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1950-03-08 第7回国会 衆議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月八日(水曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 北川 定務君    理事 猪俣 浩三君       押谷 富三君    佐瀬 昌三君       松木  弘君    眞鍋  勝君       武藤 嘉一君    山口 好一君       吉田 省三君    石川金次郎君       加藤  充君    三木 武夫君       世耕 弘一君  出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君  出席政府委員         法務政務次官  牧野 寛索君         検     事         (法制意見第一         局長)     岡咲 恕一君         刑 政 長 官 佐藤 藤佐君         検     事         (検務局長)  高橋 一郎君         法務事務官         (矯正保護局         長)      古橋浦四郎君         検     事         (特別審査局         長)      吉河 光貞君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君 三月七日  委員稻葉修君辞任につき、その補欠として中村  又一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月六日  築館区検察庁仙台地方検察庁支部に昇格の陳  情書  (第五四八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  矯正保護作業運営及び利用に関する法律案(  内閣提出第八八号)  連合審査会開会に関する件  委員派遣承認申請に関する件     ―――――――――――――
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日はまず去る三月四日本委員会に付託せられました矯正保護作業運営及び利用に関する法律案について政府提案理由の説明を求めます。     —————————————     —————————————
  3. 牧野寛索

    牧野政府委員 ただいま上程になりました矯正保護作業運営及び利用に関する法律案提案理由を説明いたします。  この法律案は、これを端的に申しますれば、受刑者作業法律の定めるところによつて課せられるものであり、かつ本人の矯正保護上重要な意義を持つものでありますから、この運営において遺憾なきことを期するため、これを実施するにあたり、よるべき基準を定めるとともに、受刑者矯正保護にふさわしい仕事確保することを目的としているものであります。  まず第一の点、すなわち受刑者作業に服せしめるにあたり、よるべき基準に関する條項につき説明いたします。この條項は、受刑者を人として尊重し、できるだけ人たるに値する條件のもとで作業に服せしめることを目的とするものであります。申すまでもなく新憲法は、個人の自由、人権尊重根本義とし、人道精神を高く顕揚しているのであります。従つて受刑者各種法令制限のもとに有する自由人権尊重し、人たるに値するように遇することは、新憲法精神に沿うゆえんであり、ひいてはまたわが国を文化国家に引上げる道でもあると存ずるのであります。戰後における受刑者矯正保護は、この精神により運営いたして参り、各般の点においてまことに著しき進歩を遂げたものと信ずる次第であります。  本法律案はこの理念に立脚し、第三條ないし第六條の四箇條を設けて、作業運営にあたり受刑者を遇する目標を定めているのであります。すなわち第三條におきましては、矯正保護作業は、さきに申し上げました受刑者基本的人権を害するものであつてはならず、かつ受刑者矯正保護に役立つものでなければならないと規定し、さらに受刑者に対しても作業に従事するにあたり、持つべき心構えを示しているのであります。以下三箇條にわたり、作業賞與金の給付、作業時間、休憩、休日及び作業実施上の安全衛生等につきまして、受刑者各種行刑法規制限のもとにおいて、できるだけ人たるに値するような処遇をなす目標を定めているのであります。これらの規定により示される精神は、今日の矯正保護作業の実際には相当実現されているところでありますが、この際法律によりこれを明記しますれば、人権尊重憲法理念を国法上に明示し得るとともに、将来矯正保護作業実施にあたり、一層の徹底を期し得るゆえんであると考え、ここに規定した次第であります。  次に本法案の第二の点、すなわち受刑者矯正にふさわしい作業確保することに関する條項につき説明いたします。受刑者矯正保護上、作業がきわめて重大な役割と使命を有するものであることは、いまさらここに説明申し上げるまでもないことと思います。矯正保護作業運営にあたつては、まず第一に、いろいろの仕事の中で最も受刑者矯正にふさわしい仕事確保することが肝要であります。この点より考え、まず需要面より見ますれば、受刑者作業は、民需より官公需仕事をなすことが適当であると考えるのであります。それは民需に基いて作業を課しますれば、受刑者は一私人の利益に奉仕し、その労働が私利に供せられているという感を抱きがちでありまして、受刑者精神に思わしからざる影響を與えるからであります。これに反し官公需に基く仕事を課しますれば、受刑者自分労働が、一般公共の用に供せられていると考え、その矯正保護上好結果を来すのであります。次に仕事の質の面より見ますれば、矯正保護作業は、受刑者職業指導使命を十分に果すものでなければなりません。この点から見まするに、官公需仕事は、職業指導にふさわしい業種、たとえば木工、洋裁、印刷、皮革工等仕事が多数ありまして、職業指導を計画的に実施するに最も適しているのであります。また官公需による作業によつて相当收益を国庫にもたらすことになりますれば、刑務所に要する国費の負担軽減も期し得らるることとなるのであります。さらに考慮すべきは、現在のごとく矯正保護作業確保をまつた一般企業との自由競争に放置しますれば、その当然の結果として矯正保護作業仕事が手に入れることができず、ために受刑者中に不就業者が続出し、受刑者矯正保護はもとより、刑務所治安維持の上からも、まことに憂慮すべき事態を来すことがおそれられるのであります。かような次第でありまして、受刑者作業は、もつぱら官公需の用に供することとするのが、理論上もまた実際上も正当であると考えられるのであります。この受刑者作業官公需に求める制度は、いわゆる矯正保護作業官用主義と呼ばれるものでありまして、アメリカにおいてはすでに一八二六年にこの制度法律により制定した州もあるのであります。この矯正保護作業官用主義を実現するにつきましては、これに必要とする官公需仕事の十分な分量を確実に確保することが必要となるのであります。このためには国家機関に若干の義務づけをなすこともまたやむを得ないところであります。かような考えのもとに、関係各省とも協議を重ねまして、この法律案の第七條ないし第十一條にわたりこれに関する規定を設けたのであります。その大体の構想は、国は、受刑者就業に十分な量の作業確保する義務があり、地方公共団体はこれに協力することとし、矯正保護作業によつて生産される品物及び受刑者の労務は、優先して国及び地方公共団体需要に供することを建前としたのであります。  作業確保の手続については、まず法務総裁注文案内書をつくり、国または地方公共団体機関に送るのであります。国の機関は、これに記載されるもので、その需要に適合するものがある場合には、法務総裁または刑務所の長等にその旨の通知をする義務を負うのであります。この通知により、両者問に通常の随意契約の線に沿い協議が行われ、契約が結ばれるのであります。もちろん両者の意思が合致しないときは契約は成立しません。地方公共団体にはかかる義務づけをなさず、もつぱらその自発的協力を願うことにいたしますのであります。今日はこの程度の措置で一応矯正保護作業に十分な量の仕事確保し得るものと考えているのであります。  なおこの矯正保護作業官用主義実施するにあたりましては、政府労働または民間企業に関する政策を尊重し、これに反しないよう努むべきことはもとよりでありまして、第八條第二項にこのことが規定されています。  以上がこの法律における矯正保護作業確保規定の要旨でありまして、このほかなお法律案は第十二條に、風水害その他緊急の場合には、受刑者公共の被害の防止のために就労する規定を設け、また附則には、できるだけすみやかに矯正保護作業を完全に官用主義に切りかえることに努めなければならないことを規定しております。  以上の次第で、この法律案は今日受刑者矯正保護上まことに画期的の意味を有するものと信ずるものであります。何とぞ愼重審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。
  4. 花村四郎

