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1950-04-19 第7回国会 衆議院 農林委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十九日(水曜日)     午後二時三十分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君   理事 八木 一郎君 理事 藥師神岩太郎君    理事 山村新治郎君       青木  正君    足立 篤郎君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       小淵 光平需    河野 謙三君       寺本  齋君    中垣 國男君       原田 雪松君    渕  通義君       山本 久雄君    石井 繁丸君       高田 富之君    小平  忠君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  山添 利作君  委員外出席者         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 四月十七日  霞ヶ浦及び北浦における干拓事業中止等に関す  る請願橋本登美三郎紹介)(第二四七七  号)  農業改良局統計調査部並びに作物報告事務所職  員の定員増加に関する請願(竹村奈良一君紹  介)(第二四八〇号)  小野村外四箇組合公有林野における官行造林  契約解除に関する請願川端佳夫君外二名紹  介)(第二四八八号)  川井、門馬両村下国有牧野開放に関する請願  (山本猛夫紹介)(第二四九〇号)  農業会財産讓受資金特別融資に関する請願(  田中啓一君外三名紹介)(第二五〇一号)  農家報奨物資制度改善に関する請願田中啓一  君外三名紹介)(第二五〇三号)  農業協同組合のこうじ製造事業に関する請願(  田中啓一君外三名紹介)(第二五〇六号)  国内農産物価格対策に関する請願田中啓一君  外三名紹介)(第二五〇九号)  主食の供出制度改善に関する請願田中啓一君  外三名紹介)(第二五一一号)  食糧配給公団廃止後の措置に関する請願田中  啓一君外三名紹介)(第二五一二号)  長崎下裸供出農家に対する飯米還元配給に  関する請願外一件(岡延右エ門君外五名紹介)  (第二五一八号)  農作物の獣害防除対策に関する請願岡延右エ  門君外五名紹介)(第二五四一号)  肥料値上げ反対に関する請願岡延右工エ君外  五名紹介)(第二五四二号)  同(渕通義君外五名紹介)(第二五七四号)  長崎農家米食率引上げに関する請願岡延  右エ門君外五名紹介)(第二五四三号)  沖縄百号を二等甘しよに格上げの請願岡延石  エ門君外五名紹介)(第二五四四号)  種子麦払下げに関する請願岡延右エ門君外五  名紹介)(第二五四五号)  労働基準行政職員労務加配米支給請願(春  日正一君外一名紹介)(第二五五七号)  宮崎県下裸供出農家に対する飯米還元配給に  関する請願渕通義君外五名紹介)(第二五八  三号)  林道飯田赤石線開設に関する請願吉川久衛君  紹介)(第二六〇四号)  小麦粉類加工割当制度改善並びに同包裝容器  取扱に関する請願石田博英紹介)(第二六  一一号) の審査を本委員会に付託された。 同月十八日  大野町地方かんがい排水用電力料金全額国庫  負担陳情書  (第七六一号)  林業経営に対する長期資金融資陳情書  (第七八四号)  供米報償物資に関する陳情書  (第七九五号)  かんがい排水機管理費全額国庫負担陳情書  (第七九六号)  開墾不適地の旧所有者還元等に関する陳情書  (第七九八号)  養蚕業対策に関する陳情書  (第八〇  五号) を本委員会に送付された。 本日の会議に付した事件  自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法  律案内閣提出第一四五号)     ―――――――――――――
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより会議を開きます。  まず自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を継続いたします。
  3. 石井繁丸

    石井委員 今度の改正法案につきまして、この法案が今後農村におけるところ土地零細化、あるいは農業経営をどう維持するか、こういうような問題に関連しまして、非常に幅を広く、農政全般から質問いたしたいのでありますが、本日は農林大臣も出席ありません関係上、法案内容につきまして若干御質問いたしまして、農政全般につきましての立場からは、後日農林大臣より承りたいと考えております。  それで本法案内容につきまして、二、三の点について農地局長並びに関係官の方から御答弁を願いたいと思います。  自作農創設特別措置法によりますと、二十五年の二月十一日以後に該当するものは買収しない、こういうような立場になつておるのでありますが、実際問題としては、その以前の土地でありましても、いろいろな工作によつて買収漏れになつておるのが相当多いように思われるのであります。大体農地改革が進行の途上あるいは登記事務等が輻湊いたしておる関係上、そういうものに対するところ調査探求が非常に遅れておると思う。そして当然買収されるものであつても、買収をしないでおいた、こういうような点が相当あるわけであります。この二十五年の二月十一日以後これに該当するに至つたものは、もう買い上げないというようなことになりますと、前に買収漏れになつてつた土地についての追求が足りなくなると思われるのでありますが、これらの点について、農地局方面としましては、市町村の今後の農業委員会等を十分に督励いたしまして、買収漏れになつてつて不公平だ、こういう土地について十分の手を打つ所存であるかどうか。またそういうことについては、着々といろいろな調査研究をしておられるかどうか、それを承つておきたいと思います。
  4. 山添利作

    山添政府委員 自作農創設特別措置法によります通常の買収は、大体二十三年度で終りまして、二十四年度は漏れておつたものの仕上げをしたというのが実情でございます。それにいたしましても、なおかつ買収漏れになつておるものが若干はあろうと思いますので、これらにつきましては、嚴格に当初の法の精神を貫いて行くつもりであります。
  5. 小笠原八十美

    小笠原委員長 石井君、大臣が見えましたから。……
  6. 石井繁丸

    石井委員 それではあとで質問する関係大臣に先に質問しておいて、各逐條にわたる点は、農地局長並びに田辺部長から伺うことといたしまして、農林大臣に御質問いたしたいと思います。  大体日本輸入食糧としますと、今年大豆を入れて三百七十五万トンと言われているのでありますが、御承知通り、その輸入資金といたしますと、ガリオア資金において一億六千万ドル、それからコマーシヤル・フアンドにおいて一億九千万ドル、こういうような輸入資金を要するようなことになつております。そこで日本が大体六億ドルの輸出をするというような過程から見ますと、輸出資金に対して輸入される食糧が大体六割というふうな関係になる非常に多額輸入食糧においてされるというふうな関係になろうと思つております。ところが、今までガリオアにおいて一億六千万ドル予定している、大体四億ドル以上の金が毎年援助されておつたのですが、過日の新聞紙上等を見ますと、今年は半額に打切られるような状態になつて来ているのであります。そこで、今まで農林省とし、あるいは民自党としましても、多額食糧輸入がある、こういうような基礎のもとにあるいは湯河原会談が持たれ、あるいはいろいろと食糧対策が持たれているのであります。しかしながらガリオア資金が急激に減少するようなことになると、それに応じて食糧輸入量も非常に影響を受けるだろうと思う。また輸出方面におきましても、輸出価格が非常に影響を受けて不振である。こういうような立場から見ますと、コマーシャル・フアンドの方におきましても、非常に大きな影響があろうと思われるのでありますが、今回アメリカにおきまして、まだ確定はいたしませんが日本に対する援助資金が減るというような形になつたときにおきまして、今までのような対策において食糧計画が立てられるかどうか。この点につきまして農林大臣の御見解を承りたいと思うのであります。     〔委員長退席八木委員長代理着席
  7. 森幸太郎

