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1950-03-30 第7回国会 衆議院 文部委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 松本 七郎君 理事 今野 武雄君    理事 小林 信一君       佐藤 重遠君    千賀 康治君       谷口善太郎君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     稻田 清助君         文部事務官         (大学学術局         長)      剱木 亨弘君  委員外出席者         議     員 赤松  勇君         議     員 山本 利壽君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 三月二十九日  六・三制補助金等に関する陳情書  (第六九五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件   請 願  一 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願(山村新治郎君紹介)(第一一号)  二 同(松井豊吉紹介)(第一二号)  三 同(金光義邦君外六名紹介)(第三七号)  四 同(田代文久紹介)(第三八号)  五 同(川島金次紹介)(第五五号)  六 同(小坂善太郎君外九名紹介)(第六三    号)  七 (同金子與重郎君外一名紹介)(第六四    号)  八 同(高木章紹介)(第六五号)  九 同(松井豊吉紹介)(第九七号) 一〇 同外二件(岩川與助紹介)(第九八号) 一一 同(吉武惠市君紹介)(第九九号) 一二 法隆寺金堂壁画写真原板保存等に関する    請願水谷昇君外一名紹介)(第一二五    号) 一三 朝鮮人学齢児童生徒教育費全額国庫負担    の請願若林義孝君外九名紹介)(第一七    六号) 一四 科学研究費増額請願根本龍太郎君紹    介)(第一九五号) 一五 六・三制経費全額国庫負担請願外二件(    竹村奈良一君外二名紹介)(第二九六号) 一六 育英資金増額請願(風早八十二君外一名    紹介)(第三一八号) 一七 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願渡部義通君外一名紹介)(第二九    五号) 一八 同(片岡伊三郎紹介)(第三二八号) 一九 同外六件(森戸辰男紹介)(第三二九    号) 二〇 同外七件(松本七郎紹介)(第三三〇    号) 二一 同外七件(受田新吉紹介)(第三三一    号) 二二 旧制高校卒業生の進学問題に関する請願(    今野武雄紹介)(第三四九号) 二三 同(渡部義通紹介)(第三五〇号) 二四 同(松谷天光光紹介)(第三五一号) 二五 教員不当休職処分取消に関する請願外二    件(今野武雄君外二名紹介)(第三八九    号) 二六 育英資金増額請願赤松勇紹介)(第    四二八号) 二七 教員待遇改善に関する請願田島ひで君    外一名紹介)(第四二九号) 二八 大学院特別研究生給與改善に関する請願    (福田昌子紹介)(第四七二号) 二九 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願田中堯平君外二名紹介)(第五〇    七号) 三〇 育英資金増額請願並木芳雄紹介)(    第五一五号) 三一 同(谷口善太郎君外一名紹介)(第五一六    号) 三二 同(米原昶君外一名紹介)(第五一七号) 三三 「婦人の日」を国民の祝日に指定請願(    戸叶里子紹介)(第五六四号) 三四 朝鮮人教育問題に関する請願砂間一良君    外二名紹介)(第五七一号) 三五 同(今野武雄君外一名紹介)(第五七二    号) 三六 旧制高校卒業生の進学問題に関する請願(    米原昶君外一名紹介)(第五七三号) 三七 同外二件(渡部義通君外二名紹介)(第五    七四号) 三八 同外二件(谷口善太郎君外一名紹介)(第    五七五号) 三九 同(土橋一吉君外二名紹介)(第五七六    号) 四〇 群書類従原版保管に関する請願岡延右ェ    門君紹介)(第五八九号) 四一 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願谷口善太郎君外一名紹介)(第六    二〇号) 四二 教育予算増額請願柄澤登志子君外二名    紹介)(第六二一号) 四三 同外一件(今野武雄君外一名紹介)(第六    二二号) 四四 同(谷口義太郎君外一名紹介)(第六二三    号) 四五 育英資金増額請願植原悦二郎紹介)    (第六三七号) 四六 芦別町の新制中学校建設費全額国庫負担の    請願柄澤登志子君外二名紹介)(第六四    五号) 四七 旧制国立大学存続期間延長請願今野武    雄君外一名紹介)(第六四七号) 四八 大学研究機関拡充に関する請願谷口善太    郎君外二名紹介)(第六五〇号) 四九 私立学校法廃止請願今野武雄君外一名    紹介)(第六五二号) 五〇 育英資金増額並びに夜間学生に対する差別    待遇是正請願松本七郎君外二名紹介)    (第六五四号) 五一 学問と思想の自由擁護に関する請願松本    七郎君外二名紹介)(第六五五号) 五二 同(谷口善太郎君外三名紹介)(第七〇一    号) 五三 早稻田大学第一学生寮確保に関する請願(    松谷天光光紹介)(第六六二号)     ―――――――――――――
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。
  3. 長野長廣

    長野委員長 請願日程を逐次議題といたします。日程四〇、群書類従原版保管に関する請願議題といたします。紹介説明を求めます。岡延右エ門君。
  4. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 本請願要旨は、検校塙保己一の四十年間の労苦によつて收集せられた群書類従は、巻数六百六十六冊、原版両面刻一万七千二百四十四枚であつて、学界における国宝的貴重物であります。この世界に誇るべき文化財を腐朽から救い、永久に保存するため、原版保管費国庫によつて補助されたいというのが請願趣旨であります。
  5. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を求めます。
  6. 剱木亨弘

    剱木政委員 群書数従原版が、貴重な文化財であることは、申し上げるまでもないことでございますが、現在のところ国宝その他法律上の指定、認定をいたしておりませず、また新たにその指定を行うということもいたしておらないのでありまして、今ただちにこれに対しまして補助金を交付することは、たいへん困難だと考えております。しかし国宝その他としてでございませんで、学術資料として補助金を交付することができないかということにつきましては、なお十分その研究をいたしましてできるだけ措置をいたしたいと思つております。     —————————————
  7. 長野長廣

    長野委員長 日程一ないし一一、一七、一八、一九、二〇、二一、二九、四一は、いずれも教育予算増額並びに定員定額制廃止に関する請願でありますので、一括して議題といたします。紹介説明を願います。今野武雄君。
  8. 今野武雄

