運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1949-12-24 第7回国会 衆議院 本会議 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十二月二十四日(土曜日)
議事日程
第八号 午後一時
開議
第一
公共企業体労働関係法
第十六條第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件(
参議院回付
) 第二
考査特別委員会
における
調査
の
報告
第三
自由討議
(前会の続) —
——
——
——
——
——
——
●本日の
会議
に付した事件
日程
第一
公共企業体労働関係法
第十六條二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件(
参議院回付
)
両院協議会
を求めるの件(
議長発議
)
地方行政調査委員会
の
委員任命
につき、
同意
を求めるの件
地方自治委員任命
につき
同意
を求めるの件
日程
第二
考査委員会
における
調査
の
報告
午後七時二十九分
開義
幣原喜重郎
1
○
議長
(
幣原喜重郎
君) これより
会議
を開きます。
——
——
◇—
——
——
幣原喜重郎
2
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
日程
第一、
参議院
から回付された
公共企業体労働関係法
第十六條第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件を
議題
といたします。 —
——
——
——
——
——
——
幣原喜重郎
3
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
本件
につき発言の通告があります。これを許します。
倉石忠敏
君。
倉石忠敏
4
○
倉石忠敏
君
民主自由党
におきましては、
参議院
より回付せられましたる本条に対して
同意
せざることに
決定
いたしました。
幣原喜重郎
5
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
淺沼稻次郎
君。
淺沼稻次郎
6
○
淺沼稻次郎
君 ただいま
議題
となりました
公共企業体労働関係法
第十六條第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件、
参議院
よりの
回付案
に対し、
社会党
の
態度
を表明いたします。 わが党は、
本件
に関しては、
衆議院
の
意思決定
にあたりまして、
公企業体仲裁委員会
の
決定
に基き、その全額を支給すべしと
主張
したのであります。じかるに、
政府與党
は、
公共企業体仲裁委員会
の
裁定
中、十五億五百万円以内の
支出
を除き、
残余
は承認しないことに、多数をも
つて
決定
いたしました。
多数決
はデモクラシーの原則でありますから、これは尊重しなければなりません、しかし、相手方を納得せしめず、
倫理性
を内包しないものは、
ほんとう
の
意味
における
多数決
というわけには参らぬと思うのであります。(
拍手
)しかるに、この
衆議院
におけるところの
取扱い
が、
参議院
において「本院においては
公共金業体仲裁委員会
の
裁定
第二項に関しては十五億五百万円以内の
支出
を除き、
残余
は
昭和
二十五年一月一日以降
日本国有鉄道
の
予算
上、
資金
上及び
独立採算
上
支出
可能と
なつ
たとき速やかにこれを支給すべきもの」と
議決
せしめたとい
つて
も過言ではありません。 わが党は、
参議院
の
議決
はわが党の
主張
に一歩近づいたものであり、さらには
政府
は、
国会
の
意思
が
決定
せざるゆえをも
つて
裁定
に基く債務を負うまいとする隠謀があります。この隠謀を粉砕する
意味
合いからいたしましても、
参議院
の
議決
に同調すべしと
主張
するものであります。(
拍手
) 以上、わが党の
意思
を表明するものであります。(
拍手
)
幣原喜重郎
7
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
園田直
君。
園田直
8
○
園田直
君
民主野党派
は、ただいま上程されましたる
公共企業体労働関係法
第十六條第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件については、
社会党
と同じく、当初より
予算措置
を講じて
国会
に提出すべしと要求したにもかかわらず、
政府
は当初より
法律的解釈
を誤り、多数の力をも
つて
‥‥(発言する者多く、聴取不能)その後、この
法律案
の
取扱い
については、
政府
の
意思
を‥‥
二つ三つ
‥‥(発言する者多く、聴取不能)
態度
は、
三つ四つ
と
過失
に
過失
を重ね、遂に
