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1950-04-05 第7回国会 衆議院 農林委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月五日(水曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長代理理事 山村新治郎君    理事 野原 正勝君 理事 八木 一郎君    理事 井上 良二君 理事 小林 運美君    理事 山口 武秀君 理事 吉川 久衛君       青木  正君    足立 篤郎君       遠藤 三郎君    小淵 光平君       河野 謙三君    寺本  齋君       中村  清君    原田 雪松君       渕  通義君    山本 久雄君       足鹿  覺君    石井 繁丸君       小平  忠君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (農地局長)  山添 利作君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 四月四日  肥料取締法案内閣提出第一五四号)  地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、  動植物検疫所出張所設置に関し承認を求める  の件(内閣提出承認第四号)(予) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法  律案内閣提出第一四五号)  農業用補償物資に関する件     —————————————
  2. 山村新治郎

    山村委員長代理 それではこれより会議を開きます。  議事に入ります前に、議案が付託になりましたから御報告いたします。昨四日内閣提出による肥料取締法案付託になりました。また同日地方自治法第百五十六条、第四項の規定に基き、動植物検疫所出張所設置に関し承認を求めるの件が予備審査ため委員会付託となりました。以上御報告いたします。  この際足立委員より発言を求められております。これを許します。足立篤郎君。
  3. 足立篤郎

