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1950-02-16 第7回国会 衆議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十六日(木曜日)     午後二時九分開議  出席委員   委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君 理事 石川金次郎君       佐瀬 昌三君    松木  弘君       眞鍋  勝君    武藤 嘉一君       山口 好一君    上村  進君       林  百郎君    三木 武夫君  出席政府委員         刑 政 長 官 佐藤 藤佐君         検     事         (検務局長)  高橋 一郎君         海上保安庁次長 稻垣 次郎君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君 二月十六日  委員加藤充君及び田中堯平君辞任につき、その  補欠として上村進君及び林百郎君が議長の指名  で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十五日  戸籍事務費全額国庫負担陳情書  (第二九六号)  戸籍及除籍簿副本燒失による再調製に要する諸  経費全額国庫負担陳情書  (第三四六号)  戸籍事務費全額国庫負担陳情書外六件  (第三五  〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  密貿易不法入国等取締に関する件  外国人登録問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  田嶋好文君より発言の通告がありますから、これを許します。田嶋好文君。
  3. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私は本日海上保安問題について海上保安庁次長がお見えになつているようでございますから、次長さんにいろいろと質問をいたしたいと存じます。  まず海上保安の問題については、先般私より海上保安庁長官の御出席を求めていろいろただして、これに対する答弁があつたのでありますが、実はこの質問の結果数日を経て、私ども裏日本に対する法務委員会からの調査依頼を受けて、調査をいたして参つたわけであります。その調査はやはり海上保安の面にも及びましたので、私たち相当詳細な資料を実地に得て帰つて参つたのであります。その資料と、先般海上保安庁長官お答えとの間には、相当な開きのあることを遺憾ながら認めなければならぬような実情に立ち至りました。従つて本日の質問は、そうした具体的な事実を法務委員として握つたことを前提にして質問をいたしますから、海上保安当局においても、この質問に対しては抽象的なものではなくて、できれば具体的な御答弁が願いたいと思うのであります。  第一にお伺いをいたしますことは、先ほども申しましたように、海上保安問題に対しては、先般保安長官から答弁がありましたが、その答弁では多少不十分であると思いますので、裏日本海上保安対策というものを、海上保安庁はいかように立てられているかを承つて、それを前提にして、以後具体的な質問に入りたいと思います。
  4. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話裏日本における海上保安庁状態でありますが、ただいま裏日本には舞鶴新潟海上保安本部がございまして、その下に浜田、境に保安部がございます。それから敦賀、伏木、酒田船川保安署がございます。合計九つ保安に関する役所があるわけであります。船川酒田塩釜保安本部の管轄になつておりますが、その他は舞鶴新潟本部が直接指揮をしていろいろな仕事をやつている状態であります。境と浜田は広島の方の本部において管轄しているという状態でございます。人数は、大体保安署が五、六人、保安部が二十人内外というところでございます。全国的に総数が非常に少いために、まことに残念でございますが、必ずしも充実していないという状態であります。
  5. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 人数が少いために、必ずしも充実していないというお答えを承りましたが、私たち調査した範囲では、鳥取県、福井地区等が主となるのでありますが、この海上保安に当つている方々は、保安に対する経験知識を持たない人がほとんど大部分であります。その人たちは、要するに船乗りと言えば、最も表現上適当ではないかと思われる人たちをもつてこれに充てているように、調査資料には出ております。また海上保安庁において、おそらく後援なり積極的な援助をしたものと思うのでありますが、過般「難船崎の決闘」という映画が出ました。あれを見ますと、十分なる武装をして、相当なる訓練をされた保安官が、活発に日本近海保安の任に当つているように見える。どこにねらいがあつたか知りませんが、一応国民に対して安堵を與える映画でありました。しかし事実は映画とはまるきり反対で、武器は持たないのである。今申し上げましたように、保安官というものは船乗りにひとしきものである。