参議院
においては
回付案
の送付に至らしめ、この
回付案
の
取扱い
についても、
運営委員会
その他において、理論的に各党より論駁し、
與党
においては一言の反駁もなか
つた
にもかかわらず、最後に至りて、当初の
過失
を反省し改むるの体もなく、
国会
において多数の
横暴
をも
つて
これを押えんとするこの
民主自由党
の迫害と
政府
の
法律
の
取扱い
については、断じて反対するものであります。
参議院
において修正されたこの案は、わが党の当初より
主張
したる
意見
に近いものでありますので、
本案
に
同意
をいたします。(
拍手
)
幣原喜重郎
9
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
神山茂夫
君。
神山茂夫
10
○
神山茂夫
君 ただいまの件につきまして、共産党は
社会党
及び
民主野党派
と同調するものであります。(
拍手
)その
理由
については、いまさらくどくどしく申し述べる必要もありません。 そもそも当初から、
政府側
は、
自分
でつく
つた法律
である
公共企業体労働関係法
を無視してその
裁定
の
内容
を一部実施するという形において
国鉄
五十万の
労働者
をだまそうとする意図を持
つて
いたのであります。(
拍手
)
従つて
、われわれが当初から要求しましたところの、本院で取扱うべきものは
予算的措置
を伴う、この点占だけでありますということを強調したにもかかわらず、
裁定書
全体を出して来たり、あるいはこれを後にな
つて
訂正したり、さらには、初めは何らの
予算的措置
を伴わず、全面的に不承認を言いながら、後には、十五億五百万円という、
はした金
、すずめの涙ほどの金を出しておる。この点だけを承認して‥‥(発言する者多く、聴取不能)ま
つた
く恥知らずのことをや
つて
来たのであります。(
拍手
) われわれとしては、
手続
上、今
園田議員
から言われましたように、そもそもの初め
議案
を出して来たときに、
不法
である、一方
的行為
をや
つて
おる、これを
内容そのもの
において修正しておきながら訂正するというような、無理、無謀、むちやなことをや
つて
おる、これを
民主自由党
の
諸君
は絶対多数の威力をか
つて
や
つて
おる、ま
つた
くむちやくちの、
多数決
の名によ
つて
やる
横暴政治
といわざるを得ない。(
拍手
)
従つて
、これを
参議院
に送付して、
参議院
が、これに対して、ま
つた
く内合を異にする
意思決定
をしますや、あわてふためいて、今朝以来ただいままで
開議
するに至らない醜態を演じたのであります。しかも、この
責任
は、ことごとく
政府
と異常にあるということを、われわれは強調せざるを得ない。 われわれとしては、初めから
主張
しておりまするように、
仲裁委員会
の
裁定そのもの
でも、
国鉄労働者諸君
の今日の
生活
の窮状を救うには十分ではない。しかし十分ではないが、せめてこの
裁定
だけは、
ほんとう
の
意味
で尊重したい。
民主自由党
の
諸君
は
決議
をして曰く、
裁定
の
趣旨
を尊重する、
諸君
はそう
言つた
じやないか。しかるに、その
決議
を尊重したのが、た
つた
三千一円だ
つた
。こういうことに対して、
民主自由党
まで含めて、
参議院
におきましては、
全会一致
の
裁定
の
精神
を尊重し、一月一日以降においてはこの金額を支給するように、というような
意思
の
決定
をしたことは、われわれとしては、まだ不満ではあるにしましても、
労働者諸君
の当面の
生活
を何とか少しでも助けるということで、われわれは心から
賛成
せざるを得ない。(
拍手
) しかるにもかかわらず、この問題をめぐ
つて
、
民主自由党
の
諸君
がとられたこの
態度
は、第一に、
労働者諸君
の
生活
の窮乏を無視して、しかも、完全に三千一円という
はした金
でごまかそうとしている。さらに、かてて加えて、この件において
国会法
、無視しているのは、ま
つた
く
民主自由党
である。しかも、
政治
の次から次へとたび重なる
不法行為
を、気の毒なことに、
與党
の
諸君
は、これを、
うしろ
からしり押しておる。 しかしながら、
民主自由党
の
諸君
のま
つた
くお気の毒な
状態
は
状態
としてわれわれとしては、この
参議院
の
決定
を尊重して、そうして
全会一致——民生自由党
の
諸君
も、これを尊重するという
決議
をや
つて
いるのでありますから、必ずやこれに
賛成
されるということを期待して、われわれの
意思表明
を終わるものであります。(
拍手
)
幣原喜重郎
11
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
寺本齋君
。
寺本齋
12
○
寺本齋君
わが党におきましては、先般
本案
が本議場において審議の際に討論いたしましたような
理由
によりまして、本日の本
回付案
には不
同意
