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1950-02-28 第7回国会 衆議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十八日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君   理事 八木 一郎君 理事 藥師神岩太郎君    理事 山村新治郎君 理事 井上 良二君    理事 小林 運美君 理事 山口 武秀君    理事 吉川 久衛君       青木  正君    足立 篤郎君       安部 俊吾君    宇野秀次郎君       遠藤 三郎君    河野 謙三君       原田 雪松君    平野 三郎君       渕  通義君    村上 清治君       守島 伍郎君    足鹿  覺君       石井 繁丸君    大森 玉木君       坂口 主税君    高田 富之君       横田甚太郎君    寺本  齋君       中垣 國男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農 林 技 官         (農業改良局         長)      磯邊 秀俊君  委員外出席者         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 二月二十四日  委員池田峯雄君辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十七日  中央卸売市場法改正陳情書  (第四六五号)  農業災害補償事業強化に関する陳情書  (第四七二号)  肥料配給公団制改革陳情書  (第五〇五号)  酪農業危機対策に関する陳情書  (第五〇九号)  農家飯米保有量並び転落農家飯米配給改善  に関する陳情書  (第五一一号)  治山治水対策の確立並びに災害復旧及び土地改  良事業促進陳情書  (第五  一四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員会設置に関する件  肥料配給公団令の一部を改正する法律案内閣  提出第五号)  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第五六号)  農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を  除外する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第五七号)     ―――――――――――――
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより会議を開きます。  この際、畜産小委員会設置の件についてお諮りいたします。畜産農業経営改善食糧増産等の見地から、その必要性はますます増大して来たのであります。つきましては、畜産の振興及びこれに関連しての種々の調査を行うため、小委員会設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは設置することに決しました。  なお本小委員会の小委員の数は十名とし、小委員及び小委員長委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。   それでは    安部 俊吾君  遠藤 三郎君    原田 害松君  平野 三郎君    出村新治郎君 小笠原八十美君    井上 良二君  大森 玉木君    横田甚太郎君  吉川 久衛君以上、十名の方々に小委員を指名いたします。なお小委員長は、不肖私が兼ねるとといたします。     —————————————
  5. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それでは農業災害補償法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を除外する法律の一部を改正する法律案一括議題として、その質疑に入ります。足立篤郎君。
  6. 足立篤郎

    足立(篤)委員 今回の改正案を拜見しますと、新たに共済の対象として虫害及び鳥獣害が加えられることになりまして、かねて全国農民希望しておりました意に沿つて改正が行われて来ておりますことは、まことに感激にたえないわけであります。ただ私が考えますのに、従来の病害に加えて、戰後非常に猖獗をきわめておりますうんかあるいはずい虫等虫害がこれに加えられることになりますと、共済事業を守つて行くと申しますか、盛り立てて行きますために、これに対する防除対策というものが、きわめて重要性を加えて来ると思うのであります。災害補償法規定をつぶさに検討してみますと、防除についてはきわめて消極的な規定しかございません。もちろん今日全国共済組織が、あげてこの防除対策につきましては努力いたしておりまするが、法的の根拠と申しますか、この点がきわめて稀薄であります。なお近く制定を予想されます植物防疫法との関連性も起つて来ると思うのでありますが、従来いろいろな農業団体防除に当つて参つたのであります。今回改正されんとしておりますこの趣旨からいたしましても、当然この共済団体中心となりまして、病虫害防除対策を講ずべきであると私は考えておりますが、これに対する農林当局の今後の方策、お考えを承つてみたいと思うのであります。
  7. 藤田巖

    藤田政府委員 お話のございました通り農業共済組合は單に事故が発生いたしました場合の共済をやるだけでなく、積極的にその災害を少くするための損害防止のための必要な施設をするということは、農業災害補償法の九十六條に明記してあるところであります。現在災害防止につきまして、共済組合が積極的に活動をしておられることも、御承知通りであります。私どもといたしましては、今後も一層共済組合が、その方面にもさらに積極的な活動をしていただきたいと考えております。これは目下本国会提案準備をいたしておりますところの防疫法につきましても、防除をいたします場合に関係団体の協力を求めるということが書いてございます。これはそのときまた御審議をいただきたいと考えておりますが、明記はしてございませんが、私どもといたしましては、この共済組合がその災害防止中心団体として活動されることは、非常に望ましいところであり、これを期待いたしております。
  8. 足立篤郎

    足立(篤)委員 災害防除の問題につきまして、もう少しつつ込んで伺いたいと思います。私の考えではぜひ、農業災害補償法に今局長自身おつしやつたような趣旨から、はつきり明文を掲げて、しかも現存全国共済団体がやつております共同防除という態勢強化して、病虫害のゆるがせにできない災害を、未然に防止するという態勢をとりたいものと考えるわけでありまして、これについては、予算の問題もからんで参りますが、相当な国庫の補助金も出して、そうでなくても天災で相当な被害を受けます日本農業を、ごういつた人為的に防除できますものは、最大限度防除して保護するという政策をとるべきものであると、私は確信いたします。これに対しまして、積極的に農林当局の今後の御善処を願いたいと考えるわけであります。  なお続きまして、この改正には地方庁監督の問題が取上げられておりますが、これについて農林当局のお考えをただしておきたいと思います。最近の各県庁における共済団体監督機構を見ますると、まちまちでありまして、農業協同組合課がやつておるところもありますし、農務課がやつておるところもあるし、あるいはこれに類した課がやつているところもある。その運用もまちまちであります。大体全国的に見ますと、県庁との連絡その他うまく行つているように私ども感じておりますが、赤裸々に申しますと、県庁側に人材がおらぬために、かえつて自主的な団体運営を阻害する——というのはちよつと極端かもしれませんが、摩擦が起きるというところもなきにしもあらずでありまして、そういつた点を考えますと、ここに規定を設けられたことは、趣旨として私根本的に反対するものではありませんが、運営の妙を得ないと、かえつて下から盛り上つてつて行きます組織運営を、阻害するということになりましてはたいへんでございます。老婆心ながら承るわけでありますが、農林当局は、今後この組織をどのように確立して運営をなさる方針でおられるか、その辺を伺つておきたいと思います。
  9. 藤田巖

