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1950-01-26 第7回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年一月二十六日(木曜日)     午後三時三十三分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 小玉 治行君    理事 高橋 英吉君 理事 田嶋 好文君    理事 石川金次郎君 理事 大西 正男君       佐瀬 昌三君    眞鍋  勝君       武藤 嘉一君    山口 好一君       吉田 省三君    猪俣 浩三君       田万 廣文君    田中 堯平君       世耕 弘一君  出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君  出席政府委員         刑 政 長 官 佐藤 藤佐君         (検務局長)         検     事 高橋 一郎君         海上保安庁長官 大久保武雄君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君 一月二十四日  戸籍事務費全額国庫負担並び住民登録法制定  の請願田中堯平君外一名紹介)(第三七一  号)  同(足鹿覺紹介)(第三七二号)  福岡地方裁判所田川支部昇格請願長尾達生  君外四名紹介)(第三九〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  団体等規正令の適用に関する件  密入国の取締りに関する件     —————————————
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  田嶋好文君より法務総裁運輸大臣海上保安庁長官に対し発言を求められておりますから、これを許します。田嶋好文君。
  3. 田嶋好文

    田嶋委員 私は本日法務総裁並び運輸大臣海上保安庁長官に対しまして、日本の現在直面いたしております治安問題について質問をいたしたいと思つておるのでありますが、運輸大臣法務総裁はまだお見えにならないようでございますから、一応お見えになつておられます海上保安庁長官所管事項について、ただいまから質問いたしたいと思います。  終戰以来日本海上治安というものが、海上保安庁の御努力や政府の適切な対策もありまして、だんだんと落ちつきつつあるようには見られるのでありますが、聞くところによりますと、いまだ密入国者が跡を断たないのみならず、日本経済撹乱の最も恐るべき根源をなしております密輸入の問題も、跡を断たないようであります。この密入国密輸入ということは、日本再建にとりまして最も重大なことであり、これが対策を誤らんか、日本の崩壊を来すということにもなろうと思うのであります。従いまして私たちは、治安経済その他の点からこれを重視しております関係上、本日はできるだけ詳細にわたりまして、この点につきましてお答えを願いたいと思います。  まず第一に海上保安庁で現在までお取調べになりました終戰以来今日までの日本への密入国者の数並び密輸入件数この点をお答え願いたいと思います。
  4. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま御質疑いただきました不法出国者並び密輸出入検挙状況でございますが、昭和二十四年の一月から十二月までの一年間の実績を申し上げますと、不法出国七十二件九百五十三名、密輸出入六十六件四百五十三名、合計千四百六名が海上保安庁において、過去一年間において検挙いたしました状況でございます。終戰以来数字ちよつと手元に持ち合せがございませんので、本日御即答いたしかねますが、なるべくすみやかに資料を提出することにいたしたいと存ずる次第であります。
  5. 田嶋好文

    田嶋委員 ただいま検挙による数を承りました。検挙による数はそうかもしれませんが、私の承りたい点は、検挙の数よりも、密入国者密輸入検挙以外の見込みと申しますか、見込みの数をほんとうは知りたいのであります。この数は幾らぐらいに見込みをつけておりましようか。
  6. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまのお尋ねは、非常に重要な問題であり、しかも非常に推定の困難な問題でございます。そこで私どもの方から船艇配備状況並びにその稼働状況並びに相手方の移動状況、あるいは季節的な影響というものも勘案いたさなければならないのでありますが、ごく大ざつぱに判断いたしますれば、私ども検挙件数というのは、おそらく数分の一、かように考える次第であります。
  7. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私たちの調べた範囲におきましては、おそらく密入国者は一年を通じて一万人以上は下らないであろう、こういうようなことを言われておるのであります。また密輸入件数も、それに匹敵するものがあるではないか、こういうように言われておりますが、そのように考えて間違いはないでしようか。
  8. 大久保武雄

    大久保政府委員 その点は海上保安庁長官だけで確たる御答弁もいたしかねまするが、私どもの想定からいたしますれば、先ほど申し上げましたように、数分の一であろうと存じますので、あるいはさような件数にもなろうかとも存じておる次第であります。
  9. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは、わが国海上保安庁の現在の警備状況を聞きたいのでありますが、この警備状況は、設備、人員等において、どの程度警備が整つておりましようか。また警備がこれで万全なものでありましようか。万全でないとすれば、これに対する対策をいかに考えられているか、これについてお答えを願いたいと思います。
  10. 大久保武雄

    大久保政府委員 現在私どもの方で、洋上において巡視警戒に当つております船舶は五十四隻で、この大部分の船は戰争中につくられました百トン足らずの木造船でございまして、非常に老朽いたしております。速力は八ノツト程度でございます。しかも航続距離は八百海里を出ない。御案内のごとく港を出て行きまして、洋上で哨戒いたしまして帰つて参ります往復のことを考えますると、出て行きまする距離は非常に短くなつて参ります。さような次第でございまして、この五十四隻が毎日全幅的に稼働いたしておりますればよろしゆうございますが、今申し上げましたように、船体が古い関係上、約半数は事故を生じておるというような関係にございます。そこで日本の沿岸を一万海里とかりにいたしますれば、五十隻では、一隻の哨戒区域が二百海里に及ぶ、かような計算に相なります。少くとも哨戒区域というのは、大体四十海里に一隻ぐらいは必要であろうと常識的には考えられるわけでございまするが、かような点からいたしますれば、現在の警備船艇の数が足りないしかもその性能が惡いかようなことに相なりまして、第一線で荒波と闘いながら苦労しております前線職員は、非常な困苦と闘いながら現在の任務を遂行しておるような状況でございます。
  11. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 今のお答えを承つておりますと、まことに密入国者密輸入のその見込み件数に対しまして、及ばないこと遠し、こういうような感じがいたしますが、しからばこの警備状況が十分整わないところの隘路は何であるか、何がためにこの警備状況が、これだけの密入国者があることがわかりながら十分整わないか、その点をどういうようにお考えになつておるものか、伺いたいと思います。
  12. 大久保武雄

