運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-03-28 第7回国会 衆議院 文部委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十八日(火曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 若林 義孝君 理事 今野 武雄君    理事 小林 信一君       木村 公平君    佐藤 重遠君       千賀 康治君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         文部事務官         (大学学術局         長)      剱木 亨弘君         文部事務官         (調査普及局         長)      辻田  力君  委員外出席者        專  門  員 横田重左衞門君 三月二十七日  委員淺香忠雄君及び圓谷光衞辞任につき、そ  の補欠として水田三喜男君及び丹羽彪吉君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員丹羽彪吉君及び水田三喜男辞任につき、  その補欠として圓谷光衞君及び淺香忠雄君が議  長の指名委員に選任された。 同日  圓谷光衞君が理事補欠当選した。     ————————————— 三月二十七日  標準教育費法制定に関する請願北澤直吉君紹  介)(第一八五七号)  同(圓谷光衞紹介)(第一九五八号)  同(圓谷光衞君外六名紹介)(第一九八〇号)  玉泉寺を史蹟に指定の請願畠山鶴吉紹介)  (第一八九六号)  ラフカデオ・ハーン生誕百年記念事業に関する  請願山本利壽君外四名紹介)(第一九四七  号)  教育職員免許法施行法の一部改正に関する請願  (受田新吉紹介)(第一九五七号)  国民の祝日中に「敬老の日」設定の請願(受田  新吉君紹介)(第一九五九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  教育委員会法の一部を改正する法律案内閣提  出第九九号)  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第八〇号)  教育行政に関する件     —————————————
  2. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 これより会議を開きます。   日程を追加し、理事補欠選任の件を議題とするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  委員圏谷光衞君が去る二十七日委員辞任のため、理事欠員となつておりますので、この際補欠選任を行いたいと存じます。理事選挙は、その手続を省略し、先例により私より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 御異議なしと認めます。それでは圓谷光衞君を理事指名いたします。     —————————————
  5. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 次に教育委員会法の一部を改正する法律案議題といたします。   この際申し上げます。本法案に対する修正案が、水谷昇君より提出せられておりますので、説明を求めます。水谷昇君。
  6. 水谷昇

    水谷(昇)委員 まず修正案文を朗読いたします。       教育委員会法の一部を改正する法律案に対する修正案     教育委員会法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。     第八條、第十五條、第十六條、第二十一條・第二十七條及び第二十八條   の改正部分を削り、第二十九條の改正部分中「に改め、」の次に『「地方自治法」の下に「(昭和二十二年法律第六十七号)」を加え、』を加える。  さきに本院におきまして、三月十四日の本会議公職選挙法案可決参議院に送付いたしたのでありますが、同法によりますと、教育委員会委員選挙は、従来教育委員会法において規定いたしたものを、今後はすべて公職選挙法規定に基いて行うこととなり、同法と同時に可決参議院に送付いたしました公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案の第四條において、教育委員会法選挙に関する部分を削除または改正いたしておるのであります。ところが、ただいま提出されております教育委員会法の一部を改正する法律案は、公職選挙法とは一応無関係提出されましたため、ただいま述べました公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案と競合する部分が生じてきたのであります。そこで同法と、本改正案との関係を技術的に調整するため、本改正案の一部を修正する必要があるのであります。すなわちまず第八條改正部分につきましては、公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案におきまして、第八條改正いたしておりますので、本改正法案による改正は不必要となりましたので、同條の改正部分は削除いたすことになつたのであります。次に第十一條から第二十五條まで及び第二十七條並びに第二十八條は、公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案で削除することとなつておりますので、本改正法案中第十五條、第十六條、第二十一條、第二十七條及び第二十八條改正部分は不必要となりますので、削除いたしたのであります。   また教育委員会法第二十一條には、地方自治法法律番号が註記してあつたのでありますが、公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案におきまして同條が削除されますので、地方自治法は第二十九條に初めて引用されますので、第二十九條第二項の「地方自治法の」下に(昭和二十二年法律第六十七号)」という法律番号を追加いたすことといたしたのであります。  どうぞ各位の御賛成を願いたいと思います。     〔岡(延)委員長代理退席委員長着   席〕
  7. 長野長廣

    長野委員長 御質疑があればこれを許します。——ほかに御質疑もないようでありますから、質疑はこれにて終了するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑はこれにて終了いたしました。   これより修正案原案とを一括して討論に入ります。今野武雄君。
  9. 今野武雄