    藤田政府委員 現在は共済組合連合会につきましての監督が、ただ單に主務大臣農林大臣だけに限られておりまする関係上、地方に参りますると、連合会地方庁としてはこれにはタッチしない、また非常に消極的な考え方であるわけでありますが、実際問題といたしまして、やはり共済組合及び共済組合連合会が健全に発達する。そうしてまた積極的な活動をするためには、どうしてもやはり都道府県知事が、まずそれについてもつとさらに熱を入れるという態勢を整えなければならぬ。先ほどお話のございましたように、消極的な仕事だけでなく、積極的な仕事をいたします場合は、どうしても知事にもう少し積極的に活動できるところの権限を與える必要があると思う。従つてその意味において今回改正をいたしたのであります。これは地方庁機構につきましても、やはり補助金の問題あるいは助成金の問題ということが、不可分的に関連をいたすわけでありますが、私どもといたしましては、今後ますます共済組合連合会の積極的な活動を期待する意味からいたしまして、機構強化と申しますか、拡充も財政の許す限りはかつて参りたい、一層堅実に組合活動が行われますように努力したい、かように考えております。
  10. 足立篤郎

    足立(篤)委員 この共済組織は、御承知通り民主的、自主的な組織でありまして、これを單にチエックするというような考え方監督組織をつくられたんでは、こういつた民主的な組織を育てるゆえんのものではないと、私は考えるのであります。今お話通り助長もするという意味合いで、県庁における監督組織を整備して、助長行政の面に大いに力を盡していただくということであれば、非常に歓迎すべきことだと思うわけであります。ただ先ほど申し上げたように、組織がまちまちになつておりまして、協同組合課でやつておるところもありますし、農務課でやつておるところもある。私考えますのに、本来これは農業行政と申しますか、現在の農務課あたりでやる仕事とまつたく不可分の関係にありまして、また最近問題になつております評価の嚴正を期するという意味からいたしましても、表裏一体関係にありますので、そういつた機関に監督組織を統一する御意思ありやなしやという点を、伺つておきたいと思います。
  11. 藤田巖

    藤田政府委員 仕事性質から申しますと、あるいはそういうふうな御意見が出、またそれが私もいいんじやないかとも思うわけでありますが、しかしながらこれは先ほどお話のございましたような、具体的な人の問題にも関連をいたして来ることがあるわけであります。地方自治庁機構というものは、それぞれの事情によりましてできるわけでありますから、これを画一的にいたしますことは、かえつて円滑な運用を阻害する場合もあろうかと思います。必ずしもこれを画一的にこらせよ、必ずこの課に置けということが正しいかどうかということは、私は多少疑問を持つておりますが、実情が許しますならば、そういうふうな点についてよく地方庁とも相談をいたしまして、積極的な活動をするに最もふさわしいところにつけるということに、具体的々々々のケースについて判断をして、よく相談をしてきめて行きたい、かように考えております。
  12. 足立篤郎

    足立(篤)委員 今の局長お話ちよつと私ふに落ちかねるのです。押し問答をしてもしようがありませんが、今申し上げたように、実際にたとえば病虫害防除対策であるとか、あるいは一評価をするとかいうような、団体の使命ともいうべき事業をやつて行きます上に密接不可分関係を持つておりますのは、今までの農務課仕事にあるわけであります。こういつたものと表裏一体関係運営をして、その監督助長を受けるということでないと、ほんとうにこの組織が育たないと私は思う。單に協同組合課あたりがやつておりますように、ただ組織監督だけをする、いろいろな報告をとつてチエツクするというような行き方では、だめだと思う。業務の実体に触れて、手も引つ張つてもらうかわりに教えてももらうし、粗談にものつてもらうということでなければ、この監督機構を置く意味がないと私は申し上げておきます。この点はよくお考え願つて地方庁自主性というものもありますので、押しつけるわけにも行かないと思いますが、そういうふうに誘掖を願うように、ぜひ希望を申し上げておきます。  なおこれも希望でありますが、県庁助長しております事務費等助成金につきまして、あるいは家畜の診療所設置の御請求等につきましても、非常にまちまちであります。県庁における認識の程度によつて、非常にでこぼこがあります。全国的に見ますと同じ事業をやつておる、同じ性質のものが、このような県庁考え方一つで、受ける育成の度合と申しますか、これが非常に違うということは、はなはだ不都合な点が多いわけであります。これはぜひとも農林省におかれて、各県庁とお打合せを願つて、なるべく助長の面を伸ばしていただく、そしてできれば大体同じような程度助長していただくように、お願いしたいと思います。  最後に一点だけ御質問いたしますが、この共済制度はすでに二年たつておりますが、二年間の経過を振返つてみますと、たまたま日本を襲いました幾たびかの大き場な台風のために、あるいは病虫害等のために、非常な災害を受けまして、今日連合会運営状態、あるいは特別会計そのもの状態を見ましても、大きく表現しますれば、まさに危殆に瀕しておると申し上げてもさしつかえない。これはいろいろな問題がからまつてつておりますが、ともかくここで一応根本的に反省してみまして、日本農業にはなくてはならない基本政策であるところの災害補償制度を、ここでしつかりと大地に足をふんまえた組織に仕上げて行くということを、特に農林大臣にお考え願わなければならぬと、私は痛切に感じておるわけであります。連合会が、二十四年度の出納におきましても九億近くの赤字を出しまして、この金融に苦しみ、大臣以下各位の御奔走によりまして、ようやく解決いたしましたが、このようなことを繰返しておりまして、先の見通しがつかない現状でございます。保険料率の問題もありましようし、金融の基金の問題もありましよう。あるいは單作地帯も含めました共済金の限度の問題、いろいろな問題が根本的に横たわつておりますが、この際私は、少くとも二十六年度を目指しまして基本的に反省して、検討を加えまして、制度を確立して行くべきである。今までのような彌縫的な対策で、その日その日を送つておるという行き方では、二年間の経験において、すでに破綻を来しつつある点もあるのでありまして、そういう点をつぶさに御検討を願いまして、対策を講じていただきたいと考えるわけであります。これに対しまして、農林大臣の御所見を承つておきたい。
  13. 森幸太郎

    森国務大臣 御質問の中途であつたわけでありますが、共済保険に対しての将来をどういうふうに考えるかという御質問のように、承つたのであります。昨年は思いがけない災害が重なりまして、御承知通り地方において約八億、再保険において四億の資金に不足を生じたというような状態になりまして、いろいろの方策で、ようやくこの問題は解決いたしたのでありますが、何分日本災害が局地的に起りますので、これが全国普遍的でないために、共済保険の普及が非常な障害を受けておることは、御存じの通りと思います。もちろん災害保険組織いたします上においては、過去における災害状況等を調査いたしまして、それを基準にして計画を進めて参つたのでありますが、昨年は従来の記録を破り、最もはなはだしい災害と、しかも病虫害等をあわせ発生いたしましたがために、従来の記録にない災害がありまして、予定通りの進行が不可能になつたというようなことでありますが、将来におきましては、昨年以来のこの状況から見まして、根本的な修正をすることを十分研究せねばならぬ、かように考えておるわけであります。現に災害のもととなりますところの治山治水等にも力を入れますが、昨年のあの記録を勘案いたしまして、将来について十分円満なる災害保険の目的を達成するように研究を進めたい、かように考えております。
  14. 小笠原八十美