    大久保政府委員 御承知のごとく、海上保安庁は一昨年の五月一日創立をいたされまして、当時二十八隻を海上保安庁巡視警戒用として使用を許されました。これによつてスタートをいたしました次第でございます。しかも海上保安庁法によりますれば、海上保安庁は百二十五隻以上の船艇を有してはならない、総トン数は五万トンを越えてはならない一隻の最大トン数は千五百排水トン、速力最大十五ノツト、こういうような制限を受けておる次第であります。私どもといたしましては、一日も早くもう少しよい船を、もう少しよけいにほしいということが全員の要望でございまして、創立以来、ただいま申しましたように約倍近くに船艇が増加されておりますけれども、その船というものは非常に老朽した船ばかりでございます。そこで私どもといたしましては、一日も早く法律に許されたる範囲内の新船をつくるということでございます。そのようなわけでございまして、幸い二十四年度におきまして、巡視船六隻を新造することに相なつておりますので、その新造を継げて参りました結果、すでに七百トン級巡視船二隻が進水いたしまして、四百五十トンが一隻、次いでもう二隻が近く進水いたします。また二百トン型巡視船も竣工いたしまして、すでに配備を了して次第であります。私どもは一日も早くよい性能の船を持つということを考えておる次第であります。来年度予算におきましても、国会に千三百トンクラスの巡視船を枢軸いたしまして、約九隻の新造予算を提出しておる次第でございます。これらの新造船は、いずれも速力十五ノツトを有しておりまして、航海距離も五千海里に達するものでありまして、これらの新船が海上に出動いたしましたあかつきにおきましては、初めて海上保安庁は本来の任務に真正面からとりかかれる、かように存ずる次第でございます。
  13. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 これに対する対策もほぼわかりましたので、次に密入国者密輸入種類と申しますか、むしろ国籍言つた方がよいかもしれませんが、国籍別におわかりになればお答え願いたいと思います。
  14. 大久保武雄

    大久保政府委員 大体九割近くは日本人以外でございまして、玄海灘方面において出没する、かように申し上げておきます。
  15. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 その点をもう少しはつきりおつしやつていただきたいのですが、玄海灘といえば、これは朝鮮海峽を隔てまして朝鮮がございますが、おそらく朝鮮人が多いのだろうと思うのであります。この朝鮮人について具体的に取調べをして、どういう理由密入国をするのか、どういう理由密輸入がこの方面で行われるかというようなことでも、判明した実事がございましたならば、できる範囲においてお答えを願いたいと思うのであります。
  16. 大久保武雄

    大久保政府委員 私どもの方で取調べましたもののうち判明しておりまするものは、その一つは、朝鮮における治安状況が十分でない、自分の一身の安全ということから渡航して来る者がおるわけであります。さらに先般来のいろいろの制度の改革、あるい徴兵令等その他の関係から、それをきらつて渡航して来る者もございます。さらに日本における経済的な條件というものが、朝鮮における條件よりもよりよいということを考えて、渡航して来る者もございます。さらに日本一つ学校教育というものにあこがれまして、日本において勉強をしたいという考えで渡航して来る者もございます。さらにかつて日本に生活したことのある者が、いろいろな係累も日本に残しておつたりいたしまして、渡航して来るのもございます。その他密貿易のことになつて参りますと、それにいろいろな利害的な打算が入りまして、いろいろな面からするところの利得をいうものによつてそれを希望し、かつ日本相互の間に連繋をなして渡航して来る者がある次第であります、大体以上述べましたようなわけであります
  17. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 朝鮮密入国者のうちで、現在北鮮南鮮にわかれておるわけでありますが、北鮮朝鮮人、こうしたものの渡航者の中に入つておるでしようか、入つておるとすれば、これらの入国の希望というものはどういう希望でしようか、これをお答え願いたい。  それからなお過般島根県でしたか、鳥取県でしたか、共産党員サントニン密輸入ということが新聞紙上で報ぜられておりましたが、こうしたサントニン密輸入というものは、背後的関係があるものかないものか、單なる金銭利欲というものにとらわれてやつた行為であるか、この点をお答え願いたいと思います。
  18. 大久保武雄

    大久保政府委員 大別いたしまして玄海灘方面に参りますものと、それから日本海のずつと北、新潟方面に上つて来るもの、天草鹿児島方面、さらに迂回して紀伊水道、豊後水道から入つて来るというように方向がわかれる次第でございますが、その関係でもおわかりのように、大体新潟能登半島方面北の方から来る、かように考えられる次第でございます。御承知のように、海上保安庁海上において取締ることを法律上の任務といたします関係上、いろいろな現実のものを取調ベ、檢挙いたしまして、その複雑なる背後関係というものは、これは陸の方の警察に引継ぎまして、逐次お調べを願つておる次第でございます。海上は何しろ海の上でございまして、私どもの職権の範囲内においては、背後関係を突き詰めるということは事実上なかなか困難でございます。
  19. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 その点は法務総裁に伺います。それでは私の長官に対する質疑はこれで終ります。
  20. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  21. 田中堯平