を表明するものであります。(
拍手
)
幣原喜重郎
13
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
石田一松
君。
石田一松
14
○
石田一松
君 新
政治協議会
は、ただいま
議題
とな
つて
おりますところの、
参議院
の
回付案
と称しておる、
回付案
ならざる、多数によ
つて回付案
と強引にされた、いわゆる
公共企業体労働関係法
第十六條第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件という
参議院
の
回付案
に対して
同意
する
意思
申し上げるものであります。(
拍手
) すなわち、その
理由
といたしましては、他の
議員諸君
より、るる説明がありました
通り
、われわれも当初より、
本案
には、
政府
は
予算的措置
を講じて
国会
に承認を求む
ベきもの
であると
主張
したのであります。にもかかわらず、
政府
は、あくまでも強引に、自己の有利にのみあらゆる
法律
を
解釈
し、しかもこの段階において
国会法
第八十三條の
解釈
に
至つて
は、
支離減裂
であるということであります。 しかも、聞くところによると、ただいま
参議院
の
運営委員会
において、
増田官房長官
は、遂にかぶとを脱いで、
自分
の今までの
法律解釈
が
間違
つて
いた、
政活的責任
を感ずると
言つて
、頭を下げたということであります。(
拍手
)この事実を見ましても、いかに
政府
が今回の
国鉄
の
裁定
に関して強引に一方的な
措置
をとろうとしたかということが明らかであると思うのであります。(
拍手
) かかる観点に立ちまして、私
たち
は、
参議院
から回付されましたいわゆる
回付案
に対して全面的に
同意
を表するものであります。(
拍手
)
幣原喜重郎
15
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
中野四郎
君
中野四郎
16
○
中野四郎
君 率直に
意見
を述べますと、
農民協同党
は、
参議院回付案
を支持し、これを承認いたします。
幣原喜重郎
17
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
石野久男
君。
石野久男
18
○
石野久男
君 わが党は、さきに
本件
が本院に上程されたときと反対したその
趣旨
に基きまして、
政府
がこの案件を付議しました
行為
がすでに法的に誤
つて
おるということを指摘してお
つたの
であります。このことは、すでに
参考人
としての未
弘博士
の言をも
つて
しても、明らかに
政府
がその
措置
を誤
つて
おるということを明言しておるのであります。えの後
参議院
におきまして本伴に対するところの本院の
決議
の
趣旨
とは反対な
内容
をも
つて
議決
されておるのであります。われわれは、この
参議院
の
回付案
としてまわされたということについての上程の
手続
に対して、
民主自由党
のと
つて
おるところの多数
横暴
に対しては、絶対これに反対するものであります。同時に、私
たち
は、
労働者
のもつ法的な
主張
は
——
あくまでも
国民
の一人として、また
労働運動
将来の姿を拡張する
意味
において、徹底的に
政府
の野望をくじかなければならぬ、こいうふうに考えております。
参議院
から回付された案の
内容
に対しましては、党は全面的に
賛成
するものでのります。
幣原喜重郎
19
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
佐竹晴記
君。
佐竹晴記
20
○
佐竹晴記
君 私は、
社会革新党
を代表いたしまして、ただいま
議題
にな
つて
おる
参議院
の
回付案
については、
議案
の
取扱い
について
意見
を有するものでありますが、これを省略し、結論において
参議院
の
議決
に賛意を表するものであります。
幣原喜重郎
21
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 採決いたします。
本件
の
参議院
の
議決
に
同意
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
幣原喜重郎
22
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
起立少数
よ
つて参議院
の
議決
に
同意
せざることに決しました。
——
——
◇—
——
——
幣原喜重郎
23
○
議長
(
幣原喜重郎
君) ついては、
両院協議会
を求めるやいなやをお諮りいたします。
両院協議会
を求めるに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
幣原喜重郎
24
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
