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1950-02-27 第7回国会 衆議院 文部委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十七日(月曜日)     午後二時二十九分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 松本 七郎君 理事 今野 武雄君    理事 小林 信一君       木村 公平君    佐藤 重遠君       千賀 康治君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     稻田 清助君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局教         職員養成課長) 玖村 敏雄君        専  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 二月二十四日  委員甲木保君辞任につき、その補欠として山口  喜久一郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十三日  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出  第六二号)(予) 同日  中川村に道立名寄高等農業学校分校設置請願  (河口陽一紹介)(第九六六号)  五倫文庫設立に関する請願若林義孝君外一名  紹介)(第一〇四三号)  教職員給与改訂に関する請願門脇勝太郎君  紹介)(第一〇九八号)  同(米原昶君外一名紹介)(第一〇九九号)  同外一件(松本七郎紹介)(第一一〇〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  教育職員免許法の一部を改正する法律案内閣  提出第三八号)(予)  教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三九号)(予)  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出  第六二号)(予)  文部行政に関する件     —————————————
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。  教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案、両案を一括議題とし、前会に引続き質疑を継続いたします。今野君。
  3. 今野武雄

    今野委員 まず最初にお伺いしたいことは、教育職員免許法というものがあつて、それによつて教員たる身分を獲得する資格ができるわけであります。ところが最近教育委員会において教職員を整理する基準というものをつくつております。そういうものを見ますと、教員として不適格なる者というようなことがいろいろと並べられおるわけであります。こういう点でもつて教育委員会が判定して、これが教員として不適格であるということになりますと、もちろん整理対象にするというだけじやなくして、不適格なのですから、これはどこでも使えないということになるわけであります。免許法があるのに、そういうものができて事実上教員というものが不適格になる、そういうふうにされるということになりますと、何か妙な気がするのでありますが、その関係一体どういうふうに考えられるので、ございましようか、ちよつと文部省から伺いたいと思います。
  4. 玖村敏雄

    玖村説明員 免許法の方は、教育職員免許状取得条件をきめ、また場合によつて免許状を取上げる条件をきめたものでありまして、これと任命のこととは、直接的には関係はございません。
  5. 今野武雄

    今野委員 その点で、私が聞いておりますのは、任命それ自身とは関係ないと言いますけれども、その任命理由として、たとえば免許状がなければ、これは資格がないのですから、任命できない。ところが不適格であるというような言い方ですと、免許状は持つていても——適格であるということは、いろいろと理由あるだろう思うのですけれども、しかしこの免許法を見ますと、いろいろと不適格条件が並べてあるわけです。そういう場合に免許状を取上げるわけです。ところが免許状を取上げるのでもなく、どうも気に入らないからこれはやめるのだということは、私立の学校ならわかるのですけれども、公立の学校でそういうふうになりますと、何か免許法というものがないがしろにされているような気もするわけです。それで伺つているのです。
  6. 玖村敏雄

    玖村説明員 免許法ないがしろにされるといいますよりも、免許法規定の方がゆるやかなのだと思います。この程度の人は教員となつてよろしいということだけ、きめてありますので、実際の教育面から、人事のことを問題にされます場合には、国家公務員法とか、あるいは教育公務員特例法といつたような条項も、またしんしやくされるでありましようし、免許法で許されたから、自分はいつまでも教職にとどまるのだということは、主張できないと思います。
  7. 今野武雄

    今野委員 今国家公務員法だとか、あるいは教育公務員特例法だとか、いろいろな話が出たのでございますが、そういうようないろいろな法規によらずして、そういうことが行われているのは、どういうふうに考えたらよろしゆうございますか。
  8. 玖村敏雄

    玖村説明員 そのことは、地方教育委員会がやつておりますことで、少くとも免許法関係します限り、私どもの方からはお答えできないのですが。
  9. 今野武雄

    今野委員 次に別な問題で、臨時免許状というものですが、初め教育免許法をつくられるときに、三年といつたような期間が与えられていたのでありますが、その後何か急に政府の方からの話で、一年ということに決定されてしまつたわけです。ところが実際これによつてもうそろそろ今も書きかえを用意しなければならないと思われるのですが、そういうような今までの臨時免許状を与えた人たち免許状の書きかえというのは、一体どのくらい数が出て来るのでしようか、その点ちよつと伺つておきたい。
  10. 玖村敏雄

    玖村説明員 臨時教員免許状は、昭和二十六年の三月三十一日までは、現状のままでよろしいということになつておりますので、まだ書きかえはしないはずです。そうして昭和二十六年の四月一日付で、新しい免許状をもらいまして二十七年の三月三十一日まで有効なわけであります。ですから、そり間に仮免許状を得るような条件を整えるように、現職教育を受けますならば、それからまた続いて行く、こういう形になつております。
  11. 今野武雄

