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1950-03-10 第7回国会 衆議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 北川 定務君    理事 高橋 英吉君 理事 田嶋 好文君    理事 猪俣 浩三君       押谷 富三君    佐瀬 昌三君       古島 義英君    松木  弘君       眞鍋  勝君    武藤 嘉一君       山口 好一君    吉田 省三君       石川金次郎君    大西 正男君       中村 又一君    上村  進君       世耕 弘一君  委員外出席者         証     人         (農業)    澁江  等君         証     人         (農業)    伊藤  茂君         証     人         (日本專売公社         宇都宮地方局経         理部長代理)  根本  彦君         証     人         (肥料商)   笹沼 清一君         証     人         (喜連川町々         長)      大草  寛君         証     人         (喜連川警察         署巡査部長)  小口 徳重君         証     人         (喜連川警察         署巡査部長)  込山知夫君         証     人         (前喜連川町公         安委員)    深尾 法順君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 三月十日  委員加藤充君辞任につき、その補欠として上村  進君が議長の指名で委員 に選任された。     ――――――――――――― 三月九日  日本共産党解散に関する請願(大和田義榮君紹  介)(第一二六六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  戸籍事務費全額国庫負担等陳情書  (第五八〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  喜連川町における人権蹂躪問題等に関する件     ―――――――――――――
  2. 角田幸吉

    角田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長がやむを得ない所用がありますので、私が委員長職務を行います。  本日は、栃木喜連川町における人権蹂躪に関し証言を求めたいと存じます。本日出頭されました証人方々は、澁江等君、伊藤茂君、大草寛君、小口徳重君、深尾法順君であります。  証人となられる方に申し上げます。皆さん今日は御苦労さまでございました。本調査は御承知のように、憲法第六十二条に基く国政調査の一環として行うものでありますので、証人の自由な、良心的御協力を望んでやまない次第であります。証人方々には証言を求めます前に一言申し上げますが、昭和二十二年十二月二十三日に公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人配偶者、四親等分の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人宗教家または祈祷の職にある者、またはこれらの職にあつた者については、その職務知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られております。それ以外には証人何人も宣誓または証言を拒むことはできないことになつております。なお証人が正当の理由かなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。  大草寛君に代表して宣誓書朗読を、お願いいたします。     〔証人大草寛君各証人を代表して朗読〕    宣誓書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、何事もつけ加えないことを誓います。
  3. 角田幸吉

    角田委員長代理 それではお手元にお配りしております宣誓書署名捺印を願います。  なおただいま笹沼清一君、根本彦君込山知夫君が出頭されましたから、いずれも宣誓を願うことにいたします。     〔各証人宣誓書署名捺印
  4. 角田幸吉

    角田委員長代理 それでは笹沼君、伊藤君、根本君、大草君、小口君、込山君、深尾君は控室で暫時お待ちを願います。そうして澁江君だけ残つていただきます。  それではこれから御質問申します。  澁江等君ですね。
  5. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  6. 角田幸吉

    角田委員長代理 住所はどこですか。
  7. 澁江等

    澁江證人 栃木県塩谷郡喜連川大字喜連川三千六百五十二番地。
  8. 角田幸吉

    角田委員長代理 職業は。
  9. 澁江等

    澁江證人 農業です。
  10. 角田幸吉

    角田委員長代理 年齢は。
  11. 澁江等

    澁江證人 四十歳です。
  12. 角田幸吉

    角田委員長代理 四十歳というのは日本流に数えて四十歳ですか。
  13. 澁江等

    澁江證人 今度のかわつてから…。明治四十三年の一月二十三日ですから。
  14. 角田幸吉

    角田委員長代理 この前法務委員会であなた調べられたことかありますね。
  15. 澁江等

    澁江證人 あります。
  16. 角田幸吉

    角田委員長代理 昭和二十一年に喜連川町のタバコ專売所保管にかかわる葉タバコを、若干あなたが笹沼清一倉庫運搬したということをこの前述べておるのですか、その通りでしようか。
  17. 澁江等

    澁江證人 まさしく運びました。
  18. 角田幸吉

    角田委員長代理 それはどのくらい運んだのでしようか。
  19. 澁江等

    澁江證人 運んだ月と日はわかりせんが、昭和二十一年の六月か七月、もしくは八月ぐらいにわたつて一回に一俵ないし、三、四俵ぐらい四、五回運びました。
  20. 角田幸吉

    角田委員長代理 合計でどのくらい運ばれましたか。
  21. 澁江等

    澁江證人 自分一人で運んだのは約八俵ぐらいです。
  22. 角田幸吉

    角田委員長代理 それから野崎八郎という人とも一緒に運んだのですか。
  23. 澁江等

    澁江證人 伊藤茂です。
  24. 角田幸吉

    角田委員長代理 伊藤茂一緒に運んだのですか。
  25. 澁江等

    澁江證人 はあ、一回あります。
  26. 角田幸吉

    角田委員長代理 合計して何俵運ばれました。
  27. 澁江等

    澁江證人 自分だけで約十二俵です。そのほか伊藤が運んでおります。
  28. 角田幸吉

    角田委員長代理 伊藤の運んだのは何俵であるか、御承知ありませんか。
  29. 澁江等

    澁江證人 わかりません。
  30. 角田幸吉

    角田委員長代理 運ぶのに何で運びました。
  31. 澁江等

    澁江證人 リヤカーで運びました。
  32. 角田幸吉

    角田委員長代理 リヤカーはあなたのリヤカーですか、あなたといつても――だれのリヤカーで運んだのですか。
  33. 澁江等

  34. 角田幸吉

    角田委員長代理 伊藤か運んだときは、だれのリヤカーで運びました。
  35. 澁江等

    澁江證人 伊藤個人が運んだときも、おそらく笹沼さんのリヤカーで運んだのではないかと思います。
  36. 角田幸吉

    角田委員長代理 その運ばれたものは、これは十二俵だけのことをお聞きするのですか、十二俵で、当時の時価はどの程度のものでありましたか。
  37. 澁江等

    澁江證人 価格はわかりません。
  38. 角田幸吉

    角田委員長代理 価格がわからない。これはちよつとわからないでしような、これは一俵というと何貫目のものなんです。
  39. 澁江等

    澁江證人 自分召集になる前に保管をやつていたときは、一俵が六貫目……。
  40. 角田幸吉

    角田委員長代理 葉タバコは六貫俵ですね。
  41. 澁江等

    澁江證人 はあ、終戰後の目方は何貫目かわかりません。
  42. 角田幸吉

    角田委員長代理 六貫目というのはいつころのことですか。
  43. 澁江等

    澁江證人 それは昭和十三、四年ごろ。
  44. 角田幸吉

    角田委員長代理 十三年、四年ごろは六貫目であつた。ところがあなたの運んだときは。
  45. 澁江等

    澁江證人 終戰後の二十二年、ころであります。
  46. 角田幸吉

    角田委員長代理 その当時は何貫目であつたかわからないわけですか。当時おおよその見当が何貫目くらいということはおわかりでしような。
  47. 澁江等

    澁江證人 大体戰前の貫数とほとんどかわりません。
  48. 角田幸吉

    角田委員長代理 それを運ぶについて、だれに命ぜられて運んだのですか。
  49. 澁江等

    澁江證人 笹沼清一さんです。
  50. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたは当時笹沼清一雇い人であつたそうですね。
  51. 澁江等

    澁江證人 はあそうです。
  52. 角田幸吉

    角田委員長代理 いつごろからあなたは笹沼雇い人になつてつたのですか。
  53. 澁江等

    澁江證人 昭和九年の十月ごろと思います。
  54. 角田幸吉

    角田委員長代理 昭和九年の十月ごろから、引続きいつまで雇い人で働いておりましたか。
  55. 澁江等

    澁江證人 昭和九年の十月から昭和十五年の十月まで勤めまして、十一月に召集になつて、二十一年の四月一日に復員して来たのです。
  56. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうしてその後引続き……。
  57. 澁江等

    澁江證人 二十一年四月二日に復員して来まして、約四月一ぱいは自分でからだの養生をしておりました。大体勤めるようになつたのが五月ごろです。
  58. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうして現在もなお雇い人ですか。
  59. 澁江等

    澁江證人 今はもうやめております。
  60. 角田幸吉

    角田委員長代理 いつからやめました。
  61. 澁江等

    澁江證人 昭和二十二年の四月であります。
  62. 角田幸吉

    角田委員長代理 先刻あなたは四月から八月ごろまで運んだと言いましたが……。
  63. 澁江等

    澁江證人 運んだのは二十一年であります。
  64. 角田幸吉

    角田委員長代理 二十一年ですね。わかりました。ところで主人に命じられて運んだと、こう言うんですね。
  65. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  66. 角田幸吉

    角田委員長代理 その葉タバコ專売局所有物で、それが保管中のものであつて笹沼にはそれを運ぶ権限がないのじやないか。その点はどうでか。
  67. 澁江等

    澁江證人 それは笹沼多三郎さんのことに移りますが、笹沼多三郎さんが、氏家マル通関係タバコ回送をやつてつたのです。
  68. 角田幸吉

    角田委員長代理 笹沼多三郎という入は、笹沼清一とどういう関係の人ですか。
  69. 澁江等

    澁江證人 おいに当るのです。
  70. 角田幸吉

    角田委員長代理 その人はタバコのどういうことをやつてつたのですか。
  71. 澁江等

    澁江證人 タバコ肥料関係は、笹沼清一さんが笹沼多三郎さんの支配人という形でやつてつたのであります。
  72. 角田幸吉

    角田委員長代理 それはそれとしてだね。このタバコはだれのものなんです。
  73. 澁江等

    澁江證人 これは政府のものであります。
  74. 角田幸吉

    角田委員長代理 政府のものをかつて笹沼は運べとあなたに命じたのでしよう。
  75. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  76. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうすると、それは盗んだのじやないですか。
  77. 澁江等

    澁江證人 運んだ当時、行先の專売局はわかりませんでしたが、回送中なんです。葉タバコ回送をしていたのです。そして持つて来たタバコ專売局ひさしの前に積んであつたのです。
  78. 角田幸吉

    角田委員長代理 そこでそれを運べと言われて、結局笹沼倉庫に運んだんでしよう。
  79. 澁江等

    澁江證人 そうであります。四号倉に運びました。
  80. 角田幸吉

    角田委員長代理 それは盗んだのじやないか。專売局からこの保管を頼まれたわけでもないだろう。何と言つて運べと頼まれたのですか。
  81. 澁江等

    澁江證人 ただ專売局へおれと一緒行つてつて来てくれと言われて、ちようど朝の八時ごろ二人で行つてつて来たのであります。
  82. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうすると笹沼一緒行つたのですか。
  83. 澁江等

    澁江證人  一緒に行きました。
  84. 角田幸吉

    角田委員長代理 何回も一緒行つたわけじやなかろうな。
  85. 澁江等

    澁江證人 全部一緒に行きました。
  86. 角田幸吉

  87. 澁江等

    澁江證人 はあ。
  88. 角田幸吉

    角田委員長代理 そこでそれを笹沼倉庫に入れた、こういうわけですね。
  89. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  90. 角田幸吉

    角田委員長代理 これはざつくばらんの話が、あなたは盗んだと思わなかつたのですか。
  91. 澁江等

    澁江證人 その当時、前に申しました通り笹沼多三郎さんが回送をやつて、家へどんどんトラツクなり馬車で送つてつたのであります。そうして氏家マル通でかりに百俵送つた思つたところが、マル通で計算してみたら九十五俵しかなかつたので、その不足分として持つて来るのじやないかとわしはそのときには思つてつたのであります。
  92. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうですが。ところでその葉タバコあとで足らなくなつたということで、タバコ專売局警察調査されたようなことはなかつたですか。
  93. 笹沼清一

    笹沼證人 警察では調査はしなかつたのですが、そういつた專売所からタバコを運んだというような町民うわさといいますが、それを開きまして、その当時の專売所長根本さんが私の宅に来まして、笹沼さんがタバコ專売所から運んだというけれども、それは事実か、それは自分が運んだのだから事実だと私は述べたのです。そうしたら、それじや君は裁判に行つて立証できるか、実際に自分で運んだ品物だから、どこへ行つても立証はできると、私は所長さんに話した。私ばかりではない、同町伊藤茂氏も一緒に運んだこともあるし、そこへ行つて聞けばよくわかるからと言つた。私の家からそのときに、そうですがと言つて帰つて伊藤さんのところへ聞きに行つた様子つたのです。それ以外に別に警察でも今まで調べたこともない。
  94. 角田幸吉

    角田委員長代理 そのときの所長さんが調べたのですか。
  95. 澁江等

    澁江證人 それは專売所所長です。きようおいでになつた根本さんが調べた――調べたというよりも聞きに来たらしいのです。
  96. 角田幸吉

    角田委員長代理 ところが年のうちに――二十一年のことであるが、矢板町の專売所倉庫からも盗み出されて、運搬中に矢板警察署で取調べを受けたことがなかつたか。
  97. 澁江等

    澁江證人 それは自分笹沼さんのところをやめてからじやないかと思う。そういつたうわさ喜連川でも相当高まつたことも耳にしております。
  98. 角田幸吉

    角田委員長代理 そのどろぼうした人はだれであるか、やはり笹沼か、
  99. 澁江等

    澁江證人 その当時は笹沼清一さんが伊藤茂さんと同町でありますが、その人がトラツクでもつて運ばしたというような町民うわさも耳にしております。ところが実際にやつたかどうかは……。
  100. 角田幸吉

    角田委員長代理 町民人たち笹沼が盗み出したのだ。警察でつかまつたところもみ消し運動か何かをやつてあとはうやむやになつた。こういううわさを聞いているのか。
  101. 澁江等

    澁江證人 そういううわさは聞いております。しかしこれは自分としては見たこともないし、実際にとつたかということは立証できないわけなんです。ただうわさだけですから……。
  102. 角田幸吉

    角田委員長代理 相当うわさがひどかつたのか。
  103. 澁江等

  104. 角田幸吉

    角田委員長代理 何かございませんか。
  105. 北川定務

    北川委員 私からちよつと伺います。笹沼清一のところをやめたのはどういうわけですか。
  106. 澁江等

    澁江證人 現在自分の家の身内になつている現高塩代議士が、刀剣問題で御承知通り投書された一件があるわけです。そのときに笹沼清一さんは東京へ来ておりまして、留守のところへ私が行きまして、とにかくもうきよう限りひまをもらいたいと言つて立ちのきに行つたところが、おかみさんはどういうわけでひまをもらいたいのかと言うから、実はとにかくこういうわけでもつて高塩さんが刀剣の投書をされた。自分も今まではそういつた卑怯な主人じやないと思つてつた。ところがそういう卑怯な主人であれば、将来自分も望みがない。投書するに前に一応高塩さんに話をして、それでもきかなくて所持しているのならば投書してもよい。この喜連川町の中からそういつた犯罪を出すような人は一切お断りだ。そういつた気持でおつた高塩さんの刀剣問題は、よく記憶しておりませんが、二十一年の三月ころじやないかと思う。それで四月から自分の方で出入りを断つた。そういう経緯です。
  107. 北川定務

    北川委員 現在あなたと笹沼一家と別に反目しているわけではないですか。
  108. 澁江等

    澁江證人 もう二十二年の四月から行つたことはありません。別に反目とかそういうことにはなつておりません。会う機会もありませんし、話をする機会もありません。
  109. 北川定務

    北川委員 それから先ほど專売所から葉タバコ笹沼清一一緒行つて、十二俵くらい運んだと言われましたが、間違いありませんか。
  110. 澁江等

    澁江證人 間違いありません。
  111. 北川定務

    北川委員 その專売所笹沼の家との距離はどのくらい離れておりましたか。
  112. 澁江等

    澁江證人 距離は約二、三十間しかありません。その倉庫ひさしまでは約二十間か、三十間と思います。
  113. 北川定務

    北川委員 そこは運ぶ場合には人目につくようなところですか。
  114. 澁江等

    澁江證人 專売所前はちよつと広くなつておりますから、そう人目につくというほどのところでもない。家はありますか、何しろ距離は近い。
  115. 北川定務

    北川委員 笹沼多三郎のところは、政府葉タバコ集荷をやるのですか。回送というのはどういうことですか。
  116. 澁江等

    澁江證人 喜連川の今の專売公社ですが、そこでもつてタバコ耕作人から買上げたタバコを、各專売製造元べ送ることを回送と言います。それを自分召集になる前からもずつとやつてつた
  117. 北川定務

    北川委員 そうすると、集荷する人は別にいるのですか、たとえばタバコ耕作者がつくつた場合に、それを專売所倉庫なら倉庫に集めるわけですね。集めたものを運ぶだけが多三郎氏の仕事ですか。
  118. 澁江等

    澁江證人 運搬です。
  119. 北川定務

    北川委員 どこからどこまで。
  120. 澁江等

    澁江證人 喜連川專売所から氏家町へ送る運搬をやつてつたのではないかと私は思つております。
  121. 北川定務

    北川委員 集荷とは違うのですね。
  122. 澁江等

    澁江證人 集荷とは違うのです。耕作者から買い上げたタバコ專売所に持つて行く專売所常傭人夫というものがある。そのほかに臨時に雇いましてそうして集荷をする川
  123. 北川定務

    北川委員 そうすると回送といつたら、タバコ專売所から氏家の方に運搬するだけですか。
  124. 澁江等

    澁江證人 そうです。
  125. 北川定務

    北川委員 それを多三郎氏が請負つているわけですね。
  126. 澁江等

    澁江證人 專売所までではなく、喜連川から氏家までは約二里ありますが、その間の輸送をやつてつたんじやあないかと思います。
  127. 北川定務

    北川委員 そうすると專売所からあなたが持ち出したその葉タバコは、笹沼清一倉庫に入れる必要はないですね。また入れてはいけないのですね。笹沼清一の家に政府葉タバコを預かるというようなことがあるのですか。
  128. 澁江等

    澁江證人 兵隊に招集になる前まではそういうことはなかつた
  129. 北川定務

    北川委員 その後はあつたのですか。政府タバコ個人倉庫に入れるということはないはずです。
  130. 澁江等

    澁江證人 今まで笹沼多三郎さんが保管をやつておる。保管というのは、耕作者から專売所に買い上げておるタバコを、專売所倉庫に入り切れないときには、笹沼さんの倉に入れたことがある。それを自分召集になろ前、昭和十年の十月――たいがい運ぶというのは十月から十二月、正月にかけてやつておりまして、三回その前に自分が頼まれてタバコの積み方をやつた、そういう例があります。
  131. 北川定務

    北川委員 終戰後にはそういうことはありませんか。
  132. 澁江等

    澁江證人 終戰後には全然そういうことはないのです。
  133. 北川定務

    北川委員 そうすると、笹沼倉庫葉タバコを運ぶということは、保管のために運ぶということにはあり得ないというわけですね。
  134. 澁江等

    澁江證人 そうでございます。
  135. 北川定務

    北川委員 それから、この倉庫に入れた葉タバコ手巻タバコを製造して売つたといううわさもあるようですか……。
  136. 澁江等

    澁江證人 それは、自分らがいる当時は、運ぶだけは自分らが運びましたが、その後の処理というものは、自分らは全然わからないのであります。
  137. 北川定務

    北川委員 先ほど氏家の方へトラツクか何かで運んだようなことを言われましたが……。
  138. 澁江等

    澁江證人 氏家町に野崎というタクシー屋があつて、そのタクシーで朝来まして、タクシーの上へ出ているところへ幾分積んで行くのを一回見たことがありました。その葉タバコあと処理というものは、おそらく自分伊藤はわからない。
  139. 北川定務

    北川委員 タクシーに積み込んだ葉タバコというものは、清一倉庫で積み込んだ葉タバコですか。
  140. 澁江等

    澁江證人 それは自分らが倉庫から自動車べ積み込んだ……。
  141. 北川定務

    北川委員 あなた方が手伝つた…。
  142. 澁江等

    澁江證人 自分らは手伝わないのです。
  143. 北川定務

    北川委員 專売所倉庫から出したのじやないですか。
  144. 澁江等

    澁江證人 そうじやありません。
  145. 北川定務

    北川委員 笹沼清一倉庫からですか。
  146. 澁江等

    澁江證人 そうです。
  147. 北川定務

    北川委員 そのとき運んだのを見ましたか。たとえば何か上の方に物を積んで隠して運ぶとか何とか、そういうような方法は用いなかつたのですか。むき出しですか。
  148. 澁江等

    澁江證人 それは後に少し出ている自動車で、そのふたをあけてそこへ入れて……。それは一回私も伊藤覇一緒に見ております。
  149. 北川定務

    北川委員 タクシーの後の方に入れたのだと、たくさんじやないですね。
  150. 澁江等

    澁江證人 数量はどのくらいかちよつと記憶しておりません。とにかく入れるときにちよつと見ただけですから、中へどのくらい入れたかわからない。
  151. 北川定務

    北川委員 どこからどこまで運ばれたということはわかりませんね。
  152. 澁江等

    澁江證人 わかりません。
  153. 北川定務

    北川委員 もう一つ尋ねますが、專売所から葉タバコを持ち出して運搬するにあたつては、むろん專売所の官吏が立会つて、その指示に従つておそらく運ぶことだろうと思いますが、そうでしようね。
  154. 澁江等

    澁江證人 そうです。その運んだときには、まだ專売所役人が出動するちよつと前でありました。自分らがとりに行くときは、まだ專売所役人が出勤するちよつと前です。笹沼さんと一緒に行きました。笹沼さんは、本所の方へちよつと行つて来るからと言つて別れて、行つてからどういう話をしましたか、その用件はわかりませんが、一緒に出て来て、ほかの專売局へ送るべく百俵なら百俵全部人夫が積んでおく――これは專売所人夫が積み、そして水戸行なら水戸行、東京行なら東京行という荷札をちやんとつけておく。そしてその中からこれを運べというわけです。
  155. 北川定務

    北川委員 そうすると荷札がついているわけですね、あなたが運んだやつも。
  156. 澁江等

    澁江證人 はあ。それで別に專売所の係の者がそれ立ち会つて積んで持つて来たのではなかつた
  157. 北川定務

    北川委員 守衛などいなかつたのですね。
  158. 澁江等

    澁江證人 その当時は終戰後で、何しろどさくさしておりましたから、守衛はありましたが、守衛兼小使というような任務でやつておりましたから、門のところはいなかつたのであります。
  159. 北川定務

    北川委員 その專売所倉庫の表には、鍵はかけてなかつたのですか。
  160. 澁江等

    澁江證人 專売所は、普通いるときは全部鍵をかけてありますが、回送中には全部――專売所ひさしが約九尺出ておりますから、その前に、東京なら東京製造部へ送るように向うから通知が来た場合、もう百俵なら百俵、二百俵なら二百俵全部等級別に、東京行き連ぼしなら連ぼしの一等、幹ぼしなら幹ばしの二等、これを何ぼというように全部積んで、その中から毎日運んで行つて残つたやつは……。
  161. 北川定務

    北川委員 倉庫の中に入れてあるのでしよう。
  162. 澁江等

    澁江證人 倉庫でなくて、倉庫の表です。
  163. 北川定務

    北川委員 袋か何かに入れてあるのですか。
  164. 澁江等

    澁江證人 袋にも何にも入つていないで、ただむき出しです。
  165. 北川定務

    北川委員 結局あなたは笹沼一緒專売所倉庫行つて專売所所有葉タバコを盗んで来たという気持ですね。
  166. 澁江等

    澁江證人 自分回送で足らない不足分でも持つて行くのかというような、その当時そういつた考えで堂々と持つて来た。
  167. 北川定務

    北川委員 それは回送で足らない分といつても、專売所員の立会わないうちに專売所品物清一倉庫に持つて行くということは、常識から考えてできないでしよう。それはあなたの気持ですね。そんなかつてなことは本来はできないはずだ。正しい自分の考えていることを言つてください。あなたがどんな気持でおられたかということをはつきり言つてもらいたい。かつてに持ち出すことは窃盗ですよ。相手方の承諾なくして、たとい人が見ていても、かつてに持ち出せば窃盗になりますよ。
  168. 澁江等

    澁江證人 だから自分笹沼さんと行つた場合に、專売所には宿直がおります。そのところへ行つてつて来て、そして運ばせるのです。それは氏家の方へ昨日なら昨日持つて行つたタバコの五俵なら五俵の不足分――それで一緒笹沼さんと行きまして、專売所の方へ入つて行きまして、笹沼さんが断つて、これを積めと言うので、その不足分自分で運ばせるのじやないかというような気持自分は運んだ。ところがそれが一回、二回、三回とたび重なるうちに自分も考えた。これは盗んで来るのじやないかというような考えを、最初はそう考えていませんでしたが、最後にそう考えました。
  169. 北川定務

    北川委員 わかりました。
  170. 松木弘

    ○松木委員 この笹沼という人は倉庫業者ですか。あなたは專売所倉庫保管しきれないものは、笹沼倉庫に、保管してあると言われましたね。だから笹沼というのは倉庫業者ですか。
  171. 澁江等

    澁江證人 呉服商、肥料商をやつております。
  172. 松木弘

    ○松木委員 倉庫業者ではないのですね。
  173. 澁江等

    澁江證人 はい。それでもつて自分昭和十五年の十一月、召集になる前に百坪の倉庫を一棟、八十坪の倉庫を二棟建てまして、そうして專売所に積みきれないタバコ笹沼さんの方で一夜保管として預かつてつたのであります。
  174. 松木弘

    ○松木委員 倉庫業者ではないが、倉庫を持つて專売所と約束してタバコ保管しておるという、そういう意味ですね。
  175. 澁江等

    澁江證人 そうです。
  176. 松木弘

    ○松木委員 そうすると、あなたは笹沼一緒にそのタバコを持ち運ぶときに、保管を頼まれたから持つて行つたとは考えられなかつたのですか。
  177. 澁江等

    澁江證人 それは召集になる前は保管をやつておりました。自分が二十一年の四月に復員して来たときには、笹沼さんは保管をやつておらなかつた
  178. 松木弘

    ○松木委員 その專売所からタバコを預かるようなことはなかつたのですね。
  179. 澁江等

    澁江證人 はい。しかし前に申した通り喜連川から一時間の運送の方は、笹沼多三郎さんがやつてつたのです。
  180. 松木弘

    ○松木委員 笹沼多三郎という人が運送業者というのは、日通との関係運搬しておつたのですね。
  181. 澁江等

    澁江證人 はい。
  182. 松木弘

    ○松木委員 あなたがその專売所から持ら出すときにはだれもいなかつたのですか、その場所には……。
  183. 澁江等

    澁江證人 その場所には笹沼さんと私だけです。
  184. 松木弘

    ○松木委員 ほかの人はだれもいなかつたのですか。
  185. 澁江等

    澁江證人 はい。
  186. 松木弘

    ○松木委員 あなたは荷札がついておつたと言いましたね。
  187. 澁江等

    澁江證人 はい。
  188. 松木弘

    ○松木委員 その荷札というのはどういうものがついていたのですか。
  189. 澁江等

    澁江證人 荷札タバコ耕作者から專売所でもつて買い上げる場合、これは全部等級をつけて、その等級によつて大蔵省の方で金を支払う。そうすると中葉の一等なら一等は全部六貫目なら六貫目に圧搾しまして、一俵につくるのであります。その等級の札です。これは等級をつけたやつはどこまでもつけて行くのであります。そのかに水戸專売局行きとか、東京の製造場行きとか、そういつた場合にはどこそこ行きというような荷札をつけるので、あります。
  190. 松木弘

    ○松木委員 あなたの運ばれた品にはどこ行きという荷札はついていましたか。
  191. 澁江等

    澁江證人 それは記憶しておりません。
  192. 松木弘

    ○松木委員 どこ行きという荷札はついておつた思つているのですか。
  193. 澁江等

    澁江證人 はい。
  194. 松木弘

    ○松木委員 けれどもそれは記憶がないというのですか。
  195. 澁江等

    澁江證人 はい。大体自分が今思うのに、水戸行きと鹿児島行きじやないかと思います。
  196. 松木弘

    ○松木委員 そうすると、多三郎という人は氏家まで運搬する請負師だが、水戸とか鹿児島行きの方のことは関係ないのですね。
  197. 澁江等

    澁江證人 関係ありません。
  198. 松木弘

    ○松木委員 水戸行きと鹿児島行きというのははつきりしていますか。
  199. 澁江等

    澁江證人 よく記憶しておりません。
  200. 松木弘

    ○松木委員 そういうのは札に書いてあるんだから、多少記憶はあるでしよう。はつきりしませんか。
  201. 澁江等

    澁江證人 はい。
  202. 松木弘

    ○松木委員 私の方はそれでよろしゆうございます。
  203. 石川金次郎

    ○石川委員 ちよつと念のために聞きますが、笹沼多三郎という人は喜連川專売所から氏家まで葉タバコを運ぶ仕事をやつてつたのですね。
  204. 澁江等

    澁江證人 これはマル通関係でやつてつたのではないかと思います。
  205. 石川金次郎

    ○石川委員 もう一つ、今度は專売所で買い集めた葉タバコ保管することも、あなたが戰争に行くまでやつてつたのですね。
  206. 澁江等

    澁江證人 やつておりました。
  207. 石川金次郎

    ○石川委員 そこで聞くのですが、その保管するときの量はいつも幾らぐらいでしたか。倉庫八十坪の保管量はかなりの量でなければ頼まれなかつたと思うのですが、幾らくらい頼まれて保管しておつたのですか。
  208. 澁江等

    澁江證人 一年度に何千俵です。
  209. 石川金次郎

    ○石川委員 一回の出し入れは、少ないときに何俵ぐらいですか。
  210. 澁江等

    澁江證人 その專売所の方からどこそこ行き何俵出してくれと通知がある。そうすると私の方でもつて連ぼしの葉タバコ一等なら一等を、專売所の方から笹沼さんの方へ、かりに五十俵出してもらいたいという場合には五十俵出す。
  211. 石川金次郎

    ○石川委員 出すが、預かるときにはだれから預かりますか。耕作した人、つくる人から直接持つて来て売るのですか。
  212. 澁江等

    澁江證人 そうじやありません。
  213. 石川金次郎

    ○石川委員 一回專売所に入れたものを、ただ保管するために何俵と預かるのですか。
  214. 澁江等

    澁江證人 それは專売所の方で買い上げるときに、耕作者が六貫目一俵をきつちり持つて来ればいいが、中には三百目、五百目という入りがあるわけです。そういうのを一俵にするために全部圧搾します。それを專売所人夫が全部荷づくりしまして、そうして笹沼さんの方では、連ぼしの中葉の二等、三等、四等、それに乾ぼしの本葉一一等、二等、三等まで今度入れてもらいたいという場合には、この連ぼしの中葉一等、二等三等まで專売所で買い上げたものは自分の方で引取ります。
  215. 石川金次郎

    ○石川委員 そうすると何俵来るということはないのですね。
  216. 澁江等

    澁江證人 それは耕作者から專売所へ買い上げるときに、その日によつて多少俵数は違います。自分がやつてつたときには、二日に平均四百箱ぐらい集まりました。
  217. 石川金次郎

    ○石川委員 それをだれが運搬しておつたのですか。
  218. 澁江等

    澁江證人 それは車を引く人夫に頼むのです。
  219. 石川金次郎

    ○石川委員 それでは笹沼の家の人たち運搬することはないのですか。
  220. 澁江等

    澁江證人 それはありません。笹沼ざんの方の保管の係を私がやつておりました。今度はタバコが来る。
  221. 石川金次郎

    ○石川委員 笹沼から直接あなた方が專売所行つてつて来るという事実はなかつたのですか。
  222. 澁江等

    澁江證人 ないのです。これは笹沼さんの方から車引きを頼みまして、そうして專売所から一ぺんに十俵ずつ運ぶ、それを三人ないし多いときには四人くらい頼みまして、持つて来るときには、ちやんと巡視がそのときに門についておりまして、そうすると搬出票というのがあります。
  223. 石川金次郎

    ○石川委員 それをだんだん今聞きますが、そうするととにかくあなた方直接使用人が行つて、預かつて来るということはなかつたのですね。
  224. 澁江等

    澁江證人 なかつたのです。
  225. 石川金次郎

    ○石川委員 しかしあなたが持つて来たときに限つて、あなた方が言われたのはどういうわけですか。そういう事実がなかつたのに、あなた方が言いつけられて持つて来たときは、保管が変だとは思いませんでしたか。預かりものじやないとは思いませんでしたか。
  226. 澁江等

    澁江證人 運んだときですか――思いました。
  227. 石川金次郎

    ○石川委員 今までの手続とは違つた預かり方だと思つた。正当な預かり方とは思わなかつたのですね。
  228. 澁江等

    澁江證人 思わなかつた
  229. 石川金次郎

    ○石川委員 それから通常の場合の保管のときは、ただ持つて来ることはないですね。持つて来たら、あつちから言えば出庫票、あなたの方から言えば入庫票とか、庫に入つた票が出るはずですわ。そうして帳面に記載になるでしようね。保管の場合は…………
  230. 澁江等

    澁江證人 保管の場合は、專売所から笹沼さんの倉庫に車が行つて、そのときには搬出票というものがある。その仮数を書いて、運搬する車夫の名前を書いて、專売所でくれる。それを專売所守衛のところへ出しまして、運んで来る。
  231. 石川金次郎

    ○石川委員 そうしてあなたの方の倉庫に来たときには、どうするのですか。
  232. 澁江等

    澁江證人 来たやつは全部私の方で等級別………。
  233. 石川金次郎

    ○石川委員 搬出票をとるのですか。
  234. 澁江等

    澁江證人 それは專売所を出るとき專売所の方へ置いて来てしまう。
  235. 石川金次郎

    ○石川委員 今度あなたの方へ来たときに…………。
  236. 澁江等

    澁江證人 今度うちの方へ来たときには帳面につける、帳面につけなければ、何俵置いて何段積めば何台というふうに、ちやんと積んで計算して、專売所行つて本葉の一等は……。
  237. 石川金次郎

    ○石川委員 運んで来て保管するときに帳面につけますか。
  238. 澁江等

    澁江證人 つけなかつたのです。
  239. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたの方で入庫したものは幾らということはわからないのじやないのですか。
  240. 澁江等