    田中(堯)委員 海上保安庁長官に、関連して一つ二つ質問したいのですが、玄海灘新潟天草方面によつて北鮮南鮮からの密入国者種類が違うというようなお話でしたが、これは確たる調査に基く数字などがありますか、ただ見当ですか。
  22. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま手元に詳しい数字はございませんが、数字はございます。
  23. 田中堯平

    田中(堯)委員 それからこの密輸入については何らお答えがなかつたようですが、これは南鮮からか北鮮からか、またどういう種類密輸入かということについて、概略をお答え願いたいのであります。
  24. 大久保武雄

    大久保政府委員 密輸入密輸出は、方面によりましていろいろ違つております。玄海灘方面日本海中央方面、さらに西南諸島方面というふうにいろいろな系統によつてそれぞれ品物も違つて参ります。玄海灘方面は主として従来生ゴム、牛皮等が相当大口を占めておつた北の方になつて参りますと、さらに薬品類というものがそれに加わつて参ります。西南諸島方面は砂糖、海人草といつたようなものが、その品物に加わつて来るわけでございます。本海へ出て参りますのは、主として雑貨類が多いように考えられます。私どもの方で檢挙いたしました過去一箇年間の檢挙価格は、マル公にいたしまして約三千五百万円でございます。以上簡單でございますが、お答え申し上げます。
  25. 田中堯平

    田中(堯)委員 一昨年に比べて、昨年は朝鮮からの密入国者が飛躍的に増加しておる事実はありませんか。
  26. 大久保武雄

    大久保政府委員 私の方の統計では、ちよつと今正確にはお答えできませんが、大体似たようなもので、少し総計では減つておるのではないか、こう考えます。
  27. 田中堯平

    田中(堯)委員 今の玄海灘方面密入国者が非常にふえたので、他の方面減つたという、そういう事実はありませんか。
  28. 大久保武雄

    大久保政府委員 むしろ北の方は今まで手が届かなかつた関係もございまして、北の方は少しふえておるのではなかろうかと考える。全体的に申しまして、従来はほとんど玄海灘から関門海峡へまつすぐ参つておりましたものが、北は新潟方面、さらに太平洋方面東京湾あるいは仙台附近まで出沒するというふうに、ほとんど日本全域をおおいつつある、このようなふうに判断いたします。
  29. 田中堯平