    今野委員 しかしながら、ともかくこの問題で、あちこちの学校に行つてみますと、先生方が落ちつかない気持でおるのです。ことにこの間谷口さんからもお尋ねがありました時に出て来たように、いろいろ講習等予算が十分でないために、こういうことがなかなか進捗しない。そういう状況のもとで、実際一年ごとに更新するとなるとの次にはくれないのではないかいうような不安もあるわけで、この点もう少しはつきりと、この前の原案通り三年間というふうに延ばしてはどかと思うのですが、その点お聞きいします。
  12. 玖村敏雄

    玖村説明員 臨時免許状を持つております教員は、その学歴におきまして、非常に低いのであります。不十分な教員でもつて、重要な国民教育の基礎的なところを担当させることは、民主主義原則にのつとつて適当でないと考えますので、もし有資格の者がおるならば、そういう人はなるべくやめる方がよい。先ほど三年間云々とおつしやいましたけれども、三年間有効であるということにする場合にも、第一年は保証する、第二年以後は、有資格教員があるときにはいつでもやめるという条件で、三年ということになつてつたかと思うのですが、そういう事情もありまして、当分の間は、いわゆる助教なるものなしには、わが国の教育は行われませんので、めんどうでありますけれども、一年々々に区切つておいて、そのうちに、さつき申しましたような現職教育によつて資格を得てもらう。そのうちに結婚その他転職のためにやめる人はやめてもらう、こういうようになるのではないかと思つておるのです。
  13. 今野武雄

    今野委員 たいへんしつこいようですけれども、先日も出たように、講習して仮免許状を授ける、こういうことができれば、一番よいわけなんです。ことに現在教育をやつておる人たちは、やはり何といつても、かけ出しの人よりも相当経験もあるわけで、そういう人たち講習を受けさせて、一日も早く仮免許状を得られるようにする、こういうことで文部省予算を請求されたのではないかと思うのです。ところが、それがこの間も出ましたように、大蔵省でもつて非常に大幅に削られてしまつた。不適格だから、あとからよい者が出たら、どんどん首を切つてしまうというのでは、少し残酷なような気がするのです。このことは、文部省自身お好みになつていないのではないかと思うのです。だからこそ、予算相当請求されたと思うのです。それを一体どうするのか、その点はつきりしなければならぬと思うのですが、文部省一体どつちの方針なのか。どんどん首を切つてしまうという方針なのか、それとも、できるだけ講習をやつて引上げたい、こういうおつもりなのか、その点はつきりとお聞かせ願いたいと思います。
  14. 玖村敏雄

    玖村説明員 多分この前に御説明申し上げたと思つておるのですけれども、いわゆる臨時教員免許状を持つべき人たちにつきましては、国といたしましては、大学で一年課程養成をいたしておるのでありまして、従つて今谷都道府県の優秀な臨時教員免許状を持つべき人たち現職教育が行われておりますから、これは明年度もやつて行くつもりであります。     〔委員長退席、岡(延)委員長代理着席〕  今、今野委員からお尋ねのありましたことですが、決して文部省は、そういう人たち首切つていいのだ、そう考えているわけではありませんので、できるだけ力をいたして、この人々がせめて仮免許状がとれるようにしたいというので、措置いたしておるのであります。ただ予算が御承知のように不十分でありますために、今度の夏休みを機会にやろうと考えております現職教育について国の経費支出が非常に乏しいことは、多少の影響なきを得ないと思いますけれども、大体現職教育に関する経費のすべてを国が負担するという建前ではありませんので、この点に関しましては、都道府県教育委員会の非常な御協力を願わなければならないことだと思つております。今日承わましたことですけれども、北海道では三千二百八十二万五千円の予算がほぼ確定した、これは知事の査定が終つたところであります。それから山形県は四百九十八万円が査定されております。このように、まだほかの報告を得ておりませんけれども、各都道府県教育委員会の方で御協力いただけるならば、そうひどいことにならずに済むと考えております。
  15. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほど今野さんから最初お話の出た問題について、私は委員長にお願いしておきたいのですが、前の前の委員会のときに、東京都などの例の教員首切りの問題が議題になつておりましたので、これは文部省だけに調査をまかすべきではない、国会としてやはり取止げなければならないから、どういう事情退職を要求しておるのか、その理由を調べて報告願うように、委員長にお願いしたのですが、いまだに参りませんから、ひとつ文部省の方を督促していただきたい。  それから教員免許法の問題は、今御指摘なつた第九条の三項の問題ですが、文部当局お話では、原則としてなるべく助教を教員にするように極力努力するというお話ですが、この条文で参りますと、やはりさつき御指摘になつたように、教員免許状所有者がない場合に切りかえるということになつておるのであります。そうすると新しい学校卒業者教員免許状を持つた人が出て来れば、それだけ助教は教員になる機会がなくなるわけですから、どうしてもこれを教員にする気持があるならば、何らかもう少し、予算はもちろんのこと、年数においても、一年を三年にするとかということでなければ、これはだんだん圧迫されて自然にやめざるを得ないような状態になつて来るのではないかと思います。この点はいかがです。
  16. 玖村敏雄