またそうした取締りの立場に立つてもまつたく取締りができていない。むしろ單に名目的な意味において航海しているにすぎない。役所があり、自分たちは給料をもらつているのだから、船を出して時間だけまわればいいのだというような形しか遺憾ながら見られないのであります。その一例といたしましては、私たち調査した鳥取県におきましては、海上保安庁が出発して以来今日まで、密輸関係の船、不法入国者の船をただの一隻たりとも逮捕した実例がない。今後逮捕する見込みがあるのかと調べますと、その見込みすら立たないというようなことが言われておるのであります。この事実はいかようにお認めになつておられるか、お認めになるとすれば、これに対する具体的な対策政府は立てておるか、また立てようとしておるかというような点についてお伺いしたいと思います。
  6. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 ただいまお話がありました点は、まことにごもつともな点も多々あるように思います。海上保安庁は従来日本になかつた官庁でありまして、これは二十三年の五月に出発しまして、約二年足らずの歳月を経ておるのでありますが、ここに集まつた人々は、各方面官庁から集まつて来た人がおるために、いわゆる海上保安の実態というものをお互いに研究しながらやつているわけであります。しかしまだまだ理想に達しないということは、まことに遺憾に思つております。  海上保安庁任務といたしましては、治安維持のほかに、海上の安全というようなことがございまして、大体この二つの使命を持つて生れたものでございます。海難救助という点も、ほとんど治安維持以上に仕事があるような次第でございまして、陸上におきましても、海の方の経験知識を持つている人が多数要望されている次第でございます。しかしながら陸上海上の出身の別を見ますと、必ずしも船の方の人が多いということではなくして、むしろ陸上方面仕事に携わつてつた人が多いというのが実情でございます。たまたま御視察くださいました場所におきましては、あるいはそうしたことがあつたのではないかと思われますので、この点はひとつ私どもの方で十分研究いたしたいと思います。  それから武器問題につきましては、昨年の十一月十七日に初めてピストルを持つことを許されまして、国警の方から二千ちよう参つたわけでございます。現在におきましては、保安官は必要に応じてピストルを所持しておるというのが現状でございます。  なお一言申し上げたいのは、現在ありまする巡視艇五十九隻の中で、三十八隻は八十トンの木造船でございます。これは戰争中につくつた非常に急造の船で、現在ほとんど使用に耐えないような船でございます。日本海方面の現在のような季節におきましては、ほとんど出ることができないような船でありますので、今年度及び来年度におきましては、四百五十トン以上の船を建造するという建前で進んでおります。今年度におきましては七百トンを二そう、四百五十トンを三そう、目下つくつておりまして、四月ごろにはでき上るかと思います。来年度におきましては、御協賛を経ましてそうした船が約九はいできる予定になつております。そういうのが全国に配置されますと、やや御期待に沿うような活動ができるのではないかと存じております。
  7. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 今のお答えによりまして多少わかりましたが、実は海上保安関係者に聞いてみますと、結局お答えのように、海上保安には二つ任務があるのでありまして、治安問題と海難問題というように、治安と多少切り離して考え部面もあるのでありますが、そうした部面よりも、現在裏日本において真剣に考えなければならない問題は、やはり治安問題だと思う。だのにわれわれは武器も持たない。しかも治安に対する訓練は全然受けていない。もしわれわれにして武器を持たしめ、かつそうした訓練のある人が多く入れられて来るならば、十分なる海上保安を必ず確立してみせるという、壮たる決意を述べておることを私たちは聞いたのであります。こうしたものに対しましては、やはり海上保安庁といたしましては、積極的な指導が必要ではないかと考えておるのでありますが、そうした部面に対して、答えばかりではなく、下部組織に対してそうした意思表示をする必要があるとお認めになるかならないか。また意思表示を今までしておれば、した事実があるかないか。これらについてお答え願いたいと思います。
  8. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 先刻申し上げましたように、海上保安庁仕事特殊任務であるという点から、発庁と同時に海上保安学校というものをつくりまして——これは東京にございますが、警察学校とやや性質が似ておるのでございます。そういう学校をつくりまして、いわゆる再教育といいますか、現場から人を集めまして、約四箇月間海上保安特別業務教育をやらしておるわけでございます、これは高等科普通科の両方にわけてやつておりますが、なにせごらんの通りの定員のものですから、その定員の中からピツク・アツプして教育するために、急に大勢の人をやれないというのが現状でございます。保安学校教育を受けた者は現地に帰りまして、他の者を指導するというようなことでやつておる次第でございます。なおいろいろな対策を、どういうふうにやつておるかということでございましたが、これは毎々いろいろな通達によりまして、現地の者を鼓舞してやつておる次第でございます。