    花村委員長 何か御質問はありませんか。——それではちよつと速記をとめてください。
  5. 花村四郎

    花村委員長 速記を始めてください。  別に御質疑がなければ、本案につきましては次会討論採決に入りたいと存じますから、さよう御了承願います。     —————————————
  6. 花村四郎

    花村委員長 去る二月二十八日の本委員会において、栃木県喜連川町における人権蹂躙問題に関し証人を喚問いたすことを決定いたし、その人選、日時につきましては委員長に一任いたされておりましたが、大体次のようにとりはからいたいと思いますから、御了承願いたいと存じます。  証人喚問日時は明後十日午前十時よりといたし、証人といたしましては、    笹沼 精一君  澁江  等君    伊藤  茂君  根本  彦君    大草  寛君  小口 徳重君    込山不知夫君  深尾 法順君 の八名といたしたいと存じますから、委員各位におかれましても定刻に御参集願いたいと存じます。     —————————————
  7. 花村四郎

    花村委員長 なおこの際お諮りいたしたいことがあります。去る二月二十七日内閣委員会に付託されました法務設置法の一部を改正する法律案は、本委員会といたしましても重大なる関係がありますので、衆議院規則第六十條により、内閣委員会連合審査会を開きたい旨申入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
  8. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければさよう決定いたします。  なお連合審査会日時は、内閣委員長協議の上決定いたしたいと存じますから、さよう御了承願います。     —————————————
  9. 花村四郎

    花村委員長 また矯正保護作業運営及び利用に関する法律案審査のため、小菅、浦和、栃木、宇都宮の各刑務所を視察いたすため、議長委員派遣承認申請書を提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  10. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければさようとりはからいます。  なお派遣期間派遣委員に関しましては、委員長に御一任願います。
  11. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長代理 ちよつと速記をやめてください。     —————————————
  12. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長代理 それでは速記を始めてください。  この際猪俣委員及び加藤委員より、法務総裁等に対する質疑の通告がありますので、これを許します。
  13. 加藤充

    加藤(充)委員 法務総裁が御出席になるまで、特審局長にお尋ねしたいのですが、わが党の委員田中君の方から、先般特審局がなされたわが党の細胞並びに市委員会告発の問題について質問がありましたが、それについてまだ御答弁がありませんので、この際それらの点について御答弁願いたいと思います。  それからあわせてこの際、私の手元にありますただ一片の記録だけについてお尋ねするのですが、これに関連したような書類はまだたくさんあるのでありますから、それらの点については、またの機会に譲りますけれども昭和二十五年二月十六日付の京都府下の五莊村長甲斐文治郎なる者の通達に関してであります。それは団体等規正令施行規則についてという文書ですが、わずかの文書の中に、次のような文句があるのであります。「特に共産党細胞届出及実態調査についてその筋から依頼の次第もありますので云云、こういうことがあります。これについて特審局の方面で、共産党細胞届出及び実態調査というようなものを、特に命じたかどうか。それからそういう仕事をすることに関して、特にその筋からの依頼の次第もあつたかどうか。この点をお尋ねしたい。
  14. 吉河光貞

    吉河政府委員 前会田中委員から、の共産党細胞告発について御質問があつたとのことでありますが、実は申訳ありませんが、御質問事項内容につきまして承知しておりませんので、あらためてここで再び質問事項を御指摘願いたいと思います。  第二の点につきましては、特別審査局としては、特に日本共産党細胞のみを取上げて、その実態調査をし、その届出を勧奨するというような指令を出した事実はございません。どうかこの点御了承願いたいと思います。なおただいまのようなことを、中間の地方公共団体機関下部組織に示達しておるというような事実がございますれば、十分にこれを調査して、是正したいと考えております。
  15. 加藤充

    加藤(充)委員 それからそういうものについて、特審局はその筋から依頼の次第もあつたかどうか。この点についてお答え願いたい。
  16. 吉河光貞

    吉河政府委員 ございません。
  17. 佐瀬昌三

  18. 猪俣浩三

    猪俣委員 お尋ねする案件は、法務府の特審局ですでにお調べなつたということなので、吉河政府委員にお尋ねするのであります。それは都不動産株式会社という会社があつて、これは税金のかわりに不動産を納める、いわゆる物納不動産大蔵省から拂下げを受けて、修理しておる大蔵省指定会社である。この会社の現社長が、田村秀吉という人である。そこで第一にお尋ねすることは、こういう大蔵省指定会社社長に、追放該当者が就任することができるかどうか。田村秀吉氏は、戰時内閣時代大蔵参與官であつて追放該当者になつておるのでありますが、この人がこの大蔵省指定会社社長であるということは、追放政令違反する点があるかないか、まずこの点をお聞きいたしたいと思います。
  19. 吉河光貞

    吉河政府委員 覚書該当者が就職を禁じられている会社は、公職指定になつておる会社でありまして、本件の、大蔵省指定会社である都不動産株式会社は、この勅令一号による公職指定会社ではございませんので、こういう会社に就職されること自体は、勅令一号の違反にはならないと考えるのでありますが、しかしこういう会社社長という責任のある地位におつきになること自体が、勅令号違反をなすおそれのきわめてある地位であると思料せざるを得ないのであります。私どもといたしましては、かような会社覚書該当者社長として就任されておる場合には、その違反容疑につきまして、十分それを日常観察せざるを得ないのでありまして、その点御了承願いたいと思います。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 次にお尋ねいたしますることは、追放該当者——田村秀吉氏は大蔵省参與官をやつてつたのでありまするが、自分の勤めておりましたこういう省に出入することは、禁止されているのじやないかと思うのでありますが、そういう意味におきまして、この田村秀吉氏が大蔵省出入りしておつたとするならば、これは追放令違反になるのであるかどうか、その点お聞かせ願います。
  21. 吉河光貞

    吉河政府委員 覚書該当者出入りを禁止せられております場所は、追放原因なつ地位が、その官庁地位であつた、あるいは追放当時に在職した地位が、その官庁地位であつたというような場合におきましては、当該官庁に対する出入りを禁止されておるのでありまするが、しかし正当な事由のある場合は、もちろんさしつかえないことになつております。しかしながら一般覚書該当方々が、官庁に漫然と出入りされるということにつきましては、それ自体勅令一号の違反にはならない場合におきましても、メモランダム趣旨から好ましからざる事態でありまするので、先般来特別審査局におきましては、各官庁の長に対しまして、かような好ましからざる事態をできるだけ排除するように警告を発しておるような次第でございまして、田村秀吉氏が追放になりました原因は、大蔵省参與官であつたという理由ではないように承知しております。また追放当時、大蔵省参與官ではなかつたのではないかと考えられるのでありますが、しかし覚書該当者であることにはかわりありませんので、正当の理由なくしてかような大蔵省出入りするということは、好ましくない事態であると大体考えております。
  22. 猪俣浩三