    森国務大臣 お答えいたします。大体現在の見通しにおきましては、予定食糧の量が輸入獲得せられると存じております。ただ輸出の見返りとして輸入します分につきましては、多少の不安も考えるわけでありますが。当分におきましては、大体予定通りの量が輸入される、かように存じているわけであります。
  8. 石井繁丸

    石井委員 食糧問題等につきましては、農林大臣は、あるいは民自党政策、あるいは湯河原会談、かような点に拘束されないで、いろいろと根本的なる対策について、日本農村並びに日本食糧需給実情に沿うように努力して行つて、片々たる時局に便乘した政策には迎合されない、こういう見識を持つて臨んでおるのでありまして、われわれこの点につきまして、非常に農林大臣の意のあるところに敬服いたしておるのであります。  そこでひとつ最近の傾向としまして、いろいろなる食糧問題等につきまして、意見があるのであります。大体自由党内において、供出後の自由販売というのを言つたときの国民の希望は、要するに自由販売ということは、やみで米が高く売れるというところの安易な気持でそういうことを望んでおつたのだろうと思うのであります。しかるに最近の状態におきましては、やみよりも実際は公定価格等が有利になつて来た、こういうふうな状態でありまして、この点につきましては、この前の食糧確保臨時措置法改正の当時から、農業政策食糧供出政策等におきましては、大体事前割当量というものを高くしないで、そうして三倍くらいにすれば、幾らでも食糧は出すのだから、つまらない対策を必要としないのではないか、こういうことを申したのでありますが、実際の問題としましては、国際的食糧の過剩その他が影響しまして、現在の農民自由販売にするということよりは、食糧価格の安定することを希望しておる状況であろうと思うのであります。そうして安定されたるところ食糧の上に増産を励む、そうして国際的影響や何かにつきましては、いろいろな影響がないように、政府において適当なる対策を立ててもらいたい、こういうことが農民のほんとうの気持であり、またそういう立場を取らなければ農村の安定、あるいは発展ということはあり得ないという立場に立つものであろうと思われるのであります。アメリカ等においても、ブラナン・プランあるいは前においてはアイケン法等を立てまして、そうして農村食糧価格補償ということについて、いろいろな努力を払つておるのであります。大体農林大臣といたしましては、日本食糧供出対策並びに価格対策等につきましては、いかなる根本方針をもつて臨まなければならないか、いわゆる自由政策、こういうふうな対策をもつて臨もうとしておるか、日本実情に即して單にアメリカのような価格補償政策、あるいは供出等につきましても、自由に食糧のあるときとは違つて、相当の継続性のある対策を立てて臨まなければならないと考えておるか、農村の人々は、いろいろな政策の面からしまして、今後の農林行政あり方食糧政策あり方等について、非常に危惧の念を抱いている。農林大臣としましては、ことしは、あるいは来年はというような、断片的な意向においては、現状をかえないというような意見を再三お述べにはなつておりますが、ことし、来年というようなことでなく、先ほど申し上げた通りアメリカガリオア資金等がすつかり切れて来るというのも、ここ二、三年の後だろう、そうしますと、輸出をもつて輸入をまかなうというような状態が現われて来るということも早晩のことである。そこでどういうふうな立場に立つて、恒久的なる食糧価格政策、あるいはまた食糧国民需給の調整をいたして行こうとするのであるか、また農林省もこの線において努力をされようとしておるかどうか、これらをことし、来年というようなことではなく、今後の大きな見通しの上に立つて答弁を願いたい。農林大臣は、ときにおきまして内閣事情によりまして更迭等もあり、再編成をされることもあろうと思うのであります。  しかしながら日本農民に対するところ食糧政策、あるいは国民に対するところ食糧供給政策、こういうような問題は、そう変更せらるべき性質のものではなかろうと思いますが、これにつきまして、農林行政に携わつておる農林大臣として、こうなければならない、またこうすべきであるというところの確信のある御答弁をお伺いいたしたいと思うのであります。
  9. 森幸太郎

    森国務大臣 農村気持は非常にかわつて参りまして、今石井委員のお述べになりましたような情勢になりつつあると、私も承知いたしております。一体農業経営は、やみ売りをするために農業経営ができるのだというようなことであつてはならないと、私は考えております。農産物価格は、あくまでも適正な価格を定めて、そうして農業経営がやつて行けるように考えて行かなければならぬと存じております。  食糧政策につきましては二十五年度の計画はすでに発表せられておるのでありまして、これを途中でかえるということは、私は考えておりません。ただ供出に対しまして、今お述べになりました自由販売ということは考えておるのでありますが、供出割当をいたしたあと出し得るものを自由にした方が農家のためにいいか、あるいは超過供出として奨励金を出した方が農家立場としていいかということは、十分検討を加えなければならぬと考えております。  また食糧政策の問題につきまして、本年でもない明年でもない、ずつと将来の見通しについての考えはどうだという御質問でありますが、何分にも今御承知通り、少くとも一九五二年まではガリオア食糧をもらうような段階になつておるのでありますので、食糧政策に対して、日本が一方的にこうあるべきである、こうあるべきものなりという仮定をすることは、これはとうていできないのであります。ことに現在の輸出入の関係におきましても、実質的に日本がほしいだけの米を買う、出したいだけの品物を出すというような、自主的な貿易でないことは御承知であると思うのであります。従つて今、来年、さ来年、さらに将来に対しての食糧政策はこうであるべきであるということを仮定することは困難であると考えるのであります。ただいずれの時代におきましても、日本自給度を高めて行つて、そうしてその自給度を高めるために、農業経営にむりのないようにして行くということを、まずもつて日本農業に対して考えて行かなければならぬ、そうして価格の面につきましては、海外の農産物価格と、日本農産物との価格の推移を考えまして、適当な措置を取つて行くということでなければならぬ、かように考えるのであります。将来のことをこうあるべしということは、今日の場合として言うことはでき得ない事情にある、かように私は考えておるわけであります。
  10. 石井繁丸