    澁江證人 それは積み方によつてわかります。
  241. 石川金次郎

    ○石川委員 別にあなたの方の倉庫に入庫票という帳面はないのですね。
  242. 澁江等

    澁江證人 ないのです。
  243. 石川金次郎

    ○石川委員 ところであなた方が今度持つて来たときには、搬出票はなかつたのですね。
  244. 澁江等

    澁江證人 なかつたのです。
  245. 石川金次郎

    ○石川委員 搬出票がなかつたならば変だとは思いませんか。
  246. 澁江等

    澁江證人 前にもタバコ等級別に積み合せてしまう場合があるのです。人夫の間違いで一等のところへ、同じ一等でも連ぼしと乾ぼしの一等がある。乾ぼしというのは、太陽でほし上げたものと、うちで木のまま刈つてつるしたものと二種類ほし方かあります。そうして同じ中葉でも連ぼしの中葉と乾ぼしの中葉と二通りあるわけです。そうすると間違つて連ぼしの中葉を乾ぼしの一等のところへ積み込んでしまう場合がある。その場合に專売所の方から、全部自分の方で預かつておく場合、かりに百俵出してくれと言つても九十九俵しかない場合がある。それを全部くずして探すわけには行かない。そういう場合には專売所行つて話をして持つて来て、百俵なら百俵だけの数にしてやる………。
  247. 石川金次郎

    ○石川委員 それはいずれにしてても搬出票がいるのでしよう。
  248. 澁江等

    澁江證人 そういうときは、別に搬出票を出さずに自分は持つて来たこともあります。
  249. 石川金次郎

    ○石川委員 今度あなたが搬出票がいらずに持つて来たというのは、どういう意味で搬出票がないと思つたのですか。
  250. 澁江等

    澁江證人 それは前も申したように、よくマル通の方でも積み間違えて、三十俵積んだと思つていたところが二十八俵ぐらいしかない。そういつた場合、あとから届けたことがちよちよいあつた。それでちようどそのときに廻送しておりましたから、もしそれは不足分で、とりに行つてそれを補うのではないか、最初はそう考えた。しまいにそういうのが二回、三回と続いたので、自分もふしぎに思つた
  251. 石川金次郎

    ○石川委員 そのとき、あなたが持つて来たときには、一俵も預かつてつた保管タバコはなかつたですね。
  252. 澁江等

    澁江證人 なかつた。その当時はやめておりました。
  253. 石川金次郎

    ○石川委員 それから預かつたものをあなたの方の笹沼倉庫から運び出すときは、何でやるのですか。やはり馬車ですか。自動車ですか。
  254. 澁江等

    澁江證人 馬車でやるときもありましたし、トラツクでやるときもありました。
  255. 石川金次郎

    ○石川委員 そのときにやはり出したという証明をつけろのでしよう。
  256. 澁江等

    澁江證人 專売所で預けただけの俵数はわかつておりますから、どういう品種の何等のタバコ保管の方に何俵行つている。そうすると、そういつたのがほかの專売局から注文があつたときに、保管の方でもつて何俵出してくれ………。
  257. 石川金次郎

    ○石川委員 書面が来るのですか。口頭ですか。
  258. 澁江等

    澁江證人 それはおそらく書面じやなくて、專売局から笹沼さんの方へ来たのじやないかと思います。
  259. 石川金次郎

    ○石川委員 さつき言つた宅地のすみの方のあいておるところに積んでおくということはあるのですか。
  260. 澁江等

    澁江證人 自分が前にやつたときはなかつた………。
  261. 角田幸吉

    角田委員長代理 ちよつと証人に御注意申し上げますが、先ほど何事も黙秘せざる宣誓をしておるのですが、あなたはそれは盗んだというような感じが今日でもいたしておりませんか。
  262. 澁江等

    澁江證人 その当時はそういつた関係で、補つたのじやないかと思つておりましたが、数を重ねるたびに自分も考えて、これは盗んで来たのじやないか。これは盗ませられるのだというような気持でもつて自分は反省したことがあります。
  263. 角田幸吉

    角田委員長代理 あとタバコ運搬して、そうして笹沼警察で調べられたとき、うやむやに葬られというようなことを、あなたは先ほど言いましたね。すでにさかのぼつてその当時でも、あなたはあのときのものは盗んだのだという感じがいたしませんでしたか。
  264. 澁江等

    澁江證人 うわきを聞くまでは、そう思わなかつた。そのうわさを聞いて、自分らがそれを持つて来たのも、盗んで来たのじやないかと、そのとき反省しました。
  265. 角田幸吉

    角田委員長代理 あのときのは盗んだのじやなかつたかというようなことを、笹沼にあなたはその当時お話しませんでしたか。
  266. 澁江等

    澁江證人 そのころは自分は出ておつた
  267. 角田幸吉

    角田委員長代理 出ておつたからその話をしない………。
  268. 澁江等

    澁江證人 しない。
  269. 石川金次郎

    ○石川委員 笹沼一緒に行くとき何と言いましたか、言葉は。
  270. 澁江等

    澁江證人 今から專売所行つてタバコを持つて来るのだから、一緒行つてひつぱつて来てくれ……。
  271. 石川金次郎

    ○石川委員 ただ、それだけ……。
  272. 澁江等

    澁江證人 それだけ……。一緒專売所の門を入りまして、入ると右の方に專売所の官省があるのです。おれはちよつとそこへ寄つて来るからと言つて、裏の方にまわりまして、お前、向うに先に行つているというので、私は言うなりに、リヤカーを引いてタバコのある方に行つた。そうして笹沼氏が專売所の方から出て来まして、これを積めというようなぐあいで積んで来た……。
  273. 石川金次郎

    ○石川委員 そうすると、笹沼はそのとき係の人の了解をとりに行つたと思つたのですか、どう思つたのですか。
  274. 澁江等

    澁江證人 そのとき了解をとりに行つた自分は信じておりました。
  275. 石川金次郎

    ○石川委員 持つて来たのは、やはりいつも入れる倉庫に入れたのですか。
  276. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  277. 松木弘

    ○松木委員 あなたの運搬行つたときは、午前の八時というのですね。午前八時といえば、專売局の吏員はまだ出勤しないときですね。
  278. 澁江等

    澁江證人  はい。
  279. 松木弘

    ○松木委員 そごへ笹沼が来て、專売局の裏へまわつて、だれと話をしたか話をして、そしてまた出て来て、それを運べ、そういうことになつたのですか。
  280. 澁江等

    澁江證人 はい。
  281. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたは六月から八月までの二月の間と言つていましたね。その間に四、五回運んだ。ところが六月と八月と二月間ありますが、最初に持つて来たものは倉庫に置いたのですか。それは運び出さなかつたのですか。
  282. 澁江等

    澁江證人 わしが持つて来たやつですか。それはいたしません。
  283. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたが勤めているうちになくなつたのですか。どこへ行つたのですか。
  284. 澁江等

    澁江證人 どこへ行つたかその先か自分らにはわからない。ただ專売所からまつすぐにおりて来ると、左側に入口がある。そこヘタバコを置いて、自分らはいろいろな雑役に使われておりました。使いや何かに行つた。だからもう最初にうちの方へ持つてつたのじやないかというふうにも考えたのです。それで前申しました通り自分らが何回もやるうちに、これはおかしい……。
  285. 石川金次郎

    ○石川委員 何日くらいあつたのですか、それはわかりませんか。
  286. 澁江等

    澁江證人 あることはしばらくありました。幾日くらいということはちよつと記憶しておりませんが、運んで来て、ひのまま大分長いことありました。
  287. 石川金次郎

    ○石川委員 十二俵なら十二俵詰まつてつたのですね。
  288. 澁江等

    澁江證人 はい。
  289. 石川金次郎

    ○石川委員 三、四俵運んで来てはまたなくなつた、また運んで来たというわけですか。
  290. 澁江等

    澁江證人 はい。
  291. 石川金次郎

    ○石川委員 それはどこに行つたかわからないのですか。
  292. 澁江等

    澁江證人 わからない。
  293. 石川金次郎

    ○石川委員 伊藤という人はわからないですか。
  294. 澁江等

    澁江證人 おそらくわからないだろうと思います。
  295. 石川金次郎

    ○石川委員 あなた方晝は勤めておつたのでしよう。
  296. 澁江等

    澁江證人 勤めておりました。
  297. 石川金次郎

    ○石川委員 晝勤めておつたうちに倉庫から出なかつたのですか。
  298. 澁江等

    澁江證人 見受けたことはありません。
  299. 石川金次郎

    ○石川委員 あなた方知らないうちでも、晝間よそから来て持つて行くことができるのですか。たいていあなた方の手にかからなければならないのですか。
  300. 澁江等

    澁江證人 自分らの手におそらくかかつたことはなかつた。ただ運ぶだけは目分らの手によつて運びました。その後は自分らの方は一俵も手にかけたことはない。
  301. 山口好一

    ○山口(好)委員 笹沼さんのところのタバコに使つてつた倉庫というのは、專売所内にあつたのですか。
  302. 澁江等

    澁江證人 專売所内にはありません。その附近にあつたのです。
  303. 山口好一

    ○山口(好)委員 そして今度あなたが清一さんと一緒行つて運んだものは、その倉庫と違うところへ入れたのですか。
  304. 澁江等

    澁江證人 現在その保管してあつた倉庫は、全部こわしてありません。
  305. 山口好一

    ○山口(好)委員 元の保管しておつた倉庫はないのですか。
  306. 澁江等

    澁江證人  はい。
  307. 山口好一

    ○山口(好)委員 運んだところは笹沼清一の宅内にある倉庫ですね。
  308. 澁江等

    澁江證人 前にたくさん来るときには、保管の倉に入り切らない場合は、その倉庫に入れて使つたこともあります。
  309. 角田幸吉

    角田委員長代理 それでは済みました。  あなたは伊藤茂さんですね。
  310. 伊藤茂

    伊藤證人 そうです。
  311. 角田幸吉

    角田委員長代理 住所はどこですか。
  312. 伊藤茂

    伊藤證人 栃木県塩谷郡喜連川町三六七四番地です。
  313. 角田幸吉

    角田委員長代理 職業は……。
  314. 伊藤茂

    伊藤證人 日雇い業。
  315. 角田幸吉

    角田委員長代理 年齢は……。
  316. 伊藤茂

    伊藤證人 数え年三十九才であります。
  317. 角田幸吉

    角田委員長代理 お尋ね申し上げますが、昭和二十一年に喜連川タバコ專売所の係管にかかつているところのタバコが、あなたが笹沼清一倉庫へ運んだことがなかつたでしようか。
  318. 伊藤茂

    伊藤證人 ございます。
  319. 角田幸吉

    角田委員長代理 何回運ばれましたか。
  320. 伊藤茂

    伊藤證人 私一人で一回運びました。
  321. 角田幸吉

    角田委員長代理 何俵でしたか。
  322. 伊藤茂

    伊藤證人 とにかくこのタバコが、今日になつてこんな問題を起すということか当時わからなかつたものですから、よく記憶してないのですけれども、四、五俵と思います。
  323. 角田幸吉

    角田委員長代理 その四、五俵を運ぶとき、だれに頼まれて、だれと一緒行つて運びましたか。
  324. 伊藤茂

    伊藤證人 一回は澁江等君と運びました。
  325. 角田幸吉

    角田委員長代理 そのときはだれに頼まれたのですか。
  326. 伊藤茂

    伊藤證人 むろん笹沼溝一さんだかと思うのですが………。
  327. 角田幸吉

    角田委員長代理 笹沼清一さんだかに頼まれたというのですか。
  328. 伊藤茂

    伊藤證人 はあ。
  329. 角田幸吉

    角田委員長代理 そこのところもつとはつきりしませんか。
  330. 伊藤茂

    伊藤證人 その後私一人で運んだときには、まさしく笹沼清一さんでございます。
  331. 角田幸吉

    角田委員長代理 前のときには、笹沼清一さんに頼まれたかどうかはよくわからぬが、あとの一回は笹沼清一さんに頼まれた、こう言うのですね。
  332. 伊藤茂

    伊藤證人 間違いありません。
  333. 角田幸吉

    角田委員長代理 ところで、その一俵の目方はどのくらいだつたでしようか。
  334. 伊藤茂

    伊藤證人 私よく気をつけませんでしたけれども、タバコの目方は一梱包六貫目くらいあるんではないかと思うのですが、それはさまつているのでしようから……。
  335. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたは当時笹沼清一とどういう関係にあつたのですか。
  336. 伊藤茂

    伊藤證人 私最初から申し上げますが、昭和十八年に召集を受けまして入隊し、即日帰郷になりまして、それから喜連川町より四里ばかり離れております矢板町に秋木工業会社という軍需工場がございましたが、そこへ勤めておりますうちに、笹沼清一さんが私の家へ参りまして、うちでも今度軍需工場の小さいのを始めた。矢板よりも近いし、伊藤君も知らない仲じやないから来て働いたらどうか、こう言われましたので、私もその気になり、喜連川に近くて何かにつけて便利ですから、笹沼清一さん方に使つてもらうようになりました。それが多分終戰一箇月くらい前かと思います。それで小間使い同様な仕事をしておりました。
  337. 角田幸吉

    角田委員長代理 それではあなたが運んだ当時は、笹沼清一はあなたの雇い主であつたわけですね。
  338. 伊藤茂

    伊藤證人 さようであります。
  339. 角田幸吉

    角田委員長代理 そのタバコをとりに行つたという時間は、日は覚えてないとしても、何時ごろ向うへ行きましたか。
  340. 伊藤茂

    伊藤證人 その時間も正確なところは記憶はないのですけれども……。
  341. 角田幸吉

    角田委員長代理 朝ですか晩ですか。
  342. 伊藤茂

    伊藤證人 午前中の、とにかくお晝間近くのころだつた上思います。
  343. 角田幸吉

    角田委員長代理 正午間近であつたというわけですね。
  344. 伊藤茂

    伊藤證人 真昼間でございます。
  345. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたが行つたときは、そこのタバコ專売所には役人がおらなかつたのですか、おつたのですか。
  346. 伊藤茂

    伊藤證人 トラツクでもつて転送するので私が参りました。荷調べの際には、專売所の常夫、年中雇われておつた常夫が一人おりました。その方が積んで数を調べて、発送したのですが、それで自動車が出る、その後間もなく氏家駅から電話があつたらしいのです。四俵か五俵足らない。すぐあとつてくれ、こういう電話がかかつたらしいのです。それで行つたあと、すぐ四、五俵リヤカーで運んでくれと言われましたものですから、私がリヤカーに積みまして、笹沼清一さんの方へ四俵くらい入れました。そういうわけでございます。
  347. 角田幸吉

    角田委員長代理 どこからか今発送のタバコが四、五俵足らないと言われて、運びに行つたというわけですね。
  348. 伊藤茂

    伊藤證人 さようでございます。
  349. 角田幸吉

    角田委員長代理 これはあなたが一人で行つたときですか、それも澁江君と一緒行つたときのことですか。
  350. 伊藤茂

    伊藤證人 私個人行つたときのことでございます。
  351. 角田幸吉

    角田委員長代理 澁江君と一緒行つたときは何の話もなかつたわけですね。
  352. 伊藤茂

    伊藤證人 それがよく記憶がありません。
  353. 角田幸吉

    角田委員長代理 ところでそこでふしぎに考えることは、どこかに転送するのか四、五俵足らないというのを、そのとりに行つたタバコ笹沼清一倉庫の中にしまつておいてあつたというのは、どういうわけですか。
  354. 伊藤茂

    伊藤證人 しまつてありました。
  355. 角田幸吉

    角田委員長代理 持つて来たタバコが、何日くらい笹沼倉庫の中にあつたでしようか。
  356. 伊藤茂

    伊藤證人 それが記憶しておるところでありますと、二、三日はあつたかと思います。
  357. 角田幸吉

    角田委員長代理 そのタバコを、どつちの方にあとつて行つたかわかりませんか。
  358. 伊藤茂

    伊藤證人 それは私そんなに関心がなかつたものですから、あえて気にもとめませんものでしたから、あとはわかりません。
  359. 角田幸吉

    角田委員長代理 その当時笹沼のところに雇い人が何人おりましたか。
  360. 伊藤茂

    伊藤證人 私と澁江君、あとときたま特別何かの用事があるという場合には、町から少し離れたところに松田というところがありますが、そこに福田武という方がおります。その方もちよちよい見えました。
  361. 角田幸吉

    角田委員長代理 忙しいときだけ頼んだのですね。
  362. 伊藤茂

    伊藤證人 そうでございます。
  363. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうすると、持つて来たタバコをどこへ運んだかということについては、あなたは知らないというわけですね。
  364. 伊藤茂

    伊藤證人 私はわかりません。
  365. 角田幸吉

    角田委員長代理 だれに運ばせたかも知らないのですか。
  366. 伊藤茂

    伊藤證人 わかりません。
  367. 角田幸吉

    角田委員長代理 タバコ專売所から来て調査したようなことはありませんか。
  368. 伊藤茂

    伊藤證人 私の家にですか。
  369. 角田幸吉

    角田委員長代理 はい。
  370. 伊藤茂

    伊藤證人 別に調査ということはありませんでした。
  371. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたは專売局タバコを、何のために笹沼倉庫に運んだと思いましたか。笹沼倉庫に持つて来て二日、三日も置くということですね。それは保管を頼まれたために運んだと思いましたか。それとも怪しいなというな感じはしませんでしたか。
  372. 伊藤茂

    伊藤證人 当時別にそういう気持はいたしませんでした。
  373. 角田幸吉

    角田委員長代理 ところでこういう事件があつたことをあなたは御承知ございませんか。その年のころに矢板町のタバコ專売所倉庫から、タバコを盗み出した者がある。そうしてそれが運搬中に、矢板警察署の取調べを受けた。これは相当あなたの町では、近所で評判になつた事件ですが、そういううわさをあなたは聞いたことがありませんか。
  374. 伊藤茂

    伊藤證人 うわさは聞きました。
  375. 角田幸吉

    角田委員長代理 その当時聞いたのですか。
  376. 伊藤茂

    伊藤證人 当時聞きました。
  377. 角田幸吉

    角田委員長代理 その運び出してつかまつた者が、笹沼清一だということはあなたは聞きませんでしたか。
  378. 伊藤茂

    伊藤證人 私は聞きませんでした。
  379. 角田幸吉

    角田委員長代理 それならだれからかその運んで来たものを、矢板警察でつかまつたということのうわさを聞きましたか。
  380. 伊藤茂

    伊藤證人 矢板にこういう事件があつたのだ。ただそれだけの話を聞いただけのもので、その後笹沼清一さんがやつたというようなことを私聞きませんでした。
  381. 角田幸吉

    角田委員長代理 何かそのタバコを運んで来たのが、警察を買収したか何かで、うやむやになつたということで、相当けしからぬことがあるということで、相当うわさがあるのだが、あなたはその笹沼などのうわさは一向耳に入わませんでしたか。
  382. 伊藤茂

    伊藤證人 その後大分今のタバコの問題がやかましくなりまして、笹沼清一喜連川の専売所からタバコを持ち出したということを聞きまして、それであのときのタバコをどうかしたのじやないか。こういう気持を私起しました。
  383. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうすると、今あなたが喜連川タバコ専売所からタバコを運んで、そうして警察につかまつたということを聞いてああ、あの笹沼があのとき運んだのも、やつぱりそれのタバコじやなかつたかというようなことを気がついたのはいつです。あなたが今気がついたと言つたが、その気がついたときのことは、やつぱりその当時気がついたのか、昭和二十一年ごろに気がついたのですか。
  384. 伊藤茂

    伊藤證人 私が運んでがらしばらくたつてからでございます。
  385. 角田幸吉

    角田委員長代理 そういう問題があつてから、しばらくしてから気がついた……。
  386. 伊藤茂

    伊藤證人 さようでございます。
  387. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうすれば、そういう気がついたくらいまで行つたんだとすると、矢板警察につかまつた者笹沼清一であるというようなことも、うわさか何かで耳に入りそうなものであると思うが、その点はどうなんですか。
  388. 伊藤茂

    伊藤證人 その点ははつきりしませんでしたが。
  389. 角田幸吉

    角田委員長代理 はつきりしない――全然覚えがないならないのでいいが、宣誓を命じておりますから、もし知つてつて知らないということになりますと、偽証の制裁がありますから御注意申し上げますが、そのことが国政調査として今重大な問題となつておりますので、御苦労を願つたのですから、ざつくばらんなことをひとつ述べていただきたいと思うのですが、いかがでしようかわかりませんか。
  390. 伊藤茂

    伊藤證人 矢板タバコ盗難事件も、笹沼清一一人でやつたのだという話であつたあということも聞きました。
  391. 角田幸吉

    角田委員長代理 その当時笹沼が運び出して警察でつかまつて、そうしてその警察を買収して、うやむやになつたといううわさがあつたのだが……。
  392. 伊藤茂

    伊藤證人 その当時は確かにありました。
  393. 角田幸吉

    角田委員長代理 そういうことまであなたは耳にしておつたのですか。
  394. 伊藤茂

    伊藤證人 はあ。
  395. 角田幸吉

    角田委員長代理 従つてあのときは何も盗んだのではなかつたのだという感じかしばらくたつてから出た。こういうことになりますね。
  396. 伊藤茂

    伊藤證人 それに間違いありません。
  397. 角田幸吉

    角田委員長代理 他に御質問はありませんか。
  398. 石川金次郎

    ○石川委員 その後あなたのところに専売所の所長根本という人が、あなた方はタバコを運んだことはなかつたかと聞きに行つたことはありませんでしたか。
  399. 伊藤茂

    伊藤證人 参りました。
  400. 石川金次郎

    ○石川委員 そのときどういうことを言いましたか。
  401. 伊藤茂

    伊藤證人 世間では、タバコ倉庫から持つて来たといううわさがあるが、君が持つて来たのかということを申しました。そのときに、確かに私は持つて来ました。廻送する際に自動車が発車したので、あと足らないからすぐ送るといううとで、私はリヤカーで持つて参りましたと申しました。そうすると所長さんは、それが今騒いでおる盗難事件のタバコ関係しておるのかなあということを言いました。ですけれども、そのときに私は、それはどうですか、私はわからないと言つたのです。そのくらいの程度で所長さんはお帰りになりました。
  402. 石川金次郎

    ○石川委員 所長さんは、廻送不足のタバコを持つて行つたということは言わなかつたのですか。あのときのタバコは、廻送不足のタバコつたということは言わなかつたのですか。
  403. 伊藤茂

    伊藤證人 私のところへ来ては、そういう詳しいことは言いませんでした。
  404. 石川金次郎

    ○石川委員 それからあなたは、澁江と二人で持つて来たということも所長に言いましたか。
  405. 伊藤茂

    伊藤證人 澁江と二人で持つて来たことは言いませんでした。
  406. 石川金次郎

    ○石川委員 どうして。
  407. 伊藤茂

    伊藤證人 澁江さんと二人で持つて来たということは、澁江さんに言われてから考えたのです。そうだなあ、そういえば二人で三俵ぐらいずつ運んだことがあつたあということで、初めて気がつきました。自分で運んだことはまさしく覚えておりましたが、それまでは澁江と二人で運んだことは忘れておりました。
  408. 石川金次郎

    ○石川委員 ところがあなたが雇われているうちに、回送不足になつたからというのでタバコを持つて来たことは、何回もありましたか。
  409. 伊藤茂

    伊藤證人 それ一回でございました。
  410. 石川金次郎

    ○石川委員 廻送中不足になつたから補充するタバコだということは、だれから聞いたのですか。
  411. 伊藤茂

    伊藤證人 そのとき私は現場で聞いたのです。
  412. 石川金次郎

    ○石川委員 現場で、だれから……。
  413. 伊藤茂

    伊藤證人 今の肥料部の笹沼清一さんから電話がかかつて来て、今自動車が着いたが、四、三儀足らない、あとすぐ持つて行かなければならないが、一時うちの倉に入れておくのだから持つて来いと言われて、私は持つて行きました。
  414. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたは一人で行つたのですか、笹沼一緒行つたのですか。
  415. 伊藤茂

    伊藤證人 笹沼清一さんは行かなかつたと思います。
  416. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたは行つて、そのことを専売局のだれに話しましたか。
  417. 伊藤茂

    伊藤證人 あの方は常夫で、名前は和久さんといいますか、その当時和久さんという方は確かにおりました。
  418. 石川金次郎

    ○石川委員 その人に言つたのですか。
  419. 伊藤茂

    伊藤證人 はあ。それで持つて来たと思います。
  420. 石川金次郎

    ○石川委員 そうかと言つて、黙つてよこしましたか。
  421. 伊藤茂

    伊藤證人 そう別に詳しいことも言われずに持つて来ました。
  422. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたは常夫の人に何と言つたのですか。
  423. 伊藤茂

    伊藤證人 あと四、五俵足らないから、一時うちの倉に置いて、すぐ送るというような話をして、それで持つて来ました。
  424. 石川金次郎

    ○石川委員 しかし先に送つたものがほんとうに足らないかどうか調べなければ、あなたがそう言つたからといつて、専売所は出しはしないでしようね。
  425. 伊藤茂

    伊藤證人 その場合、ただそれだけで私は持つて来ました。
  426. 石川金次郎

    ○石川委員 そんなに簡単なんですかね。そのときだれかほかにいましたか。
  427. 伊藤茂

    伊藤證人 別に、ほかの方はおりませんでした。
  428. 石川金次郎

    ○石川委員 持つて来てから、何日置いたかということはわからないと言いましたね。
  429. 伊藤茂

    伊藤證人 先ほど申し上げましたが、二日か、三日は倉庫にあつたのを記憶しております。その後どうなつたか別に関心もなかつたものですから、むろん送つたものと思つておりました。それでその後いろいろなうわさがたちまして、ああ、それじやあのときのタバコがどこかに行つてしまつたのか、こういうことを私は初めて知つたようなわけであります。
  430. 石川金次郎

    ○石川委員 しかしその四、五俵のものを、また不足だというので、送るのには何で持つて行くのですか。馬車か何かでやるのですか。
  431. 伊藤茂

    伊藤證人 笹沼清一さんは馬車か何かでやるつもりだつたと私は思うのですり
  432. 石川金次郎

    ○石川委員 毎日あなたは勤めておつたのでしよう。そうすれば馬車で行つたかどうかわかわそうなものですね。あなたはそういう仕事をやらないのですか。
  433. 伊藤茂

    伊藤證人 それが、私は年中うちにばかりいないで、いろいろ使い走りなどをやつておりましたから、たしか私の留守に持つて行つたものとばかり思つておりました。
  434. 石川金次郎

    ○石川委員 それから澁江という人と一緒に持つて来たタバコを入れた倉庫も、同じ倉庫ですか。
  435. 伊藤茂

    伊藤證人 四号倉庫です。
  436. 石川金次郎

    ○石川委員 清一という人の倉庫ですね。
  437. 伊藤茂

    伊藤證人 さようでございます。
  438. 石川金次郎

    ○石川委員 澁江という人が持つて来たタバコは、何俵ぐらい積んでありましたか。
  439. 伊藤茂

    伊藤證人 よく記憶がありませんが、三俵ぐらいだと思います。
  440. 石川金次郎

    ○石川委員 その前に持つて来たと思われるものはなかつたのですか。
  441. 伊藤茂

    伊藤證人 それは記憶がありません。
  442. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたが勤めておるうちに、その倉庫からタバコを何俵か運び出して、どこかに持つて行つたという記憶はございませんか。
  443. 伊藤茂

    伊藤證人 私は記憶がございません。
  444. 石川金次郎

    ○石川委員 その倉庫というのは、清一という人の屋敷の中にあるのでしよう。
  445. 伊藤茂

    伊藤證人 さようでございます。母屋とくつついております。
  446. 石川金次郎

    ○石川委員 そこにあなたは勤めているのでしよう。
  447. 伊藤茂

    伊藤證人 当時勤めておりました。
  448. 石川金次郎

    ○石川委員 それでは澁江という人は、一回か二回でなく、何回も運んだことは知らないのですか。
  449. 伊藤茂

    伊藤證人 私は澁江さんが何回運んだか現状は知りませんけれども、澁江さんはそう申しておりました。それは私はわからないのです。
  450. 石川金次郎

    ○石川委員 見たことはありません
  451. 伊藤茂

    伊藤證人 見たことはありません。
  452. 石川金次郎

    ○石川委員 持つて来て倉庫へ入れたということは知りませんか。
  453. 伊藤茂

    伊藤證人 私が運んだことはありますけれども、澁江さんが運んだことは覚えがないのです。
  454. 石川金次郎

    ○石川委員 倉庫に持つて来たということは……。
  455. 伊藤茂

    伊藤證人 澁江さんが何回運んだという話を聞いて、初めてああそんなに何回も運んだのかなあという程度のことでありまして、見たことはないのです。
  456. 石川金次郎

    ○石川委員 倉庫は、しよつちゆう出入りする倉庫ではありませんか。
  457. 伊藤茂

    伊藤證人 ときたま出入りしております。
  458. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたは運んだタバコは見ませんでしたか。
  459. 伊藤茂

    伊藤證人 澁江さんが運んだタバコですか。
  460. 石川金次郎

    ○石川委員 だれでもいいが、タバコを……。
  461. 伊藤茂

    伊藤證人 ありません。私が運んだタバコ以外のものは見たことがありません。
  462. 石川金次郎

    ○石川委員 これで終ります。
  463. 山口好一

    ○山口(好)委員 澁江さんと運んだのは何俵でしたか、
  464. 伊藤茂

    伊藤證人 よく記憶いたしませんが、三俵ぐらいかと思います。
  465. 山口好一

    ○山口(好)委員 二人で三俵ぐらいでしたか。
  466. 伊藤茂

    伊藤證人 二人で三俵ぐらいかと思います。澁江さんが言うのには、三俵二回ぐらいだと言うのですけれども、私はよく記憶いたしません。
  467. 山口好一

    ○山口(好)委員 リヤカーでございましたか。
  468. 伊藤茂

    伊藤證人 リヤカーでございます。
  469. 山口好一

    ○山口(好)委員 その前にあなたが一人で運んだのですね。
  470. 伊藤茂

    伊藤證人 はあ。
  471. 山口好一

    ○山口(好)委員 これが四、五俵ですね。
  472. 伊藤茂

    伊藤證人 はあ。
  473. 山口好一

    ○山口(好)委員 あなたは二十年の七月に笹沼のところに勤めたのだね。
  474. 伊藤茂

    伊藤證人 はあ。
  475. 山口好一

    ○山口(好)委員 やめたのはいつですか。
  476. 伊藤茂

    伊藤證人 二十二年三月末かと思います。それまで足かけ三年勤めたかと思います。
  477. 山口好一

    ○山口(好)委員 あなたはどういうわけでやめたのですか。
  478. 伊藤茂

    伊藤證人 とにかく終戰前は、喜連川笹沼さんといいますと、羽振りのきいた家でございます。これは喜連川の人はみな知つております。それでは結局、そこへ勤めておれば肩身が広いような気がするのです。それだけ終戦以前までは勢力があつたわけです。それが終戦となると同時に、だんだん町の信用がなくなつて参りまして、小さな三つ子までも一口にやみ清とか、こういうふうに言われるようになつてしまつたのです。私としても、どうもその中里一次さんの牛舎の火災事件なんかも、笹沼がだれかに頼んでつけさせたのではないか、こういううわさがもつぱらになつてしまつた。一躍笹沼さんは町民に対する信用がなくなつてしまつた。つまり見る目がまるで違つて来てしまつた。そういうところに私いつまでも働いていたのでは、何だか気がひけるような気がしますから、いつそのことよして、自由な労働でもした方がよかろう、こう思つてひまをとつたようなわけです。
  479. 山口好一

    ○山口(好)委員 このタバコの事件は、動機にはなりませんでしたか。
  480. 伊藤茂

    伊藤證人 別にタバコの方は動機になりませんでした。タバコの方ももつぱら評判になりましたから、それでタバコ笹沼清一がやつたんじやないか、こういう頭も持ちましたし、それから牛舎の放火事件それも笹沼清一さんがやつたというようなもつぱらの評判でありました。それじや清一がやつたんではないか、こういう頭を持ちました、
  481. 山口好一

    ○山口(好)委員 そういうところには長くはいられないというような考えになつたのですね。
  482. 伊藤茂

    伊藤證人 そういう気持になりましたものですから、よしました。
  483. 北川定務

    北川委員 専売所の倉庫は幾棟ありますか。
  484. 伊藤茂

    伊藤證人 私、記憶いたしておりません。
  485. 北川定務

    北川委員 運搬行つた倉庫ですよ。そうたくさんあるのですか。
  486. 伊藤茂

    伊藤證人 そうですな、倉庫は三棟か四棟ございましようか。
  487. 北川定務

    北川委員 それから、その構内には宿舎がありましたか。
  488. 伊藤茂

    伊藤證人 当時はありませんでした。
  489. 北川定務

    北川委員 そうすると、管理人はどこにおるのですか。
  490. 伊藤茂

    伊藤證人 正門です。入口にございます。現在もございます。
  491. 北川定務

    北川委員 そうするとタバコを持ち出したりなんかするのには、必ず管理人が見るわけですね。
  492. 伊藤茂

    伊藤證人 さようでございます。
  493. 北川定務

    北川委員 それがとがめないのですか。
  494. 伊藤茂

    伊藤證人 私が持つて来るときには、別にとがめませんでした。
  495. 北川定務

    北川委員 しかし管理人がおつてとがめぬというのは、おかしいですね。
  496. 伊藤茂

    伊藤證人 それは確かにとがめませんでした。
  497. 北川定務

    北川委員 管理人と連絡でもとつたのですか。
  498. 伊藤茂

    伊藤證人 そのところは私わかりません。当時は別に今日のタバコ盗難事件というような問題が起きるとは毛頭だに思つておりませんでしたから、気やすい気持で、言いつけ通り四、五俵積んで、ガラガラやつて来ちやつたようなわけで、別に管理人もとがめませんでした。
  499. 北川定務

    北川委員 第一回目があなた一人で三俵ぐらいですか。
  500. 伊藤茂

    伊藤證人 一人で四、五俵かと思います。それが澁江さんが持つて来たのが前か、あるいは私個人でやつたのあとか、その点よく記憶、ありませんが……。
  501. 北川定務

    北川委員 四俵ですか、五俵ですか。
  502. 伊藤茂

    伊藤證人 私個人でやりましたのが四俵……。
  503. 北川定務

    北川委員 澁江と一緒行つて四俵………。
  504. 伊藤茂

    伊藤證人 三俵かと思います。
  505. 北川定務

    北川委員 そうすると七、八俵になりますわ。
  506. 伊藤茂

    伊藤證人 そういうことになります。
  507. 北川定務

    北川委員 あなた一人行つたときには、笹沼から命ぜられて行つたわけですね。
  508. 伊藤茂

    伊藤證人 さようでございます。
  509. 北川定務

    北川委員 廻送の俵数が足らないから持つて来いといつて……。
  510. 伊藤茂

    伊藤證人 はあ。
  511. 北川定務

    北川委員 それから澁江と一緒行つたときは、たれが命じましたか。
  512. 伊藤茂

    伊藤證人 それが、澁江君から言われるまで私気がつかないでいましたものですから、はつきりいたしません。かすかながら、それじや運んだのかなあ、こういう程度でございます。
  513. 北川定務