  9. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私たち委員会といたしましては、先般運輸大臣にもお確めいたしましたように、治安問題に対しては警察検察庁というものが当つておるのでありますが、この警察検察庁任務以外に、鉄道を中心とした問題、海上保安中心とした問題、これは国家治安を維持する上に、今後の日本治安を真剣に考える上に、絶対に見のがしてはならない点だと考えておるのであります。そしてこれがためには、国会としてイニシヤチーブをとつてもいいというような考えまで当委員会は持つているのでありますが、その点に対しまして、海上保安庁においてはいかようにお考えになつておるか。
  10. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 海上保安庁といたしましては、十分な御援助を求めたいと思つております。
  11. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 次に少し具体的に入りますが、これは海上保安の問題であると同時に、国家警察の問題でありますので、それをお含みになつてお答え願つてけつこうでございますが、実は鳥取県下を調査いたしました節、だれの口からも言われ、事実われわれも見たことは、日本海においては隠岐朝鮮海峡におきましては壱岐対馬、この島を中継地として密貿易が行われている。この島の取締りを行わないで、日本海中心としたところの治安問題は論ずることはできないということでありました。また私たち隠岐を実際について調査をいたしたのでありますが、その感を深くするのであります。これに対して海上保安庁におきましてはいかようなお考えを持つておるか、海上保安庁は現在この付近を中心とした保安問題にいかに対処しているか。これについて承りたいと思います。
  12. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 海上保安庁巡視艇五十九はいのうちで、九州地区と申しますか、九州から島根、鳥取の沖の方に対しましては、その三分の一の二十一ぱいの船を実は配しておるわけであります。この二十一ぱいの大部分海難救助用というよりも、むしろ密貿易及び不法入国の哨戒をやつておる次第でございます。そのうちで対馬におきましては、二十一隻のうち四隻がこちらヘ参つておりまして、対馬日本においても重点的にこの方の警備をやつておる次第でございます。それから隠岐の方は、私の方の役所はないのでございますが、その方面必要性を十分に考えておりますので、保安署を置くというようなことを研究しております。
  13. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 実はもう少し突つ込んで話しますと、最近の密貿易船密入国船、特に壱岐対馬隠岐中心にしたもの等は非常に素質——もちろん密入国密貿易素質のいいものはないのでありますが、惡質なものにかわつて参りまして、ほとんど海賊船というような状態に変化しつつある。一例をあげますと、密入国をやる船が、漁船装つて魚をどつさり積んでやつて来る。それに対して、途中でそうした船のあるものは海賊船になりまして、これらの船を襲う。また日本近海漁船に対して、同様な手段をもつて海賊的行為をやるというようにかわりつつあるということも言われておるのでありますが、そうした状況が見られるとすれば、今後の海上保安というものは、今までの單に入つて来る、單に物を運ぶということでなくして、まつたく武器武器との衝突というようなことも考えなければならぬと思うのであります。これに対していかようなお考えを持つておるのか、お答えを願いたいと思います。
  14. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 密輸あるいは不法入国船が若干惡化して来たということは事実でございますが、海賊行為をやるというような点につきましては、まだその実情を私の方ではつかんでおらない次第でございます。この第三国と思われる国の人の密貿易、あるいは不法入国等におきましては、いわゆる領海に入つてからでないと拿捕できないというような状況でございまして、現在の状態においては、あまり沖の方に出られないような状態でございますけれども、そういう点で大体国警なり、自治警なりと非常によく情報の交換をいたしまして、ほぼいつごろどの方からということまでわかるような次第でございます。それによつて警戒している次第でございます。あの少い船日本沿岸を警備いたしますにつきましても、何かその情報がなければとうてい万全に警戒できない状態でございますので、国警自治警ともよく連絡いたしましてやつている次第でございます。