    石井委員 その点いろいろとアメリカ援助その他の関係がありまして、今日ただちにできないというふうな御意見でありますが、しかしながらいろいろの点から見まして、アメリカ援助もそう長く続くとは思われない、それを見はからつて農政の責任の地位にある農林大臣としまして、ある意味の恒久的な対策を立案されまして、そうしてガリオアその他の援助がなくなつたときには、かくのごとき政策をもつて国民食糧を確保し、また価格については、かような点について農民生活を安定せしめるという対策をお示し願いたいと思うのであります。  そこでひとつお伺いしたいのは、大体今度の農地改革自作農創設その他におきましても、いろいろな立場から、これ以上の土地を持つておる人は、これは買収をするとか、あるいはこの土地買収するとかいうふうな点ができております。しかしながら日本農家をいかなる形において、いかなる規模において経営せしむべきかというところの形、つまり農村がこういう経営規模においては農業経営が成り立つのであるから、ひとつこの線において日本農家を育成しよう、農家経営が十分に成り立つように計画を立てようという点が、何もなかつたように思われるのであります。いかに農林行政をもつて、あるいはその他の諸般の政策をもつていたしましても、二反あるいは三反の農家経営的に成り立つということは考えられない。そこで日本におきましては、何としてもロシヤのコルホーズとか、アメリカのようなああいう大農経営を、土地関係上整えることが非常に困難であるということも申すまでもないのであります。そこで農地開放が進められ、自作農が創設されるという過程におきましても、こういう規模農家であれば農業の採算がとれ、経営が成り立つというところの目途がなければなるまいと思います。かつて滿州に移民が行われたとき、適正規模農家ということにおいて農家規模というものがきめられたのでありますが、あのように植民地的な移民をさせるということにおいての適正規模ということは、日本の現在の実情におきましては困難でありますが、しかしながら非常に土地が細分化し、かつまた耕地面積が非常に小さくなつておるという傾向が一方には現われておる。     〔八木委員長代理退席委員長着席〕  しかるにこういう農村経済負担に耐えかねて、小さな農家は没落し、この土地がある意味における富農という線に集中せられるという傾向が現われて来ております。そこで農林省といたしましては、日本農村行政土地行政根本として、この線の土地農家は力を注いで押えてみよう、そうしてこういう過小の農家に対しては、かような対策を立てる、また土地の過大な農家に対しては、この手をもつてそれを抑制して行くという、ある意味におけるところ方針が、他の農村行政とともにタイ、アツプして立てられなければならないと思うのであります。農地開放もある程度まで一段落した。そして今後はそれらの自作農を維持して行くというような段階に来ましたときにおいて、一応の基本の水準線というものが立てられなければなるまい、こういうことは農地局長よく御承知になつており、また農林大臣といたしましても、農村関係におきまして、その点よく御熟知のことと思うのであります。この線において大いに努力しようという見解は、一体農林省としてはどの線に引いておるのであるか、またどういう努力をその点において払おうとしておるのか、この点を承つておきたいと思います。
  11. 森幸太郎

    森国務大臣 適正農家規模をどこに置くかという問題でありますが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、北海道と内地とはむろん違いますが、内地におきましても北と南、かつ大都市近郊農業、あるいは漁村に関係のある農業、あるいは山村農業平地農業、いろいろあります。ことに農地の再分配の結果は、大規模農業は今日許されないのでありまして、平均八反八畝と承知いたしておるわけであります。平均八反八畝の耕地を持つておる農業中心となつて成り立つ。しからば少い耕地を持つておる農業は成り立たないか、あるいはそれ以上持つておる者はさらに成り立つというような、ただ單に耕地面積によつて、このことは考うべきものではないと思うのであります。その経営立地條件によりまして、農業経営はおのおの考慮して行くべきものである。それを政府といたしまして、政策の上から申しますならば、それが三反の農業であろうと八反農業であろうと、その農業の合理的な経営を指導するということにあるわけでありまして、必ずしも中心をここに求めて、適正な農家と認めて、それを集中的に考えて行くということは、日本耕地條件から申しましても許されないのであります。おのおの地域的に農業経営合理化して行くような指導をすべきである。いつかも申しましたように、今日まではそういう面から考えまして、農業経営の上においてこういうことも取り入れたい、ああいうことも取入れたい、また取入れるべきものであるということを考えましても、食糧増産のためにこれらの問題を犠牲にして、食糧増産にひた向きに進んで参つたのが、過去の実情であります。今日食糧事情もやや緩和されて参りましたのと、輸出の力によつて食糧を確保し得るという今日の段階におきましては、この農業経営の合理的な施設を助長いたしまして、そうしておのおのその規模に応じた、合理的な経営のできるように指導して行くべきであると考えておるわけであります。
  12. 石井繁丸

    石井委員 そうすると、実際問題として、三反の農家暮しが立つような農業政策を立てる、あるいは五反の農家暮しがうまく行くような政策を立てる、一町五反はなおうまく行くというような、何でもうまく行くような政策が立てられるならば、それほどありがたいことはないのでありますが、実際の問題としてなかなかそういうわけには行かない。そこでこの点において、この範囲内においてならば、何とか農家経済が成り立つのである、この線の農家はどんなことがあつて経済的につぶすわけには行かない、どんなことをしても努力をしなければならない。こういう一つの農地政策上のラインがなければなるまいと考えられます。いろいろと農地局方面におきましては、御研究をされ、また開墾等とにらみ合せて、できるだけこの線に持つて行こうと努力払つておいでになるようでありますが、できるだけこの点において農業政策農家経済の確立をはかりたいという点を、どの線に置いておるか、農地局長の御答弁を願いたいと思います。
  13. 山添利作

    山添政府委員 適正規模の問題につきましては、滿州の移民というようなことを考えておりました時分には、御承知のように全国平均いたしまして一町七反がいいというような数字を、実は農林省調査の結果出したことがあるのです。但しそれを農林省政策として取上げたわけではないのであります。     〔委員長退席山村委員長代理着席〕  ただ中央から地方に対して照会を求めました結果、一町七反という数字が出ておつたわけであります。しかしその後の状況から見ますと、現在適正規模というような考えを持ちましても、それを実現する方法はないというのが現実の問題であります。ある特別の層を考えて、そこにのみ集中するということは、政策考えることはできないと思うのであります。ただ農地改革におきましては、全国平均三町歩以上については、不適正な経営は、そこで打切るというふうに上の線を引いております。それから下の線になりますと、あまり零細な農家をつくつて行くということはおもしろくございませんので、土地移動関係におきまして、三反歩という一応の線を引いておるわけです。従つてその間の経営ということを目標にいたしておると一応言えるのであります。しかし三反や四反でいいわけではむろんないわけでありまして、実際問題といたしまして、農家農業収入だけで自己の経済をまかなつて行くということのためには、どうしても一町ないし一町五反、二町という範囲になるわけであります。五反程度でありますると、どうしても兼業収入にたよるというのが実情であると思います。従つて農業政策といたしましては、ある特別の層ということでなしに、小さい農家兼業収入によつて生計を立てて行くのだという現実の前提におきまして、価格政策にしても、金融政策にしても考える。そうしてなるべく小さい農家合理化のために—これは小さい農家というよりも、日本農業全般に通ずると思いますが、その協同化生産部面にわたつてまで進めて行きたいという考えを持つておるのであります。適正経営地方的にこれこれである。従つてその方向に持つて行くために整理をするというようなことは、考えておりませんし、かりに考えましても、それは実行不可能だという考えであります。
  14. 石井繁丸

