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1950-02-21 第7回国会 衆議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十一日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君   理事 八木 一郎君 理事 藥師神岩太郎君    理事 山村新治郎君 理事 井上 良二君    理事 小林 運美君 理事 吉川 久衛君       足立 篤郎君    安部 俊吾君       宇野秀次郎君    渕  通義君       村上 清治君    守島 伍郎君       足鹿  覺君    坂口 主税君       横田甚太郎君    寺本  齋君       中垣 國男君    小平  忠君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君  委員外出席者         農 林 技 官 徳安健太郎君         農 林 技 官 三宅 三郎君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 二月十六日  農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号)(予) 同日  長代地区開拓事業費国庫補助増額請願(橋本  龍伍紹介)(第七六六号)  岡山食糧事務所職員定員増加に関する請願(  大村清一紹介)(第七六八号)  林業金庫設置に関する請願小峯柳多君紹介)  (第七七〇号)  農家保有米確保に関する請願高田富之君外  三者紹介)(第七八六号)  北海道のかんがい揚水経費全額国庫負担請願  (北二郎紹介)(第八〇二号)  中根村外二箇町村用水改良事業費増額請願(  森曉紹介)(第八〇五号)  繭価安定施策樹立等に関する請願外一件(庄  司一郎紹介)(第八〇九号)  同(平川篤雄君外一名紹介)(第八五五号)  蚕業技術員の身分安定に関する請願庄司一郎  君外二名紹介)(第八一〇号)  用材規格規程等廃止請願村上勇紹介)(  第八一五号)  肥料配給公団廃止請願渕通義君外四名紹  介)(第八五一号) 同月二十日  豊橋市に繭糸取引所設置請願八木一郎君紹  介)(第八八九号)  尾崎村の農業水利改良事業に関する請願(塩田  賀四郎紹介)(第八九六号)  繭価安定施策樹立等に関する請願並木芳雄  君紹介)(第九四五号)  同(竹村奈良一君紹介)(第九四六号)  同(玉置實紹介)(第九四七号)  同(犬養健君外九名紹介)(第孔四八号)  同(小平久雄紹介)(第九四九号)  同(中村純一紹介)(第九五〇号)  同(福田喜東君外一名紹介)(第九五一号)  同(庄司一郎君外二名紹介)(第九五二号)  同(前尾繁三郎紹介)(第九五三号)  同(高間松吉君外五名紹介)(第九五四号)  同(松本一郎君外一名紹介)(第九五五号)  同(河原伊三郎紹介)(第九五六号)  同(遠藤三郎君外一名紹介)(第九五七号)  同(大橋武夫紹介)(第九五八号)  同(八木一郎君外二名紹介)(第九九号)  同(小淵光平君外二名紹介)(第九六〇号)  同(武藤嘉一君外一名紹介)(第九六一号)  同(關内正一君外八名紹介)(第九六三号)  同(小林運美君外一名紹介)(第九六三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  造林促進に関する陳情書  (第二九二号)  森林組合強化に関する陳情書  (第二九五号)  農地改革打切り反対陳情書  (第  三〇三号)  農業基本政策に関する陳情書  (第三一五号)  農業改革事業促進陳情書  (第二一七  号)  昭和二十四年産米割当補正陳情書  (第三一八号)  肥料配給公団廃止陳情書  (第三二〇号)  農地改革に関する陳情書  (第三三  七号)  土地改良事業に対する補助金制度復活陳情書  (第三四一号)  供出補正割当に関する陳情書  (第三四二号)  農業共済団体事務費全額国庫負担に関する陳情  書  (第三四五号)  農地改革打切り反対陳情書  (第三五二号)  治山造林事業促進に関する陳情書  (第三  五四号)  農業改良普及事業に関する陳情書  (第三五六  号)  主食増産に関する陳情書  (第三八八号)  土地改良事業に対する国庫補助復活陳情書  (第三九〇号) 同月十八日  治山治水事業促進陳情書  (第四  一二号)  中央卸売市場法改正陳情書  (第四一九号)  中京国営競馬場設置陳情書  (第四三二号)  公営競馬民営移管反対陳情書  (第四亜三号)  家畜市場法制定陳情書  (第四三五号)  農地買収に関する陳情書  (第四四一号)  災害耕地排水機維持電力料金全額国庫負担に  関する陳情書(第  四四四号)  早期供出奨励金制度改訂に関する陳情書  (第四五〇号)  肥料配給公団廃止陳情書  (第四五二号) を本委員会に送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した事件  小委員選任に関する件  農産種苗法の一部を改正する法律案内閣提出  第二一号)(予)  農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号)(予)     ―――――――――――――
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより会議を開きます。  議事に入る前に、小委員追加選任及び補欠選任を行います。去る九日設置されました林業対策小委員会及び公団に関する小委員会員数を各一名増加されたいとの申出がありますが、この申出の通り両小委員会員数を各一名増加するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではこの際増加するに決しました。両小委員会の小委員追加選任いたさなければならないのでありますが、これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは林業対策小委員には吉川久衛君を公団に関する小委員には小平忠君をそれぞれ指名いたします。  次に去る十五日委員を辞住せられました高田富之君は林業対策小委員でありましたので、現在本委員会が一名欠員になつております。つきましてはこの補欠選住を行わねばなりません。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは池田峯雄君を林業対策小委員に指名いたします。     —————————————
  6. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それでは農産種苗法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府提案理由説明を求めます。
  7. 坂本實