    田中(堯)委員 この密入国者の何ゆえの理由かという理由の御説明のときに、朝鮮において治安状況が不良のために、一身の安全を求めるためというのをまつ先に言われたのですが、これが大部分というふうに解釈してよろしいですか。
  30. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまそのパーセンテージの関係は、ちよつと私は今正確に記憶しておりませんで、檢挙いたしましたという点で御了承をお願いいたします。
  31. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 法務総裁がお見えなつたようでございますから、私の質問を継続させていただきます。法務総裁に対してお尋ねをいたしますが、きようお尋ねをいたしたいと思います趣旨は、法務総裁団体等規正令によりまして、政治団体内容を一般に公開し、またその政令に反する団体に対しましては解散権を持つという、その立場からの質問でございます。最近共産党に対するコミンフオルム批判に対しまして、共産党本部がその立場を公式に声明いたしたことに関連をいたすのであります。実は共産党野坂參三氏日本に帰りまして早々、国民に愛される政党というような言葉を用いまして国民に呼びかけがありました。国民はこの野坂氏の、暴力革命的な行き方を排除いたしまして、平和裡民主主義革命をやつて行くのじやないかということに対しまして、偽らないところ、ひとつ好感を持つてつたのではないかと思います。かく申す私自身も、保守政党の議員ではありますが、その気持が那辺にあるかは知れないのですが、そうした行き方を持つのじやないかということに対しましては、好感を持つてつた一人なのであります。にもかかわらず、コミンフオルム機関紙におきまして、野坂參三氏行き方に対する批評が現われますと、野坂參三氏コミンフオルム批判に対しまして自己誤りを認め、今後かかる誤謬を犯さず、国際プロレタリアートの期待に報いることに努力するというような自己批判的な声明を発表いたしました。また共産党本部におきましては、同党の公式声明といたしまして、コミンフォルム機関紙野坂批判に対する野坂參三自己批判を認めるということを公にいたして参つたのであります。これがいかなることを意味しているかはわかりませんが、私たち新聞紙上を通じて知り、かつ見るところによりますと、かかる結論が見出されるような気がいたします。  まず第一に、昭和二十五年一月八日の東京朝日新聞記事によりますと、コミンフオルム野坂參三氏に対する非難として、こういう記事が掲げてあります。「日本共産党指導者野坂氏はブルジヨア的態度をとつており、帝国主義者召使である」、こういうように書き下しまして「日本帝国主義および帝国主義者との結合を排除してのみ、すなわち民主主義社会主義の道をとることによつてのみ、日本は興隆し偉大な独立国家となり得ることを悟るべきだ」こういうふうにコミンフオルム野坂氏を批評していると新聞に書いてあります。またプラウダ紙野坂批評といたしまして、新聞記事は、野坂氏は米占領軍に奉仕した点、また日本人民を欺いた点で非難さるべきである、こういうように記載されておるのであります。コミンフオルム非難がこの新聞記事のごときものであるといたしますなれば、少くともこの批判を受入れ、自己誤りを認めて、今後は国際プロレタリアートとともに進むという声明を発表いたしました以上は、この反対的事実を肯定したものと認めなければならぬのであります。反対的事実ということは、日本共産党指導者は、ブルジヨア的態度をとつておるとの非難に対して、これをとらないということになり、帝国主義者召使であるということに対しては、帝国主義者召使にならないということになる。帝国主義ということをどういう意味で使つたか私はわかりませんが、少くとも日本が現在米軍占領下にあります以上は、その帝国主義者は、現在日本を占領しておるところのアメリカであると解釈する以外に道がないのでありまして、結局アメリカ召使にならないのだということに解釈が成立すると思うのであります。  次にプラウダ野坂氏の米占領軍に奉仕した点に対する非難に対しまして、その反対に解釈をいたしますれば、今後は米占領軍に奉仕をしないということに解釈が成立をすると思うのであります。なおこれに対しまして、その後各新聞紙に載つた事実を読み上げてみまするなれば、共産党のこの公式声明が発表された翌日の昭和二十五年一月二十一日の東京毎日新聞共産党自己批判という記事によりますと、こういうことが書かれております。「去る十八日から開かれていた日本共産党の第十八回拡大中央委員会は」、以下省略いたしまして自らも告白せる如く、国際プロレタリアートの一環となれる、日本共産党今後の運動が、当然に占領政策に激突して行くであろうことは推測されるところである。またすでに占領下における政権掌握誤り批判され、それを認めた以上、共産党のとるべき行動は、現在占領下にあるわが国の復興、建設計画にも、必然的に反抗的な態度に出ることでもあろう。」なを中略いたしましてコおミンフオルムの批判をいれた共産党が現在ならびに将来において、單に破壤的勢力として動くとすれば、われわれの解する「民族独立」「自由、平和」と全く相反したものであるとせねばならない。」こう社説において毎日新聞は論じておるのであります。  次に同日の朝日新聞におきましても同様なことが論ぜられておるのでありまして、日本共産党国際的性格と題しまして、社説コミンフオルム批判を全面的に是認したものとみられる、こう前提しております。「これによつて日本共産党性格がはつきりしたことであろう。われわれは本問題が投げられた当初、日本共産党はやがてコミンフオルムの指示する暴力革命立場に立つことを明かにするか、または批判で名ざしされた指導者だけの責任を追求して党自体は口をぬぐうか、それともこれらの批判を無視してそのいわゆる平和革命方式を貫き、コミンフオルムとのつながりを断つて独自の道を歩むか、そのいずれかをとらざるを得ないだろうといつたが、いまやこの党は、コミンフオルムの指示には全幅的に従うものとして、その性格を表明したと見なければなるまい。中略いたしまして」ほんとうは理論というものではなく、実際活動における態度であろう。その態度の転換について、日本共産党コミンフオルム方式に従うに過ぎまい。そして正しいか正しくないかは、一つコミンフオルム立場からされるのである。」こういうように朝日新聞社説は論じております。また朝日新聞のこの社説を裏書きするがごとく、共産党機関紙でありますところのアカハタは、一月二十四日付をもちまして「第十八回拡大中央委員会一般報告と結語」といたしまして、これを記載いたしておるのであります。その内容は多岐にわたつておりますが、この記事の文字に現われた点「三」といたしまして「まつたくの売国奴となつ民自党吉田内閣」また「外国資本とその手先どもに対して、そのおとなしい奴れいたらしめようとする意図」「このように民族のあらゆる生活、産業、ならびに文化を破壊しているのは、すべて国際独占資本によつて自己保存をしようとする民自党吉田内閣政策の結果である。これをさらに明確にし、いつそう徹底しようとするのが、いわゆる「單独講和」である。現在すでにこの單独講和は、実際上なしくずしに行われている。だから、国際関係から單独講和がのぞみうすになりつつあるので、そのときは、單に「戰争終了宣言」をもつてこれにかえようとしている。このことは、日本特定国の実際上の植民地にダラクさせることを意味する。そのことは、これまで具体的にしめしたことによつて、もはや、あらそえないところである。だから、單独講和は講和ではない。国際独占資本のために民族独立を放棄し、奴れいになることを確認することである。」というような激越な言葉をもちまして、この新聞の論評を裏書きするかのごとき言辞を用いておるのであります。またこれと同様なことは、都下の各新聞にも論ぜられておるのでありまして、この事実をもつていたしますれば、私は日本共産党は現在までのその野坂式行き方を清算いたしまして、はつきりとここにかれらの性格を暴露したものであり、世間に公表したものであり、それは朝日新聞の論ずるがごとく、毎日新聞の論ずるごとく、暴力的なものであり、反占領軍的なものであると解釈をしたいのであります。といたしますれば、私たちはさきに制定されましたところの国体等規正令二條第一項によりますと「占領軍に対して反抗し、若しくは反対し、又は日本国政府連合国最高司令官の要求に基いて発した命令に対して反抗し、若しくは反対すること。」その七項によりますと「暗殺その他の暴力主義的企図によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化する」というところの団体等規正令二條日本共産党は抵触するものなりと考えるのでありますが、この点に対しまして法務総裁の御意見が承りたいのであります。もしこれが抵触するというお考えがありますならば、団体等規正令は、この第二條違反政治団体に対しましてはすみやかに解散せしめるところの権利を法務総裁に與えておるのであります。抵触するといたしますれば、法務総裁はすみやかにこの団体に対して解散を命ずるだけの準備と意思があるか、この点を承りたいと思います。
  32. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 ただいまお話のありましたごとく、野坂君に対するコミンフオルム批判その他につきましては、十分注意をいたしておるのであります。もしいろいろとただいまお話のごとく、世間で批判しておりまするごとく、これが占領軍に反対するか、あるいは暴力主義的になるという確証がありますればなつたという確証がありますれば、お話の通り団体等規正令の処分もやむを得ないかと考えますが、私どものただいままでの観察によりますれば、まだかような団体にはなつておらぬと思うのであります。ただいまいろいろお示しのありましたように、コミンフオルム批判に従つて、それを全面的に受取つて、そうして共産党の将来を考えますと、あたかも今のお話のようなことになるかもしれないという考えはあり得るのであります。しかし、そうでない、積極的にそこまでは行かない、ただ批判は受けたけれども、まだ積極的にさような反占領軍的、あるいは破壊的というまでには至らないという考え方もあり得るのであります。私どもは靜かに今後の成行きを見て行きたいと思うのであります。これは何も共産党に限りません。いかなる政治団体にしろ、反民主主義的であつて、暴力主義的なもの、また反占領政策的なものであれば、その実証があがりますれば、いずれも団体等規正令の処断を受けることは当然であります。当然でありまするが、まだ私は日本共産党がただちにさような処断を受くべき状態に達しておるとは考えておりません。多分日本共産党もそんな知恵のないことはなさらないだろうと思います。やはり占領下にある実勢をよくつかまれまして、合法的に、また民主主義的に行動されることと期待をいたしております。
  33. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 御存じのように、今まで私たち共産党の共同謀議という名目のもとに三鷹事件、平事件、松川事件等を経験して参りました。これに対しましては、もはや検察当局におきましては、共産党の共同謀議であるという認定のもとに起訴をいたしまして、現在裁判中であります。これを照し合せまして考えられますことは、共産党が今回のコミンフオルム批判が出ますや、政治局員の所感といたしまして、これは新聞の報ずるところでありますが、われわれは理論は誤つてつたのだが、この理論の誤りを実践によつて克服して来たということを言つておるのであります。して見れば、何だか実践ということにわれわれは過敏になりまして、とかくその実践は三鷹事件であり、平事件であり、松川事件等々の、共産党謀議に基くところの起訴された事件とつながりを持つように考えられるのでありますが、これを具体的な事実といたしまして考えられないものか、法務総裁はどういうふうに考えるものかお答えを願いたいと思います。
  34. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 それらの事件につきましても、お話のごとき意見を述べる人が間々あるのであります。私どもは、いまだ現在の段階におきまして、それが証明されておると考えないのでありまして、従つて団体第規正令の発動を要すると考えておらねのであります。