    今野委員 この請願要旨は、新しい学制が実施されまして三年にもなるけれども地方財政の窮迫と国庫補助費の削減のために、校舎の建築は行き悩みの状態にあるとともに、他面教員定員定額制によつて教員地方実情から見て、はなはだしい不足を来しておるのにかんがみて、すみやかに教育予算を大幅に増額し、定員定額制廃止されたいというのでありますが、これは同趣旨のものが非常にたくさん参つております。それで第六臨時国会でも、またその前の第五特別国会でも、問題になつたのでありますが、今度は定員定額制ということが、義務教育費国庫負担法廃止によつて、一応今度の標準教育費確保ということに切りかえられるわけであります。しかしながた今度の予算の内容などを調べてみますと、やはり教員は今度は一・五、一・八というふうに増すとは言つておりますが、しかしながら現在の教員給與から見て、今度の標準教育費教員費用として充てられる分は非常に少くなつております。小学校で二、三百円程度平均して少くなつておる。そういうような実情から考えて、やはり十分な定員を備えることは、とても不可能であるというふうに考えられるし、あるいはまたPTAの会費その他を吸收すると言つておるけれども、その吸收も不十分であつて、一人当り月三十円程度というにとどまつております。こういうふうな状態では、やはりぐあいが思いと思われますので、この請願趣旨沿つて、六・三制の建築のことはもちろん、教員給與あるいは生徒経費その他においても、十分な国庫補助がなされるようにお願いしたいと考えておる次第であります。以上簡單に説明いたしました。
  9. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聴取いたします。
  10. 稻田清助

    稻田政委員 ただいま御紹介のお言葉にもございましたように、明年度以降におきましては、地方教育費に対しまする経常的国庫補助制度は、廃止せられるのであります。これにかわりまして、平衡交付金と関連いたしまする地方財政の新しい運営が行われるわけでございますが、文部省といたしましても、教育充実を念願いたしまして、義務教育費確保に関しまする法律を、近く国会にも提案いたしたいと考えておりますが、それと関連いたしまして、今後とも地方教育充実に努めたいとは考えております。ただ請願趣旨にありまするがごとく、国庫補助をもつて地方教育費を維持するということは、今後は考え得られないのではないかと思います。     —————————————
  11. 長野長廣

    長野委員長 次に日程一二、法隆手金堂壁画写真原板保存等に関する請願議題といたします。紹介説明を願います。水谷昇君。
  12. 水谷昇

    水谷(昇)委員 法隆寺金堂壁画原寸写真原板の作成及び保存並びに右写真及び原色版写真複製に関する請願について御説明申し上げます。この請願請願者東京都中野区城山町三十一番地中村竹四郎氏でありますが、私がかわつて説明いたします。  われらが祖先の残した世界的な文化遺産であつた法隆寺金堂壁画の昨年一月の焼失は、識者を驚倒させました。愛惜痛恨の至りであります。米国ハーヴァード大学なるフォグ博物館においては、ラングドン・ウォーナー博士の手によつて焼失の翌日ただちに法隆寺壁画写真展が催され、そこに張り出された博士の手になる解説文は、この金堂壁画をもつて優にアヤ・ソフィヤのモザイックやシスチン・チャペルの壁画に比肩すべきものと激賞していたのであります。このウォーナー博士日本美術愛好者であつて太平洋戰争のさ中に、米国将兵の理知と良識に訴えて、奈良京都を爆撃から救つた恩人であることは申すまでもありません。金堂壁画を焼いたわれわれは、ウォーナー博士に、そして世界文化人に対して何と申し開くべきか、その言葉を知らぬ次第であります。ただここ唯一の、せめてもの慰めとなりますことは、壁画原寸写真原色版写真とが撮影せられていることであります。これは昭和九年武田伍一博士法隆寺保存工事事務所長時代に、金堂壁画保存事業として、一、壁体そのままをとりはずして保存すること、二、原寸写真撮影すること、三、この写真を基礎として絵画的摸写を試みることなどの問題が研究せられました際に、一は遂に実現を見ず、三による摸写も未完成に終り、しかもそのうちの大部分は昨年壁画とともに損傷しましたが、二の原寸写真撮影だけが、完遂せられておりましたので、今日となつては、これだけが、壁画のありし日をしのぶ唯一のよすがとなつたわけであります。  この原寸写真は、京都便利堂技師佐藤浜次郎君の一方ならぬ苦心によつて作成せられたものでありますが、その際、同時に便利堂が私費をもつて壁画十二全面の原色版写真の全紙大撮影をいたしておることは、いよいよ意を強うするに足るものでありましでも焼失前の色調は、今日となつてはこれ以外にほうふつせしめるものがないのであります。前記ウォーナー博士が主宰せられました法隆寺金堂壁画展は、この原寸写真原色版写真とを展示したものでありますし、また先般来全国各地で行われております法隆寺展は、いずれもやはりこれらの写真を掲げているのであります。  これらの原版は戰時中の疎開にいささかの損壊を受けることもなく、なお完全に現存いたしております。しかしその保存状況は、決して完璧とは言いがたく、かつ御承知のごとく、もともと写真原版はある年限を経れば変質するものでありますので、この際一、原寸写真原版については、ぜひ別に一組を複写して防火防濕耐震の完全なる保存を講じ、二、同時にこの際若干組を原寸複製コロタイプ印刷)ということにして、内外の需要に応ずることとし、三、なおまた原色版写真についても若干組を製版及び複製して、焼失前の色調をしのぶ資料としたいものであります。そしてわれわれのさしあたつて希望としては、二は五十組、三月一千組作成して、内外有償無償で頒布上てはどうかと思います。われわれが世界に誇る文化遺産の伝承のために、ぜひとも以上三項の実現につき、予算の計上その他万全の措置をとられたく、別紙説明書添付の上御請願申し上げる次第であります。  なお、つけ加えて申し上げたいのでありますが、私は昨年法隆寺の燒失の実情視察いたしました。またさらに京都便利堂にも出張いたしまして、この実物を鑑賞し、その保存方法等をも視察をして参つたのでありますが、それは以上申し上げたような実情であります。上述の技師佐藤浜次郎君は、この大事業完成するには、同君の手にまつところが多大であるのでありますが、残念なことに、最近三月二十二日に脳溢血で突然死去せられました。これはまことにこの事業完成するのには残念なことでありまして、哀悼の意を表したいと思います。しかし、幸いにこの佐藤浜次郎君の令弟に佐藤辰三君というのがあつて佐藤辰三君は令兄の佐藤浜次郎君と二十七年間同じ仕事をして、修業をしておつた人であります。そのほかに二十年以上もこの佐藤浜次郎君が養成した技術者が五人もおりますので、この事業完成、成功させるのには、支障がないということを、私は確かめたのであります。こういうような状態にありまして、一日も早くこういう処置をしたいと思つてつたときに佐藤技師が突然なくなられたということでありますから、この際ぜひともこれに要する費用を計上してもらいたいと念願する次第でございます。  委員各位におかれましては、これらの点も御了察の上、この請願を御採択あらんことを切望してやみません。
  13. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聴取いたします。
  14. 剱木亨弘

