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千賀委員 この問題に関連をしてお尋ねをいたします。若干脱線をして行くかもしれませんが、同じような問題でありますから、しばらく所論を進めることをお許し願いたいと思います。
昨日、
愛知県から
町村長の
代表者が四十数名出て参りまして、
懇談会を開いたのでありますが、主題はほとんど
教育の問題に終始をいたしておりました。そのとき、今前
質問者が言
つておられるところと非常に
密接不離なような問題にな
つて行つたのであります。
愛知県には、
名古屋という、
地級制からいえば特にな
つておる所がありますし、一宮だとか、岡崎だとか、そこに近接したところに乙というようなところがあります。そこでその間の
月給の差が二割ついておるのでありますけれ
ども、そのまん中にはさまつた
町村は、丙にな
つておるところがありまして、三割の差ができて来る。こういう
事情にな
つておりますので、
師範の
卒業生は、ほとんどその
丙地には行かない、やむを得ずして
臨時免許状を持つ人を入れるよりしようがない、
專門学校を劣等で出て来たような青年でもひつつかまえて来て、それに
臨時免許状をとらせて
学校に置くよりしようがない、こういうことで
教員の
素質がぐんぐん下
つて参ります。村の
当局たちは心配をいたしまして、せめて
師範の
卒業生が五〇%やそこらはおらせたいということで、この
地級制の
欠陷を村の
経済で補
つて行かなければならないために、一村のそのための
費用が百万円、百五十万円というような大きな額に達して来て、村の繰りまわしがどうにもならないというような苦痛を訴えております。
地級制の生れたその
原因は、
教育関係者などを優遇する道が、非常に大きく取上げられて生れたのだと思いますけれ
ども、現在の
社会情勢から見れば、
地級制のためにどんなに混乱を起しておるか、ほとんど想像に余りあるものがあります。そこで、よその県は知りませんが、おそらく
愛知県の
事情はよそにも通ずるでございましよう。全
町村長が声をそろえて、今こそ
地級制を撤廃すべき時期である、こういうことを盛んに述べております。
東京や六大都市のごときは
特地にな
つておる。ところが北海道や東北の方のずつと向うの方に行くと、
寒冷地手当とか、人口まばらなために
僻陬手当とかいうものがついて来る。頭としつぽだけは
手当があるけれ
ども、その真中にあるものは何にも
手当がない。こういうことで、
東京の
附近でも、そういう例はたくさんあるだろうと思いますけれ
ども、家賃からい
つても、すべての
物価からい
つても、
東京と比べて何も安くはない、むしろこのごろの
物価からいえば、
東京ではどんどん
投売りがこの時局の波を受けてできておる。うまく行けば、食糧だろうが、
纎維製品だろうが、
日用品だろうが、
投売りを買
つておれば、
東京の
生活ははるかに安く営み得るのに、
いなかでは
投売りなんかあり得ないのだから、
いなかで同じ物を買おうと思えば、
相当にまだ前の正札のままで買わなければならない、
生活は
いなかの方が
相当に高くな
つておる。であるのに、二割も三割
す地級制のために
月給が少いというようなことにな
つたのでは、とても
国家がどんな施設をして
教員をつくろうが、優秀な
教員を養成しようが、それを都会の
附近の
いなかに迎えることはできない。同じ
日本の国民でありながら、そうした
国家が力を入れておる優秀な
教員を迎えることができないような不利な立場に置かれることが、この
地級制のために約束づけられるということは、われわれはとうてい忍ぶことができない、今こそこの
地級制をやめてもらうべきだということを盛んに言
つております。またこんな例もあります。昨年は学芸
大学問題で、尾張と
三河と、また
名古屋と
三河と、大いに
争つたのでありますが、
名古屋の
大学の
教授諸君は、連署をも
つて、
三河の方の
大学に行くことはいやだという
意思表示をいたしております。それは何ゆえかといえば、その二割の
地級のための
特典が剥奪せられるから、いやだというのであります。
ほんとうに
地級制が正しければ、二割
減つても二割安くなるのだから、当然どこへ
行つても同じであります。
名古屋に
行つても、
いなかに
行つても、
ほんとうの
生活費は同じである。二割よけいもらえば、二割だけ得なんだ、現在の
地級制が正しくない、間違
つておるということを、実に雄弁に立証しておるのであります。かようなわけで
地級制があるために、ただいま議論になりますこの
免許法もこれがかえ
つてうるさくなるという
原因を生んで行くように思うのであります。
地級制などきれいさつぱり捨ててしまつたら、ただいま
小林君と応答せられたような、そんな問題もやはり解消して行くのだ、こうも思うのでありますが、
当局はこの問題についてどんなにお
考えになりましようか、この際
ちよつと伺
つておきたいのであります。