    北川委員 そうすると、二回とも管理人もしくは専売所の人に断つて来たのですか。
  514. 伊藤茂

    伊藤證人 私の場合は、先ほど申しました通り、和久という常人夫が現場におりまして、その方が見てくれまして、持つて来ました。澁江さんと持つて来た際は、よく記憶がありません。もちろん常夫の方が見てくれたかと思うのです。
  515. 北川定務

    北川委員 澁江と一緒行つたときのことは、記憶がありせんか。
  516. 伊藤茂

    伊藤證人 記憶がありませんです。
  517. 北川定務

    北川委員 結局専売所から、あなた方を通じて笹沼が盗み出したという気持はしませんか。そう思いませんか。
  518. 伊藤茂

    伊藤證人 別に当時私何も知らずに、足りないから送るのだから持つて来い、こういう命令通りつたものですから、別に盗み出したというようなあれも起らないのですけれども。
  519. 北川定務

    北川委員 現在でもそう思わないのですか。
  520. 伊藤茂

    伊藤證人 何にせよ、運んだのは自分なんですから、共犯にでもなつちやうのかな、こういう心配はあります。
  521. 北川定務

    北川委員 そうすると、盗んだような結果になつたと思うのですね。
  522. 伊藤茂

    伊藤證人 そんな結果になつちやつたら、どうも困つちやうと私思つております。
  523. 角田幸吉

    角田委員長代理 ほかに御質問はありませんか。――では御苦労さんでした。  弐は根本彦君ですね。
  524. 根本彦

    根本證人 はあ。
  525. 角田幸吉

    角田委員長代理 一応御注意申し上げますが、これからお尋ねをいたしますことは、憲法第六十二条に基く国政調査の一環として行うものでありますので、証人の自由な良心的御協力を願つてやみません。証人として証言を求めますので一応申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祈祷の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつ黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人か正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられるごととなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。朗読してください。     〔証人根本彦君朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  526. 角田幸吉

    角田委員長代理 それでは宣誓書署名捺印を願います。     〔根本記入宣誓書署名捺印
  527. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたの住所はどこでございますか。
  528. 根本彦

    根本證人 栃木県那須郡大田原町二二〇五番。
  529. 角田幸吉

    角田委員長代理 職業は…。
  530. 根本彦

    根本證人 専売公社社員。
  531. 角田幸吉

    角田委員長代理 年齢は幾つでございますか。
  532. 根本彦

    根本證人 五十四歳。
  533. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたはいつから喜連川タバコ専売所の所長をなさつておるのですか。
  534. 根本彦

    根本證人 昭和二十一年の三月二十六日に赴任いたしまして、昭和二十三年の三月一日に宇都宮に移りました。
  535. 角田幸吉

    角田委員長代理 喜連川タバコ専売所は倉庫がどのくらいございますか。
  536. 根本彦

    根本證人 大体六百坪くらいございます。
  537. 角田幸吉

    角田委員長代理 それは一棟ですか。
  538. 根本彦

    根本證人 六棟です。
  539. 角田幸吉

    角田委員長代理 これは昭和二十一年当時のことですが、ふだんその倉庫におよそ何俵くらい保管されておつたものでしようか。
  540. 根本彦

    根本證人 その点になりますと、大体収納がありまして、満載されますと二万俵くらいだろうと思います。
  541. 角田幸吉

    角田委員長代理 一俵は何貫目。
  542. 根本彦

    根本證人 一俵は正味二十五キロ。
  543. 角田幸吉

    角田委員長代理 その倉庫に入りましてから、他に運搬するような場合には、どういう手続を役所内で取扱い上いたしておりますか。
  544. 根本彦

    根本證人 これは専売局の運送契約を、本局で全国にわたりまして日本通運株式会社と運送契約をいたしまして、それで各収納回送所は、現在の物品出納を取扱う責任官の方で各製造官署べの回送計画を立てまして本局から命令が参りますと、その荷物を運送会社に託しまして送つております。これは全部全国的に日本通運会社と契約しております。
  545. 角田幸吉

    角田委員長代理 これは私承知しておらないのでお聞きしたいのですが、タバコが入りましてから、他に今の運送会社に委託して出す。それらのこと会計検査院で検査するようなことはございますか。
  546. 根本彦

    根本證人 もちろんあります。
  547. 角田幸吉

    角田委員長代理 その会計検査は、一般の金銭出納と同じように翌月だかに報告することになつておりますか、タバコの出入れについてもやはり一般の会計検査と同じように、会計検査院の方に報告しておりますか。
  548. 根本彦

    根本證人 報告は、受取書と計算書は今の出張所の方では一年に一回、三月末にやつております。
  549. 角田幸吉

    角田委員長代理 会計検査院には一年一回やるだけですね。
  550. 根本彦

    根本證人 そうです。
  551. 角田幸吉

    角田委員長代理 それから検査について、会計検査院から出向いて来て調査をいたしますか。
  552. 根本彦

    根本證人 宇都宮の地方局には毎年来ておりますか、出張所の方にはたまたま見えます。ほとんど来ないといつていいくらいですが、宇都宮に来た場合に二、三十張所を歩く場合があります。それはいずれの出張所へ行くか限定はされておりませんが、大体宇都宮には出張所が八つありますが、点々として二箇所ぐらいずつ見ております。
  553. 角田幸吉

    角田委員長代理 昭和二十一年当時もやはり会計検査院で、検査を今と同様にしておりましたか。
  554. 根本彦

    根本證人 やつておりました。
  555. 角田幸吉

    角田委員長代理 その運搬を他にする場合に、伝票と帳簿との関係はどういうふうな組織になつておりますか。これは事務的のことはわかりませんので、わかりやすく大体の取扱い例をひとつお話願いたいのですか……。
  556. 根本彦

    根本證人 大体在庫品の数量報告というものを出しておりまして、本局の方で回送計画を立てまして、そうして各製造官署に必要な原料葉タバコ回送を命令をもつて通知する。たとえば京都の工場へ何方キロ回送しろ、そういう命令が来ますと、それに基きまして、各倉庫の現在高によりまして、物品の出納命令をいただいて品物を出しております。
  557. 角田幸吉

    角田委員長代理 それから今度は具体的に――その喜連川の専売所で運送屋にいろいろな委託をしたとい場合に、物品出納の出納官吏はだれになるのですか。
  558. 根本彦

    根本證人 あの場合は第八類物品になつておりまして、葉タバコの方は八類別にしております。そのときの会計官吏は菊池福衛がやつております。
  559. 角田幸吉

    角田委員長代理 こういうことがなかつたですが。昭和二十一年の夏ごろのことですが、笹沼清一雇い人喜連川の専売所の倉庫から、かつにタバコを搬び出して、そして笹沼清一の所の倉庫に持つて行つたということは御承知がないでしようか、
  560. 根本彦

    根本證人 その点は、私二十一年の四月から七月まで病気のため静養しておりました。その病気欠勤中に、ほかへ回送する葉タバコの積荷を、今の笹沼氏の家で、氏家の代理店をやつてつたものですから、その人に託しまして、回送タバコ氏家に送つたのですが、前の日にトラツクで送りまして、その積み切れながつたタバコを、米俵ばかりあすダツトサンか何かで送つたという実事はあとご突きとめたのですが、それはここへ来ておられる澁江氏が、当時笹沼清一氏の家にごやつかいになつておりまして、あそこを解雇されてから何か感情問題でいろいろなことを投書しまして、私の方へも投書が参つたのですが、その投書ははたして澁江君が投書されたかどうかはそれはわかりませんでしたが、おそらく本人だと思うのですが、町の評判が、澁江さんに聞くと大体わかる。澁江さんも笹沼氏の所から持つて来たのだから、これは多分盗み出したのだろうというような評判が立ちましたので――二十二年の十月ごろかと記憶しておりますが、一応調査の必要があるのではないかと思いまして、澁江氏にも会つて聞き、また会計官吏の菊池君にも内容を調査させました結果、そういう事実がわかりまして、在庫品の調査の結果、帳簿と現品を対照いたしまして、單に誤解に基いてそういうことを言い触らしたという事実を突きとめたことがあるのです。
  561. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうすると、そういううわさがあつたり投書があつたので、帳簿に基いて調べてみた。澁江にも会つたのですか。
  562. 根本彦

    根本證人 澁江君にも私会いました。会つてこういうふうなうわさがある。またあなたが大分とつたというようなことも言つておるという評判を、町のだれかれとなく聞かされたものですから、澁江氏にも会いまして、その事実を突きこめたのですが、まさに澁江氏もその葉タバコを持つて行つたことはわかると言うのですが、それが当時町で宣伝しておるような、笹沼氏が役所の在庫品を盗み出したというような事実はなかつたのであります。
  563. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたの方でも結局一俵も足らなくならなかつた、こういうわけですね。
  564. 根本彦

    根本證人 はあ、帳簿と現在を調査の結果確認いたしまして被害のなかつたことを認めました。
  565. 角田幸吉

    角田委員長代理 タバコの方の会計検査の方はいつ終了しているのでしよう。二十一年の統計というのは、会計検査院の関係は……。
  566. 根本彦

    根本證人 会計検査院は、翌年度の六月ごろまでには、責任は解除されているはずだと思います。
  567. 角田幸吉

    角田委員長代理 翌年の六月ごろまでには責任は解除されておるはずだ、こう思うのですね。
  568. 根本彦

    根本證人 はあ。
  569. 角田幸吉

    角田委員長代理 ところでその会計検査院から来ても、全部の出張所の倉庫等は調べるものではない、こういうわけですか。
  570. 根本彦

    根本證人 そうです。地方局へ行きましては全部一応は見るのですが、出張所の方へは……。
  571. 角田幸吉

    角田委員長代理 参りませんね。
  572. 根本彦

    根本證人 そのときによりまして、甲の出張所を見たり、乙の出張所を見たりして、全部出張所は見ておりません。
  573. 角田幸吉

    角田委員長代理 これは疑うようですが、どうですか。帳簿だけを調べて見たのでは、在庫品と対照しなかつたならば、会計検査院では正確な検査ができないと思うのですが、そこはどういうふうになるものですか。
  574. 根本彦

    根本證人 大体品種別に格納しておりまして、あの当時はことに戦争中で、全国で一番タバコの減つた時代で、非常に原料葉タバコが拂底しておりました。三俵、四俵と帳簿と符合せぬようなことがあれば、すぐわかつたはずだと思います。今のようにたくさんありますと、全部の数量等を権簿を確認するということはちよつと至難な状態になりますが、あの当時は何にいたしましても、非常に原料が逼迫しておりまして、回送先に送るにも品物不足で工場の方から矢のような催促を受けておつた時代ですから、大体検査院から来られても、現品と帳簿ははつきりしたはずだと思います。
  575. 角田幸吉

    角田委員長代理 矢板町にも専売所の倉庫がありますね。
  576. 根本彦

    根本證人 あります。
  577. 角田幸吉

    角田委員長代理 当時これはあなたの所管ではなかつたのですか。
  578. 根本彦

    根本證人 いや私の方の所管でありました。
  579. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたの方の所管ですか。
  580. 根本彦

    根本證人 はあ。
  581. 角田幸吉

    角田委員長代理 矢板町の専売所の倉庫から、何人かがタバコを盗み出して、警察につかまつたというようなうわさがあるのですが、そのことは御承知ないでしようか。
  582. 根本彦

    根本證人 それはありました。あつてちやんと災害の事実申告をして処理しております。
  583. 角田幸吉

    角田委員長代理 何人がこれは盗み出したのですか。だれでしたか、具体的に……。
  584. 根本彦

    根本證人 あれは警察の方にまわつたのですが、この犯人の名前は失念いたしましたが、土地の者ではありませんでした。
  585. 角田幸吉

    角田委員長代理 これは土地の者ではなかつたというのは、どのくらいのものを盗み出したのですか。
  586. 根本彦

    根本證人 盗み出したところをあの付近の人たちに見つけられまして、そうして荷物の被害はなかつたのです。
  587. 角田幸吉

    角田委員長代理 どのくらいのものを盗み出したのですか。
  588. 根本彦

    根本證人 盗み出そうとして倉に入つているところをつかまえまして、警察へあげられたのです。それで現品の被害はなかつたと記憶しております。
  589. 角田幸吉

    角田委員長代理 それは一人ですか、二人ですか。
  590. 根本彦

    根本證人 二人でした。女連れで、何か汽車の中で落ち合つて、女が手伝つてくれと言われたので、一緒に入つたというような申告だつたと私記憶しておりますが、ちよつと記憶がはつきりいたしません。
  591. 角田幸吉

    角田委員長代理 そのタバコの一俵は二十五キロですね。
  592. 根本彦

    根本證人 はい。
  593. 角田幸吉

    角田委員長代理 相当の重いものだし、かさになるからすぐわかると思うのですが、他所の者というのはどこの者であつたのですか。
  594. 根本彦

    根本證人 それはどこでしたか、たしか桐生か、足利あたりの人であると記憶しておりますが、はつきり記憶はありません。ただ倉の中に入りまして葉タバコを解包しまして、そうしてそのうち半分ぐらいを何かふろしきに包もうとしておるところをつかまえたのだと記憶しておりましたのですか……。
  595. 角田幸吉

    角田委員長代理 そうすると大がかりな盗み方ではなくて、少し盗み出すものだつたのですか。
  596. 根本彦

    根本證人 どのくらい持ち出して行くつもりであつたか、ともかくまる俵では持ち切れないものですから、何を解包しまして、葉タバコを包んで持ち出そうとしたところをつかまえまして、その当時その協力者四人に対しましては、感謝状と金一封幾らでしたか差上げて、表彰したはずだと考えております。
  597. 角田幸吉

    角田委員長代理 それ一回のみで、運搬中につかまつたことはありませんか。それだけではなく、もつとあつたのでしよう。
  598. 根本彦

    根本證人 あつたはずです。何回か……。
  599. 角田幸吉

    角田委員長代理 何回ありましたか。
  600. 根本彦

    根本證人 二回か、三回あつたと思いますが、その点は記憶にありません。申し上げるほど記憶にとどまつておりません。
  601. 角田幸吉

    角田委員長代理 しかしあなたの所管に属するところの倉庫から、そういうタバコを記憶にないということはちよつとおかしいではありませんか
  602. 根本彦

    根本證人 ともかく古い話ですからちよつと……。
  603. 角田幸吉

    角田委員長代理 中に入つて盗んだ者はわかつているけれども、あとのものは知らぬということは……。
  604. 根本彦

    根本證人 今のわかつたというのと別ですから、あと何回かそうした事故はあつたはずだと思いますが……。
  605. 角田幸吉

    角田委員長代理 途中でつかまつたということはありませんか。運び出したのを途中で警察につかまつたというようなことはありませんか。
  606. 根本彦

    根本證人 それはちよつと……。
  607. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたの役所の中でつかまつたでしよう。倉庫の中に入つて若干盗み出そうとしたときに現実につかまえたのは警察ではなくて、あなたの方の役所の人がつかまえたのでしよう。どうなんですか。それは…
  608. 根本彦

    根本證人 ちよつと記憶にないのですが……。
  609. 角田幸吉

    角田委員長代理 だつてこれは相当有名な事件なので、あなたのような責任のある方が記憶がないような問題でもなそうにわれわれは考えるのだがね。相当評判となつた事件で、今ごろ記憶がないと言われるけれども、記憶がないというような事件ではないとわれわれの方では見ておるのですが……。
  610. 根本彦

    根本證人 そういう事実のあつたことは思い出せるのですが、その数量だとか、何とかいうことがちよつと記憶にないのです。
  611. 角田幸吉

    角田委員長代理 記憶がありませんか。運び出した途中で警察につかまつたことが何回かあつたでしよう。
  612. 根本彦

    根本證人 それはあつたと思います。
  613. 角田幸吉

    角田委員長代理 何回くらいありましたか。
  614. 根本彦

    根本證人 二回か三回か、会計官吏、責任官吏が警察行つていろいろ犯人の検挙打合せや何かした事実はありました。
  615. 角田幸吉

    角田委員長代理 二回か、三回あつたというのですね。
  616. 根本彦

    根本證人 記憶しております。
  617. 角田幸吉

    角田委員長代理 その二回か、三回あつたというのは、それは他所の人ですか。その付近の人ですか。
  618. 根本彦

    根本證人 その犯人は、何しろ古いことでちよつと記憶にないのです。そう言われましても。
  619. 角田幸吉

    角田委員長代理 ずいぶんお忘れになるものですな。その盗み出したときに、二回か三回とにかく運び出して行つて、途中でつかまつたという事実があつたことは御記憶はありますか。
  620. 根本彦

    根本證人 それは承知しておりません。
  621. 北川定務

    北川委員 葉タバコ二十五キロの価格は幾らですか。
  622. 根本彦

    根本證人 その点はちよつとわかりません。いろいろ等級がありまして、一等、二等、三等と、何等までありましたか、七等まででありましたか、
  623. 北川定務

    北川委員 大体一等は当時どのくらいでしたか。
  624. 根本彦

    根本證人 賠償価格は年々かわつておりまして、当時一キロどのくらいでありましたか、これも記憶しておりませんが。
  625. 北川定務

    北川委員 現在は。
  626. 根本彦

    根本證人 現在は、賠償価格の方はちよつと記憶しておりませんが、大体一俵一万円見当だと思います。
  627. 北川定務

    北川委員 葉タバコを専売公社が収納して、そうして倉庫に入れるまでの手続はどういうことになつておりますか。
  628. 根本彦

    根本證人 耕作人からいわゆる収納しまして、葉タバコの一日の取扱い数量というものをきめまして、そうして耕作人から納付された品物を、これは十キロ、二十キロ、三十キロというものを全部二十五キロに包装しまして、そうしてその日の出来高を倉入れしております。
  629. 北川定務

    北川委員 むろん倉入れされるときは帳簿に記載されましようね。
  630. 根本彦

    根本證人 それはそうです。品種別、等級別にわけまして、そうして出納命令を受けまして倉入れをします。
  631. 北川定務

    北川委員 重連川の専売所から笹沼清一ですか、その使用人をして数回にわたつて葉タバコを持ち出させておる事実があると言つておる人がおるのですがね。そういう事実は今のあなたのおつしやるところでは被害はないと言つておられますが、どちらがほんとうでしようか。
  632. 根本彦

    根本證人 被害はありません。
  633. 北川定務

    北川委員 計算違いとか、そういうことはないのですかね。
  634. 根本彦

    根本證人 ありません。
  635. 北川定務

    北川委員 矢板の専売所では数回にわたつて事故かあつたと言つておられますが、喜連川にはそういう事故は一つもありませんでしたか。
  636. 根本彦

    根本證人 一回か二回その犯罪の形跡がありまして、葉タバコが二、三葉倉のそとに落ちておつたことはあります。それでその当時警察へ届け出たはずだと思いますが、一応そうした事故に対しては、結局責任の会計官吏の方でその始末はしておりまして、片がついたはずだと思います。その他に被害はなかつたのであります。
  637. 北川定務

    北川委員 これは非常にはつきりした返事をせられるのですが、今帳簿を調べてみても、あるいは現物に当つてみてもそれは間違いないでしようか。
  638. 根本彦

    根本證人 ありません。その後の間違いは私責任は持てませんが、当時はありません。
  639. 北川定務

    北川委員 終りました。
  640. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 先ほど委員長からお尋ねになりました点で、澁江、伊藤関係についてお尋ねいたしますが、この澁江と伊藤についてあなたがお聞きになつたそうですね。そうしたらこの両者は何と言つたとあなたは言いましたかね。
  641. 根本彦

    根本證人 いろいろその当時、笹沼氏が持ち出したのだろうというようなデマが飛んでおりましたので、これは澁江さんに聞けば大体わかるだろうというような町の話を聞いたものですから、本人に会つて、こういう事実はあるかと聞いた。ところがタバコは確かに持つて来てほかへ送つた。これは間違ありません。
  642. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 幾ら持つて来たのですか。
  643. 根本彦

    根本證人 それは自分で持つて来たタバコを六俵ばかり送つた、こう言うのです。
  644. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 澁江と伊藤はあなたに何と答えたのですか。もつと具体的に……。
  645. 根本彦

    根本證人 澁江君はそう答えたのです。数量は六俵とはつきりいたしませんが。
  646. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 それをどこへ運んだと言うのですか。
  647. 根本彦

    根本證人 その運んだのはどこへ運んだかわかりませんが、とにかく持つて来たことは事実です。
  648. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 どこへ持つて来たのですか。
  649. 根本彦

    根本證人 笹沼の家の肥料庫へ持つて来たのです。
  650. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 だが、それをどこに運んだか知らないと言つたですね。
  651. 根本彦

    根本證人 そうです。
  652. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 伊藤も同様なことでしたか。
  653. 根本彦

    根本證人 いや伊藤君について聞いたのですか、伊藤君は別段その問題に対しては知らぬと言つたのです。
  654. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 ところが伊藤は事実ここで持つて来たと言つておるのです。あなたには伊藤は知らない言つたのですか。
  655. 根本彦

    根本證人 そう記憶しております。
  656. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 伊藤はそのとき、あなたの記憶としては知らないと答えたと思うというのですね。
  657. 根本彦

    根本證人 はい。
  658. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 そこであなたの方は六俵と思つてつたのですね。ところがこれは十二俵らしいのです。もしこれが十二俵だつたらどうなるのでしようか。
  659. 根本彦

    根本證人 十二俵ではありません。
  660. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 事実十二俵だつたとしたらどうなんですか。あなたの勘定は合わぬ。六俵で勘定が合うわけですね。
  661. 根本彦

    根本證人 もちろんそれは十二俵だつたら合わないことになります。その六俵というのも、私の方ではすでに代理店に引渡した数量であるから、六俵ありましようが、十俵ありましようが、私の方の帳簿には関係がないわけです。
  662. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 帳簿には関係がないか、しかしあなたの方では六俵の記憶でしよう。
  663. 根本彦

    根本證人 そうです。
  664. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 十三俵が真実だとしたら合わない。
  665. 根本彦

    根本證人 すでにかりに百俵なら百俵、これだけを回送請負人に渡した。そのうち、こつちで渡したタバコのうち六俵であろうが十俵であろうがこつちでは関知しない。
  666. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 あなたの方は予定通りのものが向うへ行つておるそうですれ。
  667. 根本彦

    根本證人 そうです。
  668. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 十俵であろうが十二儀であろうが、それは予定通り行つておる。こうしたうわさが立つておりますが、うわさに基いてあなた調べたのでしよう。
  669. 根本彦

    根本證人 はい。
  670. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 そうすると、それが予定通り向うへ運ばれて、あなたの方で不正事実がないということをどういう方法で調べられましたか。
  671. 根本彦

    根本證人 その事件が起きたのは、ちようど私が病気静養中で欠勤中のことなんです。それで澁江氏が笹沼氏の家からひまをとつて、感情問題その他からいろいろその問題が流布されたのは二十一年のできごとが二十二年の十月という一年半も経過してからのことです。
  672. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 それで……。
  673. 根本彦

    根本證人 それで当時取扱つた事実について責任官吏、今の菊地君に聞きましたら、それは結局回送品の雑品を笹沼氏が六俸ばかり運んだ。それであとは倉の中を調べても被害はないというので、結局これは一つのデマにとどまつたということに決着いたしました。
  674. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 係官の菊地、これは何係ですか。
  675. 根本彦

    根本證人 これはいわゆる倉庫係と言つております。物品の出納、保管の責任はその人がやつておりました。
  676. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 倉庫係の菊地に聞いて、そうしてそれを真実なりとあなたは信用したのですか。
  677. 根本彦

    根本證人 そうです。
  678. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 それ以外には調べていないのですね。
  679. 根本彦

    根本證人 結局在庫品の確認をいたしたのですから、それ以外に調べる必要はありません。
  680. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 一年たつても在庫品の確認は簡單ですか。
  681. 根本彦

    根本證人 先ほど申し上げましたように、当時は非常に葉タバコが拂底いたしおりまして、どんどん回送いたしておりましたから、在庫品が少い関係上、それはわかると思います。
  682. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 現地に行かぬから、私はそのお言葉が信用できるかどうか、ちよつとわからぬが、あなたとしてはそれによつて確信づけられるわけですね。
  683. 根本彦

    根本證人 そうです。
  684. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 そうして菊地の言葉とこの二つですか。
  685. 根本彦

    根本證人 はい。
  686. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 笹沼については調べませんでしたか。
  687. 根本彦

    根本證人 調べました。当時役所へ来ていただいて、こういうふうな評判がある、ともかくあなたとしては相当誤解もされておるのではないかと思うが、一体そのタバコについてはどうして誤解を受けたのか、こう聞いたときに、そのタバコは前の日にトラツクに積んで全部持つて行くへきものを、トラツクに積み切れないで残つた分を、あるいは今の澁江氏が持つて来られて、翌日送つたことになつております。送りました。
  688. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 翌日送つたとあなたに答えたのですね。
  689. 根本彦

    根本證人 そうです。
  690. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 それは運送証明でもありましたか。
  691. 根本彦

    根本證人 運送証明はもちろん回送されてからの領収証が来ております。
  692. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 六俵に対して……。
  693. 根本彦

    根本證人 いや六俵ではありません。一口何俵でしたか、量目で三百二十キロとか四百キロとかいうもので来ますから、それに対して回送されてから送り出しました。
  694. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 数量は間違いありませんか。
  695. 根本彦

    根本證人 領改証が来ております。
  696. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 笹沼から聞いた送つた経路というものは、初め送つて、足らぬ分はまた次に送つたのですか。
  697. 根本彦

    根本證人 そうです。一口の残り分を翌日送つたのです。
  698. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 これは調べれば、送つたかどうかということはすぐわかるでしような。
  699. 根本彦

    根本證人 それはわかるはずです。ですが、何しろ古いことですし、運送会社の方でも、六俵あとから届いたかどうかということがはたして記憶にあるかどうかわかりませんが、わかるはずだと思います。
  700. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 そうすると、あなたとしては人の言葉を聞いて信じただけであつて、そうした径路というものは、当つて調べてはおりませんね。
  701. 根本彦

    根本證人 調べておりません。
  702. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 人の言葉を聞いただけですね。
  703. 根本彦

    根本證人 そうです。
  704. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 菊地の言葉を信用し、笹沼の言葉を信用した……。
  705. 根本彦

    根本證人 大体物品の保管の責任は、会計管理に全部持たしておりまして、單に私はその監督の立場だけで、内容は全部その会計管理の責任のもとに取扱つておるので、結局本人を調べまして間違いない。
  706. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 だから、本人を調べて間違いないということであなたは間違いないと信じたのですか。
  707. 根本彦

    根本證人 そうです。
  708. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 そのほか具体的な事実について調査したことはありませんか。
  709. 根本彦

    根本證人 調査はいたしておりません。
  710. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 それからもう一つ、矢板の、さつき委員長からもお尋ねがあつたことに関連するのですが、矢板の専売所の倉庫かしら盗み出した者がある、この盗み出したことに関連して笹沼うわさが飛んだことはありませんか。
  711. 根本彦

    根本證人 記憶しておりません。
  712. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 笹沼矢板の専売所の倉庫から盗み出した、それを運搬中つかまつたというようなうわさは確かめなかつたのですか。
  713. 根本彦

    根本證人 絶対に聞いておりません。
  714. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 笹沼に対してヤミ清という言葉が使われているようですが、これは知つておりますか。
  715. 根本彦

    根本證人 知つております。
  716. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 どういうところからそういう言葉が流布されたと思いますか。
  717. 根本彦

    根本證人 それはわかりません。
  718. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 よろしゆうございます。
  719. 石川金次郎

    ○石川委員 お伺いしますが、喜連川の専売所で倉庫に入らないくらい葉タバコが集まりましたときに、ほかに保管を依頼したことはありますか。
  720. 根本彦

    根本證人 あります。
  721. 石川金次郎

    ○石川委員 昭和二十一年ごろは保管した……。
  722. 根本彦

    根本證人 これは倉が相当余裕がありましたから、ほかには保管しておりませんでしたが、矢板の方は大体自分倉庫で間に合つたことと思いますので
  723. 石川金次郎

    ○石川委員 喜通川では、二十一年には他に保管を依頼したことはなつた、こういうわけですね。
  724. 根本彦

    根本證人 なかつたわけであります。
  725. 石川金次郎

    ○石川委員 それからもう一つ聞きますが、回送の請負人に回送の量を渡しますときは、数えて渡しますでしようね。
  726. 根本彦

    根本證人 もちろん数えて渡します。立会いの上で渡しております。それで渡すと同時に請人を立てております。
  727. 石川金次郎

    ○石川委員 その渡した量が、その日のうちにトラックに積めないで、その渡した場所に残つておることがあるのですか。
  728. 根本彦

    根本證人 それはたまたまあります。渡した以上はその物品の責任は請人に移りますから、こつちは関係しないことになります。
  729. 石川金次郎

    ○石川委員 それは大体渡したものは、どこに置きましたか。
  730. 根本彦

    根本證人 喜連川の場合は……。
  731. 石川金次郎

    ○石川委員 やはり倉庫の中に入れたのでありますか、マル通でも……。
  732. 根本彦

    根本證人 ええ、マル通倉庫の中に運びます。
  733. 石川金次郎

    ○石川委員 どこか、喜連川のですか、専売所で百箱なら百箱、あるいは百俵なら百俵を渡しますね。そして九十俵とか九十五俵しか積めなかつた場合に、その残つたものはどこに置きますか。
  734. 根本彦

    根本證人 残つたものは、別に倉庫がないものですから、便宜専売所の軒下、ひさしの下へ置くような場合があつたと思います。
  735. 石川金次郎

    ○石川委員 そういうことはしばしばあるのですか。
  736. 根本彦

    根本證人 たいていはないはずだと思います。その日のうちに出入り数量だけ大体渡しておりますが、絶対ないとは申せません。
  737. 石川金次郎

    ○石川委員 絶対ないとは言われないが、そうはなかつた……。
  738. 根本彦

    根本證人 大体その日のうちに運び得る数量を渡しておりますから、ないと思います。
  739. 石川金次郎

    ○石川委員 その日のうちに運び出す。それでさつきあなたのおつしやつた六俵ですわ。あなたからいうと、トラックに積載しかねたものを渡したというようにおつしやいましたね。
  740. 根本彦

    根本證人 そうです。積みきれなかつた数量が六俵ばかりあつた。それでもちろんその数量は、今言つたように、役所の軒下へ運び出したのですか、朝持つて行くので、今の笹沼清一の軒下まで持つて来て、そこから積んで行く……。
  741. 石川金次郎

    ○石川委員 それは六俵というのは、一回しかなかつたのですか、あなたの調査の結果……。
  742. 根本彦

    根本證人 一回であります。
  743. 石川金次郎

    ○石川委員 ところで、あなたは澁江とか伊藤をお調べになつたでしようが、澁江の言う何回か運んだということについて、あなたは御調査なさつたでしようね。
  744. 根本彦

    根本證人 いやそれはもちろんやりました。
  745. 石川金次郎

    ○石川委員 そうすると、六俵一回しかなかつたと言つてつたですが。…。
  746. 根本彦

    根本證人 そうです。そのタバコ自分でも持つて来た、こう申しております。
  747. 石川金次郎

    ○石川委員 それ以外に運んだとは言つておりませんか。
  748. 根本彦

    根本證人 言つておりません。
  749. 石川金次郎

    ○石川委員 そこであなたの調べましたのは、六俵一回運んだという事実についてだけ調査したのですね。帳簿が合つておるかどうかということで…。
  750. 根本彦

    根本證人 そうです。もちろんそのときの町の評判が、この間大分朝早く持つて行つたというような評判なものですから、その事件に対してのみ調査いたしたので、ほかにはございません。
  751. 石川金次郎

    ○石川委員 一回だけですね。     〔「その点はさつきから追究しておるのですが、伊藤君のさつきの証言と今の証言とは食い違つておる」と呼ぶ者あり〕
  752. 角田幸吉

    角田委員長代理 私語を禁じます。
  753. 石川金次郎

    ○石川委員 ところが、澁江という人がここで証言してくれたのは、五、六回運んだように言つておるのです。そこでふしぎが起つて来るのですが、あなたにはそういうことを澁江から言つておらないのですか。
  754. 根本彦

    根本證人 それは聞いておりません。私の方の調査の頭が、大体朝早く持出した、それはどこへ持つて行つたかわからない、多分盗み出したのだろうというような評判が立つたものですから、その事件を一応調査しなければならぬと思いまして、その事件を調査したのでありまして、その他については記憶がありません。
  755. 石川金次郎

    ○石川委員 それからもう一つ記憶を呼び起してもらいたいのですが、あなたとしては責任上御調査なすつたと思うのですが、伊藤に聞きました場合に、これはどういうことですか、さつきのお話では明確でございませんので、私たちにはちよつとわかりかねたのですが……。
  756. 根本彦

    根本證人 伊藤君に聞いた場合は、伊藤君もたいへん笹沼氏にも遠慮しておりまして、今の笹沼清一氏の方に対する感情的からまわりから個人的にいろいろ悪口らしいことは言つてつたと思いますが、今の呉服部の方が非常に親切にしてくれたというような建前から、大体聞いてもらちがあきませんので、ほとんどあすこでは、今の葉タバコの持ち出した云々に対しては、こつちの思う通りの回答かなかつた
  757. 石川金次郎

    ○石川委員 しかし持ち出したということは言つておりませんでしたか。伊藤は先ほどあなたに持ち出した事実をはつきり申し上げた、こう言つておるのです。
  758. 根本彦

    根本證人 聞いておりませんですね。
  759. 石川金次郎

    ○石川委員 しかしあなたの調査の目的は、持ち出したかどうかということにあつたのですし、これはあなたの責任もありますから、かなり厳重にお調べになられたと思うのです。御記憶がないことはないと思います。職務からいえば非常に重要なことですから……。
  760. 根本彦

    根本證人 記憶しておりませんです。
  761. 石川金次郎

    ○石川委員 それではもう一度伊藤がここに来て話をしたら思い出しましような。それからもう一つお聞きしておきますが、澁江は、自分が持ち出したことも詳細にあなたに言つたように私たちは証言で聞いたのです。私の誤りであつたかどうかわかりませんが、そのことをあなたはここで、澁江と対質してみたら、記憶を呼び起すことはできますでしようね。
  762. 根本彦