    剱木政委員 法隆寺金堂壁画原寸写真原版保存及び復製に関しましての御請願でございますが、御請願の御趣旨は、文部省といたしましても、きわめて同感でございます。法隆寺壁画保存につきましては、国立博物館の二十五年度予算におきまして、壁画十二面を四百四十九万二千円計上して複製することにいたしております。またこれとは別に、やはり国立博物館の二十五年度予算におきまして二百四十万円計上して、法隆寺壁画原色写真三百組を作成する計画を立てているのであります。  法隆寺壁画保存につきましては以上のように計画を進めておりますが、しかしただいま御請願にございました昭和九年以来の保存工事事業の一つとして完成されました大小十二壁の壁画写真原色版保存等につきましては、ただいまのところ、まだ具体的な計画はいたしておりませんが、将来早急に十分研究いたしまして、適当な措置を講じて行きたいと考えております。     —————————————
  15. 長野長廣

    長野委員長 日程第一六、二六、三〇、三一、三二、四五は、いずれも育英資金増額請願でありますので、一括して議題といたします。紹介説明を願います。
  16. 今野武雄

    今野委員 この請願は多数ありますが、その中の代表的な例として東京農工大学農学部学生会代表から提出されたものについて要旨を申し上げます。  日本育英会では、学資に恵まれない学生に対して、勉学の機会を與えるために、いろいろと育英資金増額ついて非常に骨を折つているわけでありますが、この予算額は、本年度は相当増したとはいえ、なおはなはだ僅少でありまして、貸與を受けている学生全国大学、高專学生総数五十万のうち、わずかに三万六千人であります。たとえばこの請願者の行つている農工大学農学部の例でいえば、出願者三十六名中、八名だけが採用になつておるにすぎない状態であります。それで、有為の学生が貧窮のために学業をなげうつことは、非常に重大な社会問題であるから、昭和二十五年度育英資金予算として、七十一億八千四百八十万円をぜひ計上されたい、こういう請願趣旨であります。本年度予算も、すでに約十五億ときまつたわけでありましてこの請願そのもの、七十一億八千四百八十万円という金額そのものは、今年は不可能ということになつたわけでありまするが、しかしながら、この実情から見て、実際現在の予算では足りない。私紹介者としても、文部大臣に、この点について予算委員会分科会において質問いたしましたところ、これでは足りないということをお認めになり、同時に、アルバイトとか、いろいろなことで心配しておるというお話でありまするが、しかし、アルバイトにつきましては、先日も学生会館視察に参りましたところが、あそこにアルバイト相談所があつて、毎日百五十人から二百人のアルバイト希望者が押しかけて来る。ところが求人の方はそれに対して五、六名にすぎない、こういうような状態でありまして、まつた大学学生生活というものができないような状態になつておるわけであります。これに対して、文部省としてはやはり請願趣旨通り予算を画期的にふやすことをぜひともお願いしたい。大臣としては、この間の答弁の中で、経済が安定したらというお話でありましたが、しかし経済がほんとうに安定して、国民生活が順調になれば、こういうことは必要がなくなるわけでありまして、こういうときにこそ、まさに心要なのでありますから、ぜひともお願ししたい、こういうわけであります。何とぞ愼重審議の上、本委員会として御採択あらんことをお願いいたします。
  17. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 次に政府意見を聴取いたします。
  18. 剱木亨弘

    剱木政委員 御請願育英資金は、現在の予算では非常に足らぬ、増額してほしいという御趣旨につきましては、まつたく私どももその御請願の御趣旨通りの現況だということを、認めないわけには行かないと思います。昨年九億でございましたのが、本年十五億に増加いたしまして、相当人員その他につきましても、増加したのでございますけれども、なお本年度予算におきましても、この育英資金を借りましても、学資金の約半額ぐらいしか最高額がありませんので、その面から申しましても、育英資金を借りながら、相当のアルバイトをしなければならぬというような現状でございまして、私どもといたしましては、できるならばこの育英資金を借りてアルバイトをしなくて済むような状態にまで持つて行きたいと考えておるのでございます。またその数の問題につきましても、今申されましたように率からいつて非常に少いのでございますから、できるだけこれらを増加して参りたいと考えておるのでございます。しかし、一面国家財政から相当制約を受けまして、ただいまお述べになりました七十一億というような金額は、とうてい現在の状況では困難であろうかと考えます。ただ育英会がもと発足いたしましたときには、育英会資金預金部から借り入れてその利子補給国庫としていたして参つたのでございます。もしそういつたような方法が講じられますならば、国庫の方から申しますと、そんなに多くの金を出さなくても、借りた金で貸費して、それが返つて来たときにそれを返して行く。だから、国は利子補給だけをするという原則が、もし近い将来に復活するようなことができますれば、この育英会資金は相当増額することができるのじやないかと考えておりまして、そういつた面において十分研究して参りたいと思います。     —————————————
  19. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第一三、朝鮮人学齢児童生徒教育費全額国庫負担請願議題といたします。紹介議員説明を願います。
  20. 千賀康治

    千賀委員 御説明をいたします。この請願は岡山県の県会議長から出されておるのでございます。朝連が解散になりまして以来、朝鮮人小学校学齢児童は、みな公立小学校に收容いたしまして、その学費はその県が負担をすることになつたのでございますが、県の財政もすこぶる逼迫をしておりますので、なかなかこれを完遂することが不可能だという状態でございます。そこでこの朝鮮人の兒童の教育費国庫で見てくれないかという趣旨請願でございます。どうか御採択あらんことを願います。
  21. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 次に政府意見を聴取いたします。
  22. 稻田清助

    稻田政委員 この請願は十二月九日に提出受理せられておるようであります。その後におきまして、文部省におきましても、教員の俸給につきましては、定員定額補助金交付の際、また建築費につきましては、中等学校の関連におきまして補助金交付の際に見ております。その後県当局からは別段の御要求がなく、一応片づいた問題であると考えております。請願に現われておりまするように、この種の費用全額国庫で持ちますことは、今日の制度上これは不可能であると考えます。     —————————————
  23. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第一四、科学研究費増額請願議題といたします。紹介議員説明を願います。
  24. 小林信一

    小林(信)委員 この請願は、東京都千代田区二番町二、理学会連合委員長の村越という人からの請願でありまして紹介議員がおりませんから、かわつて申し上げます。  本請願要旨は、文化国家建設は国を富ませねばならぬ。国を富ますのには、切りつめた経費のもとに能率を極度にあげるよりほかに道はない。そのためには、科学的研究を完遂せねばならぬ。しかるに二十五年度においては科学研究援助費としてわずか五億円を計上するのみで、これでは一人当り平均二万円強でも毎月十数枚の写真代にしか当らない。戦前と違つて他に全然財源がないから、政府予算増額を緊急にはかられたいというのであります。何とぞ御採択を願います。
  25. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府説明を願います。
  26. 剱木亨弘