    猪俣委員 田村秀吉氏は、いわゆる勅令違反の嫌疑をもつて特審局調べられたそうでありまするが、いかなる行動がそれに該当せられたのであるか、お聞かせ願いたいと思うのであります。
  23. 吉河光貞

    吉河政府委員 田村秀吉氏につきましては、政府財務関係当局に対しまして、諸般事項につき折衝または意見具申をいたしまして、その結果政府の施策に関與し、政治上の活動をなしたという容疑に基きまして調査いたしました。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 実は私がこの質問をするに至りましたことは、この都不動産株式会社は、もと都住宅株式会社という名前であつて、当時田村氏はその顧問をしておられ、大蔵省に働きかけまして、要するに物納不動産処分指定会社に相なつた。そうしますると今度顧問でありました田村氏が、みずから社長地位について、その社名も都不動産株式会社というふうにかえると同時に、古い昔の社長、常務、その他の重役をみな馘首いたしまして、ほとんど株主総会も開かず、すべての経理も田村氏一人でやつてつて、全然これが明瞭を欠いておる。そこでその首切られました原田とか井上とかいう人たち五名で連署連判をしまして、私に陳情書を提出して来たのであります。そこでこの点をお尋ねしておるのでありまするが、その陳情書内容によりますると、今私が御質問申し上げましたような追放者政治活動ということと、及び大蔵省上級官僚に対しまして饗応をやつておるということが、事こまかに具申されておるのであります。この大蔵官僚饗応関係につきましても、特審局においては取調べをなされて、私に陳情をして来た人たちも、みな調べられたそうであります。そこでそういう事実があつたかどうかについて、あなたにお尋ねしたいのであります。これは近来諸般のことに関して、大蔵上級官僚が腐敗しているということが、われわれの耳に響いておるのでありまするが、これはその一つの例になるのではないかというふうに考えるのであります。そこでこれに陳情に見えておりますところの大蔵官僚は、現大蔵省銀行局長、あるいは前に東京財務局国有財産部長でありまして、今福岡の国税局長をやつている中出氏、あるいはその他東京財務部部長あるいは次長名前を言いますならば、井上という部長、それから佐藤、加納という次長、それから今札幌市の財務部長になつておる、当時東京財務部次長であつた日野という人、小田という東京業務課長、こういう人たちがあるいはマージャン会とか、書画鑑賞会とか、野球試合の会というようなことで多数招待を受けて、隅田川のもとにある隅田別館、あるいは中野のモナミというようなところ、あるいは横浜支部財務部の連中は万栄楼という支那料理屋、それから千葉財務部人たち千葉の某料亭にみな招待された。こういうふうなことが事こまかに上申されているのであります。これはみな田村氏がこういう人たちを招待して、飲食の饗応をしたということに相なつておるのでありますが、かようなことにつきましては、特審局においてもお調べがあつたとのことでありますが、その点いかがでございましようか、お伺いしたいのであります。
  25. 吉河光貞

    吉河政府委員 私どもといたしましては、本件におきましては、覚書該当者勅令号違反の点について、勅令一号に基きまして調査をいたしました。もちろんただいま御質問の数々の人々につきましては、大部分その転任先にまで及びまして、政治活動容疑の傍証として調査いたしました。しかしいわゆる刑法所定涜職事犯調査はいたしておりません。かような経過をたどりまして、田村氏につきましては、本年二月二日勅令号違反事件として検察庁告発いたしました。これに関連する資料はすべて検察庁に送付いたしました。かような措置をとつたのであります。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとあなたが田村氏の政治活動調査なさる際に、今私が申しましたような人たちが、今申しました状態において田村氏と酒食をともにしたというようなことは、事実が現われたか現われないか、お聞かせ願いたいと思います。
  27. 吉河光貞

    吉河政府委員 まことに申訳ない次第でありますが、その件につきましては、実は詳細な報告を受けておりませんが、大体特審局といたしましては、刑法所定犯罪の成立を認めるに十分でないというような状態でなかつたかと考えられます。
  28. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると特審局意見としては、刑法所定犯罪行為があつたと認めるに十分であるという御見解ですね。
  29. 吉河光貞

    吉河政府委員 特審局調査は十分でなかつた……。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 認めることには十分でなかつた。そういう御答弁ですか。
  31. 吉河光貞

    吉河政府委員 はい。
  32. 猪俣浩三

    猪俣委員 先ほどのあなたの話によれば、次官通牒か何かによつて、こういう人たち官庁への出入りはなるべく避けるようにという通牒を出されたということでありますが、田村氏は現在でも大びらで大蔵省出入りしているそうでありますが、特審局は御承知でありますか。
  33. 吉河光貞

    吉河政府委員 告発後におきます田村氏の行動につきましても監視しておりますが、まだ局長手元には報告が参つておりません。御指摘の点がもしあるとすれば、きわめて好ましくない次第でございますので、嚴重に監視することにいたします。
  34. 猪俣浩三