    小笠原委員長 この際大臣が参りましたので、両案に対する質疑は一応とめまして、肥料配給公団令の一部を改正する法律案議題として審議を行います。
  15. 河野謙三

    河野(謙)委員 大臣は時間もあまりないと思いますから、私の方からある程度意見もつけ加えて申し上げまして、御答弁いただきたいと思います。  まず第一に伺いたいのは、肥料価格の問題でありますけれども大臣は今発表されておりますように、肥料価格は三月にさらに一割五分、七月に至つて七割上げるということになつておりますが、これを七月にどこまでも七割お上げになる予定であるかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
  16. 森幸太郎

    森国務大臣 御質問のように、この三月で一割五分さらに上げますが、七月においては、補給金等関係から七割程度値上げ予定いたしておるわけであります。
  17. 河野謙三

    河野(謙)委員 この問題は大きな問題でありまして、御承知のように、農家経済の面から行きまして、肥料がほしい者でも買えない、現に今の肥料価格でも買えないという現実の問題が起つておるわけであります。これをさらに七割ということになりますと、まつたくこれは買えないのであります。補給金の面の方もありますけれども、私の承知しておる範囲では、現在の肥料生産者価格には、私はまだよほどの弾力性があると思います。今の予算を見ますと、なるほど七割上げるようになつておりますけれども、七割値上げは、補給金を削つた分を全部右から左に農家に転嫁しておる以外に、予算編成において、メーカーその他の面へのしわ寄せというものに何物も考慮されていない。ごくわずか二%ぐらいのものが、メーカー価格しわ寄せしておりますけれども、これはしわ寄せにあらずして、稼働率上つたための当然の結果であります。私は私の意見を交えますが、少くとも七割上げなくとも足ります。メーカー価格にまだ相当のしわ寄せする余裕があります。数字的に申しますならば、まだ一割五分くらいのメーカー価格を削る余地は十分あります。通産省当局にも、その意見を持つておる人があります。全然上げないというわけには行かぬでありましようけれども、少くとも七月以降におきましても、五割以上肥料価格を上げる必要はない、かように思います。この点に向つて、今の予算編成には七割となつておりますけれども農林大臣農民の代表として、十分御努力を願わないといけないと思います。また最近のように、農家の犠牲がいろいろなものに現われており、すべてのものが農家しわ寄せされておるような事実は、これは黙過できないのであります。経済の原則から考えましても、これほどおかしなことはできないのであります。農家收入はどんどん減つてつておる。しかもつじつまの合わないところは全部農家の方に行つておる。一つの例を申し上げますならば、バツク・ペイの問題もそうであります。肥料補給金は削りた、高いものを農家に押しつけておる。一応農家が立て替えたものは、バツク・ペイの形で六月か七月に農家の手にもどす。そうかと思うと肥料製造会社の方はどうですか、作意的に商工省物価庁計画して、たくさんの補給金を織り込んで、肥料価格をつり上げておいて、よけいにとり過ぎております。これはただちにもどすべきものでありますけれども、このもどす分については、今度の肥料価格の改訂のときに、何とかしてこれをさつ引く。こういうふうに肥料製造会社は、政府からもらうべきものを先にもらつて、もらい過ぎた分はあとから引いて、農家の方は、当然政府からもらうべきものを一時政府に立て替えておいて、半年も先になつてからもとしてもらう、そういうような例が肥料ひとつとつてもあるのであります。しかも肥料価格たるや、今申し上げましたように、あまりにメーカー価格——これは農林省の担当ではありませんけれども、少くとも閣議にはかかつているはずであります。絶対に七割などという値上げの必要はありません。私は断言いたします。同時に、買えないのでありますから、七割値上げについては、さつそくひとつ農林大臣において、十分通産省その他と御相談願つて、これを五割の値上げとか、四割の値上げに削減いたしてもらいたい、かように思うのであります。  次に私が伺いたいのは、肥料需給関係でありますけれども、私は今非常に肥料が余つておることを承知しております。現に硝安のごときは、今農林省売出しをやつております、お客さんを探しております。いくらお客さんを探しても、硝安というものは二十万トンは残ると私は思う。残つた二十万トンの硝安というものは、保存のしようがないのであります。とけてしまう。かような状態であります。硫安にいたしましても、今外安二十万トン輸入の問題は、この間まで入るとか入らぬとかいうことを言つておりましたが、現に積出したと聞いております。この外安二十万トンが入りますと、硫安におきましても、どう内輪に見ましても四十万トン以上の硫安というものがこの春肥の繰越しになります。合計いたしまして、いろいろなもので七十万トンくらいのものは繰越しになると思う。繰越したものは秋に使うかというと、秋には農家の需要を一ぱいに見ましても、国内の生産で十分に間に合うのであります。本年春の繰越しのものは、六十万トンか七十万トン、そのまま夏まで繰越しになる。来肥料年度におけるところの肥料は、一トンの輸入をしなくても十分間に合うのであります。しかもその間において、繰越しの中には硝安とか石灰窒素のように、少しも保存に堪えないようなものがある。これにつきまして、私は肥料公団を七月まで置きました場合に、一体それ以後において、肥料公団閉鎖に当つて、国が手持ち肥料について相当莫大な損害を受けると思うのですが、これらにつきましていかなる御対策を持つておられるか、お尋ねしたいと思います。
  18. 森幸太郎

    森国務大臣 肥料には特に造詣の深い河野委員の御質問でありますが、外安が入つて来るということは、日本として予期しておらないのであります。それは本年の生産計画が、補給金等関係より、日本食糧生産に対する肥料不足だという理由のもとに、二十万トン輸入計画されてあるのであります。そのほかに硝安輸入も昨年通り輸入計画されてあるのでありますが、硝安に対しましては御意見通り日本としては迷惑いたしておる肥料でありますので、できるだけこの硝安輸入を延ばしまして、そうしてこの輸入をできるだけ減らしたいという計画を持つて、今対処いたしておるわけであります。肥料配給公団を廃止したあとに対しまして、いろいろ御意見がありました。これは御意見として承つておきますが、その場合において、肥料政府手持ちになるというようなことは考えておりませんので、ただ公団でやつておりましたことを、政府が各府県にこれを配給して行くという形式をとるわけでありますから、その段階に入つて、御心配になつておるようなことはないと考えておるわけであります。
  19. 河野謙三