起立少数
によ
つて両院協議会
を求めざることに決しました。
——
——
◇—
——
——
幣原喜重郎
25
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
内閣
から、
地方行政調査委員会議
の
委員
に
高橋誠一郎
君、
渡邉銕藏君
、
杉村章三郎
君、
神戸正雄
君、
鵜澤總明君
を
任命
するため本院の
同意
を得たいとの申出がありました。右申出の
通り同意
を
與たる
に
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
幣原喜重郎
26
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
起立
多数。よ
つて同意
を與えるに決しました。
——
——
◇—
——
——
幣原喜重郎
27
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
内閣
から、
地方自治委員会議
の
委員
に
齋藤邦雄
君及び
遠山信一郎
君を
任命
するため本院の
同意
を得たいとの申出がありました。
本件
につき採決いたします。まず、
齋藤邦雄
君の
任命
につき
同意
を與えるに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
幣原喜重郎
28
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
起立
多数。よ
つて同意
を與えるに決しました。 次に、
遠山信一郎
君の
任命
につき
同意
を與えるに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
幣原喜重郎
29
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
起立
多数。よ
つて同意
を與えるに決しました。
——
——
◇—
——
——
幣原喜重郎
30
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
日程
第二、
考査特別委員会
における
調査
の
報告
を求めます。
考査特別委員長鍛冶良作
君。 〔
鍛冶良作
君登壇〕
鍛冶良作
31
○
鍛冶良作
君
永井隆
君表彰の件につきましては、本年四月二十一日に、当時の
委員小川半次
君から、本
委員会
に対しまして、
長崎医科大学教授永井隆
君の
放射線医学研究者
としての真摯な
態度
、その
犠牲者
及び
科学者
としての崇高なる
人格
は当然表彰すべきものである、なお
同君
の「こり子を残して」その他の著述は
社会教育
上大きな
貢献
をなしたと思うので、以上の点を
調査
の上表彰されたいという
意味
の要求が提出されたのでありますが、この提案では、
永井隆
君の
業績
は、学問的の
功績
よりも、
放射線医学研究者
としての真摯な
態度
、崇高な
人格
、
著書
の
社会教育
上の
貢献等
が問題とされているのであります。 それで、
本件
は、四月二十七日の
理事会
の
協議
によりまして、
調査部
に
基礎調査
をさせまして、その
調査
も一段落いたしましたので、九月十二日の
委員会
において
討論採決
の結果、
調査
することに
決定
いたしました。よ
つて
、十二月一日の
委員会
において、
厚生省兒童局長小島徳雄樋
君、
東京大学文字部講師中島健蔵
君、元
九州大学医学部助教授石川敏雄
君の三名を
参考人
として
意見
を聽取し、また
調査部
の
調査員
を現地の
長崎
市に派遣して
資料
を整え、ついで十二月十五日の
委員会
において、
カトリツク教神父田川房太郎
君を
参考人
として
意見
を聽取し、さらに各種の
参考資料
によりまして
本件
の
調査
を終了いたしましたから、ここに、その結果を御
報告
申し上げるものであります。
永井隆
君は、島根県出身で、明治四十一年二月三日生れ、当年四十二歳であります。
松江高等学校
を経て、
昭和
七年
韮崎N科
大ネを
卒業すし
と、ただちに同
大学
の
物理的療法科
に入り、ここに生涯の
専攻科目
とした
放射線医学
の
研究生活
が始ま
つたの
でありまするが、
昭和
十三年に
講師
となり、同十五年に
助教授
となり、同十九年に
医学博士
の
学位
を授與せられ、同二十一年
長崎医科大学教授
となり、同二十三年八月、
病気
のため休職とな
つて
おらります。その間、
昭和
八年より同九年にかけて、
満州事変
に
陸軍医官
として従軍し、同十二年より同十五年にかけて、同じく
日華事変
に従軍いたしております。 なお同
博士
の
著書
は、
昭和
二十二年十二月「世界と肉体と
スミス神父
」なる
翻訳書
を発行したのを初めとし、同二十三年六月より同二十四年九月までの間に、「
長崎
の鐘」、「この子を残して」「
ロザリオ