    猪俣委員 次に一点お聞きしたいことは、これは私個人関係あることではなはだ申しにくいことでありますが、但しこれは私個人のみならず、全部の方々にも将来響影のあることだと思いまするので、法務総裁並びに特審局長の御意見を承つておきたいと思うて質問を申し上げる。私は昭和二十四年の一月の十二日に、資格審査申請書に記載漏れありということで、法務府の特審局から告発をされたのであります。昨年の選挙は一月の二十三日が投票日でありましたるがゆえに、その十日前であります。選挙戰につきましては最も重要なるときである。そのときに突如として、この告発をせられたということが十三日の全国の新聞に発表いたされました。私は実に驚愕おくところを知らなかつた反対党では、あの男はもうパージになるのであるから、あんな者に投票しても、どぶへ票を捨てたように相なる。また自分の見方といたしましても、士気振わず、意気銷沈、私は徹底的の打撃を受けたのであります。そこで私がお尋ねいたしたいことは、私の個人の問題につきましては御答弁願いたいのじやない。これは一年一箇月そのままの状態検察庁に放つておかれまして、今から数日前に事実無根として不起訴の処分を受けた。そこで私がお尋ねいたしたいことは、参議院議員選挙も間近に迫つている際に、特審局行動について一、二お尋ねしたい。私ども特審局嚴重にこの追放令趣旨貫徹に邁進せられることにつきましては、まつたく異存がないのでありまして、なお激励申し上げたいほどであります。しかし私がお尋ねしたいことは、私の事件に関する限り、一ぺんも特審局から私の釈明を聞かれなかつた、まつたく寝耳に水の話であります。茫然自失するところがはなはだしかつた。これは当法務委員諸君も御同感くださることだと思いまするが、激甚なる選挙戰に臨んでいる者が、国家機関によつてかような軽卒なる行動をせられることがいかに深甚なる打撃を與えられるものであるか、御同情くださることと思うのでありますが、そこで私がお尋ねいたしたいことは、特審局という国家機関が公に他人を告発する場合、一私人ならいざ知らず、その告発せられる人の釈明を一言も聞かずして、まるつきり拔打ち的に告発するというようなことが今後もあり得るやいなや。田村氏の告発につきましても、おそらく十二分に田村氏をお調べになつて告発せられたと思うのでありまして、これがまたあたりまえのことである。いやしくもそのことをつかさどつている国家機関であります。やせても枯れても国会議員であつた者に対して、一言の釈明も聞かずしてただちに告発し、これを天下の新聞に公表しておる。そこで私は、私のことにつきましては一切御答弁は拒否いたします。それはそれでよろしい。済んだことであります。ただ将来につきまして局長としてのあなたの御意見を承りたい。  第一はいわゆる資格審査申請書に記載漏れありというようなことで告発をなさる前に、被告発者の弁明を一言も聞かずして告発を突如としてやるというようなことを、将来もおやりになる考えでありやいなや。  第二はそれがやむを得ないとしても、ただちに天下の新聞に公表するような態度を将来おとりになるやいなや。  第三として選挙戰の最中に——選挙戰は二十日間か三十日間であります。その期間を待つて、投票が済んだ後に告発をしても遅くはないと思う。十日先に投票日が差迫つておりますところのその旬日に、突如としてさような告発をしなければならない緊急性があつたかどうか。今後もさような態度をおとりになるかどうか。さような緊急性がありましたならば、検察庁で一年一箇月も放つておく道理がないと思う。なぜ十日間待つことができなかつたか。今後もさような疑いがありました際に、本人を調べもせず、選挙最中に選挙に没頭している者に対して、その投票日が差迫つているにもかかわらず、突如として告発するようなことをおやりになる意思がありやいなや。これは私の場合について言うのではない。一般論として御答弁願いたい。私の場合はこうであつたというようなことは一切不必要であります。事件は消滅しました。一応私の釈明を聞いてくださるならば、あんな告発などということはあり得る道理がないと当時も確信しておつたのであります。二、三の人の荒唐無稽の言に——しかもその裏の裏まで私は調査をしている。これは特審局が惡いよりも、その背後におどつた者があるわけでありますが、特審局としてもはなはだ軽卒であると思うのであります。それらは一切終りましたからさしつかえありませんし、その答弁は無用であります。ただ私が今お尋ねしましたように、一体被告発者の意見を聞かずして告発するようなことを今後もおやりになるやいなや。それを新聞に公表なさるやいなや。選挙期間中でもさようの行動を今後おやるになるやいなや。それにつきましての局長の御意見を承りたいと思うのであります。
  35. 吉河光貞

    吉河政府委員 資格審査不実記載の点につきまして、過去におきまして、御本人の弁解を聞かずして告発した事例があつたことをきわめて遺憾といたします。申訳ありません。実はかような取扱いにつきましては、私局長になつて就任後間もなく、昨年の春に是正いたしまして、最後には必ず一度御本人の弁明を聞いて処置するという事務取扱いの方針を確立いたしました。かような措置をとる以前に、御本人の弁明を聞かずして告発したという事例があつたことを認めると同時に、まことに申訳のない取扱いであつたことを深くおわびいたします。  また告発した事件を新聞に発表云々の御質問でございますが、私どもといたしましては、なるべく告発された方も、まだ裁判所で有罪の判決が確定するまでは無罪と推定されるという立場から、御本人の名誉を考え、なるべく御本人の氏名を発表しないような措置をとるようにいたしております。ただ過去におきまして、私どもの事務取扱いのふなれから御本人の氏名が新聞に漏れ、非常な御迷惑を重ねたことがあつたことを深くおわびいたします。  告発の時期につきましては、特別審査局としては、これが事件の処理を政治的考慮からいたしておるわけではありません。しかも事件の処理につきましては、往々にしてその結果として政治的影響も相当重大なる案件もございますので、爾後愼重にその時期を決定いたしたいと考える次第でございます。重ね重ね手落ちがございまして、事務運営の面におきましてまことに皆様方に申訳のないことをいたしました。十分にこれらの点については改善して運営して行きたいと考えます。御了承を願います。
  36. 加藤充

    加藤(充)委員 猪俣君の質疑が一応終りましたので、了解を得て関連質問をいたさせていただきます。先ほど猪俣君の質問もそうだつたと思うのですが、私どもはいかに吉河局長が遺憾の意を表明されても、幾多実例をもつて特審局が最も恐るべき、政治的な、一方的な活動をしておるということをあわせて指摘しなければならないのは、まことに遺憾きわまることであります。先ほどよくわからないから、次会答弁をしていただくという話でありますから、そう責めるには値しないと思うのですが、特審局では恐るべく特攻隊の——また過去の経歴だけを問題にするのではありませんが、特攻隊から復員して帰つて来ました後に、明らかに反共的な団体に加盟し、反共的な言辞を弄し、しかも言辞だけでなく、地下組織を持つて共産主義と闘うというような運動への意図をはつきり持つた池田正善という男を、特審局のスパイとして活躍させておる。こういう事実は池田正善そのものの自白によつて明瞭なところなのであります。しかもこういうふうな軍国主義的な、きわめて特徴のある者を特審局がそのスパイとして使つてつたということは、これは一片の陳弁で片づかない問題であると私どもは思う。ところがここにもう一つ一片の書類があります。二十五年の一月の六日付で、特審局長の通達というものを出しております。それに基いて川崎市長が政党諸団体に対する一片の通牒を出したのであります。ところがお出しになつ局長の通達なるものの中には、特に日本共産党届出が他の四大政党に比してよろしくないというようなことを言つておるのであります。過ぐる日、特審局から突然新聞によつて明瞭にされたように、大阪府下の布施市委員会——共産党の組織ですが、突然告発された。これがどうしてこうした手拔かりがあつたのか。私自身行つて調べて参りましたところが、特に共産党の届出が惡いどころではなしに、幾多の未届のものがまるつきりひどい状態になつているのに、特に日本共産党のその下部機関告発され、しかも突然告発されたのであります。私はここであなたにお尋ねしたいのは、前にこれは昭和二十三年の八月二十五日に初版になつて相当読まれた書物だと思いますが、ニューヨーク・ポストの特派員ダレル・ベリガンという男が、やくざの社会、日本社会の内幕という表題の本を出版されたのであります。しかも最近になつて今年の一月二十三日の読売夕刊の「フランクリー・スピーキング、外人記者の直言」という欄のところに、ヘツスル・テイルトマンという記者の投書でありましよう、見出しは「極右分子に警戒せよ、放任すると高い代償拂わねばならない」という記事が出ております。その記事の一部を読みますと、極右分子は「主として日本の当局者たちが左翼分子のあとをつけまわすのに忙しいという理由からいまだに存在し、ある場合には広がつてさえいる、これらの非合法団体は時機を待つことを心得ている、彼らは一つの計画を持つている、彼らは明確な目的を持つている、それは社会における彼らの以前の勢力を回復することだ、彼らは確かに武器を隠して持つているようだ」しこうしてその後の部分が重要であります。「この五箇年近くの間日本にいる多くの外国通信員たちは、これらのことを知つた、しかも日本の政府と警察は奇妙にもこの危險に無関心のようであつた、これは人に、一部の高官が思想の上で極端な国家主義思想に同調しているのではないかとの疑いを起させる一つの事実である、」云々と伝えているのでありますが、私自身は特審局が池田正善というような先ほど申し上げましたような非常な極端な国家主義者、こういうような者をスパイに使つておる。しかも民主的な団体、あるいは民主的な人々の運動までそのスパイの報告に基いて間違つて処断をしてしまつておる。客観的な事実ですが、そういうようなことを特審局自体がやつておるという事柄は、このヘツスル・テイルトマンの正しく指摘しているように、外国人記者はみな知つていると言つておりまするが、一部の高官が、あるいは日本のその高官によつて占められている国家機関自体が極端な国家主義に基いて、そうして静御前の鎌倉八幡の前の踊りじやございませんけれども、賤のおだまき繰返して昔を今になすよしもがなというような考えで活動している。これが明らかに特審局長の通達の文言の中にも明々白々に行われており、そういうような一連の特審局の言葉は、何と陳弁いたされても特定の一方的な政治活動、あるいは特高活動をやつておるという事実を、猪俣委員の発言に応じて——私はきよう発言しないつもりであつたのですが、あまりにもいけしやあしやあと知りませんとか、あるいは遺憾でありますというような一片のわび言で済まそうとする態度に、みずから立たざるを得なくなつたのであります。ですからあなたはおつしやつていただきたい。次会答弁を延ばさなくてもよろしい。池田正善というりつぱなスパイを——これは始末書もある。こういう者を特審局がお使いになつたということ、このことについて特審局は責任を負いませんか、あなた自体がそういうことをやつているならば、言葉でいかに民主主義的な、あるいは中立不偏の態度で特審局活動をいかに陳弁されようとも、あなた自身が最も反動的な、最も圧殺し窒息せしめられなければならぬところのいわゆる政治活動をやつておる元兇であるということを私はあなたに言いたい。だから池田正善の問題については、あなたがお使いになつていたのであるから、そういうようなことについて答弁をお願いしたいと思う。
  37. 吉河光貞