    根本證人 それはできます。
  763. 石川金次郎

    ○石川委員 それで今度は回送品を百俵渡した。九十五俵しか積めなかつた。五俵は預かつた。こういう場合に何日も預かるのですか、どういうことになるのですか。
  764. 根本彦

    根本證人 それはたいてい預かつても、渡せば向うの責任になるのですから、いつまでもほつておいては困ります。今のような場合だと、便宜一晩くらいはこつちて預かるという場合もないではありません。
  765. 石川金次郎

    ○石川委員 そうすると、そのものを請負人に渡すでしよう。そうすると三日も四日も一週間も運送会社に行かなかつたとすれば、非常に故障が起るのじやないですか。
  766. 笹沼清一

    笹沼證人 もちろん起ります。渡せば大体いつ幾日以内に到達するということ名古屋とか京都とか仙台とか、場所によりまして到達日を大体予定しております。
  767. 石川金次郎

    ○石川委員 ですから運送請負人があなたから引渡しを受けたら、何日もそれを自分倉庫保管しておくということはあり得ないことですね。
  768. 根本彦

    根本證人 ありません。
  769. 石川金次郎

    ○石川委員 引受けたらただちに発送してやるということが建前でしよう。日時は切られておりますから……。
  770. 根本彦

    根本證人 そうです。ただあの当時は非常に貨車が拂底しておりましたから、一日過運の方に渡しても、なかなか積出しができないというような場合はもちろんあるのです。建前としては私どもはすぐ送るということが建前です。
  771. 石川金次郎

    ○石川委員 ですが、百俵のうち九十五俵今日は持つて行つた、五俵はまだ行かないということになれば、運送会社に渡すのは百俵として渡さなければならないのですから、喜連川の請負人である笹沼倉庫に何日も置くということはあり得ないでしよう。
  772. 根本彦

    根本證人 笹沼さんの倉庫に置くということはもちろんありません。
  773. 石川金次郎

    ○石川委員 倉庫に預かるということは全然ありませんね。
  774. 根本彦

    根本證人 そういうことはないです。
  775. 石川金次郎

    ○石川委員 それではよろしゆうございます。
  776. 山口好一

    ○山口(好)委員 そうしますと、澁江などは専売局の出張所の倉庫から、リヤカーでもつて、その葉タバコ清一倉庫に運んだ、こういうことをあなたにも話しておりますね。
  777. 根本彦

    根本證人 リヤカーで持つて来たかどうかは。
  778. 山口好一

    ○山口(好)委員 とにかく運んだことは確かにあるのですね。
  779. 根本彦

    根本證人 運んだということは申しておりました。
  780. 山口好一

    ○山口(好)委員 今石川委員が質問せられたときには、そういう場合には、足らなくても大体清一倉庫に運ぶということはない、こういうお答えでしたね。
  781. 根本彦

    根本證人 そうです。
  782. 山口好一

    ○山口(好)委員 そうするとちよつとおかしいですね。
  783. 根本彦

    根本證人 いや、それが今の積み不足の分を役所の軒の下に置いた。それで朝早く持ち出したので、持ち出すときに持つて来た、こう私は聞いておりました。
  784. 山口好一

    ○山口(好)委員 倉庫へ運ばれたとなればおかしいわけでしよう。
  785. 根本彦

    根本證人 そうですね。それはその夕刻でしたか、あるいはあそこへ運んだのかもしれません。
  786. 山口好一

    ○山口(好)委員 そういうことをあなたがもし聞いておるとすればおかしいと思つたでしよう。清一倉庫べ運ばれて……。
  787. 根本彦

    根本證人 ですから積み残りの分を一晩くらいは自分倉庫へ入れることもあつたと思います。もちろん代理店をやつてつたのですから、自分倉庫へ入れておくこともあるのです。
  788. 山口好一

    ○山口(好)委員 それが数回運ばれるというようなことはないわけですね。
  789. 根本彦

    根本證人 数回運ばれるということはおそらくないわけです。
  790. 山口好一

    ○山口(好)委員 あなたは昨日か一昨日喜連川へ行きましたか。
  791. 根本彦

    根本證人 昨日行きました。
  792. 山口好一

    ○山口(好)委員 笹沼の宅へ寄りましたか。
  793. 根本彦

    根本證人 一応寄りました。それに役所の方も調査いたしました。
  794. 山口好一

    ○山口(好)委員 現在笹沼清一は、出張所の方の運搬関係をやつておるわけですか。
  795. 根本彦

    根本證人 やつております。
  796. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたにお伺いいたしますが、伊藤君が運んだというのは、最後に一人で運んだというのは一回で六俵、こう言つております。ところが澁江君は何回かに十二俵運んだ、伊藤君と関係なしに十二俵運んだ、こういうことを先刻ここで言つておるんだが、あなたは澁江君の運んだときと伊藤君の運んだときをごつちやにしておるように考えるんだが、澁江君が二、三回に十二俵運んだということをあなたに言わなかつたかね。
  797. 根本彦

    根本證人 言いません。
  798. 角田幸吉

    角田委員長代理 あなたが澁江君に会つたときは、どういうことを言つたのですか。
  799. 根本彦

    根本證人 ですから先ほども申しましたように、笹沼氏の家では朝早く持ち出したタバコがある。そのことについて調べたので。
  800. 角田幸吉

    角田委員長代理 伊藤君が運んで来たことは澁江君は知らない。ところが澁江君は自分で二、三回に十二俵運んだ、こういうことを言つておるのですから、あなたに調べられたときにも、そういうことを言うはずなんだ。そこに食い違いが起る。澁江君があなたにそういうことを育つたことがないということは間違いないのですね。
  801. 根本彦

    根本證人 記憶しておりません。
  802. 角田幸吉

    角田委員長代理 先刻までないないと言つて、今は記憶しておられないと言つておりますね。
  803. 石川金次郎

    ○石川委員 言葉じりをつかまえるのじやありませんが、あなたはこうおつしやいましたね。澁江が、タバコ笹沼が盗んだということを言い出したのは、一年経過後、感情のもつれがあつて言い出したんだ、こうおつしやいましたわ。
  804. 根本彦

    根本證人 ええ。多分私はそう考えたのです。解雇された当時、すぐあのようなことで非常に笹沼氏を人情のない人だと恨んでおつた。そんなあれから、これは暴露戦術に出たのじやないか、そう私は推測いたしまして申し上げた。ともかくも、その仕事かあつてから一年半というものはずつと経過して、本人も笹沼氏の家にいて、それは黙つてつたのですが、出て初めてそういうことが……。
  805. 石川金次郎

    ○石川委員 感情の疎隔があつてということは何か原因をあなたは聞いたのですか。そうあなたは想像したのですか。そうしてまた感情のもつれがあるから、澁江の言うことがほんとうでないとでもあなたはお思いになつたのですか。
  806. 根本彦

    根本證人 いやそうではありません。そうではないのですが、ともかくもこの物価高に給料を少しも上げてくれない、少しも世の中の事情がわかつてくれないと、相当主人に対して感情を害しておりましたようですから…。
  807. 北川定務

    北川委員 昨日喜連川に行かれたそうですが、専売所にお立ち寄りになつたのですか。
  808. 笹沼清一

    笹沼證人 そうです。きのうは局長も行かれて、ほかに会議がありましたものですから、一緒に行きまして、ともかくも自分としましても、当時の模様もちよつとわからないものですから、最近新聞に出まして、本社からその内容を調査しろというような命令があつたので、喜連川の署長が調べたというようなことを承知しておるものですから、行つて今の在庫品はどうだ、調査の結果はどうだということを、きのう打合せに行きました。
  809. 北川定務

    北川委員 その結果はどうでした。
  810. 根本彦

    根本證人 何ら役所の方には間違いはない、被害はない。
  811. 北川定務

    北川委員 昭和二十一年度の収納した葉タバコと、それから回送した葉タバコ関係を証明される帳簿がありますか。
  812. 根本彦

    根本證人 あります。
  813. 北川定務

    北川委員 照会したらこちらの方に出していただけるですね。
  814. 根本彦

    根本證人 それは出せます。
  815. 角田幸吉

    角田委員長代理 これで一応済みましたけれども、そこに食い違いがありますから、後刻これは対質尋問をしなければなりませんので、御迷惑でも残つていただきたい。
  816. 根本彦

    根本證人 承知しました。
  817. 角田幸吉

    角田委員長代理 この際一時間の予定で休憩いたします。     午後一時二十三分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十七分開議
  818. 花村四郎

    ○花村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  憲法第六十二条に基く国政調査の一環として行くものでありますので、証人の自由な、良心的協力を望んでやまない次第であります。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、ぞの前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祈祷の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただき心いと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。     〔証人笹沼清一朗読〕    宜 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います  昭和二十五年三月十日 笹沼清一
  819. 花村四郎

    ○花村委員長 署名捺印願います。     〔笹沼證人宣誓書署名捺印
  820. 花村四郎

    ○花村委員長 笹沼清一君ですか。
  821. 笹沼清一

    笹沼證人 はあ。
  822. 花村四郎

    ○花村委員長 ひとつ立つて証言を願いたいと思います。職業は。
  823. 笹沼清一

    笹沼證人 肥料及び石油、米穀商をやつております。
  824. 花村四郎

    ○花村委員長 それから本籍は……。
  825. 笹沼清一

    笹沼證人 栃木県喜連町大字喜連川四千四百五番地でございます。
  826. 花村四郎

    ○花村委員長 現住所はどこですか。
  827. 笹沼清一

    笹沼證人 同じであります。
  828. 花村四郎

    ○花村委員長 年齢は……。
  829. 笹沼清一

    笹沼證人 四十九であります。
  830. 花村四郎

    ○花村委員長 それではお尋ねしますが。あなたのところ澁江、伊藤というものを使つてつたことがありますか。
  831. 笹沼清一

    笹沼證人 ございます。
  832. 花村四郎

    ○花村委員長 それはどういう関係ですか。
  833. 笹沼清一

    笹沼證人 私が警防団をやつていましたときに、私が警防団長として澁江を伝令に使つたことがございます。それで今より約十二年くらい前から私のところに出入りもしておりましたし、私の気持もよく知つておりますから、その後うちに用事があつたときにはちよちよい使つておのましたものです。伊藤は常用と申しますか、これは倉の掃除だとか何かに使つたことはございます。
  834. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとそれはあなたのところの雇い人ではないのですね。
  835. 笹沼清一

    笹沼證人 雇い人ではございませんです。給料というものを払いませんが、飯を食べさしてやつたり、幾らかの小づかいくらいをやりましたが、常夫ではございませんでした。
  836. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると用事のあるときには、使うというような関係ですね。
  837. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  838. 花村四郎

    ○花村委員長 そこで昭和二十一年の七月ごろ澁江、伊藤というものをあなたはお使いになつたことがありますか。
  839. 笹沼清一

    笹沼證人 年月日はよく存じておりませんが、その当時はいたと思つております。
  840. 花村四郎

    ○花村委員長 それでその当時あなたが澁江、伊藤というものに、喜連川タバコ専売所に保管してありますところの葉タバコを、あなたの倉庫に運ばしたという事実かあるそろうですね。
  841. 笹沼清一

    笹沼證人 専売所に保管になつておるタバコを私の倉へ運ばしたためしはございません。専売所より氏家回送するタバコは、澁江及び伊藤を使つて運んだことはあると思います。
  842. 花村四郎

    ○花村委員長 回送するということは、当然あなたが回送することを請負つてつたわけでございますね。
  843. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  844. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすればそれは当然の職務ですね。
  845. 笹沼清一

    笹沼證人 はい。
  846. 花村四郎

    ○花村委員長 そうでなく、喜連川葉タバコ専売所の中に保管してあるものを、あなたが、おれの倉庫に持つて来いと言うて、命じて運搬さしたことはありませんか。
  847. 笹沼清一

    笹沼證人 ございません。
  848. 花村四郎

    ○花村委員長 間違いございませんか。
  849. 笹沼清一

    笹沼證人 ございません。
  850. 花村四郎

    ○花村委員長 ところが澁江と伊藤は、笹沼清一、すなわちあなたから命ぜられて、専売所の保管にかかる葉タバコをあなたの倉庫運搬したと言うていますよ。
  851. 笹沼清一

    笹沼證人 専売所にはかぎもかかつておることでございましたし、なおかつ、専売所においでくださればわかりますが、門があるのでありまして、門には守衛がおるのでございます。ですから専売所から運搬するたばこは、許可を得なければそれに手をつけることはできないのでございます。
  852. 花村四郎

    ○花村委員長 手をつけることができるとかできないということは別で、とにもかくにも、専売所にあるものをあなたがこの両人に命じて、持つて来いというので、四回ばかり運んだことはありはしませんか。
  853. 笹沼清一

    笹沼證人 期日と数字はわかりませんが、回送の積み残しのたばこを、伊藤にも澁江にもやらしたことはございますし、なおまた馬車屋にも頼み、トラックにも頼んで、積み残しのたばこの運搬を私の倉へやつておることは往往あります。夕立ちなどになりますと、専売所から積んだタバコをしかもトラックで六十も八十も家の倉庫へ入れておきまして、二日なり三日なり積んでおいて、それをまた持つて行くということもございます。私はここで申し上げますが、何日々々のたばこを十包装とか二十包装ということを申されますが、現に輸送上たくさんやつておるのでございますから、それだけの記憶はございせん。自分の耳にはかつぱらつたとか何とか、あるいは火つけをしたとか、いろいろデマが入つて来ますが、それは一部の者がやるのではないかと考えております。
  854. 花村四郎

    ○花村委員長 それはあなたの正当な職務上で運んだというようなことはありましようけれども、ざつくばらんに言えば盗ませたというようなことにもなるわけですが、そういう事実があつたのじやないですか。
  855. 笹沼清一

    笹沼證人 ございません。
  856. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとこの澁江、伊藤というのは、あなたが仕事のあるときは使つてくれるのだから、どちらかといえば、あなたは恩人になるわけなんですね。
  857. 笹沼清一

    笹沼證人 相当戦争中から、私は澁江なる者には恩にあずかつておると思いますので、かようなことになりましたというのは、喜連川しおきまして、人を使うにいたしましても、また人を雇い入れるについても、雇い入れられる八が、喜連川に党派というものがありまして、ここの代議士になつておりますところの高塩三郎さんと私というものにつきましては、相当今までは何だかんだの疑惑があつたのであります。しかし私はただいま高塩氏とはじつこんの間柄になつておりますが、その前と申しますのは、笹沼派とか高塩派、あるいはそれに使われている人が、あちらから私の方に来ますときには、向うの高塩氏の悪口を言い、また私の方の者が高塩氏の方に行きますと、私の方の悪口を言う。つまり喜連川の政情が今度の問題にも波及しておりますが、まことに喜連川の事件が本庄事件にも相似たような事件になつているということは。
  858. 花村四郎

    ○花村委員長 いや喜連川の政情をお聞きしているのではないので、この澁江、伊藤という者は、あなたがちよちよい使つておるというのだから、食わしてもらつたり、小づかいをもらつたり、いろいろあなたのやつかいになつているわけでしよう。
  859. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  860. 花村四郎

    ○花村委員長 そうしてあなたもめんどうを見ているでしよう。そのあなたのやつかいになつておる澁江、伊藤があなたがタバコ専売所で保管しておるところの葉タバコ運搬しろということを命ぜられて運搬した。これが正当な運搬ならいいか、要するに正当の運搬でない。まあタバコ専売所の保管にたかるやつを、かつてに持つて来たというような、あなたに迷惑のかかるようなことを言うはずがないじやないですか。
  861. 笹沼清一

    笹沼證人 タバコぐらいのものでなくて、ただいま委員長さんに申し上げますが、先だつて北川委員長さんがおいでになりました。それからここにおいでになる山口さん、これは栃木県の選出代議士でありますが、この方がおいでになりまして、よく喜連川の政情をお探りになつたと思うのであります。約三日間ないし四日間にわたつてお調べになつたと聞いておりますが、そのときにタバコの事件もお調べになりました。なおかつ放火事件――中里牛乳屋が町会議員になつておりますが、その町会議員の家にも私がある者を利用して放火さしたということも、ここに山口さんもおいでになりますが、実に私に言わせれば、本日人権蹂躪事件のために私を喚問されましたが、私にとつてタバコの盗難並びに放火の汚名をこうむりましたので、放火につきましても、私ただいまこれをどう処理していいか。
  862. 花村四郎

    ○花村委員長 ちよつとあなたに申し上げますが、お尋ねしないことは、お答えにならないでいいのです。お尋ねしたことだけおつしやつてください。だんだんとあなたの御意見も述べたければ、そういう機会を与えますから、私の方でお聞きしたことだけをおつしやつてください。それで今の澁江、伊藤両人が、あなたにいろいろとやつかいになつて、恩人ともいうべき者だろうと思うのだが、その恩人の不利益になるがごときことをしいて言うことはなさそうに、常識上から考えて思えるのですが、それはどうですか。
  863. 笹沼清一

    笹沼證人 私は、ある一部の者に煽動されてさようなことを申しているのではないか、こう考えております。
  864. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、あなたに反感でも持つていることは別にないわけですね。
  865. 笹沼清一

    笹沼證人 反感を持ちませんでしようが、一般に先ほど申し上げましたように、私の方から向うへ行きますと、私の悪口を向うに言うのが、喜連川の一般の――ただいまの澁江並びに伊藤だけでなく、たくさん例を申し上げますと、よけいなことになりますが、さようなことが往々あるのであります。
  866. 花村四郎

    ○花村委員長 いやそれでこの澁江、伊藤両人か、あなたに何か反感を持つていることはありませんね。
  867. 笹沼清一

    笹沼證人 私の方で、いわば給料もあまりきちきちあげなかつたために、私の方に反感と言いますか、私も少し人使いが乱暴なために、本人がひまをとつたのではないかと考えております。
  868. 花村四郎

    ○花村委員長 ひまをとるといつても、雇い入じやないからひまをとろも何もないわけじやありませんか。
  869. 笹沼清一

    笹沼證人 いや、向うからちよつと来なくなつちやつたんです。
  870. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、給料の拂いでも悪かつたり、あるいは両名の感情を害するようなことでも、あなたはことさらしたという何かあるのですか。
  871. 笹沼清一

    笹沼證人 それはございませんが、給料の払いを必ずきちきち払つておりませんし、伊藤はあの当時自給五円ぐらいで雇つておりまして、給料の点も上げませんで、どこも使い道がないから、私のところにおつたので、そのようなことから給料も上げないで、ただ朝から使つて、夜遅くまで倉の掃除番に使つておるというようなととが、本人の気をそこねたのではないかと思います。
  872. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、給料を拂わぬというのは、いつからどのくらいの間払わなかつたのですか。
  873. 笹沼清一

    笹沼證人 安かつた
  874. 花村四郎

    ○花村委員長 安いのはいいが、いつからいつまでの給料をどの程度拂わないことがあつたのですか。
  875. 笹沼清一

    笹沼證人 給料を払拂わないというのでなく、安いことです。
  876. 花村四郎

    ○花村委員長 給料を拂わないのではなく、給料があまり安過ぎるということですか。
  877. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  878. 花村四郎

    ○花村委員長 それは初めからですか。
  879. 笹沼清一

    笹沼證人 そうでございます。伊藤なんかのごときは、日給が五円でございましたし、終戦後……。
  880. 花村四郎

    ○花村委員長 それが安いといつても、仕事がなくて困つているのに、あなたが好意をもつて使つてくれるというのだから、月給の安いことは本人も承知の上だから、そんなことであなたを恨むようなことはないじやないですか。恨むまででなくとも、不満を持つべき筋合いじやないでしよう。
  881. 笹沼清一

    笹沼證人 私はこれほどまでに、こんな大勢の前に来て、こんなことを言われるというまで覚悟を持つておりませんでした。大分風説にはございました。うちの番頭などもいろいろ聞いて来ましたが、私は出るところへ出ればわかるという考えを持つておりました。
  882. 花村四郎

    ○花村委員長 それでは別にあなたのことを恨むというほどのこともないのですね。
  883. 笹沼清一

    笹沼證人 私、そんなに恨まれるほどの悪いこともしておりません。
  884. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、何人か、何かうしろで使嗾でもしている者があるというのですか。
  885. 笹沼清一

    笹沼證人 私はただいまの喜連川の今までの情勢から申し上げますと、そういうふうに考えております。
  886. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、その使嗾しているというのは、どういう人ですか。
  887. 笹沼清一

    笹沼證人 私の方の反対側の者です。
  888. 花村四郎

    ○花村委員長 たとえばどういう人ですか。
  889. 笹沼清一

    笹沼證人 たとえば現在で申しますると、きようお呼びになつております深尾法順
  890. 花村四郎

    ○花村委員長 それとあなたは……。
  891. 笹沼清一

    笹沼證人 それとももちろんよくありません。また今度の警察問題になつておるところの小口巡査なんかもさようであります。それにまた喜連川の町会議員で中里一雄、小森谷義男、小森谷友輝、それにもう一、二人。
  892. 花村四郎

    ○花村委員長 こういう人が澁江、伊藤を使嗾しておる。こう言われるのですか。
  893. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  894. 花村四郎

    ○花村委員長 それではこの使嗾しておる人とあなたは政敵であるという意味ですね
  895. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  896. 花村四郎

    ○花村委員長 ただ政敵であるというだけですか。
  897. 笹沼清一

    笹沼證人 今度なんかにつきましては、十分私の方に、つまも笹沼を草屋敷にしろとか、草むらにしてやれということを、この連中は大分言つておりました。ことに小口巡査のごときは、喜連川警察署の署長代理をしておつたのですが、評判が悪いので署長代理から下りまして、込山さんという方が署長代理になつたのでございます。
  898. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、こういう今述べられた深尾小口、中里、小森谷、こういう人とあなたとの関係において、何か軋轢があつたわけですか。小口という人は巡査ですから、政敵でも何でもないわけでしよう。
  899. 笹沼清一

    笹沼證人 政敵という事実はありませんが、この連中に使われて動いているということは、事実でございます。
  900. 花村四郎

    ○花村委員長 そこであなたは何党なんですか、政治の方は。
  901. 笹沼清一

    笹沼證人 私はもとは、高塩氏の代議士になつたときは、民自党を応援いたしましたがうもとの系統は民政党でございまして、民主党だというふうに見られております。
  902. 花村四郎

    ○花村委員長 それでは今あなたの述べられた深尾その他四名の者は、何党ですか。
  903. 笹沼清一

    笹沼證人 ただいまになりまして、喜連川の農民組合に属しておる連中でございます。
  904. 花村四郎

    ○花村委員長 農民組合に属しておるというと、政党的に見るとどういうことになりますか。
  905. 笹沼清一

    笹沼證人 政党的に見ますと、民自党でございます。
  906. 花村四郎

    ○花村委員長 それではあなたも民自党だし、それらの人も民自党だから、何も政治的に争うという筋は何らないではないか。
  907. 笹沼清一

    笹沼證人 ところが喜連川において、大草さんという町長も、ただいま民自党でございます。ところが今喜連川の政情は、民自党の仲間で、やはり私どもが大草さんに応援をしているというように、私の方に大分何かにつけて、事がぶつかつてつておるのが現在であります。
  908. 花村四郎

    ○花村委員長 それで澁江、伊藤は、先はどここで調べましたときに、証人から命ぜられて、そうしてあなたの倉庫葉タバコを運んだのであるが、あとで考えてみると、何か窃盗を幇助してやつたような意味に考えられる、こう言つておるのです。そうするとあなたが――これは單刀直入に言えば、あなたが盗まれた、こういうことになるのだ。これらの人が属しておるのは民自党であるわけですから、それをあなたが盗ませもしないのに、盗ましたものであるというようなことを言うとは、ちよつと常識上考えられませんね。
  909. 笹沼清一

    笹沼證人 ただいま政党的に今の喜連川警察が、政友、民政でもめておるのではないのでございます。もとは私どもは、高塩氏を応援したときには、高塩氏が町から出ますから、民自党の者を応援いたしましたが、現在の政党から申しますと、私の子分であるとか一般の者は、まだ民主党に属しておるようでありまして、今までの喜連川の政党から言いますと、高塩氏と私とは、親戚関係になりますから、民自党の高塩氏を応援いたしましたが、喜連川では私を民主党に見ております。
  910. 花村四郎

    ○花村委員長 それではこの深尾だとか、小口だとか、中里だとか、小森谷、こういう者がいかに澁江、伊藤を使嗾したからといつて、あなたにいろいろ長い間やつかいになつてつたものを、それをあなたか二人を使つて絡ましたかのごときことを言うというのは、ちよつとおかしいじやないか。ほんとうにあなたは命じたのではないですか。
  911. 笹沼清一

    笹沼證人 私は現在そんなことは言つておるかどうか知りませんが……。
  912. 花村四郎

    ○花村委員長 いや現在ここで先はどそう言つているのですよ。
  913. 笹沼清一

    笹沼證人 やめさした当時、さようなことを言うておるということを、ちよつと聞きました。それで私さつそく……。
  914. 花村四郎

    ○花村委員長 いやいや聞きましたじやない。あなたが命じてやらしたのではないかと聞いておるのだ。
  915. 笹沼清一

    笹沼證人 そんなことはありません。先ほど私がその通り聞きましたので、その当時の専売所長さんにもそのことを申し上げ、警察でもそのことをよく調べてくれということを申し上げました。
  916. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、やはり全然否認をなさるわけですね、結論は。
  917. 笹沼清一

    笹沼證人 保管タバコを盗ましたことは、全然ございません。
  918. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、一応対質をさせましようかね。御質問がありますか。
  919. 松木弘

    ○松木委員 笹沼多三郎というのは、あなたとはどういう関係の人ですか。
  920. 笹沼清一

    笹沼證人 私のおじになつております。
  921. 松木弘

    ○松木委員 どつちの名義でやつておるのですか。
  922. 笹沼清一

    笹沼證人 多三郎の名義になつております。
  923. 松木弘

    ○松木委員 多三郎氏が名義人で、あなたは陰に隠れていたわけですか。笹沼多三郎氏が営業者で、あなたは営業者じやないのですね。
  924. 笹沼清一

    笹沼證人 営業は、私は笹沼のうちの呉服部、肥料部。総支配人をやつております。
  925. 松木弘

    ○松木委員 先刻澁江と伊藤という人の証言によりますと、あなたの方で昭和二十一年以前までは、専売所の葉タバコ保管をしばしば託されて入れておつたけれども、昭和二十一年ごろは、先の倉庫をこわしてしまつて、その後は専売所のタバコ保管は、委託されておらぬように言つておりましたが、そうですが。
  926. 笹沼清一

    笹沼證人 全然うそでございます。
  927. 松木弘

    ○松木委員 昭和二十一年ごろも、やはり保管をしばしば託されておつたのですか。
  928. 笹沼清一

    笹沼證人 保管というのは、戦争のずつと前でございましようね。保管といつても、回送タバコを私の方で保管して、倉の中へ入れておくことではないのです。回送するのです。
  929. 松木弘

    ○松木委員 回送タバコといいますと……。
  930. 笹沼清一

    笹沼證人 この専売所は六百坪の倉庫があつて、二万俵から収容力があるというわけなんです。
  931. 松木弘

    ○松木委員 それで足りないで、あなたのところへ委託するのですか。回送タバコというのは、どういうことを言うのか。どこかべ持つて行くものを、あなたの倉へ一旦入れて、それから回送するのですか。
  932. 笹沼清一

    笹沼證人 そうでございます。そういうことがあるのてす。
  933. 松木弘

    ○松木委員 それはどういうわけで……。
  934. 笹沼清一

    笹沼證人 喜連川では六十町歩でしたか、二万包装幾らになる、あの時分の包装にしますと。それを喜連川の専売所から、氏家というところへ送るのでございます。
  935. 松木弘

    ○松木委員 氏家というところまでは何里あるのですか。
  936. 笹沼清一

    笹沼證人 約二里ちよつとでございます。
  937. 松木弘

    ○松木委員 それではわずか二里のところなら、回送するためにあなたの倉庫わざわざ入れて回送する必要ばないと思いますが……。
  938. 笹沼清一

    笹沼證人 専売所の方ではその日に出しまして、たとえば百個残つちやつたというようなときに、専売所からタバコ回送を命ぜられるのがたいがい三千八百包装とか四千包装になつて来るのでございます。それを幾日々々に送つてくれということを専売所から命令があるのでございます。それをトラツクをまわして三台なり四台なりで行きまするが、夕方になりますると門を締めてしまいますから、私の方であすの朝早くトラツクで持つて行くのに、夕方専売所から持つて来たタバコを私の倉へ一時入れおきまして、雨が降るとか、表へ置いても危険だからというので、そのタバコを明日なり明後日なり、トラツクをつけ出して氏家に送ることを現にやつております。
  939. 松木弘

    ○松木委員 あなたのところは氏家だけの回送請負ですか。
  940. 笹沼清一

    笹沼證人 その通りです。
  941. 松木弘

    ○松木委員 ほかにはないのですか。
  942. 笹沼清一

    笹沼證人 ありません。
  943. 松木弘

    ○松木委員 先刻澁江という人の証言に、あなたと一緒に専売所ヘタバコをとりに行つた。そこに荷札が張つてある。その荷札は、よく記憶はないけれども、水戸行きと書いであつたものがあつたように思うし、鹿児島行きというのもあつたように思う、こう言つております。あなた。方は今氏家だけの回送委託と言うが、そういうふうに水戸とか鹿児島へ行くのも扱うのですか。
  944. 笹沼清一

    笹沼證人 私のところには鉄道線路かないのでございます。ちよつと地の利が不便な――御案内でしようが、氏家喜連川間は二里の距離がありますが、その当時はトラツクは軍需工場に行つておりまして、割合に少いので、おもに馬車でございました。トラツクでつけられた方が私の方はその日一日に持つて行くから都合がいいが、トラツクでなく馬車で運ぶ。約二里のところに鉄道線路があつて、それが東北本線の氏家という駅に出るのです。
  945. 松木弘

    ○松木委員 氏家から鉄道で運ぶのですか。
  946. 笹沼清一

    笹沼證人 そうです。
  947. 松木弘

    ○松木委員 そうすると結局日述べ託送するわけですか。
  948. 笹沼清一

    笹沼證人 そうです。私の方は日通の代理店で、笹沼多三郎の名称になつております。その輸送の差配を私がやつておるのでござしいます。
  949. 松木弘

    ○松木委員 澁江という人の証言によりますと、日はいつかわからないが、二十一年の七月ごろ朝八時ごろにとりに行つたと言つておりますが、それは専売所の倉庫前に出してあつた
  950. 笹沼清一

    笹沼證人 そうです。先ほど専売所では保管タバコを私にいじくらせたということでありますが、保管タバコは私の方では命ぜられない。専売所の保管タバコは、専売所のひさしに出すのです。それを笹沼に、三千包装あるねということを見せまして、これを熊本に送つてくれとか、永戸へ送つてくれとかいうことを命ぜられますから、それに荷札をつけて水戸なり熊本なりに送るのでございます。ところが三千包装ともなわますと、馬車へつけて行くのに俵数が残りますから、あるいは馬車へつけましても、夕立が来て今から氏家まで行けないというときには、私の倉がわきにございますので、それは専売所の方の御了解を得ておりますから、私の倉へ一時そのタバコを入れておきまして、明日なり明後日なりつけ出してやるということをやつております。
  951. 松木弘

    ○松木委員 あなたは朝八時ごろに澁江という人を連れてタバコをとりに行つたことがありますか。
  952. 笹沼清一

    笹沼證人 あります。
  953. 松木弘

    ○松木委員 八時ごろ、聞くと三俵か四俵らしいね、リヤカーで運んだというのは。
  954. 笹沼清一

    笹沼證人 その数は私存じませんが、一人でありますればリヤカーで六つや四つのものは載せるのです。
  955. 松木弘

    ○松木委員 リヤカーで三俵か四俵運ぶならば、あなたの倉へ一たん持つて行かなくとも、トラックを持つて来れば、すぐそこから氏家へ持つて行けるわけじやないかな。わざわざあなたの倉まで三、四俵のタバコを持つて来て置くというのは、ちよつとわれわれにはわからぬ。
  956. 笹沼清一

    笹沼證人 それはこういうわけです。ひさしへ置きますと、専売所の方で保管タバコ回送するタバコがこみ合つていけないから、笹沼君の方で何百包装氏家へ送つてくれ、その包装はただいま申したように水戸とか熊本と荷札をつけて送りますが、馬車の都合上十包装、二十包装送ることがあるのです。それから専売所のひさしへそれを置くと、ひさしですから雨でぬれたりするから、笹沼君の方へこれだけ回送を委託したタバコだから、君の方へ持つて行けということになりまして朝の八時でありましたら、その当時はあまり専売所の方は出勤しておらなかつたころだと思いますが、その当時よく記憶を確かめましたけれども、留守番の飯坂さんだか菊池さんという方がたいがいおるのですが、その方の御了解を得て、これはせんだつて回送の積残しのタバコだから、一々申し上げませんが、あれだけ残つておるタバコを今持つて行きますからねというので、氏家へ運んでおります。回送するタバコ荷札かついておるから、それは荷札をつけましたタバコは、私の方で氏家まで送らなければならない責任かある俵数でございますから、よく存じております。
  957. 松木弘

    ○松木委員 そうすると手続はどうなるのですか。たとえばあなたが朝八時ごろとりに行かれた。専売所の人はだれもいない……。
  958. 笹沼清一

    笹沼證人 いや、おりました。だれもいないどころじやございません。
  959. 松木弘

    ○松木委員 八時ごろはあなた出勤していないのではないですか。
  960. 笹沼清一

    笹沼證人 そうじやない。これは確かに八時ごろでも、俵数の少いようなタバコは、私の方へ置いても雨にぬれるから、専売所で持つて行つてくれと言うので……。
  961. 松木弘

    ○松木委員 たとえばあなたが何俵どこどこへ送る、その発送手続はどうなるのですか。専売所から何か発送命令が出るのですか。
  962. 笹沼清一

    笹沼證人 命令が参ります。
  963. 松木弘

    ○松木委員 それは朝持つて行つて朝出るのですぬ
  964. 笹沼清一

    笹沼證人 発送命令と申しますのは約二週間くらい前に出ます。出まして、私の方でこのタバコ氏家へ送るとなりますと、私の方から氏家マル通に貨車を請求するのです。熊本へは包装ですから、大がい十トン一軍が四百八十であります。そこで貨車が何事いるからと、熊本へ行く貨車を私の方から要求する。そうすると氏家から、いよく入りましたから、笹沼さんの方ですぐに送つてくれというので、トラックなり馬車なりで順々に氏家に選るのです。
  965. 松木弘