    石井委員 実行不可能というと、これはそれで終りになるのであります。実行しようと思つてつていたが、戰争に負けたからそれきりになつてしまつたのだといえば、ものは終りになつてしまうのでありますが、いかに実行不可能でも、いろいろな角度から検討して、可能点を出して行かなければなるまいと思うのであります。いろいろな開墾というようなこと等によつて耕地をふやす、あるいは二毛作を完全にできるようにすることによつて、單位当りの収穫を高めるというようなことをやる。こういうようにして六百万農家のなるべく大多数を、採算のとれる経営規模に持つて行くというところの、努力が払われなければならないと思います。今までの滿州事変当時の計画では、なるべく富農というものを残して、農村におけるところの小さな農家は、滿州に出してしまうという方策がとられたのでありますが、今後におきましては、何としても当時のいわゆる適正規模というふうな農家になりますと、五十万か六十万きりしかない。あとの五百四、五十万戸の農家は、その当時からいいますと、みんな不適正規模農家ということになるのであります。従いまして、五百五十万の農家は、耕地の少いという関係で採算がとれないのでありますが、これはしかたがないことだというようなことであつてはならないのであります。そこで農林省としては農業政策土地政策の一環として、レベルをずつと下げて、この辺の農家においては、採算のとれるように全力をあげて対策を講ずるということが、なければなるまいと思うのであります。実際問題として、開墾問題等についてもいろいろと横やりが出るとか、あるいはまた土地改良等につきましても、いろいろな予算上の困難が伴うということがありますので、それらの点におきまして、最大の努力を払つて、この線におけるところ農家を充実して、農村の安定を期するというところの、力の入れどころというものが立てられなければ、農村土地政策農業政策というものは立てられないわけでありまして、私が申す適正規模ということは、滿州事変の当時、力のある農家だけ残しておく、小さい農家は滿州に追つ払つてしまうというような意味適正規模ではない。要するに、農家経営が立つところの辺、これをどの辺ならば立つというところの重点というものを定めておいて、その前後にいろいろな政策上の力が及ぶ、恩恵が及ぶというところの線が、きわめて必要であるという意味でありまして、農林当局といたしましても、農地開放は一応進められたが、まだ開墾等の適地は相当残つておる、こういう現状でありまして、土地改良等が非常に残つておる現状におきまして、それらの根本政策を立てて、そうしてかような農家は、決していかなる農村恐慌があつてもつぶされないというところ経済が立てられるように、御研究し、対策をお立て願いたいと思うのであります。私が言う意味農家土地、並びにそれにからんだ農業政策というものは、そういう意味であります。これに対して農林省は、いろいろお考えがあろうと思いますので、御意見を承つておきたいと思います。
  15. 山添利作

    山添政府委員 結局石井委員のお考えは、農業だけをやりまして経営の立ち得る農家規模の程度はどのくらいか、こういうことのように聞いたのでありますが、日本の過去における状況及び現状、また将来の見通しといたしましても、農業だけでやつて行ける農家は、申すまでもなく非常に少いのでありまして、多かれ少かれ兼業収入でやつております。これは全般的に申しましても、農家所得の三割ぐらいは、兼業収入でありますし、また農家の階層別から見ますと、大体自給農業—自分でつくつて自分で食つているという農家が半分であるわけであります。従つて政策中心農業だけでやつて行けるところ農家層だけに置くという考え方は狭いのでありまして、そういうことは実情に沿わないと思つておるのであります。ただ従来もそうであつたし、今後もそうでありましようけれども、耕地をだんだんふやし得るところにはふやしてやつて、そうして主として農業だけで立つて行ける農家を育成して行く方策をとるということにつきましては、これは全然同感でございまして、今後における開拓政策におきましても、一通り海外から帰還されました人の入植ということが片づく、片づくというとおかしいが、おおむねその方面の目的を達成いたしました現段階におきましては、増反開墾中心にしてやつて行く。そうして村の中で経営規模の低い面積の低い農家を、平均ところまで上げて行くために、一戸当り二反ないし三反なりの増反面積を配分して行く、こういうような考え方で実行をいたしておるのでございます。いずれにいたしましても、狭ければ狭いなりに、今度は單位当りの土地の生産高を上げるということも、非常に大切なことであります。実行方策としての御意見は、われわれ農林省のものも全然同感でございますので、その事柄を全体計画として、どういう規模農家をどれだけにして、どういう規模農家はどういうふうに整理するというようなことは、これは考えないというわけであります。
  16. 石井繁丸

    石井委員 私としても、別に整理というのではないのでありまして、この辺の農家なら、これで農業が立つ、また三反、四反というものについては、いろいろ副業の道を講ずる、あるいはこれについては養鷄とか、養豚等によつて対策を立てるというような、いろいろの措置が講ぜらるべきである。しかしながらその角度々々によつて、いろいろな政策を立てないで、小さな農家等が養豚をする、あるいはいろいろなことをすると、たちまち大きな税金がかかつて来るということになりまして、全然対策が立たなくなつて来るのであります。そこで農林省におきましては、これならば農業だけでも経営が成立つ、それからそれ以下の点につきましては、これらにいろいろな仕事を導入する。そういうようないろいろなくふうがなさるべきであると思う。そこでこの線ならば農業だけでも経営が成立つというふうな線、また農業政策というものが打立てられ、そうしてそれに応じて土地の集中というものを防止し、あるいは過小農家になるのを防止する、現在過小農家に対しては土地を与え、またはそういうことのできないものには、土地を改良させる。あるいはまた養豚、養鶏その他いろいろな事業を副業として行わせる。そうしてそれらを税金その他の面から保護して行く、こういうことがなければなるまい。こういう意味において御質問いたしたわけであります。いろいろ農林省においても御心配のようでありますが、さような意味において、今後いろいろと御努力を願いたいと思うのであります。  條文に入つて御質問をいたしますけれども、自作農創設特別措置法の第十五條の問題であります。これによると、交換によつて今までとつた土地については、いろいろな関係で宅地買収等がなかつたというふうに考えられるのでありますが、今まで交換分合の土地についても、いろいろと控除の適用があつたというふうに思われるのでありますが、その点はいかがであるかお伺いいたします。
  17. 山添利作

    山添政府委員 政府買収しました土地を交換分合をして、今度はまたその交換分合の結果政府が取得しました土地を売り渡すということになりますれば、これは十五條に関する宅地等の買収を禁止するということは可能であるわけであります。
  18. 石井繁丸

    石井委員 第四十條の二でありますが、牧野の買収の問題であります。牧野の買収も今度の農地買収とともに打切るというような形になつておるのであります。しかしながら牧野買収につきましては、いろいろな形におきまして、これが單純牧野ではなくして、農地その他について必要な点等もあり、あるいは耕作地に適当であるというふうにして買収される牧野等も非常に多かろうと思うのでありまして、これは農地買収の打切りがあつたからといつて、牧野買収を打切り—牧野として買収するのは別であるが、農耕地にするような場面等も多かろうと思うのであります。今度の農地買収の打切りと一緒に、ただちに牧野の買収を打切るというのは不適当であると思われますが、この点についてのご意見はいかがでありましようか。
  19. 山添利作

    山添政府委員 牧野を開放する意味におきましては一応時期を画するわけでありますが、これを未墾地として、さらに高度の開発をするために買収するという場合におきましては、これは不可能ではないわけであります。
  20. 石井繁丸

    石井委員 その点は、どの点に基いて大体やるようになるか。
  21. 山添利作

    山添政府委員 第三十條の三号に、「第一号又は前号の土地附近の農地又は牧野で」ということが書いてありますが、これは元来未墾地買収の対象にならないものでありますけれども、その未墾地と「併せて開発するのを相当とするもの」と限定された場合に買収の対象になるのでありまして、具体的に申しますると、ある団地の中にまじつている牧野、あるいはその開墾地に行きますための道路、水路等の敷地に供与するとか、そういうような場合を考えているわけであります。
  22. 石井繁丸