    吉河政府委員 特別審査局におきましては、団体等規正令の運用につきまして、何人からでも情報の提供を受けておるのであります。これらの情報提供者に対しましては、必要と認めた場合には若干の報奨をするという建前になつております。しかし特別審査局がみずから他の団体に対しまして、スパイを潜入させるというようなことをした事実は一回もありません。しかしいかなる個人からでも喜んで情報の提供を受けます。そうしてまた必要とあれば、これに対して金若干を報奨いたします。これが私どもの職責であると考えております。
  38. 加藤充

    加藤(充)委員 必要があればというのですが、月々二千円見当の補助を與えるというようなことは、常時的にスパイをさせておつた、雇つてつたということになるのですが、そういう点では問題があつたときに報奨的に費用を出すとか、あるいは実費弁償するとかいうような意味合いにおきましての報奨とは違うと思うのですが、その点どうですか。
  39. 吉河光貞

    吉河政府委員 情報の提供があつた都度出しております。また必要がなければ出さない場合もあります。
  40. 加藤充

    加藤(充)委員 これについてはまたあとで質問をいたしますから、きようはやめます。
  41. 猪俣浩三

    猪俣委員 法務総裁がお見えになりましたから、特審局長答弁法務総裁からも確認しておいていただきたい。それは私が三点にわけて御質問を申し上げたことであります。資格審査申請書に記載漏れがあるとか、虚偽の記載があるとかいうことで、法務府の特審局でやはり告発なさる際には、必ず告発せられる人の弁解を聞いた後に、さような行動をとるかどうかを決定していただきたいということが第一点。  第二点は、おもに政治活動をする人間にかかわることが多いのであるから、これを不用意に新聞にただちに発表するというようなことはいかがなものであるか、その点についての所信。  第三点は選挙戰の最中に、あるいは一箇月あるいは十日間くらい告発を延ばせないことはないと思うのであつて選挙の候補に立つておる者に対して、投票日を前にしてさような告発の手続をするというようなことは、選挙干渉の疑いが濃厚になるから、さようなことは差控えてもらいたい。この三点につきまして、特審局長答弁は、いずれもさようにいたしたいつもりであるという御答弁でありましたが、法務総裁はいかようにお考えに相なるのでありますか、御意見を承りたいと思います。
  42. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 告発をいたしますときには、愼重に調査をいたしましてから告発するのでありますから、多くの場合、当事者を喚問いたしまして、あるいは当事者につきまして、よく実情を調べた上でなければ告発はしない建前であります。もつとも非常に事情が明瞭であるというような場合には、あるいは告発するかもしれない。まあそれはいたつて例外の場合でありまして、多くの場合は猪俣委員のおつしやるようにすべきである。また、しておるつもりです。今後もそういたすつもりであります。それから新聞の公表、それは猪俣さんのおつしやる通りであります。但しあまりに極端であつた場合、世間への一つの警戒の意味におきまして、新聞にそれとなく公表するような場合もあります。しかしそれはつとめて避くべきことでありまして、なるべくさようなことのないように十分注意をいたしたいと思います。  それから選挙中に告発というようなことは、これはもちろん避くべきことであります。しかし事態がそれを許さざる場合も、これはないことはないと思います。しかしそれは最も生々しい事件であるか何かのときでありまして、多くの場合には、今までもさような場合は避けて来たつもりでありますが、あるいは誤つてその考慮と注意を十分にしなかつたということもあつたかも存じませんが、その点は十分注意をいたしまして、さようなことのないようにいたしたいと思います。
  43. 猪俣浩三