    坂本政府委員 農産種苗法の一部改正提案につきまして、その理由を大略申し述べたいと思います。農業生産におきまして種苗はその重要な生産要素をなすもので、種苗の良否は、ただちに生産の成否に重大な影響を及ぼすものであります。農産種苗法は、種苗のこの重要性にかんがみまして、各種種苗品質維持向上をはかり、かつ優秀新品種種苗育成奨励助長することをその目的とするものでありまして、そのため一方において種苗者届出制実施し、かつ特に重要と認むる販売種苗に、種類、品種生産地採種年月発芽率等記載した保証票添付せしめて、取引の円滑と安全を期しまするとともに、他方において優秀な新品種種苗育成した者がある場合には、農林大臣出願してその登録を受け得る道を開いてあるのであります。  一昨年三月本法施行以来、漸次その事業実施いたしまして、取締りの面におきましては、種苗検査官により種苗業者営業届出及び保証票添付状況検査し、また資料の抜取りによる発芽率検定等必要な取締り行つて種苗及び種苗業改善に資するとともに、優良品種種苗登録事業におきましても、種苗審査会におきまして、すでに登録に決定いたしましたものが、十五件に上つている状況であります。  今般提案いたしまして御審議を願いまする改正は、これらの事業をますます合理的に推進いたしますために、ぜひとも必要と考えられるものでありますが、これを御説明申し上げますと、第一に、優良品種種苗登録の対象とすべき種苗は、取締りのため保証票添付せしめる必要のある種苗よりもその間曲を広くいたしまして、花類その他の種苗にも及ぼすべきでありますのに、現行法規定では両者が同一範囲なつており、不都合を来しておりますので、これを改めるため種苗のうち保証票添付せしむべきものは特にこれを指定いたしまして保証種苗といたそうとするものであります。  第二に、保証票には、種苗生産地記載することとなつており、現行法では、その生産地に属する市町村名を記することに定められておりますが、市町村名を記することは技術的に実行困難で、ほとんど行われ得ない実情でありますので、これを改めて都道府県名記載すればよいようにいたそうとするものであります。  第三に、新品種種苗登録出願及び登録に際して、現行法ではいずれも無料となつておりますが、これにつきましては、ある程度の妥当な手数料を納付するようにするのか適当と考えられるので、そのために必要な改正をいたしたいと考えるものであります。  以上今般の提案にかかります改正につきまして、その理由を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議くだされんことをお願い申し上げる次第であります。  なお先日の参議院農林委員会におきまして、本改正案審査が行われました際、一部追加して議員修正案提出せられておりますので、その点お含みおき願いたいと思います。  第一点といたしまして、民法の相続規定改正に関連するのでありますが、本法による名称登録に関する権利の承継を相続人が二人以上ある場合には、協議または指定によつて定められたそのうちの一人の者に限ろうとするものであります。これにつきましては、政府としては行政指導により同様の効果をあげるようにいたしたい所存でありましたが、修正案はこの点を明確に決定しようとするものでありまして、種苗生産の性質上適当な措置と考える次第であります。  第二に、農林大臣が第十一条の規定によつて積荷登録を取消そうといたします場合には、種苗審査会において一応本人に弁明の機会を与えなければならないという規定を追加しようとするものであります。これは民主的な法律といたしまして、本人権利保護の立場からけつこうな修正案考えられます。以上二点について修正案提出せられておりますので、この点お含みおき願いたいと存じます。
  8. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これにて本案に対する提案理由説明は終りました。引続き質疑でありますが、これは後刻行うことといたします。
  9. 小笠原八十美

    小笠原委員長 次に農業改良助長法の一部を改正する法律案議題とし、その提案理由説明を求めます。
  10. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま提案になりました農業改良助長法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  日本農業の民主的な立直しのため、農地改革実施及び農業協同組合の発足と相まつて、新しい構想に基く農業改良事業が始められて、以来一年有余になります。この事業を推進し、日本農業の要請に即応する試験研究を行い、その成果を迅速に普及し、農家自発的意思と理性に働きかけて、農業及び農民生活改善をはかることは刻下の急務と考えられます。能率的な農法の発達農業生産の増大及び農民生活改善をはかるために、農業に関する科学技術発達及びその成果の有効な普及目的とする農業改良助長臓は、第二国会を通過いたしまして、昭和二十三年七月十五日公布施行せられましたが、その後この法律を運用した経験に基きまして、その立法趣旨をさらに有効適切に実現するよう数箇所につき早急に改正したいと考えるものであります。  第一は、第八条の試験研究資金流用禁止規定についてでありまして、試験研究用土地または建物の購入、借入等に対してもこの法律により資金交付しまたはこの法律により交付された資金を使用し得る道を開き、試験研究推進のため、資金の有効適切な利用をはかりたいと考えるわけであります。  第二は、第十六条に掲げられました協同農業普及事業に対する補助金割当基準についてであります。この補助金の大部分は、普及関係職員、ことに改良普及員設置費でありまして、これら改良普及員は、市町村に少くも一名以上配置できることを理想といたしております。しかるに現行規定では、補助金総額の九割までを各都道府県農業人口耕地面積の割合のみに応じて配分することとなつており、現地の実情に即せず、事業の円滑の遂行に支障がありますので、配分基準の一として、市町村数に対しても適正な考慮を払い、かつ都道府県特殊事情の比重を高めて、補助金割当の適正を期したいと考えたのであります。  第三には、協同農業普及事業資金を有効に使用するため第二十条の二を新しく設けまして、その事業実施状況が不良であるような場合に補助金割当後もその交付を停止し得る道を開きたいと考えるのであります。  最後に第二十三条関係でありますが、現行法のものにおきましては、特別の理由によつて補助金割当または交付をしない場合に、その補助金不要額となることになつておりますが、限られた補助金を有効に使用するため、それと他の都道府県交付し得る道を開きたいと考えるものであります。  以上提案理由を御説明申し上げましたが、なお詳細につきましては政府委員より申し述べます。何とぞ慎重に御審議の上なるべくすみやかに御可決願いたいと存じます。
  11. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これにて本案に対する説明は終りました。
  12. 小笠原八十美