    剱木政委員 御請願趣旨につきましては、まつたく御同感でありまして文部省といたしましても、科学研究費増額については、できるだけの努力をして参つているのでございます。二十五年度予算につきましても、日本学術会議と密接に連絡をいたしまして最低限十六億八千万円という線で極力その通過に努力して参つたのでございますが、遂に財政上の都合からわずかに五億円に査定されているのでございます。しかし科学研究重要性ということは、きわめて必要でありますので、今後とも極力この増額に向いまして努力して参りたいと考えております。
  27. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第一五、六・三制経費全額国庫負担請願外二件を議題といたします。  本請願はすでに審査した請願同一趣旨でありますので、紹介説明及び政府意見を省略いたします。     —————————————
  28. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 次に日程第二二、二三、二四、第三六、三七、三八、三九は、いずれも旧制高校卒業生の進学問題に関する請願でありますから、一括して議題といたします。紹介議員説明を願います。今野君。
  29. 今野武雄

    今野委員 この請願要旨は、文部省の統計によりますと、旧制高等学校卒業生全国に約九千名以上おつて昭和二十五年度旧制大学受験者数はこれに昭和二十四年度旧制高等学校卒業生約八千名、さらに専門学校卒業生を加えて約二万名に上りますのに、採用人員はわずかに七千名にすぎない。そうすると結局一万有余の不合格者が社会的に不利な條件に落されるので、昭和二十五年度でなくなる旧制国立大学をさらに一年延長して、救済手段を講じられたい。こういうようなことなのでありまするが、これほ教育問題としてせつかく今まで鋭意学ばれて来た若い人たちのために、ぜひとも御採択をお願い申し上げます。
  30. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  31. 剱木亨弘

    剱木政委員 請願趣旨にありますように、現在白線浪人の処置というものは、非常に深刻な社会問題であると考えます。終戰後、高等学校の生徒が、以前持つておりました大学への優先入学という権利がなくなりまして、その一般の予科的な色彩がなくなりましたために当然に大学に入れないという状態になりましてしかも本年度をもちまして旧制大学はなくなつてしまうのでございまして、今申されましたように、もし普通に参りますならば一万人を越える白線浪人ができるおそれが、現在あるのでございます。そこで文部省といたしましてはもまず旧制大学の收容力を、本年度におきまして極力これを増加してもらいますことと、それから旧制大学の試験の期日を二期にわかつて、二回のチャンスを與えるという方法を講じて、ただいまその実施をいたしておるのでございます。今まだ試験が終了いたしておりませんために、何名ここに收容できたかということは、はつきり数字的には出ないのでございますけれども、各大学におきまして、相当数これを收容する、ことは、事実でございます。ただ、特に一番問題になりまするのは、理科系の各部の学生でございまして、大体文科系の各部におきましては、相当数増員もできますし、また浪人の数も少いのでありましで、本年度において大体処置が盡くと思いますが、あとにどれくらいの程度に理科系の者が残るかということが、問題でございます。そこでその実施と同時に、今あとどのくらいはいれないかという数字を調べておるのでございますが、それに合せまして、新制大学の二年生にこの定員を増加してもらいまして、四月に臨時に編入する試験を行つてもらう予定でございます。その結果相当数は消化できると思いますが、なお残りました分についての処置は、その残りました数字とにらみ合せまして、その上に対策を講じて行こうと、その対策につきましていろいろ考究いたしておるのでございますが、その数字のいかんによつて、対策を講じて行きたいと考えております。
  32. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第二五、教員不当休職処分取消に関する請願外二件を議題といたします。文書表第三八九号。紹介議員説明を求めます。今野武雄君。
  33. 今野武雄

    今野委員 本請願と同趣旨のものが、たくさん参つているのでありますが、この神奈川県三浦郡葉山町下山口万福寺内、江崎慧子という教員から出された分について、御説明申し上げます。  本請願要旨は、請願者昭和二十四年の十一月二十二日付で神奈川県教育委員会から、地方自治法附則第五條により、官吏分限令第十一條第一項第四号該当者として休職を命ぜられたのでありますが、本人は職務に忠実であり、性格行動においても、教職員として何ら欠陥がなく、また反民主的思想の所有者でもないものが、理由を明示されずにかかる処分をされたことは、不当な処分であり、生活権を脅かすものであるから、休職処分を取消されたい、こういうことなのでありますが、参考のために本人が書いた請願の中の一部を読ませていただきます。  「私は現在まで、職務に対する責任感が薄く、任務遂行の熱意を欠くような行動のなかつたことは、今回の処分に対して、受持兒童及び父兄が、とりあへずその理由の明示を校長に追つたことによつても証明されると思います。  兒童の学習活動は、日に日に成長し、入学以来口をきかない兒童まで、はつきりと発表するようになり私の授業を参観した葉山小学校教官が「級全体の子供たちが少しも萎縮していない」との評の中にも、私の仕事に対する能率が低くないということが言えると思います。  兒童の直接的な教育指導のほか、他教官との交わりにおいても何の障害も起ることなく、あらゆる教育活動に積極的に参加し、常に協調的な態度を保して来ました。これは葉山小学校多数の教官の認めるところです。  また私の性格行動が教職員として適当でないということは、今回の処分に対し、受持兒童の多数が、ごはんも食べず眠れなかつたとさえ訴え、積極的に「江崎先生はよい先生だからやめさせないもください」という署名運動を起し、また十一月二十四日の父兄会のときに、私の受持になつてから、よい子になつたという父兄の声が多数であつたことからも、簡單にくつがえされます。  また私が極端な反民主的思想を持ち、児童に影響があるということに対してはも十二月三日付読売新聞紙上での鈴木校長の「校内でそうした行動は見られなかつたし、まじめに勤務していた」という談話の中からも、私が反民主的思想を持ち、児童に影響があつたということは言えません。  校長が今回の休職処分に該当する事実を言わないことは不当であり、そのためいかなる事柄から休職に該当するか不明ですが、他の職員に比べて、私に休職を命ぜられる理由が、どこにも見当りません」云々とあるのでありますが、とかくこのようないい先生が処分されるということは、教育の発展の上にとつても、また直接には子供たちや父兄にとつても、非常に残念なことでもあり、困つたことであるわけであります。こういうことについて、もつと理由をはつきりして、もし不当ならば、こういう処分は取消していただきたい、こういうことなのであります。何とぞ愼重審議の上採択あらんことをお願い申し上げます。  ただこの際ちよつと紹介者として申し上げたいのでありますが、このことは神奈川県の教育委員会に関することであり、従つて教育委員会意見も聞かなければなるまいと思うのであります。ほかの請願もあるようでありますから、他日そのことが行われて、愼重審議がなされることを希望いたします。
  34. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府委員意見を徴します。
  35. 稻田清助