の鎖」等九部の
著書
を発刊し、その総
部数
数十万に達し、いずれもわが国のベスト・セラーとな
つて
おりますが、中にも「この子を残して」の
発行部数
は三十万に及び、
兒童
の
福祉
に関し優秀にして顕著なる
貢献
ありたるものとして、
厚生大臣
より表彰せられております。
永井
君は、
医学者
として、着実で非常にまじめな人物でありまして、
放射線医学
は、
臨床医学
に属しながら、
物理学
ないし工学とも
関係
のある、じみちな
学門
であり、その
適任者
であ
つた
とのことであります。
永井
君はみずから、
研究生活
を、真に
意義
があ
つて
楽しか
つた
と
言つて
おりまするが、これは
科学
の殉教者とたたえられる
ホルツク・ネヒト教授
や
先輩たち
、多くの
犠牲者
に喜んで続こうとする崇高なる
人格
の
科学者
であることは、その
おい立ち
や、その
人となり等
からも考えてみて首肯できることであります。
永井
君が
昭和
八年から同十六年までの間に発表した
論文
はたくさんありますが、主たるものに「
レントゲン廻折現象
の利用による
尿石
の
微細構造
の
研究
」があります。この
論文
は、
医学博士
の
学位請求論文
とな
つたの
でありまするが、
大学教授
として、はずかしからぬ、
りつぱな業績
を残したものといわれております。さらに
永井
君は大いに
研究
しようとする意気込みでいたのでありまするが、
戰争
と
病気
のため挫折いたしました。しかし、
研究精神
は常に旺盛であ
つたの
でんります。しかして、
大学
の
仕事
を誠実に果したばかりでなく、
カトリツク信者
となりまして、愛の
事業
をする
セント・ヴインセンシオ・ア・パウロ会
というのに加わり、農村・漁村を巡回して、貧しい病者に施僚をしたり、
カトリツク教会
の
慈善事業
に携わ
つて
いいました。
永井
君は、
医学
の
研究
においては、
医学
は体験を
基礎
とする
科学
であるということ、
生活
においては必要にして十分なということを信条としていたのでありますが、
カトリツク
の
信仰
が深まるにつれて、快活で、ひた向きな
人格
が鍛えられたようであります。
永井
君は、
昭和
十五年、再度の
従軍解除
となりました。戰時下、
助教授
としての
仕事
は多忙をきわめ、
レントゲン室
で長時間を過すこともめにあまるほどでありましたが、
民間防空
の
救護
の指導にも当り、
負傷者
を救うために大いにがんばりました。
永井
君も、何も知らないで
戰争
の渦中に巻き込まれた日本人の一人であります。
戰争
が始ま
つて
いるからには負けたくはないとい
つて
がんばり、仲間を励まして
救護
に当
つて
いました。しかし、たくさんの
死傷者
の手当をしているうちに、だんだんと心がかわ
つて
来たのであります。ここに、
永井
君が最初からの
徹底平和主義者
でなか
つた
と、とがめる人もありまするが、その前に、その素朴さを理解し、そして素朴さの変化したときの強さを知らなければならぬと思うのであります。
長崎
市の
上空
で炸裂した
原子爆彈
は、
永井
君の心をすつかりかえて
しまつたの
であります。
戰争
はいやだ、どんなにしてでも平和を保ち守らねば、と固く思うようになり、この心がいよいよ深ま
つて
行つた
ことは、折々に出ましたその
著書
と、その言動によ
つて
確信できるのであります。
永井
君は、
放射線医学
の
研究
を始めてから満十三年、戰時中の
むりな勤務
もたた
つたの
でありまして、
昭和
十九年ごろから健康をそこね、同二十年六月からは急に悪くなりました。病名は
慢性骨髄性白血病
で、これまで
放射線職業病
のうちの
一つ
に数えあげられている
病気
であります。
長崎医大影浦教授
の
予後判定
では、余命三年ということでございました。しかし
永井
君は、心身を打ち込んで
職務
を果す性格でありましたから、新たに元気を振い起して働いたのであります。 かかる際、
永井
君は、
大学病院
二階の自室で
原子爆彈
を受け、右半中身に、
窓ガラス
の破片で
切創
を受けました。その
一つ
は、
こめかみ動脈
を切
つて
いたので、多量の出血があ
つたの
であります。このことも
永井
君の病体に大きな影響を與えたものと思われますが、
永井
君は、ふき出す血を抑えながら
医療救護
を指揮し、倒れてもまた立ち上り、
救護
を続けました。さらに、
真理探求
の
科学精神
から、勃然として新たな情熱を燃やし、
原子爆彈病
という
医学史上
新しい
資料研究
の
科学者
として働き続けたのであります。 しかし、九月の中旬、遂に危篤に陷りました。
田川参考人
は、
神父
として、
永井
君の
こめかみ
の傷口がいまだにいえずして、出血するのをふきつつ
終油
の式を
行つた
と
言つて
おります。これは、
カトリツク教
では臨終の際に行うものであります。このとき
永井
君は、聖書の
キリスト受難
のところの朗誦を求めたということでありまして、当時の