    小笠原委員長 なおこの際農産種苗法の一部改正法律案の件につきまして、徳安説明員より発言を求められております。これを許します。
  13. 徳安健太郎

    徳安説明員 ただいま政務次官から提案理由説明がありましたが、本法施行いたしましてから最近までの状況につきまして、私から簡単に御説明申し上げたいと思います。  お手元に差上げました農産種苗法一部改正法案資料というものをお読み願います。この農産種苗法は二十三年の三月から施行なつておりますが、この種苗法施行に伴いまする検査官定員の問題で、関係方面よりの了解が得られなかつたので、実際の検査施行が非常に遅れまして、二十四年の五月中に専任検査官発令いたしました。実際の仕事は二十四年の六月から開始いたしております。ここに差上げました資料は約半年間の成績をとりまとめたわけであります。  第一に種産種苗法第二条による届出状況であります。これは現在のところ農林大臣の方に参つておりますものが大体二万五千五百あります。目下これをカード式に整理いたしております。なお種苗業者の一部には無届の者がありますが、その多くは営業規模の小さいものでありまして、本法施行を知らなかつたという者であります。これに対しましてはこの届出指導をいたしております。  それから次に種苗検査職員設置でありますが、ただいま申し上げましたように非常に発令が遅れまして昨年の五月に発令をいたしております。その配置状況はこの表に書いてありますように、本省専任二名、それから農林省園芸試験場本場及び各支場に十名、それから主要な種の生産地帯である府県に対しまして十一名、合計二十三名の専任職員を配置いたしております。兼任につきましては下に書きましたように本省及び園芸試験場本場及び各麦湯に十五名、結局三十八名がこの検査事務に携わつておるわけであります。  予算につきましては二十四年度の予算は総計八百八十七万九千円でありますが、二十五年度に目下要求中のものは八百十六万二千円であります。これにつきましてはわれわれ種苗関係をやつております事務当局といたしまして、予算増額を要求したのでありますが、国家財政の建前より削減されまして、昨年よりも減つております。この減りました内容につきましては、庁費が減つておりますが、これは検査に関しまする器具、機械、設備の備品というものが昨年一応完備いたしましたので、これが落されております。それから種苗登録審査会費も若干減つております。これは手当が若干減つただけであります。  次に種苗検査概要でございますが、届出状況につきましては、前に申しましたように各府県につきまして調査をいたしておりますが、そのうちで検査いたしましたものが千四百五十二、そのうち無届営業者は二百十四で一五%となつております。  これはいずれも種苗法施行を知らなかつた者が大部分でありまして中には税金の加重を避けるということの意味で届出を怠つてつたようでありますが、これらにつきましては、いずれも届出の励行をするように指導をいたしております。  それから保証票添付状況でございますが、これにつきましては、総点数千四百五十二の調査所につきまして九千三百十一点をやつておりますが、完全添付は二六・一先、無添付が五三・三%、記載不備が二〇%、虚偽の記載が〇・五%、無添付が非常に多いのでありますが、これはほとんどこの法を知らなかつたというものが多いのでありまして、記載不備の大半は生産地都道府県名のみを記載しておつたのでありますが、これらにつきましては、いずれも検査官から注意をいたしまして、なお悪質と認められます四件につきましては、厳重な注意を発して始末書提出させております。  種子検査につきましては、清潔歩合は大体良好と認められますが、ここに書いておきませんでしたが、ものによりましては違いますが、大体七〇%ないし八〇%となつております。そのうちで玉ねぎ、ねぎ、ほうれん草、にんじん、ごぼう、こういうものには発芽率が非常に悪かつたようであります。  次にこの検査をやります場合に、やはり発芽試験だけでなくて、品種検定をやらなければなりませんので、圃場の検定を本年度からやることになつております。  なおまた次に行政処分件数でありますが、これは検査施行早々でありまして、種苗法普及徹底が十分でないと認められますので、違反事件はいずれも司法処分に付しませんで、行政処分に付しております。そのうちで注意をいたしましたものが六千八百三十九件・記載事項の訂正をやらせましたものが三十件、始末書提出が四件、計六千八百七十三件になつております。始末書提出四件の内容について簡単に御説明を申し上げます。昨年度ほうれん草の種が、非常に採取が気象条件等関係でうまく行かなかつた。従つて日本ほうれん草の種が非常に少かつたわけであります。これに乗じまして、日本ほうれん草とげがあります。西洋ほうれん草丸種でありますが、西洋ほうれん草でもとげがあるものがあるのであります。それをまぜまして売つた。そして各生産者に非常に迷惑をかけたということがありまして、これは愛知県の例であります。この四件につきましては、私の方でその実情調査いたしまして、県当局の立会いの上で検査官の方で始末書をとつております。  それから種苗検査が斯界に寄与した例といたしましては、大体紛争の解決があります。これは一例をあげますと、神奈川県におきまして、昨年二十町歩美濃早生大根の種を買つたのでありますが、そのうちの四町歩練馬系の種でありまして、それによつて非常な損害をこうむつた例があります。それは検査官がその種の入手経路調査いたしまして、目下これにつきましては、神奈川県庁とも連絡をとりまして解決に当つて、大体解決の曙光が見えております。そのほかここに二・三それと同じような事例をあげております。  それから次にずつと一応省略いたしまして、種苗名称登録の問題について申し上げます。この種苗名称登録につきましては、二十三年十月に第一回の審査会を開きまして以後最近までの間に四回開催いたしております。そしてこの名称登録の申請がありました総出願件数は六十九件でありまして、このほかに現在の規定では審査できないすいか二件が別にあります。そのうちで登録をいたしましたものは、現在りんご陸奥青森苹果試験場、つけな、広莖かつお菜、かぶ、改良博多かぶの三つでありまして、去る一月に開きました審査会におきまして登録は決定をいたしまして、目下答申手続中のものが十二件あります。それから優秀な新品種また新系統と認められなかつたものが三十八件ありまして、目下審査続行中のものが十六件であります。一例をあげますと、登録の第一号として来ましたりんご陸奥と申しますと、これは昭和五年に青森りんご試験場育成しましたゴールデン・デリシヤスとインドをかけ合せたものが非常に貯蔵性があるという特性があり、品質も非常に優良でありまして、ゴールデン・デリシヤスよりも若干まるみを帯びておる。これが農林大臣登録の第一号であります。以上簡単でございますが検査概要及び種苗名称登録の経過につきまして、御説明申し上げた次第であります。
  14. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これにて、説明は終りました。それでは農産種苗法の一部を改正する法律案及び農業改良助長法の一部を改正する法律案一括議題として、その質疑に入ります。渕君。
  15. 渕通義