  15. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 お説のように、現在の状態といたしましては、そうしたものに対処する最高限度のものとして、警察検察庁海上保安庁協力態勢によるということ以外にないと思いますが、今後、お説の一部にもありましたように、そうしたものが惡化し、海賊になつて行く傾向があるということは、私ははつきり言えると思います。そうした場合、武器武器との衝突という問題にまで発展して行くことが当然でありますので、これは相当重大関心を持たなければならない問題でありますと同時に、また監視ばかりでなく、具体的なる対策を立てなくちやならぬと思うのであります。もしこうした場合に万全な対策を立てるとすれば、いかような船を持つて、いかような武器を備えて、いかような人員を持つて当れば、裏日本海上保安は維持されるとお考えになるか、これは将来の万全な対策に対する海上保安庁としての考えを伺うわけでありますが、その点をお示しを願いたいと思います。
  16. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 武器につきましては、法律によりまして携行武器を持つことが許されておるのでおります。その携行武器のうちで、現在においては單にピストルのみを許されているという状態で、このピストル使用も防衛以外には使えない、攻撃には使えないというようなことでございます。将来どうするかという点につきましては、目下研究中でございますが、ここで御説明申す時期ではないと思いますので、失礼いたします。
  17. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 武器はそれでよいのですが、船の点はどうなるか、船のトン数は現在の船で万全であるとお考えでありますか。また人員はどうですか。
  18. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 法律において許可されております最大トン数は、一そうあたり千五百トンであります。この範囲内であれば現在程度の海上保安、あるいは海上安全につきましては大体よいと思います。先刻も申しましたように、大体七百トンを中心といたしまして、千トン、四百五十トンを目標におきまして、造船計画を立てている現状でございます。現在の八十トンの船は、とうていこれは実際に考えましても、ただとりあえずというところでありまして、今申し上げたような計画で進んでおります。
  19. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 現在の八十トンの船には、一そうあたり平均十六人が定員でございます。七百トン以上の船は、大体約五十人ぐらいじやないかと思います。法律保安庁の職員は一万人を越えないように規定されております。現在におきましては、八千百三十七人の定員に対して、七千七百八十五人という人数であります。
  20. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 また先ほど質問にかえりますが、壱岐対馬の問題は別といたしまして、隠岐治安問題、これは署を設ける必要があるのではないかというようなお答えでありましたが、署だといたしますと、先ほどお答えにありましたように、五、六人の人員の配置しかされない。私たち調査によりますと、鳥取県の隠岐中心にいたしまして、入国者について一年二百六、七十名、密貿易について一箇年何千トンかの物資が流れているようでありますが、はたして署を隠岐に置くことにおいて、ああした地区治安が万全だとは考えられないと思います。むしろ隠岐に対しましては、署でなく最小限度部なり、もつとそれより強化したものを置かなければ、この密入国者密貿易取締ることは不可能だと考えるのですが、この点はやはり署でよいと思つておりますか、今私の具体的に述べたことが事実だとすれば、どういうように対処するつもりか承りたいと思います。
  21. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 お説を元といたしまして、十分研究してみたいと思います。
  22. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 最後に警察検察庁海上保安関係でありますが、この点も私たちの調べたところによりますと、協力関係がまつたく樹立されてない。これは海上保安庁の役人の方が言つておるばかりでなく、警察の者も口をそろえて言つていることであり、その地区検察当局も口をそろえて言つておることでありますが、それが事実だといたしますと、まことに遺憾のことでありまして、われわれ国会といたしましても、これは見のがすことのできない問題だと思います。この点に対しまして、それができてないということが真実であるとすれば、海上保安庁としてはどういうように考えるか、考えるばかりでなしに、真剣に対処しなければならぬと思うのであります。今日この時からむしろやる決意が必要と思うのでありますが、海上保安庁としてこの点をいかようにお考えになつておられますか。
  23. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 全国的に見まして、開庁当時はなるほど御説のような事態もございましたが、最近は全面的に非常によく協調しておると思つております。なお実際的に検察庁方面と協調しなければ、私の方の仕事ができないというのが現状でございまして、私の方で検挙したものは、主として検察庁に持つて行くという現状でございますので、検察庁連絡なしには、その方面仕事はできないような状態であります。現在におきましては、よほどその方面では進んでおると思います。