    玖村説明員 さつきお答えいたしましたことと同様のことをお答えするほかございませんが、国は決してこれを放任しているわけでは、ございませんし、さつき申し上げた教員養成を主といたします大学の一年課程というものは、来年度も続けて行きたい。それから現職教育が、さつき申し上げた理由によつて、今から二年間ありますので、その二年間に現職教育単位のとれる人は、できるだけとつてもらう。それでなお第二年が終りますころに、あまりひどいということが起つて来るならば、これは事態に即応いたしませんのですから、そのときになつて、この原案が修正されるというふうなことを皆様から御発議になつてもさしつかえない。なるべく早くそういうふうに切りかえて行くということを促進したいという一面もありますので、決してそのときになつてからでも、おそくはないと思います。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、仮免許状希望者が、研究を重ねておるわけですが、これのためには、臨時免許状を有してから三年間良好な成績で勤務しなければならぬという規定があるわけです。そういう三年間の規定をしておるにかかわらず、この効力を一年間に限るという不合理はお認めになるわけですか。
  18. 玖村敏雄

    玖村説明員 不合理と申しますよりも、臨時教員というものの性格は、一年限りでその効力を失うというふうにしておく方が、教員資質向上並びに保持という建前からは適当であると考えます。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 それでありますから、なるべく新しい、学校を出た正規の免許状を持つた者に切りかえた方が教員資質向上には適しておる、こういうお考えに基いておられるのか。
  20. 玖村敏雄

    玖村説明員 その考えに基くとともに、現場で助教と言わるる人たちの年々の退職率を見ますと、非常にこの人々退職の率が高いのでありますから、いつまでも教育者として残つてつて行きたい人は、必ず救えるという見通しがついております。
  21. 松本七郎

    松本(七)委員 それから現職教員講習の問題ですが、これはおそらく経費を十五億円ぐらい要するのではないかという説さえ出ておつたように聞いておりますが、文部省最初一億六千万円ですか、最低必要と見ておられたのは、たしかそれぐらいだつたと思います。その一億六千万円が今度の予算で二千四百万円に査定されておる。そうすると、仮に地方教育委員会相当の助力をしても、とうてい予定の講習ができない。先ほどのような根本方針で行くとすれば、どうしてもこの予算ではその目的が達せられない。数字的にもう少し詳しく御計画を承りたい。
  22. 玖村敏雄

    玖村説明員 御承知のような事情がありまして、一億六千万円の原案が二千四百万円に削減されました。なおそのために現職教育一部分通信教育でやりたいという考えがありましたので、その方に約二千万円入つておりますから、四千三、四百万円だけは国の方の金でやつて行ける。それからその他は平衡交付金の方に旅費が一人当り四千円の割で組み入れてあるということだけが、国の方でした現職教育に対する援助であります。もちろん全国五十万の教員のことでありますので、それだけのわずかな費用をもつてして、現職教育の多くのことができるとは考えておりませんが、これはいわば誘いの水であつて都道府県教育委員会が、地方教育公務員の研修に対して責任があるという、あの教育公務員特例法が生きております限り、その線からやはり相当支出をしてもらわなければ、国の費用でもつて全部まかなうということは望みがないことだと思います。もちろん一億六千万円の予算を要求したことにつきましては、根拠があるのでありますから、われわれの方としては来年度さらに多くの予算をとるように努力することだけは、お約束していいのでありますけれども、一億六千万円とつてもなお不十分であることは申すまでもありません。
  23. 松本七郎

    松本(七)委員 それから別表第四の四欄の改正事項ですが、小学校または幼稚園の教諭のところであります。これは一級普通免許状、第二欄の資格を得て、第一欄の学校での在職年数新制大学二年終了になつておるから、二年で一級になる。その次の二級普通免許状においては、これが新制大学一年終了ですから、あと一年で二級になる。その比率から行くと一番最後の最低修得単位数が、二級普通免許状の方は十五で、一級の方は四十五になつでおるが、これは十五、三十というのが適当じやないかと思います。これが四十五になつ根拠は……
  24. 玖村敏雄

    玖村説明員 別表第四の場合は、仮免が二級になり、あるいは二級が一級になるという場合に、すべて勤務年数条件といたしております。その勤務年数は何年でありましても、これを大学の十五単位に勘案する、こういう線が出ているわけであります。ですから、たとえて申しますと、大学二年の単位数は六十単位であります。六十単位であるべきものが、別表第四によれば十五単位マイナスで、引いてありまして四十五単位になつておる。それから仮免から二級の間の学習の年限は一年でありますから、三十単位を要求するわけでありますが、その三十単位に対して勤務年数の十五単位が引いてありますから、やはり十五単位になつておる。そういう関係であります。もう一度申しますと、勤務年数が多くなるとそのために単位を引く、そういうことはいたしません。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると附則第七項の「同義第三欄中「三」を「五」に、同表第四欄中「一五」を「四五」と読み替えるものとする。」そうして第四欄中の十五を四十五に改めるということになりますから、この十五も四十五に読みかえるわけですね。
  26. 玖村敏雄