    ○松木委員 あなたの倉庫は一体どれくらいの収容力があるのですか。
  966. 笹沼清一

    笹沼證人 私の倉庫は、ただいま専売所の方に面してあります倉庫が約四坪ほどございます。専売所の道路に面しておらない倉庫が約八十坪ございます。
  967. 松木弘

    ○松木委員 あなたの方で保管されれば、保管料はもらうのですか。
  968. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  969. 松木弘

    ○松木委員 ただ私たち四俵や五俵のものをちよちよこ持つて行くということは、ちよつと考えられないのです。もつと大量に託送されるということを考える。あなたが澁江を連れて朝八時に行つてリヤカーでもつて三俵、四俵運んでも、何十回も運ばなければならない。ところがそのとき一度か二度らしいのだな。そういうことはあるのですか。
  970. 笹沼清一

    笹沼證人 それは澁江ばかりでなく、三丁包装ぐらい残つたときには、馬車屋を使つて運びますが、私は澁江に何包装あのときに運ばせたという記憶がただいまないのです。三十包装ぐらいのときには馬車で運んで、私の倉の中に入れておきまして、それを氏家の方へ出すのです。
  971. 松木弘

    ○松木委員 とにかくあなたは澁江を連れて行かれたことは行かれたのですね。
  972. 笹沼清一

    笹沼證人 行つたような記憶がございます。
  973. 松木弘

    ○松木委員 タバコを運ばれて、あなたの倉へ入れられたことは間違いないですね。
  974. 笹沼清一

    笹沼證人 そうです。それは間違いありません。
  975. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたの方で澁江、伊藤に専売所からタバコを運ばしたことがあると言いましたね。
  976. 笹沼清一

    笹沼證人 はい。
  977. 石川金次郎

    ○石川委員 何回ぐらいか記憶ありませんか。二十一年の六月から八月まで。
  978. 笹沼清一

    笹沼證人 私その回数はわかりませんが、あるいは二包装ぐらいでも運んだことがあるかもしれませんが、記憶はありません。
  979. 石川金次郎

    ○石川委員 量が幾らかもわかりませんか。
  980. 笹沼清一

    笹沼證人 わかりませんですが…。
  981. 石川金次郎

    ○石川委員 それは全部あなたが一たん専売所から託送を受けて、自分が受取つて引受けたもので、運び出したものの残部があつたものをあなたがあなたの倉に持つて来た、こういうわけですか。
  982. 笹沼清一

    笹沼證人 それと、私の倉へ運搬するというのは、澁江ばかりでございませんが、トラックで氏家専売所へつけるのです。つけたところが夕立が参るとか、トラックがパンクしてしまつたというようなきには、私の倉へ入れることもございます。馬車のごときに至りましては、よく夕立にあいますと、シートもありませんから、つけつぱなしで私のところへ持つ来て、そのまま私の倉へ持ち込んで置きまして、発送することもございます。
  983. 石川金次郎

    ○石川委員 そりすると、澁江や伊藤に運ばせたものは、積残しのものを運ばせたとこういうわけですね。
  984. 笹沼清一

    笹沼證人 伊藤を朝やつたというのは、その前の日か、前々日の残つたものを、専売所でも御迷惑だというので、運んだのじやないかと私考えております。
  985. 石川金次郎

    ○石川委員 記憶にははつきりないけれども、運んだとすれば、運ばせたとすれば、積残しのあつたものを運ばしたので、決して不正がないのだ。こういうわけですね。
  986. 笹沼清一

    笹沼證人 その通りです。
  987. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたは先ほど専売局の保管のものは運んだことがない。すなわち専売局ですでに託送のために受取つたものは運ばしたと、こう言いましたね。
  988. 笹沼清一

    笹沼證人 そうでございます。
  989. 石川金次郎

    ○石川委員 そこをはつきり……。
  990. 笹沼清一

    笹沼證人 その通りでございます。
  991. 石川金次郎

    ○石川委員 私そう聞いています。ところであなたがタバコを専売所から運び出したということについて、所長である根本という人から、何か聞かれたことがありますか。
  992. 笹沼清一

    笹沼證人 その後、期日は覚えておりませんが、一年くらいたつてじやないかと思います。大分喜連川というところは、お目にかかつたことがありまして、その際に申し上げたことですが、重連川というところは、ずいぶん人の悪口や投書なんかありますところで、そんなふうなデマがあつたということを聞きましたので、私はさつそくそのことを喜連川警察署の特高刑事の吉成さんに、こうこういう投書があつて迷惑しておるからということを言つてくれと言つたことがあります。それで警察の方にも行つたことがございます。なおまた、ただいまお聞き合せの根本所長さんから、こうこういう投書があつて、またその投書がある前に、喜連川専売所では、その当時労働組合の何かの議論があつた。よく存じております。それは専売所で、工員が専売所の門の中に夜米をたくさん入れたという話があつた。それでその当時根本さんに、米があつたというので、専売所の労働組合がそれを持ち出しまして、専売所の所員のある一部の者が、タバコと米の交換をしたのじやないかというようなデマも飛んだ。その直後にまた私のタバコのデマか飛び出したので、根本さんが私の宅に参りまして、こうこういうことがあるのだが、どうですか。私はそれは、回送の積残しのタバコじやないか、私はそんなことをした覚えは全然ありませんということを、何でも去年と言いましたから、一年くらいたつてから根本さんからお聞き合でがあつた、こう考えております。
  993. 石川金次郎

    ○石川委員 ほかにわたらなくてもいいのですから、お聞きしますことについて、要領だけ答えてください。根本所長があなたに聞きましたことは、どういうことですか。
  994. 笹沼清一

    笹沼證人 澁江とかいうものについて投書があつた笹沼君に関するこなんで、来てくれというので心配して見えました。専売所の応接間がございます。そこで、笹沼タバコを十六包装とか……。
  995. 石川金次郎

    ○石川委員 十五、六包装とか。
  996. 笹沼清一

    笹沼證人 それを何だか四回に澁江に運ばした、こういうわけなんですが、私、考えたのですけれども、リヤカーで四包装ということは、ちよつと力のある者ではもつと運べるのじやないかと思う。この点もちよつと品数が……。リヤカーでわずか六貫目でありまして、軽いのですから、四包装というと十六貫ですから、米一俵ということはないのですから、ほんとうに運ばせるということになれば、私はもう少したくさんの数じやないかと思つたのだが、とにかく十四、五包装を笹沼君が搾取させるように澁江に命じたことがあるか上言つたから、全然さような事実はございませんということをお答えしたことはございます。
  997. 石川金次郎

    ○石川委員 澁江に運ばしたことはない。
  998. 笹沼清一

    笹沼證人 はあございません。つまり窃取した、盗んだということは。運ばせたことはございますが、このタバコを盗んだ――君がそれを矢板に持つて行つたというようなことがあつたかというので、そんな事実はございません、ということを申し上げたことはございます。
  999. 石川金次郎

    ○石川委員 そのときに盗んだことがあるかと聞かれたごとはないとしても、専売所から運んだことはないかとは聞かれなかつたですか。
  1000. 笹沼清一

    笹沼證人 いやそのときには、笹沼さんが澁江を使つてタバコを盗んだというような話だと言うんでして、私はそのときの数は、十五、六包装ばかりということを、根本さんが申されたかどうかということは、私ほんとうに記憶はないのですが。
  1001. 石川金次郎

    ○石川委員 しかしこういうことはなかつたですか。六俵ですか、これは積残りであつて、あなたが託送請負をやつたその積残りが六俵ばかりあつたのを運ばしたことはあるが、そのほかは何も知らぬということじやなかつたですか。そういう話じやなかつたのですか。
  1002. 笹沼清一

    笹沼證人 そういうことはありませんな。全然関知しません。澁江に命じてタバコを盗みとらしたというような話ですが……。
  1003. 石川金次郎

    ○石川委員 それで、ないと證人。
  1004. 笹沼清一

    笹沼證人 ない。そんなことは根本さんも知つておりましたが、私が専売所に出入りして、倉庫から澁江の十六包装だけでなく、馬車なりトラツクなりで、二十、三十くらい私の倉に持つて来て置くことは始終あるのですから、根本さんもさようなことは知つておる思います。あるいは回送タバコを晩方行つてつて来ることもあつたのですから、積残しのタバコを五時ごろになつてトラツクがつけて……。
  1005. 石川金次郎

    ○石川委員 そこで積残しの葉タバコを持つて倉庫に入れておいた。そうすると何日くらい保管しておくのですか。
  1006. 笹沼清一

    笹沼證人 たいがい専売格納――十五、六俵という端つばになりますと、こういうことになるのです。専売所から何千何百包装、三千八百装包送れという、製造の都合で伝票が出るのでございましよう。熊本へ送れというような……。そうすると貨車に積むのが四百八十というような数になりますものですから、専売所の方から四千八百包装を熊本に送れとなれば、四千八百包装は四百八十俵にしますれば約十車の貨車を請求すれぼよいのでございまするが、なかなか専売所ではわれわれの貨車の方の事情を知らないのでございます。三千八百包装送れと言いますから、それを四百八十が一車積みでありますから、九車に割つてあとの半分は残るということがございますから、それを氏家に持つて行つても、氏家では倉庫が一ぱいだから、笹沼さんの倉に入れておけど言つて、私の倉に入れておくということは、一箇月、二箇月はございます。
  1007. 石川金次郎

    ○石川委員 そういうことはある。そういう意味で倉に入れられたことはあるというのですな。
  1008. 笹沼清一

    笹沼證人 その通りであります。
  1009. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、ちよつとお尋ねしますが、その託送を専売所の方からあなたの方に依頼するときは、それは書面で来るわけですね。
  1010. 笹沼清一

    笹沼證人 電話でございます。たいがい電話で先に来るのでございます。
  1011. 花村四郎

    ○花村委員長 いや、先に電話で来るのはいいが、結局は書面で来るでしよう。
  1012. 笹沼清一

    笹沼證人 書面で参ります。
  1013. 花村四郎

    ○花村委員長 それで書面で来て、そうしてあなたの方で託送すべき品物を受取る場合には、専売所の係員が立会いの上で受取るでしよう。
  1014. 笹沼清一

    笹沼證人 そうでございます。その通りでございます。
  1015. 花村四郎

    ○花村委員長 それであなたの方で託送されたものの中で、最低の数量はどのくらいで、最高はどのくらいですか。
  1016. 笹沼清一

    笹沼證人 最低になりますと六包装、二包装というのもございます。極端になりますと、二包装くらいを宇都宮に送つてやる。
  1017. 花村四郎

    ○花村委員長 よけいなことは言わぬでいいから、一番最低は幾らで、最高は幾らか。
  1018. 笹沼清一

    笹沼證人 その点は十包装以下のことがございます。
  1019. 花村四郎

    ○花村委員長 以下だというと、最低はどのくらいですか。
  1020. 笹沼清一

    笹沼證人 ですから、二包装ということもございました。
  1021. 花村四郎

    ○花村委員長 それはすベて専売所の係員が立会いの上であなたの方に渡すわけでしようね。あなたの方がかつて行つて、持つて来るようなことはないでしよう。
  1022. 笹沼清一

    笹沼證人 それはこういうことになるのです。専売所では、何包装を笹沼君の方、私の方を通して今度熊本」送るからというときには、私の方で人夫が行かなければ私が参りまして、専売所の人夫が二万包装も倉に積んであるタバコをかつぎ出して、ひさしに出すのでございます。それを私の方で――専売所では水戸行きとか熊本行きということは荷札をつけませんから、私の方で行つて水戸行きなり熊本行きなりの荷札をつけるのでございます。
  1023. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると託送された場合には、こういうことになりますね。託送すべき荷物の数量等を書面で通知をして来てそうしてその託送すべき荷物を専売所の方で区わけをして、その区わけしたものにあなたの方で行つて荷札をつけて受取るのでしよう。
  1024. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。大体人夫の都合もありますから、専売所に三千八百包装あるとすれば、そのうち出すものは全部ではありません。專売所の方から内払いで出ます。これはひさし関係等がありまして、専売所のひさしは低いので、雨が降りますと濕りますから、ひさしに大量は積めません。大体三千包装くらいとすれば、千包装々々々と、三回くらいに専売所から受取つております。
  1025. 花村四郎

    ○花村委員長 それは、あなたの方で託送を依頼されたものは、専売所の所員から、はつきりここからここまでのものというので引渡しを受けるわけですね。
  1026. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  1027. 花村四郎

    ○花村委員長 そうして、その引渡しを受けた後の保管の権限はあなたの方にあるわけですか。
  1028. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  1029. 花村四郎

    ○花村委員長 そこで、先はど松木委員からお聞きになつたように、朝の八時ごろ行つて受取つたというその荷物は、それは専売所の所員からあなたかそこで引渡しを受けたのですか。
  1030. 笹沼清一

    笹沼證人 たとえば、こういうことがございます。
  1031. 花村四郎

    ○花村委員長 いや、こういうことではない。受けましたか、受けませんか
  1032. 笹沼清一

    笹沼證人 その何包装ということを言われますと、私もその通り専売所に言つたか、言わないか知りませんが、私の方も専売所に出ておりますから、多分こういうことじやないかと思います。専売所に何包装も何包装もひさしに積み残されては、雨にぬれるおそれかあるから、笹沼さん、あなたの方で受取つてくれという話がありました。それで、置いては御迷惑でございましようから、それでは私の方で人夫をやつて引取りますというので引取ることがちよちよいございますから、何包装のものが、そのときに午前八時だつたか、午前十時だつたかということを申されると答弁に窮するのはそこでございます。
  1033. 花村四郎

    ○花村委員長 ですから、数量はわからなければわからないでいいのですが、その朝八時ごろとりに行つた品物は、専売所の所員が立会つて、あなたが受取つたか、受取らなかつたか。
  1034. 笹沼清一

    笹沼證人 そのときには、もちろん専売所の所員に、きのう積み残したタバコを持つて参りますからと言いまして、その当時とまつてつたのはだれだということは記憶がありませんが、専売所の者に言わなければ門かあきませんから、巡視に言つて門をあけます。巡視に笹沼がダバコを積み残したということを言わなければ、巡視が門をあけるわけがありません。それで巡視に一々言つて門があくわけでございます。門があいて私のリヤカーが入つてタバコを積むということになるわけでございます。決して私が黙つてつてタバコを窃取するということはできないことになつております。
  1035. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、そのときは専売所の係員の承諾の上で引渡しを受けたとおつしやるわけですね。
  1036. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  1037. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたは野崎というタクシーに頼んで、葉タバコを運んだことがありますか。
  1038. 笹沼清一

    笹沼證人 ありません。
  1039. 石川金次郎

    ○石川委員 あなたのお宅から氏家かどこか知りませんが、ありませんか。
  1040. 笹沼清一

    笹沼證人 ありません。
  1041. 石川金次郎

    ○石川委員 もう一度聞きます。野崎というタクシーに頼んで、その人にあなたのところから葉タバコを運んだという事実はありませんね。
  1042. 笹沼清一

    笹沼證人 ありません。
  1043. 石川金次郎

    ○石川委員 あるという人がありますから、注意をしなければいけませんよ。
  1044. 笹沼清一

    笹沼證人 はい。
  1045. 北川定務

    北川委員 昨日あなたは根本所長にお会いになつたとがありますか。
  1046. 笹沼清一

    笹沼證人 私きのう宇都宮に会がありましたので行きまして行つてつた根本さんがおりまして、こうこうこういうわけでえらい迷惑だ、あした尋問されるというので、私のところに寄つて行つたことがあります。
  1047. 北川定務

    北川委員 どういう話をしましたか。
  1048. 笹沼清一

    笹沼證人 その程度です。あした行つて呼ばれるのだ。これはボスのことでやかましい公安委員に対して、私もこの間ひつぱり出されて迷惑ですか、こういうことで呼ばれるのだ。しかし新聞で見ると、回送タバコのことで迷惑をしたことがあるから、あのことじやないかということをちよつと申し上げて、私も回送の受拂いを受けるとか何とか言うて、専売所に行つたことで昨日お会いしました。
  1049. 北川定務

    北川委員 あなたがこの葉タバコを巻タバコにして売つたといううわさ喜連川町にはあるようですが、こういう事実はありませんか。
  1050. 笹沼清一

    笹沼證人 ございません。
  1051. 北川定務

    北川委員 そういううわさは聞いておりませんか。
  1052. 笹沼清一

    笹沼證人 聞いておりません。それは私のところで澁紙をやつてつて、女工員があの倉に入つてつたことがあります。その女工員に笹沼タバコを巻かせておつたということがありましたので、女工員の巡査をしております兄さんがおりますから、その兄さんが私のところに来て、あなたはこうこうこういうところの倉でタバコを巻かせておるという風説があるそうですよということを言われた程度で、そのとき私のところで女工を使つて澁紙製造をやつたことがございますから澁紙製造のときに女工員を使つて紙をいじくつてつたとき、タバコを巻いておるということを言つておる者があるということを聞きました。
  1053. 北川定務

    北川委員 それから先にど石川さんかりもお尋ねになりましたが、乗用車のうしろに荷物入れがありますね。あすこにタバコを入れて運んだことがありますか。
  1054. 笹沼清一

    笹沼證人 知りません。
  1055. 北川定務

    北川委員 それも運んだのを見たという人があるのですが……。
  1056. 笹沼清一

    笹沼證人 全然私はそんなことをやつたことはございません。
  1057. 北川定務

    北川委員 これで終ります。
  1058. 花村四郎

    ○花村委員長 この際お諮りいたします。笹沼清一君と澁江等君及び伊藤茂君との対質をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  1059. 花村四郎

    ○花村委員長 御異議なければさようとわはからいます。  澁江さん、伊藤さん、ちよつと立つてください。お尋ねしますが、先ほどあなた方お二人は、二十一年の七月か八月の朝八時ごろ笹沼清一君の命令で、専売所から葉タバコを四回ぐらい運んだことがあるというお話でしたね。
  1060. 澁江等

    澁江證人 はい。
  1061. 花村四郎

    ○花村委員長 その運んだのは、つまり盗んで来た意味に今日から考えれば考えられるというお話でしたお。
  1062. 澁江等

    澁江證人 はあ。
  1063. 花村四郎

    ○花村委員長 ところが、今前におられる笹沼溝一君にそのことを聞いたところが、タバコ専売所から回送を委託された荷物を運ばしたことはあるけれども、盗んだような荷物は運ばしたことはない、こう言われるのですかね。どうですかその点は。――つまりタバコ専売所から託送をされた品物を、自分倉庫へ運べと言うて、あなた方両名に命じたことはあるけれども、それは専売所から依頼をされて、ほかへ送るべき荷物を運ばしたので盗んだ荷物じやないのだ、こう言われるのですよ。それであんた方の先ほど言うたことと違うわけです。その点はどうですか。
  1064. 澁江等

    澁江證人 専売所からタバコを他所へ出すときは搬出票というものを出さなければならないのです。送るときは専売所の係のものが、必ず来てくれるはずだと私は思うのです。
  1065. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、笹沼清一君のところへ専売所から運ぶ場合には、いつも専売所の所員が立ち会つて、そうしてこの際タバコを持ち出すという書面を示して引渡しを受けて運ぶのだ、こういうのですか。
  1066. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  1067. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、二十一年の七、八月ごろの朝八時ごろ、笹沼清一君があなた方に運べと言うて、命ぜられて運んで来た葉タバコは、専売所の所員の引渡しがなかつたわけですね。
  1068. 澁江等

    澁江證人 絶対ありませんでした。
  1069. 花村四郎

    ○花村委員長 引渡しもなければ、搬出の書面もよこさなかつたわけですれ。
  1070. 澁江等

    澁江證人 ありませんです。
  1071. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると結局無断で持つて来たというわけですね。
  1072. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  1073. 花村四郎

    ○花村委員長 その持つて来たタバコはどうしましたか。倉庫に運んだわけですか。
  1074. 澁江等

    澁江證人 そうであります。
  1075. 花村四郎

    ○花村委員長 運んで、その後どうなつたか、わかりませんか。
  1076. 澁江等

    澁江證人 それは自分らはわかりません。
  1077. 花村四郎

    ○花村委員長 笹沼清一さんにお尋ねしますが、ただいまお聞きの通り、あなたが託送を依頼されて、そうして専売所から引継ぎを受ける場合においては、専売所の所員の立会いの上で、しかも搬出票というものを渡されて、葉タバコを持ち出せるのだ、そういうことになつていると言うが、それは聞違いありますまいね。間違いがあるのですか。
  1078. 笹沼清一

    笹沼證人 間違いがあるのです。澁江さんの今申しております……。
  1079. 花村四郎

    ○花村委員長 ちよつと待つてください。澁江さんの申したことじやなくて、こつちの言うことをよく聞いてください。それでもう一度言いますが、あなたが託送を受けた荷物を専売所が持つて来る場合においては、専売所の所員が立ち会つて、そうして搬出票を渡して荷物を持ち出して来る、こういうことになるのですね。それであなたがこの託送の品物を受取るときは、いつでもそうやつておりましたか、おりませんでしたか。それをお聞きするのです。
  1080. 笹沼清一

    笹沼證人 今の搬出票ということについて御説明……。
  1081. 花村四郎

    ○花村委員長 説明はいい。そういうことになつてつたか、なつておらぬか。その結論たけ言うてください。だんだんに聞いて行きますから……。
  1082. 笹沼清一

    笹沼證人 搬出票を持つて、専売所の人が立会つてタバコ運搬するのが普通であるけれども、そのときに搬出票もなければ、人夫もおらなかつたからというお話を御説明しようかと思つて、ただいま申したのですが、搬出票というのは、専売所の倉へとても置き切れないから、私の倉へ保管してくれというときは出ますが、回送タバコには、私の方では何も澁江ざんに搬出票を出す必要はないのでありまして、私の方では馬車屋に全部まとめた包数を出せばいいのです。馬車屋には搬出票というのを出しますが、澁江さんに出すきは、回送のときは搬出票がございません。
  1083. 花村四郎

    ○花村委員長 ちよつと待つてください。そうすると、専売所。倉庫に荷物を置き切れないから、あなたの倉店へ預かつてくれと言うて、頼まれて品物を預かる場合には、搬出票がいるというのですね。
  1084. 笹沼清一

    笹沼證人 さようでございます。
  1085. 花村四郎

    ○花村委員長 それからそうでなくて、この葉タバコをどこそこべ送つてもらいたいというので、託送の依頼を受ける場合においては、搬出票はいらぬというのですね。
  1086. 笹沼清一

    笹沼證人 そうです。搬出票は馬車屋、トラツクに私の方で渡すのが原則でありますが、回送たばこには搬出票は出しません。
  1087. 花村四郎

    ○花村委員長 搬出票というのは、専売所から出るのではないですか。
  1088. 笹沼清一

    笹沼證人 専売所から出るのですが、専売所から伝票をもらいまして、私の方で書きまして、そうして搬出票を巡視に見せるのです。専売所には巡視が必ずおりますから、荷車を引いて行くときに、この通りといつて搬出票を持つて行くのです。
  1089. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたの方でタバコを専売所から受取るときには、これこれの荷物だと言うて、荷物を指示して限定するわけでしよう。
  1090. 笹沼清一

    笹沼證人 そうでございます。
  1091. 花村四郎

    ○花村委員長 そのときには、専売所からあなたに搬出票というものを出すのじやないですか、あなたに渡すのでしよう。
  1092. 笹沼清一

    笹沼證人 回送ですか、保管ですか。
  1093. 花村四郎

    ○花村委員長 回送の場合です。
  1094. 笹沼清一

    笹沼證人 回送の場合は、私の方で専売所にりまして、そうしてトラツクに何包装何千包装のうちとして、回送のときに手形を出すのであります。それからその積残しの方はまたうちへ持つて来て、トラツク氏家へ行くものに手形を出すのであります。
  1095. 花村四郎

    ○花村委員長 そこのところがはつきりしないのだが、そうすると、澁江さんにお尋ねしますが、この笹沼君のところで託送を受けた荷物を専売所から受取るときには、専売所で笹沼君の方から行つて受取るべき荷物を指示されて、しこれと、これをどこへ送つてもらいたいと言うて荷物を指示されて、そこで引渡しを受けるだけですね。
  1096. 澁江等

    澁江證人 そうです。
  1097. 花村四郎

    ○花村委員長 そうしてその引渡しを受けたときに、同じ搬出票というものを専売所から笹沼の方へくれるでしよう。そうしてその搬出票というものは、要するに専売所から持ち出すときに門衛か何かに見せるにふうものなんでしよう。
  1098. 澁江等

    澁江證人 それは専売所の守衛のところへ置いて出るわけであります。
  1099. 花村四郎

    ○花村委員長 その荷物を持ち出すのに、守衛のところへ置いて来るものですね。
  1100. 澁江等

    澁江證人 そうです。
  1101. 花村四郎

    ○花村委員長 それでは専売所から出すものでしよう。
  1102. 澁江等

    澁江證人 そうです。
  1103. 花村四郎

    ○花村委員長 それでは笹沼君にお伺いしますが、今澁江君が説明された説明が合理的のように思うのだが、あなたの方から託送を受ける荷物を専売所へ行つて受取るときは、その託送を依頼された荷物の指示を受けて、そうしてそこで引渡されて、それを外へ持ち出すのにこの搬出票というものがいるのだがら、従つてこの荷物は持ち出してもいいのだという搬出票をもらつて、そうしてその守衛に搬出票をやつて門の外へ持ち出す、こういう順序になるという今の説明が、これはぼくらにも納得できろのです。
  1104. 笹沼清一

    笹沼證人 その専売所から。
  1105. 花村四郎

    ○花村委員長 ちよつとお待ちください。そういう手続をを経つのじやないですか。
  1106. 笹沼清一

    笹沼證人 その手続が、委員長さんちよつと違うのでございまして保管するタバコと、回送を委託されたタバコとでは、その搬出票を出すのと出さないのがあるのであります。保管をする……。
  1107. 花村四郎

    ○花村委員長 その保管の方は先ほどの説明でわかりました。
  1108. 笹沼清一

    笹沼證人 回送タバコには、澁江さんが出そうがだれが出そうが守衛には何も出す必要はないのであります。私の方が何千包装というものを受取るのでございますから、その受取るタバコマル通へ専売所から何千包装行かなければ、私の方へ専売所の方から損害の請求が来るのでございますから、その私の方で受取つたタバコは、守衛にも何ら見せる必要もなしに、このタバコ回送でございますからと守衛に言えば、それで門を通るのでありまして、そのままうちえ持つて来るのが現状であります。私の倉にタバコ保管するときには、搬出票というものかいるのでございます。回送タバコ保管タバコと、そこに二つは違いがあることを委員長さん御了承願いたいのであります。
  1109. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、あなたの方で託送を受ける荷物については、搬出票というものはもらわない、こういうのですか。
  1110. 笹沼清一

    笹沼證人 回送タバコですか。
  1111. 花村四郎

    ○花村委員長 いや回送するタバコを受取つて、専売所から持ち出す際には搬出票というものはいらぬ、こう言われるのですが。
  1112. 笹沼清一

    笹沼證人 私の方で馬車屋に荷物の送り状というものを出します。
  1113. 花村四郎

    ○花村委員長 そんなことは当然のことで、お陶きしないでもいいのです。あなたの方と運送屋のことはお開きしないでいいのです。専売所とあなたのことを聞いているので、専売所から託送する荷物を受取るときには――よく聞いてくださいよ。受取るときは受取つて、そして専売所の門の外へ持ち出すときは搬出票というものはいらぬ、こう言われるのですか。
  1114. 笹沼清一

    笹沼證人 私の方では、回送タバコには搬出票はただいま使つておりません。
  1115. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたが使つているのじやない。専売所からあなたの方へ渡すことはないのですか。
  1116. 笹沼清一

    笹沼證人 ええ、ありません。そういう手形の煩雑はただいまやつておりません。
  1117. 花村四郎

    ○花村委員長 この際お諭りいたします。根本彦君もあわせて対決いたさせたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  1118. 花村四郎

    ○花村委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。  根本彦君ですね。
  1119. 根本彦

    根本證人 さようであります。
  1120. 花村四郎

    ○花村委員長 根本彦君ちよつとお尋ねしますが、この笹沼清一君がタバコ専売所より託送を受ける荷物を受取る場合には、専売所へ笹沼君の方から行つて、そしてあなたの方の係員が立ち会つて、この荷物とこの荷物をどこそこべ送つてもらいたいというので指示するわけですね。
  1121. 根本彦

    根本證人 そうです。
  1122. 花村四郎

    ○花村委員長 その指示なしにかつて行つてつて来るということはあり得ないのですね。
  1123. 根本彦

    根本證人 ありません。
  1124. 花村四郎

    ○花村委員長 それで指示された荷物を専売所から専売所の外へ運び出すという場合、何か搬出票というものを笹沼君の方へ渡すわけですか、渡しませんか。搬出票は渡して、そうしてその搬出票を持つて荷物を外へ運び出すというときに、その搬出票は門衛に渡して、そうして表へ運び出す。こういう順序になるのではないですか。
  1125. 根本彦

    根本證人 搬出票でなく帳簿の上で受けをとつております。
  1126. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、その搬出票というものは必要ないですね。
  1127. 根本彦

    根本證人 搬出票は、一応運び出す人に便宜書いて持たしてやつておると思いました。私実際の取扱いはちよつとはつきり。
  1128. 花村四郎

    ○花村委員長 大事な取扱いなんだが、あなた知りませんか。とにかく荷物を引渡したにしても、その門の外へ持ち出すのに、守衛が番をしておつてもわからないじやないですか。引渡した人が門のところまで一緒にくつついて行くんならばわかるけれども、引渡しつぱなしでおつて、そうして引取つた人がかつてに門のところから持ち出す場合に、正当のものを持ち出すか、不正のものを持ち出すか、その監督の任に当つておる守衛にはわからないじやないですか。
  1129. 根本彦

    根本證人 それは帳簿の上で受けをとりまして、運転手はマル通の伝票を持つて行くことになつております。その荷受人の方の。
  1130. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたの方は荷受人とは関係ないわけですよ。あなたの方では託送するのですから、従つて当人に対して引渡すわけでしよう。そこで笹沼君の方でマル通を頼むか、あるいは運搬する集達だけを頼む、こういう順序になるのではないですか。
  1131. 根本彦

    根本證人 そうです。それは構内で引渡しました以上は、責任が移つて行きますので、門ではもちろん数えてみますが、伝票は取扱つておりません。
  1132. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、こういう場合はどうです。専売所の倉庫が一ぱいで葉タバコを置けない場合には、笹沼清一君の倉庫へ入れてもらうという場合があるわけですね。そういうことはありますか、ありませんか。
  1133. 根本彦

    根本證人 正式にはそういうことはないようです。
  1134. 花村四郎

    ○花村委員長 正式にはないと言うんが、それでは正式でない場合はどういう場合がありますか。
  1135. 根本彦

    根本證人 それは今言つたように、積残りがあつたとかなんとかいう場合には、あるいはそんな取扱いをする場合もないではないと思います。
  1136. 花村四郎

    ○花村委員長 積残りではありません。こつちの言うことをよく聞いてください。あなたの方の専売所の倉庫へ荷物が入らないという場合があつたときには、笹沼清一君の倉庫があいておるから、そこへ入れられない分を預けるということがあるかないか
  1137. 根本彦

    根本證人 ありません。
  1138. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると笹沼君どうですか。先ほどあなたは、専売所で積みきれない場合には、私の倉庫で預かる。預かる場合には搬出票をもらうんだ、こういう話であつたのですが、今根本君の言われるところによれば、そういうことはないというのはどうですか。
  1139. 笹沼清一

    笹沼證人 根本さんは、タバコには回送タバコ保管タバコと二種類あることをよく御承知願いたいと私は思います。私のところでは、根本さんが所長になつてからは、根本さんと保管タバコの契約をいたした覚えはございません。回送タバコ根本所長さんと私の方のマル通との関係上契約をしたことはございます。保管タバコの契約をしたことはございませんから、根本さんは保管タバコの受渡しの様式は御存じないと思います。
  1140. 花村四郎

    ○花村委員長 どうですか根本君、今の言われることは……。
  1141. 根本彦

    根本證人 その通りです。
  1142. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、澁江等君にお尋ねしますが、今お開音のようなんで、あなたの言われるのとちよつと違いますが、それはあなたの考え違いですね。
  1143. 澁江等

    澁江證人 自分昭和十五年の召集以前は専売所へタバコが入りきれない場合は、笹沼さんの倉庫保管して入れたことがあります。そのときには自分笹沼さんの人夫としてタバコを積んだことがあります。
  1144. 花村四郎

    ○花村委員長 そのときには搬出票がいつた、こういうこですか。
  1145. 澁江等

    澁江證人 そのときは搬出票がなければ、専売所からは一俵もタバコを出すことができなかつたのです。
  1146. 花村四郎

    ○花村委員長 それで先ほどお尋ねしたように、笹沼溝二君はあなた方に託送以外の不正なタバコを運ばしたことはないと言うが、どうですか。それはあるとあなた方お二人ともおつしやるのですね。
  1147. 澁江等

    澁江證人 そうです。
  1148. 花村四郎

    ○花村委員長 それで根本さんにお尋ね上ますが、タバコを盗まれたというようなことは、あなたの時代になつてありましたか。
  1149. 根本彦

    根本證人 大分その評判が高くなりましたので、当時ここに見えられる澁江氏につきまして、その事実を突きとめたのです。ところがこれはまさしく持つて来たことはあるという言質のために、一応調べるからといつて笹沼ざんを調べまして、その結果が回送品の積残しだという事実なので、あと私の方の係の主任にそれを調査させました結果、帳簿と在庫品が符合して被害がなかつた事実を認めまして、単にデマだつたということで調査を打切つた事実があります。
  1150. 花村四郎

    ○花村委員長 何かほかに御質疑はありませんか。
  1151. 松木弘

    ○松木委員 根本さんにお尋ねいたしますが、あなたは一応文書と倉庫を調べてそういうことはなかつたというのですが、それは幾日間くらいに調べられたのですか。
  1152. 根本彦