  24. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それはちよつと意外な御答弁を伺うのですが、私はこれは事実を言つておることでありますから、事実を基礎にして質問をしておるのでありますが、鳥取県の米子のあなたの方の経済保安官は、決して協力態勢ができておるとは言つておりません。それと同時に、その地区米子警察官も、保安庁協力関係ができておると言つてない。検察局に至りましては、まつたくこれはだめだ、あげたところで私の方へ連絡することはほとんどありません。今まで連絡されて、直接検察庁に来たものはわずかに二件しかない、あとは全部警察の方へ行つてしまう、警察の方と私の方との連絡も、何だかそうした面に対してははつきりしてないというような答えを得ておるのでありますが、そうすると、あなたのデスク・プランか、それともあなたに対する報告の間違いかに落ちつくのじやないか、これが事実とすれば、相当に私たち関心を持たなければならない点だと考えているわけなのでありますが、これは現地の者が答えているから、私は少くともその地区においては、この答えがほんとうの答えじやないかと考えておるのであります。こう考えております関係上、今のお答えをもつて、当委員は満足することができないのであります。これに対しては御調査なりまた調査しなくても、委員会を御信用くださいますならば、相当対策をお立てくださつてしかるべきだと思うのであります。それらの点について御意見を伺います。
  25. 稻垣次郎

    ○稻垣政府委員 米子に関しては、よく調査いたしまして善処いたします。
  26. 角田幸吉

    角田委員長代理 田嶋君に申し上げます。法務総裁は今予算委員会に行つておりますので、刑政長官が詳しく御承知だそうですから、刑政長官に御質問なさつてはいかがですか。
  27. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは海上保安庁に対する質問はこれで打切ります。  次に私は法務庁関係につきまして、刑政長官が御出席のようでありますから、刑政長官にお伺いいたします。今海上保安庁の方へも質問をいたしたのでありますが、日本治安維持に当るためには、現在は海の治安と陸の治安があり、海の治安と陸の治安取締るところの海の海上保安庁、陸の警察検察庁協力ということは、これはゆるがせにすることのできない問題だとわれわれは考えるのであります。その点につきましては、われわれが現在まで調査した範囲におきましては、まことに遺憾な点が多々あり、十分なる協力態勢が立てられていないのではないかと考えるのでありますが、この点法務府といたしましては、どういうようにお考えになつておられるのか。また遺憾な点があるとするならば、協力関係が確立されていないとすれば、今までこれに対して何か対策を講じて来たことがあるか、また今までないとすれば、今後いかようにこの対策を立てていけば協力関係が確立して、日本治安が万全に行くと思われるか、また万全に行くような具体的対策を考究中であるか、この点を承りたいと思います。
  28. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 従来密貿易取締りにつきましては検察庁警察並びに海上保安庁と十分なる連絡をとりまして、適当な取締りを励行しているのであります。  なお御指摘の密入国取締りにつきましては、先般も申し上げましたように、昨年の夏ごろまでは、主として連合国の方で取締りの衝に当つておりましたために、その後検察庁警察及び海上保安庁三者緊密な連絡のもとに、一体となつて密入国取締りを励行しているのでありますけれども、従来の関係もありまして、各現地においては、その間連絡の不十分な点もあるやに聞いているのであります。この点につきましては、御注意の次第もありますので、中央において法務府、大蔵省、海上保安庁及び国家地方警察本部の四者の間に、すでに密貿易犯罪取締連絡協議会というものを設けまして、その間の連絡を十分に励行いたしているのであります。そのことは、ひいて各地方現地に対しても、それぞれお互い連絡をとつて密入国取締りを嚴重にやるようにという指導をいたしている次第であります。今後十分連絡を緊密にして、御注意の点は遺漏のないように励行いたしたいと存じております。
  29. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そういつた協議会をつくつて対処されていることはまことにけつこうであります。どうも日本には、役所のなわ張り根性というものがいまだ温存されておりまして、これが清算されない。従つて上の方では、そうした協議会をつくりましてうまく行くように話合いをいたしましても、上の命令がただちに下まで滲透いたしまして、下部の方でうまく行くとは考えられないのであります。現在質問中心になつている私たち調査というものは、下部組織において調査いたしまして、下部組織がどうも協力が完全にできていないということを言つているのでありますから、下部組織協力を実現さすためには、どうしても私は單なる協議会とか、單に話合つて行くとかいうようななまぬるいことでは、とうてい長年つちかわれたなわ張り根性は一挙になくなつてしまうものと考えられないのであります。むしろこの協力関係が絶対必要なものとお考えになりますれば、また必要なものであるのでありますが、どうしてもそうした上の話合いということでなくして、協力関係に対しましては、何らかの立法的な処置を講じまして、立法的な処置によつてこの完全な協力態勢を確立する。そうして日本海上陸上治安の確保に当るというように考えなければならぬ、対処しなければならぬと考えるのでありますが、この点はいかように考えましようか。立法的な処置はしなくても、三者なり四者なりの協議によつて十分協力関係が確立されるものとお考えでありましようか。これらの点について承りたいと思います。