    河野(謙)委員 私が今申し上げたのは、たとえば配炭公団閉鎖のときのような状態になることをおそれたからであります。御承知のように、今計画されておりますように、七月にさらに値が上つて七割高になる。一方今肥料やみ価格はどんどん下つております。しかも政府は、さらにこの余つた肥料を売りかぶせべく、いろいろ硝安その他の売出しをやられます。当然七月をまたず、このやみ価格公定価格よりも下ることは明らかであります。その時期に至つて公団を廃止すれば、今私が申し上げた、需給推算の六十万トンというものが余るということは、間難いないと思います。かりにこれが五十万トンといたしましても、その五十万トンの処分というものに対して、消費者価格公定価格を割つたもので政府は処分しなければならぬ。こういう結論に当然なるのであります。そこでこれは配炭公団の二の舞になる。明らかに私はなるということを、この席で、私の責任において断言いたします。さような場合に一体どうするかということであります。これは私の意見でありますから、この程度にとどめます。  さらに続いて私が伺いたいのは、さような肥料需給推算を前提にいたしまして考えた場合に、農林省においては、肥料の供給が非常にふえた、需給関係が完全に見合つた、むしろ供給が過剰だ、こういう状態になることは、今の私の見通しが違いましても、これは時間の問題であります。二月ずれるか三月ずれるかの問題であります。そうだとすれば、今肥料の問題について、肥料管理法等、間接統制によつてこの肥料の国内の生産工業を保護し、一方において農民に対し肥料価格の保障をするというような、肥料管理法というようなものを御準備なさつておいでになるかどうか。それをひとつ伺いたいと思います。
  20. 森幸太郎

    森国務大臣 御説のような肥料管理法というようなことは今計画はいたしておりません。しかしながらこの統制を撤廃いたす時期も、おのずから近いことと考えますので、そういう場合におきまして、今御承知のように、日本生産費が区々まちまちである。この肥料を、どういうふうにして国内に平均に配分するかということについては、審議会等を設けたいと考えております。御承知のように米の価格全国画一であります関係から、肥料価格もこれを大体画一にしなければ、米価そのほかの農産物の価格が決定できないのでありまして、この間に対して政府は非常な考慮を拂わなければならぬと考えております。一つの統制をやれば十の統制ができたことくに、一つの統制をはずせば十の統制がじやまになる。一今は逆の状態なつでおりますので、肥料を全然自由にいたしますと、米の価格もまたこれをおのずから自由にしなければならぬ、こういう段階が推論されるのでありますから、肥料の配給を民間に移讓いたしました場合において、その末端価格ができるだけ差別のないようにしなければならぬ。それに対しましては、肥料の配給に対する審議会等も考慮いたしまして、妥当な方法を定めたい、かように考えておるわけであります。
  21. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は肥料を自由販売にしろという意味ではありませんで、もちろん配給機構は自由にするのでありますけれども肥料の最低最高の価格の中をきめまして、一面において外国の肥料工業に対する内地の肥料工業の安全率を見、一面最高価格をきめまして、農村の肥料価格に対する一つの不平を抑えようというようなことを、私は当然米の場合と同じような考え方で、肥料考えなければいかぬのじやないかと思いまして、さようなことをお考えになつておるかどうかということを伺つたのであります。この機会に私は大臣に、生産行政の面は通産省でありますけれども、ひとつ御報告しておきたいことがある。本年、さきほど申し上げましたように、かようにたくさんな肥料輸入されて、国内の肥料が余つたといういきさつは、こういうことから出発しておるのであります。この前の肥料価格改正のときに、通産省と安本が、肥料メーカーをいかにして保護するかという立場から、作為的に本年度内の硫安生産量を、その当時内輪に見ても明らかに百三十五万トンと見込めるものを、百十万トンとわざわざ見込んだのであります。生産量を百十万トンと内輪に見込むということは、肥料補給金をふやしてやるという結論になることは当然であります。分母を小さくする意味で、百三十五万トンの生産予定をわざわざ百十万トンと作為的に見て、そうして一方には肥料価格をつり上げてやつた。その結果が派生的に百十万トンしかできない。それに石灰窒素が三十万トンだ。一方国内の窒素肥料の需要量は二百万トンだということで、差引き五十数万トンのものが足りないという数字が出て、これを司令部に持ち出したところが、司令部がその五十数万トンのものはただちに輸出よろしいと来たわけだ。それがたたつて、今外安の二十万トンになり、硝安の昨年度からの繰越と合計で五十数万トンとなり、それが今肥料の過剰状態になり、今農林省が悩んでおるということなんです。発端は肥料メーカー価格をいかにしてつり上げるかという、そこから出発している。すべてこれは作為であります。さようなことからかような需給関係が起つて来た。農民にすれば、肥料の余ることはけつこうでありますけれども、あまりに大きな輸入数字が出て、ここに日本の国として、いりもしない非常にたくさんの肥料を押しつけられたという形になつておりますけれども肥料に関する限りは、押しつけられているにあらずして、さような作為から出発して、こういうふうな輸入数量というものが出て来たのであります。かような面も肥料生産行政において行われておるということを、大臣に御報告して、少くとも肥料生産面については、大臣としては発言権があるわけでありますから、もう少し監督もし、また大いに小言も言つていただかなければならぬと、私は思うのであります、いろいろまだ申し上げたいこともたくさんありますけれども、この肥料公団の法案につきましては、今後いろいろ各委員からもご意見があると思いますし、私は余の意見は一時保留いたしまして、ひとまずこれをもつて私の質問を打切ります。
  22. 渕通義

    ○渕委員 ごく簡單に大臣にお伺いいたします。  ただいま河野委員より、肥料問題につきましてあらゆる角度から質問をせられたのでございますが、実は私も日本肥料行政につきまして、過去十何年間研究を続けて来たのでございます。かつて十二、三年も前でありましたが、大学の研究室におりました当時、代議士のある人がお見えになりまして、どうも日本肥料生産状況はおもしろくないというようなことを聞かれたのです。当時近藤康男博士とともに、研究を続けて、掘り下げてみたのでございます。ところが、当時肥料会社というものは、ある程度生産量がオーバーすると肥料価格が下るというような、当時の経済情勢からいえば、独占資本による独占価格といつたような結果におきまして、長い間日本肥料行政が行われておつた。それをば推進しておつたの日本の農林官僚であつたということは、たれしも認めるところでございます。従いまして、四、五日前の新聞にも発表してありましたが、この問題をめぐりまして、農林省には肥料商のバツクがあるとか、いろいろなことがありました。そこで私はこの点について農林大臣に伺いたいのは、そういつた過去の長い間の農林行政のあり方が、肥料資本に対するところの迎合であつた。であつたからこそ今河野委員の申したことく、いろいろな不都合が生まれておる。それに米の価格は上らない、農民肥料価格は上る、バツク・ペイもしてくれないという状況に追い込まれておるので、農林大臣はこの肥料行政につきまして、将来どういう構想を持つておられますか。特にわれわれがかつて肥料行政の一元化をとなえておつたゆえんもここにあるのであります。肥料資本のもとに押えられるにあらず、肥料資本は思い切つて動員して行く。一歩進んで言うならば、農業資本をもつて肥料資本をまかなうようなところまで大きく飛び込んで行かなければ、永久に商業資本であるこの肥料資本に押えられて、肥料行政はうまく行かないということを、私は考えるのでございますが、農林大臣にこの点に対する一元化を御考慮願つて、御答弁を願いたいと思います。
  23. 森幸太郎