    石井委員 今度の四十條の二、四十三條の二の改正ができまして、政府の所有山林も開放の対象にするというような規定ができたのでありまして、この点非常に前進を見たわけでありますが、これらの点を実行する段になりますと、あるいは農林省におけるところの所管、あるいは林野庁とか、あるいは大蔵省に関係があつて、こういう方面でいろいろとそれに対して反対等をいたす場面が多かろうと思うのであります。そこでせつかく本條が制定せられましても、そういう場面に対するところ農林省、特に農地局方面努力が足りないときにおいては、本條文の創設も結局龍頭蛇尾のような形になろうと思われるのであります。本條の活用に対しては、いかなる方針で活用して行かれるか、またどんなような見通しがあるか、それらの点について御所見を承りたいと思うのであります。
  23. 山添利作

    山添政府委員 元来政府が持つておりまする農地なり、あるいは山林、牧野等の開放につきましては、従来から規定があるのでございまして、新しく改正を加えましたものは、今まで政令にあつた部分を法律にするということでありまして、内容的にはかわつておりません。ただ河川敷等の場合におきまして、従来と違つた規定をしたのにとどまつておるのであります。それで政府の所有に属しまする土地開放が今まで円滑に行われていたかどうかということにつきましては、これは農地局とか、農林省とかというよりも、むしろ戰後におきまする食糧増産のためにする関係方面の強力なる指令がございまして、従つて旧軍用地等につきましては徹底した開放をいたしたのであります。ただ他省にまたがつておる問題、たとえば病院等が相当広い農地等を自分の土地として持つているというような場合におきましては、なかなか折衝に手間がとれるのでございます。しかしそれはごく局部的なことでございまして、大蔵省の所管の財産、並びに林野庁の所管の土地につきましては、今までといえども、そうひどく困難をいたしてはおらないのでございます。しかし林野関係につきましては、同じ農林省のことでございまするので、よく打合せをしてやつているわけであります。
  24. 石井繁丸

    石井委員 自作農創設の点については、最後に一言だけお伺いして終りたいと思うのでありますが、大体いろいろと山林の開拓によつて、すつかり日本の治山治水の体系がくずれたということが言われまして、開拓方面に当る農林省としましては、非常に大きな攻撃をこうむつたのであります。しかしながら世界各国の中で—と言うと少し大げさになりますが、日本ぐらい開墾といろものがまだ行きわたつてない国はないのでありまして、支那等におきましては実にこれがよく開墾されておる。あるいはまた南方諸域におきましても、未開拓と言われるところのフイリピン等におきましても、ユウガオの傾斜面というものを見ましても、実によくいろいろと開墾がいたされておりまして、そうして山林の必要な所には山林を残し、開拓できる所は開拓し、そうして防水その他、治水について、万遺憾なきを期するようにやつておる。最近農林省としましては、洪水等の責任が一切開拓の行き過ぎにあるというような非難攻撃を受けて、いろいろとその方面の努力と、またそれに対するところの主張が弱くなつておるというように考えられるのでありますが、それらの点につきまして、開拓局としましては治山治水というものとにらみ合せて、そうしていろいろな開拓計画が今後強く進められなければならないと思うのであります。十分のそれに対するところの所信と、そうして対策を持つて進めつつあるのであるかどうか。一応承つておきたいと思います。
  25. 山添利作

    山添政府委員 世間では開拓のために災害を誘発しておるのではないかという非難あるいは臆測が非常に多いのでございますけれども、元来最近における災害の多いことにつきましては、これは戰争中から治山治水の点について怠つておりましたということもございますけれども、何といつても今までになかつた豪雨が降る。雨の量が今までにないような大きいのが連続して毎年来ておるのだというところ根本の理由があるのでありまして、これが開拓との関係におきましては、全体的には治山治水上害をなしておるということは事実ないのでございまして、たとえば開拓によりまして大いに木を伐採いたしましたかというと、実はそうではないので、開拓地は九〇数パーセントが木を切りました跡を開拓する、こういうのでありまして、開拓のために木を切るというようなことはないのでございます。ただ開拓いたしますのにつきまして、気をつけなければなりませんことはあるのでありまして、たとえば九州の南部のような非常に火山灰でくずれやすいような地帶におきましては、これは開拓地の周辺に十分な林地を残す。あるいは排水の施設をいたしまして、がけがくずれて水が氾濫する、こういうがけくずれを起すようなことをなくするとかいうような注意は必要でございます。従つて元来開拓適地を取得いたしまするのにつきましては、適地選定基準というかなり詳細な文書といいますか、いろいろな観点からの基準を示したものがございまして、それに照し合せて選定をいたしておるのでありまして、その中には治水関係のことを十分考慮をいたしておるのであります。なおまた取得いたしました土地についても、災害関係につきましては、今申しまするように、排水の関係でありまするとか、あるいは周辺に林地を残すとかいうような注意を払いつつ、開拓を進めるのでございまするから、これが治山治水関係と矛盾を来すごときことはないというのが事実でございます。そういう細心の注意を払いつつ、開拓政策はこれは農政の基本的な、かつ恒久的な問題として進めて行きたい。こういうのが農林省の態度でございます。
  26. 石井繁丸

    石井委員 農林省の開拓方面に対する所見を承つて、開拓農民も非常に意を強くするものと思いますが、実際問題として、戰争中において過伐をいたしておりますそのあと、植林等をいたさないということが非常に大きな近来の水害を起しておるので、その原因は、開墾にあらずして、戰時中の濫伐、過伐ということが、あるいは無計画的な伐採というような点に歸着しようと思います。  国土の狭い日本といたしましては、非常に科学的な計画を立てるという点において、植林並びに開拓というものが正しく展開されなければならない。先ほど私質問いたしました、要するにこの規模ならば農業経営をやつて行く上において、開墾等が適正に行われて行つて、初めて農村土地というものも、ある意味の安定点が見出されるのであります。いろいろな非難等がありましようが、計画性をもつて進めていただきたいと思うのであります。  それから自作農の方の農地調整法の点に移つて二、三御質問いたしたいと思います。第四條の問題でありますが、土地の所有権の移動というようないろいろな問題につきまして、今後非常に問題が発生いたそうといたしております。農村経済の変化というような形から、土地という問題が一時変態的な形において、その耕作権を金のかたにとられるとか、あるいはまたそれを担保に入れて金策をするというような場面が非常に多く発生しようとしております。農地改革が完成した、あるいはやや終了に近ずいたという足元から、農地制度がまた崩壊いたしておるというような現象が見えるのであります。こういうふうな現象が、全国各地に起りつつあるというふうな状態につきまして、農地局としましては、いかなる対策を立て、また研究をされているか、この点を承つておきたいと思うのであります。
  27. 山添利作

    山添政府委員 その点は結局農政全般の問題でありまして、ひとり農地という面からのみ問題をながめたり、処理する問題ではないのでありますが、しかし農地自身の立場といたしましては、これはいずれ土地に対する金融というものは考えて行かなければならないというので、その施設を講ずべきことを法律の中に規定をいたしておるのであります。またそういうことの具体化は今後の問題でありまして、できるだけ早い機会に、金融の面についての制度を打立てたいと考えております。が、しかし石井委員のおつしやいますようなことは、だんだん農村不況が深刻化いたしますると、当然起り得ることでありまして、実はそういうことがないように、全般の農業政策、なかんずく価格に関する政策土地改良等に関する政策、その他価格と生産の増加、この両面にわたつて政策の拡充ということにつきまして、政府並びに国会におきまして、十分なる施策を講じていただくということが、根本だと考えておるわけであります。
  28. 石井繁丸