    渕委員 まず農産種苗法の一部改正法案につきまして質問をいたしたいと思います。     〔委員長退席八木委員長代理着席〕 この法案はなるほど日本の現段階におきましてもちろんりつぱな法案であるとは存じますけれども法案の全体をながめてみまするときに、提案理由にも誓いてあります通り、新品種種苗奨励助長と書いてありますけれども、私どもをして言わしむるならば、この法案の大きなねらいは、奨励助長ということもあるでしようけれども、一歩つき進んで、農産種苗業者に対するところの政府機関指導という点に相当の重きを置かなければならぬのではないかと考えております。何となれば、種苗業者商売人でございますから、なるほど商売人自治にまかせて置けばいいものを出すように努力はいたすでありましよう。しかしながら、これは農産種苗業者自治でありまして政府がこれをよく監督奨励するためには、まず指導するところの面が大きくクローズ・アツプされなければならぬと思うのでありますが、その指導の面に対してどういう考えを持つておられますか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  16. 藤田巖

    藤田政府委員 ただいまお話のございました種苗行政に対する農林省指導方針の問題でございますが、お話のように、現在種苗業の需給は、大体数量的に申しますと、安定はいたして参つたのでありますが、品質の点におきましては、戦前に比べまして相当底下をいたしております。私ども考えといたしましては、やはり最近の農業事情から申しまして、優良品種種苗普及する、これを非常に必要に感じておるのです。従つてこの農産種苗法に基く種苗検査を励行いたしまして、一方そういうふうな点を注意いたしますとともに、さらに優良品種の各称登録事業を、従来ですと保証票添付をすべきものの範囲が同じでございますが、今回その範囲を広めまして、保証票添付は要しないけれども優良種苗としてこれを大いに育成したいというための登録事業というようなことも推進ずるという方法によつて改正をしておるわけで参あります。さような考え方によつて、今後とも優良種苗生産並びに普及に努めたい、かように考えております。
  17. 渕通義

    渕委員 藤田政府委員お話を聞いておりますと、なるほど育成助長ということにあるようであります、けれども、私の言わんとするところは、いま一歩つつ込んで、農産種苗業者に対する指導、たとえば技術的な指導であるとか——なるほど業者ですから、できるだけいいものをつくるように努力はいたしましようけれども、現在の科学の進歩と相マツチするために、試験所あたりとよく連絡をとりまして、それを指導する面に対して、一歩つつ込んだ何ものかがなければならぬじやないかということを、私は指摘しておるのであります。その点に対しまして、現存の段階において種苗業者の統一をされまして、それに対する指導方針は具体的にどういう方法をとつておられますか、お伺いしたいのでございます。
  18. 徳安健太郎

    徳安説明員 ただいま御質問の要旨につきまして私から簡単に御説明申し上げます。ただいま種苗につきましては、現在全国に種苗生産業会というものがあるのであります。それから協同組合につきましては、全販連及び指導連が全体の指導をやつております。従いまして農林省といたしましては、この種苗の技術的な問題につきましては、種苗生産業界の中に、各種苗業者の技術者を網羅いたしまして、種苗の研究会をつくり、ここに農林省の技術関係の者が出まして、連絡あるいは協議をいたしております。それから金版連におきましても同じようなことをやつております。それから実質的な問題といたしまして、ただいま局長から申し上げましたように、最近品質の低下という点も認められますので、海外から優良種苗を入れまして、これを普及いたしたいと考えまして、現在一応代表的な種苗業者を通じまして、オランダ及びアメリカから優良種苗を輸入いたすことになつております。これにつきましては、農林省といたしましても、通産省と連絡をとりましてこの輸入の円滑をはかり、これを各種苗業者に配付いたしまして優良品種普及をはかりたいと考えておる次第であります。
  19. 渕通義