  35. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 法務総裁は過日西下の車中談にいたしまして、これも私は新聞で見たところでありますが、とにかく団体等規正令は昨年の四月に判定されたが、その後着々と整備をいたして、今年は本格的にこれを実施するつもりであるというようなことが書かれておつたのでありますが、これによるかどうか、その後、私たち法務委員会取調べました武生の暴力団とされておるところの和田一家に対して、確かに団体等規正令に抵触するということで解散を命じたと思います。この和田一家は燒打ちをしたということによつて、現在福井の地方裁判所におきまして、検事局が認定のもとにおいて起訴して審理中のものであります。これがはたして焼打ちしたものであるかどうかということは、裁判の結果を見なければわからないのでありまして、和田を解散したという理由は、裁判の結果以外にどこかに材料があるものと認定をしなければなりません。私たちの想像するところでは、おそらく和田をこうして解散したところの理由なつたものは、現在福井地方裁判所に係属中の燒打ち事件をもつてして、和田一家を解散せしめたものではないかと解釈できるのであります。もしそうだといたしますならば、今私が申しました三鷹、平、松川、月鋼等の事件は、同一種類に属して、同一筋の処断を下すべきものだと考えられるのであります。この点に対する法務総裁の御意見を承りたいと思います。
  36. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 和田一家の解散でありますが、お話のごとく武生裁判所の放火事件そのものを取上げているわけではないのであります。従来より数々の事実がたくさん上つておりますために、これが累積いたしまして処断を必要とすると考えたのであります。武生の放火事件だけを取上げたのでは決してございません。
  37. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 最後に一点伺います。団体等規正令によりますと、その目的といたしまして、総裁御存じのように、政治団体内容を一般に公開する、こういうことになつておるのでございますが、法務総裁はこの政令の監督責任者並びに執行者といたしまして、日本共産党内容を——最近の動きでありますが、一般に公開する準備と用意を持つているかどうか承りたい。
  38. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 団体等規正令の第七條でありますが、届出来事項がずつと記載してありまして、これは公表さるべきものであります。たとえば名称であるとか、目的であるとか、それから役員の住所、氏名等、それから有名な財政的援助者の住所、氏名、構成員の住所、氏名、こういうふうに詳しい届出をささしております、この届出は公表されるべきものであります。
  39. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 その点になりますと、多少私たち解釈の相違が生れますが、この団体等規正令の第一号にきめてあります「この政令は、平和主義及び民主主義の健全な育成発達を期するため、政治団体内容を一般に公開し、祕密的、軍国主義的、極端な国家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な団体の結成及び指導並び団体及び個人のそのような行為を禁止することを目的とする。」こういうように掲げてありますので、第七條というものは、これは形式的な規定でございまして、何もこの目的に沿うものではない。むしろ目的は祕密的、軍国主義的、極端な国家主義的暴力主義的、反民主主義的な団体を取締るというところにあるのでありますから、事務所とか名称とかという問題でなく、詳細にわたつてその団体内容を一般に公開してやる、これがこの団体等規正令の目的でなければならぬと、こう解釈しているのであります。その解釈に基きまして、この解釈が正当であれば、政治団体内容を一般に公開しなければならぬという目的に従つて日本共産党内容を公開しなければならぬ。もちろん民主自由党の内容も公開しなければならぬでありましようが、これは公開しなければならぬと思うのでありますが、この点に対する御意見を承りたいと思います。
  40. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 お説の通りでありまして、祕密団体日本においては存在の余地がないのであります。従つて公開さるべきものはみな祕密団体ではないのであります。もし祕密団体でありますならば、それはただちに解散をされるべきであります。日本共産党は祕密団体ではないのでありまして、現在のところ、その内容は合法的に存在を許されるべきものであります。
  41. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そういたしますと、調査に基きまして実際上の宣言、綱領というようなものが判明いたしますれば——形式的なものではございませんで、実際上の宣言、要領、実践行為というようなものが判明いたしますならば、総裁といたしましては、政治団体内容を一般に公開することもあえてやぶさかでない、こういうことになるのですか。
  42. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 もし実質上この団体等規正令に抵触するものでありますならば、公開ではありませんで、ただちにその団体解散さるべきものとなるのであります。
  43. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでよくわかりました。それでは私はこの点に対する質疑を打切りまして、次に法務総裁に対しまして、本年一月十六日から施行されまして一月三十一日をもつて終ることになつております外国人登録の切りかえの問題について伺いたいのであります。これは申すまでもなく、わが国治安上の問題からいたしまして、また経済確立の面からいたしまして、たいへん量大なことであり、これが完全に実施されるかいなかは私は国家興隆に重大なる関係を持つ問題だと考えております。そういうようにこの問題を重大に考えているのでありまして、法務総裁のこれらに対するお答えをできるだけ詳細にお願いしたいと思います。  第一に、この外人登録は新しい登録ではなくして、今まで登録されたものの登録を切りかえするということが主たる目的だと承つているのでありますが、その目的であるかどうか。その目的であるといたしますれば、何がゆえにそういうようにしなければならないか。その理由を承りたいのであります。  次に、現在までその目的に従いまして登録された人員はいかほどであるか。まずこれを承りたいのであります。
  44. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 外国人登録令を今度切りかえのために改正をいたしたのでありますが、これは最近におきまして、不正入国者が増加している。それから相当数の末登録者の存在することも事実であります。登録証明書の偽造、変造などの事態もございますので、登録令のより的確な実施をはかりますために、今度登録令を改正いたしまして、切りかえを実施したいと考えたのであります。今までのところ、登録令改正前に登録されている人員は約六十五万人であります。今月の十六日からこの改正が施行されまして、この三十一日までに登録の申請を受付けているのでありますが。この二十四日までに登録の申請を受付けましたのが、見込み現在員の約二割強くらいのようであります。
  45. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 現在まで登録されている六十五万人のうちの二割強といたしますと、本日はもう二十六日で、月末まであと五日を残すばかりでございますので、あとの五日間に八割の人間が登録され、なお密入国者の登録もその中に入らなければならぬと思うのでありますが、はたして二十一日までの間に全部登録されるところのお見込みがありましようか。もし今までに比較いたしまして、登録されない人間が多数あるといたしますれば、これに対する処置はいかようにとるお考えでおられるか。この点をお伺いいたします。
  46. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 現在のところ、最終日までには大部分の者が登録を申請するであろうと考えております。その後に登録会に違反いたします者は、具体的によく調査いたしまして、登録令所定の処置をいたしたいと思つております。
  47. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私たちは今まで、この登録令違反者に対する処置、それから密入国者に対する政府の処置は、まことになまぬるいものであるというように考えられるのであります。今回の処置も、末登録者が多数ある。にもかかわらず單にこれがおざなりになつてしまつて、單なる一片の登録にすぎなくなつてしまつて、その末登録者をそのまま存置し、密入国者をそのまま放置するということは、これは承服しがたいことである。私が承服しないばかりでなく、国民全般が、これはまことに遺憾なこととして承服しないことであろうと思うのでありますが、三十一日以後の、政府のこの末登録者並び密入国者に対してとるべき処置を、具体的にお知らせ願いたいと思います。
  48. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 従来におきましても、密入国者及び外国人登録令違反の者に対しましては、相当嚴重に処置しておつたつもりであります。御承知のように以前は、昨年の八、九月ごろまでは、大体占領軍の方で取締りをいたしておつたのでありまして、こちらはその指導のもとに密入国者に強制退去を命ずるという方法を講じておつたのであります。昨年の八月に連合軍当局の方から覚書がございましたので、その後はもつばら日本政府の責任において、密入国及び外国人登録令違反の取締りに当つているのであります。現に昨年の九月から本年の一月現在に至るまでの間、退去を強制いたした者は一千百五十名の多きに達しているのであります。なお昨年の十二月にはすでに三百十九名檢察庁で受理いたしまして、そのうち九十七名をすでに起訴いたしているのでありますが、その他の者は全部強制退去を命じているのであります。この外国人登録令の改正実施にあたりましては、期日までに登録をいたさない者につきましては、嚴重に登録令の適用をいたしまして、取締りをいたしたいと考えております。
  49. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 まことにお答えはきれいでありまして、すらすらとお述べになりましたが、私たちはそんなきれいお答えを望んでいるのではない。今海上保安庁からのお知らせによりますと、海上保安庁で檢挙した数というものは、密輸入密入国者を合せて千四百六名だということであります。見込数をとお聞きいたしますと、少くともこの檢挙した数は見込数の数分の一に当るだろう、こういうことを言つております。海上保安庁で檢挙した者が千四百六名であり、今のお答えによりますと、法務庁で処罰した者が千百五十名、しかもそれは密入国者の数分の一に当る人間だ。こういうことになりますので、この点は相当数の密入国者があるものでありますから、千台でなく、相当数の密入国者の処罰をしない限り、決してこの楽観論は生れないものと考えるのであります。私はここで法務当局に、はつきりと国民が安心をしますように、密入国者の数を、この多い密入国者をいかに捜査していかに処置するか。この点を国民が安心しますように、不安にかられている国民に対して安心感が與えられるように——国民は法務当局が千十何名処罰しました、これで私たちは一生懸命ですと言つたところで、決して安心しません。何万人かの密入国者があることと知つている国民は、安心しないのです。だから何万人かの密入国者に対する国家としてとるべき対策を、ここではつきりひとつお示し願いたい。
  50. 佐藤藤佐