    稻田政委員 地方公務員であります教育職員の任免は、教育委員会の権限に属しております。もしその処分を不当だと考えまする場合におきましては、本人に対しましては、法律によつて審査請求をなすことの救済方法が設けられておるのでございます。これら任免及び審査は、いずれも地方団体の行政機関の権限でございまして、これに対しましては、この請願に休職処分を取消してもらいたいという要求がございますけれども政府におきましては、何らの権限を持つていないのでありますから、いかんとも政府におきましては方法がないのでございます。
  36. 今野武雄

    今野委員 これはやはり教育行政に関することだと思います。本人個人の問題ではありまするが、同種の問題がたくさんありまして、教育行政の問題である。かつ文部委員会としては、教育委員会に関することは、やはりやることになつておりますから、文部省としてはできないわけでありまするが、文部委員会としては、やはりこれを取上げて審議していただきたい、こういうように考える次第であります。     —————————————
  37. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第二七、教員待遇改善に関する請願、文書表第四二九号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  38. 今野武雄

    今野委員 これも毎度出た請願でありますが、この請願は名古屋市東区裏筒井町一丁目二十六番地伊藤一夫外八百五名から提出されたものであります。紹介議員がおりませんから、私がかわつて説明申し上げます。  この要旨は、私立学校の教職員は、現在の收入があまりにも低額のため、教職員としての責任と義務の遂行はおろか、日常の生活さえ困難である。ついては左記事項の実施によつて教員待遇改善をはかられたいというのであります。  その左記事項というのは、第一には、賃金ベース平均九千七百円を支給していただきたい。第二には、人事院勧告による七千八百円ベースを十二月から支給、交通費を全額国庫負担していただきたい。三も越年資金一・五箇月分を支給していただきたい。四、級別号俸の頭打ちを是正していただきたい。五、勤労所得税の基礎控除を六千三百円べースに改訂して、それに応じて基礎控除を直していただきたい、そうしてそれを昭和二十四年から実施していただきたい。六、共済組合家族診療費を全額国庫負担にしていただきたい、こういうことであります。  これで見まするとも私立学校の教職員でありますから、直接に公立学校のように、今までももまた今後も、補助とかいろいろなものは関係ないようでありまするが、しかし実情は皆さんも御承知の通り東京においても、どこにおいてもそうでありますが、同じ大学あるいは中学と言われましても、私立の場合には、教員の待遇がおそろしく悪い。そうして教員は、いろいろな内職をして、ようやくその償いをつけておるというのが従来からのありさまであつたわけであります。従つてこういうような請願も出て来るわけでありまするので、何とかこういう私立学校の教員の生活を安定し、そうして安心して教育活動ができるようになるために何とかするという意味において、この請願をぜひ取上げていただきたい、そうして御採択願いたいとお願いする次第であります。
  39. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  40. 稻田清助

    稻田政委員 私立学校の教職員の待遇を充実向上したいという請願趣旨につきましては、十分ごもつともであると考えられるのでありますけれども、この請願にありますごとく、私立学校教職員の俸給その他経営的経費を、全額国庫負担いたしまするということは、私立学校の本質その他から考えまして、これは不可能なことであると考えております。     —————————————
  41. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第二八、大学院特別研究生給與改善に関する請願、文書表第四七二号を議題といたします。紹介議員説明を願います。
  42. 松本七郎

    松本(七)委員 本請願は、福岡市の九州大学大学院におります中村正夫君外九十五名からのものであります。紹介議員がおりませんから、かわつて請願要旨を申し上げます。  九州大学の教職員組合連合会は、給與ベース改訂と越年資金一万円の支給方を、学長を通じて関係各方面に請願中でありますが、大学院特別研究生も、その経済的窮迫はまつたく同じであります。そこで教職員の給與ベース及び越年資金に準じて、特別研究生にもぜひ自動的に同額同時に支給されたいというのであります。何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。
  43. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  44. 剱木亨弘

    剱木政委員 大学院特別、研究生の創設当時におきましては、大体生活に支障のないような学資金給與するということで出発したのでございますが、その後経済情勢の変動に伴いまして、次第に一般給與との間に均衡がとれなくなつて参りまして、現在では非常に困つておることは事実でございます。ただこの制度につきましては、相当根本的に研究をする必要があります。なおそれはあくまで学生でありますので、給與と同じ待遇をするということは、非常に困難な事情がございますので、今年度におきましては、大学院特別研究生は、全部育英会の貸費を受けるということに切りかえたのでございます。なお従来は、大学院特別研究生に対しましては、専心研究をするということを條件にいたしまして、副職等を禁止いたしておつたのでございますが、最近の経済情勢にかんがみまして、何らかのアルバイトをしなければならぬという状態でございますので、その副職の禁止も解きまして、一般の貸費生と同じような取扱いをするようにいたしたのでございます。ただ将来の問題といたしましては、これをどういたしますかは、相当重要な問題でありますので、十分考究して参りたいと思います。     —————————————
  45. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第三三、「婦人の日」を国民の税目に指定請願、文書表第五六四号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  46. 松本七郎

    松本(七)委員 紹介議員にかわつて、私より説明申し上げます。  本請願要旨は、四月十日は、日本婦人が初めて参政権を得た歴史的記念日でございまして、この日こそ新憲法下に婦人が基本的人権を認められた意義深い日であるということから、この日をぜひ「婦人の日」として、祝祭日に指定されたいというのであります。何とぞ御採択をお願いいたします。
  47. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 この祝祭日については、国会で決定をしたのでありますので、政府委員の答弁を求めることは妥当でないと思います。委員会で審議することにしたらどうですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 それではさよういたします。     —————————————
  49. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 次に日程第三四、第三五は、いずれも朝鮮人教育問題に関する請願でありますので、一括して議題といたします。紹介議員説明を求めます。今野武雄君。
  50. 今野武雄