    玖村説明員 今の四十五に読みかえますのは、旧制度の専門学校卒業生について申すのであります。御承知のように、旧制度の専門学校卒業生は、中学校の二級と高等学校の二級とを切りかえてもらつたわけなんです。ところが中学校の方は二級が一級になりますために、四十五単位を要求してある。小学校の場合も同様であります。しかるに高等学校のみが十単位というのは非常な不均衡でありますので、これを四十五単位旧制度の人々は四十五単位といたしまして、中学、小学との均衡をとりました。ところが高等師範学校とか、あるいは四年制の専門学校とかいうところになりますと年限が一年ふえますので、そういう方々に対しては若干その単位を引く、旧制大学卒業生についても単位を引くというのが、今度の改正の中に出ておるわけであります。従つて旧制度の専門学校卒業生にのみ四十五単位を要求するというつもりであります。それから将来の大学卒業生に対しては十五単位を要求する。これはさつき申し上げた大学院の一年を三十単位考えまして、そうして経験年数で十五単位を引いた残りの十五単位なのであります。ですから、原案の十単位というのは、われわれの落度、間違いであると申し上げる方がはつきりするだろうと思うのです。
  27. 松本七郎

    松本(七)委員 この四十五単位というと、一単位が四十五時間ですが、そうすると二千時間から要するわけですね。これは大体単位を減ずるという方向に向うべきだろうと思うのですが、文部省方針で行くと、新制学校卒業者は、非常にレベルの高いものとして扱われることになります。旧制のものは、それだけ多くの単位を要求される。しかもこの二千時間というようなものは、とうてい容易に得られる時間じやないと思います。そこのところに不均衡があるような感じがいたします。
  28. 玖村敏雄

    玖村説明員 二千時間のうち——四十五時間のうち実習時間が三十時間だけありますので、自宅で学習したり、あるいは宿題を持つてつて勉強したりする時間が三十時間でございまして、学校で講義を聴く時間は十五時間というのが原則であります。従つて今おつしやるほど過重な負担を要求しているわけではございません。それから新制大学の方がよいとか、旧制大学は劣つておるとかいう考えは、ございませんので、すべてをスクーリング年数によつて計算をいたして行きますと、今の専門学校旧制師範学校は、スクーリングは十四年でありますから、ちようど大学の二年まで終えたことになるわけであります。そういう計算で、はしごをつくりまして、そのはしご一つ一つに適用する単位を割り当てたつもりなんであります。
  29. 松本七郎

    松本(七)委員 それから免許法施行法の方ですが……
  30. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 松本ちよつと……お諮り申し上げます。この際大臣がお見えになりましたので、この法案に対する質疑は本日はこの程度として、学校教育法の一部を改正する法律案提案理由説明聴取に入りたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 御異議がなければさよう決します。
  32. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 それでは学校教育法の一部を改正する法律案議題といたします。高瀬文部大臣。     —————————————
  33. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容骨子を御説明申し上げます。  この法律は、従来学校教育法規定のなかつた大学名誉教授に関する規定を新たに設け、また高等学校定時制課程及び各種学校に関する規定を整理する等の必要に基きまして、学校教育法の一部について所要改正を行うものでございます。  名誉教授に関しましては、従来は、官公立学校についてだけ、単行の勅令規定されておりまして、規定の仕方も、現在では不適切と考えられますので、この際これを称号として、広く国公私立の大学において、一定の要件に該当する者に対しまして、当該大学の定めるところに従つて授与できるようにしたものでございます。  次に高等学校につきましては、その定時制課程定義を明確単純化し、修業年限を一般の場合には三年、定時制の場合には四年以上と定めたほか、必要に応じて、養護教諭、助教諭及び技術職員を置くことができるようにする等高等学校の実情に応じまして、所要改正を行いました。  第三に、各種学校につきましては、その定義を明確にするとともに、認可を受けていない事実上の各種学校を、学校教育法規定によらせることについて必要な改正を行いました。  以上が本法案提案理由及びその内容骨子でございます。どうか十分に御審議いただきまして、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  34. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 あらためて委員長から皆様に申し上げます。本法案は去る二十三日、予備審査のため本委員会に付託せられたものであります。念のためご申し添えます。
  35. 稻田清助

