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1950-04-26 第7回国会 衆議院 法務委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十六日(水曜日)     午後三時三十五分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君 理事 山口 好一君       佐藤 昌三君    古島 義英君       眞鍋  勝君    武藤 嘉一君       大西 正男君    大森 玉木君       勝間田清一君    加藤  充君       田中 堯平君  出席政府委員         検     事         (法制意見第一         局長)     岡咲 恕一君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 四月二十四日  委員梨木作次郎辞任につき、その補欠として  田中堯平君議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員田中堯平君辞任につき、その補欠として田  代文久君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員高橋英吉君及び田代文久辞任につき、そ  の補欠として塚田十一郎君及び田中堯平君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十六日  委員田廣文君及び北村徳太郎辞任につき、  その補欠として勝間田清一君及び大森玉木君が  議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十六日  罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條のこの  災害及び同條の規定適用する地区を定める法  律案畠山鶴吉君外十三名提出衆法第二二  号) の審査を本委員に付託された。 同月二十四日  矯正保護作業運営及び利用に関する法律案撤  回の陳情書外一件  (第八三八号)  更生緊急保護法案及び保護司法案に関する陳情  書  (第八六二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  罹災都市借家臨時処理法第二十五條の二の災害  及び同條の規定適用する地区を定める法律案  (畠山鶴吉君外十三名提出衆法第二二号)  商法の一部を改正する法律案内閣提出第六四  号)     ―――――――――――――
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日はまず畠山鶴吉君外十三名提出にかかる罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定適用する地区を定める法律案議題といたし、提案者より提案理由説明を願います。畠山鶴吉君。
  3. 畠山鶴吉

    畠山鶴吉君 ただいま議題となりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定適用する地区を定める法律案提案者を代表いたしまして、提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように昭和二十五年四月三日、熱海市においては同駅前商店街よりの発火により、燒失戸数八十戸、罹災世帶数八十七に及び、約四百人の罹災者を出したのでありますが、さらに同年四月十三日には、旧熱海町すなわち温泉地帶海岸寄り一工場から発火し、折柄の強風にあおられて、熱海銀座は全燒し、温泉地帶の六割を燒失する等、その燒失戸数は実に千五百五十八戸、罹災世帶数約千八百、罹災者六千五十六人に及び、損害額は数十億に上つているのであります。その物質的、精神的被害は実に甚大なものがあるのであります。今や市民はその灰燼の中から雄々しく立ち上ろうとしておるのであります。  ところで災害に対する国の措置といたしまして、災害救助免税等の手段もありますが、特に住宅を失つた罹災者に対し、すみやかに罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の規定を発動して、これらの罹災者を保護する必要があるものと信じます。これ本案提出するに至つた理由であります。何とぞすみやかに満場の各位の御賛同を得ますよう、市民を代表いたしまして切にお願いをいたす次第であります。
  4. 花村四郎

    花村委員長 これにて提案者よりの提案理由説明は終了いたしました。御質疑はありませんか。——質疑がなければこれより討論に入ります。討論はこれを省略し、ただちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 花村四郎

    花村委員長 御異議がなければ、これより採決に入ります。本案賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立
  6. 花村四郎

    花村委員長 起立総員。よつて本案原案通り全会一致をもつて可決いたしました。  この際お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 花村四郎

