森 順造君       竹山祐太郎君    内藤 友明君       平川 篤雄君    船田 享二君       三木 武夫君    河口 陽一君       小平  忠君    高倉 定助君       中野 四郎君    羽田野次郎君       松木六太郎君    石野 久男君       岡田 春夫君    黒田 寿男君       玉井 祐吉君    松谷天光光君       小林  進君    佐竹 晴記君       早川  崇君  否とする議員の氏名       阿左美廣治君    足立 篤郎君       安部 俊吾君    青木  正君       淺香 忠雄君    淺利 三朗君       麻生太賀吉君    天野 公義君       井手 光治君    井上 知治君       飯塚 定輔君    生田 和平君       池田正之輔君    池田 勇人君       池見 茂隆君    石田 博英君       稻田 直道君    今泉 貞雄君       植原悦二郎君    内海 安吉君       江田斗米吉君    江花  靜君      小笠原八十美君    小川原政信君       小高 熹郎君   小野瀬忠兵衞君       小淵 光平君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    越智  茂君       大泉 寛三君    大西  弘君       大野 伴睦君    大橋 武夫君       大村 清一君    岡延右エ門君       岡崎 勝男君    岡田 五郎君       岡西 明貞君   岡村利右衞門君       藤加降太郎君    鹿野 彦吉君       鍛冶 良作君    角田 幸吉君       風間 啓吉君    片岡伊三郎君       甲木  保君    門脇勝太郎君       神田  博君    川野 芳滿君       川村善八郎君    菅家 喜六君       北川 定務君    北澤 直吉君       倉石 忠雄君    栗山長次郎君       黒澤富次郎君    小金 義照君       小平 久雄君    小峯 柳多君       小山 長規君    近藤 鶴代君       佐々木盛雄君    佐瀬 昌三君       佐藤 榮作君    坂田 道太君       坂元  實君    篠田 弘作君       首藤 新八君    庄司 一郎君       周東 英雄君    鈴木 明良君       鈴木 仙八君    鈴木 正文君       瀬戸山三男君    關内 正一君       關谷 勝利君    千賀 康治君       田口長治郎君    田嶋 好文君       田中 角榮君    田中 啓一君       田中 重彌君    田中  元君       田中 萬逸君    田渕 光一君       多武良哲三君    高木  章君       高木 松吉君    高塩 三郎君       高橋 權六君    高橋  等君       高間 松吉君    玉置 信一君       中馬 辰猪君    塚原 俊郎君       土倉 宗明君    辻  寛一君       坪内 八郎君    冨永格五郎君       奈良 治二君    内藤  隆君       中村  清君    中村 幸八君       中村 純一君    中山 マサ君       永井 英修君    二階堂 進君       丹羽 彪吉君    西村 直己君       西村 久之君    根本龍太郎君       野原 正勝君   橋本登美三郎君       橋本 龍伍君    畠山 鶴吉君       花村 四郎君    林  讓治君       原 健三郎君    原田 雪松君       平島 良一君    廣川 弘禪君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 健司君    藤枝 泉介君       渕  通義君    淵上房太郎君       船越  弘君    降旗 徳弥君       尾島 二郎君    細田 榮藏君       本間 俊一君    眞禍  勝君       前田 正男君    牧野 寛素君       益谷 秀次君    松井 豊吉君       松浦 東介君    松木  弘君       松永 佛骨君    松野 頼三君       松本 一郎君    松本 善壽君       丸山 直友君    三池  信君       三浦寅之助君    三宅 則義君       水谷  昇君    滿尾 君亮君       南  好雄君    宮幡  靖君       村上  勇君    守島 伍郎君       森 幸太郎君    森   曉君       八木 一郎君    山木 久雄君       吉田吉太郎君    若林 義孝君       渡邊 良夫君    亘  四郎君       逢澤  寛君    犬養  健君       奧村又十郎君    金光 義邦君       久野 忠治君    小坂善太郎君       島田 末信君    田中不破三君       田中  豊君    橘  直治君       寺本  齋君    東井三代次君       中村 又一君    長野 長廣君       保利  茂君    堀川 恭平君      ————◇—————  第三 臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出
  25. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第三、臨時通貨法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長川野芳滿君。     —————————————  臨時通貨法の一部を改正する法律案  臨時通貨法の一部を改正する法律  臨時通貨法昭和十三年法律第八十六号)の一部を次のように改正する。  第二條中「五円、一円、五十銭、十銭、五銭及一銭ノ六種」を「十円、五円、一円、五十銭、十銭、五銭及一銭ノ七種」に改める。  第三條中「五円ノ臨時補助貨幣ハ百円迄」を「十円ノ臨時補助貨幣ハ二百円迄、五円ノ臨時補助貨幣ハ百円迄」に改める。    附 則  この法律は、公布の日から施行する。臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書     〔最終号の附録に掲載〕     〔川野芳滿君登壇
  26. 川野芳滿

    ○川野芳滿君 ただいま議題となりました臨時通貨法法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  臨時通貨法は、政府が当分のうち発行することのできる臨時補助貨幣の種類を五円、一円、五十銭、十銭、五銭、一銭の六種と規定しておりますが、このうち現在製造しておりますのは、五円と一円の二種のみであります。しかるに、このような補助通貨の系列をもつてしましても実際取引きに応じ得ない現状であります上に最近千円札が発行されるようになりました関係もありまして、通貨体系といたしましては、十円については硬質を発行するのが適当と考えられるようになりましたので、臨時補助貨幣として新たに十円を発行することができるようにするため、この改正案が提出になりました次第であります。なおこの法案では、十円の臨時補助貨幣が法貨として通用する限度を二百円と規定しております。  以上が、この法案の提出になりました趣旨並びにその内容でありますが、この法案は、一月二十三日、本委員会に付託されまして、同二十八日政府委員より提案理由の説明を聴取し、二月二日、各委員より熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありました。質疑応答の詳細については速記録に譲ることといたしまして、今その一、二について概略御報告申し上げます。  補助貨幣発行の今後の方針に関する質疑に対しては、まぎらわしい貨幣のないよう十分注意する旨の答弁があり、通貨制度の根本的改革そする意図があるかとの質疑に対しては、現在の低落した貨幣価値をそのまま維持しながら、漸次大額の日銀券、大額の補助貨幣を発行して、円以下は切捨てるような方向に進んで行きたい、従つて、さしあたつて通貨の名目を変更するようなことは考えておらない旨の答弁でありました。  次いで、二月四日討論を省略し採決いたしましたるところ、起立総員をもつて、本案は原案通り可決いたしました。  以上簡單でございまするが、御報告申し上げます。(拍手
  27. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 他に御発言がなければ、ただちに採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。本案は委員長報告の通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。