    石井委員 非常に今後そういう問題が発生しようとするのであります。そうして農地改革をした当時の一般のあの勢いも次第に消えて来る。こういうふうな状態におきましては、ある意味において、部落等におきまして、農業委員が農地改革の精神を十分了解しているというふうな意味におきましては、金のかたにやるから了解しようじやないか。こういうような便宜主義によつて土地というものがいろいろと耕作権移転の形において、移動をするという場面が多かろうと思うのであります。これを單純に市町村の農業委員会だけにまかしておくというようなことになりましては、相当の弊害が発生するのではなかろうかと思われるのであります。これにつきまして、一切市町村農業委員会の承認を受ければ、これでよろしいというような、單純な考えで済まされるものであるかどうか。その点ひとつお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  29. 山添利作

    山添政府委員 耕作権の移動につきましては、今おつしやるような場合もございましようが、それ以外におきましても、家族労働の変化というようなことで相当起り得るのであります。従つて原則的には農地調整法に規定しておりますがごとく、農地委員会の承認ということで、それ以上の制限を加えますことは不適当—制限と言いますか、それ以上手続等を重苦しくいたしますことは、実際に適しないと思うのであります。もし状況が一変いたしまして、何らかそこに非常におもしろくない事態が起るのだというようなことがございますれば、これはやはりその元にさかのぼつて対策考えるということが非常に必要になつて来るのでありまして、やはりただの手続という問題の範囲を逸脱するのではないか。従つてその場合に、今手続をかえるのだというような考え方は予想はしておらないのであります。しかし物事というものは、そのときの事情が非常にかわりますれば、それに即して考えなければなりませんから、もし万一そういうことがございますれば、その際また検討いたしたいという考えであります。
  30. 石井繁丸

    石井委員 四條の二項の第一号の点、但書の問題でありますが、土地が他に移るときにおいては、他の人がそれをとるということはさせないということになつておるのでありますが、但書に「当該土地ノ小作農ガ当該権利ノ取得ニ応ゼザル場合ニシテ、市町村農業委員会ガ命令ノ定ムル所二依リ其ノ旨ヲ証シタル場合ヲ除ク」こういうふうなわけになつて、何か小作者がその土地をとりたくないと言つたからというので、そういうときには他の者に所有権を讓渡さしてもよいというような規定ができておる。條文からしますと、まことにもつともで、その通りでありますが、実際はこういう條文に隠れまして、ある意味において押しつけをいたしてしまつて、そうしてむり押しをするようなことがよくあるのであります。こういうようなことができた場合におけるところの救済その他については、十分に対策を考慮いたしておるのであるかどうか、お伺いをいたしておきたいと思うのであります。
  31. 山添利作

    山添政府委員 むり押しつけといいますと、どういうことを言うのでありましようか。実は御質問の趣意がよくわからなかつたのでございます。
  32. 石井繁丸

    石井委員 ある小作者がつくつておるその土地が、例の所有権移動があるというような問題です。その小作者に売ると高く売れない。こちらにおいては非常に高く買手がある。そこで農地委員等がいろいろと、高く買いたい人、売りたい人等から運動を受ける。そこで今はお前ははんこを押して承認してくれ、こういうようなことが非常に行われるのであります。そこで今後におきまして、経済界の関係上、一方においては、その小作人が借金があつて、とても買うどころの騒ぎではない。一方においては、多額の金を持つてつて運動費等を使つても買い取ろう。こういう者が発生した。そこで法律上はそんな問題は発生しないわけでありますが、現実の問題として、そういうことが発生する、よほどこれらについての点を考えておいていただかないと、悪意に法律が運用せられるということができるのでありまして、法律そのものとしては、まことにけつこうにできておるわけでありますが、運営の面において非常に欠陷を露呈いたすのであります。そういうことについての考慮が払われているかどうかを伺つておきたいと思うのであります。
  33. 山添利作

    山添政府委員 この法律全体が農地委員会の制度を根幹といたしておるのでありまして、結局農地委員会の任務として、農地委員に選挙せられる方々に対する指導及び一般の農民諸君に対する啓蒙宣伝ということを徹底して参るというのが、基本的な考え方でございまして、一つ一つの事柄につきましてこれを農地委員会以外のものが、何らかこれをチエツクするというようなことは、煩にたえないのと、やはりこれは全体に対する啓蒙宣伝及び特に農地委員会の委員の皆さん方に対する、指導ということの徹底を期するというのが、われわれの基本的な考え方でございます。
  34. 石井繁丸

    石井委員 私として非常に心配するのは、最近農林省農地局その他が非常に退嬰的になりまして、農地開放をした当時におきましては、いろいろと啓蒙宣伝等にも努力いたしまして、その趣旨の普及徹底等をくまなく行いました。そうしてまた農村下部属にもこれが徹底しておつたのであります。最近も農地改革や何かを努力するというと、その思想というものは、どうも何となく自由党内閣に好ましからざるところの思想の所有者のように考えられる。そんなわけで、農地改革のその局に当る者も、実際の実情は大いに今後啓蒙宣伝に努力をしなければならぬということを知つていながら、何となく退嬰的な気分になつて来る。こういうふうに思われるのであります。しかしながら農地改革というものは、実際日本の民主化の基本問題であつて農林省農地局方面の人が退嬰的にならないで、大いにただいま申されたように、啓蒙宣伝その他におきましても努力を払つてもらう。かような法の裏をくぐつて、間違いが起ることがないように努力を願いたいと思うのであります。  それから第五條の二以下は、今度新しく設けられまして、そうして今後新たに発生するところ買収対象の土地というようなものの、買収規定ができておるのであります。これらの法律を適用いたして行くということは、いろいろと農地委員会といたしましても相当の仕事の分量になろうと思うのであります。こういう法律を万遺憾なく適用いたして行くということになりますと、いろいろな手続上その他につきましても、相当の努力と、相当の研究等が必要であろうと思いますが、これらの點につきまして、五條の二以下が万全に行われることについて、いろいろな町村の農地委員会あるいは農林省農地局等につきましても、適当なるところの処置がとられておるのであるかどうかという點について、伺つておきたい。
  35. 山添利作

    山添政府委員 五條の二以下は、條文としては、なかなかむずかしいことははなはだ遺憾に思うのでございますが、内容的に申しますと、従来の自作農創設特別措置法と実際はかわらない。ただその間政府が脱けたというだけでございます。事実やつてみますれば、これはちよつと読んで感じるほどむずかしくはないと思つておるのであります。しかしそれにいたしましても、啓蒙宣伝等十分力を盡すべきことはもちろんでございますが、国会が通過いたしません前にそういうことをやりますことは、これはまたいけないのでありまして、国会において幸い成立いたしますれば、十分力を盡したいと考えております。
  36. 石井繁丸

    石井委員 第五條の二十一、最後でございますが、政府農地取得のために必要な資金を貸す、これは前の自作農創設資金というような形で行われるであろうと思うのであります。これについては、どんなような措置がとられ、どんなような予算等が組まれておるのであるか、政令をおつて定むということになつておりますが、大体の概要をお知らせ願いたいと思います。
  37. 山添利作