    猪俣委員 実はこれは私の体験から質問を申し上げましたので、以上三点いずれも私は恩典に浴さなかつた、えらい目にあつたのであります。しかしこれは私の個人のことでありますから、私は以上三点のことが法務府の責任において守られますならば、私のようなさんたんたる目にあうことはない。これは同僚諸君のためにも、私はその責任ある言葉を伺つておいた方がいいと思つてこの質問なつたのであります。特審局長もある程度間違つた点は謝罪されたのでありますから、私はこれ以上申し上げることはいたしません。  そこで質問をかえまして、御通告申し上げておきました国鉄裁定の判決につきまして、法務総裁の御意見を一、二承りたいと思つておるのであります。その前に、法務総裁も御存じでありましようが、国鉄公社におきましては、さきに下されましたところの地方裁判所の判決に対しまして、東京高等裁判所に控訴をなされたのであります。この控訴状をごらんになつたかどうかわかりませんが、控訴するに際しましては、おそらく政府と公社と十二分に打合せの上と思うのでありますが、この控訴状に書いてありますところの控訴理由は、結局政府の見解なりと承知してよろしいかどうか、御答弁願いたいと思うのであります。
  44. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 国鉄公社が控訴いたしましたのは、政府とよく打合せまして、政府の見解をただした上で控訴をいたしたのであります。
  45. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、なおお尋ねいたしたいのでありますが、地方裁判所の第十部におきまして、去る二月二十五日に判決が下されて、国鉄裁定には服しなければならぬという制決に相なつた。これは上訴をいたしましても、この停止の手続がない以上は、この判決が生きておるものなりと理解するものでありますが、法務総裁の御理解はいかがであろうか承りたいと思います。
  46. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 仮処分の判決と申しますものは、上訴中でありましても履行の義務がある、これは異存がないところであります。但し先だつての仮処分判決は実行が不可能でありまして、従つて公社といたしましては、消極的にただこれを受けておるというだけのことであります。
  47. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、判決それ自体は生きておるものであるが、公社としては実行不可能という状態にあるのだという御見解であると承つたのであります。そうなりますと、あるいは議論に相なるのでありますけれども、もし裁判所の判決というものを尊重するということが民主主義国家においての要諦であるといたしますならば、いやしくも判決それ自体が生きている以上は、とにもかくにも上訴に行つて敗れるまでの間は、判決の趣旨を履行させるように政府が公社を指導しなければならぬものじやないか。これは一私人ならば、どの判決が来ようが、そんなものはかまいつけないという、いわゆる判決無視の態度をとるかもしれませんけれども、いやしくも公社であり、なおその背景をなすものが時の政府であるといたしまして、この地方裁判所の判決に対しまして、それが生きておつて、これを拒むことのできない判決というものが躍動しております以上は、これにひとまず従わせ、上訴の結果、あるいは上告の結果敗れましたときには、これはまた原状回復の手続をとればよいのでありまして、それまでは一応、とにかくこの判決の内容を実現せしめるということが判決尊重趣旨ではないかと存じますが、法務総裁の御意見はいかがでございましようか。
  48. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは、仮処分の性質からいたしまして、できればそうありたいのでありますけれども、ただいま申し上げましたように、公社としてこの仮処分趣旨を実行することができませず、政府といたしましては、すでに前国会におきまして申上げました通り、最大限度のできる手続をいたしたのであります。十五億円という流用の承認をいたしましたということは、もう最大限であります。あれ以上のことは政府もできないのであります。従つて政府といたしましては、やはり公社の態度をそのまま見守つているほかはないのであります。これが最後の判決が下りまして、政府の考えと違いましたならば、政府はそれはさらに予算上の措置をするなり何なり、できるだげの判決の趣旨に沿うような措置をとるべきであろうと思いますが、それまでは特にさような積極的な手続をとることは控えたい、また控えるべきであると考えているのであります。
  49. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、この判決に示されましたところの重要な基本点であります仲裁裁定の性格でありますが、この東京地方裁判所の判決の中心課題は、この仲裁裁定なるものは、結局においてその公共性にかんがみ争議権を制圧せられましたところの一般職員の生存権を保障せんとして、争議権にかえて與えられたものである、仲裁委員会はその機能を営むものである、仲裁裁定はそのような性格を持つものであるということがこの判決の中心思想をなしているのでありますが、この仲裁委員会の性格及び裁定の性格につきまして、この裁判所の判決と同様な御理解があるものなりや、またしからざる御理解を持つているものなりやを承りたいと思います。
  50. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 私どもは裁判所の見解と必ずしもその軌を一にしないのであります。なるほど政治的に申しますれば、あるいは罷業権の禁止というようなことの代替として仲裁裁定がある、こう言えるかもしれません。しかしこれを純粋に法律上の見解から申しますれば、つまり公共企業体職員は国家公務員に準ずる地位を占めるものでありまして、これは公共の福祉並びに全体の奉仕者であるということから、団体的行動について制約を受ける立場に立つのであります。そういう意味から制約を受けておりますけれども、それがゆえに、その制約を受けた罷業権にかわるものとして、仲裁裁定が当然にあるとは考えないのであります。しかしながら公共企業体と職員との間に紛争の生ずることは、また当然であります。紛争が絶対ないとは申しかねるのでありまして、その紛争の処理のために、仲裁裁定という制度を設けたのであります。必ずしも罷業権に代替するものではないのであります。別の観点から、その必要があつて、かような制度ができておると考えるのであります。従つてわれわれとしては、この仲裁裁定はそれ自身として考うべきことであります。その仲裁裁定は、公労法によつて性格及びその運営がはつきりと規定されているのであります。私どもはその規定の範囲内において、この仲裁裁定を尊重すべきものであります。仲裁裁定の重んずべきはもちろんでありますが、その規定の範囲を逸脱して、なおまた仲裁裁定の性格を拡大すべきものとは考えておらぬのであります。従つて公労法の規定より仲裁裁定の意味を押して参りますれば、前国会において政府が明らかにいたしましたような態度をとるほかないのであります。私どもは今日においてもこの態度が正しいと考えております。その意味におきまして、裁判所と見解を異にするのであります。かるがゆえに私どもは控訴をいたしたのであります。
  51. 猪俣浩三

    猪俣委員 この点につきましては非常に議論がありまして、私ども政府の見解にはまつこうから反対であります。私は地方裁判所の労組側の弁護人として、終始裁判に出ておりました。あるいは公社側からもたくさんの代弁者が出て、お互いに論を尽した結果、中正なる判決が出たと思つております。なおこの判決の政治的影響というものは、私どもの想像以上のものがありまして、国鉄におきましても、ややもすればゼネストに走らんとするところの人たちを、これによつて合法の線で運動を展開せしめるというような方向に向わしめたということは、実にこれは重大なる意義があると私は思うのでありまして、裁判所の態度に対しまして深甚なる敬意を表するものでありますが、政府は何だかこの判決にけちをつけるようなことを言つて、とうとう裁判長が声明書を出すというような前代未聞のことを引起した。これは私、司法権の独立を阻害する行動だと思うのでありますが、まあこれは意見の相違であります。ただ裁判長があのような、自分の判決が決して政治の領域なんかに踏み込んだのじやないという声明をするということは、私ども長い間の弁護士生活においてもあまり経験せざるところでありまして、かような声明を出さざるを得なかつたようにし向けました政府の態度に対しましては、不満のあることを法務総裁に表明しておきます。  そこで、なおこの問題は結局において高等裁判所あるいは最高裁判において、われわれが雌雄を決すべき問題であると思いますので、一応打切りにいたしますが、先般私は法務総裁に対しまして、マッカーサー元帥の昭和二十一年一月三十一日でありますか、例のゼネスト禁止の声明に関係しまして、あれが現在生きているのかどうか、及びゼネストと普通のストライキとの区別につきまして、御質問申し上げたのであります。政府は増田官房長官の意見なりといたしまして、電産のストのごときはゼネストと認め、これをマッカーサー声明に違反であるからして、勅令三百十一号の違反として取締るというがごとき、高圧的声明を出されておるのでありますが、しかしあれは單産のストライキであります。ああいう單産のストライキをゼネストと政府は解釈なさるのであるかどうか、その点につきまして、内閣の法律顧問としての法務総裁の御意見を承りたい。すなわち電産のストライキが、一体勅令三百十一号に適応するところのゼネストと政府はとるのであるかどうか。しからばゼネストと單産のストライキとの区別いかん。それを重ねて念を押したいと思うのであります。
  52. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 電産のストライキというお話でありますが、これも具体的に電産がどういうようなストライキの形態をとるかということを見ませんと、そう簡單には申されないのであります。ただ抽象的に抽象論として申しますれば、こういうことであります。罷業によつて必然的に生ずる麻痺状態が日本国民の大多数に深刻な影響を與えるような種類のストライキは禁止せられるというのが二・一スト声明の趣旨であります、かかる程度と認められるストライキでありますならば、これが單産によるものであるか、または複数の組合によるものであるかという区別は、法律的に影響しないものと考えているのであります。
  53. 加藤充