    今野委員 この請願要旨は、在日朝鮮人は、その子弟を自分の国の民族語で教育するために、朝鮮人学校を経営したのであるが、昨年の秋に閉鎖されたわけです。そして閉鎖後これらの子弟は、地域別に各学区内の日本人小学校に入学させられまして、事実上民族教育をする機会を失つておる。日本においては六・三制教育すら完全に実施できない現状で、さらに朝鮮人子弟をも収容することは、両民族児童の教育を破壊するものである。ついては従来の通り私立学校として認めるか、あるいは公立学校またはその分校として、今までの朝鮮人学校の教職員と教科書を使用して、民族教育の自主性を生かすようにとりはかられたい、こういう趣旨であります。  紹介者として一言申し上げますが、朝鮮人学校の問題については、第五国会においても、私自身紹介者としていろいろと皆さん方の御審議を願つたわけでございますけれども、ともかく日本の国内におる少数民族である朝鮮人諸君が、戰後独立を得たという喜び、それを実際に自分の子供たちをりつぱな国民に育て上げたいという形で表わして、何よりも教育のことに力を盡して参つたわけであります。しかし、不幸にして昨年の秋のようなことになつたのでありますが、なおかつ朝鮮の人たちはその希望を拾てないで、いろいろと努力しておるわけであります。このことを、日本の国民としても何とか寛大な気持で認めて、ぜひともあの人たちに民族教育をやる機会を與えるようにしていただきたいと考える次第でございます。何とぞ愼重審議の上、御採択あらんことをお願い申し上げます。
  51. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  52. 稻田清助

    稻田政委員 朝鮮人学校閉鎖の経緯につきましては、当文部委員会におかれても、極力御検討をいただいておりますので、いまさらこれを繰返す必要はないかと考えております。この請願にあります私立学校を認めてもらいたいという点につきましては、成規の手続を経まして、健全な私立学校が成立いたします道は開かれておるのでございます。また公立学校におきまして、民族教育の自主性を生かせという趣旨につきましては、御承知のように科外の教育といたしまして、朝鮮語あるいは特殊の朝鮮に関する教育を與える道は開いておるのでございます。政府といたしましては、今日のこの方法を継続いたしまして、十分その充実を期して参りたいと考えております。     —————————————
  53. 水谷昇

    水谷昇委員長代理 日程第四二、第四三、第四四はいずれも教育予算増額請願でありますので、一括して議題といたします。紹介議員説明を求めます。今野武雄君。
  54. 今野武雄

    今野委員 この問題は、先ほども定員定額制の問題とからんで、同趣旨請願がありましたが、その代表として北海道労働組合会議長山田長吉氏外十五名が提出しましたものについて、御説明申し上げます。  この要旨は、現在の新学制は予算額が少ないため、教員、教室の不足等により、その実施の上に多大の支障を来している。今まで曲りなりにも継続して来られたのは、地方財政とPTA会等の寄附命に依存していたからであるか、もはや地方財政の困窮と大衆生活の貧困は、これを不可能としている。ついては、教育の危機を打開するため、校舎建築費、義務教育費国庫負担金、定時制高校補助金等の補正予算を計上増額されたい、こういう趣旨であります。  いまさら説明するまでもなく、先ほども申し上げたのでありますが、ここに特にうたつてある地方財政の困窮と大衆生活の貧困は、もはや寄付を許さないような状態になつて来ておる、このことは、今回の税制改革にあたつて地方税の改正をやつておるはずであります。しかしながら、漏れ聞くところの予算をもつてしては、とても強制寄付をやめるわけには行かない状態であります。こういう点についても、当委員会として一層の努力をして、税制改革のほんとうの意味にも徹するし、今度は今の地方財政や大衆の生活の状態にも即応してそういうものはなくせるような予算を。これからでも何とかして牛み出すように努めていただきたい、こういうふうに私見を申し述べる次第であります。何とぞそういう趣旨において御採択あらんことを、お願い申し上げます。
  55. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  56. 稻田清助

    稻田政委員 地方教育充実するというこの請願の御趣旨は、まつた同感でございます。校舎建築費につきましては、すでに相当額の予算も計上せられておりますし、また経営費に対しましては、近く標準義務教育費確保に関します法律案の上程を計画いたしております。それらのことを契機といたしまして、今後ますますこの教育費充実に努力をいたしたいと考えます。     —————————————
  57. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第四六、芦別町の新制中学校建設費全額国庫負担請願議題といたします。紹介議員説明を願います。今野君。
  58. 今野武雄

    今野委員 本請願は、芦別町字芦別というところに設立いたしました新制中学校の建設に対する敷地二万町の地代及び離作料見舞金九十万円を、全額国旗負担にしていただきたいということなのであります。  事柄が少し複雑なようなので、請願者請願理由をちよつと読ませていただきます。  中学校建設に対し、校舎は補助金いわゆる国庫負担金の支出を受けるため、早急に設立したので、これが敷地に対する策は、後日解決するとの理由で、中西大次郎氏所有地一町五反、小塚源一郎氏所有地五反を敷地として提供されたものでありますが、これが地代及び離作に対する補償は早急にしなければならないという理由で、約千余戸の父兄の寄付によつてそれをやるということが、PTA会上、提案されたのであります。ところが、翻つてこの寄付金を父兄の一人当割にいたしますと、約七百五十円という支出になります。現在私たち町民は越冬準備のために、骨肉を削る支出をしております。現在越冬用石炭を買う者はほとんどなく、つけものをつけられずに苦しんでおる者か、町民の約三〇%に上つておる。加えて各種税金の納期にもなつて、商売も今や破産の寸前になつておる。勤労者としても、賃金が低いため、どうにもならず、子供の教育も放棄しなければならないと考えておるわけでありますから、教育費全額国庫負担にしてくれ、こういう声も出ておる。それで今の地主、土地を提供した人に対する分は、何とか国家でめんどうをみてくれ、こういうことなのであります。  北海道の寒村の非常に苦しんでおる人たちが、教育のために、本来なら喜はなければならないのに、こういう苦しい境地に陷つているという実例が、こういうところに出ておるのであります。何とぞ愼重審議の上、御採択あらんことを望みます。
  59. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  60. 稻田清助

    稻田政委員 請願に掲げております学校に関して、土地の方々が非常に苦心しておられることは、察せられるのでありますが、すでにこの学校に関連いたしましては竹九十八万円の国庫補助金を、建築費として交付いたしております。請願にありますように、離作見舞金でありますとか、地代であるとかいうような特殊な費目に対しまして、国庫補助をするあるいは請願になつている全額国庫負担を持つてまかなうというようなことは、今日の法律及び予算の性質上、これは不可能であると考えます。     —————————————
  61. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第四七旧制国立大学存続期間延長請願、文書表第六四七号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。今野武雄君。
  62. 今野武雄