    今野委員 教育委員会の問題については、実施以来まだ幾ばくも経ていないので、いろいろなれない点があるわけでございますが、その実情を見まするに、教育委員そのものがロボット化されてあるというのが、一般の見るところであります。事実、教育委員会という機構そのものが非常に複雑でありまして、行政権を持つ組織の長官でありながら、それが五人または七人に分割されている。しかも全体としてでなければ、権限が行えないということになつておりますので、そのために一人一人の委員活動が極度に制限されて、事実上何らの実権を持つことができない。それに反して、事実上その下で働くべき教育教育委員会事務のすべてを総括するというようなことになり、従つてこの教育長を通じて教育民主化をはかるべき教育委員会が、かえつて教育民主化をはばみ、また官僚化するというようなことになつて来ているわけであります。そういう事実が、たとえば昨年来の教員整理というような問題で、しばしば現われて参りまして、そうして教育委員会の名において、実は教育長が専断でもつて教員の首を切つた。しかもその首の切り方を見ていると、政治活動の自由とか、思想の自由、こういうようなものを事実上認めないような結果になつておる。こういうことは、やはり教育委員会そのもの運営に、大きな欠陷があることを示すものであります。事実教育委員会がロボット化しないで、相当自主性を持つておるところでは、たとえば千葉県のごときは、教員整理日本の国以外の勢力によつて強要されることがあつても、自主的に判断して、なかなかそれに応じないということも事実出て来ておるわけであります。そういうわけでありますから、このように教育委員会法改正が行われるならば、教育長権限を制限して、教育委員会独自性を増すという方向に改正が行われなければならぬはずでありますのに、そうではなくて、今度の改正案においては、かえつて教育委員各自の行動は嚴密に制限され、教育長権限はつきりするというよりは、むしろ全体のいろいろな権限を委譲してもらつて、全権を握れるようになつておる。これでは教育民主化ということは、とうてい行えないと考えるわけであります。  以上の理由でもつて、私は今度の改正は、教育民主化に逆行するような、そして日本教育自主性を阻害する措置であると考えまして、反対するわけであります。
  10. 長野長廣

    長野委員長 これにて討論は終局しました。  これより採決いたします。まず水谷昇提出修正案について採決をいたします。賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 長野長廣

    長野委員長 起立多数。よつて水谷提出修正案可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正案修正部分を除く原案について採決いたします。賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 長野長廣

    長野委員長 起立多数。よつて原案は修正議決せられました。  なお報告書提出につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 長野長廣

    長野委員長 それではさよう決定いたしました。     —————————————
  14. 長野長廣

    長野委員長 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際申し上げます。本法案に対する修正案が、高木章君より提出せられておりますので、説明を求めます。高木君。
  15. 高木章

    高木(章)委員 国立学校設置法の一部を改正する法律案について、修正いたしたいと思いまして、諸君の手元にお配りいたしましたような内容の修正案を、自由党を代表いたしまして提出いたしました。  まず修案正を朗読いたします。    国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する修正案   国立学校設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第十五項の改正部分を次のように改める。   附則第十五項を削り、附則第十一項の次に次の二項を加える。  12 第四章に規定する国立各種学校は、東京教育大学に附置されて昭和二十六年三月三十一日まで存続するものとし、当該各種学校に置かれる職員定員は、東京教育大学職員定員に含まれるものとする。  13 昭和二十五年三月三十一日現在において、東京水産大学又は商船大学職員である者は、別に辞令を発せられないときは、昭和二十五年四月一日に文部大臣によつて、それぞれ同一職務の級及び俸給の号をもつて当該大学に置かれる相当官職任命されたものとする。  次に提案理由を御説明いたします。すなわち修正案附則第十三項につきましては、従来は東京水産大学及び商船大学は、国立学校設置法附則第十一項におきまして、本年三月三十一日まで、それぞれ農林大臣及び運輸大臣所轄に属しておつたのでありますが、本年四月一日からは、第一條第二項の規定に基きまして、文部大臣所轄に属することとなつております。しかしこの両大学に置かれております職員は、すべて文部大臣または文部大臣から委任された者が各人に辞令を発しなければ、文部省所轄職員とはならないのであります。従いまして、この任命行為一つ一つ別に行わないで、法律で一括して自動的に行い、かつ従来の身分給與等を変更しないことを保障するために、別に辞令を発せられない限り、本年四月一日に文部大臣またはその委任者によつて従来と同一身分給與任命されるものとする旨を規定しようとするものであります。  次に修正案附則第十二項について御説明申し上げます。これはただいま御説明いたしました修正案附則第十三項を加えることによつて生ずる條文整理の結果であります。  以上が修正案提案理由であります。御検討の上、御賛成あらんことを望みます。
  16. 長野長廣

    長野委員長 質疑を許します。
  17. 今野武雄

    今野委員 第一に、国立学校設置法の一部を改正する法律案の裏づけになる予算の点について、お伺いしたいのでありますが、今度の説明書を読んでみますと、これには予算がいらぬというようなことであります。こういうような学部を存置したり、いろいろな点において、実際上の拡大になるのですが、その点において予算を少しも考えていないのか、それをまずお伺いいたします。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 こまかいことは、もし必要があれば局長から申し上げますけれども、全然予算的措置考えてないというわけではないのでございます。ただ当分学部を三つにわけるといいますか、その学部分割等については、予算的措置を必要としない、そのほかのものについての必要な措置はしてあります。
  19. 今野武雄