    加藤(充)委員 麻痺状態ということも至つて抽象的なんですが、マッカーサーの書簡は、多分恐るべき非常事態に対応する処置としてのゼネストの禁止であつたと思うのですが、私は麻痺状態というよりも、むしろ恐るべき非常事態というようなものの方が、概念がはつきりしていると思うのですが、その点について一応殖田さんの意見を聞きたい。
  54. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 今抽象的に申し上げましたが、これを具体的にいかなる場合、いかなる程度において適用するかということは非常にむずかしい問題であります。マツカーサー声明の中にはなんでも日本国民の大多数を、真の飢餓線上まで追い込むかもしれないようなものという文句が使つてつたと思うのでありますが、今私が申し上げましたのは、その意味において申したつもりでありますから、これはそのときになりまして、国民多数の納得をするような解釈をとるほかないと思います。今ここで抽象的にはなかなか論ぜられないと思います。
  55. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、三月六日にいわゆる増田長官談として、これも言葉の使い方で了解の仕方でありますが、その影響の大きい場合には、單産のストであつて政府はこれをゼネストと見なすと猪俣君が言つたように、禁止命令に違反するものとして処置をするという、威嚇的な言辞をとつたのでありますが、今の殖田さんの御見解の中にも、事前に一般的ゼネストと見なして処置をするというような増田君の談話は、たいへん行き過ぎておると思いますが、いかがですか。
  56. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 増田君がどういうふうに言われましたか、新聞でだけ承知しておりますが、多分それは威嚇の意味でなしに、警戒の意味で申したのであろうと思うのでありまして、あるいは言葉が足りなかつたのではないかとも存じます。
  57. 加藤充

    加藤(充)委員 先ほど言つたように、言葉のとり方だというのですけれども、これはどうも威喝的な言辞であるということは、一般のストライキあるいは争議に関心を持つている人々がひとしく受取つた共通の受取り方じやないかと思うのですが、それにつけて、私は増田長官の責任は実に重大だと思う。昔だつたら万死に値すると言うべきところだろうと思う。というのはほかでもありませんが、極東委員会労働組合十六原則の第十三原則には「正当な労働組合の活動を妨害し又は妨害する為の措置をとつた日本政府その諸機関は廃止さるべきである」という規定があるのであります。もちろんこれは措置をとつたという戰争中の問題に対する遡及的な責任の追究の仕方だと思うのですが、増田君の談話なるものを聞くと、まさしく私は増田官房長官は廃止さるべきものであり、個人としてみれば万死に値すべきものだということを、ポツダム宣言に関連する極東委員会の日本労働組合に関する十六原則の第十三原則は言つていると思う。そこでもう一つお聞かせ願いたいのですが、大体政府はどのくらい労働者が悲痛な声をあげ、どのくらい大きな騒ぎをやつたら参つたという声をあげるつもりか。これを一つお聞かせ願いたい。そうすれば、合法的な範囲においてそういう措置があるならば、私どももそれをとるにやぶさかでないのですが、攻め手きめ手がどうもなかなかづうづうしいといいますか、公労委の仲裁がどうだこうだとか、予算がどうだこうだとかあるいはまた結局東京地方裁判所の裁判があつても、それについては文句があるから控訴する。これはまつたく不死身なほどふてぶてしいのでございまして、きめ手がないのであります。私がここでお尋ねしたいのは、地方税の増徴が、減税の声明の直後にどんどん出て来る。また最近は電気料金の値上げが出て来る。主食、家賃、交通費はどんどん値上げになつている。べースはそのまま、安定した安定したという御宣託が耳を打つだけである。人事院の勧告も無視され、あるいは国鉄公社、專売公社、いわゆる公労の裁定も無視されて、裁判所の一応の判決も無視されてしまつたとすれば、マツカーサー元帥の四七年一月三十一日の書簡の中にこういうことが言われている。「これ以外には、今日まで正当な目的完遂のため、労働階級に與えられた行動の自由を制限する意図はない、」と言つているのでありまして、この点から言つても、前のゼネスト中止命令が今ごろまで生きているということ自体、指令三一一号が今ごろまで生きているということ自体が私はおかしいと思うのですが、それはさておきましても、合法的な目的を達成するために、労働者に與えられた行動の自由を今後制限する意思はないと言つておるのであります。しかもここに「日本占領の使命と成果」という連合軍総司令部編になる本がありますが、その百五十六ページの五、労働関係労働紛争の(b)の中に「罷業権は、公務員を除いて、あらゆる労働者に認められており、また公共企業体の従業員に対しては、日本專売公社法及び公共企業体労働関係法に基き、強制調停の方法が規定されている。」これから先が重要だと思うのですが「しかし日本の労働組合はしばしば紛争にあたつて罷業権を実際に行使しないで紛争を処理して来た。一九四六年から四八年までの各一年間における罷業と工場閉鎖によつて失われた時間の損失は全労働時間の〇・二%であつたが、四九年の最初の八箇月間においては〇・一六%にすぎなかつた。」というのであります。私はマツカーサー元帥のゼネスト禁止命令のその当時における権威というものは認めるにやぶさかではありません。絶対に服従のものでありましようが、こういうようなまことに穏便な労働者の動き方に対して、まつたく不死身のごときふてぶてしさで、あらゆる搾取と收奪を積み重ねて行つて、どこから注意されてもかまわない。また増田官房長官の言明すらがエーミス労働課長からお断りされて、一応釈明するというような声明をその都度出さなければならないほどあつかましいやり方で、一体労働者はどうして生きる。人間としては憲法から言つても生きる権利はあり得る。しかもこの〇・一六%にすぎないとか、〇・二%にすぎないとかいうふうに労働争議権の実行をやつたことはない。まことにおとなしいと言われておるが、事ここにせつぱ詰まりましたときに、彼らがストライキをやつて行く。あるいはストライキだけではなくて、政治運動、社会運動をやつて行く以外に、私はきめ手はだれが何と言つてもないと思う。しかもそういうきめ手を使つて不死身なふてぶてしさを発散せしめておるところの現在の自由党の政府、まことに遺憾でありますが、吉田内閣に対してあらゆる一切の行動をやつて行くということは、これは基本的に人間の生きる自由であり、権利であり、基本的人権の最も深刻にして最も真剣な、神聖なものだと思うのです。ですから質問が長くなりましたが、私はこの單産のストライキをゼネストと見なすという威喝的なことをやる前に、ジークフリートのリンデンバウムの葉によごれなかつた一つの皮膚のように、どこに弱みがあるのか。どこを突いたらフエア・プレイにやつて行ける道があるのかということを殖田さんにお聞きいたしたい。そうしなければゼネストと見なすとか、あるいは死んでも平気だというようなことを言つたつて、みんなは満足しないし、そういう政府はまさしく人民の政治的な運動なり労働者を中心にした大きな反抗運動の中に、私は致命的な打撃をもつて抹消されて行くべきところの運命を、その言動や行動の中に持たざるを得ぬのだ、こう思うのです。たいへん長くなりましたけれども、血でよごれなかつたジークフリートの一片の葉の弱みはどこにあるのか。そこを教えてもらいたい。
  58. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 ストライキを禁止するというようなことは私ども考えておりません。それは対政府の問題でありません。国民の多数との関係であります。国民の多数がそのストライキによつて苦しまなければ、それは一向ゼネストではありません。しかしながら国民の多数を苦しみに追い込むというようなことがあれば、それはゼネストであります。そこは御自分でお考えになればわかることであります。それは何もきめ手を政府にお聞きにならなくともわかると思います。そして政府は、今のようなジークフリートの木の葉でおおわれてないところはない。全部木の葉でおおわれているのです。
  59. 加藤充