    渕委員 日本は敗戦の結果、いろいろな面におきまして悪い状況に追い込まれております。従つて私はこの悪い状況に追い込まれ、小さな島国に閉じ込められました日本が、将来世界に対して発言権を持つには、それにはいわゆる科学であります。湯川博士のごときああいつた偉大な科学の天才が出ましたごとく、われわれ科学の力によつて、世界に対して大きな発言権を持たなければならぬ。そうなりますと、日本の現段階における農業特に農産種苗が、はたして世界的にどの水準にあるかということを疑問を持たざるを得ないのであります。私はこの点につきましてては、いろいろ研究所あたりと連絡をとりましたけれども、現在の段階におきましては、世界的な水準に達していないということは申されるでありましよう。まずわれわれは、農産種苗をつくるならば、いま一歩つき進んで、世界的にりつぱな種子をつくるように、それには現在の業者自治にまかしておいたのではだめであります。政府はよろしく業者に対して、打つて一丸としたところのりつぱな組織的な団体をつくつて、それに対してある程度の補助金を与えるとか、或いは優秀な技術者を入れましてそうして諸国の議をとり、いろいろな種苗を世界から持つて来まして、そこで切嵯琢磨して、りつぱな種苗をつくるというところに、大きなねらいを置かなければならぬのじやないかということを考えております。それに対して政府はいかなるお考えのもとにこの法案を運営なされるお考えがあるか、その点をもう一ぺん伺いたいと思います。
  20. 藤田巖

    藤田政府委員 ただいま御指摘になりましたところは、全然私どもも同感でございます。もちろん世界的に誇るところの種苗というようなものは、一朝一夕にしてでき上るものではないのでありまして、多年の苦心の結果漸次できて行くものであると考えておるわけであります。その意味におきまして今回優良品種登録の仕事をやりやすくするということもその一端でありまして、お話の点につきましては、今後あらゆる面において、たとえば団体の指導であるとか、優良品種の輸入であるとか、あるいは技術の普及滲透等についての問題につきましても、十分考究いたしまして、できるだけすみやかに御指摘のようなものをつくるように、私どもとしても努力いたしたいと考えております。
  21. 渕通義

    渕委員 次に小さい問題につきましてお伺いいたしたいと思います。発芽率記載することになつておりますが、もし記載されたパーセンテージが、実際栽培いたしました場合に誤差が生じた場合に対する制裁を、どの程度までを押えて登録発芽に対して罰則の規定があるか。たとえば発芽率が八〇%といつた場合に七〇%の発芽率しかなかつた場合に対する種苗業者の責任がどういうところに置かれておるかその点をお伺いします。
  22. 徳安健太郎

    徳安説明員 一応法律の建前といたしましては、発芽率記載するということになつておりまして、たとえば発芽率が三〇%しかないという場合には二〇%と書けばいい。ただいま御指摘のありましたように、八〇%と書いてあつたが、実際は七〇%しかなかつたというような場合につきましての誤差の鶴につきましては、われわれの方といたしましても一応きめております。その範囲を申しますと、たとえば保証票に九五%から九〇%と記載がありました場合に五・七%というものを技術的に誤差の範囲としてきめております。
  23. 渕通義

    渕委員 五・七%ときめた点、少くとも終戦直後の状態であつたならば五・七%というものも一応了承するかもしれぬけれども、今日のごとくすべての種苗が相当完成されまして、各商店とも一、二を競うといういわゆる自由競争時代に入りましたところの今日におきましては、この五・七%はもつと引上げるべきではないか。たとえば俗に言うと、薬屋の効能書きのように、九五%と書いてもはたして九五%かわからぬ。その良心的な度合いを、少くとももつと狭めることにおいて業者に一つの自由を与える。そうでないと五・七分くらいの誤差であれば種苗ですから大体いいだろうということになりますと大きな問題になりますから、その点もつと狭めるだけの考えはないか、その点をお伺いします。
  24. 徳安健太郎

    徳安説明員 ただいまの御指摘の問題ですが、これは種苗検査と申しますか、種苗の試験関係から申しましてもアメリカ等と違いまして濃度が非常に高い日本では、種子の生命が取扱等を重ねますにつきましてだんだん減じて来るわけであります。この誤差の範囲を、いろいろの点から測定いたしまして、一応一〇〇%から五〇%までの間を一定の誤差範囲をきめておるのであります。これは純然たる技術的な考えで取扱つておりますから、御了承願います。
  25. 渕通義