    花村委員長 御異議がなければ、さようにとりはからいます。     —————————————
  8. 花村四郎

    花村委員長 次に商法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。武藤嘉一君。
  9. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 この新しい商法改正法案について意見を申し述べたいと思います。この内容が大きな株式会社と小さい株式会社両方に向くような考案になつておるのではないか。いろいろの規定が非常に大きな会社目標にしてできておるようであるかと思いますと、小さい会社もその中に入つておる。ことに統計を見ますと、日本株式会社資本金の十万円であるとか、五万円であるとか、小さな会社の方がほとんど過半を占めておりまして、資本金一千万円以上の大会社というものは、きわめて低いパーセンテージであるようであります。しかるにこの改正法案を見ますると、どうも大会社目標にしておられるようでありますが、一体どちらに原案の意図があられるか。この辺をひとつお伺いしたいと思うのであります。
  10. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 お手元にお届けいたしました会社の資料は、昭和二十一年当時の調査の結果つくりましたものでございまして、あるいは現在の会社実情とは多小離れたものがあるかと思いますが、確かに武藤委員仰せのように、二十万円以下の小会社が相当多数存在することは、否定できないであろうかと思います。もつともこれは表の上の統計でございまして、それらが全部会社としての活動を現にいたしておるかどうかという点になりますと、多少問題があろうかと思います。最近続々と優良会社は増資いたしております関係上、現在の統計をとりますれば、少くとも日本企業上注目すべき会社はほとんど大資本会社であるという結論になるのではないかと考えております。本法律案はきわめて巨大な会社目的としてつくられておるのか、それともごく小さい家族的な、同族的な会社というものも目標としておるのか、どちらであるかというお尋ねでありますが、株式会社といたしまして、小会社大会社通げまして適用を見るもの、言いかえれば最大公約数に当るようなものを選び出しまして、この法律案を立案いたしたと申し上げてよろしいのではないかと思います。一見、たとえば株式譲渡制限を認めぬとか、あるいは会計に関する付属明細書備えつけを命じて、各株主にこれを公開したというような点は、いかにも大会社のみに適用される規定ではないかというふうにお考えになるかと思いますが、譲渡制限を認めぬ、あるいは付属明細書の公表ということは、必ずしも大会社のみには限りませんで、社団法人株式会社、ことに出資者であるところの株主が、会社に対して持つ権利というようなものを考えますると、これは小会社についても與えるのが当然と考える次第でございまして、必ずしも本法律案改正内容は、大会社にのみ適用される性質のものであるというふうなことは言えないのではないか、かように考えております。
  11. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 ただいまの御説明によりますと、小会社大会社を網羅してという御説明でありますが、この譲渡禁止制限を認めないごときは、事実日本の現在の会社の多数が、同族会社的性質株式会社でありまする現在においては、私はこの原案譲渡禁止を認めないということは、何らかの制限を置いて、少くとも五百万円とか、あるいは三百万円とか相当大会社においては、譲渡禁止を認めないことは株券の性質けつこうでありましようが、小さな会社、百万円であるとか二百万円であるとかいうような会社につきましては、これは何とか譲渡禁止を認めないことを緩和する方針に持つてつていただきたいものと思うのでありますが、この辺の御意見はいかがでございましようか。
  12. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 御意見として拝聽いたす次第でございますが、お話のような家族的な、同族的な、あるいは同志的な結合体である株式会社におきましては、当時者間、あるいは会社間の契約によりまして譲渡禁止をするということによつて、ある程度まで目的を達成し得るものと考えますので、法案といたしましては、株式会社に対して一様にかような規定を設けるのが適当であろうと考える次第でございます。
  13. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 次にお尋ねしたいのは、條文の順序に従つて申し上げて参りますと、第二百六條の二にございますが「会社ハ定款以テ名義書換代理人置ク旨ヲ定ムルコトヲ得此ノ場合二於テ名義書換代理人ガ」云々というのがありますが、この名義書換代理人というようなことに対する規定は、この商法ではまだ明白にされていないように思いますが、今後これは何か同時に明白にされるお考えでありますか、お尋ねしたいと思います