    足立(篤)委員 私は現在全国農村におきまして、重大な問題になつています昭和二十四年産米及びかんしよに対する報奨物資滞貨に関しまして、その善後措置の問題について、政府に対する要望書をここに上程いたしたいと存ずるわけであります。この要望書は、本委員会に席を連ねております各党各派の諸君とお打合せいたしまして、まつたく一致した要望でございまして、ひいては全国農民の熱烈なる希望であることを、まずつけ加えておく次第でございます。  最初に要望書決議文案を朗読いたします。   昭和二十四年産米及び甘藷の供出に対する報奨物資は、その制度の本質にかんがみ、報奨趣旨に合致する価格まで値引きすることが妥当であると思われるから、政府はただちに右報奨物資値引き並びに荷受機関たる農業協同組合に対する融資措置を講ぜられたい。右要望する。  簡単に御説明申し上げます。申し上げるまでもなく、二十四年産の米及びかんしよに対する報奨物資は、五十二億余の多額のものが放出されておるわけでありますが、その後消費税あるいは物品税等の廃止と、繊維の政府放出による価格の暴落によりまして、市価との著しい均衡を失しまして、今日なお四割余にわたります二十億以上のものが滞貨をいたしておるわけであります。これに伴いまして、全国荷受け機関たる農業協同組合関係を主といたしまして、金融問題に非常な困難を加えまして、これがために、さなきだに農村金融逼迫ために困窮しております農業協同組合経営を脅かし、全国的な大問題になつておりますことは、申し上げるまでもないことであります。私どもといたしましては荏苒この窮状を看過することはできないのでありまして、これが善後措置につきましては、政府はあらゆる努力を払いまして、一日も早く急速なる処理を遂行されて、解決をはかられんことを希望する次第であります。この解決にあたつては、まず大前提となるべき問題といたしまして、特に申し上げたいと思いますことは、これが従来の低米価主義の裏づけとなるべき報奨物資であるという点でありまして、この点は特に強調いたしたいのであります。従来統制経済が非常に強度に行われておりました時代には、この報奨物資によりまして、確かに農民は相当な潤いを生じ、非常に日常の作業にも困つておりました作業衣、地下たび、その他の物資を、報奨物資として受取ることによりまして、農業生産もどうやらやつて参つたのでありますが、今回のこの報奨物資放出状況を考えますと、先ほど申し上げたような急激なる経済界変動、あるいは税制の変革によりまして、農民はまつたくやつかい物を背負い込んだというような状況になつておりまして、これでは何のため報奨物資であるか、報奨という字句の本義を滅却するものであると存ずるのであります。なお現在非常な犠牲乏しいられて、再生産を償うになお足りない米価のくぎづけ、この犠牲にあつております農民にとりましては、これごそまつたく政府の政治の真意を疑われる問題ではないかとさえ、私は考えるわけであります。この問題を大前提として大きく取上げておきまして、あくまで出した物資は、報奨という意義を貫く趣旨におきまして、完全に農民に引取らせる。どうしたら農民が喜んで、報奨という気持でまともに受取つて、この品物受取り得るかという措置を、考えていただきたいと思うわけであります。  具体的に申し上げますと、第一に、税金あるいは値下り等を考慮いたしまして、さらに報奨という意味を含めての値引きをぜひ敢行していただきたい。これがためには少くとも三割以上の値引きを実施していただきまして、政府としては十五億程度の負担をここに財政支出を明確にして、この取扱いはつきりと処置していただきたいと、お願いするわけであります。  第二は、値引きは単に滞貨しております。先ほど申し上げた二十億余りのものだけではなく、すでに売渡しを完了したものまで、はつきりと値引きしていただきたいと思うわけであります。それは今大前提と申し上げた、報奨物資意義を貫くためには、受取つたものはもうそれでいいのだという扱いでは、いかにも農民を愚弄した話であります。たまたまこの報奨物資受取りました時期は、先ほど申し上げた税金その他の経済界変動の最中でありまして、善良なる農民は、政府を信頼して、今までの例によつて報奨物資はありがたいものだという気持で、無条件で受取つた農民、この世間を知らない農民の、善良なる気持に対処するためにも、すでに受取つたものに対しましても、政府値引きする道徳的な義務があると、私は確信するのであります。  第三には、以上の値引きをいたしますその値引きに相当する資金は、緊急に荷受け機関であるところの農業協同組合へ、直接政府融資をする措置を講じていただきたい。これは政府資金を直接貸すことは不可能かと思いますので、預金部資金預託等によりまして、農林中央金庫を通じて貸出す方法をとりまして、今日手形の不渡りの問題等によつて、まさに危殆に瀕しております農業協同組合を、少くともこの報奨物資をめぐる問題につきましては、ぜひとも緊急に解決する義務が、政府はあると考えるわけであります。聞くところによりますれば、去る三月三十一日の閣議におきまして、卸売業者の方に金融をして、滞貨になつている品物をもどしたものについての金融をするという措置が決定を見たようでありますが、私どもはなはだ遺憾に存ずる次第であります。卸売業者の方に対しましては、荷受け機関たる農業協同組合から手形が振り出されているのが大体の例でありまして、これはすでに金融機関に対して割引を実行し、卸売機関の方は大体において金融的には一応の始末がついているやに、私どもは観察いたしているのであります。追究されますのは農業協同組合であるわけであります。また現実に荷物をかかえ込んで困つておりますのは、荷受け機関たる農業協同組合であるという、この事態に即しまして、金融措置を的確にやらなければ、この窮状は打開できないと私どもは考えているわけであります。政府におきまして、以上申し上げました大前提と、さらに具体的な三点につきまして、緊急に適当な措置をとられて、解決されんことを要望する次第であります。  以上簡単でありますが、要望書に対する説明を終ります。
  4. 山村新治郎

    山村委員長代理 それでは足立委員提出によりまする、供出報奨物資に関する動議の採決を行います。本動議通り政府要望するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山村新治郎

    山村委員長代理 御異議なしと認めます。それでは全会一致をもちまして政府要望するに決しました。  この際坂本農林政務次官より発言を求められております。これを許します。
  6. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま本委員会におきまして御決議になりました、報奨物資についての御決議でありますが、この扱い方につきましては、過般来本委員会においてもしばしば経過をお話し申し上げ、御了承願つてつたのであります。しかしながら政府といたしまして、全面的に皆様方の御意見の通りこれを決定することはなかなか困難でありまして、まことに時日を経過いたしましたことを遺憾に存ずるのでありますが、ただいまの御決議趣旨もございますので、なお関係各省ともさらに連絡をとりまして、急速に御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えている次第であります。     —————————————
  7. 山村新治郎