    今野委員 たとえば、久留米にあります九州大学の第三分校などの場合をとりましても、教授も足りない、教室もない、図書もないというような調子で、せつかく新制大学ということで名乗り出して学生を募集して入れても、学生はろくに勉強もできない、講義も聞けないというような状態になつておるようであります。このことは、学生側から「九州大学第三分校白書」というような文書になつて、その事実が報道されておりますが、そういう点を考えてみましても、予算なしにこういう形式的なことをやつて学生をどんどん募集するということは、結局学生を欺いたり、あるいはせつかく勉強しようとして入つて来たものを、勉強させないでおくというような結果になるわけであります。この点について、文部省としてはどういう措置を講ずるつもりか、あるいは四千何百名という欠員をどうなさるつもりか、その点お伺いいたします。
  20. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今度分割されたものは、実質において分割するだけの教授陣容を整えておつたものでありまして、ただ教授資格とか何とかという点で、去年の審査の場合には、まだ不十分であつたというようなことから、分割されないでおつたものを今度分割した、こういうわけであります。ですから、分割したために、別々の学部として学生を募集して、それがために非常に不便を生ずるというようなことはないと考えております。四千何百人という欠員は、大学の性質から申しまして、やはり教授任用、助教授任用等については、非常に愼重にやらなければならないとうようなこともありますし、また現在でも資格審査終つた者については、ほとんど毎日任用辞令を出しておるような状況でありますから、近く相当に補充されるものと思います。けれども、国立学校職員は六万何千とあるのでありますから、始終その定員が、やめる者とかいろいろな事情がありますので、ある数の欠員がないと運用ができないと考えるのであります。
  21. 今野武雄

    今野委員 その欠員の問題でありまするが、今回高等専門学校あるいは高等学校から新制大学に移る場合に、やはり教授として適格であるといつて教授会で認めたものが、今度はいろいろな思想上の理由とか、あるいは政治上の理由か知りませんけれども、ともかく文部省ではそれを確認しないで辞令を出さぬ、こういうような事例が実際にあるようであります。たとえば、山口大学の経済学部などでは、五人の教授任命方文部省学長から申告して来た。ところが昨年の暮に、官報では一人を除く四名は発令されているが、一人の相澤君というのは発令されていない、こういうような事実がある。その他神戸大学でも、その他至るところにおいてそういうような実例が見られるわけであります。そういうのは、一体どこでもつてどういうふうにきめるものか、その点も説明いただきたいと思います。政治的理由思想的な理由によつて、そういうことをなさつているのか、そういう点もお伺いいたしたいと思います。
  22. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 手続の点は、今野さんも御承知だろうと思うのでありますが、任用するについては、管理機関の方で推薦されて、そうして文部大臣任命する、こういう手続になるわけであります。任命するにつきましては、やはりいろいろ調査した上でもつて任命しなければならぬという事情もある場合があります。ですからもそういう場合には、調査終つてから任命する、こういうことになるわけであります。
  23. 今野武雄

    今野委員 ただいまの御答弁でありまするが、つまり相澤君のような実例が非常に沢山あるわけであります。これは文部省として、そういう切りかえのときに、いわゆる赤い教員といつたようなものを追い出すに、非常にいい機会だから、これを追い出すのじやないか、こういうふうに一般ではうわさされているし、うわさばかりでなくその実例があるわけであります。その点文部大臣としては、どういう方針でやつておられるのか、その点をお聞きしたいのです。
  24. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 文部省といたしましては、大学教員としての適格の問題について、いろいろな角度から検討を加えて任命をするわけでありまして、ただその思想上の問題とかいうだけの問題ではないのでございます。
  25. 今野武雄

    今野委員 それでは相澤君その他個個の例については、ここではなくて、別な機会に伺おうと思います。そのほかに現在、さつきの欠員の問題と関連して、今の政治上、思想上の問題が、事実として出て来ているわけであります。たとえば、大学において政治的な団体、こういうようなものがあることについては、文部大臣は、一体これを許さないという御方針なのか、どうですか。たとえば、今度東大において共産党の細胞に解散を命ずるというようなことがあつたわけであります。これは私どもから考えると、政治的活動の自由という憲法の大方針に反する行為である、たといその個々のやつたことにいけないことがあるというふうにお考えであつても、それはそういう団体解散を命ずる理由にはならぬ、こういうふうに考えるわけでありますが、文部大臣としては、その点どういうふうにお考えになりますか。
  26. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今度の東大の問題と関連しての御質問でありますが、今度の処置は、大学学長管理権によつて実施されているものと考えております。つまり、学長学内教育を円滑にやる、学内秩序を保つということについては、当然責任を負い、またそういう職務を持つているわけでありまして、今度の事件のごときは、学内秩序を非常に撹乱するという活動が、ある団体を中心として行われているということから、行われたわけでありまして、私は当然だと考えております。
  27. 今野武雄