    加藤(充)委員 ここで労働者が国民の大多数を困らせるゼネストはいけないというような、上にかぶさつたものに対する寝わざの柔道の上手な特異なやり方ではなしに、国民の多数に迷惑をかけるような政治のやり方なり、あるいは政策の立て方の態度なりを、不死身のジークフリートだと言わないで、もう一つ何とか考えてもらいたいと思う。町には一家心中があり、あるいは自殺がある。あるいは犯罪が横行している。あるいはパンパンが充満している。これこそ今の殖田さんもその一味です、徒党の一人ですが、こういうこと自体がほとんど言わず語らずの間にみんなが困つておるということの証拠であると思う。それをはつきりみんなを生かすためにやることが、国民多数に迷惑をかけたというので、それがゼネストだからといつて、せつかく與えられた労働者の争議権を彈圧する、そういう考えは毛頭ございませんと、不死身のジークフリート的に言われておるのですが、そういうことじやなしに、政府自体がもう少し反省し、あるいはできなければ政府はやめなければしようがないというお考えはありませんか。
  60. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 そこであります。それは政治も下手かもしれませんが、とにかく日本がこのばかないくさをして負けて、こういう社会状態、経済状態に追い込まれて来た。これは何人が政治をいたしましたつて、なかなかそう一挙手一投足でどうすることもできるものではありません。特にいわゆる再建とか、復興とかいうことは、この非常な窮境に陥つた国民を助けて、立ち上らせようという努力をし、今立ち上る途中であります。でありますからストライキをなさるのもけつこうでありますが、ふらふらになつておる国民を相手にしてどうなさるかということです。これは御自分でお考えになればわかると思う。労働者だけがよくなれば、国民は死んでもいいというようなお考えにならぬことが必要であります。そこはお互いにもつと平和な心持で……。
  61. 加藤充

    加藤(充)委員 そんなことは増田君に言われなくたつてわかつておる。
  62. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 増田君が何と言つたか知りませんが、そうお怒りにならんで、お互いに和衷協同してやつて行きたいものと思うのであります。
  63. 猪俣浩三

    猪俣委員 最後に私さつきお尋ね漏らしたので、お伺いしますが、特審局長がお帰りになりましたけれども、刑政長官がお見えになつておりますから御質問いたします。それは追放令違反の人間と、パージになつておらぬ人とが政治運動をやつた場合には、追放該当者でない者も共犯として処罰されるものなりやいなやという点であります。つまり追放者追放者ならざる者が政治運動をやつた場合に、追放者はいけないことは政令の規定上明瞭であるが、追放該当者ならざる者も、共犯として追放令違反にかかるかどうかということです。
  64. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 いわゆる該当者と、該当者にあらざる者が共犯関係にある場合には、非該当者も追放令違反の適用を受けるかというお尋ねのように伺つたのであります。具体的事件について調べた結果、もし共犯関係が認められるならば、これは刑法の共犯理論によつて解決されると思います。
  65. 猪俣浩三

    猪俣委員 先ほど法務総裁のお見えにならぬ前に、私特審局長にお尋ねしたのでありますが、都不動産株式会社という、物納不動産拂下げを受けることに大蔵省から指定せられておる会社社長である田村秀吉氏は追放該当者であります。ところがこの人が特審局から調べられて、告発せられておるはずであります。それは追放者政治活動としてであります。それは庶民住宅の私案というようなものを銀行局長の舟山氏に提示し、舟山氏が政府にこれを伝達して、それが庶民金庫法の原案になつたということが、政治活動の一つとして特審局調べられたとも聞いております。舟山銀行局長あるいはその他の大蔵省上級官僚諸君が、この田村秀吉氏によりまして、しばしば隅田別館だとか、福田屋だとか、あるいはひさごだとか、あるいは万栄楼だとかいうような料理屋で招待を受けて、饗応を受けて、この拂下げの問題について協議をしたということも、特審局である程度明らかになつておるはずなのであります。そこで、これは贈收賄問題と、いわゆる追放者とともに政治活動をしたという二つの点で嫌疑があるのではないかと思うのであります。かような事件検察庁は今お調べになつておるかどうか、法務総裁はお聞きになつておるかどうか、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  66. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは告発になつておりまして、ただいま捜査中であることを聞いております。私より、詳しいことは検務局長がおりますから、検務局長よりお聞き願いたいと思います。
  67. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 ただいまお尋ねの田村秀吉に対する事件は、先月二十四日、特別審査局の通報によりまして、東京地方検察庁が受理いたしまして、捜査中であります。通報の件名は追放令違反だけになつております。今のような涜職の事実があるならば、もちろんそれをも含めて捜査いたします。
  68. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお質問漏れの点をお尋ね申し上げまして、私の質問を終りたいと思うのでありますが、それは今のストライキとゼネストの問題にからみまして、ある單産がストライキをやることが、マツカーサーの書簡に表示されましたところのゼネストに該当するやいなやという判定は、日本政府が独自になさるのであるか、あるいはマツカーサー書簡に関し、ポツダム政令に関することであるから、GHQ方面の指示に従つて決定されるのであるか、その点をお聞き申したいと思うのであります。
  69. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 理論的には日本政府の自主的にきめるところであります。しかしながら実際におきましては、適当に連絡いたすつもりでございます。
  70. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長代理 他に御質疑ございませんか——なければ次会は明後十日午前十時より開会いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十七分散会