  14. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 商法規定といたしましては、二百六條の第二項に一応名義書換代理人職能と申しますか、働きを掲げておりまして、これ以上名義書換代理人の作用なり、あるいは名義書換代理人たる者資格、あるいはそれに対する監督というような規定は何ら設けておらない次第でございます。名義書換代理人アメリカ法制にならいまして取入れたものでございまして、アメリカにおきましても、明文をもつてこまかい規定は設けませんで、むしろ証券取引所の慣行といつたものに基いて自然に発生いたしたもののように承知いたしたのでございますが、名義書換代理人監督あるいは資格というような点は、現状から考えますと、ある程度国家的監督なり資格を限定をいたすことが適当でないかと考えております。この点につきましては、すでに大蔵省から株式名義書換に関する法律案というものを提案いたしまして、衆議院におかれましてはすでに愼重御審議の上ここれを可決されておる次第でございまして、この株式名義書換法律案の中におきまして、名義書換代理人職能あるいは資格、あるいはその監督に関する規定を相当詳細に規定されておりますので、この規定と相まちまして、二百六條二項に規定いたしました名義書換代理人を十分運用し得るのではないか、かように考えておる次第であります。
  15. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 次にお伺いいたしたいのは、二百五十四條の規定の第二項でございますが「会社ハ定款以テスルモ取締役株主タルコトヲスベキ旨ヲ定ムルコトヲ得ズ」これは従来の古い商法の時代には、取締役株主でなければならなかつたが、それが昭和十三年でありますか、取締役株主以外の者も取締役になれるということに改正されておるのでありますが、逆に今度の改正案原案のように、「定款以テスルモ取締役株主タルコトヲスベキ旨ヲ定ムルコトヲ得ズ」というように強くこれを規定することが、何か逆作用を起すようなことはないのでありましようか。この辺は御考慮になつておりますでしようか。
  16. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 昭和十三年の改正によりまして、武藤委員仰せのように、取締役たる資格として、法律株主であることを要件といたさなくなつたわけでございますが、定款をもつてその資格取締役に限定するということは、法律が容認いたしたところでございます。ところが実際の定款を検討いたしてみますと、取締役資格株を定めまする際に、その資格株の数を相当高くしておる会社もございまして、株主でありながら取締役たることを得ない株主が出て来るという弊害もあります。資格株を定めるならば、一株の株主をもつて足りるという規定を置くならば、それでもよろしいかと思いますが、むしろ株主たることとを必ずしもその取締役たることの要件といたしませんで、適者経営原則に徹底いたした万が、現在の企業経営実情から見ますと適当でないか。現に会社におきましても、定款取締役資格株を定めております関係上、従業員あるいは使用人の中に適当なる人がおります場合に、名儀上資格株を與えまして、取締役たらしめておるという実例も乏しくないように承知いたしておりますので、この際はむしろこの実情を認めて、取締役たるには株主たることを必要としないということにいたした方が適当であろうと考えまして、この第二項を設けた次第でございます。
  17. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 その次にお尋ねしたいのは、第二百六十條の二の取締役会決議方法でありますが「取締役会決議ハ取締役過半数出席シ其取締役過半数以テ之ヲ為ス」というこの條項であります。事実今のところは、ある会社においては、重役というものは日勤しておる、あるいは大都会においては大体同じところに住んでおるであろうと思いますが、全国についてみますと、取締役が方々に散在しておりまして、実際に取締役会を開きましても、出席が不可能な場合が多いのではなかろうかと思います。そこでこれは規定にはありませんが、事実慣習といたしまして、決議をしたものをあとで持ちまわつて署名捺印をして、取締役会が成立したことにしておるのが実情でありますが、この規定を強行いたします場合においては、この規定の一種の違反になるのであります。従つてもしこれで取締役会が合法的に成立しないというようなことになると、実際において会社運営が非常に困難なものになつて来るのではなかろうか。事実慣習従つてつて行きますれば、この原案けつこうでありますが、文字通リ出席という言葉を強く解釈いたしましたときには、事実上これは行われないことが多いのでありますが、政府委員におかれましてはどのような御意見でありましようか、お伺いいたしたいのであります。
  18. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 改正案におきましては、取締役会の権限が非常に重大になりましたので、その会議の構成が十分の定足数を満たしませんで行うということになりますと、せつかく取締役会というものを設けた本旨にもとるのではないかと考えまして、かような比較的重い決議に関する要件を定めたわけでございます。武藤委員仰せのように、大会社におきましては取締役が各地に散在いたしまして、取締役会を招集することが事実上困難であるということは、私ども十分承知いたしておるのでございますが、いやしくも制度として取締役会というものを法定いたした以上は、この程度定足数決議事項を定めることは必要なことであると考えたのでございます。