    今野委員 しかしそういう学内にある政党支部といつたようなものを解散するというのは、これは明らかに公務員の規則によつて禁ぜられている政治活動である。公務員である学長が、一定の政治的見解をもつて政治活動をした、これは政党支部解散するから、明らかに政治活動であると考えられるのでございますが、その点文部大臣としてはどう考えられますか。
  28. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 政治団体でありましても、ほかの団体でありましても、また政治活動でありましても、他の活動でありましても、学園の秩序を乱すという場合においては管理権をもつて実行できると思います。
  29. 小林信一

    小林(信)委員 この法案が通りますと、ここに新たに定員増加せられるわけなんですが、今まで獲得してあるところの定員の上に、これだけの定員が新たに増員されることが可能であるかどうか、はつきりお伺いしたいのです。
  30. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 国家機関定員法は、新たにこの国会に提案される予定になつておりまして、まだ確定しないために提案されておりませんが、近く提案されるだろうと思います。その結果全体としてどうなるかということは、定員法できまります。しかし今議題になつております国立学校設置法に関連する定員については、別に触れられることはないだろうと思います。もしどうしてもそういうことになるとすれば、また定員法の結果によつて申請を必要とするわけでありますけれども、そういうことはないと私は信じております。
  31. 小林信一

    小林(信)委員 そうでないと、この法案が通りましても、地方の実際上非常に心配の点がたくさんあるわけです。さらにこの学部組織等は、本年に限らず、また来年度においても、新たに考慮されることが多いと思いますし、さらに学年進行等によつて、増員しなければならぬと思いますが、そういうことは、定員を決定する場合に、文部行政の上において特別に考慮さるべきものだと思うのであります。従つて今回も、これの増員が認められても、全体の定員がそれだけ増加を認められないというふうなことになりますと、実際上においては、その運営の困難を来すわけであります。この点に限らず、文部省においては、来年度におきましても、常にこの問題には強力に定員増加ということを強調されなければならぬと思います。学年進行の当然の定員増加、それから学部組織が毎年その組織を整備するという点から、このことは考慮されなければならぬと思いますが、これらに対して、文部省はどういうふうなお考えを持つておられますか。
  32. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 この議題となつております国立学校設置法における定員に関する問題は、直接今度の定員法とは、関係なく行けるものと考えておりますが、ただ各省の定員を出来るだけ圧縮して簡素化して行こう、こういうような一般方針からいつて文部省全体の定員ということが、ほかの省と同時に、今いろいろと検討されているという状況であります。国立学校定員というのは、事務系統定員とは違いますから、これを動かすという場合には、よほど愼重な考慮を要するということは、文部省も十分考えてやつておりますので、そう御心配をかけないで、解決がつくのではないかと思つております。
  33. 今野武雄

    今野委員 なおいろいろと疑問がありますが、とにかくレッド・マークというような問題が、このごろ世間で非常にうるさい。ところが文部省では、何日ごろでしたか、地方大学事務主任などを集めて会議を開いて、その席上でもつて高等学校専門学校から大学に移る際に、そういう者はみんな新しく任用しないようにという一般方針を與えたということが言われておるのでありますが、このことは実際にあつたことかどうか、その点もはつきりとお答え願いたいと思います。
  34. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今のようなお話を、私から正式に要求して、公式に話をしたことはありません。ただしかし、御承知のように学校の人事というものは、十分愼重にやらなければならないものでありまして、任用されたときをもつて、何か今までの行動に校規偉反の点があつたとか、何とかいうことになりますと、学校としては非常に困るわけでありますから、そういう点は十分愼重考えなければならないと思つております。しかし、正式に私が招集して、話をしたという事実はありません。
  35. 今野武雄

    今野委員 どうも大臣はなかなかお答えにならないのでありますが、もう一つ実例をあげてお答え願います。それは最近女高師を卒業した者が、教職につこうと考えている。ところが、共産党員あるいは元共産党員であつた者に対しては、学生課でもつて証明書を出さないというようなことが事実起つておるのであります。そのためにどこへも就職を頼むことができないというような状態なんでありますが、そういう点から見ればやはり文部省でははつきりと、いわゆる共産党員あるいはそれに近い者は、今後教職から排除する、こういう方針をとつておられるように、客観的には見えるわけです。その点大臣としてちやんとそういう方針を出していないで、しかも末端でそういうことがあつちこつちで起るということはないわけでありますが、この点についてはつきり大臣方針をお伺いしたいと思うのです。
  36. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私から正式に命令は何にも出しておりません。そういう問題は、各学校でいろいろと愼重に考慮してやつておると思いますが、共産党員なるがゆえにという問題は、いろいろと議論があります。共産党というものと党員との関連が非常にはつきりしないという点があるのではないかと思う。多くの人あるいは一部の人は、党員というものは、党の指令でもつてすべて拘束されるのだというふうに理解しておるようであります。そうしますと、学問の自由、教育の自由、研究の自由というものが拘束される、こういうふうに解釈もされておるのであります。その点は、私はなお検討を要する問題だと思います。それからまた、今までいろいろと学内でもつて秩序が乱れたような場合におきまして、不幸にして共産党の方々が関係しておつた場合もあつたわけであります。そういうようなことがありますから、そういう場合おのずから愼重にいろいろの点を考慮しておるのだろうと思います。
  37. 長野長廣