    根本證人 それは一日ぐらいでわかりました。     〔委員長退席、古島委員長代理着席〕
  1153. 松木弘

    ○松木委員 それではお尋ねしますが、専売所で各所べ配給する葉タバコは大分方々へ行くようですね。鹿児島までも行くように聞いておる。そうすると、それが正確に発送されておるかどうかということは、そういう方面を調べなければわからないじやないですか。ただ記録の上で今日は幾らで、明日は幾らだ、倉庫から出た数字はわかつても、向うへ行つた数量がはつきりしないじやないのですか。
  1154. 根本彦

    根本證人 先の受入れ官署から全部領収書をいただいております。
  1155. 松木弘

    ○松木委員 受入書の来ないものもあるでしよう。
  1156. 根本彦

    根本證人 ありません。
  1157. 松木弘

    ○松木委員 そんなことはないでしよう。
  1158. 根本彦

    根本證人 ありません。領収書をいただきまして領収書が入りましてから、初めて帳簿の方は。
  1159. 松木弘

    ○松木委員 領収書というのはどこから取るのです。
  1160. 根本彦

    根本證人 鹿児島へ行けば、鹿児島の会計官吏から領収書をいただきまして、その領収書によりまして、出納簿の出入りを書くのです。
  1161. 松木弘

    ○松木委員 それはわかりますが一日の間に調べがつくということは想像できない。毎日発送するでしよう、毎日発送しておるのに、こういうところへ行つたものが、届いておるかどうかということはわからぬじやないですか。
  1162. 根本彦

    根本證人 わかります。
  1163. 松木弘

    ○松木委員 わかるというのはおかしい。
  1164. 根本彦

    根本證人 わからなかつたらおかしいでしよう、わかるのです。
  1165. 松木弘

    ○松木委員 いや受取りがあればわかるのですが、たとえばきのう鹿児島へ三度発送した、それが着いているか着いていないかわからぬじやないですか。そんなことはわかるはずないでしよう。
  1166. 根本彦

    根本證人 役所の方は一旦マル通に引渡した分は、着くまでは……。
  1167. 松木弘

    ○松木委員 いやマル通から受取りが来ておると言うならそれはいいです。あなたは受入れ官署から受取りが来ておるからとおつしやるから質問する。マル通へ託送して、マル通から受取りが来ておるならそれは確かですが、そういうことはないはずです。
  1168. 根本彦

    根本證人 いやマル通へ渡しましたときには、その責任は着くまではマル通の責任で役所の責任を離れております。
  1169. 松木弘

    ○松木委員 あなたは受入れ官署から受取りが来ておるから確かだとおつしやるから、私は聞くのですけれども、マル通から受取りが来ておるならそれはわかります。
  1170. 根本彦

    根本證人 いやマル通から受取るというのは、引渡しと同時に……。
  1171. 松木弘

    ○松木委員 それなら言いましよう。笹沼氏に託送されるときには、笹沼氏から受取りを取られますか。
  1172. 根本彦

    根本證人 それはただいま申し上げたように、帳簿の上でこれだけ受取つたという受印を取るのです。
  1173. 松木弘

    ○松木委員 判を取るのですか、その都度。
  1174. 根本彦

    根本證人 そうです。百包あれば百包受取りましたという領収書もとつております。
  1175. 松木弘

    ○松木委員 託送命令は発するのですね。
  1176. 根本彦

    根本證人 そうです。
  1177. 松木弘

    ○松木委員 その命令書というのはないのですね。
  1178. 根本彦

    根本證人 命令書というのは、帳簿の上で……。
  1179. 松木弘

    ○松木委員 帳簿の上でただ笹沼氏に託送したというふうに書くのですか。
  1180. 根本彦

    根本證人 そういうような書式になつております。運送契約書に託送人がだれだれと名前を書いて、そこへ立ち合つた受取人のはんこを取つております。
  1181. 松木弘

    ○松木委員 そうすると、あなたのは結局笹沼氏の受取りと、託送というか回送というか、それと合わせてみて、合つたというふうになるのじやないのですか、そうじやないのですか。
  1182. 根本彦

    根本證人 いやそれはマル通へ着いた分は、届くまでの責任はマル通が負いまして、回送先へ届ければ、今度受入れ官署から領収書が来て、初めて帳簿を離れまして、在庫品がこれだけだということになつて行きますので、回送途中の分は回送途中として載つておりますから、回送途中に何俵あるのか、それに今度は在庫品が幾らあるのか、そして……。
  1183. 松木弘

    ○松木委員 あなたの言うことはよくわかりますが、回送途中にあるものが正確かどうかということはわからない、日通から受取りが出れば、それは日通を信用してさしつかえないけれども、回送途中にあるものは確かだとあなたがおつしやることが理解されないのです。
  1184. 笹沼清一

    笹沼證人 それはごもつともです。
  1185. 古島義英

    ○古島委員長代理 ほかに何か御質問はありませんか。
  1186. 北川定務

    北川委員 澁江等君に伺います。先ほど申されました通り、大体十二俵の葉タバコ笹沼清一君と一緒に専売所から笹沼氏の四号倉庫の中に運んだことは、間違いありませんね。
  1187. 澁江等

    澁江證人 間違いありません。
  1188. 北川定務

    北川委員 それから笹沼君のその倉庫から、乗用車のうしろの物入れに葉タバコを入れられて氏家方面に持ち出したということも間違いありませんね
  1189. 澁江等

    澁江證人 これは一回記憶しております。
  1190. 北川定務

    北川委員 記憶しておるというのは、見ておりますね。
  1191. 澁江等

    澁江證人 見ております。
  1192. 北川定務

    北川委員 それは間違いありませんね。
  1193. 澁江等

    澁江證人 間違いありません。
  1194. 北川定務

    北川委員 けつこうです
  1195. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 根本さんにひとつ伺います。大体喜連川で幾らほど年に取扱つておりますか。
  1196. 根本彦

    根本證人 その年の反別によつて違うのですが、二百四、五十町歩から三百町歩ぐらいの年もありましたが、あの当時は反別が大体二百六十町歩ぐらいでありましたから。
  1197. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 何俵ぐらいですか。
  1198. 根本彦

    根本證人 一反歩大体十俵平均ぐらいと見ましても、およそ二万六千俵ですか。
  1199. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 それを託送を頼むときには、大体一応笹沼の方へ、このタバコは託送するということを言うのですか。それともこのタバコということを指定するのですか。
  1200. 根本彦

    根本證人 それは百包なら百包構内へ出しまして、それに鹿児島行きなら鹿児島行きの札をつけまして、――これは一日のうちに鹿児島へ出したり広島へ出したりするときがありますから、回送者を間違えないために、全部黄色い色をつけたり、赤色をつけたりして札にしるしをつけまして、そして鹿児島行きが百包なら、それを全部数えて、立ち会つて渡しております。
  1201. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 そのとき一回だけ立ち会うのですか、
  1202. 根本彦

    根本證人 そうです。
  1203. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 笹沼君に聞きますが、そうですが。
  1204. 笹沼清一

    笹沼證人 大体あのひさしに積みますものは、八箇町村ぐらいから出るのです。それで、たとえば、熊本へ八千包装送るというような場合、八百包装ずつ出せば十日間で出せる。あるいは一日に千大百包装出れば、五日間にひさしにあるものを全部送り出せる。そういつたタバコを私の方で点検いたしまして、八百包装熊本に送りましたときには、専売所に帳面がありますから、その帳面にはんこを押しまして……。
  1205. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 ちよつと待つてください。それを託送人、つまり馬車屋や自動車屋なりにとりにやるときに、その葉タバコを一度あなたの方で検査して受け取りますね。
  1206. 笹沼清一

    笹沼證人 点検して受取ります。
  1207. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 その受取つたタバコを、あなたの方から荷車引きなわあるいは自動車の運転手なりに、これだけを前持つて行けということを命令するときに、あなたの方からは、一応これだけ出せということを書くわけですね。
  1208. 笹沼清一

    笹沼證人 書きます。
  1209. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 それが委員長が言われました出荷証……。
  1210. 笹沼清一

    笹沼證人 回送タバコの搬出票ではなくて、つまり出荷証です。その出荷証をトラツクなり馬車屋が持つてマル通に行くわけです。
  1211. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 よくわかりました。根本さんにもう一度伺いますが、大体マル通の受取りを一応御信用になつているのですね。
  1212. 根本彦

    根本證人 そうです。
  1213. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 トラツク屋や馬車屋に一応搬出を命じまして、これがマル通に渡しますね。そして結局マル通の受取りを一応持つて来るわけですね。
  1214. 根本彦

    根本證人 それは帳簿でやります。
  1215. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 今全然被害がなかつた、こういうお話だつたが、これはその後において、各転送先の専売局から、被害のあつたというような報告がありましたか。
  1216. 根本彦

    根本證人 ありません。
  1217. 吉田省三

    ○吉田(省)委員 わかりました。
  1218. 古島義英

    ○古島委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。ありませんでしたら、どうも皆さん御苦労さまでした。     〔古島委員長代理退席、北川委員長代理着席〕
  1219. 北川定務

    北川委員長代理 名前は大草寛君ですか。
  1220. 大草寛

    大草證人 はい。
  1221. 北川定務

    北川委員長代理 年は。
  1222. 大草寛

    大草證人 五八才です。
  1223. 北川定務

    北川委員長代理 お住所はどちらですか。
  1224. 大草寛

    大草證人 栃木県塩谷郡喜連川大字喜連川四千四百八十四番地です。
  1225. 北川定務

    北川委員長代理 職業は。
  1226. 大草寛

    大草證人 医師です。
  1227. 北川定務

    北川委員長代理 喜連川町長をしておられますね。
  1228. 大草寛

    大草證人 はい。
  1229. 北川定務

    北川委員長代理 いつごろから町長をやつておりますか。
  1230. 大草寛

    大草證人 昭和二十一年の十一月一日からです。
  1231. 北川定務

    北川委員長代理 直通川町に追放者の笹沼多三郎という人がおりますが、この人の行為が町政に影響をしておるようなことはありませんか。
  1232. 大草寛

    大草證人 別に私に、町政に対しまして干渉はありませんと思います。
  1233. 北川定務

    北川委員長代理 同人が町政に干渉したような事実はありませんか。
  1234. 大草寛

    大草證人 別に干渉をされたとは思いません。
  1235. 北川定務

    北川委員長代理 形に現われないでも、実質上追放者の影響を受けておるようなこともありませんか。
  1236. 大草寛

    大草證人 実質というと、寄付をもらつたとか何とかですか。
  1237. 北川定務

    北川委員長代理 無言の威圧といいますか、そういう影響を受けるようなことはありませんか。
  1238. 大草寛

    大草證人 そうですれ。無言の威圧を受ける………。まあとにかく勢力家でありますかり、勢力はありますですな。
  1239. 北川定務

    北川委員長代理 勢力があるだけでは威圧を受けることはないでしようけれども。
  1240. 大草寛

    大草證人 別に私は威圧を受けませんです。
  1241. 北川定務

    北川委員長代理 それでは尋ねますが、笹沼多三郎があなたに、喜連川町のごたごたをしずめ与ればいけないとかいうようなことを申したことはありませんか。あるいはごたごたして、おるのは、町長の責任だというようなことを言つたこともありませんか。
  1242. 大草寛

    大草證人 それはどうも記憶を思い起すことはできませんです。
  1243. 北川定務

    北川委員長代理 それでは高等学校の落成式の際、助役がしかられたというようなことはありませか。
  1244. 大草寛

    大草證人 あります。
  1245. 北川定務

    北川委員長代理 その事情を話してください。
  1246. 大草寛

    大草證人 追放者であるから、公の場所には招待状を出さないというので、助役君が追放者を招待することはいけないから招待をしなかつた。それでぐずぐず言わたそうです。
  1247. 北川定務

    北川委員長代理 追放者であるから招待しないと言つたところが、それではおれは寄付金も出さぬぞというようなことを言つたり、そのほか助役が相当しかられたというようなことを言つておる人があるのですが、そういう事実があるのですか。
  1248. 大草寛

    大草證人 それは助役君が何かしかられたようですな。それは直接私は助役君からも聞きませんが、とにかく何か招待状を出さないというので、何というのですか、ねじ込まれたのですか、とにかくそういう話がありました。
  1249. 北川定務

    北川委員長代理 町会議員でいわゆる笹沼派というのがありますか。
  1250. 大草寛

    大草證人 あらためてだれだれということはないでしようか、出入りしている者はあります。
  1251. 北川定務

    北川委員長代理 何人くらいありますか。
  1252. 大草寛

    大草證人 直接出入りしている者は、大体中里誠一君ぐらいですか、あとはよく存じません。
  1253. 北川定務

    北川委員長代理 これらの町会議員を通じて、町政に干渉しておるというような事実はありませんか。
  1254. 大草寛

    大草證人 それはよく存じません。
  1255. 北川定務

    北川委員長代理 公安委員深尾、手塚、この両氏を罷せられたことがありますね。
  1256. 大草寛

    大草證人 はあ
  1257. 北川定務

    北川委員長代理 この罷免の理由について、公安委員らは何らの非行がなかつたのに罷免したといつて訴願をしているのですが、知つておられますか。
  1258. 大草寛

    大草證人 知つております。
  1259. 北川定務

    北川委員長代理 公安委員の罷免はあばたが提案せられているようですが、いかなる点が非行と認められたのですか。
  1260. 大草寛

    大草證人 提案しましたときは、今の福田玉吉君の辞表を読み、それから町民大会の決議文を読みました。なお公安委員と私との間に宣誓がありましたので、その宣誓を読みました。そうしてとにかく公安委員としてはふさわしくないからこの際やめていただいて、そしてとにかく新らしい公安委員を迎えて円満に解決しようという考えのもとに、涙をのんで今の罷免を提案しました。
  1261. 北川定務

    北川委員長代理 町民大会の決議事項を読んだと言われますが、町民大会の決議事項の中に非行をあげてあつたのですか。
  1262. 大草寛

    大草證人 別にあげてないようですが……。
  1263. 北川定務

    北川委員長代理 あげてなければ非行にはならないでしよう。いかなる非行を主張されたかということです。
  1264. 大草寛

    大草證人 そのときは申し上げませんでした。
  1265. 北川定務

    北川委員長代理 非行がなければ罷免はできないのでしよう。罷免の理由を聞いているのです。
  1266. 大草寛

    大草證人 その罷免は――これは私の方の解釈なのですが、とにかく公安委員は道徳的の仕事であるから、とにかく道徳的に反するのではないかと考えたのであります。
  1267. 北川定務

    北川委員長代理 いかなる点が非行としてあげられたのですか。
  1268. 大草寛

    大草證人 そのときその町会の場所では申し上げませんです。
  1269. 北川定務

    北川委員長代理 公安委員に非行がなければ、公安委員を罷免することはできないと思いますが――そしてその非行があつて、しかも町会はこれに同意をして初めて公安委員の罷免というのは行われることになつていると思いますが、その罷免されたときに、町長はいかなる非行をあげられて、そして町会の同意を求められたかということを聞きたいのです。
  1270. 大草寛

    大草證人 その場合には一、二、三というふうに非行は申し上げませんでした。
  1271. 北川定務

    北川委員長代理 そうすると、非行の内容がわからないで町会は同意をしたというこことになりますか。
  1272. 大草寛

    大草證人 とにかくいろいろな事情がわかつているので賛成をしたのだろうと思います。
  1273. 北川定務

    北川委員長代理 わかつているのじやなくして、緊急町議会を開いて、その席上にあなたが公安委員の罷免を提案せられて、しかも町議会がこれに同意を与えているですわ。それには非行を町議会のものに知らせなければ、いかなる事情で罷免の提案がされたかわからないでしよう。しかもかりに同意をしたとしても、その理由が提案されておらなかつたならば、その同意は完全なる同意ということはできないじやないですか。それをはつきり申していただきたいですが……。
  1274. 大草寛

    大草證人 …………。
  1275. 北川定務

    北川委員長代理 そうすると、町長は全然罷免の理由については、公安委員の非行を開陳せずして町議会の同意だけを得られたということになるわけですか。
  1276. 大草寛

    大草證人 …………。
  1277. 北川定務

    北川委員長代理 どちらか返事をしてもらわぬと。
  1278. 大草寛

    大草證人 その点は不明確です。
  1279. 北川定務

    北川委員長代理 自分でやられたことですが、どうされたかということを聞くのです。そうすると全然非行をあげておられないですね。
  1280. 大草寛

    大草證人 その際は非行は申し上げませんでした。
  1281. 北川定務

    北川委員長代理 そうして町議会の同意だけを得られたわけですか。
  1282. 大草寛

    大草證人 まあそうですな。
  1283. 北川定務

    北川委員長代理 そうするとその同意は、何ゆえに同意したかということはわからないことになりますれ。
  1284. 大草寛

    大草證人 …………。
  1285. 北川定務

    北川委員長代理 はつきり言つてもらわぬと、時間がたちます。お答え願いたい。
  1286. 大草寛

    大草證人 …………。
  1287. 北川定務

    北川委員長代理 言えないならば言えないで、何と外言わなければ、いつまでたつてもしようがない。  それでは尋ねますが、町議会の開会中ではなくして、隣室で秘密会を開くという相談をして、罷免するという話がまとまつた。そうして再び会場で会議を開いてその席で同意をしたと深尾氏などは述べておるようですが、そういう事実がありますか。
  1288. 大草寛

    大草證人 あります。それは議長が参りまして、提案理由を説明してもらいたいというので参りましたところが、これは休会であるというので……。それが今の休会中………。休会中です。ね。
  1289. 北川定務

    北川委員長代理 休会中にどうしたのですか。
  1290. 大草寛

    大草證人 休会中に前申し上げたようなことを申し上げました。
  1291. 北川定務

    北川委員長代理 前申し上げたようなことを申し上げたではわからぬ。前申しておらぬじやないか。     〔「偽証の制裁は、はつきり証人にのみ込ませてあるか」と呼び、その他発言する者あり〕
  1292. 北川定務

    北川委員長代理 一番初めに話してあるはずです。――陳述をこばむのですか。
  1293. 大草寛

    大草證人 そうじやないです。休会中にと申し上げたのは、前に申し上げたような町民大会の決議を読む、あるいは辞表を読へ上げた。そういうことを申し上げておる。それから小森谷議員から今の質問がありまして、その際には、私はその質問を詳しく覚えてはおりませんが、とにかく公安委員は徳をもつて立つのであるから、自分は徳をもつてつてもらうというようなことを小森谷議員に申しました。それから中里議員からも質問がありまして、この質問も今はつきり存じておりませんが、とにかく公安委員を罷免せずに現状のままで………。どうもそこがはつきりわかつておりません。とにかくかような質問がありました。
  1294. 北川定務

    北川委員長代理 それではもう一度伺いますが、深尾、手塚公安委員を罷免する緊急町議会を開かれましたことは、間違いありませんね、
  1295. 大草寛

    大草證人 間違いありません。
  1296. 北川定務

    北川委員長代理 その際にあなたが罷免の提案の理由を選べられたことは間違いありませんね。
  1297. 大草寛

    大草證人 述べました。
  1298. 北川定務

    北川委員長代理 その際この両委員の非行についてはいかなることを開陳されましたか。
  1299. 大草寛

    大草證人 その際には私は述べませんでした。
  1300. 北川定務

    北川委員長代理 そうすると、その後に町議会が両氏の罷免に承諾を与えたことは間違いないのですね。
  1301. 大草寛

    大草證人 間違いありません。
  1302. 北川定務

    北川委員長代理 そうすると罷免の理由を町議会に述べないで、町議会は非行の内容を知らないじやないですか、わからないじやないですか。承諾を与えようとしても罷免の理由がはつきりしなければ、承諾はできないはずであります。もし罷免の理由を開陳しないで承諾をなしたような場合には、この承諾は正しい承諾ではありませんね。
  1303. 大草寛

    大草證人 …………。
  1304. 北川定務

    北川委員長代理 次に伺いますが、今後喜連川の町政について刷新の方策を考えておられますか、たとえば警察の問題について……。
  1305. 大草寛

    大草證人 警察の問題については、新しい署長を迎えたいと考えております。
  1306. 北川定務

    北川委員長代理 そのほかにありませんか。
  1307. 大草寛

    大草證人 とにかく警察内を円満にいたしまして、そうして町民各位に御安心をさせ、なお私の不徳のいたすところはおわびいたしたいと思つております。
  1308. 北川定務

    北川委員長代理 御質問はございませんか――松本委員
  1309. 松木弘

    ○松木委員 あなたは今こういうふうな口吻や漏らされたが……。町会議員は皆その非行は知つておるからいわないでもわかるというような意味に言われたようですが、そうですが。
  1310. 大草寛

    大草證人 とにかくいろいろな事情が……。
  1311. 松木弘

    ○松木委員 その事情をここで話したらよい。どういう事情があつて、どういうことがあつて出した、それは町会では言わないけれども、こううい事情であつた、それをおつしやつたらどうですか。
  1312. 大草寛

    大草證人 町会では申しませんが、考えを申し上げます。
  1313. 松木弘

    ○松木委員 考えでも、事実でもいいですよ。
  1314. 大草寛

    大草證人 事実を申し上げます。私は及ばずながら、何とか警察を円満にしたいと思いまして、奔走ばいたしました。しかしながらなかなかうまく行かない。そのうちに町会の方からも日をきめられて、どうか十日間のうちに何とかこれや円満に解決をしろというので、十日間奔走をいたしましたが、これはまた話がうまく行かない。それで十二月の十六日に、今の小口部長さん以下の署員一同に、何とか白紙一任をしてまかしてもらいたいと申しましたところが、まかせない。それでは困るというので、小口部長さん並びに手塚、深尾両公安委員に、どうも署員の方は困つたものだ。私に白紙一任をしてくれない、困つたという話をいたしました。それでは何とかここにうまい方法はなかろうかと思いまして、いろいろ署員に話をしました。それは私きよう。幾ら話をしましてもこれは届かないから、これではやむを得ない。県の公安委員長さん並びに村上隊長さん、自治警察の本田署長さんにお願いをして、そうして円満解決をはかりたいと申しました。ところが手塚、深尾両公安委員は、今からとにかく署員を告訴、告発をすると言うので、それはとにかく待つてもらいたいと申しました。それで今度は別の署員の方に話をいたしましたところが、それなら私らの方も一緒に行くというわけなのでありましたが、それではどろ試合になつて、紛糾が紛糾を重ねるから、これはとにかくちよつと待つてもらいたいという話をいたしました。それで私は役場におるから、とにかくどういうふうになりましても、役場へ電話をかけてもらいたいと言つて、待つておりましたが、電話も何もなく、そのうちに宇都宮の方面へ参りまして、告訴ざたかあるいは告発か、とにかくいたしたような次第であります。それと、日はちよつと忘れましたが、私と福田委員長深尾委員に白紙一任してもらいたいと購買に申しましたころが、今の込山部長からの魚義状況の始末書、口述書を書いたものを持つていますか。――そのほか一、二ありましたが、忘れましたが、深尾委員に申しましたところが、深尾委員はそれは持つておる。ところが津田という巡査さんは書いた覚えはないというようなお話です。それでそこに奥山巡査さんがいて、それをほんとうに持つているというならば、それなら告発をするとか、告訴するとか、そういう話をいたしましたので、込山巡査部長さんの申しましたことは、深尾委員はそういうことはないと言つておりましたが、とにかく津田巡査さんはそういうものは書かないということを申しました。それで署員一同は、深尾委員さんの話は聞かないというので、退場をしてしまつたのでうその後どうも話がうまく行かない。だんだんに感情が激昂して来て、うまく行かないようになつて来たようなわけであります。
  1315. 松木弘

    ○松木委員 警察の内部が、どういうふうになつてつたか、それを言つたらいいでしよう。あなたは警察を円満にしたい、こう言うのでしよう。
  1316. 大草寛

    大草證人 そうです。
  1317. 松木弘

    ○松木委員 どういうことからそういうことになつたんでんか。それを言われたらいいでしよう。警察にどういうことが起つてつたんですか。
  1318. 大草寛

    大草證人 警察内ですか。警察内には、今の小口部長さんを署長にするというので、一方の込山部長さん及び署員は、その小口部長さんの署長は不信任だということがありました。これはいろいろな箇条書きがありまして、それについてはいろいろ問題があつて陳情書が出て参りました。
  1319. 山口好一

    ○山口(好)委員 深尾と手塚という公安委員をやめさせた方がいいとあなたは考えたわけですか。
  1320. 大草寛

    大草證人 そうです。
  1321. 山口好一

    ○山口(好)委員 その理由については、何か公安委員として体面を汚すようなことがありましたか。あるいは病気で職務にたえないというようなことでもありましたか。
  1322. 大草寛

    大草證人 それは両方ともありませんでした。
  1323. 山口好一

    ○山口(好)委員 そうすると、あなたは自分が信念を持つてどうしてもやめさせなければならないというようなことでやめさせたのですか。
  1324. 大草寛

    大草證人 道徳的に解釈をいたしました。
  1325. 山口好一

    ○山口(好)委員 道徳的に芳ばしくない人たちだというしかうに考えたわけですか。その点は、どういう点が道徳的に適当でないと考えたのですか。
  1326. 大草寛

    大草證人 いかに話をいたしましても警察が円満に行かない。そこへ小口部長さんを今度は町の警部補にして、署長にするというような意味の届出がありました。
  1327. 山口好一

    ○山口(好)委員 結局それでは、あなたの好ましくないと思つておる小口という者を昇格させて、署長に任命せんとしておるところがよくないと思つたのですか。
  1328. 大草寛

    大草證人 私は初めから新しい署長さんを迎えようと考えておりました。
  1329. 山口好一

    ○山口(好)委員 あなたは前から新しい署長を迎えようとしておつたところが、小口という部長を昇格させて署長にしようと公安委員たちは思つてつた。それでそのことをあなたとしてはよくないと思つたのですね。
  1330. 大草寛

    大草證人 そうしてまた一方署員の方からも反対がありましたので、これは小口さんを署長さんにしましても、あとで円満に行かないというふうに考えました。
  1331. 山口好一

    ○山口(好)委員 自分の考え方に賛成をしないからという意味ですか。
  1332. 大草寛

    大草證人 とにかくあと警察署内がどちらにしたところが円満に行くまいという考えでありました。
  1333. 山口好一

    ○山口(好)委員 それであなたは罷免の提案をする場合に、ほんとうに自分の信念で、どうしてもやめさせなければならぬということでやつたのですか。
  1334. 大草寛

    大草證人 そうです。
  1335. 山口好一

    ○山口(好)委員 どうもあの小口というのはおもしろくない、あれを署長するのはよくないぞ、町長もそういう考え方ではいけないぞというようなことはほかから言われなかつたのですか。
  1336. 大草寛

    大草證人 それは言われません。今の署員の反対があつただけで、ほかに別に言われませんでした。
  1337. 山口好一

    ○山口(好)委員 最近笹沼清一の肥料のやみ事件があつた当時、小口が経済主任であつたので、この事件を取上げて調べたということを知つていますね。それで笹沼の方では、小口というようなものを署長に昇格させることはもつてのほかだということを、あなたに言つてつたのではないですか。
  1338. 大草寛

    大草證人 笹沼君から小口君が悪いとか、込山君か悪いとかいうような申込みはありませんでした。
  1339. 山口好一

    ○山口(好)委員 笹沼清一のおじになる多三郎さんが警察行つて小口はやめろと言つてどなり込んだことを御承知ですか。そういうことは聞かなかつたのですか。狭い町だから、町長さんにはわかつておると思いますが、どうですか。
  1340. 大草寛

    大草證人 この問題が起きてから、どなり込んだとかなんとかいうことが新聞に書いてありましたから、承知いたしましたが、その当時は知りませんでした。
  1341. 山口好一

    ○山口(好)委員 とにかく公安委員深尾とか、手塚とかいうのは、病気で職務にたえられないとか、職務を非常に怠つてつたとか、あるいは公安委員としての体面を汚したとかいうような事実はなかつたのですね。
  1342. 大草寛

    大草證人 そういうことはありませんでした。
  1343. 山口好一

    ○山口(好)委員 町会か開かれて、あなたか何事かを言つて休憩になつた。その休憩中に何か秘密会みたいなものをやつて、あなたがさつき言つたような町民大会の決議文をそこで読んだとか、そういうことをやつたのですか。
  1344. 大草寛

    大草證人 やりました。
  1345. 山口好一

    ○山口(好)委員 そうして今度は休憩前に引続いて会議を開いたのだが、そこであなたは別に何か言いませんでしたか。
  1346. 大草寛

    大草證人 言いませんでした。採決の席にありませんでした。
  1347. 山口好一

    ○山口(好)委員 議員の中には、罷免理由を示さないで罷免するというようなむちやな会議があるかと言つて、大分反対した人もあつたそうですが、これに御存じですか。
  1348. 大草寛

    大草證人 とにかく反対はありました。
  1349. 山口好一

    ○山口(好)委員 こういう会議があるかと言つたのに、それをむりに押し切つて決をとつたのですか。
  1350. 大草寛

    大草證人 これは議長さんが……。
  1351. 山口好一

    ○山口(好)委員 あなたはそれを見ておりましたか。
  1352. 大草寛

    大草證人 見ませんでした。
  1353. 山口好一

    ○山口(好)委員 議長が押し切つて決をとつたときにはいましたか。
  1354. 大草寛

    大草證人 採決をしたときに、私はそこにいなかつた
  1355. 山口好一

    ○山口(好)委員 とにかくそうすると、公安委員を罷免することについて、正当理由なしにあなたは罷免したことになりますね。それをどう考えますか。その理由も示さずにやつたということについてはどうですか。
  1356. 大草寛

    大草證人 その点は申訳ありませんですな。
  1357. 山口好一

    ○山口(好)委員 それからそのあとで、笹沼多三郎なり、あるいは清一なんかから、ほかから署長を持つて来いというような話があつたのじやないですか。どうですか、その点は……。多三郎の方から話はありましたか、ほかの新しい署長を持つて来た方がいいという……。これは特別審査局の方で調べた結果を私は聞いたのですが、そういう事実はありましたろう。町長に対して新しい署長を連れて来いという………。あつたらあつたでいいですから………。     〔「知つておることを言わなければ偽証罪になりますよ。」「はつきりしなさいよ。」と呼ぶ者あり〕
  1358. 山口好一

    ○山口(好)委員 どうなんですか、覚えがないのですか。
  1359. 大草寛

    大草證人 …………。     〔「忘れたなら忘れたとはつきり言たらどうですか。」と呼ぶ者あり〕
  1360. 大草寛

    大草證人 はあ、忘れました。とにかく………。
  1361. 山口好一

    ○山口(好)委員 あなたは特審局から行つて調べられたときは、あつたと言つたのじやないのですか。――ついこの間のことだからわかつておりましよう。そのときは忘れたとおつしやつたのですか。
  1362. 大草寛

    大草證人 新しい署長を見つける……。
  1363. 山口好一

    ○山口(好)委員 多三郎らが役場にやつて来て、あなたのところで言つたのじやないのですか。――わかりませんか。
  1364. 大草寛

    大草證人 これは宇都宮の方に、名前は忘れましたが、警部でありまするが、この人はとても喜連川には来まいという話がありました。
  1365. 山口好一

    ○山口(好)委員 多三郎から。
  1366. 大草寛

    大草證人 はあ。
  1367. 山口好一

    ○山口(好)委員 ただそう言つたのですか。宇都宮に何とかいう警部がおり、その人を連れて来たいが、とても来まいという………。
  1368. 大草寛

    大草證人 その人は資格があるので………。
  1369. 山口好一

    ○山口(好)委員 その人を連れて来たいというのですか。
  1370. 大草寛

    大草證人 そういう話はあつたが、この人は資格があるので、喜連川にはとても来まいという話がありました。
  1371. 山口好一

    ○山口(好)委員 多三郎から……。
  1372. 大草寛

    大草證人 はあ。
  1373. 山口好一

    ○山口(好)委員 それは変じやないですか、ただそれだけの話なのですか。ほかからつれて来たらよかろう。ついては宇都宮にこういう警部もいるんだが、これがいいと思うが、とても来まい、こういう話だつたのですか。
  1374. 大草寛

    大草證人 新しい署長をとにかく見つけろと言つたのではない。宇都宮の方にこういう人があるが、この人は資格があるんで、喜連川の署長にはなるまい、こう申したように覚えております。
  1375. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたはいろいろな立場があつて言いにくい点もあろうが、ほんとうのことを言つてもらわぬと、わざわざ来ていただいても効果がないわけです。そうしてほんとうのことを言わないと、あなた自身が非常に重大な責任をこうむるということになる。今田法務委員会としては、相当の調査をして皆さんを呼び出したのですから、どうもあなたが返答を考え考えやつておるのを見ると、いろいろなことを創作してやつておるんじやないかと思われるのですが、率直簡明に言つてもらいたい。この込山という前署長は、笹沼多三郎、あるいは清一と懇意の件か、あるいは懇意じやなかつたか、どつちなのですか。
  1376. 大草寛

    大草證人 その事情は深くわかりませんですね。
  1377. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そんなことはわからぬことはなかろう。そんなことでは町長は勤まらぬだろう。込山署長は笹沼多三郎一家とはじつこんの間柄であつたかどうか
  1378. 大草寛

    大草證人 じつこんの間柄ではないと思いますが、何か話はあつたでしよう。
  1379. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 どういう話が……。
  1380. 大草寛

    大草證人 とにかく……。
  1381. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 率直に言いなさい、考えないで、どういう話があつたか。
  1382. 大草寛

    大草證人 …………。
  1383. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 言われないような話ですか。
  1384. 大草寛

    大草證人 いやそうじやないのです。
  1385. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 じやどんな話ですか。
  1386. 大草寛

    大草證人 とにかくじつこんではないが、行つたり来たりはどの程度までしておるかわかりません。
  1387. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 じつこんでないということはわかつておる……。
  1388. 大草寛

    大草證人 はあ。
  1389. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 込山という部長、これとはどうだね。笹沼一家は………。
  1390. 大草寛

    大草證人 そう深く出入りはしておるとは思いません。
  1391. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 君はそういう場合になると反対のことを言うのだが、一体じつこんであつたかないのか。
  1392. 大草寛

    大草證人 じつこんであるとは思いません。
  1393. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、込山小口と、この笹沼一家関係は、どつちがじつこんであつたと思うのか、どつちがより懇意であつたと思うのか。込山笹沼一家関係と、小口笹沼一家関係はどつちが近かつたのか。
  1394. 大草寛

    大草證人 それは込山の方が近いでしよう。
  1395. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 込山の方が近かつたのか。
  1396. 大草寛

    大草證人 はあ。
  1397. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それはあなたもわかつているね。
  1398. 大草寛