    山添政府委員 この金融措置につきましては、まだ具体的なことは未定でございます。ただ御参考のために二十四年度の予算編成当時の事柄を申しますと、現在自作農創設特別措置自作農創設特別会計というのがございます。この特別会計の機能を拡張いたしまして、そこで借入金をいたしまして、その特別会計から金を必要とする人に貸付をする、こういう案を立てましたのであります。そのことにつきましては、実は日本政府部内におきましては、そういう案であつたのでございますけれども、関係方面との折衝におきましては、これは非常に重要なる問題であるけれども、現在ございます特別会計をそのまま拡張して行くということについては、同意しがたいというようなことがございまして、遂に実現をしなかつた。引続いてこれは重要な問題であるから、関係方面とも特に相談しよう、こういうことになつておるわけであります。
  38. 石井繁丸

    石井委員 五條の二十一、ただいまの問題でありますが、いろいろとひとつ政府としましても対策を立てて、万遺憾なきを期してもらいたいと思います。  それから、第六條の二でありますが、農地価格の問題であります。農地価格の點について、ただいまの公定価格が少し安いということが言われておるのでありますが、そこで今度はいろいろな問題になりますと、例の固定資産税に現われたところ土地価格というような問題が出て来て、これが一つの農地価格の今後の基準になるのではないか、こういうことも言われておる。しかしながら、あの価格が非常に高い価格であつて、これらの土地をあの価格措置するということは、非情に農家経済を苦しめるというような場面が、事実上あると思うのであります。大体農地の取引というものは、今まで農地というものが経済価格で取引されないで、実際問題は、土地を持つということがある意味においての自慢になるので、採算を無視して、金をためた人がむりに買うというような形において、土地価格というものは、経済採算を越えて、非常に高くなつて来ているということが考えられるわけであります。そこで、この六條の二の、農地価格土地を取得する自作農経営を安定せしむることを旨とするというように規定されておりますが、その線は一体どの辺でお定めになるのか、一応承つておきたいと思います。
  39. 山添利作

    山添政府委員 固定資産税によりますと、あの評価価格は賃貸価格の九百倍といたしまして、一万七千円くらいになるのであります。これはシャウプ勧告によりますと、昭和二十七年十月一日からは農地の公定価格と、それから固定資産税をかけます基準たる価格とは一致する、こういう経済上矛盾のないところに持つて行くということが想定されているのであります。しかし現在の経済事情におきましては、税は税、こちらの公定価格は公定価格という、離れ離れの状況であるのであります。これはそれぞれの要求が違いますがゆえに、やむを得ないことと考えているのであります。そこで農地価格をいかにきめるか、理論的には、抽象的ではございますけれども、第六條の二の初めに書いてある通りでありますが、さしあたり、それではこの法律が国会を通過いたします場合に、いかにきめるか、これもまだ政府におきましては、最終的な結論は得ておりません。いずれ中央農地委員会議に諮問をいたしまして、その意見を参酌して決定するつまりでございますが、大体小作料の方は、昭和二十五年度分につきましては、現在の七倍にする予定になつております。七倍と申しましても、その中身は、これは固定資産税ですが、三倍以上は税金であるという、大体そういうことになつているのであります。その倍数等から常識的にお考え願うというのが現在の段階でありまして具体的には、地方農地委員会意見等も聞きまして、きめて行きたいと思つているわけであります。
  40. 石井繁丸

    石井委員 そうすると、大体小作料は七倍であるから、土地価格も大体そんなところ、かように推察いたすのでありますが、一応常識的にかように承つておきます。しかしながら実際の土地の売買ということは、先ほど述べました通りに、経済その他を無視されて行われるのでありましてこういうことについて、非常に農地委員会等が努力を払い、監視の目を払わないというと、農地制度はこの線から崩壊するというような事柄があるのでありまして、これらの点については、十分なる御対策をお願いしておきたいと思うのであります。  第九條の三ですが、これはいつも問題になつているのでございますが、農地改革等によつて、今までは、小作地の取上げというような点が農民運動等によつて阻止されておりまして、農民農地が守られておる。ところ農地改革等が適当に行われている所におきましては、大体において万遍なく、お互いに公平に農地開放される。それから小さな小作人等は全部土地開放されるように仕組まれて来たのでありますが、逆に行つた所においては、過小農家の小作地が大体開放されないで、有力な小作人の方が開放されておるというような現象が、各地に多く現われて来ております。そして悪いことに、過小農家の小作人に預けられた小作地は、大体において困つたところの地主、非常に弱いところの地主、いくらか土地を返してもらわなければ困るような地主の土地が残つておるというのが、非常にたくさん現われて来ておる。こういうような状態が各地に非常に多いときにおいて、今度は知事の認可ということがなくなる。それから農地改革の推進力であつたところ農地委員会農業調整委員と一緒になつたり、食糧調整委員と一緒になつて、そして農業委員会というような形になつて来るとしますと、焦点がぼけて来る。そういうような形になると、このときとばかりに、九條三項による小作地の取上げ頻が発する危險性があろうと思うのであります。実際問題として、何としても農地開放の勢いの強いときは何だから、二、三年待つて適当のときにひとつ土地を取上げようという考えを持つている人が、相当多いのでありますが、今度の農地委員会農業委員会というものになつて食糧供出その他と一緒になつて弱体化されるというようなときに、知事の認可権を今度は市町村の農業委員会の方へまかせるというようなことになりますと、そういうような禍根が、弱点が非常に問題を頻発せしめるようになろうと思うのでありますが、これについてさようなことはなく、万全なる措置が講せられると思われますかどうか、農地局長の御意見を承りたいと思います。
  41. 山添利作

    山添政府委員 この関係につきましては、法律の本則としては農地委員会の承認でありますが、ある政令で定められる時期までは都道府県知事の許可ということになつておるわけであります。昨年の暮れに省令を改正いたしまして、本年末までさらに知事の許可ということにいたしたのであります。これはそのときの状況を見なければいかぬのでありまして、私どもはこういう程度の事柄につきましては、市町村農業委員会がしつかりいたしまして、信頼をして、誤りがないというような時期が早く来ることを望んでおるのであります。そういうただいまお述べになりましたような心配が非常に多いということでありますれば、本年の末になりましてさらに考えて、必要があれば期間をも延長する。しかしなるべくならそういうことがなくてやつて行けるということを希望いたしておる、こういうわけであります。
  42. 石井繁丸

    石井委員 これは前から制定された法律でありますけれども、第十四條の三というのがあつて、これは薪炭、採草地についての使用権の設置というので、この法案が出たときはまことにけつこうな法案で、われわれとしてもまことにけつこうな措置であると賛成いたしておつたのでありますが、その後におきまして、この法案が実際に適用されている場面が少いというような、特にこれが山の多い所の地帶において、適用が十分でないというように批判されておるのであります。実際に十四條の三の運営において、どのような効果があるかどうか、これを具体例に基いて御説明願いたいと思います。
  43. 山添利作