もつとも代表取締役を定めまして、取締役会決議によりまして、ある程度会社業務執行代表取締役に委任するということは、もとより妨げはございませんし、この法律中、特に取締役会決議によることを要すると定めております、たとえて申しますと、新株の発行あるいは社債の募集、そのほか特に法律取締役会決議によることを要すると規定しております事項は、取締役会が他の取締役に委任することは許されないものと考えまするが、法律に特に取締役会決議によることを要すると定めておりません他の業務執行一般に関しましては、他の特定取締役にこれを委任いたすことは、必ずしもこの法律は禁止していないのではないか、かように考えますので、法定しておるところの重要事項、あるいは業務執行上の重要な事項は、総取締役会議において決定する。しかしその程度でない事項特定の数名の取締役にその決定を委任いたしまして、その決定に基いて代表取締役が現実の業務を執行するというふうなことは法律は禁止していない、かように考えまするので、武藤委員仰せのような不自由は、そういう取扱いによりまして処理し得るのではないかと思いますので、この程度定足数を設けても、執務上ひどく御迷惑になることはないであろうと考える次第でございます。
  19. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 最後にもう一つお尋ねしたいのは、第六章外国会社の第四百八十五條の二であります。外国会社の地位という箇條に「外国会社ハ他法律適用ニ付テハ日本ニ成立スル同種ノ又ハ最モ之ニ類似スル会社ト看做スシ法律ニ別段ノ定アル場合ハ此限ニ在ラズ」とあります。私国際私法のことはきわめて無知でありますので、何ともはつきりした質問を申し上げかねるのでありますが、外国会社、たとえばイギリス会社で、会社であつて日本株式会社のような法人格を與えられておらないパートナーシツプがある。その場合においては、その会社法人格がありませんから、組合を組織しておる各成員、メンバーが責任を負うており、会社自体責任を負わない。しからばかような場合「外国会社ハ他法律適用ニ付テハ日本ニ成立スル同種ノ又ハ最モ之ニ類似スル会社ト看做ス」こういう條項がありますが、こういう会社がもしかりに日本営業を開始した場合に、この條項によつてこれに法人格が與えられるものかどうでございましようか、その辺をお尋ねしたいのであります。
  20. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 イギリス法パートナーシツプ国内においてどういうふうな取扱いを受けておりますか、この点できれば次会までに十分検討いたしましてお答え申し上げたいと考えます。たとえばドイツ法におきまする合名会社というようなものは、向うでは組合として認められまして、法人ではございません。しかしドイツ合名会社のごときものは、日本に成立する合名会社に最も類似するものと考えまして、外国会社として取扱いを受けるではないかと考えております。パートナーシツプにつきましては、調査いたしましてお答え申し上げたいと思います。
  21. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 私も国際私法については知らないので申し上げられないのでありますが、この規定適用いたしました場合に、たとえば日本銀行業を営む場合、あるいは保険業を営む場合には、資本金であるとかその他の制限があると思います。もし外国会社が、ただいま私が質問申し上げたような事項によつて向う会社日本会社として認められるようになりますと、この法律の四百八十五條の二によつて簡単に銀行業あるいは保険業を営み、ひいてわが国の銀行業あるいは保険業を営んであるものが競争を受ける憂いがあるように私は聞いておるのでありまするが、この辺について、すでに御考慮なさいましたかどうかを承りたいのであります。
  22. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 四百八十五條の二の規定は、外国会社原則として差別律遇を與えないというのが本旨でございまして、ただいまお尋ねのような、外国会社国内におきまして銀行業あるいは保険業を営むという場合におきましては、内国会社におきますると同様な営業の免許あるいはそのほかの監督をいたすことになるわけでありまして、外国会社なるがゆえに国内会社としては得られない特殊な経済上有利な立場をこの法律か與えたということにはならないと考えまするので、武藤委員の御心配になりますような結果は生じないであろうと考えております。
  23. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 私の申し上げたいのは、内国会社保険業あるいは銀行業を営むときは、従来相当厳重な制限を受けている。それと同じような制限をつけてあればよいのですが、つけてないので、外国会社なればきわめて自由に保険業もしくは銀行業を営めるということをおそれるのでありますから、その点はよく御研究を願いたいと思います。  これで終ります。
  24. 花村四郎

    花村委員長 速記を止めて。     〔速記中止
  25. 花村四郎

    花村委員長 それでは速記を始めてください。  ほかに御質疑はございませんか——質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十七分散会