    森国務大臣 肥料行政につきましては、過去の内閣におきましても、相当検討されたのであります。第二次吉田内閣のときでございましたか、この問題が相当論議されまして、商工省の化学局と農政局との間に、相当の議論が闘わされたのであります。その後片山、芦田内閣におきましても、この問題は相当論議せられたのでありますが、御承知の、当時肥料生産に対する資材というものがまつたく商工省——今は通商産業省になつておりますが、電気にしても、鉄鋼にしても商工省の管轄に属しておるのであります。そういう関係で、これを農林省が直轄するということについて、ずいぶん内部においての論争があつて今日まで参つて来ておるのであります。肥料は過去においてだらしなく、何ぼでも高いもので生産すればいいというような御批判もあるようでありますが、この食糧確保の問題につきまして、肥料というものはぜひできなければならない。計画は二百三十万トンでありましたか、窒素肥料生産するのでありましたが、何分戰争で破壊された工場の復旧は、なかなか容易に認められなかつたのであります。日本生産能力といたしましては、おそらく二百五、六十万トンの生産能力があるでしようが、これが一々関係方面の認可を求めなければ、どうしてもこの工場の復興ということは許されなかつた。それでたしか二十二年の三月でありましたか、大部分の工場が予定通り復興し得る。もちろん原料資材もありますし、また電力関係もありますが、そういうふうにして、二十二年の三月までには大体工場が復興するという予定で、そのときの生産目標が、たしか二百万トンそこそこであつたと思います。しかし何せ石炭なり電力等の不足のために、十分なる生産があげられないということで、遂に外国より肥料を仰がなければならないような情勢になつて参つたのであります。しかしその後工場の施設等も改善されまして、生産能力は上つて来ているのでありまするから、あえて外国の肥料に依存する必要はないと思いますが、まだまだ日本肥料生産を増加いたしまして、南方諸国に輸出することも考えられるのでありますから、日本肥料工業に対しましては、なお生産能力をあげさす必要があろうと思うのであります。但し今申しましたように、なぜそれを農林省の方に移管しないかという御意見でありますが、これは今申しました資材の配給等の関係から、これが商工省の管轄になつてつたのであります。この点が農林省商工省との協議がなかなかまとまらずして今日まで来ているのでありますが、今後資材等が漸次統制がなくなつて行くのでありますから、その結果といたしまして、農林省みずから肥料生産ということを責任をもつて考えて行くという面に、研究を進めなければならない。またさようにせなければならぬと考えているのでありますが、今日の段階におきましては、今申しましたようないろいろな沿革によりまして、今日の状態が続けられているのでありますが、今後におきましては、資材等の自由な立場が許されるということと相 まつて研究を進めたい、かように考えるものであります。
  24. 渕通義

    ○渕委員 農林大臣の今のお話によりますと、まことにお説教であります。私は今農林省肥料資本の代弁者であると言いましたが、おそらく農民はすべてそう考えているでしよう。日本の農政の根本は肥料問題である。これはかつて田中義一大将が言つた通り、そこまで大きな問題であるならば、農林大臣は思い切つて肥料資本の代弁者でないということをはつきりするために、ここに農林省は一丸となつて、各界の権威者を網羅いたしまして肥料工場に対する徹底した原価計算の調査をやる必要があるじやないか。特に肥料工場はピンからキリまであります。A、B、Cと段階がありましようが、これに対して徹底した調査機関をつくりまして、これを調査して、その結果をば国民に発表して、これこれかくのごとき状態であるということを農民に知らしめたならば、農民もなるほど農林省はよくわかつて来たわいというように考えるだろうと思いますから、そういつたことをやる考えがあるかどうか、一点だけ承りまして、質問を打切ります。
  25. 森幸太郎

    森国務大臣 農林省肥料商の代弁者ではありません。
  26. 小笠原八十美

    小笠原委員長 淵君「簡単に……。
  27. 渕通義

    ○渕委員 代弁者ということは極端かもしれませんけれども、そういう非難があるから、それを解決するためにゼスチユアを使うということは惡いでしようが、ゼスチュアじやない。飛び込んで行つて、調査機関をつくつてやらなければいかぬと思う。これは今河野委員が言つた通り、決して七割上げなければ生産がとまるという状況でないことは、たれしも知つている。これは化学工業であるから、困難でありますが、困難なだけに化かす傾向が多分にあります。それをば国民の前によく知らせる。同時にまた肥料工業の能率化をはかるという観点から、これの調査機関でもつくつて、調査するくらいの意気込みがなければ、国民のいろんな疑惑を解くことができないということを私は考えたので、一点申し上げたわけであります。その点を承りたいと思います。
  28. 森幸太郎

    森国務大臣 農林省は決して肥料業者の代弁者でありませんから、その点を御了承くだされば御了解願えることと存じます。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 先刻の御答弁で、今後の需給問題等についても、いろいろと当局の御見解を承つたのでありますが、まず今後の需給の問題について二、三伺いたいと思います。全国的な状況はどうであるか、データーを持つておりませんが、実際地方的に見ますと、相当肥料の配給辞退の現象が起きております。現在の割当の方法に間違いのあることは、配給辞退の処理の方法でもわかるのでありますが、一旦配給辞退のあつたものは、その村における辞退量をさらに再割当をするという方法で今処理をされておりますから、中にはほしい者もありまして、一応それが消化されておる現状であろうと思うのであります。実際においては、最近の農村の行き詰まりから、将来配給辞退のために、需給状況の変化が相当大きく出て来ると思うのでありますが、これに対して農林省は昨年の肥料の需給調整、需給の見通しを、独自の立場に立つて御調査になつたと聞いておりますが、それらを御参考になりまして、昭和二十五年度における大体の肥料の需給状況について、しかも七割の値上げを予想して、いかような御見解を持つておられるのか。このことについて大臣あるいは事務局からまず、お伺いいたしたいと思います。
  30. 藤田巖