    ○稻田政府委員 法律案内容につきまして、補足いたしまして御説明申し上げたいと思います。  今回の学校教育法の一部改正骨子は、三点でございます。第一点は、大学名誉教授に関する規定を新たに設けたことであります。第二点は、高等学校定時制課程に関する規定を整理したこと、第三点は、各種学校に関する規定を整理したことでございます。なおそのほかにも、不用となりました経過規定を削除するとか、また関連の条文を整理しております。以下順を追いまして、改正趣旨理由に関しまして、御説明申し上げたいと存じます。  まず、第一点の大学名誉教授につきましてであります。学校教育法に、新しくこれに関する規定を設けることになつたのであります。元来名誉教授につきましては、大臣説明にもありましたように、従来は官公立大学高等専門学校等についてのみ、勅令規定せられてあつたのでありますが、改廃の措置がここに必要となつたのでございます。一体名誉教授というものは、大学教授助教授等教員として多年勤務して、教育上の功績があつた者に対しまして、本人の退職後、その功労を表わすという意味で、当該大学が授与する栄誉的性質称号であり、身分上または給与の上においての特権を伴うべきものではないと考えますので、この趣旨によりまして、学校教育法に新しい規定を設けたのでございます。  新しい名誉教授要件は、第一に、大学に学長または教員として多年勤務した者であるということ、第二に、教育上または学術上特に功績のあつた者であること、この二つであります。これらの要件の認定とか、称号授与方法等については、当該大学の定めるところにまかせたのでございます。なおこの場合「大学」と申しますのは、学校教育法第一条に定める新制大学であることは当然でございますが、そうなりますと、教員として多年勤務することを要件とする名誉教授は、新制大学が発足して、これから相当の時日を経過するまで、今後当分の間は授与できないことになります。そこで大学勤務年数計算する場合には、旧制大学、高等専門学校の校長、または教員としての勤務年数を通算できることといたしましたほか、当分の間は、旧制のまま残るこれらの学校におきましても、新しい規定に準じて名誉教授称号を授与できるようにいたしたのであります。  次に、第二点の高等学校に関する規定改正であります。この点につきまして、三つの点にわたつて改正いたしたのであります。その第一点は、高等学校定時制課程定義を明確単純化いたしたことでございます。すなわち、従来高等単位には「通常の課程の外、夜間において授業を行う課程又は特別の時期及び時間において授業を行う課程を置くことができる。」と規定いたしておりまして、前者を「夜間の課程」、後者を「定時制課程」と呼んで区別して参つたのであります。しかしながら実際には、時期によつて昼間に授業を行い、あるいは夜間に授業を行うなど、その区別ができないことが明らかになりました。そこで今回その定義を「夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程」という一本といたしました。これを「定時制課程」と呼び、従来「夜間の課程」と呼ばれていたものをこれに包含させるようにするものでございます。  第二点は、高等学校修業年限に関する規定を明確単純化いたしたことでございます。従来は、特別の技能教育を施す場合及び夜間の課程、並びに特別の時期及び時間において授業を行う課程にありましては、「その修業年限は、三年を超えるものとすることができる」という規定があつたのであります。しかしながら実情について見ますと、特別の技能教育を施す学校の場合におきましては、三年間で高等学校としての正規の課程終了させ、さらに必要の場合は、専攻科として特殊な教育を施す方が新制大学へのつながりを考えます場合には好都合であることがわかり、また定時制課程は、従来の夜間の課程においても同様であるのでありますが、三年間で高等学校として定められた教育内容を履修いたしますことは、事実上不可能である。これを強行いたしますときには、勤労青年に対して、教育上、保健上、きわめて憂うべき結果となることが明らかとなつたのであります。この実情に即応いたしますために、今回の改正を行うものでございます。  第三の、高等学校に置かれる職員に関する規定改正いたしました理由は、従来、学校教育法第五十条に「高等学校には、校長、教諭及び事務職員を置かなければならない」とだけ定められてあつたのでありまして、必要に応じて置くことのできる職員に関する規定を、欠いておつたのであります。ところが、実情は高等学校にも、これらの職員を置く必要がありましたし、また現に置かれておりますので、この実情に即した改正の措置を行うものでございます。なお第五十八条を改正いたしまして、大学に講師、技術職員その他必要な職員を置くことができるようにいたしたのも、同じ趣旨でございます。  次に、改正の第三点といたしまして、各種学校に関する規定改正の点であります。まず、第八十三条の改正は、各種学校定義を明らかにいたしたものでございます。現行法によりますと、学校教育法第一条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うものは、各種学校とするとありますので、たとえば職業安定法に基く職業補導所等も、すべて各種学校だというような解釈も成り立ちまして、学校教育法第四条、第九条、第十三条、第十四条等の規定が、準用されることになるのであります。しかしながら、これらの学校は、それぞれその根拠とする法律で、その管理、教育内容まで定められておりまして、学校教育法の適用される余地はほとんどありませんので、改正法案は、これら当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるものを、各種学校の範囲から除くことにいたしまして、各種学校の範囲を明確にいたしました。そして各種学校及びこれらの教育施設は、学校教育法第一条に定める学校の名称を用いてはならないことといたしたのであります。  第二に、第八十四条の改正は、現行規定によりますと、事実上の各種学校に対しましては、第八十三条第三項の規定によつて準用される第四条の規定によつて各種学校設置の認可を受くべき旨の通告をなすことができるようになつておりますが、この通告にもし応じなかつた場合におきましては、一方的にこれを各種学校として認定できるという解釈をとらざるを得なかつたのでございます。そして、この認定をした上で、場合により第十二条の閉鎖命令を発するということが考えられて来たのであります。従つて、第八十四条の規定の実効性は、必ずしも保証されないうらみがありました。本条の改正は、以上述べましたように、第八十四条の規定が本来意図したところを、より明らかに規定しようとするものでありまして、現行規定に実体的な変更を加えるものではないのでございます。そして、改正規定による事実上の各種学校教育の停止命令に応じないものに対しては、閉鎖命令の場合と同じ罰則を適用することといたしました。これは事実上の各種学校に対する教育の停止命令は、学校の閉鎖命令と実体において同じものがあると考えられたからでございます。  最後に第九十六条を削除いたしましたが、これは、第九十六条は、中学校の就学義務の逐年延長について規定したものでありますが、中学校の完成に伴いまして不要となりますので、この際削除すべきものでございます。その他以上の改正に伴いまして、私立学校法の一部を改正する等関係条文を整理いたしました。  以上申し上げました通り、今回の一部改正は、いずれも根本的な改正ではないのでございまして、現行法に規定を欠いている事項について補充し、あるいは、現行法の表現では不適切であると考えられるものを、適切な表現に改めることによつて学校教育法が本来意図いたしておつたところを、より明確に、より適切に実現できるように所要改正を行うものでございます。  以上大体の御説明といたします。
  36. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 これより質疑を許します。
  37. 今野武雄