    大草證人 はあ。
  1399. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そこでその近かつたということは、どうしてわかるのかね。どういう観点で、込山の方が小口よりは笹沼一家に近かつたということをあなたは認定するのか。たとえばどんなことがあるからそう思うというようなことがあるか。ただ漠然と思うのか。
  1400. 大草寛

    大草證人 漠然とそう思うのです。
  1401. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それならばそれでよい。  そこであなたの町で町会議員は何人ありますか。
  1402. 大草寛

    大草證人 二十一、二名ですか。
  1403. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 その町会議員の中で、笹沼一家と反対の町会議員があるでしよう。みな町には何派々々とある。ある有力者がおると、賛成者もあるかわりに反対者もあるというこは、あなたは町長だからおわかりだろうと思うが、笹沼一家という有力者がおるわけだが、それに反対の町会議員はありますか。
  1404. 大草寛

    大草證人 とにかく反対は二、三人ありましようね。
  1405. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると残りの大部分というものは反対じやなかつたわけだね。
  1406. 大草寛

    大草證人 その中でも笹沼家に好意を持つている人が少いと思います。
  1407. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 好意を持つているということは、腹の中のことでしよう。腹では好意を持つていなくても、実際笹沼一家に正面切つて反対できる人は二、三人だつたのですか。
  1408. 大草寛

    大草證人 反対する人はなおあるのです。
  1409. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それじや、あなたはさつき私に言うたことと矛盾するじやないか。笹沼一家に反対の考えを持つている町会議員は何人あるかと私が言つたら、二、三人あると言つたでしよう。その余は反対の考えを持つていない者だということになるじやないか。だから反対の考えを持つているものとあなたが認定した者は二、三人あると言つたのでしよう。その以外はどうなのですか。
  1410. 大草寛

    大草證人 …………。
  1411. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたは町長として、そのくらいの色わけがわからない道理はないのだ。概略でいいのだ、勘定してみろ。
  1412. 大草寛

    大草證人 まあ、絶対に反対だというのは三、四人で、そのほか幾分好意はあるかもしれぬが、好意を持たぬ人が十人くらいありましよう。
  1413. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 好意を持たぬ人ということは、腹の中で好意を持たぬけれども、表面切つて反対はできない人たちじやないのですか。
  1414. 大草寛

    大草證人 行動においてもやつております。
  1415. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 行動まで現わしたならば、私が聞いたときに、二、三人という答えが出る道理はないじやないか。心持のみならず、笹沼一家に反対の行動までとつておるとすれば、私が先ほど聞いたときに、二、三人あるという答えは出ないはずじやないか、矛盾しておるじやないか。だから私が逆に聞いたのだ。そうしたらあなたは二、三人だと言つた。今度聞き直すと、そういうことをあなたは言うのだが、これはちつとおかしいじやないか。どうもあなたは頭の中に何か既定概念をつくつておいて、それに合せようとして答弁するからいけない。だからそういう矛盾が出て来るのだ。  そこで町会で深尾公安委員をやめさせるときに、何の理由も言わず罷免したというのであるが、この深尾委員という人は、笹沼一家に対して好意を持つていた人であるか、反対側の人であるか。
  1416. 大草寛

    大草證人 これは反対です。
  1417. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 反対側の人だとすれば、深尾委員をやめさせることは、笹沼一家は賛成だつたわけですね。理由も言わずに罷免することについて、それが多数決になるということは、深尾委員笹沼一家に反対であるという立場が非常に動いたのじやないか。言いかえれば笹沼一家に対して反対である深尾委員に対して、簡単に笹沼の意思のもとに動く町会議員が多かつたということになるのじやないか。その辺を率直に言つてください。  私はまだ質問があるけれども本会議に今投票があるというから一応これで打切ります。
  1418. 北川定務

    北川委員長代理 本会議の記名投票が済みましたら、ただちに開会することにいたしまして、しぼらく休憩いたします。     午後五時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後六時一分開議
  1419. 花村四郎

    ○花村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  證人はあと三名でありますが、時間が大分経過いたしておりますので、一人大体十分程度で終了いたしたいと存じますから、さよう御了承を願います。  小口徳重君てすか。
  1420. 小口徳重

    小口證人 さようであります。
  1421. 花村四郎

    ○花村委員長 年齢は。
  1422. 小口徳重

    小口證人 五十七歳です。
  1423. 花村四郎

    ○花村委員長 御住所は。
  1424. 小口徳重

    小口證人 氏家町大字氏家
  1425. 花村四郎

    ○花村委員長 職業は。
  1426. 小口徳重

    小口證人 警察職員です。
  1427. 花村四郎

    ○花村委員長 時間がありませんから、なるべく簡單にお願いいたしたいと思います。警察署はどこへお勤めですか。
  1428. 小口徳重

    小口證人 喜連川警察署に勤務しております。
  1429. 花村四郎

    ○花村委員長 何年頃からですか。
  1430. 小口徳重

    小口證人 改組になりました当時より喜連川におります。それ以前は昭和十七年の六月中旬であります。
  1431. 花村四郎

    ○花村委員長 それで警察署のどういう官職についておられますか。
  1432. 小口徳重

    小口證人 現在は防犯捜査主任をやつております。
  1433. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると警部補ですか。
  1434. 小口徳重

    小口證人 巡査部長であります。
  1435. 花村四郎

    ○花村委員長 込山知夫という人を御承知ですね。
  1436. 小口徳重

    小口證人 承知しております。
  1437. 花村四郎

    ○花村委員長 込山知夫という人、そのほかの人々で陳情書を出されたことを御承知ですか。
  1438. 小口徳重

    小口證人 承知しております。
  1439. 花村四郎

    ○花村委員長 どういう陳情書であるか内容を御存じですか。
  1440. 小口徳重

    小口證人 承知しております。
  1441. 花村四郎

    ○花村委員長 それはどこに出されたのですか。
  1442. 小口徳重

    小口證人 公安委員会に提出されたものを、それを私が公安委員会より査問を受けたので承知しております。
  1443. 花村四郎

    ○花村委員長 内容は簡單に申しますと、どういうものですか、簡単でよろしうございます。
  1444. 小口徳重

    小口證人 笹屋に対しまして、小口氏が菜畑にすると言つたことは、署長として不適当である。中里牛乳店に笹屋が放火したというようなことを言つたのは、署長となることが不適当であるというようなこと、その他大体において数項にわたつておると思います。
  1445. 花村四郎

    ○花村委員長 その陳情書をあなたごらんになりましたか。
  1446. 小口徳重

    小口證人 なりました。
  1447. 花村四郎

    ○花村委員長 その陳情書の中に記載してあります事柄、事実を、あなたはお認めになるわけですか、ならぬわけですか。
  1448. 小口徳重

    小口證人 内容の事実は全然認めません。
  1449. 花村四郎

    ○花村委員長 聞くところによれば、喜通川町の犯罪人の検挙率というものは非常に悪いということですが、そうですが。
  1450. 小口徳重

    小口證人 非常に検挙率は低下しております。
  1451. 花村四郎

    ○花村委員長 それはどういう理由ですか。
  1452. 小口徳重

    小口證人 その理由といたしましては、私が署長代理になつておりますので、それに反対をするために、私の非行を徹底的にあげるということに込山部長以下八名の者がそれに没頭したために、犯罪がありましても、捜査をやるように見せかけておつて、私の非行を、あるいは公安委員の非行をあげるために努力しておつたために、犯罪の検挙率が少いのだと私は思つております。
  1453. 花村四郎

    ○花村委員長 そういう事柄に奔走しておる者は、署内で八名ですか、大体………。
  1454. 小口徳重

    小口證人 九名になつております。
  1455. 花村四郎

    ○花村委員長 それではみんなで何人おりますか。
  1456. 小口徳重

    小口證人 定員が十三名で、二名欠員になつております。
  1457. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると十一名ですね。
  1458. 小口徳重

    小口證人 十一名になつております。
  1459. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとただいま申したような人々の反対の立場にある者は二名ですか。
  1460. 小口徳重

    小口證人 私のほか江面晴夫という巡査が一人おります。
  1461. 花村四郎

    ○花村委員長 それで町民がそういうことで非常に治安上不安を感じこおるという話がありますが、それはどうですか。
  1462. 小口徳重

    小口證人 そういう話はちよちよい耳にいたしておりますし、犯罪がありましても検挙にならないというので、不安であるということを町民は考えておることは、私としてもそう承知しております。
  1463. 花村四郎

    ○花村委員長 それで今喜連川署の署長はありませんか。
  1464. 小口徳重

    小口證人 ありません。
  1465. 花村四郎

    ○花村委員長 それであなたが代理をしておるわけですか。
  1466. 小口徳重

    小口證人 現在は込山部長が署長代理をしております。
  1467. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると込山部長の前は、あなたがやつておられたわけですね。
  1468. 小口徳重

    小口證人 そうです。
  1469. 花村四郎

    ○花村委員長 それでそういう警察内部のあまり好ましからざる状態に対して、あなたはどう考えておられるですか。
  1470. 小口徳重

    小口證人 私はその当時署長代理をやつておりまして、責任か感じております。
  1471. 花村四郎

    ○花村委員長 それでそれに善処する何か対策でも講じられたのですか。
  1472. 小口徳重

    小口證人 いずれにしても十一名の署員で、私のほかは一名でありまして、あとは九名なので、対策の道はないのであります。
  1473. 花村四郎

    ○花村委員長 それは公安委員か何かに申し出して、善処する方途を講ずる方法はあろうと思いますがね。
  1474. 小口徳重

    小口證人 公安委員には、その向きの話はいたしましたが、そのうち公安委員は罷免をされたのであります。その対策も……。
  1475. 花村四郎

    ○花村委員長 公安委員は何人ありますか。
  1476. 小口徳重

    小口證人 三名であります。
  1477. 花村四郎

    ○花村委員長 三名のうち何名。
  1478. 小口徳重

    小口證人 三名のうち一人はやめておりまして、二名であります。
  1479. 花村四郎

    ○花村委員長 それで二名は罷免されたわけてはないでしよう。
  1480. 小口徳重

    小口證人 二名罷免されたのであります。
  1481. 花村四郎

    ○花村委員長 二名罷免直れたのですか、そうすると目下公安委員はありませんか。
  1482. 小口徳重

    小口證人 あとにできました三名があります。
  1483. 花村四郎

    ○花村委員長 後にできて現在はありますね。
  1484. 小口徳重

    小口證人 現在は三名あります。
  1485. 花村四郎

    ○花村委員長 その公安委員に、何かそれに対する対策を、あなたは御相談なさつたことはありませんか。
  1486. 小口徳重

    小口證人 新たに公安委員は二月の十九日に任命されたと思います。すると二月二十五、六日ごろに、初公安委員会を開催されたのであります。その劈頭に、署長代理をやめろ、そういうことで……。
  1487. 花村四郎

    ○花村委員長 それであなたがおやめになつたわけですね。
  1488. 小口徳重

    小口證人 理由が判明しないので、私はやめる理由はないからと申したのですが、二月の二日に突然、私が病気で休んでおるところに、住所地に、罷免の辞令を交付されたのでありますが、それを拒否しておいたような次第であります。
  1489. 花村四郎

    ○花村委員長 何日ですか。
  1490. 小口徳重

    小口證人 二月の一日。
  1491. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとそれは辞令が出たのだが、拒否してあつて、現在現職にあると、こういうわけですね。
  1492. 小口徳重

    小口證人 そうです。
  1493. 花村四郎

    ○花村委員長 それでこの込山らがあなたと対立して、あなたのそういう欠点を探して歩くとかいうようなことにもつぱら専念しておるということは、結局笹沼清一関係から来ておるのですか。その原因は………。
  1494. 小口徳重

    小口證人 そういうふうに私は考えております。
  1495. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、その笹沼清一というのは、要するに並の中でよく言う喜連川の町のボスというのですか。
  1496. 小口徳重

    小口證人 笹沼多三郎及び笹沼清一、こういうものに関連しておると私は思います。
  1497. 花村四郎

    ○花村委員長 この二人が、この町における有力者なのですね。
  1498. 小口徳重

    小口證人 有力者であります。
  1499. 花村四郎

    ○花村委員長 従つてこの二人の威力が要するに警察に浸透しておると、こういうわけですか。
  1500. 小口徳重

    小口證人 そうであります。
  1501. 花村四郎

    ○花村委員長 ほかに何かあなたおつしやられるような御希望でもありますか。
  1502. 小口徳重

    小口證人 ただいま笹沼多三郎笹沼清一が、警察を私兵化しておつて、私らの非行を取上げて、これを刑事事件に持つて行つて罷免しようというところのうわさはもつぱらなのでありましたが、そういう風評なので、私らがそのことに意を用いまして調査をしておりますと、氏家の岩原巌という刑事をやつておる者が、十二月の上旬に退職した。そこへ前署長の森島武雄氏が書面を出しておる。それを入手したのを私が見ますると、その内容は小口込山の対立で、警察は相当なものである。私としても飼犬にかまれたようなことなんで、これを何とかしてやらなければ気が済まない。それで小口氏の非行を徹底的に、どういうふうなことでもいいから書いてよこしてくれといつて、森島前署長が情報収集部というのを、氏家町の本町神保保方に置きましてそれから書面を出したのを入手してありますので、これは森島前署長が在職当時に、笹沼一家に出入はげしく、すべての犯罪があつても、笹沼氏の事件はあげ得ない。その関係のものは、われわれが犯罪を捜査して調書をとつても、それが筒抜けになるというので、その書面と対照しまして、これは笹沼多三郎清一が介在しておると私は断定するような次第でございます。
  1503. 花村四郎

    ○花村委員長 それでこの笹沼清一、あるいは多三郎の犯罪というのはいままでどういうものがあつたか、あなたは御承知ですか。簡単に何と何と何と、こうおつしやつてください。
  1504. 小口徳重

    小口證人 いろいろ風評がありましたが、私が署長代理となりましては、笹沼清一の肥料事件、肥料のやみ事件を私が署長代理になつて検挙をし、相次いで笹沼多三郎の食管法違反というのを検挙したことがありますが、それ以前はもう二、三十年来、喜連川警察署として笹沼関係の犯罪は相当あるように思われますが、断じて検挙することができなかつたと私は考えております。私はその当時経済主任をやつておりましたので、司法関係はわかりませんが、喜連川の高等学校の問題、タバコの問題、いろいろございますが、さらに私以前の警察の責任者としては、検挙したことはないのであります。
  1505. 花村四郎

    ○花村委員長 それで肥料のやみと、食管法違反は検挙になつたのですね。
  1506. 小口徳重

    小口證人 なりました。
  1507. 花村四郎

    ○花村委員長 なつてそれは処罰されましたか。
  1508. 小口徳重

    小口證人 その肥料の方は、まだその結果は聞きませんが、笹沼多三郎氏の食管法の方は処罰されました。
  1509. 花村四郎

    ○花村委員長 肥料の方は起訴はされておるのですか。
  1510. 小口徳重

    小口證人 起訴はされておると私は思います。
  1511. 花村四郎

    ○花村委員長 それから高等学校の問題というのは何ですか。
  1512. 小口徳重

    小口證人 私は経済主任をやつていまして、それは司法の方でやりましたので、よくそれに対してタツチしておりませんからわかりませんが、やはり校長が笹沼多三郎に米を贈つたとか、やつたとか毎年二俵づつ贈つたとかというようなうわさ、あるいは校長が米を横流しをしておるとかいうようなわけなのでありますが、これは前署長当時のことで、捜査を打切つてしまつたのです。それでその内容は私わからないのであります。
  1513. 花村四郎

    ○花村委員長 最後に一言お尋ねしでおきたいのですが、その喜連川署でどのくらいな犯罪が起きて、どの程度の検挙ができておるか、そのパーセンテージかおわかりになつたらおつしやつてください。
  1514. 小口徳重

    小口證人 本年になりまして大きな犯罪が十七、八件ありますが、こまかなのは、これは届出しないものもあるでしようが、一、二件くらいしか検挙になつておりません。
  1515. 花村四郎

    ○花村委員長 昨年はどうでした。
  1516. 小口徳重

    小口證人 昨年は……。
  1517. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとあなたの署長代理をやつておられたのはどのくらいの期間で、その期間内における犯罪の起きた数並びに検挙数、それはどうです。
  1518. 小口徳重

    小口證人 よく調べておきませんでしたが……。
  1519. 花村四郎

    ○花村委員長 わかりませんか。
  1520. 小口徳重

    小口證人 はあ、わかりません。
  1521. 花村四郎

    ○花村委員長 何か御質問はありますか、なければ済みました。どうも遠いところを御苦労さまでした。  証言を求める前に、証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証書品を布一むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人、公證人、宗教または祈祷の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて声問を受けたときに限られておりまて、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。     〔証人込山知夫朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  1522. 花村四郎

    ○花村委員長 署名捺印を願います。     〔込山証人宣誓書署名捺印
  1523. 花村四郎

    ○花村委員長 込山知夫君ですね。
  1524. 込山不知夫

    込山證人 はい。
  1525. 花村四郎

    ○花村委員長 年齢は。
  1526. 込山不知夫

    込山證人 四十歳です。
  1527. 花村四郎

    ○花村委員長 御住所は。
  1528. 込山不知夫

    込山證人 栃木県塩谷郡喜連川大字喜連川四三三八番地の一。
  1529. 花村四郎

    ○花村委員長 職業は。
  1530. 込山不知夫

    込山證人 重連町警察署巡査部長です。
  1531. 花村四郎

    ○花村委員長 喜連川警察署にいつからお勤めになつておりますか。
  1532. 込山不知夫

    込山證人 昭和二十三年二月十六日からです。
  1533. 花村四郎

    ○花村委員長 それで今は警察署どういう係を担任しておられますか。
  1534. 込山不知夫

    込山證人 ただいま署長代理、司法主任、警務主任を勤務しております。
  1535. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたは小口徳重という人を御承知ですね。
  1536. 込山不知夫

    込山證人 よく知つております。
  1537. 花村四郎

    ○花村委員長 その小口徳重という入に対する陳情書を公安委員にあてて出されましたね。
  1538. 込山不知夫

    込山證人 出したことがあります。
  1539. 花村四郎

    ○花村委員長 それはいつ出されましたか。
  1540. 込山不知夫

    込山證人 はつきりしたことはちよつと忘れておりますが、昨年の二月中だつたと覚えております。
  1541. 花村四郎

    ○花村委員長 それでその陳情書の理由はどういうことになつていますか。
  1542. 込山不知夫

    込山證人 それは箇条的にはちよつと今……。
  1543. 花村四郎

    ○花村委員長 簡単に大体こういうものであるという概念だけをおつしやつていただけばいいのです。
  1544. 込山不知夫

    込山證人 要するに一党一派に偏して、警察の運営の仕方が誤つているということを指摘したと記憶しております。
  1545. 花村四郎

    ○花村委員長 その一党一派に偏しているということはどういう意味ですか。
  1546. 込山不知夫

    込山證人 それはいわゆる自治警察というものは、時の流れに従つて勢力家と組んでやつて行かなければやつて行けないのだ、こういうことを申した結果であります。またその他ありますが、詳細なことは陳情書に書いて調査団……。
  1547. 花村四郎

    ○花村委員長 それは小口徳重という人が申した、こう言われるのですか。
  1548. 込山不知夫

    込山證人 そうです。
  1549. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると有力者と組んでおられるという事実があるわけですか。
  1550. 込山不知夫

    込山證人 それは、小口部長が直接言外に漏らしておることから私は申すのであります。
  1551. 花村四郎

    ○花村委員長 そういう有力者と組んではいかぬということを申したということはいいですが小口徳重君かそういう組んでおつたという事実はないのですか。口で言うただけですか。
  1552. 込山不知夫

    込山證人 口で言つたばかりではなくて、断定してさしつかえないと考えております。
  1553. 花村四郎

    ○花村委員長 実際にある上言われるのですか。
  1554. 込山不知夫

    込山證人 その通りだと断定してはばからないのであります。
  1555. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとその事実はどういう事実ですか。そこで簡単におつしやつてください。
  1556. 込山不知夫

    込山證人 私の知るところでは前公安委員、すなわち罷免になつた深尾法順氏宅、また傍聴席に来ておりますが、高橋博氏宅ににしばしば会合しているということは、私は現実の姿であると断言してはばかりません。
  1557. 花村四郎

    ○花村委員長 深尾というのは公安委員ですか。
  1558. 込山不知夫

    込山證人 前の公安委員です。
  1559. 花村四郎

    ○花村委員長 それから高橋博というのは何ですか。
  1560. 込山不知夫

    込山證人 薬種商をやつております。
  1561. 花村四郎

    ○花村委員長 そこで会合するとはどういうことですか。
  1562. 込山不知夫

    込山證人 その内容というものは全然知りません。ただ單なる想像にすぎません。
  1563. 花村四郎

    ○花村委員長 想像ですか。
  1564. 込山不知夫

    込山證人 しかし衆目の見るところみなしかりでありまして、さよう申し上げてもさしつかえないのじやないかと考えております。
  1565. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとあなたが見たわけではない、そういうことを並間で聞いたということですか。あなたが見たわけではなくて、世間からそういう話を聞いたと、こういうのですか。見たこともあると言われるのですか、どうですか。
  1566. 込山不知夫

    込山證人 ただいまの御質問によりますと、世間も知つておりますし、また署員も見てしばしば話に出したことがあります。しかしどういうことを相談しているとかいうことは全然私にはわかりません。
  1567. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとあなたが並間から聞き、署員から聞いたということで、自分みずからは知つたわけではない、こうおつしやるのですか。
  1568. 込山不知夫

    込山證人 そうです。それからもう一言申し上げたいのですが、ただいまのことはもう終つたごとだと私は考えておつたのでありまして、申し上げたくなかつたのですが、聞かれますから申し上げますが、町会議長小森谷義男が小口部長のことを署員にも頼んだ事実かある。それは小口部長は、私としてはどうも悪口はちよつと言いたくないのでありますが……。
  1569. 花村四郎

    ○花村委員長 いやかまいません。その事実をおつしやつていただかなければいけないのです。
  1570. 込山不知夫

    込山證人 ですからこの席に臨むにあたつても、決して私の行い、あるいは私生活、そういつた場合には絶対私は一言も触れたくないと考えておりますただ聞かれますれば、職務上のことに関しては申上げなければいかぬと思います。
  1571. 花村四郎

    ○花村委員長 それは私行であろうが何であろうが、事実を事実としてやはりおつしやつていただかなければなりません。
  1572. 込山不知夫

    込山證人 結局私が申し上げたことを裏づけることとして、町会議長小森谷義男が、小口部長はばかだけれども署長としてひとつ頼む、外にやたらに出るとボロが出るから、署長室に納まつているようによろしく頼むとか、また前の公安委員、すなわち深尾氏らがCICに参つたときに、CICの人が、署長の命令に違反する者は全部首切つてしまえ、こう言つた。今度は予算を削るからと署員に直接言つたという話も私は聞いております。そういう種々なることから想像して、これは私は間違いない事実であると考えます。
  1573. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、高橋博とか深尾前公安委員のところに始終行つているというのは、行つて何をしておるというのですか。
  1574. 込山不知夫

    込山證人 それはただいま申し上げました通り、入つて見ているわけではありませんからわかりませんが、あらゆる方面から検討しまして、間違いないのじやないかと私は考えております。
  1575. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、その始終そこへ行つたのが悪いとおりしやられるのですか。
  1576. 込山不知夫

    込山證人 悪いというわけではありませんが、大分長く職務というものを、おそらく放棄といつてもいいじやないかと考えるくらい――連日のようにと申し上げてもさしつかえないと思います。
  1577. 花村四郎

    ○花村委員長 それは警察に出ないで行くのですか。
  1578. 込山不知夫

    込山證人 警察には出署します。
  1579. 花村四郎

    ○花村委員長 出てそれから行くのですか。
  1580. 込山不知夫

    込山證人 そうして、出かけるのです。
  1581. 花村四郎

    ○花村委員長 昼間のうちから行つているのですか。
  1582. 込山不知夫

    込山證人 そうです。
  1583. 花村四郎

    ○花村委員長 夜も行くのですか。
  1584. 込山不知夫

    込山證人 夜も見えなくなります。
  1585. 花村四郎

    ○花村委員長 警察よりそこへ行つている方が多いのですか。それほどじやないのですか。
  1586. 込山不知夫

    込山證人 ほとんどといつていいか悪いはわかりませんが、とにかく頻繁であるということは……。
  1587. 花村四郎

    ○花村委員長 行くのはどういう意味で行くのですか、おわかりにならぬですか。
  1588. 込山不知夫

    込山證人 結局罷免になつた公安委員のところに出入りするということは、これは想像になりますが、いわゆる有利に挽回しようとするためか何かわかりませんか、私はそう考えております。罷免になつた委員の者が有利に挽回しよう、こういう目的ではないかと私は考えております。
  1589. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、それは罷免になつた後に行つているというのですか。それより前から行つているというのですか。
  1590. 込山不知夫

    込山證人 その前からですが、罷免後は特にはげしいと考えております。
  1591. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、何のために行くかということはおわかりにならぬのですね。
  1592. 込山不知夫

    込山證人 これは現実に私が入つたわけてはありませんから、わかりません。
  1593. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、今言われたような事柄が悪いというので、小口徳庫部長をやめさせろという意味で公安委員会に陳情じたわけですか。
  1594. 込山不知夫

    込山證人 そういうわけではないのです。それは陳情書にうたつてあることによつて、やめさせろとは申しません。とにかく警察の行き方というものを、あまりそういうことでは警察は実際上やつて行けない。ですからよろしくひとつ御判断をお願いしますということを申したのでありまして罷免にしてくれとか、あるいはまた何かの罰を加えてくれということは絶対に申し上げてないのです。
  1595. 花村四郎

    ○花村委員長 それから喜連川署の犯罪の検挙率が著しく悪いというが、どうですか。
  1596. 込山不知夫

    込山證人 この点については、過日どの新聞かにも大分たたかれましたが、無警察状態であるということが出ておりましたが、現実はそうではないと私は考えております。しかし検挙率というものはいわゆる水もののようなものでありまして、この高低は確かにあります。案外低かつたということは私も認めておりますが、近時非常な検挙率において好成績を改めつつあるということは、私は断言できます。
  1597. 花村四郎

    ○花村委員長 本年に入つておもなる事件は何件くらいありましたか。そうしてその中で検挙した件数は何件ですか。
  1598. 込山不知夫

    込山證人 ただいまは統計的な何も持つておりませんが、屋内の忍び込み窃盗が一番大きかつた今年に入つてからの犯罪だと思つております。それともう一つは、板蔵の窃盗、大きいと申せばこの二つかと思つております。
  1599. 花村四郎

    ○花村委員長 それで本年に入つて犯罪事件が何件くらいありましたか。
  1600. 込山不知夫

    込山證人 大体件数にして十件くらいかと思つておりますが、その半数は片づいたと思つております。
  1601. 花村四郎

    ○花村委員長 十六件あつたそうじやないですか、大体本年に入つてから目ぼしいものは。
  1602. 込山不知夫

    込山證人 この前の三月初旬におきまして調べたとき、大体十件だつた思つております。
  1603. 花村四郎

    ○花村委員長 十六件じやないですか。
  1604. 込山不知夫

    込山證人 その点は私は請合えません。
  1605. 花村四郎

    ○花村委員長 こまかいものはまだあるでしようが、大体大まかなものは、あなたは署長だから、どのくらいの件数があるかくらいのことは当然知りなければなりませんね。
  1606. 込山不知夫

    込山證人 大体見当はわかりますが、詳しいことになりますと、やはり統計というものが必要になつて来ます。
  1607. 花村四郎

    ○花村委員長 しかし大体はわかりそうなものじやないですか。署長の席を汚しておれば、大体一月は何件くらい、二月は何件くらいということで、すぐ想像がつかなければならぬじやないですか。
  1608. 込山不知夫

    込山證人 まず十件くらいと思つております。
  1609. 花村四郎

    ○花村委員長 そうしてそのうち何件くらいあがつたのですか。
  1610. 込山不知夫

    込山證人 半数くらいあがつたと記憶しております。その半数の中には、昨年度の被害がまた今日あがつておるというものがございましよう。
  1611. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとその半数の事件は大体わかりますが、どういう事件、どういう事件という、その被疑者の名前をおもなものだけ言つてください。わかつたら。
  1612. 込山不知夫

    込山證人 わかります。ただいま拘置所に……。
  1613. 花村四郎

    ○花村委員長 拘置所も何もいらぬから、名前だけだれとだれ……。
  1614. 込山不知夫

    込山證人 これは目下取調べ中のもの……。
  1615. 花村四郎

    ○花村委員長 そういう説明はいらぬから、こつちの言うことをよく聞いて、だれとだれだれと名前だけ言えばいいのだ。あがつたというのはだれですか。わからなければわからないでいいです。
  1616. 込山不知夫

    込山證人 ちよつと私よくのみ込めませんが……。検挙になつたものと、目下取調べ中と追跡中とあるわけですが……。
  1617. 花村四郎

    ○花村委員長 追跡中は検挙にならないのだ。検挙になつたもの、こう言つておるじやないですか。だれとだれですか。
  1618. 込山不知夫

    込山證人 高塩泰二、田中一男、甲山政美、関マツ、検挙したのはそれだけです。
  1619. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとこれはみな事件は別々ですね。
  1620. 込山不知夫

    込山證人 別です。一人で多くの犯罪を犯しておるものもありますが。
  1621. 花村四郎

    ○花村委員長 そうするとこ別は大体窃盗ですか。
  1622. 込山不知夫

    込山證人 窃盗です。全部窃盗です。
  1623. 花村四郎

    ○花村委員長 四人ながらですか。
  1624. 込山不知夫

    込山證人 そうです。
  1625. 花村四郎

    ○花村委員長 これは別々の事件ですね。聞くことろによれば、本年に入つておもな事件が十七、八件あつたのだが、このうち一、二件しかあがらぬ、こう言うのですか、それはどうですか。それは間違いですか。
  1626. 込山不知夫

    込山證人 そういうことはないです。
  1627. 花村四郎

    ○花村委員長 一、二件しかあがらない……。
  1628. 込山不知夫

    込山證人 もつともその高塩泰二、田中一男は宇宮都の署で検挙してもらつたのです。
  1629. 花村四郎

    ○花村委員長 それではあなたのところで検挙したのじやないじやないですか。人が検挙したものを。
  1630. 込山不知夫

    込山證人 しかしこれは犯罪かあがつたということから言えば、申してもさしつかえないと思つたのです。別に検挙成績にしたいわけではないのです。
  1631. 花村四郎

    ○花村委員長 いや、検挙成績より何よりも、ほかの警察で検挙したものをあなたのところで検挙したということはない。
  1632. 込山不知夫

    込山證人 ただ犯罪検挙と言つたから申し上げたのです。
  1633. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたの警察署で検挙したという意味です。ほかの警察署で検挙したものを言うということはない。二件じやないですか。
  1634. 込山不知夫

    込山證人 一人で何件もやつていますし。
  1635. 花村四郎

    ○花村委員長 検挙したのは。
  1636. 込山不知夫

    込山證人 検挙人員ですか。検挙件数ですか。
  1637. 花村四郎

    ○花村委員長 検挙件数です。
  1638. 込山不知夫

    込山證人 件数と申しますと、その二人が入つておるのですが。
  1639. 花村四郎

    ○花村委員長 検挙したのは一、二件じやないですか。
  1640. 込山不知夫

    込山證人 これは考えようでありまして……。
  1641. 花村四郎

    ○花村委員長 考えようじやないですよ。
  1642. 込山不知夫

    込山證人 一人で三件の犯罪を犯したというのや、一人で一件の犯罪を犯したのやいろいろあります。
  1643. 花村四郎

    ○花村委員長 それはいろいろありますけれども、それは人員で言つたらどうですか。
  1644. 込山不知夫

    込山證人 二名です。
  1645. 花村四郎

    ○花村委員長 それは大体犯罪の対象は何人で行くのだから、一人が何件やつたということになつて、それが一つの事件になるのです。窃盗を五回やつたから五つの事件というのじやないのだ。一人で五回中ればそれは一件の犯罪としてあげられるのじやないですか。それではやはり十七、八件あつたというのもあなた間違いじやないですか。御記憶違いじやないですか。署長で記憶してないとは困るのだが。
  1646. 込山不知夫

    込山證人 十七、八件と言いますのはいつのお話ですか。
  1647. 花村四郎

    ○花村委員長 本年に入つてからですよ。さつきも言つているじやないですか。
  1648. 込山不知夫

    込山證人 私は十件くらいということを固持しません。こちらで議員さんの方で十七、八件と入手しておるなら、それがほんとでしよう。
  1649. 花村四郎

    ○花村委員長 それで今のところは二件あがつた、こういうのですね。
  1650. 込山不知夫

    込山證人 犯罪の数ですね。罪数から言えばたくさんあるのですが……。
  1651. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたの罪数というのは個々の事件を言うのか。一人が十回も窃盗をやつたというのも入れるのですか。
  1652. 込山不知夫

    込山證人 わかりました。人数で申しますとただいま申しました通りです。
  1653. 花村四郎

    ○花村委員長 二人でしよう。
  1654. 込山不知夫

    込山證人 はい。
  1655. 花村四郎

    ○花村委員長 それではあまり成績がよくないじやないですか。それをあなたは成績がいいと言われるのですか。
  1656. 込山不知夫

    込山證人 一人で四箇所の犯罪を犯しておつた。その一人をあげた場合、この四箇所というものは解決がつくのです。
  1657. 花村四郎

    ○花村委員長 そんなことはきまつているじやないですか。あなたそんな頭で警察署長の代理をやつてつたのでは、とんでもないことですよ。そんなことはあたりまえじやないですか。一人検挙して五回も六回もどろぼうをやつておれば、その一人を犯罪人としてあげてくれば、四件五件の問題が出て来るのは当然じやないですか。
  1658. 込山不知夫

    込山證人 そうです。それはけつこうだと言つてさしつかえないのです。これは見解の相違かもしれませんが……。
  1659. 花村四郎

    ○花村委員長 そういうことは見解の相違も何もありませんよ。そうすると十七、八件というのはどういうのですか、何人で十七、八件の事件を起したというのですか、十七、八人というのですか、どういうのごすか。
  1660. 込山不知夫

    込山證人 団長さんの方で十七、八件というので私そう申したのであります。
  1661. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたは十件というなら、一人で十件やつたというのか、十人で十件やつたというのか、どういうのですか。
  1662. 込山不知夫