    藤田政府委員 将来の肥料の需給の見通しでありますが、これはいろいろの條件が違いますと、その見通しもかわるので、推定することが非常に困難であります。大体農業用の肥料の需要量の調査を先般行つたわけでありまして、それによる需要量の調査は、大体その当時の価格の六割値上げになるということを前提といたしまして、どの程度の需要量があるということを調査したのであります。それで集まりました数字は、農業用の総需要数量が二百十五万トン、それから燐酸質肥料が百四十九万トン、カリ質肥料が四十九万トンであります。それから農業用以外の需要も若干ございますので、それも考慮いたしました総需要数量というものを出しますと、大体窒素質肥料が二百三十万トン、それから燐酸質肥料が百六十万トン、カリ質肥料が五十三万トン、こう推定されるのであります。これは私どもといたしましては、なお正確に調査をいたしませんと、はつきりしたことも言えないと思いますが、通常言われておりますところの窒素質肥料は、約二百万トンないし二百三、四十万トンという数字に大体なつて来ておると思います。それから燐酸質肥料が百六十万トン——従来は百四十万トンと言われておりますが、百四十万トンないし百六十万トンというものがいいところの数字ではないか。カリ質肥料が五十三万トン、これは率直に言いまして、少し多く出ているというふうに私どもは感じております。三十万トンないし四十万トン程度でいいのじやないかと考えております。従つてなおこの数字につきましては検討を必要としますが、大体の常識的な考え方から申しますと、窒素質肥料は大体現在程度で何とかして行く、それから過燐酸が少し足りない、それからカリはなお需要がある。こういう状態が大体常識的な判断じやないかと思います。いろいろ先ほどから河野委員からもお話がございましたが、日本の国内の生産数量は、昭和二十五肥料年度生産見込みを考えますと、大体百八十万トンないし百八十五万トンくらいであります。国内だけでまかなうといたしますと、なお需要量に足りないということが考えられるのであります。特に本肥料年度は、先ほど河野委員からお話のございましたように、外安及び硝安輸入が相当参つておりますので、昭和二十四肥料年度のことを考えますと、窒素質肥料は、想像がいろいろあるのではつきりいたしませんが、約二十万トンないし四十万トン程度不足になるだろうかというふうに考えます。しかし来年のことを考えますと、御承知通り従来肥料はガリオア資金で入つて来ておるのであります。来年は肥料は全部ガリオア資金では入らないというふうな見込みもどうもありそうであります。従つてどもといたしますと、本肥料年度については、さような事情で大体まかなえるかと思いますが、来年からの輸入ということを考えますと、なおそこに若干のあぶない点もあるわけであります。やはり肥料の問題は、当座だけの問題でなく、将来の見通しも考え需給推算を立てて行くことがかたくはないかと考えております。需給はかような状態でありますが、これも一つは有効需要をどう見るかということでありまして、肥料代の値上りが有効需要に相当影響することも当然であります。最近肥料がだんだん高くなりましたために、配給辞退の現象が局部的には起つておることも承知いたしておりますが、なお肥料やみ価格その他から考えますと、下足のところもあるように考えております。私どもといたしましては、配給辞退の原因がはたしてどこにあるか、農家でほんとうに肥料がいらないのか、あるいは金詰まりの関係でほしいけれどもとらないのか、そこをはつきり見きわめて、それぞれそれに対応した対策を立てることが必要であろうと思う。現在でも県または公団に対して、配給辞退の原因が、農家がほんとうに割当てた数量はいらないという希望であるならば、これはほかへまわす、しかしながら、ほしいけれども金がないから今とれないというふうな問題については、われわれといたしましては、できるだけ必要な肥料農家に渡るような諸施策を考えまして、そうして農業生産の基礎資材であります肥料については、やはり確保して行くことが本筋じやないだろうかというような考え方で、今いろいろ研究いたしております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣に伺いたいのでありますが、補給金の撤廃によりまして、大体農家の負担の増になるべき見込みのものが、三十四億程度だと言われておるのであります。結局これだけが大体農家が当然支出増ということになつて来るのであります。従つてこれは米価の問題、あるいは税制の問題に直接関係が起きて来るのであります。政府は先般一六人という新しい指数に基いて米価の想定をされておるのでありますが、これと肥料の値上りによる関係はどういうふうに見て織り込んでおられるのか。また肥料価格の値上りは、地方税制その他国税所得税の税制改革によつて吸収できる、こういう見解が一部に行われておるということを聞いておるのでありますが、農林大臣はさような安易な考え方を持つておるのでありましようか。私どもの見たところでは、さような安易な考え方では、今日の農村の現状は乗り切れない。将来この肥料価格の引上げが、農家経済に甚大な影響を與えまして、とうてい税制の改革による吸収というようなことでは解決がつかない。どうしても米価に直接これが響いて来なければならぬということを考えるのでありますが、現在政府のこれに対する米価との関連において、農林大臣の御所見を承つておきたいと思います。
  32. 森幸太郎

    森国務大臣 肥料価格が一月、三月に一割、二割、一割五分と高上したわけでありますが、これはすでに決定いたしました米価に対してのバツク・ペイにおいて還元するはずであります。なお七月以後の値上りにつきましては、これは二十五年生産の米価に加算するわけでありますので、二十四年産の現在の米価には、一月、三月の値上りがパツク・ペイとして考えられるのであります。将来肥料価格が上り、その他の基礎物資の価格が高上いたしますならば、従つて農産物の価格もこれに準拠して高くなり、また高くしなければならぬということは当然であると、かように考えておるわけであります。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 先般の農業パリティー指数一六八はひとつの想定に基いてなされたことはわかるのでありますが、予算編成上のただ單なる前提として、この指数ははじき出されておるのでありましようか、またこれが二十三年産米の価格決定の基準たる指数として御採用になるものでありましようか。もちろん予算編成の上において、一定の根拠をおつくりになる必要上から、かようなものをおつくりになつたと想像しておるのでありますが、実際それによつてある予算上の数字が出て来るということになりますと、これは軽く私どもは受取ることはできない。昭和二十五年産米の価格決定の基本をなすものに近いものだ、こういうふうに考えるのでありますが、この点について、大臣のいま一応の御所見を承つておきたい。
  34. 森幸太郎