    今野委員 ただいまの御説明を聞いて、大分はつきりしたわけでありまするが、しかしごく通俗的な意味では、どうも理解しにくいところもたくさんあるわけでございます。というのは、第三の改正であります。すなわち各種学校の点でありまするが、この改正によりますると、何か学校らしいものをやつていると、それはすべて今までも各種学校と認めるというわけでございますが、今度はそれを強化して、認可申請をぜひともしなければいけない。そして申請しない場合、あるいはまた申請がおりない場合には、その閉鎖命令を出すことができる、こういうのであります。実は昔からいろいろなところで塾とかいろいろな形の民間の教育機関というものが開かれておるわけでございますが、一体どの程度のものを各種学校として認めるか、こういうような点が明確でないわけであります。ごく少数の人を集めてやつている場合、あるいはその人数が非常に不定であり、いろいろな場合があり得るのでありますが、これに対して文部省ではこれを立案するにあたつて、どの程度のものを学校考えておるのか、その点をお教え願いたい。
  38. 稻田清助

    ○稻田政府委員 一般に学校教育として考えられまする場合には、一つの教育課程教育計画というものに基きまして、一定の期間継続して教育と認められる事業を行う、そしてそこには校地、校舎、教具、その他それに対する必要な施設を整え、不特定多数の者に対して教育が行われるというような点を、簡単に学校体系を有するものというように考えられておるのであります。ただいまの御質問にありますように、各種学校におきましては、その教育の性質によりまして非常に大小いろいろございます。従いましてその規模において一定の基準を立てることは困難であろうと思います。先ほど申し上げましたような学校教育の体裁を整えておりますものは、一応広くこれに該当するものと考えられるのでございます。
  39. 今野武雄

    今野委員 たとえば町でもつて、いわゆるお針などをやつて、附近の娘さんたちを教えている、これも大体の一定の教育計画——非常にルーズなものでありますが、ともかく一応の計画があつて、大体相当期間継続してやつているわけであります。教室ともいうべきものも、普通の座敷を兼用している場合もありますが、ともかくある程度のものを設けてやつているわけでございます。こういうようなお針を教える所、こういうものもこの中に入るのでありましようか。
  40. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御引例になりましたようなもののも、御説明のような状態でありますれば、これに該当するものと考えます。
  41. 今野武雄

    今野委員 そうなると、こういうものを一体はたして調べることができるか。多くの人はこういう法律ができても、何も知らないで今まで通りそれを継続するだろうと思います。こういうものをここでは自発的に認可を申請しなくてもいいので、監督庁がやれるということになるわけでありますが、そうなると非常に任意に、監督庁がある目安をもつてねらいを定めてやるというようなことになりはしないでしようか。
  42. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お話のように、一般にこういう教育計画をいたしておりますものが、自発的に——それは知らない場合が相当多かろうと思います。そういうような点が考えられますからこそ、この法律におきましては、監督庁の方で認可申請を促す規定を設けておるわけでございます。しかもまたこの規定趣旨といたしますところは、こういう学校を禁圧しようという点に念願があるわけではなくて、正常な発達を所期いたしておるようなわけでございますので、促すと申しましても、つぶしてしまうとかあるいはきびしく取締つて、伸びないようにしてしまうというような趣旨で、認可申請を促すのでないことは、申すまでもないことでございます。
  43. 今野武雄