    渕委員 この法律案によると、登録されたものは相当特権を与えられるようになつておりますが、登録されるまでの段階にまで至らぬ種苗業者は、相当新しいものをつくらねばならぬというので、熱心にやりますけれども、一応登録されてしまうと、安心いたしまして、安心感のために悪い現象が起つて来る。従つて先ほど申しました神奈川県の例のごときもそういつた漫然感からそういうことになつたと思うのであります。そういつた場合、農民に非常に不利益を及ぼした場合に対し、政府はただ当業者との間における話合いによつて、その農民の危険負担をばカバーしようというような手ぬるいことでは、一応考えなければならぬと思う。もう一歩突き進んで、かりによいものを出すという責任があつて出すならば、そのよいものの過程において、たれかしらん大きなミスがあつた場合、その場合にはよろしくその業者には厳罰をもつてすべきではないか、そういう厳罰をもつて臨まなければ、神奈川のごとき例はたびたび起ります。現に私はそういうことを各地で聞いております。特に今言つたほうれん草とかたまねぎなどの面についてそういう問題が多く起つておる現実をどう見て、どう将来改正されるか、その点をお伺いいたしたい。
  26. 藤田巖

    藤田政府委員 御指摘のような場合もあろうかと存じます。私ども考えといたしましては、現行農産種苗法の第十一条に、農林大臣が、一定の事由に該当した場合は、その登録にかかる種苗の販売の停止を命ずる、または種苗審査委員会審査を経てその登録を取消す。こういうような処置を予定して書いてございます。従つてこれに該当するようなものが出ました場合は、今後は種苗審査委員会審査を経て、登録を取消すなり、あるいは販売の停止を命ずるなり、適当厳重な処分をいたしまして、これを防止いたしたいと考えております。
  27. 渕通義

    渕委員 適当に処分するということはまことにけつこうですけれども、なかなか適当に処分されてない。現に横浜の例のごときは相当損害は莫大なものである。そういつた場合、ただ談合でもつてそれを解決して行こうというようななまぬるいことではいかぬ。一定の面積、一定の利益の範囲においてマイナスがあつた場合においては、断固たる処置をとるというくらいを明記すべきじやないか。その限界点がはつきりここにわかつていない。どういうところに限界点を置くのか、種苗審査会の構成というものにおのずから疑惑を抱かざるを得ない。その点もつと公平に、もつと明らかな方向に導いて行くために、一歩進めた規定を挿入してもらいたい。はつきり限界線を切つてもらいたいということを要望するのですが、それに対するお考えを承りたい。
  28. 藤田巖

    藤田政府委員 種苗業者の生命といたしますところは、私は信用の問題であろうと思う。種苗業者が一旦信用を失墜いたしますと、その販路を従来通り回復するのには相当期間かかり、大きな痛手であろうと思うのであります。従つてどもとして希望をいたします点は、一つ一は農家の方々が農産種苗法の精神に基きまして、よく種苗業者を監視すると申しますか、正確な保証票添付ができておるか、その表示に合つておるかということをよく調べて、それに該当しない場合は、すみやかにこれを検査官その他に報告をしていただく。検査官がそれを調べて、もしもそれが過失に基かざる故意であつた、また重大な過失であつて不都合だということが認定される場合には、先ほど申しましたような手段もあるわけであります。またこれを広く公表をするということにはつきりいたしますれば、種苗業者としても大きな痛手にもなり、また注意を与える動機にもなるだろうと考えます。そういうふうな意味合いからいたしまして、私どもといたしましては、今後ともさような事態の発生については厳重注意いたしまして、種苗業者に不正の起らないようにいたしたいと存じます。
  29. 渕通義

    渕委員 その規定を発動した例が幾つありますか。
  30. 藤田巖

    藤田政府委員 先ほど徳安説明員から御説明いたしましたように、農産種苗法自体が昨年の六月から施行されております。従つてまだ法令について十分に末端まで徹底しておるとも申せないわけでありす。従つて事態の発生といたしました特に不都合と考えられますものにつきまして四件ございますが、これについては、まず第一回の処置といたしまして始末書提出させておる。そうして、今後かかることのないように厳重に訓戒を与えるというようなことで、法による処分はございません。今後とも厳重にやつて参りたいと思います。
  31. 渕通義

    渕委員 次に今度証票の中には市町村名を記入しないことになつておりますけれども、これは考えによつては非常に大きな問題じやないかと思う。大体農産種子というものは、その地域的条件が非常な大きなフアクターになつております。これをよほど考えてもらわなければならぬと思います。これは非常に学問的に言つて重大問題でありまして、おそらく徳安技官は、学問的、良心的に考えるならば、この市町村名とつたことについては反対であろうと思う。その良心的な見解を一応承りたい。同時にまたこの問題については多く申しませんけれども、ばれいしよのごときはこの規定に入つておりません。ところがばれいしよは食管法か何かでやるということになつておるそうでありますが、これは重大問題であります。ばれいしよは一番大きな問題であります。これをこの規定に入れまして、徹底的にやる考えはないか。そういつた点を承りまして、私の質問を打切りたいと思います。
  32. 藤田巖

    藤田政府委員 市町村名の問題につきましては、これは徳安特産議長から御説明いたさせますが、ただいまお話のございましたばれいしよの問題であります。これは主食として従来該当しております関係上、食糧庁で購入いたします場合に検査をいたします。私どもといたしましては、ばれいしよの葉腐れ病、その他の疾病等も相当蔓延いたすことも予想されますので、従つてそういうふうな点につきましては、農産種苗法としては扱わないわけでありますが、別途のやり方で検査は厳重にして行くというような体制をとつて参りたいとということ外れ別途これに対する研究を現在いたしております。
  33. 徳安健太郎