    森国務大臣 現在の農産物価格は、二十四年生産のものに対しまして、その生産に要する資材、基礎物資等の価格の変動に基いて決定したわけであります。従つて二十五年に生産いたしまする農産物の価格に対しましては、またこれと同様な基礎によりまして、その価格の高低等を勘案して決定して行きたい、かように考えておるわけであります。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 次に肥料配給公団の廃止をめぐつての問題で伺いたいのでありますが、先刻、肥料審議会のごときものをつくつて、今後の方針等についてはよく審議をする、こういう御見解が発表されました。大体公団廃止の時期については、どういうふうにお考えになつておりますか。もし廃止になつた場合において、公団職員の身分の保障の問題であるとか、いろいろこれらの問題もあろうと存じますが、この点について具体的な御準備があつて、いろいろと肥料配給公団の廃止問題が表面化しております場合に、どういうふうにお考えになつておるか。また廃止後において、元売であるとか、あるいは県段階であるとか、あるいはその他の機構については、基本的にはどういうお考えをもつて現在検討を進めておられるか。この問題について御所見を承りたいと存じます。
  36. 藤田巖

    藤田政府委員 公団機構は、御承知通り暫定的な機構でございまして、これはその物資の需給状況が緩和いたしますれば、当然なくなることが適当であります。ただその需給の見通しというものについてのいろいろの判断からいたしまして、公団機構の縮小あるいは廃止の問題を考えなければならぬと思うのでありますが、大体肥料配給公団につきましては、県以下の末端機構はこの春肥完了後、七月末までになくする、中央部につきましてもすみやかにこれに引続いて整理をするという方針で、現在考えております。なくなりましたあとの統制方式でありますが、これは公団が現在やつておりますところの割当の仕事は、農林省でやらなければならぬと考えております。それから配給の実務は、現在指定の小売商がございますが、県段階以下のものがなくなりました場合は、これにかわるべきものとして卸売業者をつくらなければならぬ。それからさらに中央の組織がなくなりました場合には、元売業者の問題も出て来ようと思つております。従つて農林省が従来通り都道府県別の配給割当はいたしますが、そのほかに工場別、元売別に出荷割当をして、元売、卸、小売の段階によりまして、末端の農家に配給するという仕組を考えて行きたいど思つております。なおしかしながら、これにつきましては金融の問題、これは大きな問題であります。それからまた割当その他の仕事をいたしますための人員、予算的措置、こういうものも、私どもといたしましては不可分の関係で、それを要求いたしたいと考えておるわけであります。大体のあらましはそういうふうなことになるわけであります。
  37. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は大臣にひとつ関連してお伺いしたいのですが、先ほど農政局長需給推算の数字を聞いておりますと、非常にお立場上困つて、はつきりしたことが言えないことがよくわかります。まつたく押えられない需要の面だけ言われて、はつきりと農林省なり、通産省なり、安本なり、三者で一致した供給面のことに触れておられない。供給面がはつきり出れば従つて見通しがつくのです。供給面はあなたが御承知のように、当初の窒素肥料の供給可能量が百九十七万トンで、外安の二十万トンを入れなくても、二百三十一万トンということに三者一致しておるわけです。そのほかに外安が三十万トン入つて三百五十万トンになつておるわけです。そうしますと、かりにあなたのおつしやる需要量の二百三十一万トンそのままが使われたとしても、まだ余る。これは需要量が二百三十一万トンにあらずして大体二百万トンか百七、八十万トンであろうということも、春肥の今の状況からいつて見通しがついておるわけです。これははつきりしておる。そこで私は大臣に伺いたいのです。もう少し今の肥料の需給状況を、農林省の立場において天下にはつきりと発表したらいいと思うのです。そうでないと、あらゆる機会をとらえて、あいまいにしてみたり、また積極的に足らぬかのようなラジオ放送をやるというようなことでは、当然安くなるべき肥料価格が安くならない。やみの面はないはずでありますけれども、実際は肥料のやみの面は相当多いのです。この肥料のやみの面を下げてやることも、私は一つ農林省の大きな政治だと思う。はつきりした需給推算がちやんとお腹の中にあるにかかわらず、これをごまかして、一方において肥料公団という荷やつかいなものを持つておるために、これをかばう。これを何とかして有終の美を收めるために、これも有終の美を牧めなければなりませんけれども、このために一般農民を犠牲にすることは、断じて許し得ません。もう少し率直に、正直に肥料の需給状況を発表したらいいじやありませんか。そうしてまた、一般のやみ価格の平均は下つております。いわゆるやみ価格硫安が、千五百円とか千六百円と言われております。これはもう少しはつきり発表したら、高いところでも千円ぐらいに下ると思います。そういう意味で、農林省はやはり大きな肥料問題について、農民に親切に、率直にやつてもらいたいと思う。何がゆえに需給関係をそういうふうにお隠しになられるか、何がゆえにそういうふうにあいまいにされるか。これは私は肥料資本の援護のためとは思いません。しかし少くとも農林省は、今の配給機構という荷やつかいなものをかかえて、それがためにかえつてそういうことになる。これは農民全体から見れば小さな問題である。この肥料公団が有終の美を改めることができなくて、ここに二十億とか、三十億の赤字を出しても、それよりも六百万の農民肥料の供給状況をはつきり説明して、納得さして、その面においてはもつと大きなプラスをとれると私は思う。その意味において、私は事務当局の苦衷はわかりますけれども大臣において、肥料需給関係をもう少し率直に、足らぬとか、まだわからないとか、需要量がどうもはつきり押えられないというようなことでなしに、はつきりと私はこの機会に、農政局長のお手元に持つている需給状況をそのまま大臣に移して、大臣から農民に、現在の肥料はどうなつているかということを言えば、安心して今までよりもより一層安い肥料があしたから買えるのであります。買える状況にあるのであります。それを私はやつてもらいたい。かように思うのであります。
  38. 藤田巖

    藤田政府委員 ただいま河野委員は、はつきりしていることを非常にあいまいにしているというお話でございますが、実はそうでないのでございまして、初めに申しましたように、需要の数字、あるいは供給の数字というものは、いろいろの條件がかわりますればかわつて来る。それからまた来肥料年度の見通しにつきましては、外国からの輸入というものが、資金その他の関係でどうなるかわからぬというふうなことから申しまして、その点についてそうはつきりしたことが申せないことは事実であると思つております。それで、私どもの見込んでおりますところの生産見込みは、昭和二十五肥料年度、つまり本年七月から来年六月までの肥料年度生産見込みは、大体窒素質肥料考えまして百八十五万トンであります。そういうふうな数字から申しますれば、やはり大体二百万トンあるいは二百二、三十万トンあろうと考えます。そういうことからいたしますと、御指摘の通りやはりある程度の持ち越し数量はございます。しかしながら、そういうふうなことをいろいろ勘案いたしますと、必ずしもおつしやるように、非常に余つているというふうなことが次の時まで言えるかどうか、本年はなるほどそうでありますが、来肥料年度についてそういうことがはつきり言えるかどうかということについて、私どもはなお研究の余地があると考えているわけであります。なお生産その他の見込みといたしましては、これは安定本部の物動計画になつております。安定本部なりあるいは通産省にお聞きくだされば判明するであろうと思います。
  39. 森幸太郎