    ○佐藤(藤)政府委員 法務府といたしましては、海上保安庁なりあるいは警察官庁の方から密入国者を檢挙して参りますれば、当然檢察庁において、適当にこれを処置いたしているのでありまして、今後といえども、檢察庁の手の及ぶ限り、察入国者並びに外国人登録令違反の者に対しては、嚴重に励行いたしたいと考えているのであります。
  51. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 幸い今度行われますところの外国人登録によりまして、聞くところによりますと、相当偽造のできないようにして嚴重にやるようでございますから、そこに密入国者の数、それから未登録の数がこの登録がえによつて現われて来ると思う。現われて来たその人間に対して、ほつておけばそれでおざなりになりますが、警察力と十分に提携してこれを使うとか、また国家機能を十分に活用しますならば、私は好機至れりと思うのでありますが、そういうように法務当局はお考えにならないのでございましようか、御意見が承りたい。
  52. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 このたび登録令を改正いたしまして、ただいま申し上げましたような登録の切りかえをいたしますのも、実はこの機会に密入国者を一掃したい、今まで密入国をしておりました者をはつきりつかみたい、こういうつもりであります。
  53. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それは登録令の実施によつて徹底的に密入国者を処置したい、こういうお考えと承つてよろしゆうございますか。
  54. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 ねらいはそこにございます。
  55. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 さつき海上保安庁長官から承りまして、なおわからない点がありまして、最後に残してありますので、この点を法務総裁に承りたいと思いますが、密入国者取調べの結果、たとえば海上保安庁長官お答えによりますと、朝鮮人密入国者のうちで、南鮮人と北鮮人がある。北鮮人の場合等におきまして、單純な自己の打算というようなことで密入国をしている人間ばかりか、それとも何かの背後的事実があつて入国する者があるか、また先般海上保安庁で逮捕したと新聞で報道されておりますところの、島根県でしたか、鳥取県でしたか、あの共産党員サントニンの輸入、こういうような問題もお取調べなつたことと思いますが、これらの問題につきまして、お取調べの結果、單純な自己の打算と御認定になつたのか、それともそれ以外の認定事実があるのか、これは答えられる範囲においてお答え願いたいと思います。
  56. 高橋一郎