    徳安説明員 ただいま灘委員から御指摘のありました、市町村名を今度削除いたしまして、府県名にするという問題につきましては、御指摘の通り、技術的には私といたしましても市町村名を入れたいのであります。しかしながら実際にやつて参りますと、御承知のように、小さい絵袋にまでなりますと、なかなか実際問題として行われない。従つて検査法の徹底をはかる上から申しまして、一応府県名にとどめまして、将来もう少しこの種苗法に対しまして生産者及び消費者がなれて参りますれば、そのときにまた考慮したい。一応今の段階におきましては、府県名にとどめておきたい、かように考えております。
  34. 渕通義

    渕委員 そういうふうにお願いしたいと思います。
  35. 村上清治

    村上(清)委員 この種苗法によりますと、大分いろいろな研究がありますが、この内容について資料は出ておりますか。各研究の内容、たとえば農業研究所の内容とか、あるいは農業経済研究調査内容とかいうようなものについて資料が出ておりませんようですから御提出願いたいと思います。  それから今年度に新たに試験研究機関の統合整理に必要な経費というものが計上されておるようでありますが、農林大臣説明では簡単でちよつとわかりかねますので、これも具体的に御説明願いたい。どういうふうな内容で、どういう構想のもとに整理統合される御計画であるか。現在の研究内容と関連してひとつ説明願いたいと思います。
  36. 三宅三郎

    ○三宅説明員 ただいまの御質問は改良助長法についての問題だと思いますが、その関係試験研究予算が出ておるが、その内容についての資料を出すようにということでありますが、これはさつそく準備いたしまして提出いたします。  それから総合研究に関する問題でございますが、それは東京にございます農業総合研究所の費用であります。農業関係の全般につきまして特に研究をするためにできております研究所でありまして、その他の技術的な面、あるいは開拓でありますとか、畜産でありますとか、園芸でありますとか、農事でありますとか、そういつた研究所は性質が違いますので、その面を一応このたびの整理統合案によりまして、中央に一つの研究所をつくりまして、地域には農業試験場を七箇所つくりまして、それぞれ相まつて試験研究の完璧を期したい、こういう構想になつております。いずれ農林省設置法案の中でその問題を御審議願うことになつております。
  37. 村上清治

    村上(清)委員 その資料を拝見した上で、さらにお尋ねいたしますが、ただ一言申したいことは、いろいろな試験研究があるようでありますが、申すまでもなく、今農村問題は非常にむずかしい場面に直面しております。従つて農林省試験研究の対象となるべきものは、よほど慎重に取扱わないとむだな研究になる、というよりもむしろそれ以上に研究しなければならぬ問題があると思うのであります。もつと端的に申しますと、いわゆる世間で農業恐慌、農村恐慌と言われておる、この農村が非常な脅威を感じておる場合、どういう点に重点を置いて研究試験をすべきであるかということは、相当大きな問題で占めろうと思います。一例を申しますれば、単作地帯の農村に対して、技術的に何を研究上してしかるべきであるかということなども、相当に考慮を払わなければならぬ問題であろうと思います。ただ今までやつて来た研究を継続するとかいうことでなしに、時局に対して重点をどこに置くかということは、考慮しなければならぬ点であろうと思います。新しい研究としてそういうような御計画があるかどうか。またこれは私もはつきりしたことはわかりませんが、昨年本農林委員会におきまして、御承知でしようが、X線の研究試験場を視察いたしました。それについても十分御研究だろうと思うのですが、X線操作による増収の試験でありますが、技術的には私どもまだ確信を得ておりませんが、この着想は相当画期的のものであろうと思います。これについていろいろなことも聞いておりますが、当局としてはどういうように考えておるか。これは技術的に全然見通しの立たないものとお考えなつておるか。またはこの試験を助長して、もしこの試験が成功しますれば、増産に対してもまた農村の生産に対しても画期的なものであるということは、だれしもわかることでありますが、これは取上げる、価値のない問題と見ておられるか。かようなことも現在の時局に対しては相当重要な問題であろうと思います。これは一つの例として申し上げるのでありますが、こういうような点について一応お答えをいただきたいと思います。
  38. 三宅三郎

    ○三宅説明員 研究関係のただいま御指摘の点につきましては、私どもも十分その点考えておりまして、農業改良局をつくりまして、研究部というものをつくつたのも、その趣旨に基いたわけであります。従来とかく試験研究機関がばらばらに、各自独自の立場で試験研究をしていた傾きがありましたので、今側の改良局によりまして、それぞれ研究企画官というものを研究部に置き、それらが十分連絡をとつて、一方経済研究関係の面も取入れ、技術研究と経済研究の両面を研究部に置いて、両方の連絡を十分にとり、時局に応ずるような研究企画をいたします。それを各試験場に示して試験場等の試験研究が時代に離れないように、できるだけ当面の問題に属するような試験研究に向くように、目下整備中でございます。研究部が始まつてまだ一年ちよつとでございますので、仕事が十分はつきりしておるとは申せませんけれども、その方向に進んでおることを御了承願いたいと存じます。なお特に経営面の問題は、今までのように稲なら稲の改良だけでなく、農家の経営面を頭に置いて、そういつた企画研究をして行くという考え方で出て来ておるわけであります。  次に御質問になりましたX線の問題でありますが、これもただいま試験研究に幾分着手しております。しかし現在一般に流布されておるような大きな結果がそこに得られるかどうかという問題につきましては、私どもといたしましてはまだ疑問には思つております。しかし全然価値がないものとして放擲しておるわけでもございません。試験研究の面にも取上げたいと存じております。     〔八木委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 井上良二