永井
君の覚悟のほども、うかがわれるのであります。 しかるに
永井
君は、ふしぎにも元気をとりもどし、十一月ごろから起きて働き出しました。けれども、
昭和
二十一年七月からは、高熱が続き
病床
につきまして、九月上よりは先不能とな
つたの
であります。
白血病
の病勢は、
治療
によ
つて
とどまることはあるが、早晩
治療
の効果が減弱して次第に悪くなり、死に至るものであるということであります。しかるに、三年を経過した今日、なお強い
精神力
を持ち、数々の著作を出しているのは、奇跡的だと言わなければなりません。
永井
君の自叙伝と見るべき「亡びぬものを」によれば、
信仰
によ
つて
結ばれた
森山綾
さんと結婚いたしましたが、夫人は、
原子爆彈
により、二兄を残して燒骨と化しました。この亡妻ヘの感情は、「
ロザリオ
の鎖」によ
つて書き
著わされ、残された二兄への
愛情
と希望は、「この子を残して」及び「いとし子よ」に、切実に叙されております。この三著者は、
永井
君の謙虚で実直な真情があふれているのであります。 「
長崎
の鐘」は、
長崎
の
上空
で炸裂した
原子爆彈
の惨禍を身をも
つて
体験した実相を広く伝えて、
戰争
を唾棄し、平和を希求する
意思
を浸透させようとしたものであり、また
原子力時代
は
原子病時代
でもあるので、
原子病学
に新たな
意義
を認め、「生命の河」を著しました。
永井
君は、世界平和と
人類
の幸福を目ざす
再建日本
のためにわが身を役立てようとして、数々の
著書
を世上に贈
つて
おるのでありまして、その美しい心境は、
同君自筆
の手記によ
つて
、うかがわれるのであります。かくて
永井
君は、
信仰
と
生活
とが一致し、
人類愛
のために、
瀕死
の
病床
にありながら、なおも苦難の業を行ずる高潔な
人格者
であると認められるのであります。 ここにおいて、
昭和
二十四年五月二十五日には、「この子を残して」の
著書
は、
父性愛
に燃えるものであ
つて
、子供に対する真の
愛情
は深く人の心をとらえ、
兒童
の
福祉増進
に寄與するところ多大であるとして、
厚生大臣
から表彰され、さらに
昭和
二十四年八月九日には、
長崎国際文化都市建設法施行記念
に、
長崎国際文化都市
の
建設
に寄與するところ大なりとして
長崎市長
から表彰され、次いで本年十二月三日には、
長崎市議会
は、
永井
君が
同市
のため渾身の努力を続けてている
功績
をたたえて、
名誉市民
の
称号
を贈ることを満場一致で
議決
いたしました。
永井
君は、その
著書
「花咲く丘」の
版権
を
長崎
に讓渡しており、なおその他の
版権
も寄付することに話が進められておるということでありますが、
同市
は、これおも
つて
、今組織中の
長崎国際文化協会
の
助成資金
に充てるということであります。 これを要するに、
永井
君は、
放射線医学研究
の
科学者
として、まれに見る真摯な
態度
をも
つて
研究
に献身し、遂に
職務
上、
原子病
としての
慢性骨髄性白血病
にかかりましたが、
研究精神
が旺盛であ
つて
、
瀕死
の
病床
にありながら、なおその念願を絶たないばかりでなく、
昭和
二十年八月九日、
長崎
市
上空
に炸裂した
原子爆彈
のため、重病の身に重症を負うても、なおその
職務
を果そうとして、
科学研究
に一身をささげたものであります。その上、
原子爆彈
によ
つて
、妻を失い、二兄を残しながら、世界平和と
人類
の幸福のため、死線を超えて、
社会教育
上有益な多くの
著書
を出しまして、
国民
を啓発し、
一般大衆
の向上に寄與し
文化面
において
日本再建
に
貢献
するとこる大なるものがあると信じますれば、この際適当な
方法
をも
つて
これを表彰すべきてあると認めるものであります。(
拍手
)しかし
永井
君は、すでに
厚生大臣
、
長崎市長
及び
長崎市議会
からそれぞれ表彰され、ことに
長崎市議会
からは、
名誉市民
の
称号
を贈られているのでありますから、この点を考慮し、
同君
の
精神
を永久に残す、最も適当なる
方法
をも
つて
表彰されんことを
政府
に要求するものであります。 以上をも
つて
報告
といたします。(
拍手
)
山本猛夫
32
○
山本猛夫
君
自由討論
は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
幣原喜重郎
33
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
山本
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
幣原喜重郎
34
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて動議
のごとく決しました。
次会
の
議事日程
は公報をも
つて
通知いたします。本日これにて散会いたします。 午後八時一分散会