    今野委員 それではまた例を上げて質問したいのでありますが、いろいろな団体が、自分のところで団体員あるいは会員等を集めて、定時的に指導者を置いて研究会を開くとか、あるいは教育を施す。こういうような場合、教育を目的とする団体ではないけれども、なおその中においてそういうことが行われる必要があつて行う、こういうような場合は、やはりこの規定によることになるのかどうか、その点もちよつとお聞きしたいと思います。
  44. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お話の点でございますが、たとえば同好者あるいは志を同じゆうする人が相集まつて、一定の研究を継続するというだけでは、学校教育というような形態には考えられないのではないかと思います。やはり学校教育でございますから、教育者、被教育者、そこに一定の教育計画をもつて、かりに自発的の学習でありましても、一つの指導計画をもつて研究して行くという実態を備えることが、学校としては必要であろうと思います。
  45. 今野武雄

    今野委員 私のお聞きしたのは、同好者が集まつてという場合ではなくして、ある団体が一つの、たとえば政党とか文化団体か、いろいろな団体があります、そういう団体が、その中でもつて、自分の団体の成員に対して何かそういうような教育をやる、こういう場合はどういう取扱いになるのですか。
  46. 稻田清助

    ○稻田政府委員 やはり学校として考えられます場合は、その対象が不特定多数であることが要件であろうと思います。非常に限られたグループ、あるいは職場の中の修養施設といつたようなものはこの定義には当てはまらぬものと解釈いたします。
  47. 今野武雄

    今野委員 どうもよくわからないのですけれども、それは人数がどうこうというのではなく団体がその団体の目的を遂行するに必要だと思つて、そして自分の内部において教育をやる、こういうことを言つているのです。その場合に、これは当てはまるかどうかということです。
  48. 稻田清助

    ○稻田政府委員 不特定多数と申しますのは外部に対して門戸を開きまして、そして学生、生徒を収容するというような意味でございますから、単にある団体に入つてまつ人たちが、内部的に互いに研究を交換するというような状態でありますれば、これからはずれると思います。けれども、団体が営むものでありましても、そうした不特定多数を相手として、先ほど申しましたような、継続した一定の計画のもとに教育を行うという事実があれば、これに該当して参ると思います。
  49. 今野武雄

    今野委員 今のことは非常に大事ですから、ちよつと確かめておきたい。そうするとある特定の団体が、団体の目的を達するためにやることにも、つまりその団体の成員以外には門戸を開いていない、しかし人数は必ずしも小さいとは言えない、やはり一定の教官計画をもつてつた場合、それもやはりこの中に入るわけですか。何だか少し変な気がするのですけれども……
  50. 稻田清助

    ○稻田政府委員 その主体は、団体であろうと、あるいはそれ以外であろうとを問わないのでありますけれども、つまり門戸を開放しておるか閉鎖しておるかという点で、今の不特定多数であるか、あるいは、ごく少数の内部のものであるかという問題だろうと思います。従つてその主体が、非常に多くの人を抱容するような主体であつて、そり団体の中において、また相当広く門戸を開放している実態がありますれば、やはわこれに該当して参るだろうと思います。
  51. 高木章

    ○高木(章)委員 ただいまの稲田局長の御説明で、大体了承いたしたのでありますが、各種学校は、今後学校という名称を使うことを禁じたように伺つたのでありますが、これはそう了承してよろしゆうございますか。
  52. 稻田清助

    ○稻田政府委員 この学校教育法第一条にあります小学校中学校高等学校大学、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園という名称を使うことを禁止いたしたのであります。
  53. 高木章

    ○高木(章)委員 そういたしますと、単に何々洋裁学校と、要するに下に学校という二字を使うことを禁じたわけではないのですね。
  54. 稻田清助

    ○稻田政府委員 「学校」という字を禁じておるのではありませんで、小学校とか、中学校とか、今述べましたような第一条にある名称を使うことを禁じております。何々洋裁中学校と言つてはいけないので、何々洋裁学校ならさしつかえないのであります。
  55. 今野武雄

    今野委員 本日の私の質問は、さつきの程度にしておきますけれども、いろいろ不明の点もありますので、なおこの次に質問を継続したいと思いますから、よろしくお願いいたします。
  56. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 了承いたしました。     —————————————
  57. 松本七郎

    松本(七)委員 委員長ちよつとお瞬いがあるのです。今の法案以外で、せつかく大臣がおいでになつているのですから、一、二点お伺いしてよろしゆうございますか。
  58. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 どうぞ。
  59. 松本七郎

