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磯邊政府委員 今の問題はむずかしい問題でありますが、今
お話のように終戦後の
日本経済というものが、非常な勢いでかわりつつあります。また
日本農業の置かれておる環境というか、ことに
世界農業との関連ということも、だんだんむずかしい問題にな
つております。
従つてこれをどう持
つて行くかということは、今御
指摘の
通り、
学者によ
つて意見が違うということも十分
承知いたしております。しかしながら、こういういろいろの
意見の違いはありますが、大局的に大きな筋を考えますと、
日本の
農業の
生産力を
日本の
農業の
実態に即して伸ばして行く、こういうことに盡きるのではないか。ただこういう大きな線を申し上げますだけでは、
学者の
意見としてはともかくといたしまして、
研究業績あるいは
研究の結果を、
農家に
普及いたしまする
行政を担当しております部局といたしましては、そういう抽象的なことでは許されないのであります。
改良局といたしましては、こういう大
方針を実現いたしますためには、申すまでもなく、
農業というようなものはその
土地土地の事情に立脚しなければならないのでありまして、ある先生が申されるように、
酪農がよい
といつても、どこもかしこもよいというわけに行かない。また
酪農はだめだと
言つても、ある
土地によ
つてはこれによ
つて救われる
土地も少くないのであります。
従つて今
研究しておりますことも、まず私
どもは
日本の各地方におきますところの、
農業の
立地條件というものを十分検討いたしまして、
農業の
地域区分というものを確立しよう。そうして今までの
試験研究なり、
普及の
行政が、ややともすると、
行政区画を單位として画一的にやられてお
つたのを、その
立地條件を勘案し、あるいは
農業地域区分に立脚して、的確にや
つて行きたい。かようなことで
農業地域区分を
経済関係で今進めております。あるいは
農業生産力を伸ばすと申しましても、どの
方向に伸ばすかという問題もあると思いますが、これも
稻作の
生産力を伸ばすということも大切でありますが、それと同時に
日本六百万町歩の半分を占めまする
畑作の
生産力を伸ばすということも、むろん大切であろう、また耕地の拡張ということも大切であります。
開拓の問題も大切でありまして、それから
農業をやる基盤であります
土地の
條件を改める、
土地改良という問題も大切であります。いろいろ問題はわかれるのでありますが、大きな線は、
日本のその
土地々々の
立地條件に対応して、
農業生産力を伸ばす。そういう線でいろいろの点を
調整しておりまして、今までの
試験研究は、ややともすると
畑作に片寄り過ぎておるのではないか。
稻作の
試験研究と育成ができるように、また他の畜産であるとか、あるいはそういうものを伸ばして行きたい。要するに
日本の新しい
條件に即応しまして、
調整のとれた、つり合いのとれた
試験研究をやりたいと、かように考えていろいろな
計画を立
つておるのであります。