    今野委員 これは先ほどの旧制高等学校卒業生の進学問題に関する請願と同一の趣旨のものでありまして、先ほどもいろいろと政府当局の御説明を聞いたわけでありますが、先ほどのとまつた同一趣旨のものでありますから、ぜひとも一緒に御採択あらんことを望みます。
  63. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 それでは、これはこの程度にしておきます。     —————————————
  64. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第四八、大学研究機関拡充に関する請願、文書表第六五〇号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。谷口善太郎君。
  65. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは京都市左京区吉田、京都大学職員組合の松井清氏からの請願でありますが、請願要旨でこういうふうに言つております。  文化国家建設は、日本の重要な任務であるにもかかわらず、文教に対する実質的配慮が、ほとんどなされていない、大学研究機関は、従来も荒廃せる研究設備、乏しい研究費で耐乏生活を続けて来たが、国立学校設置法や現在の予算のもとでは、辛うじて続けて来た研究教育も不可能になつた。文教の飛躍的振興のため、大学研究機関の急速な拡充と研究者の生活の安定とを講ぜられたい、こういうふうな請願でございます。  この文部委員会で、いつか私、大学研究機関及び研究者の生活の状況につきまして、荒廃の有様を申し上げたと思いますが、非常にさんたんたる状況でありまして、このままで行けば、日本の科学研究あるいは学問というものは、ほとんどゼロにひとしい状態になるおそれがある。この際思い切つてこういう研究機関に対する財政的な措置を講ずることが、絶対必要なことと申し上げたことがあります。大学に仕事をしておられる教職員の諸君は、現実に毎日荒廃した中で闘つておるわけであります。この職員組合の松井氏は、もちろん京都大学のことだけを言つておるのじやないのでありまして全体の大学研究状況研究機関の荒廃の状況について何とか早く文化国家としての手を打つてもらいたいということを望んでおられると思います。これはおそらく本委員会全体の意思もまたそこにあると考えられますことは、御承知の通り、科学振興に関する決議を本委員会が出しておることに徴しましても、わかるのであります。どうかそういう点から、すでに予算が通つてしまつたあとだからというようなことを言わないで、国家百年の大計という意味で、至急に荒廃せる大学研究機関の状況及び研究者の生活について、何らかの手を打つという意味で、本請願を御採択願いたいと思うのであります。
  66. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  67. 剱木亨弘

    剱木政委員 大学に付置いたしております研究所の研究費が非常に少くて、なおこれに従事されております研究者が非常に困難をされておりますことは、まつたく御請願の中にあります通りでございます。まず研究機関の経費増額につきましては、できるだけ努力して参つたのでございまして、二十四年度におきましては四億五千万円でございましたが、今年度はこれを六億三千八百万円に増額いたしたのでございます。もちろんこれで十分とは申せませんけれども、漸次この経費増額に努力して参りたいと考えております。  なお研究者の待遇の問題につきましては、一般公務員と同じような待遇になつておりますけれども日本学術会議その他におきましても、研究者に対する特別の給與という問題が研究されておりますし、文部省といたしましても、人事院等とも目下いろいろ打合せを行つておるのでございまして、その向上に向つて努力して参りたいと思つております。     —————————————
  68. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第四九、私立学校法廃止請願。文書表第六五二号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。今野武雄君。
  69. 今野武雄

    今野委員 この請願は早稻田大学学生自治会を代表して、堀越稔君から出ておるものであります。  この請願要旨は、第六国会を通過成立した私立学校法、戰災によつて被害を受けた私学に対して、国庫補助金貸付を行うにあたり、官僚統制を強化して、私学を崩壊の危機に追い込む悪法である。すなわち今回の補正予算で計上されたわずか一億二千四百八十万円、全国四千の私学に割り当てると、一校平均三万円にすぎず、しかも四箇年にわたつて三期にわけて貸し付け、担保を要し、利子を拂う等、数々の條件が必要とされている。ついては、早稲田大学自治会は、同法の不必要を確認するから、同法を全面的に廃止されたい、こういう趣旨であります。  紹介議員としては、臨時国会において、本案の成立に対して反対したわけでありまするが、ともかく現在私学の崩壊を食いとめるために、あの私立学校法というものが何ら役に立たないものである。それでもつともつとこれに対しては強力な、そして懇切な措置を講じなければならないだろうということを考えておるわけであります。それでやはりこの廃止という意味も、決して軍に廃止してどうしろ、廃止してそれでおしまいというわけでなくて、その江にさらに強力な措置をやるために廃止しろ、そうして特に官僚統制を強化することはやめてもらいたい、こういう趣旨なのであります。何とぞ御採択あらんことをお願いします。
  70. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  71. 稻田清助

    稻田政委員 私立学校法は、政府においてもその制定の緊要、切実なことを考えまして、前回の国会に提案いたしました。国会におきましても、愼重に御審議の結果、最近成立いたしました法律でありまして、政府におきましてはこれを廃止する意向はまつたく持つていないのであります。     —————————————
  72. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第五〇、育英資金増額並びに夜間学生に対する差別待遇是正請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。松本七郎君。
  73. 松本七郎

    松本(七)委員 本請願は早稻田大学の自治会の堀越稔君から出ております。  本請願要旨を申し上げますと、現在の経済的な危機の影響が全国大学高專の約五十万の学生の生活にも及びまして、育英資金に対する希望著がどんどんと増加しておりますが、昭和二十四年度追加予算に、二億四千万円獲得しようという運動が、全面的に否決されてしまいました。ところが昭和二十五年度予算としては、この際ぜひ七十一億八千万円の育英資金実現されたいというのが、育英資金に関するところの請願要旨であります。これは先ほどの議題になりました請願と同一の趣旨でございますが、それからもう一つここに夜間学生に対する差別待遇の是正について申し述べますと、育英資金その他全般的に夜間学生は差別待遇を受けておる。ところが向学心に燃え、しかも教育研究の機会を奪われておる夜間学生実情にかんがみて、いやしくも差別待遇をするようなことは絶対に廃止ざれたいというのであります。何とぞ夜間学生の窮状を推察くださいまして御採択あらんことをお願い申し上げます。
  74. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  75. 剱木亨弘

    剱木政委員 前半につきましては、この前の請願のときに申し上げましたから、省略させていただきますが、育英資金夜間学生に貸與するについて、差別待遇を是正せよという請願の御趣旨たと思います。育英会の金をどのようにして貸費するかということは、これはいろいろ研究をいたしておるのでございまして、御説の通り、当初におきましては、夜間学生に対しまして貸費することについては、相当消極的な考え方が強うございましたが、最近におきましては、必ずしも一定の職業を持つて、夜間の学校に行つておるという者だけではない、十分なる学資金を、晝働いて收入を得て、それから夜間に行くという者ばかりではないのでございますから、この点にかんがみまして、十分考慮して行こうという方向に向つておるのでございます。     —————————————
  76. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第五一、第五二は、いずれも学問と思想の自由擁護に関する請願でありますので、一括して議題といたします。紹介議員説明を求めます。松本七郎君。
  77. 松本七郎