    松本(七)委員 本国会の最初に大体今国会に提出予定の法律案についての、文部省説明がありましたが、その中の義務教育の標準教育費に関する法律案というものが非常に重要なので、われわれも注目しております。その間与党の方でも非常に御努力願つているし、文部省でも非常に御苦労されていると聞いているので、われわれもできるだけお力添えをしたいと思つているのですが、それの見通しについて御説明願えたら仕合せと思います。
  60. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 ただいま御質問のありました義務教育の標準教育費に関する法案でありますが、文部省としては、むろんこれを提案する考えで準備を進めておりました。しかしいろいろ地方自治とか、地方財政の運用とかいうようなことで議論もあり、問題もありまして、なかなか具体的に進行しないで遅れておりましたが、提案することにきまりました。内容のこまかいことも大体できましたが、いずれ御提案いたしますから、そのときにごらん願いたいと思います。
  61. 松本七郎

    松本(七)委員 それに関連してちよつとお伺いしたいのですが、これは去年の補正予算で、例の定員定額の問題がやかましいころに、二億八千万円で、超過分一千五百人ですか、これを何とかしよう、こういうことになつたのです。このほかに、聞くところによりますと、二十三年度の予算の決算残が二億二千万円ある、これでもつて幾らかプラスするというような話も聞いているのですが、この点いかがですか。
  62. 稻田清助

    ○稻田政府委員 二十三年度におきまして、従来の補充費の制度から定員定額制に切りかえました関係上、過年度支出すべき分があるのでございます。その分と補正予算の分とを考慮いたしまして、地方の財源に充当しようと考えております。
  63. 松本七郎

    松本(七)委員 標準教育費の法律案が、近く出る見込みができたと伺つて、非常に安心いたしましたが、いつごろ出るのですか。すぐ出ればいいのですが、いつも委員会法律案が出る前に研究したいと思つても、いろいろな関係でなかなか文部省が資料を提出しないのです。これは委員長にお願いしたいのですが、もし提出が多少でも遅れるようでしたら、この法案の審議をやる形でなしに、義務教育の標準教育費に関する問題というようなことで、ぜひ事前に審議したい。その場合に、ある程度の資料をやはり文部省に要求していただきたいと思います。そうすれば、文部省としても出さなければなりませんでしようし、もしも文部省がほかの制約を受けてこれらを出しにくいという場合でも、国会がそういう要求をし、国会の責任でそういう制約に対して交渉するということになつた方がよかろうと思います。その点を委員長にお願いしておきます。  それに関連して、委員長から文部省提出を要求していただきたい資料があります。たしか昨年末だつだと思うのですが、二十五年度学級編成基準というようなものの案を文部省がつくつて、十二月八日の教育会議でしたかに出した。これは定員を各府県に配当するための基準案だと思うのですが、その後取消しになつておる。これを取消しになつ理由と、その後いかような案ができておるか、またこの基準に基いて、各府県に割り当てる教員数は当然出ておると思うが、そういうものの資料を提出していただきたい。これは委員長から要求していただきたい。
  64. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまお話の二十五年度学級編成基準については、昨年教育長の会議で、明年度文部省予算に、定員定額制がどういうふうに組まれておるかということについて、御説明申したことがあるわけでございます。その後各教育委員会において、それをそのまま明年度予算の作成の場合の基準とされようというので、知事側といろいろ話があつた。それで次の知事会議の際に、あれは単に文部省予算内容説明であつて別に明年度予算の基準としてお示し申し上げた性質のものではないということを申したことがあるわけでございます。従いまして、お話の二十五年度学級編成基準というのは、単なる予算作成の資料という程度のものでございます。そういうような関係上、これは国会にお示しすべき性質のものでもないと思うのでございますが、いかがでございましようか。
  65. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、定員の各府県別割当というような性質のものではないわけですね。
  66. 稻田清助

    ○稻田政府委員 さようでございます。
  67. 松本七郎

    松本(七)委員 もしそれがあれば、提出していただきたいと思います。
  68. 稻田清助

    ○稻田政府委員 それは、これから新しい法律ができた上で、作成されるものでございます。
  69. 松本七郎

    松本(七)委員 それでは必要ございません。
  70. 今野武雄

    今野委員 ただいま松本君からも言われましたが、とにかく文部関係は資料が出ないのです。たとえばこの学校教育法の一部改正にしましても、今までやつている当然のことを当然のように直すのだと言いながら、ただこれをよこしたつきりである。各種学校の現状はどうであるとか、あるいは各種学校としてやつているものにはこういうものがあるとかいうことの資料をくださるのは、当然だろうと思う。この間電通と連合審査をやつたのですけれども、あつちの方では、外国の例とかいろいろな資料を出しているが文部省ではいつでもあまり資料を出さぬ。こういう点、やはり法案を出す以上は、相当の資料を握つてつておられるはずですから、それを審議する必要上、ぜひ出していただきたいと考えるわけです。
  71. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 今野君の御要望は、しごくごもつともと思います。されば委員長から文部省に対してそれを強く要求いたします。
  72. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御審議に必要な資料は、今後十分ごらんに入れたいと思つております。
  73. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 お諮りいたします。時間の都合もございますので、本日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十七分散会