    山村委員長代理 それでは次に自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案を議題といたしまして、その質疑に入ります。
  8. 山口武秀

    山口(武)委員 自作農創設特別措置法改正法律案と、なお協同組合関係改正法案が出ておりますので、その質疑にいよいよ入るそうでありますが、この二つ法案は戦後の日本農村にとつて農村のあり方を決定する根幹をなすものであります。この法の趣旨はきわめて重大なわけでありますが、実は私この法案審議に入る前に、なお農政一般に対する件について、質疑の順番がまわつて来ないのであります。これはうかうかしておりますと、今回の国会が終つてしまいますし、そうなつたのでは、大分問題が困つて参ります。なお政府農政一般に対する見解をお聞きしておかなければ、この法案審議にも支障を来すという状況になりますので、私はこの自作農創設特別措置法改正法案に対して、いろいろ質疑をしたいことがあるのでありますが、その前に、とりあえず農政一般に関連いたして、一点だけお聞かせおきを願いたいと思います。長い時間はお聞きいたしません。ひとつ御了承を願いたいのであります。  これは先だつて他の委員からも問題にされたのでありますが、政府の方の農村の現状に対する認識の問題と、一体農民をどのように考えているかという点についての、見解を明らかにしていただきたいわけであります。その見解が明らかになりませんと、この二法案審議に基本的な態度が定まつて来ないのであります。あるいは政府の出される意図というものが明瞭になつて来ないのです。これは森農林大臣はいつも申しておりますが、日本農村農業恐慌がないということを言つておる、この点が一つであります。ところが、国民一般農業恐慌がきわめて激しい形で深化しつつあることを感じている。数字をあげて申し上げてもよろしいのでありますが、それでは時間もとりますので、その点は省略いたしたいと思います。しかしながら現在の消費者大衆購買力の激減という問題、これはほかの理由でもありません。吉田内閣施策ためにこのような状態が起つておるのです。そういうところから来る相対的な過剰生産というような現象が見られている。そういうような状況で、現在の農村恐慌というものが深化しているにもかかわらず、この農業恐慌を認めないというようなことを、森農林大臣は盛んに繰返しておりますが、これを認めないとするならば、一体どこに根拠があるのだろうか、ここで考えられますのは、一体政府は、やはり農民奴隷という立場からものを見ておるのではないだろうか、このように農民奴隷という立場からものを見れば、これは大いに問題がある。そういう観点から、今回のこの二つ法律案審議するならば、きわめて重大な問題があるので、とりあえずこの点に関する御見解を承つておきたいのであります。
  9. 坂本實

    坂本政府委員 今いろいろ世間で言われております農業恐慌ということに対します見解を、農林大臣が議会において述べられておるのでありまして、これはひとつ農林大臣出席の際に、農林大臣の方に十分ただしていただきたいと存じます。ただ本日は農林大臣は余儀ないことで、実は出席いたしかねておりますが、必ず出席してもらうことに私も努力をいたしますから、その機会にまた十分お尋ねをいただきたいと思います。決して私たちが今日の農業政策を等閑視しておるのではないのでありまして、私たちといたしましても、経済事情変化等に伴います農村、農家の経営の安定なり、あるいは農村経済をいかにすべきかという点につきましては、日夜苦慮いたしております点でございます。詳細な点につきましては、大臣出席の際に御質問を願いたいと存じます。
  10. 山口武秀