  30. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 現在の取締りの点につきましては、御指摘のように各現地において間々遺憾の点がございまするが、これはもつぱら検察当局警察並びに海上保安庁等の協力態勢によつて取締りが遺憾のないようにできることと存じておりまするので、今のところ特別な立法をしなくとも、運用によつて十分やつて行けるように考えているのであります。
  31. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 どうでしようか、運用によつてつて行けるように考えるというのは、相当に御自信があるでございましようか。実は新聞等によつて承りますと、最近予算委員会においていろいろ質問が出まして、国家警察と東京の警視庁等の不協力というようなことまで書かれまして、私ども汗顔をいたしているわけでありますが、はたして真剣な協力ということができるということに対しまして、法務府としては絶対的な自信をお持ちでございましようか。もう一度その点に対して、絶対的な自信があれば、確信を持つたお答えをいただきたいと思います。
  32. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 ただいまお尋ねの密入国密貿易取締りの点につきましては、お互い協力によつて十分取締りができるものと考えておりまするが、一般的な犯罪捜査について、自治体警察国家地方警察との間に、何らか制度を改変しなければ、現在以上に緊密な協力関係が改善されないかどうかということにつきましては、もう少し研究いたしたいと存じております。
  33. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そうすると今のお答えは、密入国不法入国中心としたものは、協力関係が確立するという自信を持つているが、しかし一般的な国家警察自治警察の協力ということになりますと、そうしたことに対しては、今の問題とは別に十分研究して、うまく行くように考えなければならぬ。自分たち考えている。こうとつてよろしゆうございますか。——それではそういうふうにお聞きしておきます。  次に先般お尋ねをいたしました件でありますが、外国人の登録の問題であります。これは新聞紙上でも一部発表されておつたようでありますが、われわれはいまだこの結果をつまびらかにいたしておりません。登録も一月三十一日で終りましたので、その結果をひとつつまびらかにしていただきたいと思います。
  34. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 これは本来民事局系統の仕事でやつておりましたのですが、私ども仕事の関連で、数字をここに持つておりますので、簡單に申し上げます。一月三十一日現在の都道府県国籍別切りかえ申請状況というのができているのでありますが、結局従来登録しておつた外国人登録令の対象者合計六十四万五千四百八十四名中、登録切りかえを了したものが五十三万六千二百四十九名であつて、全体としては八三%ということになつております。これを国籍別に見ますと、朝鮮人は従来の登録人員五十九万六千九百七十三名に対しまして、切りかえに応じたものが四十九万三千六十四名であつて、これが八三%ということになつております。それから中国人は従来の人員が二万一千八百五十三名に対しまして、登録切りかえが二万二十四名であつて九二%。それから台湾人は一万六千六百名に対しまして一万四千百八十五名、八五%。その他の外国人が一括しまして一万五十八名に対しまして八千九百七十六名で、八九%、こういう成績になつております。
  35. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 これは民事局の担当であるから、おわかりになられているかなられていないかわかりませんが、一体従来の登録人員に比較して、新登録が減つているのはどういう理由から来ているか、御調査の結果をお知らせ願いたい。