    長野委員長 ちよつとこの際今野君に申し上げますが、教育行政議題としたときに、これに関連する質問は、すでにしたところでありますし、なお今後も、おそらくその機会はあると思います。それで本法案に直接関係の件をひとつ御質問を願いまして、あなたの貴重なる御質問は、しかるべき機会にやられたらいかがですか。
  38. 今野武雄

    今野委員 本日特に三つばかりの件について、文部大臣に質問するということで前に通告してあります。これが済んでからいたします。
  39. 長野長廣

    長野委員長 あとでそういう機会はあると思いますから、その機会に……
  40. 今野武雄

    今野委員 わかりました。
  41. 長野長廣

    長野委員長 ほかに質疑がないようでありますから、質疑はこれで終了するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑はこれにて終了いたしました。  これより修正案原案を一括して討論に付します。今野君。
  43. 今野武雄

    今野委員 私は第五国会において国立学校設置法が問題になりましたときも、この国立学校の設置法によつてつくられる新制大学が、事実上日本の最高学問を非常に低下させるものである、それと研究所の荒廃、そういうことと並んで、日本の文化をまつたく地に陷れて、文化の面から日本の植民地化を促進するものだ、こういう点から私は反対したのであります。その後一年間の実績を見てみますと、事実その通りであります。たとえば、予算的措置を伴わないでこういうことをやるものですから、地方も非常に困つておる。同時に、学生も非常に頼りがなくて、どうしていいのかわからない、昔の時代が恋しい、こういうことになつて来ておるわけであります。今度の改正は、もう少しましな改正かと思いましたら、そうではなくして、やはり予算措置を伴わないごまかしの改正である。そういう点からして私どもといたしましては、どうしても反対せざるを得ないわけであります。  以上簡單に反対理由を申し上げます。
  44. 長野長廣

    長野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず高木章提出修正案について採決いたします。賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  45. 長野長廣

    長野委員長 起立多数。よつて高木章提出修正案可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正案修正部分を除く原案について採決いたします。賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  46. 長野長廣

    長野委員長 起立多数。よつて原案は修正議決せられました。  なお報告書提出につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 長野長廣

    長野委員長 それではさよう決定いたしました。     —————————————
  48. 長野長廣

    長野委員長 次に教育行政に関する件を議題といたします。前回の委員会において、今野武雄君より、文部大臣に対する質問の申出がありましたので、この際これを許します。今野武雄君。
  49. 今野武雄

    今野委員 三つばかりの点について、御質疑をいたしたいと思います。  第一に、今度一月二十七日の閣議で、見返り資金のうち約二億五千万円というものを、CIEの図書館の建設のために支出するということがきまつて、本国会にもそのことが見返資金の特別会計法の一部改正という形で出て参つたわけであります。この点について、この前の機会にも御質問申したわけでありますが、図書館法が今度出ておる、その図書館法に対しては一銭も財政的な裏づけがない、それであるのに、外国のやるCIEに対してそういう二億五千万円の使用を許すということは、一体どういう建前なのか。日本の独自の教育活動というものよりも、そつちの方が急務であると認められるのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  50. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 この問題は、この前もちよつと御質問に出まして——この委員会でなく大蔵委員会に付議されておる見返り資金運用についての法律の問題だと思うのですが、そのときにもお答えいたしましたように、あの中に入つておる文部省関係のものは、CIEの図書館の問題であると申しましたが、大体そうであります。図書館の方面が充実されるということは、すべての点から見まして好ましいことでありますから、文部省としてはむろんけつこうだと思つておるわけであります。これと関連して図書館法というものが出て、それについての予算的な措置が十分に講ぜられないという点がおかしいという御質問だと思うのでありますが、むろん文部省としては、一般の公共図書館についても、できるだけの国庫援助をしたいという考えでいろいろと計画も立てたのでありますが、中央財政、地方財政の状況からいたしまして、それができないということで、将来の問題に残されたのであります。見返り資金は別個の見地で運用されるものでありまして、従つてこれを同じに扱うわけには行かないと思います。
  51. 今野武雄