    山口(武)委員 農林大臣にお聞きしておるのなら問題は何もない。今国会が開かれてからこれまで、農政一般に対する質疑をしたいしたいと思つて、何べんも前から待たされている。ところがこの二法案審議が始まるというので、私は急に聞かなければならなくなつた。それからなお農民を一体どのように扱つておられるのか、これを奴隷という立場から見ておられるのかどうかという点に対する御見解を、明らかにしてもらいたい。この点を共産党の見解だというようなことを言いますが、そうではありません。農民奴隷地位に置いておるということは連合軍言つたのです。そのような地位にあるから、これを農地改革農業協同組合二つの線で農民生活向上をはかる。この生活向上をはかるというのは、けちくさい保護政策というようなものでやつておるのではなく、それが農業革命に進まなければならない。そういうような観点から問題を出して来ておるはずです。一体そのような観点からものを見ておるのか、もし現在の農民立場というものをそのまま肯定するとしますならば、これは戦前農民立場をそのまま認めておられることと同じなんです。これはやはり農民奴隷として規定するというようなことになると思います。だからこれに対する見解を明らかにしてもらいたい。こういうように言うのです。お伺いしたい。
  11. 山村新治郎

    山村委員長代理 山口君ちよつと申します。今の御発言のうちに幾らか不穏当なお言葉があるやに感ぜられる点もございましたので、速記録を調べてそのような点がありましたら、委員長においてしかるべく善処いたしますからどうぞ……。
  12. 山口武秀

    山口(武)委員 その点はけつこうなのですが、農民解放の指令で明らかに連合軍日本農民奴隷的な地位にあるということを言われておる。その点に関する問題です。([それは過去だ」と呼ぶ者あり)だから過去と現在のどこが違つているかということ、それを明らかにすることです。
  13. 坂本實

    坂本政府委員 終戦後におけるわが国は、着々民主主義国家に切りかえられつつあるのでありまして、このため歴代内閣におきましてその努力を傾倒いたしております。従いまして、私たちは今日の農村あるいは農民というものを考えます場合にも、どこまでもその人格を尊重をいたしております。また施策の面におきましても何ら選ぶところはないのであります。ただいま何か階級的な考え方を持つておるようなお考えでありまするが、さようなことは毛頭ございませんので、この点は御了承願いたいと存じます。
  14. 山口武秀

    山口(武)委員 この問題は私は階級的な問題であるとか何とかいう言葉で片づけることではないと思う。今坂本政務次官言い方は、へぼ文学者言い方ですよ。そんなことではなくて、一体それが民主化されてかわつているとするならば、農業経営でどのような発展の形態が行われて来たか、農業生産力そのものがどのような発展を見せて来ているのか、それからそれに従つて農民生活向上はどのように現われて来ているのか、それに対する説明がなくては納得が行かないことです。それに対する説明ができないような状況にあるのではないか。そうだとするならば、やはりこれは戦前における農民地位をそのまま容認することになる。農民奴隷としてのかつて立場から見ることになりはしないか、こういうふうに私は聞いているのです。
  15. 坂本實

    坂本政府委員 農業者農業者商業者商業者工業者工業者、それぞれの立場におきまして、日本の再建に努力をいたしておるのであります。もちちん経済情勢は刻々変化をいたすのでありまして、いろいろな自体も起ろうかと思いまするが、戦時あるいは戦後におきまする農民の方々の国家にお尽しいただきました御努力に対しましては、深く敬意を表し、今後また経済情勢変化によりまして、いろいろ農村経営の模様もかわつて来ると思いますが、これらに対しましては十分保護育成の道を講じて行きたいと考えております。
  16. 山口武秀

    山口(武)委員 農林次官の言つておられることは何のことだかわかりません。そういうことではなくて、農業生産力発展が行われるような形において、現在の農村は行つておるかどうか、この点をお聞きしているのです。お答えができないなら私もこの程度質問を打切つておきましよう。
  17. 山村新治郎

    山村委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後一時半より再開することにいたします。  暫時休憩いたします。     午前十一時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  18. 野原正勝

    野原委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  本日午前中に農林大臣出席を要求したのでありまするが、いまだその出席がありませんので、本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時四分散会