    森国務大臣 河野委員は、何かあることを隠している。あるいは公団を援議するとか、あるいは業者を援護するというような御議論をされましたが、これは非常に農村に誤解を受けますから申し上げたいと思います。需給推算につきましては、事務的に、今申しました各府県の状況を調査いたした数字をまとめて申し上げたのであります。ただこの肥料価格上つて来たがために、ほしい肥料があつても買えないというような農家が大分あるかもしれない。そういう場合に買われないからといつて肥料をやらない場合においては、生産を落すのであるから、そういうものに対しては、手形等の方法によつて肥料を確保するように努力いたしたい。こういうことも、つけ加えて事務当局からお答えいたした通りであります。肥料が今余つている、余つているとおつしやるが、決してそう余つているわけではないのであります。また御承知通り、ガリオア物資で入つておりましたものが、本年の七月からはどうなるかわからぬのであります。食糧でも三百四十万トンの輸入計画されておりますが、そのうちある部分はガリオア物資ではないのでありますから、必ずしも予定されましたようなものの数量が確保できるかできないかわからないのであります。従つて肥料の場合にいたしましても、今予定されております肥料が、ガリオア物資で入ればこれは問題ないのでありますが、日本の輸出力によつてこれを確保しなければならぬということになると、今日の輸出力がはたして肥料までも、あるいは食糧までもこれを買い得るかどうかということが、問題になつて来るのであります。それでありますから、政府が責任をもつて配給の立場にある以上は、万全の策を講じて、相当余裕をもつて考えて参らなければならぬのであります。従つて今数字の上において各工場の生産量、輸入量、需給の差として、これだけ余るではないかというようなことは、一応結論はつけられますけれども、今日の輸入関係、そうしてまた需要の関係で、今もう絶対にいらない、あるいは有畜農業によつて化学肥料がいらなくなつたというならば、これは別でありますが、価格が高くなつたから少し遠慮しよう。買うに買えない、資金の関係だというものも相当考慮されるのでありますから、そういうものに対しては、何とかして配給する方途を考えなければならぬのでありますから、今河野委員のおつしやるように、公団に有終の美をなさすためにとか、あるいは肥料の工業者を援助するために、そうして数字をことさらにごまかして、農民に対してしわ寄せをしておるということは、もうとう考えておりません。政府はさような無責任なことは考えておらないのでありますから、どうか誤解をなさらぬようにお願いいたしたいと思います。
  40. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は決して自分の意見を申し上げておるのではない。率直に申し上げまして、二月三十日に肥料関係農林省、安本、通産省、これらの方々が、外安輸入をめぐつて会議をなさつた。そのときにあなた方がいろいろ御相談の結果数字を出しておられる。その報告が硫安復興会議事務局から、ちやんとわれわれのところに来ております。決して私は架空なことを言つておるのではない、私の想像ではない。それはもちろんいかに政府のおえら方の全部関係者が寄られておつしやられても、あしたのことはわからぬ。そう言われればそれまでです。肥料関係の権威者が寄つて相談されたその結論は、権威あるものとして受取る。それで私は申し上げておる。しかし需給推算については私は申し上げません。あと二箇月なり三箇月の間にこれはわかるとだ。河野はこう言つた、農林省はこう言つたということで、私は堂々と勝負したいと思う。そこで私がこの際伺いたいのは、今足鹿委員のおつしやつたように、末端では配給の辞退がある。一方においては配給をとれる余地のある人もある。今の肥料の配給規則によると、通帳を提起しなければ肥料をとれないことになつております。これを緩和して、——緩和どころか廃止して、農家から農家への横の取引は自由にするということによりまして、今の末端の一方においては余り、一方においては足りない。この事情を大いに緩和する。そうしてこれによつて肥料やみ価格を下げるという措置をとるべきだと思う。農政局長にはこの今の肥料の配給規則を緩和して、農家から農家への取引は自由に認めるというふうに御改正になるお考えがあるかどうか、これによつて農村の画一配給の弊を是正する用意があるかどうか、これを伺つて私は、ひとまず質問を留保いたします。
  41. 藤田巖

    藤田政府委員 肥料配給公団の廃止に伴う措置といたしまして、七月以降県団体をはずしましたあとは、末端においては、私どもはフリー・クーポン・システムでやりたい。つまり農家は自己の欲する指定業者から買えるというやり方で参りたいと思います。現在は農林省から割当を一応いたしておりますが、それを辞退して余りました数量については、県において他に需要のあるところに振り向け得るように、一切の権限をまかせております。従つて県において、末端でとれない者があり、いらないというならば、それは即座に他の者にまわせるということをやらせておりますから、それによつて行くものと考えております。
  42. 河野謙三

    河野(謙)委員 私が伺うのは、あなたの方としては、現に農家から農家への横流しといいますか、転売は認めたという措置をとつたかのように聞いておりますが、これは非常に適宜な措置だと思つております。しかしこれが世に公表されないわけで、たとえば私が配給を受けて、山村新治郎さんという隣りの農家肥料を一俵売つたというのはよろしい。その間にブローカーが入つたり、商人が入つたりすることはいけないけれども農家から直接農家へ融通することさきしつかえないという措置をとられたと聞いておりますが、もしそれをとられれば非常な善政で、もしとられておらなければ、少くとも末端における農家から農家への融通は認めるという措置をとらないと、今のような肥料の画一配給ではとんだ事が起ります。またこれが常に農村で問題になりまして、ある警察ではこれを非常に罰しておる。またある警察ではこれを認めておるということが現にある。こういうことははつきりしてもらいたい。こういうことです。
  43. 藤田巖

    藤田政府委員 私が先ほど申しましたのは、農家から農家への融通を認めてはおらないわけです。農家には一応割当をいたしますけれども、その農家がいらないということで余ります。その場合にあらためてほしいところへ別に割当がえをいたしまして、そこに渡す。そういうふうな措置をとつておるわけです。農家がたとえば一かますなら一かます買つて余る。それをほかのものに売つたということについては、私どもはそういうふうな措置は現在認めてはおりません。
  44. 小笠原八十美

    小笠原委員長 本日はこの程度にし、次会は明一日午前十時より開会することにします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時十八分散会