    松本(七)委員 この請願は、早稲田大学学生自治会の堀越稔君から提出されております。  この請願要旨を御説明申し上げますると、学問思想の自由は、憲法に保障された基本的人権でありまして、これは公務員たると教職員たらないとを問わず、この権利は何ら侵害さるべきでないことは明らかであります。しかるに、正しい学問の発展のために研究活動に従事して、数々の非民生的な機構を是正しようということに努力を続けておる人々の多くが、教職員とて不適格であるというような、きわめして不明瞭な理由によつて、あるいは特定政党に所属しておるという理由によつて、人事院規則あるいは公務員法、定員法、こういつたものを悪用することによつて、続々と一方的に解職されておるというような状態は理解ができない。さきに文部大臣が、政党加入は不適格の理由にはならないということを明言されたにもかかわらず、再びその説を翻して、共産党に加入しておるこすれば特殊な問題であり、不適格と認められるというようなことを述べられております。これでは、共産党員教授の追放の意図があるかのように見受けられるのであります。現に共産党は、合法的に認められておる政党である。これを暴力的団体であると断じて、これへの加入を追放の理由とするというようなことは、まつたく独断的な措置である。この点から学問の自由を侵害することになると思うのであります。しかもかかる措置が、単に共産党員教授の追放にとどまらないで、すべての自由主義者あるいは民主主義教育者の学園よりの抹殺に及ぶということは、これは過去の歴史を顧みるまでもなく明らかであるから、現実にそういう方向に進みつつあるということをわれわれは危惧する。現に日本学術会議全国大学教授連合、大学法対策全国協議会等は、かかる措置に絶対に反対する請願を発表しておりますし、また最近アメリカにおきましても、ニューヨーク州の最高裁判所が、破壊的教員追放を規定したフアインベルグ法が、米国憲法違反なりという判決を下しておることも、このわれわれの、主張を裏書するものであると考えられる。われわれ全日本の学生から言うならば、基本的人権としての学問の自由の擁護のために、かかる違憲的措置には、絶対に反対しなければならぬ。各位が思想、学問の自由に関して深く意を用いて、特に次の諸点に関して適正なる処置をとられんことを請願するというのでありますが、第一は、一切の教職員の政党団体加入の自由に関する明確る保障を與えられたい。第二には、人事院規則を即時撤廃してもらいたい。第三に往教育基本法の第八條第二項の一方的解釈及び改悪をしないでほしい。第四には、国家公務員法、教育公務員特例法、教育職員免許法、定員法、こういつた法律の一方的解釈及び改悪をしないでほしい。以上が請願要旨であります。何とぞ御採択をお願いする次第であります。
  78. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  79. 剱木亨弘

    剱木政委員 ただいまの御趣旨の中にございます文部大臣の言われたということにつきましては、私その通りに言われたかどうか存じ上げておりませんので、その点については、ここで私から答えることはできないと思います。ただ、今御請願にございました政党加入の自由ということは、これは当然に日本国民として保障されておる問題であると思います。それから人事院規則の改正につきましては、これは文部省といたしましては、何ともお答えのできない問題だと思います。それから第八條の一方的解釈とか、あるいは教育免許法その他の一方的解釈はいけないということでございますが、もちろん法の解釈につきましてはいろいろ解釈が行われる問題だと思いますが、しかしその解釈が正しいかどうかは、窮極におきましては、裁判所において判定さるべきものでありまして、やはりこの法の解釈につきましては、その持ちます良識に従つて、そのおのおのによつて解釈するより、しかたがないかと思います。なお免許法その他の改悪はいけないというような御請願趣旨でございますけれども、改悪でなくして、法律できめましたことでも、相当必要なことがあればやはり改悪という方向に向つては、将来とも法律もまた改正さるべきだと考えます。以上であります。     —————————————
  80. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 日程第五三、早稲田大学第一学生寮確保に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  81. 小林信一

    小林(信)委員 これの請願者は、東京都北多摩郡保谷町保谷、早稲田大学第一学生寮の胡谷増生という人からの請願でありますが、紹介議員がおりませんから、かわつて申し上げます。  本請願は、早稲田大学の問題でありますが、最近学生が住居を見つけるにつきましては、非常に困難を来しておるのであります。これに対して当局の積極的なあつせんが、非常に遺憾な状態にあるのでありまして、ことに最近地方税法の改正というようなことが考えられて、そのため家賃等も増大される点からして、学生はいよいよ住居には困つておる状態であります。しかも教育の機会均等の意味からして、貧困の学生には相当考慮されなければならぬのでありますが、この人たちの窮状は実に悲惨なものがあります。私たち先日学生会館に参りまして、その状況をつぶさに視察したのでありますが、單に住居をあてがうばかりでなくて、これに対して政府の理解からしても、もつと現状等につきましても、十分勉強ができるような施設がわれわれはほしかつたのであります。さらにこういう早稻田大学の現状等から考えましで、最低限度住むところを確保する点につきまして、もつと十分な努力がほしいのであります。この請願は、現在早稲田大学は富士産業株式会社から四つの寮を借り受けておりますが、中でも第一学生寮はも戰前から同校学生を収容しておつたのであります。今度富士産業武蔵工場が、資産整理を理由に学校側にこの寮の買取りを交渉しておりまして、学校財政上これを放棄しなければならないことになりまして、退寮準備を進めております。現在の困難な学生生活の中で、かつ入寮希望者が殺到しておりますときに、この措置学生を学校から追い出すことになるのであります。ついては、早稲田大学当局が第一学生寮を確保し得るよう、何らかの財政措置を講ぜられたいというのが要旨であります。愼重審議の上、御採択願いたいと思います。
  82. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 政府意見を求めます。
  83. 剱木亨弘

    剱木政委員 早稲田大学学生寮の問題でございますが、請願にございますように四寮を富士産業から借り受けておりましたのが、その第一学生寮が、やはり値段の関係で、学校当局はどうしても買えない、三寮だけしか買えないという状況になつておるのは事実でございまして、やむを得ず学校当局としては、第一学生寮におりました学生を他の三学生寮に全部移して行くというよりほかにないような状態でございます。学生の宿舎の問題は、現在の状況におきましては、非常に困難な問題でございますし、これが財政措置ということも、できるだけいたしたいとは考えるのでございますけれども、今度の予算に計上しております私立学校への貸付金は、大体戰災復旧費としての貸付金でございまして、こういつたような寮の買収費というものを含んでいませんので、今の予算の範囲におきましては、何とも手がつけられない問題でございます。
  84. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 本日はこの程度で散会いたしまして、次会は四月一日午前十時より開会いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 水谷昇

    水谷(昇)委員長代理 御異議がなければさように決します。  これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会