    今野委員 今度のCIEの図書館の計画を見ますと、年に一万ドルないし二万ドルの図書がそこに寄贈されるということであります。ところがこの額は上野の図書館の図書購入費が一年に三百万円であるというようなことを考えてみますと、相当大きな額といわなければなりません。こういうようなことになつて行きますと、この一万ドルないし二万ドルというのも、別にはつきりきまつたことじやないでしようから、それがそういうような勢いでどんどん行きますと、結局日本人の読める図書というものはあまり普及しないで、そういう外国からのもの、しかもある一国からのものがどんどんと普及して行く、こういうようなことになるわけでありますから、このことが及ぼす文化的な影響というものは、相当大きいと思う。そこで私お尋ねしたいのですが、一体どういうような目的で、あの民間情報教育事業なるものを国でやらなければならないか。これを国または地方公共団体でやる目的、そしてそこに来る書物の種類、そういうようなものについてお聞かせ願いたいと思うのです。
  52. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 民間情報教育部の図書館は、もつぱら日本人の読者を相手に運営されておることは御承知の通りでありまして、現在のような日本の各種の状況から申しますと、米国出版の図書等もなかなか入手しにくい、また費用の点からいつても、国家予算は、今お話したような状況であります。そこへ見返り資金の会計の方から特に一部をさいて、学術書、文芸書等の輸入が楽にできて、一般日本人がそれを十分利用できることは、教育の立場から申しましたならば、非常に勧迎すべきことじやないかと思う。どういう図書が参りましても、大体は学術、文芸等の相当高級のものであると、私今まで来たものから見て、考えておるのでありますが、それらは日本の学界の人たち、あるいは一般の勉強する人たちが、相当利用するわけでありますから、非常に効果があると考えているのであります。
  53. 今野武雄

    今野委員 現在大学の研究室などにおいて図書購入費などが非常に少くて、報告によれば、日本の図書をそろえることすらできない、いわんや外国の図書などは、アメリカのものもイギリスのものも、あるいはフランスのものも、その他のものもみんなほしいと思うけれども、そういうものはとても手に入れることができない。しかたがないから、個人がたまたま何かの関係で手に入つたものをまわし読みしている。まつたくもつて江戸時代の高野長英なんかが勉強していたときと同じような、新刊書に関する限り、そういう状態になつているようでありまするが、それに対して文部省はやはり大学予算などは少しもかまわずに——見返り資金といえども、これは外国の金じやないので、やはり日本人がわれわれの税金の中から相当出している金ですが、そういうようなものをもつて、なぜこの日本の独自の事業でない、そういうものに金を出すか。これがいくら考えても、国民の立場としてはわからないのです。その点をもつとはつきりと、こういう目的をもつて、こうしなければならないのだという点を、言つていただきたいと思う。それでなければ納得できない。
  54. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 見返り資金は、御承知のようにアメリカからの援助の金でありまして、私は税金は入つておらないと思つております。従いまして、見返り資金の運用は、援助者であるアメリカとして、相当方針、計画もあつて、それに沿うように運用されるわけであります。むろん日本自身の大学なり、あるいは一般図書館でも、使えるものならば使わしてもらえば、非常にけつこうだと思うのでありますが、あれの運用については、いろいろと制約があるわけでありまして、事実それが現在では困難な状況にある。しかし民間情報教育部の図書館に使うというのも、今回が初めて開かれた道でありまして、今までそれも使われていなかつたのであります。この道が開かれたということは、これは日本の学術界、その他の人々の利用のための図書でありまして、行つて読む者も日本人でありますし、また借り出して来て研究に使うこともできるのでありまして、大学の研究者が借りて来て読むこともできますから、日本の金で日本の図書館の充実ができないという点も、相当補い得ると私は考えているので、こういう道が開かれたということは、非常にけつこうではないかと思つております。
  55. 今野武雄

    今野委員 ただいまの御答弁は、非常に驚くべき御答弁で、びつくりしたのであります。税金が入つていないということは、まつたく驚くべきことなんです。援助物資が来て、そうして国内で売りさばく、その金だけでは見返り資金になりません。そこに当然補給金やいろいろなものが税金の形で出て来て、それで初めて見返り資金になるのです。それで今度五百億からの税金がそこへ注ぎ込まれている。そういうものに対して、やはりわれわれの自主性がないということではいけないというので、第五国会でも、自主性があるようにできるように、その道を開くために、法案の修正なども行われたわけであります。これに対して、やはりまつた自主性がないという見解なんですが、それならば、そういう自主性がない金を使つて教育事業に使おうとすれば、はたして日本の国民のために使えるかどうかこの点、はなはだ私どもは怪しく思われる。この間も西崎さんが盛んに言われたが、いろいろな国宝とかその他いろいろな関係に、これからは道が開かれたのだから、見返り資金を使えるようにしよう、こういうことですが、そういう自主性のない金を出すとすれば、そういう教育というものは、日本の都合じやなくて、外国の都合によつてなされる教育ということになるわけです。この点については、文部大臣、どうお考えになるか。その点はつきりしていただきたいと思います。
  56. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 見返り資金に税金が入つているというお話でありますが、それは販売価格等の関連からいつて、見ようによつて、そういうような解釈も成り立つかもしれませんが、とにかく向うから持つて来た物資を売つて、そうして得られた金であります。できるならば、むろん今野さんのお話のように、これをもつと教育方面に使用できることが望ましいのでありますけれども、現在の状況では、それが困難な状況であるので、やむを得ない。それで、ではこういうふうに使われることがどうかという問題になりますけれども、私がさつきから言いますように、見返り資金の中から、とにかくCIEの図書館にしましても、外国から相当に図書が入つて、そうして日本人がこれを読んで、いろいろと便宜が得られるということは、日本の学術界、教育界のためには、喜ばしいことであると私は考えているのであります。
  57. 今野武雄