    山添政府委員 十四條の三の規定は、現在まであまり適用されておりません。その理由といたしましては、個有の意味における農地改革の仕事があまり忙しいので、他の方面に力を盡す余裕がなかつたということも、一つの理由であろうかと思いますが、同時にまた山林原野につきましては、何らかの形において広く利用されているというのが実際でありまして、こういう落葉をとらせるとかいうような権利が、まだ全然ないような山林原野は非常に少いじやないかというような事実になつているようであります。そこで問題は、そういう山林原野を利用しますについての條件、また必要があればこれをある既存の人にだけの濁占というと言葉が強いのでありますが、既得権一点ばりということでなく、これを合理的に、共同的に使用するような、何らか新しい考え方をすることが問題になつて来るのであります。今後だんだん物がきゆうくつになるに従つて、あるいはこういう問題も起りやすいと思うのであります。その場合におきましては、問題を取上げて、指導に適正を期したいと考えております。しかし現在までのところ、この規定はあまり活用されておらないというのが実情であります。
  44. 石井繁丸

    石井委員 農地局長意見は逆のように考えられるのでありまして、実際は必要はあるのだけれども、山林地帶においては山主の力が強いので、なかなかこれを認めないというのが実情なんです。そこで宣伝普及と指導を十分にやらないとなかなかこの実現ができないというのが実情であろうと思う。下の落葉の採取という点が、相当多額な金額になつているので、やりきれないというふうな意見は、山村地帶においては非常に聞く声でありまして、必要がないからなかなか適用があまりないのだろうというなことでなくて、山村地帶においては、山の持主の勢力が非常にある関係上、この法律の運営がなかなか行われておらないという点に着眼されまして、普及宣伝をいたしまして、この法律の趣旨の実現を期していただきたいと思うのであります。  大体いろいろな問題につきまして質問いたしましたが、また本條文の趣旨はこまかにできているので、いろいろな点につきまして、御答弁を願つたのですが、最後に一点だけ質問いたしておきたいのであります。  これは本来農林大臣がおつて答弁すべき筋合いであろうと思うのでありますが、大体に食糧問題にしても、供出問題にしても、まだ海のものとも山のものともつかないというのが実情であります。先ほど申したように、アメリカ食糧輸入ガリオア資金がとめられたとすると、日本食糧がどういうふうに輸入されるかというようなことの見当がつかない。そこで一たび凶作等があれば、食糧供出問題等がまた相当大きな深刻な社会問題になろうと思われるわけです。ある意味において食糧問題は解決したという安堵の考えがある。この食糧供出その他を担当するのが農業調整委員という立場だ。ところがまた農地の方におきましては、土地の交換分合等が問題になつており、あるいはまた先ほど質問したいろいろな点につきまして、現在の農地委員が、別な分野におきまして努力をしなければならぬ場面が非常に多い。こういうふうに考えられるわけであります。食糧問題並びに農地問題、どちらにしましても、その委員の活動分野が非常に多く、特に今後土地の取上げ問題等をめぐり、今までの農村経済が安定とまでは行きませんが、ある程度やみによつて生活できたのと違つて、非常に深刻な問題が現われて来る。一反の土地を取上げられれば、自分の農業が壊滅するという、土地問題をめぐつての争いが非常に多くなつておる。こういうわけで、農地委員会の現在の仕事は、ある意味においては、質はかわりましようが、相当に多くの分量を含んだところ委員会になろうと思うのであります。それを食糧問題はもう解決がついてしまつた。それから農地開放はもう終つてしまつたというような気持で、これを一本にして、農業委員会で簡單にきまるものだ、こういう立場から統合が立案をされて来ておるのでありましようが、しかし今述べた通り食糧問題、農地問題について、相当に大きな困難が前途に横たわつておる。ここで安易な考えから、こういうふうに一本にまとめて、簡單にやつて拔けるというふうなことで、ほんとうに現在の開放された農地を確保し、また今後におきまして欠陷を是正して、正しいところ農地行政ができるかどうかということについての、事務当局側の御意見を承つておきたいと思うのであります。
  45. 山添利作

    山添政府委員 これは安易な考えから二つのものを一つにしたというのではないのでありまして、元来農地の問題及び食糧割当等の問題は、農家にとつて一番緊切な基本的な問題であります。かつそれは双方に関連をしている問題であるから、農家代表の一個の委員会において、統一的に相互関連性を持つて処理するというのが、少くとも理想としてはよろしい、こういう点から出発をいたしておるのでございます。ただいろいろ事務の分量を考えますると、いずれの時期がよろしいかということがございますが、一方財政上の事情等もございまして、二十五年度からこういう態勢に持つて行くことになつたのであります。ところがその後、こういう構想をきめましたときから見ますと、食糧事情の方はさらに変化を来しておるのであります。食糧統制の形態が今後いかようになりますか、おのずから適当なところに行くと思いますが、いずれにしましても、供出について従来のようなむりをするということは、もう避け得る状況にあると思うのでありまして、そういたしますれば、元来根本趣旨として一つの委員会で扱うのが適当な仕事であり、また事務上からいたしましても、まずさしつかえないのではなかろうか、こう考えておるのであります。一つの委員会によつて問題を農家立場から取扱つて行く。このことに支障は来さない。むしろ恒久制度としての農地委員会はこういう形に発展をして、ひとり農地の問題だけでなくて、農業関係の緊切な問題は、この委員会が推進をするようにして行くことを期待しておる、こういうわけであります。
  46. 石井繁丸

    石井委員 いろいろ細部にわたつて質問をいたしまして御答弁つたのでありますが、実際の問題につきまして、農地改革は終つた、並びに食糧供出問題はもはや難関は通り拔けて平坦地に出たというような考えから、いろいろの社会情勢から見て、これで行つてさしつかえない、こういうお考えでありますが、われわれとしましては、農地に対して十分な対策を立てて、農地委員会あるいは農業調整委員会というような二本建の場面から努力をいたさないと、いろいろな破綻を見ようと思う。せつかく日本において、ある意味においては世界的な成果を収めたところ農地改革でありますが、しかし改革の成果を上げても、それがたちまちに倒壞いたしたのでは何らの意義がない。問題は改革をしたということより、どうしてこの制度が長く持続せられるかということが一番大切なことなんです。改革は時代の勢いによつてできるが、しかしながらその成果を持続するということは、恒常、不断の努力が必要である。ある意味におきましては、その方が改革をするよりはなお困難を伴う問題ではなかろうかと考えられるわけであります。農林省としましては、大体もうこれで仕上つたといつて安堵しておりますと、ただちに今までの努力が水泡に帰する。そうしてまた骨のような土地制度ができるということは、日本の民主化ということにつきましても、非常に国際的の疑惑を抱かれることになろうかと考えられるのであります。單に事務上の問題、あるいは單に今までの計画が達成せられる、こういうようなことに拘泥せず、どうして今後この制度が維持できるかということに、最大の努力が払われなければならないと思うのであります。われわれとしましては、まだ食糧問題、あるいは農地の交換分合、その他いろいろな点におきまして、不十分な点、あるいは非常に問題が残されておるときに、かように一本に統合して、そうしてこれを仕上げるという気持になることは、はなはだ遺憾であります。農林省としましても、かような法案がいかなる結果になるかということにつきましては、万全なる注意を払つて、もしこれが不適当だとすれば、またただちにこれを改めるというような気持を持つて、十分な対策を立てていただきたいと思います。これをもつて私の質問を終ります。
  47. 山村新治郎

    山村委員長代理 本日はこの程度にとどめまして次会は明二十日午前十時よりすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時八分散会