    込山證人 一人で四、五件やつておるのもあります。
  1663. 花村四郎

    ○花村委員長 四、五件やつておるのがある……。そうすると人数にして何人ですか。何人が問題になつておるのですか。
  1664. 込山不知夫

    込山證人 昨年度発生した犯罪の件数……。
  1665. 花村四郎

    ○花村委員長 昨年ではない本年度のことです。
  1666. 込山不知夫

    込山證人 私は具体的の統計を今持つておりませんから、うかつなことは申し上げられませんから……。
  1667. 花村四郎

    ○花村委員長 統計ではありませんよ。知らないなら、知らないと言えばよろしい。十件と言うから、その十件の内容を聞いておるのです。
  1668. 込山不知夫

    込山證人 詳細なことはわかりません。
  1669. 花村四郎

    ○花村委員長 署長でわからないとは困るな。それでは今言うあなたの成績はあまりよくないのではありませんか。
  1670. 込山不知夫

    込山證人 私は町の犯罪というものは、その検挙人員は少くとも、犯した犯罪というものが一人で三箇所とかあるいは四箇所やつておるものもある、そういうものをあげれば非常に私はけつこうだと思います。
  1671. 花村四郎

    ○花村委員長 そういうことはけつこうでない、当然のことだ。犯罪があるのに、犯罪のある件数をなるべくあげて検挙するということでなければ、治安維持はできないのじやありませんか。一人で五件、六件犯したのをあげればそれでよいというような頭でおつては、警察の任務は勤まらないじやありませんか。
  1672. 込山不知夫

    込山證人 よいと思つておりません。しきりに警戒はやつております。
  1673. 花村四郎

    ○花村委員長 それでは先ほど言われた検挙の成績がよいというのは。
  1674. 込山不知夫

    込山證人 それで甘んじておるという意味ではありません。
  1675. 花村四郎

    ○花村委員長 あまりよくはありませんね。そこでそういう検挙率も悪いということで、ここの町民が非常に治安に不安を感じておるという町の声がありますが、それはどうですか。
  1676. 込山不知夫

    込山證人 大勢の中ですから、あるいはそういうものが、今お話を聞けばあるかもしれませんが、私どもはそれほどでないということを各地で聞くのですが、ここにそういうものがあると言われるならあるかもしれません。私はないと断言しません。
  1677. 花村四郎

    ○花村委員長 それではあなたは民衆警察ではない。やはり町の人の声を聞いて、そういう声があれば、なるべく一つ警察で検挙率を上げて、そうして町民の治安維持をはかつてやるということで、町民の声を聞くのは当然じやないですか。
  1678. 込山不知夫

    込山證人 その点努力しております。
  1679. 花村四郎

    ○花村委員長 町民の声もわからぬようでは、私はちつとも努力したとは認められない。
  1680. 込山不知夫

    込山證人 それは話を聞いてお参りますから、新聞でしたかうわさでしたか何でしたか、ちよつと今覚えておりませんが、私聞いたものですから、私の方でも心配しまして、あいにくその人にはぶつからなかつたのですが、とにかく一生懸命にやらなくちやならぬと考えて、目下努力中です。
  1681. 花村四郎

    ○花村委員長 どうも検挙率の話やいろいろ聞いても、あなたの言われていることと実際と違うようだが、署長として、あなたももう少し考えを新たにしてもらわなければ困ると思う、こういう検挙の率が悪いということ、並びに町民が不安を感じているというような声がある。その原因はどこにあるとあなたはお考えになられておりますか。もつとも、さつきあなたの言われたように検挙の成績がいい。町民からもそういう話を聞かぬといえば別ですが。
  1682. 込山不知夫

    込山證人 たいへんただいまなどは、町民も喜んでおると私は申し上げたのですが。
  1683. 花村四郎

    ○花村委員長 町民が喜んでおるというのは、それは検挙率がいいというのですか。
  1684. 込山不知夫

    込山證人 それはおわかりになつたことと思うのであります。何回も繰返して、同じことを申し上げても。
  1685. 花村四郎

    ○花村委員長 何回も同じことを聞いておりはしません。それは警察内部にいろいろな軋轢あるのじやないですか、どうですか。
  1686. 込山不知夫

    込山證人 軋轢と申しますと、これは外部所見と実際とは大分違つておることがあると考えるのです。
  1687. 花村四郎

    ○花村委員長 それは軋轢がないとおつしやるのですか。軋轢も何もなくて、うまくやつているとこう言われるのですか。
  1688. 込山不知夫

    込山證人 私はうまくやつていると思つております。
  1689. 花村四郎

    ○花村委員長 ここにあなたの出した陳情書が出ておりますが、この陳情書の内容を見ても、軋轢のあることははつきりしておるのではないですか。
  1690. 込山不知夫

    込山證人 そのために初めに陳情を出したので。
  1691. 花村四郎

    ○花村委員長 だから軋轢があるのでしよう。
  1692. 込山不知夫

    込山證人 だから、初めにさかのぼればそういうことがあつたんです。
  1693. 花村四郎

    ○花村委員長 今はないですか。
  1694. 込山不知夫

    込山證人 今はありません。そういつたことは。
  1695. 花村四郎

    ○花村委員長 聞くところによれば、小口徳重という人と、もう一人江面という巡査、その二人を対象として、あなたを初めとして九名の署員が、この二人のあらを探したりいろいろして、そうして告訴か何かしてやろうというので、そういう方面に署の全力をあげているので、従つてこの検挙能率等も上らめという話かあるが、それはどうですか。
  1696. 込山不知夫

    込山證人 私、最後に一言申し上げよう思つて
  1697. 花村四郎

    ○花村委員長 最後じやない。今の話はどうですか。尋ねたことに答えてください。
  1698. 込山不知夫

    込山證人 率直に言えば、反対じやないですか。
  1699. 花村四郎

    ○花村委員長 反対とは……。
  1700. 込山不知夫

    込山證人 私は意外に思つたのです。前の公安委員が署員を二名告訴告発したという話は、これはとつくからわかつております。しかし公安委員が、署員の何か非行とするところを、これを知るわけがない。だれかが結局持ち出したんじやないか、こう考えるのは当然なのであります。告訴告発は、何か恐喝というような名目らしいのですが、私詳しいことはわかりません。
  1701. 花村四郎

    ○花村委員長 それはだれの恐喝ですか。
  1702. 込山不知夫

    込山證人 それは奥山巡査が恐喝したとかいうような事件らしいですね。
  1703. 花村四郎

    ○花村委員長 事件らしいじやない。巡査が恐喝をやつておるというのに、署長が事件らしいで済みますか。
  1704. 込山不知夫

    込山證人 ところが、それを前の罷免になつた公安委員が告訴告発したということは、これは前の公安委員は何も知るわけがない。結局小品部長を江面巡査が持ち出したと私は推察しているのです。
  1705. 花村四郎

    ○花村委員長 小口部長が持ち出したのはいいのだが、警察官が恐喝をやつているという話があるのに、その話を知らぬということで署長としての職責が勤まりますか、どうですか。
  1706. 込山不知夫

    込山證人 とつくにそんなことは調査してあります。本人にも聞いております。
  1707. 花村四郎

    ○花村委員長 ここはじようだんじやありまんよ。まじめに答えなさい。ほんとうのことを言わなければだめです。ちやらんぽらんなことを言つて何ですか。そういうような話があつたようなことを言うてみたり、調査もしてあると言うたり、そういうふまじめな態度じや困ります。事実の真相を言いなさい。
  1708. 込山不知夫

    込山證人 前の公安委員が署員二名を告訴告発したということから、これは小口部長と江面巡査が公安委員に持ち出してやつたんだ。
  1709. 花村四郎

    ○花村委員長 それで小口部長と江面巡査に対して、あなたそのほか九名の署員で、何かあら探しをやつておるというような事実はありませんか。
  1710. 込山不知夫

    込山證人 それは、一度何かわれわれ署員のあらを探して告訴告発したということから、そんなことをするなら本人に何かありはせぬかと思つてちよつと調べたことはあります。
  1711. 花村四郎

    ○花村委員長 今もそういうことは……。
  1712. 込山不知夫

    込山證人 そういうことはやつておりません。
  1713. 花村四郎

    ○花村委員長 やつておらぬが、やはりそういう気持で、相対立した形が今でも残つておるのではないですか、どうです。どうですか。
  1714. 込山不知夫

    込山證人 私として、別に対立とか何とかいう感じは持つておりません。これは当初からそうです。
  1715. 花村四郎

    ○花村委員長 そういうことじや困るね。あなたは去年の十二月十三日に、この小口徳重という人に対するいろいろ事実を並べて公安委員に陳情したりしておつて、それからまだ日月は幾らもたつておりません。それは去年の暮で、今は三月だから……。要するにあなた方九名は、小口並びに江面のいろいろな、何かあらを探すというので、これでも足らずというような調子でやつておるので、従つて検挙率も悪いのだ。こうあなたと一緒警察に勤めている小品部長が言われているのですよ。それを署長として、この喜連川署の一切の全責任を背負つておられるあなたがそれを知らぬというのじや、どうもそれは少し署長として情ないじやないですかうどうですか。
  1716. 込山不知夫

    込山證人 それは小口部長に私らがやられたことなんです。
  1717. 花村四郎

    ○花村委員長 いや、やられたのではない。そうすれば、先ほどあなたは、警察の内部には何らの対立もなく平静に行つておると言うが、そうじやない。やはり対立状態があつてごてごてしておるのではありませんか。無責任なことを言つてはだめです。事実をはつきり言いなさい。
  1718. 込山不知夫

    込山證人 対立しておるというのは、敵として戦うというのですか。
  1719. 花村四郎

    ○花村委員長 こつちで聞いておることですよ。
  1720. 込山不知夫

    込山證人 そういつた感じは実際持つていないのです。
  1721. 花村四郎

    ○花村委員長 対立という意味がわからぬというのですか。対立状態にあるかないかということはこつちで聞いておるので、あなたが聞くことではないのだ。その対立という理由がわからぬのならばそれでいいのだが、そういう状態があるかないかはつきり言いなさい。君は責任があるじやないか。
  1722. 込山不知夫

    込山證人 それはその陳情書を出したときは、そういうことがあつては困るからというので出したのですが、現在そういうことはないと私ははつきり言つてよろしいと思います。
  1723. 花村四郎

    ○花村委員長 それだから今私がお尋ねしたように、小口徳重という部長は、今ここでやはり警察内部に対立状態があるということをはつきり証言しておるのだ。そこであなたかこの喜連川署の全責任を負つて、そうして警察を統率して行かなければならぬという重大な責任を持つておる。署長の代理をやつておるでしよう。その代理をやつておる人が、署の内部がどうなつておるかということを知らぬというのでは困るじやないか。現にここに小口という部長が来て、内部でいろいろな軋轢があると言うのだ。あなたはないと言うのだろう。あるとはつきり部長が言つておるのに、その軋轢があるかないか知らぬのでは困るというのだ。そういうことだから犯罪の検挙も上らぬし、そうして町の人が治安に不安を感じておることもあなたにはわからぬ、こういうこと、になるのだ。そういうことでは単品祭署長としての職責を果しておるとは言い得ないのだ、こういうのですよ。
  1724. 込山不知夫

    込山證人 小口部長は自分でそういう考えを持つておるかもしれません。しかし私としては、まず大丈夫だという考えを持つておるのです。
  1725. 花村四郎

    ○花村委員長 そんななまぬるい考えを持つてつたのでは困りますよ。日本再建の重大なるときに、警察署長代理で、そうして警察署の一切の責任を負つて行かなければならない人が、警察内部にそういう軋轢があるかどうかというようなことや、そうして犯罪に対する数字とかいろいろわからぬところから見れば、熱意のほども疑われるのだ。そういうことではまことに困る、こういうのですよ。こつちも国家のためにあなたに言うておるのだ。あなたを何も署長としていじめたいという意味ではないのだ。――ほかに何か御質疑はございませんか。
  1726. 北川定務

    北川委員 小口部長の排斥の陳情の写しをさつき見せられましたね。
  1727. 込山不知夫

    込山證人 はい。
  1728. 北川定務

    北川委員 あの陳情書をつくるときに、魚義というところで酒を飲んで、九名の者が町長を呼んで、その席でつくつたということは間違いありませんか。
  1729. 込山不知夫

    込山證人 その席でつくつたという事実は全然ございません。
  1730. 北川定務

    北川委員 その席で話合いをしたことはありますか。
  1731. 込山不知夫

    込山證人 あります。
  1732. 北川定務

    北川委員 魚義というのは料理屋ですか。
  1733. 込山不知夫

    込山證人 いいえ、これは魚屋です。
  1734. 北川定務

    北川委員 酒はどのくらい飲んだのですか。
  1735. 込山不知夫

    込山證人 そうですね、会計の方は私まかせておりましたから。
  1736. 北川定務

    北川委員 まかせておつたつて大体見当がつくでしよう。何升ぐらい飲んだということは――。
  1737. 込山不知夫

    込山證人 ちよつとわかりません。
  1738. 北川定務

    北川委員 大騒ぎをしたといううわさなんですが――。
  1739. 込山不知夫

    込山證人 別に騒ぎもいたしません。
  1740. 北川定務

    北川委員 相当酔つばらつて歌を歌つた者もおつたでしよう。
  1741. 込山不知夫

    込山證人 歌を歌つたということはございません。
  1742. 北川定務

    北川委員 うわさではそういうことになつております。
  1743. 込山不知夫

    込山證人 うわさとは違います。
  1744. 北川定務

    北川委員 署長代理を排斥するというのに、署員十一名おつて、九名の者が連署して書面をつくる。しかも酒を飲んで気勢をあげて書面をつくるに至つては、あなたは対立状態はないと言つておるけれども、対立状態は大いにあるのじやないか。
  1745. 込山不知夫

    込山證人 これは初め公安委員に話しました。別に陳情書をすぐ出したわけではないのです。ところが公安委員でどうもらちがあかない。というのは増えてくれないらしいのです。そこでわれわれから町長に話したのです。ですからそこで書類をつくつたとか、大騒ぎをしたということは私否定いたします。
  1746. 北川定務

    北川委員 どうもわからぬ。署員が労働争議にも似たような行為をして、あなたは正しいと思つていますか。
  1747. 込山不知夫

    込山證人 労働争議というようなことじやないのです。
  1748. 北川定務

    北川委員 大部分の者が一部の者を排斥する運動をやつて連署をした、そういう行為はやましいことじやないのですか。
  1749. 込山不知夫

    込山證人 それは排斥というのではなくて。
  1750. 北川定務

    北川委員 公安委員が任免権を持つておりますよ。任免権を持つておる者に対して、署員が非行を並べて連署して出す、陳情書を出す場合に、それは排斥運動じやないのですか。
  1751. 込山不知夫

    込山證人 ですから先ほど申し上げました通り警察からしりぞけるというような意味は全然入つていないのです。そうでなくて、ひとつ御考慮をお願いしたい、こういうふうでは困るから、こうこうでお考えをお願いしたい、こういう意味なんです。
  1752. 北川定務

    北川委員 それから町のうわさでは、窃盗は一日に一件平均ぐらいあつて、ほとんど検挙されていないということですが。
  1753. 込山不知夫

    込山證人 そういつたことはありません。
  1754. 北川定務

    北川委員 昨年中、あなたの出された統計によると八十一万円の被害価額について、被害が回復しておるのは、六万円ということになつておりますが、それでもそういうことはないとおつしやるのですか。
  1755. 込山不知夫

    込山證人 一日一件平均ということは。
  1756. 北川定務

    北川委員 検挙率がきわめて低いということです。通常東京都内などの検挙率を見ると、少くとも五〇%以上七〇%ということになつておるが、あなたのところの統計を見ると三四%、しかもこれは届け出た部分だけですよ。
  1757. 込山不知夫

    込山證人 そうです。
  1758. 北川定務

    北川委員 それによつてもいかに検挙率が低いかということがわかるのではありませんか。
  1759. 込山不知夫

    込山證人 東京都内と喜連川とはちよつと比較にならぬと思いますが、しかしその点は私ども非常に戒心して、検挙率が少いということは努力しなければならぬと考えるとともに、現在実行しております。
  1760. 北川定務

    北川委員 終りました。
  1761. 花村四郎

    ○花村委員長 もう一つお尋ねするが、あなた方は笹沼清一多三郎というのを知つておりますね。
  1762. 込山不知夫

    込山證人 知つております。
  1763. 花村四郎

    ○花村委員長 そこにしよつちゆう出入りしておつたそうですね。
  1764. 込山不知夫

    込山證人 全然ありません。
  1765. 花村四郎

    ○花村委員長 何か関係ありませんか。
  1766. 込山不知夫

    込山證人 関係ありません。ずいぶんデマも飛ばされたのです。
  1767. 花村四郎

    ○花村委員長 いやデマのことを聞いておるのではないのだ。それで笹沼多三郎並びに清一というのは、犯罪に関するような問題も起きておるという話もあるのだか、ここは警察として手をつけることはできないような状況に置かれておる、こう言う者がありますが、それはどうですか。
  1768. 込山不知夫

    込山證人 そういうことはありません。
  1769. 上村進

    上村委員 あなたは犯罪検挙率が悪い、東京よりもいなかの方が犯罪検挙率か悪いのがあたりまえのようなことを言われたか、それはあべこべではないでしようか。
  1770. 込山不知夫

    込山證人 それはそういう意味じやないのですから、ひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  1771. 上村進

    上村委員 そうでしよう、東京のようなところでも犯罪検挙率が上れば、いなかのようなところ、ことに農村などに行けば、もう一件一検挙でなければいけないのだ。にもかかわらず、私もこの間あそこに行つたのですが、いなかの小さいあんなところでどうしてそう上らないのでしよう。
  1772. 込山不知夫

    込山證人 そう申されますと一つ例を申し上げますが、新刑事訴訟法というものが、私ら捜査機関にとつてみればやりにくいということだけを申し上げて、あとはその点で御了承をお願いしたいと思います。
  1773. 上村進

    上村委員 そうでなく、具体的に言えば、大体窃盗なんかわかつても、つまりそれがボスの子分だとかいう関係、そういつた方面で、遠慮して検挙しないでいるのじやないですか。
  1774. 込山不知夫

    込山證人 そういうことはありません。
  1775. 上村進

    上村委員 それではその辺の喜連川町以外の隣の署はどういう率になつていますか。
  1776. 込山不知夫

    込山證人 隣接署ですか。
  1777. 上村進

    上村委員 隣接署の率とあなたの署の率と。
  1778. 込山不知夫

    込山證人 あまり違わない。大体同じような、違つてもあまり違わないと思つています。
  1779. 上村進

    上村委員 そうすると、七十人のぬすつとが出ても、たつた二十人、三十人で、あと何丁人かは盗みをしてもつかまらぬ。
  1780. 込山不知夫

    込山證人 もつとも隣接署と申しますと、どこも小さなところですから。
  1781. 上村進

    上村委員 小さければ小さいほどあがらなければならない。農村の小さいところは、ぬすつとというようなものは少くなくちやならぬわけでしよう。警察署において百人のぬすつとが三十人しかあげられないということになれば、あと七十人は堂々とやれるわけです。そうすると、とにかく盗まれた人は災難なんだね。それでも警察はあげないということになれば、警察署としてはやはり職務の怠慢ではないかとぼくは思うのだが………。
  1782. 込山不知夫

    込山證人 その点十分に努力しております。
  1783. 上村進

    上村委員 努力してもらわなければなりませんが、過去のことを聞くのですよ。過去にどうしてそうあがらぬのか、あげないのか。
  1784. 込山不知夫

    込山證人 あげないということはありません。
  1785. 花村四郎

    ○花村委員長 牽連してちよつと尋ねますが、隣接の署と大体同じくらいな成績だとこう言われるが、その隣接署というのは、どこの署で、そうして何件くらいあつて、何件くらいの検挙率であると言われるのですか。
  1786. 込山不知夫

    込山證人 ちよつとただいま申し上げられません。
  1787. 花村四郎

    ○花村委員長 それは想像ですか。
  1788. 込山不知夫

    込山證人 結局一々具体的事実をあげませんと困ることになりますから、その点は申し上げることは遠慮さしていただきます。
  1789. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、それは想像だというのですか。今あなたの言われたことはあなたの想像ですか。
  1790. 込山不知夫

    込山證人 想像です。
  1791. 花村四郎

    ○花村委員長 想像でそんな無責任なことを言うちやだめですよ。しかも警察署長代理じやないですか。ちやんと言うには言うだけの根拠を待つて言わなければだめです。そういうような考えを持つてるから、検挙率も悪いし、警察内部もやはり対立状態が起きるんだ。そういうことはあなたは考えませんか、どうですか。しつかりしなさい。
  1792. 込山不知夫

    込山證人 過去の自治警察、私が赴任して以来のことですが、一切をよく考えまして、そうして十分に力を盡したい上私現在考えております。
  1793. 花村四郎

    ○花村委員長 そんなことは当然のことですよ。警察官として職にある者が、自分職務のために働くことを考えていることは当然じやないですか。
  1794. 北川定務

    北川委員 小口部長と証人との対立の事実につきましては、私現地に参りまして、幾多の事実を知つておるのでありますが、最後に一つだけ伺つておきたい。あなたが署長代理になつてかう、小口部長は警察署内でどんな仕事をしておりますか。
  1795. 込山不知夫

    込山證人 ただいま捜査の取調べの方です。その方の副主任というようなことを一時的にやつております。
  1796. 北川定務

    北川委員 捜査をやつておるのですか。
  1797. 込山不知夫

    込山證人 はい。
  1798. 北川定務

    北川委員 小口部長の言うところによると、外へは出ていけないということを、あなたから命令を受けておる……。
  1799. 込山不知夫

    込山證人 そういつたことを言つた覚えはありません。
  1800. 北川定務

    北川委員 そうですか。それから江面巡査を転勤させましたね。
  1801. 込山不知夫

    込山證人 はい。
  1802. 北川定務

    北川委員 どこへ転勤させましたか。
  1803. 込山不知夫

    込山證人 鷲宿の駐在所です。
  1804. 北川定務

    北川委員 転勤されたために、江面巡査は夜勤の手当がもらえなかつたために、一箇月に数千円の減収となつたということを言つておりますが、その通りですか、
  1805. 込山不知夫

    込山證人 宿直をしませんから、そのくらいの減収になるでしよう。
  1806. 北川定務

    北川委員 これはあなたが小口一派を特に外出を禁じて捜査の係が外出を禁ぜられたり、あるいは小口と一派になつておると見られておる江面を転勤させたりしたというふうに言つておる人があるのですが、そういう事実はありませんか。
  1807. 込山不知夫

    込山證人 そういうわけじやありません。
  1808. 北川定務

    北川委員 終りました。
  1809. 花村四郎

    ○花村委員長 それでは最後に一言お聞きしたいのだが、この小口部長か高橋博並びに深尾前公安委員のところへ、警察を留守にしてしよつちう行つておるということをあなた言われたのですか、今もそうですか。
  1810. 込山不知夫

    込山證人 そのことについては、もうこれ以上申したくないでありますが。
  1811. 花村四郎

    ○花村委員長 証言を拒むのですか。
  1812. 込山不知夫

    込山證人 拒むわけじやないですが、わかりません。
  1813. 花村四郎

    ○花村委員長 わからぬというが、それは無責任な話ですね。わからぬのに、それではこれも想像ですか。証言を拒むなら拒むでよし、それでその先ほど言われた高橋博、深尾前公安委員のところへ、警察を留守にしてしよつちゆう行つておるということを、あなたはつきりと言われたわけなんだが、そうすると、それは想像である、こういうわけですか。
  1814. 込山不知夫

    込山證人 想像というわけではないです。
  1815. 花村四郎

    ○花村委員長 そうすると、それは事実あるのですか。想像でなければ、事実あるでしよう。
  1816. 込山不知夫

    込山證人 はい、署員もよく見ておりますから。
  1817. 花村四郎

    ○花村委員長 それで事実あるならば、今もあるか、いつあるかわからぬということはないじやないですか。
  1818. 込山不知夫

    込山證人 ……。
  1819. 花村四郎

    ○花村委員長 どうです。考えることはないのじやないですか。はつきわ言われたわけなんだ。どうです。前の話ですか、今の話ですか。
  1820. 込山不知夫

    込山證人 それは前の話です。
  1821. 花村四郎

    ○花村委員長 今はそうじやないですか。
  1822. 込山不知夫

    込山證人 今はそうじやないと思いますが、これは何とも断言できません。
  1823. 花村四郎

    ○花村委員長 あなた署長代理をやつておるでしよう。
  1824. 込山不知夫

    込山證人 はい。
  1825. 花村四郎

    ○花村委員長 署長代理は署内の署員の監督をしておるわけじやないですか。そうでしよう。
  1826. 込山不知夫

    込山證人 そうです。
  1827. 花村四郎

    ○花村委員長 それではその監督をしておるものか、前にはそういう事実があつたのだが、今わからぬというのじや、それはあまり無責任な話じやないですか。無責任と考えませんか、それであなたは署長の代理としての職責を盡しておられると、こう考えておるのですか。
  1828. 込山不知夫

    込山證人 現在はないと思つております。
  1829. 花村四郎

    ○花村委員長 そうですが。ほかに御質問はありませんか、それでは済みました。どうも遠いところを御苦労でした。
  1830. 込山不知夫

    込山證人 ちよつと申し上げますが、私不まじめだとおしかりを受けたのですが、私はまじめな気持でやつておるのです。自分は誠意をもつてつておるのですが、わからないところもありますから、即答できかねてぐずぐずしておつたというところもありますか、決して不まじめな気持証言台に立つたということでないということだけは、御了承願いたいと思います。
  1831. 花村四郎

    ○花村委員長 それで済みました。それでは次に進みます。  深尾法順さんですね。
  1832. 深尾法順

    深尾證人 はい。
  1833. 花村四郎

    ○花村委員長 年齢は。
  1834. 深尾法順

    深尾證人 五十歳です。
  1835. 花村四郎

    ○花村委員長 御住所は。
  1836. 深尾法順

    深尾證人 喜連川町の四千三百十七番地
  1837. 深尾法順

    深尾證人 職業は寺院の住職であります。
  1838. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたは前に公安委員をやつておられたわけで。
  1839. 深尾法順

    深尾證人 さようでございます。
  1840. 花村四郎

    ○花村委員長 それをおやめになられたわけですか。やめさせられたわけですか。
  1841. 深尾法順

    深尾證人 罷免をされました。
  1842. 花村四郎

    ○花村委員長 いつからいつまで公安委員をやつておられましたか。
  1843. 深尾法順

    深尾證人 昭和二十四年の八月一日付で任命になりまして、昭和二十五年一月十二月に罷免になりました。
  1844. 花村四郎

    ○花村委員長 罷免の理由はどういう理由でしたか、御承知ですか。
  1845. 深尾法順

    深尾證人 罷免の理由は何ら明示がございませんで、一向わかりません。そうしてその点につきまして、あまり不明瞭な措置でございますので、これを拒否いたしまして、その説明を求めましたけれども、やはり單に罷免をするというだけで、一向にその点がわかりません。それでさらに役場から町議会の議事録を取寄せまして、見せていただきました。その町議会におきまして、私たち手塚、深尾の二名の公安委員警察法の二十四条の罷免の理由の三項目に該当するものは何ら説明してありません。なお警察法の第四十四条にも該当したことを説明いたしておりません。理由はまつたく不明であります。
  1846. 花村四郎

    ○花村委員長 そこであなたが罷免されるような何か節かあつたということについて、お気づきの点でもありますか。
  1847. 深尾法順

    深尾證人 私は罷免されるような理由は一つもないと思つております。むしろ私は大いにほめられて、りつぱな公安委員だ、日本一の公安委員だと町長ないしはその他の議員からも言われたくらいで、私は自信を持つて公安委員をりつぱに勤めたいと思つて、一生懸命になつておりはした。
  1848. 花村四郎

    ○花村委員長 それで訴願をなすつたですか。
  1849. 深尾法順

    深尾證人 はい。訴願いたしました。
  1850. 花村四郎

    ○花村委員長 訴願の経過はどうなつておりますか。
  1851. 深尾法順

    深尾證人 訴願は下級官庁のなしたる不当な処分につきまして、上級官庁からこれを是正していただけるような趣に聞きましたので、栃木県知事にこの不当な処分の取消しを要求いたしましたのでありますが、自治体というものは、そこだけてきまつて行くものだというような趣旨らしいのであります。なお県が必ずしも町村の上級官庁でないというような説明がつけられまして、却下になりました。
  1852. 花村四郎

    ○花村委員長 訴願が却下になつたのですね。そうすると行政訴訟で起される御意思は持つておりますか。
  1853. 深尾法順

    深尾證人 はい。実はあまりの理不尽のやり方でありまして、私も寺におりまして、約三百軒の壇家を持つておりまして、信用ということをもつてつておるのでございますから、何とかこの不名誉を挽回いたしまして、ぜひよき警察をつくりまして町民の者に安心を与えたいというようなことから、訴訟ということではたいへん日にちがたつ、日数を要するように聞いておりましたので、少しでも早く復活いたしまして、公安委員の職をもつて町をよくして行きたいというような熱意から訴願をいたしました。
  1854. 花村四郎

    ○花村委員長 わかりました。それで喜連川町の治安維持の状況はどういうふうにあなたはごらんになつておられますか。
  1855. 深尾法順

    深尾證人 治安維持は私十分とは言えませんが、一応保たれておると思つております。
  1856. 花村四郎

    ○花村委員長 今でもですか、あなたのときでなくて、あなたがやめられた後における状況はどうですか。
  1857. 深尾法順

    深尾證人 最近いろいろ盗難等が頻発いたしまして、なかなか警察でも骨折つておられるようでありますが、検挙というようなことにおきましては、多少不満な状態じやないか思われます。
  1858. 花村四郎

    ○花村委員長 それで喜連川署の内部で何か対立状態のような関係があるように聞いておりますが、それはどうですか。
  1859. 深尾法順

    深尾證人 何でございますか。
  1860. 花村四郎

    ○花村委員長 喜連川警察署の内部で、警察官等が相対立して互いにあら探しをやつているというような軋轢があるように聞いておるがどうですか。
  1861. 深尾法順

    深尾證人 それはございます。
  1862. 花村四郎

    ○花村委員長 それから警察喜連川の――わかりやすく言えばボスですよ。有力者と結託というか、有力者と非常に深く通じておる関係があるというような話ですが、それはどうですか。
  1863. 深尾法順

    深尾證人 最近の警察員の多くは、そうした傾向が非常に強いと思つているが、非常に心配な点だと思つております。
  1864. 花村四郎

    ○花村委員長 そのいわゆる有力者、俗に言うボスというような人々はどういう人だつたか御承知ですか。
  1865. 深尾法順

    深尾證人 大体喜連川におきましては、警察始まつて以来三、四十年になると思われますが、私の聞くところにはよりますと、いわゆる警察を自由にするというようなボスぶりを発揮しておりました者は笹沼多三郎、それからそれの兄でございました、なくなりましたが仲衛門、それから今日證人に呼ばれました笹沼清一、現在生きておりますのは多三郎君、それから清一君、この二人が町におきましても、あまりボスなる言をよく知らない者までが、いわゆるボスというのはあそこだというくらいまでに、横暴なふるまやをしておるようにながめておるようであります。
  1866. 花村四郎

    ○花村委員長 それで今の警察とやはり何か密接な連関係を結んでおるように、あなたはごらんになつておりますか。
  1867. 深尾法順

    深尾證人 はい、非常に濃厚に結んでおるように聞き受けております。
  1868. 花村四郎

    ○花村委員長 それは込山知夫という今署長代理がおりますが、その署長代理並びにそれらの配下、こういうわけですか。
  1869. 深尾法順

    深尾證人 さようでございます。ちようど署員込山外八名の者が、前の署長代理に反対いたしたのであります。その九人が一つのグループをつくつておりますが、その込山などは、ほとんどそのボスの傀儡になつておるじやないかといううわさがございます。
  1870. 花村四郎

    ○花村委員長 それはうわさだけで、あなたが事実について見られたごとはないのですか。
  1871. 深尾法順

    深尾證人 私直接見たり、それらの話を聞いたというのではございません。
  1872. 花村四郎

    ○花村委員長 それからもう一つ高橋博という薬種商を御存じですか。
  1873. 深尾法順

    深尾證人 存じております。
  1874. 花村四郎

    ○花村委員長 高橋博、それから證人のところへ、小口徳重という部長がおりますが、この部長がほとんど警察をないがしろにして、毎日のように晝も夜も出入をしている。こう言う者があるのですが、そういう事実はありますか。
  1875. 深尾法順

    深尾證人 そうした事実はないのです。
  1876. 花村四郎

    ○花村委員長 あなたのところへたまに行かれることはございますか。
  1877. 深尾法順

    深尾證人 たまにはございました。私かかぜを引いて休んでおるときなど、どうしましたかということで、来てくれたことがあります。
  1878. 花村四郎

    ○花村委員長 それで晝も夜もしよつちゆう行つておるということはないのですね。
  1879. 深尾法順

    深尾證人 そういうことはありません。
  1880. 花村四郎

    ○花村委員長 そうでしようね。そうして高橋博という人のところへ行つておるという話は聞きませんか。
  1881. 深尾法順

    深尾證人 それは聞きません。タバコ屋ですから、あるいはタバコを買いに行つたようなことはあるかもしれませんが、あとは知りません。それから私が直接見ましたのは、公安委員をしておるときに、小口巡査部長に対して反対の陳情書を出しましたが、そのうちに小口部長が、いろいろな笹屋の非行をしやべつたということを書き立てておりまして、それから笹屋々々というから、自分たちは警察活動を思うようにやれない。ああいう有力者のことをあまり言われると、警察活動がしにくいというような、悲鳴に似たようなふうに私が感ずるような文書を見ております。
  1882. 花村四郎

    ○花村委員長 ほかに何か御質疑はございますか。
  1883. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 あなたは公安委員をしておる間に、この笹沼親子と何か交渉したことはありませんか。
  1884. 深尾法順

    深尾證人 何もありません。
  1885. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 笹沼があなたのところに、自分のことについて話して来たこともありませんか。
  1886. 深尾法順

    深尾證人 ありません。
  1887. 田嶋好文

    ○田嶋(好)委員 相談を受けたこともないのですか。
  1888. 深尾法順

    深尾證人 はい。
  1889. 花村四郎

    ○花村委員長 ほかにありませんか。――なければ済みました。どうも遠いところを御苦労さまでございました。本日の証人証言はこれをもつて全部終了いたしました。遅くまで御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時より内閣委員会と連合審査会を開会いたしますから、さよう御了承願います。     午後七時三十五分散会