    今野委員 ごの問題についてはそのくらいにいたします。  次に、平衡交付金の中から例の標準教育費を今度出すということでありますが、その標準教育費の確保に関する法律です。これはいつごろ法案提出になるか、またその内容についても、さしつかえない限りにおいて、金額などの点について御説明願えれば幸いだと思います。
  58. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 義務教育の標準経費確係に関する法律案というものを、いずれ今国会に出すという計画で準備を進め、手続中であることは、前に申し上げたと思うのです。それがいつ出るかということであります。文部省としては、手続中でありますから、できるだけ早く手続が済んで、国会に出して、早く成立することを熱望しているわけでありますけれども、手続にはいろいろの事情があるかと思いますので、それが遅延しているわけで、はつきりいつこれがきまるかということは、私ども自身ができる問題でないのですから、期日をはつきりお答えはできない。今の予想では、そんなに時間がかからないで手続が済むだろう、こういう予想をもつております。
  59. 今野武雄

    今野委員 今度の平衡交付金の建前がどうなるか、これは法案が出て来なければ、よくわからないわけですが、しかしいろいろ憂られている点がある。たとえば、今までの義務教育費国庫負担法ならば、東京都などは教員の給料の半分はもらえる。ところが今度の平衡交付金の制度になりますと、標準教育費そのほかの標準行政費全部を、この東京都民の税金だけでまかなえということになれば、もう一銭も来なくなるのではないか。しかも実情は、東京都の実情から言えば、標準行政費と伝えられているものよりも、はるかに高い率を持つている。聞くところによれば、標準教育費についても、生徒経費として一人当り八百二十七円、それからPTAの会費その他の寄付金の分として、これは私勘定してみましたら、一年に三百七十円くらいしか見込んでおらない。ところが東京都の実情は、区の経費ですら、小学校で、すでに千円を越えている。それからPTAの会費なども、一番安いところで五十円ですが、五十円では間に合わないから、ほかの会社その他からの寄附を同額ぐらい仰いでおる。あるいは杉並等のそういう会社やなんかないところでは、百円から百五十円ぐらいとられておるのであります。こういうものを見ると、PTAの会費も、それによつて少しも解消しない。そういうような標準行政費でもつて、しかもこれは都民の税金でできるからというので、今度は一銭も来ないことになると、事実上これは教員の給料も削らなければならない、生徒経費やいろいろなものも削らなければならないということで、そういう点について憂えられているわけでありますが、その点については一体どういうようにお考えになつておりましようか。
  60. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 平衡交付金制度と関連して、地方財政の状況によりましては、平衡交付金が一切支給されないという場合もできることは、御承知の通りであります。その場合に、今までの教員俸給の国庫負担法というものが廃止されておる関係から、俸給等も非常に不安になるわけでありますが、今度の確保に関する法案が出れば、金額はさつきおつしやつたような点が心配になる点もありますけれども、とにかく最低の限度は法律をもつて地方団体がこれを支給しなければならないという義務を負うのでありますから、その点心配は非常に少いと思つております。ただ金額の問題については、今野さんがおつしやつたような問題も、いろいろあるかと思いますが、これはやはり土地の状況、それから都市の大きさ等と関連いたしまして、一人当りの経費というものがどうしても違つて来るというところから来るわけであります。それらをある程度調整するために、あの法案の中で、都市の規模とか、土地の状況等による補正係数というものが書いてあるわけであります。金のよけいかかるところは補正係数で余分になるようにはなつております。しかしそれが完全に各土地の状況にぴつたりと、こまかい点まで一致するかどうかということは問題であります。これは各土地によつて非常な違いがどうしてもできて来るという結果であります。ただあの法案できめております單価というものは、法案でも言つておりますように、少くともこれだけを支出しなければならないということになつてつて、最低の数字であるということを示してあるわけでありますから、それ以上出すことはちつともさしつかえないし、また法案を読めば、それ以上地方団体としては出すことが望ましいということになつておるのであります。従つて財政上平衡交付金をもらわないでもやれるというような東京都のごときにおきましては、都当局として、私は今野さんのおつしやつたような心配を生じないでやるものと考えておるのであります。と同時に、平衡交付金法からいいまして、平衡交付金が交付されるかされないかということは、予定税政の七割と標準的な地方行政費との差額できまりますから、三割の幅があるのであります。三割の幅がありますから、予定收入があるとすれば、平衡交付金をもらつてつて、しかも三割よけいとれるのですから、都として財政的に困るということはないはずであります。
  61. 今野武雄