  36. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 私どもの方でも外国人の退去強制、あるいは密入国事件の処理というようなことで、非常に密接な関係を持ちますので、主管の民事局、その他の部局とも連絡いたしているのでありますが、ただいまのところ登録切りかえが八三%にとどまつてつて、あとの一七%がどうなつたかわからないということにつきましては、三つの理由があげられるようであります。すなわち第一は、従来二重登録あるいは虚偽登録といつたような、いわゆる幽霊がございましたものが、今回の登録切りかえで整理されたということ。それから同じような事情でありますけれども、死亡者でありますとか、あるいは帰国者などが、登録の方だけはそのままになつておりましたのが整理されたこと。第三に、何らかの理由でもつて今度の切りかえに応じなかつたもの。こういうことがこの一七%登録切りかえに応じなかつた原因であろうというふうに推定されるのであります。現在のところ切りかえるという一応の措置が済んだばかりでありますから、これらの推定がどの程度まで真実であるか。あるいは他の理由がひそんでいるかどうかというような点につきましては、今後の相当しんぼう強い調査を見なければならないのではないかというふうに考えております。
  37. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私たちは今のお答えである程度了承いたしましたが、一番重視しなければならぬのは、第三の何らかの理由によるところの登録に応じなかつたものの問題じやないかと思います。このパーセンテージから行きますと、各国人がほとんどひとしいのでありますが、人数の上から参りますと、朝鮮人の五十九万六千人が四十九万三千人、十万の未登録者を持つているという数字が出ておるのであります。ところが先ほど海上保安庁にもお尋ねをいたしましたように、裏日本を通じて来るところの密入国者というものは、年々多数の人員に上つておるようにわれわれは承知をいたしております。わずか鳥取県一県におきましても、一年に二百六、七十名の密入国者があるということを、当局者が明言をいたしておるのであります。そうしますと、従来よりもこの人員が減るということは想像できないのでありまして、むしろわれわれをして言わしめるならば、登録切りかえには、従来の登録の五十九万六千人は、はるかに突破するというのが常識じやないか、こう見られるのでありますが、何らかの理由の中に元朝鮮連盟の解散という事実が影響して、こうした数字が現われておるのではないか。いま一つは元朝鮮連盟の連中と日本共産党のつながりというものは、公知の事実ではないか、こういうふうに考えられます。のみならず、最近新聞の報道によりますと、団体等規正令によりまして、未届共産党下部組織相当法務総裁の手によつて告発をされておるようであります。こうした一連の関係というものは、私たちは一応事実であるといたしますならば、見のがすことのできない事実であります。また告発されたばかりでなく、あの新聞紙上の報道が事実であるといたしますならば、既成政党は相当にまじめに組織について登録をしておるにもかかわらず、共産党の登録というものは、ちよつとわれわれの考えておることと隔たることであり、相当登録に対して渋つておるところの何らかの原因を持つというようにも考えられるのでありますが、そうした原因が第三の何らかの理由の中にはつきり浮んでおるのでないかと考えますので、何らかの理由の中に、私が今申し上げましたようなものがあると考えられます現在では、そうした事実を確認されているかどうか。こうした事実は、何らかの理由を今後調査するとすれば、対象になつておるかどうか、お答えができますならば、お答えを願いたいと思います。
  38. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 ただいまの御意見のような理由も、あるいはあるかと思いますが、これは登録に応じなかつたという事件の取調べ等によつて、おのずからだんだんわかつて来るのではないかというふうに考えております。なおついでに申し上げたいのでありますが、この登録問題につきましては、私どもとしては、従来登録しておつたにかかわらず、今回登録しなかつたという一七%の問題とともに、全然登録線上に現われないというところをたいへん重視しておりますので、その点を申し添えておきたいと思います。
  39. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 最後のお答えの登録線上に現われないものを重視しておる、まことにいい答弁をいただいたと思います。私たちも重視するものは、現われたものよりも現われないものを重視しておるわけでありまして、私たちが重視するばがりでなく、国民全体がそれを重視しておると思います。これがひいて治安問題となり、これがひいて国家秩序破壊の面に現われて来ることは、間違いないのであります。多数の犯罪人があがりまして、その中に外国人が相当まじつておる、まじつた外国人を追究して見れば、兇惡犯罪中のほとんどのものが未登録者であるという事実も聞いておるのであります。この点に対しましては、今お言葉がありましたので安心をいたしますが、法務当局、取調べ当局といたしまして、ぜひとも嚴重なる監視のもとに万全の対策をお立て願いたいと思います。  外国人の登録問題はそれくらいにいたしまして、これも私たちが先般調査をいたしたことについての質問でありますが、先般法務委員会から武生検察庁、裁判所の放火事件の調査をいたしまして、住民諸君、県民諸君の反響を相当呼んだようでありますが、その後この放火事件に対する裁判が進行するにつれまして、いろいろと裁判の進行に妨害を與えておる事実があるかのように承つております。