    高橋(一)政府委員 ただいまお尋ね北鮮あるいは南鮮の別でありますとか、あるいは密入国の目的がどういうふうな区別になつておるかというような点は、私どもの方としては、そのための取調べをいたしておりませんので、お答えができかねるのであります。もつぱら刑事事件といたしまして、密入国の事実があるかというような観点で取調べをいたしております。  それからサントニン事件は初め島根県下で起りまして、これがほとんど共産党員によつて行われております。そのような関係もありますし、巷間いろいろ共産党サントニンとの結びつきについては流布されておることもありましたので、検察庁としては十分それらの事実を取調べたのでありますが、結局これは広島県下で取引されたものが島根県下に流れたものでありまして、全部もとを調べてみますと、広島県下で偽造されたサントニンでありまして、その販売径路の広島県における末端に、たまたま共産党員がおりまして、その関係で島根県では全部共産党員の筋で販売されておつたということがわかつたのであります。そしてそれ以上の深い関係は認められませんでした。そのように各事件につきまして問題となりました点は、具体的によく調べているつもりでございます。
  57. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは私の質問はこれで打切ります。
  58. 田中堯平

    田中(堯)委員 法務総裁お尋ねいたします。今田嶋委員から質問に名かりて、共産党の誹謗と言いましようか、反共宣伝が盛んに行われておつて、非常に遺憾だと思います。  そこでお尋ねしたいことが二、三ありますが、田嶋委員の御質問の要旨をまとめてみると、結局第一は、コミンフオルムが暴力的なる方針を持つているということを独断されている。そのコミンフオルム日本共産党批判を論文で載せた、それを日本共産党が全面的に受入れて、従つて暴力主義的な方式を輸入して来たから、そこで今度は日本共産党の方針というものが暴力主義的なものにかわつて来たというふうな独断、それからそれについては都下各有力新聞が論説をもつて裏づけするような論文をたくさん掲げている。だから、これを一つの証拠として見ても、確かに共産党は暴力的な方式をこれからとることに決定をしている。しからばこの団体等規正令の第二條の一並びに七に該当するから、これの解散命令を出す意思なしやというような、簡單に言えば要旨であつたと思います。ところで私ども考えでは、コミンフオルムが第一に暴力的な方式革命においてはとつている、暴力主義を採用しているなどというようなことは、まことに独断であると思いますが、第一その点についてどのように考えておられるかを法務総裁にお聞きしたいのです。
  59. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 ただいま田嶋さんにお答えをした通りでありまして、いろいろの論議はございますが、私は日本共産党が暴力主義になり、反占領政策になつているとまだ考えておりません。
  60. 田中堯平