    今野委員 ただいまの御答弁は、たいへん含みがあつておもしろいと思いますけれども、ただ最低とおつしやるのですが、最低ということをあそこで標準教育費というように言われるのが、どうも一般に理解ができにくいのではないか。最低がなぜ標準かということです。標準は標準であつて、最低は最低ではないか。そこであの法案はああいうふうに、少くともという表現があるようであります。しかしながらこれを実施する場合には、これが標準である。これが基準であるということで実施される傾きが非常にありはしないかと思うのです。その点について、文部省として何か対策をお持ちであるかどうか。実際において希望するというのでは、少し心細いので、何か実際の対策をお持ちであるかどうか。たとえば、現行よりもあまり下げてはいけないとかいうようなことがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  62. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 地方自治庁の解釈によりますと、標準というものは、高くも少しもできるのだというふうに解釈しているようであります。それで高くしたければ高くしてもいい、低くしたければ低くしてもいいというふうに考えているようですが、その解釈が、われわれの立場から言うと、義務教育にはあるということで、特別な立法をしたわけであります。あれを実施した上で、單価が少な過ぎるという事実がはつきりすれば、これはむろん修正して行く、また補正係数にしましても、現在の補正係数で行つたのでは、大都市等についてはとうてい足りないという実情がわかれば、また補正係数を修正する。こういうことで行きたい。一応今度はあれできめておきまして、実施した状況によつてそれらの、修正はしたいというふうに考えております。
  63. 長野長廣

    長野委員長 今野君、どうでしよう。またあとで十分機会をつくりますから……。
  64. 小林信一

    小林(信)委員 実は兒童給食のことでお伺いしたいのですが、何か給食のことで、新しい方法が考究されているようですが、事実かどうか、伺います。
  65. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今日はその係の者がおりませんから、こまかい定額等をどういうふうにかえたかということは、お答えできませんが、必要があれば、この次にお答えをいたします。ただ無料給食ということは、今年度ある程度できるようになつております。但しその点大分違つて来ている点があると思います。それをどういうふうにやるかということは、文部省が計画をいたしておりますが、こまかいことは、またこの次に係の者が来て御説明申し上げます。
  66. 小林信一

    小林(信)委員 係の方がおられなければ、私が非常に心配している点をお話しておいて、御調査願いたいと思うのです。  それは八大都市には新たに小麦粉と砂糖その他を配給して、兒童に大体毎日パン一箇くらいずつ支給されるような話でありますが、これで今業者が非常に心配したり、策動しているようなことを聞くのです。それは業者がそのことに関連して、何か自分の仕事を有利にしようというのは当然のことですが、これらに対して私心配するわけです。その業者を利用して、いろいろなことを策動する人間があるらしいのです。たとえば、パン工場あたりへ行つて、今度文部省では新たにこういう企画を持つている、従つてあなたの工場を指定してやるようになるかもしれない。それについて調査に来たんだといつて文部省あたりの番号のついている自動車を乗りまわして調査すると、これに対しては業者の方でも重大と思うから、いろいろな手を打つ。ところが、それが詐欺であつたというようなことがあるのです。そほか組合等もいろいろ仕事をしているようなことを聞くのです。先ごろ文部省からちよつと伺つたところでは、最近そういう給食の問題で、新たな考慮をすることはある、それは今私が申したような内容であるらしいのです。これらに対して、文部省は秘密にそのことを運んでおつて、そのために業者間にいろいろな運動が行われる、これを利用して、今のような悪いことをするやつもあるので、非常に業者は心配しておるのですが、何もそんなに動揺する必要はないじやないか、やはり兒童給食の面で文部省考えておるだけに、あなたたちが見てやればいいので、あなたたちがあまりもうけようとするからそんなことになるんだということを、私は言つたのです。何かそういういかがわしいことが、東京に限らず、各都市において行われておるようなことを聞くのですが、この点文部省考えておるところをお聞かせ願いたいと思う。
  67. 長野長廣

    長野委員長 ちよつと一言私も述べさせていただきます。この給食問題は、かつて文部政務次官時代に、一日の給食費が当時全国で約百万円になつております。そこで三億円に近い金がなければ事実上の給食はできない。当時経費わずかに百万円であるから、一日給食したらそれで終り、こういうことになつておりましたから、私は厚生大臣、政務次官等と交渉いたしまして、文部省では社会局、教育局長に主になつてもらつて、生活保護に関する予算から、約三億円の金をわけてもらうことにいたしました。その趣旨は、兒童の学校生活は家庭の生活につながるものだから、当然生活保護の範疇に入るべきものであるという、幅を持つたところの観念をもとといたしまして、さようなことに決しました。遺憾ながら年度末に近づいて私も退きますし。実現はしなかつたのでありますが、手続一切は終つたことがあります。であるから、両省において、もしさような見解が合致するならば、御実行を願いたいし、さらにまた進んでは、さような意味において文部省は生活保護の予算関係を適当に調整いたしまして、ここに特に給食の予算を増額してもらうということも、実例に基いて考慮の余地がありはしないかと思う次第であります。これだけは御質問でございません。ただ見解を述べてなお今後適当の機会に御見解を伺いたいと思います。  本日はこの程度で散会いたします。     午後零時三十二分散会