実は二月十一日付の朝日新聞の記事を読んで見ますと、こういう記事が出ております。「武生放火事件については既に二回にわたる衆院法務委員会調査団の現地調査で背後に暴力団があるとの結論に達しているが最近同公判が進むにつれ、背後から直接、間接に審理を妨害する傾向が現われて来た、その一、二の例として今年に入つてから公判廷でただ一人集団放火を認めている林好視の実家(福井県今立郡河和田村)にマスクで顔を隠した三人の男が別々に訪れ、家族に「金に困つていないか、相談ごとがあれば遠慮なく申出てほしい」ともちかけ、一方林が留置されている今立地区署へは何者かが差入屋を通じて連日ぜいたくな食事の差入れをしている、また召喚されている証人宅へは検察事務官と称するものが現われ、暗に威嚇する態度に出ている、このため最近証人の欠席が目立ち、九日の第十四回公判にも召喚した証人八名のうち四名が欠席した、しかも証人の証言のほとんどが起訴前の判事尋問をくつがえしており、九日一部傍聽人が福井地検須賀検事に「傍聽席から証人を監視しているものがいる、あれでは証人が気の毒だ、検察庁が保護すべきだ」と申入れた」こういうようなまことに驚くべき記事まで載つておるのでありますが、その後この事件を中心とした事柄につきまして、法務府で御調査をなさつたことがありますか、またこうした新聞記事の内容につきまして御調査なさつたことがありましようか。われわれといたしましても現地調査をいたしました関係上、こういうことがあるとすれば十分な対策考えなければならないと思つたことがありますので、一応これらの点について質問を申し上げたいと思います。
  40. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 裏日本の暴力団の動向につきまして、法務委員会の方で特別に御調査になりましたので、法務当局といたしましても重大な関心を持つて調査いたしておるのであります。お尋ねの武生の放火事件の公判進行につきましては、新聞に報道されておるような事実についてはまだ何らの報告もございませんので、至急紹介いたして調べてみたいと思つております。
  41. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 やはりこれと関係いたすのでありますが、武生の暴力団といたしまして、和田一家というものを法務庁が解散させております。そのほか私たち調査によりますと、福井県を中心にして幾多の和田と同種類の暴力を用いる分子があると思うのでありますが、この分子に対する調査というものは法務府では進んでおりましようか、また調査の上その事実が現われておりますれば、これに対していかような対策をお考えになつておるか、お伺いいたしたいと思います。
  42. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 和田一家の解散のほかに、ほかの団体においても団体等規正令の適用を受くべきものがあるかどうか、目下特別審査局の方で調べておりますけれども、ここでお話申し上げる程度にまだ到達いたしておらぬ状態であります。
  43. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それはその程度でやむを得ないと思います。次にこれに関連してお尋ねいたしますが、先ほども申しましたように、先般の新聞によりますと、共産党の下部組織に対して法務総裁から告発をしたという記事が載つております。その中にやはり右翼団体も一件含まれているようであります。私たちは全国的に調査いたしまして、日本治安を妨害する分子として、この右翼団体よりも博徒の徒団、そしてやしの集団というようなものは相当調査を重視しなければならぬ。各地区治安の問題について取調べをいたしますと、必ずそうしたボスと地方自治警察のつながりが現われるのであります。このつながりがあるために、非常に警察の活動が妨害され、検察当局のまじめな活動が阻害されている。どうしても日本治安を確保するためには、こうした団体の動向を真剣に研究、調査して、そうしてこれらのものに対してはどしどし団体等規正令によつて対処すべきじやないか、これに対処するところに初めて日本治安が維持されるのではないかと考えておるのでありまするが、遺憾ながら、今現われたところではそうした面に対する対処のあとが見受けられません。法務府といたしましては、これらのものに対していかように対処するお考えでありますか、御意見を承りたいと思います。
  44. 佐藤藤佐

    佐藤(藤)政府委員 全国的に暴力団が、わが国の民主主義政治の発展の上において非常な阻害になつていることを認めまして、先般来調査の結果、団体等規正令の適用を受け、その解散を指定された団体が相当数に上つているのでありまするが、今後におきましても、十分調査を精密にいたしまして、団体等規正令の発動については、躊躇なく行いたいと考えております。
  45. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 この程度において私の質問は終ります。
  46. 角田幸吉

    角田委員長代理 他に御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。     午後三時十七分散会