    ○井上(良)委員 農業改良助長法については次の機会に質問いたすことにいたしますが、ちよつとこの際種苗法関係して、政府が現在配給しておる種苗品種、その各県への割当、需要、こういう資料があつたら、出していただきたい。
  40. 藤田巖

    藤田政府委員 そういう資料が完全にそろうかどうか疑問でありますが、現在政府の配給しておりますものは、そ菜雑穀の種子だけで、そういうものについて資料をととのえ、次の委員会までに提出いたしたいと考えております。
  41. 井上良二

    ○井上(良)委員 その場合、特にお願いしておきたいのは、各県から要求しておる雑穀関係の需要量と、それによる各県への割当、その結果どういう割当をしたかという結果の報告が政府に来ておるかどうか、もう一つ、一体それらの割当というものは、的確なる有効需要に基いてやつているかどうかという、具体的な資料を出してもらいたい。  次にらつかせいの種子の配給でありますが、もうすでに各県に割当をしなければならぬ時期に来ておるにかかわらず、食管の方で伺うと、種苗としてのらつかせいの供出が予定通り進行していない実情にあるということであります。これは一体政府はどう処置されようとするか、この点について一応伺いたいと思います。
  42. 藤田巖

    藤田政府委員 昨年は種苗業者に対して配給したのでありますが、本年はそれをやめまして、各府県からの御要求に基きまして、いろいろ検討いたしました結果、食糧庁に対して供出の出ておる数量とにらみ合せて、具体的な割当をやつて参りたいと考えております。現在集まつておるものは、約二百石程度でございます。
  43. 井上良二

    ○井上(良)委員 各県から要求する数字は何ぼ来ておりますか。
  44. 藤田巖

    藤田政府委員 手元に資料がございませんので、これも集計いたしまして、次の機会に提出いたします。
  45. 山村新治郎

    ○山村委員 簡単に政務次官に伺いたいのでありますが、しばらく前の当委員会におきまして、私から農林大臣に、雑穀の統制ははたしていつ撤廃するかという問題を質問いたしましたら、それに対しまして、なるべくすみやかに統制は撤廃したいという御答弁があつたように記憶いたしております。また数日前の新聞によりますると、大臣がどこか地方へ参られまして、新聞記者団に発表したところによると、六月あるいは七月ごろに雑穀の統制を撤廃するという発表があつたやに報ぜられておりまするが、この統制撤廃の時期というものは、むしろ七月、八月になつてからでは非常に遅きに失する傾きがあります。今からいつごろ統制を撤廃するならする、あるいは供出後自由にするならするという方針を明らかにされませんと、この雑穀をつくる農民といたしましては、非常に迷惑を結果において受けることに相なりまするが、この点につきましての確たる見通し、あるいは現在の交渉過程につきまして——なるべくすみやかにその実現ができるような方法について、おそらく御努力なさつておることとは存じまするが、ありのままの実情をこの際御報告願いまして、全国の雑穀をこれからつくらんとする農民のために、その方針をひとつ明示していただきたいと思います。
  46. 坂本實

    坂本政府委員 雑穀類を政府買入れの対象から除外するかいなかという問題につきましては、農家経済に及ぼしまする影響も少くないので、慎重に考慮すべき問題であると考えておるのであります。豆類につきましては、一般に主食としての適性その他の実情から見まして、いも類に対しまする措置と同様に、当該農家が雑穀を含む米の供出割当を完了した場合は、豆類の自由販売を認めることが、諸般の事情からいたしまして妥当ではないかと考えられるのでありますが、この点につきましては、なお関係方面の了解を得る方向に進めてもおりまするけれども、早急にその結論を得ることは至難じやないかと考えております。但し豆類の中で、大豆につきましては、搾油原料として重要な地位を占めておりまするし、また年間三十万トン以上のものを輸入に仰がなければならない現状から見まして、統制の緩和は相当困難なものであると考えます。  またその他の雑穀につきましては、品種によりましては必ずしも同様ではありませんが、概して申しますならば、主食としての適性については、米、麦類との間に明確な区画を認めることはなかなか困難であります。米麦の供出問題と関連いたしまして、検討をいたさなければならない問題と考えております。ただいま山村委員からお話がありましたように、いろいろ最近雑穀統制の問題について論議されております。また大臣の講話等も新聞紙上に出ておりまするが、それは大臣のお考えとは必ずしも一致しておらないという点を、この際明らかにいたしておきたいと存じます。
  47. 山村新治郎

    ○山村委員 大体の経過は了承いたしましたが、おそらく大臣としても、政務次官といたしましても、民自党の公約であるところの供出完遂後の自由販売の線、並びに特に実際問題として統制の不可能な物品については、この統制を撤廃せんとする大方針のもとに、必ずや努力をされることと信じております。特にらつかせいでございます。先ほど井上君からも御指摘があつたのでありますが、このらつかせいは、県によつては実際は供出の対象になつておらないという状態にもかかわらず、千葉県と鹿児島県だけが特別にこの対象になつておりまして千葉県ではこの取締りが非常にきびしいにかかわらず、東京はもちろんのこと、その他の県へ参りますと、もう全然対象外になつておるというような現状である。これは各県の違いによつて均衡を失しておると思いますので、ぜひこのらつかせいは——実情においてまたなかなか統制が不可能であるという現状から考えましても、あらゆる雑穀に、先がけて、一応この特殊性を考えられまして、この統制の撤廃が一日も早く実現されるように、御努力あらんことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  48. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十二分散会