    田中(堯)委員 次にお尋ねしたいのは、コミンフオルム日本共産党との関係についてであります。私どもは何も日本共産党コミンフオルムの構成メンバーでもないし、そこから指令を受けるというような筋合いもない。ただ全世界各国の共産党は、日本共産党の友党なるがゆえに、もし日本共産党に対して適当せる注意なり、批判なりがあれば、自主的にこれを採用することもあり、また当てはまらぬということならば、拒否することもあるという立場をとつて来ているのですが、その点について法務総裁は、何か一般の民間新聞が論説その他において主張または解説をしているように、日本共産党コミンフオルムなりあるいはソビエト・ロシア共産党から指令か、あるいはその他の圧力を受けて、自由自在に動くものであるというようなお考えを持つておるかどうかを、この際表明せられたいのであります。
  61. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 私はコミンフオルム等の関係につきまして、それほど詳細なる報告を実は持つておりません。いろいろ世間で論議されておることは承知しております。従つてどもの職務上、それらの点につきましても、十分に研究をいたしておりますけれども日本共産党がそれゆえに暴力主義になるとか、暴力主義を採用しておる、あるいは占領軍に反対する立場をとつておるとは考えておらぬのであります。これは共産党に限りません、いかなる団体についても同様であります。とにかく各団体の実際の行動につきまして、注意はいたしておりますが、日本共産党がその段階に達しておるとはまだ考えておりません。
  62. 田中堯平

    田中(堯)委員 田嶋委員質問要旨の中には、三鷹事件とか、あるいは下山総裁事件、あるいは福島の列車顛覆事件というようなことが、いかにも共産党のしわざであるかのように、従つてすでに暴力主義を実施しつつあるという印象を深めるような御発言がありました。並びに都下の新聞その他が、これを裏づけするようないろいろな解説や論文を載せているということを強調され、従つてすでに共産党は実践面においては、暴力主義を実施しているというふうに認定するという話でありましたが、その点についても今法務総裁の言われた通り、まだ黒白をいずれとも認定をしておらぬということでありますかどうか、その通りですか。
  63. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 ある事件につきまして、共産党員である人たちが多数関係しているという事実は、聞いております。しかしながらそれがゆえに共産党自体として、さような暴力主義的態度をとつておるものと断定するわけには参りません。
  64. 田中堯平

    田中(堯)委員 さしつかえなければ、そのある事件というのを提示していただきたい。
  65. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 それはたとえば三鷹事件のごとき、現に検察庁で起訴しております人の中に、共産党員がおるということは事実であります。ただそれだけでございます。
  66. 田中堯平

    田中(堯)委員 今の点につきましては、それは起訴するということは自由かつてであつて、まだ裁判によつて黒白がついておらぬので、法務総裁としてそのような一党の大きな運命に関するような発言をなさることは、私非常に遺憾であります。私どもは下山総裁事件はもちろんのこと、列車顛覆事件にしても、また三鷹の事件にしても、共産党関係なしということを確信しておりますので、非常にそれは遺憾であります。
  67. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 今田中さんは、私の申し上げたことをよくお聞取りくださらなかつた。つまり党としての行動であるとは、ちつとも考えておりません。でありますから、一党の運命に関することを申し上げたつもりではないのであります。
  68. 田中堯平

    田中(堯)委員 最後に一つお聞きしておきたいことは、団体等規正令の第一條の目的のところの第二項には「この政令は、この政令に定められた目的及び行為に関する場合を除き、集会、言論又は信教の自由を阻害するように解釈し、又は適用してはならない。」という非常に重大なる規定がされておるのでありますが、将来共産党に対し——その他の政党に対しても同じことでありますが、この第二項なるものを十分に尊重さるることには間違いないでしようか、その点はつきりしていただきたい。
  69. 殖田俊吉

    殖田國務大臣 今のお尋ねまでもございません。十分に尊重いたしまして、公正にやりたいと思います。
  70. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 本日運輸大臣が時間の都合で遅くなるようでございますから、私の運輸大臣に対する質問は留保させていただきまして、次の機会に讓らせていただきます。
  71. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑がありませんか。——なければ本日はこの程度において散会いたします。     午後四時五十六分散会